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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1388828
総通号数 10 
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-10-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-06-04 
確定日 2022-10-07 
事件の表示 特願2019−238751「錯触力覚を誘起する方法及び錯触力覚を誘起する装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 4月16日出願公開、特開2020− 61184、請求項の数(10)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成20年9月12日(優先権主張平成19年9月14日)を国際出願日とする出願である特願2009−532251号の一部を、平成25年3月25日に新たな特許出願(特願2013−62836号)とし、その一部を、平成27年4月23日に新たな特許出願(特願2015−88432号)とし、その一部を、平成29年5月1日に新たな特許出願(特願2017−91465号)とし、その一部を、令和元年12月27日に新たな特許出願(特願2019−238751号)としたものであって、その後の手続の概要は、以下のとおりである。
令和2年 8月18日付け:拒絶理由通知書
令和2年10月15日: 意見書、手続補正書の提出
令和3年 3月 4日付け:拒絶査定
令和3年 6月 4日: 審判請求書、手続補正書の提出
令和4年 3月 2日付け:拒絶理由通知書(以下、「当審拒絶理由(1
)」という。)
令和4年 4月26日: 意見書、手続補正書の提出
令和4年 5月31日付け:拒絶理由通知書(以下、「当審拒絶理由(2
)」という。)
令和4年 7月28日: 意見書、手続補正書の提出

第2 原査定の概要
原査定(令和3年3月4日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

理由2(進歩性) 本願請求項1−6、8−13に係る発明は、以下の引用文献A−Dに基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
A.特開2005−190465号公報
B.特開平08−254472号公報
C.特開2001−51726号公報
D.特開2002−182817号公報

第3 当審拒絶理由の概要
1 当審拒絶理由(1)の概要
理由1(明確性) この出願は、特許請求の範囲の請求項1−12の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

理由2(サポート要件) この出願は、特許請求の範囲の請求項1−12の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

理由3(進歩性) 本願請求項1−12に係る発明は、引用文献1−4に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開2005−190465号公報(拒絶査定時の引用文献A)
2.特開平08−254472号公報(拒絶査定時の引用文献B)
3.特開2001−51726号公報(拒絶査定時の引用文献C)
4.特開2002−182817号公報(拒絶査定時の引用文献D)

2 当審拒絶理由(2)の概要
理由1(明確性) この出願は、特許請求の範囲の請求項6、12の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

第4 本願発明
本願請求項1−10に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」−「本願発明10」という。)は、令和4年7月28日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1−10に記載された事項により特定される発明であって、本願発明1は以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
物理的には存在していない力のユーザによる知覚である錯触力覚を誘起する方法であって、
ゲームコントローラを構成する錯触力覚デバイス又は錯触力覚インターフェースの運動量の変化と、前記錯触力覚との間の関係を示す錯触力覚誘起関数に従い、誘起する前記錯触力覚の情報に基づいて、前記錯触力覚デバイス又は前記錯触力覚インターフェースの運動量を変化させ、非線形感覚特性である前記錯触力覚を、ヒステリシス特性又は粘弾性特性を有する材料を介して誘起し、
前記材料は、前記錯触力覚デバイス又は前記錯触力覚インターフェースの表面、又は前記ゲームコントローラのユーザの身体に張り付け可能に構成されている、錯触力覚を誘起する方法。」

なお、本願発明2−10の概要は以下のとおりである。
本願発明2−5は、本願発明1を減縮した発明である。
本願発明6は、本願発明1に対応する「装置」の発明であり、本願発明1とカテゴリ表現が異なるだけの発明である。
本願発明7−10は、本願発明6を減縮した発明である。

第5 引用文献、引用発明等
1 引用文献1及び引用発明
(1) 引用文献1
当審拒絶理由(1)の理由3において引用された引用文献1には、図面とともに、以下の記載がある(下線は、特に着目した箇所を示す。以下同様。)。

ア 段落【0001】−【0002】
「【技術分野】
【0001】
本発明は、感覚特性を利用した触力覚情報提示システムおよび方法に関するものである。
【0002】
さらに詳述すると本発明は、VR(VirtualReality)の分野において用いられる機器,ゲームの分野において用いられる機器,携帯電話機,携帯型ナビゲーション機器,PDA(携帯情報端末)などに搭載されるマンマシンインタフェースを提供するための触力覚情報提示システム、触力覚情報提示方法、触力覚情報提示システムの触力覚提示機、および触力覚情報提示システムの制御装置に関するものである。」

イ 段落【0008】
「【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述の点に鑑み、本発明の第1の目的は、人に仮想物体の存在や衝突の衝撃力を与える従来の非接地型で身体内にベースがないマンマシンインタフェースにおいて、人間の感覚特性を利用した触力覚情報提示機構を実現することで、触力覚提示機の物理的特性だけでは提示し得ない、同一方向に振動・トルク・力などの触力覚情報を連続的に提示できる触力覚情報提示システムおよび方法を提供することにある。」

