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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  F24F
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  F24F
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  F24F
管理番号 1388428
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2022-09-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2022-05-19 
確定日 2022-09-05 
異議申立件数
事件の表示 特許第6970930号発明「空気調和機」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6970930号の請求項1ないし6に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6970930号の請求項1ないし6に係る特許についての出願は、令和2年10月5日に出願され、令和3年11月4日にその特許権の設定登録がされ、令和3年11月24日に特許掲載公報が発行され、その後、その特許に対し、令和4年5月19日に特許異議申立人 吉田真理奈(以下、「特許異議申立人」という。)により特許異議の申立てがされたものである。

第2 本件特許発明
本件特許の請求項1ないし6に係る発明(以下、それぞれを「本件特許発明1」ないし「本件特許発明6」という。)は、次のとおりのものである。

「【請求項1】
室内機と室外機とを備える空気調和機であって、
前記室外機に設けられ、室外空気の水分を吸収する吸収材と、
前記吸収材を通過し、室外と前記室内機内とを接続し、前記室内機に送られる室外空気が流れる第1の流路と、
前記吸収材を通過し、室外と室外とを接続し、前記室内機に送られない室外空気が流れる第2の流路と、
前記第1の流路に前記室内機に向かう室外空気の流れを発生させる第1のファンと、
前記第2の流路に室外に向かう室外空気の流れを発生させる第2のファンと、
前記第1の流路における前記吸収材に対する上流側で室外空気を加熱するヒータと、を有し、
前記ヒータが室外空気を加熱し、加熱された室外空気が前記吸収材の水分を奪って前記室内機に向かう加湿運転を実行し、
前記空気調和機の空調運転停止後、前記第2のファンが所定の時間作動し、前記吸収材に前記第2の流路を室外に向かって流れる室外空気の水分を保持させる、空気調和機。
【請求項2】
前記第1の流路内の前記吸収材の部分の体積に比べて、前記第2の流路内の前記吸収材の部分の体積が大きい、請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記吸収材が、高分子収着材である、請求項1または2に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記空気調和機の空調運転開始時間をユーザが設定するためのコントローラを、さらに有し、
前記空調運転開始時間前に、前記第2のファンが作動し始める、請求項1から3のいずれか一項に記載の空気調和機。
【請求項5】
前記ヒータが、PTCヒータである、請求項1から4のいずれか一項に記載の空気調和機。
【請求項6】
前記第1の流路が、室外空気が通過するラビリンスを含んでいる、請求項1から5のいずれか一項に記載の空気調和機。」

第3 特許異議申立ての概要
特許異議申立人は、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第15号証(以下、「甲1」ないし「甲15」という。)を提出し、概略次の申立理由1ないし3を主張している。

<甲号証一覧>
甲1:特開2004−353898号公報
甲2:特開2016−114344号公報
甲3:特開2014−156938号公報
甲4:特開平11−94317号公報
甲5:特開2001−99453号公報
甲6:特開2012−251692号公報
甲7:特開2018−179364号公報
甲8:特開2018−173255号公報
甲9:特開2016−44963号公報
甲10:特開2014−129950号公報
甲11:特開2008−121972号公報
甲12:特開平10−238843号公報
甲13:特開平11−23018号公報
甲14:特開2002−1051号公報
甲15:特開2011−143358号公報

1 申立理由1(特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項
本件特許は、下記の点で特許法第29条第1項第3号または特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから同法第113条第2号に該当する。

・請求項1、6
(1)本件特許発明1、6は、甲1に記載された発明(以下、「甲1発明」という。)であるか、甲1発明から当業者が容易になし得たものである。
(2)本件特許発明1、6は、甲2に記載された発明(以下、「甲2発明」という。)であるか、甲2発明から当業者が容易になし得たものである。
(3)本件特許発明1、6は、甲3に記載された発明(以下、「甲3発明」という。)に、甲1または甲2に記載された事項を適用することにより、当業者が容易になし得たものである。

・請求項2ないし5
(1)甲1(主)
・本件特許発明2ないし5は、甲1発明に周知技術を適用することにより、当業者が容易になし得たものである。
・本件特許発明2、3及び5は、甲1発明に基いて当業者が容易になし得たものである。
(2)甲2(主)
・本件特許発明2ないし5は、甲2発明に周知技術を適用することにより、当業者が容易になし得たものである。
・本件特許発明2、3及び5は、甲2発明に基いて当業者が容易になし得たものである。
(3)甲3(主)
・本件特許発明3ないし5は、甲3発明に、甲1または甲2に記載された事項、及び周知技術を適用することにより当業者が容易になし得たものである。
・本件特許発明2ないし5は、甲3発明に、甲1または甲2に記載された事項を適用することにより当業者が容易になし得たものである。

したがって、本件特許発明1ないし6は、特許法第29条第1項第3号または特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、本件特許発明1ないし6に係る特許は、同法第113条第2号の規定により取り消すべきものである。

2 申立理由2(特許法第36条第6項第1号
(1)請求項1の「空気調和機の空調運転停止後」とは、「空気調和機の空調運転停止から次の空調運転開始までの期間内」という意味に解されるが、本件特許明細書の発明の詳細な説明においては、「空気調和機の空調運転停止から次の空調運転開始までの期間内のいずれかにおいて、」第2のファンを作動させることについての記載がない。
(2)請求項1の「空気調和機の空調運転停止後、前記第2のファンが所定の時間作動し、前記吸収材に前記第2の流路を室外に向かって流れる室外空気の水分を保持させる」に関して、「空調運転停止と同時に加湿運転を停止する場合」と、「空調運転停止後も加湿運転を継続する場合」を少なくとも含んでいると解されるが、本件特許明細書の発明の詳細な説明においては、「空調運転停止後も加湿運転を継続する場合」に第2のファンを作動させることについての記載がない。
(3)請求項4の「前記空調運転の開始前」とは、「空気調和機の空調運転停止から次の空調運転開始までの期間内」という意味に解されるが、本件特許明細書の発明の詳細な説明には、「前回の空気調和機の空調運転停止から空調運転開始までの期間内のいずれかにおいて、」第2のファンを作動させることの記載がない。

したがって、本件特許発明1、4は本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載を超えてされたものであるから、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしておらず、本件特許発明1、4に係る特許は、同法第113条第4号の規定により取り消されるべきものである。

3 申立理由3(特許法第36条第6項第2号
請求項6には、「前記第1の流路が、室外空気が通過するラビリンスを含んでいる」と記載されているが、「ラビリンス」は当該技術分野において慣用されておらず、本件特許明細書及び特許請求の範囲のいずれにも語義が定義されていないから、「ラビリンス」の意味が明確でない。

したがって、本件特許発明6は明確でないから、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしておらず、本件特許発明6に係る特許は、同法第113条第4号の規定により取り消されるべきものである。

第4 甲1ないし甲15について
1 甲1
甲1には、「空気調和機、空気調和機の運転方法」に関して概略以下の記載がある(下線は、当審によるものである。以下同様。)。
(1)甲1の記載
「【0023】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態における、空気調和機の室外加湿ユニットの概略構成図である。加湿ユニット1は室外機8の上に設置されており、室外機連通口9により室外機と連通している。加湿ユニット1内部には、吸着剤を担持され、空気の流れ方向に多数の空気孔を有した基材からなるデシカントローター2と、再生空気を加熱するとともにデシカントローターの再生領域を加熱する加熱ヒーター3、ヒーターを保護するヒーターカバー4、及び室外の空気を室内へ搬送する再生ファン6が設置されており、室外の空気の水分をデシカントローターに吸着させる送風を行う吸着ファンは室外機内部の室外機プロペラファン5と兼用する構成となっている。またデシカントローター2は、それぞれの動作内容により、図2に示すように、吸着領域2a、再生領域2b、第1パージ(熱回収)領域2c、第2パージ領域2dに分割されており、デシカントローター2の回転により、各領域は吸着領域2a、第2パージ領域2d、再生領域2b、第1パージ領域2cの順で移動する。ここで、再生領域2b、第1パージ領域2c、第2パージ領域2dの、デシカントローター2における中心角は等しく、例えば吸着領域2aの中心角が180°であれば、その他の領域は全て60°となる。これにより水分の吸着と再生が無駄なく行うことができる。室外機連通口9は吸着領域2aの直下に配置され、さらにその下方に室外機プロペラファン(吸着ファン)5が存在するという構成になっている。また再生ファン6の出口は室内外接続ダクト7により室内へと連通している。これらの各位置は固定され通風ガイドを兼ねるヒーターカバーなど区分けされた通風カバーにより空気が導かれ、回転するデシカントローターの吸着剤が取り付けられた空気穴を通して、ローターへの水分の吸着やローターからの水分の再生がこの固定位置をローターが回転して通る際に順番に行われる。このデシカントロータは波型に示す上から下へ抜ける空気孔が形成されたハニカム構成品で,この空気穴部分に吸着剤が添着されている。
【0024】
室外機8は冷媒を圧縮する圧縮機、室外機送風ファンにて冷媒の凝縮や蒸発などを行う熱交換器を箱型ケースの中に収納し、室内に配置され室内用熱交換器および室内の空気を循環させる室内機送風機を内蔵する室内機とヒートポンプ回路を構成して配管により冷媒を循環させている。室外機を熱源として、循環する冷媒を熱媒体として、室内機に収納した熱交換器で室内の空気を冷やしたり温めたりして室内機送風機により室内へ吹出して室内の空気を冷却する冷房や室内の空気を暖める暖房を行っている。加湿ユニット1は室外の空気から水分を取り出し、この水分で加湿した空気を室内機へ風路であるダクトを介し渦流ファン6の送風ファンで搬送している。次にこの動作の一例について説明する。室外機送風機であるプロペラファン5によって室外空気が空気取り入れ口から加湿ユニット1内に吸入され、このときデシカントローター2の吸着領域2aにおいて空気中の水分が吸着されて乾燥空気となり、室外機連通口9を通って室外機内部へ導かれ、室外熱交換器(図示せず)を通過した空気と共に室外機前方へ排気される。同時に再生ファン6の送風ファンによって、先述の吸着領域2aを通過して吸着熱により若干温度の上昇した空気の一部が、室外機連通口9を通る前に分岐されて第1パージ領域2cの下方へ導かれる。その後第1パージ領域2cを下から上へ通過する際に加熱ヒーター3の余熱によって温度が上昇し、さらに加熱ヒーター3によって直接加熱された後に、再生領域2bを上から下へ通過する際,吸着領域2aにて吸着された水分を脱着して高温湿潤空気となる。最後に第2パージ領域2dを上から下へ通過し、デシカントローター2と熱交換をして低温となるが、ここでも再生を行って高湿度を保ったまま、再生ファン6、及び室内外接続ダクト7を経て室内へと搬送され室内空気への加湿を行う。
【0025】
このとき、図1のごとく、デシカントロータ2の吸着領域2aと再生領域2bを通過する空気の方向が逆であることにより、吸着領域2aに吸着した水分を無駄なく脱着することができる。上記と同じ構成で、デシカントローター2の回転、及び加熱ヒーター3を停止指せた状態で、再生ファン6によって室外の新鮮な空気が室内へ搬送させることが可能であり、これにより給気換気運転を行うことができる。このとき吸着ファンである室外機プロペラファン5の運転を継続し、吸着領域2aに室外空気を吸着させ続けてもよいが、省エネルギー化を図るため室外機プロペラファン5は室内機や冷凍サイクルの運転動作に無関係な回転は停止するのが望ましい。なお図1には加湿ユニット1が室外機8の上に設置された別の構造として説明されているが、室外機と別体の構造とせず,室外機内部の空間にデシカントローターを設けるものでよく、その場合外部吸気は室外機内の熱交換器と並列な位置で外気を取り入れられる壁面から吸気し吸着領域2aに導く様に通風ガイドを設けることになる。」
「【0031】
しかし給気換気運転では、室外機送風機の運転状況とは関係が無くこのファンが回っていてもいなくとも給気換気運転は可能である。すなわちヒートポンプ回路を停止しエアコンが止まっているときでも再生ファンを動作させ給気換気運転だけを行うことができる。この場合デシカントローターは停止させる。暖房運転中に給気換気運転を行う場合はヒータの加熱を行うと室内機に無駄な運転をさせないことになる。ただし室内の温度が室外からの吸気する空気温度と同じ程度であればヒーターの動作は不要となる。一方室内から排気する排気換気運転は室外ファンは関係ない。また再生ファン6は室内から室外へ送風させる。この時ヒーターの加熱とデシカントローターの運転は停止させる。なおこれらの加湿運転、給気換気運転、排気換気運転の各運転を切り替えたり、各運転を動作スタートさせる場合、先ず再生ファンを回転させ、次にヒーターの加熱を行い、デシカントローターをまわすと良い。再生ファンで空気を流す前にヒーターを加熱させると加湿ユニット内の温度上昇が高くなりすぎる恐れがあるし、吸着ファンをまわしていないでデシカントローターを回転させても加湿に十分な水分の吸着が得られない。」
「【0042】
図5は、本発明の空気調和機の室外加湿ユニットと室内機の概略構成図である。図1で説明した如く加湿ユニット1は室外機8の上に設置されており、室外機連通口9により室外機と連通している。加湿ユニット1内部は前述の説明と同じであり、再生ファン6のみが、室外機には設けられて居らず図5のように室内機15の側面にファンの回転軸が水平方向となるように設置されている。従って加湿ユニット1内部において、デシカントローター2の第2パージ領域2dの出口が室内外接続ダクト7と直接接続され、このダクトの室内側の先端である室内機15側において、再生ファン6の入口が室内外接続ダクト7と接続する構成となっている。また再生ファン6の出口は室内機ラインフローファン16の入口と連通しており、室外加湿ユニット1から搬送されてきた空気は、室内機吹出口17から室内へ供給される構成となっている。その他については、前述のものと同じなので、ここでは説明を省略する。」




