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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  B32B
審判 全部申し立て 2項進歩性  B32B
管理番号 1389412
総通号数 10 
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2022-10-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2022-04-12 
確定日 2022-09-29 
異議申立件数
事件の表示 特許第6947547号発明「ハードコーティングフィルム及びそれを利用した画像表示装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6947547号の請求項1〜6に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6947547号(以下「本件特許」という。)の請求項1〜6に係る特許についての出願は、平成29年6月21日(パリ条約による優先権主張2016年6月23日、大韓民国)の出願であって、令和3年9月21日にその特許権の設定登録がされ、令和3年10月13日に特許掲載公報が発行された。その後、請求項1〜6に係る特許に対し、令和4年4月12日に特許異議申立人石川照子(以下「申立人」という。)により、特許異議の申立てがされたものである。

第2 本件特許発明
本件特許の請求項1ないし6に係る発明(以下、それぞれを「本件発明1」ないし「本件発明6」という。まとめて「本件発明」ともいう。)は、その特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
透明基材;及び前記透明基材の少なくとも片面に直接接触して形成された単一のハードコーティング層を含み、
1kgの荷重で評価した鉛筆硬度が4H以上であり、
下記の数式1を満たすことを特徴とする折り畳みが可能な画像表示装置用のハードコーティングフィルム。
〔数1〕
A/B×100<50%
前記式中、
Aは応力−歪み曲線において歪み0〜1%の区間の面積を示し、
Bは応力−歪み曲線の下の全体面積を示し、
前記ハードコーティング層は、光硬化型ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー及び光硬化型(メタ)アクリレートモノマーを含む光硬化型樹脂;光開始剤;無機ナノ粒子;及び溶剤を含むハードコーティング組成物から形成され、
前記ハードコーティングフィルムは、フィルム面間の間隔が6mmになるように半分に折り曲げてから元に戻すことを20万回繰り返した場合に、折り曲げ部分にクラックが発生しない。
【請求項2】
前記ハードコーティング層の厚さは5〜15μmである、請求項1に記載のハードコーティングフィルム。
【請求項3】
請求項1または2のいずれか一項に記載のハードコーティングフィルムが備えられた偏光板。
【請求項4】
請求項1または2に記載のハードコーティングフィルムが備えられた画像表示装置。
【請求項5】
請求項1または2に記載のハードコーティングフィルムが備えられたフレキシブルディスプレイ。
【請求項6】
請求項1または2のいずれか一項に記載のハードコーティングフィルムが備えられたフレキシブルディスプレイのウィンドウ。」

第3 申立理由の概要
申立人は、以下の理由1及び理由2を申し立てている。
1.理由1(進歩性
本件発明1〜6は、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証に記載された事項及び甲第3号証〜甲第6号証の何れかに記載された周知技術に基いて、あるいは、甲第3号証に記載された発明及び甲第4号証〜甲第7号証に記載された周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定に違反するものであるから、本件発明1〜6に係る特許は、特許法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。
(証拠方法)
甲第1号証:特表2015−533677号公報
甲第2号証:Ryu KOMATSU et.al.,“Repeatedly Foldable Book-Type AMOLED Display”,SID 2014 DIGEST,2014年、p.326-329
甲第3号証:米国特許出願公開第2016/0040027号明細書
甲第4号証:特開2015−112799号公報
甲第5号証:国際公開第2016/076302号
甲第6号証:特開2010−1431号公報
甲第7号証:特開2016−35012号公報
(以下、「甲第1号証」ないし「甲第7号証」をそれぞれ「甲1」ないし「甲7」という。)

2.理由2(明確性
請求項1〜6に係る特許は、以下の点で、その特許請求の範囲が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、本件発明1〜6に係る特許は、同法第113条第4号の規定により取り消されるべきものである。
請求項1において、「前記ハードコーティングフィルムは、フィルム面間の間隔が6mmになるように半分に折り曲げてから元に戻すことを20万回繰り返した場合に、折り曲げ部分にクラックが発生しない。」と特定しているが、本件特許明細書や技術常識を考慮しても、折り曲げ試験の測定条件が特定されず、発明の範囲が不明確である。

第4 甲1〜甲7の記載
1.甲1について
(1)甲1の記載(下線は、理解の一助のために当審が付与したものである。以下同様。)
「【請求項1】
支持基材;
前記支持基材の一面に形成され、ASTM D882によって測定した応力−変形率曲線(stress−strain curve)の降伏延伸率(elongation strain)が4%以上である第1ハードコーティング層;および 前記支持基材の他の一面に形成される第2ハードコーティング層を含むハードコーティングフィルム。」

「【0005】
・・・ハードコーティング層の厚さを増加させるほど表面硬度は高くなり得るが、ハードコーティング層の硬化収縮によってシワやカール(curl)が大きくなると同時にハードコーティング層の亀裂や剥離が生じやすくなるため、実用的に適用することは容易でない。

「【0009】
前記のような課題を解決するために、本発明は、高硬度および優れた耐衝撃性を有するハードコーティングフィルムを提供する。」

「【0011】
本発明のハードコーティングフィルムによれば、高硬度、耐衝撃性、耐擦傷性、および高透明度を示し、移動通信端末器、スマートフォンまたはタブレットPCのタッチパネル、および各種ディスプレイのカバー基板または素子基板においてガラスを代替する用途として使用できる。」

「【0020】
本発明のハードコーティングフィルムにおいて、前記第1ハードコーティング層の降伏延伸率が4%以上の値を有することによって耐屈曲性および可撓性を示しカールやクラックの問題が少なく、本発明のハードコーティングフィルムは優れた加工性を示すことができる。一方、前記支持基材の他の一面に形成される第2ハードコーティング層は、外部から加えられる衝撃や摩擦などによる破損を防止するために十分な高硬度および耐擦傷性を示すことができる。
【0021】
前記のように、本発明のハードコーティングフィルムは支持基材の両面にそれぞれハードコーティング層を備え、一面には高い延伸率を有するようにして可撓性を確保し、他の一面には高硬度および耐擦傷性を有するようにする二元化された物性を有するハードコーティング層を含むようにすることによって、ガラスを代替できる程度の高い物理的強度を有しながらもカールやクラックの問題が少なく優れた加工性を示すことができる。」

「【0028】
本発明のハードコーティングフィルムにおいて、前記第1および第2ハードコーティング層が形成される支持基材は通常使用される透明性プラスチック樹脂であれば延伸フィルムまたは非延伸フィルムなど支持基材の製造方法や材料に特別な制限なく使用することができる。」

「【0042】
前記光硬化性弾性重合体は、前記3乃至6官能性アクリレート系単量体と架橋重合され硬化後に第1または第2ハードコーティング層を形成することができ、これによって形成される第1または第2ハードコーティング層に適切な範囲の高硬度、柔軟性および耐衝撃性を付与することができる。」

「【0044】
前記光硬化性弾性重合体は、例えばポリカプロラクトン、ウレタンアクリレート系ポリマー、およびポリロタキサンからなる群より選択される1種以上であってもよい。」

