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審決分類 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G09F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G09F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G09F
管理番号 1390242
総通号数 11 
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-11-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-09-24 
確定日 2022-10-07 
事件の表示 特願2020− 259「ラップアラウンドディスプレイを備える電子装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 4月16日出願公開、特開2020− 60794〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
出願分割の経緯の概略
本願は、特許法44条1項の規定による特許出願(パリ条約による優先権主張、2011年9月26日、米国)であって、平成24年9月20日にされた外国語特許出願である特願2014−533615号を最先の出願とする、いわゆる第3世代の分割出願であるところ、出願の分割の経緯は、次のとおりである。なお、括弧内は当該出願の現実の出願日を示す。

最先の出願 :特願2014−533615号(平成24年 9月20日)
第1世代分割:特願2016−152707号(平成28年 8月 3日)
第2世代分割:特願2018− 71039号(平成30年 4月 2日)
本願 :特願2020− 259号(令和 2年 1月 6日)

2 本願の手続の経緯の概略
本願の手続の経緯の概略は、次のとおりである。
令和 2年11月 2日付け:拒絶理由通知書
令和 3年 2月 8日 :手続補正書、意見書の提出
同年 5月18日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
(同月24日 :原査定の謄本の送達)
同年 9月24日 :審判請求書、手続補正書の提出

第2 令和3年9月24日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和3年9月24日にされた手続補正を却下する。

[補正の却下の決定の理由]
1 補正の内容
令和3年9月24日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲について補正をするものである。本件補正前(令和3年2月8日にされた手続補正後をいう。以下同じ。)の特許請求の範囲の請求項1及び本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおりである。下線は補正箇所を示す。

(1)本件補正前の請求項1
「 前面及び反対側に背面を有する電子装置であって、
前記電子装置の前記前面に位置する第1の平面部分、前記第1の平面部分の先で曲がる第2の平面部分、及び丸くなった角部を有する透明筐体と、
前記透明筐体の前記第1の平面部分、前記透明筐体の前記第2の平面部分、前記角部を介してイメージを表示するディスプレイであって、前記透明筐体の前記角部の内部面に合致する折り畳まれた部分とを有する前記ディスプレイと、
を備えた、電子装置。」

(2)本件補正後の請求項1
「 前面及び反対側に背面を有する電子装置であって、
前記電子装置の前記前面に位置する第1の平面部分、前記第1の平面部分の先で曲がる第2の平面部分、及び丸くなった角部を有する透明筐体と、
前記透明筐体の前記第1の平面部分、前記透明筐体の前記第2の平面部分、前記角部を介してイメージを表示するディスプレイであって、前記透明筐体の前記角部の内部面に合致する折り畳まれた部分とを有する前記ディスプレイと、
イメージをキャプチャするカメラと、
顔認識ソフトウェアを用いて前記キャプチャされたイメージを処理し、及び前記第1の平面部分、前記第2の平面部分、前記丸くなった角部を介して表示された前記イメージを前記キャプチャされたイメージに基づき調整する処理回路と、 を備えた、電子装置。」

2 本件補正の適否
(1) 本件補正の目的
本件補正の目的について検討する。

ア 請求項1についての補正
本件補正後の請求項1は、本件補正前の請求項1を補正したものであるところ、本件補正のうち特許請求の範囲の請求項1についての補正は、本件補正前の請求項1の電子装置の発明に対して「イメージをキャプチャするカメラ」及び「顔認識ソフトウェアを用いて前記キャプチャされたイメージを処理し、及び前記第1の平面部分、前記第2の平面部分、前記丸くなった角部を介して表示された前記イメージを前記キャプチャされたイメージに基づき調整する処理回路」を付加するものである。

イ 特許請求の範囲の限定的減縮の該当性について
請求人は審判請求書において本件補正の目的について説明していないところ、まず、請求項1についての補正が、特許法17条の2第5項2号に該当するか、とりわけ、2号の括弧書の「第三十6条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであつて、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。」という要件(以下「特許請求の範囲の限定的減縮の要件」という。)を充足するか否かについて検討する。

(ア) 発明特定事項の限定の該当性について
上記アで示したように、本件補正のうち特許請求の範囲の請求項1についての補正は、本件補正前の請求項1に係る発明に対して新たな機能を奏するための発明特定事項を付加するものであって、本件補正前の請求項1に係る発明の「発明特定事項を限定するもの」であるとはいえない(特許・実用新案ハンドブック 附属書A 目的外補正に関する事例集の〔事例10〕参照)。
よって、請求項1についての補正は、特許請求の範囲の減縮(請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するもの)に該当しない。

(イ) 解決しようとする課題の同一性について
本件補正前の請求項1に係る発明が解決しようとする課題は、本願明細書の【0020】及び【0025】の記載を参酌すると、「良好に手に合う(例えば、密着する)形状」にすること、「利用可能ディスプレイ領域を」「実質的に増大させる」ことであると認められる。
他方、本件補正後の請求項1に係る発明が解決しようとする課題は、本願明細書の【0025】の記載を参酌すると、「エンドユーザの全般的な方向、及びエンドユーザの視野を判定し、それに応じて、ディスプレイ401によるビジュアルコンテンツの提示を調整すること」であると解される。
してみれば、本件補正前の請求項1に係る発明は本件補正後の請求項1に係る発明に対して、下位概念には属しない新たな機能を付加するものであるから、解決しようとする課題が同一であるとはいえない。
よって、請求項1についての補正は、「その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるもの」に該当しない。

(ウ) 小括
上記(ア)及び(イ)で検討したとおり、本件補正のうち請求項1についての補正は、特許請求の範囲の限定的減縮の要件を充足しないから、特許法17条の2第5項2号を目的とするものに該当しない。

ウ 本件補正の目的についてのむすび
上記イにおいて検討したとおり、本件補正のうち請求項1についての補正は、特許法17条の2第5項2号を目的とするものに該当しない。
また、本件補正のうち請求項1についての補正が、請求項の削除、誤記の訂正又は明瞭でない記載の釈明を目的とするものではないことは明らかである。
したがって、本件補正のうち請求項1についての補正は、特許法17条の2第5項各号のいずれを目的とするものにも該当しない。

(2) 独立特許要件について
本件補正のうち請求項1についての補正は特許法17条の2第5項2号を目的とするものに該当しないが、仮にこれが、特許法17条の2第5項2号を目的とするものに該当するとして、本件補正後の請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか、すなわち、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下検討を行う。

ア 本件補正発明
本件補正発明は、前記1(2)に摘記した、本件補正後の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。

イ 引用文献1及び引用発明の認定
(ア) 引用文献1の記載事項
原査定の拒絶の理由において引用された、本願の優先日前に発行された国際公開第2011/114190号(発行日2011年9月22日。以下「引用文献1」という。)には、以下の記載がある。下線は、当合議体において付したものであり、後述の引用発明の認定に直接用いるところに付してある。また、括弧内に当合議体による和訳を付す。
a 第4頁第30行〜第6頁第6行
「Fig. 1A illustrates a front view of a housing 100 for a portable electronic device. Fig. 1B illustrates a plan view of the housing 100. Fig. 1C illustrates a side view of the housing 100.

