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審決分類 審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  A61F
審判 全部申し立て 2項進歩性  A61F
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A61F
管理番号 1388414
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2022-09-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2022-04-14 
確定日 2022-09-08 
異議申立件数
事件の表示 特許第6952648号発明「吸収性物品」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6952648号の請求項1ないし5に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6952648号(以下「本件特許」という。)の請求項1〜5に係る特許についての出願は、平成30年6月1日(優先権主張:平成29年6月2日 日本国)に出願され、令和3年9月30日にその特許権の設定登録がされ、令和3年10月20日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、令和4年4月14日に特許異議申立人金田綾香(以下「申立人」という。)により、特許異議の申立てがされたものである。

第2 本件特許発明
本件特許の請求項1〜5に係る発明(以下「本件発明1」等という。まとめて「本件発明」ともいう。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1〜5に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「【請求項1】
水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)並びに架橋剤(b)を必須構成単位とする架橋重合体(A)を有する吸水性樹脂粒子(P)、液拡散部材(B)並びに細胞賦活成分(D)を含有してなる吸収体を備える吸収性物品であって、
前記吸水性樹脂粒子(P)は、前記架橋重合体(A)の重量に基づいて、0.01重量%〜3.0重量%の無機質粉末によってその表面をコーティングされていることを特徴とする、吸収性物品。
【請求項2】
細胞賦活成分(D)がアミノ酸(D1)、ペプチド(D2)及びタンパク質(D3)からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1記載の吸収性物品。
【請求項3】
細胞賦活成分(D)が、吸水性樹脂粒子(P)及び/又は液拡散部材(B)の表面に付着している請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
細胞賦活成分(D)が吸水性樹脂粒子(P)の合計重量に基づいて0.0001〜1.0重量%である請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)並びに架橋剤(b)を必須構成単位とする架橋重合体(A)を有する吸水性樹脂粒子(P)、液拡散部材(B)並びに細胞賦活剤(D)を含有してなる吸収体を備える吸収性物品の製造方法であって、
前記吸水性樹脂粒子(P)は、前記架橋重合体(A)の重量に基づいて、0.01重量%〜3.0重量%の無機質粉末によってその表面をコーティングされており、
前記吸収体を構成する前に予め、細胞賦活剤(D)を吸水性樹脂粒子(P)、液拡散部材(B)の表面に塗布又は噴霧することを特徴とする吸収性物品の製造方法。」

第3 申立理由の概要
申立人は、以下の理由1〜理由4を申立てている。
1 理由1(進歩性
(1) 本件発明1〜5は、甲第7号証〜甲第9号証を参照して、甲第1号証に記載された発明と、甲第2号証〜甲第5号証のうちの何れかとの組み合わせから容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
(2) 本件発明1〜5は、甲第6号証に記載された発明と、甲第5号証との組み合わせから容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
(3) 本件発明1〜5は、甲第10号証に記載された発明と、甲第1号証〜甲第5号証のいずれかとの組み合わせから容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
(証拠方法)
甲第1号証:特表2007−526928号公報
甲第2号証:特表平9−510889号公報
甲第3号証:特表2002−514934号公報
甲第4号証:特表2003−519245号公報
甲第5号証:特表2004−513198号公報
甲第6号証:特表2004−512853号公報
甲第7号証:欧州特許第0752892号明細書
甲第8号証:欧州特許第0744967号明細書
甲第9号証:特願2018−106479号の令和3年4月13日提出の意見書
甲第10号証:特開2015−54074号公報
これらを以下「甲1」〜「甲10」ともいう。

2 理由2(実施可能要件
(1) 本件発明1〜5の「細胞賦活成分(D)」について、本件明細書には、定義が開示されておらず、また、本件明細書の【0065】には、「細胞賦活成分(D)」が肌炎症箇所の細胞再生を促すとの効果を奏する旨が記載されているが、当該効果を奏する旨の記載は想定に過ぎず、「細胞賦活成分(D)」に該当する物質の範囲を規定する記載ではなく、どのような条件において、どの程度の細胞賦活性を示すものを、「細胞賦活成分(D)」と呼称するのかを、本件明細書の記載からは理解できない。
よって、本件明細書の記載からは、本件発明1〜5において、前記「細胞賦活成分(D)」に該当する物質の範囲が明確でない。
(2) 本件発明1〜5の「細胞賦活成分(D)」に該当する物質の範囲と、甲1に記載の「スキンケア剤」に該当する物質の範囲及び甲6に記載の「皮膚健康維持剤」に該当する物質の範囲とが、同一であるかどうか等の関係性が不明であって、「細胞賦活成分(D)」に該当する物質の範囲を規定することはできない。
(3) 本件発明2に、「細胞賦活成分(D)」の範囲を、アミノ酸、ペプチド及びタンパク質からなる群から選択される物質に規定しているが、アミノ酸、ペプチド及びタンパク質の全てが、細胞を賦活する作用を備えてはいないことは、当業者にとつて自明な事項であり、細胞を賦活する作用を備える、アミノ酸、ペプチド及びタンパク質においても、細胞を賦活する作用の程度は、アミノ酸、ペプチドおよびタンパク質の種類によって異なることも、当業者にとって自明な事項であるから、本件発明2における規定によっても、「細胞賦活成分(D)」に該当する物質の範囲を明確に規定できない。
(4) 上記(1)〜(3)により、本件発明1〜5において、「細胞賦活成分(D)」に該当する物質が、本件の実施例にて使用した物質以外にどのような物質であるのかを理解できないから、当業者であっても、本件明細書に基づき、本件発明1〜5のうち、本件の実施例にて示された発明以外の発明を、実施することができない。
よって、本件明細書は、当業者が、本件発明1〜5を実施できる程度に明確かつ十分に記載したものではなく、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。

3 理由3(サポート要件)
本件発明1〜5は、「細胞賦活成分(D)」として、本件の実施例にて使用した物質以外にどのような物質を使用した場合に、本件発明の課題を解決できるのかを、本件明細書の記載からは、当業者であっても理解できないから、特許法第36条第6項第1号の規定に違反するものである。

4 理由4(明確性
上記2の(1)〜(3)の点で、本件発明1〜5の「細胞賦活成分(D)」の範囲が不明確であるから、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

第4 当審の判断
進歩性に係る申立理由1について
(1) 甲各号証に記載された事項及び記載された発明
ア−1 甲1の記載事項
「【請求項1】
キャリア材料と粒子状の高吸収性ポリマー材料とを有する、皮膚に優しい吸収性の使い捨て製品用の、体液を持続的に貯蔵するために適した吸収体成分において、前記高吸収性ポリマー材料は、外部表面を備えたコアを有し、かつ前記コアの外部表面の少なくとも一部は被覆剤を有しており、前記被覆剤は高吸収性ポリマー材料のコアの吸収率を低下させるのに適しており、かつ前記高吸収性ポリマー材料の被覆剤はスキンケア剤を有することを特徴とする、皮膚に優しい吸収性の使い捨て製品用の体液を持続的に貯蔵するために適した吸収体成分。」(下線は、参考のため当審で付与したものである。以下同様である。)
「【請求項8】
スキンケア剤がアミノ酸を有することを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の吸収体成分。
【請求項9】
キャリア材料がセルロース繊維及び/又は合成繊維及び/又は発泡材料及び/又は多孔性の、特に熱可塑性のプラスチックマトリックスを有することを特徴とする、請求項1か8のいずれか1項記載の吸収体成分。」
「【請求項12】
請求項1から11までのいずれか1項記載の吸収体成分を有する吸収性の使い捨て製品において、前記使い捨て製品は身体側のトップシートと、身体と反対側のバックシートとを有し、これらのシートが体液を持続的に貯蔵するために適した吸収体成分をサンドイッチ状に包囲することを特徴とする、吸収性の使い捨て製品。
【請求項13】
身体と反対側で、体液を持続的に貯蔵するために適した吸収体成分の上方に少なくとも1つの他の液体透過性の層が配置されていることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載の吸収体成分を有する吸収性の使い捨て製品。」
「【0002】
市販のおむつ、失禁用おむつ、生理用ナプキン、パンテイライナー、包帯用品及び他の体液の吸収のために利用する使い捨て製品の大部分は、公知の高吸収性ポリマー材料(SAP)を有している。このしばしばヒドロゲル、吸収性ゲル、ヒドロコロイドといわれるか、又は簡単には吸収性ポリマーといわれる材料は、体液、例えば尿、血液、生理液、傷滲出液又は液状の便を、膨潤しながら持続的に吸収するために、しかもその自重の数倍の量を吸収するために適している。」
「【0016】
この作用メカニズムは未だに完全には解明されていないのであるが、本発明による吸収体成分の利点、つまりこの使い捨て製品の着用者の皮膚の健康状態に関する有利な作用はほぼ間違いなく、次の動力学に基づいている:
【0017】
本発明による吸収体成分が濡れた後に、体液はまず最初に、高吸収性ポリマー材料のスキンケア剤を含有する被覆に作用する。この場合、スキンケア剤が放出されるか、又はその他の方法、例えば被覆剤が溶解することにより活性化され、及び/又は膨潤し、高吸収性ポリマーのコアが初めて時間的に遅れて露出する、つまり、時間的に遅れて体液の作用にさらされる。従って、それにより高吸収性ポリマー材料のコアの吸収率の低減が行われる。高吸収性ポリマー材料のコアの吸収率の低減を議論する場合に、これは前記コアの吸収挙動の変化であると解釈され、つまり、時間の関数として考慮される液体吸収が、液体と出会った後に時間的にだけ遅延されること、及び/又は液体吸収の速度(時間当たりの液体g)が低下すること、及び/又は液体吸収能力(コアのSAP1g当たりの液体g)が全体として低下することであると解釈される。
【0018】
体液とスキンケア剤を有する被覆された高吸収性ポリマーとの反応に関して、従って2つの場合により重複する相を観察することができる。被覆中に含まれるスキンケア剤は、第1の相で、なお完全に吸収されていない体液によって皮膚に達することができる。ここで述べられた輸送メカニズムは、例えば拡散及び/又は毛管力が含まれる。第2の相が開始して初めて、体液の吸収によって遊離した体液の量の範囲が減少し及びそれによりスキンケア剤の流動性が低下し、かつそれにより被覆材料から次第に露出する高吸収性ポリマーのコアによって体液は固定される。」