「【0046】
前記ウレタンアクリレート系ポリマーは、ウレタン結合を含み、弾性および耐久性に優れた特性を有する。」

「【0056】
前記第1ハードコーティング層は、第1バインダー用単量体、光開始剤、および選択的に有機溶媒、および添加剤を含む第1ハードコーティング組成物を支持基材上に塗布した後、光硬化させて形成することができる。」

「【0069】
前記無機微粒子を含むことによってハードコーティングフィルムの硬度をさらに向上させることができる。」

「【0073】
前記第2ハードコーティング層は、第2バインダー用単量体、光開始剤、および選択的に有機溶媒、無機微粒子および添加剤を含む第2ハードコーティング組成物を支持基材上に塗布した後、光硬化させて形成することができる。」

「【0088】
本発明によれば、前記第1ハードコーティング層を含むことによって、カール特性の低下なく高硬度を有するハードコーティングフィルムを提供することができる。
【0089】
その次に、前述の成分を含む第2ハードコーティング組成物を前記支持基材の他の一面、即ち、背面に塗布する。その次に、前記塗布された前記第2ハードコーティング組成物に紫外線を照射して光硬化させることによって第2ハードコーティング層を形成する。この時、第2ハードコーティング組成物を光硬化させる段階では、紫外線照射が第1ハードコーティング組成物が塗布された面でない反対側で行なわれるので、前記第1ハードコーティング組成物の硬化収縮によって発生するカールを反対方向に相殺し平坦なハードコーティングフィルムを収得することができる。したがって、追加的な平坦化過程が不必要である。」

「【0105】
実施例1
トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)6g、製造例1のポリロタキサン4g、光開始剤(商品名:Darocur TPO)0.2g、ベンゾトリアゾール系黄変防止剤(商品名:Tinuvin 400)0.1g、フッ素系界面活性剤(商品名:FC4430)0.05g、メチルエチルケトン1gを混合して、第1ハードコーティング組成物を製造した。
【0106】
粒径が20−30nmであるナノシリカが約40重量%分散されたシリカ−ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)複合体9g(シリカ3.6g、DPHA5.4g)、製造例1のポリロタキサン1g、光開始剤(商品名:Darocur TPO)0.2g、ベンゾトリアゾール系黄変防止剤(商品名:Tinuvin 400)0.1g、フッ素系界面活性剤(商品名:FC4430)0.05gを混合して、第2ハードコーティング組成物を製造した。
【0107】
前記第2ハードコーティング組成物を15cm×20cm、厚さ188μmのPET支持基材上に塗布した。その次に、ブラックライト蛍光ランプを用いて280−350nmの波長の紫外線を照射し第1光硬化を行った。
【0108】
支持基材の背面に前記第1ハードコーティング組成物を塗布した。その次に、ブラックライト蛍光ランプを用いて280−350nmの波長の紫外線を照射し第2光硬化を行なってハードコーティングフィルムを製造した。硬化が完了した後、樹脂の両面に形成された第1および第2ハードコーティング層の厚さはそれぞれ100μmであった。
【0109】
実施例2
第1ハードコーティング組成物において、製造例1のポリロタキサン4gの代わりにウレタンアクリレート系ポリマー(商品名:UA200PA、新中村化学、重量平均分子量2,600g/mol、ASTM D638による伸び率170%)4gを使用し、第2ハードコーティング組成物において、製造例1のポリロタキサン1gの代わりにウレタンアクリレート系ポリマー(商品名:UA200PA)1gを使用したことを除いては、実施例1と同様な方法でハードコーティングフィルムを製造した。」

「【0122】
前記実施例1乃至7および比較例1のハードコーティングフィルムにおいて、ASTM D882によって測定した降伏延伸率および弾性係数値を下記表1に示した。
【0123】
【表1】



「【0124】
<実験例>
<測定方法>
1)鉛筆硬度
鉛筆硬度測定器を用いて第2ハードコーティング層に対して測定標準JIS K5400によって1.0kgの荷重で3回往復した後、傷がない硬度を確認した。」

「【0129】
6)円筒形屈曲テスト
第1ハードコーティング層を外側にして各ハードコーティングフィルムを直径1cmの円筒形マンドレルに嵌めて巻き付けた後、クラック発生有無を判断し、クラックが発生しない場合をOK、クラックが発生した場合をXと評価した。」

「【0131】
前記物性測定結果を下記表2に示した。
【0132】
【表2】



(2)甲1発明
上記(1)のうち、特に実施例2に着目すると、以下の発明(以下「甲1発明」という。他の各甲号証についても同様。)が記載されていると認められる。
「透明なPET支持基材と、前記支持基材上に形成した第2ハードコーティング層と、支持基材の背面に形成した第1ハードコーティング層からなり、
荷重1.0kgで確認した第2ハードコーティング層の鉛筆硬度は9Hであり、
第1ハードコーティング層の降伏延伸率は4.8%であり、
下記の条件を満たす、各種ディスプレイのカバー基板用のハードコーティングフィルム。
第1ハードコーティング層は、トリメチロールプロパントリアクリレート、ウレタンアクリレート系ポリマー、光開始剤、ベンゾトリアゾール系黄変防止剤、フッ素系界面活性剤及び有機溶媒を混合して製造された第1ハードコーティング組成物を前記支持基材背面に塗布後に光硬化して形成され、
第2ハードコーティング層は、ナノシリカが分散されたシリカ−ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート複合体、ウレタンアクリレート系ポリマー、光開始剤、ベンゾトリアゾール系黄変防止剤、フッ素系界面活性剤及び有機溶媒を混合して製造された第2ハードコーティング組成物を前記支持基材上に塗布後に光硬化して形成され、
第1ハードコーティング層を外側にして直径1cmの円筒形マンドレルに嵌めて巻き付けた後、クラックが発生しない。」

2.甲2について
(1)甲2の記載(なお、記載は申立人添付の翻訳文を参照した。)
「繰り返し折り畳み可能なブック型AMOLED」





「図2(d)で示されるようにフレキシブル基材が接着された。フレキシブル基材として低熱膨張率の20μm厚みのプラスチックフィルムが用いられた。
我々は、この方法を用いて5.9インチの折り畳み可能なブック型AMOLEDディスプレイを作製した。」

「3.繰り返し折り畳み試験
セクション2で説明した方法で製造された3.4インチのフレキシブルAMOLEDは、繰り返し折り畳み試験機を使用して繰り返し折り畳み試験に欠けられた。表1にディスプレイの仕様を示す。」(p.327 右欄19〜23行)

「図3は繰り返し折り畳み試験機の写真である。図4は、繰り返し折り畳み試験がどのように行われたかを示している。折り畳む部分はパネルの中央に配置し、表示領域とスキャンドライバ領域の一部を含めた。折り畳みは100,000回繰り返した。折り畳み曲率半径は金属棒で設定した。金属棒の直径が10mmの場合、曲率半径は5mmであった。パネルは、表示面(カラーフィルター側)が内面(内側)になるように折り畳んでいる。
表2に、繰り返し折り畳み試験の結果を示す。曲率半径2mmの場合、10万回折り畳んだ後、表示部に不具合は発生せず、ドライバは正常に動作した。」(p.327 右欄25〜36行)