ウ 段落【0019】−【0021】
「【発明の効果】
【0019】
本発明に係る触力覚情報提示システムおよび触力覚情報提示方法を実施することにより、以下に列挙する格別な効果を得ることができる。
【0020】
(1)非接地型で身体内にベースがないマンマシンインタフェースでは従来困難だった、トルクおよび力などの触力覚情報を同一方向に連続的または断続的に提示することが可能になる。
【0021】
(2)人間の感覚特性および錯覚を利用することにより、物理的には存在し得ないトルクあるいは力などの触力覚的感覚物理特性を人に提示することが可能になる。」

エ 段落【0024】
「【0024】
(5)本発明を実施することにより、VR(VirtualReality)の分野において用いられる機器,ゲームの分野において用いられる機器,携帯電話機,携帯型ナビゲーション機器,PDA(携帯情報端末)などに搭載され得る、有用なマンマシンインタフェース・ロボットとマシンとの間のインタフェース・動物とマシンとの間のインタフェース等を実現することができる。例えばVRの分野においては、上記マンマシンインタフェースを介して人に力を提示したり、抗力あるいは反力などを与えて人の動きを制限することにより、仮想空間における物体の存在や衝突による衝撃を提示することができる。また、携帯電話機,携帯型ナビゲーション機器,PDAなどに上記インタフェースを搭載することにより、操作者の皮膚を介して、従来には見られなかった各種多様な指示・案内等を実現することができる。」

オ 段落【0029】−【0031】
「【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明による実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0030】
(動作原理1)
図1は、本発明の一実施形態における触力覚情報提示システムの概略構成を示す図である。
【0031】
触力覚提示機112は、制御装置111を用いて、触力覚提示機112中の1個以上からなる回転子の回転速度が制御され、その物理特性である振動、力、トルクが制御されることによって、ユーザ110にその振動、力、トルクなどの様々な触力覚情報を知覚させる。」

カ 段落【0034】−【0036】
「【0034】
CPU4160は、制御装置4120の動作全体を司る。RAM4170は、CPU4160が処理を行う際の処理対象のデータ等を一時記憶するワークエリアとして使用される。ROM4140は、制御プログラム4150が予め格納されている。制御プログラム4150は、入力装置4130からの入力信号対応した触力覚提示機4110の制御処理を規定したプログラムである。CPU4160は、ROM4140から制御プログラム4150を読み出し実行することにより、各入力信号に対応して触力覚提示機4110の回転子4180の制御を行う。
【0035】
入力装置4130は、例えば、入力メニューのセレクトボタン等である。CPU4160は、押下若しくはタッチ等によって選択されたセレクトボタンの入力に対応した処理(例えば、所定の回転の向きのトルクが発生するように触力覚提示機4110を制御)を行う。このような入力装置4130は、制御装置4120と一体化した制御装置4120の一部としてもよい。
【0036】
或いは、入力装置4130は、後述される筋電を検知するための周知の筋電検知器や周知の角加速度センサ等のデバイスである。CPU4160は、筋電検知器からの筋電発生のトリガ信号や角加速度センサからの角加速度の信号が制御装置4120へ入力されると、その入力をフィードバッグした触力覚提示機4110の制御を行う。角加速度センサのような入力装置4130は、触力覚提示機4110と共に触力覚提示機4110内部に含まれる構成としてもよい。」
(当審注:上記記載中の「フィードバッグ」は、「フィードバック」の誤記と認められる。)

キ 段落【0038】−【0039】
「【0038】
図2および図3は、力覚に関する感覚特性を用いた、触力覚情報提示システムの制御装置によって触力覚提示機を制御する、触力覚情報提示方法を示す図である。
【0039】
感覚特性211は主に刺激である物理量212に対してその感覚量213は対数などの非線形特性である場合が多い。図2−1は感覚特性211が対数関数的な特性の場合を模式化したものである。この感覚特性211上の、動作点A214で正のトルクを発生し、動作点B215で逆方向の負のトルクを発生した場合を考えると、トルク感覚224は図2−2のように表わされる。トルク223は回転子の回転速度(角速度)222の時間微分に比例する。動作点A214、および動作点B215で動作させると、トルク感覚224が知覚される。トルク223は、物理的に1サイクルで初期状態228に戻り、その積分値はゼロとなっている。しかし、感覚量であるトルク感覚224の感覚的積分値はゼロになるとは限らない。動作点A214および動作点B215を適切に選択して、動作点A継続時間225および動作点B継続時間226を適切に設定することで、任意の方向に自在にトルク感覚を提示し続けることができる。」