「【0024】
コアとして挙げられる高吸収性ポリマー材料の製造及び選択のために、ここでは当業者に公知の文献、例えばドイツ国特許(DE)第4020780号明細書、欧州特許(EP−B1)第1169372号明細書、米国再発行特許第32,649号明細書、欧州特許(EP−B1)第0752892号明細書、欧州特許(EP−B1)第0744967号明細書及び欧州特許(EP−B1)第0304319号明細書が参照される。好ましくは、部分的に中和されたポリアクリル酸ポリマーが挙げられ、この表面は、ゲル安定性を高めるために後架橋されている。
【0025】
好ましい実施態様において、高吸収性ポリマー材料のコアもスキンケア剤を有する場合に、このスキンケア剤は、前記高吸収性材料のコアの製造の多様な方法工程において、前記高吸収性材料のコアと結合させることができる。これには、例えば、乾燥したスキンケア剤を、a)既に完成した後架橋された、高吸収性材料のコアと混合する方法、b)なお後架橋されていない、高吸収性材料のコアと混合する方法、c)重合されているがなお乾燥されていないゲルと混合する方法又はd)高吸収性材料のコアの重合の前又は重合の間に混合する方法が含まれる。スキンケア剤と高吸収性材料のコアとの結合を改善するために、混合の前又は後で液状の、特に水性の成分を添加するのが有利である。」
「【0028】
高吸収性材料のコアの外側表面の少なくとも一部と結合しかつ他の成分としてスキンケア剤を有する被覆剤として、高吸収性ポリマー材料の吸収率を低下させるのに適した全ての物質、特に水性の液体中で可溶性か又は膨潤可能な物質、例えば天然又は合成製品のセルロース又はリグノセルロース、セルロース誘導体、例えばメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、酢酸セルロースを挙げることができる。更に、複数の、つまり少なくとも2種の異なる被覆材料を使用することもできる。
【0029】
高吸収性ポリマー材料のコアを被覆する方法は当業者に公知である。国際公開(WO)第00/62825号パンフレット及び国際公開(WO)第02/36663号パンフレットは、本発明の実施のために適した被覆方法を開示している。従って、前記した特許明細書は、広範囲に完全に本発明の開示内容と見なされる。この被覆材料は、特に粉末の形で、同様に粉末の形で存在する高吸収性ポリマー材料のコアと、まず最初に乾燥した状態で混合し、引き続き水で湿らせ、次にもう一度混合することができる。」
「【0033】
スキンケア剤の量に関しては、高吸収性ポリマー材料の総重量に対して、好ましくは0.001〜100%、なかでも0.1〜10%、特に0.5〜5%が好ましいと見なされる。」




ア−2 甲1に記載された発明
上記記載から、甲1には、使い捨て製品について、次の「甲1発明」が記載されていると認められる。
「キャリア材料と粒子状の高吸収性ポリマー材料とを有する、体液を持続的に貯蔵するために適した吸収体成分を備えた、皮膚に優しい吸収性の使い捨て製品であって、
前記高吸収性ポリマー材料は、外部表面を備えたコアを有し、かつ前記コアの外部表面の少なくとも一部は被覆剤を有しており、前記被覆剤は高吸収性ポリマー材料のコアの吸収率を低下させるのに適しており、かつ前記高吸収性ポリマー材料の被覆剤はスキンケア剤を有し、
前記コアは、部分的に中和されたポリアクリル酸ポリマーが挙げられ、この表面は、ゲル安定性を高めるために後架橋され、
前記スキンケア剤がアミノ酸を有し、
前記キャリア材料がセルロース繊維及び/又は合成繊維及び/又は発泡材料及び/又は多孔性の、特に熱可塑性のプラスチックマトリックスを有する、
吸収性の使い捨て製品。」
また、上記甲1発明、【0028】、【0029】から、次の「甲1製造方法発明」を認めることができる。
「キャリア材料と粒子状の高吸収性ポリマー材料とを有する、体液を持続的に貯蔵するために適した吸収体成分を備えた、皮膚に優しい吸収性の使い捨て製品の製造方法であって、
前記高吸収性ポリマー材料は、外部表面を備えたコアを有し、かつ前記コアの外部表面の少なくとも一部は被覆剤を有しており、前記被覆剤は高吸収性ポリマー材料のコアの吸収率を低下させるのに適しており、かつ前記高吸収性ポリマー材料の被覆剤はスキンケア剤を有し、
前記コアは、部分的に中和されたポリアクリル酸ポリマーが挙げられ、この表面は、ゲル安定性を高めるために後架橋され、
前記スキンケア剤がアミノ酸を有し、
前記キャリア材料がセルロース繊維及び/又は合成繊維及び/又は発泡材料及び/又は多孔性の、特に熱可塑性のプラスチックマトリックスを有し、
前記被覆剤をなす被覆材料は、特に粉末の形で、同様に粉末の形で存在する高吸収性ポリマー材料のコアと、まず最初に乾燥した状態で混合し、引き続き水で湿らせ、次にもう一度混合する、
吸収性の使い捨て製品の製造方法。」

イ 甲2の記載事項
「発明の分野
本願は、尿や月経の様な体液用の、良好な湿潤一体性を有する吸収部材に関する。本願はさらにヒドロゲル形成吸収性重合体の濃度が比較的高い少なくとも一つの区域を有する吸収部材に関する。
発明の背景
使い捨ておむつ、成人用失禁パッドおよびブリーフ、および衛生ナプキンの様な月経用製品として使用する吸収性の高い部材を開発することは、商業的に非常に重要である。その様な製品に強く望まれる特性は、薄さである。例えば、薄いおむつは着用する際にかさ張らず、衣類の下に良く適合し、あまり気にならない。包装もより小型になり、おむつの持運びや貯蔵が容易になる。包装が小型であれば、おむつ単位あたりの備蓄に必要な棚の空間が少なくなり、製造業者や流通業者の流通コストも低くなる。」(5頁)
「これらのヒドロゲル形成吸収性重合体の製造では、最初に不飽和カルボン酸またはそれらの誘導体、例えばアクリル酸、アクリル酸のアルカリ金属(例えばナトリウムおよび/またはカリウム)またはアンモニウム塩、アクリル酸アルキル、等、を重合させることが多い。これらの重合体は、カルボキシル基を含む重合体鎖を通常の二または多官能性モノマー材料、例えばN,N’−メチレンビスアクリルアミド、トリメチロールプロパントリアクリレートまたはトリアリルアミン、で僅かに架橋させることにより、水に不溶であるが、水で膨潤し得る様にする。」(6頁)
「一般的に、本発明に有用なヒドロゲル形成吸収性重合体は、複数の陰イオン系官能基、例えばスルホン酸、より一般的にはカルボキシ基を有する。ここで使用するのに好適な重合体の例としては、重合性で不飽和の酸含有モノマーから製造される重合体がある。例えば、その様なモノマーには、少なくとも1個の炭素−炭素のオレフィン系二重結合を含むオレフィン系不飽和酸および酸無水物がある。より具体的には、これらのモノマーは、オレフィン系不飽和カルボン酸および酸無水物、オレフィン系不飽和スルホン酸、およびそれらの混合物から選択することができる。」(16頁)
「オレフィン系不飽和カルボン酸およびカルボン酸無水物モノマーには、アクリル酸、例えばアクリル酸自体、メタクリル酸、エタクリル酸、α−クロロアクリル酸、a−シアノアクリル酸、β−メチルアクリル酸(クロトン酸)、α−フェニルアクリル酸、β−アクリルオキシプロピオン酸、ソルビン酸、α−クロロソルビン酸、アンゲリカ酸、ケイ皮酸、p−クロロケイ皮酸、β−ステリルアクリル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、アコニット酸、マレイン酸、フマル酸、トリカルボキシエチレンおよび無水マレイン酸がある。」(17頁)
「ヒドロゲル形成吸収性重合体の製造に使用するのに最も好ましい重合体材料は、部分的に中和されたポリアクリル酸の僅かに網目状に架橋した重合体およびそれらのデンプン誘導体である。最も好ましくは、ヒドロゲル形成吸収性重合体は、約50〜約95%、好ましくは約75%中和された、僅かに網目状に架橋したポリアクリル酸(すなわちポリ(アクリル酸ナトリウム/アクリル酸))を含んでなる。網目状に架橋することにより、重合体は本質的に水に不溶になり、部分的に、ヒドロゲル形成吸収性重合体の吸収容量および抽出可能な重合体含有量特性を決定する。これらの重合体を網目状に架橋する方法および代表的な網目状架橋剤は、米国特許第4,076,663号に詳細に記載されている。」(18頁)
「ヒドロゲル形成吸収性重合体は、少量の1種以上の添加剤、例えば粉末状シリカ、界面活性剤、接着剤、結合剤、等、との混合物を含んでなることもできる。この混合物中の各成分は、ヒドロゲル形成吸収性重合体成分とヒドロゲル形成吸収性重合体ではない添加剤が物理的に容易に分離できない様に、物理的および/または化学的に一つの形態に会合していることができる。」(19頁)
ウ 甲3の記載事項


