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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G06F
審判 査定不服 特174条1項 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1388716
総通号数 10 
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-10-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-02-04 
確定日 2022-10-13 
事件の表示 特願2019− 88064「電子機器のための回転入力機構」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年 8月15日出願公開、特開2019−135674、請求項の数(16)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2014年(平成26年)6月3日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2013年6月11日 米国)を国際出願日とする出願である特願2016−519540号の一部を平成29年12月7日に新たな特許出願としたものである、特願2017−234976号の更にその一部を、令和元年5月8日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和 元年 5月22日 :手続補正書の提出
令和 2年 6月11日付け:拒絶理由通知書
令和 2年 9月15日 :意見書、手続補正書の提出
令和 2年10月 6日付け:拒絶査定
令和 3年 2月 4日 :拒絶査定不服審判の請求、手続補正書の提

令和 3年10月20日付け:拒絶理由(当審拒絶理由1)通知書
令和 4年 2月22日 :意見書、手続補正書の提出
令和 4年 4月 7日付け:拒絶理由(当審拒絶理由2)通知書
令和 4年 8月 3日 :意見書、手続補正書の提出

第2 原査定の概要
原査定(令和2年10月6日付け拒絶査定)の概要は、次のとおりである。

1 理由1(進歩性
本願請求項1〜4,7,8,16〜20に係る発明は、以下の引用文献A,B,Fに記載された発明に基いて、本願請求項5,6,9〜13に係る発明は、以下の引用文献A〜C,Fに記載された発明に基いて、本願請求項14に係る発明は、以下の引用文献A〜D,Fに記載された発明に基づいて、本願請求項15に係る発明は、以下の引用文献A〜C,E,Fに記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献A: 米国特許出願公開第2007/0211042号明細書
引用文献B: 特表2010−515153号公報
引用文献C: 米国特許出願公開第2011/0249378号明細書
引用文献D: 特開2011−221659号公報
引用文献E: 特表2009−540399号公報
引用文献F: 特開2009−9382号公報

2 理由2(サポート要件)
この出願は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
請求項3には、「第1のモードにおいて、前記フィードバックデバイスは、前記回転入力によって前記竜頭が回転するときに、第1の触覚フィードバックを提供するように構成され、第2のモードにおいて、前記フィードバックデバイスは、前記回転入力によって前記竜頭が回転するときに、前記第1の触覚フィードバックとは異なる第2の触覚フィードバックを提供するように構成されている」との記載があるが、本願の発明の詳細な説明には、モードに応じて異なる触覚フィードバックを提供することは記載されていない。
請求項12,13の記載についても、本願の発明の詳細な説明には記載されていない。
よって、請求項3,12,13に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものではない。

3 理由3(新規事項)
令和元年5月22日付け手続補正書でした補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
補正後の請求項3の記載について、モードに応じて異なる触覚フィードバックを提供することは、本願の当初明細書等に記載されておらず、また、本願の当初明細書等から自明な事項でもない。
補正後の請求項12,13の記載についても、本願の当初明細書等に記載されておらず、また、本願の当初明細書等から自明な事項でもない。

第3 当審拒絶理由の概要
1 当審拒絶理由1
当審が令和3年10月20日付けで通知した拒絶理由(以下、「当審拒絶理由1」という。)の概要は次のとおりである。

(1)理由1(進歩性
本願請求項1〜3,6,7,13〜17に係る発明は、以下の引用文献U〜Xに記載された発明に基づいて、本願請求項4,8,9,11,12に係る発明は、以下の引用文献U〜Yに記載された発明に基づいて、本願請求項5,10に係る発明は、以下の引用文献U〜Zに記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献U: 特開2005−17011号公報
引用文献V: 特表2010−515153号公報(原査定の引用文献B)
引用文献W: 特開平9−14941号公報
引用文献X: 特開2002−71480号公報
引用文献Y: 米国特許出願公開第2011/0249378号明細書(原査定の引用文献C)
引用文献Z: 米国特許出願公開第2007/0211042号明細書(原査定の引用文献A)

(2)理由2(サポート要件)
この出願は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
請求項11には、「前記フィードバックデバイスは、前記回転入力を検出するように構成されている」が、請求項11が引用する請求項8には、「前記回転入力を検出するように構成された光回転センサ」と記載されているから、請求項11に係る発明の「電子時計」は、「前記回転入力を検出する」手段として、「光回転センサ」及び「フィードバックデバイス」の2つを備えるものである。
しかしながら、「前記回転入力を検出する」手段として、「光回転センサ」及び「フィードバックデバイス」の2つを備える「電子時計」について、発明の詳細な説明に記載又は示唆されているとは認められない。
よって、請求項11に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでない。

2 当審拒絶理由2
当審が令和4年4月7日付けで通知した拒絶理由(以下、「当審拒絶理由2」という。)の概要は次のとおりである。

(1)理由1(進歩性
本願請求項1〜3,5〜7,12〜16に係る発明は、引用文献1〜4に記載された発明に基づいて、本願請求項4,8〜11に係る発明は、引用文献1〜5に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1: 米国特許出願公開第2007/0211042号明細書(原査定の引用文献A、当審拒絶理由1の引用文献Z)
引用文献2: 特表2010−515153号公報(原査定の引用文献B、当審拒絶理由1の引用文献V)
引用文献3: 特開平9−14941号公報(当審拒絶理由1の引用文献W)
引用文献4: 特開2002−71480号公報(当審拒絶理由1の引用文献X)
引用文献5: 米国特許出願公開第2011/0249378号明細書(原査定の引用文献C、当審拒絶理由1の引用文献Y)

(2)理由2(明確性
この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
請求項8において、「電子時計」が「回転入力及び平行移動入力を受け取るように構成された竜頭」と「前記回転入力を検出するように構成された光回転センサ」とを「備え」るとの特定がされているが、当該請求項では「平行移動入力」が「検出」の対象であるとの特定はされていないから、「平行移動入力」とはどのような「入力」であるのか不明である。
請求項12の記載についても同様である。
よって、請求項8〜16に係る発明は明確でない。

第4 本願発明
本願請求項1〜16に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」〜「本願発明16」という。)は、令和4年8月3日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1〜16に記載された事項により特定されるものであって、本願発明1,8,12は次のとおりの発明である。

「【請求項1】
開口部を画定するエンクロージャと、
前記エンクロージャ内に位置する処理要素と、
前記処理要素に動作可能に接続され、回転入力及び平行移動入力を受け取るように構成された竜頭であって、
ユーザ回転可能な竜頭ヘッドと、
前記ユーザ回転可能な竜頭ヘッドに接続され、前記開口部内に延長しているシャフトと、を含む竜頭と、
前記エンクロージャの内面に沿って、前記エンクロージャに結合された支持構造体と、
前記エンクロージャ内に位置し、前記処理要素に動作可能に接続され、前記シャフトから反射された光を用いて前記回転入力を検出するように構成された回転センサと、
前記支持構造体に結合され、前記支持構造体の表面と前記シャフトの端部との間に位置する押しつぶし可能なドームスイッチであって、前記処理要素に動作可能に接続され、前記平行移動入力によって作動するように構成されたドームスイッチと、
前記処理要素に動作可能に接続され、前記回転入力によって前記竜頭が回転するときに、触覚フィードバックを提供するように構成されたフィードバックデバイスと、を備え、
前記触覚フィードバックは、前記処理要素によって動的に構成可能である、電子時計。」