ク 段落【0044】
「【0044】
感覚特性は、筋肉を伸ばす時と縮める時など、変位312が増加する時と減少する時において等方的でなく、ヒステリシス的感覚特性311を示す場合が多い。(図4−1)のヒステリシス的感覚特性311は感覚特性のヒステリシス的な特性を模式化したものである。このヒステリシス的感覚特性311上の、動作経路A314で正のトルクを発生し、動作経路B315で逆方向の負のトルクを発生した場合を考えると、これらの挙動は(図4−2)のように表わされ、トルク感覚334は(図4−3)のように表わされる。トルク333は回転子の回転速度332の時間微分に比例する。動作経路A314、および動作経路B315で動作させると、トルク感覚334が知覚される。トルク333は、物理的に1サイクルで初期状態338に戻り、その積分値はゼロとなっている。しかし、感覚量であるトルク感覚334の感覚的積分値はゼロになるとは限らない。動作経路A314および動作経路B315を適切に選択して、動作経路A継続時間335および動作経路B継続時間336を適切に設定することで、任意の方向に強いトルク感覚を断続的に連続して提示し続けることができる。」

ケ 段落【0050】−【0054】
「【0050】
図8は、力覚に関する感覚特性の変化に合わせて触力覚情報提示を制御する方法を用いた触力覚情報提示方法を示す図である。
【0051】
感覚特性は、筋肉の緊張状態、あるいは、身体的・生理的・心理的状態のいずれか1つ以上の状態によりトルク感覚517の感度が変化する。例えば、筋肉が外力である提示トルク514(短い時間で強いトルク524)で瞬時に伸ばされることで、筋肉の中の筋紡錘というセンサがこれを感知し、この外力に負けないパワーを持つ筋肉起因トルク515(筋肉反射起因トルク525)で条件反射的に筋肉が素早く収縮する。このとき筋電511が発生する。それを検知した制御回路512は触力覚提示機513を制御して、筋肉の収縮に同期して提示トルク516(穏やかに中程度のトルク526)を働かせることでトルク感覚517の感度を変化させる。
【0052】
以上のことは、筋肉の緊張状態だけに限らず、呼吸・姿勢・神経発火の状態のいずれか1つ以上の状態による感覚感度の変化の場合にも成立する。
【0053】
図9は、力覚に関する掌の方向に対する提示物理量と感覚量との関係によって提示物理量を補正する方法を用いた触力覚情報提示方法を示す。掌は、その骨格・関節・腱・筋肉などの解剖学的な構造から、掌の方向によって感度が異なる。掌の方向に依存した感度(不等方性感度曲線611)に合わせて提示物理量の強度(回転速度ω612)を補正することによって、精度良い方向提示が可能となる。
【0054】
図10は、本実施形態の触力覚提示機中の回転子に適用可能な偏心回転子の説明図で、力覚に関する感覚特性を用い、偏心回転子711の回転を(図10−2のように)位相同期させた触力覚情報提示方法を示す図である。」

コ 段落【0065】−【0067】
「【0065】
(応用例1)
図14は、(図10−1)の偏心回転子711、(図11−1)のツイン偏心回転子811、図13の3次元空間配置されたツイン偏心回転子のいずれかをシート状に2次元平面的に配置したシート状偏心回転子アレイ880を示す図である。ツイン偏心回転子の駆動部分の実施方法は、分子モータや圧電素子などでもよく、目的の物理量を提示できるものならばどんなものでも構わない。
【0066】
図15は、本シート状偏心回転子アレイ880を手袋状に加工した手袋状偏心回転子アレイ890を示す図である。それぞれの偏心回転子の回転を適切に制御することで掌上に空間・時間的に様々なパターンの、振動感覚、トルク感覚、力感覚を提示することができる。
【0067】
なお、上記のシート状偏心回転子アレイ880および手袋状偏心回転子アレイ890は実施形態の一例に過ぎず、偏心回転子アレイが3次元的に配置された場合を含め衣類やウェアラブルな触力覚情報提示などにも応用することができる。」

サ 【図1】




シ 【図2】




ス 【図3】




セ 【図8】




ソ 【図10】




タ 【図14】




チ 【図15】




(2) 引用発明
よって、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が開示されているものと認められる。

