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審決分類 審判 査定不服 特174条1項 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H05K
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H05K
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H05K
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H05K
管理番号 1390098
総通号数 11 
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-11-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-03-17 
確定日 2022-10-13 
事件の表示 特願2019−124914「アキシャルフィーダ、およびアキシャルフィーダによるアキシャルリード部品供給方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年10月31日出願公開、特開2019−192935〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本件に係る出願は、2014年(平成26年)10月30日を国際出願日とする特願2016−556117号の一部を令和元年7月4日に新たな特許出願としたものであって、令和2年3月19日付けで拒絶理由通知がされ、同年7月17日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年12月16日付け(発送日:同年12月22日)で拒絶査定(以下、「原査定」という。)され、これに対して令和3年3月17日に審判請求書が提出され、審判請求書の提出と同時に手続正書が提出された。その後の手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年 8月11日付け 拒絶理由通知
同年10月13日 意見書及び手続補正書の提出
令和4年 2月 2日付け 拒絶理由<最後>通知
同年 4月 4日 意見書及び手続補正書の提出

第2 令和4年4月4日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和4年4月4日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。)
「部品実装装置に設けられた保持台に位置決めされ、かつ着脱可能に装着されるとともに、水平な姿勢で所定の搬送高さで搬送される本体部とリード線とを有する複数のアキシャル部品がキャリアテープにテーピングされたテープ化部品の前記リード線を切断して前記キャリアテープから切り離し、前記キャリアテープから切り離したアキシャル部品のリード線を屈曲し、前記リード線の屈曲したアキシャル部品をひとつずつ部品供給位置で前記部品実装装置が備える作業ヘッドに供給するアキシャルフィーダであって、
前記アキシャルフィーダが、
前記テープ化部品が搬送される前記所定の搬送高さよりも高い位置である前記部品供給位置において前記リード線の屈曲したアキシャル部品の前記本体部が前記アキシャルフィーダから突出して全て露出した状態になるように前記キャリアテープから切り離されたアキシャル部品を前記部品供給位置に上昇させて、前記アキシャルフィーダから突出して前記本体部が全て露出した状態の前記リード線の屈曲したアキシャル部品を前記部品供給位置において停止した状態で前記作業ヘッドに供給することを特徴とするアキシャルフィーダ。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、令和3年10月13日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「部品実装装置に設けられた保持台に位置決めされ、かつ着脱可能に装着されるとともに、水平な姿勢で所定の搬送高さで搬送される本体部とリード線とを有する複数のアキシャル部品がキャリアテープにテーピングされたテープ化部品の前記リード線を切断して前記キャリアテープから切り離し、前記キャリアテープから切り離したアキシャル部品のリード線を屈曲し、前記リード線の屈曲したアキシャル部品をひとつずつ部品供給位置で前記部品実装装置が備える作業ヘッドに供給するアキシャルフィーダであって、
前記アキシャルフィーダが、
前記テープ化部品が搬送される前記所定の搬送高さよりも高い位置である前記部品供給位置に前記リード線の屈曲したアキシャル部品の前記本体部が前記アキシャルフィーダの上面から全て露出した状態になるように前記キャリアテープから切り離されたアキシャル部品を上昇させて、前記本体部が全て露出した状態の前記リード線の屈曲したアキシャル部品を前記部品供給位置において停止した状態で前記作業ヘッドに供給することを特徴とするアキシャルフィーダ。」

2 補正の適否
(1)新規事項についての検討
本件補正後の請求項1は、「前記アキシャルフィーダから突出して前記本体部が全て露出した状態の前記リード線の屈曲したアキシャル部品」との発明特定事項を有している。

しかしながら、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)には、「アキシャル部品」が「アキシャルフィーダから突出して」「本体部」が「全て露出した状態」について直接の記載はなく、【図14】には、アキシャル部品90の本体部96が、「アキシャルフィーダに取り付けられたブラケット状の部品」(【図14】の符号「154」から延びる矢印線の先端付近の部品参照)の上面より低い位置にある構成が図示されており、【図6】及び【図7】にも、同様の構成が図示されているのみである。ここで、上記「アキシャルフィーダに取り付けられたブラケット状の部品」については、当初明細書等には、テープフィーダ82を構成するフィーダ本体部107の内部に、配設された屈曲装置112が有するフォーミング・カット機構154が記載されている(段落【0018】、【0019】、【0022】、図5〜8参照)。
そして、上記「ブラケット状の部品」もアキシャルフィーダの一部と認められるから、アキシャル部品は、アキシャルフィーダから突出した状態とは認められないし、本体部はアキシャルフィーダから突出して全て露出した状態とは認められない。

