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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06Q
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G06Q
管理番号 1389159
総通号数 10 
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-10-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-11-30 
確定日 2022-10-11 
事件の表示 特願2019−228046「店舗内顧客管理システム、店舗内顧客管理装置、店舗内顧客管理方法、及びコンピュータプログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 6月24日出願公開、特開2021− 96681、請求項の数(10)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯

本願は,令和元年12月18日の出願であって,その手続の経緯は,概略,以下のとおりである。

令和3年 3月16日付け:拒絶理由通知
令和3年 4月26日 :意見書,手続補正書の提出
令和3年10月 7日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
令和3年11月30日 :拒絶査定不服審判の請求,手続補正書の提出
令和4年 6月16日付け:拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)
通知
令和4年 8月 8日 :意見書,手続補正書の提出

第2 原査定の概要

原査定の概要は,次のとおりである。

1.(サポート要件)この出願は,特許請求の範囲の記載が下記の点で,特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

2.(明確性)この出願は,特許請求の範囲の記載が下記の点で,特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。



●理由1(サポート要件)について

令和3年4月26日付け手続補正書による補正後の,本願の請求項1−5,8−10において,「前記座席利用者を管理するための情報を,前記店舗のスタッフ及び前記座席利用者として特定された来店者の少なくとも一方に通知する」という発明特定事項は,通知される「座席利用者を管理するための情報」の具体的なデータの内容やデータ構造等が規定されておらず,「座席利用者を管理するため」という目的等に係るあらゆる情報の通知処理を包含するものである。
他方,座席利用者に関する情報の通知処理について発明の詳細な説明に具体例として開示されているのは,来店者が座席利用者であることを示す情報と,「消費税10%」の適用に関する質問の情報と,特定された来店者の位置情報とを通知する処理のみである(本願の明細書の段落[0040]−[0043]等)。
「店舗において座席を確保した来店者を適切に管理することが可能」となるという効果のある発明において(段落[0006]等),通知の内容がどのようなものであるかによって,管理が適切なものにならないなど,当該効果を得られないことも生じ得る。管理のための情報として様々なものが存在し得るという技術常識を考慮すると,詳細な発明の説明に開示された内容を,「座席利用者を管理するため」という目的等に係るあらゆる情報の通知処理を包含する発明の範囲まで拡張ないし一般化するための根拠は見いだせないから,請求項1−5,8−10に係る発明は,発明の詳細な説明に記載された範囲を超えるものである。

●理由2(明確性)について

(1)令和3年4月26日付け手続補正書による補正後の請求項1の「店舗内顧客管理システム」の「特定手段」に関する「「前記検出手段の検出結果に基づいて,前記座席を確保した来店者を座席利用者として特定する」という事項は,特定結果の情報を導き出すための「検出結果」の情報に対する具体的な演算や情報の加工等も規定されておらず,当該事項が,「検出結果」から特定結果の情報をどのように導き出す,どのような情報処理であるかを把握できないから,当該事項は技術的に十分に特定されていないことが明らかであり,請求項1の記載から発明を明確に把握できない。請求項2−10も同様である。

(2)令和3年4月26日付け手続補正書による補正後の請求項1の「座席利用者を管理するための情報」との記載は,当該記載の表現に該当するかどうかの客観的な基準等が不明確な表現であり,発明の範囲が曖昧となる。
また,当該記載は,「座席利用者を管理するため」という目的,用途等が規定されているものの,その内容やデータ構造等が具体的に規定されておらず,「通知する」という情報処理の対象となる情報として技術的に十分に特定されていないことが明らかである。
よって,請求項1に係る発明は,依然として,明確ではない。同様の記載のある請求項8−10,及び,請求項1を引用する請求項2−5にも同様の点が指摘される。


第3 本願発明

本願請求項1〜10に係る発明(以下,それぞれ「本願発明1」〜「本願発明10」という。)は,令和4年8月8日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1〜10に記載された事項により特定される,次のとおりの発明である。