The portable electronic device may, for example, be a mobile telephone, a games console, a personal music player, a personal digital assistant or a tablet computer. The portable electronic device may be small enough to fit inside a user's pocket.

The housing 100 comprises a hollow, transparent shell 5 made from first and second half shells 6, 7. In the illustrated example, the first and second half shells 6, 7 are wholly made from a transparent, smooth material, such as glass or a transparent plastics material. Each half shell 6, 7 may be made from the same material. Each half shell 6, 7 is integrally formed.

The transparent shell 5 has a length L1, a width W1 and a depth D1. The length L1 is greater than the width W1 and the depth D1. The width W1 is smaller than the length L1 and greater than the depth D1. The transparent shell 5 is tubular in shape and defines an inner space for housing electronic components of the portable electronic device.

The first half shell 6 comprises a first transparent curved portion 15, a transparent front wall 16 and a second transparent curved portion 17. The first transparent curved portion 15, the front wall 16 and the second transparent curved portion 17 are integrally formed.

In the example illustrated in Figs 1A, 1B and 1C, there are no apertures in the first transparent curved portion 15, the transparent front wall 16 and the second transparent curved portion 17. For example, there is no aperture for a display and there are no apertures for keys.

The front wall 16 is positioned intermediate the first transparent curved portion 15 and the second transparent curved portion 17. The front wall 16 comprises an inner surface 18 and an outer surface 19. The outer surface 19 of the front wall 16 provides the front face 19 of the housing 100. In the illustrated example, at least a portion of the front face 19 is substantially flat.

The first transparent curved portion 15 is configured to curve from the front wall 16 to a first side wall 50 of the housing 100.The first transparent curved portion 15 has an outer surface 11 and an inner surface 12. The outer surface 11 of the first transparent curved portion 15 has a convex curvature and curves from the front face 19 to an outer surface 51 of the first side wall 50, in plane defined by the depth D1 and the width W1 of the transparent shell 5. The outer surface 51 of the first side wall 50 provides a first side face 51 of the housing 100. In this example, a portion of the first side wall 50 is provided by the first transparent half shell 6, and a portion is provided by the second transparent half shell 7.

(図1Aは携帯型電子装置のためのハウジング100の正面図を示す。図1Bは、ハウジング100の平面図を示す。図1Cは、ハウジング100の側面図を示す。

携帯型電子装置は、例えば、携帯電話、ゲームコンソール、パーソナル音楽プレーヤー、パーソナルデジタルアシスタント又はタブレットコンピュータとすることができる。携帯型電子機器は、ユーザのポケット内に収まるように十分小さくてもよい。

ハウジング100は、第1及び第2のハーフシェル6、7から作られた中空の透明シェル5からなる。図示の例では、第1及び第2のハーフシェル6、7は、ガラス又は透明プラスチック材料のような、透明で滑らかな材料から全体的に作られる。各ハーフシェル6、7は、同じ材料から作られてもよい。各ハーフシェル6、7は、一体的に形成されている。

透明シェル5は、長さL1、幅W1及び深さD1を有する。長さL1は、幅W1及び深さD1より大きい。幅W1は、長さL1よりも小さく、深さD1よりも大きい。透明シェル5は、形状が管状であり、携帯型電子機器の電子部品を収納するための内部空間を画定する。

第1のハーフシェル6は、第1透明湾曲部15、透明前壁16及び第2透明湾曲部17を備えている。第1透明湾曲部15、前壁16及び第2透明湾曲部17は、一体的に形成されている。

図1A、図1B及び図1Cに示す例では、第1透明湾曲部15、透明前壁16及び第2透明湾曲部17には、開口がない。例えば、表示のための開口はなく、キーのための開口もない。

前壁16は、第1透明湾曲部15及び第2透明湾曲部17の中間に位置している。前壁16は、内面18及び外面19を備えている。前壁16の外面19は、ハウジング100の前面19を提供する。図示の例では、前面19の少なくとも一部分は実質的に平坦である。

第1透明湾曲部15は、ハウジング100の前壁16から第1側壁50まで湾曲して構成されている。第1透明湾曲部15は、外面11及び内面12を有する。第1透明湾曲部15の外面11は、凸状の湾曲を有し、透明シェル5の深さD1及び幅W1で定義される平面内において、前面19から第1側壁50の外面51まで湾曲している。第1側壁50の外面51は、ハウジング100の第1側面51を提供する。この例では、第1側壁50の一部は、第1の透明ハーフシェル6により提供され、一部は、第2の透明ハーフシェル7により提供される。)」

b 第7頁第33行〜第8頁第13行
「The second half shell 7 comprises a third transparent curved portion 25, a transparent rear wall 26 and a fourth transparent curved portion 27. The third transparent curved portion 25, the transparent rear face 26 and the fourth transparent curved portion 27 are integrally formed.

In the example illustrated in Figs 1A, 1 B and 1C, there are no apertures in the third transparent curved portion 25, the transparent rear wall 26 and the fourth transparent curved portion 27. For example, there is no aperture for a camera.

The rear wall 26 is positioned intermediate the third transparent curved portion 25 and the fourth transparent curved portion 27. An outer surface 29 of the rear wall 26 provides the rear face of the housing 100. In the illustrated example, at least a portion of the rear face 29 is substantially flat. The rear wall 26 has an inner surface 28 and a thickness r1. In this example, the rear wall 26 has the same thickness r1 as the front wall 16.

(第2のハーフシェル7は、第3透明湾曲部25、透明後壁26及び第4透明湾曲部27を備えている。第3透明湾曲部25、透明後面26及び第4透明湾曲部27は、一体的に形成されている。

図1A、図1B及び図1Cに示す例では、第3透明湾曲部25、透明後壁26及び第4透明湾曲部27には、開口はない。例えば、カメラのための開口はない。

後壁26は、第3透明湾曲部25と第4透明湾曲部27の中間に配置される。後壁26の外面29は、ハウジング100の後面を提供する。図示の例では、後面29の少なくとも一部分は実質的に平坦である。後壁26は、内面28及び厚さr1を有する。この例では、後壁26は、前壁16と同じ厚さr1を有する。)」

c 第12頁第34行〜第13頁第31行
「Fig. 4 illustrates a portable electronic device 200 comprising the housing 100 illustrated in Figures 1A to 3. In this particular example, the portable electronic device 200 comprises a curved display 210. The transparency of the curved transparent portions 15, 17 of the housing 100 enables a curved display 210 to be provided.

The curved display 210 may, for example, be an organic light emitting diode (OLED) display. The curved display 210 may be a touch sensitive display. The display 210 may, for example, operate using capacitive technology. The curved display 210 comprises a first curved portion 215, a substantially flat portion 216 and a second curved portion 217.

The first curved portion 215 of the display 210 is configured to curve in register with the first transparent curved portion 15 of the transparent shell 5. For example, the curvature of the first curved portion 215 may follow the curvature of the inner surface 12 of the first transparent curved portion 15 of the transparent shell 5.