(2)甲2記載事項
上記(1)から、甲2には以下の事項(以下「甲2記載事項」という。他の各甲号証についても同様。)が記載されていると認められる。
「20μmのプラスチックフィルムを含む繰り返し折り畳み可能なブック型AMOLEDディスプレイパネルにおいて、曲率半径2mmで10万回折り畳んだ後、表示部に不具合が発生しなかったこと。」

3.甲3について
(1)甲3の記載(なお、記載は対応する日本語公表公報(甲3−1:特表2016−521216号公報)を参照した。引用箇所に付記した括弧内は公表公報の段落番号。)
「最近、撓曲または屈曲可能な次世代の電子ディスプレイ装置として、フレキシブルOLEDを含むフレキシブル光電素子、軽量ディスプレイ、フレキシブルシーラント、カラーEPD、プラスチックLCD、TSP、OPVなどのフレキシブル電子機器が注目を受けている。このような屈曲または撓曲可能なフレキシブル型のディスプレイを実現するとともに下部素子を保護するためには、既存のガラスカバー基板の代わりをする新しいタイプのフレキシブルカバー基板が必要である。さらに、このような基板は、ディスプレイ装置に含まれる部品を保護するために、高硬度、低透湿性、優れた耐化学性及び光透過度を維持しなければならない。」([0002](【0002】))

「そこで、本発明は、上述した従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、優れた曲げ特性および耐衝撃性を有し、フレキシブル電子機器用カバー基板として有用な透明ポリイミドカバー基板を提供することである。」([0005](【0003】))

「本発明のポリイミドカバー基板は、ポリイミドフィルムの少なくとも一面にウレタンアクリレート化合物から形成された素子保護層を含む。」([0040](【0013】))

「また、前記ウレタンアクリレート化合物は、アクリレートの共重合体であって、好ましくは、下記化学式1で表されるウレタンアクリレートである。重量平均分子量が1,000〜50,000g/molであり、分子当たり平均ウレタン結合が1〜10個存在することがコート層の弾性を維持し、適切な硬度を維持して下部素子保護の面で好ましい。」([0043](【0014】))

「もし、前記化学式1で表されるウレタンアクリレート化合物の重量平均分子量が1,000g/mol未満である場合には、折畳(folding)の際にクラックが発生するおそれがあり、50,000g/molを超える場合には、弾性力が弱くなって硬度及び素子保護力が低下するおそれがある。」([0045](【0014】))

「このようなウレタンアクリレート化合物は、強い弾性力および柔軟性を有しており、ポリイミドフィルムの一面または両面に素子保護層として含まれることにより、ポリイミドフィルムの優れた特性を維持すると同時に、基板の耐衝撃性および曲げ特性を向上させる役割を果たす。」([0047](【0014】))

「前記素子保護層は、ウレタンアクリレートを含有する溶液を、スプレーコート、バーコート、スピンコート、ディップコートなどの様々な方法から適切な方法を選択してコートすることができる。
前記硬化方法は紫外線硬化方法によって行うことができる。これを考慮して、ウレタンアクリレート化合物を含有する溶液中に光開始剤を含むことができる。・・・
一方、本発明に係るポリイミドカバー基板は、用途によって、シリコン酸化物層、ハードコート層および透明電極層よりなる群から選ばれる1種以上をさらに含むことができる。」([0050]〜[0052](【0016】))

「このようにシリコン酸化物層が含まれた本発明のポリイミドカバー基板は、透過度の向上、黄色度の低下および低い水分透過度の物性を得ることができるという点で有利である。低い水分透過度は、TFTおよびOLED素子を外部の湿潤環境から保護するために不可欠な要素である。」([0056](【0018】))

「表1に示すように、比較例2の場合は、ポリイミドフィルムの表面にシリコン酸化物層が形成されることにより、表面に何らの処理も施していない比較例1と比較して光透過度や黄色度などが向上したことが分かる。」([0121]【0047】)

「一方、ハードコート層は、カバー基板の耐スクラッチ性を高める役割を果たすもので、
下記化学式4で表されるポリイソシアネート化合物を含有することができる。
<化学式4>

式中、Xは

(ここで、nは0〜5の整数であり、mは1〜5の整数であり、R1は炭素数1〜10のアルキル基または水素原子である)
であり、R2は炭素数1〜10のアルキル基である。」([0067]〜[0069](【0022】))

「このようなポリイソシアネート化合物は、ヒドロキシル基を有するアクリル樹脂と反応して、アクリレート基を含有するポリイソシアネート化合物を形成することができる。アクイレート基を含有するポリイソシアネート化合物は、硬化の際にコーティング膜の物理的性質を改善することが可能な架橋構造を形成することができる。」([0071](【0023】))

[ハードコート層の硬化は紫外線硬化により行われる。これを考慮して、アクリレート含有溶液中に光開始剤を含むことができる。」([0076](【0026】))

「<実施例1>
比較例2と同法の方法で無色透明なポリイミドフィルムの両面にシリコン酸化物層を形成した後、シリコン酸化物層の一面に、比較例3で使用されたアクリレート含有ポリイソシアネート溶液を比較例3と同様の方法で塗布、乾燥および硬化させて厚さ10μmのハードコート層を形成した。その後、ハードコート層が形成されていないシリコン酸化物層の一面にスパッタを用いてITOを蒸着し、透明電極層を形成した。前記形成された透明電極層の一面に、重量平均分子量が8,000g/molであり、化学式1におけるRがヘキシル基であるウレタンアクリレート化合物(Natoco社製、KLH−100)10gをメチルエチルケトン(MEK)10gに溶解し、前記ウレタンアクリレート化合物が溶解した溶液をバーコーターで塗布した後、80℃の温度で乾燥させて厚さ10μmの塗膜を得た。前記得られた塗膜上に、312nmおよび365nmの紫外線硬化器を用いて2つの波長を同時に100mW/cm2のエネルギーで10秒間照射して厚さ10μmの素子保護層を形成することにより、素子保護層、透明電極層、シリコン酸化物層、ポリイミドフィルム、シリコン酸化物層およびハードコート層が順次積層された構造を有するポリイミドカバー基板(図1)を製造した。」([0094](【0036】))

「(4)鉛筆硬度の測定
三菱評価用鉛筆(UNI)で電動式鉛筆硬度測定器を用いて1kgの荷重180mm/minの速度で50mmを5回描いた後、表面にスクラッチが全くない鉛筆硬度を測定した。」([0109]〜[0101](【0044】))

「(6)曲げ特性の測定
直径10mmのシリンダーに対して各ポリイミドカバー基板を巻いたり解いたりすることを10,000回繰り返し行い、膜の割れの有無を肉眼および顕微鏡で観察し、割れ現象が少しでもある場合には「Failed」と表示し、割れ現象がない場合には「OK」と表示した。」([0113]〜[0114](【0044】))

