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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1389289
総通号数 10 
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-10-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2022-02-16 
確定日 2022-09-20 
事件の表示 特願2020−153555「インタラクティブシステム、端末装置、サーバ装置、制御方法、プログラム、及び記録媒体」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 1月28日出願公開、特開2021− 9706、請求項の数(13)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2014年(平成26年)10月8日(優先権主張 2014年3月24日)を国際出願日とする特願2016−509890号の一部を、平成31年3月7日に新たな特許出願とした特願2019−041363号のさらに一部を、令和2年9月14日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は次のとおりである。

令和2年 9月14日 :手続補正書の提出
令和3年 6月 9日付け:拒絶理由通知書
令和3年 8月 3日 :意見書、手続補正書の提出
令和3年11月 9日付け:拒絶査定(原査定)
令和4年 2月16日 :審判請求書、手続補正書の提出

第2 原査定の概要
原査定(令和3年11月9日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
本願請求項1,7,13に係る発明は、以下の引用文献1−2に基づいて、請求項2−6,8−12に係る発明は、以下の引用文献1−3に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開2002−55904号公報
2.特開2013−243702号公報
3.特開2002−333933号公報(周知技術を示す文献)

第3 本願発明
本願請求項1−13(以下、それぞれ「本願発明1」−「本願発明13」という。)は、令和4年2月16日提出の手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1−13に記載された事項により特定される、以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
ネットワークを介してサーバ装置に接続され、前記サーバ装置にゲームプログラムに係るゲーム画像の符号化を含むプログラム処理を要求し、前記サーバ装置から処理結果を受信し表示を行う端末装置と、
前記端末装置からの要求に従いプログラム処理を行い、処理結果を前記端末装置に送信するサーバ装置とを有し、
前記サーバ装置は、前記端末装置との通信が異常と判断した場合、前記プログラム処理を第1の所定時間継続し、前記第1の所定時間が経過した場合、前記プログラム処理を一時中断するインタラクティブシステム。
【請求項2】
前記サーバ装置は、前記プログラム処理の処理結果を保持する実行メモリを有し、前記プログラム処理を一時中断した場合、処理結果を中断データとして前記実行メモリに保持する請求項1記載のインタラクティブシステム。
【請求項3】
前記中断データは、ゲームプログラムの符号化動画データ、ゲームプログラムに関する情報、及びゲームプログラムの進行状況を含む請求項2記載のインタラクティブシステム。
【請求項4】
前記中断データは、描画中のゲーム画像データに関する情報をさらに含む請求項3記載のインタラクティブシステム。
【請求項5】
前記中断データを前記実行メモリに保持した後、前記端末装置との通信が回復した場合、前記サーバ装置は、前記実行メモリに保持された前記中断データに基づき前記プログラム処理を再開する請求項2乃至4のいずれか1項に記載のインタラクティブシステム。
【請求項6】
前記サーバ装置は、前記実行メモリとは別の保存メモリを有し、前記実行メモリに保持する処理を行った時刻から第2の所定時間が経過した場合、前記中断データを前記実行メモリから前記保存メモリに移動させる請求項2乃至5のいずれか1項に記載のインタラクティブシステム。
【請求項7】
ネットワークを介して端末装置に接続され、前記端末装置からの要求に従いゲームプログラムに係るゲーム画像の符号化を含むプログラム処理を行い、処理結果を前記端末装置に送信し、前記端末装置との通信が異常と判断した場合、前記プログラム処理を第1の所定時間継続し、前記第1の所定時間が経過した場合、前記プログラム処理を一時中断するサーバ装置。
【請求項8】
前記プログラム処理の処理結果を保持する実行メモリを有し、前記プログラム処理を一時中断した場合、処理結果を中断データとして前記実行メモリに保持する請求項7記載のサーバ装置。
【請求項9】
前記中断データは、ゲームプログラムの符号化動画データ、ゲームプログラムに関する情報、及びゲームプログラムの進行状況を含む請求項8記載のサーバ装置。
【請求項10】
前記中断データは、描画中のゲーム画像データに関する情報をさらに含む請求項9記載のサーバ装置。
【請求項11】
前記中断データを前記実行メモリに保持した後、前記端末装置との通信が回復した場合、前記実行メモリに保持された前記中断データに基づき前記プログラム処理を再開する請求項8乃至10のいずれか1項に記載のサーバ装置。
【請求項12】
前記実行メモリとは別の保存メモリを有し、前記実行メモリに保持する処理を行った時刻から第2の所定時間が経過した場合、前記中断データを前記実行メモリから前記保存メモリに移動させる請求項8乃至11のいずれか1項に記載のサーバ装置。
【請求項13】
コンピュータに、
ネットワークを介して接続された端末装置からの要求に従いゲームプログラムに係るゲーム画像の符号化を含むプログラム処理を行う処理と、
前記プログラム処理の処理結果を前記端末装置に送信する処理と、
前記端末装置との通信が異常と判断した場合、前記プログラム処理を第1の所定時間継続し、前記第1の所定時間が経過した場合、前記プログラム処理を一時中断する処理とを実行させるプログラム。」

