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審決分類 |
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 H01L 審判 査定不服 特17 条の2 、4 項補正目的 特許、登録しない。 H01L 審判 査定不服 (159条1項、163条1項、174条1項で準用) 特許、登録しない。 H01L |
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管理番号 | 1389103 |
総通号数 | 10 |
発行国 | JP |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2022-10-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2021-11-02 |
確定日 | 2022-09-15 |
事件の表示 | 特願2017− 97347「エッチング液」拒絶査定不服審判事件〔平成29年12月 7日出願公開、特開2017−216444〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成29年5月16日(優先権主張 平成28年5月31日)を出願日とする出願であって、令和3年3月19日付けで拒絶理由が通知され、同年5月21日に意見書が提出されたが、同年8月12日付けで拒絶の査定がなされ、これに対し、同年11月2日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。 第2 令和3年11月2日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和3年11月2日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正について 本件補正は、特許請求の範囲について、下記(2)に示す本件補正前の特許請求の範囲の請求項1ないし7を、下記(1)に示す本件補正後の特許請求の範囲の請求項1ないし8へと補正するものである。 (1)本件補正後の特許請求の範囲 本件補正後の特許請求の範囲は、次のとおりである(下線は、補正箇所を示す)。 「【請求項1】 (A)シュウ酸、(B)ポリビニルピロリドン、及び、(C)水を含有し、酸化インジウム系膜のエッチングに用いられることを特徴とするエッチング液。 【請求項2】 (A)シュウ酸の含有量は0.5〜15重量%である、請求項1に記載のエッチング液。 【請求項3】 (B)ポリビニルピロリドンの含有量は0.01〜1重量%である、請求項1又は2に記載のエッチング液。 【請求項4】 さらに(D)ナフタレンスルホン酸縮合物を含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のエッチング液。 【請求項5】 (B)ポリビニルピロリドンと(D)ナフタレンスルホン酸縮合物との含有割合が、重量比で、(B)ポリビニルピロリドン:(D)ナフタレンスルホン酸縮合物=100:1〜0. 5:100である、請求項4に記載のエッチング液。 【請求項6】 さらに(E)アルカリ成分を含有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のエッチング液。 【請求項7】 (E)アルカリ成分は、アンモニア、水溶性アルキルアミン、水溶性アルカノールアミン、及び、四級アルキルアンモニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項6に記載のエッチング液。 【請求項8】粘度が0.5〜50mPa・sである、請求項1〜7のいずれか1項に記載のエッチング液。」 (2)本件補正前の特許請求の範囲 本件補正前の、願書に最初に添付にされた特許請求の範囲の記載は次のとおりである。 「【請求項1】 (A)シュウ酸、(B)ポリビニルピロリドン、及び、(C)水を含有し、酸化インジウム系膜のエッチングに用いられることを特徴とするエッチング液。 【請求項2】 (B)ポリビニルピロリドンの含有量は0.01〜1重量%である、請求項1に記載のエッチング液。 【請求項3】 さらに(D)ナフタレンスルホン酸縮合物を含有する、請求項1又は2に記載のエッチング液。 【請求項4】 (B)ポリビニルピロリドンと(D)ナフタレンスルホン酸縮合物との含有割合が、重量比で、(B)ポリビニルピロリドン:(D)ナフタレンスルホン酸縮合物=100:1〜0.5:100である、請求項3に記載のエッチング液。 【請求項5】 さらに(E)アルカリ成分を含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のエッチング液。 【請求項6】 (E)アルカリ成分は、アンモニア、水溶性アルキルアミン、水溶性アルカノールアミン、及び、四級アルキルアンモニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項5に記載のエッチング液。 【請求項7】 粘度が0.5〜50mPa・sである、請求項1〜6のいずれか1項に記載のエッチング液。」 2 補正の適否 本件補正は、本件補正前の請求項1に「(A)シュウ酸の含有量は0.5〜15重量%である」との発明を特定する事項を加えた本件補正後の請求項2を追加し、本件補正前の請求項2ないし7の項番を繰り下げると共に、各請求項が引用する請求項に本件補正後の請求項2を加えて本件補正後の請求項3ないし8とするものである。 