「【請求項1】
店舗に設置された座席に物が置かれた場合又は前記座席に来店者が座った場合に,前記座席が確保されたことを検出する検出手段と,
前記店舗の入口周辺又は前記店舗内において,一の来店者と所定距離を保ちつつ移動している他の来店者を前記一の来店者の同伴者として特定する同伴者特定手段と,
前記検出手段の検出結果に基づいて,前記座席に物を置いた来店者,前記座席に座った来店者及び前記座席に座った来店者の同伴者のうち少なくとも1人を座席利用者として特定する特定手段と,
前記特定手段による特定結果に基づいて,特定された座席利用者であることを示す情報,特定された座席利用者に適用する税率に関する情報,及び特定された座席利用者の位置情報の少なくとも1つを,前記店舗のスタッフ及び前記座席利用者の少なくとも一方に通知する通知手段と
を備えることを特徴とする店舗内顧客管理システム。
【請求項2】
店舗に設置された座席に物が置かれた場合又は前記座席に来店者が座った場合に,前記座席が確保されたことを検出する検出手段と,
前記検出手段の検出結果に基づいて,前記座席に物を置いた来店者,前記座席に座った来店者及び前記座席に座った来店者の同伴者のうち少なくとも1人を座席利用者として特定する特定手段と,
前記特定手段による特定結果に基づいて,特定された座席利用者が前記店舗で会計を行う際に,前記特定された座席利用者が前記座席を確保している旨を通知する通知手段と
を備えることを特徴とする店舗内顧客管理システム。
【請求項3】
前記特定手段は,前記特定された座席利用者を追跡して位置情報を取得することを特徴とする請求項1又は2に記載の店舗内顧客管理システム。
【請求項4】
前記通知手段は,前記特定された座席利用者の会計に,前記座席利用者に対応する税率を適用してよいか通知することを特徴とする請求項2に記載の店舗内顧客管理システム。
【請求項5】
店舗に設置された座席に物が置かれた場合又は前記座席に来店者が座った場合に,前記座席が確保されたことを検出する検出手段と,
前記店舗の入口周辺又は前記店舗内において,一の来店者と所定距離を保ちつつ移動している他の来店者を前記一の来店者の同伴者として特定する同伴者特定手段と,
前記検出手段の検出結果に基づいて,前記座席に物を置いた来店者,前記座席に座った来店者及び前記座席に座った来店者の同伴者のうち少なくとも1人を座席利用者として特定する特定手段と,
前記特定手段による特定結果に基づいて,特定された座席利用者であることを示す情報,特定された座席利用者に適用する税率に関する情報,及び特定された座席利用者の位置情報の少なくとも1つを,前記店舗のスタッフ及び前記座席利用者の少なくとも一方に通知する通知手段と
を備えることを特徴とする店舗内顧客管理装置。
【請求項6】
店舗に設置された座席に物が置かれた場合又は前記座席に来店者が座った場合に,前記座席が確保されたことを検出する検出手段と,
前記検出手段の検出結果に基づいて,前記座席に物を置いた来店者,前記座席に座った来店者及び前記座席に座った来店者の同伴者のうち少なくとも1人を座席利用者として特定する特定手段と,
前記特定手段による特定結果に基づいて,特定された座席利用者が前記店舗で会計を行う際に,前記特定された座席利用者が前記座席を確保している旨を通知する通知手段と
を備えることを特徴とする店舗内顧客管理装置。
【請求項7】
店舗内顧客管理システムによって実行される店舗内顧客管理方法であって,
店舗に設置された座席に物が置かれた場合又は前記座席に来店者が座った場合に,前記座席が確保されたことを検出し,
前記店舗の入口周辺又は前記店舗内において,一の来店者と所定距離を保ちつつ移動している他の来店者を前記一の来店者の同伴者として特定し,
前記検出した結果に基づいて,前記座席に物を置いた来店者,前記座席に座った来店者及び前記座席に座った来店者の同伴者のうち少なくとも1人を座席利用者として特定し,
前記特定した結果に基づいて,特定された座席利用者であることを示す情報,特定された座席利用者に適用する税率に関する情報,及び特定された座席利用者の位置情報の少なくとも1つを,前記店舗のスタッフ及び前記座席利用者の少なくとも一方に通知する
ことを特徴とする店舗内顧客管理方法。
【請求項8】
店舗内顧客管理システムによって実行される店舗内顧客管理方法であって,
店舗に設置された座席に物が置かれた場合又は前記座席に来店者が座った場合に,前記座席が確保されたことを検出し,
前記検出した結果に基づいて,前記座席に物を置いた来店者,前記座席に座った来店者及び前記座席に座った来店者の同伴者のうち少なくとも1人を座席利用者として特定し,
前記特定した結果に基づいて,特定された座席利用者が前記店舗で会計を行う際に,前記特定された座席利用者が前記座席を確保している旨を通知する
ことを特徴とする店舗内顧客管理方法。
【請求項9】
店舗に設置された座席に物が置かれた場合又は前記座席に来店者が座った場合に,前記座席が確保されたことを検出し,
前記店舗の入口周辺又は前記店舗内において,一の来店者と所定距離を保ちつつ移動している他の来店者を前記一の来店者の同伴者として特定し,
前記検出した結果に基づいて,前記座席に物を置いた来店者,前記座席に座った来店者及び前記座席に座った来店者の同伴者のうち少なくとも1人を座席利用者として特定し,
前記特定した結果に基づいて,特定された座席利用者であることを示す情報,特定された座席利用者に適用する税率に関する情報,及び特定された座席利用者の位置情報の少なくとも1つを,前記店舗のスタッフ及び前記座席利用者の少なくとも一方に通知する
ようにコンピュータを動作させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項10】
店舗に設置された座席に物が置かれた場合又は前記座席に来店者が座った場合に,前記座席が確保されたことを検出し,
前記検出した結果に基づいて,前記座席に物を置いた来店者,前記座席に座った来店者及び前記座席に座った来店者の同伴者のうち少なくとも1人を座席利用者として特定し,
前記特定した結果に基づいて,特定された座席利用者が前記店舗で会計を行う際に,前記特定された座席利用者が前記座席を確保している旨を通知する
ようにコンピュータを動作させることを特徴とするコンピュータプログラム。」