(2)(1)から分かること
上記段落【0024】、図1及び図5の記載から、空気調和機には、加湿ユニット1の空気取り入れ口から、デシカントローター2を通過し、室内外接続ダクト7を経て室内機15へと室外空気が搬送される第1の流路と、加湿ユニット1の空気取り入れ口から、デシカントローター2を通過し、室外機連通口9を通って室外機内部へ導かれ、室外熱交換器を通過した空気と共に室外機前方へと室外空気が排気される第2の流路とが設けられることが分かる。

(3)甲1発明
上記(1)及び(2)から、甲1には次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されている。
「室内機15と室外機8とを備える空気調和機であって、
室外機8の上に設置された加湿ユニット1に設けられ、室外空気中の水分を吸着するデシカントローター2と、
加湿ユニット1の空気取り入れ口から、デシカントローター2を通過し、室内外接続ダクト7を経て室内機15へと室外空気が搬送される第1の流路と、
加湿ユニット1の空気取り入れ口から、デシカントローター2を通過し、室外機連通口9を通って室外機内部へ導かれ、室外熱交換器を通過した空気と共に室外機前方へと室外空気が排気される第2の流路と、
第1の流路に、室内機15に室外空気を搬送するための再生ファン6と、
第2の流路に、室外空気を室外機前方へ排気するための室外機送風機であるプロペラファン5と、
第1の流路におけるデシカントローター2を通過する流路の途中で室外空気を加熱する加熱ヒータ3と、を有し、
加熱ヒータ3により加熱された室外空気がデシカントローター2の水分を奪って室内機15へ搬送されることにより加湿を行い、
プロペラファン5が回っているか、いないかに関わらず、デシカントローター2を停止させ、再生ファン6を動作させる給気換気運転だけを行うことができる、空気調和機。」

(3)甲1技術
上記(1)から、甲1には次の技術(以下、「甲1技術」という。)が記載されている。
「空気調和機において、室外空気を室外機前方へ排気するための室外機送風機であるプロペラファン5が回っているか、いないかに関わらず、室外機8の上に設置された加湿ユニット1に設けられ、室外空気中の水分を吸着するデシカントローター2を停止させ、再生ファン6を動作させる給気換気運転だけを行うことによりデシカントローター2への水分の吸着を行う技術。」