してみると、本件補正後の請求項1及び3ないし8は、それぞれ本件補正前の請求項1ないし7に対応し、本件補正後の請求項2は本件補正前の請求項に対応する請求項がないものである。よって、本件補正は、本件補正後の請求項2を追加して、特許請求の範囲の請求項数を増加する補正(以下、「補正事項1」という。)を含むものである。また、本件補正後の請求項2は、本件補正前の請求項1に「(A)シュウ酸の含有量は0.5〜15重量%である」との発明を特定する事項を加えたものであり、多数項引用形式で記載された1つの請求項を、引用請求項数を減少させた複数の請求項に変更する場合や、発明特定事項が択一的なものとして記載された一つの請求項について、その択一的な発明特定事項をそれぞれ限定して複数の請求項に変更する場合の、増項補正が許される例外的な場合に該当するということもできない。 そうすると、補正事項1は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮に該当しない。また、補正事項1が特許法第17条の2第5項第1、3及び4号に掲げる請求項の削除、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明のいずれにも該当しないことは明らかである。 したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項各号に掲げるいずれの事項を目的とするものにも該当しない。 3 小括 したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項に規定する要件に違反するものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし7に係る発明は、願書に最初に添付された特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された事項により特定されるものであるところ、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記「第2[理由]1(2)」の【請求項1】に記載したとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定(令和3年8月12日付け拒絶査定)の拒絶の理由は、概略次のとおりである。 理由1(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 理由2(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 (引用文献等については引用文献等一覧参照) ●理由1(新規性)、理由2(進歩性)について ・請求項 1−2、5−6 ・引用文献等 1 ・請求項 1−2 ・引用文献等 2 ・請求項 1 ・引用文献等 3 ・請求項 1 ・引用文献等 4 ●理由2(進歩性)について ・請求項 3−4 ・引用文献等 1、5 ・請求項 7 ・引用文献等 1、5−7 <引用文献等一覧> 1.特表2012−504871号公報 2.特表2008−547232号公報 3.国際公開第2010/113744号 4.特表2013−534944号公報 5.国際公開第2008/032728号 6.特開2000−252256号公報(周知技術を示す文献) 7.国際公開第2014/104308号(周知技術を示す文献) 3 引用例1の記載、引用発明 (1)原査定の拒絶の理由で引用され、本願の優先日前に頒布された刊行物である特表2008−547232号公報(平成20年12月25日公表、以下「引用例1」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は、当審で付与した)。 「【請求項12】 酸化物層のエッチングのための組成物であって、 a)エッチング成分として塩化鉄(III)または塩化鉄(III)六水和物、 b)溶媒、 c)随意的に、均質に溶解した有機増粘剤、 d)随意的に、少なくとも1種の無機酸および/または有機酸、 および随意的に e)添加剤、例えば消泡剤、チキソトロープ剤、流れ制御剤、脱気剤、接着促進剤、 を含み、ペースト形態であり印刷可能である、前記組成物。」 「【請求項16】 塩酸、リン酸、硫酸、硝酸の群から選択される無機鉱酸、および/または、少なくとも1種の有機酸であって1〜10個のC原子を有する直鎖または分枝状アルキル基を有してもよく、アルキルカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸またはジカルボン酸溶液の群から選択される前記有機酸、を含むことを特徴とする、請求項12〜15のいずれかに記載の組成物。 【請求項17】 ギ酸、酢酸、乳酸およびシュウ酸の群から選択される有機酸を含むことを特徴とする、請求項16に記載の組成物。」 「【請求項19】 溶媒として、水;グリセロール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1−ヘキセノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、およびジプロピレングリコールの群から選択される一価アルコール類または多価アルコール類;エチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、およびジプロピレングリコールモノメチルエーテルの群から選択されるエーテル類;[2,2−ブトキシ(エトキシ)]エチルアセテート、プロピレンカーボネートの群から選択されるエステル類;アセトフェノン、メチル−2−ヘキサノン、2−オクタノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、および1−メチル−2−ピロリドンなどのケトン類を、それ自体で、または混合して、媒体の総量に対し10〜90重量%、好ましくは15〜85重量%の量で含むことを特徴とする、請求項12〜18のいずれかに記載の組成物。 