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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04L
管理番号 1389324
総通号数 10 
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-10-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2022-04-12 
確定日 2022-10-11 
事件の表示 特願2020− 89017「データ通信のためのシステム、方法及び装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 9月10日出願公開、特開2020−145730、請求項の数(22)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2013年(平成25年)12月20日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2012年12月21日、米国、2013年5月23日、米国、2013年12月20日、米国)を国際出願日とする特願2015−549773号の一部を平成30年9月6日に新たな特許出願とした特願2018−166524号の一部を令和2年5月21日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年 5月19日付け:拒絶理由通知書
令和3年 8月25日 :意見書、手続補正書の提出
令和3年12月 9日付け:拒絶査定
令和4年 4月12日 :審判請求書、手続補正書の提出

第2 原査定の概要
原査定(令和3年12月9日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
本願請求項1−5、7−14、18−22に係る発明は、以下の引用文献1−2、4−7に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。また、本願請求項6、15−17に係る発明は、以下の引用文献1−3、5−7に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
1.米国特許出願公開第2011/0021140号明細書
2.特開2005−109849号公報
3.特開平07−245625号公報
4.特開2006−332984号公報
5.特開2006−260325号公報
6.特開2001−111552号公報
7.特開平10−027115号公報

第3 本願発明
本願請求項1−22に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」−「本願発明22」という。)は、令和4年4月12日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1−22に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1、8は以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
ハブであって、
医療機器とデータを通信するように構成されるローカルエリアネットワークインターフェースコンポーネントと、
第1の通信チャネルとインターフェース接続するように構成されている第1のモジュール上のシステム(system−on−module)と、
第2の通信チャネルとインターフェース接続するように構成される第2のモジュール上のシステム(system−on−module)と、
前記医療機器からデータを少なくとも1つのパケットにパッケージ化するように構成されているプロセッサであり、前記少なくとも1つのパケットのうちの1つのパケットはヘッダを含み、前記プロセッサはさらに第1及び第2の通信チャネルの1つにより前記少なくとも1つのパケットを通信するために、第1及び第2のモジュール上のシステム(system−on−module)の1つと動作可能に通信するように構成され、前記プロセッサは時間パラメータを前記パケットの前記ヘッダへ追加するようにさらに構成されたプロセッサと、
衛星システムコンポーネントであって、前記プロセッサは衛星システムにより決定された時間を用いて前記時間パラメータを前記ヘッダへ追加するように構成された衛星システムコンポーネントと、
前記ハブのアラーム状態が発生した時に、前記医療機器に信号を送るように構成されたアラームバスと、
前記ハブに致命的なエラー障害状態が発生したときに、致命的なエラー状態信号を提供するよう構成されたフェイルセーフバスであって、前記ハブの前記致命的なエラー障害状態は、前記ハブに結合された医療機器によって定義され、前記フェイルセーフバスは、前記ハブに前記致命的なエラー障害状態が発生したときに、前記致命的なエラー状態信号を、前記ハブから前記医療機器に通信するフェイルセーフバスと、
を備えることを特徴とするハブ。」

「【請求項8】
システムであって、
ローカルエリアネットワークを介して医療機器との間でデータを通信し、そして少なくとも1つのアプリケーション層パケットにデータをパッケージ化するように構成されている第1のハブと、
少なくとも1つのセルラーネットワークを介して動作可能に前記第1のハブから前記少なくとも1つのアプリケーション層パケットを受信するように構成される第2のハブとを備え、
前記第1のハブは、少なくとも1つのグローバル・ポジショニング信号を用いて時間パラメータを決定するように構成されたグローバル・ポジショニング・コンポーネントを含み、
前記第1のハブは、少なくとも1つのアプリケーション層パケットのうちのアプリケーション層パケットのヘッダに時間パラメータを追加するように構成され、
前記第2のハブは、前記時間パラメータが所定の基準を満たすか否かを判定するように構成され、
前記第1のハブは、前記ハブに致命的なエラー障害状態が発生したときに、致命的なエラー状態信号を提供するよう構成されたフェイルセーフバスであって、前記ハブの前記致命的なエラー障害状態は、前記ハブに結合された医療機器によって定義され、前記フェイルセーフバスは、前記ハブに前記致命的なエラー障害状態が発生したときに、前記致命的なエラー状態信号を、前記ハブから医療機器に通信するフェイルセーフバスを含む、
ことを特徴とするシステム。」