第4 引用文献の記載,引用発明等

1 引用文献1

(1)引用文献1の記載

当審拒絶理由の理由2(新規性)および理由3(進歩性)にて引用された引用文献1(特開2019−145045号公報)には,図面とともに,次の記載がある(下線は当審による。以下同様。)。

ア 図1


イ「【0013】
図1は実施形態における店舗状況管理システム5の構成の一例を示す図である。店舗状況管理システム5は,センター9に設置されたサーバ11と,店舗35に設置された複数のセンサ機器30と,店舗35に設置された複数の店舗機器50と,ユーザが所持するスマートフォン41とを含む構成を有する。店舗状況管理システム5は,例えば,レストランやファストフード店の店舗の状況を管理するシステムに適用されてよい。
(中略)
【0018】
サーバ11は,処理部111,メモリ112,通信部113,及びストレージ115を含む構成を有する。サーバ11は,複数の店舗35を管理する。処理部111は,各種処理(例えば各種情報の取得,分析,演算,判定,決定)を行う。ストレージ115は,処理部111による処理結果(例えば分析結果)の情報や,後述する各種のテーブルを蓄積する。通信部113は,各種情報(例えば,ストレージ115に蓄積された情報や分析された情報,センサ機器30により検出されたデータ)を通信する。通信部113は,受信部,送信部の一例である。
(中略)
【0021】
複数のセンサ機器30は,例えば,レジ前に設置されたカメラ34,飲食スペースに設置されたカメラ31,マイク32,及びセンシングデバイス37を含む。センサ機器30は,その他のセンサ(例えば赤外線センサ)を含んでよい。センサ機器30は,店舗35における様々な状態を検出可能である。センサ機器30は,センシングにより検出データを得る検出部,処理部,メモリ,通信部,等を有する。なお,カメラ31,34は,複数のセンサ機器30には含まれなくてもよい。
(中略)
【0027】
1つ以上の店舗機器50は,例えば,デジタルサイネージ33,POS(point of sales)端末36,店員向けビューワ38,プロジェクタ52,空調装置53,照明装置54,スピーカ55,テーブルタブレット56,及びロボット57を含む。店舗機器50は,店舗35に設けられた装置の一例である。各店舗機器50は,処理部,メモリ,通信部,等を有する。店舗機器50は,店舗35内の環境を変化させる。
(中略)
【0030】
店員向けビューワ38は,店舗35の店員に向けて,各種情報やデータを表示する。店員向けビューワ38は,店舗状況画面GM1(例えば図3参照)を表示してよい。店員向けビューワ38は,表示部,処理部,メモリ,通信部,等を有する。」

ウ 図3


エ 「【0062】
サーバ11の処理部111は,店舗35内のレイアウトの情報を取得する。処理部111は,このレイアウトの情報を,ストレージ115や外部サーバから取得してよい。レイアウトの情報は,例えば,テーブルの配置の情報,イスの配置の情報,各店舗機器50の配置の情報を含んでよい。また,処理部111は,人物の所在位置(例えば後述する,認識された人物のX座標,Y座標)の情報を取得してよい。処理部111は,通信部113を介して,店員向けビューワ38に,レイアウトの情報や人物の所在位置の情報を,装置制御情報に含めて送信してよい。店員向けビューワ38の処理部は,通信部を介して装置制御情報を受信し,レイアウトの情報や人物の所在位置の情報に基づいて表示する。」

オ 図6


カ 「【0092】
(追跡動作)
次に,レジ前で検知された人物Hが着席するまで人物Hを追跡する動作を示す。図6はレジ前で検知された人物Hの移動経路の一例を示す図である。人物Hは,レジ前のカメラ34で撮影された後,飲食スペースに向かって移動する。人物Hは,移動の途中で,コースタq1を手に取り,テーブルT1のイスC1に着席する。人物Hの移動中,飲食スペースのカメラ31は,人物Hを撮影する。なお,レジ前のカメラ34で撮影された画像に対する画像認識の結果は,図4のS11で取得されている。」

