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審決分類 審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する A63F
管理番号 1390520
総通号数 11 
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-11-25 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2022-06-13 
確定日 2022-09-01 
訂正明細書 true 
事件の表示 特許第6968513号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第6968513号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 
理由 第1 手続の経緯
本件特許第6968513号(以下「本件特許」という。)は、平成30年1月19日を出願日とする特願2018−7688の一部を、令和2年2月4日に新たな出願(特願2020−17410)としたものであり、令和3年10月29日に特許権の設定登録がなされ、その後、令和4年6月13日に本件訂正審判の請求がされたものである。

第2 請求の趣旨
本件訂正審判請求の趣旨は、本件特許の願書に添付した特許請求の範囲(以下「本件特許請求の範囲」という。)を本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものである。

第3 訂正の内容
本件訂正審判請求による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、次のものである。
1 訂正事項1
本件特許請求の範囲の請求項1に、
「前記非抑制許容状態と前記抑制許容状態とでは、前記受付後変化として異なる変化が実行されうるようになっており」と記載されているものを、
「前記非抑制許容状態で操作受付がなされた場合と、前記抑制許容状態で操作受付がなされた場合とでは、該操作受付に応じた前記受付後変化として異なる変化が実行されうるようになっており」に訂正する。
なお、下線は当審において付与したものであり、訂正箇所を表す。

第4 当審における判断
1 特許法第126条第1項ただし書(訂正の目的)について
訂正事項1に係る訂正は、本件訂正前の請求項1では、「非抑制許容状態」と「抑制許容状態」とで、何を契機として「受付後変化として異なる変化が実行されうるようになって」いるかについての特定がない一方、訂正事項1よりも前の段落に「操作機会が付与される受付許容状態を発生させるとともに、該受付許容状態で操作受付がなされると受付後変化を実行可能」と記載されているように、「受付後変化」が「実行」される契機は「操作受付」であると特定されていることにより記載上の不合理が生じていたものを、「非抑制許容状態」と「抑制許容状態」のいずれの状態であっても、「受付後変化」が実行される契機は、「操作受付がなされた場合」であり、また、「非抑制許容状態」と「抑制許容状態」との「受付後変化として異なる変化」は、「非抑制許容状態」又は「抑制許容状態」それぞれの「操作受付に応じた」ものであることを明確にするために、「前記非抑制許容状態で操作受付がなされた場合と、前記抑制許容状態で操作受付がなされた場合とでは、該操作受付に応じた前記受付後変化として異なる変化が実行されうる」と訂正するものであるので、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
よって、本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

2 特許法第126条第5項(新規事項の有無)について
本件特許請求の範囲に記載された「受付許容状態」の「非抑制許容状態」及び「抑制許容状態」に対応する実施例は、本件特許の願書に添付した明細書(以下「本件特許明細書」という。)に記載された「「BGM再生の音」が非抑制態様での出力状態を維持しているなかで演出受付が許容される設定時間を設定」されたもの及び「「BGM再生の音」が抑制態様または無音で出力されているなかで演出受付が許容される設定時間を設定」されたものであり、本件特許請求の範囲に記載された「受付後変化」に対応する実施例は、本件特許明細書に記載された「操作後演出」である。
そして、「BGM再生の音」が非抑制態様での出力状態を維持しているなかで演出受付が許容される設定時間を設定」されたものについて、本件特許明細書の【4342】に、「「BGM再生の音」が非抑制態様での出力状態を維持しているなかで演出受付が許容される設定時間を設定する「非抑制受付演出(図390(a),(b)を参照)」であり」と記載され、同【4348】に、「図390に示される演出例では、設定時間(有効期間)内で演出受付がなされると(図中では、タイミングtr32a)、演出受付に応じた操作後演出として、演出表示装置1600(第1演出部材)における操作後表示演出(液晶表示)と、スピーカ(第2演出部材)による操作後演出音出力(演出音)とが少なくとも発生するようになっている。図中では、操作後表示演出(液晶表示)と、スピーカによる操作後演出音出力(演出音)とが同じ時間だけ実行状態を維持するようになっている」と記載されている。
一方、「BGM再生の音」が抑制態様または無音で出力されているなかで演出受付が許容される設定時間を設定」されたものについて、同【4366】に、「図391に示される演出例においても、設定時間(有効期間)内で演出受付がなされると(図中では、タイミングtr42a)、演出受付に応じた操作後演出として、演出表示装置1600(第1演出部材)における操作後表示演出(液晶表示)と、スピーカ(第2演出部材)による操作後演出音出力(演出音)とが少なくとも発生するようになっている。」と記載され、「操作後表示演出(液晶表示)については、設定時間(有効期間)内のいずれのタイミングで演出受付がなされた場合であっても、タイミングtr43よりも後に到来する特定タイミングで非表示(視認不能)にされるものにするのに対し、操作後演出音出力(演出音)については、演出受付がなされたタイミングから予め定められた時間分だけ出力状態を維持するものとなっている。」と記載されている。
そして、「「BGM再生の音」が非抑制態様での出力状態を維持しているなかで演出受付が許容される設定時間を設定」されたものを示す【図390】(f)における「操作後演出」と、「「BGM再生の音」が抑制態様での出力状態を維持しているなかで演出受付が許容される設定時間を設定」されたものを示す【図391】(f)における「操作後演出」とを対照すると、前者は、「操作後表示演出(液晶表示)と、スピーカによる操作後演出音出力(演出音)とが同じ時間だけ実行状態を維持するようになっている」のに対して、後者は、「操作後表示演出(液晶表示)」が、タイミングtr44で実行状態が終了されるのに対して、スピーカによる操作後演出音出力を終了するタイミングは、タイミングtr44よりも後のタイミングであることが見て取れることから、両者は、「操作後演出」を成す「操作後表示演出」と「操作後演出音出力」の終了タイミングの関係が相互に相違するものである。