」(1頁)
「一般的に、本発明で有用なヒドロゲルを形成する吸収性重合体は、スルホン酸の様な陰イオン系官能基、より一般的にはカルボキシル基を有する。ここで使用するのに適当な重合体の例としては、重合可能な、不飽和の酸含有モノマーから製造される重合体がある。例えば、その様なモノマーには、少なくとも1個の炭素炭素のオレフィン性二重結合を含むオレフィン性不飽和酸および酸無水物がある。より具体的には、これらのモノマーは、オレフィン性不飽和カルボン酸および酸無水物、オレフィン性不飽和スルホン酸、およびそれらの混合物から選択することができる。」(18頁)
「オレフィン性不飽和カルボン酸およびカルボン酸無水物モノマーには、アクリル酸自体により代表されるアクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、−クロロアクリル酸、a−シアノアクリル酸、−メチルアクリル酸(クロトン酸)、−フェニルアクリル酸、−アクリルオキシプロピオン酸、ソルビン酸、−クロロソルビン酸、アンゲリカ酸、ケイ皮酸、p−クロロケイ皮酸、−ステリルアクリル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、アコニット酸、マレイン酸、フマル酸、トリカルボキシエチレンおよび無水マレイン酸がある。」(19頁)
「ヒドロゲルを形成する吸収性重合体の製造に最も好ましい重合体材料は、部分的に中和されたポリアクリル酸の僅かに網目状に架橋した重合体およびそのデンプン誘導体である。最も好ましくは、ヒドロゲルを形成する吸収性重合体は、約50〜99%、好ましくは約75%の、中和された、僅かに網目状に架橋したポリアクリル酸(すなわちポリ(アクリル酸ナトリウム/アクリル酸))を含んでなる。網目状架橋により、重合体は本質的に水に不溶になり、部分的に、ヒドロゲルを形成する吸収性重合体の吸収容量および抽出可能な重合体含有量特性を決定する。これらの重合体を網目状に架橋させる方法および代表的な網目状架橋剤は米国特許第4,076,663号に詳細に記載されている。」(20頁)
「(2)物理的形態
本発明で使用する吸収性ゲル形成粒子の大きさ、形状および/または形態は広範囲に変えることができる。吸収性ゲル形成粒子は、最大寸法の最小寸法に対する比が大きくなく(例えば顆粒、フレーク、粉末、粒子間凝集物、粒子間架橋凝集物、等)、繊維、発泡材、等の形態でよい。ヒドロゲルを形成する吸収性重合体は、少量の1種以上の添加剤、例えば粉末シリカ、界面活性剤、接着剤、結合剤、等、との混合物でもよい。この混合物における成分は、ヒドロゲルを形成する吸収性重合体成分およびヒドロゲルを形成する吸収性重合体ではない添加剤を物理的に容易に分離できない様に、一つの形態に物理的および/または化学的に会合していることができる。」(22頁)
エ 甲4の記載事項
「【請求項1】 少なくとも1つのコーティング材料の少なくとも1つの粒子の少なくとも第1の層で覆われた硬質ゲル化性超吸収性材料の少なくとも1つの粒子を含む超吸収体含有複合物であって、前記コーティング材料の第1の層が、前記超吸収性材料と密接に結合してそれを覆い、前記超吸収性材料が、複合液体の少なくとも1つの特定の成分の量の少なくとも一部を選択的に除去することができ、前記コーティング材料が、前記複合液体の少なくとも他の1つの特定の成分の量の少なくとも一部を選択的に除去することができる超吸収体含有複合物。」
「【請求項5】 前記コーティング材料が、ケイ酸塩であることを特徴とする請求項1に記載の複合物。
【請求項6】 前記コーティング材料が、沈降シリカ、ヒュームドシリカ、二酸化ケイ素、ゼオライト、クレー、バーミキュライト、パーライト及びそれらの混合物から成る群から選択されることを特徴とする請求項5に記載の複合物。」
「【0016】
本明細書で用いる場合、「超吸収性材料」、「各超吸収性材料」等とは、最も好ましい条件で、0.9重量%の塩化ナトリウムを含有する水性溶液中で、その重量の少なくとも約10倍、好ましくはその重量の約15倍吸収することができる、水膨潤性で水不溶性の有機又は無機材料を言うことを意図する。このような材料には、ポリ(アクリル酸);ポリ(メタクリル酸);アクリル酸と、メタクリル酸とアクリルアミド、ビニルアルコール、アクリルエステル、ビニルピロリドン、ビニルスルホン酸、ビニル酢酸、ビニルモルホリノン及びビニルエーテルとのコポリマー;加水分解アクリロニトリルグラフトデンプン;アクリル酸グラフトデンプン;無水マレイン酸と、エチレン、イソブチレン、スチレン、及びビニルエーテルとのコポリマー;カルボキシメチルデンプン、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、及びヒドロキシプロピルセルロースのような多糖類;ポリ(アクリルアミド);ポリ(ビニルピロリドン);ポリ(ビニルモルホリノン);ポリ(ビニルピリジン);及び上記等のいずれかのコポリマー及び混合物のアルカリ金属塩であるヒドロゲル生成ポリマーが含まれるが、これに限定されない。ヒドロゲル生成ポリマーは、わずかに架橋し、実質的に水不溶性にされていることが好ましい。架橋は、例えば、放射によるか、共有、イオン、ファンデルワールス力、又は水素結合の相互作用により達成することができる。望ましい超吸収性材料は、わずかに架橋したヒドロコロイドである。詳細には、より望ましい超吸収性材料は、部分的に中和されたポリアクリル酸塩である。」
「【0020】
また、本発明の超吸収体含有複合物は、少なくとも1つのコーティング材料の少なくとも1つの粒子の少なくとも第1の層を含む。このような例では、コーティング材料の第1の層は、超吸収性材料と密接に結合し、それを覆っている。第1の層のコーティング材料は、粒子形であり、複合液体の少なくとも1つの特定の成分の量の少なくとも一部を選択的に除去することができることが望ましい。典型的には、第1の層のコーティング材料により選択的に除去される1つ又はそれ以上の特定の成分が、超吸収体含有複合物の超吸収性材料により選択的に除去される1つ又はそれ以上の特定の成分と異なることが望ましい。しかし、コーティング材料により選択的に除去される1つ又はそれ以上の特定の成分が、超吸収性材料により選択的に除去される1つ又はそれ以上の特定の成分と同様であっても本発明の範囲内である。図1から図12は、コーティング材料の1つの又は第1の層を有する本発明の超吸収体含有複合物を示す。
【0021】
また、本発明の超吸収体含有複合物は、少なくとも1つのコーティング材料の少なくとも1つの粒子の第2の層を含むことができる。このような例では、コーティング材料の第2の層は、コーティング材料の第1の層と少なくとも密接に結合し、それを覆っている。第2の層のコーティング材料は、粒子形であり、複合液体の少なくとも1つの特定の成分の少なくとも一部を選択的に除去することができることが望ましい。典型的には、第2の層のコーティング材料により選択的に除去される1つ又はそれ以上の特定の成分は、コーティング材料の第1の層又は超吸収体含有複合物の超吸収性材料のいずれかにより選択的に除去される1つ又はそれ以上の特定の成分と異なることが望ましい。しかし、第2の層のコーティング材料により選択的に除去される1つ又はそれ以上の特定の成分が、コーティング材料の第1の層又は超吸収体含有複合物の超吸収性材料のいずれかにより選択的に除去される1つ又はそれ以上の特定の成分と同様であっても本発明の範囲内である。」
「【0023】
複合液体の少なくとも1つの特定の成分の量の少なくとも一部を選択的に除去することができる各種の天然及び合成材料は、本発明のコーティング材料として用いることができる。従って、適切なコーティング材料には、吸着性及び/又は吸収性材料が含まれる。当然、安価で容易に入手可能且つ安全な(本明細書に記載の使い捨て吸収性物品に用いる材料には重要な属性である)コーティング材料を用いることが望ましい。本発明で用いるのに適するコーティング材料の具体的な例には、親水性材料の粒子が含まれる。コーティング材料として使用するのに適する親水性材料の例には、木材パルプ及び粉末セルロースのような木材パルプで製造した製品、及び綿、亜麻、ジュート、マニラアサ、イクストル等の非木材セルロース材料及び綿リンター及びフロックといった非木材セルロースで製造した製品のような天然及び合成のセルロース材料、レーヨン、キュプラ、リヨセル等の再生セルロース、及びヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース、酢酸セルロース等のようなセルロース誘導体が含まれるが、これに限定されない。特に望ましいコーティング材料は、微結晶性セルロース粉末である。また、沈降シリカ、ヒュームドシリカ、二酸化ケイ素、ゼオライト、クレー、バーミキュライト、パーライト等のような天然及び合成ケイ酸塩もコーティング材料として用いるのに適する。また、組織化植物性タンパク(例えば大豆タンパク)及びゼインのような不溶性タンパクもコーティング材料として用いるのに適する。」
「【0095】
実施例7
本実施例では、水溶性及び水に不溶性の両方のコーティング材料を選択することにより達成することができる効果を示す。本実施例で用いた超吸収性材料は、米国ミシガン州ミッドランドにあるDow Chemical Companyから市販されているDRYTECH(登録商標)2035という超吸収性材料であった。本実施例のコーティング材料は、米国メリーランド州ハバードグラースにあるJ.M.Huberから市販されているZeofree 5175Bという顆粒状の沈降シリカ、及び米国デラウェア州ウィルミントンにあるICI Surfactantsから入手可能なTWEEN(登録商標)20というエトキシル化ポリソルベートであった。用いた結合剤は、蒸留水であった。TWEEN(登録商標)20は、蒸留水に溶解して重量で20%の溶液を作った。本実施例の超吸収体含有複合物であるTWEEN(登録商標)20及びZeofree 5175Bで覆ったDRYTECH(登録商標)2035は、本明細書に記載の工程の実施形態を用いて、米国ウィスコンシン州のベロナにあるThe Coating Placeで調製した。この工程では、流動床コーティング装置に126gのZeofree 5175B及び200gのDRYTECH(登録商標)2035を加えた。Zeofree 5175B及びDRYTECH(登録商標)2035が流動化している間に、この工程に326gのTWEEN(登録商標)20水溶液を加えた。温度が上がっても流動化を継続した。空気噴出し口の温度が、ほぼ88℃に等しくなれば、この作業は完了したとみなし、超吸収体含有複合物を袋に詰めた。この作業で、ほぼ392gの超吸収体含有複合物が生成された。」
オ 甲5の記載事項