「【請求項8】
エンクロージャと、
前記エンクロージャ内に位置する処理要素と、
前記処理要素に動作可能に接続され、前記エンクロージャ内に少なくとも部分的に位置するタッチ感知ディスプレイであって、タッチ入力を受け取り、グラフィック出力を提供するように構成されている、タッチ感知ディスプレイと、
前記エンクロージャの開口部を通って延長し、回転入力及び平行移動入力を受け取るように構成された竜頭と、
前記エンクロージャ内に位置し、区画を画定する支持構造体と、
前記区画内に少なくとも部分的に位置するスイッチであって、前記竜頭の前記平行移動入力を検出するように構成されたスイッチと、
前記支持構造体に結合された光回転センサであって、前記竜頭のシャフトから反射された光を用いて前記回転入力を検出するように構成された光回転センサと、
前記エンクロージャ内に位置し、前記処理要素に動作可能に接続されたフィードバックデバイスであって、前記処理要素から受け取った信号に応答して、動的な触覚フィードバックを前記竜頭に提供するように構成されたフィードバックデバイスと、を備え、
前記動的な触覚フィードバックは、前記グラフィック出力又は前記回転入力の少なくとも1つに対応する、電子時計。」

「【請求項12】
電子時計の竜頭が回転したときに動的な触覚フィードバックを生成する方法であって、
前記竜頭のシャフトから反射された光を検出することにより、前記竜頭における回転入力を検出することであって、前記竜頭は、前記回転入力の結果として回転し、平行移動入力の結果として平行移動するように構成されている、ことと、
前記電子時計の処理要素が、前記竜頭が回転したときに生成する動的な触覚フィードバックを決定することと、
前記処理要素が、前記動的な触覚フィードバックを提供する信号を出力することと、
フィードバックデバイスが、前記動的な触覚フィードバックを提供するために前記竜頭の回転に関連する力を変えることと、
前記シャフトの端部と前記電子時計内の支持構造体の表面との間に位置する押しつぶし可能なドームスイッチで前記平行移動入力を検出することと、
前記平行移動入力を検出することに応答して、前記電子時計のディスプレイのグラフィック出力を修正することと、を含む方法。」

なお、本願発明2〜7は、本願発明1を、本願発明9〜11は、本願発明8を、本願発明13〜16は、本願発明12を、それぞれ減縮した発明である。

第5 引用文献、引用発明等
1 引用文献1、引用発明1
(1)当審拒絶理由2にて引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審による。以下同様。)。

「[0020]As shown in FIG. 1, the wristwatch type portable terminal includes a substantially round main body, a ring-shaped vessel 11 including the first input means surrounding an LCD screen 14, a plurality of general key buttons 13 located on the vessel 11, and a stern-type rotational button 12 as the second input means at a side of the main body.
[0021]Various information may be displayed to users in the form of a text or graphic image during the operation of the portable terminal. The vessel 11 is mounted to be rotated in a clockwise and/or counterclockwise direction. The vessel 11 includes the plurality of general key buttons 13 which serve as a keypad. The rotational button 12 may be rotated in a clockwise and/or a counterclockwise direction and can be pressed for input.
[0022]FIG. 2 is a block diagram of a portable mobile communication terminal according to the present invention. Referring to FIG. 2, the portable mobile communication terminal includes a controller 15, a memory 18, a display device 19, the rotational button 12, the vessel 11, a keypad 17, a sensor 16, a base-band processor 20, a Radio Frequency (RF) module 21, and an audio processor 22.」
(当審訳: [0020]図1に示すように、腕時計型携帯端末は、実質的に円形の本体、LCDスクリーン14を囲む第1の入力手段を含むリング状のベゼル11、ベゼル11上に配置された複数の一般的なキーボタン13、及び、本体の横側における第2の入力手段として船尾型の回転ボタン12を備えている。
[0021]携帯用端末の動作中、種々の情報がテキストまたはグラフィックイメージの形式でユーザに表示され得る。ベゼル11は、時計回り及び/又は反時計回りに回転するように取り付けられている。ベゼル11は、キーパッドとしての役割を果たす複数の一般的なキーボタン13を含む。回転ボタン12は、時計回り及び/又は反時計回りに回転され得るものであり、入力のために押されることができる。
[0022]図2は、本発明に係る携帯移動通信端末のブロック図である。図2を参照すると、携帯移動通信端末は、制御部15、メモリ18、表示装置19、回転ボタン12、ベゼル11、キーパッド17、センサ16、ベースバンド処理部20、RF(Radio Frequency)モジュール21、及びオーディオ処理部22を備えている。)

「[0032]If users desired to select one of the displayed key images, they may use the rotational button 12. If the users rotate the rotational button 12, the sensor 16 senses the rotation of the rotational button 12 and outputs sensor data corresponding to the sensed degree of rotation to the controller 15. The controller 15 moves a cursor on the key image according to the input sensor data. For example, if the rotational button 12 is rotated counterclockwise, the controller 15 moves the cursor counterclockwise and thus, the key image in which the cursor is located is also rotated counterclockwise. If the users press the rotational button 12, the sensor 16 outputs corresponding sensor data to the controller 15. The controller 15 then performs an operation corresponding to the key image in which the cursor is located according to the input sensor data.」
(当審訳: [0032]ユーザが表示されたキー画像の一つを選択することを望むならば、回転ボタン12を使用し得る。ユーザが回転ボタン12を回転すると、センサ16は、回転ボタン12の回転を検知し、検知した回転角度に対応するセンサデータを制御部15に出力する。制御部15は、入力されたセンサデータに応じて、キー画像上にカーソルを移動させる。例えば、回転ボタン12が反時計回りに回転されると、制御部15は、反時計回りにカーソルを移動し、カーソルが位置するキー画像も反時計回りに回転する。ユーザが回転ボタン12を押すと、センサ16は、対応するセンサデータを制御部15に出力する。すると、制御部15は、入力センサデータに基づいて、カーソルが位置するキー画像に対応する動作を実行する。)

