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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01D
管理番号 1389047
総通号数 10 
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-10-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-10-04 
確定日 2022-09-01 
事件の表示 特願2016−191567「エンコーダ装置、駆動装置、ステージ装置、及びロボット装置」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 4月 5日出願公開、特開2018− 54488〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成28年9月29日の出願であって、その手続の経緯の概略は、以下のとおりである。

令和2年 8月26日付け:拒絶理由通知書(最初)
同年12月24日 :意見書、手続補正書の提出
令和3年 1月29日付け:拒絶理由通知書(最後)
同年 5月20日 :意見書、手続補正書の提出
同年 7月 1日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
(同月 6日 :原査定の謄本の送達)
同年10月 4日 :審判請求書の提出


第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和3年5月20日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものと認める。

「 【請求項1】
移動部の位置情報を検出する位置検出部と、
前記移動部の移動に伴う磁界の変化により検出信号が発生するウィーガントワイヤと、
前記検出信号の発生に基づいて、前記位置検出部へ電力を供給するバッテリーと、
前記バッテリーの状態を検出するバッテリー検出部と、
前記バッテリー検出部の検出結果に基づいて、前記バッテリーの寿命情報を算出する寿命算出部と、を備え、
前記寿命算出部は、前記バッテリー検出部の検出結果に基づいて前記バッテリーの自己放電率を推定し、前記自己放電率に基づいて前記バッテリーの寿命情報を算出する、エンコーダ装置。」


第3 原査定における拒絶の理由
本願発明に対する原査定の拒絶の理由は、次のとおりである。

本願発明は、本願の出願前に発行された下記引用文献1〜5に記載された発明に基づいて、本願の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。



引用文献1.国際公開第2005/114111号
引用文献2.国際公開第2016/10141号
引用文献3.特開2013−7696号公報
引用文献4.特開平11−40209号公報(周知技術を示す文献)
引用文献5.実願昭60−36287号(実開昭61−152982号)のマイクロフィルム(周知技術を示す文献)


第4 引用文献に記載された発明の認定等
1 引用文献1に記載された事項及び引用発明の認定
(1) 引用文献1に記載された事項
前記引用文献1には、以下の事項が記載されている。下線は当合議体が付したものであり、以下同様である。

「[0001] 本発明は、回転体の多回転量を検出するエンコーダの多回転検出回路に関し、特に、省電源を実現する多回転型絶対値エンコーダに関する。」

「発明が解決しようとする課題
[0004] 従来の多回転型絶対値エンコーダは、多回転量を検出するのに短時間ではあるが消費電流の大きいLEDへの通電を必要としていた。そのため、消費電流の低減には限界があり、バックアップ電源の長寿命化を実現する上で大きな障害となっていた。本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、大幅にバックアップ電源の長寿命化を実現できる多回転型絶対値エンコーダを提供することを目的とする。」

「[0009] 以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
実施例1
[0010] 図1は、本発明の第1実施例を示す多回転型絶対値エンコーダの多回転検出回路のブロック図である。
図において、1は回転ディスク、2は電源切替スイッチ、3は多回転信号生成部、4は1回転内信号生成部である。
回転ディスク1には多回転信号を生成するための磁性体部であるディスクマグネット11が固着され、さらに1回転内信号を生成するための光学的スリット12が形成してある。ディスクマグネット11は、NSの一対の磁極が回転軸に対して垂直方向に形成されている。また、310はA相磁界検出素子、320はB相磁界検出素子で、回転ディスク1に対して空隙を介して、互いに90度の間隔で配置されている。磁界検出素子としてA相磁界検出素子310にMR素子を、B相磁界検出素子320にホール素子を用いた。
[0011] 多回転信号生成部3において、31はAパルス生成部で、磁界検出素子310からの信号を検出するA相検部311およびA相検出部311からの出力を矩形波状の信号(Aパルス)に変換するためのAパルス発生回路312から構成されている。また、32はBパルス生成部で、磁界検出素子320からの信号を検出するB相検出部321およびB相検出部321からの出力を矩形波状の信号(Bパルス)に変換するためのBパルス発生回路322から構成されている。また、33はAパルス信号およびBパルス信号から多回転信号を生成するためのカウンタである。また、35および36はパルス的な給電を行うための給電手段で、35はAパルス信号またはBパルス信号のエッジを起点に所定のパルス幅の信号を生成する電源制御パルス発生回路、36は電源制御パルス発生回路35の信号に基づいてパルス的な給電を行う給電制御部である。」