キ 図7


ク 「【0093】
図7は人物Hの追跡手順の一例を示すフローチャートである。図7の動作は,飲食スペースでの動作に該当する。
【0094】
サーバ11の処理部111は,カメラ31(CAMID:CAM1)によって撮影された画像に対する画像認識の結果を受信する(S21)。なお,処理部111は,カメラ31によって撮影された画像を受信し,画像に対して画像認識を行い,画像認識の結果を取得してもよい。
(中略)
【0098】
同じ人物であると特定できた場合,処理部111は,飲食スペースに設置されたカメラ31で人物を追跡する。
(中略)
【0109】
人物Hが一定時間移動しない場合,処理部111は,人物Hが人物Hの近傍に存在するイスCmに着席し,イスCmが属するテーブルTiを利用していると判断し,テーブルTi及びイスCmの状態を変更する(S26)。テーブルTi及びイスCmの状態の変更は,イス利用テーブル213及びテーブル利用テーブル214に反映される。
【0110】
図8Cはイス利用の記録の一例を示すテーブルである。イス利用テーブル213には,イスID:C1,X座標:40,Y座標:40,利用者:U1,テーブルID:T1,タイムスタンプ:00:02:00が登録される。
【0111】
「イスID」は,イスを識別する識別情報の一例である。「X座標」は,イスの位置のX方向成分を示す。「Y座標」は,イスの位置のY方向成分を示す。「利用者」は,イスを利用する,つまりイスに着席する人物Hを識別する識別情報の一例である。「テーブルID」は,イスが属するテーブルを識別する識別情報の一例である。タイムスタンプは,イス利用テーブル213に,上記のイス利用に関する情報が記録された時刻を示す。」

(2)引用発明

上記(1)より,特に,下線部に着目すると,引用文献1には,以下の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「店舗状況管理システム5は,センター9に設置されたサーバ11と,店舗35に設置された複数のセンサ機器30と,店舗35に設置された複数の店舗機器50とを含む構成を有し,
店舗状況管理システム5は,レストランやファストフード店の店舗の状況を管理するシステムであり,
サーバ11は,処理部111,通信部113を含む構成を有し,
複数のセンサ機器30は,レジ前に設置されたカメラ34,飲食スペースに設置されたカメラ31を含み,センサ機器30は,センシングにより検出データを得る検出部,処理部,メモリ,通信部を有し,
1つ以上の店舗機器50は,店員向けビューワ38を含み,店員向けビューワ38は,店舗35の店員に向けて,店舗状況画面GM1を表示する表示部,処理部,通信部を有し,
処理部111は,通信部113を介して,店員向けビューワ38に,レイアウトの情報や人物の所在位置の情報を,装置制御情報に含めて送信し,店員向けビューワ38の処理部は,通信部を介して装置制御情報を受信し,レイアウトの情報や人物の所在位置の情報に基づいて表示するものであって,
人物Hは,レジ前のカメラ34で撮影された後,飲食スペースに向かって移動し,移動の途中で,コースタq1を手に取り,テーブルT1のイスC1に着席するところ,人物Hの移動中,飲食スペースのカメラ31は,人物Hを撮影し,
処理部111は,カメラ31によって撮影された画像を受信し,画像に対して画像認識を行い,画像認識の結果を取得し,
処理部111は,飲食スペースに設置されたカメラ31で人物を追跡し,
人物Hが一定時間移動しない場合,処理部111は,人物Hが人物Hの近傍に存在するイスCmに着席し,イスCmが属するテーブルTiを利用していると判断し,テーブルTi及びイスCmの状態を変更し,
イスCmの状態の変更は,イス利用テーブル213に反映されるところ,イス利用テーブル213には,イスID:C1,利用者:U1が登録され,「イスID」は,イスを識別する識別情報であり,「利用者」は,イスを利用する,つまりイスに着席する人物Hを識別する識別情報である,
店舗状況管理システム5。」

第5 対比・判断

1 本願発明1について

(1)対比

本願発明1と,引用発明とを対比する。

ア 引用発明のカメラ31は,「店舗35」の「飲食スペースに設置され」ており,「レジ前のカメラ34で撮影された後,飲食スペースに向かって移動し,」「移動の途中で,コースタq1を手に取り,テーブルT1のイスC1に着席する」人物Hを撮影しているから,該「イスC1」及び該「着席する」は,それぞれ,本願発明1の「店舗に設置された座席」及び「前記座席に来店者が座った場合」に相当する。
引用発明における該「イスC1に着席」した人物Hは,該「イスC1」を「物理的に占有しているから,人物Hにより該「イスC1」が確保されたといえるところ,「処理部111」は,カメラ31によって撮影された画像を受信し,画像に対して画像認識を行い,画像認識の結果を取得するものであるから,引用発明の「処理部111」は本願発明1の「前記座席が確保されたことを検出する検出手段」に相当する。

イ 引用発明は,同じテーブルを利用する複数人を画像認識するところ,複数人で店舗に訪れる者は,該複数人の1人からみた他の者は同伴者といえるから,「処理部111」は,「前記座席に座った来店者の同伴者」も画像認識しており,引用発明も,本願発明1と同様に,「他の来店者を前記一の来店者の同伴者として特定する同伴者特定手段」を備えているといえる。