「【請求項1】
吸収性ポリマー構造(Pa)の製造方法であって、
未処理吸収性ポリマー構造(Pu)の外部領域の第1処理によって、未処理吸収性ポリマー構造(Pu)と比較して0.3または0.9psiの負荷下での吸収量(AUL)を増加させ、被処理吸収性ポリマー構造(Pb)を得るステップと、
被処理吸収性ポリマー構造(Pb)の外部領域の第2処理によって、被処理吸収性ポリマー構造(Pb)と比較してAULを低下させるステップとを備える、方法。
【請求項2】
第2処理により、遠心保持能力(CRC)を、接触前の数値に対してパーセンテージ換算でAULの数値における低下率未満に減少する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
被処理吸収性ポリマー構造(Pb)をコーティング剤と接触させることにより第2処理を実施する、請求項1または2に記載の方法。」
「【請求項17】
化学的架橋剤の使用または、熱架橋、またはその両方によって第1処理を行う、前述の請求項のいずれかに記載の方法。」
「【0001】(技術分野)本発明は、吸収性ポリマー構造の製造方法と、この方法で得られる吸収性ポリマー構造と、吸収性ポリマー構造と、複合体と、複合体の製造方法と、この方法によって得られる複合体と、これら吸収性ポリマー構造またはこの複合体を含有する発泡体、成型品、繊維、シート、フィルム、ケーブル、シール材、液体吸収性衛生製品、植物成長調節剤用および真菌増殖調節剤用の担体、包装材料および土壌添加剤または建築材料と、発泡体、成型品、繊維、シート、フィルム、ケーブル、シール材、液体吸収性衛生製品、植物成長調節剤用および真菌増殖調節剤用の担体、包装材料および土壌添加剤または建築材料におけるこの吸収性ポリマー構造またはこの複合体の使用とに関する。」
「【0023】好ましいモノエチレン性不飽和酸性基含有モノマー類(α1)は、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、α−クロロアクリル酸、α−シアノアクリル酸、β−メタクリル酸(クロトン酸)、α−フェニルアクリル酸、β−アクリルオキシプロピオン酸、ソルビン酸、α−クロロソルビン酸、2’−メチルイソクロトン酸、桂皮酸、p−クロロ桂皮酸、β−ステアリル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、アコニット酸、マレイン酸、フマル酸、トリカルボキシエチレンおよび無水マレイン酸であるが、アクリル酸並びにメタクリル酸が特に好ましく、アクリル酸が最も特に好ましい。」
「【0093】本発明に係る方法では、さらにコーティング剤が有機成分および無機成分を有しているのが好ましい。コーティング剤は、好ましくはコーティング剤粒子として存在しており、これに関連して粒子が構造より小さいことが好ましい。好ましくは、コーティング剤粒子の少なくとも50重量%は0.05〜800μm、好ましくは0.05〜600μm、特に好ましくは0.05〜400μm、最も好ましくは0.1〜200μmの範囲内のサイズを有している。」
「【0101】さらに、本発明に係る方法では無機成分がシリコーン化合物を基材とするのが好ましく、ケイ酸類およびカオリン類等の当業者によく知られている全シリコーン−酸素化合物が好ましく、これに関連してケイ酸類が特に好ましい。
【0102】さらに処理吸収性ポリマー構造(Pb)が、処理吸収性ポリマー構造(Pb)に対して0.001〜40重量%、好ましくは0.01〜20重量%、特に好ましくは0.05〜5重量%の範囲内の濃度で無機コーティング剤と接触するのが好ましい。」
「【0105】湿潤剤は、好ましくは処理吸収性ポリマー構造(Pb)とコーティング剤との混合中に添加されるか、処理吸収性ポリマー構造(Pb)の混合の結果として生じる生成物およびコーティング剤がその上に噴霧される。」
「【0120】(実施例)粉末1(後架橋しない)290gのアクリル酸を2つの部分に分割した。1部分を458.5gのH2Oへ添加した。0.90gのトリアリルアミンおよび0.87gのアリルオキシポリエチレングリコールアクリル酸エステルをアクリル酸の第2部分に溶解させ、さらに水へ添加した。この溶液を10℃へ冷却した。次に計225.4gの50%水酸化ナトリウム溶液を温度が30℃を超えて上昇しないような速度で冷却させながら添加した。この溶液をその後20℃で窒素を用いてフラッシュし、さらに冷却した。4℃の開始温度に到達したときに、開始剤溶液(10gのH2O中の0.1gの2,2−アゾビス−2−アミジノプロパンジヒドロクロリド、10gのH2O中の0.1gのペルオキソ二硫酸ナトリウム、1gのH2O中の30%過酸化水素および2gのH2O中の0.015gのアスコルビン酸)を添加した。約100℃の最終温度に達した後、結果として生じたゲルを粉砕し、150℃で90分間乾燥させた。乾燥粉末を粗く粉砕し、細砕し、ふるいにかけて150〜850μmの粒径を有する粉末を形成させた。
【0121】
粉末2(後架橋した)0.5gのエチレンカーボネート、1.0gのH2Oおよび4.0gのアセトンを50gの粉末1へ撹拌しながら添加した。この生成物を展開皿へ添加し、循環式エアドライヤ中において170℃で50分間乾燥させた。
【0122】
粉末3(有機コーティング剤)50gの粉末2を1gのカルボキシメチルセルロースナトリウム粉末と一緒に回転翼を備えるミキサー内で混合して混合物を形成した。次いで、この混合物に1.5gの水を噴霧し、さらに5分間撹拌した。
【0123】
粉末4(有機および無機コーティング剤)50gの粉末2を1gのカルボキシメチルセルロースナトリウム粉末および0.1gのデグッサ(Degussa AG)製エアロジル(Aerosil)(商標)200と一緒に回転翼を装備したミキサー内で混合して混合物を形成した。次いで、この混合物に1.5gの水を噴霧し、さらに5分間撹拌した。
【0124】
粉末5(わずかに架橋した)300gのアクリル酸を2つの部分へ分割した。1部分を376.4gのH2Oへ添加した。0.90gのトリアリルアミンおよび1.5gのアリルオキシポリエチレングリコールアクリル酸エステルをアクリル酸の第2部分に溶解させ、さらに水へ添加した。この溶液を10℃へ冷却した。次に温度が30℃を超えて上昇しないような速度で冷却しながら計283.1gの50%水酸化ナトリウム溶液を添加した。この溶液をその後20℃で窒素を用いてフラッシュし、さらに冷却した。4℃の開始温度に到達したときに、開始剤溶液(10gのH2O中の0.1gの2,2−アゾビス−2−アミジノプロパンジヒドロクロリド、10gのH2O中の0.1gのペルオキソ二硫酸ナトリウム、1gのH2O中の30%過酸化水素および2gのH2O中の0.015gのアスコルビン酸)を添加した。最終温度に達した後、結果として生じたゲルを粉砕し、150℃で90分間乾燥させた。乾燥粉末を粗く粉砕し、細砕し、ふるいにかけて150〜850μmの粒径を有する粉末を形成させた。50gの粉末に1gのH2O中の1.5gのエチレンカーボネートの溶液を噴霧し、190℃の循環式空気乾燥室内で35分間乾燥させた。」
カ−1 甲6の記載事項
「【請求項1】
吸収性物品を含むパーソナルケア用物品であって、前記吸収性物品上に、非改質の微粒子状皮膚刺激性物質隔離剤及び親油性の皮膚健康維持剤を、皮膚刺激性物質を隔離する有効量有することを特徴とする皮膚刺激性物質を隔離するパーソナルケア用物品。」
「【請求項11】
前記微粒子隔離剤は、シリカ、二酸化チタン、ヒドロキシアパタイト、アルミナ、イオン交換樹脂、又はそれらの組合せであることを特徴とする請求項1に記載の物品。」
「【請求項14】
前記親油性皮膚健康維持剤は、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪アルコール、トリグリセリド、リン脂質、鉱物油、精油、ステロール、ステロールエステル、皮膚軟化剤、ロウ、湿潤剤、界面活性剤、及びそれらの組合せから選択されたことを特徴とする請求項1に記載の物品。
【請求項15】
前記非改質微粒子状皮膚刺激性物質隔離剤及び前記親油性皮膚健康維持剤は、ローションの媒体内に含有されたことを特徴とする請求項1に記載の物品。」
「【0013】
(発明を実施するための最良の形態)吸収性物品を含み、皮膚刺激性物質を隔離する有効量の非改質微粒子皮膚刺激性物質隔離薬剤及び親油性皮膚健康維持剤をその吸収性物品上に設けたおしめや成人向けの失禁用ブリーフ等の吸収性パーソナルケア物品及びその使用方法が提供される。【0014】
本発明は、糞便酵素等の人体排泄の皮膚刺激性物質を吸収又は隔離して、皮膚の健康維持を行う新規組成物及び吸収性製品を提供する。特に、非改質粘土微粒子とワセリン等の親油性皮膚健康維持剤との新規な組合せが糞便酵素を吸収することにより、糞便酵素が皮膚内に浸透して皮膚炎を引き起こすのを防止することができるのを発見した。
【0015】
本明細書で使用する場合、「隔離剤」という用語は、糞便酵素等の目標分子を共有又は非共有結合によって吸収することができる材料を意味する。ある実施形態においては、刺激性物質に対する親和力は、高く、速く、しかも不可逆性を持つ。刺激性物質の隔離剤への吸収により、角質層へ浸透又は角質層を貫通する可能性のある目標刺激性物質の能力が阻害されるか又は相当に低減されるはずである。本明細書で使用する場合、「隔離」という用語は、共有又は非共有結合によって刺激性物質を隔離剤に結合する過程と定義される。」
「【0018】特に相応しい隔離剤は、簡単に入手できる天然に生じた粘土、その内特に、ベントナイト粘土又はラポナイト粘土(サザンクレイプロダクト社)であることが分かった。隔離は、吸収性粘土、シリカ、二酸化チタン(TiO2)、ヒドロキシアパタイト、アルミナ、又はイオン交換樹脂等の多くの公知の微粒子材料を使用して達成することができる。隔離剤として使用するのに適した粘土の例としては、ベントナイト、ラポナイト、モンモリロナイト、バイデライト、ヘクトライト(hectorite)、サポナイト、スティーベンサイト(stevensite)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。」
「【0029】また、湿潤剤も上記組成物に含まれ、障壁及び/又は皮膚保湿効果を高めることができる。湿潤剤は、典型的には、皮膚の上層の水分含有量を増加させるのに用いられる化粧品の原料である。このグループの材料には、主としてハイドロスコープの原料が含まれる。本明細書で用いる場合、相応しい湿潤剤には、以下の材料が含まれるが、これに限定されない:アセトアミドMEA、アロエゲル、アルギニンPCA、キトサンPCA、銅PCA、トウモロコシグリセリド、ジメチルイミダゾリジノン、果糖、グルカミン、ブドウ糖、グルコースグルタメート、グルクロン酸、グルタミン酸、グリセレス−7(Glycereth−7)、グリセレス−12(Glycereth−12)、グリセレス−20(Glycereth−12)、グリセレス−26(Glycereth−26)、グリセリン、ハチミツ、硬化ハチミツ、硬化デンプン加水分解物、加水分解コーンスターチ、ラクトアミドMEA、乳酸、ラクトースリジンPCA、マンニトール、メチルグルセス−10、メチルグルセス−20、PCA、PEG−2ラクトアミド、PEG−10プロピレングリコール、ポリアミノ糖濃縮物、PCAカリウム、プロピレングリコール、プロピレングリコールクエン酸塩、糖加水分解物、糖イソメレート(Saccharide Isomerate)、アスパラ銀酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、PCAナトリウム、ソルビトール、TEA乳酸塩、TEA−PCA、尿素、キシリトール等、及びその混合物。」
「【0038】通常、この形式の使い捨て吸収性物品10は、液体不透過背面シート部材12、吸収性コア14又は吸収性組立体16、及び液体透過身体側ライナ18を有する。着用者の皮膚と接触することになるのは、身体側ライナ18又はティッシュ材料20である。通常、背面シート部材12は、背面シート部材12と身体側ライナ18との間に配置された吸収性コア14で身体側ライナ18と結合される。これらの構成部品背面シート部材12、身体側ライナ18、及び吸収性コア14の一般的な説明を以下で述べる。」
「【0040】吸収性コア14の多孔性繊維マトリクス22は、好ましくは、綿毛状で、高吸収性材料24から成る空気堆積された芯であり、例えば、Mazurak及びFriesによる米国特許第4,381,782号に開示されるような様々な方法で形成することができる。尚、この特許の全開示事項を、参考文献として参照されたい。吸収性コア14は、高吸収性材料24(SAP)と、好ましくは綿毛状パルプの繊維22との空気成形された混合物を含むようにすることができる。綿毛状繊維22と高吸収性材料24との混合は、均質にしたり、密度勾配を持たせたり、或いは層状にすることもできる。化学的に硬化させた加工熱処理したパルプ等の綿毛状パルプ以外の繊維22を使用することも可能である。」
「【0042】典型的には、高吸収性材料24は、望ましくは十分に架橋したヒドロゲルポリマーで、実質的に水に不溶性の材料とされる。例えば、架橋は、放射線により、又は共有、イオン、ファンデルワールス力、又は水素結合によって行うことができる。相応しい材料は、ダウケミカル社(Drytech2035LD)、ホウクスト・セラニーズ社、及びアライドケミカル社等の様々な商業ベンダーから購入することができる。典型的には、高吸収性材料24は、その重量の少なくとも15倍の水を吸収することができるが、約25倍の重量の水を吸収できることが望ましい。」
カ−2 甲6に記載された発明
上記記載から、甲6には、使い捨て吸収物品10について、次の「甲6発明」が記載されていると認められる。
「液体不透過背面シート部材12、吸収性コア14及び液体透過身体側ライナ18を有する使い捨て吸収性物品10であって、
吸収性コア14は、高吸収性材料24(SAP)と、綿毛状パルプの繊維22との空気成形された混合物を含み、
高吸収性材料24は、十分に架橋したヒドロゲルポリマーで、実質的に水に不溶性の材料とされ、
前記使い捨て吸収性物品10上に、非改質の微粒子状皮膚刺激性物質隔離剤及び親油性皮膚健康維持剤を、皮膚刺激性物質を隔離する有効量有し、
前記微粒子隔離剤は、シリカ、二酸化チタン、ヒドロキシアパタイト、アルミナ、イオン交換樹脂、又はそれらの組合せであり、
前記親油性皮膚健康維持剤は、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪アルコール、トリグリセリド、リン脂質、鉱物油、精油、ステロール、ステロールエステル、皮膚軟化剤、ロウ、湿潤剤、界面活性剤、及びそれらの組合せから選択される、
使い捨て吸収性物品10。」

