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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 B65D 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 B65D |
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管理番号 | 1389357 |
総通号数 | 10 |
発行国 | JP |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2022-10-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2020-08-05 |
確定日 | 2022-08-05 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | true |
事件の表示 | 特許第6643722号発明「積層剥離容器」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6643722号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1−3、5〕について訂正することを認める。 特許第6643722号の請求項4に係る特許を取り消す。 特許第6643722号の請求項1〜3、5に係る特許を維持する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第6643722号の請求項1〜5に係る特許についての出願は、平成26年10月22日(優先権主張 平成25年11月27日)を出願日とする特願2014−215510号の一部を平成28年8月24日に新たな特許出願とするものであって、令和2年1月9日に特許権の設定登録がされ、令和2年2月12日に特許掲載公報が発行された。その特許についての本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。 令和2年8月5日:特許異議申立人高(「はしごたか」であるが「高」と表記する。)市悦永(以下「申立人」という。)による特許異議の申立て 令和2年11月13日付け:取消理由通知書 令和3年1月8日:特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 令和3年3月2日付け:訂正拒絶理由通知書 令和3年3月19日:特許権者による意見書の提出 令和3年5月14日:申立人による意見書の提出 令和3年8月3日付け:取消理由通知書(決定の予告) 令和3年9月8日:特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 令和3年10月20日:申立人による意見書の提出 令和4年1月21日付け:取消理由通知書(決定の予告) 特許権者からは、期間を指定して通知した上記令和4年1月21日付け取消理由通知書(決定の予告)に対して、当該指定期間内に何らの応答もなかった。 なお、令和3年1月8日提出の訂正請求書による訂正の請求は、令和3年9月8日提出の訂正請求書による訂正の請求がなされたことにより、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなす。 第2 訂正の請求についての判断 1 訂正の内容 令和3年9月8日提出の訂正請求書による訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)は、「特許第6643722号の特許請求の範囲を本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1〜3及び5について訂正することを求める。」というものであり、その訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は以下のとおりである。(下線は訂正箇所を示す。) (訂正事項1) 本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1に 「外層と内層とを備え、内容物の減少に伴って前記内層によって構成される内袋が収縮する積層剥離容器であって、 前記外層によって構成される外殻には、外気導入孔が設けられており、 前記積層剥離容器は、前記外殻の圧縮時に前記外気導入孔を通じた空気の漏れ出しが妨げられるように構成され、 前記外層は、プロピレンと別のモノマーとの間のランダム共重合体からなるランダム共重合体層を備え、 前記内層は、EVOHからなり且つ最外層であるEVOH層と、前記EVOH層よりも容器内面側に接着層を介して内面層を備え、 前記内面層は、直鎖状低密度ポリエチレンからなり、 前記接着層は、酸変性ポリエチレンを含む、積層剥離容器。」とあるのを、 「外層と内層とを備え、内容物の減少に伴って前記内層によって構成される内袋が収縮する容器本体と、弁部材を有する積層剥離容器であって、 前記外層によって構成される外殻には、外気導入孔が設けられており、 前記容器本体は、前記内容物を収容する収容部と、前記収容部から内容物を吐出する口部を備え、 前記外気導入孔は、前記収容部に設けられた凹部内に設けられ、 前記積層剥離容器は、前記外殻の圧縮時に前記外気導入孔を通じた空気の漏れ出しが妨げられるように構成され、 前記外層は、プロピレンとエチレンとの間のランダム共重合体を含むランダム共重合体層を備え、 前記ランダム共重合体層を構成する材料中、前記ランダム共重合体以外の材料の割合は、前記ランダム共重合体層を構成する材料全体に対して50重量%未満であり、 前記内層は、EVOHからなり且つ最外層であるEVOH層と、前記EVOH層よりも容器内面側に接着層を介して内面層を備え、 前記内面層は、直鎖状低密度ポリエチレンからなり、 前記接着層は、酸変性ポリエチレンを含み、 前記外層の最内層は、前記ランダム共重合体層であるか、又は低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体及びその混合物から選択される材料で構成される層であり、 前記弁部材は、前記外殻と前記内袋の間の中間空間と、前記容器本体の外部空間との間の空気の出入りを調節し、 前記弁部材は、前記外気導入孔に装着され、 前記凹部は、前記収容部を覆うシュリンクフィルムで覆われる、積層剥離容器。」に訂正する。(請求項1を引用する請求項2、3、5についても同様に訂正する。) (訂正事項2) 本件訂正前の特許請求の範囲の請求項2に 「前記接着層は、前記酸変性ポリエチレンと直鎖状低密度ポリエチレンの混合物からなる、請求項1に記載の積層剥離容器。」とあるのを、 「前記接着層は、前記酸変性ポリエチレンと直鎖状低密度ポリエチレンの混合物からなり、 前記容器本体には、前記凹部から前記口部の方向に延びる空気流通溝が設けられる、請求項1に記載の積層剥離容器。」に訂正する。(請求項2を引用する請求項3、5についても同様に訂正する。) (訂正事項3) 本件訂正前の特許請求の範囲の請求項5に 「請求項1〜請求項4の何れか1つに記載の積層剥離容器」とあるのを、 「請求項1〜請求項3の何れか1つに記載の積層剥離容器」に訂正する。 ここで、訂正前の請求項1〜3及び5は、請求項2、3及び5が、訂正の請求の対象である請求項1の記載を引用し、請求項1に連動して訂正する関係にあるから、本件訂正は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項〔1〜3、5〕について請求されている。 2 訂正の適否 (1)訂正事項1 ア 訂正の目的 上記訂正事項1は、訂正前の請求項1に記載された「積層剥離容器」について、「前記内容物を収容する収容部と、前記収容部から内容物を吐出する口部を備え」る「容器本体と、弁部材を有する」ものに限定し、「外気導入孔」について、「前記収容部に設けられた凹部内に設けられ」るものに限定し、さらに、「積層剥離容器」について、「前記弁部材は、前記外殻と前記内袋の間の中間空間と、前記容器本体の外部空間との間の空気の出入りを調節し、 前記弁部材は、前記外気導入孔に装着され、 前記凹部は、前記収容部を覆うシュリンクフィルムで覆われる」ことを限定し、そして、訂正前の請求項1に記載された「プロピレンと別のモノマーとの間のランダム共重合体からなるランダム共重合体層」が、本件特許明細書の【0033】の記載との関係で、プロピレンと別のモノマーとの間のランダム共重合体のみからなるランダム共重合体層であるのか、プロピレンと別のモノマーとの間のランダム共重合体以外の樹脂をも含むランダム共重合体層であるのかが不明確であったものを、「前記外層は、プロピレンとエチレンとの間のランダム共重合体を含むランダム共重合体層を備え、 前記ランダム共重合体層を構成する材料中、前記ランダム共重合体以外の材料の割合は、前記ランダム共重合体層を構成する材料全体に対して50重量%未満であ」るものに訂正することで、明確にするとともに限定し、「外層」について、「前記外層の最内層は、前記ランダム共重合体層であるか、又は低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体及びその混合物から選択される材料で構成される層である」ものに限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明に該当するものである。 イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記訂正事項1は、本件特許明細書の【0011】〜【0013】、【0020】、【0023】、【0024】、【0030】、【0031】、【0033】及び図1〜図2の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものである。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 上記訂正事項1は、上記アのとおりであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (2)訂正事項2 ア 訂正の目的 上記訂正事項2は、訂正前の請求項2に記載された「積層剥離容器」について、「前記容器本体には、前記凹部から前記口部の方向に延びる空気流通溝が設けられる」ものに限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮に該当するものである。 イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記訂正事項2は、本件特許明細書の【0024】の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものである。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 上記訂正事項2は、上記アのとおりであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (3)訂正事項3 ア 訂正の目的 上記訂正事項3は、訂正前の請求項5の「請求項1〜請求項4の何れか1つ」を引用するものから、「請求項1〜請求項3の何れか1つ」を引用するものに訂正することで、請求項4を引用するものを削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮に該当するものである。 イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記訂正事項3は、上記アのとおりであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものである。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 上記訂正事項は、上記アのとおりであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (4)小括 以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、並びに同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1〜3、5〕について訂正することを認める。 第3 本件発明 上記のとおり本件訂正は認められるから、本件特許の請求項1〜5に係る発明(以下「本件発明1〜5」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1〜5に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。 「【請求項1】 外層と内層とを備え、内容物の減少に伴って前記内層によって構成される内袋が収縮する容器本体と、弁部材を有する積層剥離容器であって、 前記外層によって構成される外殻には、外気導入孔が設けられており、 前記容器本体は、前記内容物を収容する収容部と、前記収容部から内容物を吐出する口部を備え、 前記外気導入孔は、前記収容部に設けられた凹部内に設けられ、 前記積層剥離容器は、前記外殻の圧縮時に前記外気導入孔を通じた空気の漏れ出しが妨げられるように構成され、 前記外層は、プロピレンとエチレンとの間のランダム共重合体を含むランダム共重合体層を備え、 前記ランダム共重合体層を構成する材料中、前記ランダム共重合体以外の材料の割合は、前記ランダム共重合体層を構成する材料全体に対して50重量%未満であり、 前記内層は、EVOHからなり且つ最外層であるEVOH層と、前記EVOH層よりも容器内面側に接着層を介して内面層を備え、 前記内面層は、直鎖状低密度ポリエチレンからなり、 前記接着層は、酸変性ポリエチレンを含み、 前記外層の最内層は、前記ランダム共重合体層であるか、又は低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体及びその混合物から選択される材料で構成される層であり、 前記弁部材は、前記外殻と前記内袋の間の中間空間と、前記容器本体の外部空間との間の空気の出入りを調節し、 前記弁部材は、前記外気導入孔に装着され、 前記凹部は、前記収容部を覆うシュリンクフィルムで覆われる、積層剥離容器。 【請求項2】 前記接着層は、前記酸変性ポリエチレンと直鎖状低密度ポリエチレンの混合物からなり、 前記容器本体には、前記凹部から前記口部の方向に延びる空気流通溝が設けられる、請求項1に記載の積層剥離容器。 【請求項3】 前記外層は、前記積層剥離容器の成形時にでたバリをリサイクルして使用したリプロ層を備える、請求項1又は請求項2に記載の積層剥離容器。 【請求項4】 外層と内層とを備え、内容物の減少に伴って前記内層によって構成される内袋が収縮する積層剥離容器であって、 前記外層によって構成される外殻には、外気導入孔が設けられており、 前記積層剥離容器は、前記外殻の圧縮時に前記外気導入孔を通じた空気の漏れ出しが妨げられるように構成され、 前記内層は、EVOHからなるEVOH層を含み、 前記外層は、前記積層剥離容器の成形時にでたバリをリサイクルして使用したリプロ層と、その両側にポリプロピレン層を備える、積層剥離容器。 【請求項5】 前記EVOHは、エチレン含有量が32mol%以下である、請求項1〜請求項3の何れか1つに記載の積層剥離容器。」 第4 当審の判断 1 取消理由の概要 本件特許に対して通知した令和4年1月21日付け取消理由通知書(決定の予告)による取消理由の概要は、以下のとおりである。 (1)(サポート要件)本件特許は、本件発明4が発明の詳細な説明に記載したものでないから、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 (2)(進歩性)本件特許に係る本件発明4は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の甲第1号証、甲第2号証又は甲第6号証に記載された発明、及び周知の事項に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 記 <引用文献等一覧> 甲第1号証:特開2003−12012号公報 甲第2号証:特開2004−149196号公報 甲第3号証:特開2000−335635号公報 甲第4号証:特開平10−211961号公報 甲第5号証:特開2012−30497号公報 甲第6号証:特開平9−124051号公報 甲第13号証:葛良忠彦、”講座「プラスチック包装容器」(第I講) プラスチック包装容器の分類と使用材料”、色材協会誌、2007年、第80巻、第1号、p.32〜39 甲第14号証:特開2013−53183号公報 甲第15号証:特許第2691494号公報 甲第16号証:特開2012−148810号公報 甲第17号証:葛良忠彦、”講座「プラスチック包装容器」(第II講) プラスチック包装容器の構成と製造方法”、色材協会誌、2007年、第80巻、第2号、p.24〜33 甲第18号証:特開2006−281640号公報 甲第19号証:特開2010−23242号公報 (上記「甲第1号証」等を、以下単に「甲1」等という。) 2 取消理由についての当審の判断 (1)サポート要件について サポート要件については、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。 ア 本件発明の課題について 本件特許明細書の発明の詳細な説明(以下「詳細な説明」という。)には、「外殻の形状復元性・透明性・耐熱性に優れた積層剥離容器を提供する」(【0006】)ことが、本件発明が解決しようとする課題として記載されている。 イ 上記アの課題を解決する技術的事項について (ア)上記アに示した課題について、「ランダム共重合体」及び「外層の層構成」に関して、発明の詳細な説明には、「プロピレンと別のモノマーとの間のランダム共重合体からなるプロピレン共重合体層で外殻を構成したところ、外殻の形状復元性・透明性・耐熱性を向上させることができることを発見し、本発明の完成に到った。」(【0008】)ことが記載されている。 (イ)この点、発明の詳細な説明に、「外層11を特定構成のランダム共重合体で構成することによって、外殻12の形状復元性・透明性・耐熱性を向上させることができる。」(【0031】、下線は強調のため当審が付した。)と記載されており、当該記載からすれば、「ランダム共重合体」が「特定構成」であることにより、従来の使用していた樹脂と比較して、上記課題を解決するものであり、「尚、容器が過度に硬いと、容器の使用感が悪くなるため、ランダム共重合体に、例えば、直鎖状低密度ポリエチレンなどの柔軟材料を混合して外層11を構成してもよい。ただし、ランダム共重合体に対して混合する材料は、ランダム共重合体の有効な特性を大きく阻害することのなきよう、混合物全体に対して50重量%未満となるように混合することが好ましい。」(【0033】)との記載から、従来の外層に対して、その一部を「特定構成」の「ランダム共重合体」と「混合物全体に対して50重量%未満となるように混合する」「ランダム共重合体に対して混合する材料」とを混合した「ランダム共重合体層」とすることで、上記課題を解決すると理解できる。 (ウ)そこで、「ランダム共重合体」の「特定構成」について発明の詳細な説明の記載を確認すると、「ランダム共重合体は、プロピレン以外のモノマーの含有量が、50mol%よりも小さいものであり、5〜35mol%が好ましい。・・・プロピレンと共重合されるモノマーとしては、ポリプロピレンのホモポリマーに比べた場合のランダム共重合体の耐衝撃性を向上させるものであればよくエチレンが特に好ましい。」