• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06Q
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G06Q
管理番号 1389141
総通号数 10 
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-10-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-11-17 
確定日 2022-10-11 
事件の表示 特願2019−161416「提供装置、提供方法および提供プログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 3月11日出願公開、特開2021− 39602、請求項の数(16)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯

本願は,令和元年9月4日の出願であって,その手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年 5月26日付け:拒絶理由通知
令和3年 7月12日 :意見書,手続補正書の提出
令和3年 8月 6日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
令和3年11月17日 :拒絶査定不服審判請求,手続補正書の提出
令和4年 6月 8日付け:拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)
通知
令和4年 7月14日 :意見書,手続補正書の提出

第2 原査定の概要

原査定の概要は,次のとおりである。
この出願の請求項1〜18に係る発明は,以下の引用文献1〜6に記載された発明に基づいて,その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下,「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1: 特開2017−027377号公報
引用文献2: 特開2017−167858号公報
引用文献3: 特開2010−252226号公報
引用文献4: 特開2015−018366号公報
引用文献5: 特開2013−122656号公報
引用文献6: 特開2015−090556号公報

第3 本願発明

本願請求項1〜16に係る発明(以下,それぞれ「本願発明1」〜「本願発明16」という。)は,令和4年7月14日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1〜16に記載された事項により特定される,次のとおりの発明である。

「【請求項1】
電子商店街において提供される機能を示す機能情報を取得する取得部と,
前記機能情報を,当該機能情報が示す機能を前記電子商店街において利用した場合にインセンティブが提供される対象となる機能を示す機能情報として,利用者に提供する提供部と
を有し,
前記提供部は,
前記機能情報のうち,前記利用者が利用済みの機能を,当該利用者とは異なる利用者であって,前記電子商店街における利用態様が所定の条件を満たす利用者である先行利用者が利用していた場合に,前記利用者が利用済みの機能を含まない当該先行利用者が利用した機能を示す機能情報であって,当該利用者が利用済みの機能を当該先行利用者が利用していたタイミングに基づく所定の条件を満たす機能情報を,インセンティブが提供される対象となる機能を示す前記機能情報として,当該利用者に対して提供する
ことを特徴とする提供装置。
【請求項2】
前記提供部は,前記機能情報のうち,前記利用者が利用していない機能を示す機能情報を当該利用者に提供する
ことを特徴とする請求項1に記載の提供装置。
【請求項3】
前記提供部は,前記機能情報のうち,前記利用者が利用した機能を示す機能情報を,利用済みの機能を示す機能情報として提供する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の提供装置。
【請求項4】
前記取得部は,前記電子商店街において提供される機能であって,前記利用者が利用する端末装置で実行されるアプリケーションを介して利用される機能を示す機能情報を取得する
ことを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1つに記載の提供装置。
【請求項5】
前記取得部は,前記アプリケーションを介した取引対象の購入に関する機能を示す機能情報を取得する
ことを特徴とする請求項4に記載の提供装置。
【請求項6】
前記取得部は,前記電子商店街において販売される取引対象の検索に関する機能を示す機能情報を取得する
ことを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか1つに記載の提供装置。
【請求項7】
前記取得部は,前記電子商店街における利用者の認証に関する機能を示す機能情報を取得する
ことを特徴とする請求項1〜6のうちいずれか1つに記載の提供装置。
【請求項8】
前記取得部は,前記電子商店街における利用者の情報の登録に関する機能を示す機能情報を取得する
ことを特徴とする請求項1〜7のうちいずれか1つに記載の提供装置。
【請求項9】
前記提供部は,前記機能情報のうち,前記利用者の属性に応じた機能を示す機能情報を提供する
ことを特徴とする請求項1〜8のうちいずれか1つに記載の提供装置。
【請求項10】
前記機能情報が示す機能を前記利用者が利用した場合は,当該機能に応じた内容のインセンティブを当該利用者に対して付与する付与部
を有することを特徴とする請求項1〜9のうちいずれか1つに記載の提供装置。
【請求項11】
前記付与部は,前記利用者に対して,前記機能に応じた量のポイントを付与し,付与済みのポイントに応じたインセンティブを付与する
ことを特徴とする請求項10に記載の提供装置。
【請求項12】
前記付与部は,付与されたポイントが多い方から並べた場合の順位に応じたインセンティブを前記利用者に対して付与する
ことを特徴とする請求項11に記載の提供装置。
【請求項13】
付与されたポイントが多い方から順に前記利用者を示す情報を並べた順位情報を公開する公開部
を有することを特徴とする請求項10または11に記載の提供装置。
【請求項14】
前記提供部は,前記電子商店街において取引対象を販売する販売者により設定された機能を示す機能情報を前記利用者に提供する
ことを特徴とする請求項1〜13のうちいずれか1つに記載の提供装置。
【請求項15】
提供装置が実行する提供方法であって,
電子商店街において提供される機能を示す機能情報を取得する取得工程と,
前記機能情報を,当該機能情報が示す機能を前記電子商店街において利用した場合にインセンティブが提供される対象となる機能を示す機能情報として,利用者に提供する提供工程と
を含み,
前記提供工程は,
前記機能情報のうち,前記利用者が利用済みの機能を,当該利用者とは異なる利用者であって,前記電子商店街における利用態様が所定の条件を満たす利用者である先行利用者が利用していた場合に,前記利用者が利用済みの機能を含まない当該先行利用者が利用した機能を示す機能情報であって,当該利用者が利用済みの機能を当該先行利用者が利用していたタイミングに基づく所定の条件を満たす機能情報を,インセンティブが提供される対象となる機能を示す前記機能情報として,当該利用者に対して提供する
ことを特徴とする提供方法。
【請求項16】
電子商店街において提供される機能を示す機能情報を取得する取得手順と,
前記機能情報を,当該機能情報が示す機能を前記電子商店街において利用した場合にインセンティブが提供される対象となる機能を示す機能情報として,利用者に提供する提供手順と
をコンピュータに実行させ,
前記提供手順は,
前記機能情報のうち,前記利用者が利用済みの機能を,当該利用者とは異なる利用者であって,前記電子商店街における利用態様が所定の条件を満たす利用者である先行利用者が利用していた場合に,前記利用者が利用済みの機能を含まない当該先行利用者が利用した機能を示す機能情報であって,当該利用者が利用済みの機能を当該先行利用者が利用していたタイミングに基づく所定の条件を満たす機能情報を,インセンティブが提供される対象となる機能を示す前記機能情報として,当該利用者に対して提供する
ことを特徴とする提供プログラム。」

第4 引用文献の記載,引用発明等

1 引用文献1

(1)原査定の拒絶の理由にて引用された引用文献1には,図面とともに,次の記載がある(下線は当審による。以下同様。)。
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は,情報提供システム及び情報提供方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来,端末のユーザ向けの広告情報及び特典情報等の各種の情報を端末に表示することが行われている。例えば,特許文献1には,サーバに登録された特典情報を携帯端末に配信し,当該携帯端末に表示させる方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】 特開2003−141402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の方法においては,端末に配信した情報が適切であったかどうかを評価することなく,予め決定した情報を配信し続けていた。その結果,ユーザのニーズに合致しない情報を配信し続けてしまう場合が生じていた。このように,ユーザのニーズに合致しない情報が配信されると,ユーザにとっては,不要な情報が表示されることにより操作性が低下するという問題が生じ,情報を配信する企業にとっては,情報配信に要する費用に見合う効果を得ることができないという問題が生じていた。
【0005】
そこで,本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり,ユーザに適した情報を提供することができる情報提供システム及び情報提供方法を提供することを目的とする。
(中略)
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば,ユーザに適した情報を提供することができるという効果を奏する。」