2 甲2
甲2には、「空気調和機」に関して概略以下の記載がある。
(1)甲2の記載
「【0002】
従来の空気調和機の中には、特許文献1(特開2008−190828号公報)に開示されているように、室内空気を加湿するための水分を室外空気から取り込むための装置を室外機に持つものがある。例えば特許文献1に記載されている室外機では、室外空気から吸着体に水分を吸着させることによって水分を集め、吸着体から脱離させた水分を室内機に供給する構成が採用されている。
【0003】
しかし、特許文献1に記載されているように、吸着体に室外空気の水分を吸着させる構成では、吸着量が室外空気に含まれる水分量に左右されるため、加湿性能も室外空気に含まれる水分量に依存する。このような吸着体を使った場合には、吸着体に吸着される水分の吸着量の限度も室外空気に含まれる水分量によって決まるため、必要な加湿能力が得られなくなることがある。」
「【0005】
本発明の第1観点に係る空気調和機は、冷媒回路に接続される室外熱交換器と、室外熱交換器を通過する気流を発生させるための室外ファンと、室外熱交換器を通過した空気が流れる吸着体を有する加湿ユニットとを備え、室外ファンは、冷媒回路のデフロスト運転の期間のうちの少なくとも一部期間において、室外熱交換器を通過して吸着体に空気が流れるように気流を発生させる。
【0006】
第1観点に係る空気調和機において、冷媒回路のデフロスト運転時に、室外ファンが室外熱交換器を通過する気流を発生させるので、加湿能力が必要な所定時に、デフロスト運転中に室外ファンを回して吸着体への吸着量を増やすことができ、加湿のための水分を室外空気から得る空気調和機において加湿能力を向上させることができる。」
「【0024】
<第1実施形態>
(1)全体構成
本発明の第1実施形態に係る室外機30を備える空気調和機10は、図1に示すように、室外機30の他に、室内機20を備えており、室内機20と室外機30とが連絡配管12によって接続されて構成されている。この空気調和機10は、冷房運転、暖房運転、加湿運転及び換気運転などの複数の運転モードを有しており、これらの運転モードを適宜組み合わせることもできる。
【0025】
冷房運転及び暖房運転では、室内の空気を冷やしたり温めたりするため、室内機20及び室外機30でそれぞれ熱交換が行われ、連絡配管12を通して室内機20と室外機30との間で熱の移動がある。このような熱交換と熱の移動とを行わせるために、空気調和機10は、図1に示すような冷媒回路を有している。冷媒回路には、主に、圧縮機31、四路切換弁32、室外熱交換器33、膨張機構34及び室内熱交換器21が接続されている。室内熱交換器21は、室内機20に設けられており、圧縮機31、四路切換弁32、室外熱交換器33及び膨張機構34は、室外機30に設けられている。そして、連絡配管12の中には、室内機20と室外機30とを実質的に接続している液冷媒配管14及びガス冷媒配管16が通っている。
【0026】
また、加湿運転及び換気運転では、室内に外気を供給するため、連絡配管12の中を通る給気ダクト18を介して室外機30から室内機20への空気の移動がある。特に、加湿運転では、水分を多く含んだ湿度の高い空気を室外機30から室内機20に供給するため、室外機30において外気から水分を積極的に取り込む。このため、室外機30は、外気から水分を取り込む機能を有する加湿ユニット60を備えている。」
「【0030】
また、主に暖房運転時において、室外熱交換器33についた霜を取るためにデフロスト運転が行なわれる。デフロスト運転の時期を設定するには幾つかの方法があるが、いずれの方法でも、できる限り室外熱交換器33に霜が着いたときに行われるように次期デフロスト運転の時期が設定される。この空気調和機10では、逆サイクルデフロスト運転が行なわれる。逆サイクルデフロスト運転では、暖房運転時とは逆の冷媒の流れ、つまり冷房運転時と同じ方向に冷媒を流している。このように、冷房運転時と同じ方向に冷媒を流すことで、逆サイクルデフロスト運転では、圧縮機31から吐出された高温のガス冷媒を室外熱交換器33に流して、室外熱交換器33の除霜を行う。」
「【0033】
(2−2)室外機30の構成
(2−2−1)室外機30の構成の概要
室外機30は、ケーシング40を備えている。そして、図1に示すように、ケーシング40の内部は、仕切板43によって送風機室S1と機械室S2とに分けられている。室外機30では、送風機室S1から機械室S2に風が回り込まないように、送風機室S1と機械室S2とが仕切板43によって遮蔽されている。
【0034】
室外機30には、冷媒回路を構成する上述の機器や加湿ユニット60の他に、室外ファン39が室外熱交換器33の前方に配設されている。なお、図1に示すように、室外ファン39及び室外熱交換器33は送風機室S1に配置されており、圧縮機31、四路切換弁32、膨張機構34及びアキュムレータ36は、機械室S2に配置されている。」
「【0045】
(2−2−5)加湿ユニット60
図5は、加湿ユニット60の分解図である。加湿ユニット60は、吸湿経路と放湿経路とを有しており、吸湿経路が室外機30の送風機室S1に、放湿経路が室外機30の機械室S2に位置するように配設されている。
【0046】
加湿ユニット60は、主に、吸着ロータ63と、ヒータ71と、ターボファン75と、を備えている。そして、吸着ロータ63の一部が吸湿経路に配置されており、吸着ロータ63の他部、ヒータ71及びターボファン75が放湿経路に配置されている。また、吸着ロータ63、ヒータ71及びターボファン75は、フレーム70に固定されている。より詳しくは、ヒータ71及び吸着ロータ63は支持板73に固定されており、支持板73がフレーム70の背面側に取り付けられている(図5参照)。また、ターボファン75は、支持板73が取り付けられている面とは反対側のフレーム70の正面側に取り付けられている(図5参照)。
【0047】
(2−2−5−1)吸着ロータ63
吸着ロータ63は、1つの板状の吸放湿材である。なお、吸着ロータ63の形状は板状であればどのような形状であってもよい。本実施形態では、吸着ロータ63は、円盤状を呈するものとする。また、ここでいう1つの板状の吸放湿材には、単体の板状の吸放湿材が吸着ロータ63を構成しているものの他、同一形状又は異なる形状の吸放湿材が複数組み合わされて1つの板状の吸着ロータ63を構成しているものも含まれる。吸着ロータ63は、ゼオライト等の焼成によって形成されたハニカム構造のゼオライトロータである。吸着ロータ63は、円盤の中心を回転軸として回転するように取り付けられ、吸着ロータ63の周囲に設けられているギア64に伝達されるロータ駆動モータ65の動力によって回転駆動される。
【0048】
吸着ロータ63を形成しているゼオライト等の吸着剤は、例えば常温で空気から吸湿し、ヒータ71などで高温に加熱された空気により常温よりも高い温度になることによって放湿するという性質を持っている。すなわち、吸着ロータ63のうちの高温の空気にさらされていない領域が外気中から水分を吸着する吸湿領域63aになり、高温の空気にさらされている領域が吸着した水分を放出する放湿領域63bになる。」
「【0050】
さらに、図1に示すように、吸着ロータ63の吸湿領域63aが室外機30の送風機室S1に位置し、吸着ロータ63の放湿領域63bが室外機30の機械室S2に位置するように、吸着ロータ63は仕切板43の開口部43a(図4参照)に配置されている。なお、本実施形態の吸着ロータ63の吸湿領域63aは、送風機室S1の室外熱交換器33と室外ファン39との間に配置されており、室外熱交換器33の第2部分33bの前方に、室外熱交換器33の第2部分33bに正対するように隙間を空けて配置されている。このため、吸着ロータ63の吸湿領域63aが室外熱交換器33を通過する送風経路に掛かっており、この部分が吸湿経路となる。すなわち、吸着ロータ63の吸湿領域63aが、吸湿経路内に配置されている。一方、吸着ロータ63の放湿領域63bは、放湿経路内に配置されている。
【0051】
(2−2−5−2)ヒータ71
ヒータ71は、吸着ロータ63の放湿領域63bの側方に設けられている。ヒータ71は、筒状の筐体の中に電熱線(図示省略)が設けられた構造であり、吸入口72から吸入されて吸着ロータ63に送られる外気を電熱線で加熱する。吸着ロータ63では、吸着ロータ63のハニカム構造の開口を加熱された空気が通り抜けるときに、吸着ロータ63から放湿されることで、ターボファン75に吸い込まれる空気が加湿される。」
「【0053】
(2−2−5−3)ターボファン75
ターボファン75は、室外機30から室内機20へと向かう空気流れを生成する。また、ターボファン75は、吸着ロータ63を挟んでヒータ71と対向ように配置されている。そして、電装品箱50は、ターボファン75及び吸着ロータ63を挟んでヒータ71とは反対側に配置されている。さらに、ターボファン75は、図2や図4に示すように、機械室S2に設置されている。
【0054】
ターボファン75は、ファンモータ75aと、ファンモータ75aによって駆動される羽根車75bと、羽根車75bを収納するファンケーシング75cと、を有しており、羽根車75bの回転軸方向から吸入した空気を径方向外側に向かって吹き出す。なお、室外機30において、羽根車75bの回転軸は前後方向に延びるように配置されている。このため、ターボファン75は、前後方向に場所を取らない縦置きの配置となっている。また、ターボファン75の吸込部76は、後方に開口している。また、ターボファン75の吐出部77は、下方に開口している。そして、吐出部77には加湿ダクト78が接続されており、加湿ダクト78には給気ダクト18が取り付けられている。このため、ターボファン75の吸込部76から吸い込まれた空気は、加湿ダクト78を介して給気ダクト18に導かれ、給気ダクト18を経て室内機20の吹出口24から吹き出されることになる。
【0055】
(3)加湿運転時の空気流れ
図6は、吸着ロータ63における空気流れを説明するための図である。通常は、空気調和機10では、加湿運転は暖房運転と組み合わせて行われるが、暖房運転時の間のデフロスト運転時にも加湿運転が行なわれる。加湿運転時には、圧縮機31及び室外ファン39が駆動している。また、加湿運転時には、吸着ロータ63がロータ駆動モータ65の動力によって所定の回転速度で回転しており、ヒータ71及びターボファン75が駆動している。なお、吸着ロータ63は回転するので、吸湿領域63aでの吸湿によって吸着ロータ63に吸着された水分は吸着ロータ63の回転に伴って放湿領域63bに運ばれ、放湿領域63bでの放湿によって吸着されていた水分が脱着されることで放湿領域63bの周囲の空気が加湿される。また、本実施形態の吸着ロータ63は、正面から見て反計回りに回転しており、吸湿領域63aとして機能した部分が回転してヒータ支持部材74に対向する位置に来ると放湿領域63bとして機能する。
【0056】
加湿運転時には室外ファン39が駆動しているため、室外熱交換器33の背面側から室外熱交換器33を通して吸い込まれた外気が室外機30の正面側へと吹き出される空気流れが生成されている。吸着ロータ63の吸湿領域63aは、室外熱交換器33の第2部分33bと対向するように送風機室S1に位置しているため、主に室外熱交換器33の第2部分33bを通った外気が吸着ロータ63の吸湿領域63aを後方から前方に向かって通る。吸着ロータ63の吸湿領域63aを通過した空気は、ベルマウス46aを介して吹出口44から吹き出される。
【0057】
また、加湿運転時には、ターボファン75が駆動しているため、室外機30から室内機20へと向かう空気流れ、すなわち吸入口72から吸い込まれた外気が、吸着ロータ63及びヒータ71を介して給気ダクト18に吹き出される空気流れが生成されている。より詳しくは、吸入口72から吸入された外気は、まず、吸着ロータ63の前方に回り込み、前方から後方に向かって吸着ロータ63を通ってヒータ71に至る。そして、ヒータ71に至った外気は、ヒータ71の筐体の中を通過する。このとき、ヒータ71によって外気が加熱される。ヒータ71の筐体を通過した空気は、吸着ロータ63の放湿領域63bに進み、吸着ロータ63の放湿領域63bを後方から前方に向かって通る。このとき、吸着ロータ63の放湿領域63bは、ヒータ71によって温度が上昇した空気にさらされることで放湿する。そして、吸着ロータ63の放湿領域63bを抜けた空気は、フレーム70に形成されている開口70aを介してターボファン75に吸い込まれ、加湿ダクト78を介して給気ダクト18へと吹き出される。このように吸着ロータ63によって加湿された空気は、給気ダクト18を経て室内機20へと導かれる。
【0058】
なお、この加湿ユニット60では、図6に示すように、吸着ロータ63のうち送風機室S1に位置する部分が吸湿領域63aになる。また、機械室S2に位置する吸着ロータ63において、ヒータ71よりも空気流れ下流側に位置する部分が放湿領域63bとなり、それ以外の部分が再熱領域63cとなる。再熱領域63cは、吸入口72から吸い込まれた外気が吸着ロータ63を最初に通過する部分である。本実施形態の吸着ロータ63は、正面視において反時計回りに回転しているため、吸湿領域63a、放湿領域63b、再熱領域63cの順に吸着ロータ63の機能が入れ替わることになる。再熱領域63cは、直前まで放湿領域63bであった部分であることから、高温になっている。このため、吸入口72から吸い込まれた外気は、再熱領域63cを通過することで、再熱領域63cの有する熱により加熱される。また、再熱領域63cは外気が通過することで冷却され、吸着ロータ63の回転により、その後、吸湿領域63aとなる。
【0059】
(4)デフロスト運転時の動作
(4−1)室外ファン39の動作
デフロスト運転時に、図8に示されているように、室外ファン39を回転させて、室外熱交換器33から吸着ロータ63を通過して吹出口44から吹出される気流を発生させる。具体的には、制御部80が、逆サイクルデフロスト運転の運転開始を検知し、ファンモータ39aを回転させる。このとき、吸着ロータ63には、デフロスト時に室外熱交換器33で融けた霜の水分を多く含んだ空気が供給される。その結果、吸着ロータ63は、多くの水分を貯えることができる。このとき、吸着ロータ63が回転していれば、吸着ロータ63の全体に渡って水分が吸着される。この場合には、加湿ユニット60と連動していなくとも、吸着ロータ63の吸湿領域63aは、多くの水分を吸着することができる。図8に示されている動作は、時刻t1に逆サイクルデフロスト運転が開始されると、そこから所定の時間が経過して霜が融けて十分に水分が室外熱交換器33を通過する外気に含まれる状態になった時刻t2に室外ファン39が回転を始める。そして、水分を多く含んだ空気を十分に加湿ユニット60に供給した時刻t3で室外ファン39が停止する。そして、その後、時刻t4に逆サイクルデフロスト運転が終了する。ここでは、室外ファン39を逆サイクルデフロスト運転の終了前に停止したが、逆サイクルデフロスト運転の終了するまで室外ファン39を回転させていてもよい。
【0060】
(4−2)室外ファン39と加湿ユニット60の動作
加湿ユニット60の加湿能力を効果的に向上させるには、室外ファン39と加湿ユニット60とが連動していることが好ましい。例えば、図9に示されているように、時刻t11に逆サイクルデフロスト運転が開始されると、運転の開始を制御部80が検知する。そして、制御部80は、第1所定時間が経過した時刻t12に室外ファン39を駆動する。さらに、時刻t12から第2所定時間が経過した時刻t13に吸着ロータ63を駆動する。その後、逆サイクルデフロスト運転が終了する時刻t14に、運転の終了を制御部80が検知すると、制御部80は、時刻t14にヒータ71及びターボファン75の駆動を開始させて、加湿ユニット60の加湿運転を開始させる。このように制御された加湿ユニット60では、加湿運転の開始時点で、多くの水分が吸着ロータ63に吸着されている。吸着ロータ63に吸着されている多くの水分を使うことができるため、加湿ユニット60の加湿能力が向上する。」











(2)甲2発明
上記(1)から、甲2には次の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されている。
「室内機20と室外機30とを備える空気調和機10であって、
室外機30が備える加湿ユニット60に設けられ、外気中から水分を吸着する吸着ロータ63と、
吸入口72から吸い込まれた外気が、吸着ロータ63を通過し、室外機30から給気ダクト18を経て室内機20へと向かう空気流れを形成する放湿経路と、
吸着ロータ63を通過し、室外熱交換器33の背面側から室外熱交換器33を通して吸い込まれた外気が室外機30の正面側へと吹き出すための吸湿経路と、
放湿経路に、室内機20へと向かう空気流れを発生させるターボファン75と、
吸湿経路に、外気が室外機30の正面側へと吹き出される空気流れを生成するための室外ファン39と、
放湿経路における吸着ロータ63を通過する流路の途中で外気を加熱するヒータ71と、を有し、
ヒータ71が外気を加熱し、加熱された外気が吸着ロータ63を通り抜けるときに吸着ロータ63が放湿して室内機20に向かう加湿運転を実行し、
デフロスト運転時に室外ファン39を回転させて吸着ロータ63に室外熱交換器33で融けた霜の水分を多く含んだ空気を供給して水分を吸着させる、空気調和機。」

(3)甲2技術
上記(1)から、甲2には次の技術(以下、「甲2技術」という。)が記載されている。
「空気調和機において、デフロスト運転時に室外ファン39を回転させて、室外機30が備える加湿ユニット60に設けられている、外気中から水分を吸着する吸着ロータ63に室外熱交換器33で融けた霜の水分を多く含んだ空気を供給して水分を吸着させる技術。」