また、当初明細書等の明細書の段落【0035】に
「なお、支持ブロック170と1対の支持部材172と1対のカッタ174とは、屈曲されたリード線98の先端部が曲げ部材176の側方に至るまで上昇する。曲げ部材176の側方には、把持装置(図示省略)が配設されており、その把持装置によって、屈曲されたリード線98の先端部が把持される。そして、屈曲されたリード線98の先端部が把持装置によって把持された後に、支持ブロック170と1対の支持部材172と1対のカッタ174とが下降する。これにより、図14に示すように、リード線98が屈曲された状態のアキシャル部品90が、部品供給位置において供給される。」
と記載されているところ、把持装置及び把持装置に把持されたリード線98とその本体部96は図示が省略されていることから、把持装置が、本体部96の全てを露出する構成であるかどうか、図14からは不明である。

そうすると、本件補正後の請求項1の「前記アキシャルフィーダから突出して前記本体部が全て露出した状態の前記リード線の屈曲したアキシャル部品」との発明特定事項は、当初明細書等に記載されておらず、また当初明細書等に記載された事項から自明なものでもない。
そして、本体部の全てが露出されると、「アキシャルフィーダから供給されるリード部品を保持する作業ヘッドの待ち時間が削減される」及び「アキシャルフィーダから供給されるリード部品を容易に作業ヘッドが保持することも可能であることから、供給されたリード部品を保持する作業ヘッドと当該リード部品を供給するフィーダとの干渉する機会も削減される」(令和3年10月13日付け意見書参照。)という、当初明細書に記載されていない新たな作用・効果を奏すると認められる。

そうであれば、本件補正後の請求項1に「前記アキシャルフィーダから突出して前記本体部が全て露出した状態の前記リード線の屈曲したアキシャル部品」との事項を特定することは、請求項1に対して新たな技術的事項を導入するものであるといえる。

よって、本件補正がなされた請求項1に記載した事項は、当初明細書等に記載した事項の範囲内のものでないから、本件補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものでなく、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。

(2)補正の目的について
仮に本件補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであると仮定して、本件補正について更に検討する。

本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「アキシャル部品」の「部品供給位置」における「全て露出した」状態について、「アキシャルフィーダの上面から」の「上面から」を削除するから、特許法17条の2第5項4号の明りょうでない記載の釈明(令和4年2月2日付け拒絶理由通知に係る拒絶の理由1に示す事項「アキシャルフィーダの上面」についてするもの)に該当するとともに、「から突出して」との限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。

(3)特許独立要件の進歩性について
ア 本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。

イ 引用文献1の記載事項等
令和3年8月11日付けの拒絶の理由で引用された、上記国際出願日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、米国特許第5050650号明細書(1991年9月24日)(以下「引用文献1」という。)には、次の記載がある。(下線部は当審により付与。以下同様。)
(ア)「BACKGROUND OF THE INVENTION」(第1欄第3行。なお、空行は含まない。)
「発明の背景」(当審訳)

(イ)「U.S. Pat. No. 4,817,266 by the present inventor Gregory W. Holcomb describes a variable axial lead electrical component feeder. The apparatus described in the '266 patent accommodates a range of body and lead sizes and readily adjusts to accommodate various tape widths and pitches and is readily utilized with robotic assembly systems.」(第1欄第39〜45行)
「本発明者グレゴリー・W・ホルコムによる米国特許第4,817,266号明細書は、可変軸リード電子部品供給装置を記載している。'266特許に記載されている装置は、さまざまなボディサイズおよびリードサイズに対応し、さまざまなテープ幅およびピッチに対応するように容易に調整され、ロボット組立システムで容易に利用される。」(当審訳)