「【表1】

」(TABLE1(【0046】))

(2)甲3発明
上記(1)のうち、特に実施例1に着目すると、以下の甲3発明が記載されていると認められる。
「素子保護層、透明電極層、シリコン酸化物層、無色透明ポリイミドフィルム、シリコン酸化物層及びハードコート層が順次積層された構造を有し、
1kgの荷重で測定した鉛筆硬度は6Hであり、
下記の条件を満たす、屈曲可能な次世代の電子ディスプレイ装置用のポリイミドカバー基板。
素子保護層は、ウレタンアクリレート化合物溶液を塗布した後、紫外線硬化させて形成されており、
ハードコート層は、アクリレート含有ポリイソシアネート及び光開始剤を含有する溶液を塗布、乾燥及び硬化させて形成されており、
直径10mmのシリンダーに対してポリイミドカバーを巻いたり解いたりすることを10,000回繰り返した場合に膜の割れ現象がない。」

4.甲4について
(1)甲4の記載
「【請求項1】
基材フィルムの一方の面上にハードコート層を有し、前記基材フィルムの他方の面上に樹脂硬化層を有する積層体であって、
直径30mmの円柱に巻き付けたときにクラックが生じないものであり、
ナノインデンテーション法により、圧子を500nm押込んだときの硬度が0.5〜1.5GPaである、及び/又は、超微小硬度計を用いた500mN荷重における硬度が0.29〜1.10GPaである
ことを特徴とする積層体。」

「【0001】
本発明は、積層体、より詳細には、ガラス代替製品としての積層体に関する。」
「【0020
上記ハードコート層としては、微粒子とバインダー樹脂とを含有することが好ましい。
上記ハードコート層が微粒子を含有することで、該ハードコート層のJIS K 5400に規定する鉛筆硬度を向上させることができ、その結果、本発明の積層体の硬度が優れたものとなり、ガラス代替材料として好適に用いることが可能となる。
上記微粒子としては、例えば、無機微粒子又は有機微粒子が挙げられる。」

「【0029】
上記微粒子及びバインダー樹脂を含有するハードコート層は、例えば、上述した微粒子、バインダー樹脂のモノマー成分及び溶剤を含有するハードコート層用組成物を、上記基材フィルム上に塗布し、乾燥させて形成した塗膜を電離放射線照射等により硬化させることで形成することができる。
【0030】
上記ハードコート層用組成物に含まれる溶剤としては、・・・ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等・・・が例示でき、これらの混合物であってもよい。
【0031】
上記ハードコート層用組成物は、更に光重合開始剤を含有することが好ましい。」

「【0046】
本発明の積層体は、上述した構成を有することで、極めて優れた硬度を有するものであり、ガラス代替材料として好適に用いることができる。
具体的には、上述した構成とすることで本発明の積層体は、30mm円柱に巻きつけても大丈夫なフレキシビリティーがありつつ、7H、8H、更には9Hという鉛筆硬度が達成できる。
・・・
ところで、上記鉛筆硬度とは、積層体のハードコート層表面の硬度であり、後述する実施例等で鉛筆硬度(2)と表しているものである。」

「【0050】
本発明の積層体は、上述した構成からなるものであるため、極めて優れた硬度と可撓性とを有するものとするこができる。
このため、本発明の積層体は、ガラス代替材料として好適に用いることができ、薄くて曲げられるフレキシブルタイプの有機ELディスプレイや、スマートフォンや腕時計型端末などの携帯端末、自動車内部の表示装置、腕時計などに使用するフレキシブルパネル等に、更には、液晶表示装置等の画像表示装置やタッチパネル等に好適に用いることができる。」

「【0052】
(実施例1)
基材フィルムとして、厚さ80μmのトリアセチルセルロース基材(富士フイルム社製、TD80ULN)を準備し、該基材フィルムの一方の面上に、下記組成のハードコート層用組成物1を塗布し、塗膜を形成した。次いで、形成した塗膜に対して、70℃の乾燥空気を45秒間流通させることにより塗膜中の溶剤を蒸発させ、紫外線照射装置(フュージョンUVシステムジャパン社製、光源Hバルブ)を用いて、紫外線を窒素雰囲気(酸素濃度200ppm以下)下にて積算光量が200mJ/cm2になるように照射して塗膜を硬化させることにより、15μm厚み(硬化時)のハードコート層を形成した。
【0053】
(ハードコート層用組成物1)
反応性異形シリカ(日揮触媒化成社製、ELCOM V8803) 50質量部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬製、DPHA)50質量部
イルガキュア184(BASFジャパン社製) 4質量部
MIBK 75質量部
MEK 75質量部
フッ素系非反応型レベリング剤(DIC社製、F477) 0.2質量部」

「【0059】
(実施例5)
基材フィルム及び別の基材フィルムとして、厚さ40μmのトリアセチルセルロース基材(コニカミノルタ社製、KC4UA)を用いた以外は、実施例1と同様にして積層体を製造した。」

「【0073】
(実施例17)
下記組成のハードコート層用組成物4を用いて厚み15μmのハードコート層を形成した以外は、実施例5と同様にして積層体を製造した。
【0074】
(ハードコート層用組成物4)
反応性異形シリカ(日揮触媒化成社製、ELCOM V8803) 50質量部
ウレタンアクリレート(日本合成化学社製、紫光UV1700B) 50質量部
イルガキュア184(BASFジャパン社製) 4質量部
MIBK 75質量部
MEK 75質量部
フッ素系非反応型レベリング剤(DIC社製、F477) 0.2質量部」

「【0111】
(屈曲性)
実施例、比較例及び参考例に係る積層体を100mm×150mmのサンプルとし、ハードコート層側が外側となるようにして直径30mmの円柱に巻き付け、以下の基準により屈曲性を評価した。
○:クラックの発生なし
×:クラックの発生あり」

(2)甲4記載事項
上記(1)から、特に実施例1及び実施例17に着目して整理すると、次の甲4記載事項が記載されていると認められる。
「基材フィルム及び前記基材フィルムの一方の面上にハードコート層を含むフレキシブルタイプの有機ELディスプレイ用積層体であって、
前記ハードコート層の鉛筆硬度が9Hであり、
前記ハードコート層は、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート又はウレタンアクリレート、光重合開始剤、無機微粒子及び溶剤を含むハードコート層用組成物から形成され、
30mmの円柱に巻き付けてもクラックが発生しない。」

5.甲5について
(1)甲5の記載
「[0001] 本発明は、光硬化性樹脂組成物、及びこれを用いる積層体(硬化膜)を製造する方法に関する。」

「[0006] 本発明の一側面に係る光硬化性樹脂組成物によれば、当該光硬化性樹脂組成物から形成される硬化膜を透明基材フィルムに形成しても、屈曲性に優れた積層体(例えばハードコートフィルム)を得ることができる。」