(【0032】)とあり、「ランダム共重合体」の「特定構成」として「プロピレンとエチレンのランダム共重合体」が記載されている。 (エ)そして、本件発明1は、「前記外層は、プロピレンとエチレンとの間のランダム共重合体を含むランダム共重合体層を備え、前記ランダム共重合体層を構成する材料中、前記ランダム共重合体以外の材料の割合は、前記ランダム共重合体層を構成する材料全体に対して50重量%未満であり、」と特定されているから、「ランダム共重合体」は「特定構成」である「プロピレンとエチレンのランダム共重合体」であること、及び「外層」が「ランダム共重合体層を構成する材料中、前記ランダム共重合体以外の材料の割合は、前記ランダム共重合体層を構成する材料全体に対して50重量%未満であ」る「ランダム共重合体層を備え」ていることが特定されている。 そうすると、本件発明1が、上記アに示した課題を解決することが理解できる。 (オ)しかし、本件発明4は、「外層」が、「特定構成」の「ランダム共重合体」を含む「ランダム共重合体層を備え」ることは特定されていないから、上記アに示した課題を解決するとは理解できない。 (カ)さらに、【0030】には、「リプロ層の両側をポリプロピレン層で挟んだ外層であってもよい。」と記載されているところ、本件発明4には、「前記外層は、前記積層剥離容器の成形時にでたバリをリサイクルして使用したリプロ層と、その両側にポリプロピレン層を備える」と記載されており、外層が複数層で形成されることを勘案すると、リプロ層の両側をポリプロピレン層で(直接)挟んだもの以外の「前記積層剥離容器の成形時にでたバリをリサイクルして使用したリプロ層と、その両側にポリプロピレン層を備える」外層について、記載されているとする理由もない。 (キ)そうすると、本件発明4は、発明の詳細な説明に記載したものとはいえない。 ウ 特許権者の主張について (ア)特許権者は、令和3年9月8日提出の意見書の5.(2)(2−1)(b)において、「ある新規な構成によって、何らかの技術的効果が得られるのであれば、そのような技術的効果を得ることが「課題」として自動的に認定可能です。」と主張するが、本件特許の詳細な説明において、どのような課題が記載されている、又は、記載されているに等しいと主張しているのか明確でない。 そして、本件発明が解決しようとする課題は上記アのとおりであり、上記イに示したように、本件発明1は当該課題を解決することができるから、特許権者の当該主張は失当である。 (イ)特許権者は、令和3年1月8日の意見書の5.(2)(2−1)(A)において、「請求項4は、『前記外層は、前記積層剥離容器の成形時にでたバリをリサイクルして使用したリプロ層と、その両側にポリプロピレン層を備える』点を特徴としており、これによって、内袋が外殻から離れた後であっても、外層のリプロ層が露出することが避けられるという効果が奏されます。」と主張する。 しかし、上記特許権者が主張する「効果」が自明のものであるとしても、そもそも、上記イのとおり、発明の詳細な説明には「前記外層は、前記積層剥離容器の成形時にでたバリをリサイクルして使用したリプロ層と、その両側にポリプロピレン層を備える」ことが記載されていないのであるから、特許権者の当該主張は失当である。 (ウ)また、令和3年9月8日の意見書において、【0031】に「本実施形態では、外層11がランダム共重合体層を備える。」と記載されている旨主張するが、当該記載は、上記イ(ア)〜(エ)で検討した内容と整合するものである。 (2)本件発明4の進歩性について ア 甲1を主引用発明として (ア)甲1に記載された事項及び発明 甲1には、以下の事項が記載されている。 ・「【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、開封前の高いシール性と、容器が未開封であることを証明する機能を付与したデラミボトルに関するものである。 【0002】 【従来の技術】スクイズ性を有して定形の外殻を形成する外層と、内容物を収容する、可撓性に富む内袋を形成する内層とを、剥離可能に積層して構成したデラミボトルは、内容物の注出に伴う内圧の減少により、外層に設けた空気孔から外層と内層の間に空気を取り込みながら、内層が外層から剥離して、萎み変形する。 【0003】このため、内層内に外気が入り込まず、その結果、酸化等による内容物の劣化が生じにくく、長期にわたって内容物を安全に保存することが可能となる。かかる特徴をもつデラミボトルは、従来から、外気との接触により品質が低下しやすい嫌気性の内容物、例えば化粧料の容器として使用されているが、内容物の保存性に優れるという性質を生かし、今後は内容物として飲食物を収容する容器に利用されることが望まれている。 【0004】ところで、飲食物に使用する容器においては、開封前に内容物の劣化を防止するための高いシール性、および消費者に安心感を与えるため、未だ容器が開封されていないことを証明する機能、いわゆるバージン機能を備えていることが強く求められており、デラミボトルを飲食物の容器に利用する場合には、当然これらの性質、機能が要望される。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来のデラミボトルにおいては、例えば、ポリエチレン製のネジキャップにより密封を確保しているだけであるので、必ずしも高い密封性を確保し続けることができるとは限らないと共に、開口部のガスバリア性が必ずしも充分ではなく、このため飲食物の容器として使用するには、シール性に不満が生じるという問題があった。」 ・「【0012】 【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例を、図面を参照しながら説明する。図1に示す、デラミボトル1は、共押出し成形した二層構造のパリソンを壜体状にブロー成形して、ポリエチレン樹脂製の外層4と、ポリエチレン樹脂に対して相溶性のないナイロン樹脂製の内層5とを剥離可能に積層させて構成された容器本体2と、この容器本体2の開口部を形成する口筒部8に着脱自在に螺合する有頂円筒状の蓋3と、容器本体2の口筒部8に引き剥がし可能に接着されて、開口部を密封するシート製のシール片9と、から構成されている。 【0013】容器本体2の外層4は、スクイズ変形可能で、復元自在である安定した自己形状保持能力を発揮する可撓性を有しており、これにより内容物注出のスクイズ変形後、速やかに原形に復元して、一定した外観形状を安定して保持するものとなっており、またその口筒部8形成部分には、逆止弁を備えた空気孔10が開設されており、この空気孔10から、外層4と内層5との間に外気を吸入するようにしている。 【0014】容器本体2の内層5は、収容した内容物の注出に伴う内圧の減少により、速やかに萎み変形自在に減容変形するに充分な可撓性を発揮する厚さに成形されており、外層4に対して剥離可能に積層組付きしている。 【0015】蓋3は、下蓋6と上蓋7との組合せで構成されており、下蓋6は、逆止弁を備えた注出口13を頂壁に開設し、この注出口13を囲んで上方に起立する円筒状の注出筒14を有して構成されて、口筒部8に強固に螺合組付けされ、また上蓋7は、下蓋6の注出筒14に着脱自在に螺合して、この注出筒14を開閉するものとなっており、下蓋6および上蓋7共にポリエチレン樹脂製である。 【0016】シール片9は、図2に示す通り、少なくとも、ガスバリヤー性の高いアルミ箔11と、その下面に積層された熱可塑性合成樹脂系の接着層12の二層から構成され、ラミネートシートから、口筒部8の上端面外周縁と略同一の形状寸法に裁断されて成形され、口筒部8の上端面に、高周波誘電加熱により、引き剥がし可能な程度で、密に溶着される。 【0017】消費者は初めての使用に際し、容器本体2から蓋3を螺脱させてから、シール片9を引き剥がして容器本体2を開封し、速やかに蓋3を螺着して、容器本体2閉鎖する。なお、図に示していないが、引き剥がす時に摘む箇所となる舌片を、シール片9の周縁に1つ設けることにより、開封作業が簡単に行える。 【0018】内容物を注出する際は、上蓋7を下蓋6から螺脱させた状態で、外層4をスクイズして内層5を押圧することにより、内層5内の内容物を、逆止弁を押し開けて注出口13から注出筒14を通して注出するのであるが、内容物の注出が進むに従って、内層5の萎み変形が進行する。 【0019】内容物の注出が終了して、外層4に対するスクイズを解除すると、外層4は原形に復元するのに対し、注出口13が逆止弁で塞がれる内層5は、外層4と一緒に原形に復元することができず、このため外層4と内層5との間に負圧が発生し、空気孔10から外層4と内層5の間に空気が吸引され、内層5が外層4から剥離する。 【0020】外層4と内層5の間に吸引された外気は、空気孔10に備えた逆止弁により、外部への排出が阻止された状態となっているので、の働きにより、外部に吐き出されることがなく、内層5が剥離した後は、外層4をスクイズすると、この空気を介して、内層5は圧縮され、内容物が注出される。」 ・「【0023】 【発明の効果】本発明は、以上のように構成したので、ガスバリア性を備え、開口部を強固に密閉する高いシール性と、認知性の高いバージン機能を、簡単な製造過程により安価にデラミボトルに付与することができ、したがって、飲食物の容器に適するデラミボトルを提供することが可能になる、という効果を奏する。」 ・「【図1】 」 上記記載を総合すると、甲1には、以下の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されている。 「ポリエチレン樹脂製の外層4と、ポリエチレン樹脂に対して相溶性のないナイロン樹脂製の内層5とを剥離可能に積層させて構成された容器本体2と、この容器本体2の開口部を形成する口筒部8に着脱自在に螺合する有頂円筒状の蓋3と、容器本体2の口筒部8に引き剥がし可能に接着されて、開口部を密封するシート製のシール片9と、から構成されているデラミボトル1であって、 容器本体2の内層5は、収容した内容物の注出に伴う内圧の減少により、速やかに萎み変形自在に減容変形するに充分な可撓性を発揮する厚さに成形されており、外層4に対して剥離可能に積層組付きしており、口筒部8形成部分には、逆止弁を備えた空気孔10が開設されており、この空気孔10から、外層4と内層5との間に外気を吸入するようにしているデラミボトル1。」 (イ)対比 本件発明4と甲1発明とを対比する。 A 甲1発明の「外層4」は、その作用、構造から、本件発明4の「外層」に相当し、同様に「内層5」は「内層」に、「デラミボトル1」は「積層剥離容器」にそれぞれ相当する。 B 甲1発明の「ポリエチレン樹脂製の外層4と、ポリエチレン樹脂に対して相溶性のないナイロン樹脂製の内層5とを剥離可能に積層させて構成され」、「内層5は、収容した内容物の注出に伴う内圧の減少により、速やかに萎み変形自在に減容変形する」「デラミボトル1」は、内層5が内容物を収容する袋状に形成されていることが明らかであるから、本件発明4の「外層と内層とを備え、内容物の減少に伴って前記内層によって構成される内袋が収縮する積層剥離容器」に相当する。 C 甲1発明の「口筒部8形成部分には、逆止弁を備えた空気孔10が開設されており、この空気孔10から、外層4と内層5との間に外気を吸入するようにしている」態様は、空気孔10から、外層4と内層5との間に外気を吸入するようにしており、空気孔10は外層4に設けられており、容器本体2が外層4と内層5からなるから、外層4は外殻を構成しているといえ、空気孔10が逆止弁を備えているから、甲1の【0020】も参照すると、外層4をスクイズすると空気孔10に備えた逆止弁により、外層4と内層5の間に吸引された外気の外部への排出が阻止されるように構成されているといえる。 したがって、甲1発明の上記態様は、本件発明4の「前記外層によって構成される外殻には、外気導入孔が設けられており」、「前記積層剥離容器は、前記外殻の圧縮時に前記外気導入孔を通じた空気の漏れ出しが妨げられるように構成され」ている態様に相当する。 そうすると、本件発明4と甲1発明とは、以下の点で一致し、相違する。<一致点> 「外層と内層とを備え、内容物の減少に伴って前記内層によって構成される内袋が収縮する積層剥離容器であって、 前記外層によって構成される外殻には、外気導入孔が設けられており、 前記積層剥離容器は、前記外殻の圧縮時に前記外気導入孔を通じた空気の漏れ出しが妨げられるように構成される、積層剥離容器。」 <相違点1> 本件発明4は、「前記内層は、EVOHからなるEVOH層を含」むのに対して、甲1発明は、内層5がナイロン製である点。 <相違点2> 本件発明4は、「前記外層は、前記積層剥離容器の成形時にでたバリをリサイクルして使用したリプロ層と、その両側にポリプロピレン層を備える」のに対して、甲1発明は、外層4がポリエチレン樹脂製である点。 (ウ)判断 上記相違点について検討する。 <相違点1について> a 周知技術について 甲3には、「ライナー14の外層26は、好ましくは、0.002乃至0.004インチ(0.0508乃至0.1016mm)の範囲の厚さを有するナイロン、ナイロン配合物及びEVOHからなるグループから選択された組成物のものである。内層28は、好ましくは、0.002乃至0.004インチ(0.0508乃至0.1016mm)の範囲の厚さを有する線状低密度ポリエチレン(LLDPE)を有する。ライナー14は又、接着剤を含み、接着剤は、好ましくは、内層28のLLDPE材料と20%の接着剤に対して80%の未使用LLDPEの比で配合される。この接着剤は、内層28を外層26に固着させる。変形例として、接着剤を層26と28との間に薄い層の形態で設けても良く、この薄い層は、より少ない接着剤材料を使用し、接着剤材料とライナー14内に収容された製品との間の接触を防止する。」(【0009】)と記載されており、【0007】、【0008】及び【図6A】を参照すると、外層26と内層28からなるライナー14は、容器本体12からから分離するものであるから、本件発明4の「内層」に相当する。 甲4には、「内容器2は、ポリオレフィン樹脂層とガスバリアー樹脂層とからなる積層体、ないしはポリオレフィン樹脂層とガスバリアー樹脂層と熱可塑性樹脂層とからなる積層体を使用して、ポリオレフィン樹脂層が内面となるように成形された可撓性の優れた容器である。ガスバリアー樹脂層としては、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、・・・等が使用できる。」(【0021】】、「・・・」は省略を意味する。以下同じ。)、及び「ポリオレフィン樹脂層とガスバリアー樹脂層とからなる内容器の積層構成の具体例としては、・・・、(内面)PE/EVOH、・・・等であり、」(【0022)と記載されている。 上記甲3及び甲4の記載から、内層として、EVOH層を含むものとすることは、周知である。 b 判断 本件発明4の内層において、剥離性能の向上や内容物に応じた種々の性能(ガスバリア性等)が求められることは当然のことであるから、そのために甲1発明の内層に当該周知の事項を適用することで、上記相違点1に係る本件発明4の事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 <相違点2について> a 周知技術について 甲17の30〜31頁の5.の5.1の5.1.1の(2)の欄及び表−7には、「サラダドレッシング ケチャップ」などの酸化により品質が劣化しやすい液状食品の多層ボトルに、「PP/REG/AD/EVOH/AD/REG/PP」の層を用いる点が記載されいる。 甲18の【0023】〜【0025】には、マヨネーズ、ソース類、ケチャップ、ドレッシング、食用油などの容器に、「ポリオレフィン系樹脂層/接着剤層/内側バリア層/内側バリア層/酸素吸収層/外側バリア層/接着剤層/再生樹脂層(リプロ層)/ポリオレフィン系樹脂層」を用いること、ポリオレフィン樹脂として、ポリプロピレンが選択できること、再生樹脂として,ブロー成形製の多層容器であっては成形時に発生するスクラップ樹脂を粉砕し、利用することが記載されている。 甲15の【0001】、【0013】には、食品用の多層ボトルにPP系樹脂/糊層/EVOH/糊層/EVOH/糊層/リグラインド層/PP系樹脂を用いる点が記載されている。 甲24(特開2003−62951号公報)の【0001】、【0002】、【0053】には、ガスバリア性を有するトレイやボトル用途に有用な積層体として、ポリプロピレン層/リグラインド層/ポリプロピレン層が記載されている。 甲25(特許第3038970号公報)の【0001】、【0016】〜【0018】には、プラスチック多層ブロー容器の外層として、バージンプラスチック/リグラインドプラスチック/バージンプラスチックとすること、【0016】にバージンプラスチックとしてポリプロピレンが使用できることが記載されている。 甲30(特開2013−224166号公報)の【0001】〜【0003】、【0012】、【0013】、【0020】〜【0022】には、オレフィン系樹脂及びエチレン−ビニルアルコール共重合体を含有する酸素バリア性を有するボトル等の容器を多層パリソンを用いて成形する際に生じた回収物をリグラインド層として含有する多層容器に、内層/RG層/外層を用いること、【0022】及び【0013】に内外層を構成する樹脂として、オレフィン系樹脂であるポリプロピレンが使用できることが記載されている。 さらに令和4年1月21日の取消理由(決定の予告)で提示した特開平2−209238号公報(1頁の右欄〜2頁の左上欄、5頁の右上欄等)には、果汁や野菜ジュースのオレフィン系多層容器において、酸素等の透過による経時劣化を防止するために、実施例1に「EVOH/M−PP/SC(スクラップ樹脂)/M−PP/PP)を用いる点が記載されている。 また、特開昭61−244737号公報(1頁左欄下から5行〜2頁左上欄10行、3頁左上欄12行〜右下欄3行、4頁左上欄2行〜右上欄14行等)には、酸素等の気体に対する耐透過性を有するボトル等の多層プラスチック容器に、LMR(低吸水性熱可塑性樹脂)/BL(ブレンド物の層)/LMRの三層構造等を用いる点、LMR(低吸水性熱可塑性樹脂)にポリプロピレンを用いる点、及びBL(ブレンド物の層)がボトル等のブロー成形時のバリ等の再利用したリグラインドを混入する点が記載されている。 上記甲18、甲24、甲30及び特開昭61−244737号公報の記載から、容器のブロー成形時にでた回収物を使用したリプロ層は、周知である。 上記記載から、サラダドレッシング ケチャップなどの酸化により品質が劣化しやすい食品の多層ボトルにおいて、リプロ層と、その両側にポリプロピレン層を備える層(リプロ層の両側をポリプロピレン層で(直接)挟んだものも同様。)を用いることも、周知である。 b 判断 甲1の【0001】〜【0004】には、飲食物の酸化等による劣化を防止するための容器に使用することが記載されており、甲1発明においても資源の有効利用は当然の課題であるから、甲1発明の外層として、酸化等による劣化を防止するのに適したリプロ層を含む上記周知の層構造を適用することは、当業者が容易に想到し得たことであり、その際に、リプロ層に用いるリグラインドプラスチックとして、上記周知の事項を適用して当該容器の成形時のバリを用いることは、当業者が設計上適宜になし得たことである。 したがって、甲1発明において、上記周知の事項を適用して、上記相違点2に係る本件発明4の事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 <本件発明4の奏する作用効果について> 本件発明4の奏する作用効果は、甲1発明及び周知の事項の奏する作用効果に基づいて、当業者が予測可能な範囲のものであって、格別顕著なものでない。 イ 甲2を主引用発明として (ア)甲2に記載された事項及び発明 甲2には、以下の事項が記載されている。 ・「【請求項1】 外層1bの頚部2に穿孔の通気孔3に、外気の流入は許容するが漏気は許容しない逆止弁6を備え、かつ、内層1aの頚部4を開脚7aの突き出しをもって所定代押し戻して、常時胴部5へ連なる通路8を確保するとしたエアーバルブセット7を装備するとした、デラミボトル容器における内、外層間の等気圧維持・漏気阻止機構。 【請求項2】 エアーバルブセット7の外気の流入は許容するが漏気は許容しない逆止弁6を、弁座12中央に、先端太径の、周辺に通気スリット溝13を縦刻設のポール14を立設の弁15を、セットフレーム16の弁装着用貫通孔17の下半細径部18に所定代往復変位可能に係嵌装した構成とした、請求項1記載のデラミボトル容器における内、外層間の等気圧維持・漏気阻止機構。」 ・「【0002】 【従来の技術】 合成樹脂製ブロー成形壜体を、定形の外殻を形成する外層内に、変形自在な内袋を形成する内層を剥離自在に積層して構成して、該内層内に収納された外気の侵入接触を嫌う内溶液が注出されて、当該嫌気溶液のために、注出口に配設の内溶液の注出は可能で、外気の侵入は阻止するところの逆止弁によって、内層が形成する内袋が復帰することなく容積減少変形する際に、該外層の復帰に伴なう内、外層間に発生する負圧を通常該外層の壜頚基部に穿孔される通気孔を介して外気の注入でもってすみやかに等気圧化し、かつ、再度の内溶液押し出し操作に伴う内袋の容積減少変形に際しては内、外層間に存在の空気の漏出を阻止した状態で、すみやかなる内溶液の押し出しを可能とした所謂デラミボトル容器が、例えば化粧品、ケチャップ等の食品に多用されている。」 ・「【0023】 図2、3、4は請求項2記載の発明を示す。この外気の流入は許容するが漏気は許容しない逆止弁6は、図2、3に示される如く、弁座に中央に先端太径の、周辺に通気スリット溝13、……を縦刻設のポール14を立設の弁15をセットフレーム16の弁装着用の貫通孔17の下半細径部18に所定代往復変位可能に係嵌装したものである。」 ・「【図1】 」 上記記載を総合すると、甲2には、以下の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されている。 「外層1bの頚部2に穿孔の通気孔3に、外気の流入は許容するが漏気は許容しない逆止弁6を備え、かつ、内層1aの頚部4を開脚7aの突き出しをもって所定代押し戻して、常時胴部5へ連なる通路8を確保するとしたエアーバルブセット7を装備するとした、内、外層間の等気圧維持・漏気阻止機構を有する、デラミボトル容器。」 (イ)対比 本件発明4と甲2発明とを対比する。 A 甲2発明の「外層1b」は、その作用、構造から、本件発明4の「外層」に相当し、同様に「内層1a」は「内層」に、「デラミボトル容器」は「積層剥離容器」にそれぞれ相当する。 B 甲2発明の「デラミボトル容器」は、外層1bと内層1aとを備え、内容物が減少することで内層1aによって構成される内袋が収縮する容器本体を有することが明らかであるから、本件発明4の「外層と内層とを備え、内容物の減少に伴って前記内層によって構成される内袋が収縮する積層剥離容器」に相当する。 C 甲2発明の「外層1bの頚部2に穿孔の通気孔3に、外気の流入は許容するが漏気は許容しない逆止弁6を備え」る態様は、外層1bが外殻を構成しており、外層1bの圧縮時に逆止弁6からの漏気は許容しないことであるから、本件発明4の「前記外層によって構成される外殻には、外気導入孔が設けられており」、「前記積層剥離容器は、前記外殻の圧縮時に前記外気導入孔を通じた空気の漏れ出しが妨げられるように構成され」ている態様に相当する。 したがって、本件発明4と甲2発明とは、以下の点で一致し、相違する。 <一致点> 「外層と内層とを備え、内容物の減少に伴って前記内層によって構成される内袋が収縮する積層剥離容器であって、 前記外層によって構成される外殻には、外気導入孔が設けられており、 前記積層剥離容器は、前記外殻の圧縮時に前記外気導入孔を通じた空気の漏れ出しが妨げられるように構成される、積層剥離容器。」 <相違点3> 本件発明4は、「前記内層は、EVOHからなるEVOH層を含」むのに対して、甲2発明は、内層1aの材料が不明である点。 <相違点4> 本件発明4は、「前記外層は、前記積層剥離容器の成形時にでたバリをリサイクルして使用したリプロ層と、その両側にポリプロピレン層を備える」のに対して、甲2発明は、外層1bの材料が不明である点。 (ウ)判断 上記相違点について検討する。 <相違点3について> 内層として、EVOH層を含むものとすることは、上記<相違点1について>で示したように周知であって、甲2発明の内層に、剥離性能の向上や内容物に応じた種々の性能(ガスバリア性等)が求められることは当然のことであるから、そのために当該周知の事項を適用することで、上記相違点3に係る本件発明4の事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 <相違点4について> サラダドレッシング ケチャップなどの酸化により品質が劣化しやすい食品の多層ボトルにおいて、リプロ層と、その両側にポリプロピレン層を備える層を用いること、及び容器のブロー成形時にでた回収物を使用したリプロ層は、上記<相違点2について>で示したように周知である。 そして、甲2の【0001】、【0002】には、ケチャップ等の食品に用いるデラミ容器であること記載されており、甲2発明においても資源の有効利用は当然の課題であるから、甲2発明の外層として、酸化等による劣化を防止するのに適したリプロ層を含む上記周知の層構造を適用することは、当業者が容易に想到し得たことであり、その際に、リプロ層に用いるリグラインドプラスチックとして、上記周知の事項を適用して当該容器の成形時のバリを用いることは、当業者が設計上適宜なし得たことである。 したがって、甲2発明において、上記周知の事項を適用して、上記相違点4に係る本件発明4の事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 <本件発明4の奏する作用効果について> 本件発明4の奏する作用効果は、甲2発明及び周知の事項の奏する作用効果に基づいて、当業者が予測可能な範囲のものであって、格別顕著なものでない。 ウ 甲6を主引用発明として (ア)甲6に記載された事項及び発明 甲6には、以下の事項が記載されている。 ・「【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、ケチャップ、ソース、食用油等を収容し、適宜注出可能なスクイーズ容器に関するものであり、より詳しくは内層容器本体と外層容器本体とが剥離可能であると共に内容物の酸化を確実に防止できる二重構造スクイーズ容器に関する。」 ・「【0013】なお、上記外層容器本体は、ポリプロピレン又は高密度ポリエチレンの単層で形成してもよく、接着樹脂層を介してガスバリヤ樹脂層を積層した3層以上の構成にしてもよい。ポリプロピレン又は高密度ポリエチレンは、耐衝撃性、弾性復元性等の点において、本発明に係るスクイーズ容器の外層容器本体の材料として最適なものである。また、内層容器本体の材料としては、上記の如く、ナイロン12を使用するのが成形性の点で好ましいが、ナイロン66、ナイロン6等を使用することもできる。 【0014】また、内層容器本体としては、ナイロン12単体で構成することもできるが、上記の如く、ナイロン12/酸変性ポリオレフィン系接着樹脂/エチレン−酢酸ビニル共重合体からなる積層体、若しくはナイロン12/酸変性ポリオレフィン系接着樹脂/エチレン−酢酸ビニル共重合体/酸変性ポリオレフィン系接着樹脂/低密度ポリエチレンおよび/または直鎖状低密度ポリエチレンからなる積層体によって構成するのが、加圧室内の酸素が内層容器本体へ透過するのを防止する点において好ましいものである。 【0015】以下に本発明の実施例を図1ないし図5を用いて説明する。図1ないし図3には、本発明の一実施例に係るプラスチック製の二重構造スクイーズ容器10が示されている。このスクイーズ容器10は、容器本体13を備えており、この容器本体13は、互いに剥離可能な外層容器本体12と内層容器本体14とから構成されており、外層容器本体12は、可撓性を有し所定の剛性を保有するように、厚肉に形成され、内層容器本体14は、可撓性のシート状に形成されている。外層容器本体12と内層容器本体14とは溶着部分はなく、各々の口部において互いに密着されている。」 ・「【0017】また、外層容器本体12の底部12Aには、図1ないし図3に示す如く、貫通孔12Cが形成されており、この貫通孔12Cに逆止弁11が挿入された状態で固着されている。この逆止弁11は、外層容器本体12内から外部へ空気が流出するのを阻止するようになっており、これにより、図2及び図3に示す如く、外層容器本体12と内層容器本体14との間のスペースが加圧室16として機能するようになっている。一方、逆止弁11は押圧状態にある外層容器本体12(図2参照)の押圧状態が解除されたときに、外部からの空気を外層容器本体12内へ流入可能とするようになっている。 【0018】なお、本実施例では、外層容器本体12の材料として、ポリプロピレンを使用しており、内層容器本体14の材料としてナイロン12を使用している。容器本体13には、セルフシールキャップ20が設けられている。このセルフシールキャップ20は、図4に示す如く、外層容器本体12の口部に螺着されるようになっている。セルフシールキャップ20は、キャップ本体22とバルブ26とによって構成されている。キャップ本体22は、ポリプロピレンによって形成され、略円形状で中央部に開口22Dが形成された上壁22A、及び周壁22Bを備えている。周壁22Bの内面には、雌螺子22Cが形成されており、外層容器本体12の口部に形成された雄螺子12Eに螺着されるようになっている。」 ・「【0025】以下に、本実施例の作用を説明する。図2に示す如く、本発明のスクイーズ容器10の外層容器本体12を押圧すると、加圧室16内の空気によって内層容器本体14が押圧され、内層容器本体14が縮小変形するため、セルフシールキャップ20のバルブ26の弾性変形部27Bが弾性変形し、内筒24の内面と離間する。