3 甲3
甲3には、「加湿装置」に関して概略以下の記載がある。
(1)甲3の記載
「【0028】
(1)空気調和装置の構成
空気調和装置10は、1台の室外機11と、1台の室内機12とが冷媒配管によって並列に接続されているペア型の空気調和機である。また、この空気調和装置10は、冷房運転、除湿運転及び暖房運転の他に、暖房運転と合わせて、或いは、単独で、室内を加湿する加湿運転、室内に室外空気を供給する給気運転、及び、室内空気を室外に排気する排気運転等の運転を行うことができる。なお、本実施形態の空気調和機は、ペア型の空気調和機であるが、これに限定されず、1台の室外機11に複数台の室内機が接続されたマルチ型の空気調和機であってもよい。
【0029】
室外機11は、図1に示すように、室外熱交換器24や室外ファン29などを内部に収容する室外空調ユニット20と、加湿ユニット50とを備えている。室内機12の内部には室内熱交換器13および室内ファン14等が収容されている。また、加湿ユニット50と室内機12との間には、加湿ユニット50の内部空間と室内機12の内部空間とを連通させることが可能な吸排気ダクト15が設けられている。」
「【0037】
加湿ユニット50は、図1、図2及び図3に示すように、加湿ユニットケーシング51と、加湿ロータ52と、ヒータ56と、加湿量調整部80と、吸着用送風装置55と、流路切替装置53と、吸排気ファン54と、を備えている。加湿ユニット50は、室内から取り込まれた空気を室外へと排気したり、室外から取り込まれた室外空気(以下、外気という)を室内へと供給したりすることができる。また、外気を加湿して室内へと供給することもできる。」
「【0041】
また、加湿ユニットケーシング51の背面には、複数のスリット状の開口からなる第2吸着用空気取込口51cおよび吸排気口51dが設けられている。第2吸着用空気取込口51cは、第1吸着用空気取込口51bと同様に、加湿ロータ52に水分を吸着させるために室外から取り込まれる外気が通る開口である。加湿ユニットケーシング51内には、第1吸着用空気取込口51b及び第2吸着用空気取込口51cを入口とし、吸着用空気吹出口51aを出口とする吸着用流路70が形成されている。
【0042】
吸排気口51dは、第1吸着用空気取込口51b及び第2吸着用空気取込口51cとは別に、加湿運転時或いは給気運転時に、外気を加湿ユニットケーシング51内に取り込むための開口である。吸排気口51dから加湿ユニットケーシング51内に取り込まれた外気は、加湿ロータ52を通過した後、ヒータ56で加熱されてから、さらに加湿ロータ52を通過して、吸排気ファン54へ向かって流れる。このように、加湿ユニットケーシング51内には、吸着用流路70とは別に、吸排気口51dを入口とする加湿用流路71が形成されている。なお、加湿用流路71は、吸排気ダクト15に接続されている。このため、加湿運転時或いは給気運転時には、吸排気口51dから取り込まれた外気は、加湿用流路71を流れて、吸排気ダクト15を経て、室内へと供給される。一方で、排気運転時には、室内機12から取り込まれた室内空気が、吸排気ダクト15を経て加湿用流路71に流入し、吸排気口51dを介して室外へと排気される。
【0043】
(2−2−2−2)加湿ロータ
加湿ロータ52は、ハニカム構造のセラミックロータであり、略円板状の外形を有している。また、加湿ロータ52は、回転可能に設けられており、ロータ駆動用モータによって回転駆動される。さらに、加湿ロータ52の主たる部分は、ゼオライト等の吸着剤から焼成されている。ゼオライト等の吸着剤は、接触する空気中の水分を吸着するとともに、吸着した水分を加熱されることによって脱離するという性質を有している。なお、本実施形態では、吸着剤としてゼオライトを用いているが、シリカゲルやアルミナ等を吸着剤として用いることも可能である。また、本実施形態では、加湿ロータ52が略円板状であることで、加湿ユニット50を小型化することができる。
【0044】
(2−2−2−3)ヒータ
ヒータ56は、加湿ロータ52から水分を脱離させるために加湿ロータ52へ送られる空気を加熱する。ヒータ56によって加熱された空気が、加湿ロータ52へ送られることで、加湿ロータ52は加熱されることになる。」
「【0046】
(2−2−2−4)加湿量調整部
加湿量調整部80は、吸湿用流路70の一部及び加湿用流路71の一部を構成しており、加湿ロータ52に対向して配置されている。加湿量調整部80は、加湿ロータ52の上方に配置される第1切替機構81と、加湿ロータ52の下方に配置される第2切替機構82と、を有する。」
「【0058】
(3)加湿運転時の制御動作
図10は、第1切替機構81が第1状態を採り、第2切替機構82が第3状態を採った場合の加湿ロータ52に含まれる3つの領域を示す図である。図11は、第1切替機構81が第2状態を採り、第2切替機構82が第4状態を採った場合の加湿ロータ52に含まれる3つの領域を示す図である。
【0059】
加湿運転時には、加湿ユニット50内において、吸着用送風装置55が駆動されて、吸湿用流路70を図1の矢印A11〜13方向に空気が流れ、かつ、吸排気ファン54が駆動されて、加湿用流路71を図1の矢印A21〜25方向に空気が流れる。また、このとき、加湿ロータ52は、図2の矢印Y方向に回転する。
【0060】
ここで、以下より、説明の便宜上、外気のうち、吸湿用流路70を流れる外気を吸着用空気といい、加湿用流路71を流れる外気を加湿用空気という。
【0061】
第1吸着用空気取込口51b及び第2吸着用空気取込口51cから加湿ユニット50内に取り込まれた吸着用空気は、吸湿前空気流路70aを図1の矢印A11方向に流れて、加湿ロータ52を通過し、吸湿後空気流路70bを図1の矢印A12方向に流れて、ベルマウス58近傍へと向かう。このとき、吸着用空気は、加湿ロータ52のうちヒータ56と対向しない領域(以下、吸湿領域52aという)を通過する。そして、加湿ロータ52の吸湿領域52aを通過した吸着用空気は、ベルマウス58近傍からベルマウス58で囲まれた空間を通って吸着用送風装置55内に入り、吸着用送風装置55によって、図1の矢印A13方向に送られ、吸着用空気吹出口51aから加湿ユニット50外に吹き出される。すなわち、吸湿用流路70は、吸着用空気を吸湿領域52aに通すための流路であるといえる。
【0062】
また、吸排気口51dから加湿ユニット50内に取り込まれた加湿用空気は、図1の矢印A21方向に流れて、加湿ロータ52の吸湿領域52aに隣接する部分であって、加湿用流路71のヒータ56よりも上流側の領域(以下、再熱領域52cという)を通過する。そして、加湿ロータ52の再熱領域52cを通過した加湿用空気は、図1の矢印A22方向に流れて、ヒータ56に至る。ヒータ56に至った加湿用空気は、図1の矢印A23方向に流れて、加湿ロータ52において吸湿領域52a及び再熱領域52cとは別の領域(以下、加湿領域52bという)を通過する。そして、加湿ロータ52の加湿領域52bを通過した加湿用空気は、図1の矢印A24方向に流れて、流路切替装置53に至る。その後、流路切替装置53に至った加湿用空気は、吸排気ファン54を経由して再び流路切替装置53に戻され、図1の矢印A25方向に流れて、吸排気ダクト15を経て室内機12へと送られる。すなわち、加湿用流路71は、加湿用空気を加湿領域52bに通すための流路であるといえる。」



(2)甲3発明
上記(1)から、甲3には次の発明(以下、「甲3発明」という。)が記載されている。
「室内機12と室外機11とを備える空気調和機であって、
室外機11が備える加湿ユニット50に設けられ、外気の水分を吸着する加湿ロータ52と、
加湿ロータ52を通過し、加湿ユニット50の内部空間と室内機12の内部空間とを連通させる吸排気ダクト15を経て、室内機12に送られる外気が流れる加湿用流路71と、
加湿ロータ52を通過し、第1吸着用空気取込口51b及び第2吸着用空気取込口51cを入口とし、吸着用空気吹出口51aを出口とする吸着用流路70と、
加湿用流路71に、室内機12に送られる外気の流れを発生させる吸排気ファン54と、
吸着用流路70に、加湿ロータ52の吸湿領域52aを通過した吸着用空気を吸着用空気吹出口51aから加湿ユニット50外に吹き出すための吸着用送風装置55と、
加湿用流路71における加湿ロータ63を通過する流路の途中で外気を加熱するヒータ56とを有し、
ヒータ56が、加湿ユニット50内に取り込まれた加湿用空気を加熱し、加湿ロータ52の水分を離脱させることにより、室内機12に送られる空気の加湿運転を実行する、空気調和機。」

4 甲4
甲4には、「除・加湿装置」に関して概略以下の記載がある。
「【0025】本実施の形態に係る除・加湿装置の構成は次の通りである。吸湿性,通気性をもつハニカム形状の吸着材1は、円筒型で駆動モータ3と連結されている。そして、前記駆動モータ3の回転に伴って前記吸着材1が回転する。前記吸着材1は、ハニカム形状に限らず、格子状、スポンジ状、網状など通気可能なものであればよい。
【0026】送風手段2a,2bは、それぞれ第1,第2の空気流4,5を発生(生成)するように吸着材1の空気流に対する下流側(風下側)に設置されている。
【0027】前記送風手段2aが作動すると室内空気が取り入れられ、第1の空気流4となって前記吸着材1を通過して通風路8を介して室外に排気される。該通風路8は断熱材14で断熱されている。
【0028】また、前記送風手段2bが作動すると室内空気が取り入れられ、第2の空気流5となって前記吸着材1を通過して室内に排気される。」
「【0055】図4および図5はそれぞれ本発明の第3実施の形態に係る除・加湿装置の構成図であり、(a)は側面図であり、(b)は要部正面図である。図6は本発明の第3実施の形態に係る除・加湿装置に用いられる隔壁の構造を説明するための図である。本実施の形態について、上述した第1実施の形態と相違する点のみ説明する。
【0056】本実施の形態に係る除・加湿装置は、第1の空気流4と第2の空気流5が吸着材1を通過するとき、前記第1の空気流4と第2の空気流5との前記吸着材1の通過部を分割する隔壁9c,10が設けられ、前記隔壁9cは前記吸着材1の空気流に対する上流側に、前記隔壁10は前記吸着材1の空気流に対する下流側にそれぞれ設置され、それぞれが加熱手段駆動モータ7に連結されている。
【0057】前記隔壁9c,10は、前記第1の空気流と第2の空気流とが前記吸着材1を通過する範囲を、円筒形の吸着材1を2分割した半円形でないもの、すなわち異なる面積比とするものである。具体的には、加熱された空気流が通る範囲を加熱されなかった空気流が通る範囲よりも小さくするものである。」

5 甲5
甲5には、「加湿装置」に関して概略以下の記載がある。
「【0029】図1に示すように、この加湿装置は、ケーシング10内に円板状の加湿ロータ12を配置している。この加湿ロータ12は、シリカゲル,ゼオライト,アルミナ等の吸着材を例えばハニカム状または多孔多粒状に成形してなり、軸12aの周りに図示しないモータによって回転するようになっている。また、上記ケーシング10内を仕切り板11で仕切って、加湿ロータ12の各部を経由する吸湿通路13と加湿通路15とを形成している。
【0030】上記吸湿通路13の加湿ロータ12よりも下流側かつ加湿ロータ12よりも下側に吸湿側ファンモータ14を設けて、空気を矢印Aに示すように吸引して流すようにしている。この吸湿側ファンモータ14は、図示しないが、吸湿ファン(吸湿通路側のファンと言う意味で吸湿ファンと言う。)とこの吸湿ファンを駆動するモータとを一体に構成してなる。上記加湿ロータ12は、吸湿通路13を矢印A方向に流れる空気から吸湿する(水分を吸着する)。上記吸湿通路13において、加湿ロータ12の上流側の点Sの圧力は約0mm水柱、加湿ロータ12の下流側の点Mの負圧力は約−7mm水柱である。
【0031】一方、上記加湿通路15の加湿ロータ12よりも下流側かつ加湿ロータ12よりも下側に加湿側ファンモータ17を設けて、空気を矢印Bに示すように吸引して流すようにしている。この加湿側ファンモータ17は、図示しないが、加湿ファン(加湿通路側のファンと言う意味で加湿ファンと言う。)とこの加湿ファンを駆動するモータとを一体に構成してなる。上記加湿通路15の加湿ロータ12よりも上側の部分に加熱手段の一例としてのヒータ16を設けて、このヒータ16で加熱された100℃以上の空気が加湿ロータ12を通る際に、加湿ロータ12によって加湿される(加湿ロータ12が水分を脱着する)ようにしている。上記加湿通路15を流れる空気は、ヒータ16よりも上流側の通路部15uと下流側の通路部15dとで加湿ロータ12を2回通り、最初に通る上方への空気の流れBuが加湿ロータ12から熱を回収し、この熱を回収した後さらにヒータ16で100℃以上に加熱された2回目に通る下方への空気の流れBdが加湿ロータ12から水分を吸収する。すなわち、図2,3に示すように、加湿ロータ12は、矢印Rに示す方向に回転して、吸湿通路13に面する部分12Aと、下方への加湿通路15の通路部15dに面する部分12Bdと、上方への加湿通路15の通路部15uに面する部分12Buとが順次移動していく。図3に示すように、上記吸湿通路13の空気Aから加湿ロータ12が吸着した水分は、ヒータ16によって加熱された100℃以上の加湿通路15の下側への空気Bdによって脱着されて、この空気Bdは加湿される。
【0032】このようにして加湿された空気Bdは図1に示す加湿側ファンモータ17によって吸引されて、さらに、長い配管19の抵抗に打ち勝つように、配管19の入口で50〜80mm水柱の正圧になるように圧送されて、図示しない室内機から室内に供給される。この加湿装置は、図示しない室外機上に設置されているから、室内機と連結する配管19は相当に長くなっている。上記加湿通路15において、加湿ロータ12の上流側の点Lの負圧力は約−3mm水柱、加湿ロータ12の下流側の点Nの負圧力は約−6mm水柱である。」