イ 図2


ウ 「【0025】
[情報提供装置1の構成]
続いて,情報提供システムSが備える情報提供装置1及び通信端末2の構成について説明する。まず,情報提供装置1の構成を説明する。図2は,第1の実施形態に係る情報提供装置1の構成を示す図である。
【0026】
情報提供装置1は,記憶部11と,制御部12とを備える。
記憶部11は,ROM,RAM及びハードディスク等の記憶媒体である。記憶部11は,制御部12が実行するプログラムを記憶する。また,記憶部11は,管理者端末4から受信した表示情報と,条件情報とを記憶する。
(中略)
【0032】
制御部12は,例えばCPUである。制御部12は,記憶部11に記憶されている各種プログラムを実行することにより,情報提供装置1に係る機能を制御する。制御部12は,取得部121と,装置送信部122と,装置受信部123と,選択部124とを備える。これらの機能の詳細については後述する。
(中略)
【0039】
まず,情報提供装置1の取得部121は,管理者端末4から,複数の表示情報と,当該表示情報に対応する条件情報を取得する(S1)。例えば,取得部121は,管理者端末4から,表示情報及び条件情報の登録要求を受け付けたことに応じて,表示情報及び条件情報の登録を受け付けるための受付画面を管理者端末4に表示させ,当該受付画面を介して,表示情報及び条件情報を取得する。
(中略)
【0042】
取得部121は,取得した複数の表示情報及び条件情報を記憶部11に記憶させる。
装置送信部122は,複数の通信端末群のそれぞれに,記憶部11に記憶されている複数種類の表示情報を送信する。具体的には,装置送信部122は,記憶部11に記憶されている複数の表示情報のうち,第1表示情報と,当該第1表示情報に対応する条件情報とを,第1の通信端末群に属する複数の通信端末2Aに送信する。また,装置送信部122は,記憶部11に記憶されている複数の表示情報のうち,第2表示情報と,当該第2表示情報に対応する条件情報とを,第2の通信端末群に属する通信端末2Bに送信する。」

エ 図9


オ 「【0067】
<第2の実施形態>
[アプリケーションの利用実態に応じて表示情報を選択する]
続いて,第2の実施形態に係る情報提供システムSについて説明する。第2の実施形態に係る情報提供システムSは,情報提供装置1が,ユーザのアプリケーションの利用実態に応じて,複数種類の表示情報から表示情報を選択する点で第1の実施形態に係る情報提供システムSと異なる。以下,第1の実施形態と異なる部分について説明を行う。第1の実施形態と同じ部分については適宜説明を省略する。
【0068】
図9は,第2の実施形態に係る情報提供システムSの概要を示す図である。
第2の実施形態に係る情報提供システムSにおいて,情報提供装置1は,管理者端末4から,複数の表示情報と,条件情報とを受信する(図9の(1))。
複数の通信端末2のそれぞれは,表示装置3に表示されている画面の遷移が発生したことを特定し,当該画面の遷移を示す画面遷移情報を情報提供装置1に送信する(図9の(2))。
【0069】
情報提供装置1は,複数の通信端末2のそれぞれから画面遷移情報を受信すると,受信した複数の画面遷移情報に基づいて,複数の通信端末2におけるアプリケーションの利用実態を特定し,当該利用実態に基づいて,それぞれの通信端末2に送信する表示情報を選択する(図9の(3))。
【0070】
その後,情報提供装置1は,選択された表示情報を複数の通信端末2に送信する(図9の(4))。複数の通信端末2のそれぞれは,選択された表示情報を受信すると,当該表示情報を表示装置3に表示させる。
【0071】
続いて,第2の実施形態における情報提供装置1の制御部12及び通信端末2の制御部23の具体的な機能について説明する。
第2の実施形態において,選択部124は,装置受信部123が受信した複数の画面遷移情報に基づいて,複数の通信端末2におけるアプリケーションの使用傾向を特定し,当該使用傾向に基づいて表示情報を選択する。
【0072】
具体的には,選択部124は,複数の通信端末2から受信した複数の画面遷移情報の統計情報と,一の通信端末から受信した画面遷移情報とに基づいて,当該一の通信端末2におけるアプリケーションの使用頻度が高いか否かを判定し,使用頻度が高いと判定した場合に,当該一の通信端末2に送信する表示情報を選択する。
【0073】
以下に,一の通信端末2における動画アプリケーションの使用頻度に基づいて,当該一の通信端末2に送信する表示情報を選択する例について説明する。
まず,通信端末2の特定部233は,動画アプリケーションによって表示される動画の再生時間を特定し,当該再生時間を含む画面遷移情報を生成する。そして,通信端末2の端末送信部234は,当該画面遷移情報を情報提供装置1に送信する。
【0074】
続いて,選択部124は,複数の通信端末2から受信した複数の画面遷移情報の統計情報として,単位時間(例えば,1週間)あたりの動画の再生時間を特定する。すなわち,選択部124は,複数の端末IDのそれぞれについて,画面遷移情報に含まれる動画の再生時間に基づいて,動画アプリケーションの平均利用時間を算出する。
【0075】
そして,選択部124は,一の通信端末2における,動画アプリケーションの単位時間当たりの動画の利用時間が,算出した平均利用時間よりも所定割合以上長いか否かを判定することにより,動画アプリケーションの利用頻度が高いか否かを判定する。選択部124は,動画アプリケーションの利用頻度が高いと判定すると,当該ユーザの通信端末2に表示させる表示情報として,複数の表示情報の中から,動画アプリケーションに関する特典情報が含まれている表示情報を選択する。
【0076】
例えば,選択部124は,動画アプリケーションの有料サービスを無料で利用することが可能な特典情報を含む表示情報を選択する。また,選択部124は,動画アプリケーションの利用頻度が高いと判定されなかったユーザの通信端末2に表示させる表示情報として,複数の表示情報の中から,動画アプリケーションの利用を促すメッセージを含む表示情報を選択する。
【0077】
なお,選択部124は,画面遷移情報に含まれるパッケージ名,及び切替時刻に基づいて,一の通信端末2において起動された複数のアプリケーションのそれぞれの表示画面,起動回数,起動を継続した時間,起動開始時刻及び起動日時の少なくともいずれかを特定し,特定した表示画面,起動回数,起動を継続した時間,起動開始時刻及び起動日時の少なくともいずれかに基づいて,当該一の通信端末2に送信する表示情報を選択してもよい。このようにすることで,情報提供装置1は,アプリケーションの表示画面,起動回数,起動を継続した時間,起動開始時刻及び起動日時等の組み合わせに基づいてユーザを分類し,分類されたユーザのそれぞれに適した表示情報を選択することができる。
【0078】
[第2の実施形態における効果]
以上の通り,第2の実施形態に係る情報提供装置1は,複数の通信端末2におけるアプリケーションの使用傾向を特定し,当該使用傾向に基づいて表示情報を選択する。このようにすることで,情報提供装置1は,ユーザのアプリケーションの利用状況に適した表示情報を選択することができる。」

(2)上記(1)から,引用文献1には,次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「ユーザに適した情報を提供することができる情報提供システム情報提供システムSが備える情報提供装置1であって,
情報提供装置1は,記憶部11と,制御部12とを備え,
記憶部11は,ROM,RAM及びハードディスク等の記憶媒体であり,記憶部11は,制御部12が実行するプログラムを記憶しており,また,記憶部11は,管理者端末4から受信した表示情報と,条件情報とを記憶しており,
制御部12は,記憶部11に記憶されている各種プログラムを実行することにより,情報提供装置1に係る機能を制御し,制御部12は,取得部121と,装置送信部122と,装置受信部123と,選択部124とを備えており,
取得部121は,管理者端末4から,複数の表示情報と,当該表示情報に対応する条件情報を取得し,取得した複数の表示情報及び条件情報を記憶部11に記憶させ,
装置送信部122は,複数の通信端末群のそれぞれに,記憶部11に記憶されている複数種類の表示情報を送信しており,
選択部124は,装置受信部123が受信した複数の画面遷移情報に基づいて,複数の通信端末2におけるアプリケーションの使用傾向を特定し,当該使用傾向に基づいて表示情報を選択するものであり,
具体的には,選択部124は,複数の通信端末2から受信した複数の画面遷移情報の統計情報と,一の通信端末から受信した画面遷移情報とに基づいて,当該一の通信端末2におけるアプリケーションの使用頻度が高いか否かを判定し,使用頻度が高いと判定した場合に,当該一の通信端末2に送信する表示情報を選択しており,
動画アプリケーションの利用頻度が高いと判定すると,当該ユーザの通信端末2に表示させる表示情報として,複数の表示情報の中から,動画アプリケーションに関する特典情報が含まれている表示情報を選択し,
動画アプリケーションの利用頻度が高いと判定されなかったユーザの通信端末2に表示させる表示情報として,複数の表示情報の中から,動画アプリケーションの利用を促すメッセージを含む表示情報を選択する
情報提供装置1。」