【図390】



【図391】



そうすると、本件特許明細書には、非抑制許容状態で操作受付がなされた場合と、抑制許容状態で操作受付がなされた場合とで、該操作受付に応じた受付後変化として異なる変化が実行されうるようになっていることが記載されていると認められる。
よって、訂正事項1は、本件特許明細書より導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものである。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。

3 特許法第126条第6項(特許請求の範囲の拡張又は変更の有無)について
上記1で示したとおり、本件訂正前の請求項1では、「非抑制許容状態」と「抑制許容状態」とで、何を契機として「受付後変化として異なる変化が実行されうるようになって」いるのかが明瞭でなかったものの、本件訂正前の請求項1において、「受付後変化」が「実行」される契機は「操作受付」であると特定されていることから、「非抑制許容状態」と「抑制許容状態」のいずれの状態であっても、「受付後変化」が実行される契機が、「操作受付がなされた場合」であり、また、「非抑制許容状態」と「抑制許容状態」との「受付後変化として異なる変化」が、「非抑制許容状態」又は「抑制許容状態」それぞれの「操作受付に応じた」ものであることは、本件訂正前においても意図されていたということができる。
そうすると、訂正事項1による訂正の前後で特許請求の範囲の拡張又は変更はないから、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。

第5 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ同条第5項及び第6項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
判定を行う判定手段と、
前記判定手段による判定にて所定の結果が得られたことに基づいて遊技者に特典を付与しうる特典付与手段と、
操作機会が付与される受付許容状態を発生させるとともに、該受付許容状態で操作受付がなされると受付後変化を実行可能な受付後変化実行手段と
を備え、
前記受付許容状態では、遊技者による操作の対象を摸した摸画像が表示されうる遊技機であって、
前記受付許容状態には、
チャンネルに割り当てられた演出音の音データが非抑制態様で可聴出力されているなかで操作機会を付与する非抑制許容状態、及び
チャンネルに割り当てられた演出音の音データが抑制態様で可聴出力されているなかで、または該演出音の音データが非可聴の状態にされてから操作機会を付与する抑制許容状態
が含まれており、
前記非抑制許容状態と前記抑制許容状態とのいずれにおいても、その発生に際しては、操作受付が許容される状態になったこと、または操作受付が許容される状態になることを示唆する受付許容音の音データがチャンネルに割り当てられて非抑制態様で可聴出力されうるようになっており、
前記非抑制許容状態で操作受付がなされた場合と、前記抑制許容状態で操作受付がなされた場合とでは、該操作受付に応じた前記受付後変化として異なる変化が実行されうるようになっており、
さらに、
前記摸画像を表示するときの態様として第1態様及び第2態様が少なくとも用意されており、
遊技者に対して操作機会が付与されているときに前記摸画像が前記第1態様で表示されている場合は、前記受付許容状態として、遊技者による操作がなくても操作受付があったときと同じ受付後変化を生じさせる受付許容状態が必ず発生している状況下にあり、
遊技者に対して操作機会が付与されているときに前記摸画像が前記第2態様で表示されている場合は、前記受付許容状態として、遊技者による操作がなくても操作受付があったときと同じ受付後変化を生じさせる受付許容状態が発生している状況下にある場合と、遊技者による操作がないときに操作受付があったときと同じ受付後変化を生じさせない受付許容状態が発生している状況下にある場合との両方があるようになっており、
さらに、
前記受付許容状態の発生に際して、前記受付許容音は、所定態様及び特別態様を含む複数態様のいずれかで可聴出力されうるようになっており、
前記受付許容音が前記特別態様で可聴出力される場合は、該特別態様に対応する前記受付許容状態は、遊技者による操作がなくても操作受付があったときと同じ受付後変化を生じさせる受付許容状態として必ず発生するが、
前記受付許容音が前記所定態様で可聴出力される場合は、該所定態様に対応する前記受付許容状態は、遊技者による操作がなくても操作受付があったときと同じ受付後変化を生じさせる受付許容状態として発生する場合と、遊技者による操作がないときに操作受付があったときと同じ受付後変化を生じさせない受付許容状態として発生する場合との両方があるようになっており、
さらに、
前記受付許容状態の発生に際しては、操作受付が許容されるタイミングよりも前から特定の前演出表示が表示される場合があり、該特定の前演出表示は、該操作受付が許容されるタイミングを跨るかたちで表示可能とされており、
前記受付許容状態において前記特定の前演出表示が表示されているときに操作受付がなされた場合、該特定の前演出表示は、該操作受付に応じた受付後変化が実行開始される時点で非表示の状態にされておらず表示されており、その後、該受付後変化が実行されているなかで非表示の状態にされる
ことを特徴とする遊技機。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2022-08-02 
結審通知日 2022-08-05 
審決日 2022-08-23 
出願番号 P2020-017410
審決分類 P 1 41・ 853- Y (A63F)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 ▲吉▼川 康史
特許庁審判官 ▲高▼橋 祐介
村田 泰利
登録日 2021-10-29 
登録番号 6968513
発明の名称 遊技機  

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