(ウ)「DETAILED DESCRIPTION OF THE PREFERRED EMBODIMENT
An axial lead electrical component feeder 50 embodying the invention is shown in the perspective view of FIG. 1. In this exemplary embodiment, the components are fed from a tape reel 55 which rotates about axle 57, supported in angled slots formed in the respective side cover plates 58 and 59. The reel 55 carries a tape 60 to which are secured a succession of spaced axial lead components 62. Each component 62 is secured to the tape 60 by its leads, with the component body disposed between the parallel tape strips comprising the tape. Means other than a reel may be used to supply the feeder with taped components, such as ammunition box-style packaging of the taped components.
As will be described below, the apparatus 50 includes means for driving the tape to the component lead cutting and forming station 65 of the apparatus 50. At this station, the component leads are cut to a predetermined length from the tape 60, and formed to the desired shape. The respective tape strips are then led away as scrap. In accordance with the invention, the apparatus 50 is characterized by a narrow footprint and low vertical profile, both advantageous characteristics. The apparatus 50 is characterized by a relatively narrow body structure 70, which is supported on pedestal supports 72 and 74, in this exemplary embodiment.」(第3欄第51行〜第4欄第12行)
「好ましい実施形態の詳細な説明
本発明を具体化したアキシャルリード電子部品供給装置50を図1の斜視図に示す。この例示的な実施形態では、構成要素は、軸57を中心に回転するテープリール55から供給され、それぞれの側カバープレート58および59に形成された角度付きスロットで支持される。リール55は、間隔をあけたアキシャルリード部品62の連続が固定されたテープ60を搬送する。各コンポーネント62は、そのリード線によってテープ60に固定され、コンポーネント本体は、テープを含む平行なテープストリップの間に配置される。リール以外の手段は、テーピングされたコンポーネントの弾薬箱スタイルの包装などのテーピングされたコンポーネントをフィーダに供給するために使用されてもよい。
後述するように、装置50は、装置50の部品リードの切断・成形ステーション65にテープを駆動する手段を備えている。このステーションでは、部品のリード線をテープ60から所定の長さに切断し、所望の形状に形成する。その後、それぞれのテープストリップはスクラップとして引き離される。本発明に従って、装置50は、狭いフットプリントおよび低い垂直プロファイルによって特徴付けられ、いずれも有利な特性を有する。装置50は、この例示的な実施形態において、台座状の支持体72および74に支持された比較的狭い本体構造70によって特徴付けられる。」(当審訳)

(エ)「FIG. 2 is a partial right side view of the apparatus 50 with the side cover plate 58 removed. The bodies 63 of the respective components 62 secured to the tape 60 are supported by a body guide 80 (shown more clearly in FIG. 3) as the taped components are drawn to the cutting and forming station 65. The body guide 80 is supported at one end by bulkhead 96, and its forward end by a body guide bridge 81. The bridge 81 is in turn supported by a tie bar 85 extending upwardly from the base plate 106.」(第4欄第22〜31行)
「図2は、側蓋板58を取り外した装置50の右側の部分図である。テープ60に固定された各構成要素62の本体63は、テープで固定された構成要素が切断および成形ステーション65に引き込まれるにつれて、ボディガイド80(図3においてより明確に示される)によって支持される。ボディガイド80は、一端が隔壁96によって支持され、その前方端がボディガイドブリッジ81によって支持されている。ブリッジ81は、ベースプレート106から上方に延びるタイバー85によって順番に支持されている。」(当審訳)

(オ)「Referring to FIGS. 5-10, the cutting and forming station 65 comprises several elements. A lower die holder 130 is secured to a lower die plate 132, which is in turn mounted on the end of a piston 144 comprising the cut/form cylinder 146 The cylinder 146 is a double acting pneumatic cylinder appropriately sized to drive the component-in-process through the cut/form sequences discussed below.
A lower forming die 150 is also secured to the die holder 130 between the lower cutting die 136 and 137, and provides support for the component body and leads during the cutting and forming operations.」(第6欄第30〜41行)
「図5〜図10を参照すると、切断および成形ステーション65は、いくつかの要素を含む。下型ホルダ130は、下型プレート132に固定され、これは、順に、切断/形態シリンダ146を含むピストン144の端部に取り付けられ、シリンダ146は、以下で論じる切断/形態シーケンスを通してプロセス中の部品を駆動するために適切な大きさの複動空気圧シリンダである。
下部成形型150はまた、下部切断ダイ136と137との間のダイホルダ130に固定され、切断および成形作業中にコンポーネント本体およびリード線を支持する。」(当審訳)