「[0015] 次に、外部電源が遮断されバックアップ電源から電源が供給されているバックアップ時動作について説明する。
図1において、停電時等の外部電源遮断時は、外部電源が所定の電圧以下になると図示しない検出回路からの電源切替信号eにより、電源切替スイッチ2がバックアップ電源側に切り替わる。バックアップ電源側に切り替わると、1回転内信号生成部4には電源が供給されず、多回転信号生成部3のみにバックアップ電源が供給される。さらに、電源制御パルス発生回路35は、Aパルスのエッジを検出すると、このエッジを起点に生成された所定のパルス幅の電源制御パルスdを発生し、Bパルス生成部32への電源供給を制限する。すなわち、Aパルス生成部31には連続してバックアップ電源を供給するが、Bパルス生成部32には、電源制御パルスdによって制限されたパルス的な電源が、給電制御部36を介して供給される。」

「[0017] このように本実施例では、バックアップ時には、多回転信号生成部3のみにバックアップ電源を供給し、Bパルス生成部32にはBパルスのレベルを検出するのに必要な所定時間(TON期間)のみバックアップ電源を供給しているので、バックアップ時の消費電流を低減できる。従って、バックアップ電源の長寿命化が可能になり、保守が簡素化できる。さらに、電池などのバックアップ電源の交換に要するメンテナンス費用を低減できる。
なお、本実施例では、Bパルス生成部32内のB相検出部321およびBパルス発生回路322に対してパルス的に給電する例を示したが、B相検出部321またはBパルス発生回路322のどちらか一方に対してパルス的に給電しても良い。
実施例2
[0018] 図4は、本発明の第2実施例を示す多回転型絶対値エンコーダの多回転検出回路のブロック図である。本実施例の構成が第1実施例と同じものについてはその説明を省略し、異なる点のみ説明する。
図4において、340は2パルス/回転の信号を出力するためのT相磁界検出素子である。34はTパルス生成部で、T相磁界検出素子の出力を検出するためのT相検出部341とT相検出部341からの出力信号を矩形波信号(Tパルス)に変換するTパルス発生回路342から構成されている。
図5は本発明の第2実施例の磁界検出素子の配置を示す側面図、図6は平面図である。
図において、5は回路基板で、A相磁界検出素子310およびB磁界検出素子320は回路基板5の回転ディスク1側の面に実装され、T相磁界検出素子340は回路基板5の回転ディスク1側と反対側の面に実装されている。6は磁力線で、紙面の左右に磁極がきたときの磁界の様子を示しており、A相磁界検出素子310およびB磁界検出素子320に対しては回路基板5に垂直方向の磁界が鎖交し、T相磁界検出素子340に対しては、回路基板5に水平方向の磁界が鎖交している。
本実施例ではA相磁界検出素子310およびB磁界検出素子320に、回路基板5に垂直方向の磁界に対して検出感度をもつホール素子を使用し、T相磁界検出素子340に、回路基板5に水平方向の磁界に対して検出感度をもつMR素子を用いた。
本実施例が第1実施例と異なる点は次の通りである。
第1実施例では、Aパルス生成部またはBパルス生成部のいずれか一方に多回転量を検出するのに必要な時間だけパルス的にバックアップ電源を供給することにより消費電流を低減していたが、本実施例では、2パルス/回転の信号を出力するためのT相磁界検出素子340を回路基板上に配置し、T相磁界検出素子340から得られる信号に基づいて電源の供給を制御するためのTパルス信号を生成し、Tパルスのエッジを起点にして多回転量を検出するのに必要な時間だけAパルス生成部31およびBパルス生成部32にパルス的にバックアップ電源を供給することにより消費電流を低減している点である。」

「[0021] 次に、バックアップ時の多回転信号生成部3の動作について説明する。
図4において、停電時等の外部電源遮断時にバックアップ電源側に切り替わると、1回転内信号生成部4には電源が供給されず、多回転信号生成部3のみにバックアップ電源が供給される。さらに、Aパルス生成部31およびBパルス生成部32に対しては、パルス的にバックアップ電源が供給される。すなわち、電源制御パルス発生回路34は、Tパルスcのエッジを起点にして所定のパルス幅をもつ電源制御パルスdを生成し、この電源制御パルスdを基に、給電制御部36は電源制御パルスdがHレベルの期間のみAパルス生成部31およびBパルス生成部32にバックアップ電源を供給する。」