しかし,本願発明1では,同伴者として特定する際に,「前記店舗の入口周辺又は前記店舗内において,一の来店者と所定距離を保ちつつ移動している他の来店者を」同伴者として特定しているのに対して,引用発明では,同じテーブルを利用する他の来店者を同伴者として特定している点で相違している。

ウ 上記アのとおり,人物Hは「イスC1に着席」しているから,該「人物H」は座席を利用する者であって,「座席利用者」といえる。

引用発明の「処理部111」は,「人物Hが一定時間移動しない場合,」「人物Hが人物Hの近傍に存在するイスCmに着席し,イスCmが属するテーブルTiを利用していると判断し,テーブルTi及びイスCmの状態を変更する」ものであって,該「イスCmの状態」は,「イスを識別する識別情報」とともに「イスに着席する人物Hを識別する識別情報」が登録される「イス利用テーブル213」「に反映させる」から,該「処理部111」は,イスCmに着席した人物Hを座席利用者として特定しているといえる。

そうすると,前記「処理部111」は,本願発明1の「前記検出手段の検出結果に基づいて,」「前記座席に座った来店者」「を座席利用者として特定する特定手段」に相当する。

さらに,上記イから,前記「処理部111」は,本願発明1の「前記検出手段の検出結果に基づいて,」「前記座席に座った来店者の同伴者」「を座席利用者として特定する特定手段」に相当するといえる。

したがって,引用発明の「処理部111」は,本願発明1の「前記検出手段の検出結果に基づいて,」「前記座席に座った来店者及び前記座席に座った来店者の同伴者のうち少なくとも1人を座席利用者として特定する特定手段」に相当する。

エ 引用発明の「店員向けビューワ38」は,レイアウトの情報や人物の所在位置の情報を表示するものであって,視覚的に,人物がイスを利用する座席利用者であることを示し,該人物の位置を店員に向けて表示しているところ,前記「処理部111」は通信部113を介して上記各情報を含む装置制御情報を送信していることからみて,該「処理部111」は,本願発明1の「前記特定手段による特定結果に基づいて,特定された来店者が座席利用者であることを示す情報」「及び特定された来店者の位置情報の少なくとも1つを,前記店舗のスタッフ」「に通知する通知手段」に相当する。

オ 引用発明の「店舗状況管理システム5」は本願発明1の「店舗内顧客管理システム」に相当する。

(2)一致点・相違点

本願発明1と,引用発明とは,以下アの点で一致し,以下イの点で相違する。

ア 一致点

「店舗に設置された前記座席に来店者が座った場合に,前記座席が確保されたことを検出する検出手段と,
他の来店者を前記一の来店者の同伴者として特定する同伴者特定手段と,
前記検出手段の検出結果に基づいて,前記座席に座った来店者及び前記座席に座った来店者の同伴者のうち少なくとも1人を座席利用者として特定する特定手段と,
前記特定手段による特定結果に基づいて,特定された来店者が座席利用者であることを示す情報,及び特定された来店者の位置情報の少なくとも1つを,前記店舗のスタッフに通知する通知手段と
を備えることを特徴とする店舗内顧客管理システム。」

イ 相違点

(ア) 相違点1−1

本願発明1の「検出手段」は,選択的構成として,座席に来店者が座った場合」の他に,「店舗に設置された座席に物が置かれた場合」にも,「座席が確保されたことを検出」し,「特定手段」が「前記座席に物を置いた来店者」も「座席利用者として特定」しているのに対して,引用発明の「検出手段」は,「店舗に設置された座席に物が置かれた場合」に「座席が確保されたことを検出」したり,「前記座席に物を置いた来店者」を「座席利用者として特定」したり,していない点。

(イ) 相違点1−2

本願発明1では,同伴者として特定する際に,「前記店舗の入口周辺又は前記店舗内において,一の来店者と所定距離を保ちつつ移動している他の来店者を」同伴者として特定しているのに対して,引用発明では,同じテーブルを利用する他の来店者を同伴者として特定している点。

(ウ) 相違点1−3

本願発明1では,「通知手段」が,選択的構成として,「特定された座席利用者であることを示す情報」や「特定された座席利用者の位置情報」の他に,「特定された座席利用者に適用する税率に関する情報」も通知しており,さらにこれらの情報を,「店舗のスタッフ」の他に,「座席利用者」に対しても,通知しているのに対して,引用発明の「通知手段」は,「特定された座席利用者に適用する税率に関する情報」を通知しておらず,「座席利用者」に対しても情報を通知していない点。