(カ)「The upper forming die blocks 138 and 139 remain in a stationary position throughout the forming operation; the cut/form cylinder 146 pushes the lower forming die 150 upwardly, carrying the component with it, causing the leads to contact the rollers and make the bend.
FIG. 6 is a perspective view of the upper die block 138; the other upper die block 139 is a mirror image of block 138. Die surface 186 cooperates with the lower cutting die 136 in the lead cutting operation. The bending roller 166 is mounted on a pin (not shown in FIG. 6) fitted into bores 188 and 190. The V-shaped cross-sectional configuration of the roller 166 guides the bent lead into the partial funnel shaped grove 192, which tapers down to a narrow untapered groove portion 194. The groove portions 192 and 194 complete the bending process on the component lead.」(第7欄第8〜24行)
「上部成形ダイブロック138および139は、成形動作全体を通して静止位置にとどまる。カット/フォームシリンダ146は、下部成形ダイ150を上方に押し上げ、部品を運び、リード線をローラに接触させて屈曲させる。
図6は、上ダイブロック138の斜視図である。他方の上型ブロック139は、ブロック138の鏡像である。ダイ面186は、リード切断動作において下部切断ダイ136と協働する。曲げローラ166は、ボア188,190に嵌め込まれたピン(図6には図示せず)に取り付けられている。ローラ166のV字断面構成は、屈曲したリード線を部分的な漏斗状の溝部192に導き、狭い、非テーパの溝部194までテーパーダウンする。溝部192,194は、部品リード線上の曲げ加工を完了する。」(当審訳)

(キ)「The leads are held in corresponding grooves of the upper forming die by lead springback. With the component-in-process now at the pickup location, it is now ready for robotic pickup.」(第9欄第2〜6行)
「リード線は、リード線のスプリングバックによって上部成形型の対応する溝に保持される。工程におけるコンポーネントがピックアップ位置となることで、ロボットによるピックアップの準備が整う。」(当審訳)

(ク)FIG 1

(ケ)FIG 2

(コ)FIG 4

(サ)FIG 6

(シ)FIG 7

(ス)FIG 8

(セ)FIG 9

(ソ)FIG 10

(タ)上記(ア)、(イ)、(ウ)及び(キ)の記載事項から、引用文献1に記載されたアキシャルリード電子部品供給装置50は、ロボット組立システムに設けられることが前提とされており、リード線が切断及び屈曲され、ピックアップ位置にあるアキシャルリード部品62は、ロボット組立システムのロボットに供給されてピックアップされると認められる。

(チ)FIG.1及びFIG.4から、テープ60によってリード線が固定されたテープ化アキシャルリード部品のアキシャルリード部品62は、テープリール55から切断及び成形ステーション65まで水平な姿勢で所定の高さで供給されることが見て取れる。

(ツ)上記(オ)及び(カ)の記載事項及びFIG.8〜10から、下型ホルダ130、下型プレート132、下部切断ダイ136及び137並びに下部成形型150が一体的に上方に動いて本体63及びリード線を上昇させることで、テープ60からアキシャルリード部品62を切り離し、リード線を屈曲させることが理解でき、FIG.8〜10から、下部切断ダイ136、137の上端と下部成形型150の上端がおおよそ同じ高さであることが見て取れる。
そして、FIG.4及び7には、アキシャルリード電子部品供給装置50の上面(FIG.4の符号「64」から延びる矢印線で示される太い輪郭線(左右方向部分)を参照。)より、アキシャルリード部品62の上端を突出させた状態で本体63を露出させた状態が見て取れ、この状態は、ピックアップ位置にテープ60から切り離されたアキシャルリード部品62を上昇させた後に停止させた状態と認められるが、同じ図面において、そのアキシャルリード部品62の下には、次にリード線が切断及び屈曲されるアキシャルリード部品62が配置され、さらにその下に下部切断ダイ136が配置されている状態が図示されているから、ピックアップ位置にアキシャルリード部品62を上昇させ停止させた後には、アキシャルリード部品62の本体63及びリード線を上昇させた下部成形型150を、次にリード線が切断及び屈曲されるアキシャルリード部品62の高さよりも下方に移動させられることが、FIG.4及びFIG.7から見て取れる。

(テ)上記(カ)の記載事項及びFIG.6に照らせば、上記(キ)の「上部成形型の対応する溝」は、非テーパの溝部194であると認められる。

(ト)上記(ア)〜(ソ)の記載事項及び上記(タ)〜(テ)の認定事項から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

[引用発明]
「ロボット組立システムの台座状の支持体72、74に支持されるとともに、テープリール55から切断及び成形ステーション65まで水平な姿勢で所定の高さで供給される本体63とリード線を有する複数のアキシャルリード部品62がテープ60に固定されたテープ化アキシャルリード部品の前記リード線を切断して前記テープ60から切り離し、前記テープ60から切り離した前記アキシャルリード部品62の前記リード線を屈曲し、前記リード線の屈曲した前記アキシャルリード部品62をひとつずつピックアップ位置でロボット組立システムのピックアップロボットに供給するアキシャルリード電子部品供給装置50であって、
前記アキシャルリード電子部品供給装置50が、
切り離した前記アキシャルリード部品62が供給される前記所定の高さよりも上方のピックアップ位置となるように、前記テープ60から切り離された前記アキシャルリード部品62の前記本体63及び前記リード線を上昇させ、前記リード線の屈曲した前記アキシャルリード部品62を、前記アキシャルリード部品62の前記リード線を上部成形型138の溝194で支えることで、前記本体63を前記アキシャルリード電子部品供給装置50の上面よりも高い位置に突出させて露出させ、前記ピックアップ位置において停止した状態で前記ピックアップロボットに供給するアキシャルリード電子部品供給装置50。」

