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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) F01N
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) F01N
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) F01N
管理番号 1388679
総通号数 10 
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-10-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-12-23 
確定日 2022-09-08 
事件の表示 特願2015−88049「往復動ピストン内燃機関、排気ガス処理部及び往復動ピストン内燃機関の運転方法」拒絶査定不服審判事件〔平成27年12月3日出願公開、特開2015−214970〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成27年4月23日(パリ条約による優先権主張2014年(平成26年)5月9日欧州特許庁(EP)、2014年(平成26年)6月4日欧州特許庁(EP))の出願であって、平成30年12月26日付け(発送日:平成31年1月8日)で拒絶理由が通知され、令和元年7月3日に意見書及び手続補正書が提出され、令和元年12月9日付け(発送日:同年12月11日)で拒絶理由が通知され、令和2年6月11日に意見書が提出されたが、令和2年8月26日付け(発送日:同年8月28日)で拒絶査定がされ、これに対して令和2年12月23日に拒絶査定不服審判が請求され、令和3年7月8日付け(発送日:同年7月9日)で当審において拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、令和4年1月7日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1ないし18に係る発明は、令和4年1月7日の手続補正により補正がされた特許請求の範囲の請求項1ないし18に記載されたとおりのものであるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりである。

「【請求項1】
複数のシリンダ(2)を備える往復動ピストン内燃機関であって、
各前記シリンダ(2)は、排出バルブ(3)を有し、
各前記シリンダ(2)は、一方の側部において燃焼室(4)の境界を形成し且つ上死点(OT)と下死点(UT)との間で前記シリンダ(2)内を往復移動可能に配置されるピストン(5)を有し、
排気ガスマニホールド(11)が、排気ガス(7)が全ての前記複数のシリンダ(2)からそれぞれの前記排出バルブ(3)を経由して前記排気ガスマニホールド(11)に供給されることができるように設けられ、
各前記シリンダ(2)に対して、触媒コンバータ(8)、バイパスライン(9)、及び切り替え装置(10)を有する排気ガス処理部(8910)が、前記排気ガス(7)が前記燃焼室(4)から前記排気ガスマニホールド(11)に二者択一で前記触媒コンバータ(8)を経由して又は前記バイパスライン(9)を経由して供給されることができるように、設けられ、
前記排気ガス処理部(8910)は、前記排気ガス(7)が前記燃焼室(4)から前記排気ガス処理部(8910)を経由して前記排気ガスマニホールド(11)に供給されることができるように、前記複数のシリンダ(2)の1つと前記排気ガスマニホールド(11)との間に設けられる、
往復動ピストン内燃機関。」

第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は、次のとおりである。

理由1.(新規性)この出願の請求項1、6、10、12及び15に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

理由2.(進歩性)この出願の請求項1ないし18に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

理由3.(明確性)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)
●理由1(新規性)、理由2(進歩性)について
・請求項1、6、10、12及び15:引用文献4

●理由2(進歩性)について
・請求項1ないし8、12ないし17:引用文献1及び2
・請求項9及び18:引用文献1ないし3
・請求項10及び11:引用文献1ないし4

●理由3(明確性)について
(1)請求項2ないし18
請求項1の記載では、「排気ガス処理部」を各「シリンダ」ごとに設けることを特定しているにもかかわらず、請求項2の記載では、「排気ガス処理部」を複数の「シリンダ」に関連付けることを特定しているので、請求項2に係る発明の「排気ガス処理部」がどのように配置されるのか不明である。
よって、請求項2に係る発明及び請求項2に係る発明を直接的又は間接的に引用する請求項3ないし18に係る発明は明確でない。

(2)請求項14ないし18
「ガスモード」及び「液体モード」という記載は、請求項13で特定されるので、請求項14の記載が請求項12の記載を引用する場合、請求項14の上記記載以前に「ガスモード」及び「液体モード」という記載は存在しないから、「前記」が何を示すのか不明である。
よって、請求項14に係る発明及び請求項14に係る発明を直接的又は間接的に引用する請求項15ないし18に係る発明は明確でない。

<引用文献等一覧>
1.米国特許出願公開第2013/0213363号明細書
2.国際公開第2012/123634号
3.特開2000−279766号公報
4.特開平3−100313号公報

第4 引用文献の記載事項
1 引用文献1
当審拒絶理由において引用され、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった米国特許出願公開第2013/0213363号明細書(以下、「引用文献1」という。)には、「METHOD FOR OPERATING AN AUTO-IGNITION INTERNAL COMBUSTION ENGINE(当審訳:自己着火内燃機関を運転するための方法)」に関して、次の記載がある(下線は、理解の一助のために当審が付与した。以下同様。)。