また、本願発明2−7は、本願発明1を減縮した発明である。
さらに、本願発明9−22は、本願発明8を減縮した発明である。

第4 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審で付した。以下同じ。)。

「[0032] FIG. 2 is a diagram of components of a sensor hub 101 according to an exemplary embodiment. The sensor hub 101 for instance, enables easy plug and play installation of sensors and/or devices 103a-103m. The sensor hub 101 also facilitates management of the flow of data in and out of the sensor hub 101 to the sensor backend platform 105 As shown, the sensor hub 101 includes several modules and components to manage a network of, for instance, medical and environmental sensors. It is contemplated that the functions of the modules and components may be combined or performed by other components or logic of the system of FIG. 1. In one embodiment, the sensor hub 101 includes a control logic 201 dongle multiplexer 203 wireless module 205 NFC reader 207 network communication module 209 local communication module 211 and data buffer 213. The control logic 201 may, for instance, interact with the dongle multiplexer 203 to detect when a dongle 115 /sensor 103 pair has been inserted into the sensor hub 101. The insertion of the dongle 115 then causes the control logic 201 to direct the wireless module 205 to pair and communicate with the sensor 103 corresponding to the attached dongle 115. The wireless module 205 supports a variety of short range communication protocols such as Bluetooth, WiFi, and other similar radio frequency (RF) protocols.」
[当審訳]
「[0032]図2は、例示的な実施形態によるセンサハブ101の構成要素の図である。センサハブ101は、例えば、センサ及び/又はデバイス103a−103mの容易なプラグアンドプレイ設置を可能にする。センサハブ101はまた、センサハブ101からセンサバックエンドプラットフォーム105へのデータのフローの管理を容易にする。図示されるように、センサハブ101は、例えば、医療及び環境センサのネットワークを管理するためのいくつかのモジュール及び構成要素を含む。モジュール及び構成要素の機能は、図1のシステムの他の構成要素又は論理によって組み合わされるか、又は実行され得ることが企図される。一実施形態では、センサハブ101は、制御ロジック201、ドングルマルチプレクサ203、無線モジュール205、NFCリーダ207、ネットワーク通信モジュール209、ローカル通信モジュール211、及びデータバッファ213を含む。制御ロジック201は、例えば、ドングルマルチプレクサ203と相互作用して、ドングル115/センサ103ペアがセンサハブ101に挿入されたときを検出することができる。ドングル115の挿入により、制御ロジック201は、無線モジュール205に、取り付けられたドングル115に対応するセンサ103とペアリングして通信するように指示する。無線モジュール205は、Bluetooth(登録商標)、WiFi、及び他の同様の無線周波数(RF)プロトコルなどの様々な短距離通信プロトコルをサポートする。」

「[0034] With respect to sensor configuration and data collection, the control logic 201 interacts with the network communication module 209 to communicate with the sensor backend platform 105 over either the wireless network 117 or the wired network 119 to access the public data network 109. The network communication module 209 can support any number of wireless communication protocols (e.g., cellular protocols) such as GSM, CDMA, etc., to enable the sensor hub 101 to communicate with the sensor backend platform 105 without needing to maintain or rely on a separate data (e.g., Internet) connection in the patient's home. The control logic 201 for instance, stores the data collected from the sensors 103a-103m in a data buffer 213 for transmission to the sensor backend platform 105. In certain embodiments, sensor hub 101 may transmit the data immediately without local storage. In either case, the transmission can occur over an encrypted transmission to protect the privacy of the sensor data.」
[当審訳]
「[0034]センサ構成及びデータ収集に関して、制御ロジック201は、ネットワーク通信モジュール209と相互作用して、無線ネットワーク117又は有線ネットワーク119のいずれかを介してセンサバックエンドプラットフォーム105と通信して、公衆データネットワーク109にアクセスする。ネットワーク通信モジュール209は、GSM、CDMAなどの任意の数の無線通信プロトコル(例えば、セルラープロトコル)をサポートして、患者の家における別個のデータ(例えば、インターネット)接続を維持するか又はそれに頼る必要なく、センサハブ101がセンサバックエンドプラットフォーム105と通信することを可能にすることができる。制御ロジック201は、例えば、センサバックエンドプラットフォーム105への送信のために、センサ103a−103mから収集されたデータをデータバッファ213に記憶する。いくつかの実施形態では、センサハブ101は、ローカルストレージなしで直ちにデータを送信することができる。いずれの場合も、送信は、センサデータのプライバシーを保護するために、暗号化された送信を介して行うことができる。」