ウ 引用文献3の記載事項
令和3年8月11日付けの拒絶の理由で引用された、上記国際出願日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特開昭54−759号公報(以下「引用文献3」という。)には、図面とともに、次の記載がある。

(ア)「(1)アキシャルリード型の電子部品をテープから切り離し、部品挿入装置に送り込むテーピング部品供給装置において、外周に等ピッチのV型溝を有し、電子部品の両端のリード線を支持すると共に、前記溝の外面の稜部に刃を有する一対のラチェットと、このラチェットの外面に近接あるいは接して、前記刃と共に前記リード線を切断する一対の固定刃と、前記ラチェットの軸に駆動力を与える駆動手段と、前記テープに固定した部品をガイドするガイド手段と、前記テープに固定した部品を収納する箱を保持する保持手段と、上記部品挿入装置にロックするためのロック手段とを設けたことを特徴とするテーピング部品供給装置。」(特許請求の範囲第1項)

(イ)「次に第1図に示した供給装置を第2図の如く部品挿入装置Aにセットする方法について説明する。第1図の如く箱詰されたテーピング部品を供給装置に装填した後、ベース板3上にネジ止めされたUブロック14に支持された軸15を中心に回動する取手16を手に持ち、部品挿入装置Aに取付けられている一対のガイド17の間を第3図の矢印aの方向にスライドさせてストッパ一部18に突き当たる迄挿入する。ストッパ一部18に当たると同時にベース板3に設けられた透孔(図示せず)あるいは溝19に部品挿入装置A側に設けられたロックピン(図示せず)がはいり込み、供給装置を部品挿入装置Aに固定する。」(第2ページ左上欄第18行〜右上欄第10行)

(ウ)「次にこの供給装置を部品挿入装置Aより取り出す場合には、ローラ30を手で握って矢印36の方向に引っぱる。するとローラ30は軸34のまわりに回転し、これにともなってローラ31も同様に回転し、部品挿入装置Aに取付けられている中板37に取付けられている支え板38の透孔と中板37の透孔39によって両端部がガイドされていて常時はバネ39′により上方に押しつけられているクランパ40の頭部を上から押し付けてクランパ40の頭部を透孔39の表面より押し下げる。このようにしてベース板3をクランプ状態より解除しつつ、更にガイド17より取り出す。」(第2ページ右下欄第2〜13行)

(エ)第2図

(オ)第2図から、一対のガイド17及びストッパー部18は、部品挿入装置Aの中板37上に取り付けられていることが見て取れる。

(カ)上記記載事項(ア)〜(エ)及び上記の認定事項(オ)から、引用文献3には、次の事項(以下、「引用文献3に記載された事項」という。)が記載されていると認められる。

「部品挿入装置Aに取付けられている中板37上の一対のガイド17の間にスライドさせ、ストッパー部18に突き当たるまで挿入し固定できるとともに取り出せるアキシャルリード型の電子部品のテーピング部品供給装置。」

エ 対比
本件補正発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「ロボット組立システム」は本件補正発明の「部品実装装置」に相当し、以下同様に、
「台座状の支持体72、74」は「保持台」に、
「支持される」ことは「位置決めされ」「装着される」ことに、
「所定の高さ」は「所定の搬送高さ」に
「所定の高さで供給される」ことは「所定の搬送高さで搬送される」ことに、
「本体63」は「本体部」に、
「リード線」は「リード線」に、
「アキシャルリード部品62」は「アキシャル部品」に、
「テープ60」は「キャリアテープ」に、
「テープ60に固定」することは「キャリアテープにテーピング」することに、
「テープ化アキシャルリード部品」は「テープ化部品」に、
「ピックアップ位置」は「部品供給位置」に、
「ピックアップロボット」は「作業ヘッド」に、
「アキシャルリード電子部品供給装置50」は「アキシャルフィーダ」に、
「上方」は「高い位置」に、それぞれ相当する。
また、引用発明の「切り離した前記アキシャルリード部品62が供給される前記所定の高さよりも上方のピックアップ位置となるように、前記テープ60から切り離された前記アキシャルリード部品62の前記本体63及び前記リード線を上昇させ」は、本件補正発明の「前記テープ化部品が搬送される前記所定の搬送高さよりも高い位置である前記部品供給位置に」「前記キャリアテープから切り離されたアキシャル部品を前記部品供給位置に上昇させて」に相当する。
さらに、引用発明の「前記リード線の屈曲した前記アキシャルリード部品62を」「前記ピックアップ位置において停止した状態で前記ピックアップロボットに供給する」は、本件補正発明の「前記リード線の屈曲したアキシャル部品を前記部品供給位置において停止した状態で前記作業ヘッドに供給する」に相当する。