(1)「BRIEF DESCRIPTION OF THE DRAWING
[0022] An illustrative embodiment of the invention is explained in greater detail below with reference to the drawing, in which FIG. 1 is a schematic illustration of an internal combustion engine for diesel operation and dual-substance operation.
DETAILED DESCRIPSION OF THE PREFERRED EMBODIMENTS
[0023] An auto-ignition six-cylinder reciprocating-piston four-stroke internal combustion engine 1 for a motor vehicle, in particular a commercial vehicle, is illustrated in FIG. 1 to the extent necessary for an understanding of the invention, it being possible to operate said engine with a liquid fuel or diesel oil in single-substance mode and with diesel oil as a source of ignition and an alternative fuel or, in this case, natural gas (CH4) in a dual-substance mode.」
(当審訳:図面の簡単な説明
[0022] 本発明の例示的な実施形態について、図面を参照して以下でより詳細に説明する図であり、図1は、ディーゼル運転及びデュアル物質運転のための内燃機関の概略図である。
好ましい実施形態の詳細な説明
[0023] モータ車両、特に、商用車のための自己着火式6気筒往復ピストン式4ストローク内燃機関1は、本発明の理解に必要な範囲で、図1に示すように、シングル物質モードにおいては液体燃料またはディーゼル油で、また、デュアル物質モードにおいては点火源としてのディーゼル油ともう一つの燃料、すなわち、この場合では、天然ガス(CH4)で、前記機関を動作させることが可能である。)

(2)「[0027] On the exhaust gas side, the internal combustion engine 1 has an exhaust manifold 13, which is connected to the combustion chambers by exhaust ducts (without a reference sign) and to which the exhaust turbine 3b of the high-pressure stage and then the exhaust turbine 2b of the low-pressure stage are connected by a common exhaust line 14.」
(当審訳:[0027] 排気ガス側では、内燃機関1は、排気マニホールド13を備えており、排気マニホールド13は排気ダクト(参照符号なし)によって各燃焼室に接続されるとともに、高圧段の排気タービン3bと低圧段排気タービン2bは、共通の排気ライン14によって接続されている。)

(3)「[0031] CH4 oxidation catalysts 20 are inserted in the exhaust manifold 13 or in the exhaust ducts leaving the combustion chambers of the internal combustion engine 1; additional CH4 oxidation catalysts 20 are furthermore provided in the exhaust line 14 upstream of the exhaust turbines 3b, 2b, said catalysts oxidizing HC and CO components in the exhaust gas to H2O and CO2, given appropriate oxygen saturation, above the light-off temperature thereof of about 450 degrees C.」
(当審訳:[0031] CH4酸化触媒20は、排気マニホールド13又は内燃機関1の燃焼室を出る各排気ダクトの中に挿入されている。;追加のCH4酸化触媒20は排気タービン3b、2bの上流で排気ライン14中にさらに設けられており、前記触媒は適切な酸素飽和度と活性化温度すなわち約450℃より高温の場合、排気ガス中のHC、CO成分を酸化してH2OとCO2にする。)

(4)「

」(Figure 1)

したがって、上記記載事項及び認定事項並びに図面の図示内容からみて、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されている。

〔引用発明1〕
「自己着火式6気筒往復ピストン式4ストローク内燃機関1であって、
内燃機関1の排気ガス側には各燃焼室に対して排気ダクトが接続され、複数の排気ダクトが排気マニホールド13に接続され、
CH4酸化触媒20は、内燃機関1の各燃焼室を出る各排気ダクトに挿入されている、
自己着火式6気筒往復ピストン式4ストローク内燃機関1。」

2 引用文献2
当審拒絶理由において引用され、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった国際公開第2012/123634号(以下、「引用文献2」という。)には、「OPERATING METHOD AND EXHAUST SYSTEM FOR AN INTERNAL COMBUSTION ENGINE(当審訳:内燃機関の運転方法及び排気システム)」に関して、次の記載がある。

(1)「According to another embodiment of the invention, the exhaust gases of the engine are guided in a by-pass duct past the oxidation catalyst when the engine is operated on liquid fuel. By guiding the exhaust gases past the oxidation catalyst, deactivation by sulfur can be avoided.」(明細書3頁26ないし29行)
(当審訳:本発明の別の実施形態によれば、エンジンは、液体燃料で運転されるエンジンの排気ガスが酸化触媒を通るバイパスダクトに案内されている。酸化触媒を通過させて排気ガスを案内することによって、硫黄による失活を回避することができる。)

