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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1388769
総通号数 10 
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-10-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-04-08 
確定日 2022-09-26 
事件の表示 特願2019−135381「オーディオベースのデータ構造生成」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年11月 7日出願公開、特開2019−194918、請求項の数(16)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、2017年(平成29年)8月31日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2016年12月30日 米国)を国際出願日とする出願である特願2017−556891号の一部を、令和元年7月23日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和 2年 8月12日付け :拒絶理由通知
令和 2年 9月30日 :意見書、手続補正書の提出
令和 3年 2月24日付け :拒絶査定(原査定)
令和 3年 4月 8日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和 4年 1月11日付け :拒絶理由通知(当審拒絶理由1)
令和 4年 4月12日 :意見書、手続補正書の提出
令和 4年 7月 6日付け :拒絶理由通知(当審拒絶理由2)
令和 4年 7月27日 :意見書、手続補正書の提出

第2 原査定の概要
原査定(令和 3年 2月24日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

本願請求項1−20に係る発明は、以下の引用文献Aに記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

引用文献等一覧
A.特表2015−528140号公報

第3 当審拒絶理由の概要
令和 4年 1月11日付けで通知した拒絶理由(以下、「当審拒絶理由1」という。)及び令和 4年 7月 6日付けで通知した拒絶理由(以下、「当審拒絶理由2」という。)の概要は、次の通りである。

1.当審拒絶理由1の概要
(1)特許法第36条第6項第2号について
ア.請求項1−20について、特許請求の範囲の記載が不明確である。

イ.請求項8−9,18−19について、特許請求の範囲の記載が不明確である。

ウ.請求項9,19について、特許請求の範囲の記載が不明確である。

(2)特許法第36条第6項第1号について
ア.請求項1−20について、発明の詳細な説明における対応する記載箇所が不明である。

イ.請求項9,19について、発明の詳細な説明における対応する記載箇所が不明である。

(3)特許法第29条第2項について
請求項1−2,5,11−12,15に係る発明は、以下の引用文献1−2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものである

引用文献等一覧
1.特表2015−528140号公報(拒絶査定時の引用文献A)
2.特開2005−073236号公報(当審で新たに引用する文献)