第4 引用文献、引用発明

1 引用文献1,引用発明
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審による。以下同様。)。

「【0005】
【発明が解決しようとする課題】これら携帯電話や無線LAN等によるインターネット網への接続は、接続ケーブル等の制約がなく便利である反面、接続に無線を使用していることから無線通信による接続に不用意な切断を生じる場合があり、これら不用意な切断が生じた際には、前記サーバコンピュータから配信されるコンテンツが継続性を有しないものであれば良いが、例えばゲーム等の継続性を必要とされるコンテンツの場合には、該ゲームが中断してしまうとともに、再度サーバコンピュータにアクセスして中断したゲームを継続しようとしても、該ゲームを継続できないという問題があった。
【0006】よって、本発明は上記した問題点に着目してなされたもので、仮に前述のような不用意な切断が生じても、コンテンツであるゲームを継続して実施することのできるゲームコンテンツ提供サーバを提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記した問題を解決するために、本発明のゲームコンテンツ提供サーバは、データ通信可能に接続された複数のコンピュータ端末から成るコンピュータネットワークに接続され、登録されているゲームコンテンツをアクセス利用者が実施可能に提供するゲームコンテンツ提供サーバであって、アクセス利用者を特定する情報を入手し、ゲームの実施中にアクセス利用者との接続が切断した場合において、該切断発生時における該ゲームのゲーム状況データと前記入手したアクセス利用者を特定する情報とを対応付けて登録するゲーム状況登録手段を具備し、該アクセス利用者からのアクセスが再度実施された際に、前記登録されているゲーム状況データに基づくゲーム状況を、アクセス利用者のコンピュータ端末に該ゲームを継続実施可能に配信することを特徴としている。この特徴によれば、サーバは、アクセス利用者との接続が切断した際に、その時点でのゲーム状況データとアクセス利用者を特定する情報とを対応付けて登録し、該ゲーム状況データを該アクセス利用者からのアクセスが再度実施された際に、該ゲームを継続実施可能に配信することから、アクセス利用者は、仮に前述のような不用意な切断が生じても、コンテンツであるゲームを継続して実施することができる。
【0008】本発明のゲームコンテンツ提供サーバは、ゲーム状況登録手段は、該当するアクセス利用者による再接続に基づき登録されているゲーム状況データの消去を実施することが好ましい。このようにすれば、前記ゲーム状況登録手段に必要とされる記憶容量を最小限に抑えることができる。
【0009】本発明のゲームコンテンツ提供サーバは、前記アクセス利用者からのアクセスが再度実施された際に、前記ゲーム状況登録手段に登録されているゲーム状況データに基づくゲームの継続実施または非実施を該アクセス利用者より受け付け、該受付において継続実施が選択された場合においてアクセス利用者のコンピュータ端末に該ゲームを継続実施可能に配信することが好ましい。このようにすれば、アクセス利用者は再アクセス時において、前回の切断が生じたアクセスにおけるゲームの継続実施或いは非実施を選択できるようになる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。尚、本実施例では、提供されるゲームコンテンツとしてパチンコゲームを用いた例を説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら提供されるゲームコンテンツは適宜に選択可能である。
【0011】(実施例)まず図1は、本発明のゲームコンテンツ提供サーバであるサーバコンピュータ1を有するゲームコンテンツ提供システムの構成を示すブロック図であり、図2は、前記サーバコンピュータ1の構成を示すブロック図、図3は、本実施例のゲームコンテンツ提供システムにおいて用いた簡易型携帯電話端末3を示す外観斜視図であり、図3は、前記簡易型携帯電話端末3の構成を示すブロック図である。
【0012】まず、本実施例に用いたゲームコンテンツ提供システムは、図1に示すように、コンピュータネットワークであるインターネット網5に通信装置2を介して接続されたゲームコンテンツ提供サーバであるサーバコンピュータ1と、該サーバコンピュータ1に前記インターネット網5を通じてアクセス可能な利用者が所持する簡易型携帯電話端末3とから主に構成され、前記サーバコンピュータ1は、ゲームコンテンツデータの提供サービスを行う配信センターに設置されている。尚、図1中の6は前記簡易型携帯電話端末3との無線通信を行う基地局であり、7は、前記各基地局6に接続されて各基地局6の制御等を行うとともに、各簡易型携帯電話端末3を公衆回線網9に接続する中央制御局であり、該中央制御局にはインターネット網5に接続されているゲートウエイサーバ8が接続されていて、各簡易型携帯電話端末3が前記公衆回線網を介さずに直接インターネット網5に接続できるようになっている。