また、上記甲6発明から、次の「甲6製造方法発明」を認めることができる。
「液体不透過背面シート部材12、吸収性コア14及び液体透過身体側ライナ18を有する使い捨て吸収性物品10の製造方法であって、
吸収性コア14は、高吸収性材料24(SAP)と、綿毛状パルプの繊維22との空気成形された混合物を含ませ、
高吸収性材料24は、十分に架橋したヒドロゲルポリマーで、実質的に水に不溶性の材料とされ、
前記吸収性物品上に、非改質の微粒子状皮膚刺激性物質隔離剤及び親油性皮膚健康維持剤を、皮膚刺激性物質を隔離する有効量有させ、
前記微粒子隔離剤は、シリカ、二酸化チタン、ヒドロキシアパタイト、アルミナ、イオン交換樹脂、又はそれらの組合せとし、
前記親油性皮膚健康維持剤は、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪アルコール、トリグリセリド、リン脂質、鉱物油、精油、ステロール、ステロールエステル、皮膚軟化剤、ロウ、湿潤剤、界面活性剤、及びそれらの組合せから選択する、
使い捨て吸収性物品10の製造方法。」
キ 甲7に記載された事項(当審訳)
「[0043]・・・一般的に、本発明に有用なヒドログル形成吸収性重合体は、複数の陰イオン系官能基、例えばスルホン酸、よリー般的にはカルボキシ基を有する。ここで使用するのに好適な重合体の例としては、重合性で不飽和の酸含有モノマーから製造される重合体がある。例えば、その様なモノマーには、少なくとも1個の炭素―炭素のオレフィン系二重結合を含むオレフィン系不飽和酸および酸無水物がある。より具体的には、これらのモノマーは、オレフィン系不飽和カルボン酸および酸無水物、オレフィン系不飽和スルホン酸、およびそれらの混合物から選択することができる。」
「[0045]オレフィン系不飽和カルボン酸およびカルボン酸無水物モノマーには、アクリル酸、例えばアクリル酸自体、メタクリル酸、エタクリル酸、α−クロロアクリル酸、a−シアノアクリル酸、β−メチルアクリル酸(クロトン酸)、α−フェニルアクリル酸、β−アクリルオキシプロピオン酸、ソルビン酸、α−クロロソルビン酸、アンゲリカ酸、ケイ皮酸、p−クロロケイ皮酸、β−ステリルアクリル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、アコニット酸、マレイン酸、フマル酸、トリカルボキシエチレンおよび無水マレイン酸がある。」
「[0048]ヒドロゲル形成吸収性重合体の製造に使用するのに最も好ましい重合体材料は、部分的に中和されたポリアクリル酸の僅かに網目状に架橋した重合体およびそれらのデンプン誘導体である。・・・」
「[0050]・・・ヒドロゲル形成吸収性重合体は、少量の1種以上の添加剤、例えば粉末状シリカ、界面活性剤、接着剤、結合剤、等、との混合物を含んでなることもできる。・・・」
ク 甲8に記載された事項(当審訳)
「[0078]・・・一般的に、本発明で有用なヒドロゲルを形成する吸収性重合体は、スルホン酸の様な陰イオン系官能基、よリー般的にはカルボキシル基を有する。ここで使用するのに適当な重合体の例としては、重合可能な、不飽和の酸含有モノマーから製造される重合体がある。例えば、その様なモノマーには、少なくとも1個の炭素−炭素のオレフィン性二重結合を含むオレフィン性不飽和酸および酸無水物がある。より具体的には、これらのモノマーは、オレフィン性不飽和カルボン酸および酸無水物、オレフィン性不飽和スルホン酸、およびそれらの混合物から選択することができる。」
「[0080]オレフィン性不飽和カルボン酸およびカルボン酸無水物モノマーには、アクリル酸自体により代表されるアクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、−クロロアクリル酸、a−シアノアクリル酸、−メチルアクリル酸(クロトン酸)、−フェニルアクリル酸、−アクリルオキシプロピオン酸、ソルビン酸、−クロロソルビン酸、アンゲリカ酸、ケイ皮酸、p−クロロケイ皮酸、−ステリルアクリル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、アコニット酸、マレイン酸、フマル酸、トリカルボキシエチレンおよび無水マレイン酸がある。」
「[0083]ヒドロゲルを形成する吸収性重合体の製造に最も好ましい重合体材料は、部分的に中和されたポリアクリル酸の僅かに網目状に架橋した重合体およびそのデンプン誘導体である。・・・」
「[0091]・・・ヒドロゲルを形成する吸収性重合体は、少量の1種以上の添加剤、例えば粉末シリカ、界面活性剤、接着剤、結合剤、等、との混合物でもよい。・・・」
ケ 甲9に記載された事項
「(2)本願発明の進歩性について
一方、引用文献1をはじめとするいずれの文献にも、吸水性樹脂粒子(P)が前記架橋重合体(A)の重量に基づいて、0.01重量%〜3.0重量%の無機質粉末によってその表面をコーティングされているという本願発明の特徴的構成やそれを採用する技術思想は、何ら記載も示唆もされておりません。」
コ−1 甲10に記載された事項
「【請求項1】
キセロゲル層を備え、
上記キセロゲル層が、ゲル化剤、エラスチン及び亜鉛を含有し、
上記ゲル化剤がコラーゲンを含み、
上記キセロゲル層の含水率が25%以下である絆創膏。
【請求項2】
多孔質性クッションシートを備え、
上記キセロゲル層が上記多孔質性クッションシートの表面側、裏面側又は内部に積層されている請求項1に記載の絆創膏。
【請求項3】
上記キセロゲル層における上記コラーゲンの含有量が40質量%以上95質量%以下、上記エラスチンの含有量が0.1質量%以上20質量%以下、上記亜鉛の含有量が0.001質量%以上0.1質量%以下である請求項1又は請求項2に記載の絆創膏。
【請求項4】
上記キセロゲル層が吸水性ポリマーを含む請求項1、請求項2又は請求項3に記載の絆創膏。」
「【0006】
本発明は、上述のような事情に基づいてなされたものであり、創傷部の皮膚の再生を促す効果をもつ絆創膏を提供することを課題とする。」
「【0034】
上記キセロゲル層2における亜鉛の含有量の下限としては、0.001質量%が好ましく、0.005質量%がより好ましい。上記キセロゲル層2における亜鉛の含有量の上限としては、0.1質量%が好ましく、0.05質量%がより好ましい。上記範囲の適度な含有量の亜鉛により体液や肉芽組織中の細胞を活性化できる。
【0035】
〔多孔質性クッションシート〕
上記多孔質性クッションシート3としては、例えば、不織布、織布、編物、紙、発泡樹脂等を用いることができ、これらの中から2種以上を積層したものであってもよい。
【0036】
上記不織布、織布、編物、紙の原料としては例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ナイロン等の合成繊維、綿、麻、ジュート等の植物繊維、羊毛、絹等の動物繊維、レーヨン等が挙げられる。これらのうち一種をあるいは2種以上組み合わせて用いることができる。」
「【0055】
<製造方法>
当該絆創膏1の製造方法は、一般に行なわれるゲル体を製造する方法に従って製造できる。具体的には、当該絆創膏1、キセロゲル層2に含まれる各成分を加熱混合してゾル状物(ゲル形成用配合液)する工程と、このようにして得られたゲル層形成用溶液を多孔質性クッションシート3の表面に塗布する工程と、冷却することによりゲル化を完了させる工程と、こうして得られたゲル体を乾燥させてキセロゲル層2を形成する工程と、多孔質性クッションシート3の裏面に水素発生剤6を散布する工程と、水素発生剤6の上から多孔質性クッションシート3の裏面に粘着シート4を貼着する工程とによって製造できる。」
コ−2 甲10に記載された発明
上記記載から、甲10には、絆創膏について、次の「甲10発明」が記載されていると認められる。
「キセロゲル層を備え、
上記キセロゲル層が、ゲル化剤、エラスチン及び亜鉛を含有し、
上記ゲル化剤がコラーゲンを含み、
上記キセロゲル層の含水率が25%以下であり、
上記キセロゲル層が吸水性ポリマーを含む、絆創膏。」
甲10発明と、上記【0055】から、甲10には、絆創膏について、次の「甲10製造方法発明」が記載されていると認められる。
「キセロゲル層を備え、
上記キセロゲル層が、ゲル化剤、エラスチン及び亜鉛を含有し、
上記ゲル化剤がコラーゲンを含み、
上記キセロゲル層の含水率が25%以下であり、
上記キセロゲル層が吸水性ポリマーを含む、絆創膏の製造方法であって、
上記絆創膏、上記キセロゲル層に含まれる各成分を加熱混合してゾル状物(ゲル形成用配合液)する工程と、
このようにして得られたゲル層形成用溶液を多孔質性クッションシートの表面に塗布する工程と、
冷却することによりゲル化を完了させる工程と、
こうして得られたゲル体を乾燥させて上記キセロゲル層を形成する工程と、
上記多孔質性クッションシートの裏面に水素発生剤を散布する工程と、
上記水素発生剤の上から上記多孔質性クッションシートの裏面に粘着シートを貼着する工程とによって製造できる、
絆創膏の製造方法。」
(2) 甲1を主引用例として
ア 本件発明1について
(ア) 本件発明1と甲1発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。
甲1発明の「吸収性の使い捨て製品」は、本件発明1の「吸収性物品」に相当する。
以下同様に、「粒子状の高吸収性ポリマー材料」は、「吸水性樹脂粒子(P)」に、
「吸収体成分」は、「吸収体」に、
「セルロース繊維及び/又は合成繊維及び/又は発泡材料及び/又は多孔性の、特に熱可塑性のプラスチックマトリックス」を「有する」「キャリア材料」は、「液拡散部材(B)」に、
「アミノ酸を有」する「スキンケア剤」は、「細胞賦活成分(D)」に、それぞれ相当する。
また、甲1発明の「ポリアクリル酸ポリマー」は、本件発明1の「水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)」に相当する。
そして、甲1発明の「粒子状の高吸収性ポリマー材料」が「外部表面を備えたコアを有し」ていて、「コア」をなす「「粒子状の高吸収性ポリマー材料」は、必須の構成単位となることから、甲1発明の「コアは、部分的に中和されたポリアクリル酸ポリマーが挙げられ、この表面は、ゲル安定性を高めるために後架橋され」た態様と、本件発明1の「水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)並びに架橋剤(b)を必須構成単位とする架橋重合体(A)を有する」態様とは、「水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)を必須構成単位とする架橋重合体(A)を有する」態様の限りで一致する。
さらに、甲1発明の「粒子状の高吸収性ポリマー材料」が「外部表面を備えたコアを有し、かつ前記コアの外部表面の少なくとも一部は被覆剤を有して」いることは、本件発明1の「前記吸水性樹脂粒子(P)は、前記架橋重合体(A)の重量に基づいて、0.01重量%〜3.0重量%の無機質粉末によってその表面をコーティングされていること」と、「前記吸水性樹脂粒子(P)は、その表面をコーティングされていること」の限りで一致する。
甲1発明の「高吸収性ポリマー材料の被覆剤はスキンケア剤を有し」ていることと、本件発明1の「細胞賦活成分(D)を含有してなる吸収体」とは、「細胞賦活成分(D)を備える、吸収体」の限りで一致する。
(イ) そうすると、本件発明1と甲1発明とは、以下の一致点、相違点を有している。
<<一致点>>
「水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)を必須構成単位とする架橋重合体(A)を有する吸水性樹脂粒子(P)、液拡散部材(B)を含有してなる吸収体を備える吸収性物品であって、
前記吸水性樹脂粒子(P)は、その表面をコーティングされ、
細胞賦活成分(D)を備える、
吸収性物品。」
<<相違点1>>
吸水性樹脂粒子(P)は、その表面をコーティングされていることについて、本件発明1は、「前記架橋重合体(A)の重量に基づいて、0.01重量%〜3.0重量%の無機質粉末によってその表面をコーティングされている」のに対して、甲1発明は、「外部表面の少なくとも一部は被覆剤を有しており、前記被覆剤は高吸収性ポリマー材料のコアの吸収率を低下させるのに適しており、かつ前記高吸収性ポリマー材料の被覆剤はスキンケア剤を有し」たものとされている点。
<<相違点2>>
架橋重合体(A)について、本件発明1は、「架橋剤(b)を必須構成単位とする」のに対して、甲1発明は、「後架橋され」たものである点。
<<相違点3>>
細胞賦活成分(D)を備えることについて、本件発明1は、「吸収体」が、「細胞賦活成分(D)を含有してなる」のに対して、甲1発明は、「被覆剤」が「スキンケア剤を有し」ている点。
(ウ) 相違点1について検討する。
甲1発明の被覆剤は、「高吸収性ポリマー材料のコアの吸収率を低下させるのに適しており、かつ前記高吸収性ポリマー材料の被覆剤はスキンケア剤を有」するものである。
そして、甲1発明の当該被覆剤は、「本発明による吸収体成分が濡れた後に、体液はまず最初に、高吸収性ポリマー材料のスキンケア剤を含有する被覆に作用する。この場合、スキンケア剤が放出されるか、又はその他の方法、例えば被覆剤が溶解することにより活性化され、及び/又は膨潤し、高吸収性ポリマーのコアが初めて時間的に遅れて露出する、つまり、時間的に遅れて体液の作用にさらされる。」(【0017】)という作用機序を果たすものである。
さらに、甲1発明の被覆剤は、「スキンケア剤を有する被覆剤として、高吸収性ポリマー材料の吸収率を低下させるのに適した全ての物質、特に水性の液体中で可溶性か又は膨潤可能な物質、例えば天然又は合成製品のセルロース又はリグノセルロース、セルロース誘導体、例えばメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、酢酸セルロースを挙げることができる。」(【0028】)とされ、セルロースが想定されている。
他方、甲2には、「ヒドロゲル形成吸収性重合体は、少量の1種以上の添加剤、例えば粉末状シリカ、界面活性剤、接着剤、結合剤、等、との混合物を含んでなることもできる」(19頁)、甲3には、「ヒドロゲルを形成する吸収性重合体は、少量の1種以上の添加剤、例えば粉末シリカ、界面活性剤、接着剤、結合剤、等、との混合物でもよい」(22頁)と記載され、粉末状のシリカの使用が記載されるものの、当該粉末状のシリカは、ヒドロゲル形成吸収性重合体に混合されるもので、コーティングされるものではなく、また、粉末状シリカを用いることの作用は、「この混合物中の各成分は、ヒドロゲル形成吸収性重合体成分とヒドロゲル形成吸収性重合体ではない添加剤が物理的に容易に分離できない様に、物理的および/または化学的に一つの形態に会合していることができる」(甲2の19頁)、「この混合物における成分は、ヒドロゲルを形成する吸収性重合体成分およびヒドロゲルを形成する吸収性重合体ではない添加剤を物理的に容易に分離できない様に、一つの形態に物理的および/または化学的に会合していることができる。」(甲3の22頁)というものであり、甲1発明の被覆材とは、果たす作用機序が異なるものである。
また、甲4には、「コーティング材料の第1の層は、超吸収性材料と密接に結合し、それを覆っている。第1の層のコーティング材料は、粒子形であり、複合液体の少なくとも1つの特定の成分の量の少なくとも一部を選択的に除去することができることが望ましい。」(【0020】)と記載され、「コーティング材料の具体的な例には、親水性材料の粒子が含まれる。コーティング材料として使用するのに適する親水性材料の例には、木材パルプ及び粉末セルロースのような木材パルプで製造した製品、及び綿、亜麻、ジュート、マニラアサ、イクストル等の非木材セルロース材料及び綿リンター及びフロックといった非木材セルロースで製造した製品のような天然及び合成のセルロース材料、レーヨン、キュプラ、リヨセル等の再生セルロース、及びヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース、酢酸セルロース等のようなセルロース誘導体が含まれるが、これに限定されない。特に望ましいコーティング材料は、微結晶性セルロース粉末である。」(【0023】)とされている。なお、この記載に続いて、コーティング材料として「沈降シリカ、ヒュームドシリカ、二酸化ケイ素、ゼオライト、クレー、バーミキュライト、パーライト等のような天然及び合成ケイ酸塩もコーティング材料として用いるのに適する」(【0023】)と記載されるものの、当該記載は、補足的な記載であり、上述のとおり、甲4のコーティング材料が、複合液体の少なくとも1つの特定の成分の量の少なくとも一部を選択的に除去するもので、甲1発明のスキンケア剤を有した被覆剤とは、その作用機序が異なるものである。
加えて、甲5には、「粉末4(有機および無機コーティング剤)50gの粉末2を1gのカルボキシメチルセルロースナトリウム粉末および0.1gのデグッサ(Degussa AG)製エアロジル(Aerosil)(商標)200と一緒に回転翼を装備したミキサー内で混合して混合物を形成した。」(【0123】)と記載されるものの、粉末4がコーティング剤としてどのような作用機序を有するものであるのか記載はなく、また、粉末4を用いた具体的なものも記載されていない。
また、甲7には、「ヒドロゲル形成吸収性重合体は、少量の1種以上の添加剤、例えば粉末状シリカ、界面活性剤、接着剤、結合剤、等、との混合物を含んでなることもできる。」(【0050】)、甲8には、「ヒドロゲル形成吸収性重合体は、少量の1種以上の添加剤、例えば粉末シリカ、界面活性剤、接着剤、結合剤、等、との混合物でもよい。」(【0091】)と記載されているが、いずれも、ヒドロゲル形成吸収性重合体が、粉末状シリカを混合物として含むものであり、コーティングされるものではなく、また、粉末状シリカを用いることの作用機序は、甲3、甲4と同様に、甲1発明の被覆材とは、果たす作用機序が異なるものである。
また、甲9は、特許権者による意見書である。
以上を総合すると、甲1発明の被覆剤の有する作用機序について、何ら示唆するところがない、甲2〜5の記載事項を、甲7〜9を参照しても、粉末状シリカを表面のコーティングとして適用する動機付け見いだすことができない。
そして、本件発明1は、「前記吸水性樹脂粒子(P)は、前記架橋重合体(A)の重量に基づいて、0.01重量%〜3.0重量%の無機質粉末によってその表面をコーティングされていること」との構成を有することにより、「吸収性物品の耐カブレ性がさらに良好となる。」(【0078】)との効果を有するものである。
以上のことより、本件発明1は、相違点2、3を検討するまでもなく、甲7〜甲9を参照して、甲1発明と、甲2〜甲5のうちの何れかとの組み合わせから容易に発明をすることができたものでないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではない。
イ 本件発明2〜4について
本件発明2〜4は、本件発明1を引用するものであって、本件発明1の発明特定事項の全てを含むものである。
そして、上記アで述べたとおり、本件発明1が、相違点2、3を検討するまでもなく、甲7〜甲9を参照して、甲1発明と、甲2〜甲5のうちの何れかとの組み合わせから容易に発明をすることができたものでないから、本件発明2〜4も、甲7〜甲9を参照して、甲1発明と、甲2〜甲5のうちの何れかとの組み合わせから容易に発明をすることができたものでないことは明らかである。
ウ 本件発明5について
(ア) 本件発明5と甲1製造方法発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比し、上記アの対比事項を参酌すると、少なくとも、両者は、以下の相違点4を有する。
<<相違点4>>
吸水性樹脂粒子(P)は、その表面をコーティングされていることについて、本件発明5は、「前記吸水性樹脂粒子(P)は、前記架橋重合体(A)の重量に基づいて、0.01重量%〜3.0重量%の無機質粉末によってその表面をコーティングされて」いるのに対して、甲1製造方法発明は、「外部表面の少なくとも一部は被覆剤を有しており、前記被覆剤は高吸収性ポリマー材料のコアの吸収率を低下させるのに適しており、かつ前記高吸収性ポリマー材料の被覆剤はスキンケア剤を有し」ており、「前記被覆剤をなす被覆材料は、特に粉末の形で、同様に粉末の形で存在する高吸収性ポリマー材料のコアと、まず最初に乾燥した状態で混合し、引き続き水で湿らせ、次にもう一度混合する」ものとされている点。
(イ) 相違点4について検討する。
相違点4のうち、「外部表面の少なくとも一部は被覆剤を有しており、前記被覆剤は高吸収性ポリマー材料のコアの吸収率を低下させるのに適しており、かつ前記高吸収性ポリマー材料の被覆剤はスキンケア剤を有し」ていることについては、上記相違点1と同様であり、上記相違点1について検討したのと同様に、甲7〜甲9を参照して、甲1製造方法発明と、甲2〜甲5のうちの何れかとの組み合わせから容易に発明をすることができたものでないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではない。
(3)甲6を主引用例として
ア 本件発明1について
(ア) 本件発明1と甲6発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。
甲6発明の「使い捨て吸収性物品10」は、本件発明1の「吸収性物品」に相当する。
以下同様に、「吸収性コア14」は、「吸収体」に、
「吸収体成分」は、「吸収体」に、
「綿毛状パルプの繊維22」は、「液拡散部材(B)」に、それぞれ相当する。
甲6発明の「脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪アルコール、トリグリセリド、リン脂質、鉱物油、精油、ステロール、ステロールエステル、皮膚軟化剤、ロウ、湿潤剤、界面活性剤、及びそれらの組合せから選択される」「親油性皮膚健康維持剤」は、本件発明1の「細胞賦活成分(D)」に、相当する。
甲6発明の「シリカ、二酸化チタン、ヒドロキシアパタイト、アルミナ」からなる「微粒子隔離剤」及び「非改質の微粒子状皮膚刺激性物質隔離剤」は、本件発明1の「無機質粉末」に相当する。そうすると、甲6発明の「前記使い捨て吸収性物品10上に、非改質の微粒子状皮膚刺激性物質隔離剤及び親油性皮膚健康維持剤を、皮膚刺激性物質を隔離する有効量有し」ていることと、本件発明1の「前記吸水性樹脂粒子(P)は、前記架橋重合体(A)の重量に基づいて、0.01重量%〜3.0重量%の無機質粉末によってその表面をコーティングされていることを特徴とする、吸収性物品」とは、「無機質粉末を有する、吸収性物品」との限りで一致する。
また、甲6発明の「十分に架橋したヒドロゲルポリマーで、実質的に水に不溶性の材料とされ」た「高吸収性材料24」と、本件発明1の「水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)並びに架橋剤(b)を必須構成単位とする架橋重合体(A)を有する吸水性樹脂粒子(P)」とは、「吸水性樹脂」の限りで一致する。
(イ) そうすると、本件発明1と甲6発明とは、以下の一致点、相違点を有している。
<<一致点>>
「吸水性樹脂、液拡散部材(B)並びに細胞賦活成分(D)を含有してなる吸収体を備える吸収性物品であって、
無機質粉末を有する吸収性物品。」
<<相違点5>>
吸水性樹脂について、本件発明1は、「水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)並びに架橋剤(b)を必須構成単位とする架橋重合体(A)を有する吸水性樹脂粒子(P)」であるのに対して、甲6発明は、「十分に架橋したヒドロゲルポリマーで、実質的に水に不溶性の材料とされ」た「高吸収性材料24」である点。
<<相違点6>>
無機微粉末について、本件発明1は、「記吸水性樹脂粒子(P)は、前記架橋重合体(A)の重量に基づいて、0.01重量%〜3.0重量%の無機質粉末によってその表面をコーティングされている」態様であるのに対して、甲6発明は、無機微粉末が「シリカ、二酸化チタン、ヒドロキシアパタイト、アルミナ、イオン交換樹脂、又はそれらの組合せであり」、無機微粉末は、「前記使い捨て吸収性物品10上に、」「有し」ている点。
(ウ) 相違点6について検討する。
甲6発明の「シリカ、二酸化チタン、ヒドロキシアパタイト、アルミナ、イオン交換樹脂、又はそれらの組合せであ」る無機微粉末は、高吸収性材料24をコーティングするものではなく、使い捨て吸収性物品10上に有されるものであり、甲6には、「シリカ、二酸化チタン、ヒドロキシアパタイト、アルミナ、イオン交換樹脂、又はそれらの組合せであ」る無機微粉末により、高吸収性材料24をコーティングすることについて、記載や示唆はない。
また、甲5には、「粉末4(有機および無機コーティング剤)50gの粉末2を1gのカルボキシメチルセルロースナトリウム粉末および0.1gのデグッサ(Degussa AG)製エアロジル(Aerosil)(商標)200と一緒に回転翼を装備したミキサー内で混合して混合物を形成した。」(【0123】)と記載されるものの、粉末4がコーティング剤としてどのような作用機序を有するものであるのか記載はなく、また、粉末4を用いた具体的なものも記載されていない。
そうすると、甲6発明において、甲5に記載された粉末4(有機および無機コーティング剤)に着目して、高吸収性材料24をコーティングする動機付けはないといえる。
そして、本件発明1は、「前記吸水性樹脂粒子(P)は、前記架橋重合体(A)の重量に基づいて、0.01重量%〜3.0重量%の無機質粉末によってその表面をコーティングされていること」との構成を有することにより、「吸収性物品の耐カブレ性がさらに良好となる。」(【0078】)との効果を有するものである。
以上のことより、本件発明1は、相違点5を検討するまでもなく、甲6発明と、甲5との組み合わせから容易に発明をすることができたものでないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではない。
イ 本件発明2〜4について
本件発明2〜4は、本件発明1を引用するものであって、本件発明1の発明特定事項の全てを含むものである。
そして、上記アで述べたとおり、本件発明1が、相違点5を検討するまでもなく、甲6発明と、甲5との組み合わせから容易に発明をすることができたものでないから、本件発明2〜4も甲6発明と、甲5との組み合わせから容易に発明をすることができたものでないことは明らかである。
ウ 本件発明5について
(ア) 本件発明5と甲6製造方法発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比し、上記アの対比事項を参酌すると、少なくとも、両者は、以下の相違点7を有する。
<<相違点7>>
無機微粉末について、本件発明5は、「記吸水性樹脂粒子(P)は、前記架橋重合体(A)の重量に基づいて、0.01重量%〜3.0重量%の無機質粉末によってその表面をコーティングされている」態様であるのに対して、甲6製造方法発明は、無機微粉末が「シリカ、二酸化チタン、ヒドロキシアパタイト、アルミナ、イオン交換樹脂、又はそれらの組合せであり」、無機微粉末は、「前記使い捨て吸収性物品10上に、」「有し」ている点。
(イ) 相違点7について検討する。
相違点7は、上記相違点6と同様であり、上記相違点6について検討したのと同様に、甲6製造方法発明と、甲5との組み合わせから容易に発明をすることができたものでないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではない。
(4) 甲10を主引用例として
ア 本件発明1について
(ア) 本件発明1と甲10発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。
甲10発明の「絆創膏」は、本件発明1の「吸収性物品」に相当する。
甲10発明の「キセロゲル層」は、本件発明1の「吸収体」に相当する。
甲10発明の「亜鉛」と、本件発明1の「無機質粉末」とは、「無機質」との限りで一致する。
甲10発明の「コラーゲン」は、本件発明1の「細胞賦活成分(D)」に相当する。
甲10発明の「吸水性ポリマー」と、本件発明1の「水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)並びに架橋剤(b)を必須構成単位とする架橋重合体(A)を有する吸水性樹脂粒子(P)」とは、「吸水性樹脂」との限りで一致する。
甲10発明の「上記キセロゲル層が、ゲル化剤、エラスチン及び亜鉛を含有し」ていることと、本件発明1の「吸収体」が「液拡散部材(B)並びに細胞賦活成分(D)を含有してなる」こととは、「吸収体」が「細胞賦活成分(D)を含有してなる」ことの限りで一致する。
また、甲10発明の「キセロゲル層が」「亜鉛を含有」することと、本件発明1の「前記吸水性樹脂粒子(P)は、前記架橋重合体(A)の重量に基づいて、0.01重量%〜3.0重量%の無機質粉末によってその表面をコーティングされていることを特徴とする、吸収性物品。」とは、「無機質を含有する、吸収性物品」の限りで一致する。
(イ) そうすると、本件発明1と甲10発明とは、以下の一致点、相違点を有している。
<<一致点>>
「吸水性樹脂、並びに細胞賦活成分(D)を含有してなる吸収体を備える吸収性物品であって、
無機質を含有する、吸収性物品。」
<<相違点8>>
吸水性樹脂について、本件発明1は、「水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)並びに架橋剤(b)を必須構成単位とする架橋重合体(A)を有する吸水性樹脂粒子(P)」であって、「前記吸水性樹脂粒子(P)は、前記架橋重合体(A)の重量に基づいて、0.01重量%〜3.0重量%の無機質粉末によってその表面をコーティングされている」のに対して、甲10発明は、「吸水性ポリマー」であって、その表面の態様については特定されていない点。
<<相違点9>>
無機質について、本件発明1は、「無機質粉末」であるのに対して、甲10発明は、「亜鉛」である点。
(ウ) 相違点8について検討する。
甲10には、「吸水性ポリマー」について、具体的な事項を特定する記載はなく、他方、甲1〜甲5には、絆創膏について記載するところはなく、甲10発明の吸水性ポリマーにおいて、「水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)並びに架橋剤(b)を必須構成単位とする架橋重合体(A)を有する吸水性樹脂粒子(P)」を採用し、さらに、「前記吸水性樹脂粒子(P)は、前記架橋重合体(A)の重量に基づいて、0.01重量%〜3.0重量%の無機質粉末によってその表面をコーティング」する動機付けはないといえる。
そして、本件発明1は、「前記吸水性樹脂粒子(P)は、前記架橋重合体(A)の重量に基づいて、0.01重量%〜3.0重量%の無機質粉末によってその表面をコーティングされていること」との構成を有することにより、「吸収性物品の耐カブレ性がさらに良好となる。」(【0078】)との効果を有するものである。
以上のことより、本件発明1は、相違点9を検討するまでもなく、甲10発明と、甲1〜5との組み合わせから容易に発明をすることができたものでないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではない。
イ 本件発明2〜4について
本件発明2〜4は、本件発明1を引用するものであって、本件発明1の発明特定事項の全て含むものである。
そして、上記アで述べたとおり、本件発明1が、相違点9を検討するまでもなく、甲10発明と、甲1〜5との組み合わせから容易に発明をすることができたものでないから、本件発明2〜4も、甲10発明と、甲1〜5との組み合わせから容易に発明をすることができたものでないことは明らかである。
ウ 本件発明5について
(ア) 本件発明5と甲10製造方法発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比し、上記アの対比事項を参酌すると、少なくとも、両者は、以下の相違点10を有する。
<<相違点10>>
吸水性樹脂について、本件発明5は、「水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)並びに架橋剤(b)を必須構成単位とする架橋重合体(A)を有する吸水性樹脂粒子(P)」であって、「前記吸水性樹脂粒子(P)は、前記架橋重合体(A)の重量に基づいて、0.01重量%〜3.0重量%の無機質粉末によってその表面をコーティングされている」のに対して、甲10製造方法発明は、「吸水性ポリマー」であって、その表面の態様については特定されていない点
(イ) 相違点10について検討する。
相違点10は、上記相違点8と同様であり、上記相違点8について検討したのと同様に、甲10製造方法発明と、甲1〜5との組み合わせから容易に発明をすることができたものでないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではない。