「[0035]The users may use the rotational button 12 to select one of sub menus when a main menu and a sub menu list of the main menu are displayed. The controller 15 recognizes the rotation direction of the rotational button 12 through the sensor 16 and changes the position of the cursor on a sub menu according to the rotation direction. Thereafter, if user's pressing of the rotational button 12 is sensed, the controller 15 performs an operation corresponding to a sub menu in which the cursor is currently located. For example, if the rotation of the rotational button 12 is sensed when sub menus of the message main menu are displayed as in the second screen 32, the controller 15 moves the cursor from the “1. Message box” sub menu to the “3. Multi mail” sub menu according to the rotation direction. If the rotation of the rotational button 12 is continuously sensed, the controller 15 scrolls other sub menus that are not shown in the second screen 32 and displays the sub menus and the cursor on the LCD screen 14.」
(当審訳: [0035]ユーザは、メインメニューとメインメニューのサブメニューのリストが表示された際、サブメニューの1つを選択するために、回転ボタン12を使用してもよい。制御部15は、センサ16を介して、回転ボタン12の回転方向を認識し、その回転方向に応じてサブメニュー上のカーソルの位置を変更する。その後、回転ボタン12のユーザによる押下が感知されれば、制御部15は、カーソルが現在位置しているサブメニューに対応する動作を行う。例えば、メッセージメインメニューのサブメニューが第2の画面32のように表示される際に回転ボタン12の回転が感知されれば、制御部15は、回転方向に応じて「1. メッセージボックス」サブメニューから「3. マルチメール」サブメニューにカーソルを移動させる。回転ボタン12の回転が連続的に検出された場合、制御部15は、第2画面32に示されていない他のサブメニューをスクロールし、LCDスクリーン14上にサブメニュー及びカーソルを表示する。)

(図1)「



(図2)「



(図4B)「

」(当審注:段落[0035]に記載されている「第2の画面32」を示す図である。)

(2)上記(1)から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。

「制御部15、回転ボタン12、センサ16を備え、
ユーザが回転ボタン12を回転すると、センサ16は、回転ボタン12の回転を検知し、検知した回転角度に対応するセンサデータを制御部15に出力し、
ユーザが回転ボタン12を押すと、センサ16は、対応するセンサデータを制御部15に出力し、
制御部15は、センサ16を介して、回転ボタン12の回転方向を認識し、その回転方向に応じてサブメニュー上のカーソルの位置を変更し、その後、回転ボタン12のユーザによる押下が感知されれば、制御部15は、カーソルが現在位置しているサブメニューに対応する動作を行い、例えば、メッセージメインメニューのサブメニューが表示される際に回転ボタン12の回転が感知されれば、制御部15は、回転方向に応じて「1. メッセージボックス」サブメニューから「3. マルチメール」サブメニューにカーソルを移動させ、回転ボタン12の回転が連続的に検出された場合、制御部15は、他のサブメニューをスクロールし、LCDスクリーン14上にサブメニュー及びカーソルを表示する、
腕時計型携帯端末。」

2 引用文献U
(1)当審拒絶理由1にて引用された引用文献Uには、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0008】
【発明の実施の形態】
次に本発明の好適な実施の形態について図面を参照して説明する。
[1]第1実施形態
図1は、第1実施形態の腕時計型情報処理装置10の外観構成を示す図である。本第1実施形態において、この腕時計型情報処理装置10は、ダイバーが潜水時に使用可能なダイバーズ用情報処理装置である。
腕時計型情報処理装置10は、大別すると、ケース11と、表示パネル12と、回転ベゼル13と、バンド14とを備えている。ケース11は、後述する各種センサ、マイクロコンピュータなどを格納するものであり、金属或いはプラスチックから形成されている。表示パネル12は、時刻などの各種情報などの各種画面を表示するものであり、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイといったドットマトリクス方式の薄型ディスプレイで構成されている。この表示パネル12は、円形状である。回転ベゼル13は、表示パネル12を囲むリング状(円環状)の部材であり、ケース本体11A(図3参照)に対して摺動可能に配置され、これにより、表示パネル12を略中心として回転する。バンド14は、ユーザが腕時計型情報処理装置10を身体(主に腕等)に装着するために用いられる。尚、この他にも腕時計型情報処理装置10は、ケース11の側面等に配設されたボタンスイッチ(押下式スイッチ)などの入力部40(図6参照)を備えている。」

「【0016】
次いで、腕時計型情報処理装置10の電気的構成について説明する。図6は、腕時計型情報処理装置10の機能的構成を示すブロック図である。この図において、MPU100は、表示パネル12の表示制御などの腕時計型情報処理装置10全体の制御を行う。ROM101は、MPU100により実行される制御プログラムなどの各種プログラムをあらかじめ格納している。RAM102は、MPU100のワークエリアとして用いられるものであり、各種データやMPU100の計算結果を一時的に記憶する。入力部40は、ケース本体11Aの側面などに設けられたボタンスイッチであり、時刻修正や、後述する動作モードの切り換えなどに用いられる。」

「【0018】
次いで図6において、波形整形回路118は、センサユニット37A、37Bからの第1検出信号A及び第2検出信号Bに対して波形整形を行い、回転ベゼル13の回転状態に応じた複数のパルス信号を回転情報生成ユニット119に出力するものである。回転情報生成ユニット119は、波形整形回路118から出力された複数のパルス信号をそれぞれカウントし、回転ベゼル13の回転状態(回転量、回転方向、回転速度など)に対応する回転情報を生成し、回転情報データとしてMPU100に出力する。より具体的には、回転情報生成ユニット119は、第1検出信号Aに基づくパルス信号の立ち上がりタイミングが、第2検出信号Bに基づくパルス信号の立ち上がりタイミングよりも早いか否かで回転ベゼル13の回転方向を検知する。即ち、上述のように、回転ベゼル13が時計回りに回転する場合には、第2検出信号Bが第1検出信号Aよりも位相進むため、第1検出信号Aに基づくパルス信号の立ち上がりタイミングが第2検出信号に基づくパルスの立ち上がりタイミングよりも遅ければ、回転ベゼル13が時計回りに回転していると検知される。また、これとは逆に、第1検出信号Aに基づくパルス信号の立ち上がりタイミングが第2検出信号に基づくパルスの立ち上がりタイミングよりも早ければ、回転ベゼル13が反時計回りに回転していると検知される。また、回転ベゼル13の回転量は、パルス信号のパルス数から検知され、回転速度は、パルス信号の出力間隔或いはパルス信号のパルス幅から検知されることになる。」

「【0045】
[7]第7実施形態
以上の各実施形態においては、操作子として回転ベゼルを用いる場合を例として説明したが、操作子としてはこれに限られるものではない。本第7実施形態においては、操作子として、りゅうずを用いる場合の実施形態である。
図23は、第7実施形態の腕時計型情報処理装置の部分断面図である。
腕時計型情報処理装置10Bには、りゅうず支持部71に回転可能な状態で指示されたりゅうず72が設けられている。
このりゅうず72のケース11A内には、ロータリーエンコーダ73を構成する透光溝が形成された円形パネル73Aが取り付けられている。そして、円形パネル73Aに対応する位置には、LED及びフォトディテクタが一体に配置され、ロータリーエンコーダ73を構成する光センサユニット73Bが配置されている。この光センサユニット73Bは、第1実施形態におけるセンサユニット37A、37Bと同様の機能を有しており、りゅうず72の回転に伴って、その回転方向、回転量、回転速度などを検出するように構成されている。
従って、本第7実施形態によれば、操作子としてりゅうず72及びりゅうず72の操作状態検出のためにロータリーエンコーダ73を用いることにより、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。」