【請求項20】 以下の群からの1種または2種以上の均質に溶解した増粘剤を含むことを特徴とする、請求項12〜19のいずれかに記載の組成物: セルロース/セルロース誘導体、および/または デンプン/デンプン誘導体、および/または キサンタン、および/または ポリビニルピロリドン、 アクリレートもしくは官能化ビニル単位をベースとするポリマー類。」 「【請求項24】 無機のガラス様結晶表面のエッチング方法であって、請求項12〜23のいずれかに記載の組成物を、全表面にわたって、またはエッチング構造マスクに従って選択的に表面上のエッチングしたい領域のみに適用すること、および、エッチングが完了した時に、これを溶媒または溶媒混合物を用いて洗浄除去するか、または加熱によって燃焼除去すること、を特徴とする、前記方法。」 「【請求項29】 ドープされた酸化スズ表面(ITOおよび/またはFTO)を、0.5〜8nm/sのエッチング速度で、好ましくは1〜6nm/sのエッチング速度で、および非常に特に好ましくは3〜4nm/sのエッチング速度で、50〜120℃の範囲の高い温度においてエッチングすることを特徴とする、請求項24〜28のいずれかに記載の方法。」 「【0013】 酸化物層の表面、特に酸化スズもしくは酸化亜鉛層または対応するドープされた層、例えば酸化インジウムスズIn2O3:Sn(ITO)、フッ素をドープされた酸化スズSnO2:F(FTO)、アンチモンをドープされた酸化スズSnO2:Sb(ATO)、またはアルミニウムをドープされた酸化亜鉛ZnO:Al(AZO)などの表面を、選択的にエッチングするまたは構築するとの本発明の目的は、驚くべきことに、塩化鉄(III)または塩化鉄(III)六水和物を、対応する酸化物表面(oxidic surface)のためのエッチング成分として用いることにより達成される。」 (2)上記「(1)」の記載より、引用例1には、請求項12に記載された発明に関して次の技術事項が記載されている。 ア 【請求項12】には「酸化物層のエッチングのための組成物であって、」「エッチング成分として塩化鉄(III)または塩化鉄(III)六水和物、」「溶媒、」「均質に溶解した有機増粘剤、」「少なくとも1種の」「有機酸、」「を含み、ペースト形態であり印刷可能である、前記組成物」と記載されている。 よって、引用例1には、請求項12に記載された発明として、酸化物層のエッチングのための組成物であって、エッチング成分として塩化鉄(III)または塩化鉄(III)六水和物、溶媒、均質に溶解した有機増粘剤、少なくとも1種の有機酸を含み、ペースト形態であり印刷可能である組成物が記載されている。 イ 【請求項16】には「・・・(略)・・・ジカルボン酸溶液の群から選択される前記有機酸、を含むことを特徴とする、請求項12〜15のいずれかに記載の組成物」と記載されている。よって、引用例1には、有機酸としてジカルボン酸溶液が選択される請求項12に記載の組成物が記載されている。 また、【請求項17】には「・・・(略)・・・シュウ酸の群から選択される有機酸を含むことを特徴とする、請求項16に記載の組成物」と記載されている。よって、引用例1には、有機酸としてシュウ酸が選択される請求項16に記載の組成物が記載されている。 そして、シュウ酸はジカルボン酸の一種であることを踏まえると、以上のことより、引用例1には、有機酸としてシュウ酸が選択される請求項12に記載の組成物が記載されているといえる。 ウ 【請求項19】には「溶媒として、水」「を、それ自体で」「媒体の総量に対し10〜90重量%、好ましくは15〜85重量%の量で含むことを特徴とする、請求項12〜18のいずれかに記載の組成物」と記載されている。 よって、引用例1には、溶媒として水をそれ自体で媒体の総量に対し10〜90重量%、好ましくは15〜85重量%の量で含む請求項12に記載の組成物が記載されている。 エ 【請求項20】には「以下の群からの1種または2種以上の均質に溶解した増粘剤を含むことを特徴とする、請求項12〜19のいずれかに記載の組成物:・・・(略)・・・ポリビニルピロリドン・・・(略)・・・」と記載されている。 よって、引用例1には、ポリビニルピロリドンである均質に溶解した増粘剤を含む請求項12に記載の組成物が記載されている。 オ 【請求項24】には「無機のガラス様結晶表面のエッチング方法であって、請求項12〜23のいずれかに記載の組成物を」「選択的に表面上のエッチングしたい領域のみに適用する」と記載されている。上記「表面上」は「無機のガラス様結晶表面」上を意味することは明らかであるから、【請求項24】には、請求項12に記載の組成物を選択的に無機のガラス様結晶表面上のエッチングしたい領域のみに適用することが記載されているといえる。 また、【請求項29】には「ドープされた酸化スズ表面(ITO」「)を」「エッチングすることを特徴とする、請求項24〜28のいずれかに記載の方法。」と記載されている。