(2)「In figure 1 is shown an internal combustion engine 1 that can be operated on gaseous fuel. In the embodiment described here, the engine 1 is a dual-fuel engine, which can also be operated on liquid fuel. However, the engine 1 could also be a gas engine that is operated only on gaseous fuel. Liquid pilot fuel can be used in the engine 1 for igniting the gaseous fuel. The intake air of the engine 1 is pressurized by a turbocharger 2. The turbocharger 2 comprises a turbine 2a that is connected to the exhaust duct 4 of the engine 1 and a compressor 2b that is connected to the intake duct 5. An oxidation catalyst 3 is arranged between the engine 1 and the turbine 2a of the turbocharger 2 for reducing carbon monoxide (CO) and hydrocarbon (HC) emissions, especially methane emissions of the engine 1. In the oxidation catalyst 3 noble metals, such as platinum or palladium, act as catalyst allowing oxidation of CO and HC by residual oxygen of the exhaust gases.」(明細書5頁10行ないし21行)
(当審訳:図1にはガス状の燃料で運転させることが可能な内燃機関1が示されている。ここで説明する実施形態では、エンジン1は、デュアルフューエルエンジンであり、液体燃料で運転させることも可能である。しかし、エンジン1はまた、気体燃料のみを作動させてガスエンジンであってもよい。この液体パイロット燃料は、エンジン1内の気体燃料を点火するために使用することができる。エンジン1の吸気は、ターボチャージャー2によって加圧されている。ターボチャージャー2は、エンジン1の排気ダクト4に連結されたタービン2a及び吸気ダクト5に連結される圧縮機2bを備えている。酸化触媒3は、一酸化炭素(CO)及び炭化水素(HC)の排出、特にエンジン1のメタン排出を削減するために、エンジン1とターボチャージャー2のタービン2aの間に設けられている。酸化触媒3では、白金又はパラジウムのような貴金属が、排ガスの残留酸素によるCOおよびHCの酸化を可能にする触媒として作用する。)

(3)「The engine 1 also comprises a by-pass duct 6, through which the exhaust gases can be guided past the oxidation catalyst 3. The inlet of the by-pass duct 6 is connected to the exhaust duct 4 between the engine 1 and the oxidation catalyst 3. The outlet of the bypass duct 6 is connected to the exhaust duct 4 between the oxidation catalyst 3 and the turbine 2a of the turbocharger 2. The by-pass duct 6 is provided with a by-pass valve 7 for controlling the exhaust gas flow through the duct 6. The exhaust duct 4 is provided with an isolation valve 17 that is arranged between the inlet of the by-pass duct 6 and the oxidation catalyst 3.」(明細書6頁11行ないし18行)
(当審訳:エンジン1はまた、バイパスダクト6を備えており、このバイパスダクト6を通じて、酸化触媒3を避けて排気ガスを誘導することができる。バイパスダクト6の入口はエンジン1と酸化触媒3との間の排気ダクト4に接続されている。バイパスダクト6の出口は酸化触媒3とターボチャージャー2のタービン2aとの間の排気ダクト4に接続されている。バイパスダクト6にはダクト6を通る排気ガスの流れを制御するバイパスバルブ7が設けられている。排気ダクト4にはバイパスダクト6の入口と酸化触媒3の間に配置された遮断弁17が設けられている。)

(4)「When the engine 1 is operated on liquid fuel, the exhaust gases are guided into the by-pass duct 6 by opening the by-pass valve 7 and closing the isolation valve 17. Since the oxidation catalyst 3 is very sensitive to sulfur, even exhaust gases of low-sulfur fuel would deactivate the oxidation catalyst 3 quickly. By using the by-pass duct 6 for passing the oxidation catalyst 3, the need for the regeneration of the catalyst 3 can be reduced.」(明細書9頁19行ないし24行)
(当審訳:エンジン1が液体燃料で運転されているとき、排気ガスは、バイパスバルブ7を開き遮断弁17を閉じることで、バイパスダクト6内に導かれる。酸化触媒3は硫黄に対して非常に影響を受けやすいため、低硫黄の燃料でさえ、排気ガスは酸化触媒3をすぐに失活させてしまうだろう。酸化触媒3を迂回するためのバイパスダクト6を使用することにより、触媒3の再生の必要性を低減することができる。)

(5)「

」(FIG.1)

上記記載事項及び図面の図示内容からみて、引用文献2には、次の事項(以下、「引用文献2記載事項」という。)が記載されている。

〔引用文献2記載事項〕
「バイパスダクト6の入口は、デュアルフューエルエンジンであるエンジン1と酸化触媒3との間の排気ダクト4に接続され、バイパスダクト6の出口は、酸化触媒3とターボチャージャー2のタービン2aとの間の排気ダクト4に接続され、
エンジン1が液体燃料で運転されているときに、酸化触媒3の硫黄による失活を回避するため、バイパスバルブ7を開き、遮断弁17を閉じることで、排気ガスをバイパスダクト6に導くこと。」