2 引用文献2

原査定の拒絶の理由にて引用された引用文献2には,図面とともに,次の記載がある。

ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は,課金サーバ,課金システム及び課金方法に関する。
【背景技術】
【0002】
データ通信サービスの需要は,時間帯や場所によって増加する場合がある。例えば,通勤時間帯における電車内,イベント会場におけるイベント開催時,災害時,および夜間の住宅街などにおいて,データ通信サービスの需要が増加する。データ通信サービスの需要が増加すると,輻輳が発生して通信が途切れがちになったり,通信データが途中で失われたり,一時的に通信不能になったりすることがある。
特許文献1に記載の帯域予約装置は,ユーザによって操作された通信端末から送信される予約情報に応じて,移動体通信システムにおける通信帯域の使用の予約を事前に受け付けることにより,予約に応じたデータ通信サービスを提供することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】 特開2015−156568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら,特許文献1に記載されるような,特定の通信端末に対して優先的に通信を行うサービス(以下,優先通信ともいう)を提供したとしても,通信の途切れや通信データの喪失,一時的な通信不能などを,必ずしも回避できるとは限らない。このような通信の途切れや通信データの喪失,一時的な通信不能などの通信品質の低下は,発生しないことが好ましい。例えば,コンテンツプロバイダが通信を介してユーザにサービスを提供する場合に,コンテンツプロバイダとの通信を行う動機をユーザに対して与える観点から,ユーザとコンテンツプロバイダとの間の通信については通信品質の低下が発生しないことが好ましい。
一方で,仮に通信品質の低下等が発生したとしても,コンテンツプロバイダとの通信を行うユーザに対して何らかの特典があれば,コンテンツプロバイダとの通信を行う動機をユーザに対して与えることができる場合がある。
【0005】
本発明は,上記の点に鑑みてなされたものであり,ユーザに対して,コンテンツプロバイダとの通信を行う動機を与えることができる課金サーバ,課金システム及び課金方法を提供することを目的とする。」

イ 図3


ウ 「【0026】
[課金サーバの構成]
次に,課金サーバ90の機能構成について,図面を参照しながら説明する。
図3は,本実施形態に係る通信システム1の課金サーバ90の機能構成を示すブロック図である。
課金サーバ90は,通信情報取得部900と,課金部91と,特典付与部92と,を含んで構成される。課金部91は,課金データ生成部911と,課金情報記憶部912と,課金実行部913と,を含んで構成される。特典付与部92は,特典付与条件取得部921と,特典付与条件記憶部922と,特典処理部923と,を含んで構成される。」

エ 図4


オ 「【0036】
次に,特典処理部923が行う判定の一例について,図4を参照して説明する。
図4は,本実施形態に係る課金サーバ90による特典付与条件の一例を示す図である。
【0037】
[特典パターン1:特定のアプリケーションが使用されたことによる特典の付与]
特典処理部923は,通信が特定のアプリケーションによって行われたか否かを判定する。具体的には,特典付与条件記憶部922には,特典対象アプリケーション情報が記憶されている。この特典対象アプリケーション情報とは,端末で動作する様々なアプリケーションのうち,特典の対象であるアプリケーションを示す情報である。この場合,ユーザURが,特典対象のアプリケーションを利用してコンテンツプロバイダCPと通信をした場合に,ユーザURに対して特典が付与される。ここで,特典対象のアプリケーションには,コンテンツプロバイダCPが提供するアプリケーションが含まれる。例えば,コンテンツプロバイダCPが動画配信事業者である場合には,特典対象のアプリケーションには,動画視聴アプリケーションが含まれる。また,例えば,コンテンツプロバイダCPが通信販売事業者である場合には,特典対象のアプリケーションには,商品選択アプリケーションが含まれる。
課金サーバ90は,コンテンツプロバイダCPが推奨するアプリケーションの利用に対して特典を付与することにより,ユーザURに対して,コンテンツプロバイダCPとの通信を行う動機を与えることができる。
なお,課金サーバ90は,コンテンツプロバイダCPが推奨するアプリケーションを利用し,更にコンテンツプロバイダCPとの間において有料の取引を行ったことに対して特典を付与してもよい。このように構成しても,課金サーバ90は,ユーザURに対して,コンテンツプロバイダCPとの通信を行う動機を与えることができる。
【0038】
[特典パターン2:特定URLに対して通信が行われたことによる特典の付与]
特典処理部923は,通信が特定のURL(Uniform Resource Locator)に対して行われたか否かを判定する。具体的には,特典付与条件記憶部922には,特典対象アクセス先情報が記憶されている。この特典対象アクセス先情報とは,様々なアクセス先のうち,特典の対象であるアクセス先を示す情報である。この場合,コンテンツプロバイダCPが提供するURLに対してユーザURがアクセスした場合に,ユーザURに対して特典が付与される。ここで,コンテンツプロバイダCPが提供するURLには,コンテンツプロバイダCPのホームページやポータルサイトのURLが含まれる。また,コンテンツプロバイダCPが提供するURLには,コンテンツプロバイダCPが提供するキャンペーン,バナー広告,コンテンツのお試し利用などのURLが含まれる。
課金サーバ90は,コンテンツプロバイダCPが推奨するURLへのアクセスに対して特典を付与することにより,ユーザURに対して,コンテンツプロバイダCPとの通信を行う動機を与えることができる。
【0039】
[特典パターン3:取引状況に応じた特典の付与]
特典処理部923は,ユーザURとコンテンツプロバイダCPとの取引状況を判定する。具体的には,特典付与条件記憶部922には,特典対象取引情報が記憶されている。この特典対象取引情報とは,ユーザURとコンテンツプロバイダCPとの取引状況のうち,特典が付与される取引状況を示す情報である。この取引状況には,ユーザURを識別するユーザID,ユーザURとコンテンツプロバイダCPとの間の取引有無,取引回数,取引頻度,日時,商品名等,などが含まれる。例えば,特典処理部923は,コンテンツプロバイダCPへのアクセスが所定回数以上ある場合に特典を付与するとしてもよい。また,特典処理部923は,通信が行われた月内に過去1回でも取引があれば特典を付与するとしてもよい。取引有無が特典の付与条件である場合,特典処理部923は,ユーザURとコンテンツプロバイダCPとの取引の有無を判定する。特典処理部923は,ユーザURとコンテンツプロバイダCPとの取引が有る場合,又は無い場合に,ユーザURに対して特典を付与する。取引が有る場合に特典を付与する場合の一例に「リピーター特典」がある。また,取引が無い場合に特典を付与する場合の一例に「新規顧客特典」がある。
また,ユーザURとコンテンツプロバイダCPとの取引状況には,ユーザURのコンテンツプロバイダCPへの会員登録処理の状況や,商品等の購入処理の状況が含まれる。特典処理部923は,例えば,ユーザURがコンテンツプロバイダCPへの新規会員登録を行った場合に,特典を付与するとしてもよい。
また,課金サーバ90は,ユーザURとコンテンツプロバイダCPとの間においてやり取りされる通信内容を受信することにより,ユーザURとコンテンツプロバイダCPとの取引状況を取得するとして説明するが,これに限られない。例えば,コンテンツプロバイダCPが,ユーザURとコンテンツプロバイダCPとの取引状況を記憶するデータベース(不図示)を備えている場合がある。この場合には,課金サーバ90は,ユーザURとコンテンツプロバイダCPとの取引状況を,コンテンツプロバイダCPのデータベースから取得してもよい。」

3 引用文献3

原査定の拒絶の理由にて引用された引用文献3には,図面とともに,次の記載がある。

ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は,携帯端末および取扱説明書表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機,PHS(Personal Handyphone System),PDA(Personal Data Assistance,Personal Digital Assistants:個人向け携帯型情報通信機器)等の携帯端末では,多機能化が進んでいる。例えば,電話機能の他に,カメラ機能,音楽再生機能等々,様々な便利な機能が実装されている携帯電話機が知られている。
【0003】
携帯端末が多機能化するにつれて,携帯端末のユーザ(以下,単に「ユーザ」と称する)は,携帯端末が有するすべての機能の操作方法を覚えることが困難になってくる。また,多くのユーザは,携帯端末の取扱説明書を携帯端末と共に持ち歩かない。このため,ユーザは,携帯端末が有する多くの機能のうち,日頃使い慣れた機能のみを使用することが多い。
【0004】
特許文献1には,携帯端末が有する多くの機能のうち,使用されていない機能の名称を,便利機能として,表示部に表示する携帯端末が記載されている。
【0005】
特許文献2には,ある機能に対するユーザの操作履歴に基づいて,その機能についての操作ガイドのうち,ユーザに必要と思われる操作ガイド部分を特定して表示する操作ガイド表示装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】 特開2001−358818号公報
【特許文献2】 特開2008−288659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
取扱説明書に記載された説明のうち,ユーザが希望する説明部分を表示することが,携帯端末に求められている。しかしながら,ユーザが希望する説明部分は,個々のユーザによって異なると考えられる。例えば,携帯端末の操作に詳しいユーザは,特定の機能のみの操作ガイド(説明)を希望する可能性が高いが,携帯端末の操作に詳しくないユーザは,すべての機能についての説明を希望する可能性がある。
【0008】
特許文献1に記載の携帯端末は,使用されていない機能の名称を表示するため,携帯端末の操作に詳しいユーザにとっては,ユーザが希望する説明部分を表示する携帯端末となる可能性が高い。しかしながら,この携帯端末は,すべての機能についての説明を希望するユーザにとっては,ユーザが希望する説明部分を表示しない携帯端末となる可能性が高い。
【0009】
また,特許文献2に記載の操作ガイド表示装置は,ユーザの操作履歴に基づいて操作ガイド部分を特定して表示する。このため,この操作ガイド表示装置は,ユーザが操作した履歴がない機能については,予め定められた操作ガイドを表示する。よって,この予め定められた操作ガイドが,互いに異なる説明内容を希望する複数のユーザ(例えば,装置の操作に詳しいユーザと,装置の操作に詳しくないユーザ)のそれぞれが希望する説明部分となる可能性は低い。
【0010】
つまり,特許文献1に記載の携帯端末および特許文献2に記載の操作ガイド表示装置は,取扱説明の表示に関するユーザの多様な要求に応えることができないという課題があった。
【0011】
本発明の目的は,上述した課題を解決可能な携帯端末および取扱説明書表示方法を提供することである。」

