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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1388914
総通号数 10 
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-10-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-07-27 
確定日 2022-08-31 
事件の表示 特願2018− 97610「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年11月28日出願公開、特開2019−201763〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成30年5月22日の出願であって、令和2年3月12日付けで拒絶の理由が通知され、同年4月24日に意見書及び手続補正書が提出され、同年9月29日付けで最後の拒絶の理由が通知され、同年11月26日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、令和3年4月21日付け(送達日:同年同月27日)で、令和2年11月26日付け手続補正が却下されるとともに拒絶査定がなされ、それに対して、令和3年7月27日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、これに対し、当審において、令和4年2月22日付けで拒絶の理由(以下「当審拒絶理由」という。)が通知され、同年4月21日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和4年4月21日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである(なお、符号A等は、分説するため当審が付した。符号F、Gは便宜上用いていない。分説された本願発明の発明特定事項を、符号に基づき以下「特定事項A」等という。)。

「A 遊技者に有利な特別遊技を実行するか否かを判定し、識別可能な識別情報を変動表示してから前記判定の結果を示す識別情報を停止表示する遊技機であって、
B 演出を制御する演出制御手段を備え、
C 前記演出制御手段は、
C1 前記識別情報の変動表示に伴って対応表示を変動表示し、前記識別情報の停止表示に伴って前記対応表示を停止表示し、
C2 複数のタイミングのうちの何れかのタイミングで前記特別遊技が実行される可能性を示唆する予告演出を実行することが可能であり、
D 前記予告演出には、
前記対応表示が通常態様であるときに実行される第1予告演出と、
前記対応表示が特別態様であるときに実行される第2予告演出と、があり、
E 前記対応表示を前記通常態様で表示可能な第1リーチ演出と、前記第1リーチ演出とは異なる態様の演出であって、前記対応表示を前記特別態様で表示可能な第2リーチ演出とを実行することが可能であり、
H 前記第1リーチ演出が実行された場合と、前記第2リーチ演出が実行された場合とで、前記特別遊技が実行されることを期待させる同一の特別演出を実行可能であり、
I 前記特別演出を実行した後に、複数の前記対応表示を前記特別遊技が実行されることを示唆する特定の組み合わせで表示することが可能であり、
J 前記識別情報の変動表示中に、前記特定の組み合わせの前記対応表示を仮停止表示したまま、仮停止表示中の前記対応表示に対して所定演出を実行可能であり、
K 前記対応表示の停止表示中に前記所定演出を実行しない、
L 遊技機。」

第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由は、概略、次のとおりである。
進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

・請求項1
・引用文献 1、2

・請求項2
・引用文献 1−5

・引用文献
1.特開2017−29194号公報
2.特開2017−876号公報
3.特開2018−690号公報(周知技術を示す文献)
4.特許第6312890号公報(周知技術を示す文献)
5.特開2017−70534号公報(周知技術を示す文献)

第4 引用文献の記載、引用発明
1 当審拒絶理由で引用文献1として引用され、本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2017−29194号公報(平成29年2月9日公開)には、遊技機(発明の名称)に関し、次の事項が図とともに記載されている。なお、下線は合議体が付した。以下同じ。

(1) 「【図面の簡単な説明】
【0009】
・・・
【図15】爆弾予告が実行される変動演出の時間的な流れを説明するための図である。
・・・
【図40】(a)は爆弾予告が発生する前の様子を表す図である。(b)〜(f)は爆弾予告が行われている様子を表す図、(g)は爆弾予告が終了した後の様子を表す図である。
【図41】爆弾予告が終了した後の様子を表す図である。
【図42】(a)は爆弾予告が発生する前の様子を表す図である。(b)〜(f)は爆弾予告が行われている様子を表す図である。
【図43】(a)は爆弾予告が行われている様子を表す図、(b)〜(d)は爆弾予告が終了した後の様子を表す図である。
・・・」

(2) 「【0011】
(遊技機の構成)
まず、図1を用いて、遊技機Yの構成について説明する。図1は本実施の形態における遊技機Yの正面図の一例である。」

(3) 「【0043】
第1特別図柄表示器20は、第1始動口13に遊技球が入賞(入球)することを条件に行われる第1特別図柄の大当たり抽選の結果を表示(報知)するための可変表示器であり、第2特別図柄表示器21は、第2始動口14に遊技球が入賞(入球)することを条件に行われる第2特別図柄の大当たり抽選の結果を表示(報知)するための可変表示器であり、普通図柄表示器22は、普図ゲート11に遊技球が入賞(入球)することを条件に行われる普通図柄の当たり抽選の結果を表示(報知)するための可変表示器である。
【0044】
第1特別図柄の大当たり抽選(大当たり判定)とは、第1始動口13に遊技球が入賞(入球)したときに大当たり図柄判定用乱数値を取得し、取得した大当たり図柄判定用乱数値と大当たり判定値とを比較して「大当たり」であるか否かを判定することである。なお、第1特別図柄の大当たり抽選が行われると、第1特別図柄表示器20で第1特別図柄の変動表示が行われ、所定時間経過後に抽選結果を示す第1特別図柄の停止表示が行われる。すなわち、第1特別図柄の停止表示は、当該抽選結果の報知となる。
【0045】
第2特別図柄の大当たり抽選(大当たり判定)とは、第2始動口14に遊技球が入賞(入球)したときに大当たり図柄判定用乱数値を取得し、取得した大当たり図柄判定用乱数値と大当たり判定値とを比較して「大当たり」であるか否かを判定することに該当する。なお、第2特別図柄の大当たり抽選が行われると、第2特別図柄表示器21で第2特別図柄の変動表示が行われ、所定時間経過後に抽選結果を示す第2特別図柄の停止表示が行われる。すなわち、第2特別図柄の停止表示は、当該抽選結果の報知となる。
・・・
【0047】
なお、本実施の形態において「大当たり」というのは、第1特別図柄の大当たり抽選又は第2特別図柄の大当たり抽選において、大当たり状態(特別遊技状態)を実行する権利を獲得した状態のことをいう。「大当たり状態(特別遊技状態)」というのは、大入賞口15が所定態様で開放されるラウンド遊技を所定回数(例えば、4回や16回)行う遊技状態のことをいう。
【0048】
なお、各ラウンド遊技における大入賞口15の最大開放回数や最大開放時間は予め定められているが、最大開放回数や最大開放時間に達する前であっても大入賞口15に所定個数の遊技球(例えば、10個)が入賞(入球)すると1回のラウンド遊技が終了する。つまり、「大当たり状態(特別遊技状態)」は、遊技者が賞球を獲得し易い遊技者にとって有利な遊技状態となっている。なお、本実施の形態では、遊技者に有利な度合いが異なる複数種類の大当たり状態(特別遊技状態)が設けられているが、詳しくは後述する。」

