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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G02B
管理番号 1390262
総通号数 11 
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-11-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-10-05 
確定日 2022-09-29 
事件の表示 特願2019−125863「パターン偏光フィルム」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年 9月26日出願公開、特開2019−164390〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
特願2019−125863号(以下「本件出願」という。)は、平成27年4月20日に出願した特願2015−85650号(先の出願に基づく優先権主張 平成26年4月18日)の一部を令和元年7月5日に新たな特許出願としたものであって、その手続等の経緯の概要は、以下のとおりである。
令和 元年 8月 2日付け:手続補正書
令和 2年 7月30日付け:拒絶理由通知書
令和 2年 9月29日付け:意見書
令和 2年 9月29日付け:手続補正書
令和 2年12月23日付け:拒絶理由通知書
令和 3年 3月 1日付け:意見書
令和 3年 3月 1日付け:手続補正書
令和 3年 6月28日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
令和 3年10月 5日付け:審判請求書
令和 3年10月 5日付け:手続補正書


第2 補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和3年10月5日にした手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 補正の内容
(1)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の(令和2年9月29日にした手続補正後の)特許請求の範囲の請求項1、5及び10の記載は、それぞれ、次のとおりである。
「 【請求項1】
基材と、パターン化した液晶硬化膜とを積層したパターン偏光フィルムであって、
前記液晶硬化膜がスメクチック相を形成する重合性液晶化合物の重合物と2種以上の二色性色素とを含み、厚さが0.5〜10μmであり、
偏光度が10%以下であり、単体透過率が80%以上である領域(A)と、
偏光度が90%以上であり、単体透過率が40%以上である領域(B)とを有し、
連続した領域(A)の面積が500mm2以下である
パターン偏光フィルム。」

「 【請求項5】
連続した領域(A)の面積が100mm2以下である請求項1又は2に記載のパターン偏光フィルム。」

「 【請求項10】
さらに、1/4波長板機能を有する位相差フィルムを有する請求項1〜請求項8の何れか1項に記載のパターン偏光フィルム。」

(2)本件補正後の特許請求の範囲
本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおりである。なお、下線は補正箇所を示す。
「 基材と、パターン化した液晶硬化膜とを積層したパターン偏光フィルム、及び1/4波長板機能を有する位相差フィルムを備えるパターン円偏光板であって、前記液晶硬化膜はスメクチック相を形成する重合性液晶化合物の重合物と3種以上の二色性色素とを含み、液晶硬化膜の厚さは0.5〜10μmであり、パターン偏光フィルムは、偏光度が10%以下であり、単体透過率が80%以上である領域(A)と、偏光度が90%以上であり、単体透過率が40%以上である領域(B)とを有し、連続した領域(A)の面積が100mm2以下であるパターン円偏光板。」

(3)本件補正についての判断
本件補正は、本件補正前の請求項1及び5を引用する請求項10に記載された発明を特定するために必要な事項である「2種以上の二色性色素」を、本件出願の願書に最初に添付した明細書の【0117】の記載に基づいて、「3種以上の二色性色素」に補正するとともに、「さらに、1/4波長板機能を有する位相差フィルムを有する」、「パターン偏光フィルム」及び「厚さが」をそれぞれ「、及び1/4波長板機能を有する位相差フィルムを備える」、「パターン円偏光板」及び「液晶硬化膜の厚さは」に補正するものである。また、本件補正は、「2種以上の二色性色素」を「3種以上の二色性色素」に限定することを目的としたものである。そして、本件補正前の請求項1及び5を引用する請求項10に係る発明と本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正後発明」という。)の、産業上の利用分野及び発明が解決しようとする課題は同一である(本件出願の明細書の【0001】及び【0004】)。
したがって、本件補正は、特許法17条の2第3項の規定に適合するとともに、同条5項2号に掲げる事項を目的とするものである。