イ 図5(a)


ウ 「【0098】
図5(a)に示した画面2dでは,未操作フラグ“1”が付与されていない「外観図」2d1および「キー操作」2d2は,グレーアウトされている。このため,カテゴリ名がグレーアウトされているか否かにより,未使用機能(未使用項目)を有するカテゴリを見分けることが可能になる。」

4 引用文献4

原査定の拒絶の理由にて引用された引用文献4には,図面とともに,次の記載がある。

ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は,登録されている端末機器にユーザに推奨するコンテンツの情報を提供する情報提供プログラム,情報提供サーバ装置及び端末機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンやタブレットPCのような多くの携帯情報端末は,アプリケーション,動画,電子書籍等のコンテンツを,コンテンツ提供サービス(サーバ)を介して取得するようになっている。このようなコンテンツ提供サービスは,ユーザの要求によりコンテンツを送信する以外にも,ユーザに対し,おすすめ情報を提供するサービスを行っている場合が多い。このようなおすすめ情報の提供サービスは,たとえば,特許文献1に示すような配信サービスがある。
【0003】
特許文献1の新着コンテンツ配信方法は,予めユーザによって登録されている検索キーを用いてコンテンツ収集ロボットが,ウェブ上のコンテンツを検索する。そして,前記コンテンツ収集ロボットが収集したコンテンツを,データベースに保存し,最新のコンテンツの情報を登録ユーザに送信する。このとき,コンテンツ解析部が,データベースに保存したコンテンツ情報に,ユーザが登録している検索キーに基づいてユーザの嗜好に類似したコンテンツが含まれているか解析する。そして,データベースにユーザの嗜好に類似したコンテンツが含まれている場合,ユーザの嗜好に類似したコンテンツの情報も一緒にユーザに送信するようにしている。
【0004】
これにより,ユーザの嗜好にマッチしたコンテンツの情報を送信することで,ユーザは詳細に検索キーを登録しなくても,嗜好にマッチしたコンテンツの情報を取得することができる。また,ユーザが以前にダウンロードしたコンテンツに類似したコンテンツのうち,ダウンロード数の多いコンテンツを,推奨情報として送信するものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】 特開2002−297655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら,上記特許文献1の構成では,ユーザが予め登録している検索キーに基づき,ユーザの嗜好にマッチしたコンテンツの情報を提示しているが,ユーザが登録した検索キーによっては,類似するコンテンツの量が膨大になり,利便性が悪い場合がある。また,検索キーの登録から長い時間がたっている場合,現在のユーザの嗜好とは異なるコンテンツの情報が送信され,ユーザの利便性が悪い場合がある。
【0007】
さらに,ユーザがダウンロードしたコンテンツと類似のコンテンツでダウンロード数の多いコンテンツの情報を推奨情報とするものの場合,すでに所有しているコンテンツと類似したコンテンツであるため,有益ではないコンテンツである場合が多い。例えば,コンテンツがアプリケーションの場合,ダウンロードしているアプリケーションと同種のアプリケーションの情報を提供されても,ユーザにとって有益な情報にならない場合がある。
【0008】
この発明は,上記のような課題を解決するためになされたものであり,この発明の1つの目的は,ユーザにとって有益なコンテンツの情報を提供する情報提供サーバ装置,情報提供サーバ装置から情報を取得する端末機器及び情報提供プログラムを提供することである。」

イ 図8


ウ 「【0071】
次に,サーバ装置1による推奨アプリの情報の送信手順について図面を参照して説明する。図8は本発明にかかる情報提供サーバ装置による推奨アプリの情報の提供手順を示すフローチャートであり,図9は利用情報データベースの他の例を示す図である。図8に示すように,サーバ装置1は,登録されているスマートフォン2に対してアプリの利用情報の要求を発信する(ステップS21)。なお,図示はしていないが,利用情報要求の送信は定期的に行われる。また,図8に示す推奨アプリの情報の提供手順は,任意のアカウントに対し,推奨アプリを選出し,その推奨アプリの情報を提供するものである。そして,任意のアカウントを入れ替えることで,登録されている全て又は略全てのアカウントに対して推奨する推奨アプリを選出できる。
【0072】
サーバ装置1の中央処理部3は,登録されているアカウントのスマートフォン2からのアプリの利用情報を取得したかどうか確認する(ステップS22)。利用情報を取得していない場合(ステップS22でNoの場合),スマートフォン2がネットワーク100に接続されていない可能性もあるので,アプリの利用情報の要求を行う(ステップS21)。
【0073】
スマートフォン2からの利用情報を取得した場合(ステップS22でYesの場合),情報管理部32が利用情報データベースDp1に利用情報を追加記録する(ステップS23)。なお,スマートフォン2からの利用情報は,一定以上の利用度のアプリの情報が送信されるため,利用情報データベースDp1は,一定の利用度以上のアプリが登録されていることになる。
【0074】
そして,コンテンツ選出部33は,利用情報データベースDp1を参照し,複数のアカウントで利用されているアプリを特定する(ステップS24)。例えば,図4に示す利用情報データベースDp1を参照すると,アカウントAcc1のスマートフォン2では,アプリAp1,アプリAp2,アプリAp3が多く利用されていることがわかる。また,同様に図9に示す利用情報データベースDp1を参照するとアカウントAcc2のスマートフォン2では,アプリAp2,Ap4,Ap5が多く利用されていることがわかる。つまり,アプリAp2は,アカウントAcc1とアカウントAcc2の複数のアカウントで利用されていることがわかり,アプリAp2を複数のアカウントで利用されているアプリとして特定する。
【0075】
このようにして,複数のアカウントが利用しているアプリが特定されると,コンテンツ情報抽出部34がその特定されたアプリの情報(ジャンル,作者,容量)をコンテンツ保持部41に保持されているアプリより抽出する(ステップS25)。図5に示すように,アプリAp1,アプリAp2,アプリAp4,アプリAp5が複数のアカウントで利用されているアプリであり,このアプリの情報(ジャンル,作者,容量)を抽出する。そして,これらの情報を,コンテンツデータベースDc1の各データフィールドに記録する(ステップS26)。
【0076】
そして,コンテンツ選出部33は,コンテンツデータベースDc1を参照し,任意のアカウントが利用しているアプリを利用している他のアカウントを抽出する(ステップS27)。そして,コンテンツ選出部33は,他のアカウントが利用しているアプリで任意のアカウントが利用していないアプリを選出する(ステップS28)。
【0077】
例えば,任意のアカウントをアカウントAcc1とすると,図5に示すように,任意のアカウントAcc1が利用しているコンテンツAp2を利用しているアカウントはAcc2,Acc6がいることがわかる。このアカウントAcc2,Acc6が他のアカウントである。そして,コンテンツ選出部33が,この他のアカウントAcc2,Acc6が利用していて,アカウントAcc1が利用していないコンテンツ,すなわち,コンテンツAp4,Ap5を選出する。
【0078】
そして,コンテンツ情報送信部35は,コンテンツデータベースDc1を参照し,選出したアプリの情報を対応するアカウントのスマートフォン2に対して送信する(ステップS29)。例えば,任意のアカウントであるアカウントAcc1のスマートフォン2に,アプリAp4,Ap5の情報を送信する。
【0079】
このように,サーバ装置1が一定以上の利用度(例えば,利用頻度,時間で表される)アプリを取得し,任意のアカウントの使用者と同じアプリを利用している他のアカウントの使用者は,アプリに対する嗜好,要求が似ているものと考えることができる。そして,同じアプリを利用している他のアカウントが利用しているアプリで任意のアカウントが利用していないアプリの情報をそのアカウントに提供することで,使用者の嗜好,ニーズに高度に合致した推奨アプリの情報を提供することができる。
【0080】
(第2実施形態)
図8に示す推奨アプリの提供手順では,同じアプリを利用している他のアカウントが利用しているアプリで,未使用のアプリの情報を送信する構成となっていた。この構成でも,使用者の嗜好や要求に合致するアプリの情報を提供することが可能である。」