3 引用文献4
当審拒絶理由において引用され、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開平3−100313号公報(以下、「引用文献4」という。)には、「多シリンダ式内燃機関の排ガス装置」に関して、次の記載がある。

(1)「請求項5に記載した本発明の有利な構成では、始動時用触媒が旋回フラツプによつて閉鎖可能な中央通路と、この中央通路を取り囲んで触媒材料を有する環状通路とを有している。機関の暖機運転段階では、この環状通路が閉鎖される。すなわち、全ての排ガスは触媒材料を充てんされた前記環状通路を通つて流れる訳である。暖機運転段階の終了後に中央通路が開放されると、環状通路には少量の排ガスしか流れなくなるので、触媒材料の過剰加熱を心配しなくて済む。」(2頁右下欄12行ないし3頁左上欄1行)

(2)「直列型4シリンダエンジンのシリンダヘツド1からは、4つの排気ガス導管2、3、4、5が延びている。これらの排気ガス導管には、同じ大きさの4つの始動時用触媒6が接続されており、これらの始動時用触媒は旋回フラツプ7によつて閉鎖可能な円形の各1つの中央通路8と、この中央通路を同心的に取り囲んで触媒材料9を充てんされた各1つの環状通路10とを有している。」(3頁左上欄10行ないし18行)

(3)「始動時用触媒はマニホルド14を介して共通の排ガス管15に接続されており、この排ガス管は主触媒16を有している。」(3頁右上欄2行ないし4行)

(4)「始動時用触媒に後置された主触媒が充分な動作温度に到達するやいなや、前記始動時用触媒はバイパス通路の開放によって無効となる。」(3頁右上欄8行ないし10行)

(5)「

」(第1図及び第2図)

上記記載事項及び図面の図示内容からみて、引用文献4には、次の発明(以下、「引用発明4」という。)が記載されている。

〔引用発明4〕
「直列型4シリンダエンジンのシリンダヘツド1を備え、4つの排気ガス導管2、3、4、5に接続された4つの始動時用触媒6は、シリンダヘツド1とマニホルド14との間に設けられ、4つの排気ガス導管2、3、4、5には、同じ大きさの4つの始動時用触媒6が接続されており、これらの始動時用触媒6は旋回フラツプ7によって閉鎖可能な円形の各1つの中央通路8と、中央通路8を同心的に取り囲んで触媒材料9を充てんされた各1つの環状通路10とを有し、バイパス通路である中央通路8を開放すると、環状通路10には少量の排ガスしか流れなくなることにより、始動時用触媒6は無効となる、多シリンダ式内燃機関の排ガス装置。」

第5 対比・判断
1 引用発明1を主引用発明とした場合
(1)対比
本願発明と引用発明1とを対比すると、引用発明1における「自己着火式6気筒往復ピストン式4ストローク内燃機関1」は、その機能、構成又は技術的意義からみて、本願発明の「複数のシリンダ(2)を備える往復動ピストン内燃機関」に相当し、以下同様に、「燃焼室」は「燃焼室(4)」に、「排気マニホールド13」は「排気ガスマニホールド(11)」に、「CH4酸化触媒20」は「触媒コンバータ」に、それぞれ相当する。

また、引用発明1の「自己着火式6気筒往復ピストン式4ストローク内燃機関1」は、4ストローク内燃機関であるから、各気筒すなわち各シリンダが、排出バルブを有し、各前記シリンダが、一方の側部において燃焼室の境界を形成し且つ上死点(OT)と下死点(UT)との間で前記シリンダ内を往復移動可能に配置されるピストンを有することは、明らかである。
そして、引用発明1の「内燃機関1の排気ガス側には各燃焼室に対して排気ダクトが接続され、複数の排気ダクトが排気マニホールド13に接続され」ることは、各シリンダ内に各燃焼室があることが当業者の技術常識であるから、本願発明の「排気ガスマニホールド(11)が、排気ガス(7)が全ての前記複数のシリンダ(2)からそれぞれの前記排出バルブ(3)を経由して前記排気ガスマニホールド(11)に供給されることができるように設けられ」ることに相当する。