そこで、本件補正後発明が、同条6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。

2 独立特許要件についての判断
(1)引用文献の記載
原査定の拒絶の理由において引用された、特開2013−33249号公報(以下「引用文献」という。)は、先の出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物であるところ、そこには、以下の記載がある。なお、下線は当合議体が付したものであり、引用発明の認定や判断等に活用した箇所を示す。
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、偏光素子、円偏光板及びそれらの製造方法などに関する。
…省略…
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、特定の偏光層と、光配向層とが設けられた、新規な偏光素子及び該偏光素子を含む円偏光子、並びにそれらの製造方法を提供する。
…省略…
【発明を実施するための形態】
【0008】
…省略…本偏光素子は、液晶表示装置に好適に用いられるのみならず、後述するように本偏光素子を用いることにより、有機EL表示装置に好適に用いられる円偏光板(以下、場合により「本円偏光板」という。)を製造することもできる。
…省略…
【0009】
図1は、本偏光素子の最も簡単な構成を示す断面模式図である。透明基材1上に、光配向層2及び偏光層3がこの順で積層され、本偏光素子100が形成されている。本偏光素子100は例えば、以下の工程を含む製造方法(以下、場合により「本製造方法A」という。)により製造できる。

(工程A1)透明基材上に、光反応性基を有するポリマーと溶剤とを含有する組成物を塗布して、前記透明基材上に第1塗布膜を形成する工程;
(工程A2)前記第1塗布膜から前記溶剤を乾燥除去することにより、前記透明基材上に第1乾燥被膜を形成し、第1積層体を得る工程;
(工程A3)前記第1積層体が有する前記第1乾燥被膜に偏光UVを照射することにより、該第1乾燥被膜から光配向層を形成して第2積層体を得る工程;
(工程A4)前記第2積層体が有する前記光配向層上に、重合性スメクチック液晶化合物、二色性色素及び溶剤を含有する組成物を塗布して、該光配向層上に第2塗布膜を形成する工程;
(工程A5)前記第2塗布膜を、該第2塗布膜中に含まれる前記重合性スメクチック液晶化合物が重合しない条件で乾燥することにより、前記光配向層上に第2乾燥被膜を形成して第3積層体を得る工程;
(工程A6)前記第3積層体が有する前記第2乾燥被膜中の前記重合性スメクチック液晶化合物をスメクチック液晶状態とした後、該スメクチック液晶状態を保持したまま、該重合性スメクチック液晶化合物を重合させることにより、該第2乾燥被膜から偏光層を形成する工程