5 引用文献5

原査定の拒絶の理由にて引用された引用文献5には,図面とともに,次の記載がある。

ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は,ユーザに操作を習得させるための操作ガイドを実行する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機やスマートフォンなどの情報処理装置では,例えばインストールされたアプリケーションプログラムの数が増加すると,それに伴い,ユーザの操作に応じて実現可能な機能の数も増加する。また,情報処理装置において各機能を実現する操作の操作方法も様々である。例えばタッチパネルディスプレイを有している情報処理装置では,いわゆるピンチイン操作(2本の指を画面上に載せてその間隔を縮める動作による操作)やピンチアウト操作(2本の指を画面上に載せて指と指の間を広げる動作による操作),フリック操作(画面上で指を滑らせる操作)などと呼ばれる操作に対応しており,実現される機能が操作に応じて異なることもある。このような理由により,情報処理装置を利用するユーザにとっては,情報処理装置でどのような機能を実現可能であり,また,各機能を実現させるためにどのような操作を行うべきか,ということを正確に理解するのが難しいことがある。汎用の情報処理装置は,不特定多数のユーザに利用されることを想定して設計されているため,個々のユーザにしてみれば,自身にとって必要な機能とそうではない機能とが混在して情報処理装置に実装されていることも少なくない。よって,ユーザは,説明書を見たりヘルプ機能を利用したりして機能と操作との関係を理解し,自身が利用したい機能を選んで必要な操作を習得する。情報処理装置の操作の習得に関するユーザの負担を軽減できるように,ユーザの操作の習熟度や情報処理装置の利用意図を基に支援を行う技術が,例えば特許文献1から特許文献3に開示されている。
【0003】
特許文献1は,多様な機能の存在の教示による機能活用率を向上させるべく,起動回数がより少ない機能を優先させて,機能に関してユーザに教示することを開示している。特許文献2は,ユーザの一連の操作履歴を基に,ユーザによる装置の利用目的を推定し,更に操作方法や操作内容を推定して,適切な操作ガイドをユーザに対して行うことを開示している。特許文献3は,画面に表示される個々の機能の説明文に含まれる文字と,個々の機能に対し付与された機能表現名とを比較することにより,ユーザの操作意図を推定し,適切なガイドをユーザに提示することを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】 特開2004−289210号公報
【特許文献2】再表2008−26566号公報
【特許文献3】再表2008−56548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところでタッチパネルディスプレイを採用した情報処理装置には,アイコンやウィジェット等の選択対象のオブジェクトに入力フォーカスが与えられた状態にはならないものがある。この種の情報処理装置では,入力フォーカスが与えられたオブジェクトを基にユーザの操作意図を推定することができない。このように,操作意図の推定精度が情報処理装置の操作手段に大きく依存する場合がある。このような場合であっても,情報処理装置が積極的に機能を提示すれば,操作手段(操作意図の推定精度)によらないで,いずれはユーザが望む機能を提示できるようになる。しかしながら,ユーザが操作の習得を望んでいないような場面で操作ガイドに関する表示があると,ユーザがその表示を煩わしく感じてしまい,情報処理装置がユーザにとって使いづらいものとなるおそれがある。
そこで,本発明は,機能を実現させる操作のユーザの習得意欲に配慮して操作ガイドを実行することを目的とする。」

イ 図3


ウ 「【0020】
<機能DB151の構成>
図3は,機能DB151の構成を示す図である。図3に示すように,機能DB151は,機能IDと,機能名称と,推奨情報と,操作ガイド情報と,実現アプリIDと,実現画面IDと,機能特徴量と,低利用機能フラグと,推奨情報提示フラグと,操作ガイド実行フラグと,実行フラグ変更時刻と,操作ガイド即時実行フラグという各情報を対応付けて格納したデータベースである。機能IDは,情報処理装置10で実現可能な機能を識別する識別情報である。機能DB151には,機能IDが示す各機能に対応して前掲の各情報が格納される。
(中略)
【0022】
図3の説明に戻る。
低利用機能フラグは,情報処理装置10において機能が実現された(つまり,ユーザに機能が利用された)頻度が低いか否かを示す情報である。本実施形態の低利用機能は,機能DB151において低利用機能フラグが「True」とされた機能であり,例えば予め決められた期間(例えば,3ヶ月)継続して情報処理装置10で実現されていない機能である。低利用機能は,ユーザがその存在を知らなかったり,実現させる操作をユーザが知らなかったりする可能性が,他の機能よりも高いと考えられる。それ以外の機能は低利用機能ではないから,低利用機能フラグが「False」とされる。推奨情報提示フラグは,推奨情報が示す内容が提示対象(つまり,推奨機能としての提示対象)となっているか否かを示す情報である。推奨情報が示す内容が提示対象となっている機能については,推奨情報提示フラグが「True」とされ,推奨情報が示す内容が提示対象となっていない機能については,推奨情報提示フラグが「False」とされる。操作ガイド実行フラグは,操作ガイドが実行対象となっているか否かを示す情報である。操作ガイドが実行対象となっている機能については,操作ガイド実行フラグが「True」とされ,操作ガイドが実行対象となっていない機能については,操作ガイド実行フラグが「False」とされる。実行フラグ変更日時は,操作ガイド実行フラグが「False」から「True」に変更させられた日時を示す情報である。操作ガイド即時実行フラグは,操作ガイドを即時(すぐに)実行する対象となっているか否かを示す情報である。操作ガイドが即時の実行対象になっている機能ついては,操作ガイド即時実行フラグが「True」とされ,操作ガイドが即時の実行対象になっていない機能については,操作ガイド即時実行フラグが「False」とされる。
図3に示すように機能DB151において,低利用機能フラグの初期値は「True」であり,推奨情報提示フラグ,操作ガイド実行フラグ及び操作ガイド即時実行フラグの初期値はいずれも「False」である。また,操作ガイド実行フラグが「False」のときには,実行フラグ変更日時はブランクである。」