さらに、引用発明1の「CH4酸化触媒20は、内燃機関1の各燃焼室を出る各排気ダクトに挿入されている」態様と、本願発明の「各前記シリンダ(2)に対して、触媒コンバータ(8)、バイパスライン(9)、及び切り替え装置(10)を有する排気ガス処理部(8910)が、前記排気ガス(7)が前記燃焼室(4)から前記排気ガスマニホールド(11)に二者択一で前記触媒コンバータ(8)を経由して又は前記バイパスライン(9)を経由して供給されることができるように、設けられ、前記排気ガス処理部(8910)は、前記排気ガス(7)が前記燃焼室(4)から前記排気ガス処理部(8910)を経由して前記排気ガスマニホールド(11)に供給されることができるように、前記複数のシリンダ(2)の1つと前記排気ガスマニホールド(11)との間に設けられる」態様とは、「各前記シリンダに対して、触媒コンバータを有する排気ガス処理部が、設けられ、前記排気ガス処理部は、前記排気ガスが前記燃焼室から前記排気ガス処理部を経由して前記排気ガスマニホールドに供給されることができるように、前記複数のシリンダの1つと前記排気ガスマニホールドとの間に設けられる」態様の限りにおいて一致している。

よって、両者には、次の一致点、相違点がある。

〔一致点〕
「複数のシリンダを備える往復動ピストン内燃機関であって、
各前記シリンダは、排出バルブを有し、
各前記シリンダは、一方の側部において燃焼室の境界を形成し且つ上死点と下死点との間で前記シリンダ内を往復移動可能に配置されるピストンを有し、
排気ガスマニホールドが、排気ガスが全ての前記複数のシリンダからそれぞれの前記排出バルブを経由して前記排気ガスマニホールドに供給されることができるように設けられ、
各前記シリンダに対して、触媒コンバータを有する排気ガス処理部が設けられ、
前記排気ガス処理部は、前記排気ガスが前記燃焼室から前記排気ガス処理部を経由して前記排気ガスマニホールドに供給されることができるように、前記複数のシリンダの1つと前記排気ガスマニホールドとの間に設けられる、
往復動ピストン内燃機関。」

〔相違点1〕
本願発明は「各前記シリンダ(2)に対して」、「バイパスライン(9)、及び切り替え装置(10)を有」し、「前記排気ガス(7)が前記燃焼室(4)から前記排気ガスマニホールド(11)に二者択一で前記触媒コンバータ(8)を経由して又は前記バイパスライン(9)を経由して供給され」るのに対して、引用発明1は「バイパスライン」及び「切り替え装置」を有していない点。

(2)判断
上記相違点1について検討する。
引用発明1は、液体燃料を用いる(段落[0023]参照。)ものであって、エンジンが液体燃料で運転されているときに、CH4酸化触媒20が硫黄により失活するおそれがあるという課題を内在しているから、引用発明1において当該課題を解決するために引用文献2記載事項を適用して、各排気ダクトに挿入されたそれぞれのCH4酸化触媒20に対して、バイパスダクト、バイパス弁及び遮断弁をそれぞれ設けて硫黄による失活を回避可能な構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。
そして、引用発明1において引用文献2記載事項を適用して、各排気ダクトに挿入されたそれぞれのCH4酸化触媒20に対して、バイパスダクト、バイパス弁及び遮断弁をそれぞれ設けたものは、バイパス弁及び遮断弁の開閉によって、二者択一でCH4酸化触媒20を経由して又はバイパスダクトを経由して排気ガスが流れるものである。
したがって、引用発明1に引用文献2記載事項を適用して、本願発明1の上記相違点1に係る発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

また、本願発明の奏する効果は、引用発明1及び引用文献2記載事項から予測し得る範囲のものであって、全体としてみても、格別なものではない。

(3)小括
したがって、本願発明は、引用発明1および引用文献2記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

2 引用発明4を主引用発明とした場合
(1)対比
本願発明と引用発明4とを対比すると、引用発明4の「直列型4シリンダエンジン」は、その機能、構成又は技術的意義からみて、本願発明の「往復動ピストン内燃機関」に相当し、以下同様に、「始動時用触媒6」は「排気ガス処理部(8910)」に、「触媒材料9」は「触媒コンバータ(8)」に、「マニホルド14」は「排気ガスマニホールド(11)」に、それぞれ相当する。

そして、引用発明4の「直列4シリンダエンジン」は「シリンダヘツド1」を備えるものであり、さらに第1図の図示内容及びエンジンの技術常識を踏まえると、「4つのシリンダ」を備えることが明らかであるから、引用発明4の当該「4つのシリンダ」は本願発明の「複数のシリンダ(2)」に相当する。
さらに、技術常識から、引用発明4の「直列4シリンダエンジン」は、4つのシリンダにおける各シリンダが排出バルブを有し、各前記シリンダは、一方の側部において燃焼室の境界を形成し且つ上死点(OT)と下死点(UT)との間で前記シリンダ内を往復移動可能に配置されるピストンを有していることは、明らかである。
また、直列4シリンダエンジンにおいては各シリンダ内に各燃焼室があることが技術常識であるから、上記相当関係を踏まえると、引用発明4の「4つの排気ガス導管2、3、4、5に接続された4つの始動時用触媒6は、シリンダヘツド1とマニホルド14との間に設けられ」ることは、本願発明の「排気ガスマニホールド(11)が、排気ガス(7)が全ての前記複数のシリンダ(2)からそれぞれの前記排出バルブ(3)を経由して前記排気ガスマニホールド(11)に供給されることができるように設けられ」ることに相当する。