実施可能要件に係る申立理由2について
(1) 明細書の発明の詳細な説明の記載は、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであることを要するものである(特許法第36条第4項第1号)。本件発明は、「吸収性物品」という物の発明、及び「吸収性物品の製造方法」という、物を生産する方法の発明であるところ、物の発明における発明の「実施」とは、その物の生産、使用等をする行為をいうから(特許法第2条第3項第1号)、物の発明について実施をすることができるとは、その物を生産することができ、かつ、その物を使用することができることであると解され、物を生産する方法の発明の「実施」とは、その方法の使用をする行為、その方法により生産した物の使用する行為をいうから(特許法第2条第3項第2号、3号)、物の製造方法の発明について実施をすることができるとは、その方法を使用することができ、かつ、その方法により生産した物を使用することできることであると解される。
したがって、当業者が、本件明細書の発明の詳細な説明の記載及び出願当時の技術常識に基づいて、本件発明1〜4に係る「吸収性物品」を生産し、使用することができ、本件発明5の「吸収性物品の製造方法」を使用し、その方法により生産した物を使用することができるのであれば、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たすものといえる。
(2) 本件発明1〜5について、水溶性ビニルモノマー(a1)については、「本発明における水溶性ビニルモノマー(a1)としては特に限定はなく、公知のモノマー、例えば、特許第3648553号公報の0007〜0023段落に開示されている少なくとも1個の水溶性置換基とエチレン性不飽和基とを有するビニルモノマー(例えばアニオン性ビニルモノマー、非イオン性ビニルモノマー及びカチオン性ビニルモノマー)、特開2003−165883号公報の0009〜0024段落に開示されているアニオン性ビニルモノマー、非イオン性ビニルモノマー及びカチオン性ビニルモノマー並びに特開2005−75982号公報の0041〜0051段落に開示されているカルボキシ基、スルホ基、ホスホノ基、水酸基、カルバモイル基、アミノ基及びアンモニオ基からなる群から選ばれる少なくとも1種を有するビニルモノマーが使用できる。」(【0010】)、加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)については、「加水分解性ビニルモノマー(a2)は特に限定はなく、公知{例えば、特許第3648553号公報の0024〜0025段落に開示されている加水分解により水溶性置換基となる加水分解性置換基を少なくとも1個有するビニルモノマー、特開2005−75982号公報の0052〜0055段落に開示されている少なくとも1個の加水分解性置換基[1,3−オキソ−2−オキサプロピレン(−CO−O−CO−)基、アシル基及びシアノ基等]を有するビニルモノマー}のビニルモノマー等が使用できる。なお、水溶性ビニルモノマーとは、当業者に周知の概念であるが、数量を用いて表すなら、例えば、25℃の水100gに少なくとも100g溶解するビニルモノマーを意味する。また、加水分解性ビニルモノマー(a2)における加水分解性とは、当業者に周知の概念であるが、より具体的に表すなら、例えば、水及び必要により触媒(酸又は塩基等)の作用により加水分解され、水溶性になる性質を意味する。加水分解性ビニルモノマー(a2)の加水分解は、重合中、重合後及びこれらの両方のいずれを行っても良いが、得られる吸水性樹脂粒子の吸収性能の観点から、重合後が好ましい。」(【0011】)、「これらのうち、吸収性能等の観点から好ましいのは水溶性ビニルモノマー(a1)、より好ましいのは上述のアニオン性ビニルモノマー、カルボキシ(塩)基、スルホ(塩)基、アミノ基、カルバモイル基、アンモニウム基又はモノ−、ジ−若しくはトリ−アルキルアンモニウム基を有するビニルモノマー、さらに好ましいのはカルボキシ(塩)基又はカルバモイル基を有するビニルモノマー、特に好ましいのは(メタ)アクリル酸(塩)及び(メタ)アクリルアミド、とりわけ好ましいのは(メタ)アクリル酸(塩)、最も好ましいのはアクリル酸(塩)である。」(【0012】)と記載されている。
そして、架橋剤(b)については、「架橋剤(b)としては特に限定はなく公知(例えば、特許第3648553号公報の0031〜0034段落に開示されているエチレン性不飽和基を2個以上有する架橋剤、水溶性置換基と反応し得る官能基を少なくとも1個有してかつ少なくとも1個のエチレン性不飽和基を有する架橋剤及び水溶性置換基と反応し得る官能基を少なくとも2個有する架橋剤、特開2003−165883号公報の0028〜0031段落に開示されているエチレン性不飽和基を2個以上有する架橋剤、エチレン性不飽和基と反応性官能基とを有する架橋剤及び反応性置換基を2個以上有する架橋剤、特開2005−75982号公報の0059段落に開示されている架橋性ビニルモノマー並びに特開2005−95759号公報の0015〜0016段落に開示されている架橋性ビニルモノマー)の架橋剤等が使用できる。これらのうち、吸収性能等の観点から、エチレン性不飽和基を2個以上有する架橋剤が好ましく、さらに好ましいのはトリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート及び炭素数2〜40のポリオールのポリ(メタ)アリルエーテル、特に好ましいのはトリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、テトラアリロキシエタン、ポリエチレングリコールジアリルエーテル及びペンタエリスリトールトリアリルエーテル、最も好ましいのはペンタエリスリトールトリアリルエーテルである。架橋剤(b)は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。」(【0018】)、「架橋剤(b)単位の含有量(モル%)は、水溶性ビニルモノマー(a1)単位及び加水分解性ビニルモノマー(a2)単位の、その他のビニルモノマー(a3)も使用する場合は(a1)〜(a3)の、合計モル数に基づいて、0.001〜5が好ましく、さらに好ましくは0.005〜3、特に好ましくは0.01〜1である。この範囲であると、吸収性能がさらに良好となる。」(【0019】)と記載されている。
また、液拡散部材(B)については、「細胞賦活成分(D)としては、アミノ酸(D1)、ペプチド(D2)及びタンパク質(D3)が挙げられる。」(【0066】)、
「アミノ酸(D1)としてはヒスチジン、グルタミン酸、アスパラギン酸、トレオニン、アルギニン、アルギニン酸、アラニン、アラントイン、プロリン、ヒドロキシプロリン、チロシン、セリン、タウリン、グリシン、フェニルアラニン、イソロイシン、ロイシン及びバリンが挙げられる。そのうち、細胞遊走性の観点からグルタミン酸、アスパラギン酸、トレオニン、アルギニン、アルギニン酸、アラニン、アラントイン、プロリン及びヒドロキシプロリンが好ましい。」(【0067】)、
「ペプチド(D2)としてはカルノシン、グルタミルリシン、アラニルグルタミン、アセチルグルタミニルヘプタペプチド、アセチルデカペプチドなどの人工ペプチド、EGF、FGF、IGF等の細胞増殖因子、大豆ペプチド、シルクペプチド及びコラーゲンペプチド等の天然物を分解物が挙げられる。そのうち、細胞賦活の観点からカルノシン、グルタミルリシン、アラニルグルタミン及びEGFが好ましい。」(【0068】)、
「タンパク質(D3)としてはエラスチン、コラーゲン、セラミド、シルクフィブロイン及びシルクエラスチンが挙げられる。そのうち、細胞遊走性の観点からエラスチン、コラーゲン及びシルクエラスチンが好ましい。」(【0069】)、
「アミノ酸、ペプチド及びタンパク質を無機酸もしくは有機酸又はアルカリで中和した塩も含まれる。」(【0070】)、
「吸水性樹脂粒子(P)中の細胞賦活成分(D)の含有量は、吸水性樹脂粒子の用途に応じて調整することができるが、架橋重合体(A)と細胞賦活成分(D)との合計重量に基づいて、0.0001〜10重量%であることが好ましく、より好ましくは0.0001〜1.0重量%、さらに好ましくは0.001〜1.0重量%である。この範囲にあると吸水性樹脂粒子の通液性が良好となりさらに好ましい。」(【0071】)と記載されている。
また、無機質粉末について、「吸水性樹脂粒子(P)はさらに表面に無機質粉末をコーティングすることもできる。このましい無機質粉末としては、ガラス、シリカゲル、シリカゾル、シリカ、クレー、炭素繊維、カオリン、タルク、マイカ、ベントナイト、セリサイト、アスベスト及びシラス等)が挙げられる。無機質粉末のうち、好ましいのはシリカゾル、シリカ及びタルクである。」(【0076】)、
「無機質粉末の形状としては、不定形(破砕状)、真球状、フィルム状、棒状及び繊維状等のいずれでもよいが、不定形(破砕状)又は真球状が好ましく、さらに好ましくは真球状である。」(【0077】)、
「無機質粉末の含有量(重量%)は、架橋重合体(A)の重量に基づいて、0.01〜3.0が好ましく、さらに好ましくは0.05〜1.0、次に好ましくは0.07〜0.8、特に好ましくは0.10〜0.6、最も好ましくは0.15〜0.5である。この範囲であると、吸収性物品の耐カブレ性がさらに良好となる。」(【0078】)と記載されている。
さらに、架橋重合体粒子の製造例は、【0106】〜【0121】に記載され、架橋重合体粒子を用いた吸収性物品の製造についても、【0132】〜【0151】に記載され、吸収性物品評価も【0154】〜【0157】において、行っている。
そうすると、これらの記載を参酌すると、本件発明1〜4の物の発明については、「吸収性物品」を生産することができるし、また、【0154】〜【0156】に記載された吸収性物品の評価を踏まえると、生産した「吸収性物品」を使用することができる。
さらに、上記各開示された製造方法に従えば、本件発明5の「吸収性物品の製造方法」を使用し、その方法により生産した物を使用することができるといえる。
(3) 申立人は、上記第3の「2 理由2」の(1)〜(3)で「細胞賦活成分(D)」について、「細胞賦活成分(D)」に該当する物質の範囲が明確でない、「皮膚健康維持剤」に該当する物質の範囲とが、同一であるかどうか等の関係性が不明である、と主張しているが、上記(1)で述べたとおりであって、当該主張は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たさないこととは関係がない。
したがって、申立人の主張は、採用できない。
(4) 以上のとおり、本件明細書は、当業者が、本件発明1〜5を実施できる程度に明確かつ十分に記載したものといえ、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしている。