「【図23】



(2)段落【0018】の下線部の記載によれば、段落【0008】以降(【0008】〜【0027】)に記載されている「第1実施形態」において、「腕時計型情報処理装置10」の「センサユニット37A、37B」は、「MPU100」に(機能的に)接続されて動作するといえる。
一方、段落【0045】の下線部の記載によれば、「第7実施形態」の「腕時計型情報処理装置10B」は、「第1実施形態」における「回転ベゼル13」や「センサユニット37A、37B」の代わりに、「りゅうず72」や「光センサユニット73B」を用いる以外は、「第1実施形態」の「腕時計型情報処理装置10」と基本的な構成が共通である。
また、「光センサユニット73B」が、「第1実施形態」の「センサユニット37A、37B」と同様に「MPU100」に接続されて動作することは、自明である。

(3)引用文献Uの上記(1)の記載について、特に「第7実施形態」に着目の上、上記(2)も加味すると、同文献には次の発明(以下、「引用発明U」という。)が記載されていると認められる。

「表示パネル12を備えた腕時計型情報処理装置であって、
表示パネル12は、時刻などの各種情報などの各種画面を表示し、
MPU100は、表示パネル12の表示制御などの腕時計型情報処理装置全体の制御を行い、
りゅうず支持部71に回転可能な状態で指示されたりゅうず72が設けられており、このりゅうず72のケース11A内には、ロータリーエンコーダ73を構成する透光溝が形成された円形パネル73Aが取り付けられており、そして、円形パネル73Aに対応する位置には、LED及びフォトディテクタが一体に配置され、ロータリーエンコーダ73を構成する光センサユニット73Bが配置されており、この光センサユニット73Bは、りゅうず72の回転に伴って、その回転方向、回転量、回転速度などを検出するように構成されており、
光センサユニット73Bは、MPU100に接続されて動作する、
腕時計型情報処理装置。」

3 引用文献2
(1)当審拒絶理由2にて引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0070】
図4は、本発明の一具現化例における振動触感フィードバックによる仮想回り止めを提供するための第2のデバイスの説明図である。図4のデバイスは、機械的なデバイス、具体的には回転式つまみ400を備える。図4に示される具現化例は、回転式つまみ400を備えるが、他のいくつかの具現化例は他の入力デバイスを備えてもよい。いくつかの他の具現化例にあって、入力デバイスは線形又は回転式エンコーダ、ポテンショメータ、又はフェーダを備える。あるいは、他のいくつかの具現化例は、タッチ感知式パッド又はタッチ感知式スクリーンのような非機械的入力デバイスを備える。
【0071】
回転式つまみ400は、つまみを介して延びている軸周りに自由回転度にて回転するように構成されている。いくつかの具現化例にあって、回転式つまみは、回転軸に直交する平面内で或いは回転軸に沿って動くように構成される。回転式つまみ400は、取付面402に連結される。取付面は、コントロールパネル、ダッシュボード、カーコンソール、マウス、ジョイスティック、産業用機器、医療用機器、又はコンスーマ用電気機器上にある。
【0072】
ユーザはつまみを時計周り又は反時計周り方向に回転することで回転式つまみ400とやりとりする。一つ以上のアクチュエータ406は、回転式つまみ400に振動触感フィードバックを生成するために連結されている。つまみが回転されると、振動触感フィードバックが仮想回り止め形態で生成される。例えば、つまみが回転されると、ハードストップのような効果がつまみを振動することで生成される。
【0073】
回転式つまみ400は、センサ408に連結されている。センサ408は回転式つまみ400の動きを検出し、データをプロセッサ106に送信する。軸404は、アクチュエータ406及びセンサ408を回転式つまみ400に結合する。」

「【0076】
(振動触感フィードバックによる仮想回り止めのための方法の具体例)
図5は、本発明に係る一具現化例における振動触感フィードバックによる仮想回り止めを提供するための第1の方法を示すフロー図である。ステップ502にて、入力デバイスの操作にすくなくともある程度基づいた入力信号を生成する。ステップ502にて、プロセッサ106は、入力デバイス102の操作に関連する情報を含む入力信号を受信する。ステップ504にて、プロセッサ106は、入力デバイス102に振動触感効果を作り出すためにアクチュエータを駆動するために形成される信号を生成する。振動触感効果は、模擬的な機械的回り止めを含む。」

「【図4】



(2)上記(1)から、引用文献2には、次の発明が記載されていると認められる。

「振動触感フィードバックによる仮想回り止めを提供するためのデバイスであって、
回転式つまみ400は、つまみを介して延びている軸周りに自由回転度にて回転するように構成されており、
一つ以上のアクチュエータ406は、回転式つまみ400に振動触感フィードバックを生成するために連結されており、つまみが回転されると、ハードストップのような効果がつまみを振動することで生成され、
回転式つまみ400は、センサ408に連結されており、センサ408は回転式つまみ400の動きを検出し、データをプロセッサ106に送信し、軸404は、アクチュエータ406及びセンサ408を回転式つまみ400に結合し、
プロセッサ106は、入力デバイス102の操作に関連する情報を含む入力信号を受信し、プロセッサ106は、入力デバイス102に振動触感効果を作り出すためにアクチュエータを駆動するために形成される信号を生成し、振動触感効果は、模擬的な機械的回り止めを含む、デバイス。」

第6 当審拒絶理由2の理由1について(引用発明1との対比・判断)
1 本願発明1について
(1)対比
ア 本願発明1と引用発明1とを対比すると、次のことがいえる。

(ア)引用発明1の「腕時計型携帯端末」は、「制御部15」や「センサ16」をその内部に収容することが明らかであり、それらを収容する手段を備えるものであって、当該手段は本願発明1の「エンクロージャ」に相当し、また、「制御部15」は、本願発明1の「処理要素」に相当する。
したがって、引用発明1の「腕時計型携帯端末」が「制御部15」や「センサ16」をその内部に収容することと、本願発明1の
「開口部を画定するエンクロージャと、
前記エンクロージャ内に位置する処理要素」
とは、
「エンクロージャと、
前記エンクロージャ内に位置する処理要素」
である点で共通している。

(イ)引用発明1の「腕時計型携帯端末」は、「ユーザが回転ボタン12を回転すると、センサ16は、回転ボタン12の回転を検知し、検知した回転角度に対応するセンサデータを制御部15に出力し、ユーザが回転ボタン12を押すと、センサ16は、対応するセンサデータを制御部15に出力」するとの動作を行うから、引用発明1の「回転ボタン12」は、(機能的に)「制御部15」に動作可能に接続され、「ユーザ」から「回転ボタン12」を「回転する」こと及び「押す」ことを、それぞれ「制御部15」への入力として受け取るといえる。ここで、「回転ボタン12」を「押す」場合、「回転ボタン12」は平行移動するといえる。
また、引用発明1の「回転ボタン12」は、「ユーザ」による「回転」のための回転軸を規定する手段を備えていることが明らかであり、当該手段と本願発明1の「シャフト」とは、「回転軸を規定する手段」である点で共通している。
そして、引用発明1の「回転ボタン12」は、本願発明1の「竜頭ヘッド」に相当し、上記手段及び「回転ボタン12」の全体は、本願発明1の「竜頭」に相当する。
以上の点について、上記(ア)も踏まえると、本願発明1の
「前記処理要素に動作可能に接続され、回転入力及び平行移動入力を受け取るように構成された竜頭であって、
ユーザ回転可能な竜頭ヘッドと、
前記ユーザ回転可能な竜頭ヘッドに接続され、前記開口部内に延長しているシャフトと、を含む竜頭」
に関して、引用発明1の「腕時計型携帯端末」は、
「前記処理要素に動作可能に接続され、回転入力及び平行移動入力を受け取るように構成された竜頭であって、
ユーザ回転可能な竜頭ヘッドと、
回転軸を規定する手段と、を含む竜頭」
を備える点で、本願発明1と共通している。