次に、引用発明4の「旋回フラツプ7」は、「始動時用触媒6」における「円形の各1つの中央通路8」を「閉鎖可能な」ものであり、「旋回フラツプ7」で中央通路8を閉鎖する場合は中央通路8に排気ガスが流れず、「バイパス通路である中央通路8を開放すると、環状通路10には少量の排ガスしか流れなくなることにより、始動時用触媒6は無効となる」ように構成されたものであるから、中央通路8の閉鎖と開放を切り替えるための装置といえ、本願発明の「切り替え装置」に相当する。
そして、引用発明4の「バイパス通路である中央通路8」は、「開放すると、環状通路10には少量の排ガスしか流れなくなることにより、始動時用触媒6は無効となる」ものであり、排ガスの大部分が中央通路8に流れることで始動時用触媒6を「バイパス」する機能を有しているから、本願発明の「バイパスライン」に相当する。
したがって、上記相当関係を踏まえると、引用発明4の「4つの排気ガス導管2、3、4、5には、同じ大きさの4つの始動時用触媒6が接続されており、これら始動時用触媒6は旋回フラツプ7によって閉鎖可能な円形の各1つの中央通路8と、中央通路8を同心的に取り囲んで触媒材料9を充てんされた各1つの環状通路10とを有し、バイパス通路である中央通路8を開放すると、環状通路10には少量の排ガスしか流れなくなることにより、始動時用触媒6は無効となる」ことと、本願発明の「各前記シリンダ(2)に対して、触媒コンバータ(8)、バイパスライン(9)、及び切り替え装置(10)を有する排気ガス処理部(8910)が、前記排気ガス(7)が前記燃焼室(4)から前記排気ガスマニホールド(11)に二者択一で前記触媒コンバータ(8)を経由して又は前記バイパスライン(9)を経由して供給されることができるように、設けられ、前記排気ガス処理部(8910)は、前記排気ガス(7)が前記燃焼室(4)から前記排気ガス処理部(8910)を経由して前記排気ガスマニホールド(11)に供給されることができるように、前記複数のシリンダ(2)の1つと前記排気ガスマニホールド(11)との間に設けられる」ていることとは、「各前記シリンダに対して、触媒コンバータ、バイパスライン、及び切り替え装置を有する排気ガス処理部が設けられ、前記排気ガス処理部は、前記排気ガスが前記燃焼室から前記排気ガス処理部を経由して前記排気ガスマニホールドに供給されることができるように、前記複数のシリンダの1つと前記排気ガスマニホールドとの間に設けられる」という限りにおいて一致する。

よって、両者は、次の点で一致し、一応相違する。

〔一致点〕
「複数のシリンダを備える往復動ピストン内燃機関であって、
各前記シリンダは、排出バルブを有し、
各前記シリンダは、一方の側部において燃焼室の境界を形成し且つ上死点と下死点との間で前記シリンダ内を往復移動可能に配置されるピストンを有し、
排気ガスマニホールドが、排気ガスが全ての前記複数のシリンダからそれぞれの前記排出バルブを経由して前記排気ガスマニホールドに供給されることができるように設けられ、
各前記シリンダに対して、触媒コンバータ、バイパスライン、及び切り替え装置を有する排気ガス処理部が設けられ、
前記排気ガス処理部は、前記排気ガスが前記燃焼室から前記排気ガス処理部を経由して前記排気ガスマニホールドに供給されることができるように、前記複数のシリンダの1つと前記排気ガスマニホールドとの間に設けられる、
往復動ピストン内燃機関。」

〔相違点2〕
本願発明は「前記排気ガス(7)が前記燃焼室(4)から前記排気ガスマニホールド(11)に二者択一で前記触媒コンバータ(8)を経由して又は前記バイパスライン(9)を経由して供給される」のに対して、引用発明4は、中央通路8を閉鎖していると、排ガスは環状通路10を通って流れ、バイパス通路である中央通路8を開放すると、排ガスの大部分は中央通路8を通って流れる点。