2.当審拒絶理由2の概要
(1)特許法第36条第6項第2号について
請求項8,17について、特許請求の範囲の記載が不明確である。

(2)特許法第36条第6項第1号について
ア.請求項7−8,16−17について、発明の詳細な説明における対応する記載箇所が不明である。

イ.請求項8,17について、発明の詳細な説明における対応する記載箇所が不明である。

第4 本願発明

本願請求項1−16に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」−「本願発明16」という。)は、令和 4年 7月27日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1−16に記載された事項により特定される、以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
コンピュータネットワークを介して音声ベースのデジタルアシスタントを稼働するためにパケット化されたアクションをルーティングするシステムであって、
会話アプリケーションプログラミングインタフェースと1つまたは複数のプロセッサと
を備えるデータ処理システムを備え、前記1つまたは複数のプロセッサは、
リアルタイムコンテンツ選択プロセスを介して、サードパーティプロバイダデバイスとは異なるコンテンツプロバイダデバイスによって提供されたコンテンツアイテムを選択し、
クライアントコンピューティングデバイスのセンサによって検出された入力オーディオ信号を含むデータパケットを受信し、
前記入力オーディオ信号を解析して、キーワードを識別し、
前記キーワードに基づいて、アクションデータ構造を生成し、
前記会話アプリケーションプログラミングインタフェースを起動して前記サードパーティプロバイダデバイスと前記クライアントコンピューティングデバイスとの間で通信セッションを確立するために、前記アクションデータ構造を前記サードパーティプロバイダデバイスに送信し、
前記通信セッションを介して前記クライアントコンピューティングデバイスと前記サードパーティプロバイダデバイスとの間で追加の情報についてのデータパケットをルーティングする、システム。
【請求項2】
前記データ処理システムは、
前記キーワードに基づいて、コンテンツ・アイテムを選択し、
前記通信セッション中に、前記クライアントコンピューティングデバイスを介した提示のために前記コンテンツ・アイテムを提供する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記データ処理システムは、
リアルタイムコンテンツ選択プロセスを介して、前記サードパーティプロバイダデバイスに関連付けられたコンテンツ・アイテムを選択し、
前記クライアントコンピューティングデバイスから、前記コンテンツ・アイテムと対話するための指示を受信する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記データ処理システムは、
前記サードパーティプロバイダデバイスに対して構成される前記会話アプリケーションプログラミングインタフェースを起動する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記データ処理システムは、
前記サードパーティプロバイダデバイスとは異なる第2のサードパーティデバイスによ
って提供されたコンテンツ・アイテムを選択し、
前記サードパーティプロバイダデバイスとの前記通信セッション中の提示のために前記コンテンツ・アイテムを提供する、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記データ処理システムは、
前記キーワードまたは前記サードパーティプロバイダデバイスのタイプに基づいて、テンプレートを選択し、
埋めるべき前記テンプレート内のフィールドを識別し、
前記テンプレート内の前記フィールドについて、前記クライアントコンピューティングデバイスの第2のセンサから値を取得し、
前記クライアントコンピューティングデバイスの前記第2のセンサからの前記値に基づ
いて前記アクションデータ構造のための前記テンプレートを埋めて、前記アクションデータ構造を生成する、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記データ処理システムは、
前記クライアントコンピューティングデバイスから、前記アクションデータ構造を処理するための指示を受信し、
前記指示に応答して、前記アクションデータ構造を処理するように前記サードパーティプロバイダデバイスに指示する、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記データ処理システムは、
前記サードパーティプロバイダデバイスから、前記サードパーティプロバイダデバイスが前記会話アプリケーションプログラミングインタフェースを介した前記通信セッションを前記クライアントコンピューティングデバイスと確立したとの指示を受信する、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
コンピュータネットワークを介して音声ベースのデジタルアシスタントを稼働するためにパケット化されたアクションをルーティングする方法であって、
リアルタイムコンテンツ選択プロセスを介して、サードパーティプロバイダデバイスとは異なるコンテンツプロバイダデバイスによって提供されたコンテンツアイテムを選択するステップと、
少なくとも1つのプロセッサを有するデータ処理システムによって、クライアントコン
ピューティングデバイスのセンサによって検出された入力オーディオ信号を含むデータパケットを受信するステップと、
前記データ処理システムによって、前記入力オーディオ信号を解析して、キーワードを識別するステップと、
前記データ処理システムによって、前記キーワードに基づいて、アクションデータ構造を生成するステップと、
前記データ処理システムによって、会話アプリケーションプログラミングインタフェースを起動して前記サードパーティプロバイダデバイスと前記クライアントコンピューティングデバイスとの間で通信セッションを確立するために、前記アクションデータ構造を前記サードパーティプロバイダデバイスに送信するステップと、
前記データ処理システムによって、前記通信セッションを介して前記クライアントコンピューティングデバイスと前記サードパーティプロバイダデバイスとの間で追加の情報についてのデータパケットをルーティングするステップと
を含む、方法。
【請求項10】
前記キーワードに基づいて、コンテンツ・アイテムを選択するステップと、
前記通信セッション中に、前記クライアントコンピューティングデバイスを介した提示のために前記コンテンツ・アイテムを提供するステップと
を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記データ処理システムによって、リアルタイムコンテンツ選択プロセスを介して、前記サードパーティプロバイダデバイスに関連付けられたコンテンツ・アイテムを選択するステップと、
前記データ処理システムによって、前記クライアントコンピューティングデバイスから、前記コンテンツ・アイテムと対話するための指示を受信するステップと
を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記サードパーティプロバイダデバイスに対して構成される前記会話アプリケーションプログラミングインタフェースを起動するステップを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記サードパーティプロバイダデバイスとは異なる第2のサードパーティデバイスによ
って提供されたコンテンツ・アイテムを選択するステップと、
前記サードパーティプロバイダデバイスとの前記通信セッション中の提示のために前記コンテンツ・アイテムを提供するステップと
を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記キーワードまたは前記サードパーティプロバイダデバイスのタイプに基づいて、テンプレートを選択するステップと、
埋めるべき前記テンプレート内のフィールドを識別するステップと、
前記テンプレート内の前記フィールドについて、前記クライアントコンピューティングデバイスの第2のセンサから値を取得するステップと、
前記クライアントコンピューティングデバイスの前記第2のセンサからの前記値に基づ
いて前記アクションデータ構造のための前記テンプレートを埋めて、前記アクションデータ構造を生成するステップと
を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記クライアントコンピューティングデバイスから、前記アクションデータ構造を処理するための指示を受信するステップと、
前記指示に応答して、前記アクションデータ構造を処理するように前記サードパーティプロバイダデバイスに指示するステップと
を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記サードパーティプロバイダデバイスから、前記サードパーティプロバイダデバイスが前記会話アプリケーションプログラミングインタフェースを介した前記通信セッションを前記クライアントコンピューティングデバイスと確立したとの指示を受信するステップを含む、請求項9に記載の方法。」