「[0044] In one embodiment, the sensors and/or devices 103a-103m available to connect to the sensor hub 101 may include health (e.g., medical) sensors/devices and environmental sensors/devices. For example, health sensors include a blood pressure meter, pulse meter, scale, thermometer, glucometer, oxymeter, spirometer, and other similar sensors. Environmental sensors include, for instance, smoke detectors, CO detectors, and internal and external temperature sensors. Environmental sensors may also be used to detect basic user activity such as opening a refrigerator, entering the bathroom, movement and activity in particular rooms of the patient's house, fall detectors, etc. Data from the sensors 103a-103m can be read wirelessly from the sensors 103a-103m and transmitted (e.g., pushed) to the sensor backend platform 105 over either the wireless network 117 or the wired network 119.」
[当審訳]
「[0044]一実施形態では、センサハブ101に接続するために利用可能なセンサ及び/又はデバイス103a−103mは、健康(例えば、医療)センサ/デバイス及び環境センサ/デバイスを含み得る。例えば、健康センサは、血圧計、脈拍計、体重計、体温計、血糖計、オキシメータ、肺活量計、及び他の同様のセンサを含む。環境センサは、例えば、煙検出器、CO検出器、並びに内部及び外部温度センサを含む。環境センサはまた、冷蔵庫を開けること、浴室に入ること、患者の家の特定の部屋における動き及び活動、転倒検出器などの基本的なユーザ活動を検出するために使用され得る。センサ103a−103mからのデータは、センサ103a−103mから無線で読み取られ、無線ネットワーク117又は有線ネットワーク119のいずれかを介してセンサバックエンドプラットフォーム105に送信(例えば、プッシュ)され得る。」

「図1



「図2



したがって、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「センサハブ101であって、
センサハブ101は、制御ロジック201、ドングルマルチプレクサ203、無線モジュール205、NFCリーダ207、ネットワーク通信モジュール209、ローカル通信モジュール211、及びデータバッファ213を含み、
ドングル115の挿入により、制御ロジック201は、無線モジュール205に、取り付けられたドングル115に対応するセンサ103とペアリングして通信するように指示し、
無線モジュール205は、Bluetooth(登録商標)、WiFi、及び他の同様の無線周波数(RF)プロトコルなどの様々な短距離通信プロトコルをサポートし、
センサ構成及びデータ収集に関して、制御ロジック201は、ネットワーク通信モジュール209と相互作用して、無線ネットワーク117又は有線ネットワーク119のいずれかを介してセンサバックエンドプラットフォーム105と通信して、公衆データネットワーク109にアクセスし、
センサハブ101に接続するために利用可能なセンサ及び/又はデバイス103a−103mは、健康(例えば、医療)センサ/デバイスを含み、
健康センサは、血圧計、脈拍計、体重計、体温計、血糖計、オキシメータ、肺活量計、及び他の同様のセンサを含む、
ことを特徴とするセンサハブ101。」

2 引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0073】
図4に、送信制御部14において変換されたデータのメールヘッダのデータ項目例を示す。
【0074】
メールヘッダには、以下のようなメッセージID(Message−Id)が設定される。また、置き換え依頼の場合には、ヘッダの拡張記述として、以下のような、置き換え依頼(X−Mailreplace−Support)、および置き換え確認(X−Mailreplace−Check)が追加される。
【0075】
メッセージID(Message−Id):<時間.送信サーバ識別子/サービス名.受信サーバ識別子.ファイル識別子@アドレス@通番/前日の最終通番@>
置き換え依頼(X−Mailreplace−Support):依頼A@暗号化したメッセージID@置き換えチェック@置き換え回数
置き換え確認(X−Mailreplace−Check):位置@hash=ハッシュ値
「メッセージID」の時間は、メール送信の日時情報である。なお、送信日は、時間から抽出される。送信サーバ識別子は、送信元のデータ送信を制御する送信サーバ1の識別情報である。サービス名は、一つの送信・受信を特定するための処理に対する名称である。受信サーバ識別子は、送信先のデータ受信を制御する受信サーバ2の識別情報である。」

3 引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0041】
次いで、中継依頼管理部109において作成されるヘッダと、メールを転送する場合の、メールのフレーム構造とを説明する。図4は、メールを転送する場合の、メールのフレーム構造を示す図である。図4において、1つのフレームFは、メールのデータが格納されるメール本体αと、メールに付加されるヘッダβと、トレイラγとで構成される。トレイラγには、メールのデータ量を表すメール長と、メール等のデータの誤りを訂正する誤り訂正符号が格納される。」

4 引用文献4について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0018】
一方、受信モジュール150には、送信モジュール150から受信した信号に基づいて通信レートを特定する通信レート特定部151と、特定された通信レートに応じて受信信号からデータやエラー判定情報などを抽出するデータ抽出部152と、特定された通信レートに対応するエラー抑制方法および送信モジュール100から受信したエラー判定情報を用いて、送信モジュール100から受信したデータのエラーを検出するエラー検出部153と、エラーが検出されると送信モジュール150にエラー通知を送信するエラー通知部154とが含まれている。」