(ウ)上記(イ)で述べた引用発明1の動作によれば、「センサ16」は、「制御部15」に動作可能に接続され、「ユーザが回転ボタン12を回転する」入力を検出し、また、「ユーザが回転ボタン12を押す」ことによって作動するように構成されているということができ、本願発明1の「回転センサ」及び「前記平行移動入力によって作動するように構成されたドームスイッチ」と、「センサ」である点で共通している。
この点について、上記(ア)も踏まえると、本願発明1の
「前記エンクロージャ内に位置し、前記処理要素に動作可能に接続され、前記シャフトから反射された光を用いて前記回転入力を検出するように構成された回転センサと、
前記支持構造体に結合され、前記支持構造体の表面と前記シャフトの端部との間に位置する押しつぶし可能なドームスイッチであって、前記処理要素に動作可能に接続され、前記平行移動入力によって作動するように構成されたドームスイッチ」
に関して、引用発明1の「腕時計型携帯端末」は、
「前記エンクロージャ内に位置し、前記処理要素に動作可能に接続され、前記回転入力を検出するように構成され、また、前記平行移動入力によって作動するように構成されたセンサ」
を備える点で、本願発明1と共通している。

(エ)引用発明1の「腕時計型携帯端末」は、「腕時計」として機能するから、後述する相違点は別として、本願発明1の「電子時計」に相当する。

イ 上記アから、本願発明1と引用発明1とは、以下の点で一致し、また、相違する。
(一致点)
「エンクロージャと、
前記エンクロージャ内に位置する処理要素と、
前記処理要素に動作可能に接続され、回転入力及び平行移動入力を受け取るように構成された竜頭であって、
ユーザ回転可能な竜頭ヘッドと、
回転軸を規定する手段と、を含む竜頭と、
前記エンクロージャ内に位置し、前記処理要素に動作可能に接続され、前記回転入力を検出するように構成され、また、前記平行移動入力によって作動するように構成されたセンサと、を備える、電子時計。」

(相違点1)
本願発明1の「電子時計」は、「エンクロージャ」が「開口部を画定する」ものとされ、「竜頭」が、「前記開口部内に延長しているシャフト」を含むとともに、当該「シャフト」が、「竜頭ヘッド」に対して「接続され」ているのに対して、引用発明1の「腕時計型携帯端末」は、「制御部15」等を収容する手段を備えていることは明らかであるものの、当該手段について「開口部を画定する」と特定されるものではなく、「回転ボタン12」の回転軸を規定する手段についても、「回転ボタン12」に対して「接続され」ている「シャフト」であると特定されるものではない点。

(相違点2)
本願発明1の「電子時計」は、「前記エンクロージャの内面に沿って、前記エンクロージャに結合された支持構造体」を備えるのに対して、引用発明1の「腕時計型携帯端末」は、当該構成を備えると特定されるものではない点。

(相違点3)
本願発明1の「回転センサ」は、「前記シャフトから反射された光を用いて前記回転入力を検出するように構成された」ものであるのに対して、引用発明1の「センサ16」は、「回転ボタン12」の「回転」をどのように「検知」するように構成されているかが特定されない点。

(相違点4)
本願発明1の「電子時計」は、「回転センサ」とは別に、「前記支持構造体に結合され、前記支持構造体の表面と前記シャフトの端部との間に位置する押しつぶし可能な」、「前記平行移動入力によって作動するように構成されたドームスイッチ」を備えるのに対して、引用発明1の「腕時計型携帯端末」は、「センサ16」における「ユーザが回転ボタン12を押す」ことによって作動する部分が、「回転ボタン12の回転」を「検知」する部分とは別の、「前記支持構造体に結合され、前記支持構造体の表面と前記シャフトの端部との間に位置する押しつぶし可能なドームスイッチ」であると特定されるものではない点。

(相違点5)
本願発明1の「電子時計」は、「前記処理要素に動作可能に接続され、前記回転入力によって前記竜頭が回転するときに、触覚フィードバックを提供するように構成されたフィードバックデバイス」を備えるとともに、「前記触覚フィードバックは、前記処理要素によって動的に構成可能である」のに対して、引用発明1の「腕時計型携帯端末」は、「触覚フィードバックを提供するように構成されたフィードバックデバイス」を備えると特定されるものではない点。

(2)判断
事案に鑑みて、先に、「支持構造体」において相互に関連する相違点2,4について、まとめて検討する。
電子時計のエンクロージャの内面に沿って、前記エンクロージャに結合された支持構造体を設け、前記支持構造体に結合され、前記支持構造体の表面と竜頭のシャフトの端部との間に位置する押しつぶし可能なドームスイッチにより、竜頭の平行移動入力を検出することは、引用文献1〜5のいずれにも記載されておらず、本願の優先日前において周知技術であったともいえない。
よって、他の相違点について検討するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用文献1〜5に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2 本願発明8について
(1)対比
本願発明8と引用発明1とを対比すると、本願発明8における本願発明1と共通の構成について、上記1(1)アと同様のことがいえることから、本願発明8と引用発明1とは、以下の点で一致し、また、相違する。

(一致点)
「エンクロージャと、
前記エンクロージャ内に位置する処理要素と、
回転入力及び平行移動入力を受け取るように構成された竜頭と、
前記竜頭の前記平行移動入力を検出するように構成され、また、前記回転入力を検出するように構成されたセンサと、を備える、電子時計。」

(相違点6)
本願発明8の「電子時計」は、「前記処理要素に動作可能に接続され、前記エンクロージャ内に少なくとも部分的に位置するタッチ感知ディスプレイであって、タッチ入力を受け取り、グラフィック出力を提供するように構成されている、タッチ感知ディスプレイ」を備えるのに対して、引用発明1の「腕時計型携帯端末」は、当該構成を備えると特定されるものではない点。

(相違点7)
本願発明8の「竜頭」は、「前記エンクロージャの開口部を通って延長」するものであるのに対して、引用発明1の「腕時計型携帯端末」が「制御部15」等を収容する手段を備えていることは明らかであるものの、当該手段が「開口部」を有すると特定されるものではなく、「回転ボタン12」の回転軸を規定する手段が当該「開口部を通って延長」すると特定されるものではない点。

(相違点8)
本願発明8の「電子時計」は、「前記エンクロージャ内に位置し、区画を画定する支持構造体」を備えるのに対して、引用発明1の「腕時計型携帯端末」は、当該構成を備えると特定されるものではない点。