請求項29は請求項24を引用し、請求項29の「ドープされた酸化スズ表面(ITO」「)を」「エッチングする」ことは、請求項24の「無機のガラス様結晶表面のエッチング」に対応するから、【請求項29】には、請求項12に記載の組成物を選択的にドープされた酸化スズ表面(ITO)上のエッチングしたい領域のみに適用することが記載されているといえる。 さらに、段落【0013】には「酸化物層の表面、」「例えば酸化インジウムスズIn2O3:Sn(ITO)」「などの表面を、選択的にエッチングする」「との本発明の目的は」「塩化鉄(III)または塩化鉄(III)六水和物を、対応する酸化物表面(oxidic surface)のためのエッチング成分として用いることにより達成される。」と記載されており、上記「酸化インジウムスズIn2O3:Sn(ITO)」は、【請求項29】に記載された「ドープされた酸化スズ表面(ITO」「)」に対応する。 以上のことより、引用例1には、請求項12に記載の組成物を選択的に酸化インジウムスズIn2O3:Sn(ITO)上のエッチングしたい領域のみに適用することが記載されている。 (3)上記「エ」の技術事項における「ポリビニルピロリドンである」「増粘剤」は上記「ア」の技術事項における「有機増粘剤」に対応することを踏まえると、上記「ア」ないし「オ」の技術事項より、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「酸化物層のエッチングのための組成物であって、 エッチング成分として塩化鉄(III)または塩化鉄(III)六水和物、 溶媒、 均質に溶解した有機増粘剤、 少なくとも1種の有機酸を含み、 溶媒として水をそれ自体で媒体の総量に対し10〜90重量%、好ましくは15〜85重量%の量で含み、 有機増粘剤は、均質に溶解した増粘剤であるポリビニルピロリドンであり、 有機酸としてシュウ酸が選択され、 選択的に酸化インジウムスズIn2O3:Sn(ITO)上のエッチングしたい領域のみに適用される、 ペースト形態であり印刷可能である組成物。」 4 対比、判断 本願発明と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。 ア 引用発明の「少なくとも1種の有機酸を含み」「有機酸としてシュウ酸が選択され」ることは、本願発明の「シュウ酸」「を含有」することに相当する。 イ 引用発明の「均質に溶解した有機増粘剤」「を含み、」「有機増粘剤は、均質に溶解した増粘剤であるポリビニルピロリドンであ」ることは、本願発明の「ポリビニルピロリドン」「を含有」することに相当する。 ウ 引用発明の「溶媒」「を含み、」「溶媒として水をそれ自体で媒体の総量に対し10〜90重量%、好ましくは15〜85重量%の量で含」むことは、本願発明の「水を含有」することに相当する。 エ 引用発明は「酸化物層のエッチングのための組成物であって、」「選択的に酸化インジウムスズIn2O3:Sn(ITO)上のエッチングしたい領域のみに適用される」「組成物」であるから、「酸化物層」は「酸化インジウムスズIn2O3:Sn(ITO)」からなるといえる。そして、引用発明の「酸化インジウムスズIn2O3:Sn(ITO)」は酸化インジウム系の材料であるから、「酸化インジウムスズIn2O3:Sn(ITO)」からなる「酸化物層」は、本願発明の「酸化インジウム系膜」に相当する。 さらに、引用発明の「エッチングのため」であって「エッチングしたい領域のみに適用される」ことは、本願発明の「エッチングに用いられる」ことに相当する。 よって、引用発明の「酸化物層のエッチングのため」であって、「選択的に酸化インジウムスズIn2O3:Sn(ITO)上のエッチングしたい領域のみに適用される」ことは、本願発明の「酸化インジウム系膜のエッチングに用いられる」ことに相当する。 オ 引用発明の「組成物」は、「溶媒」「を含み、」「溶媒として水をそれ自体で媒体の総量に対し10〜90重量%、好ましくは15〜85重量%の量で含」むものだから、液であるといえる。 よって、引用発明の「エッチングのための組成物であって、」「溶媒」「を含み」、「溶媒として水をそれ自体で媒体の総量に対し10〜90重量%、好ましくは15〜85重量%の量で含み」、「エッチング成分として用いられる、組成物」は、本願発明の「エッチング液」に相当する。 上記「ア」ないし「オ」において検討したとおりであるから、本願発明と引用発明とは、 「シュウ酸、ポリビニルピロリドン、及び、水を含有し、酸化インジウム系膜のエッチングに用いられるエッチング液。」 である点で一致し、相違するところがない。 よって、本願発明は、引用例1に記載された発明である。 第4 むすび 以上のとおりであるから、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 したがって、本願は、その余の請求項に係る発明について検討するまでもなく拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 |
審理終結日 | 2022-06-29 |
結審通知日 | 2022-07-05 |
審決日 | 2022-07-25 |
出願番号 | P2017-097347 |
審決分類 |
P
1
8・
56-
Z
(H01L)
P 1 8・ 57- Z (H01L) P 1 8・ 113- Z (H01L) |
最終処分 | 02 不成立 |
特許庁審判長 |
恩田 春香 |
特許庁審判官 |
松永 稔 棚田 一也 |
発明の名称 | エッチング液 |
代理人 | 特許業務法人 安富国際特許事務所 |