「【図1】



5 引用文献5について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献5には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0027】
通常、各パーティションで分けられた各ユニットA1は、ユニットB2と遣り取りをBUS?A5(例えば、Local Request Bus)を介して行い、ユニットA内部で解決できないリクエストをユニットB2に送信する。(図1に示す(1)’情報送出である)
そして、選択部11で受信したリクエストを他の各ユニットA1に、BUS?B6(例えば、Global Strage Address Bus)を介してブロードキャストする。(図1に示す(2)パーティションへのリクエスト送信である)
ところが、あるユニットA1で障害を検出した時、その障害ユニットA1は決められたタイミングでBUS−C7を用いて障害情報をユニットB2へ送出する(図1に示す(3)の障害通知、通常通知である、障害がなければ通常は通常通知である)。」

「【図1】



6 引用文献6について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献6には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0002】
【従来の技術】従来、交換システムは、図7に示すように、少なくとも交換機91を含んで構成されており、交換機91にはその内部で障害が発生した時に、その障害情報を収集する機能(図示せず)と収集された障害情報を監視局8に通知する機能(図示せず)とを有している。」

「【図7】



7 引用文献7について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献7には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0004】エラー収集回路61は下位装置6内部の障害情報(LOGともいう)を集め、障害情報採取用の専用パスである障害データ611を介して上位装置5に一定量ずつ(主記憶装置53の番地毎に)転送する。チェック回路63は下位装置6内部のハードウェア故障を検出し、障害割込み631によって障害発生を上位装置5に通知する。バッファ制御回路64は入力レジスタ62のデータのデータバッファ65への書込みと、データバッファ65からのデータの読出しと、データバッファ65から読出したデータの主記憶装置53への転送とを夫々制御する。」

「【図5】



第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

ア 引用発明の「センサハブ101」は、本願発明1の「ハブ」に相当する。

イ 引用発明において、「センサ及び/又はデバイス103a−103mは、健康(例えば、医療)センサ/デバイスを含み、健康センサは、血圧計、脈拍計、体重計、体温計、血糖計、オキシメータ、肺活量計、及び他の同様のセンサを含む」ことから、「センサ及び/又はデバイス103a−103m」は、医療機器を含むことは明らかである。したがって、引用発明の「センサ及び/又はデバイス103a−103m」は、本願発明1の「医療機器」に相当する。また、引用発明において、「センサ103」は「センサ及び/又はデバイス103a−103m」の総称であるから、引用発明の「センサ103」も、本願発明1の「医療機器」に相当する。

ウ 引用発明において、「ドングル115の挿入により、制御ロジック201は、無線モジュール205に、取り付けられたドングル115に対応するセンサ103とペアリングして通信するように指示」することから、無線モジュール205は、センサ103とデータを通信するように構成されていることは明らかである。ここで、センサ103はセンサハブ101にとって外部装置であるから、センサ103という外部装置とデータを通信する無線モジュール205は、インターフェースコンポーネントであるといえる。

エ 引用発明の「無線モジュール205」は、「Bluetooth(登録商標)、WiFi、及び他の同様の無線周波数(RF)プロトコルなどの様々な短距離通信プロトコルをサポートし」ている。ここで、通信技術分野の技術常識に鑑みると、短距離通信プロトコルはローカルエリアネットワークで用いられることが明らかである。そうすると、上記ウを踏まえると、引用発明の「無線モジュール205」は、本願発
明1の「ローカルエリアネットワークインターフェースコンポーネント」に相当する。

オ 上記イ−エを踏まえると、引用発明の「無線モジュール205」は、本願発明1の「医療機器とデータを通信するように構成されるローカルエリアネットワークインターフェースコンポーネント」に相当する。

したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)
「ハブであって、
医療機器とデータを通信するように構成されるローカルエリアネットワークインターフェースコンポーネントと、
を備えることを特徴とするハブ。」

(相違点1)
本願発明1では「第1の通信チャネルとインターフェース接続するように構成されている第1のモジュール上のシステム(system−on−module)と、第2の通信チャネルとインターフェース接続するように構成される第2のモジュール上のシステム(system−on−module)」を備えるのに対し、引用発明では、「無線ネットワーク117又は有線ネットワーク119のいずれかを介してセンサバックエンドプラットフォーム105と通信して、公衆データネットワーク109にアクセス」する「ネットワーク通信モジュール209」を備える点。