【0013】この本実施例において使用したゲームコンテンツ提供サーバであるサーバコンピュータ1の構成は、図2に示すように、コンピュータ内部にてデータの送受を行うデータバス10に、モニタ等の表示装置14と、キーボードやマウス等の入力装置と、該コンピュータサーバ1が実施するゲームコンテンツデータの配信処理や各部の制御等を実施する中央演算処理装置(CPU)11と、該CPU11が行うゲームプログラムの処理に使用されるワークメモリ等として使用されるRAM12と、現在の時刻情報や任意の年月日の曜日等のカレンダー情報を出力可能なリアルタイムクロック(RTC)17と、前記通信装置2に接続されてデータの送受信を行う通信インターフェイス13と、磁気ディスクや光磁気ディスクから成る本実施例のゲーム状況登録手段としての記憶装置15と、が接続された比較的高速の演算処理が可能な通常のコンピュータとされている。
【0014】このサーバコンピュータ1における前記記憶装置15には、該サーバコンピュータ1の基本動作プログラムが記述されたサーバオペレーティングシステム(OS)に加えて、個々の利用者の簡易型携帯電話端末3に対して同時並行してコンテンツデータの配信を行うための配信プログラムや、パチンコゲームの動作処理が記述された「パチってフィーバー」並びに経営シュミレーションゲームである「グレートパーラー」の各ゲームプログラムや、利用者の簡易型携帯電話端末3に配信されるゲームコンテンツデータのベースとなるコンテンツライブラリや、個々の利用者毎のユーザー名(ニックネーム)に対応して、該利用者のメールアドレスや所持金が登録される利用者データベース(DB)が記憶されており、該サーバコンピュータ1においては、利用者の簡易型携帯電話端末3から送信された入力情報に基づいて、前記コンテンツライブラリより該当するデータを選出し、該選出したデータと前記ゲーム処理プログラムに基づいて、ゲームコンテンツデータ(表示画面と効果音)を生成し、該生成したゲームコンテンツデータを利用者の簡易型携帯電話端末3に対して配信する処理を実施するようになっている。
【0015】また、これら配信されるゲームコンテンツデータは、C-HTMLや、HDML、MMLにて記述されたホームページ形式のWWW(ワールドワイドウェッブ)データにて構成されており、各簡易型携帯電話端末3において動作するブラウザソフトを用いて閲覧等を実施できるようになっている。
【0016】次いで、前記サーバコンピュータより配信されるゲームコンテンツデータを表示可能で、該表示されたゲームコンテンツに基づき利用者がゲームを実施可能な簡易型携帯電話端末3は、図3に示すように一般的に使用されている通常のPHS端末とほぼ同一とされていて、その構成は、図3に示すように、アンテナ51を介して前記基地局6と1.9GHz帯の電波のやり取りを実施するための受信部61および送信部62およびアンテナスイッチ63を備えたデータ通信手段としての送受信RFモジュール60と、この送受信RFモジュール60により受信された電波の復調および、前記送受信RFモジュール60により送信される電波の変調とを実施するπ/4シフトQPSK変復調モデム64と、受信したゲームコンテンツデータ等を記憶可能なメモリ67と、前記受信したゲームコンテンツデータを含む各種情報を表示するLCDパネル53とLCDドライバ69から成るLCDモジュール70と、マイク55より入力される音声を適応差分量子化(ADPCM)方式にてデジタル化するとともに、前記π/4シフトQPSK変復調モデム64より出力されるADPCMデータを音声信号に変換するADPCMコーデック72と、このADPCMコーデック72に接続されたアンプ73およびマイクロスピーカ52と、着信音や各種操作時における告知音を出力するサウンダやLED、バイブレータを駆動するドライバ71と、簡易型携帯電話端末3の前面に設けられ、電話番号等の数字を入力可能なテンキーや前記LCDパネル53に表示されるカーソルの移動を行う十字キーや決定キーやキャンセルキー等の各種スイッチ群から成る入力部54と、外部機器とのシリアルデータ通信を行うための外部接続端子56と、これら各種のデバイスを制御するMPU65と、から構成され、前記MPU65内部には、MPU65が行う制御動作を記述したプログラムおよび個々の簡易型携帯電話端末3に付与されている電話番号データや識別ID等が記憶された内部ROM66を有している。
【0017】このように構成された簡易型携帯電話端末3においては、前記入力部54の操作に基づき、前記サーバコンピュータ1にアクセス可能であって、該サーバコンピュータ1より配信されるゲームコンテンツデータが前記LCDパネル53に表示されるとともに、該LCDパネル53に表示された表示内容に基づき、入力部54を操作することで、該入力データが前記サーバコンピュータ1に送信されることでゲームが実施並びに進行され、前記サーバコンピュータ1のゲームプログラムに基づくゲームをアクセス利用者である簡易型携帯電話端末3の所持者が実施できるようになっている。」