(4) 「【0067】
なお、演出図柄TZ1〜TZ3は、例えば、「1」から「8」までの数字を示す図柄により構成され、第1特別図柄表示器20、第2特別図柄表示器21で実行される特別図柄の変動表示に対応して演出図柄TZ1〜TZ3の変動表示が行われる。すなわち、特別図柄の変動表示の開始に対応して演出図柄TZ1〜TZ3の変動表示を開始し、特別図柄の変動表示の停止に対応して演出図柄TZ1〜TZ3の変動表示を停止するようになっている。なお、演出図柄TZ1〜TZ3として、数字を示す図柄の他に「A」から「F」といったアルファベットを示す図柄を設けてもよい。
【0068】
具体的には、主制御基板110から送信される特図変動パターン指定コマンド(又は始動口入賞指定コマンド)を演出制御基板120が受信し、特図変動パターン指定コマンド(又は始動口入賞指定コマンド)に基づいて変動演出パターンが決定され、画像制御部160が決定された変動演出パターンに応じた演出画像(演出図柄TZ1〜TZ3を含む画像)を画像表示装置30に出力させることで、表示部300において演出図柄TZ1〜TZ3の変動表示が行われる。
なお、この演出制御基板120が本発明の演出実行手段に相当する。」

(5) 「【0090】
遊技盤取付枠2A及び遊技盤3の裏側には、遊技の進行を統括的に制御する主制御基板110を内蔵した主制御装置110A(図示なし)と、主制御基板110からのコマンドに応じて遊技球払出装置60の制御を行う払出制御基板130を内蔵した払出制御装置130A(図示なし)と、主制御基板110からのコマンドに応じて演出の制御を行う演出制御基板120を内蔵した演出制御装置120A(図示なし)と、各種制御装置に対して電源電圧の供給を行う電源基板180を内蔵した電源装置180A(図示なし)、遊技機の外部に遊技情報(遊技信号)を出力するための遊技情報出力端子板100(図2参照)が設けられている。」

(6) 「【0343】
図示はしていないが、演出制御基板120は、主制御基板110から特図変動パターン指定コマンドを受信すると、受信した特図変動パターン指定コマンドに基づいて、爆弾予告を実行するか否かを決定している。そして、演出制御基板120によって爆弾予告を実行すると決定されると、当該爆弾予告処理を実行する。
なお、この爆弾予告が本発明の特定演出に相当する。
・・・
【0351】
図14(a)に示すように、本実施の形態では、爆弾の色彩としては、「黒色」、「赤色」、「金色」が設定されており、鼓動スピードとしては、「高速」、「中速」、「低速」が設定されている。爆弾予告は、これら爆弾の色彩と鼓動スピードの組合せによって大当たり当選期待度を示唆するとともに、爆発時の出現文字によって、直後に行われる対応演出の種類を報知する。」

(7) 「【0468】
(爆弾予告の具体例)
図40〜図43を用いて、爆弾予告の具体例について説明する。
【0469】
まず、図15(a)、図40〜図41(a)(b)を用いて、ノーマルリーチ演出中に爆弾B(黒色)が爆発し、SPリーチ演出に発展する爆弾予告演出を説明する。
図15(a)に示すタイミングT0からタイミングT2までの期間において「通常変動」が実行され、タイミングT2からタイミングT4までの期間において「ノーマルリーチ演出」が実行され、タイミングT4からタイミングT5までの期間において「SPリーチ演出」が実行され、その後、T5からT6の期間において「図柄停止」が実行される。
・・・
【0474】
タイミングT2からタイミングT4における「ノーマルリーチ演出」では、演出図柄の2つの図柄(左図柄と右図柄)を同一の数値(ここでは、6)で停止表示するリーチ状態を発生させる図40の(e)のリーチ演出が行われる。
・・・
【0476】
その後、タイミングT4からタイミングT5における「SPリーチ演出」では、「SPリーチ演出」が実行されることを報知する文字画像G30を表示させた後、キャラクタC8が登場するSPリーチ演出が行われる(図40(g)、図41(a)参照)。
なお、「SPリーチ演出」では、演出図柄TZ1〜TZ3は縮小表示態様となり、保留アイコンは非表示状態になる。」

(8) 「【0478】
次に、図15(b)、図40〜図41(a)(c)(d)(e)を用いて、ノーマルリーチ演出中に爆弾B(黒色)が爆発し、SPリーチ演出に発展後、さらに、SPSPリーチ演出に発展する爆弾予告演出を説明する。
図15(b)に示すタイミングT10からタイミングT12までの期間において「図柄変動」が実行され、タイミングT12からタイミングT14までの期間において「ノーマルリーチ演出」が実行され、タイミングT14からタイミングT15までの期間において「SPリーチ演出」が実行され、タイミングT15からタイミングT16までの期間において「SPSPリーチ演出」が実行され、その後、T16からT17の期間において「図柄停止」が実行される。」