「[0023] このように本実施例では、バックアップ時には、多回転信号生成部3のみにバックアップ電源を供給し、Aパルス生成部31およびBパルス生成部32には、AパルスおよびBパルスのレベルを検出するのに必要な所定の時間TON期間のみバックアップ電源を供給し、それ以外のTOFF期間では電源を供給しないことにより、バックアップ電源の消費電流を低減できる。従って、バックアップ電源の長寿命化が可能となり、保守が簡素化できる。さらに、電池などのバックアップ電源の交換に要するメンテナンス費用を低減できる。
また、多回転信号検出にホール素子とMR素子を用い、それぞれ回路基板に垂直方向の磁界と水平方向の磁界を検出するように配置したので、回転ディスクと軸方向に対向して配設しているホール素子、即ち回路基板間の空隙の設定の自由度が大きくなり、1回転内信号を生成する光学的検出手段側で、空隙の設定を最適化できる
なお、本実施例では、Aパルス生成部31およびBパルス生成部32に対してパルス的に給電する例を示したが、A相検出部311およびB相検出部321またはAパルス発生回路312およびBパルス発生回路322のどちらか一方に対してパルス的に給電しても良い。
産業上の利用可能性
[0024] このように本発明によれば、従来の方式に比べて大幅に消費電流を低減することが出来るのでバックアップ電源の長寿命化が実現できる。従って、本発明の方式を採用した多回転型絶対値エンコーダを搭載した製品の長時間の連続使用が可能になり、長期間の連続運転を必要とするプラントシステムや生産ラインシステムで使用する産業機械への適用が可能となる。」

「 請求の範囲
(中略)
[3] 回転ディスクと、多回転信号生成部と、1回転内信号生成部とからなり、
前記回転ディスクは、多回転信号を生成する磁性体部を備え、
前記多回転信号生成部は、
前記磁性体部の洩れ磁束を検出し、お互いに90度位相の異なる1パルス/回転の信号を出力するA相磁界検出素子およびB磁界検出素子と、
前記A相磁界検出素子の信号を検出するA相検出部およびこの検出された信号を矩形波のAパルスに変換するAパルス発生回路とから成るAパルス生成部と、
前記B相磁界検出素子の信号を検出するB相検出部およびこの検出された信号を矩形波のBパルスに変換するBパルス発生回路とから成るBパルス生成部と、
前記AパルスおよびBパルスをカウントし多回転信号を生成するカウンタと、を備えた多回転型絶対値エンコーダにおいて、
前記磁性体部は前記回転ディスクの回転軸と垂直方向の一方向に磁化された永久磁石で構成され、
前記多回転信号生成部は、
前記磁性体部の洩れ磁束を検出し、2パルス/回転の信号を出力するT相磁界検出素子と、
前記T相磁界検出素子の信号を検出するT相検出部およびこの検出された信号を矩形波のTパルスに変換するTパルス発生回路とから成るTパルス生成部と、
前記Tパルスを基にA相検出部およびB相検出部またはAパルス発生回路およびBパルス発生回路の少なくともいずれか一方に、所定の時間だけバックアップ電源を供給する電源供給手段を備えたことを特徴とする多回転型絶対値エンコーダ。
[4] 前記A相磁界検出素子およびB磁界検出素子は、ホール素子であり、前記T相磁界検出素子は、MR素子であることを特徴とする請求項3記載の多回転型絶対値エンコーダ。」

「[図1]



「[図4]



「[図5]



「[図6]



(2) 引用発明の認定
前記(1)の記載事項を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「回転ディスクと、多回転信号生成部と、1回転内信号生成部とからなり、
前記回転ディスクは、多回転信号を生成する磁性体部を備え、
前記多回転信号生成部は、
前記磁性体部の洩れ磁束を検出し、お互いに90度位相の異なる1パルス/回転の信号を出力するA相磁界検出素子およびB磁界検出素子と、
前記A相磁界検出素子の信号を検出するA相検出部およびこの検出された信号を矩形波のAパルスに変換するAパルス発生回路とから成るAパルス生成部と、
前記B相磁界検出素子の信号を検出するB相検出部およびこの検出された信号を矩形波のBパルスに変換するBパルス発生回路とから成るBパルス生成部と、
前記AパルスおよびBパルスをカウントし多回転信号を生成するカウンタと、を備えた多回転型絶対値エンコーダにおいて、
前記磁性体部は前記回転ディスクの回転軸と垂直方向の一方向に磁化された永久磁石で構成され、
前記多回転信号生成部は、
前記磁性体部の洩れ磁束を検出し、2パルス/回転の信号を出力するT相磁界検出素子と、
前記T相磁界検出素子の信号を検出するT相検出部およびこの検出された信号を矩形波のTパルスに変換するTパルス発生回路とから成るTパルス生成部と、
前記Tパルスを基にA相検出部およびB相検出部またはAパルス発生回路およびBパルス発生回路の少なくともいずれか一方に、所定の時間だけバックアップ電源を供給する電源供給手段を備えた多回転型絶対値エンコーダであって(請求項3)、
前記T相磁界検出素子は、MR素子である(請求項4)、
多回転型絶対値エンコーダ。」