「VR(VirtualReality)の分野において用いられる機器,ゲームの分野において用いられる機器などに搭載されるマンマシンインタフェースを提供するための、感覚特性を利用した触力覚情報提示方法に関し、(【0001】−【0002】)
人に仮想物体の存在や衝突の衝撃力を与える非接地型で身体内にベースがないマンマシンインタフェースにおいて、人間の感覚特性を利用した触力覚情報提示機構を実現することで、触力覚提示機の物理的特性だけでは提示し得ない、同一方向に振動・トルク・力などの触力覚情報を連続的に提示でき、(【0008】)
人間の感覚特性および錯覚を利用することにより、物理的には存在し得ないトルクあるいは力などの触力覚的感覚物理特性を人に提示し、(【0021】)
例えばVRの分野においては、上記マンマシンインタフェースを介して人に力を提示したり、抗力あるいは反力などを与えて人の動きを制限することにより、仮想空間における物体の存在や衝突による衝撃を提示することができるものであって、(【0024】)
触力覚提示機112は、制御装置111を用いて、触力覚提示機112中の1個以上からなる回転子の回転速度が制御され、その物理特性である振動、力、トルクが制御されることによって、ユーザ110にその振動、力、トルクなどの様々な触力覚情報を知覚させ、(【0031】)
入力装置4130は、筋電を検知するための周知の筋電検知器や周知の角加速度センサ等のデバイスであり、CPU4160は、筋電検知器からの筋電発生のトリガ信号や角加速度センサからの角加速度の信号が制御装置4120へ入力されると、その入力をフィードバックした触力覚提示機4110の制御を行い、(【0036】)
感覚特性211は主に刺激である物理量212に対してその感覚量213は対数などの非線形特性であり、この感覚特性211上の、動作点A214で正のトルクを発生し、動作点B215で逆方向の負のトルクを発生した場合を考えると、トルク223は、物理的に1サイクルで初期状態228に戻り、その積分値はゼロとなっているが、感覚量であるトルク感覚224の感覚的積分値はゼロになるとは限らず、任意の方向に自在にトルク感覚を提示し続けることができ、(【0039】)
感覚特性は、筋肉を伸ばす時と縮める時など、変位312が増加する時と減少する時において等方的でなく、ヒステリシス的感覚特性311を示し、筋肉の緊張状態、あるいは、身体的・生理的・心理的状態のいずれか1つ以上の状態によりトルク感覚517の感度が変化し、(【0044】、【0051】)
触力覚提示機中の回転子に適用可能な偏心回転子の応用例として、偏心回転子をシート状に2次元平面的に配置したシート状偏心回転子アレイ880を手袋状に加工した手袋状偏心回転子アレイ890を示し、それぞれの偏心回転子の回転を適切に制御することで掌上に空間・時間的に様々なパターンの、振動感覚、トルク感覚、力感覚を提示することができ、なお、上記のシート状偏心回転子アレイ880および手袋状偏心回転子アレイ890は実施形態の一例に過ぎず、偏心回転子アレイが3次元的に配置された場合を含め衣類やウェアラブルな触力覚情報提示などにも応用することができる(【0054】、【0065】−【0067】)
触力覚情報提示方法。」

2 引用文献2−4
(1) 引用文献2
引用文献2の段落【0091】−【0093】には、以下の記載がある。

「【0091】(14) 圧覚・触覚センサと、この圧覚・触覚センサからの出力信号を処理する信号処理手段と、この信号処理手段によって処理された駆動信号によって動作する圧覚・触覚呈示デバイスとからなる圧覚・触覚伝達装置において、上記信号処理手段は、基準刺激として周波数及び振幅を上記圧覚・触覚呈示デバイスに発生させる基準信号発生ステップと、この基準信号発生ステップによる上記基準刺激に対して上記圧覚・触覚呈示デバイスの被呈示者の応答を入力する知覚応答入力ステップと、上記基準信号発生ステップと知覚応答入力ステップとによって得られる上記周波数及び振幅に対する上記被呈示者の知覚の状態を格納する初期設定ステップと、この初期設定ステップにより格納された上記周波数及び振幅に対する上記被呈示者の知覚の状態に応じて、上記被呈示者が同一の知覚の強さを呈する振動の周波数と振幅の組み合わせに相当する等感度曲線を導出し、この等感度曲線に基づいた上記駆動信号生成関数を作成する演算ステップとを具備することを特徴とする圧覚・触覚伝達方法。
【0092】このような圧覚・触覚伝達方法によれば、上記基準信号発生ステップにより基準刺激を圧覚・触覚呈示デバイスの被呈示者に発生し、上記知覚応答入力ステップによりその際の被呈示者からの刺激知覚の回答が入力される。これら上記基準信号発生ステップと知覚応答入力ステップとから、知覚応答入力ステップにより基準刺激としての周波数及び振幅と知覚との関係(周波数・振幅−知覚データ)が格納される。さらに、演算ステップにより上記圧覚・触覚センサの出力信号を、人間の振動知覚に関する等感度曲線に当てはめて、圧覚・触覚呈示デバイスの駆動周波数信号が生成される。
【0093】これにより、初期設定時に基準刺激を発生させ、その知覚の有無によって、振動知覚における個人的なばらつきを補正することができるため、圧覚・触覚呈示デバイスの被呈示者の知覚特性にあった刺激呈示を行うことが可能となる。さらに、上記基準信号発生ステップにより発生された刺激の知覚の認識度合から、圧覚・触覚呈示デバイスの被呈示者の刺激知覚の個人的な差を補正し、確実に被呈示者に刺激を伝達することができ、より人間の知覚変化に基づいた最適な刺激強度変化を実現することができる。」