(相違点9)
本願発明8の「電子時計」は、「回転センサ」とは別に「前記区画内に少なくとも部分的に位置するスイッチであって、前記竜頭の前記平行移動入力を検出するように構成されたスイッチ」を備えるのに対して、引用発明1の「腕時計型携帯端末」は、「センサ16」における「ユーザが回転ボタン12を押す」ことを検出する部分が、「回転ボタン12の回転」を「検知」する部分とは別の、「前記区画内に少なくとも部分的に位置するスイッチであって、前記竜頭の前記平行移動入力を検出するように構成されたスイッチ」であると特定されるものではない点。

(相違点10)
本願発明8の「回転センサ」は、「支持構造体に結合された」ものであるのに対して、引用発明1の「センサ16」は、「回転ボタン12」の「回転」を「検知」するための部分について、何に結合されているかが特定されるものではない点。

(相違点11)
本願発明8の「回転センサ」は、「前記シャフトから反射された光を用いて前記回転入力を検出するように構成された」ものであるのに対して、引用発明1の「センサ16」は、「回転ボタン12」の「回転」をどのように「検知」するように構成されているかが特定されるものではない点。

(相違点12)
本願発明8の「電子時計」は、「前記エンクロージャ内に位置し、前記処理要素に動作可能に接続されたフィードバックデバイスであって、前記処理要素から受け取った信号に応答して、動的な触覚フィードバックを前記竜頭に提供するように構成されたフィードバックデバイス」を備えるとともに、「前記動的な触覚フィードバックは、前記グラフィック出力又は前記回転入力の少なくとも1つに対応する」ものであるに対して、引用発明1の「腕時計型携帯端末」は、当該構成を備えると特定されるものではない点。

(2)判断
事案に鑑みて、先に、「支持構造体」において相互に関連する相違点8〜10について、まとめて検討する。
電子時計のエンクロージャ内に、竜頭の回転を検出する回転センサを結合させるための支持構造体を設け、かつ、前記竜頭の平行移動入力を検出するように構成されたスイッチが、前記支持構造体が画定する前記区画内に少なくとも部分的に位置するものとすることは、引用文献1〜5のいずれにも記載されておらず、本願の優先日前において周知技術であったともいえない。
よって、他の相違点について検討するまでもなく、本願発明8は、当業者であっても引用文献1〜5に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

3 本願発明12について
(1)対比
上記第5の1(1)の引用文献1の記載から、引用発明1に対応する方法の発明(以下、「引用方法発明1」という。)を認定することができ、本願発明12と引用方法発明1とを対比すると、本願発明12における本願発明1と共通の構成について、上記1(1)アと同様のことがいえることから、本願発明12と引用方法発明1とは、以下の点で一致し、また、相違する。

(一致点)
「方法であって、
竜頭における回転入力を検出することであって、前記竜頭は、前記回転入力の結果として回転し、平行移動入力の結果として平行移動するように構成されている、ことと、
前記平行移動入力を検出することと、を含む方法。」

(相違点13)
本願発明12は、「電子時計の竜頭が回転したときに動的な触覚フィードバックを生成する方法」であり、「前記電子時計の処理要素が、前記竜頭が回転したときに生成する動的な触覚フィードバックを決定することと、前記処理要素が、前記動的な触覚フィードバックを提供する信号を出力することと、フィードバックデバイスが、前記動的な触覚フィードバックを提供するために前記竜頭の回転に関連する力を変えることと」を含むのに対して、引用方法発明1は、「電子時計の竜頭が回転したときに動的な触覚フィードバックを生成する」ことに係るものではない点。

(相違点14)
「前記平行移動入力を検出すること」について、本願発明12では、「前記シャフトの端部と前記電子時計内の支持構造体の表面との間に位置する押しつぶし可能なドームスイッチ」でこれを検出するのに対して、引用方法発明1では、「ユーザが回転ボタン12を押す」ことを検出する「センサ16」が、そのようなものであると特定されるものではない点。

(相違点15)
本願発明12は、「前記平行移動入力を検出することに応答して、前記電子時計のディスプレイのグラフィック出力を修正すること」を含むのに対して、引用方法発明1は、当該構成を含むものではない点。

(2)判断
事案に鑑みて、相違点14について先に検討する。
電子時計の竜頭の平行移動入力を、竜頭のシャフトの端部と電子時計内の支持構造体の表面との間に位置する押しつぶし可能なドームスイッチで検出することは、引用文献1〜5のいずれにも記載されておらず、本願の優先日前において周知技術であったともいえない。
よって、他の相違点について検討するまでもなく、本願発明12は、当業者であっても引用文献1〜5に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

3 本願発明2〜7,9〜11,13〜16について
本願発明2〜7は、本願発明1を、本願発明9〜11は、本願発明8を、本願発明13〜16は、本願発明12を、それぞれ減縮した発明であるから、それらは、当業者であっても引用文献1〜5に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

4 小括
以上のとおりであるから、当審拒絶理由2の理由1は解消した。

第7 当審拒絶理由1の理由1について(引用発明Uとの対比・判断)
1 本願発明1について
(1)対比
ア 本願発明1と引用発明Uとを対比すると、次のことがいえる。

(ア)引用発明Uの「りゅうず72」及び「ケース11A」に関して、引用文献1の図23(以下、単に「図23」と表記する。)から、「りゅうず72」は、「ケース11A」の開口部に存在することが見て取れる。
そして、引用発明Uの「ケース11A」は、本願発明1の「エンクロージャ」に相当する。

(イ)引用発明Uの「MPU100」が、「腕時計型情報処理装置」の「ケース11A」内に位置するように設けられることは自明である。そして、当該「MPU100」は、本願発明1の「処理要素」に相当する。

(ウ)引用発明Uの「りゅうず72」が「回転可能な状態」であるのは、ユーザから「回転入力を受け取るように構成され」ているためであることが明らかである。
また、引用発明Uでは、「光センサユニット73B」が、「りゅうず72の回転に伴って、その回転方向、回転量、回転速度などを検出するように構成されて」いるとともに、「MPU100に接続されて動作する」ことから、「りゅうず72」の「回転方向、回転量、回転速度」のデータが「MPU100」で処理されるように、「りゅうず72」は、(「光センサユニット73B」を介して間接的に)「MPU100」に接続されて動作するといえる。
そして、当該「りゅうず72」は、本願発明1の「竜頭」に相当する。

(エ)図23から、上記(ア)に加えて、「りゅうず72」は、ヘッド状の部分と、当該部分に接続されたシャフト状の部分とで構成されること、及び、後者のシャフト状の部分が「ケース11A」の開口部内に延長していることが見て取れ、当該部分は、本願発明1の「シャフト」に相当する。
また、前者のヘッド状の部分において「ユーザ回転可能」(ユーザによる回転操作が可能)であることが明らかであり、当該部分は、本願発明1の「竜頭ヘッド」に相当する。