第5 引用文献、引用発明等

1.引用文献1について
令和 4年 1月11日付けの当審拒絶理由1に引用された引用文献1(特表2015−528140号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は、強調のため当審にて付与。以下同様。)

「【0019】
図1は、いくつかの実施形態に係るデジタルアシスタントの動作環境100のブロック図である。用語「デジタルアシスタント」、「仮想アシスタント」、「インテリジェント自動アシスタント」、又は「自動デジタルアシスタント」は、口頭及び/又はテキスト形式の自然言語入力を解釈してユーザ意図を推測し(例えば、自然言語入力に対応するタスクの種類を特定し)、推測されたユーザ意図に基づき動作を実行する(例えば、特定されたタスクの種類に対応するタスクを実行する)あらゆる情報処理システムを指す。例えば、推測されたユーザ意図に基づいて動作するために、システムは、以下のことのうちの1つ以上を実行することができる:推測されたユーザ意図を果たすように設計されたステップ及びパラメータを有するタスクフローを特定すること(例えば、タスクの種類を特定すること)、推測されたユーザ意図からの具体的な要求事項をタスクフロー内に入力すること、プログラム、方法、サービス、API、若しくは同様のものを呼び出すことによってタスクフローを実行すること(例えば、サービスプロバイダに要求を送信すること)、並びに可聴(例えば、発語)及び/又は視覚形式のユーザへの出力応答を生成すること。」

「【0021】
図1に示されているように、いくつかの実施形態では、デジタルアシスタントシステムはクライアント?サーバモデルに従って実装される。デジタルアシスタントシステムは、ユーザ機器(例えば、104a及び104b)上で実行されるクライアント側部分(例えば、102a及び102b)(以後、「デジタルアシスタント(DA)クライアント102」)、並びにサーバシステム108上で実行されるサーバ側部分106(以後「デジタルアシスタント(DA)サーバ106」)を含む。DAクライアント102は1つ以上のネットワーク110を通じてDAサーバ106と通信する。DAクライアント102は、ユーザ対応入力及び出力処理、並びにDAサーバ106との通信等のクライアント側機能性を提供する。DAサーバ106は、それぞれのユーザ機器104(クライアント機器とも呼ばれる)上に各々常駐する任意の数のDAクライアント102のためのサーバ側機能性を提供する。」

「【0041】
デジタルアシスタントシステム300は、メモリ302、1つ以上のプロセッサ304、入力/出力(I/O)インターフェース306、及びネットワーク通信インターフェース308を含む。これらの構成要素は1本以上の通信バス又は信号線310を通じて互いに通信する。」