The second curved portion 217 of the display 210 is configured to curve in register with the second transparent curved portion 17 of the transparent shell 5. For example, the curvature of the second curved portion 217 may follow the curvature of the inner surface 14 of the second transparent curved portion 17 of the transparent shell 5.

In the example illustrated in Fig. 4, the curved display 210 extends across the first transparent portion 15, the front wall 16 and the second transparent curved portion 17. It terminates at the discontinuities 54, 56, at the side walls 50, 52 of the housing 100.

In some alternative embodiments of the invention, at least some of the display 210 may extend across the side walls 50, 52 and the third and fourth transparent curved portions 25, 27 of the transparent shell 5. For example, at least some of the display 210 may curve in register with the third and fourth transparent curved portions 25, 27. It may be that the display 210 extends around the whole circumference of the transparent shell 5, including the rear wall 26.

(図4は、図1Aから図3に示されるハウジング100を備える携帯型電子装置200を示している。この特定の例では、携帯型電子装置200は、湾曲ディスプレイ210を備える。ハウジング100の湾曲透明部15、17の透明性により、湾曲ディスプレイ210を提供することができる。

湾曲ディスプレイ210は、例えば、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイであってもよい。湾曲ディスプレイ210は、タッチセンサ式ディスプレイであってもよい。ディスプレイ210は、例えば、静電容量技術を用いて動作してもよい。湾曲ディスプレイ210は、第1湾曲部215、実質的に平坦な部分216及び第2湾曲部217を備える。

ディスプレイ210の第1湾曲部215は、透明シェル5の第1透明湾曲部15に対応して湾曲するように構成される。例えば、第1湾曲部215の曲率は、透明シェル5の第1透明湾曲部15の内面12の曲率に従うことができる。

ディスプレイ210の第2湾曲部217は、透明シェル5の第2透明湾曲部17に対応して湾曲するように構成される。例えば、第1湾曲部217の曲率は、透明シェル5の第2透明湾曲部17の内面14の曲率に従うことができる。

図4に示す例では、湾曲ディスプレイ210は、第1透明部15、前壁16、及び第2透明湾曲部17にわたって延在する。これは、ハウジング100の側壁50、52における不連続部54、56で終わる。

本発明のいくつかの代替実施形態では、ディスプレイ210の少なくとも一部が、透明シェル5の側壁50、52と透第3及び第4透明湾曲部25、27にわたって延在してもよい。例えば、ディスプレイ210の少なくとも一部が、第3及び第4透明湾曲部25、27に対応して湾曲してもよい。ディスプレイ210は、後壁26を含む透明シェル5の全周にわたって延在してもよい。)」

d 第14頁第7行〜同頁第12行
「Fig. 5 illustrates a rear view of the portable electronic device 200. In the illustrated example, the portable electronic device 200 comprises a camera 90. The portable electronic device 200 may also comprise flash circuitry. The transparent shell 5 does not comprise an aperture for the camera. Images may be captured through the transparent rear face 26 of the shell 5. Also, the flash circuitry may provide light directly through the transparent shell 5.

(図5は、携帯型電子機器200の背面図を示す。図示の例では、携帯型電子機器200は、カメラ90を備える。携帯型電子装置200は、フラッシュ回路を備えてもよい。透明シェル5は、カメラ用の開口を備えていない。イメージは、シェル5の透明後面26を通してキャプチャされる。また、フラッシュ回路は、透明シェル5を直接通して光を提供してもよい。)」

e 第15頁第11行〜同頁第24行
「Although embodiments of the present invention have been described in the preceding paragraphs with reference to various examples, it should be appreciated that modifications to the examples given can be made without departing from the scope of the invention as claimed. For example, the front face 19 and the rear face 29 are illustrated in the figures as being substantially flat. However, in some embodiments of the invention, at least a portion of the front face 19 and/or the rear face 29 may be curved. The side faces 51, 58 are illustrated in the figures as being curved, but in alternative embodiments of the invention they may be substantially flat or include substantially flat portions.

The transparent shell 5 is described above as being made up of two half shells 6, 7 that are joined together. In some alternative embodiments of the invention, the transparent shell 5 may be integrally formed, such that the discontinuities 54, 56 are not present.

(本発明の実施形態は、様々な例を参照してこれまでの段落において説明してきたが、請求されるような本発明の範囲から逸脱することなく与えられた例に対して変更を加えることができることを理解されるべきである。例えば、前面19及び後面29は、実質的に平坦なものとして図示されている。しかしながら、本発明のいくつかの実施形態では、前面19及び/又は後面29の少なくとも一部が湾曲していてもよい。側面51、58は、図では湾曲しているように示されているが、本発明の代替実施形態では、それらは実質的に平坦であるか又は実質的に平坦な部分を含んでいてもよい。

透明シェル5は、一緒に接合される二つのハーフシェル6、7で構成されると上記では説明したが。本発明のいくつかの代替実施形態では、透明シェル5は、不連続部54、56が存在しないように、一体的に形成され得る。)」

f FIG.1A、1B、4、5












(イ) 引用発明の認定
前記(ア)において摘記した事項を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
<引用発明>
「 ハウジング100及び湾曲ディスプレイ210を備える携帯型電子装置200であって(第12頁第34行〜第13頁第31行)、
ハウジング100は、第1及び第2のハーフシェル6、7から作られた中空の透明シェル5からなり、
第1のハーフシェル6は、第1透明湾曲部15、透明前壁16及び第2透明湾曲部17を備え、
前壁16の外面19は、ハウジング100の前面19を提供し、
前面19の少なくとも一部分は実質的に平坦であり、
第1透明湾曲部15は、ハウジング100の前壁16から第1側壁50まで湾曲して構成され、
第1透明湾曲部15は、外面11及び内面12を有し、
第1側壁50の外面51はハウジング100の第1側面51を提供し、第1側壁50の一部は、第1の透明ハーフシェル6により提供され、一部は、第2の透明ハーフシェル7により提供され(第4頁第30行〜第6頁第6行)、
第2のハーフシェル7は、第3透明湾曲部25、透明後壁26及び第4透明湾曲部27を備え、
後壁26の外面29は、ハウジング100の後面を提供し(第7頁第33行〜第8頁第13行)、
湾曲ディスプレイ210は、第1湾曲部215、実質的に平坦な部分216及び第2湾曲部217を備え、
ディスプレイ210の第1湾曲部215は、透明シェル5の第1透明湾曲部15に対応して湾曲し、第1湾曲部215の曲率は、透明シェル5の第1透明湾曲部15の内面12の曲率に従い、
ディスプレイ210は、後壁26を含む透明シェル5の全周にわたって延在し(第12頁第34行〜第13頁第31行)、
携帯型電子機器200はカメラ90を備え、イメージはシェル5の透明後面26を通してキャプチャされ(第14頁第7行〜同頁第12行)、
側面51、58は実質的に平坦であり、
透明シェル5は、不連続部54、56が存在しないように、一体的に形成される(第15頁第11行〜同頁第24行)、
携帯型電子装置200。」