(2) 引用文献3
引用文献3の段落【0043】には、以下の記載がある。

「【0043】以上のようにして図19ステップST44は、終了し、図15のステップST5の力のプロファイルデータの追加登録がなければ、操作者11が仮想空間においてダンベルを持ち上げるという動作は、終了することとなる(ステップST6)
以上のように本実施の形態によれば、操作者11の筋肉の発達の程度や動作の癖等の個人差に自動的に対応して、各操作者11にフィットした適切な力触覚提示をおこなうことが可能となる。また、各操作者11の動力学的特性や動作列特性を個性対応型機械制御装置10側が学習し、力のプロファイルとしてメモリ18に記憶するので、操作者11が、そのような特性を自分で入力する必要がない。さらに、その日の操作者11の体調や疲労等による操作者11の力のプロファイルの変化を自動的に感知し学習し、新力のプロファイルとして記憶すると共に出力調整も行うので、常に操作者11の感覚にフィットした適切な力触覚提示をすることができる。」

(3) 引用文献4
引用文献4の段落【0031】−【0043】には、以下の記載がある。

「【0031】図4に、本力覚呈示装置の制御原理を説明する図を示す。力覚呈示装置の6軸力覚センサ1の力覚データおよび小型マニピュレータ2の角度検出センサ5の角度データは、周期的に計算機8に取り込まれている。
【0032】力覚呈示装置の指先位置および指先速度は、小型マニピュレータ2の各リンク6のパラメータが既知であることから、角度検出センサ5の角度データを用いて計算することができる。
【0033】計算機8の内部には、仮想物体10と、その仮想物体10を操作する仮想的な指9(以後、仮想指と呼ぶ)が構築されている。仮想指9は、力覚呈示装置の指先の運動に応じて計算機内部の仮想世界を自由に運動することができる。
【0034】人間は、力覚呈示装置の力覚センサ1に指を挿入し、指を動かす。このとき、小型マニピュレータ2の角度検出センサ5の角度データを用い、指先位置・指先速度が計算される。その指先位置・指先速度のデータに応じて仮想指9は計算機内部の仮想空間内を運動する。その結果、仮想指9は力覚呈示装置を装着した人間の指12によって操られる。
【0035】計算機8は、仮想指9が仮想世界を運動したり、仮想物体10を操作しているときに、仮想指9に作用する力覚を計算する。この計算された力覚は、小型マニピュレータ2の力制御の目標値として与えられる。
【0036】計算機8により計算された目標力は、力覚呈示装置の6軸力覚センサ1の力覚データと比較され、その差がゼロとなるように、小型マニピュレータ2のアクチュエータ4に与える指令値が計算機8により計算される。計算された指令値は、計算機8からアクチュエータ4のサーボドライバ11に出力され、指先の6軸力覚センサ1の力覚データが目標力に収束するようアクチュエータ4が駆動される。
【0037】これより、指の運動により計算機内部の仮想指9を操り、計算機8は仮想指9の運動に応じて仮想指9に作用する力覚を計算し、その力覚を目標力として小型マニピュレータ2を力制御することで、操作者の指先にあたかも仮想物体が実在し、操作しているかのように感じさせることができる。
【0038】例えば、仮想指9が自由空間を運動しているときには、目標力をゼロとすることで、人間の指12は物に触れていないことを感じる。仮想指9が仮想物体10の表面上にあるときは、指の運動に対して、仮想物体表面上の垂直抗力や摩擦力を目標力として与えることで、人間はその仮想物体10をなぞっているかのように感じることができる。
【0039】また、指が仮想物体10を押し込む方向に動かしたとき、
Δf=KΔx・・・・・(1)
(ここで、Δfは力の増分、Kは物体のバネ係数、Δxは指の変位である。)となるよう目標力を与えることで、人間の指は物体の剛性(バネ特性)を感じる。
【0040】そして、指が仮想物体10を押し込む方向に動かしたとき、
f=μv・・・・・(2)
(fは力、μは物体のダンピング係数、vは指の速度である。)となるよう目標力を与えることで、人間の指は物体の粘性(ダンピング特性)を感じることができる。
【0041】このように、物体の重さや摩擦力、インピーダンス特性(バネ特性、ダンピング特性)を呈示することにより、物体の質感を指先に呈示することができる。
【0042】また、アクチュエータ4のトルクをゼロとして、小型マニピュレータ2が自由に動ける状態で指を動かし、物体に触ったときの力覚データや指先位置、指先速度のデータを計測し記録することにより、その物体の重さや摩擦力、インピーダンス特性(バネ特性、ダンピング特性)を記録することができる。
【0043】こうして記録された力覚データや物体のインピーダンス特性は、先に示したように小型マニピュレータ2を力制御することで人間の指先に再び呈示することができる。」