「【0034】また、本実施例のサーバコンピュータ1では、前記マニュアルプレイにてゲームを実施中に、該サーバコンピュータ1と簡易型携帯電話端末3との通信が不用意に切断した場合において、該通信が中断した際のパラメータを前記コンテンツデータの送信先アドレスであるIPアドレスに対応付けて記憶装置15に登録されるようになっているとともに、その利用者の簡易型携帯電話端末3からの再度のアクセスがあった際に、該簡易型携帯電話端末3のIPアドレスが入手されて該IPアドレスに対応付けて前記記憶装置15にて登録されているパラメータが読み出されて該パラメータに基づくゲーム状況が再現され、該再現されたゲーム状況に基づくコンテンツデータが利用者の簡易型携帯電話端末3に配信されることで、通信が中断した際のゲーム状況からゲームを継続できるようになっている。
【0035】また、これら利用者の簡易型携帯電話端末3からの再接続が実施された際には、前記通信の中断時において登録された遊技パラメータが、記憶装置15より削除されるようになっていて、このようにすることでこれら遊技パラメータの登録に必要とされる記憶容量を最小限に抑えることができるようになっている。
【0036】これら中断された遊技の継続の状況を具体的に説明すると、例えば、図13(a)に示すように、プレイ画面が表示されている状態にて、サーバコンピュータ1との通信が切断され、コンテンツデータの受信完了の所定データの返信が所定時間に亘って簡易型携帯電話端末3よりなされずにゲームを続行できない状態において、サーバコンピュータ1は通信異常と判断してその時点での遊技パラメータを一時的に記憶装置15内に登録する。
【0037】これら通信異常の発生の後、例えば利用者が簡易型携帯電話端末3の図13(b)に示す再接続確認画面で1番の再接続を選択入力してサーバコンピュータ1へ再度アクセスすると、該サーバコンピュータ1からは、図13(c)に示すような前回の切断が生じたゲームを継続するか否かの選択画面が配信されて、利用者の選択入力を促すようになっており、この継続選択画面において利用者はゲームの継続/非継続を選択することができるようになっている。
【0038】この継続選択画面において、利用者が非実施である「いいえ」を選択入力した場合においては図5(a)に示すトップメニュー画面に移行し、利用者が実施である「はい」を選択入力した場合においては、通信の切断時において前述のようにして記憶装置15に該簡易型携帯電話端末3のIPアドレスに対応付けて登録されたパラメータを読み出し、該パラメータに基づくゲームコンテンツデータを該簡易型携帯電話端末3に対して再度配信し、該配信を受けた簡易型携帯電話端末3においては、図13(d)に示すように、図13(a)に示すプレイ画面が表示されることとなり、前記通信が切断された時点からゲームを継続実施できるようになっている。
【0039】以上説明したように本実施例のサーバコンピュータ1は、利用者の携帯電話端末との接続が切断した際に、その時点でのゲーム状況データ(パラメータ)を利用者を特定する情報に対応付けて記憶装置15に登録し、前記利用者からのアクセスが再度実施された際に、該登録したゲーム状況データ(パラメータ)に基づきゲームを継続実施可能にすることから、利用者は、仮に不用意な通信の切断が生じても、ゲームを継続して実施することができる。」