図2は、(工程A1)〜(工程A6)からなる、本偏光素子100の製造方法(本製造方法A)の要部を示す断面模式図である。以下、この製造方法を工程ごとに説明する。
【0010】
<工程A1>
工程A1は、透明基材上に第1塗布膜を形成する工程である。
【0011】
<透明基材>
工程A1においては、まずは透明基材1を準備する。ここでいう透明基材とは光、特に可視光を透過し得る程度の透明性を有する基材である。該透明性とは、波長380〜780nmに渡る光線に対しての透過率が80%以上となる特性をいう。
…省略…
【0019】
<光配向層>
光配向層形成に当たっては、まず、光反応性基を有するポリマー及び溶剤を含む組成物(以下、場合により「光配向層形成用組成物」という。)を準備する。
…省略…
【0035】
<工程A2>
再び、図2を参照して、本製造方法Aの工程A2を説明する。
該工程A2は、前記工程A1によって前記透明基材1上に形成された第1塗布膜を乾燥させることにより、該第1塗布膜に含まれる溶媒(光配向層形成用組成物に用いた溶媒)を乾燥除去することで、前記透明基材1上に第1乾燥被膜2Aを形成し、第1積層体101を得る工程である。
…省略…
【0037】
<工程A3>
続いて、前記第1積層体101の第1乾燥被膜2Aに偏光UV(偏光紫外線)を照射することで、該第1乾燥被膜2Aに含まれる、光反応性基を有するポリマーを配向させ、液晶配向能を付与(以下、場合により「光配向操作」という。)して第2積層体102を形成する。
…省略…
【0040】
<工程A4>
本製造方法Aの工程A4〜工程A6は、前記工程A3を経て得られた前記第2積層体102の前記光配向層2上に、偏光層3を設けるものである。
本偏光素子が有する偏光層は、上述のとおりの方法で形成される。繰り返しになるが、この方法について説明する。まず、重合性スメクチック液晶化合物、二色性色素及び溶剤を含有した組成物(以下、場合により「偏光層形成用組成物」という。)を調製する。工程A4においては、該偏光層形成用組成物を前記配向層2上に塗布して第2塗布膜を形成する。
【0041】
まず、前記偏光層形成用組成物の構成成分について説明する。
前記偏光層形成用組成物に含有される重合性スメクチック液晶化合物とは、重合性基を有し、かつスメクチック相の液晶状態を示す化合物である。重合性基とは、該重合性スメクチック液晶化合物の重合反応に関与する基を意味する。
…省略…
【0064】
前記偏光層形成用組成物は、二色性色素を含有する。ここでいう二色性色素とは、分子の長軸方向における吸光度と、短軸方向における吸光度とが異なる性質を有する色素をいう。このような性質を有するものであれば、二色性色素は特に制限されず、染料であっても顔料であってもよい。この染料は複数種用いてもよく、顔料も複数種用いてもよく、染料と顔料とを組み合わせてもよい。
【0065】
前記二色性色素は、300〜700nmの範囲に極大吸収波長(λMAX)を有するものが好ましい。このような二色性色素としては、例えば、アクリジン色素、オキサジン色素、シアニン色素、ナフタレン色素、アゾ色素及びアントラキノン色素などが挙げられるが、中でもアゾ色素が好ましい。アゾ色素としては、モノアゾ色素、ビスアゾ色素、トリスアゾ色素、テトラキスアゾ色素及びスチルベンアゾ色素などが挙げられ、好ましくはビスアゾ色素及びトリスアゾ色素である。
…省略…
【0081】
前記偏光層形成用組成物は、重合開始剤を含有すると好ましい。当該重合開始剤は、重合性スメクチック液晶化合物の重合反応を開始し得る化合物であり、より低温条件下で、当該重合反応を開始できる点で、光重合開始剤が好ましい。
…省略…
【0095】
以上説明した偏光層形成用組成物を、前記第2積層板の前記光配向層2上に塗布して第2塗布膜を得、該第2塗布膜中に含まれる前記重合性スメクチック液晶化合物が重合しない条件で乾燥することにより第2乾燥被膜3Aが形成される。その結果として、第3積層体103が得られる。
…省略…
【0097】
<工程A5>
続いて、工程A5では、前記第2積層板の前記第2塗布膜を乾燥することにより、該第2塗布膜から溶剤を除去して、第2乾燥被膜3Aを形成する。
…省略…
【0098】
<工程A6>
工程A6においては、前記第2乾燥被膜3Aに含まれる重合性スメクチック液晶化合物の液晶状態をスメクチック液晶に保持したまま(積層体104)、該重合性スメクチック液晶化合物を重合させることにより、偏光層3を形成する。この積層体104において、第2乾燥被膜3A中の重合性スメクチック液晶化合物を、スメクチック相の液晶状態にした層を「層3B」という。
…省略…
【0102】
ここでは、前記偏光層形成用組成物に光重合開始剤を含有させ、第2乾燥被膜中の重合性スメクチック液晶化合物の液晶状態をスメクチック相にした後、このスメクチック相の液晶状態を保持したまま、該重合性スメクチック液晶化合物を光重合させる方法について詳述する。光重合において、第2乾燥被膜に照射する光線としては、当該第2乾燥被膜に含まれる光重合開始剤の種類、又は重合性スメクチック液晶化合物の種類(特に、該重合性スメクチック液晶化合物が有する光重合基の種類)及びその量に応じて適宜、可視光、紫外光及びレーザー光からなる群より選択される光や活性電子線によって行うことができる。これらのうち、重合反応の進行をコントロールし易い点や、光重合に係る装置として当分野で広範に用いられているものが使用できるという点で、紫外光が好ましい。よって、紫外光によって、光重合できるように、前記偏光層形成用組成物に含有される重合性スメクチック液晶化合物や光重合開始剤の種類を選択しておくと好ましい。また、重合させる際には、紫外光照射とともに適当な冷却手段により、第2乾燥被膜を冷却することで重合温度をコントロールすることもできる。このような冷却手段の採用により、より低温で重合性スメクチック液晶化合物の重合を実施できれば、上述の透明基材1や光配向層2が比較的、耐熱性が低いものを用いたとしても、適切に偏光層3を形成できるという利点もある。なお、光重合の際、マスキングや現像を行うなどによって、パターニングされた偏光層3を得ることもできる。