(9) 「【0488】
次に、図15(c)、図42〜図43を用いて、SPリーチ演出中に爆弾B(赤色)が爆発し、SPSPリーチ演出に発展する爆弾予告演出を説明する。
図15(c)に示すタイミングT20からタイミングT22までの期間において「図柄変動」が実行され、タイミングT22からタイミングT23までの期間において「ノーマルリーチ演出」が実行され、タイミングT23からタイミングT25までの期間において「SPリーチ演出」が実行され、タイミングT25からタイミングT26までの期間において「SPSPリーチ演出」が実行され、その後、T26からT27の期間において「図柄停止」が実行される。
【0489】
タイミングT20からタイミングT22までの期間における「図柄変動」では、図42(a)に示すように、爆弾予告の対象である変動中アイコンA80に対応する変動表示が行われている。
・・・
【0493】
その後、タイミングT23からタイミングT25における「SPリーチ演出」では、「SPリーチ演出」が実行されることを報知する文字画像G30を表示させた後、キャラクタC8が登場するSPリーチ演出が行われる(図42(e)(f)、図43(a)参照)。
なお、「SPリーチ演出」では、演出図柄は縮小表示態様となり、保留アイコンは非表示状態になる。
【0494】
そして、この「SPリーチ演出」では、「SPSPリーチ演出」が行われる直前であるタイミングT24において、爆弾B(赤色)が爆発し、対応演出に対応した文字画像G21(ここでは「SPSP!」)を爆発時のエフェクトとともに表示させる。
なお、この爆発時に表示する対応演出に対応した文字画像G21がこの後に行われる対応演出の種類(ここでは、「SPSPリーチ演出」)を示唆している。
【0495】
そして、タイミングT25からタイミングT26における「SPSPリーチ演出」では、「SPSPリーチ演出」が実行されることを報知する文字画像G31を表示させた後、キャラクタC5、C6が登場するSPSPリーチ演出が行われる(図42(b)(c)参照)。
なお、「SPSPリーチ演出」においても、演出図柄TZ1〜TZ3は縮小表示態様となり、保留アイコンは非表示状態になる。
【0496】
タイミングT26からタイミングT27における「図柄停止」では、変動中の演出図柄(中図柄)が先に停止表示された2つの演出図柄(左図柄と右図柄)と同一の数値となることで、3つの演出図柄TZ1〜TZ3を同一の数値に揃った状態で停止表示が行われる(図42(d)参照)。
これにより、遊技者に、当該変動表示が大当たりに当選したことを報知する。」

(10) 「【図15】



(11) 「【図40】



(12) 「【図41】



(13) 「【図42】



(14) 「【図43】



(15) 【0009】には、「【図15】爆弾予告が実行される変動演出の時間的な流れを説明するための図である。」、「【図42】(a)は爆弾予告が発生する前の様子を表す図である。(b)〜(f)は爆弾予告が行われている様子を表す図である。」及び「【図43】(a)は爆弾予告が行われている様子を表す図、(b)〜(d)は爆弾予告が終了した後の様子を表す図である。」と記載されている。
また、【0488】には、「図15(c)、図42〜図43を用いて、SPリーチ演出中に爆弾B(赤色)が爆発し、SPSPリーチ演出に発展する爆弾予告演出を説明する。」と記載されている。
上記記載を踏まえると、【図15】(c)は、【図42】及び【図43】で説明されている「爆弾予告演出」について、その「爆弾予告演出」が「実行される変動演出の時間的な流れ」を示していると認められる。
さらに、【0489】の「タイミングT20からタイミングT22までの期間における「図柄変動」では、図42(a)に示すように、爆弾予告の対象である変動中アイコンA80に対応する変動表示が行われている。」との記載、【0493】の「タイミングT23からタイミングT25における「SPリーチ演出」では、「SPリーチ演出」が実行されることを報知する文字画像G30を表示させた後、キャラクタC8が登場するSPリーチ演出が行われる(図42(e)(f)、図43(a)参照)。」との記載、【0494】の「この「SPリーチ演出」では、「SPSPリーチ演出」が行われる直前であるタイミングT24において、爆弾B(赤色)が爆発し、対応演出に対応した文字画像G21(ここでは「SPSP!」)を爆発時のエフェクトとともに表示させる。」との記載、【0495】の「タイミングT25からタイミングT26における「SPSPリーチ演出」」との記載、【0496】の「タイミングT26からタイミングT27における「図柄停止」」との記載における各演出のタイミングと、【図15】(c)に示された各演出のタイミングと、【図42】及び【図43】に示された各演出との対応関係を踏まえると、【図42】は、【図15】(c)のタイミングT20からタイミングT24までの演出を説明する図であり、【図43】は、【図15】(c)のタイミングT24からタイミングT27までの演出を説明する図であると認められる。
そして、【0494】〜【0496】には、【図15】(c)で示されるタイミングT24からタイミングT27までの演出について記載されていると認められるところ、【0494】〜【0496】は、【図15】(c)で示されるタイミングT24からタイミングT27までの演出を説明する【図43】に対応する記載であると認められる。
そうすると、【0495】の「図42(b)(c)参照」及び【0496】の「図42(d)参照」との記載は、それぞれ「図43(b)(c)参照」及び「図43(d)参照」の誤記であると認められる。

(16) 【図40】及び【図41】の(a)〜(c)より、【図40】(g)を経て【図41】の(a)から(b)に移行する場合と、【図40】(g)を経て【図41】の(a)から(c)に移行する場合があると認められる。
そして、【0478】の「次に、図15(b)、図40〜図41(a)(c)(d)(e)を用いて、ノーマルリーチ演出中に爆弾B(黒色)が爆発し、SPリーチ演出に発展後、さらに、SPSPリーチ演出に発展する爆弾予告演出を説明する。図15(b)に示すタイミングT10からタイミングT12までの期間において「図柄変動」が実行され、タイミングT12からタイミングT14までの期間において「ノーマルリーチ演出」が実行され、タイミングT14からタイミングT15までの期間において「SPリーチ演出」が実行され、タイミングT15からタイミングT16までの期間において「SPSPリーチ演出」が実行され、その後、T16からT17の期間において「図柄停止」が実行される。」との記載を踏まえると、引用文献1には、「ノーマルリーチ演出からSPリーチ演出に発展後、さらに、SPSPリーチ演出に発展する場合がある」ことが記載されていると認められる(認定事項ア)。

(17) 【0495】には、「タイミングT25からタイミングT26における「SPSPリーチ演出」」と記載され、【0496】には、「タイミングT26からタイミングT27における「図柄停止」」と記載されている。そして、【図15】(c)及び【図43】より、「図柄停止」が行われる「タイミングT26からタイミングT27」は、「SPSPリーチ演出」が行われる「タイミングT25からタイミングT26」よりも後であることがみてとれる。
また、【0496】には「タイミングT26からタイミングT27における「図柄停止」では、変動中の演出図柄(中図柄)が先に停止表示された2つの演出図柄(左図柄と右図柄)と同一の数値となることで、3つの演出図柄TZ1〜TZ3を同一の数値に揃った状態で停止表示が行われる(図42(d)参照)。これにより、遊技者に、当該変動表示が大当たりに当選したことを報知する。」と記載されている。
そして、【0496】の「図42(d)参照」は、「図43(d)参照」の誤記であること、図43(d)には、3つの演出図柄TZ1〜TZ3が縮小表示態様ではない表示態様で示されていることを踏まえると、引用文献1には、「SPSPリーチ演出の後の所定のタイミングにおいて、縮小表示態様ではない表示態様の3つの演出図柄TZ1〜TZ3を大当たりに当選したことを報知する同一の数値に揃った状態で停止表示する場合がある」ことが記載されていると認められる(認定事項イ)。