(2)判断
上記相違点2について検討する。
まず、本願発明の「前記排気ガス(7)が前記燃焼室(4)から前記排気ガスマニホールド(11)に二者択一で前記触媒コンバータ(8)を経由して又は前記バイパスライン(9)を経由して供給される」の意味に関して検討する。
本願明細書の段落【0036】では、開口101を有する制御可能なバルブによって、排気ガス7が、二者択一で開口101を通って触媒コンバータ8に流れることができる又はバイパスライン9を通って迂回されると説明されている。ここで、本願の図2aでは、以下に示すように、排気ガス7の流れを示す矢印が触媒コンバータ8の上方と下方に図示されており、触媒コンバータ8の上方のバイパスライン9は切り替え装置10と無関係に解放され排気ガス7が流れ、触媒コンバータ8の下方は切り替え装置10に設けられた開口101を通って排気ガス7が流れている様子が図示されている。
そうすると、本願の図2a、図2bからは、開口101が解放されて、排気ガス7が開口101を通ってバイパスライン9に流れるとともに、排気ガス7が触媒コンバータ8に流れることを阻止する構成は看取できない。図2aには切り替え装置10に上下動する矢印が示されているものの、これが何を意味するのか本願明細書には何ら説明はなく、段落【0036】に、単に「開口101が触媒コンバータ8へのアクセスを解放するか又は制御可能なバルブによって他の位置で閉鎖されるかに依存して、排気ガス7は、二者択一で開口101を通って触媒コンバータに流れることができる又はバイパスライン9を通って迂回されることができる。」とのみ記載されているだけであって、切り替え装置10を切り替えた際に、触媒コンバータへの流入を阻止することまでは記載がない。そして図2aからは、バイパスライン9に流れる際に触媒コンバータ8へ排ガスが流れ得るとも解することができる。
つまり、開口101が解放されてバイパスライン9に排気ガス7が流れる際には、排気ガス7が部分的に触媒コンバータ8に流れると解しうる。

<本願の図2a>

そうすると、本願発明の「二者択一で前記触媒コンバータ(8)を経由して又は前記バイパスライン(9)を経由して供給されることができる」とは、「バイパスライン(9)を経由して供給される」場合に「触媒コンバータ(8)」には排気ガスが全く流れないことまで限定されていないと解され、排気ガスの一方の経路を解放し、他方の経路を閉じ、全ての排気ガスが一方の経路に流れる場合だけではなく、排気ガスが一方の経路(バイパスライン)の開閉によるものも含むと解される。
そして、引用発明4は、旋回フラツプ7によって中央通路8を閉鎖して触媒材料9が充てんされた環状通路10のみを排気ガスが流れる状態と、旋回フラツプ7によりバイパス通路である中央通路8を開放して、環状通路10には少量の排ガスしか流れなくなることで始動時用触媒を無効にする状態という、「二者択一」の状態で排気ガスの供給をするものであるから、排ガスを「二者択一」で環状通路10又は中央通路8に供給している。
したがって、上記相違点2は実質的な相違点でないから、本願発明は、引用発明4である。

また、「二者択一」が、「バイパスライン(9)を経由して供給される」場合に「触媒コンバータ(8)」には排気ガスが全く流れないことを意味するものであるとしても、引用発明4は「始動時用触媒6」を無効とするものであるから、そのために、排ガスをバイパス通路である中央通路8のみに流して始動時用触媒6に流れないようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
そして、本願発明が奏する効果は、引用発明4から予測し得た範囲内のものである。

(3)小括
したがって、本願発明は、引用発明4と同一の発明であるか、または、引用発明4に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第6 審判請求人の主張について
1 主張の概要
審判請求人(以下、「請求人」という。)は、令和4年1月7日提出の意見書(以下、単に「意見書」という。)において、概略、以下の主張をしている。
(主張1)引用文献1において、酸化触媒(oxidation catalyst 20)の各々に対してバイパスラインを設けることは不可能であるか、少なくとも自明ではない。引用文献1の装置において排気ダクトのそれぞれにバイパスラインと切り替え装置を設けることは、かなり複雑な改修となるはずであり、また、排気ダクト間にも十分なスペースがあるとはいえない。
一方、引用文献2の装置は、まず全シリンダのすべての排気ガスを回収し、回収した排気ガスが触媒3又はバイパスライン6を通過するように設計されている。当業者が引用文献1及び2を組み合わせたとしても、あえて、各シリンダと、各シリンダからの排気ガスが集められる排気ガスマニホールドとの間のそれぞれに酸化触媒及びバイパスラインが配置される構成とすることについて、明確な動機があるようには思えない。
(主張2)本願請求項1の「前記排気ガス(7)が前記燃焼室(4)から前記排気ガスマニホールド(11)に二者択一で前記触媒コンバータ(8)を経由して又は前記バイパスライン(9)を経由して供給される」との記載における「二者択一で」とは、排気ガスが触媒コンバータ8又はバイパスライン9のいずれかによって排気ガスマニホールドに供給されるという意味であり、触媒コンバータ8及びバイパスライン9の両方を経由することはない。これは明細書の段落【0036】に明確に記載されている。図2aに示す第1の位置では、排気ガス7はバイパスライン9のみを通過し、触媒コンバータ8を通過することはできず、他の位置では、切り替え装置10が上方に移動したときに、排気ガスは触媒コンバータ8のみを通過し、バイパスライン9を通過することはできない。
一方、引用文献4の装置では、図1及び図2における中央通路8の開放後、触媒材料9への入り口は開いたままであり、引用文献4の2頁右下欄18−20行目には、バルブ7が開放されても触媒材料9を通る排ガスの流れが少量といえども存在することが明記されている。引用文献4には、排ガスが中央通路8のみを通過する構成は開示されていない。本発明において、排気ガスが触媒コンバータを通過しない構成とできることは重要な特徴であり、これにより、ガス以外の燃料での運転において、メタン量を減少させるための触媒コンバータの損傷を回避する効果がある(本願明細書の段落【0013】及び【0014】参照)。