…省略…
【0104】
かくして形成された偏光層3の厚みは、0.5〜10μmの範囲が好ましく、0.5〜3μmの範囲がさらに好ましい。したがって、第2塗布膜の厚みは、得られる偏光層3の厚みを考慮して定められる。なお、該偏光層3の厚みは、干渉膜厚計やレーザー顕微鏡あるいは触針式膜厚計の測定で求められるものである。
…省略…
【0106】
<本偏光素子の連続的製造方法>
以上、本偏光素子の製造方法(本製造方法A)の概要を説明したが、商業的に本偏光素子を製造する際には、連続的に本偏光素子を製造できる方法が求められる。このような連続的製造方法はRoll to Roll形式によるものであり、場合により、「本製造方法B」という。
【0107】
本製造方法Bは例えば、
透明基材が第1の巻芯に巻き取られている第1ロールを準備する工程と、
該第1ロールから、該透明基材を連続的に送り出す工程と、
前記光反応性基を有するポリマーと溶剤とを含有する組成物を塗布して、該透明基材上に第1塗布膜を連続的に形成する工程と、
該第1塗布膜から該溶剤を乾燥除去することにより、該透明基材上に第1乾燥被膜を形成して、第1積層体を連続的に得る工程と、
該第1乾燥被膜に偏光UVを照射することにより、該第1積層体の搬送方向に対して、略45°の角度に配向方向を有する光配向層を形成して、第2積層体を連続的に得る工程と、
該光配向層上に、重合性スメクチック液晶化合物、二色性色素及び溶剤を含有する組成物を塗布して、該光配向層上に第2塗布膜を連続的に形成する工程と
該第2塗布膜を、該第2塗布膜中に含まれる該重合性スメクチック液晶化合物が重合しない条件で乾燥することにより、該光配向層上に第2乾燥被膜を形成して第3積層体を連続的に得る工程と、
該第2乾燥被膜中に含まれる該重合性スメクチック液晶化合物をスメクチック液晶状態とした後、該スメクチック液晶状態を保持したまま、該重合性スメクチック液晶化合物を重合させることにより、該第3積層体の搬送方向に対して、45°の角度に吸収軸を有する偏光層を形成して、偏光素子を連続的に得る工程と、
連続的に得られた偏光素子を第2の巻芯に巻き取り、第2ロールを得る工程と
を有する。ここで図4を参照して、本製造方法Bの要部を説明する。
【0108】
透明基材が第1の巻芯210Aに巻き取られている第1ロール210は例えば、市場から容易に入手できる。
…省略…
【0109】
続いて、前記第1ロール210から透明基材を巻き出す。
…省略…
【0110】
前記第1ロール210から巻き出された透明基材は、塗布装置211Aを通過する際に、その表面上に当該塗布装置211Aにより前記配向膜形成用組成物が塗布される。
…省略…
【0111】
塗布装置211Aを経たフィルムは、上述の透明基材上と第1塗布膜との積層体に該当するものである。かくして第1塗布膜が形成(積層)された透明基材は、乾燥炉212Aへと搬送され、この乾燥炉212Aにより加熱されて、透明基材と第1乾燥被膜とからなる第1積層体へと転化する。
…省略…
【0112】
加熱炉212Aを通過することにより連続的に形成された第1積層体は、続いて、偏光UV照射装置213Aにより、該積層体の第1乾燥被膜側の表面又は透明基材側の表面に偏光UVが照射され、該第1乾燥被膜は光偏光層に転化する。
…省略…
【0113】
かくして連続的に形成された第1積層体は、続いて塗布装置211Bを通過することにより、該第1積層体の光配向層上に偏光層形成用組成物が塗布された後、乾燥炉212Bを通過することにより、第2積層体又は該第2積層体の第2乾燥被膜中に含まれる重合性スメクチック液晶化合物が、スメクチックの液晶状態を形成した積層体となる。
…省略…
【0114】
前記乾燥炉212Bを経たフィルムは、偏光層形成用組成物に含まれていた溶剤が十分除去され、第2乾燥被膜中の重合性スメクチック液晶化合物がスメクチック相の液晶状態を保持したまま、光照射装置213Bへと搬送される。該光照射装置213Bによる光照射により、該重合性スメクチック液晶化合物は前記液晶状態を保持したまま、光重合して、偏光層が形成され、本偏光素子が連続的に形成される。
…省略…
【0118】
本製造方法Bにより得られる本偏光素子は、その形状がフィルム状且つ長尺状のものである。この本偏光素子は、後述する液晶表示装置などに用いる場合には、当該液晶表示装置のスケールなどに合わせ、所望の寸法になるように裁断されてから用いられる。
【0119】
以上、透明基材/光配向層/偏光層の積層体の形態である場合を中心に、本偏光素子の構成及び製造方法を説明してきたが、本偏光素子にはこれら以外の層又は膜が積層されていてもよい。すでに述べたように、本偏光素子は位相差フィルムをさらに備えていてもよいし、反射防止層又は輝度向上フィルムをさらに備えていてもよい。また、後述するように、位相差フィルム(好ましくは、1/4λ波長板)と組み合わせて円偏光板とすることもできる。円偏光板を製造する際に用いられる1/4波長板は、可視光に対する面内位相差値が、波長が短くなるに従って小さくなる特性を有するものが好ましい。」