(18) 上記(1)ないし(17)からみて、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。なお、引用箇所の段落番号を併記した。

「a 第1始動口13あるいは第2始動口14に遊技球が入賞することを条件に、遊技者が賞球を獲得し易い遊技者にとって有利な遊技状態である大当たり状態を実行する権利を獲得した状態である「大当たり」であるか否かを判定する大当たり抽選を行い、第1特別図柄表示器20で第1特別図柄の変動表示あるいは第2特別図柄表示器21で第2特別図柄の変動表示を行い、所定時間経過後に抽選結果を示す第1特別図柄の停止表示あるいは第2特別図柄の停止表示を行う遊技機Yであって(【0011】、【0043】〜【0045】、【0047】、【0048】)、
b 演出の制御を行う演出制御基板120を設け(【0090】)、
c 演出制御基板120は、
c1 表示部300において、第1特別図柄表示器20、第2特別図柄表示器21で実行される特別図柄の変動表示に対応して、数字を示す図柄により構成される演出図柄TZ1〜TZ3の変動表示を開始し、特別図柄の変動表示の停止に対応して演出図柄TZ1〜TZ3の変動表示を停止し(【0067】、【0068】)、
c2 爆弾の色彩と鼓動スピードの組合せによって大当たり当選期待度を示唆する爆弾予告を実行し(【0343】、【0351】)、
d、e 爆弾予告として(【0468】)、
演出図柄TZ1〜TZ3の2つの図柄を同一の数値で停止表示するリーチ状態を発生させるノーマルリーチ演出中に爆弾B(黒色)が爆発し、SPリーチ演出に発展する爆弾予告演出と(【0067】、【0469】、【0474】)、
演出図柄TZ1〜TZ3が縮小表示態様となるSPリーチ演出中に爆弾B(赤色)が爆発し、SPSPリーチ演出に発展する爆弾予告演出があり(【0476】、【0488】、【0493】)、
h ノーマルリーチ演出からSPリーチ演出に発展後、さらに、SPSPリーチ演出に発展する場合があり(認定事項ア)、
i SPSPリーチ演出の後の所定のタイミングにおいて、縮小表示態様ではない表示態様の3つの演出図柄TZ1〜TZ3を大当たりに当選したことを報知する同一の数値に揃った状態で停止表示する場合がある(認定事項イ)、
l 遊技機Y(【0011】)。」

2 当審拒絶理由で引用文献2として引用され、本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2017−876号公報(平成29年1月5日公開)には、遊技機(発明の名称)に関し、次の事項が図とともに記載されている。

(1) 「【0016】
(遊技機の構成)
まず、図1〜図3を参照して、遊技機1の構成について具体的に説明する。図1は本発明の実施形態における遊技機1の正面図の一例である。また、図2は、本発明の実施形態におけるガラス枠を開放させた状態の遊技機1の斜視図の一例である。また、図3は本発明の実施形態における遊技機1の裏面側の斜視図である。」

(2) 「【0046】
この演出図柄38は、第1始動口14または第2始動口15に遊技球が入球したときには、後述する特別図柄の変動表示に合わせて変動表示するとともに、所定の変動時間経過後に後述する特別図柄の停止表示に合わせて停止表示する。すなわち、演出図柄38と特別図柄との変動表示のタイミング、演出図柄38と特別図柄との停止表示のタイミングは、それぞれが対応している(同じ時間になっている)。」

(3) 「【0050】
遊技盤2の遊技領域6外に設けられている第1特別図柄表示装置20は、第1始動口14に遊技球が入球したことを契機として行われた大当たり抽選の抽選結果を、第1特別図柄により報知するものであり、LED等によって構成される複数の点灯部材によって構成されている。大当たり抽選の抽選結果に対応する特別図柄は、すぐに報知されるものではなく、所定時間に亘って変動表示(点滅)された後に、停止表示(点灯)されるようにしている。
【0051】
また、第2特別図柄表示装置21は、第2始動口15に遊技球が入球したことを契機として行われた大当たり抽選の抽選結果を、第2特別図柄により報知するためのもので、その機能及び構成は、上記第1特別図柄表示装置20と同様である。
・・・
【0053】
ここで、「大当たり抽選」とは、第1始動口14または第2始動口15に遊技球が入球したときに、特別図柄判定用乱数値を取得し、取得した特別図柄判定用乱数値が「大当たり」に対応する乱数値であるかの判定する処理をいう。
なお、この大当たり抽選は、特別遊技状態とするか否かの判定に該当する。
【0054】
また、本実施形態において「大当たり」というのは、第1始動口14または第2始動口15に遊技球が入球したことを条件として行われる大当たり抽選において、大当たり遊技を実行する権利を獲得したことをいう。「大当たり遊技」においては、第1大入賞口16または第2大入賞口17が開放されるラウンド遊技を所定回数(例えば、4回または16回)行う。各ラウンド遊技における第1大入賞口16または第2大入賞口17の最大開放時間については予め定められた時間が設定されており、この間に第1大入賞口16または第2大入賞口17に所定個数の遊技球(例えば9個)が入球すると、1回のラウンド遊技が終了となる。つまり、「大当たり遊技」は、第1大入賞口16または第2大入賞口17に遊技球が入球するとともに、当該入球に応じた賞球を遊技者が獲得できる遊技である。
また、この大当たり遊技には、複数種類の大当たりが設けられているが、詳しくは後述する。
なお、この大当たり遊技は、特別遊技状態に該当する。」