したがって、本件補正発明と引用発明とは、
「部品実装装置に設けられた保持台に位置決めされ、かつ装着されるとともに、水平な姿勢で所定の搬送高さで搬送される本体部とリード線とを有する複数のアキシャル部品がキャリアテープにテーピングされたテープ化部品の前記リード線を切断して前記キャリアテープから切り離し、前記キャリアテープから切り離したアキシャル部品のリード線を屈曲し、前記リード線の屈曲したアキシャル部品をひとつずつ部品供給位置で前記部品実装装置が備える作業ヘッドに供給するアキシャルフィーダであって、
前記アキシャルフィーダが、
前記テープ化部品が搬送される前記所定の搬送高さよりも高い位置である前記部品供給位置において前記リード線の屈曲したアキシャル部品の前記本体部が前記アキシャルフィーダから突出して露出した状態になるように前記キャリアテープから切り離されたアキシャル部品を前記部品供給位置に上昇させて、前記アキシャルフィーダから突出して前記本体部が露出した状態の前記リード線の屈曲したアキシャル部品を前記部品供給位置において停止した状態で前記作業ヘッドに供給するアキシャルフィーダ。」の点で共通し、以下の相違点1及び2で相違する。

[相違点1]
本件補正発明は「保持台に位置決めされ、かつ着脱可能に装着される」ものであるのに対し、引用発明は「台座状の支持体72、74に支持される」が、「着脱可能に装着される」とは特定されていない点。

[相違点2]
「部品供給位置」の「アキシャル部品の前記本体部」につき、本件補正発明は「アキシャル部品の前記本体部が前記アキシャルフィーダから突出して全て露出した状態になる」のに対し、引用発明は、「前記本体63を前記アキシャルリード電子部品供給装置50の上面よりも高い位置に突出させて露出させ」るが、本体63が「全て露出した状態」か否かは不明である点。

オ 相違点の検討
以下、相違点1について検討する。

上記ウ(カ)に示したとおり、引用文献3には、「テーピング部品供給装置」が「中板37上の一対のガイド17の間にスライドさせ、ストッパー部18に突き当たるまで挿入し固定できるとともに取り出せる」こと、すなわち中板に位置決めされ、着脱可能に装着されることが記載されている。ここで、引用文献3の「アキシャルリード型の電子部品のテーピング部品供給装置」は本件補正発明の「アキシャルフィーダ」に相当し、引用文献3の「部品挿入装置Aに取付けられている中板37」は本件補正発明の「部品実装装置に設けられた保持台」に相当する。
そうすると、上記相違点1に係る本件補正発明の構成は、引用文献3に記載された事項が有する構成であると認められる。

また、引用発明は、様々なアキシャルリード電子部品を使うロボット組立システムに使用することを前提としているから、引用文献3に記載された事項を採用する動機付けはあるといえる。
そうであれば、上記相違点1に係る本件補正発明の構成とすることは、引用発明及び引用文献3に記載された事項に基いて当業者が容易になし得たことである。

次に、相違点2について検討する。
引用発明は、アキシャルリード部品62をピックアップ位置において停止した状態では、リード線を上部成形型138の溝194で支えるから、上記イ(ツ)のとおり、下部成形型150を、次にリード線が切断及び屈曲されるアキシャルリード部品62の高さよりも下方に移動させ、本体63が下部成形型150によって隠されない状態とすることは引用文献1に示唆されている事項である。また、アキシャルリード電子部品供給装置50の上面と、アキシャルリード部品62の本体63の下端の、いずれを高い位置にするかは、ロボット組立システムのピックアップするロボットの構成及び当該構成によるピックアップの態様に応じて適宜選択すべき設計的事項に過ぎない。
そうであれば、ピックアップ位置において停止した状態で、本体63の下端が下部成形型150の上端やアキシャルリード電子部品供給装置50の上面に隠れないようにして、本体63を全て露出した状態とすることは、引用発明及び引用文献1に記載された事項に基いて当業者が容易になし得た事項である。