イ 「【0121】
<本偏光素子の用途>
本偏光素子は、さまざまな表示装置に用いることができる。表示装置とは、表示素子を有する装置であり、発光源として発光素子又は発光装置を含む。表示装置としては、例えば、液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置、無機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置、電子放出表示装置(例えば電場放出表示装置(FED)、表面電界放出表示装置(SED))、電子ペーパー(電子インクや電気泳動素子を用いた表示装置、プラズマ表示装置、投射型表示装置(例えばグレーティングライトバルブ(GLV)表示装置、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を有する表示装置)及び圧電セラミックディスプレイなどが挙げられる。液晶表示装置は、透過型液晶表示装置、半透過型液晶表示装置、反射型液晶表示装置、直視型液晶表示装置及び投写型液晶表示装置などのいずれをも含む。これらの表示装置は、2次元画像を表示する表示装置であってもよいし、3次元画像を表示する立体表示装置であってもよい。
一方、本円変更板は、特に有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置又は無機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置の表示装置に有効に用いることができる。
【0122】
図6及び図9は、本偏光素子を用いた液晶表示装置(以下、場合により「本液晶表示装置」という。)10の断面構成を模式的に表す概略図である。液晶層17は、2枚の基14a及び基板14bで挟まれている。
…省略…
【0134】
図8は、図6のBの部分の拡大模式図である。図8の(B1)は、本偏光素子100を偏光子12bとして用いる場合、位相差フィルム13b側から、透明基材1、光配向層2及び偏光層3がこの順に配置されるように、本偏光素子100は設けられる。図8の(B2)は、本偏光素子100を偏光子12bとして用いる場合、位相差フィルム13b側から、偏光層3、光配向層2及び透明基材1がこの順に配置されるように、本偏光素子100は設けられる。
【0135】
偏光子12bの外側には、発光源であるバックライトユニットが配置されている。バックライトユニットは、光源、導光体、反射板、拡散シート及び視野角調整シートを含む。光源としては、エレクトロルミネッセンス、冷陰極管、熱陰極管、発光ダイオード(LED)、レーザー光源及び水銀ランプなどが挙げられる。また、このような光源の特性に合わせて本偏光素子の種類を選択することができる。
【0136】
本液晶表示装置10が透過型液晶表示装置である場合、バックライトユニット中の光源から発せられた白色光は導光体に入射し、反射板によって進路を変えられて拡散シートで拡散する。拡散光は視野角調整シートによって所望の指向性を持つように調整されたのちにバックライトユニットから偏光子12bに入射する。
【0137】
無偏光である入射光のうち、ある一方の直線偏光のみが液晶パネルの偏光子12bを透過する。この直線偏光は位相差層13bによって円偏光あるいは楕円偏光に変換され、基板14b、画素電極22などを順次透過して液晶層17に到る。
【0138】
ここで画素電極22と対向する透明電極16との間の電位差の有無により、液晶層17に含まれる液晶分子の配向状態が変化して、本液晶表示装置10から出射される光の輝度が制御される。液晶層17が、偏光をそのまま透過させる配向状態である場合、その偏光は液晶層17、透明電極16を透過し、ある特定の波長範囲の光がカラーフィルタ15を透過して偏光子12aに到り、液晶表示装置は、カラーフィルタで決まる色を最も明るく表示する。
【0139】
逆に、液晶層17が、偏光を変換して透過させる配向状態である場合、液晶層17、透明電極16及びカラーフィルタ15を透過した光は、偏光子12aに吸収される。このことにより、この画素は黒を表示する。これら2つの状態の中間の配向状態では、本液晶表示装置10から出射される光の輝度も上記両者の中間となるため、この画素は中間色を表示する。
…省略…
【産業上の利用可能性】
【0212】
本発明の偏光素子及び円偏光板は、液晶表示装置、(有機)EL表示装置及び投射型液晶表示装置を製造するうえで有用である。」