(相違点2)
本願発明1では「前記医療機器からデータを少なくとも1つのパケットにパッケージ化するように構成されているプロセッサであり、前記少なくとも1つのパケットのうちの1つのパケットはヘッダを含み、前記プロセッサはさらに第1及び第2の通信チャネルの1つにより前記少なくとも1つのパケットを通信するために、第1及び第2のモジュール上のシステム(system−on−module)の1つと動作可能に通信するように構成され、前記プロセッサは時間パラメータを前記パケットの前記ヘッダへ追加するようにさらに構成されたプロセッサ」を備えるのに対し、引用発明では、そのようなプロセッサについて特定されていない点。

(相違点3)
本願発明1では「衛星システムコンポーネントであって、前記プロセッサは衛星システムにより決定された時間を用いて前記時間パラメータを前記ヘッダへ追加するように構成された衛星システムコンポーネント」を備えるのに対し、引用発明では、そのような衛星システムコンポーネントについて特定されていない点。

(相違点4)
本願発明1では「前記ハブのアラーム状態が発生した時に、前記医療機器に信号を送るように構成されたアラームバス」を備えるのに対し、引用発明では、そのようなアラームバスについて特定されていない点。

(相違点5)
本願発明1では「前記ハブに致命的なエラー障害状態が発生したときに、致命的なエラー状態信号を提供するよう構成されたフェイルセーフバスであって、前記ハブの前記致命的なエラー障害状態は、前記ハブに結合された医療機器によって定義され、前記フェイルセーフバスは、前記ハブに前記致命的なエラー障害状態が発生したときに、前記致命的なエラー状態信号を、前記ハブから前記医療機器に通信するフェイルセーフバス」を備えるのに対し、引用発明では、そのようなフェイルセーフバスについて特定されていない点。

(2)相違点についての判断
事案に鑑みて、相違点5について先に検討する。
上記第4の4に記載のとおり、引用文献4には、「エラーが検出されると送信モジュールにエラー通知を送信する」という技術的事項が記載されている。
また、上記第4の5に記載のとおり、引用文献5には、「あるユニットで障害を検出した時、その障害ユニットは決められたタイミングでBUSを用いて障害情報をユニットへ送出する」という技術的事項が記載されている。
さらに、上記第4の6に記載のとおり、引用文献6には、「交換機にはその内部で障害が発生した時に、その障害情報を収集する機能と収集された障害情報を監視局に通知する機能とを有する」という技術的事項が記載されている。
加えて、上記第4の7に記載のとおり、引用文献7には、「エラー収集回路は下位装置内部の障害情報を集め、障害情報採取用の専用パスである障害データを介して上位装置に転送する」という技術的事項が記載されている。
しかしながら、相違点5に係る本願発明1の「前記ハブに致命的なエラー障害状態が発生したときに、致命的なエラー状態信号を提供するよう構成されたフェイルセーフバスであって、前記ハブの前記致命的なエラー障害状態は、前記ハブに結合された医療機器によって定義され、前記フェイルセーフバスは、前記ハブに前記致命的なエラー障害状態が発生したときに、前記致命的なエラー状態信号を、前記ハブから前記医療機器に通信するフェイルセーフバス」を備える構成は、引用文献4−7には記載されていない。
したがって、相違点5に係る本願発明1の構成は、引用文献2−7に記載されたものではなく、周知技術であるともいえないから、当業者といえども、引用発明及び引用文献2−7に記載された技術的事項から、相違点5に係る本願発明1の構成を容易に想到することはできない。
したがって、上記相違点1−4について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2−7に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

2 本願発明2−7について
本願発明2−7も、本願発明1と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2−7に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

3 本願発明8について
本願発明8も、上記相違点5に係る本願発明1の構成と実質的に同じである「前記第1のハブは、前記ハブに致命的なエラー障害状態が発生したときに、致命的なエラー状態信号を提供するよう構成されたフェイルセーフバスであって、前記ハブの前記致命的なエラー障害状態は、前記ハブに結合された医療機器によって定義され、前記フェイルセーフバスは、前記ハブに前記致命的なエラー障害状態が発生したときに、前記致命的なエラー状態信号を、前記ハブから医療機器に通信するフェイルセーフバスを含む」という構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2−7に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

4 本願発明9−22について
本願発明9−22も、本願発明8と同一の構成を備えるものであるから、本願発明8と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2−7に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明1−22は、当業者が引用発明及び引用文献2−7に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。


 
審決日 2022-09-27 
出願番号 P2020-089017
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H04L)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 ▲吉▼田 耕一
特許庁審判官 野崎 大進
中野 裕二
発明の名称 データ通信のためのシステム、方法及び装置  
代理人 山崎 行造  
代理人 赤松 利昭  
代理人 内藤 忠雄  

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