「[0027] 光硬化性樹脂組成物は、さらに帯電防止剤を含有していてもよい。かかる帯電防止剤は、金属酸化物及び/又は金属塩であってもよい。・・・
[0028] 帯電防止剤の粒子径は0.001〜0.1μmであってもよい。」

「[0032] 光硬化性樹脂組成物は、多官能(メタ)アクリレートと、反応性ウレタンポリマーと、光重合開始剤と、紫外線吸収剤と、必要に応じて溶剤、帯電防止剤、及びその他の添加剤とを混合して得られる。これらの混合順等は特に限定されない。
[0033]<積層体>
図1は、積層体の一実施形態を示す断面図である。図1に示す積層体30は、基材フィルム10と、基材フィルム10の一方の主面10a上に積層された硬化膜20とを有する。硬化膜20は、上述の実施形態に係る光硬化性樹脂組成物から形成される。すなわち、硬化膜は、光硬化性樹脂組成物の硬化物である。一実施形態に係る積層体は、屈曲性、表面の硬度、及び耐光性に優れる。
[0034] 積層体の屈曲性は、JIS K 5600-5-1:1999に準拠した屈曲試験において、積層体の断片に生じるヒビ割れの量に基づいて判断することができる。例えば、次の屈曲試験を行えばよい。まず積層体を、縦1cm×幅8cmのサイズに切断して、積層体の短冊状の断片(以下、測定サンプルという)を用意する。次にこの測定サンプルの中央に所望の直径を有するロールを置き、測定サンプルをロールに沿って折り曲げる操作を10回程度行う。その後、測定サンプルの硬化膜に生じたヒビ割れの有無を確認する。」

「[0045] 一実施形態に係る積層体は、屈曲性及び硬度に優れるため、例えば、ハードコートフィルムとして、偏光板などとともに表示装置を構成することができる。」

「[0057] 以下の各実施例および比較例において、各物性は次のように測定した。
<鉛筆硬度>
JIS K 5600-5-4:1999に準拠して積層体の硬化膜が上側になるようにサンプル台に置き、積層体の鉛筆硬度を測定した。荷重は1kgとした。
<屈曲性>
JIS K 5600-5-1:1999に準拠して屈曲試験をした。硬化膜と基材フィルムとの積層体を1cm×8cmに切断して、測定サンプルを得た。測定サンプルを、硬化膜が内側又は外側になる向きで、直径6mm又は2mmのロールそれぞれに巻き付けた。硬化膜におけるヒビ割れの数に基づいて、屈曲性を次のように判定した。
(屈曲性の判定)
AA:ヒビ割れが生じなかった
A:ヒビ割れが1〜4本生じた
B:ヒビ割れが5本以上生じた
C:測定サンプルが材料破壊した
[0058][実施例1]
4官能アクリレート(新中村化学(株)製、A−TMMT、ペンタエリスリトールテトラアクリレート)47.5質量部、3官能アクリレート(新中村化学(株)製、A−TMPT、トリメチロールプロパントリアクリレート)47.5質量部、反応性ウレタンポリマー(大成ファインケミカル(株)製、8BR−600 40wt%品)12.5質量部、トリアジン系紫外線吸収剤(BASF社製、TINUVIN(登録商標)479)3質量部、光重合開始剤(チバスペシャリティケミカルズ(株)製、IRGACURE(登録商標)184)8質量部、レベリング剤(ビックケミージャパン(株)製、BYK−350)0.6質量部、及びメチルエチルケトン107質量部を撹拌しながら混合し、光硬化性樹脂組成物を得た。
透明基材フィルムとしての透明ポリイミドフィルム(三菱瓦斯化学(株)製ポリイミドフィルム100μm、表中“PI”と表記)に、前記の光硬化性樹脂組成物を、乾燥後の膜厚が5μmとなるようにバーコーターで塗工した。その後、塗膜(組成物層)を60℃のオーブンで5分間乾燥し、500mJ/cm2のエネルギーで紫外線を照射して硬化させることで、硬化膜と基材フィルムとの積層体を得た。得られた積層体の鉛筆硬度と、屈曲性とを上記の方法によって測定した。結果を表1に示す。」

「[表1]



「[請求項1] 二官能以上の多官能(メタ)アクリレートと、反応性ウレタンポリマーと、光重合開始剤と、紫外線吸収剤と、を含有する光硬化性樹脂組成物。
[請求項2] 前記反応性ウレタンポリマーが、ポリウレタン鎖である主鎖と該主鎖の末端に結合した(メタ)アクリレート基とを有するウレタンポリマー、(メタ)アクリル樹脂の主鎖と該主鎖に結合しポリウレタン鎖を含む側鎖と該側鎖の末端に結合した(メタ)アクリレート基とを有するウレタン変性(メタ)アクリル樹脂、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1記載の光硬化性樹脂組成物。
[請求項4] 基材フィルムと、前記基材フィルムの少なくとも片面側に積層された、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光硬化性樹脂組成物の硬化物である硬化膜と、を備える、積層体。
・・・
[請求項10] 当該積層体がHB以上の鉛筆硬度を有する、請求項4〜9のいずれか一項に記載の積層体。」

(2)甲5記載事項
上記(1)のうち、特に実施例1と請求項2に着目して整理すると、次の甲5記載事項が記載されていると認められる。
「透明基材フィルム及び前記基材フィルムの片面側に積層された光硬化性樹脂組成物の硬化物である硬化膜とを備える表示装置用の積層体であって、
1kgの荷重で測定した鉛筆硬度が2Hであり、
前記光硬化性樹脂組成物が、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリレート基を有するウレタンポリマー、光重合開始剤、帯電防止剤及び溶剤を含む光硬化性樹脂組成物から形成され、
2mm又は6mmのロールに前記硬化物層を内側にして巻き付けて折り曲げ試験を10回程度行ってもヒビ割れは生じないこと。」

6.甲6について
(1)甲6の記載
「【0001】
本発明は、耐擦傷性や密着性を維持し、柔軟性と硬度を向上させた防汚性ハードコートフィルム、その製造方法、ハードコートフィルムを用いた反射防止フィルム、偏光板、及び表示装置に関するものである。」

「【0043】
ここで、ハードコートフィルムの屈曲性試験は、JIS K 5600−5−1の規格に準じて行なうことができる。すなわち、ハードコートフィルムの屈曲性では、屈曲試験用マンドレルのサイズを選び、各ハードコートフィルムの割れ、剥がれを確認し、割れや剥がれを起こし始めるマンドレルの最小直径(mm)を求めるものである。」