ウ 図1





エ 図2





オ 図3





カ 図4





キ 図6





ク 図8





(2)引用発明
引用文献において、【0008】には、「本円偏光板」、【0009】には、「本偏光素子100」及び「本偏光素子100の製造方法」が、それぞれ記載されている。
ここで、【0102】には、「工程A6」に関して、「光重合の際、マスキングや現像を行うなどによって、パターニングされた偏光層3を得ることもできる。」と記載されている。また、「円偏光板」に関する【0119】の記載からみて、引用文献には、本偏光素子と1/4波長板と組み合わせて円偏光板とすることが記載されている。
以上勘案すると、引用文献には、次の「円偏光板」の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
「 偏光素子と1/4波長板と組み合わせた円偏光板であって、
偏光素子は、透明基材上に、光配向層及び偏光層がこの順で積層され、
偏光素子は、以下の工程で製造される、
(工程A1)透明基材上に、光反応性基を有するポリマーと溶剤とを含有する組成物を塗布して、透明基材上に第1塗布膜を形成する工程;
(工程A2)第1塗布膜から溶剤を乾燥除去することにより、透明基材上に第1乾燥被膜を形成し、第1積層体を得る工程;
(工程A3)第1積層体が有する第1乾燥被膜に偏光UVを照射することにより、第1乾燥被膜から光配向層を形成して第2積層体を得る工程;
(工程A4)第2積層体が有する光配向層上に、重合性スメクチック液晶化合物、二色性色素及び溶剤を含有する組成物を塗布して、光配向層上に第2塗布膜を形成する工程;
(工程A5)第2塗布膜を、第2塗布膜中に含まれる重合性スメクチック液晶化合物が重合しない条件で乾燥することにより、光配向層上に第2乾燥被膜を形成して第3積層体を得る工程;
(工程A6)第3積層体が有する第2乾燥被膜中の重合性スメクチック液晶化合物をスメクチック液晶状態とした後、スメクチック液晶状態を保持したまま、重合性スメクチック液晶化合物を重合させることにより、第2乾燥被膜から偏光層を形成する工程、ここで、光重合の際、マスキングや現像を行うなどによって、パターニングされた偏光層を得ることもできる、
円偏光板。」

(3)対比
本件補正後発明と引用発明を対比すると、以下のとおりとなる。
ア パターン偏光フィルム
引用発明の「偏光素子」は、上記の「工程A1」〜「工程A6」によって製造され、「透明基材上に、光配向層及び偏光層がこの順で積層された」ものである。
ここで、引用発明の「透明基材」及び「偏光素子」は、その文言が意味するとおり、「基材」及び「偏光子」として機能するものである。また、上記の層構造からみて、引用発明の「偏光素子」は、「透明基材」と「偏光層」とが積層された、フィルム状のものである。加えて、上記の製造工程からみて、引用発明の「偏光層」は、「重合性スメクチック液晶化合物」が硬化した膜状のものである。
そうしてみると、引用発明の「透明基材」及び「偏光層」は、それぞれ、本件補正後発明の「基材」及び「液晶硬化膜」に相当する。また、引用発明の「偏光素子」と本件補正後発明の「パターン偏光フィルム」とは、「基材」と、「液晶硬化膜とを積層した」「偏光フィルム」である点で共通する。

イ 位相差フィルム
引用発明の「1/4波長板」は、その文言が意味するとおり、本件補正後発明の「1/4波長板機能を有する位相差フィルム」に相当する。

ウ 液晶硬化膜
引用発明の「偏光層」は、上記の「工程A1」〜「工程A6」によって製造され、上記の「(工程A4)」における「組成物」には、「重合性スメクチック液晶化合物」及び「二色性色素」が含まれる。
上記の組成及び製造工程からみて、引用発明の「偏光層」は、「重合性スメクチック液晶化合物」と「二色性色素」とを含む。
そうしてみると、引用発明の「偏光層」と本件補正後発明の「液晶硬化膜」とは、「スメクチック相を形成する重合性液晶化合物の重合物と」「二色性色素とを含み」という点で共通する。

エ パターン円偏光板
引用発明の「円偏光板」は、「偏光素子と1/4波長板と組み合わせた」ものである。
上記の構成と、上記ア〜ウを総合すると、引用発明の「円偏光板」と本件補正後発明の「パターン円偏光板」とは、「円偏光板」である点で共通する。
また、引用発明の「円偏光板」と本件補正後発明の「パターン円偏光板」とは、「基材と」、「液晶硬化膜とを積層した」「偏光フィルム」、「及び1/4波長板機能を有する位相差フィルムを備える」「円偏光板」である点で共通する。