そして、相違点1及び相違点2に係る本件補正発明の構成によってもたらされる作用・効果は、引用発明並びに引用文献1及び2に記載された事項から、当業者が予測可能な事項の範囲内のものである。

したがって、本件補正発明は、当業者が引用発明並びに引用文献1及び2に記載された事項から容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3 本件補正についてのむすび
したがって、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
令和4年4月4日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和3年10月13日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。

第4 当審の拒絶理由通知の概要
1 令和4年2月2日の当審が通知した拒絶理由のうちの理由2は、概略、次のとおりのものである。
令和3年10月13日付けでした手続補正は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。(以下「当審拒絶理由1」という。)

2 令和3年8月11日の当審が通知した拒絶理由のうちの理由2は、次のとおりのものである。
この出願の請求項1−4に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された引用文献1−4に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。(以下「当審拒絶理由2」という。)
引用文献1.米国特許第5050650号明細書
引用文献2.特開昭61−10300号公報
引用文献3.特開昭54−759号公報
引用文献4.実願昭57−77778号(実開昭58−180667号)のマイクロフィルム

第5 当審拒絶理由1について(令和3年10月13日にした手続補正について)
令和3年10月13日にした手続補正は、請求項1に「前記リード線の屈曲したアキシャル部品の前記本体部が前記アキシャルフィーダの上面から全て露出した状態」との発明特定事項を追加し、請求項4に「前記リード線を屈曲させたアキシャル部品の本体部が前記アキシャルフィーダの上面から全て露出した状態」との発明特定事項を追加するものである。

しかしながら、令和4年2月2日付け拒絶理由通知書において説示したとおり、当初明細書等には、「アキシャル部品の本体部」が「アキシャルフィーダの上面から全て露出した状態」について直接の記載はなく、【図14】には、アキシャル部品90の本体部96が、アキシャルフィーダに取り付けられたブラケット状の部品(【図14】の符号「154」から延びる矢印線の先端付近の部品参照)の上面より低い位置にある構成が図示されており、【図6】及び【図7】にも、同様の構成が図示されているのみである。

してみると、上記ブラケット状の部材もアキシャルフィーダの一部と認められるから、アキシャル部品90の本体部96は、アキシャルフィーダの上面から全て露出した状態とは認められない。

また、上記第2 2(1)で検討したように、明細書の段落【0035】に記載され、図示省略された「把持装置」が、本体部96の全てを露出する構成であるかどうか、図面からは不明である。

そうすると、上記第2 2(1)の検討も踏まえると、請求項1に「前記リード線の屈曲したアキシャル部品の前記本体部が前記アキシャルフィーダの上面から全て露出した状態」との発明特定事項及び請求項4に「前記リード線を屈曲させたアキシャル部品の本体部が前記アキシャルフィーダの上面から全て露出した状態」との発明特定事項を追加する補正は、請求項1及び4に対して新たな技術的事項を導入するものであるといえる。

よって、令和3年10月13日にした手続補正がなされた請求項1及び請求項4に記載した事項は、当初明細書等に記載した事項の範囲内のものでなく、また、当該補正がなされた請求項1の記載を直接又は間接的に引用する請求項2及び3に記載した事項も、当初明細書等に記載した事項の範囲内のものでない。

したがって、令和3年10月13日にした手続補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。

第6 当審拒絶理由2について
1 引用文献の記載及び引用発明
以下、仮に令和3年10月13日にした手続補正が当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものと仮定して、上記第4 2の拒絶理由通知について検討する。
引用文献1及び3の記載事項等は上記第2 2(3)イ及びウのとおりである。

2 対比、判断
本件補正発明は、本願発明の「前記部品供給位置に前記リード線の屈曲したアキシャル部品の前記本体部が前記アキシャルフィーダの上面から全て露出した状態」を「前記部品供給位置において前記リード線の屈曲したアキシャル部品の前記本体部が前記アキシャルフィーダから突出して全て露出した状態になるように前記キャリアテープから切り離されたアキシャル部品を前記部品供給位置に上昇させて、前記アキシャルフィーダから突出して前記本体部が全て露出した状態」に改めたものであるから、上記第2 2(3)エの対比を踏まえると、本願発明と引用発明とは