「【0110】
実施例1
本発明によるハードコートフィルムを作製した。
【0111】
(ハードコート層形成用組成物)
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(B) 100重量部
〔多官能(メタ)アクリレートモノマー、商品名ライトアクリレート
DPE−6A、共栄社化学株式会社製〕
ポリウレタン系反応性ポリマー(A1) 10重量部
(商品名RA−160、根上工業株式会社製、重量平均分子量:
35000、二重結合当量:1100)
シリコーン変性フッ素系樹脂(C) 3重量部
(商品名ZX−049、富士化成工業株式会社製)
光重合開始剤(D) 5重量部
(商品名イルガキュアー184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)
有機粒子(E1) 5重量部
(商品名FS−201、日本ペイント株式会社製、一次粒径:60nm)
上記組成物に、酢酸メチル/MIBK=50/50溶媒を添加して、固形分50重量%とし、ハードコート層形成用樹脂組成物を得た。
【0112】
つぎに、透明フィルム基材として、厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルムを用いた。この透明フィルム基材の片面に、攪拌した樹脂組成物の混合溶液を、グラビアコーティング法により、WET膜厚10μm(乾燥後のDRY膜厚5μm)になるように塗布し、乾燥させて、高圧水銀灯により200mJの紫外線を照射させて、ハードコートフィルムを得た。
・・・
【0114】
実施例4〜6
上記実施例1〜3の場合と同様にして本発明によるハードコートフィルムを作製するが、上記実施例1〜3の場合と異なる点は、ポリウレタン系反応性ポリマー(A1)を、ポリウレタン系反応性ポリマー(A2)(商品名RA−140、根上工業株式会社製、重量平均分子量:17000、二重結合当量:1100)に変更した点、および有機粒子(E1)を、無機粒子(E2)(商品名スノーテックス40、日産化学工業株式会社製、一次粒径:20nm)に変更した点にある。実施例4〜6のその他の点は、上記実施例1〜3の場合と同様である。」

【0125】
(2)屈曲性試験
JIS K 5600−5−1に準じて、ハードコートフィルムの屈曲性を測定した。屈曲試験用マンドレルのサイズを選び、各ハードコートフィルムの割れ、剥がれを確認した。割れや剥がれを起こし始めるマンドレルの最小直径(mm)を求めた。」

「【表1】



(2)甲6記載事項
上記(1)のうち、特に実施例4に着目して整理すると、次の甲6記載事項が記載されていると認められる。
「透明フィルム基材及び前記透明基材フィルムの片面に形成されたハードコート層を含む表示装置用ハードコートフィルムにおいて、
前記ハードコート層は、ポリウレタン系反応性ポリマー(A2)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(B)、光重合開始剤(D)、無機粒子(E2)及び溶媒を含むハードコート層形成用組成物から形成され、
前記ハードコートフィルムは、屈曲性試験による最小直径が2mmであること。」

7.甲7について
(1)甲7の記載
「【技術分野】
【0001】
本発明は、環状オレフィン系樹脂からなる基材フィルムの少なくとも片面に積層される保護コート層に特に適した光硬化性組成物、及び積層フィルムに関する。」

「【0005】
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、優れた屈曲性が得られる光硬化性組成物、及び積層フィルムを提供する。」

「【0030】
[他の成分]
また、光硬化性組成物は、前述した成分(A)〜成分(D)の他に、更に必要に応じて無機微粒子(成分(E))を含有することが好ましい。これにより、屈折率の調整や表面を粗面化することができ、アンチブロッキング性能を向上させることができる。」

「【0063】
[積層フィルムの高速屈曲性の評価]
積層フィルム(試験片:100m×20mm)を基材フィルムのMD(Machine Direction)方向に1回折り曲げる屈曲操作を、1分間に60回の速さで10箇所行い、基材フィルム表面のクラックの有無を倍率10倍の光学顕微鏡で観察した。そして、クラックが全く観察されない折り曲げ箇所を良好としてカウントした。用途にもよるが、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は10であることが望ましい。」

「【0066】
<4−1.破断伸度と高速屈曲性との関係について>
[実施例1]
3官能以上の(メタ)アクリレートモノマー(成分(A))として、ペンタエリストリールトリアクリレート(M−305、東亞合成(株)製)、2官能の(メタ)アクリレートモノマー(成分(B))として、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(DCP−A、共栄社化学(株)製)、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(成分(C1))として、官能基数10、オリゴマー伸度9%のポリエーテル系ウレタンオリゴマー(UT5467、日本合成化学(株)製)、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(成分(C2))として、官能基数2、オリゴマー伸度250%のポリエーテル系ウレタンオリゴマー(UT5490、日本合成化学(株)製)、光重合開始剤(成分(D))として、2−ヒドロキシ−1−{4−[2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル]−ベンジル}フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン(イルガキュア(IRGACURE)127、BASFジャパン社製)を使用した。」

「【0129】
[実施例20]
表6に示すように、実施例1の成分に成分(E)を添加し、成分(A)20.6wt%、成分(B)8.2wt%、成分(C1)(UT5467)16.5wt%、成分(C2)(UT5490)37.1wt%、成分(D)2.6wt%、及び、成分(E)15.0wt%の溶質成分濃度で均一に混合することにより光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み2μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。硬化膜の破断伸度は41%、硬化膜のマルテンス硬度は125N/mm2であった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は10、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。また、密着性の評価は○、アンチブロッキング機能は◎、表面粗さは8.0nm、ヘイズは0.36%であった。」

(2)甲7記載事項
上記(1)のうち、特に実施例20に着目して整理すると、次の甲7記載事項が記載されていると認められる。
「基材フィルム及び前記基材フィルムの少なくとも片面に形成された保護コート層を含む積層フィルムであって、
破断伸度が41%であって、
前記保護層は、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、(メタ)アクリレートモノマー、光重合開始剤、無機微粒子及び溶媒を含む光硬化性組成物から形成され、
前記積層フィルムは、高速屈曲性の良好回数が10回であること。」

第5 当審の判断
1.申立理由1(進歩性)について
(1)本件発明1について
ア 甲1発明を主引例とした理由
(ア)対比
本件発明1と甲1発明とを、その機能、構造または技術的意義を考慮して対比する。

甲1発明の「透明なPET支持基材」、「前記支持基材上に形成した第2ハードコーティング層」、「各種ディスプレイのカバー基板用のハードコーティングフィルム」は、本件発明1の「透明基材」、「前記透明基材の少なくとも片面に直接接触して形成された単一のハードコーティング層」、「画像表示装置用のハードコーティングフィルム」にそれぞれ相当する。

甲1発明の「荷重1.0kgで確認した第2ハードコーティング層の鉛筆硬度は9Hであ」ることは、本件発明1の「1kgの荷重で評価した鉛筆硬度が4H以上であ」ることに相当する。

甲1発明の「ウレタンアクリレート系ポリマー」、「シリカ−ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート複合体」、「光開始剤」、「ナノシリカ」、「有機溶媒」は、本件発明1の「光硬化型ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー」、「光硬化型(メタ)アクリレートモノマー」、「光開始剤」、「無機ナノ粒子」、「溶剤」にそれぞれ相当する。
そうすると、甲1発明の「第2ハードコーティング層」が「ナノシリカが分散されたシリカ−ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート複合体、ウレタンアクリレート系ポリマー、光開始剤、ベンゾトリアゾール系黄変防止剤、フッ素系界面活性剤及び有機溶媒を混合して製造された第2ハードコーティング組成物を前記支持基材上に塗布後に光硬化して形成され」ていることは、本件発明1の「前記ハードコーティング層」が「光硬化型ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー及び光硬化型(メタ)アクリレートモノマーを含む光硬化型樹脂;光開始剤;無機ナノ粒子;及び溶剤を含むハードコーティング組成物から形成され」ていることに、相当する。