「【0113】
その後、いつでも、DAクライアントは、ユーザからの入力(例えば、音声入力)を受信する(408)。いくつかの実施形態では、DAクライアントは、1つ以上のマイクを介して入力を受信する。例えば、DAクライアントは、「午後7時にレストランを予約する」など、ユーザの音声コマンドを受信することができる。いくつかの実施形態では、DAクライアントは、タッチセンサ方式の表面を介して入力を受信する。DAクライアントは、ユーザからの入力をDAサーバに送信し(410)、かつ、DAクライアントの場所など、コンテキスト情報を送信することもできる。
【0114】
DAサーバは、ユーザの入力を受信して(412)、図4Bを参照して以下で説明するようにそれぞれのタスクタイプを特定する(414)。いくつかの実施形態では、ユーザの入力が音声コマンドであるとき、DAサーバは、入力を音声ファイルとして(又は、DAクライアントがテキストを音声に変換するエンジンを含む場合には音声に対応するテキストのストリングとして)受信する。図3Bを参照して先に説明したように、いくつかの実施形態では、DAサーバは、デジタルアシスタント326(図3B)を使用して、それぞれのタスクタイプを特定する。例えば、DAサーバは、ユーザの入力から、ユーザがレストラン予約を所望することを判断する(即ち、「レストラン予約をする」を要求されたタスクタイプとして特定する)ことができる。例えば、ユーザ入力が「今夜、レストランを予約する」であるとき、特定されたタスクタイプは、少なくとも1つのレストラン予約サービスプロバイダに対応するレストラン予約であり、ユーザ入力が「最新のジャイアンツの得点は何点か」であるとき、特定されたタスクタイプは、スポーツ得点を検索することである。
【0115】
いくつかの実施形態では、機器はサードパーティサービスプロバイダから受信された語彙(又は、新しいタスク又はドメインとの既存の語彙の関連づけなど、語彙の識別情報)に従ってそれぞれのタスクタイプを特定する。例えば、機器は、問い合わせ「今日、JeremyLinはどこでプレーしているのか」をユーザから受信した後、用語Jeremy Linは競技者の名前としてのスポーツゲームスケジュールサービスプロバイダからのサードパーティ語彙索引における情報入力に適合すると判断して、スポーツの試合の場所の検索が要求されたタスクであると特定することができる。同様に、問い合わせ「今日は、ハンガーゲームはどこで上映しているのか」をユーザから受信した後、機器は、用語ハンガーゲームは、映画タイトルとして映画スケジュール/チケット販売サービスプロバイダからのサードパーティ語彙索引における情報入力に適合すると判断して、映画上映の場所の検索が要求されたタスクであると特定することができる。」

「【0117】
いくつかの実施形態では、DAサーバが特定されたタスクタイプを実行することができる2つ以上のサービスプロバイダの場所を特定したとき、DAサーバは、2つ以上のサービスプロバイダの1つを選択する。いくつかの他の実施形態では、DAサーバは、2つ以上のサービスプロバイダの複数のサービスプロバイダを選択する。いくつかの実施形態では、DAサーバは、特定されたタスクタイプのタスクを実行する要求を、1つ以上の選択されたサービスプロバイダ、典型的には1つのサービスプロバイダに送信する(418)。あるいは、他の実施形態では、DAサーバは、要求をDAクライアント104に送信し、DAクライアントが、要求を受信して、要求を1つ以上の選択されたサービスプロバイダに送信する(419)。いくつかの実施形態では、それぞれのサービスプロバイダは、タスクを完了するように構成される。いくつかの他の実施形態では、タスクは、複数のサービスプロバイダを必要とする。例えば、タスクは、「最も人気のある映画主演俳優Xのチケットを買う」とすることができる。このタスクを実行するには、情報を映画ランキングサービスプロバイダ、映画データベースサービスプロバイダ、及び映画チケット購入サービスプロバイダから受信するか、又は、タスクをこれらのサービスプロバイダと実行することが必要である場合がある。換言すると、それぞれのサービスプロバイダは、タスクの一部を実行し、機器は、複数の選択されたサービスプロバイダからの情報を統合する。」

「【0120】
DAサーバ108は、1つ以上の結果をサービスプロバイダから受信して(426)、1つ以上の結果の1つ以上をDAクライアント104に送信する(428)。」

「図1




したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「デジタルアシスタント(DA)は、口頭の自然言語入力を解釈してユーザ意図を推測し、
システムは、APIを呼び出すことによってタスクフローを実行し、
DAクライアント102は1つ以上のネットワーク110を通じてDAサーバ106と通信し、
デジタルアシスタントシステム300は、1つ以上のプロセッサを含み、
DAクライアントは、1つ以上のマイクを介してユーザの音声コマンドを受信し、
DAサーバは、入力を音声ファイルとして受信し、サードパーティサービスプロバイダから受信された語彙に従ってそれぞれのタスクタイプを特定し、
DAサーバは、特定されたタスクタイプのタスクを実行する要求を、1つ以上の選択されたサービスプロバイダ、典型的には1つのサービスプロバイダに送信し、
DAサーバ108は、1つ以上の結果をサービスプロバイダから受信して(426)、1つ以上の結果の1つ以上をDAクライアント104に送信する
システム。」

2.引用文献2について
令和 4年 1月11日付けの当審拒絶理由1に引用された引用文献2(特開2005−073236号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0015】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるシステムの構成例を示す図である。図1において、ネットワーク102を介してクライアント100と中継サーバ101とアプリケーションサーバ103とが相互に接続されている。クライアントとしては、PC(Personal Computer)だけでなく一般電話機や携帯電話など各種の端末が接続可能である。」