「図1


「図13



したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「ゲームコンテンツ提供システムであって、ゲームコンテンツ提供サーバであるサーバコンピュータ1と、該サーバコンピュータ1にインターネット網5を通じてアクセス可能な利用者が所持する簡易型携帯電話端末3とから主に構成され、
サーバコンピュータ1は、ゲーム処理プログラムに基づいて、ゲームコンテンツデータ(表示画面と効果音)を生成し、該生成したゲームコンテンツデータを利用者の簡易型携帯電話端末3に対して配信する処理を実施し、
サーバコンピュータより配信されるゲームコンテンツデータを表示可能で、該表示されたゲームコンテンツに基づき利用者がゲームを実施可能な簡易型携帯電話端末3は、
前記受信したゲームコンテンツデータを含む各種情報を表示するLCDパネル53とLCDドライバ69から成るLCDモジュール70と、各種スイッチ群から成る入力部54と、から構成され、
該LCDパネル53に表示された表示内容に基づき、入力部54を操作することで、該入力データが前記サーバコンピュータ1に送信されることでゲームが実施並びに進行され、前記サーバコンピュータ1のゲームプログラムに基づくゲームをアクセス利用者である簡易型携帯電話端末3の所持者が実施できるようになっており、
プレイ画面が表示されている状態にて、サーバコンピュータ1との通信が切断され、コンテンツデータの受信完了の所定データの返信が所定時間に亘って簡易型携帯電話端末3よりなされずにゲームを続行できない状態において、サーバコンピュータ1は通信異常と判断してその時点での遊技パラメータを一時的に記憶装置15内に登録し、
前記利用者からのアクセスが再度実施された際に、該登録したゲーム状況データ(パラメータ)に基づきゲームを継続実施可能にする、
ゲームコンテンツ提供システム。」

2 引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている(以下、「引用文献2記載の技術的事項」という。)。

「【0021】
《動画配信システムの構成》
図1は、本発明の実施形態に係る動画配信システムのシステム構成を示す図である。
【0022】
図示されるように、PC100と動画配信サーバ200とはインターネット等のネットワーク300を介して接続されている。本実施形態ではPC100は、動画配信コンテンツの一例として、動画配信サーバ200において実行されるゲームコンテンツに係るゲーム画面を、符号化動画データとして受信する。本実施形態では動画配信サーバ200は、PC100においてなされた操作(ユーザ入力)を受信し、該操作に応じたゲーム画面を1フレームごとに描画する。そして動画配信サーバ200は、描画したゲーム画面を符号化し、得られた符号化動画データをPC100に配信する。またPC100は、動画配信サーバ200から符号化動画データを受信すると、該符号化動画データを復号して再生することで、ユーザに対してゲーム画面を提供することができる。」

「図1



3 引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている(以下、「引用文献3記載の技術的事項」という。)。