(3)相違点についての判断

事案に鑑みて,まず,相違点1−2について検討する。

本願発明1の相違点1−2に係る「前記店舗の入口周辺又は前記店舗内において,一の来店者と所定距離を保ちつつ移動している他の来店者を前記一の来店者の同伴者として特定する」という構成について,引用文献1には,記載も示唆も無く,当該構成が周知であったとも認められない。

したがって,引用発明に基づいて,当業者は本願発明1の相違点1−2に係る構成を容易に想到することができたとは認められない。

エ 小括

したがって,上記相違点1−1あるいは1−3について判断するまでもなく,本願発明1は,引用発明に基づいて,当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

2 本願発明2について

(1)対比

本願発明2と,引用発明とを対比する。

ア 上記1(1)ア,ウおよびオより,引用発明も,本願発明2と同様に,「店舗に設置された座席」「に来店者が座った場合に,前記座席が確保されたことを検出する検出手段」,および,「前記検出手段の検出結果に基づいて,」「前記座席に座った来店者及び前記座席に座った来店者の同伴者のうち少なくとも1人を座席利用者として特定する特定手段と」「を備えることを特徴とする店舗内顧客管理システム」であるといえる。

イ 上記1(1)エより,本願発明2と,引用発明とは「前記特定手段による特定結果に基づいて,」情報を「通知する通知手段」を備えている点で共通しているといえる。

しかし,本願発明2では,通知する情報として,「特定された座席利用者が前記店舗で会計を行う際に,前記特定された座席利用者が前記座席を確保している旨を」通知しているのに対して,引用発明では,このような情報を通知していない点で相違している。

(2)一致点・相違点

本願発明2と引用発明は,以下アの点で一致し,以下イの点で相違する。

ア 一致点

「店舗に設置された前記座席に来店者が座った場合に,前記座席が確保されたことを検出する検出手段と,
他の来店者を前記一の来店者の同伴者として特定する同伴者特定手段と,
前記検出手段の検出結果に基づいて,前記座席に座った来店者及び前記座席に座った来店者の同伴者のうち少なくとも1人を座席利用者として特定する特定手段と,
前記特定手段による特定結果に基づいて,通知する通知手段と
を備えることを特徴とする店舗内顧客管理システム。」

イ 相違点

(ア) 相違点2−1

本願発明1の「検出手段」は,選択的構成として,座席に来店者が座った場合」の他に,「店舗に設置された座席に物が置かれた場合」にも,「座席が確保されたことを検出」し,「特定手段」が「前記座席に物を置いた来店者」も「座席利用者として特定」しているのに対して,引用発明の「検出手段」は,「店舗に設置された座席に物が置かれた場合」に「座席が確保されたことを検出」したり,「前記座席に物を置いた来店者」を「座席利用者として特定」したり,していない点。

(イ) 相違点2−2

本願発明2では,通知する情報として,「特定された座席利用者が前記店舗で会計を行う際に,前記特定された座席利用者が前記座席を確保している旨を」通知しているのに対して,引用発明では,このような情報を通知していない点。

(3)相違点についての判断

事案に鑑みて,まず,相違点2−2について検討する。

本願発明2の相違点2−2に係る「前記特定手段による特定結果に基づいて,特定された座席利用者が前記店舗で会計を行う際に,前記特定された座席利用者が前記座席を確保している旨を通知する」という構成について,引用文献1には,記載も示唆も無く,当該構成が周知であったとも認められない。

したがって,引用発明に基づいて,当業者は本願発明2の相違点2−2に係る構成を容易に想到することができたとは認められない。

エ 小括

したがって,上記相違点2−1について判断するまでもなく,本願発明2は,引用発明に基づいて,当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

3 本願発明3および本願発明4について

本願発明3は,本願発明1または2を減縮したものであり,本願発明4は,本願発明2を減縮したものであって,それぞれ,本願発明1あるいは本願発明2と同一の構成を備えるものであるから,本願発明1あるいは本願発明2と同じ理由により,引用発明に基づいて,当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

4 本願発明5について

本願発明5は,概ね,本願発明1の発明のカテゴリを,単に,システムの発明から装置の発明へと変更したものであり,上記相違点1−2に係る構成と同様の以下の構成を備えているから,本願発明1と同様に,引用発明に基づいて,当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

「前記店舗の入口周辺又は前記店舗内において,一の来店者と所定距離を保ちつつ移動している他の来店者を前記一の来店者の同伴者として特定する同伴者特定手段」

5 本願発明6について

本願発明6は,概ね,本願発明2の発明のカテゴリを,単に,システムの発明から装置の発明へと変更したものであり,上記相違点2−1に係る構成と同様の以下の構成を備えているから,本願発明2と同様に,引用発明に基づいて,当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

「前記特定手段による特定結果に基づいて,特定された座席利用者が前記店舗で会計を行う際に,前記特定された座席利用者が前記座席を確保している旨を通知する通知手段」

6 本願発明7について

本願発明7は,概ね,本願発明1の発明のカテゴリを,単に,システムの発明から方法の発明へと変更したものであり,上記相違点1−2に係る構成と同様の以下の構成を備えているから,本願発明1と同様に,引用発明に基づいて,当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