6 甲6
甲6には、「空気調和装置の室外機」に関して概略以下の記載がある。
「【0051】
(3−5)加湿ユニット
(3−5−1)吸湿部と放湿部
加湿ユニット60は、図2や図5などに示されているように、外気から吸湿するための吸湿部61と、放湿して空気を加湿するための放湿部62とを有する。この加湿ユニット60においては、吸湿部61と放湿部62とは、1枚の円盤状の加湿ロータ63によって構成されている。つまり、加湿ロータ63は、吸湿部61と放湿部62とを兼ねる吸放湿材である。この円盤状の加湿ロータ63は、ゼオライト等の焼成によって形成されたハニカム構造のゼオライトロータである。加湿ロータ63は、円盤の中心を回転軸として回転するように取り付けられ、加湿ロータ63の周囲に設けられているギア64に伝達されるロータ駆動用モータ(図示省略)の動力によって回転駆動される。
【0052】
加湿ロータ63を形成しているゼオライト等の吸着剤は、例えば常温で空気から吸湿し、ヒータ71で高温に加熱された空気により常温よりも高い温度になることによって放湿するという性質を持っている。つまり、加湿ロータ63のうちの高温の空気にさらされている側が吸湿部61になり、高温の空気にさらされている側が放湿部62になる。別の観点から見ると、加湿ロータ63は、加湿ロータ63の温度が低い側で吸湿し、加湿ロータ63の温度が高い側で放湿する。この加湿ロータ63が回転するので、吸湿部61での吸湿によって加湿ロータ63に吸着された水分は、加湿ロータ63の回転に連れて放湿部62に運ばれ、放湿部62での放湿によって吸着されていた水分が脱着されて放湿部62の周囲の空気が加湿される。
【0053】
(3−5−2)ヒータ
図10に示されているように、放湿部62から放湿させるために、加湿ロータ63の放湿部62の上方にヒータ71が設けられている。図11は、ヒータ71及びヒータ支持部材74を下方から見た底面図である。ヒータ71は、筒状の筐体の中に電熱線(図示省略)が設けられた構造を持ち、吸入口72から吸入されて加湿ロータ63に送られる外気を電熱線で加熱する。加湿ロータ63のハニカム構造の開口を加熱された空気が通り抜けるときに、加湿ロータ63からの放湿によって加湿用ダクト73の空気が加湿される。」
「【0057】
(3−5−4)吸湿用ダクト
吸湿部61の上部には、吸湿部61に外気を導くための吸湿用ダクト68が設けられている。吸湿用ダクト68を上から見ると、図4に示されているように、中心角αが180度より大きい扇形の吸湿部61の上を覆っている。」

7 甲7
甲7には、「調湿ユニット」に関して概略以下の記載がある。
「【0034】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態に係る調湿ユニットについて図に基づいて説明する。第1実施形態では、空気調和装置に組み込まれた加湿ユニットを調湿ユニットの例に挙げて説明している。」
「【0058】
(3−1−2)吸着ロータユニット39
吸着ロータユニット39は、再生用熱交換器31と吸着ロータ32とロータ用モータ33とを含んで構成されている。吸着ロータ32は、円盤状の部材である。吸着ロータ32の円形の表面32aから円形の裏面32bまでのロータ本体32cには貫通した穴(図示せず)が多数形成さており、表面32aから裏面32bまで吸着ロータ32の中を空気が通り抜けるように構成されている。この吸着ロータ32には、高分子の吸着材が含まれている。吸着材は、吸着ロータ32を通り抜ける空気から水分を吸着する機能を有しており、常温よりも高い温度に加熱された空気が吸着ロータ32の中を通過すると水分をその加熱された空気中に脱離する機能を有している。吸着ロータ32が配置されている円盤状の領域において、吸着前空気取入口52から取り入れられた空気が吸着用ファン吹出口56から吹出されるまでに通過するのが吸着領域であり、再生前空気取入口54から取り入れられた空気が加湿ホース36を通って室内機4に送られるまでに通過するのが再生領域である。これら吸着領域と再生領域は重ならないように配置されている。第1実施形態の加湿ユニット30では、吸着領域は概ね円盤状の領域の下半分を占め、再生領域は概ね円盤状の領域の上半分を占める。なお、吸着領域と再生領域の占有割合は適宜設計することができ、例えば、再生領域を扇形にして残りを吸着領域とするように構成してもよい。」

8 甲8
甲8には、「デシカント式調湿装置及びその制御方法」に関して概略以下の記載がある。
「【0002】
空調システムの新鮮外気導入系を構成する調湿装置、除湿装置又は減湿装置(以下、「調湿装置」という。)として、外気を過冷却して外気中の水分を凝縮する冷却除湿方式の調湿装置と、塩化リチウム、シリカゲル、ゼオライト、高分子収着剤等の乾燥剤(デシカント剤)によって外気中の水分を吸着又は収着(以下、「吸着」という。)するデシカント方式の調湿装置(以下、「デシカント式調湿装置」という。)とが知られている。いずれの方式の調湿装置も、外気を除湿又は減湿する外調機又は外気処理装置として機能する。」

9 甲9
甲9には、「加湿装置」に関して概略以下の記載がある。
「【0028】
吸着材モジュール4は、吸着材を担持させた複数の金属製の板状部材40を間隔をあけて積層配置し、板状部材40の間に送風空気を通過させる通路を備えている。この実施形態の吸着材モジュール4では、このように吸着材を担持させた複数の板状部材40を積層配置することで、送風空気と吸着材との接触面積を増加させることができる。吸着材モジュール4では、吸着材として、シリカゲル等の高分子吸着材、ゼラチン質の軟泥が乾燥して多面体を作ったものであるゼロライト等の吸湿材料を採用している。」

10 甲10
甲10には、「加湿ユニット」に関して概略以下の記載がある。
「【0020】
《発明の実施形態1》
図1に示すように、本実施形態に係る加湿ユニット(1)は、空気調和機(3)を構成して室内の加湿・除湿・換気を行う。」
「【0060】
加湿ユニット(1)は、ダクト(11)の一端と接続するケーシング(13)を備えている。ケーシング(13)の壁(9)とは反対側の側壁には、室外空気を給気又は排気するための外気吸込口(15a)が形成されている。ケーシング(13)の内部空間には、正逆回転可能なファン(31)と、表面に吸着剤を担持させた熱交換器である吸着部材としての吸着熱交換器(39)とが設けられている。ファン(31)は、吸着熱交換器(39)のダクト(11)側に配設されている。吸着熱交換器(39)のサイズは、330mm×390mmである。吸着剤としては、シリカゲルや親水性ゼオライトが用いられる。また、吸着剤としては、有機高分子材料が用いられてもよい。有機高分子材料は、分子中に親水性の極性基を有する複数の高分子主鎖が互いに架橋されており、互いに架橋された複数の高分子主鎖が三次元構造体を形成している。」

11 甲11
甲11には、「空気調和機ならびに室内の湿度制御方法」に関して概略以下の記載がある。
「【0049】
〔モード制御部〕
モード制御部8aは、室内機2の受信部21がリモートコントローラ等から各種の運転指示を受信すると、その運転指示に伴い空気調和機1の運転モードを制御する。具体的には、モード制御部8aは、受信部21が自動運転モードの開始指示やおやすみ運転モードの開始指示等を受信した場合、タイマ8b、目標温度設定部8c及び目標湿度設定部8dにこの旨を示すモード設定信号を出力する。尚、本実施形態では、おやすみ運転モードの開始指示を示すモード設定信号には、ユーザによりリモートコントローラを通じて設定された起床予定時間も含まれるとする。
【0050】
〔タイマ〕
タイマ8bは、モード制御部8aからモード設定信号を取得すると、時刻情報の出力を開始する。タイマ8bから出力される時刻情報は、目標温度設定部8c及び目標湿度設定部8dに取り込まれる。」

12 甲12
甲12には、「加湿装置」に関して概略以下の記載がある。
「【0026】無給水加湿装置の構成を図2にしたがって説明する。
【0027】図中、1は多数穴の開いた円筒形のセラミックからなり、水の分子を吸着する物質が塗られた吸着材であるローターであり、該ローター1はモーターと変速ギヤにて低速回転駆動される。
【0028】2は排気ファンであり、排気ファンモーターによって駆動され、室内からの吸込み空気を前記ローター1を通過させた後、排気ダクト3に導いて室外へ排気する。ここで、前記ローター1を通過する時に、空気中に含まれていた水分の多くが当該ローター1に吸湿される。
【0029】4は加湿ファンであり、加湿ファンモーターによって駆動され、室内からの吸込み空気を前記ローター1を通過させた後、ヒーター5に導いて再び前記ローター1を通過させ、その空気を吹出し口6から室内へ戻す働きをする。」
「【0035】一般に知られている通り、ヒーター5としてPTCヒーターを使用すれば、風量が一定の時、ヒーター5通過後の空気温度はほぼ一定になる。また、電源電圧が多少変動してもヒーター5通過後の空気温度は一定に保たれる。したがって、ヒーター5としてPTCヒーターを使用すれば、ローター1を通過した後の空気温度のみを測定することによって、室内の絶対湿度を推定することができる。」

13 甲13
甲13には、「加湿装置」に関して概略以下の記載がある。
「【0017】(実施例1)図1において1は室外吸気口、2は吸着手段でシリカゲル等の吸着剤を用い、3は換気吸入口、4は室外排気口、5は第1の送風手段で軸流ファンなどを用い、6は室内吸気口、7は加熱再生手段でニクロム線やPTC素子のヒーターを用い、8は室内排気口、9は第2の送風手段で軸流ファン等を用い、10は駆動手段でシンクロナスモーター等を用いる。上記吸着手段2は上記駆動手段10により回転運動を与えられる。図2は図1の吸着・換気風回路部のみ、また図3は図1の加熱再生風回路部のみの図であり、同一構成部品には図1と同一番号を付している。
【0018】加湿装置が運転しているとき、第1の送風手段5によって室外吸気口より吸い込まれた室外空気と換気吸入口3より吸い込まれた室内空気は吸着手段2を通過しこのとき空気中の水分を吸着手段2に除去され室外排気口4より室外に排気される。また第2の送風手段9により室内吸気口6より吸い込まれた室内空気は再生により温度の上昇した吸着手段2を通過し、吸着手段2の熱を回収しその後加熱手段7により温度上昇し再度吸着手段2を通過し、このとき吸着手段2に吸着されている水分を脱着し水分を大量に含む空気となり室内排気口8より室内に排出される。」