以上を総合すると、本件発明1と甲1発明は、以下の点で一致する一方、以下の各点で相違する。

<一致点1>
「透明基材;及び前記透明基材の少なくとも片面に直接接触して形成された単一のハードコーティング層を含み、
1kgの荷重で評価した鉛筆硬度が4H以上であり、
下記の条件を満たす画像表示装置用のハードコーティングフィルム。
前記ハードコーティング層は、光硬化型ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー及び光硬化型(メタ)アクリレートモノマーを含む光硬化型樹脂;光開始剤;無機ナノ粒子;及び溶剤を含むハードコーティング組成物から形成されている。」

<相違点1−1>(応力−歪み曲線に関する数式1)
本件発明1では、ハードコーティングフィルムが、「下記の数式1」「〔数1〕 A/B×100<50% 前記式中、Aは応力−歪み曲線において歪み0〜1%の区間の面積を示し、Bは応力−歪み曲線の下の全体面積を示し」「を満たす」のに対し、
甲1発明では、第2ハードコーティング層がかかる特性を有することが特定されていない点。

<相違点1−2>(折り畳み可能な画像表示装置と20万回屈曲試験)
ハードコーティングフィルムが、
本件発明1では、適用される画像表示装置が「折りたたみが可能な」ものであり、「フィルム面間の間隔が6mmになるように半分に折り曲げてから元に戻すことを20万回繰り返した場合に、折り曲げ部分にクラックが発生しない」という特性を有する対し、
甲1発明では、適用される各種ディスプレイが折りたたみ可能との特定はなく、「第1ハードコーティング層を外側にして直径1cmの円筒形マンドレルに嵌めて巻き付けた後、クラックが発生しない」という特性を有する点。

(イ)判断
a 相違点1−1について
甲1発明は、「支持基材の両面にそれぞれハードコーティング層を備え、一面には高い延伸率を有するようにして可撓性を確保し、他の一面には高硬度および耐擦傷性を有するようにする二元化された物性を有するハードコーティング層を含むようにすることによって、ガラスを代替できる程度の高い物理的強度を有しながらもカールやクラックの問題が少なく優れた加工性を示すことができる」(【0021】)ものであるとともに、第2ハードコーティング組成物を光硬化させる段階では、紫外線照射が第1ハードコーティング組成物が塗布された面でない反対側で行なわれるので、前記第1ハードコーティング組成物の硬化収縮によって発生するカールを反対方向に相殺し平坦なハードコーティングフィルムを収得することができる」(【0089】)ものである。
そうすると、甲1発明において、第1ハードコーティング層が有する延伸率が高いという特性を、高硬度及び耐擦り傷性を有する第2ハードコーティング層が有するようにすることは、【0021】及び【0089】に記載されている、二元化された物性をそれぞれのハードコーティング層に確保させるとともに、各ハードコート層を支持基材の表裏それぞれに形成することにより各ハードコート層の硬化収縮を相殺するという、甲1発明の技術的特徴を没却するものであるといえるから、阻害要因があるといえる。また、相違点1−1に係る本件発明1の構成については、甲1のほか、甲2〜甲7のいずれにも記載されていないし、相違点1−1に係る構成とする動機付けもない。
したがって、甲1発明において、相違点1−1に係る本件発明1の構成とすることは、当業者にとって容易であるとはいえない。

b 相違点1−2について
甲1発明は、「支持基材の両面にそれぞれハードコーティング層を備え、一面には高い延伸率を有するようにして可撓性を確保し、他の一面には高硬度および耐擦傷性を有するようにする二元化された物性を有するハードコーティング層を含むようにすることによって、ガラスを代替できる程度の高い物理的強度を有しながらもカールやクラックの問題が少なく優れた加工性を示すことができる」(【0021】)ことである。ここで、「ハードコーティング層の厚さを増加させるほど表面硬度は高くなり得るが、ハードコーティング層の硬化収縮によってシワやカール(curl)が大きくなると同時にハードコーティング層の亀裂や剥離が生じやすくなるため、実用的に適用することは容易でない」(【0005】)との記載を参酌すれば、上記「可撓性」とは、ハードコーティング層の硬化収縮によって生じるシワやカールや、それによって発生する亀裂や剥離を防ぐことができれば足り、本件発明1が規定する20万回の屈曲試験までを要求するものではない。
したがって、甲1発明において、適用される画像表示装置を「折りたたみが可能な」ものとするとともに、「フィルム面間の間隔が6mmになるように半分に折り曲げてから元に戻すことを20万回繰り返した場合に、折り曲げ部分にクラックが発生しない」という特性を有するようにすることに動機付けはない。また、相違点1−2に係る構成については、甲1のほか、甲2〜甲7のいずれにも記載されていないし、相違点1−2に係る構成とする動機付けもない。
そうすると、甲1発明において、相違点1−2に係る本件発明1の構成とすることは、当業者にとって容易であるとはいえない。

c まとめ
以上のとおりであるから、本件発明1は、甲1発明及び甲2〜甲7に記載された事項から容易になし得たものではない。

(ウ)申立人の主張について
a 相違点1−1(応力−歪み曲線に関する数式1)に関して
申立人は、甲1発明の第1ハードコーティング層は「降伏延伸率が4%以上」であり、応力−変形率曲線は原点から単調増加する曲線であるから、甲1発明の「降伏延伸率が4%以上」であることは、本件発明の「A/B×100%<50%」に相当すると主張している(特許異議申立書の19ページ1〜27行。
しかしながら、甲1発明の第1ハードコーティング層の特性を検討する以前に、甲1発明の第1ハードコーティング層が有する「降伏延伸率が4%以上」という特性を第2ハードコーティング層に適用することは阻害要因があり当業者にとって容易であるとはいえないことは、上記(イ)で述べたとおりである。

b 相違点1−2(折り畳み可能な画像表示装置と20万回屈曲試験)に関して
申立人は、甲1発明は耐屈曲性に優れるものであるから、その用途と満たすべき耐屈曲特性として甲2記載事項を適用することは十分な動機付けがある旨を主張している(特許異議申立書19ページ28行〜20ページ21行。)。
しかしながら、甲1発明はその用途が折り畳み可能な表示装置用ではなく、甲1発明に求められる耐屈曲性は、各ハードコーティング層の硬化収縮を相殺する程度のものである。したがって、当業者が甲2を参酌したとしても、甲1発明の用途と満たすべき耐屈曲特性として甲2記載事項を採用する動機付けがあったとまではいえない。