(4) 「【0088】
演出制御基板120は、主に遊技中や待機中等の各演出を制御し、遊技の演出の内容を総合して管理する演出制御部120mと、画像表示装置31における画像の表示制御を行う画像制御部150と、盤用駆動装置33におけるソレノイドやモータ等の駆動制御を行う駆動制御部160と、盤用照明装置34a、及び、第1導光板表示装置60、第2導光板表示装置61におけるLED等の発光制御を行うランプ制御部170とを備えている。
なお、盤用照明装置34aは、発光装置に該当する。」

(5) 「【0160】
また、演出制御基板120では、後述するように、特別図柄の変動パターン(変動パターン指定コマンド)に基づいて、演出図柄38等の演出内容が決定される。図14に示す特別図柄の変動パターン決定テーブルの最右欄には、参考として演出図柄38等の演出内容を記載している。」

(6) 「【0163】
また、「ノーマルリーチ」とは、2つの演出図柄38が仮停止し、残り1つの演出図柄38が変動する大当たりの期待度が低いリーチを意味している。なお、本実施形態においては、「ノーマルリーチ」によって大当たりしないものの、「ノーマルリーチ」によって大当たりするように構成してもよい。
また、「SPリーチ」とは、ノーマルリーチよりも大当たりの期待度が高いスーパーリーチを意味している。
また、「SPSPリーチ」とは、スーパーリーチの後に行われ、スーパーリーチよりも大当たりの期待度が高いスペシャルリーチを意味している。例えば、SPリーチやSPSPリーチは、キャラクタ同士が対決をして、その勝敗によって、大当たりの抽選結果を表示する等のノーマルリーチとは異なる演出で演出効果を向上させたリーチである。
また、「全回転リーチ」とは、大当たりを報知する複数の演出図柄38の組合せが全て揃った状態で低速に変動する態様を意味し、本実施形態においては、大当たり抽選において当選したときにのみ実行されるリーチを意味している。」

(7) 「【0398】
「図柄確定コマンド」は、特別図柄が停止表示されていることを示すものであり、「MODE」が「E3H」で設定され、「DATA」が「00H」に設定されている。
この図柄確定コマンドは、特別図柄が停止表示されているときに演出制御基板120に送信される。具体的には、上記ステップS320−3において特別図柄を第1特別図柄表示装置20または第2特別図柄表示装置21に停止表示させるときに、図柄確定コマンドがメインRAM110cの演出用伝送データ格納領域にセットされる。その後、すぐさま上記ステップS700において演出用伝送データ格納領域にセットされている図柄確定コマンドが演出制御基板120に送信されることになる。」

(8) 「【0429】
PA13は、大当たり演出図柄仮停止時の発光パターンとして、予め用意されている。この「大当たり演出図柄仮停止時」とは、当該変動の後、大当たり遊技となる左中右の演出図柄38が仮停止表示されたときのことである。
また、PA13は、第1発光素子群63aより第1導光板62aに光が入射されると、図8(a)で示すように、画像表示装置31の周辺部に、演出図柄38を強調させるような第1ドットパターン65aが赤緑点滅表示される。
なお、詳しくは、図57〜図60を用いて、後述する。
また、第1導光板表示装置60及び第2導光板表示装置61による発光制御の点滅間隔は、盤用照明装置34a、枠用照明装置34bによる発光制御の点滅間隔よりも、長くなる様に制御している。
要するに、盤用照明装置34a及び枠用照明装置34bによる発光制御の点滅間隔より、第1導光板表示装置60及び第2導光板表示装置61による発光制御の点滅間隔を長くすることにより、遊技者に不快感を与えないようにしている。
また、赤緑点滅は点灯と消灯を繰り返す点滅表示ではなく、第1導光板62aの左右側面に設けられている第1発光素子群63aが2色の発光色の切替えによって点滅表示させているので、遊技者に不快感を与えないようにしている。
また、後述するPA14、PA16、PA17、PA18、PA22の点滅も発光色は異なっているが、PA13と同様に、色の切替えによる点滅表示である。
なお、このPA13の発光態様は、第2の表示態様に該当する。
【0430】
PA14は、大当たり演出図柄完全停止時の発光パターンとして、予め用意されている。この「大当たり演出図柄完全停止時」とは、当該変動の後、大当たり遊技となる左中右の演出図柄38の仮停止表示後、演出図柄38が完全停止したときのことであり、その際の演出図柄38が「777」以外の図柄(例えば「111」や「666」)の場合である。
また、PA14は、第1発光素子群63aより第1導光板62aに光が入射されると、図8(a)で示すように、画像表示装置31の周辺部に、演出図柄38を強調させるような第1ドットパターン65aが赤黄点滅表示される。
【0431】
PA15は、第1大当たり演出図柄完全停止時の発光パターンとして、予め用意されている。この「第1大当たり演出図柄完全停止時」とは、当該変動の後、大当たり遊技となる左中右の演出図柄38が仮停止表示された後、再度、抽選を行っているかのような演出図柄38の表示を行い、第1大当たりを報知する演出図柄38である「777」に変更し、完全停止したときのことである。
また、PA15は、第1発光素子群63aより第1導光板62aに光が入射されると、図8(a)で示すように、画像表示装置31の周辺部に、演出図柄38を強調させるような第1ドットパターン65aが虹色点滅表示される。
また、虹色点滅は点灯と消灯を繰り返す点滅表示ではなく、第1導光板62aの左側面に設けられている第1発光素子群63aが赤色点灯と青色点灯を切替えて点灯させ、右側面に設けられている第1発光素子群63aが緑色点灯と黄色点灯を切替えて点灯させていくことにより虹色のように見せている点滅表示であり、この発光色を切替える点滅方法によっても、遊技者に不快感を与えないようにしている。
また、後述するPA19、PA20、PA21、PA24、PA25の虹色点滅も同様の方法で虹色のように見せている点滅表示である。
なお、虹色点滅表示の方法は虹色のように見えるものであれば良く、この方法に限定されるものではない。
なお、このPA14の発光態様は、第2の表示態様に該当する。」

(9) 「【0486】
ステップS1311において、サブCPU120aは、演出図柄38を停止表示させることを示す図柄確定コマンドをサブRAM120cの送信バッファにセットする。図柄確定コマンドはデータ出力処理によってランプ制御部170及び画像制御部150に送信される。ランプ制御部170及び画像制御部150は、図柄確定コマンドを受信することにより、当該変動演出が終了することを認識し、当該変動演出を終了させると共に、演出図柄38の停止表示を行う。」