2 引用文献2に記載された事項の認定
(1) 引用文献2に記載された事項
前記引用文献2には、以下の事項が記載されている。

「[0012] エンコーダ装置ECは、いわゆる多回転アブソリュートエンコーダであり、回転軸SFの回転数および角度位置を含む回転情報を検出する。エンコーダ装置ECは、回転軸SFの回転数を検出する磁気式エンコーダ部1、及び回転軸SFの角度位置を検出する光学式エンコーダ部2を備える。
[0013] 磁気式エンコーダ部1は、磁石3、発電ユニット4、及び信号処理部5を備える。磁石3は、回転軸SFに固定された円板6に設けられる。円板6は回転軸SFとともに回転するため、磁石3は回転軸SFの回転に伴って(回転軸SFに同伴して)回転する。発電ユニット4は、磁石3の回転に伴う磁界の変化によって電力を発生する。信号処理部5は、検出部7、電力調整部8、及び記憶部9を備える。検出部7は、発電ユニット4から出力される電力の変化により、回転軸SFの回転情報を検出する。検出部7は、回転情報として回転軸SFの回転数を検出する。電力調整部8は、発電ユニット4から出力された電力を所定電圧の電力に調整する。記憶部9は、電力調整部8から出力される電力を使って、検出部7の検出結果を記憶する。磁気式エンコーダ部1の構成については、後に図2、図3などを参照しつつ詳しく説明する。」

「[0027] 図2(A)に示すように、発電ユニット4は、感磁性部20および発電部21を備える。発電ユニット4は、磁石3と非接触に設けられている。感磁性部20および発電部21は、磁石3の外部と固定されており、磁石3の回転に伴って磁石3上の各位置との相対位置が変化する。例えば、図2(B)では、発電ユニット4の近傍に位置3dが配置されており、この状態から磁石3が順方向(反時計回り)に1回転すると、発電ユニット4の近傍を位置3c、位置3b、位置3aがこの順に通過して、発電ユニット4の近傍に位置3dが再度配置される。
[0028] 感磁性部20は、ウィーガントワイヤなどの感磁性ワイヤである。感磁性部20には、磁石3の回転に伴う磁界の変化によって大バルクハウゼンジャンプ(ウィーガンド効果)が生じる。感磁性部20は、円柱状の部材であり、その軸方向が磁石3の径方向に設定されている。感磁性部20は、その軸方向に交流磁界が印加され磁界が反転する際に、軸方向の一端から他端に向かう磁壁が発生する。
[0029] 発電部21は、感磁性部20に巻き付けられて配置される高密度コイルなどである。発電部21には、感磁性部20における磁壁の発生に伴って電磁誘導が生じ、誘導電流が流れる。図2(B)に示した磁石3の位置3aまたは位置3cが発電ユニット4の近傍を通過する際に、発電部21にパルス状の電流が発生する。
[0030] 発電部21に発生する電流の向きは、磁界の反転前後の向きに応じて変化する。例えば、磁石3の外側を向く磁界から内側を向く磁界へ反転時に発生する電流の向きは、磁石3の内側を向く磁界から外側を向く磁界へ反転時に発生する電流の向きの反対になる。」

「[0035] 本実施形態において、エンコーダ装置ECにおける回転数の検出系は、検出部7および記憶部9を含む。図3に示すように、検出部7は、電流検出器25、電流検出器26、及び計数器27を含む。
[0036] 電流検出器25の入力端子25aは、発電ユニット4の端子23aに接続されている。電流検出器25は、発電部21から流れる電流I1を検出する。電流I1は、発電ユニット4を端子23bから端子23aへ向かって流れる電流に相当する。電流検出器25の出力端子25bは、計数器27の第1入力端子27aに接続されている。電流検出器25は、入力端子25aから入力される電流が閾値以上である場合に、出力端子25bから電圧を出力する。例えば、電流検出器25は、パルス状の電流を検出した場合に、電流に応じた電圧(信号)を、計数器27の第1入力端子27aに供給する。
[0037] 電流検出器26の入力端子26aは、発電ユニット4の端子23bに接続されている。電流検出器26は、発電部21から、電流I1と逆向きに流れる電流I2を検出する。電流I2は、発電ユニット4を端子23aから端子23bへ向かって流れる電流に相当する。電流検出器26の出力端子26bは、計数器27の第2入力端子27bに接続されている。電流検出器26は、入力端子26aから入力される電流が閾値以上である場合に、出力端子26bから電圧を出力する。例えば、電流検出器26は、パルス状の電流を検出した場合に、電流に応じた電圧(信号)を、計数器27の第2入力端子27bに供給する。
[0038] 計数器27は、例えばCMOS論理回路などを含み、第1入力端子27aを介して供給される電圧、及び第2入力端子27bを介して供給される電圧を制御信号として、計数処理を行う。例えば、計数器27は、電流検出器25から電圧が出力された場合にカウンタ値を増加し、電流検出器26から電圧が出力された場合にカウンタ値を減少する。計数器27は、電流検出器25がパルス状の電流を検出した回数と、電流検出器26がパルス状の電流を検出した回数とを計数する。
[0039] このような検出部7は、回転軸SFに同伴して回転する磁石3の回転数に応じたカウンタ値を取得可能である。検出部7は、発電部21から出力されるパルス状の電力を検出信号として利用し、回転軸SFの回転数を検出する。記憶部9は、計数器27が検出した回転数に関する情報を記憶する。記憶部9は、例えば不揮発性メモリ28を含み、電力が供給されている間に書き込まれた情報を、電力が供給されない状態においても保持できる。」