エ 「【0034】
<1.新たな推奨機能の提示>
まず,情報処理装置10が新たな推奨機能を提示する際の動作を説明する。ここでは,情報処理装置10の制御部11はホームアプリケーションを予め実行していて,図2に示すホーム画面SCをUI部14に表示させているものとする。
【0035】
制御部11は,推奨機能を提示するか否かを判断する(図7のステップSa1)。制御部11は,図2に示すホーム画面SCにおいて別の情報(例えば,交通情報等の情報を記したポップアップ画面など)を表示させていない場合に,例えば所定周期毎に又は所定期間継続してユーザの操作を受け付けなかったときには,推奨機能を提示すると判断する。これ以外にも,制御部11は,操作ガイドを契機に推奨機能を実現する操作を受け付けた場合にも,推奨機能を提示すると判断するが,この内容については後で説明する。
なお,制御部11が推奨機能を提示しないと判断した場合は(ステップSa1;NO),ステップSa17の処理に進み,操作ガイドに関する操作ガイド制御を実行するが,この内容についても後で説明する。
【0036】
制御部11は,ステップSa1の処理で「YES」と判断すると,要求元アプリID及び要求元画面IDを,実行状態管理テーブル152から取得する(ステップSa2)。ここにおいて,制御部11は,図4に示す実行状態管理テーブル152から,要求元アプリID「com.XXX.homeApp」と要求元画面ID「.launcher」とを取得する。これにより,制御部11は,推奨機能の提示の要求元がホームアプリケーションで,かつ,推奨機能の提示の要求元の表示画面がホーム画面SCと特定する。
【0037】
次に,制御部11は,UI部14に表示させている画面がホーム画面であるか否かを判断する(ステップSa3)。制御部11は,実行状態管理テーブル152における実行中アプリID及び表示中画面IDにより,ホーム画面を表示させているか否かを判断する。ここでは,実行中アプリIDが「com.XXX.homeApp」で,表示中画面IDが「.launcher」であるから,制御部11はステップSa3の処理で「YES」と判断して,ステップSa4の処理に進む。
なお,仮に,制御部11がホームアプリケーションとともに別のアプリケーションプログラムを実行していて,ホーム画面と異なる画面をUI部14に表示させている場合には,ステップSa3の処理では「NO」と判断することとなる。
【0038】
次に,制御部11は,リマインド提示するか否かを判断する(ステップSa4)。リマインド提示は,既に提示した推奨機能についてユーザが操作ガイドの実行を指示したものの,操作ガイドの実行が所定期間経過してもなかった場合に,再び同じ推奨機能を提示する処理である。リマインド提示は,ユーザに推奨機能を思い出させる(いわゆるリマインドする)ことを目的とした処理であるが,その処理の詳細については後述する。制御部11は,機能DB151において,ガイド実行フラグが「True」で,かつ,実行フラグ変更時刻から所定期間が経過した推奨機能が1つでも存在する場合には,ステップSa5の処理でリマインド提示を行うと判断する。この所定期間は予め決められた長さの期間であればよい。
【0039】
ここではリマインド提示の対象となる推奨機能がないから,制御部11はステップSa4の処理で「NO」と判断して,ステップSa8の処理に進む。次に,制御部11は,UI部14において提示中の推奨機能を所定期間継続して提示したか否かを判断する(ステップSa8)。制御部11は,未だ推奨機能を提示していないから,ステップSa8の処理で「NO」と判断し,ステップSa10の処理に進む。
【0040】
次に,制御部11は,新たな推奨機能を提示するか否かを判断する(ステップSa10)。制御部11は,リマインド提示せず,かつ,提示中の推奨機能がない場合には,低利用機能のいずれかを推奨機能として提示するとし,ステップSa10の処理で「YES」と判断する。次に,制御部11は,機能DB151から低利用機能を特定する(ステップSa9)。ここでは,制御部11は,機能DB151に機能IDが格納されたすべての機能を対象として,低利用フラグが「True」となっている低利用機能を特定する。
次に,制御部11は,第1機能決定処理を実行する(ステップSa6)。第1機能決定処理は,ホーム画面において提示する推奨機能を決定する処理である。
【0041】
図9は,第1機能決定処理の手順を示すフローチャートである。
制御部11は,ステップSa9の処理で低利用機能を1以上特定したか否かを判断する(ステップSa61)。ここでは,制御部11はステップSa61の処理で「YES」と判断し,ステップSa62の処理に進む。
【0042】
次に,制御部11は,ステップSa9の処理で特定した低利用機能の推奨度をそれぞれ算出する(ステップSa62)。ここでは,制御部11は,低利用機能の推奨度を,機能特徴量と嗜好特徴量とにより以下の手順で算出する。ここで,i番目に特定したアプリケーションプログラムにより実現されるj番目の機能における推奨度をSijとした場合,推奨度Sijは下記式(1)の関係を満たす。
Sij=wip・fij ・・・(1)
【0043】
ここで,wiはi番目に特定したアプリケーションプログラムに対する重み付け係数である。pは嗜好特徴量を表す特徴ベクトルである。fijはi番目に特定したアプリケーションプログラムにより実現されるj番目の機能の機能特徴量を表す特徴ベクトルである。「・」は内積を意味する。重み付け係数wiは下記式(2)の関係を満たす。
wi=αlog(1+invi)+βlog(1+time_usedi/(time_installedi)+θ ・・・(2)
【0044】
ここで,inviは,i番目に特定したアプリケーションプログラムの起動回数(回)である。time_usediは,i番目に特定したアプリケーションプログラムの実行時間(秒)である。time_installediは,i番目に特定したアプリケーションプログラムがインストールされてからの経過時間(秒)である。経過時間は,現在日時とインストール日時との差分に相当する時間である。α,βは,それぞれ定数である。θは,i番目に特定したアプリケーションプログラムが情報処理装置10において直前に実行されたアプリケーションプログラムである場合には0よりも大きい定数となり,直前に実行されたアプリケーションプログラムでない場合には0となる。制御部11は,嗜好特徴量を表す特徴ベクトルpを実行状態管理テーブル152から取得し,機能特徴量を表す特徴ベクトルfijを機能DB151から取得する。制御部11は,inviやtime_installediを利用実績DB]153から取得する。また,制御部11は,実行状態管理テーブル152の直前実行アプリIDを参照して,直前に実行したアプリケーションプログラムを特定する。
【0045】
これにより,重み付け係数wiは,実行頻度が高いアプリケーションプログラムや直前に実行されたアプリケーションプログラムによって実現される機能ほど大きな値を採ることとなる。そして,重み付け係数wiが大きいほど推奨度は高くなる。このようにしているのは,実行頻度が高いアプリケーションプログラムで実現される機能が推奨機能として提示される方が,それ以外のアプリケーションプログラムで実現される機能が推奨される場合に比べて,ユーザにとって有益な操作ガイドを実行できる可能性が高まるからである。
【0046】
制御部11は,ステップSa62の処理で算出した推奨度に基づき,最大の推奨度が推奨閾値を上回るか否かを判断する(ステップSa63)。制御部11は,ステップSa63の処理で「YES」と判断すると,推奨度が最大であった機能を提示対象の推奨機能に決定する(ステップSa64)。すなわち,制御部11は,推奨度が推奨閾値を上回った機能を推奨機能の候補とする。
なお,制御部11は,ステップSa61の処理で機能を1つも特定しなかったと判断した場合(ステップSa61;NO),又はステップSa63の処理で最大の推奨度が推奨閾値を上回らなかった場合には(ステップSa63;NO),提示対象の推奨機能を決定しないで,第1機能決定処理を終了する。
以上が第1機能決定処理の説明である。
【0047】
図7の説明に戻る。
制御部11は,ステップSa64の処理で提示対象として決定した推奨機能を,UI部14のホーム画面において提示する(ステップSa7)。ステップSa64の処理で,「ショートカット作成機能」を決定していた場合,制御部11は,図13に示すホーム画面SC1をUI部14に表示させる。具体的には,制御部11は,機能名称に基づく「ショートカット作成機能を試してみませんか?」というメッセージと,推奨情報に基づく「アプリケーションの・・・好きな場所にアイコンを置くことができます。」というメッセージとを配置したウィンドウW1をホーム画面SC1において表示させる。さらに,制御部11は,ウィンドウW1において,「すぐ試す」と記したソフトボタンSB1と,「後で」と記したソフトボタンSB2と,「不要」と記したソフトボタンSB3とを表示させる。
このようにして,制御部11は,UI部14により推奨機能を提示する。」