(4)一致点及び相違点
ア 一致点
本件補正後発明と引用発明は、次の構成で一致する。
「 基材と、液晶硬化膜とを積層した偏光フィルム、及び1/4波長板機能を有する位相差フィルムを備える円偏光板であって、前記液晶硬化膜は、スメクチック相を形成する重合性液晶化合物の重合物と二色性色素とを含む、円偏光板。」

イ 相違点
本件補正後発明と引用発明は、以下の点で相違する。
(相違点1)
「偏光フィルム」が、本件補正後発明は、「液晶硬化膜」が「パターン化した」、「パターン偏光フィルム」であり、「パターン偏光フィルムは、偏光度が10%以下であり、単体透過率が80%以上である領域(A)と、偏光度が90%以上であり、単体透過率が40%以上である領域(B)とを有し、連続した領域(A)の面積が100mm2以下である」のに対して、引用発明は、「工程A6」の「光重合の際、マスキングや現像を行うなどによって、パターニングされた偏光層を得ることもでき」る、すなわち、「パターン化した」、「パターン偏光フィルム」とすることまでは示唆されているものの、その余は明らかではない点。

(相違点2)
「液晶硬化膜」に含まれる「二色性色素」が、本件補正後発明は、「3種以上の」ものであるのに対して、引用発明の「偏光層」に含まれる「二色性色素」は、「3種以上の」ものとは特定されていない点。

(相違点3)
「液晶硬化膜の厚さ」が、本件補正後発明は、「0.5〜10μm」であるのに対して、引用発明の「偏光層」の厚さは、明らかではない点。

(相違点4)
「円偏光板」が、本件補正後発明は、「パターン円偏光板」であるのに対して、引用発明の「円偏光板」は、パターンであるかどうかが明らかではない点。

(5)判断
相違点についての判断は、以下のとおりである。
ア 相違点1について
引用発明の「偏光素子」においては、「工程6」において、「光重合の際、マスキングや現像を行うなどによって、パターニングされた偏光層を得ることもでき」るとされている。すなわち、引用発明の「偏光素子」においては、マスキングのパターンに応じて、「第2乾燥被膜」が光重合せず現像により除去される領域と、「第2乾燥被膜」が光重合し「偏光層」となる領域とを形成し、偏光層をパターニングできることが示唆されている。
ところで、「液晶表示装置」や「有機EL表示装置」等の表示装置において、「偏光子層の一部分を除去することによって開口部を形成すること」は、周知技術(以下「周知技術1」という。)である(例えば、特開2012−137738号公報の【請求項1】、【請求項2】、【0026】、【0039】及び【0040】、特開平9−68684号公報の【0013】、【0015】、【0019】及び【図3】、特開2005−39578号公報の【0124】、【0125】及び【図11】を参照。)。また、引用文献の【0121】〜【0139】には、引用発明の「偏光素子」(本偏光素子)の用途として、「液晶表示装置」や「有機EL表示装置」等の表示装置が例示されている。
そうしてみると、当業者が、このような用途において引用発明の「偏光素子」を具体化することは、引用文献が示唆する範囲内の創意工夫といえる。
また、上記のとおり「パターニングされた偏光素子」は、「偏光層」が存在しない領域と、「偏光層」が存在する領域があるところ、前者が、相違点1に係る「偏光度が10%以下であり、単体透過率が80%以上である領域(A)」の要件を満たし、後者が、相違点1に係る「偏光度が90%以上であり、単体透過率が40%以上であって、液晶硬化膜を有する領域(B)」の要件を満たすことは明らかである。
さらに、引用発明の「偏光素子」を具体化する際に、例えば携帯端末において、小型カメラや偏光素子が不要な微小の固定表示をするために、領域(A)の面積を小さくすることは、当業者にとって格別の困難性はない。そして、相違点1に係る「連続した領域(A)の面積」の上限を100mm2とすることは、当業者にとって適宜選択可能な設計事項にすぎない。
したがって、引用発明の「偏光素子」を、相違点1に係る本件補正後発明の構成を具備したものとすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