「【0017】
このセッション開設動作について、図2および図3を用いて説明する。クライアント100を操作するユーザが、アプリケーションサーバ103のサービスを受けようとすると、クライアント100は、クライアント要求送信手段106を実行し、予め定められた中継サーバ101宛てにSIP要求メッセージを送信する。具体的には、図3に示すように「INVITE」メッセージを送信すればよい。SIP要求メッセージには、ユーザが要求するサービスが何であるかが分かるような情報を設定しておく。例えば、「INVITE」メッセージのリクエストラインに「INVITE sip:service1@portal.com SIP/2.0」と指定することにより、「portal.com」が管理している「service1」を要求するとのルールを決めておき、指定することが可能である。また、SIPの場合、メッセージボディに任意のデータを設定できるので、要求するサービスのより詳細な情報をXMLなどの形式でメッセージボディに添付してもよい。例えば、図3に示す「INVITE」メッセージのようにXML形式でメッセージボディを設定することにより、要求するサービスのより詳細な情報を設定することが可能となる。」

「【0020】
中継サーバ101は、認証の結果、ユーザにサービスを提供可能である場合には、ユーザが要求したサービスを提供しているアプリケーションサーバ103を検索するために、アプリケーションサーバ検索手段109を実行する。アプリケーションサーバ検索手段109においては、サービスと提供可能なアプリケーションサーバ103との対応関係を管理し、ユーザが要求するサービスを提供可能か否かを判定する。例えば、「INVITE」のリクエストラインで「service1」が要求されていることが分かった場合、「service1」を提供するアプリケーションサーバ103を検索する。」

「【0022】
中継サーバ101は、検索の結果、サービスを提供可能なアプリケーションサーバ103が見つかった場合、中継サーバ中継手段110を用いて、SIP要求メッセージをアプリケーションサーバ103へ中継する。
【0023】
アプリケーションサーバ103は、アプリケーションサーバ要求受信手段111を用いて、中継サーバ101からのSIP要求メッセージを受信し、さらに、受付判定手段112を用いて、要求されたサービスを提供可能か否かを判定し、判定結果(SIP応答メッセージ)を、アプリケーションサーバ応答送信手段113を用いて、中継サーバ101へ送信する。このとき、アプリケーションサーバ103が提供するサービスへのアクセス方法をSIP応答メッセージに設定してもよい。」

「【0026】
中継サーバ101は、受信したSIP応答メッセージを、中継サーバ応答中継手段114を用いてクライアント100へ中継する。
【0027】
クライアント100は、クライアント応答受信手段115を用いてSIP応答メッセージを受信する。受信したSIP応答メッセージがエラーを含む場合、クライアント100はユーザにその旨を表示し、サービスは提供しない。正常な場合は、SIPセッションを確立するために、SIP確認メッセージを、クライアント確認送信手段116を用いて中継サーバ101宛てに送信する。具体的には、ACKメッセージを送信すればよい。クライアント100は、ACKメッセージを送信すると、クライアントサービス手段119を実行し、アプリケーションサーバ103からのサービスを受け始める。
【0028】
SIP確認メッセージを受信した中継サーバ101は、中継サーバ確認中継手段117を用いてアプリケーションサーバ103へSIP確認メッセージを中継する。
【0029】
アプリケーションサーバ103は、アプリケーションサーバ確認受信手段118を用いてSIP確認メッセージを受信すると、アプリケーションサーバサービス手段120によってクライアント100へのサービスを開始する。」

「【0038】
クライアント100は、アプリケーションサーバ103が提供するサービスの利用を終了する際に、アプリケーションセッションを切断することはもちろん、SIPセッションも切断する。具体的には、クライアント100は、クライアント切断要求送信手段121を用いて中継サーバ101に対して「BYE」メッセージを送信する。中継サーバ101は、中継サーバ切断要求中継手段122により、「BYE」メッセージを受信し、アプリケーションサーバ103に中継する。アプリケーションサーバ103は、アプリケーションサーバ切断要求受信手段123により、「BYE」メッセージを受信し、アプリケーションサーバ切断応答送信手段124により、「200応答」を送信すると共に、SIPセッションを切断する。中継サーバ101は、中継サーバ切断応答中継手段125により、「BYE」の「200応答」を受信し、クライアント100に中継する。クライアント100は、クライアント切断応答受信手段126により、「BYE」の「200応答」を受信し、SIPセッションを切断する。」