(オ)上記(ア)〜(エ)から、引用発明Uの「腕時計型情報処理装置」における「ケース11A」、「りゅうず72」及び「MPU100」に係る構成と、本願発明1の
「開口部を画定するエンクロージャと、
前記エンクロージャ内に位置する処理要素と、
前記処理要素に動作可能に接続され、回転入力及び平行移動入力を受け取るように構成された竜頭であって、
ユーザ回転可能な竜頭ヘッドと、
前記ユーザ回転可能な竜頭ヘッドに接続され、前記開口部内に延長しているシャフトと、を含む竜頭」
とは、
「開口部を画定するエンクロージャと、
前記エンクロージャ内に位置する処理要素と、
前記処理要素に動作可能に接続され、回転入力を受け取るように構成された竜頭であって、
ユーザ回転可能な竜頭ヘッドと、
前記ユーザ回転可能な竜頭ヘッドに接続され、前記開口部内に延長しているシャフトと、を含む竜頭」
である点で共通している。

(カ)引用発明Uでは、「りゅうず72」が「回転可能な状態」であること(上記(ウ))に加え、「りゅうず72のケース11A内には、ロータリーエンコーダ73を構成する透光溝が形成された円形パネル73Aが取り付けられており、そして、円形パネル73Aに対応する位置には、LED及びフォトディテクタが一体に配置され、ロータリーエンコーダ73を構成する光センサユニット73Bが配置されており、この光センサユニット73Bは、りゅうず72の回転に伴って、その回転方向、回転量、回転速度などを検出するように構成されて」いる。
ここで、「光センサユニット73B」は、「LED」から放出されて、「りゅうず72」とともに回転する「円形パネル73A」の干渉を受けた光を、「フォトディテクタ」で受光するものであることが明らかである。
したがって、「光センサユニット73B」は、上記(ウ)の回転入力を光を用いて「検出するように構成されて」いるものであり、本願発明1の「前記シャフトから反射された光を用いて前記回転入力を検出するように構成された回転センサ」と、「光を用いて前記回転入力を検出するように構成された回転センサ」である点で共通している。
また、引用発明Uの「光センサユニット73B」は、「MPU100に接続されて動作する」ものであり、また、図23から、「ケース11A」内に位置することが見て取れる。
以上の点について上記(ア)、(イ)も踏まえると、引用発明Uの「光センサユニット73B」と、本願発明1の
「前記エンクロージャ内に位置し、前記処理要素に動作可能に接続され、前記シャフトから反射された光を用いて前記回転入力を検出するように構成された回転センサ」
とは、
「前記エンクロージャ内に位置し、前記処理要素に動作可能に接続され、光を用いて前記回転入力を検出するように構成された回転センサ」
である点で共通している。

(キ)引用発明Uの「腕時計型情報処理装置」は、「表示パネル12」が「時刻などの各種情報などの各種画面を表示」するから、後述する相違点は別として、本願発明1の「電子時計」に相当する。

イ 上記アから、本願発明1と引用発明Uとは、以下の点で一致し、また、相違する。
(一致点)
「開口部を画定するエンクロージャと、
前記エンクロージャ内に位置する処理要素と、
前記処理要素に動作可能に接続され、回転入力を受け取るように構成された竜頭であって、
ユーザ回転可能な竜頭ヘッドと、
前記ユーザ回転可能な竜頭ヘッドに接続され、前記開口部内に延長しているシャフトと、を含む竜頭と、
前記エンクロージャ内に位置し、前記処理要素に動作可能に接続され、光を用いて前記回転入力を検出するように構成された回転センサと、を備える、電子時計。」

(相違点16)
本願発明1の「竜頭」は、「平行移動入力を受け取るように構成された」ものであるのに対して、引用発明Uの「りゅうず72」は、そのように特定されるものではない点。

(相違点17)
本願発明1の「電子時計」は、「前記エンクロージャの内面に沿って、前記エンクロージャに結合された支持構造体」を備えるのに対して、引用発明Uの「腕時計型情報処理装置」は、当該構成を備えると特定されるものではない点。

(相違点18)
本願発明1の「回転センサ」が「回転入力」の検出に用いる「光」は、「前記シャフトから反射された光」であるのに対して、引用発明Uの「光センサユニット73B」が「りゅうず72」の「回転方向、回転量、回転速度などを検出する」のに用いるものは、「りゅうず72」に「取り付けられ」た「ロータリーエンコーダ73を構成する透光溝が形成された円形パネル73A」に「対応する位置に配置され」た「LED」の光である点。

(相違点19)
本願発明1の「電子時計」は、「前記支持構造体に結合され、前記支持構造体の表面と前記シャフトの端部との間に位置する押しつぶし可能なドームスイッチであって、前記処理要素に動作可能に接続され、前記平行移動入力によって作動するように構成されたドームスイッチ」を備えるのに対して、引用発明Uの「腕時計型情報処理装置」は、当該構成を備えると特定されるものではない点。

(相違点20)
本願発明1の「電子時計」は、「前記処理要素に動作可能に接続され、前記回転入力によって前記竜頭が回転するときに、触覚フィードバックを提供するように構成されたフィードバックデバイス」を備えるとともに、「前記触覚フィードバックは、前記処理要素によって動的に構成可能である」のに対して、引用発明Uの「腕時計型情報処理装置」は、当該構成を備えると特定されるものではない点。

(2)判断
事案に鑑みて、先に、「支持構造体」において相互に関連する相違点17,19について、まとめて検討する。
電子時計のエンクロージャの内面に沿って、前記エンクロージャに結合された支持構造体を設け、前記支持構造体に結合され、前記支持構造体の表面と竜頭のシャフトの端部との間に位置する押しつぶし可能なドームスイッチにより、竜頭の平行移動入力を検出することは、引用文献U〜Zのいずれにも記載されておらず、本願の優先日前において周知技術であったともいえない。
よって、他の相違点について検討するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用文献U〜Zに記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2 本願発明8について
(1)対比
本願発明8と引用発明Uとを対比すると、本願発明8における本願発明1と共通の構成について、上記1(1)アと同様のことがいえる。また、引用発明Uの「光センサユニット73B」は、「ケース11A」内に位置する構造物に結合されていることが明らかであり、当該構造物と、本願発明8の「区画を画定する支持構造体」とは、「支持構造体」である点で共通する。
以上のことから、本願発明8と引用発明Uとは、以下の点で一致し、また、相違する。

(一致点)
「エンクロージャと、
前記エンクロージャ内に位置する処理要素と、
前記エンクロージャの開口部を通って延長し、回転入力を受け取るように構成された竜頭と、
前記エンクロージャに位置する支持構造体と、
前記支持構造体に結合された光回転センサであって、前記回転入力を検出するように構成された光回転センサと、を備える、電子時計。」

(相違点21)
本願発明8の「電子時計」は、「前記処理要素に動作可能に接続され、前記エンクロージャ内に少なくとも部分的に位置するタッチ感知ディスプレイであって、タッチ入力を受け取り、グラフィック出力を提供するように構成されている、タッチ感知ディスプレイ」を備えるのに対して、引用発明Uの「腕時計型情報処理装置」は、当該構成を備えると特定されるものではない点。