第6 対比・判断
1 本願発明1について
(1) 対比

本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。


引用発明の「触力覚」は、「人間の感覚特性を利用した触力覚情報提示機構を実現することで、触力覚提示機の物理的特性だけでは提示し得ない、同一方向に振動・トルク・力などの触力覚情報を連続的に提示でき、人間の感覚特性および錯覚を利用することにより、物理的には存在し得ないトルクあるいは力などの触力覚的感覚物理特性を人に提示」することで、「人間」に「知覚」させる「感覚」であるといえることから、本願発明1の「錯触力覚」に相当する。
したがって、引用発明の「触力覚情報提示方法」は、上記したように「錯覚を利用することによ」る「触力覚的感覚物理特性を人に提示」する「方法」であるから、後述する相違点を除き、本願発明1の「錯触力覚を誘起する方法」に相当する。


(ア)引用発明の「ゲームの分野において用いられる機器などに搭載されるマンマシンインタフェース」が「ゲームコントローラ」を含んでいることは当業者に自明であって、引用発明の「触力覚提示機112中の1個以上からなる回転子」は、「回転速度が制御」されることにより、「その物理特性である振動、力、トルクが制御されることによって、ユーザ110にその振動、力、トルクなどの様々な触力覚情報を知覚させ」るものであるから、上記アで示したように、引用発明の「触力覚」は、「人間の感覚特性を利用した触力覚情報提示機構を実現することで、触力覚提示機の物理的特性だけでは提示し得ない、同一方向に振動・トルク・力などの触力覚情報を連続的に提示でき、人間の感覚特性および錯覚を利用することにより、物理的には存在し得ないトルクあるいは力などの触力覚的感覚物理特性を人に提示」することで、「ユーザ」すなわち「人間」に「知覚」させる「感覚」であることを踏まえると、引用発明の当該「感覚」を「提示」する「触力覚提示機112中」の前記「回転子」は、本願発明1の「ゲームコントローラを構成する錯触力覚デバイス又は錯触力覚インターフェース」に相当するといえる。

(イ)引用発明の「物理量」は、上記(ア)を踏まえると、引用発明の「回転速度が制御」された「回転子」の「その物理特性である振動、力、トルク」あることから、当該「回転子」の前記「物理量」は、本願発明1の「ゲームコントローラを構成する錯触力覚デバイス又は錯触力覚インターフェースの運動量」とは、「ゲームコントローラを構成する錯触力覚デバイス又は錯触力覚インターフェースの物理量」である点で共通する。そして、引用発明の「回転速度が制御」された「回転子」の「その物理特性である振動、力、トルク」は、具体的には、引用発明において、「動作点A214で正のトルクを発生し、動作点B215で逆方向の負のトルクを発生した場合を考えると、トルク223は、物理的に1サイクルで初期状態228に戻り、その積分値はゼロとなっている」とあるように、「回転子」の「物理量」は、「1サイクル」の間に「正」と「負」の値を取り得るように「変化」するものといえる。
したがって、上記(ア)を踏まえると、引用発明の「回転子」の「物理量」の当該「変化」と、本願発明1の「ゲームコントローラを構成する錯触力覚デバイス又は錯触力覚インターフェースの運動量の変化」とは、「ゲームコントローラを構成する錯触力覚デバイス又は錯触力覚インターフェースの物理量の変化」である点で共通する。

(ウ)引用発明において、「感覚特性211は主に刺激である物理量212に対してその感覚量213は対数などの非線形特性であり、この感覚特性211上の、動作点A214で正のトルクを発生し、動作点B215で逆方向の負のトルクを発生した場合を考えると、トルク223は、物理的に1サイクルで初期状態228に戻り、その積分値はゼロとなっているが、感覚量であるトルク感覚224の感覚的積分値はゼロになるとは限らず、任意の方向に自在にトルク感覚を提示し続けることができ」ることから、上記アを踏まえると、引用発明の「感覚量」は、「物理的には存在し得ないトルクあるいは力などの触力覚的感覚物理特性」を「人間」に「知覚」させる「感覚」である「触力覚」を意味するといえ、本願発明1の「錯触力覚」に相当するといえる。
そして、引用発明の「感覚特性」は、上述のとおり、「物理量」に対する「感覚量」であるから、「物理量」と「感覚量」との間の関係を示す「関数」といえる。したがって、上記(イ)を踏まえると、引用発明の「感覚特性」は、本願発明1の「運動量の変化と、前記錯触力覚との間の関係を示す錯触力覚誘起関数」とは、「物理量の変化と、前記錯触力覚との間の関係を示す錯触力覚誘起関数」である点で共通する。