ウ 技術常識
(ア) 引用文献2の記載事項
当審において、技術常識を示す文献として新たに引用する、本願の優先日前に発行された米国特許出願公開第2010/0117975号明細書(以下「引用文献2」という。)には、以下の記載がある。下線は当審において付した。また、括弧内に当審和訳を付す。
a [0002]〜[0003]
「[0002] 1. Field of the Invention
[0003] The present invention relates to a mobile terminal and a method of controlling the mobile terminal, in which the touch sensitivity of a flexible display can be adaptively adjusted according to the degree to which the flexible display is bent or folded.
([0002] 1. 発明の分野
[0003] 本発明は、携帯端末と携帯端末の制御方法に関し、フレキシブルディスプレイが曲げられる又は折られる度合いに応じて、フレキシブルディスプレイのタッチ感度を適応的に調節できるものである。)」

b [0080]〜[0081]
「[0080] FIGS. 5(a) and 5(b) illustrate a full-display-type cylindroid mobile terminal and a full-display-type cylindrical mobile terminal, respectively. Referring to FIG. 5(a), the full-display-type cylindroid mobile terminal may include a body 201 which is cylindroid, and a flexible display 203 which is attached onto the body 201, surrounding the outer circumferential surface of the body 201. Referring to FIG. 5(b), the full-display-type cylindrical mobile terminal may include a body 205 which is cylindrical, and a flexible display 207 which is formed on the body 205, surrounding the outer circumferential surface of the body 205. The flexible displays 203 and 207 may be flexible enough to be bent or folded, and may thus allow the outer circumferential surfaces of the bodies 201 and 205 to be used as display regions.
[0081] The flexible display 203 or 207 may be used as a single display, and thus, a single operation screen may be displayed on the entire flexible display 203 or 207. Alternatively, the flexible display 203 or 207 may be divided into a number of display regions, and then, different operation screens may be displayed in the respective display regions. By using an acceleration sensor, it is possible to uniformly maintain the direction of display of a screen on a certain part of the flexible display 203 or 207 regardless of the rotation of the body 201 or 205.
([0080] 図5(a)及び図5(b)は、それぞれ、全画面型楕円柱状携帯端末と全画面型円柱状携帯端末を示している。図5(a)を参照すると、全画面型楕円柱状携帯端末は、楕円柱状の本体201と、本体201に取り付けられ、本体201の外周面を囲むように設けられたフレキシブルディスプレイ203を含むことができる。図5(b)を参照すると、全画面型円柱状携帯端末は、円柱状の本体205と、本体205に形成され、本体205の外周面を囲むように設けられたフレキシブルディスプレイ207を含むことができる。フレキシブルディスプレイ203及び207は、曲げられたり折られたりするのに十分にフレキシブルであってもよく、それによって本体201及び205の外周面を表示領域として用いることが可能になる。
[0081] フレキシブルディスプレイ203又は207は、単一のディスプレイとして使用されてもよく、したがって、単一の操作画面がフレキシブルディスプレイ203又は207の全体に表示されても良い。あるいは、フレキシブルディスプレイ203又は207は、複数の表示領域に分割されてもよいし、異なる操作画面がそれぞれの表示領域に表示されてもよい。加速度センサを用いることにより、本体201及び205の回転に関わらず、フレキシブルディスプレイ203又は207の特定部分の画面の表示方向を一定に維持することが可能である。)」

c [0088]〜[0089]
「[0088] FIG. 14 illustrates a full-display-type prism-shaped mobile terminal. Referring to FIG. 14, the full-display-type prism-shaped mobile terminal may include a body 271 which is prism-shaped, and a flexible display 273 which is formed as a band surrounding the body 271 and can thus allow the side surfaces of the body 281 to be used as display regions.
[0089] Different operation screens may be displayed on the respective side surfaces of the body 271, and only some of the side surfaces of the body 271 may be used as display regions. The flexible display 273 may be divided into a number of display regions, and different operation screens may be displayed in the respective display regions. Alternatively, the flexible display 273 may be used as a single display, and thus, a single operation screen may be displayed on the entire flexible display 273. By using an acceleration sensor, it is possible to uniformly maintain the direction of display of a screen on a certain part of the flexible display 273 regardless of the rotation of the body 271.
([0088] 図14は、全画面型角柱形状携帯端末を示す図である。図14を参照すると、全画面型角柱形状携帯端末は、角柱形状の本体271と、本体271を囲むバンドとして形成されたフレキシブルディスプレイ273を含むことができ、それによって本体281の側面を表示領域として用いることが可能になる。
[0089] 異なる操作画面が本体271の各側面に表示されてもよいし、本体271の側面の一部のみを表示領域として用いてもよい。フレキシブルディスプレイ273は複数の表示領域に分割されてもよいし、異なる操作画面がそれぞれの表示領域に表示されてもよい。あるいは、フレキシブルディスプレイ273は、単一のディスプレイとしても使用されてもよく、したがって、単一の操作画面がフレキシブルディスプレイ273の全体に表示されてもよい。加速度センサを用いることにより、本体271の回転に関わらず、フレキシブルディスプレイ273の特定部分の画面の表示方向を一定に維持することが可能である。)」

d [0100]
「FIG. 22 illustrates an outwardly-folding mobile terminal, which is a type of folder-type mobile terminal. Referring to FIG. 22, the outwardly-folding mobile terminal may include a body 361 which is rectangular-prism-shaped, a flexible display 363 which is attached onto the body 361 and covers two or more side surfaces of the body 361, and a flexible display extension 365 which extends from the flexible display 363 and is folded over the rear side surface of the body 361. The flexible display extension 365 may expand the display region of the outwardly-folding mobile terminal by being unfolded, as shown in FIG. 23.
(図22に示すのは、折畳み式携帯端末の一種である外方折畳み式携帯端末である。図22を参照すると、外方折畳み式携帯端末は、直方体形状の本体361と、本体361に取り付けられ、本体361の1又は2以上の側面をカバーするフレキシブルディスプレイ363と、フレキシブルディスプレイ363から延びて本体361の後側面上に折り曲げられるフレキシブルディスプレイ拡張部365を含むことができる。フレキシブルディスプレイ拡張部365は、図23に示すように、展開されることで外方折畳み式携帯端末の表示領域を拡大することができる。)」

e FIG.5(a)、5(b)、14、22、23









(イ) 技術常識の認定
上記(ア)に摘記した事項を総合すると、次の技術事項は当業者にとって技術常識であったと認められる(以下「技術常識」という。)。
[技術常識]
「携帯端末において、単一のフレキシブルディスプレイを本体の複数面にまたがるように配置し、単一の画面がフレキシブルディスプレイの全体に表示されるようにすること。」