3 サポート要件に係る申立理由3について
(1) 特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定される要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。
(2) そこで、本件明細書の発明の詳細な説明を参照すると、以下の記載がある。
ア 発明が解決しようとする課題
「【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、液吸収後に肌の表面状態を維持し、皮膚のかぶれを抑制する吸収性物品を提供することである。」
イ 【発明の効果】
「【0007】
本発明の吸収性物品は、上述の構成、なかでも、吸収体において、細胞賦活成分(D)を必須構成成分として用いることにより、細胞賦活成分がかぶれた肌の再生を促し、肌の表面状態を維持し、皮膚のかぶれ等を抑制することができる。」
ウ 【発明を実施するための形態】
「【0008】
本発明の吸収性物品は、水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)(以下、加水分解性ビニルモノマー(a2)ともいう。)並びに架橋剤(b)を必須構成単位とする架橋重合体(A)を有する吸水性樹脂粒子(P)及び液拡散部材(B)を含有する吸収体を備えるものであって、前記吸収体は、さらに細胞賦活成分(D)を含有してなる。
本発明の吸収性物品において、上述のように、吸水性樹脂粒子(P)と液拡散部材(B)を含有してなる構成物を吸収体という。
本発明において、吸収体は水性液体の吸収を行う部分であり、水性液体としては、尿、汗及び血液等の体液等が挙げられる。」
エ 上記摘記した【0076】〜【0078】及び上記イの記載から、水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)並びに架橋剤(b)を必須構成単位とする架橋重合体(A)を有する吸水性樹脂粒子(P)及び液拡散部材(B)を含有する吸収体であって、かぶれた肌の再生を促し、肌の表面状態を維持し、皮膚のかぶれ等を抑制する細胞賦活成分(D)を含有し、さらに、吸水性樹脂粒子(P)は、架橋重合体(A)の重量に基づいて、0.01重量%〜3.0重量%の無機質粉末によってその表面をコーティングされているものは、吸収性物品の耐カブレ性がさらに良好となることが理解できる。
オ そうすると、本件発明は、発明の詳細な説明の上記記載により当業者が本件発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるといえるから、特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定される要件に適合するものといえる。
カ 申立人は、「細胞賦活成分(D)」として、本件の実施例にて使用した物質以外にどのような物質を使用した場合に、本件発明の課題を解決できるのかを、本件明細書の記載からは、当業者であっても理解できないと主張するが、かぶれた肌の再生を促し、肌の表面状態を維持し、皮膚のかぶれ等を抑制する細胞賦活成分(D)であって、上記【0066】〜【0070】に例示されたものから選択すればよいものと理解できる。
したがって、申立人の主張は採用できない。
(3) 以上のとおりであるから、本件発明1〜5は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしている。