(エ)引用発明において、「入力装置4130は、筋電を検知するための周知の筋電検知器や周知の角加速度センサ等のデバイスであり、CPU4160は、筋電検知器からの筋電発生のトリガ信号や角加速度センサからの角加速度の信号が制御装置4120へ入力されると、その入力をフィードバックした触力覚提示機4110の制御を行い」、「回転子の回転速度が制御され、その物理特性である振動、力、トルクが制御されることによって、ユーザ110にその振動、力、トルクなどの様々な触力覚情報を知覚させ」ていることは、本願発明1の「誘起する前記錯触力覚の情報に基づいて、前記錯触力覚デバイス又は前記錯触力覚インターフェースの運動量を変化させ」ていることと、「誘起する前記錯触力覚の情報に基づいて、前記錯触力覚デバイス又は前記錯触力覚インターフェースの物理量を変化させ」ている点で共通するといえる。

(オ)引用発明においては、「触力覚提示機中の回転子に適用可能な偏心回転子の応用例」として、「偏心回転子をシート状に2次元平面的に配置したシート状偏心回転子アレイ880を手袋状に加工した手袋状偏心回転子アレイ890を示し、それぞれの偏心回転子の回転を適切に制御することで掌上に空間・時間的に様々なパターンの、振動感覚、トルク感覚、力感覚を提示することができ」ることが例示されており、また、その他に、「偏心回転子アレイが3次元的に配置された場合を含め衣類やウェアラブルな触力覚情報提示などにも応用することができる」ことも例示されている。ただし、手袋等の「材料を介して」誘起している点は記載されていない。
したがって、「感覚特性211は主に刺激である物理量212に対してその感覚量213は対数などの非線形特性であ」る、引用発明の前記「トルク感覚224」である「感覚量」を、「手袋」、「衣類やウェアラブルな」ものに「回転子」を「配置」することで「ユーザ110にその振動、力、トルクなどの様々な触力覚情報を知覚させ」ることは、本願発明1の「非線形感覚特性である前記錯触力覚を、ヒステリシス特性又は粘弾性特性を有する材料を介して誘起し」することと、「非線形感覚特性である前記錯触力覚を、誘起し」ている点で共通するといえる。


引用発明において、「手袋」、「衣類やウェアラブルな」ものに「回転子」を「配置」することで、「ユーザ110にその振動、力、トルクなどの様々な触力覚情報を知覚させ」ることは、本願発明1の「前記材料は、前記錯触力覚デバイス又は前記錯触力覚インターフェースの表面、又は前記ゲームコントローラのユーザの身体に張り付け可能に構成されている」ことと、「前記材料は、前記錯触力覚デバイス又は前記錯触力覚インターフェースの表面、又は前記ゲームコントローラに構成されている」点で共通するといえる。

よって、本願発明1と引用発明との一致点・相違点は次のとおりであるといえる。

[一致点]
「物理的には存在していない力のユーザによる知覚である錯触力覚を誘起する方法であって、
ゲームコントローラを構成する錯触力覚デバイス又は錯触力覚インターフェースの物理量の変化と、前記錯触力覚との間の関係を示す錯触力覚誘起関数に従い、誘起する前記錯触力覚の情報に基づいて、前記錯触力覚デバイス又は前記錯触力覚インターフェースの物理量を変化させ、非線形感覚特性である前記錯触力覚を、材料を介して誘起し、
前記材料は、前記錯触力覚デバイス又は前記錯触力覚インターフェースの表面、又は前記ゲームコントローラに構成されている、錯触力覚を誘起する方法。」

[相違点1]
錯触力覚デバイス又は錯触力覚インターフェースの「物理量」の変化は、本願発明1では、「運動量」の変化であるのに対し、引用発明には「運動量」の変化とは特定されていない点。

[相違点2]
本願発明1では、非線形感覚特性である前記錯触力覚を、「ヒステリシス特性又は粘弾性特性を有する材料を介して」誘起しているのに対し、引用発明には、そのような材料を介して、錯触力覚を誘起することが特定されていない点。

[相違点3]
本願発明1は、「前記材料は、前記錯触力覚デバイス又は前記錯触力覚インターフェースの表面、又は前記ゲームコントローラのユーザの身体に張り付け可能に構成されている」ているのに対し、引用発明では、「前記材料は」、前記錯触力覚デバイス又は前記錯触力覚インターフェースの表面、又は前記ゲームコントローラの「ユーザの身体に張り付け可能に」構成されていない点。