エ 周知技術
(ア) 引用文献3の記載事項
当審において、周知常識を示す文献として新たに引用する、本願の優先日前に発行された特開2011−034029号公報(2011年2月17日発行。以下「引用文献3」という。)には、以下の記載がある。下線は当審において付した。
a 【0001】〜【0066】
「【0001】
本発明は、携帯電話機などの電子機器に関し、特にユーザインターフェースの改善技術に関する。
(中略)
【0009】
今、円筒状筐体の外周面に電子ペーパーを巻き付け、その電子ペーパーにソフト的手法によって操作部を表示したと仮定する。この場合、操作部を表示した面が主面、すなわち、ユーザから見える面となるべきであるが、必ずしもそうはならない。卓上にあっては転がりやすく、どの面が見やすい位置に来るのか不定であるからであり、また、手持ちの場合は、どの面が自分に向かっているのかわからないからである。
(中略)
【0019】
以下、本発明の実施形態を、携帯電話機への適用を例にして、図面を参照しながら説明する。
図1は、実施形態にかかる携帯電話機の外観図及び断面構造図であり、図1(a)は外観図、図1(b)は断面構造図である。これらの図において、携帯電話機1は、両端面が閉鎖された円筒状の形状を有する筐体2を備えている。ただし、“円筒状”は、転がりやすい形状、または、手持ちした際に情報の表示面を特定しにくい形状の一例である。
【0020】
筐体2の外周面はその全体が表示面となっており、その表示面の任意位置に所要の情報を表示できるようになっている。かかる表示面を構成するために、この実施形態では、筐体2の外周面に、柔軟性を有するフレキシブル入出力インターフェースデバイス3が巻きつけられており、このフレキシブル入出力インターフェースデバイス3は、筐体2の外周面に接する電子ペーパー4と、その電子ペーパー4の上に積層されたタッチパネル5とにより構成されているが、これに限定されない。他の表示デバイス(たとえば、液晶パネルやELパネル等)であっても構わない。
(中略)
【0023】
筐体2の内部には、様々な構成部品、たとえば、電話通信部6、ブルーツース7、テレビ受信部8、カメラ9、画像処理部10、制御部11、センサ部12、マイク13、スピーカ14、非接触通信部通信部15、電源部16、電池17などが実装されている。
(中略)
【0025】
カメラ9は、一般的な携帯電話機に備えられているものとは用途が異なるものである。すなわち、一般的な携帯電話機に備えられているカメラは、いわゆるデジタルカメラと同様の用途(ポートレート等の写真をデジタル撮影するもの)であるが、本実施形態のカメラ9は、詳細は後述するが、図示の携帯電話機1がユーザに手持ちされた場合に、そのユーザの顔を検出して、筐体2の外周面のうちどの方向がユーザに見えているのかを判定するために用いられるものである。この用途(方向判定)のために、本実施形態のカメラ9は視野角ほぼ180度の光学レンズ(半円球レンズまたは魚眼レンズ、以下、半円球レンズで代表する)18を付属する。この半円球レンズ18は、筐体2の上端面に取り付けられており、且つ、その半円球レンズ18の光軸19をカメラ9の撮影方向に一致させている。
【0026】
画像処理部10は、カメラ9で撮影した画像を処理し、制御部11は携帯電話機1の全体動作を統括制御する。また、センサ部12は携帯電話機1の姿勢や重力方向及び加速度などを検出し、マイク13は受話器、スピーカ14は送話器として動作する。
(中略)
【0038】
図5は、本実施形態の思想を実現するための制御プログラム(表示位置制御処理)の一例を示すフローチャートである。表示位置制御処理は、ROM11bにあらかじめ格納されている制御プログラムに含まれており、この制御プログラムが周期的にRAM11cに読み出され、表示位置制御処理としてCPU11aで実行されるようになっている。
(中略)
【0042】
一方、ステップS1において、静止状態が判定されなかった場合は、ユーザによって持ち運ばれているときや操作されているときであると判断して、使用環境下における表示位置制御(ステップS4)を実行する。
【0043】
このステップS4の表示位置制御においても、携帯電話機1のフレキシブル入出力インターフェースデバイス3のどの面に情報を表示すればよいかを判定し、その判定結果に従って情報の表示位置制御を行う点で前記の静止状態における表示位置制御(ステップS2及びステップS3)と共通するが、前記の静止状態における表示位置制御は単純に「天側」を表示位置とするのに対して、このステップS4の表示位置制御では、携帯電話機1を手持ち中または操作中のユーザから見える位置に制御する点で相違する。
【0044】
すなわち、このステップS4では、まず、カメラ9を用いて携帯電話機1の周辺画像を撮影し(ステップS5)、ついで、その画像から人物の顔を抽出する(ステップS6)。なお、顔の抽出(認識)は、たとえば、特開2001−291108号公報などに記載されている公知技術を利用して行うことができる。次に、顔抽出が行われたか否かを判定し(ステップS7)、顔抽出が行われなかった場合は、たとえば、携帯電話機1をポケットやかばんの中に入れたまま移動しているものとみなし、この場合は、表示位置制御の必要性がないので、そのまま、表示位置制御処理を終了する。
【0045】
顔抽出が行われた場合は、次に、抽出した顔が複数であるか否かを判定する(ステップS8)。そして、複数の顔でなければ、つまり、一人の顔だけを抽出した場合は、その顔を選択し(ステップS9)、複数の顔が抽出された場合は、最大の大きさの顔を手持ち中または操作中のユーザの顔であると判断して、その最大の顔を選択する(ステップS10)。そして、いずれの場合も、次に、選択した顔の方向を判定し(ステップS11)、フレキシブル入出力インターフェースデバイス3の表示位置をその「顔の方向」になるように制御(ステップS12)した後、表示位置制御処理を終了する。
【0046】
図7は、顔抽出の概念図であり、図7(a)は撮像概念図、図7(a)は撮像結果図、図7(a)は人物の顔と表示位置の対応関係図である。図7(a)において、カメラ9はCCDやCMOS等の半導体二次元撮像デバイス23、及び、その半導体二次元撮像デバイス23の撮像面23aの直前に配置された結像レンズ24などを含み、この結像レンズ24の前面に設置された半円球レンズ18から取り込まれた視野角ほぼ180度の周辺画像を半導体二次元撮像デバイス23で画像信号に変換して画像処理部10に出力する。
【0047】
画像処理部10の出力画像の一例を図7(b)に示す。この画像25は半導体二次元撮像デバイス23の画素配列に応じた縦横n×m画素の大きさを有する矩形状であり、中央の円形範囲が半円球レンズ18から取り込まれた視野角ほぼ180度の周辺画像26である。ここでは、この周辺画像26に二人の人物27、28が写りこんでいるが、携帯電話機1を手持ち中または操作中のユーザは間近に位置しているので、多くの場合、顔の大きさが最も大きくなるはずである。このため、最大の大きさの顔を持つ人物を「携帯電話機1を手持ち中または操作中のユーザ」であるとみなし(ステップS10)、その顔の方向に、フレキシブル入出力インターフェースデバイス3の表示位置を制御する。なお、周辺画像26に一人の人物だけが写りこんでいる場合は、当然ながら、その人物を「携帯電話機1を手持ち中または操作中のユーザ」であるとみなして(ステップS9)差し支えない。
【0048】
このようにすると、図7(c)に示すように、ユーザ27によって手持中または操作中の携帯電話機1の外周面、つまり、フレキシブル入出力インターフェースデバイス3によって構成された表示面の“所定位置”に任意の表示情報(たとえば、図3の表示情報22)を表示することができ、この“所定位置”は、前記のとおり、「携帯電話機1を手持ち中または操作中のユーザ」の顔の方向(白抜き矢印22a)に対応する位置であるから、たとえ、手持ちした際に情報の表示面を特定しにくい形状の筐体2であったとしても、常に適正な位置に情報を表示することができ、表示情報の視認性を損なうことがない。
(中略)
【0065】
また、以上の説明では、筐体2の形を、“円筒状”としたが、これは一例に過ぎない。転がりやすい、または、姿勢が安定しない形状、もしくは、手持ちした際に情報の表示面を特定しにくい形状であればよい。
図15は、筐体2の他の形状を示す図であり、たとえば、図15(a)に示すような三角断面形状の筐体2、図15(b)に示すような多面体断面形状の筐体2、あるいは、図15(c)に示すような楕円断面形状の筐体2などであってもよい。また、筐体2は、軸方向に同一の断面形状である必要もない。要は、転がりやすい、または、姿勢が安定しない形状、もしくは、手持ちした際に情報の表示面を特定しにくい形状であればよい。
【0066】
ここで、「転がりやすい、または、姿勢が安定しない形状、もしくは、手持ちした際に情報の表示面を特定しにくい形状」の典型は、図1等で説明した円筒状のものや、図15で説明した三角断面形状、多面体断面形状、楕円断面形状であるが、「手持ちした際に情報の表示面を特定しにくい形状」に着目した場合は、たとえば、矩形断面形状を有する筐体もそのような形状に相当するということができる。とりわけ正方断面柱状筐体の場合、同一形状且つ同じ大きさの四側面を有するが、主面(表示面)を示すマークや印等がなければ、どの側面が主面であるかを即座に判断できない。したがって、このような矩形断面形状を有する筐体に本実施形態を適用することも有効である。」