(10) 「【0590】
(演出例)
以下、本実施形態の遊技機1の演出例として、上記ステップS1308の処理において、図34の変動演出パターン決定テーブルから変動演出パターン16−1が選択された場合について、図57〜図60を用いて説明する。
変動演出パターン16−1は、疑似連続予告が2回実施され、SPSPリーチに発展した後、大当たりとなる演出である。
・・・
【0612】
この後、図59(N)に示すように、画像表示装置31では、SPSPリーチ演出の内容のタイトルを示す画像が表示される。
・・・
【0621】
この後、図59(R)に示すように、画像表示装置31では、左の演出図柄38と右の演出図柄38と中の演出図柄38とで同じ種類の「6」図柄が仮停止表示されるとともに、第1導光板62aの周辺部に、演出図柄38を強調させるような第1ドットパターン65aが赤緑点滅表示される。具体的には、上記ステップS1500の処理において、大当たり演出図柄仮停止演出時期だと判定されることで、第1導光板表示装置60により、発光制御が実行される。
・・・
【0626】
この後、図60(T)に示すように、演出図柄38「6」に変えて「7」を表示させるとともに、第1導光板62aの周辺部に、演出図柄38を強調させるような第1ドットパターン65aが虹色点滅表示される。具体的には、上記ステップS1500の処理において、第1大当たり演出図柄完全停止演出時期だと判定されることで、第1導光板表示装置60により、発光制御が実行される。」

(11) 上記(1)ないし(10)からみて、引用文献2には、次の事項(以下「引用文献2記載の事項」という。)が記載されている。なお、引用箇所の段落番号等を併記した。

「a 第1始動口14あるいは第2始動口15に遊技球が入球したことを契機として、第1大入賞口16または第2大入賞口17に遊技球が入球するとともに、当該入球に応じた賞球を遊技者が獲得できる特別遊技状態とするか否かの判定をする大当たり抽選を行い、第1特別図柄表示装置20あるいは第2特別図柄表示装置21で特別図柄を所定時間に亘って変動表示した後に、大当たり抽選の抽選結果に対応する特別図柄を停止表示する遊技機1であって(【0016】、【0050】、【0051】、【0053】、【0054】)、
b 演出を制御する演出制御基板120を備え(【0088】)、
c 演出制御基板120は(【0160】)、
c1 第1始動口14または第2始動口15に遊技球が入球したときには、特別図柄の変動表示に合わせて演出図柄38を変動表示するとともに、所定の変動時間経過後に特別図柄の停止表示に合わせて演出図柄38を停止表示するものであり(【0046】)、
特別図柄を第1特別図柄表示装置20または第2特別図柄表示装置21に停止表示させるときに送信される図柄確定コマンドを受信することにより、演出図柄38の停止表示を行い(【0398】、【0486】)、
i、j スーパーリーチよりも大当たりの期待度が高いスペシャルリーチであるSPSPリーチに発展した後、大当たりとなる演出において(【0163】、【0590】)、
SPSPリーチ演出の後、大当たり遊技となる左中右の演出図柄38が仮停止表示された大当たり演出図柄仮停止時に、画像表示装置31の周辺部に、演出図柄38を強調させるような第1ドットパターン65aを赤緑点滅表示し(【0429】、【0612】、【0621】)、
k この後、大当たり遊技となる左中右の演出図柄38が仮停止表示された後、再度、抽選を行っているかのような演出図柄38の表示を行い、第1大当たりを報知する演出図柄38である「777」に変更し、完全停止した第1大当たり演出図柄完全停止時に、画像表示装置31の周辺部に、演出図柄38を強調させるような第1ドットパターン65aが虹色点滅表示し(【0431】、【0626】)、
また、大当たり遊技となる左中右の演出図柄38の仮停止表示後、演出図柄38が完全停止した大当たり演出図柄完全停止時に、画像表示装置31の周辺部に、演出図柄38を強調させるような第1ドットパターン65aが赤黄点滅表示する(【0430】)、
l 遊技機1(【0016】)。」

第5 対比
本願発明と引用発明を対比する。なお、見出しは(a)ないし(l)とし、本願発明の分説と概ね対応させている。

(a) 引用発明の「大当たり」、「大当たり抽選を行」うこと、「遊技機Y」は、それぞれ本願発明の「遊技者に有利な特別遊技」、「遊技者に有利な特別遊技を実行するか否かを判定」すること、「遊技機」に相当する。
また、引用発明の「第1特別図柄」あるいは「第2特別図柄」は、本願発明の「識別可能な識別情報」に相当する。
さらに、引用発明の「第1特別図柄表示器20で第1特別図柄の変動表示あるいは第2特別図柄表示器21で第2特別図柄の変動表示を行」うこと、「抽選結果を示す第1特別図柄の停止表示あるいは第2特別図柄の停止表示を行う」ことは、それぞれ本願発明の「識別可能な識別情報を変動表示」すること、「前記判定の結果を示す識別情報を停止表示する」ことに相当する。
よって、引用発明は、本願発明の特定事項Aを備える。

(b) 引用発明の「演出の制御を行う演出制御基板120」は、本願発明の「演出を制御する演出制御手段」に相当する。
よって、引用発明は、本願発明の特定事項Bを備える。

(c) 上記(b)より、引用発明の「演出制御基板120」は、本願発明の「演出制御手段」に相当する。
(c1) 引用発明の「特別図柄」は、「第1特別図柄表示器20、第2特別図柄表示器21で」「変動表示」が「実行される」ことから、「第1特別図柄」あるいは「第2特別図柄」を意味することは、明らかであり、上記(a)を踏まえると、引用発明の「特別図柄」は、本願発明の「識別可能な識別情報」に相当するといえる。
そして、引用発明の「特別図柄の変動表示に対応して、」「変動表示を開始し、特別図柄の変動表示の停止に対応して」「変動表示を停止」する「数字を示す図柄により構成される演出図柄TZ1〜TZ3」は、本願発明の「前記識別情報の変動表示に伴って」「前記識別情報の停止表示に伴って」「停止表示」する「対応表示」に相当する。
よって、引用発明は、本願発明の特定事項C、C1を備える。