(2) 当審の判断
事案に鑑みて、「材料」について相互に関連する、上記[相違点2]、[相違点3]について先に検討すると、本願発明1の上記[相違点2]、[相違点3]に係る、非線形感覚特性である錯触力覚を、「ヒステリシス特性又は粘弾性特性を有する材料を介して」誘起し、「前記材料は」、前記錯触力覚デバイス又は前記錯触力覚インターフェースの表面、又は前記ゲームコントローラの「ユーザの身体に張り付け可能に」構成されている構成については、上記引用文献1−4には記載されておらず、周知技術であるともいえない。
引用文献2−3(上記第5、2(1)−(2)を参照。)には、それぞれ、力覚提示を行う装置において、ユーザ個人の特性に合わせて最適化を行う周知技術が記載され、引用文献4(上記第52(3)を参照。)には、センサのデータを用いて指先位置・指先速度を計算し、その指先位置・指先速度のデータに応じて運動する仮想指9が仮想物体10の表面上にあるときには、指の運動に対して、仮想物体表面上の垂直抗力や摩擦力を目標力として与えることで、その仮想物体10をなぞっているように感じさせたり、指が仮想物体10を押し込む方向に動かしたときに、物体の質感を指先に呈示したりする力覚呈示装置の技術が記載されているが、非線形感覚特性である錯触力覚を、「ヒステリシス特性又は粘弾性特性を有する材料を介して」誘起し、「前記材料は」、前記錯触力覚デバイス又は前記錯触力覚インターフェースの表面、又は前記ゲームコントローラの「ユーザの身体に張り付け可能に」構成されている構成は、開示されていない。
よって、当業者といえども、引用発明及び引用文献2−4に記載された技術的事項から、本願発明1の上記[相違点2]、「相違点3」に係る構成を容易に想到することはできない。
したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明及び引用文献2−4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2 請求項2−9について
本願発明2−10も、本願発明1の上記[相違点2]、「相違点3」に係る、非線形感覚特性である錯触力覚を、「ヒステリシス特性又は粘弾性特性を有する材料を介して」誘起し、「前記材料は」、前記錯触力覚デバイス又は前記錯触力覚インターフェースの表面、又は前記ゲームコントローラの「ユーザの身体に張り付け可能に」構成されているものと、(実質的に)同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2−4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

第7 当審拒絶理由(2)の理由1について
令和4年7月28日付けの補正により、補正前の請求項6、12は削除された結果、請求項6、12の記載不備に基づく、当審拒絶理由(2)の理由1(明確性)は解消した。

第8 当審拒絶理由(1)の理由1−3について
2 理由1(明確性)について
令和4年7月28日付けの補正により、補正前の請求項1−12の用語「錯触力覚」は、「物理的には存在していない力のユーザによる知覚である錯触力覚」と補正された結果、用語「錯触力覚」の記載が不明確であることに基づく、当審拒絶理由(2)の理由1(明確性)は解消した。

2 理由2(サポート要件)について
令和4年7月28日付けの補正により、補正前の請求項1−12における、「非線形感覚特性である錯覚を利用して提示された運動量の変化によって、発生する力(物理情報)とは異なる錯触力覚」との記載が削除された結果、請求項1−12に記載された上記技術事項は、発明の詳細な説明に記載された技術事項と異なっており、対応していないことに基づく、当審拒絶理由(2)の理由2(サポート要件)は解消した。

3 理由3(進歩性)について
令和4年7月28日付けの補正による、補正後の請求項1−10は、本願発明1の上記[相違点2]、「相違点3」に係る、非線形感覚特性である錯触力覚を、「ヒステリシス特性又は粘弾性特性を有する材料を介して」誘起し、「前記材料は」、前記錯触力覚デバイス又は前記錯触力覚インターフェースの表面、又は前記ゲームコントローラの「ユーザの身体に張り付け可能に」構成されているものと、(実質的に)同一の構成を備えるものとなった。当該技術的事項は、当審拒絶理由(1)における引用文献1−4には記載されておらず、周知技術でもないので、本願発明1−10は、当業者であっても、当審拒絶理由(1)における引用文献1−4に基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、当審拒絶理由(1)の理由3(進歩性)は解消した。

第9 原査定についての判断
令和4年7月28日付けの補正による、補正後の請求項1−10は、非線形感覚特性である錯触力覚を、「ヒステリシス特性又は粘弾性特性を有する材料を介して」誘起し、「前記材料は」、前記錯触力覚デバイス又は前記錯触力覚インターフェースの表面、又は前記ゲームコントローラの「ユーザの身体に張り付け可能に」構成されているという技術的事項を有するものとなった。当該技術的事項は、原査定における引用文献A−Dには記載されておらず、周知技術でもないので、本願発明1−10は、当業者であっても、原査定における引用文献A−Dに基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定を維持することはできない。

第10 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。

 
審決日 2022-09-27 
出願番号 P2019-238751
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
P 1 8・ 537- WY (G06F)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 ▲吉▼田 耕一
特許庁審判官 稲葉 和生
野崎 大進
発明の名称 錯触力覚を誘起する方法及び錯触力覚を誘起する装置  
代理人 大貫 敏史  
代理人 稲葉 良幸  
代理人 稲葉 良幸  
代理人 大貫 敏史  
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