明確性に係る申立理由4について
(1) 本件発明1〜5について
ア 請求項1〜5の「細胞賦活成分(D)」は、かぶれた肌の再生を促し、肌の表面状態を維持し、皮膚のかぶれ等を抑制する細胞賦活成分(D)(【0007】)であって、上記【0066】〜【0070】に例示されたものから選択すればよいものと理解できる。
そうすると、「水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)並びに架橋剤(b)を必須構成単位とする架橋重合体(A)を有する吸水性樹脂粒子(P)、液拡散部材(B)並びに細胞賦活成分(D)を含有してなる吸収体を備える吸収性物品であって、
前記吸水性樹脂粒子(P)は、前記架橋重合体(A)の重量に基づいて、0.01重量%〜3.0重量%の無機質粉末によってその表面をコーティングされていることを特徴とする、吸収性物品。」との構成をそなえることを前提に、「細胞賦活成分(D)」を上述のとおり選択すればよいことについて、当業者は理解できる。
よって、本件発明1〜5は明確である。
イ 以上のとおりであるから、本件発明1〜5は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしている。

第5 むすび
以上のとおり、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件発明1〜5に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1〜5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2022-08-31 
出願番号 P2018-106479
審決分類 P 1 651・ 536- Y (A61F)
P 1 651・ 537- Y (A61F)
P 1 651・ 121- Y (A61F)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 藤原 直欣
特許庁審判官 山崎 勝司
稲葉 大紀
登録日 2021-09-30 
登録番号 6952648
権利者 ユニ・チャーム株式会社
発明の名称 吸収性物品  
代理人 藤本 健治  
代理人 青木 篤  
代理人 上野 美紀  
代理人 三橋 真二  
代理人 小野田 浩之  
代理人 奥野 剛規  
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