イ 甲3発明を主引例とした理由
(ア)対比
本件発明1と甲3発明とを、その機能、構造または技術的意義を考慮して対比する。
甲3発明の「無色透明ポリイミドフィルム」、「ハードコート層」、「屈曲可能な電子ディスプレイ装置用のポリイミドカバー基板」は、本件発明1の「透明基材」、「単一のハードコーティング層」、「折り畳みが可能な画像表示装置用のハードコーティングフィルム」にそれぞれ相当する。

甲3発明の「素子保護層、透明電極層、シリコン酸化物層、無色透明ポリイミドフィルム、シリコン酸化物層及びハードコート層が順次積層された構造を有」する態様と、本件発明1の「前記透明基材の少なくとも片面に直接接触して形成された単一のハードコーティング層を含」む態様とは、「前記透明基材の少なくとも片面に形成された単一のハードコーティング層を含」む限りで一致する。

甲3発明の「1kgの荷重で測定したポリイミドカバー基板の鉛筆硬度は6Hであ」ることは、本件発明1の「1kgの荷重で評価した鉛筆硬度が4H以上であ」ることに相当する。

甲3発明の「アクリレート含有ポリイソシアネート」は本件発明1の「光硬化型ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー」に相当する。

そうすると、甲3発明の「ハードコート層は、アクリレート含有ポリイソシアネート及び光開始剤を含有する溶液を塗布、乾燥及び硬化させて形成され」ることと、
本件発明1の「前記ハードコーティング層は、光硬化型ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー及び光硬化型(メタ)アクリレートモノマーを含む光硬化型樹脂;光開始剤;無機ナノ粒子;及び溶剤を含むハードコーティング組成物から形成され」ることは、
「前記ハードコーティング層は、光硬化型ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー含む光硬化型樹脂;光開始剤;及び溶剤を含むハードコーティング組成物から形成され」る限りで一致する。

以上を総合すると、本件発明1と甲3発明は、以下の点で一致する一方、以下の各点で相違する。

<一致点2>
「透明基材;及び前記透明基材の少なくとも片面に形成された単一のハードコーティング層を含み
1kgの荷重で評価した鉛筆硬度が4H以上であり、
下記の条件を満たす折り畳みが可能な画像表示装置用のハードコーティングフィルム。
前記ハードコーティング層は、光硬化型ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含む光硬化型樹脂;光開始剤;及び溶剤を含むハードコーティング組成物から形成される。」

<相違点2−1>(応力−歪み曲線に関する数式1)
ハードコーティングフィルムが有する応力−歪み曲線の特性が、
本件発明1では、「〔数1〕 A/B×100<50% 前記式中、Aは応力−歪み曲線において歪み0〜1%の区間の面積を示し、Bは応力−歪み曲線の下の全体面積を示し」を満たすのに対し、
甲3発明では、かかる特性を有することが特定されていない点。

<相違点2−2>(20万回屈曲試験)
ハードコーティングフィルムが、
本件発明1では、適用される画像表示装置が「折りたたみが可能な」ものであり、「フィルム面間の間隔が6mmになるように半分に折り曲げてから元に戻すことを20万回繰り返した場合に、折り曲げ部分にクラックが発生しない」という特性を有する対し、
甲3発明では、適用される各種ディスプレイが折りたたみ可能との特定はなく、「直径10mmのシリンダーに対してポリイミドカバーを巻いたり解いたりすることを10,000回繰り返した場合に膜の割れが発生しない」という特性を有する点。

<相違点2−3>(ハードコーティング層の成分)
ハードコーティング層が、本件発明1では「光硬化型(メタ)アクリレートモノマー」及び「無機ナノ粒子」を含むのに対し、
甲3発明では、かかる成分を含まない点。

<相違点2−4>(直接接触)
透明基材とハードコーティング層が、本件発明1では「直接接触」しているのに対し、甲3発明では「シリコン酸化物層」が介して積層されている点。

(イ)判断
事案に鑑み、相違点2−4について検討する。
甲3に、「シリコン酸化物層が含まれた本発明のポリイミドカバー基板は、透過度の向上、黄色度の低下および低い水分透過度の物性を得ることができるという点で有利である。低い水分透過度は、TFTおよびOLED素子を外部の湿潤環境から保護するために不可欠な要素である。」(公表公報【0018】)、「表1に示すように、比較例2の場合は、ポリイミドフィルムの表面にシリコン酸化物層が形成されることにより、表面に何らの処理も施していない比較例1と比較して光透過度や黄色度などが向上したことが分かる」(公表公報【0047】)とあることを踏まえると、甲3発明において、シリコン酸化物層は不可欠な要素であるから、甲3発明において、シリコン酸化物層を設けないようにすることには阻害要因があるといえる。
そうすると、甲3発明において、相違点2−4に係る本件発明1の構成とすることは、当業者にとって容易であるとはいえない。
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲3発明及び甲1、甲2及び甲4〜甲7に記載された事項から容易になし得たものではない。

(ウ)申立人の主張について
相違点2−4(直接接触)
申立人は、甲3発明において、シリコン酸化物層は任意で含んでもよい層であるとともに、透明基材の片面にハードコーティング層を直接接触して形成することは甲1及び甲4〜甲6に記載された周知技術であるから、甲3発明においてシリコン酸化物層をなくすことは当業者が適宜なし得る設計事項にすぎない旨を主張している(異議申立書の23ページ10〜18行。)。
しかしながら、上記(イ)で述べたとおり、甲3発明においてシリコン酸化物層は不可欠な要素であるから、甲3発明において、シリコン酸化物層を設けないようにすることが容易であったとはいえない。

(2)本件発明2〜6について
本件発明2〜6は、本件発明1の特定事項を全て含み、さらに限定を加えるものであるから、上記(1)で検討したのと同じ理由により、本件発明2〜6は、当業者が甲1発明又は甲3発明に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2.申立理由2(明確性)について
請求項1の「前記ハードコーティングフィルムは、フィルム面間の間隔が6mmになるように半分に折り曲げてから元に戻すことを20万回繰り返した場合に、折り曲げ部分にクラックが発生しない。」との記載については、ハードコーティングフィルムを、折り曲げ部を挟んだ両方の半部が6mmの距離まで近づくように折り曲げるという意味であると理解できる。
この理解は、JIS K5600−5−1で規定されるコーティングの耐屈曲性試験が、所定の直径のマンドレルを支点に試験片を180°折り曲げることにより行われるという技術常識とも整合している。
したがって、本件発明1〜6は明確である。

第6 むすび
したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1〜6に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1〜6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。

 
異議決定日 2022-09-16 
出願番号 P2017-120967
審決分類 P 1 651・ 121- Y (B32B)
P 1 651・ 537- Y (B32B)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 藤原 直欣
特許庁審判官 稲葉 大紀
井上 茂夫
登録日 2021-09-21 
登録番号 6947547
権利者 東友ファインケム株式会社
発明の名称 ハードコーティングフィルム及びそれを利用した画像表示装置  
代理人 特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK  
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