「[図1]



「[図2]



「[図3]



(2) 引用文献2に記載された事項の認定
前記(1)の記載事項を総合すると、引用文献2には、次の事項が記載されているものと認められる。

<引用文献2記載事項>
「回転軸SFに固定された円板6に設けられた磁石3と、磁石3の回転に伴う磁界の変化によって電力を発生する発電ユニット4と、発電ユニット4から出力される電力の変化により、回転軸SFの回転情報を検出する検出部7からなる磁気式エンコーダ部1において([0013])、
前記発電ユニット4は、ウィーガントワイヤである感磁性部20と、感磁性部20に巻き付けられて配置され、感磁性部20における磁壁の発生に伴って電磁誘導が生じ、誘導電流が流れる高密度コイルである発電部21を備える([0027]〜[0029])、
磁気式エンコーダ部1。」


3 引用文献3に記載された事項の認定
(1) 引用文献3に記載された事項
前記引用文献3には、以下の事項が記載されている。

「【0011】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、主電源が遮断している間に消費されるバッテリの電力量を予め試験等により求める必要がなく、主電源が遮断された場合のバッテリの寿命を正確に算出するとともに、算出したバッテリの寿命に応じて適切に警告を外部へ出力することで、バッテリが切れる前にバッテリ交換を促し、バッテリ切れを回避できるエンコーダを提供することを目的とする。」

「【0015】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係るエンコーダを含むサーボシステムの構成を示している。図1において、機械装置を駆動するモータ1は、モータ1を駆動制御するサーボアンプ2に接続される。また、モータ1にはモータ1の位置を検出するエンコーダ3が取付けられ、エンコーダ3もサーボアンプ2に接続される。エンコーダ3には、さらにバックアック用の電源であるバッテリ4が接続される。」

「【0020】
バッテリ寿命判断部7について、さらに詳細に説明する。
図2は、この発明の実施の形態1に係るエンコーダにおけるバッテリ寿命判断部7の構成を示す図である。図2において、電圧検出手段11はバッテリ電圧を随時またはある一定の時間間隔毎に検出して出力する。
【0021】
残容量算出手段12は、電圧検出手段11から入力したバッテリ電圧に基づいてバッテリ4の残容量(以下、バッテリ残容量という。)を算出し、後述するバッテリ消費電力算出手段14とバックアップ可能時間算出手段15に出力する。
【0022】
主電源が遮断している時間を計測するための時間計測手段13は、例えばクロックカウンタであり、一定周期のクロックパルスをカウントして出力する。バッテリ消費電力算出手段14は、電源制御部6から出力される主電源の供給状態の情報(主電源の遮断及び再投入の情報等を含む主電源が供給されているか否かの情報)と、残容量算出手段12から出力されるバッテリ残容量と、時間計測手段13からカウントした値を入力する。バッテリ消費電力算出手段14は、主電源遮断の情報と主電源再投入の情報を入力する間の時間計測手段13のカウント値から、サーボアンプ2からの主電源供給が遮断されている時間を求めるとともに、主電源が遮断された際(遮断時前後のある程度の時間を含む)のバッテリ残容量と、主電源が再投入された際(再投入時前後のある程度の時間を含む)のバッテリ残容量と、サーボアンプ2からの主電源供給が遮断されている時間とに基づき、主電源が遮断されバッテリ4から供給されている電源でエンコーダ3が動作している間におけるバッテリ4の消費電力(以下、バッテリ消費電力という。)を算出し、これを出力する。
【0023】
バックアップ可能時間算出手段15は、残容量算出手段12で算出されたバッテリ残容量とバッテリ消費電力算出手段14で算出されたバッテリ消費電力とを入力し、バッテリ残容量をバッテリ消費電力で除算することで、主電源が遮断された場合にバッテリ4がバックアップ用としてエンコーダ3に電源供給が可能な時間(以下、バックアップ可能時間という。)を算出し、これを出力する。
【0024】
所要バックアップ時間設定手段16には、エンコーダ3が必要とするバッテリ4でバックアップする時間(以下、所要バックアップ時間という。)が予め設定される。所要バックアップ時間設定手段16は、設定された所要バックアップ時間を出力する。比較手段17は、バックアップ可能時間算出手段15から入力したバックアップ可能時間と所要バックアップ時間設定手段16から入力した所要バックアップ時間とを比較し、その比較結果に基づき警告を外部へ出力する。」