6 引用文献6

原査定の拒絶の理由にて引用された引用文献6には,図面とともに,次の記載がある。

ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は,情報処理システム,および情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日において,位置情報サービスとSNS(ソーシャルネットワークサービス)とを組み合わせたサービスを提供する「フォースクエア(foursquare(登録商標))」と呼ばれるアプリケーションプログラムが知られている。
【0003】
このフォースクエアのアプリケーションプログラム(以下,FSAPという)を利用する場合,利用者は,自分の携帯端末装置にFSAPをインストールし,インターネット上のフォースクエアのサーバ装置に対して利用者登録を行う。
【0004】
次に,利用者は,所望の場所でFSAPを起動する。携帯端末装置の制御部(CPU)は,起動したFSAPに従って,インターネット上のフォースクエアのサーバ装置と通信を行い,利用者の現在位置に対応して予め登録されている「ベニュー」と呼ばれる場所情報を取得し,表示部に一覧表示する。このベニューは,多くの場合,現在位置から所定の地理的範囲内に存在する店舗,観光地等の情報となる。
【0005】
利用者により,ベニューの一覧の中から所望のベニューが選択操作されると,携帯端末装置の制御部(CPU)は,選択されたベニューの住所,電話番号,地図等の詳細情報をフォースクエアのサーバ装置から取得し,表示部に表示する。利用者は,このような詳細情報の表示等を行いながら,選択中のベニューが所望のベニューであるか否かを確認する。そして,利用者は,選択中のベニューが,自分が希望するベニューである場合に,表示画面上のチェックインボタンを操作する。
【0006】
チェックインボタンが操作されると,携帯端末装置のCPUは,利用者により選択されたベニューを示す情報を,利用者登録情報と共に,フォースクエアのサーバ装置に送信する。フォースクエアのサーバ装置は,利用者により選択されたベニューの情報を,利用者登録情報に関連付けてデータベースに記憶する。
【0007】
フォースクエアのサーバ装置は,各ベニューに対するチェックイン回数を利用者毎にカウントしており,例えば各ベニューに対するチェックイン回数に応じて,利用者に対してバッジを付与する。このバッジは,金属等で形成されたバッジを模した画像であり,付与された利用者の携帯端末装置の表示部に表示される。
【0008】
また,フォースクエアのサーバ装置は,ベニュー毎に,チェックイン回数が最も多い利用者を,そのベニューのメイヤー(市長)として認定する。フォースクエアのサーバ装置は,メイヤーに認定した利用者の情報を,上述の詳細情報に含めて送信することで,他の利用者に紹介する。
【0009】
また,フォースクエアは,他の利用者のチェックイン状況を確認することができる。そして,チェックイン中の他の利用者に対して,メール等でコミュニケーションを図ることともできる。
【0010】
このようなフォースクエアの場合,利用者は,ベニューに対するチェックイン回数を多くすることで,バッジまたはメイヤーの称号等の名誉的な利益を得ることができる。また,ベニューの店舗等は,バッジまたはメイヤーの称号等を目的とする利用者およびメール等のコミュニケーションによる紹介で訪れた利用者が店舗を利用することで,金銭的利益を得ることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし,ベニューを訪れる利用者は,そのベニューの店舗の利用を目的としているわけではなく,そのベニューに対するチェックイン回数を増やすことを目的としている。このため,ベニューを訪れた利用者が,必ずしも店舗の売り上げに貢献するとは限らない。
【0012】
すなわち,チェックイン回数を増やすことのみが目的である利用者は,ベニューを訪れて,店舗を利用することなくチェックインすることも可能である。この場合でも,フォースクエアのサーバ装置でチェックイン回数がインクリメントされるため,利用者にとって利益はあるが,店舗にとっては,利用者に利用されないことで金銭的利益が得られない。
【0013】
これは,フォースクエアのシステムが,サーバ装置で利用者のチェックイン回数をカウントするシステムだからである。ベニューを訪れた利用者が,店舗を利用しないのであれば,店舗側は利益を得ることは困難となる。このようなことから,フォースクエアのシステムは,店舗側にとって導入しづらいシステムとなっていた。
【0014】
本発明は,上述の課題に鑑みてなされたものであり,利用者および利用者が訪れる各場所の店舗等の双方のシステム導入を促進可能な情報処理システム,および情報処理方法の提供を目的とする。」

イ 図14


ウ 「【0060】
表示モードは,店舗の利用者の携帯端末装置2に表示される店舗情報の表示形態を示す。データベースには,店舗情報の表示形態が,表示モード番号で登録されている。図14は,店舗情報の表示形態を示すモード番号表である。店舗側の担当者は,店舗情報の編集時等に,自店舗が希望する表示形態に対応する表示モード番号を,図14に示すモード番号表を参照して指定する。例えば,自店舗の全ての利用者を取得ポイントが多い順に全員表示する場合,「1」の表示モード番号を指定する。また,自店舗の利用回数が多い5人の利用者と共に,本人を表示する場合,「2」の表示モード番号を指定する。また,自店舗の利用回数が多い全ての利用者を順に表示する場合,「3」の表示モード番号を指定する。また,自店舗の取得ポイントが多い5人の利用者と共に,本人を表示する場合,「4」の表示モード番号を指定する。
【0061】
平均予算(ポイント)は,店舗側がレジスタ装置3で「平均予算=総売り上げ÷利用者数」,または,「平均付与ポイント=総発行ポイント数÷利用者数」の演算を行い,この演算結果をサーバ装置1に登録したものである。
【0062】
このような第1の実施の形態のコミュニケーションシステムは,以下の効果を得ることができる。
【0063】
取得ポイントに応じてメイヤー等の名誉的な利益を与えることで,各利用者は,ポイントの取得を目的として店舗に来店する。店舗では,実際に商品を購入,またはサービスの提供を受けた利用者に対してのみ,ポイントを付与する。このため,利用者は,必ず店舗で商品等を購入することとなり,確実に売り上げを上げることができる。従って,利用者は上述の名誉的な利益を得ることができ,店舗側は確実に売り上げを上げることができ,利用者および店舗の双方のシステム導入を促進可能なコミュニケーションシステムを提供することができる。
【0064】
また,図14を用いて説明したように,取得ポイント数の多い他の利用者と共に,本人の取得ポイント数を表示することで,本人である利用者は,自分が常連客ランキングのどの位置にいるのか認識することができる。なお,常連客ランキングの位置に応じて,ボーナス等の名目で利用者にポイントを付与してもよい。また,利用者は,所望の店舗に来店して商品を購入し,レシートに印刷された二次元コードを撮像して,サーバ装置1に送信するだけで一連の動作は完結する。また,実名やプロフィール写真は不要である。このため,簡単かつ安全なコミュニケーションシステムを提供できる。」

第5 対比・判断

1 本願発明1について

(1)対比

本願発明1と引用発明とを対比すると,以下のとおりとなる。

引用発明は,「ユーザに適した情報を提供することができる情報提供システム情報提供システムSが備える情報提供装置1であって,」「取得部121は,管理者端末4から,複数の表示情報と,当該表示情報に対応する条件情報を取得し,取得した複数の表示情報及び条件情報を記憶部11に記憶させ,装置送信部122は,複数の通信端末群のそれぞれに,記憶部11に記憶されている複数種類の表示情報を送信しており,」「選択部124は,装置受信部123が受信した複数の画面遷移情報に基づいて,複数の通信端末2におけるアプリケーションの使用傾向を特定し,当該使用傾向に基づいて表示情報を選択するものであり,具体的には,選択部124は,複数の通信端末2から受信した複数の画面遷移情報の統計情報と,一の通信端末から受信した画面遷移情報とに基づいて,当該一の通信端末2におけるアプリケーションの使用頻度が高いか否かを判定し,使用頻度が高いと判定した場合に,当該一の通信端末2に送信する表示情報を選択しており,動画アプリケーションの利用頻度が高いと判定すると,当該ユーザの通信端末2に表示させる表示情報として,複数の表示情報の中から,動画アプリケーションに関する特典情報が含まれている表示情報を選択」しているとされている。

ここで,引用発明の「取得部121は,管理者端末4から,」「通信端末2に送信する表示情報を」「取得し」ているから,本願発明1と同様に,(通信端末2に)「提供される」「情報を取得」しているといえる。

また,引用発明の「装置送信部122は,複数の通信端末群のそれぞれに,」「ユーザの通信端末2に表示させる表示情報として」「送信して」いるから,本願発明1と同様に,「前記」「情報を,」「利用者に提供」しているといえる。

したがって,本願発明1と引用発明とは,「提供される」「情報を取得する取得部と,」「前記」「情報を,」「利用者に提供する提供部とを有し」ている「提供装置」である点で共通しているといえる。

しかし,本願発明1では,「提供装置」が取得する情報が「電子商店街において提供される機能を示す機能情報」であり,「当該機能情報が示す機能を前記電子商店街において利用した場合にインセンティブが提供される対象となる機能を示す機能情報」であるのに対して,引用発明では,「電子商店街において提供される機能を示す機能情報」でなく,「当該機能情報が示す機能を前記電子商店街において利用した場合にインセンティブが提供される対象となる機能を示す機能情報」でもない点で相違している。

また,本願発明1では,「提供部」が「前記機能情報のうち,前記利用者が利用済みの機能を,当該利用者とは異なる利用者であって,前記電子商店街における利用態様が所定の条件を満たす利用者である先行利用者が利用していた場合に,前記利用者が利用済みの機能を含まない当該先行利用者が利用した機能を示す機能情報であって,当該利用者が利用済みの機能を当該先行利用者が利用していたタイミングに基づく所定の条件を満たす機能情報を,インセンティブが提供される対象となる機能を示す前記機能情報として,当該利用者に対して提供」しているのに対して,引用発明では,そのように提供していない点で相違している。

(2)一致点・相違点

本願発明1と,引用発明とは,以下アの点で一致し,以下イの点で相違する。

ア 一致点

「提供される情報を取得する取得部と,
前記情報を,利用者に提供する提供部と
を有する提供装置。」

イ 相違点

(ア) 相違点1

本願発明1では,「提供装置」が取得する情報が「電子商店街において提供される機能を示す機能情報」であり,「当該機能情報が示す機能を前記電子商店街において利用した場合にインセンティブが提供される対象となる機能を示す機能情報」であるのに対して,引用発明では,「電子商店街において提供される機能を示す機能情報」でなく,「当該機能情報が示す機能を前記電子商店街において利用した場合にインセンティブが提供される対象となる機能を示す機能情報」でもない点。