イ 相違点2について
引用文献の【0134】〜【0139】には、引用発明の「偏光素子」(本偏光素子)の用途として、「液晶表示装置」の「バックライトユニット」側の「偏光子12b」が開示されている。また、このような「偏光子12b」は、「カラーフィルタ15」における、青〜緑〜赤の波長範囲において、「偏光子12b」として機能することが求められる。
ところで、「偏光膜の二色性色素として、互いに異なる吸収波長を有する3種類のアゾ色素を用いること」は、周知技術(以下「周知技術2」という。)である(例えば、特開2013−109090号公報の【0029】〜【0032】、特開2009−145776号公報の【0129】を参照。)。また、周知技術は、上記「偏光子12b」の用途に特に適したものといえる。
そうしてみると、引用発明の「偏光層」における「二色性色素」を「3種以上」とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

ウ 相違点3について
引用文献の【0104】には、「偏光層3の厚みは、0.5〜10μmの範囲が好ましく、0.5〜3μmの範囲がさらに好ましい。」と記載されていることから、相違点3は、実施的な差異ではない。
仮に相違するとしても、当業者にとって適宜選択可能な設計事項にすぎない。

エ 相違点4について
上記アで述べたように、引用発明の「偏光素子」を、相違点1に係る本件補正後発明の構成を具備したものとすることは、当業者が容易に想到し得ることである以上、同様の理由により、引用発明の「円偏光板」を、パターン円偏光板とすることは、当業者が想到し得ることである。

オ 補足
上記のとおりであるが、念のため相違点をまとめて以下に検討する。
上記ウで述べたように、引用発明の「偏光層」の厚みは、0.5〜10μmの範囲とすることは、実質的な差異ではないか、当業者にとって適宜選択可能な設計事項にすぎないので、引用発明の「偏光層」の「二色性色素」に周知技術2を適用して3種類以上とする際に、偏光層の膜厚を上記範囲内とすることは、引用文献が示唆する範囲内の創意工夫といえる。
そして、引用発明の「偏光層」の厚みは小さなものであるといえることから、引用発明の「偏光層」の「二色性色素」を3種類以上としても、偏光層を除去するにあたって阻害要因とはならない。そうしてみると、引用発明に周知技術1及び2を適用することは、当業者にとって格別の困難性はない。
その余の点は、上記ア、イ及びエで述べたとおりである。
したがって、相違点をまとめて検討したとしても、引用発明に周知技術1及び2を適用して相違点1〜4に係る本件補正後発明の構成を具備したものとすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

(6)発明の効果について
本件補正後発明の効果に関して、本件出願の明細書の【0006】には、「本発明のパターン偏光フィルムによれば、薄く、反射防止特性に優れるパターン円偏光板が得られる。」と記載されている。
しかしながら、本件補正後発明の「パターン円偏光板」の厚さについて、薄く、反射防止特性に優れるパターン円偏光板が得られる、という効果も、上記(5)ウから予測し得るものであって、格別なものではない。
したがって、本件補正後発明の効果は、引用発明も奏する効果であるか、又は引用発明から予測可能な範囲を超えるものではない。

(7)小括
本件補正後発明は、引用文献に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

3 補正の却下の決定のむすび
本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記[補正の却下の決定の結論]のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
以上のとおり、本件補正は却下されたので、本件出願の請求項1及び5に記載の発明を引用する請求項10に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記「第2」[理由]1(1)に記載のとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由
本願発明に対する原査定の拒絶の理由は、本願発明は、先の出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物である特開2013−33249号公報(引用文献)に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものを含むものである。

3 引用文献及び引用発明
引用文献の記載及び引用発明は、上記「第2」[理由]2(1)及び(2)に記載したとおりである。

4 対比及び判断
本願発明は、上記「第2」[理由]2で検討した本件補正後発明の「3種以上の二色性色素」を、「2種以上の二色性色素」としたものであるから、本願発明の範囲には、本件補正後発明が含まれる。
ここで、本願発明の範囲に含まれる本件補正後発明は、上記「第2」[理由]2に記載したとおり、引用文献に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
そうしてみると、本願発明も、引用文献に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本件出願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲 (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。
 
審理終結日 2022-07-22 
結審通知日 2022-07-26 
審決日 2022-08-15 
出願番号 P2019-125863
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G02B)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 松波 由美子
特許庁審判官 井口 猶二
加々美 一恵
発明の名称 パターン偏光フィルム  
代理人 森住 憲一  
代理人 松谷 道子  
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