「【図1】



「【図2】



(2) 引用文献3に記載された事項の認定
前記(1)の記載事項を総合すると、引用文献3には、次の事項が記載されているものと認められる。

<引用文献3記載事項>
「バッテリ電圧を随時またはある一定の時間間隔毎に検出して出力する電圧検出手段11(【0020】)と、
電圧検出手段11から入力したバッテリ電圧に基づいてバッテリ4の残容量を算出する残容量算出手段12(【0021】)を含む、
エンコーダ3に接続されるバックアック用の電源であるバッテリ4のバッテリ寿命判断部7(【0015】、【0020】)。」

4 引用文献4、5に記載された事項及び周知技術の認定
(1) 引用文献4に記載された事項
前記引用文献4には、以下の事項が記載されている。

「【0012】残量演算部23は、電流検出信号から二次電池11の充放電時(使用時)の残量、つまり外部接続端子13,14に充電器または負荷が接続されている状態での残量を演算する部分であり、その演算結果は残量補正部24および残量表示部26に供給される。
【0013】残量補正部24は、温度検出信号を入力し、二次電池11の放置温度からテーブル25を参照して残量演算部23の演算結果を補正することにより、二次電池11の放置時、つまり二次電池11を充電器や負荷に接続しない状態で放置したときの残量を求める部分であり、その補正結果は残量表示部26に供給される。テーブル25は、二次電池11の残量(放置時の充電容量)と放置温度および自己放電率との関係をメモリに予め記憶したものである。残量補正部24は、このテーブル25を参照して二次電池11の自己放電率を単位時間毎に求め、さらにこの自己放電率から前回の残量測定時よりの自己放電量を求めて、この自己放電量から二次電池11の放置時の残量を測定する。」

(2) 引用文献5に記載された事項
前記引用文献5には、以下の事項が記載されている。

(3頁15行〜4頁2行)
「〔考案の目的〕
本考案は上述の点を鑑みて、提供したものであって、電池の自己放電量を自己放電率の温度特性により電池の自己放電量を補正することによって、電池の残存容量すなわち、あとどれだけ使用できるかを認識して正確に表示することで、使い勝手をよくすることを目的とした電池残量表示回路を提供するものである。」

(3) 周知技術の認定
前記引用文献4及び5に記載されているように、次の事項は周知技術であると認められる。

<周知技術>
「電池残量を検出する場合に、使用時の残量だけでなく、温度に依存する自己放電率に基づいて放置時の残量も考慮すること。」


第5 対比
1 本願発明と引用発明の対比
本願発明と引用発明を対比する。
(1) 引用発明の「多回転信号生成部」は、回転ディスクの多回転量を検出するものであるから、本願発明の「移動部の位置情報を検出する位置検出部」に相当する。

(2) 引用発明の「T相磁界検出素子」は、「回転ディスク」が備える「多回転信号を生成する磁性体部」「の洩れ磁束を検出し、2パルス/回転の信号を出力する」ものである。
したがって、引用発明の「T相磁界検出素子」と本願発明の「前記移動部の移動に伴う磁界の変化により検出信号が発生するウィーガントワイヤ」は、「前記移動部の移動に伴う磁界の変化により検出信号が発生する磁界検出素子」という点で共通する。

(3) 引用発明の「バックアップ電源」は、「T相磁界検出素子」が検出した信号を矩形波に変換したTパルスを基に、所定の時間だけ、「多回転信号生成部」の「A相検出部およびB相検出部またはAパルス発生回路およびBパルス発生回路の少なくともいずれか一方」に電源を供給するものである。
したがって、引用発明の「バックアップ電源」は、本願発明の「前記検出信号の発生に基づいて、前記位置検出部へ電力を供給するバッテリー」と、「前記検出信号の発生に基づいて、前記位置検出部へ電力を供給する電源」という点で共通する。

(4) 引用発明の「多回転型絶対値エンコーダ」は、本願発明の「エンコーダ装置」に相当する。

2 一致点及び相違点
上記1の検討を総合すると、本願発明と引用発明は、以下の一致点で一致し、以下の相違点1〜3において相違する。

<一致点>
移動部の位置情報を検出する位置検出部と、
前記移動部の移動に伴う磁界の変化により検出信号が発生する磁界検出素子と、
前記検出信号の発生に基づいて、前記位置検出部へ電力を供給する電源と、
を備えたエンコーダ装置、である点。

<相違点1>
移動部の移動に伴う磁界の変化により検出信号が発生する磁界検出素子が、本願発明では「ウィーガントワイヤ」であるのに対して、引用発明では「MR素子」である点。