「【0037】図4において、まず、CPU2は、KEY3から指示信号が入力されているか否か、即ちキー入力がなされているか否かを判断し(ステップS1)、キー入力がなされている場合であっても電源OFFキー32による手動電源OFFでないと判断した場合(ステップS5;No)には、待機状態となる。そして「キー入力が行われていない」と判断した場合には、CPU2は、タイマーカウンタテーブル62から、第1タイマー2Aのカウンタ初期値を読み出して、第1タイマー2Aの初期値を設定する(ステップS2)。
【0038】次いで、CPU2は、1秒間のウェイトの後、第1タイマー2Aのカウンタを1減らし(ステップS3)、KEY3から指示信号が入力されるか否かを判断する(ステップS4)。KEY3から指示信号の入力がなされた、即ち、キー操作が行われていると判断した場合であっても、電源OFFキー32による手動電源OFFでない場合(ステップS5;Yes)には、CPU2は、処理をステップS1へ移行して、ステップS1〜S5の処理を繰り返し実行する。
【0039】一方、ステップS5において、手動電源OFFキー32が押下された旨の指示信号が入力された場合には、CPU2は、処理をステップS13へ移行する。
【0040】ステップS4において「キー入力が行われていない」と判断した場合には、CPU2は、第1タイマー2Aのカウンタが0であるかどうかを判断し(ステップS6)、0となるまでステップS3〜S6の処理を繰り返し実行する。
【0041】ステップS6において「タイマーカウンタが0である」と判断した場合、CPU2は、OFF処理のサブルーチンである第1レジューム処理を実行する(ステップS7〜S8)。即ち、CPU2は、表示駆動部(DD)5への電源供給を切断する(ステップS7)。表示駆動部(DD)5への電源供給を切断することによって、表示駆動部(DD)5によって駆動されるLCD4への電源供給も切断され、LCD4の表示がOFFになる。次いで、CPU2は、通常モードから省電力モードへ移行する(ステップS8)。
【0042】この第1レジューム処理が実行された状態では、LCD4および表示駆動部(DD)5への電源供給が切断され、CPU2が省電力モードであるので、消費電力を抑えることができ、バッテリー20の消耗を防ぐことができる。また、この状態では、DRAM8への電源供給が継続されており、入力済みの計算式や演算結果等の情報はDRAM8に格納・保持されている。このため、CPU2を通常モードから省電力モードへ移行し、表示駆動部(DD)5への電源供給を開始するだけで、即時に第1レジューム処理実行前の状態に復帰することができる。
【0043】従来用いられていたNOR型フラッシュメモリ107を、本実施の形態においては、NAND型フラッシュメモリ6とした。確かに、NAND型フラッシュメモリは、NOR型フラッシュメモリより安価ではあるが、バイト単位での書き込みができないため、電源ON復帰時の処理時間が懸念され得る。しかし、第1レジューム処理が実行された状態では、DRAM8へ電源が供給されており、入力済みの計算式や演算結果等の情報はDRAM8に格納・保持されているため、電源ON復帰時の処理時間を高速化でき、上記懸念を排除することができる。
【0044】第1レジューム処理の後、CPU2は、タイマーカウンタテーブル62から、第2タイマー2Bのカウンタ初期値を参照して、第2タイマー2Bの初期値を設定する(ステップS9)。
【0045】そして、1秒間のウェイトの後、CPU2は、第2タイマー2Bのカウンタを1減らし(ステップS10)、電源OFFキー32が押下されたかどうかを判断する(ステップS11)。押下されていないと判断した場合には、CPU2は、第2タイマー2Bのカウンタが0であるかどうかを判断し(ステップS12)、タイマーカウンタが0となるまでステップS10〜S12の処理を繰り返し実行する。
【0046】ステップS5又はS11において電源OFFキー32が押下されたと判断した場合、或いは、ステップS12において「タイマーカウンタが0でない」と判断した場合、CPU2は、OFF処理のサブルーチンである第2レジューム処理を実行する(ステップS13〜S18)。
【0047】即ち、CPU2は、表示駆動部(DD)5への電源供給が行われているかどうかを判断し(ステップS13)、電源供給がなされていると判断した場合には、表示駆動部(DD)5への電源供給を切断する(ステップS14)。
【0048】次いで、CPU2が省電力モードであるか否かを判断し(ステップS15)、省電力モードでないと判断した場合には、動作モードを省電力モードへ移行する(ステ ップS16)。
【0049】そして、DRAM8に格納・保持されている情報を退避情報66として、NAND型フラッシュメモリ6に記憶した後(ステップS17)、DRAM8への電源供給を切断する(ステップS18)。このステップS13〜S18までの処理が第2レジューム処理である。」

第5 対比・判断

1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを比較すると、次のことがいえる。

ア 引用発明における「ゲームコンテンツデータ」は、「ゲーム処理プログラムに基づいて」生成されるものであり、「ゲーム」は「簡易型携帯電話端末3」の「入力部54を操作することで、該入力データが前記サーバコンピュータ1に送信されることで」「実施並びに進行され」るから、引用発明における「ゲームコンテンツデータ」は、本願発明1における「前記端末装置からの要求に従いプログラム処理を行」ったことによる「処理結果」に相当する。

イ 引用発明における「サーバコンピュータ1」は、「生成したゲームコンテンツデータを利用者の簡易型携帯電話端末3に対して配信する処理を実施」するから、上記アを踏まえると、本願発明1における「前記端末装置からの要求に従いプログラム処理を行い、処理結果を前記端末装置に送信するサーバ装置」に相当する。