b 【図1】、【図5】、【図7】、【図15】













(イ) 引用文献3に記載された技術事項の認定
上記(ア)を踏まえると、引用文献3には次の技術事項が記載されていると認められる(以下「引用文献3に記載された技術事項」という。)。
<引用文献3に記載された技術事項>
「携帯電話機1において、カメラ9を用いて携帯電話機1の周辺画像を撮影し、その画像から人物の顔を抽出(認識)し、ユーザの顔を選択し、選択した顔の方向にフレキシブル入出力インターフェースデバイス3の表示位置を制御することで、手持ちした際に情報の表示面を特定しにくい形状の筐体2であったとしても、常に適正な位置に情報を表示することができ、表示情報の視認性を損なうことがないようにする。」

(ウ) 引用文献4の記載事項
当審において、周知常識を示す文献として新たに引用する、本願の優先日前に発行された特開2003−186462号公報(以下「引用文献4」という。)には、以下の記載がある。下線は当審において付した。
a 【0001】〜【0090】
「【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、携帯情報端末、電子ペーパー、テレビジョン等の画像表示装置に関する。
(中略)
【0004】しかしながら、このように重力の作用方向に応じて情報の表示を行うのでは、例えばユーザーが横たわった状態で画像表示装置を立てて操作した場合、ユーザーの表示して欲しい方向に対し90度回転した画像が表示されるなど、ユーザーの姿勢や位置によっては視認性の悪い表示方向で画像が表示される場合があるという問題があった。
【0005】この発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであって、ユーザーの姿勢や位置に応じて常に視認性の良い画像を表示することができる画像表示装置の提供を目的とする。」
(中略)
【0015】図1において、1はユーザーの顔を認識するカメラ等からなるユーザー認識部、7はユーザーを検知するセンサ等からなるユーザー検知部、8は所定の画像を表示するCRTまたは液晶等からなる表示部、9は画像表示装置100において種々の操作を行うための操作キーである。
(中略)
【0071】[実施形態4]次にこの発明に係る第4の実施形態について説明する。
【0072】この実施形態は、図1の画像表示装置100において、表示部の表示面が横方向に湾曲したものであり、この湾曲状態を考慮して画像の表示を見易いように補正するものである。。
【0073】図13は、この実施形態に係る画像表示装置500の電気的構成を示すブロック図である。
【0074】この画像表示装置500は、ユーザーの顔を認識するユーザー認識部51と、ユーザーの目を検出する目検出部52と、ユーザーの口を検出する口検出部53と、ユーザーの顔方向を判定する顔方向判定部54と、前記表示部58に表示する画像の表示方向を決定する表示方向決定部55と、各部の統括的制御および演算を行う主制御部56と、ユーザーを検知するユーザー検知部57と、横方向に湾曲した表示面を有する表示部58と、表示方向を切り替える前の画像を記憶すると画像記憶部と、表示部58の表示面の湾曲情報を記憶する湾曲情報記憶部60とを備えてなる。
【0075】なお、ユーザー認識部51、目検出部52、口検出部53、顔方向判定部54、表示方向決定部55、ユーザー検知部57、および画像記憶部59については、図2に示した前記画像表示装置100と機能が同一なのでその説明を省略する。
【0076】前記主制御部56は、前記画像表示装置100の主制御部6の機能のほかに、前記湾曲情報記憶部60に記憶されている湾曲情報に基づいて画像を補正する画像補正機能を有する。例えば、表示部58の表示面が横方向に湾曲している場合は、図14(a)に示すように、表示部58に表示される画像「春夏秋冬」も湾曲した状態となり、画像を視認しにくいことがある。そこで、あらかじめ表示部58の表示面の湾曲情報を湾曲情報記憶部60に記憶しておいて、図14(b)に示すように、湾曲情報記憶部60に記憶されている湾曲情報に基づいて湾曲状態の画像を視認性の高い画像に補正する。
【0077】これによれば、表示部58の表示面が湾曲している場合であっても、ユーザーに対して常に視認性の良い画像を表示することができる。
【0078】次に上記画像表示装置500の動作について図15および図16に示すフローチャートを用いて説明する。
【0079】まず、S31において、前記主制御部56が、前記ユーザー検知部57により前記画像表示装置500を使用しているユーザーが存在するか否を判定し、前記ユーザー検知部57によりユーザーを検知してユーザーが存在すると判定した場合は(S31でYES)、S32に進む。一方、前記ユーザー検知部57によりユーザーを検知せずユーザーが存在しないと判定した場合は(S31でNO)、処理を終了する。このように、あらかじめユーザーの有無を検知すれば、ユーザーが存在しない場合は後述の各種処理を行う必要がなくなり処理の簡略化が図られる。
【0080】S32では、前記ユーザー認識部51がユーザーの顔を認識し、S33に進む。
【0081】S33では、前記目検出部52が、前述の検出方法により、前記ユーザー認識部51により得た情報(ユーザーの顔情報)に基づいてユーザーの目を検出し、S34に進む。
【0082】S34では、前記口検出部53が、前述の検出方法により、前記ユーザー認識部51により得た情報(ユーザーの顔情報)に基づいてユーザーの口を検出し、S35に進む。
【0083】S35では、前記顔方向判定部54が、前述の判定方法により、前記目検出部52および口検出部53により検出したユーザーの目および口に基づいてユーザーの顔方向を判定し、S36に進む。
【0084】S36では、前記表示方向決定部5が、前述の決定方法により、前記顔方向判定部54により判定したユーザーの顔の方向に応じて、表示部58に表示する画像の表示方向θを決定し、S37に進む。
【0085】S37では、前記主制御部56が、画像記憶部59に記憶されている画像を用い、前記表示方向決定部55により決定された表示方向θで画像を生成し、S38に進む。
【0086】S38では、前記主制御部56が、前記湾曲情報記憶部60に表示部58の湾曲情報が記憶されているか否かを判定し、湾曲情報が記憶されていると判定した場合は(S38でYES)、S39に進む。一方、湾曲情報が記憶されていないと判定した場合は(S38でNO)、そのままS40に進む。
【0087】S39では、前記主制御部56が、画像補正機能により、前記湾曲情報記憶部60に記憶されている表示部58の表示面の湾曲情報に基づいて、前記画像生成機能により生成した画像を補正し、S40に進む。
【0088】S40では、前記主制御部56が、表示部58に既に画像が表示されているか否かを判定し、既に画像が表示されていると判定した場合は(S40でYES)、S41に進む。一方、未だ画像が表示されていないと判定した場合は(S40でNO)、S42に進む。
【0089】S41では、前記主制御部56が、表示部58に既に表示されている画像をメイン画面とし、画像補正機能により補正した画像をサブ画面として前記表示部58に表示せしめ、処理を終了する。
【0090】S42では、前記主制御部56が、画像補正機能により補正した画像をメイン画面として前記表示部58に表示せしめ、処理を終了する。」