特に下線部に着目すれば、上記引用文献2には次の技術的事項が記載されていると認められる(以下、「引用文献2記載の技術的事項」という。)。

「ネットワーク102を介してクライアント100と中継サーバ101とアプリケーションサーバ103とが相互に接続されており、
クライアント100は、クライアント要求送信手段106を実行し、予め定められた中継サーバ101宛てにSIP要求メッセージを送信し、
中継サーバ101は、アプリケーションサーバ検索手段109を実行し、
SIP要求メッセージをアプリケーションサーバ103へ中継し、
アプリケーションサーバ103は、判定結果(SIP応答メッセージ)を、中継サーバ101へ送信し、
中継サーバ101は、受信したSIP応答メッセージを、クライアント100へ中継し、
クライアント100は、SIPセッションを確立するために、SIP確認メッセージを、中継サーバ101宛てに送信し、
中継サーバ101は、アプリケーションサーバ103へSIP確認メッセージを中継し、
アプリケーションサーバ103は、SIP確認メッセージを受信すると、クライアント100へのサービスを開始する
クライアント100は、中継サーバ101に対して「BYE」メッセージを送信し、中継サーバ101は、「BYE」メッセージを受信し、アプリケーションサーバ103に中継し、アプリケーションサーバ103は、「BYE」メッセージを受信し、「200応答」を送信すると共に、SIPセッションを切断する
システム。」

第6 対比・判断

1.本願発明1について

(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

ア.引用発明の「デジタルアシスタント」は、「口頭の自然言語入力を解釈してユーザ意図を推測」していることから、本願発明1における「音声ベースのデジタルアシスタント」に相当する。
また、引用発明の「DAクライアントは1つ以上のネットワーク110を通じてDAサーバ106と通信」していることは、「コンピュータネットワークを介して」通信しているといえ、ネットワーク上でのデータの通信をパケット化して行うことは本願優先日前の技術常識であることから、引用発明の当該「DAクライアントは1つ以上のネットワーク110を通じてDAサーバ106と通信」する「システム」は、本願発明1における「コンピュータネットワークを介して音声ベースのデジタルアシスタントを稼働するためにパケット化されたアクションをルーティングするシステム」に相当する。

イ.引用発明の「システム」が「APIを呼び出すことによってタスクフローを実行」することは、システムが備える「1つまたは複数のプロセッサ」がAPIを呼び出してタスクフローを実行することといえる。また、引用発明の「システム」は、データを処理するものであることから、「データ処理システム」を含むといい得るものであり、加えて、「API」が「アプリケーションプログラミングインタフェース」の略語であることは本願優先日前の技術常識であるから、引用発明の「システム」に含まれる前記「データ処理システム」は、本願発明1の「会話アプリケーションプログラミングインタフェースと1つまたは複数のプロセッサとを備えるデータ処理システム」とは、「アプリケーションプログラミングインタフェースと1つまたは複数のプロセッサとを備えるデータ処理システム」という点で共通する。

ウ.引用発明の「DAクライアントは、1つ以上のマイクを介してユーザの音声コマンドを受信」することにおいて、「マイク」は本願発明1における「クライアントコンピューティングデバイスのセンサ」に相当し、マイクを介した「ユーザの音声コマンド」は本願発明1の「クライアントコンピューティングデバイスのセンサによって検出された入力オーディオ信号」に相当する。また、引用発明の「DAサーバは、入力を音声ファイルとして受信」することは、本願発明1の「プロセッサは、クライアントコンピューティングデバイスのセンサによって検出された入力オーディオ信号を含むデータパケットを受信」することに相当する。

エ.引用発明の「サードパーティサービスプロバイダから受信された語彙に従ってそれぞれのタスクタイプを特定」することは、「サードパーティサービスプロバイダから受信された語彙」をキーワードとしてタスクタイプの特定に使用しているものといえることから、引用発明の「語彙」は、本願発明1における「キーワード」に相当し、よって、引用発明は、「前記入力オーディオ信号を解析して、キーワードを識別」しているものといえる。また、引用発明における「特定されたタスクタイプのタスクを実行する要求」はアクションを行う為のデータであり、またデータは通常何らかの構造を備えていることから、本願発明1における「アクションデータ構造」に相当し、よって、引用発明は、「前記キーワードに基づいて、アクションデータ構造を生成」しているといえる。