14 甲14
甲14には、「調湿機」に関して概略以下の記載がある。
「【0017】図5は、従来の回転式吸湿材を利用した調湿機の再生ヒータの配置を示す吸湿ロータの正面図である。再生領域13は、一般的に図5に示すように中心から径方向に沿って外周に向かってその面積が拡大する扇形状を成している。これは、吸湿ロータ8が再生領域13を通過する距離が、A−A’、B−B’、C−C’間の順に長くなり、経過速度もそれに応じて速くなるが、通過する時間はすべて同じであるので、再生領域13の温度分布が均一であれば、どの位置を経過しても吸湿ロータ8の加熱時間と加熱温度は同じとなり、吸湿ロータ8の温度ムラが生じることなく、効率良く再生ヒータ7からの熱を伝えることができるからである。ここにおいて、再生ヒータ7は形状を容易に形成することができるようにニクロム線等を利用した発熱体を用いることが一般的であるが、ニクロム線ヒータを使用すると、再生ファン11の風量が少ない場合には、ヒータ線の温度が上昇し、混入した異物の発火点以上の温度に到達すると火災の原因となる。従って、本発明は、加熱手段としてPTC(自己温度制御)特性を持つセラミックヒータを用いることで上記問題を解決している。更に、一般的な既成のセラミックヒータの形状は長方形状のものが多い為扇形状の再生領域13内で温度分布が均一になるように配することが困難であるので、本発明においては、扇形状の再生部にそれぞれ消費電力の異なる複数のセラミックヒータを加熱手段として設けることで再生領域13内の温度分布を均一となるようにしている。」

15 甲15
甲15には、「吸湿フィルタおよび加湿装置」に関して概略以下の記載がある。
「【0028】
図1において加湿装置10は40℃以上の温風作ることができるヒートポンプ熱交換器などの加熱手段11を有し、室内空気12をファンなどの送風手段13によって加熱手段11を通過させ、室内送風口14から室内に供給するものである。
【0029】
加湿装置10筐体内には、通風構造としてコルゲートハニカム形状をした、吸湿材料15を添着した吸湿フィルタ16を有し、また、室内空気12を吸湿フィルタ16に通過させ、その空気を室外に排気するためのファンなどの送風排気手段17および排気風路18を持ち、吸湿フィルタ16に室内空気12を供給し、水分を吸着させる。この風路が吸湿風路19である。」 「【0031】
吸湿フィルタ16は駆動経路20をもち、それぞれの駆動経路をギアモータなどの駆動手段21を用いてスライド移動する。前述の吸湿風路19で吸湿した吸湿フィルタ16は前記駆動経路20を移動し、室内送風口14まで移動する。その際、送風手段13によって温風が吸湿フィルタ16を通過して、それによって吸湿フィルタ16から水分が脱離し、温風とともに水分を室内に供給することができる。このときの水分を脱離する風路が脱離風路22である。」
「【0056】
(実施の形態6)
実施の形態1では、加熱手段としてヒートポンプ凝縮器の熱交換器を使用したが、マイクロガスタービンから発せられる排熱を利用した熱交換器による加熱手段や、燃料電池から発せられる熱を利用した熱交換器による加熱手段であってもよい。なお、40℃〜60℃に温度調節できるニクロム線やPTCヒータなどの加熱手段でもよいが、前記加熱手段を用いるほうが省エネルギー性に優れているため望ましい。」

第5 当審の判断
1 申立理由1(特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項)について
(1)甲1発明を引用発明とした場合の検討
・本件特許発明1について
本件特許発明1と甲1発明とを対比する。
甲1発明における「室内機15」は、本件特許発明1における「室内機」に相当する。
甲1発明における「室外機8」は、本件特許発明1における「室外機」に相当し、甲1発明における「室外機8の上に設置された加湿ユニット1に設けられ」ることは、「加湿ユニット1」は、室外機8の上に設置されるとともに、上記第4 1(1)図5からみて室外機8と一体となったものであるから、本件特許発明1における「前記室外機に設けられ」ることに相当し、甲1発明における「室外空気中の水分を吸着する」「デシカントローター2」は、本件特許発明1における「室外空気の水分を吸収する」「吸収材」に相当する。
甲1発明における「加湿ユニット1の空気取り入れ口から、デシカントローター2を通過し、室内外接続ダクト7を経て室内機へと室外空気が搬送される第1の流路」は、「室外空気を」、「加湿ユニットの空気取り入れ口」から、「室内外接続ダクト7を経て室内機へと」「搬送」するものであって、室外と室内機とを接続するものであるから、本件特許発明1における「前記吸収剤を通過し、室外と前記室内機とを接続し、前記室内機に送られる室外空気が流れる第1の流路」に相当する。
甲1発明における「加湿ユニット1の空気取り入れ口から、デシカントローター2を通過し、室外機連通口9を通って室外機内部へ導かれ、室外熱交換器を通過した空気と共に室外機前方へと室外空気が排気される第2の流路」は、「加湿ユニット1の空気取り入れ口」と「室外機前方」とを接続するものであり、第2流路における室外空気は、「室外熱交換器を通過した空気と共に室外機前方へ」と「排気される」ものであって、室内機に送られるものではないから、本件特許発明1における「前記吸収材を通過し、室外と室外とを接続し、前記室内機に送られない室外空気が流れる第2の流路」に相当する。
甲1発明における「室内機15に室外空気を搬送するための」「再生ファン6」は、室内機に室外空気を搬送するため、室内機に向かう室外空気の流れを発生させることは明らかであるから、本件特許発明1における「前記室内機に向かう室外空気の流れを発生させる」「第1のファン」に相当する。
甲1発明における「室外空気を室外機前方へ排気するための室外機送風機である」「プロペラファン5」は、室外空気を室外機前方へ排気する際に、室外に向かう室外空気の流れが発生することは明らかであるから、本件特許発明1における「室外に向かう室外空気の流れを発生させる」「第2のファン」に相当する。
甲1発明における「第1の流路におけるデシカントローター2を通過する流路の途中で室外空気を加熱する加熱ヒータ3」と、本件特許発明1における「前記第1の流路における前記吸収材に対する上流側で室外空気を加熱するヒータ」とは、「前記第1の流路における前記吸収材を通過する室外空気を加熱するヒータ」という限りにおいて一致する。
甲1発明における「加熱ヒータ3により加熱された室外空気」は、本件特許発明1における「前記ヒータが室外空気を加熱し、加熱された室外空気」に相当するから、甲1発明における「加熱ヒータ3により加熱された室外空気がデシカントローター2の水分を奪って室内機15へ搬送されることにより加湿を行」うことは、本件特許発明1における「前記ヒータが室外空気を加熱し、加熱された室外空気が前記吸収材の水分を奪って前記室内機に向かう加湿運転を実行」することに相当する。

そうすると、両者の一致点及び相違点は次のとおりである。

[一致点]
「室内機と室外機とを備える空気調和機であって、
前記室外機に設けられ、室外空気の水分を吸収する吸収材と、
前記吸収材を通過し、室外と前記室内機内とを接続し、前記室内機に送られる室外空気が流れる第1の流路と、
前記吸収材を通過し、室外と室外とを接続し、前記室内機に送られない室外空気が流れる第2の流路と、
前記第1の流路に前記室内機に向かう室外空気の流れを発生させる第1のファンと、
前記第2の流路に室外に向かう室外空気の流れを発生させる第2のファンと、
前記第1の流路における前記吸収材を通過する室外空気を加熱するヒータと、を有し、
前記ヒータが室外空気を加熱し、加熱された室外空気が前記吸収材の水分を奪って前記室内機に向かう加湿運転を実行する、空気調和機。」

[相違点1]
「前記第1の流路における前記吸収材を通過する室外空気を加熱するヒータ」に関して、本件特許発明1においては、「前記第1の流路における前記吸収材に対する上流側で室外空気を加熱するヒータ」であるのに対して、甲1発明においては、「第1の流路におけるデシカントローター2を通過する流路の途中で室外空気を加熱する加熱ヒータ3」であって、加熱ヒータ3が、デシカントローター3に対する上流側で室外空気を加熱するものではない点。

[相違点2]
本件特許発明1においては、「前記空気調和機の空調運転停止後、前記第2のファンが所定の時間作動し、前記吸収材に前記第2の流路を室外に向かって流れる室外空気の水分を保持させる」のに対して、甲1発明においては、「プロペラファン5が回っているか、いないかに関わらず、デシカントローター2を停止させ、再生ファン6を動作させる給気換気運転だけを行うことができる」点。

以下、事案に鑑み、まず、相違点2について検討する。

[相違点2について]
本件特許発明1における「空気調和機の空調運転停止後」について、本件特許明細書を参酌すると、「空気調和機10は、室外空気Aoutを室内Rinに供給する、すなわち、室内Rinを換気する換気装置50を有する」(段落【0021】)のであって、「換気装置50は、・・・加湿運転、除湿運転、再生運転、および換気運転を実行するように構成」(段落【0045】)されており、換気運転中には、「室外空気Aoutがそのまま室内Rinに供給される。その結果、室内Rinが換気される」(段落【0065】)と記載されている。
そして、本件特許明細書の図11をみると、空調停止中においては、ダンパはOUT状態になっており、室内機への排気口52dは閉じられた状態(段落【0060】)となっていることからみて、本件特許発明1における空調運転停止中においては、室内と室外との間の空気のやりとりはされないものと解される。

【図11】


一方、甲1発明における「給気換気運転」は、再生ファン6を動作させて室外の新鮮な空気を室内に搬送するものである(第4 1(1)段落【0025】、【0031】)から、甲1発明における「給気換気運転」は、「空調運転停止中」に所定の時間行われるとはいえず、甲1発明における「給気換気運転」を、「空調運転停止中」に行うことにより、上記相違点2に係る本件特許発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得たとすることはできない。
また、上記相違点2に係る本件特許発明1の発明特定事項は、甲2ないし甲15のいずれにも記載がない。

そうすると、上記相違点1について検討するまでもなく、本件特許発明1は甲1発明ではなく、甲1発明から当業者が容易に発明することができたものではない。また、本件特許発明1は、甲1ないし甲15に基いて当業者が容易に発明することができたものではない。

・本件特許発明2ないし6について
本件特許の請求項2ないし6の記載は、請求項の記載を他の記載に置き換えることなく本件特許の請求項1を直接あるいは間接的に引用してされたものであるから、本件特許発明2ないし6は、本件特許発明1の発明特定事項を全て含むものであって、甲1発明との対比において上記相違点2を含むものである。

したがって、本件特許発明2ないし6は、甲1発明ではなく、甲1発明から当業者が容易に発明することができたものではない。また、本件特許発明2ないし6は、甲1ないし甲15に基いて当業者が容易に発明することができたものではない。