「前記店舗の入口周辺又は前記店舗内において,一の来店者と所定距離を保ちつつ移動している他の来店者を前記一の来店者の同伴者として特定し」

7 本願発明8について

本願発明8は,概ね,本願発明2の発明のカテゴリを,単に,システムの発明から方法の発明へと変更したものであり,上記相違点2−1に係る構成と同様の以下の構成を備えているから,本願発明2と同様に,引用発明に基づいて,当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

「前記特定した結果に基づいて,特定された座席利用者が前記店舗で会計を行う際に,前記特定された座席利用者が前記座席を確保している旨を通知する」

8 本願発明9について

本願発明9は,概ね,本願発明1の発明のカテゴリを,単に,システムの発明からコンピュータプログラムの発明へと変更したものであり,上記相違点1−2に係る構成と同様の以下の構成を備えているから,本願発明1と同様に,引用発明に基づいて,当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

「前記店舗の入口周辺又は前記店舗内において,一の来店者と所定距離を保ちつつ移動している他の来店者を前記一の来店者の同伴者として特定し」

9 本願発明10について

本願発明10は,概ね,本願発明2の発明のカテゴリを,単に,システムの発明からコンピュータプログラムの発明へと変更したものであり,上記相違点2−1に係る構成と同様の以下の構成を備えているから,本願発明2と同様に,引用発明に基づいて,当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

「前記特定した結果に基づいて,特定された座席利用者が前記店舗で会計を行う際に,前記特定された座席利用者が前記座席を確保している旨を通知する」

第6 原査定についての判断

1 理由1(サポート要件)

(1)請求項1

令和4年8月8日提出の手続補正書による補正後の請求項1では,通知手段が通知する内容が「特定された座席利用者であることを示す情報,特定された座席利用者に適用する税率に関する情報,及び特定された座席利用者の位置情報の少なくとも1つ」であるとされ,通知される「座席利用者を管理するための情報」の具体的なデータの内容が特定されており,本願明細書の段落[0040]−[0043]等に記載された,来店者が座席利用者であることを示す情報と,「消費税10%」の適用に関する質問の情報,および,特定された来店者の位置情報に対応するものとなり,当該発明特定事項は,本願明細書の段落[0006]等に記載された,店舗において座席を確保した来店者を適切に管理することが可能となる旨の課題を解決するものであるといえる。

したがって,請求項1は,サポート要件を満たしている。

(2)請求項2

令和4年8月8日提出の手続補正書による補正後の請求項2では,通知手段が通知する内容が「特定された座席利用者が前記座席を確保している旨を通知する」と特定されており,当該発明特定事項は,本願明細書の段落[0006]等に記載された,店舗において座席を確保した来店者を適切に管理することが可能となる旨の課題を解決するものであるといえる。

したがって,請求項2は,サポート要件を満たしている。

(3)請求項3および4

請求項3は,請求項1または2を引用しており,請求項4は,請求項2を引用しているから,請求項3および4は,いずれも,請求項1または2と同様に,サポート要件を満たしている。

(4)請求項5〜10

請求項5,7,9は,いずれも,請求項1の発明のカテゴリを単に変更したものであり,請求項6,8,10は,いずれも,請求項2の発明のカテゴリを単に変更したものであって,上記(1)あるいは(2)で述べた発明特定事項と同様の発明特定事項を含んでいるから,請求項5〜10は,いずれも,請求項1あるいは2と同様に,サポート要件を満たしている。

2 理由2(明確性

(1)請求項1

令和4年8月8日提出の手続補正書による補正後の請求項1では,「店舗に設置された座席に物が置かれた場合又は前記座席に来店者が座った場合に,前記座席が確保されたことを検出する検出手段」「前記店舗の入口周辺又は前記店舗内において,一の来店者と所定距離を保ちつつ移動している他の来店者を前記一の来店者の同伴者として特定する同伴者特定手段」および「前記検出手段の検出結果に基づいて,前記座席に物を置いた来店者,前記座席に座った来店者及び前記座席に座った来店者の同伴者のうち少なくとも1人を座席利用者として特定する特定手段」と記載されており,「検出手段」における検出内容と,「特定手段」における「前記検出手段の検出結果に基づいて」行われる特定内容との対応関係が明りょうとなった。

また,上記1(1)で述べたように,通知手段が通知する内容も明りょうとなった。

したがって,請求項1は,明確性要件を満たしている。

(2)請求項2

令和4年8月8日提出の手続補正書による補正後の請求項2では,「店舗に設置された座席に物が置かれた場合又は前記座席に来店者が座った場合に,前記座席が確保されたことを検出する検出手段」および「前記検出手段の検出結果に基づいて,前記座席に物を置いた来店者,前記座席に座った来店者及び前記座席に座った来店者の同伴者のうち少なくとも1人を座席利用者として特定する特定手段」と記載されており,「検出手段」における検出内容と,「特定手段」における「前記検出手段の検出結果に基づいて」行われる特定内容との対応関係が明りょうとなった。