(c2) 引用発明の「爆弾の色彩と鼓動スピードの組合せによって大当たり当選期待度を示唆する爆弾予告」は、本願発明の「前記特別遊技が実行される可能性を示唆する予告演出」に相当する。
そして、引用発明のd、e、hにおいて、「爆弾予告として、」「ノーマルリーチ演出中」の「爆弾予告演出」と、「ノーマルリーチ演出から」「発展」する「SPリーチ演出中」の「爆弾予告演出があ」ることが特定されていることから、引用発明の「爆弾予告」が、変動表示中における複数のタイミングの何れかのタイミングで行われることは明らかである。
そうすると、引用発明の「爆弾の色彩と鼓動スピードの組合せによって大当たり当選期待度を示唆する爆弾予告を実行」することは、本願発明の「複数のタイミングのうちの何れかのタイミングで前記特別遊技が実行される可能性を示唆する予告演出を実行すること」に相当する。
よって、引用発明は、本願発明の特定事項C、C2を備える。

(d) 引用発明の「ノーマルリーチ演出中」の「演出図柄TZ1〜TZ3」の態様、「SPリーチ演出中」の「演出図柄TZ1〜TZ3」の「縮小表示態様」は、それぞれ本願発明の「通常態様」、「特別態様」に相当する。
さらに、引用発明の「ノーマルリーチ演出中」の「爆弾予告演出」、「SPリーチ演出中」の「爆弾予告演出」は、それぞれ本願発明の「前記対応表示が通常態様であるときに実行される第1予告演出」、「前記対応表示が特別態様であるときに実行される第2予告演出」に相当する。
よって、引用発明は、本願発明の特定事項Dを備える。

(e) 上記(d)を踏まえると、引用発明の「演出図柄TZ1〜TZ3の2つの図柄を同一の数値で停止表示する」「ノーマルリーチ演出」は、本願発明の「前記対応表示を前記通常態様で表示可能な第1リーチ演出」に相当する。
さらに、引用発明において、「ノーマルリーチ演出」と「SPリーチ演出」とは異なる態様の演出であることは明らかであるから、引用発明の「演出図柄TZ1〜TZ3が縮小表示態様となるSPリーチ演出」は、本願発明の「前記第1リーチ演出とは異なる態様の演出であって、前記対応表示を前記特別態様で表示可能な第2リーチ演出」に相当する。
よって、引用発明は、本願発明の特定事項Eを備える。


(h) 引用発明は、「ノーマルリーチ演出からSPリーチ演出に発展後、さらに、SPSPリーチ演出に発展する場合があ」ることを特定している。
そして、「ノーマルリーチ演出からSPリーチ演出に発展後、さらに、SPSPリーチ演出に発展する」ことには、「ノーマルリーチ演出」(第1リーチ演出)が行われた場合と、「SPリーチ演出」(第2リーチ演出)とが行われた場合が含まれ、いずれも同一の演出である「SPSPリーチ演出」を実行可能であるといえる。
そうすると、引用発明の「SPSPリーチ演出」は、本願発明の「前記特別遊技が実行されることを期待させる同一の特別演出」に相当する。
よって、引用発明は、本願発明の特定事項Hを備える。

(i) 引用発明の「SPSPリーチ演出の後」は、本願発明の「前記特別演出を実行した後」に相当する。
さらに、引用発明の「大当たりに当選したことを報知する同一の数値に揃った状態」は、本願発明の「前記特別遊技が実行されることを示唆する特定の組み合わせ」に相当する。
ゆえに、引用発明の「3つの演出図柄TZ1〜TZ3を大当たりに当選したことを報知する同一の数値に揃った状態で停止表示する」ことは、本願発明の「複数の前記対応表示を前記特別遊技が実行されることを示唆する特定の組み合わせで表示すること」に相当する。
よって、引用発明は、本願発明の特定事項Iを備える。

(l) 引用発明の「遊技機Y」は、本願発明の「遊技機」に相当する。
よって、引用発明は、本願発明の特定事項lを備える

上記(a)ないし(l)より、本願発明と引用発明とは、
「A 遊技者に有利な特別遊技を実行するか否かを判定し、識別可能な識別情報を変動表示してから前記判定の結果を示す識別情報を停止表示する遊技機であって、
B 演出を制御する演出制御手段を備え、
C 前記演出制御手段は、
C1 前記識別情報の変動表示に伴って対応表示を変動表示し、前記識別情報の停止表示に伴って前記対応表示を停止表示し、
C2 複数のタイミングのうちの何れかのタイミングで前記特別遊技が実行される可能性を示唆する予告演出を実行することが可能であり、
D 前記予告演出には、
前記対応表示が通常態様であるときに実行される第1予告演出と、
前記対応表示が特別態様であるときに実行される第2予告演出と、があり、
E 前記対応表示を前記通常態様で表示可能な第1リーチ演出と、前記第1リーチ演出とは異なる態様の演出であって、前記対応表示を前記特別態様で表示可能な第2リーチ演出とを実行することが可能であり、
H 前記第1リーチ演出が実行された場合と、前記第2リーチ演出が実行された場合とで、前記特別遊技が実行されることを期待させる同一の特別演出を実行可能であり、
I 前記特別演出を実行した後に、複数の前記対応表示を前記特別遊技が実行されることを示唆する特定の組み合わせで表示することが可能である、
L 遊技機。」である点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点](特定事項J、K)
本願発明は、「前記識別情報の変動表示中に、前記特定の組み合わせの前記対応表示を仮停止表示したまま、仮停止表示中の前記対応表示に対して所定演出を実行可能であり、前記対応表示の停止表示中に前記所定演出を実行しない」のに対し、
引用発明は、SPSPリーチ演出の後の所定のタイミングにおいて、3つの演出図柄TZ1〜TZ3を大当たりに当選したことを報知する同一の数値に揃った状態で停止表示するものの、その停止表示が、仮停止か否か明らかでなく、また、第1特別図柄、あるいは、第2特別図柄の変動表示中に、当該3つの演出図柄TZ1〜TZ3が同一の数値に揃った状態を表示したまま、当該3つの演出図柄TZ1〜TZ3に対して所定演出を実行するか明らかでない点。