オ.引用発明の「DAサーバは、特定されたタスクタイプのタスクを実行する要求を、1つ以上の選択されたサービスプロバイダ、典型的には1つのサービスプロバイダに送信」することは、上記エを参酌すれば、本願発明1の「前記アクションデータ構造を前記サードパーティプロバイダデバイスに送信」することに相当する。

カ.引用発明の「DAクライアント」は、本願発明1における「クライアントコンピューティングデバイス」に相当し、引用発明の「1つ以上の結果の1つ以上」は、本願発明1における「追加の情報」に相当するといえる。また、引用文献1の図1を参照すると、引用発明における「DAクライアント」及び「サービスプロバイダ」はそれぞれ1または複数存在し、「DAサーバ」は1または複数のサービスプロバイダとDAクライアントとの間で「1つ以上の結果の1つ以上」をルーティングしているものといえる。よって、上記ア、エを踏まえると、引用発明の「DAサーバ108は、1つ以上の結果をサービスプロバイダから受信して(426)、1つ以上の結果の1つ以上をDAクライアント104に送信する」ことは、本願発明1の「前記クライアントコンピューティングデバイスと前記サードパーティプロバイダデバイスとの間で追加の情報についてのデータパケットをルーティングする」ことに相当する。

したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)
「 コンピュータネットワークを介して音声ベースのデジタルアシスタントを稼働するためにパケット化されたアクションをルーティングするシステムであって、
アプリケーションプログラミングインタフェースと1つまたは複数のプロセッサと
を備えるデータ処理システムを備え、前記1つまたは複数のプロセッサは、
クライアントコンピューティングデバイスのセンサによって検出された入力オーディオ信号を含むデータパケットを受信し、
前記入力オーディオ信号を解析して、キーワードを識別し、
前記キーワードに基づいて、アクションデータ構造を生成し、
サードパーティプロバイダデバイスと前記クライアントコンピューティングデバイスとの間で前記アクションデータ構造を前記サードパーティプロバイダデバイスに送信し、
前記クライアントコンピューティングデバイスと前記サードパーティプロバイダデバイスとの間で追加の情報についてのデータパケットをルーティングする、システム。」

(相違点1)
本願発明1ではアプリケーションプログラミングインタフェースが「会話アプリケーションプログラミングインタフェース」であるのに対して、引用発明の「API」は「会話」の特定がなされていない点。

(相違点2)
本願発明1は、「リアルタイムコンテンツ選択プロセスを介して、サードパーティプロバイダデバイスとは異なるコンテンツプロバイダデバイスによって提供されたコンテンツアイテムを選択」することを含むのに対して、引用発明はそれを含むものではない点。

(相違点3)
本願発明1では、「前記会話アプリケーションプログラミングインタフェースを起動して前記サードパーティプロバイダデバイスと前記クライアントコンピューティングデバイスとの間で通信セッションを確立するために」、アクションデータ構造をサードパーティプロバイダデバイスに送信するのに対して、引用発明では、アプリケーションプログラミングインタフェースを用いることは特定されているものの、アプリケーションプログラミングインタフェースを起動し、通信セッションを確立する為にアクションデータ構造をサードパーティプロバイダデバイスに送信することは特定されていない点。

(相違点4)
本願発明1では、「前記通信セッションを介して前記クライアントコンピューティングデバイスと前記サードパーティプロバイダデバイスとの間で追加の情報についてのデータパケットをルーティング」しているのに対して、引用発明では、既に確立された「前記通信セッション」を介して、追加の情報についてのデータパケットをルーティングしているものではない点。


(2)相違点についての判断
事案に鑑み、まず相違点2について検討すると、相違点2に係る本願発明1の「リアルタイムコンテンツ選択プロセスを介して、サードパーティプロバイダデバイスとは異なるコンテンツプロバイダデバイスによって提供されたコンテンツアイテムを選択」するという構成は、引用文献1及び2には記載も示唆もされておらず、また、本願の優先日前において周知技術であるとも言えない。
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明及び引用文献2記載の技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2.本願発明2−8について

本願発明2−8は、いずれも,本願発明1と同一の構成を備えるものであるから,本願発明1と同じ理由により、当業者であっても引用発明、及び引用文献2記載の技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