また,上記2(1)で述べたように,通知手段が通知する内容も明りょうとなった。

したがって,請求項2は,明確性要件を満たしている。

(3)請求項3および4

請求項3は,請求項1または2を引用しており,請求項4は,請求項2を引用しているから,請求項3および4は,いずれも,請求項1または2と同様に,明確性要件を満たしている。

(4)請求項5〜10

請求項5,7,9は,いずれも,請求項1の発明のカテゴリを単に変更したものであり,請求項6,8,10は,いずれも,請求項2の発明のカテゴリを単に変更したものであって,上記(1)あるいは(2)で述べた発明特定事項と同様の発明特定事項を含んでいるから,請求項5〜10は,いずれも,請求項1あるいは2と同様に,明確性要件を満たしている。

3 小括

以上から,原査定の拒絶理由は,いずれも解消しているといえ,原査定を維持することはできない。

第7 当審拒絶理由について

1 当審拒絶理由の概要

当審が令和4年6月16日付けで通知した当審拒絶理由の概要は次のとおりである。

(1)理由1(明確性
この出願は,特許請求の範囲の記載が以下の点で,特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

請求項1には、「前記座席に物を置いた来店者、前記座席に座った来店者及び前記座席に座った来店者の同伴者のうち少なくとも1人を座席利用者として特定する特定手段」(下線は強調のため当審で付加した。以下、同じ。)と記載されていることから見て、特定される者は「座席利用者」と規定されている。
さらに、請求項1には、「特定された来店者が座席利用者であることを示す情報、特定された来店者に適用する税率に関する情報、及び特定された来店者の位置情報・・・通知手段」と記載されていることから見て、特定される者は「来店者」と規定されている。
したがって、請求項1の記載において、特定される者が一致していない。

請求項1を引用する請求項2−5についても同じことが指摘される。
発明のカテゴリーが異なる請求項6−8についても同様の記載があり、同じことが指摘される。

(2)理由2(新規性)理由3(進歩性
この出願の請求項1,3,6−8に係る発明は,引用文献1(上記第4の1(1))に記載された引用発明(上記第4の1(2))であるから,新規性を有しておらず,また,仮に相違点を有しているとしても,この出願の請求項1,3,6−8に係る発明は,引用発明に基づいて,その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下,「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

2 検討

(1)理由1(明確性

ア 請求項1

請求項1の「通知手段」に関して、「前記特定手段による特定結果に基づいて、特定された座席利用者であることを示す情報、特定された座席利用者に適用する税率に関する情報、及び特定された座席利用者の位置情報の少なくとも1つを、前記店舗のスタッフ及び前記座席利用者の少なくとも一方に通知する通知手段」と特定されることにより,通知手段が通知する情報が明りょうとなり,さらに,通知手段が通知する者が明りょうとなったから,明確性要件を満たしている。

イ 請求項2

請求項2の「通知手段」に関して、「特定された座席利用者が前記座席を確保している旨を通知する」と特定されることにより,通知手段が通知する情報が明りょうとなったから,明確性要件を満たしている。

ウ 請求項3,4

請求項3は,請求項1または2を引用しており,請求項4は,請求項2を引用しているから,請求項3および4は,いずれも,請求項1または2と同様に,明確性要件を満たしている。

エ 請求項5〜10

請求項5,7,9は,いずれも,請求項1の発明のカテゴリを単に変更したものであり,請求項6,8,10は,いずれも,請求項2の発明のカテゴリを単に変更したものであって,上記(1)あるいは(2)で述べた発明特定事項と同様の発明特定事項を含んでいるから,請求項5〜10は,いずれも,請求項1あるいは2と同様に,明確性要件を満たしている。

オ 小括

以上から,当審拒絶理由の理由1は解消した。

(2)理由2(新規性)理由3(進歩性

上記第5で述べたように,令和4年8月8日提出の手続補正書による補正後の本願発明1〜10は,いずれも,引用発明に対して新規性進歩性を有しているから,当審拒絶理由の理由2(新規性)および理由3(進歩性)は解消した。

第8 むすび

以上のとおり,原査定の理由によって,本願を拒絶することはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。

 
審決日 2022-09-27 
出願番号 P2019-228046
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06Q)
P 1 8・ 537- WY (G06Q)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 ▲吉▼田 耕一
特許庁審判官 野崎 大進
▲高▼瀬 健太郎
発明の名称 店舗内顧客管理システム、店舗内顧客管理装置、店舗内顧客管理方法、及びコンピュータプログラム  
代理人 江上 達夫  

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