b 【図1】、【図13】〜【図16】
















(エ) 引用文献4に記載された技術事項の認定
上記(ウ)を踏まえると、引用文献4には次の技術事項が記載されていると認められる(以下「引用文献4に記載された技術事項」という。)。
<引用文献4に記載された技術事項>
「携帯情報端末において、ユーザーの顔を認識するカメラ等からなるユーザー認識部51がユーザーの顔を認識し、ユーザーの顔方向を判定し、ユーザーの顔の方向に応じて、表示部58に表示する画像の表示方向θを決定し決定された表示方向θで画像を生成し、生成した画像を補正し、補正した画像をメイン画面として前記表示部58に表示することで、ユーザーの姿勢や位置に応じて常に視認性の良い画像を表示する。」

(オ) 周知技術の認定
上記(イ)、(エ)において認定した「引用文献3に記載された技術事項」及び「引用文献4に記載された技術事項」に例示されるように、次の技術は周知技術であると認める。
<周知技術>
「携帯情報機器において、ユーザの視認性を高めるため、カメラを用いてユーザの顔を認識し、画像の表示位置や画像の表示方向を調整すること」

オ 対比
(ア) 対比分析
本件補正後の請求項1の記載の順に沿って、本件補正発明と引用発明を対比する。

a(a) 引用発明における「携帯型電子装置200」は、本件補正発明における「電子装置」に相当する。
(b) また、引用発明においては、「湾曲ディスプレイ210は、第1湾曲部215、実質的に平坦な部分216及び第2湾曲部217を備え、」「ディスプレイ210の第1湾曲部215は、透明シェル5の第1透明湾曲部15に対応して湾曲し、第1湾曲部215の曲率は、透明シェル5の第1透明湾曲部15の内面12の曲率に従い、」「ディスプレイ210は、後壁26を含む透明シェル5の全周にわたって延在し[ている]」「携帯型電子装置200」であることも踏まえると、引用発明における「ハウジング100の前面19」は、本件補正発明における「電子装置」の「前面」に相当する。
(c) 同様に、引用発明における「携帯型電子装置200」の「ハウジング100の後面」は、本件補正発明における「電子装置」の「前面の「反対側に」ある「背面」に相当する。
(d) したがって、本件補正発明と引用発明は、「前面及び反対側に背面を有する電子装置」の発明の点で一致する。

b(a) 引用発明における「透明シェル5」は、本件補正発明における「透明筐体」に相当する。
(b) 引用発明において、「ハウジング100」は「中空の透明シェル5からなり」、「ハウジング100」の「前面19の少なくとも一部分は実質的に平坦であ[る]」ことは、本件補正発明において、「透明筐体」が「前記電子装置の前記前面に位置する第1の平面部分」を有することに相当する。
(c) 引用発明において、「中空の透明シェル5からな[る]」「ハウジング100」の「第1側面51」が「実質的に平坦であ[る]」ことは、本件補正発明において、「透明筐体」が「前記第1の平面部分の先で曲がる第2の平面部分」を有することに相当する。
(d) 引用発明において、「第1透明湾曲部15」は、「少なくとも一部分は実質的に平坦であ[る]」「前面19」と「実質的に平坦であ[る]」「第1側面51」の間に位置するから、上記(b)及び(c)の検討結果も踏まえると、引用発明において、「第1透明湾曲部15は、ハウジング100の前壁16から第1側壁50まで湾曲して構成され[ている]」ことは、本件補正発明において、「透明筐体」が「丸くなった角部」を有することに相当する。
(e) 上記(a)から(d)の検討結果をまとめると、本件補正発明と引用発明は、「前記電子装置の前記前面に位置する第1の平面部分、前記第1の平面部分の先で曲がる第2の平面部分、及び丸くなった角部を有する透明筐体」を備える点で一致する。

c(a) 引用発明において、「湾曲ディスプレイ210」がイメージを表示することは明らかであるから、引用発明における「湾曲ディスプレイ210」は、本件補正発明における「イメージを表示するディスプレイ」に相当する。
(b) 引用発明において、「ディスプレイ210の第1湾曲部215は、透明シェル5の第1透明湾曲部15に対応して湾曲し、第1湾曲部215の曲率は、透明シェル5の第1透明湾曲部15の内面12の曲率に従[う]」ことは、本件補正発明において、「前記ディスプレイ」が「前記透明筐体の前記角部の内部面に合致する折り畳まれた部分」を有することに相当する。
(c) 引用発明において「ディスプレイ210は、後壁26を含む透明シェル5の全周に渡って延び[る]」のだから、上記(a)及び(b)の検討結果並びに前記bの検討結果を踏まえると、本件補正発明の「前記ディスプレイ」と引用発明の「湾曲ディスプレイ210」は、「前記透明筐体の前記第1の平面部分、前記透明筐体の第2の平面部分及び前記角部にイメージを表示可能なディスプレイ」の点で共通する。
(d) 上記c(a)から(c)までの検討結果をまとめると、本件補正発明と引用発明は、「前記透明筐体の前記第1の平面部分、前記透明筐体の第2の平面部分及び前記角部にイメージを表示可能なディスプレイであって、前記透明筐体の前記角部の内部面に合致する折り畳まれた部分とを有する前記ディスプレイ」を備える点で共通する。

d 引用発明においては、「カメラ」を備え、「イメージはシェル5の透明後面26を通してキャプチャされ[る]」から、本件補正発明と引用発明は、「イメージをキャプチャするカメラ」を備える点で一致する。