(相違点22)
本願発明8の「竜頭」は、「平行移動入力を受け取るように構成された」ものであるのに対して、引用発明Uの「りゅうず72」は、そのように特定されるものではない点。

(相違点23)
「支持構造体」について、本願発明8では、「前記エンクロージャ内」において「区画を画定する」のに対して、引用発明Uでは、そのように特定されるものではない点。

(相違点24)
本願発明8の「電子時計」は、「前記区画内に少なくとも部分的に位置するスイッチであって、前記竜頭の前記平行移動入力を検出するように構成されたスイッチ」を備えるのに対して、引用発明Uの「腕時計型情報処理装置」は、当該構成を備えると特定されるものではない点。

(相違点25)
本願発明8の「回転センサ」が「回転入力」の検出に用いる「光」は、「前記シャフトから反射された光」であるのに対して、引用発明Uの「光センサユニット73B」が「りゅうず72」の「回転方向、回転量、回転速度などを検出する」のに用いるものは、「りゅうず72」に「取り付けられ」た「ロータリーエンコーダ73を構成する透光溝が形成された円形パネル73A」に「対応する位置に配置され」た「LED」の光である点。

(相違点26)
本願発明8の「電子時計」は、「前記エンクロージャ内に位置し、前記処理要素に動作可能に接続されたフィードバックデバイスであって、前記処理要素から受け取った信号に応答して、動的な触覚フィードバックを前記竜頭に提供するように構成されたフィードバックデバイス」を備えるとともに、「前記動的な触覚フィードバックは、前記グラフィック出力又は前記回転入力の少なくとも1つに対応する」ものであるに対して、引用発明Uの「腕時計型携帯端末」は、当該構成を備えると特定されるものではない点。

(2)判断
事案に鑑みて、先に、「支持構造体」において相互に関連する相違点21,24について、まとめて検討する。
電子時計のエンクロージャ内において、支持構造体により区画を画定し、当該区画内に少なくとも部分的に位置するスイッチが、竜頭の平行移動入力を検出するものとすることは、引用文献U〜Zのいずれにも記載されておらず、本願の優先日前において周知技術であったともいえない。
よって、他の相違点について検討するまでもなく、本願発明8は、当業者であっても引用文献U〜Zに記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

3 本願発明12について
(1)対比
上記第5の2(1)の引用文献Uの記載から、引用発明Uに対応する方法の発明(以下、「引用方法発明U」という。)を認定することができ、本願発明12と引用方法発明Uとを対比すると、本願発明12における本願発明1と共通の構成について、上記1(1)アと同様のことがいえることから、本願発明12と引用方法発明Uとは、以下の点で一致し、また、相違する。

(一致点)
「方法であって、
光を検出することにより、竜頭における回転入力を検出することであって、前記竜頭は、前記回転入力の結果として回転するように構成されている、こと、を含む方法。」

(相違点27)
本願発明12は、「電子時計の竜頭が回転したときに動的な触覚フィードバックを生成する方法」であり、「前記電子時計の処理要素が、前記竜頭が回転したときに生成する動的な触覚フィードバックを決定することと、前記処理要素が、前記動的な触覚フィードバックを提供する信号を出力することと、フィードバックデバイスが、前記動的な触覚フィードバックを提供するために前記竜頭の回転に関連する力を変えることと」を含むのに対して、引用方法発明Uは、「電子時計の竜頭が回転したときに動的な触覚フィードバックを生成する」ことに係るものではない点。

(相違点28)
本願発明12における「検出」対象の「光」は、「前記シャフトから反射された光」であるのに対して、引用方法発明Uにおける「光センサユニット73B」が「検出する」光は、「りゅうず72」に「取り付けられ」た「ロータリーエンコーダ73を構成する透光溝が形成された円形パネル73A」に「対応する位置に配置され」た「LED」の光である点。

(相違点29)
本願発明12の「竜頭」は、「平行移動入力の結果として平行移動するように構成されている」のに対して、引用方法発明Uの「りゅうず72」は、そのように特定されるものではない点。

(相違点30)
本願発明12は、「前記シャフトの端部と前記電子時計内の支持構造体の表面との間に位置する押しつぶし可能なドームスイッチで前記平行移動入力を検出すること」を含むのに対して、引用方法発明Uは、当該構成を含むものではない点。

(相違点31)
本願発明12は、「前記平行移動入力を検出することに応答して、前記電子時計のディスプレイのグラフィック出力を修正すること」を含むのに対して、引用方法発明Uは、当該構成を含むものではない点。

(2)判断
事案に鑑みて、相違点27について先に検討する。
電子時計の竜頭の平行移動入力を、竜頭のシャフトの端部と電子時計内の支持構造体の表面との間に位置する押しつぶし可能なドームスイッチで検出することは、引用文献U〜Zのいずれにも記載されておらず、本願の優先日前において周知技術であったともいえない。
よって、他の相違点について検討するまでもなく、本願発明12は、当業者であっても引用文献U〜Zに記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

3 本願発明2〜7,9〜11,13〜16について
本願発明2〜7は、本願発明1を、本願発明9〜11は、本願発明8を、本願発明13〜16は、本願発明12を、それぞれ減縮した発明であるから、それらは、当業者であっても引用文献U〜Zに記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

4 小括
以上のとおりであるから、当審拒絶理由1の理由1は解消した。

第8 当審拒絶理由2の理由2について
令和4年8月3日に提出された手続補正書により補正された請求項8,12は、それぞれ、「スイッチ」(「ドームスイッチ」)が「平行移動入力」を「検出」する旨が記載されているものとされているから、当審拒絶理由2の理由2は解消した。

第9 当審拒絶理由1の理由2について
当該拒絶の理由の対象とされた請求項11は、令和4年2月22日に提出された手続補正書により削除されているから、当審拒絶理由1の理由2は解消した。

第10 原査定についての判断
原査定の理由1について、本願発明1〜7は、相違点2,4に係る技術的事項を、本願発明8〜11は、相違点8〜10に係る技術的事項を、本願発明12〜16は、相違点14に係る技術的事項を、それぞれ含むものとなっており、当該技術的事項については、引用文献A〜Fには記載されておらず、本願の優先日前において周知技術であったとも認められないので、本願発明1〜16は、当業者であっても、原査定における引用文献A〜Fに基づいて容易に発明をすることができたものではない。
また、原査定の理由2,3について、当該拒絶の理由の対象とされた請求項3,12,13は、審判請求時の補正により削除されている。
したがって、原査定を維持することはできない。

第11 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2022-09-30 
出願番号 P2019-088064
審決分類 P 1 8・ 55- WY (G06F)
P 1 8・ 537- WY (G06F)
P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 ▲吉▼田 耕一
特許庁審判官 小田 浩
富澤 哲生
発明の名称 電子機器のための回転入力機構  
代理人 那須 威夫  
代理人 西島 孝喜  
代理人 田中 伸一郎  
代理人 岩崎 吉信  
代理人 ▲吉▼田 和彦  
代理人 大塚 文昭  

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