「部品実装装置に設けられた保持台に位置決めされ、かつ装着されるとともに、水平な姿勢で所定の搬送高さで搬送される本体部とリード線とを有する複数のアキシャル部品がキャリアテープにテーピングされたテープ化部品の前記リード線を切断して前記キャリアテープから切り離し、前記キャリアテープから切り離したアキシャル部品のリード線を屈曲し、前記リード線の屈曲したアキシャル部品をひとつずつ部品供給位置で前記部品実装装置が備える作業ヘッドに供給するアキシャルフィーダであって、
前記アキシャルフィーダが、
前記テープ化部品が搬送される前記所定の搬送高さよりも高い位置である前記部品供給位置に前記リード線の屈曲したアキシャル部品の前記本体部が前記アキシャルフィーダの上面から露出した状態になるように前記キャリアテープから切り離されたアキシャル部品を上昇させて、前記本体部が露出した状態の前記リード線の屈曲したアキシャル部品を前記部品供給位置において停止した状態で前記作業ヘッドに供給するアキシャルフィーダ。」
の点で一致し、以下の相違点3及び4で相違する。

[相違点3]
本願発明は「保持台に位置決めされ、かつ着脱可能に装着される」ものであるのに対し、引用発明は「台座状の支持体72、74に支持される」が、「着脱可能に装着される」とは特定されていない点。

[相違点4]
「部品供給位置」の「アキシャル部品の前記本体部」につき、本願発明は「アキシャル部品の前記本体部が前記アキシャルフィーダの上面から全て露出した状態になる」のに対し、引用発明は、「前記本体63を前記アキシャルリード電子部品供給装置50の上面よりも高い位置に突出させて露出させ」るが、本体63が「全て露出した状態」か否かは不明である点。

そこで、相違点3について検討する。
相違点3は、上記第2 2(3)エの相違点1と同じ内容であるから、上記第2 2(3)オで検討したと同じ理由から、上記相違点3に係る本願発明の構成とすることは、引用発明及び引用文献3に記載された事項に基いて当業者が容易になし得たことである。

次に、相違点4について検討する。
引用発明は、アキシャルリード部品62をピックアップ位置において停止した状態では、リード線を上部成形型138の溝194で支えるから、上記第2 2(3)イ(ツ)のとおり、下部成形型150を、次にリード線が切断及び屈曲されるアキシャルリード部品62の高さよりも上方に移動させ、本体63が下部成形型150によって隠されない状態とすることは引用文献1に示唆されている事項である。また、アキシャルリード電子部品供給装置50の上面と、アキシャルリード部品62の本体63の下端の、いずれを高い位置にするかは、ロボット組立システムのピックアップするロボットの構成等に応じて適宜選択すべき設計的事項に過ぎない。
そうであれば、ピックアップ位置において停止した状態で、本体63の下端が下部成形型150やアキシャルリード電子部品供給装置50の上面に隠れないようにして、本体63をアキシャルフィーダの上面から全て露出した状態とすることは、引用発明及び引用文献1に記載された事項に基いて当業者が容易になし得た事項である。

そして、相違点3及び相違点4に係る本願発明の構成によってもたらされる作用・効果は、引用発明並びに引用文献1及び3に記載された事項から、当業者が予測可能な事項の範囲内のものである。

3 請求人の主張について
請求人は、令和3年10月13日付け意見書において「引用文献1のFIG7、FIG10等、あるいは明細書の記載からも明らかなように、部品供給位置のアキシャル部品の本体部は隠れた状態にあり、補正後の本願のように、アキシャルリード部品の本体部がアキシャルフィーダから全て露出した状態で供給される旨の記載はございませんでした。」と主張する。
しかしながら、上記第2 2(3)イ(ツ)のとおり、下部成形型150を、次にリード線が切断及び屈曲されるアキシャルリード部品62の高さよりも下方に移動させ、本体63が下部成形型150によって隠されない状態とすることは引用文献1に示唆されている事項であるから、上記主張は採用しない。

4 小括
したがって、本願発明は、引用発明並びに引用文献1及び3に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

第7 むすび
以上のとおり、令和3年10月13日にした手続補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものでなく、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしておらず、また、本願発明は、引用文献1及び3に記載された発明又は事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
別掲 (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。
 
審理終結日 2022-08-10 
結審通知日 2022-08-16 
審決日 2022-08-29 
出願番号 P2019-124914
審決分類 P 1 8・ 55- WZ (H05K)
P 1 8・ 561- WZ (H05K)
P 1 8・ 121- WZ (H05K)
P 1 8・ 575- WZ (H05K)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 平瀬 知明
特許庁審判官 岡本 健太郎
内田 博之
発明の名称 アキシャルフィーダ、およびアキシャルフィーダによるアキシャルリード部品供給方法  
代理人 弁理士法人ネクスト  

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