ウ 引用発明における「簡易型携帯電話端末3」は、「該サーバコンピュータ1にインターネット網5を通じてアクセス可能」であり、「サーバコンピュータより配信されるゲームコンテンツデータを表示可能」であるから、上記ア、イを踏まえると、引用発明における「簡易型携帯電話端末3」と、本願発明1の「端末装置」とは、「ネットワークを介してサーバ装置に接続され、前記サーバ装置にゲームプログラムに係るプログラム処理を要求し、前記サーバ装置から処理結果を受信し表示を行う」点で共通する。

エ 引用発明における「サーバコンピュータ1」は、「中断された遊技の継続」のために、「遊技パラメータを一時的に記憶装置15内に登録」しているから、「ゲーム処理プログラム」を「中断」していることは明らかであり、引用発明における「サーバコンピュータ1」と、本願発明1における「サーバ装置」とは、「プログラム処理を一時中断する」点で共通する。

オ 引用発明における「ゲームコンテンツ提供システム」は、上記ア、イを踏まえると「インタラクティブ」であるといえる。
よって、引用発明における「ゲームコンテンツ提供システム」は、本願発明1における「インタラクティブシステム」に相当する。

(2)一致点・相違点
したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

[一致点]
「ネットワークを介してサーバ装置に接続され、前記サーバ装置にゲームプログラムに係るプログラム処理を要求し、前記サーバ装置から処理結果を受信し表示を行う端末装置と、
前記端末装置からの要求に従いプログラム処理を行い、処理結果を前記端末装置に送信するサーバ装置とを有し、
前記サーバ装置は、前記プログラム処理を一時中断するインタラクティブシステム。」

[相違点1]
本願発明1では「前記プログラム処理を一時中断」する条件が、「前記端末装置との通信が異常と判断した場合、前記プログラム処理を第1の所定時間継続し、前記第1の所定時間が経過した場合」であるのに対し、引用発明では「サーバコンピュータ1との通信が切断され、コンテンツデータの受信完了の所定データの返信が所定時間に亘って簡易型携帯電話端末3よりなされずにゲームを続行できない状態において、サーバコンピュータ1は通信異常と判断」した場合である点。

[相違点2]
本願発明1では「プログラム処理」が「ゲームプログラムに係るゲーム画像の符号化を含む」のに対し、引用発明ではそのように特定されていない点。

(3)相違点についての判断
相違点1について検討する。
一般的に、通信において「切断」状態の発生時点と、「切断」状態の判断時点とは異なるものであって、切断状態の発生から判断に至るまでに所定の時間が必要であることは当該技術分野において技術常識である。
本願発明1は、「前記サーバ装置は、前記端末装置との通信が異常と判断した場合、前記プログラム処理を第1の所定時間継続し、前記第1の所定時間が経過した場合、前記プログラム処理を一時中断する」ものであり、引用発明では、異常判断時にその時点での遊技パラメータを一時的に記憶装置内に登録するのに対し、本願発明1は、異常判断時から第1の所定時間プログラム処理を継続する点で異なる。
そして、下記参考図のように、引用発明の「所定時間」は、通信切断時から異常判断時までであるのに対し、本願発明1の「第1の所定時間」は、異常判断時から開始する点で異なり、引用発明と本願発明1とでは、プログラム処理を一時中断する時間が大きく異なる。
【参考図】


してみると、本願発明1は、切断状態の発生から所定時間後に異常判断を行い、その後更に「第1の所定時間」の経過を待ってプログラム処理の一時中断を行うものということができ、当業者といえども、引用発明の切断状態の発生から所定時間後に異常判断とプログラム処理の一時中断を行う構成から、上記相違点1に係る構成を容易に想到することはできない。

したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明および引用文献2記載の技術事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

2 本願発明2−6,8−12について
本願発明2−6,8−12は、本願発明1の上記相違点1及び2に係る構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても引用発明及び引用文献2,3記載の技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

3 本願発明7,13について
本願発明7は、本願発明1に含まれる「サーバ装置」に係る発明であって上記相違点1及び2に係る構成を備えるものであり、本願発明13は、「サーバ装置」である本願発明7とカテゴリー違いで実質的に同様内容の「プログラム」に係る発明であるので、いずれも本願発明1と同様の理由により、当業者であっても引用発明及び引用文献2記載の技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明1−13は、当業者が引用発明及び引用文献2,3記載の技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。






 
審決日 2022-09-06 
出願番号 P2020-153555
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 ▲吉▼田 耕一
特許庁審判官 石井 則之
野崎 大進
発明の名称 インタラクティブシステム、端末装置、サーバ装置、制御方法、プログラム、及び記録媒体  
代理人 野口 信博  

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