これによって、内容物は、吐出孔23A、吐出孔24A、内層容器本体14の口部を介して、キャップ本体22の開口22Dより吐出される(図2参照)。 【0026】図2の状態から、外層容器本体12の押圧状態を解除すると、逆止弁11を介して空気が加圧室16に流入し、加圧室16内の空気圧により内層容器本体14が復元されるのが抑制され内層容器本体内14に空気が流入するのが阻止される。また、これと略同時に、図3に示す如く、バルブ26の弾性変形部27Bが内筒24の内面に密着され、外気と内層容器本体14の内部とが遮断されて空気が内層容器本体14内に流入されるのが自動的に阻止される。」 ・「【0028】上記実施例では、外層容器本体12の材料として、ポリプロピレンを使用しているが、ポリエチレン、ポリカーボネート等も同様に使用することができる。また、上記実施例では、内層容器本体14の材料として、ナイロン12を使用しているが、それ以外にナイロン66、ナイロン6等も使用できる。特に、内容物が酸化劣化しやすいものである場合には、接着剤層を介してガスバリヤ樹脂層を積層したナイロン12/酸変性ポリオレフィン系接着樹脂/エチレン−酢酸ビニル共重合体、もしくはナイロン12/酸変性ポリオレフィン系接着樹脂/エチレン−酢酸ビニル共重合体/低密度ポリエチレンおよび/または直鎖状低密度ポリエチレン等の多層構造のものも使用できる。 【0029】【発明の効果】本発明によれば、内層容本体と外層容器本体と剥離可能であると共に内容物の酸化を確実に防止できる二重構造スクイーズ容器を提供できる。」 ・「【図1】 」 ・「【図2】 」 ・「【図3】 」 上記記載を総合すると、甲6には、以下の発明(以下「甲6発明」という。)が記載されている。 「互いに剥離可能な外層容器本体12と内層容器本体14とから構成された容器本体13を有する二重構造スクイーズ容器10であって、 外層容器本体12は、口部を備え、外層容器本体12の底部12Aには、貫通孔12Cが形成されており、この貫通孔12Cに逆止弁11が挿入された状態で固着されており、逆止弁11は、外層容器本体12内から外部へ空気が流出するのを阻止するようになっており、外層容器本体12の材料として、ポリプロピレンを使用しており、内層容器本体14の材料としてナイロン12を使用している二重構造スクイーズ容器10。」 (イ)対比 本件発明4と甲6発明とを対比する。 A 甲6発明の「外層容器本体12」は、その作用、構造から、本件発明4の「外層」に相当し、同様に「内層容器本体14」は「内層」に、「二重構造スクイーズ容器10」は「積層剥離容器」にそれぞれ相当する。 B 甲6発明の「互いに剥離可能な外層容器本体12と内層容器本体14とから構成された容器本体13を有する二重構造スクイーズ容器10」は、内容物が減少することで内層容器本体14によって構成される内袋が収縮することが明らかであるから、本件発明4の「外層と内層とを備え、内容物の減少に伴って前記内層によって構成される内袋が収縮する積層剥離容器」に相当する。 C 甲6発明の「外層容器本体12の底部12Aには、貫通孔12Cが形成されており、この貫通孔12Cに逆止弁11が挿入された状態で固着されて」る態様は、外層容器本体12が外殻を構成しているから、本件発明4の「前記外層によって構成される外殻には、外気導入孔が設けられて」いる態様に相当する。 D 甲6発明の「逆止弁11は、外層容器本体12内から外部へ空気が流出するのを阻止するようになって」いる態様は、外層容器本体12の圧縮時に逆止弁11から外部へ空気が流出するのを阻止することであるから、本件発明4の「前記積層剥離容器は、前記外殻の圧縮時に前記外気導入孔を通じた空気の漏れ出しが妨げられるように構成され」ている態様に相当する。 したがって、本件発明4と甲6発明とは、以下の点で一致し、相違する。<一致点> 「外層と内層とを備え、内容物の減少に伴って前記内層によって構成される内袋が収縮する積層剥離容器であって、 前記外層によって構成される外殻には、外気導入孔が設けられており、 前記積層剥離容器は、前記外殻の圧縮時に前記外気導入孔を通じた空気の漏れ出しが妨げられるように構成される、積層剥離容器。」 <相違点5> 本件発明4は、「前記内層は、EVOHからなるEVOH層を含」むのに対して、甲6発明は、内層容器本体14の材料としてナイロン12を使用している点。 <相違点6> 本件発明4は、「前記外層は、前記積層剥離容器の成形時にでたバリをリサイクルして使用したリプロ層と、その両側にポリプロピレン層を備える」のに対して、甲6発明は、外層容器本体12の材料として、ポリプロピレンを使用している点。 (ウ)判断 上記相違点について検討する。 <相違点5について> 内層として、EVOH層を含むものとすることは、上記<相違点1について>で示したように周知であって、甲6発明の内層に、剥離性能の向上や内容物に応じた種々の性能(ガスバリア性等)が求められることは当然のことであるから、そのために当該周知の事項を適用することで、上記相違点5に係る本件発明4の事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 <相違点6について> サラダドレッシング ケチャップなどの酸化により品質が劣化しやすい食品の多層ボトルにおいて、リプロ層と、その両側にポリプロピレン層を備える層を用いること、及び容器のブロー成形時にでた回収物を使用したリプロ層は、上記<相違点2について>で示したように周知である。 そして、甲6の【0001】には、ケチャップ、ソース、食用油等収容すること、及び【0013】には、外層容器本体を接着剤層を介してガスバリア樹脂層を積層した3層以上とすることが記載されており、甲6発明においても資源の有効利用は当然の課題であるから、甲6発明の外層として、酸化等による劣化を防止するのに適したリプロ層を含む上記周知の層構造を適用することは、当業者が容易に想到し得たことであり、その際に、リプロ層に用いるリグラインドプラスチックとして、上記周知の事項を適用して当該容器の成形時のバリを用いることは、当業者が設計上適宜なし得たことである。 したがって、甲6発明において、上記周知の事項を適用して、上記相違点6に係る本件発明4の事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 <本件発明4の奏する作用効果について> 本件発明4の奏する作用効果は、甲6発明及び周知の事項の奏する作用効果に基づいて、当業者が予測可能な範囲のものであって、格別顕著なものでない。 第5 令和4年1月21日の取消理由通知に採用しなかった取消理由について (1)進歩性について ア 取消理由の概要 本件特許に係る本件発明1〜3、5は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の甲第1号証、甲第2号証又は甲第6号証に記載された発明、周知の事項、甲第26号証又は甲第27号証に記載された事項、及び甲第17号証に記載された事項に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 イ 本件発明1の進歩性についての判断 (ア)甲1を主引用発明として A 対比 本件発明1と甲1発明とを対比する。 a 甲1発明の「外層4」は、その作用、構造から、本件発明1の「外層」に相当し、同様に「内層5」は「内層」に、「逆止弁」は「弁部材」に、「容器本体2」は「容器本体」に、「デラミボトル1」は「積層剥離容器」にそれぞれ相当する。 b 甲1発明の「ポリエチレン樹脂製の外層4と、ポリエチレン樹脂に対して相溶性のないナイロン樹脂製の内層5とを剥離可能に積層させて構成され」、「内層5は、収容した内容物の注出に伴う内圧の減少により、速やかに萎み変形自在に減容変形する」「容器本体2」は、内層5が内容物を収容する袋状に形成されていることが明らかであるから、本件発明1の「外層と内層とを備え、内容物の減少に伴って前記内層によって構成される内袋が収縮する容器本体」に相当する。 c 甲1発明の「外層4に対して剥離可能に積層組付きしており、口筒部8形成部分には、逆止弁を備えた空気孔10が開設されて」いる態様は、外層4に空気孔10が設けられていることであるから、本件発明1の「前記外層によって構成される外殻には、外気導入孔が設けられており、」に相当する。 d 甲1発明の「容器本体2」が「開口部を形成する口筒部8」を有する態様は、容器本体2が内容物を収容する収容部を当然に有し、口筒部8が収容部からの内容物を吐出するといえるから、本件発明1の「前記容器本体は、前記内容物を収容する収容部と、前記収容部から内容物を吐出する口部を備え」る態様に相当する。 e 甲1発明の「口筒部8形成部分には、逆止弁を備えた空気孔10が開設されており、この空気孔10から、外層4と内層5との間に外気を吸入するようにしている」態様は、空気孔10から、外層4と内層5との間に外気を吸入するようにしているのであるから、空気孔4は外層4に設けられており、容器本体2が外層4と内層5からなるから、外層4は外殻を構成しているといえ、空気孔10が逆止弁を備えているから、外層4の圧縮時に空気孔4を通じた空気の漏れ出しが妨げられるように構成されているといえる。したがって、甲1発明の上記態様は、本件発明1の「前記外層によって構成される外殻には、外気導入孔が設けられており」、「前記積層剥離容器は、前記外殻の圧縮時に前記外気導入孔を通じた空気の漏れ出しが妨げられるように構成され」ている態様に相当する。 f 甲1発明の「容器本体2の内層5は、収容した内容物の注出に伴う内圧の減少により、速やかに萎み変形自在に減容変形するに充分な可撓性を発揮する厚さに成形されており、外層4に対して剥離可能に積層組付きしており、口筒部8形成部分には、逆止弁を備えた空気孔10が開設されており、この空気孔10から、外層4と内層5との間に外気を吸入するようにしている」態様は、逆止弁が外層4と内層5との間の空間と、容器本体2の外部空間との間の空気の出入りを調節していることであるから、本件発明1の「前記弁部材は、前記外殻と前記内袋の間の中間空間と、前記容器本体の外部空間との間の空気の出入りを調節」する態様に相当する。 