(2)甲2発明を引用発明とした場合の検討
・本件特許発明1について
本件特許発明1と甲2発明とを対比する。
甲2発明における「室内機20」、「室外機30」、「空気調和機10」は、本件特許発明1における「室内機」、「室外機」、「空気調和機」にそれぞれ相当する。
甲2発明における「室外機30が備える加湿ユニット60に設けられ」ることは、「加湿ユニット60」は、「室外機30」が備えるものであって「室外機30」の一部ともいえるから、本件特許発明1における「前記室外機に設けられ」ることに相当する。
甲2発明における「外気中から水分を吸着する」、「吸着ロータ63」は、本件特許発明1における「室外空気の水分を吸収する」、「吸収材」に相当する。
甲2発明における「吸入口72から吸い込まれた」「外気」は、本件特許発明1における「室外空気」に相当する。
甲2発明における「吸入口72から吸い込まれた外気が、吸着ロータ63を通過し、室外機30から給気ダクト18を経て室内機20へと向かう空気流れを形成する」「放湿経路」は、「外気」を「吸入口72」から吸い込んで、「吸着ロータ63を通過」した後、「給気ダクト18」を経て「室内機20」への空気が流れる流路を形成するものであるから、本件特許発明1における「前記吸収材を通過し、室外と前記室内機内とを接続し、前記室内機に送られる室外空気が流れる」「第1の流路」に相当する。
甲2発明における「吸着ロータ63を通過し、室外熱交換器33の背面側から室外熱交換器33を通して吸い込まれた外気が室外機30の正面側へと吹き出すための」「吸湿経路」は、「吸着ロータ63を通過」するものであって、「室外熱交換器33の背面側から室外熱交換器33を通して吸い込まれた外気が室外機30の正面側へと吹き出す」ことは、室外から室外に外気が流れることであって、この時、甲2において、室内機にも外気が送られることの特段の記載はないから、本件特許発明1における「前記吸収材を通過し、室外と室外とを接続し、前記室内機に送られない室外空気が流れる」「第2の流路」に相当する。
甲2発明における「室内機20へと向かう空気流れを発生させる」「ターボファン75」は、本件特許発明1における「前記室内機に向かう室外空気の流れを発生させる」「第1のファン」に相当する。
甲2発明における「外気が室外機30の正面側へと吹き出される空気流れを生成するための」「室外ファン39」は、本件特許発明1における「室外に向かう室外空気の流れを発生させる」「第2のファン」に相当する。
甲2発明における「放湿経路における吸着ロータ63を通過する流路の途中で外気を加熱するヒータ71」と、本件特許発明1における「前記第1の流路における前記吸収材に対する上流側で室外空気を加熱するヒータ」とは、「前記第1の流路における前記吸収材を通過する室外空気を加熱するヒータ」という限りにおいて一致する。
甲2発明における「加熱された外気が吸着ロータ63を通り抜けるときに吸着ロータ63が放湿して室内機20に向かう加湿運転」は、本件特許発明1における「加熱された室外空気が前記吸収材の水分を奪って前記室内機に向かう加湿運転」に相当する。

そうすると、両者の一致点及び相違点は次のとおりである。

[一致点]
「室内機と室外機とを備える空気調和機であって、
前記室外機に設けられ、室外空気の水分を吸収する吸収材と、
前記吸収材を通過し、室外と前記室内機内とを接続し、前記室内機に送られる室外空気が流れる第1の流路と、
前記吸収材を通過し、室外と室外とを接続し、前記室内機に送られない室外空気が流れる第2の流路と、
前記第1の流路に前記室内機に向かう室外空気の流れを発生させる第1のファンと、
前記第2の流路に室外に向かう室外空気の流れを発生させる第2のファンと、
前記第1の流路における前記吸収材を通過する室外空気を加熱するヒータと、を有し、
前記ヒータが室外空気を加熱し、加熱された室外空気が前記吸収材の水分を奪って前記室内機に向かう加湿運転を実行する、空気調和機。」

[相違点3]
「前記第1の流路における前記吸収材を通過する室外空気を加熱するヒータ」に関して、本件特許発明1においては、「前記第1の流路における前記吸収材に対する上流側で室外空気を加熱するヒータ」であるのに対して、甲2発明においては「放湿経路における吸着ロータ63を通過する流路の途中で外気を加熱するヒータ71」である点。

[相違点4]
本件特許発明1においては、「前記空気調和機の空調運転停止後、前記第2のファンが所定の時間作動し、前記吸収材に前記第2の流路を室外に向かって流れる室外空気の水分を保持させる」のに対して、甲2発明においては、「デフロスト運転時に室外ファン29を回転させて吸着ロータ63に室外熱交換器33で融けた霜の水分を多く含んだ空気を供給して水分を吸着させる」点。

以下、事案に鑑み、まず、相違点4について検討する。

[相違点4について]
甲2発明における「デフロスト運転」は、「吸着ロータ63」に「水分を吸着させる」ものであるが、「主に暖房運転時において、室外熱交換器33についた霜を取るために」(第4 2(1)段落【0030】)行われるのであって、デフロスト運転の終了後は加湿運転を開始する(第4 2(1)段落【0060】、図9)のであるから、空気調和機の運転の一過程において行われるものであって、空調運転終了後に行われるものとはいえない。
また、「デフロスト運転」は、技術常識からみて、暖房運転時に室外熱交換器33についた霜を取って暖房運転を行う上での支障を取り除いた後に、暖房運転を再開することが前提であるから、甲2発明における「デフロスト運転」を、「空調運転停止後」に行うことにより、上記相違点4に係る本件特許発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得たとすることはできない。
また、上記相違点4に係る本件特許発明1の発明特定事項は、甲2ないし甲15のいずれにも記載がない。

そうすると、上記相違点3について検討するまでもなく、本件特許発明1は甲2発明ではなく、甲2発明から当業者が容易に発明することができたものではない。また、本件特許発明1は、甲2ないし甲15に基いて当業者が容易に発明することができたものではない。

・本件特許発明2ないし6について
本件特許の請求項2ないし6の記載は、請求項の記載を他の記載に置き換えることなく本件特許の請求項1を直接あるいは間接的に引用してされたものであるから、本件特許発明2ないし6は、本件特許発明1の発明特定事項を全て含むものであって、甲2発明との対比において上記相違点4を含むものである。

したがって、本件特許発明2ないし6は、甲2発明ではなく、甲2発明から当業者が容易に発明することができたものではない。また、本件特許発明2ないし6は、甲2ないし甲15に基いて当業者が容易に発明することができたものではない。

(3)甲3発明を引用発明とした場合の検討
・本件特許発明1について
本件特許発明1と甲3発明とを対比する。
甲3発明における「室内機12」、「室外機11」は、本件特許発明1における「室内機」、「室外機」にそれぞれ相当する。
甲3発明における「室外機11が備える加湿ユニット50に設けられ」ることは、「加湿ユニット50」は、「室外機11」が備えるものであって、「室外機11」の一部といえるから、本件特許発明1における「前記室外機に設けられ」ることに相当する。
甲3発明における「外気の水分を吸着する」「加湿ロータ52」は、本件特許発明1における「室外空気の水分を吸収する」、「吸収材」に相当する。
甲3発明における「加湿ユニット50の内部空間と室内機12の内部空間とを連通させる吸排気ダクト15」は、本件特許発明1における「室外と前記室内機内とを接続」するものに相当する。
甲3発明における「室内機12に送られる外気」は、本件特許発明1における「前記室内機に送られる室外空気」に相当する。
甲3発明における「加湿用流路71」は、本件特許発明1における「第1の流路」に相当する。
甲3発明における「加湿ロータ52を通過し、第1吸着用空気取込口51b及び第2吸着用空気取込口51cを入口とし、吸着用空気吹出口51aを出口とする吸着用流路70」は、「第1吸着用空気取込口51b及び第2吸着用空気取込口51c」は外気を取り入れるためのものであり、「吸着用空気吹出口51a」は外気を排出するためのものである(上記第4 3(1)【図1】)から、室外と室外を接続するものといえ、室内機12に空気を送るという記載はないから、本件特許発明1における「前記吸収材を通過し、室外と室外とを接続し、前記室内機に送られない室外空気が流れる第2の流路」に相当する。
甲3発明における「室内機12に送られる外気の流れを発生させる」「吸排気ファン54」は、本件特許発明1における「前記室内機に向かう室外空気の流れを発生させる」「第1のファン」に相当する。
甲3発明における「加湿ロータ52の吸湿領域52aを通過した吸着用空気を吸着用空気吹出口51aから加湿ユニット50外に吹き出すための」「吸着用送風装置55」は、本件特許発明1における「室外に向かう室外空気の流れを発生させる」「第2のファン」に相当する。
甲3発明における「加湿用流路71における加湿ロータ63を通過する流路の途中で外気を加熱するヒータ56」と、本件特許発明1における「前記第1の流路における前記吸収材に対する上流側で室外空気を加熱するヒータ」とは、「前記第1の流路における前記吸収材を通過する室外空気を加熱するヒータ」という限りにおいて一致する。
甲3発明における「ヒータ56」により「加熱」された「加湿ユニット50内に取り込まれた加湿用空気」は、本件特許発明1における「加熱された室外空気」に相当し、甲3発明における「加湿ロータ52の水分を離脱させる」ことは、本件特許発明1における「前記吸収材の水分を奪」うことに相当するから、
甲3発明における「ヒータ56が、加湿ユニット50内に取り込まれた加湿用空気を加熱し、加湿ロータ52の水分を離脱させることにより、室内機12に送られる空気の加湿運転を実行する」ことは、本件特許発明1における「前記ヒータが室外空気を加熱し、加熱された室外空気が前記吸収材の水分を奪って前記室内機に向かう加湿運転」に相当する。

そうすると、両者の一致点及び相違点は次のとおりである。

[一致点]
「室内機と室外機とを備える空気調和機であって、
前記室外機に設けられ、室外空気の水分を吸収する吸収材と、
前記吸収材を通過し、室外と前記室内機内とを接続し、前記室内機に送られる室外空気が流れる第1の流路と、
前記吸収材を通過し、室外と室外とを接続し、前記室内機に送られない室外空気が流れる第2の流路と、
前記第1の流路に前記室内機に向かう室外空気の流れを発生させる第1のファンと、
前記第2の流路に室外に向かう室外空気の流れを発生させる第2のファンと、
前記第1の流路における前記吸収材を通過する室外空気を加熱するヒータと、を有し、
前記ヒータが室外空気を加熱し、加熱された室外空気が前記吸収材の水分を奪って前記室内機に向かう加湿運転を実行する、空気調和機。」

[相違点5]
「前記第1の流路における前記吸収材を通過する室外空気を加熱するヒータ」に関して、本件特許発明1においては、「前記第1の流路における前記吸収材に対する上流側で室外空気を加熱するヒータ」であるのに対して、甲3発明においては「加湿用流路71における加湿ロータ63を通過する流路の途中で外気を加熱するヒータ56」である点。

[相違点6]
本件特許発明1においては、「前記空気調和機の空調運転停止後、第2のファンが所定の時間作動し、前記吸収材に前記第2の流路を室外に向かって流れる室外空気の水分を保持させる」のに対して、甲3発明においては、空気調和機の空調運転終了後に、吸着用送風装置55を作動させて加湿ロータ52の吸湿領域52aに室外空気の水分を保持させる構成を有するか不明な点。

以下、事案に鑑み、まず、相違点6について検討する。

[相違点6について]
甲1技術は、「空気調和機において、室外空気を室外機前方へ排気するための室外機送風機であるプロペラファン5が回っているか、いないかに関わらず、室外機8の上に設置された加湿ユニット1に設けられ、室外空気中の水分を吸着するデシカントローター2を停止させ、再生ファン6を動作させる給気換気運転だけを行うことによりデシカントローター2への水分の吸着を行う技術」であり、
甲2技術は、「空気調和機において、デフロスト運転時に室外ファン29を回転させて、室外機30が備える加湿ユニット60に設けられている、外気中から水分を吸着する吸着ロータ63に室外熱交換器33で融けた霜の水分を多く含んだ空気を供給して水分を吸着させる技術」である。
しかし、甲1技術は給気換気運転において、甲2技術はデフロスト運転中に、吸収材に水分を吸着するための技術であるものの、上記(1)、(2)で判断したとおり、空調運転停止後に行われるものとはいえないから、甲3発明に甲1技術、または甲2技術を適用することにより、上記相違点6に係る本件特許発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得たとすることはできない。
また、上記相違点6に係る本件特許発明1の発明特定事項は、甲4ないし甲15のいずれにも記載がない。