(イ) 一致点及び相違点
前記(ア)の対比分析の結果をまとめると、本件補正発明と引用発明の一致点及び相違点は、次のとおりである。
a 一致点
「 前面及び反対側に背面を有する電子装置であって、
前記電子装置の前記前面に位置する第1の平面部分、前記第1の平面部分の先で曲がる第2の平面部分、及び丸くなった角部を有する透明筐体と、
前記透明筐体の前記第1の平面部分、前記透明筐体の第2の平面部分及び前記角部にイメージを表示可能なディスプレイであって、前記透明筐体の前記角部の内部面に合致する折り畳まれた部分とを有する前記ディスプレイと、
イメージをキャプチャするカメラと、
を備えた、電子装置。」

b 相違点
本件補正発明においては、
前記透明筐体の前記第1の平面部分、前記透明筐体の第2の平面部分及び前記角部にイメージを表示可能なディスプレイが、「前記透明筐体の前記第1の平面部分、前記透明筐体の前記第2の平面部分、前記角部を介してイメージを表示」し(以下、ここまでを「部分相違点」という。)、
電子装置が、「顔認識ソフトウェアを用いて前記キャプチャされたイメージを処理し、及び前記第1の平面部分、前記第2の平面部分、前記丸くなった角部を介して表示された前記イメージを前記キャプチャされたイメージに基づき調整する処理回路」を備える
のに対し、
引用発明においては、
「前記透明筐体の前記第1の平面部分、前記透明筐体の前記第2の平面部分、前記角部を介してイメージを表示」すること(単一のイメージをそれらの部分にわたって表示すること)は特定されておらず、また、当該形態で表示されたイメージを前記キャプチャされたイメージに基づき調整する処理回路を備えるのか不明である点。

カ 判断
(ア) 相違点の想到容易性について
a 引用発明おいては、「ディスプレイ210は、後壁26を含む透明シェル5の全周にわたって延在し[ている]」のであるから、前面から側面にまたがってイメージを表示するようにすることは、極々自然のことにすぎない。しかも、前記ウにおいて認定したように、「携帯端末において、単一のフレキシブルディスプレイを本体の複数面にまたがるように配置し、単一の画面がフレキシブルディスプレイの全体に表示されるようにすること」は技術常識であるから、湾曲ディスプレイ210が、透明前壁16、第1側壁50及び第1透明湾曲部15に対応して備えられている、引用発明において、湾曲ディスプレイ210がそれらの部分を介してイメージを表示するようにして、前記部分相違点の構成である「前記透明筐体の前記第1の平面部分、前記透明筐体の前記第2の平面部分、前記角部を介してイメージを表示」するという構成を備えるようにすることは、当業者にとっては、極めて自然に想起することにすぎない。
b また、前記エにおいて認定したように、「携帯情報機器において、ユーザの視認性を高めるため、カメラを用いてユーザの顔を認識し、画像の表示位置や画像の表示方向を調整すること」は周知技術である。したがって、ユーザの視認性を高めるために、引用発明に周知技術を適用し、「顔認識ソフトウェアを用いて前記キャプチャされたイメージを処理し、及び前記第1の平面部分、前記第2の平面部分、前記丸くなった角部を介して表示された前記イメージを前記キャプチャされたイメージに基づき調整する処理回路」を備えるようにすることは、当業者にとって容易に想到し得たことである。

(イ) 本件補正発明の作用効果について
本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明、技術常識及び周知技術から予測される程度のものにすぎず、格別顕著な効果を認めることはできない。

(ウ) 小括
したがって、前記相違点は、格別のものではなく、本件補正発明は引用発明、技術常識及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(エ) 請求人の主張について
請求人は審判請求書において、本件補正発明は「ユーザの全般的な方向及び視野を判定して、その視野内にのみ表示優先させたいコンテンツが配置されるような調整を行うことができます。」と主張しているが、補正後の請求項1に「ユーザの全般的な方向及び視野を判定して、その視野内にのみ表示優先させたいコンテンツが配置されるような調整を行うこと」は記載されていないから、請求人の主張は、補正後の請求項1の記載に基づくものではない。また、そもそも本願明細書において「その視野内にのみ表示優先させたいコンテンツが配置されるような調整を行うこと」は記載されていない。
したがって、請求人の上記主張は採用することができない。

進歩性に係る独立特許要件についての判断のまとめ
前記カにおいて検討したとおり、本件補正発明は、引用発明、技術常識及び周知技術に基づいて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

3 補正の却下の決定の理由のむすび
前記2(1)において検討したとおり、本件補正のうち請求項1についての補正は、特許法17条の2第5項各号のいずれを目的とするものにも該当しないから、本件補正は同法同条5項の規定に適合しない。
また、仮に、本件補正のうち請求項1についての補正が、同法17条の2第5項2号を目的とするものに該当したとしても、前記2(2)において検討したとおり、当該補正は、同条6項において準用する同法126条7項の規定に違反するから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、補正の却下の決定の結論のとおり決定する。


第3 本件発明について
1 本件発明の認定
本件補正は、上記第2において示したとおり却下したから、本願の請求項1に係る発明(以下「本件発明」という。)は、前記第2の1(1)に摘記した、本件補正前の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。

2 原査定における拒絶の理由の概要
原査定における請求項1についての拒絶の理由の概要は、次のとおりである。

進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明(下記引用文献1参照)に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。



引用文献1.国際公開第2011/114190号

3 引用文献に記載された発明等
引用文献1に記載された技術事項及び引用発明の認定並びに技術常識の認定は、前記第2の2(2)イ及びウにおいて示したとおりである。

4 対比・判断
本件発明は、本件補正発明のうち、前記第2の2(1)アに示した付加を省いたものである。そうすると、本件発明と引用発明の相違点は、前記部分相違点(前記第2の2(2)オ参照)の点である。
そして、前記部分相違点は、前記第2の2(2)カにおいて示したとおり、引用発明又は引用発明及び技術常識に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。
そして、本件発明の奏する効果は、引用発明及び技術常識から予測される程度のものにすぎず、格別顕著な効果を認めることはできない。
したがって、本件発明は、引用発明及び技術常識に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上検討のとおり、本件発明は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲 (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。

審判長 岡田 吉美
出訴期間として在外者に対し90日を附加する。
 
審理終結日 2022-05-13 
結審通知日 2022-05-16 
審決日 2022-05-30 
出願番号 P2020-000259
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G09F)
P 1 8・ 121- Z (G09F)
P 1 8・ 572- Z (G09F)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 岡田 吉美
特許庁審判官 佐藤 久則
中塚 直樹
発明の名称 ラップアラウンドディスプレイを備える電子装置  
代理人 西島 孝喜  
代理人 那須 威夫  
代理人 大塚 文昭  
代理人 田中 伸一郎  
代理人 ▲吉▼田 和彦  
代理人 越柴 絵里  

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