g 甲1発明の「逆止弁を備えた空気孔10が開設」いることは、本件発明1の「前記弁部材は、前記外気導入孔に装着され、」ていることに相当する。 したがって、本件発明1と甲1発明とは、以下の点で一致し、相違する。 <一致点> 「外層と内層とを備え、内容物の減少に伴って前記内層によって構成される内袋が収縮する容器本体と、弁部材を有する積層剥離容器であって、 前記外層によって構成される外殻には、外気導入孔が設けられており、 前記容器本体は、前記内容物を収容する収容部と、前記収容部から内容物を吐出する口部を備え、 前記積層剥離容器は、前記外殻の圧縮時に前記外気導入孔を通じた空気の漏れ出しが妨げられるように構成され、 前記弁部材は、前記外殻と前記内袋の間の中間空間と、前記容器本体の外部空間との間の空気の出入りを調節し、 前記弁部材は、前記外気導入孔に装着され、 積層剥離容器。」 <相違点7> 本件発明1は、「前記外気導入孔は、前記収容部に設けられた凹部内に設けられ、」「前記凹部は、前記収容部を覆うシュリンクフィルムで覆われる」のに対して、甲1発明は、逆止弁が口筒部8形成部分に開設されているものの、シュリンクフィルムを用いることが特定されていない点。 <相違点8> 本件発明1は、「前記外層は、プロピレンとエチレンとの間のランダム共重合体を含むランダム共重合体層を備え、前記ランダム共重合体層を構成する材料中、前記ランダム共重合体以外の材料の割合は、前記ランダム共重合体層を構成する材料全体に対して50重量%未満であり」、「前記外層の最内層は、前記ランダム共重合体層であるか、又は低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体及びその混合物から選択される材料で構成される層である」のに対して、甲1発明は、外層4がポリエチレン樹脂製である点。 <相違点9> 本件発明1は、「前記内層は、EVOHからなり且つ最外層であるEVOH層と、前記EVOH層よりも容器内面側に接着層を介して内面層を備え、前記内面層は、直鎖状低密度ポリエチレンからなり、前記接着層は、酸変性ポリエチレンを含」むのに対して、甲1発明は、内層5がナイロン製である点。 B 判断 上記相違点について検討する。 まず、相違点7について検討する。 容器にシュリンクフィルムを用いることは周知である。 しかし、甲1発明は、逆止弁が口筒部8形成されているところ、容器において、口筒部までをシュリンクフィルムで覆うものが周知である証拠はない。 また、そもそも、逆止弁をシュリンクフィルムで覆った場合、逆止弁の機能をシュリンクフィルムが阻害する可能性が高いことを考慮すれば、逆止弁を設けた箇所をシュリンクフィルムで覆うことには阻害要因がある。 したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明、周知の事項、甲第26号証又は甲第27号証に記載された事項、及び甲第17号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 (イ)甲2を主引用発明として A 対比 本件発明1と甲2発明とを対比する。 a 甲2発明の「外層1b」は、その作用、構造から、本件発明1の「外層」に相当し、同様に「内層1a」は「内層」に、「エアーバルブセット7」は「弁部材」に、「デラミボトル容器」は「積層剥離容器」にそれぞれ相当する。 b 甲2発明の「デラミボトル容器」は、外層1bと内層1aとを備え、内容物が減少することで内層1aによって構成される内袋が収縮する容器本体を有することが明らかであるから、本件発明1の「外層と内層とを備え、内容物の減少に伴って前記内層によって構成される内袋が収縮する容器本体」に相当する。 c 甲2発明の「外層1bの頚部2に穿孔の通気孔3」を有する態様は、外層1bに通気孔3が設けられていることであるから、本件発明1の「前記外層によって構成される外殻には、外気導入孔が設けられて」いる態様に相当する。 d 甲2発明の「デラミボトル容器」の態様は、図1を参照すると、内容物を収容する収容部と、収容部から内容物を吐出する口部を備えることが明らかであるから、本件発明1の「前記容器本体は、前記内容物を収容する収容部と、前記収容部から内容物を吐出する口部を備え」る態様に相当する。 e 甲2発明の「外層1bの頚部2に穿孔の通気孔3に、外気の流入は許容するが漏気は許容しない逆止弁6を備え」る態様は、外層1bが外殻を構成しており、外層1bの圧縮時に逆止弁6からの漏気は許容しないことであるから、本件発明1の「前記外層によって構成される外殻には、外気導入孔が設けられており」、「前記積層剥離容器は、前記外殻の圧縮時に前記外気導入孔を通じた空気の漏れ出しが妨げられるように構成され」ている態様に相当する。 f 甲2発明の「エアーバルブセット7」は、外層1bと内層1aとの間の空間と、外層1bの外部空間との間の空気の出入りを調節しているから、本件発明1の「前記外殻と前記内袋の間の中間空間と、前記容器本体の外部空間との間の空気の出入りを調節」する「弁部材」に相当する。 g 甲2発明の「エアーバルブセット7」は、「外層1bの頚部2に穿孔の通気孔3に」装着されているから、本件発明1の「前記外気導入孔に装着され」る「弁部材」に相当する。 したがって、本件発明1と甲2発明とは、以下の点で一致し、相違する。 <一致点> 「【請求項1】 外層と内層とを備え、内容物の減少に伴って前記内層によって構成される内袋が収縮する容器本体と、弁部材を有する積層剥離容器であって、 前記外層によって構成される外殻には、外気導入孔が設けられており、 前記容器本体は、前記内容物を収容する収容部と、前記収容部から内容物を吐出する口部を備え、 前記積層剥離容器は、前記外殻の圧縮時に前記外気導入孔を通じた空気の漏れ出しが妨げられるように構成され、 前記弁部材は、前記外殻と前記内袋の間の中間空間と、前記容器本体の外部空間との間の空気の出入りを調節し、 前記弁部材は、前記外気導入孔に装着される、積層剥離容器。」 <相違点10> 本件発明1は、「前記外気導入孔は、前記収容部に設けられた凹部内に設けられ、」「前記凹部は、前記収容部を覆うシュリンクフィルムで覆われる」のに対して、甲2発明は、穿孔の通気孔3が外層1bの頚部2に設けられているものの、シュリンクフィルムを用いることが特定されていない点。 <相違点11> 本件発明1は、「前記外層は、プロピレンとエチレンとの間のランダム共重合体を含むランダム共重合体層を備え、前記ランダム共重合体層を構成する材料中、前記ランダム共重合体以外の材料の割合は、前記ランダム共重合体層を構成する材料全体に対して50重量%未満であり」、「前記外層の最内層は、前記ランダム共重合体層であるか、又は低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体及びその混合物から選択される材料で構成される層であ」るのに対して、甲2発明は、外層1bの材料が不明である点。 <相違点12> 本件発明1は、「前記内層は、EVOHからなり且つ最外層であるEVOH層と、前記EVOH層よりも容器内面側に接着層を介して内面層を備え、前記内面層は、直鎖状低密度ポリエチレンからなり、前記接着層は、酸変性ポリエチレンを含」むのに対して、甲2発明は、内層1aの材料が不明である点。 B 判断 まず、相違点10について検討する。 容器にシュリンクフィルムを用いることは周知である。 しかし、甲2発明は、エアーバルブセット7が外層1bの頚部2に形成されているところ、容器において、頸部までをシュリンクフィルムで覆うものが周知である証拠はない。 また、そもそも、エアーバルブセット7をシュリンクフィルムで覆った場合、逆止弁の機能をシュリンクフィルムが阻害する可能性が高いことを考慮すれば、エアーバルブセットを設けた箇所をシュリンクフィルムで覆うことには阻害要因がある。 したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲2発明、周知の事項、甲第26号証又は甲第27号証に記載された事項、及び甲第17号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 (ウ)甲6を主引用発明として A 対比 本件発明1と甲6発明とを対比する。 a 甲6発明の「外層容器本体12」は、その作用、構造から、本件発明1の「外層」に相当し、同様に「内層容器本体14」は「内層」に、「逆止弁11」は「弁部材」に、「二重構造スクイーズ容器10」は「積層剥離容器」にそれぞれ相当する。 b 甲6発明の「互いに剥離可能な外層容器本体12と内層容器本体14とから構成された容器本体13」は、内容物が減少することで内層容器本体14によって構成される内袋が収縮することが明らかであるから、本件発明1の「外層と内層とを備え、内容物の減少に伴って前記内層によって構成される内袋が収縮する容器本体」に相当する。 c 甲6発明の「外層容器本体12は、口部を備え、外層容器本体12の底部12Aには、貫通孔12Cが形成されており、この貫通孔12Cに逆止弁11が挿入された状態で固着されて」いる態様は、本件発明1の「前記外層によって構成される外殻には、外気導入孔が設けられて」いる態様に相当する。 d 甲6明の「外層容器本体12は、口部を備え」る態様は、図1を参照すると、容器本体13が、内容物を収容する収容部と、収容部から内容物を吐出する口部を備えることが明らかであるから、本件発明1の「前記容器本体は、前記内容物を収容する収容部と、前記収容部から内容物を吐出する口部を備え」る態様に相当する。 