<相違点2>
検出信号の発生に基づいて、位置検出部へ電力を供給する電源が、本願発明では「バッテリー」であるのに対して、引用発明では、バッテリーであるか不明な点。

<相違点3>
本願発明では、「前記バッテリーの状態を検出するバッテリー検出部と、前記バッテリー検出部の検出結果に基づいて、前記バッテリーの寿命情報を算出する寿命算出部と、を備え」、「前記寿命算出部は、前記バッテリー検出部の検出結果に基づいて前記バッテリーの自己放電率を推定し、前記自己放電率に基づいて前記バッテリーの寿命情報を算出する」構成を備えているのに対して、引用発明では、そのような構成を備えていない点。


第6 判断
1 相違点1についての判断
前記相違点1について検討する。
前記第4の2(2)に示したとおり、回転軸SFに固定された円板6に設けられた磁石3と、磁石3の回転に伴う磁界の変化によって電力を発生する発電ユニット4と、発電ユニット4から出力される電力の変化により、回転軸SFの回転情報を検出する検出部7からなる磁気式エンコーダ部1において、前記発電ユニット4は、ウィーガントワイヤである感磁性部20と、感磁性部20に巻き付けられて配置され、感磁性部20における磁壁の発生に伴って電磁誘導が生じ、誘導電流が流れる高密度コイルである発電部21を備える、磁気式エンコーダ部1は、引用文献2に記載されたものである。
そして、引用発明において、「T相磁界検出素子」である「MR素子」を用いて「2パルス/回転の信号を出力する」構成と、引用文献2記載事項の構成は、いずれも回転を検出するという共通する機能を有するから、引用発明において回転を検出する構成として、引用文献2記載事項の構成を採用することは、当業者が容易に想到し得たことである。

2 相違点2及び3についての判断
前記相違点2及び3について併せて検討する。
引用文献3記載事項の「電圧検出手段11」及び「残容量算出手段12」は、それぞれ本願発明の「バッテリー検出部」及び「寿命算出部」に相当する。
そして、引用文献1の[0004]にも、課題として、バックアップ電源の長寿命化が挙げられているように、エンコーダ分野において電源の確実な確保は周知な課題であるといえる。また、前記引用文献3記載事項は、エンコーダに設けられるバッテリ寿命判定部に関するものである。したがって、引用発明における「バックアップ電源」として、引用文献3記載事項のバックアック用の電源であるバッテリ寿命判断部を備えたものを採用することは、当業者が容易に想到し得たことである。
その際、より正確な残量を検出するために、前記第4の4(3)に示された周知技術に倣って、自己放電率に基づいて算出した放置時の残量も考慮するようにすることに格別の困難性があるものでない。

3 請求人の主張について
(1) 審判請求書における請求人の主張
ア 主張1
(審判請求書5頁4〜17行)
「(ア)理由1
ウィーガントワイヤは、非常に繊細な部材です。
パルスを発生させるためには、磁石に近づける必要があります。
ウィーガントワイヤを扱ったことのある当業者であれば、周知の技術です。
例えば、引用文献1の図5に記載のT相磁界検出素子340に代えてウィーガントワイヤを採用する場合、ディスクマグネット11からの距離を考慮すると、ウィーガントワイヤは動作しません。
そのため、引用文献1に記載のT相磁界検出素子340に代えてウィーガントワイヤを採用すると、引用文献1に記載の発明における目的を果たすことができません。
したがって、引用文献1に記載のT相磁界検出素子340に代えてウィーガントワイヤを採用することには、阻害要因があります。
付言すると、これらの内容は、ウィーガントワイヤの特性を知っている当業者であれば、即座に理解できる内容です。」

(審判請求書6頁1〜8行)
「また、引用文献1の段落0018の記載からも明らかなように、引用文献1に記載の発明においては、T相磁界検出素子340からの信号を検出するための電源制御パルス発生回路34を、常にオン状態にしておかなければなりません。
これに対し、本願発明においては、ウィーガントワイヤからの検出信号を検出するための回路をバッテリーからの電力を消費して動作させる必要がありません。
このように、引用文献1に記載の発明は、あくまでMRに着目しているに過ぎず、ウィーガントワイヤに適した回路について、開示も示唆もされていません。」

イ 主張2
(審判請求書5頁18〜26行)
「(イ)理由2
引用文献1の段落0015には、「図1において、停電時等の外部電源遮断時は、外部電源が所定の電圧以下になると図示しない検出回路からの電源切替信号eにより、電源切替スイッチ2がバックアップ電源側に切り替わる。」と記載されています。
本願発明においては、まさに引用文献1に記載の発明における電源切替スイッチ2の切替を、ウィーガントワイヤからの検出信号によって行っています。
これに対し、引用文献1に記載の発明においては、T相磁界検出素子340を用いて電源切替スイッチ2の切替を行っていません。」