3.本願発明9について

本願発明9は、「システム」である本願発明1と実質的に同様の内容を含む「方法」に係る発明であるので、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても引用発明、及び引用文献2記載の技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

4.本願発明10−16について

本願発10−16は、本願発明9と同一の構成を備えるものであるから,本願発明9と同じ理由により、当業者であっても引用発明、及び引用文献2記載の技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

第7 当審拒絶理由について

1.当審拒絶理由2
(1)特許法第36条第6項第2号について
当審では、請求項8,17について、不明確であるという拒絶の理由を通知しているが、令和 4年 7月27日付け手続補正によって、請求項8,17が削除された結果、この拒絶の理由は解消した。

(2)特許法第36条第6項第1号について
ア.当審では、請求項7−8,16−17について、発明の詳細な説明における対応する記載箇所が不明であるという拒絶の理由を通知しているが、令和 4年 7月27日付け手続補正によって、請求項7及び16について補正された結果、この拒絶の理由は解消した。

イ.当審では、請求項8,17について、発明の詳細な説明における対応する記載箇所が不明であるという拒絶の理由を通知しているが、令和 4年 7月27日付け手続補正によって、請求項8,17が削除された結果、この拒絶の理由は解消した。

2.当審拒絶理由1
(1)特許法第36条第6項第2号について
ア.当審では、請求項1−20について、不明確であるという拒絶の理由を通知しているが、令和 4年 7月27日付け手続補正によって、請求項1,11について補正された結果、この拒絶の理由は解消した。

イ.当審では、請求項8−9,18−19について、不明確であるという拒絶の理由を通知しているが、令和 4年 7月27日付け手続補正によって、請求項8及び18について補正された結果、この拒絶の理由は解消した。

ウ.当審では、請求項9,19について、不明確であるという拒絶の理由を通知しているが、令和 4年 7月27日付け手続補正によって、請求項9,19が削除された結果、この拒絶の理由は解消した。

(2)特許法第36条第6項第1号について
ア.当審では、請求項1−20について、発明の詳細な説明における対応する記載箇所が不明であるという拒絶の理由を通知しているが、令和 4年 7月27日付け手続補正によって、請求項1,11について補正された結果、この拒絶の理由は解消した。

イ.当審では、請求項9,19について、発明の詳細な説明における対応する記載箇所が不明であるという拒絶の理由を通知しているが、令和 4年 7月27日付け手続補正によって、請求項9,19が削除された結果、この拒絶の理由は解消した。

(3)特許法第29条第2項について
当審では、請求項1−2,5,11−12,15に係る発明は、引用文献1−2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるとの拒絶の理由を通知しているが、令和 4年 7月27日付け手続補正において、本願発明1−16は「リアルタイムコンテンツ選択プロセスを介して、サードパーティプロバイダデバイスとは異なるコンテンツプロバイダデバイスによって提供されたコンテンツアイテムを選択」するという技術的事項を有するものとなった。
当該技術的事項は、引用文献1−2には記載されておらず、本願優先日前における周知技術でもないので、本願発明1−16は、当業者であっても、引用文献1−2に基づいて容易に発明できたものではない。
したがって、この拒絶の理由は解消した。

第7 原査定についての判断
令和 4年 7月27日付け手続補正により補正された請求項1は、「リアルタイムコンテンツ選択プロセスを介して、サードパーティプロバイダデバイスとは異なるコンテンツプロバイダデバイスによって提供されたコンテンツアイテムを選択」するという構成を有するものとなっており、請求項9は、「リアルタイムコンテンツ選択プロセスを介して、サードパーティプロバイダデバイスとは異なるコンテンツプロバイダデバイスによって提供されたコンテンツアイテムを選択するステップ」という構成を有するものとなっており、上記のとおり、本願発明1−16は、上記引用発明及び上記引用文献2記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものではない。したがって、原査定を維持することはできない。

第8 むすび

以上のとおり、本願発明1−16は、当業者が引用発明、及び引用文献2記載の技術的事項に基づいて、容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2022-09-13 
出願番号 P2019-135381
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
P 1 8・ 537- WY (G06F)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 稲葉 和生
特許庁審判官 富澤 哲生
▲高▼瀬 健太郎
発明の名称 オーディオベースのデータ構造生成  
代理人 村山 靖彦  
代理人 実広 信哉  
代理人 阿部 達彦  
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