(イ) 相違点2

本願発明1では,「提供部」が「前記機能情報のうち,前記利用者が利用済みの機能を,当該利用者とは異なる利用者であって,前記電子商店街における利用態様が所定の条件を満たす利用者である先行利用者が利用していた場合に,前記利用者が利用済みの機能を含まない当該先行利用者が利用した機能を示す機能情報であって,当該利用者が利用済みの機能を当該先行利用者が利用していたタイミングに基づく所定の条件を満たす機能情報を,インセンティブが提供される対象となる機能を示す前記機能情報として,当該利用者に対して提供」しているのに対して,引用発明では,そのように提供していない点。

(3)相違点についての判断

事案に鑑みて,まず,相違点2について検討する。

本願発明1の相違点2に係る構成の,特に,「前記利用者が利用済みの機能を,当該利用者とは異なる利用者であって,前記電子商店街における利用態様が所定の条件を満たす利用者である先行利用者が利用していた場合に,前記利用者が利用済みの機能を含まない当該先行利用者が利用した機能を示す機能情報であって,当該利用者が利用済みの機能を当該先行利用者が利用していたタイミングに基づく所定の条件を満たす機能情報を」提供するという構成について,引用文献1ないし6には,記載も示唆も無く,当該構成が周知であったとも認められない。

特に,原査定の引用文献3には,未使用機能を判別可能に表示することが開示されており,引用文献4には,他の利用者(先行利用者)が利用しているアプリであって,利用者が使用していないアプリの情報を提供することが開示されているものの,いずれにも,「先行利用者が利用していたタイミングに基づく所定の条件を満たす」ように提供する構成は開示されていない。

したがって,引用発明に基づいて,当業者は本願発明1の相違点2に係る構成を容易に想到することができない。

エ 小括

したがって,上記相違点1について判断するまでもなく,本願発明1は,引用発明および引用文献2ないし6に基づいて,当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

2 本願発明2ないし本願発明14について

本願発明2ないし本願発明14は,いずれも,本願発明1を減縮したものであって,本願発明1と同一の構成を備えるものであるから,本願発明1と同じ理由により,引用発明および引用文献2ないし6に基づいて,当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

3 本願発明15について

本願発明15は,概ね,本願発明1の発明のカテゴリを,単に,装置の発明から方法の発明へと変更したものであり,上記相違点2に係る構成と同様の以下の構成を備えているから,本願発明1と同様に,引用発明および引用文献2ないし6に基づいて,当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

「前記提供工程は,
前記機能情報のうち,前記利用者が利用済みの機能を,当該利用者とは異なる利用者であって,前記電子商店街における利用態様が所定の条件を満たす利用者である先行利用者が利用していた場合に,前記利用者が利用済みの機能を含まない当該先行利用者が利用した機能を示す機能情報であって,当該利用者が利用済みの機能を当該先行利用者が利用していたタイミングに基づく所定の条件を満たす機能情報を,インセンティブが提供される対象となる機能を示す前記機能情報として,当該利用者に対して提供する」

4 本願発明16について

本願発明16は,概ね,本願発明1の発明のカテゴリを,単に,装置の発明からプログラムの発明へと変更したものであり,上記相違点2に係る構成と同様の以下の構成を備えているから,本願発明1と同様に,引用発明および引用文献2ないし6に基づいて,当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

「前記提供手順は,
前記機能情報のうち,前記利用者が利用済みの機能を,当該利用者とは異なる利用者であって,前記電子商店街における利用態様が所定の条件を満たす利用者である先行利用者が利用していた場合に,前記利用者が利用済みの機能を含まない当該先行利用者が利用した機能を示す機能情報であって,当該利用者が利用済みの機能を当該先行利用者が利用していたタイミングに基づく所定の条件を満たす機能情報を,インセンティブが提供される対象となる機能を示す前記機能情報として,当該利用者に対して提供する」

第6 原査定についての判断

令和4年7月14日提出の手続補正書による補正の結果,本願発明1〜16はそれぞれ,相違点1および2に係る発明特定事項又はそれらに対応する発明特定事項を有するものとなっており,上記第5のとおり,引用発明および引用文献2ないし6に基づいて,当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

したがって,原査定を維持することはできない。

第7 当審拒絶理由について

1 当審拒絶理由の概要

当審が令和4年4月19日付けで通知した当審拒絶理由の概要は次のとおりである。

(1)理由1(明確性

この出願は,特許請求の範囲の記載が下記アおよびイの点で,特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

ア 請求項1には「前記機能情報のうち、前記利用者が利用済みの機能を、当該利用者とは異なる利用者であって、前記電子商店街における利用態様が所定の条件を満たす利用者である先行利用者が利用していた場合に、当該先行利用者が利用した機能を示す機能情報であって、当該利用者が利用済みの機能を当該先行利用者が利用していたタイミングに基づく所定の条件を満たす機能情報を、当該利用者に対して提供する」と記載され、「前記利用者が利用済みの機能」と「当該先行利用者が利用した機能」が規定されているところ、これらの関係は規定されていない。これらは、同じ機能であるのか、異なる機能であるのか、同じ機能と異なる機能を含む機能であるのか、特定できない。
したがって、請求項1に記載された「提供部」により提供する「機能情報」が不明りょうである。

請求項1を引用する請求項2−14についても同じことが指摘される。
発明のカテゴリーが異なる請求項15−16についても同様の記載があり、同じことが指摘される。

イ 請求項1には「前記機能情報を、当該機能情報が示す機能を前記電子商店街において利用した場合にインセンティブが提供される対象となる機能を示す機能情報として、利用者に提供する提供部」と記載されているところ、該提供部に関して、「前記機能情報のうち、前記利用者が利用済みの機能を、当該利用者とは異なる利用者であって、前記電子商店街における利用態様が所定の条件を満たす利用者である先行利用者が利用していた場合に、当該先行利用者が利用した機能を示す機能情報であって、当該利用者が利用済みの機能を当該先行利用者が利用していたタイミングに基づく所定の条件を満たす機能情報を、当該利用者に対して提供する」と規定されているものの、提供部が提供する、該「機能情報」が「インセンティブが提供される対象となる機能」であるのか否か特定できない。 したがって、請求項1に記載された「提供部」が提供する「機能情報」が不明りょうである。

請求項1を引用する請求項2−14についても同じことが指摘される。
発明のカテゴリーが異なる請求項15−16についても同様の記載があり、同じことが指摘される。

ウ よって、請求項1−16に係る発明は明確でない。

(2)理由2(サポート要件)

この出願は,特許請求の範囲の記載が,特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

本願明細書の段落【0004】に記載の「近年、電子商店街に関するサービスの多様化に伴い、様々な内容のサービスが利用者に対して提供されている。しかしながら、上述した技術では、単に購買に応じた特典を提供しているに過ぎないため、サービスの存在を利用者に報知することができず、サービスを介した販売機会の損失を招く恐れがある。従って、電子商店街の利用をさらに促進させる余地がある。」との発明が解決しようとする課題によれば、本願発明の課題は、機能の存在を知らない利用者に報知することと認められる。すなわち、本願発明は、利用者が知らない(利用済みではない)機能を報知することで、電子商店街の利用をさらに促進させるものと認められる。

一方、提供する機能情報に関し、請求項1には「当該先行利用者が利用した機能を示す機能情報であって」と記載されているところ、上記(1)のとおり「利用者が利用済みの機能」との関係が規定されていないから、該「当該先行利用者が利用した機能」には「利用者が利用済みの機能」が含まれ得ると解される。
そうすると、請求項1に係る発明は、利用者が利用済みの機能、つまり、利用者がその存在を知っている機能、を提示するものを包含し、この場合、「利用者が知らない(利用済みではない)機能を報知することには、ならない。
したがって、請求項1には、発明の詳細な説明に記載された、発明の課題を解決するための手段が反映されておらず、請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えることとなる。

請求項2−14は、少なくとも請求項1を引用するから同じことが指摘される。
発明のカテゴリーが異なる請求項15−16についても同じ記載があり、同じことが指摘される。

よって、請求項1−16に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでない。

2 検討

これに対し,令和4年7月14日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲では,請求項1,15,16について,それぞれ,「当該先行利用者が利用した機能を示す機能情報」が,「利用者が利用済みの機能を含まない」ことが明らかとなったから,当審拒絶理由の理由1および2はいずれも解消した。

第8 むすび

以上のとおり,原査定の理由によって,本願を拒絶することはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。

 
審決日 2022-09-27 
出願番号 P2019-161416
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06Q)
P 1 8・ 537- WY (G06Q)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 ▲吉▼田 耕一
特許庁審判官 石井 則之
野崎 大進
発明の名称 提供装置、提供方法および提供プログラム  
代理人 弁理士法人酒井国際特許事務所  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