ウ 主張3
(審判請求書6頁17行〜7頁6行)
「即ち、主引例である引用文献1に他の引用文献に記載の事項を適用する示唆がないときに、引用文献9に記載の示唆を受けて引用文献9に記載の事項を適用することについては容易であると考えますが、引用文献9に記載の示唆を受けて、引用文献3に記載の事項と、引用文献4、5に記載の周知技術とを適用することについては容易でないと考えます。

仮に、引用文献9に記載の示唆を受けて、引用文献3に記載の事項と、引用文献4、5に記載の周知技術とを適用するのであれば、一旦、引用文献9に記載の示唆を受けて引用文献1に記載の発明に引用文献9に記載の事項を適用した上で、その組み合わせの構成において、何らかの課題があることを新たに発見、認識し、その課題を解決するために、引用文献3に記載の事項と、引用文献4、5に記載の周知技術とを適用するといった、複数段階の推考をしなければならず、典型的な「容易の容易」を重ねるものであり、当業者において容易に想到できたということはできません。」

(2) 請求人の主張についての当合議体の見解
ア 主張1について
請求人は、引用文献1に記載のT相磁界検出素子340に代えてウィーガントワイヤを採用する場合、ディスクマグネット11からの距離を考慮すると、ウィーガントワイヤは動作しませんと主張している。
しかしながら、引用文献2記載事項は、回転軸SFに固定された円板6に設けられた磁石3と、ウィーガントワイヤである感磁性部20及び高密度コイルである発電部21を備える発電ユニット4からなるものであり、当然に、磁石3とウィーガントワイヤの距離は、ウィーガントワイヤが動作する距離となっているものである。上記1で検討したとおり、引用発明に、引用文献2記載事項を適用する場合、ウィーガントワイヤだけでなく、ウィーガントワイヤが動作する距離に配置された磁石3及び高密度コイルである発電部21も含めて適用されることとなるのであるから、ディスクマグネット11からの距離のためにウィーガントワイヤが動作しないという問題が生じないことは明らかである。
請求人の主張は、ディスクマグネット11はそのままとし、MR素子だけをウィーガントワイヤに置換することを前提とするものであるところ、上記のとおり、磁石3も含めて置き換えるのであるから、当該主張は採用できない。

そして、前記第4の2に示したとおり、ウィーガントワイヤ及び高密度コイルは、それ自体が発電を生じるものであるから、引用発明に引用文献2記載事項を適用した際に、必要でない外部電源からの電力供給を行わないようにすることは格別なものでない。
したがって、請求人の主張1は採用できない。

イ 主張2について
請求人は、本願発明においては、引用文献1に記載の発明における電源切替スイッチ2の切替を、ウィーガントワイヤからの検出信号によって行っていると主張している。
しかしながら、請求項1には、主電源である第1電源8と、バックアップ状態における第2電源(バッテリー6)を切り替えるスイッチ、及び、当該スイッチの切り替えをウィーガントワイヤからの検出信号によって行っていることについては、何も記載されていないから、当該主張は請求項の記載に基づくものではない。
したがって、請求人の主張2は採用できない。

ウ 主張3について
引用文献9の段落【0009】、【0010】、【0020】及び【0021】には、外部電池を備えたエンコーダにおいて、その電池の残容量を検出することが記載されている。
請求人は、引用文献1に記載の発明に引用文献9に記載の事項を適用した上で、その組み合わせの構成において、何らかの課題があることを新たに発見、認識し、その課題を解決するために、引用文献3に記載の事項と、引用文献4、5に記載の周知技術とを適用するといった、複数段階の推考をしなければならないと主張しているが、引用文献9の記載は、エンコーダ分野において、電池の残容量を検出する(バッテリ寿命判定を行う)という課題が周知であることを例示するものにすぎず、引用発明に、引用文献9に記載された事項を適用するものでないから、複数段階の推敲を必要とするものでない。
したがって、請求人の主張3は採用できない。

4 小括
前記3において検討したとおり、請求人の主張はいずれも採用できず、前記1及び2の判断を左右するものではない。
また、本願発明によって奏される効果は、引用発明、引用文献2及び3に記載された事項及び周知技術から当業者が予測し得る程度のものにすぎない。
したがって、本願発明は、引用発明、引用文献2及び3に記載された事項及び周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。

第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明、引用文献2及び3に記載された事項及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。




 
別掲 (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。
 
審理終結日 2022-06-30 
結審通知日 2022-07-05 
審決日 2022-07-21 
出願番号 P2016-191567
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G01D)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 居島 一仁
特許庁審判官 濱本 禎広
中塚 直樹
発明の名称 エンコーダ装置、駆動装置、ステージ装置、及びロボット装置  
代理人 西 和哉  

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