第6 判断
1 相違点について
(1) まず、本願発明の特定事項Jと引用文献2記載の事項を対比する。
遊技機の分野において、演出図柄の仮停止は、一の変動中に実行されるものであり、仮停止時に特別図柄が変動中であることは技術常識であることに鑑みると、引用文献2記載の事項の「大当たり遊技となる左中右の演出図柄38が仮停止表示された大当たり演出図柄仮停止時」は、「特別図柄」が「変動」中であると認められる。
また、引用文献2記載の事項の「大当たり遊技となる左中右の演出図柄38」は、本願発明の特定事項Jの「前記特定の組み合わせの前記対応表示」に相当する。
さらに、引用文献2記載の事項の「大当たり遊技となる左中右の演出図柄38が仮停止表示された大当たり演出図柄仮停止時に」「演出図柄38を強調させるような第1ドットパターン65aを赤緑点滅表示」する演出は、「仮停止」として表示されている「演出図柄38」を表示したまま、当該表示中の「演出図柄38」に対してなされることは明らかであり、引用文献2記載の事項の「演出図柄38を強調させるような第1ドットパターン65aを赤緑点滅表示」する演出は、本願発明の特定事項Jの「前記対応表示に対して」「実行可能」な「所定演出」に相当するといえる。
そうすると、引用文献2記載の事項の「大当たり遊技となる左中右の演出図柄38が仮停止表示された大当たり演出図柄仮停止時に」「演出図柄38を強調させるような第1ドットパターン65aを赤緑点滅表示する」ことは、本願発明の特定事項Jの「前記識別情報の変動表示中に、前記特定の組み合わせの前記対応表示を仮停止表示したまま、仮停止表示中の前記対応表示に対して所定演出を実行可能であ」ることに相当する。

(2) 次に、本願発明の特定事項Kと引用文献2記載の事項を対比する。
引用文献2記載の事項の「第1大当たり演出図柄完全停止時」及び「大当たり演出図柄完全停止時」は、いずれも「大当たり遊技となる左中右の演出図柄38の仮停止表示」の後であること、及び、「完全停止」であることからみて、「特別図柄を」「停止表示させるときに送信される図柄確定コマンドを受信することにより、」「行」われる「演出図柄38の停止表示」のタイミングであるといえる。
そうすると、引用文献2記載の事項の「大当たり遊技となる左中右の演出図柄38が仮停止表示された後、」「演出図柄38の表示を」「完全停止した第1大当たり演出図柄完全停止時」は、本願発明の特定事項Kの「前記対応表示の停止表示中」に相当する。
そして、引用文献2記載の事項において「第1大当たり演出図柄完全停止時に」「演出図柄38を強調させるような第1ドットパターン65aが虹色点滅表示」する演出は、「演出図柄38を強調させるような第1ドットパターン65aを赤緑点滅表示」する演出(本願発明の「所定演出」に相当する。)とは異なる演出であるから、引用文献2記載の事項の「第1大当たり演出図柄完全停止時に」「演出図柄38を強調させるような第1ドットパターン65aが虹色点滅表示」することは、本願発明の特定事項Kの「前記対応表示の停止表示中に前記所定演出を実行しない」ことに相当する。
同様に、引用文献2記載の事項において「大当たり演出図柄完全停止時に」「演出図柄38を強調させるような第1ドットパターン65aが赤黄点滅表示する」演出は、「演出図柄38を強調させるような第1ドットパターン65aを赤緑点滅表示」する演出(本願発明の「所定演出」に相当する。)とは異なる演出であるから、引用文献2記載の事項の「大当たり演出図柄完全停止時に」「演出図柄38を強調させるような第1ドットパターン65aが赤黄点滅表示する」ことは、本願発明の特定事項Kの「前記対応表示の停止表示中に前記所定演出を実行しない」ことに相当する。
以上のことから、引用文献2記載の事項は、本願発明の特定事項Kを備える。

(3) 引用発明及び引用文献2記載の事項は、いずれもSPSPリーチ演出の後、演出図柄を大当たり抽選の結果を示す態様で表示する遊技機である点で共通し、大当たり抽選の結果を示す態様を報知するにあたり、遊技者の興趣を高めるという課題を内在する点でも共通するから、引用発明のSPSPリーチ演出の後のタイミングにおいて、演出図柄を大当たりに当選したことを報知する同一の数値に揃った状態で停止表示する場合において、引用文献2記載の技術事項を適用することにより、仮停止時には、演出図柄を強調させるように第1ドットパターン65aの赤緑点滅表示を行い、完全停止時には第1ドットパターン65aの赤緑点滅表示を行わないようにして、上記相違点に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。

(4) よって、本願発明は、引用発明及び引用文献2記載の事項に基いて当業者が容易に発明できたものである。

2 本願発明の奏する効果について
本願発明の奏する効果は、引用発明及び引用文献2記載の事項の奏する効果から、予測することができた程度のものである。

3 小括
したがって、本願発明は、引用発明及び引用文献2記載の事項に基いて当業者が容易に想到し得たものである。

4 請求人の主張について
請求人は、令和4年4月21日提出の意見書における「3.本願発明が特許されるべき理由」で、以下のとおり主張する。

「これに対して、引用文献2は大当たり演出図柄仮停止時と大当り演出図柄完全停止時とにおいて第1ドットパターン65aを点灯させる構成であり、各引用文献には対応表示の停止表示中に所定演出を実行しないという技術的思想が記載されておりません。
このため、仮に引用文献1に対して引用文献2〜5の構成を適用可能であるとしても、組み合わせの構成は、3つの演出図柄TZ1〜TZ3が同一の数値に揃った状態で仮停止表示したときから停止表示が終了するときまで第1ドットパターン65aを点灯させる構成にしかならず、本願発明には到達しません。」

しかしながら、上記1において検討したとおり、引用文献2記載の事項において、「大当たり演出図柄完全停止時」には「演出図柄38を強調させるような第1ドットパターン65aを赤緑点滅表示」する演出(本願発明の「所定演出」に相当する。)は行わないのであるから、引用文献2記載の事項は、本願発明の「対応表示の停止表示中に所定演出を実行しない」構成を備えるものである。
したがって、請求人の主張は採用できない。

第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び引用文献2記載の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲 (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。
 
審理終結日 2022-07-05 
結審通知日 2022-07-06 
審決日 2022-07-20 
出願番号 P2018-097610
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A63F)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 古屋野 浩志
特許庁審判官 三田村 陽平
蔵野 いづみ
発明の名称 遊技機  
代理人 小沢 昌弘  
代理人 寺本 亮  
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