2 主張1についての検討
引用文献2記載事項は、
「バイパスダクト6の入口は、デュアルフューエルエンジンであるエンジン1と酸化触媒3との間の排気ダクト4に接続され、バイパスダクト6の出口は、酸化触媒3とターボチャージャー2のタービン2aとの間の排気ダクト4に接続され、
エンジン1が液体燃料で運転されているときに、酸化触媒3の硫黄による失活を回避するため、バイパスバルブ7を開き、遮断弁17を閉じることで、排気ガスをバイパスダクト6に導くこと。」
というものである。
また、引用発明1において、各CH4酸化触媒20ごとにバイパスを設けることが不可能である事情はないし、阻害事由があるとはいえない。
そして、引用発明1において、エンジンが液体燃料で運転されているときに、酸化触媒の硫黄による失活を回避するためには、それぞれのCH4酸化触媒20をバイパスする必要があるところ、引用発明1は各排気ダクトのそれぞれにCH4酸化触媒20が設けられているから、引用文献2記載事項を適用すると、各排気ダクトに挿入されたそれぞれのCH4酸化触媒20に対して、バイパスダクト、バイパス弁及び遮断弁をそれぞれ設けて硫黄による失活を回避可能な構成となる。
したがって、本願発明1は、引用発明1に引用文献2記載事項を適用して、当業者が容易に発明をすることができたものである。
よって、請求人の上記主張1は採用できない。

3 主張2についての検討
上記「第4 2(2)」で述べたとおりであって、本願明細書の段落【0036】並びに図2a及び図2bを考慮しても、請求人が意見書で主張するような「「二者択一で」とは、排気ガスが触媒コンバータ8又はバイパスライン9のいずれかによって排気ガスマニホールドに供給されるという意味であり、触媒コンバータ8及びバイパスライン9の両方を経由することはない。」と限定的に解釈する理由は本願明細書及び図面には見当たらない。本願明細書の段落【0036】では、「排気ガス7は、二者択一で開口101を通って触媒コンバータに流れることができる又はバイパスライン9を通って迂回されることができる」と記載されているが、バイパスライン9を通って迂回される場合に触媒コンバータに排気ガスが流れないよう阻止する構成があるとは出願当初の本願明細書及び図面からは把握できない。そして、段落【0036】の記載と図2aの図示内容を踏まえれば、上記「第4 2(2)」で述べたとおり、本願発明の「二者択一」とは、排気ガスの一方の経路を解放し、他方の経路を閉じ、全ての排気ガスが一方の経路に流れる場合だけではなく、排気ガスが一方の経路の開閉によるものも含むと解されるから、(後者の場合に対応する)引用発明4は、排気ガスを二者択一で環状通路10又は中央通路8に供給しているといえる。
したがって、上記相違点2は実質的な相違点でないから、本願発明は、引用発明4である。
よって、請求人の上記主張2は採用できない。

第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当するため特許を受けることができず、また、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲 (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。

審判長 佐々木 正章
出訴期間として在外者に対し90日を附加する。
 
審理終結日 2022-03-30 
結審通知日 2022-04-01 
審決日 2022-04-19 
出願番号 P2015-088049
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (F01N)
P 1 8・ 113- WZ (F01N)
P 1 8・ 537- WZ (F01N)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 佐々木 正章
特許庁審判官 鈴木 充
西中村 健一
発明の名称 往復動ピストン内燃機関、排気ガス処理部及び往復動ピストン内燃機関の運転方法  
代理人 特許業務法人浅村特許事務所  
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