e 甲6発明の「外層容器本体12の底部12Aには、貫通孔12Cが形成されており、この貫通孔12Cに逆止弁11が挿入された状態で固着されて」る態様は、外層容器本体12が外殻を構成しているから、本件発明1の「前記外層によって構成される外殻には、外気導入孔が設けられて」いる態様に相当する。E 甲6発明の「逆止弁11は、外層容器本体12内から外部へ空気が流出するのを阻止するようになって」いる態様は、外層容器本体12の圧縮時に逆止弁11から外部へ空気が流出するのを阻止することであるから、「前記積層剥離容器は、前記外殻の圧縮時に前記外気導入孔を通じた空気の漏れ出しが妨げられるように構成され」ている態様に相当する。 f 甲6発明の「逆止弁11」は、外層容器本体12と内層容器本体14の間の空間と、外層容器本体12の外部との空気の出入りを調整しているから、本件発明1の「前記外殻と前記内袋の間の中間空間と、前記容器本体の外部空間との間の空気の出入りを調節」する「弁部材」に相当する。 g 甲6発明の「この貫通孔12Cに逆止弁11が挿入された状態で固着されて」いる態様は、本件発明1の「前記弁部材は、前記外気導入孔に装着され」ている態様に相当する。 したがって、本件発明1と甲6発明とは、以下の点で一致し、相違する。 <一致点> 「外層と内層とを備え、内容物の減少に伴って前記内層によって構成される内袋が収縮する容器本体と、弁部材を有する積層剥離容器であって、 前記外層によって構成される外殻には、外気導入孔が設けられており、 前記容器本体は、前記内容物を収容する収容部と、前記収容部から内容物を吐出する口部を備え、 前記積層剥離容器は、前記外殻の圧縮時に前記外気導入孔を通じた空気の漏れ出しが妨げられるように構成され、 前記弁部材は、前記外殻と前記内袋の間の中間空間と、前記容器本体の外部空間との間の空気の出入りを調節し、 前記弁部材は、前記外気導入孔に装着される、積層剥離容器。」 <相違点13> 本件発明1は、「前記外気導入孔は、前記収容部に設けられた凹部内に設けられ、」「前記凹部は、前記収容部を覆うシュリンクフィルムで覆われる」のに対して、甲6発明は、貫通孔12Cが外層容器本体12の底部12Aに形成されているものの、シュリンクフィルムを用いることが特定されていない点。 <相違点14> 本件発明1は、「前記外層は、プロピレンとエチレンとの間のランダム共重合体を含むランダム共重合体層を備え、前記ランダム共重合体層を構成する材料中、前記ランダム共重合体以外の材料の割合は、前記ランダム共重合体層を構成する材料全体に対して50重量%未満であり」、「前記外層の最内層は、前記ランダム共重合体層であるか、又は低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体及びその混合物から選択される材料で構成される層である」のに対して、甲6発明は、外層容器本体12の材料として、ポリプロピレンを使用している点。 <相違点15> 本件発明1は、「前記内層は、EVOHからなり且つ最外層であるEVOH層と、前記EVOH層よりも容器内面側に接着層を介して内面層を備え、前記内面層は、直鎖状低密度ポリエチレンからなり、前記接着層は、酸変性ポリエチレンを含む、」のに対して、甲6発明は、内層容器本体14の材料としてナイロン12を使用している点。 B 判断 まず、相違点13について検討する。 容器にシュリンクフィルムを用いることは周知である。 しかし、甲6発明は、逆止弁11が外層容器本体12の底部12Aに形成されているところ、容器において、底部までをシュリンクフィルムで覆うものが周知である証拠はない。 また、そもそも、逆止弁11をシュリンクフィルムで覆った場合、逆止弁の機能をシュリンクフィルムが阻害する可能性が高いことを考慮すれば、逆止弁を設けた箇所をシュリンクフィルムで覆うことには阻害要因がある。 したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲6発明、周知の事項、甲第26号証又は甲第27号証に記載された事項、及び甲第17号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 ウ 本件発明2、3及び5の進歩性についての判断 本件発明2、3及び5は、本件発明1の発明特定事項を全て備え、さらに限定を付したものであるから、上記イと同じ理由で、甲1発明、甲2発明又は甲6発明、周知の事項、甲第26号証又は甲第27号証に記載された事項、及び甲第17号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 (2)明確性要件について ア 取消理由の概要 本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 本件発明1の「前記外層は、プロピレンと別のモノマーとの間のランダム共重合体からなるランダム共重合体層を備え、」について、【0033】に「尚、容器が過度に硬いと、容器の使用感が悪くなるため、ランダム共重合体に、例えば、直鎖状低密度ポリエチレンなどの柔軟材料を混合して外層11を構成してもよい。」とも記載されており、ランダム共重合体層が、ランダム共重合体のみからなるのか、ランダム重合体と他の樹脂とを混合したものも含むのか明確でない。 イ 本件発明1の明確性要件についての判断 上記第2の2(1)アに示したように、本件発明1は、訂正事項1に係る訂正により明確となった。 第6 むすび 以上のとおり、取消理由通知に記載した取消理由によっては、本件請求項1〜3及び5に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項1〜3及び5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 本件発明4は、発明の詳細な説明に記載したものでないから、その特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないものであり、同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。 また、本件発明4は、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証に記載された発明若しくは甲第6号証に記載された発明、及び周知の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この決定に対する訴えは、この決定の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 外層と内層とを備え、内容物の減少に伴って前記内層によって構成される内袋が収縮する容器本体と、弁部材を有する積層剥離容器であって、 前記外層によって構成される外殻には、外気導入孔が設けられており、 前記容器本体は、前記内容物を収容する収容部と、前記収容部から内容物を吐出する口部を備え、 前記外気導入孔は、前記収容部に設けられた凹部内に設けられ、 前記積層剥離容器は、前記外殻の圧縮時に前記外気導入孔を通じた空気の漏れ出しが妨げられるように構成され、 前記外層は、プロピレンとエチレンとの間のランダム共重合体を含むランダム共重合体層を備え、 前記ランダム共重合体層を構成する材料中、前記ランダム共重合体以外の材料の割合は、前記ランダム共重合体層を構成する材料全体に対して50重量%未満であり、 前記内層は、EVOHからなリ且つ最外層であるEVOH層と、前記EVOH層よりも容器内面側に接着層を介して内面層を備え、 前記内面層は、直鎖状低密度ポリエチレンからなり、 前記接着層は、酸変性ポリエチレンを含み、 前記外層の最内層は、前記ランダム共重合体層であるか、又は低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体及びその混合物から選択される材料で構成される層であり、 前記弁部材は、前記外殻と前記内袋の間の中間空間と、前記容器本体の外部空間との間の空気の出入りを調節し、 前記弁部材は、前記外気導入孔に装着され、 前記凹部は、前記収容部を覆うシュリンクフィルムで覆われる、積層剥離容器。 【請求項2】 前記接着層は、前記酸変性ポリエチレンと直鎖状低密度ポリエチレンの混合物からなり、 前記容器本体には、前記凹部から前記口部の方向に延びる空気流通溝が設けられる、請求項1に記載の積層剥離容器。 【請求項3】 前記外層は、前記積層剥離容器の成形時にでたバリをリサイクルして使用したリプロ層を備える、請求項1又は請求項2に記載の積層剥離容器。 【請求項4】 外層と内層とを備え、内容物の減少に伴って前記内層によって構成される内袋が収縮する積層剥離容器であって、 前記外層によって構成される外殻には、外気導入孔が設けられており、 前記積層剥離容器は、前記外殻の圧縮時に前記外気導入孔を通じた空気の漏れ出しが妨げられるように構成され、 前記内層は、EVOHからなるEVOH層を含み、 前記外層は、前記積層剥離容器の成形時にでたバリをリサイクルして使用したリプロ層と、その両側にポリプロピレン層を備える、積層剥離容器。 【請求項5】 前記EVOHは、エチレン含有量が32mol%以下である、請求項1〜請求項3の何れか1つに記載の積層剥離容器。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2022-06-22 |
出願番号 | P2016-163560 |
審決分類 |
P
1
651・
121-
ZDA
(B65D)
P 1 651・ 537- ZDA (B65D) |
最終処分 | 08 一部取消 |
特許庁審判長 |
久保 克彦 |
特許庁審判官 |
佐々木 正章 藤井 眞吾 |
登録日 | 2020-01-09 |
登録番号 | 6643722 |
権利者 | キョーラク株式会社 |
発明の名称 | 積層剥離容器 |
代理人 | 伊藤 寛之 |
代理人 | SK特許業務法人 |
代理人 | 奥野 彰彦 |
代理人 | SK弁理士法人 |
代理人 | 奥野 彰彦 |
代理人 | 伊藤 寛之 |