そうすると、上記相違点5について検討するまでもなく、本件特許発明1は甲3発明に甲1技術または甲2技術を適用することにより当業者が容易に発明することができたものではない。また、本件特許発明1は、甲3及び甲1、2、4ないし甲15に基いて当業者が容易に発明することができたものではない。

・本件特許発明2ないし6について
本件特許の請求項2ないし6の記載は、請求項の記載を他の記載に置き換えることなく本件特許の請求項1を直接あるいは間接的に引用してされたものであるから、本件特許発明2ないし6は、本件特許発明1の発明特定事項を全て含むものであって、甲3発明との対比において上記相違点6を含むものである。

したがって、本件特許発明2ないし6は、甲3発明に甲1技術または甲3技術を適用することにより当業者が容易に発明することができたものではない。また、本件特許発明2ないし6は、甲1ないし甲15に基いて当業者が容易に発明することができたものではない。

2 申立理由2(特許法第36条第6項第1号)について
(1)請求項1の「空気調和機の空調運転停止後」に関して

本件特許明細書には、「空気調和機の運転停止後」に関して次のとおり記載されている。
「【0007】
本発明によれば、空調運転の開始後すぐに、室内の加湿を十分に且つ素早く行うことが可能な空気調和機を提供することができる。」
「【0009】
本発明の一態様の空気調和機は、室内機と室外機とを備える空気調和機であって、前記室外機に設けられ、室外空気の水分を吸収する吸収材と、前記吸収材を通過し、室外と前記室内機内とを接続し、室外空気が流れる第1の流路と、前記吸収材を通過し、室外空気が室外から室外に流れる第2の流路と、前記第1の流路に前記室内機に向かう室外空気の流れを発生させる第1のファンと、前記第2の流路に室外空気の流れを発生させる第2のファンと、前記第1の流路における前記吸収材に対する上流側で室外空気を加熱するヒータと、を有し、前記ヒータが室外空気を加熱し、加熱された室外空気が前記吸収材の水分を奪って前記室内機に向かう加湿運転を実行し、前記空気調和機の空調運転停止後、前記第2のファンが所定の時間作動し、前記吸収材に水分を保持させる。
【0010】
このような一態様によれば、空調運転の開始後すぐに、室内の加湿を十分に且つ素早く行うことが可能な空気調和機を提供することができる。」
「【0053】
さらにまた、図11に示すように、空気調和機10の空調運転停止後(タイミングTe後)、第2のファン84が所定の時間作動してもよい。この場合、室内機20のファン24、室外機30のファン34、および圧縮機36が停止しているにもかかわらず、換気装置50の第2のファン84が回転する。これにより、空気調和機10の空調運転停止後、吸収材58に水分が蓄えられる。その結果、その後の空調運転の開始と同時に加湿運転が実行された場合、吸収材58の水分の保持量が不足なく十分な状態で、加湿運転を確実に実行することができる。すなわち、空調運転の開始後すぐに、室内Rinの加湿を十分に且つ素早く行うことができる。」
「図11



上記段落【0053】、及び図11には、空気調和機10の空調運転停止後すぐに第2のファン84が所定の時間作動することについて記載されている。
ここで、「空気調和機10の運転停止後」とは、文言上、空気調和機10の運転停止した後、すなわち、空気調和機10が運転停止した後すぐ、という場合と、空気調和機10が運転停止してから間隔を空けて、という場合の両方を含むのであり、仮に、第2のファンの作動が、空気調和機10が運転停止してから間隔を空けた場合であっても、前記吸収材に水分を保持させることが可能であるとともに、「空調運転の開始後すぐに、室内の加湿を十分に且つ素早く行うことが可能な空気調和機を提供する」(段落【0007】)という課題を解決できることは明らかである。
そうすると、本件特許明細書において、上記段落【0053】、及び図11には、空気調和機10の空調運転停止後すぐに第2のファン84が所定の時間作動することについて記載されているのは一例であって、空気調和機10の空調運転停止後とは、空気調和機10の空調運転停止後から第2のファン84が所定の時間作動する時点までの間を空けることを併せて意味していることは文言上明らかであって、本件特許の課題とも整合する。
したがって、上記本件明細書の記載は、本件特許の請求項1に記載の「空気調和機10の運転停止後」に関して、空気調和機10の空調運転停止後すぐに第2のファン84が所定の時間作動することのみならず、空気調和機10の空調運転停止後から第2のファン84が所定の時間作動する時点までの間隔を空けることも併せて開示していると認められるから、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載は、「空気調和機の空調運転停止から次の空調運転開始までの期間内のいずれかにおいて、」第2のファンを作動させることを実質的に含んでいると解される。
したがって、本件特許発明の範囲まで、発明の詳細な説明に記載された内容を拡張ないし一般化できないとすることはできない。

(2)請求項1の「空気調和機の空調運転停止後」関して、「空調運転停止後も加湿運転を継続する場合」を含むか否かについて

請求項1の「空気調和機の空調運転停止後」に関して、「空気調和機の空調運転停止後」が文言上、加湿運転を継続する場合を含むとはいえず、上記(1)における本件特許明細書段落【0007】には、「本発明によれば、空調運転の開始後すぐに、室内の加湿を十分に且つ素早く行うことが可能な空気調和機を提供することができる」と記載されていることからみて、空気調和機の空調運転停止後に加湿運転を行うと、吸収材から水分が失われてしまい、空調運転の開始後すぐに、室内の加湿を十分に且つ素早く行うことが困難となると考えられるから、請求項1の「空気調和機の空調運転停止後」は、そもそも「空調運転停止後も加湿運転を継続する場合」を想定していないといえる。
したがって、本件特許の請求項1に記載の「空気調和機10の運転停止後」に関して、「空調運転停止後も加湿運転を継続する場合」を含むとはいえないから、本件特許発明の範囲まで、発明の詳細な説明に記載された内容を拡張ないし一般化できないとすることはできない。

(3)請求項4の「前記空調運転開始時間前」に関して

本件特許明細書には、「空気調和機」の「空調運転開始時間前」に関して次のとおり記載されている。
「【0054】
加えて、図11に示すように、空気調和機10の空調運転開始前(タイミングT0前)に、第2のファン84が作動し始めてもよい。これにより、空気調和機10の空調運転開始前に、吸収材58に水分が蓄えられる。その結果、その後の空調運転の開始と同時に加湿運転が実行された場合、吸収材58の水分の保持量が不足なく十分な状態で、加湿運転を確実に実行することができる。なお、この場合、図1に示すコントローラ42が、ユーザによる空調運転の開始時間の設定操作が可能に構成されており、その開始時間の所定の時間前から第2のファン84が回転し始める。所定の時間は、例えば、吸収材58の水分の保持量がゼロから最大になるまでに要する時間である。」

上記段落【0054】、及び上記(1)図11には、空気調和機10の空調運転開始時間前に第2のファン84が所定の時間作動することについて記載されている。
ここで、「空調運転開始時間前」に作動するとは、文言上、空気調和機10の運転開始時間と間隔を空けずに作動する場合と、運転開始時間より前に運転開始時間と間隔を空けて作動する、という場合の両方を含むのであり、仮に、第2のファンの作動が、運転開始時間より前に運転開始時間と間隔を空けて作動した場合であっても、前記吸収材に水分を保持させることができるとともに、「空調運転の開始後すぐに、室内の加湿を十分に且つ素早く行うことが可能な空気調和機を提供する」(上記(1)段落【0007】)という課題を解決できることは明らかである。
そうすると、本件特許明細書において、上記段落【0054】、及び図11には、空気調和機10の空調運転開始時間前に空調運転開始時間との間に間隔を空けずに第2のファン84が所定の時間作動することについて記載されているのは一例であって、空調運転開始時間前とは、空気調和機10の空調運転開始時間と、第2のファン84が所定の時間作動する時点に間で間隔を空けることを併せて開示していることは文言上明らかであって、本件特許の課題に関する記載とも整合する。
したがって、上記本件明細書の記載は、本件特許の請求項4に記載の「空調運転開始時間前」に関して、空気調和機10の空調運転開始時間前に間隔を空けずに第2のファン84が所定の時間作動することのみならず、空気調和機10の空調運転開始時間と、第2のファン84が所定の時間作動する時点までの間で間隔を空けることを併せて意味していることは文言上明らかであって、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載は、「前回の空気調和機の空調運転停止から空調運転開始までの期間内のいずれかにおいて、」第2のファンを作動させることを実質的に含んでいると解される。
そうすると、本件特許発明の範囲まで、発明の詳細な説明に記載された内容を拡張ないし一般化できないとすることはできない。

3 申立理由3(特許法第36条第6項第2号
請求項6には、「前記第1の流路が、室外空気が通過するラビリンスを含んでいる」と記載されているが、「ラビリンス」は当該技術分野において慣用されておらず、本件特許明細書及び特許請求の範囲のいずれにも語義が定義されていないから、「ラビリンス」の意味が明確でないという理由に関して

「ラビリンス」(labyrinth)とは、一般的には、「迷路」、「込み入った通路」(新グローバル英和辞典第2版 2002年1月10日 第3刷発行 1076ページ)という意味であって、本件特許明細書には、「ラビリンス」に関して以下の記載がある。
「【0035】
図8に示すように、第1および第2のヒータ76A、76Bには、ヒータカバー80によって覆われている。そのため、流路R1、R2を流れる室外空気Aoutは、まず、第1および第2のヒータ76A、76Bに進入するために、側壁部80aの外側面に沿って降下する。次に、室外空気Aoutは、隙間に進入して上方向に移動する。続いて、室外空気Aoutは、第1および第2のヒータ76A、76Bを貫通して移動する。そして、室外空気Aoutは、吸収材58の上面58aに向かって降下する。すなわち、2つの流路R1、R2は、室外空気Aoutが通過するラビリンスを含んでいる。
【0036】
室外空気Aoutが流れる流路R1、R2が室外空気Aoutが通過するラビリンスを含むことにより、室外空気Aoutに含まれる塵や砂などが換気導管56、室内機20、および室内Rinに届くことが抑制される。すなわち、室外空気Aoutがラビリンスを移動するときに塵や砂などが重力によって室外空気Aoutから分離される。なお、室外空気Aoutから分離した塵などを受け止めて回収するトレイ82が、第1および第2のヒータ76A、76B近傍の隔壁板78の部分に設けられている。」
「【図8】



したがって、本件特許の請求項6でいう「ラビリンス」とは、上記記載を参酌すると、室外空気Aoutが、流れる流路に沿って一旦降下し、次に上方向に移動するような込み入った形状の通路という意味において明確である。

第6 むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立書に記載した申立理由及び証拠によっては、本件請求項1ないし6に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1ないし6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。



 
異議決定日 2022-08-24 
出願番号 P2020-168617
審決分類 P 1 651・ 121- Y (F24F)
P 1 651・ 537- Y (F24F)
P 1 651・ 113- Y (F24F)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 間中 耕治
特許庁審判官 槙原 進
松下 聡
登録日 2021-11-04 
登録番号 6970930
権利者 パナソニックIPマネジメント株式会社
発明の名称 空気調和機  

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