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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  E04H
管理番号 1390532
総通号数 11 
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2022-11-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-07-09 
確定日 2022-08-08 
異議申立件数
訂正明細書 true 
事件の表示 特許第6632337号発明「機械式駐車装置の出入口扉開閉制御装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6632337号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 特許第6632337号の請求項1に係る特許を取り消す。 
理由 第1 手続の経緯

特許第6632337号の請求項1に係る特許についての出願は、平成27年11月6日に出願され、令和1年12月20日にその特許権の設定登録がされ、令和2年1月22日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。

令和2年 7月 9日 特許異議申立人中村修(以下「申立人」とい
う。)による請求項1に係る特許に対する特
許異議の申立て
同年 9月23日付け 取消理由通知
同年11月26日 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
令和3年 1月20日 申立人による意見書の提出
同年 2月22日付け 取消理由通知(決定の予告)
同年 6月18日付け 取消理由通知(決定の予告)
同年 8月23日 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
同年12月16日 申立人による意見書の提出

なお、令和3年8月23日に訂正の請求がされたため、令和2年11月26日にされた訂正の請求は、特許法第120条の5第7項の規定より取り下げられたものとみなす。

第2 訂正の適否

1.訂正の内容
令和3年8月23日提出の訂正請求(以下「本件訂正請求」という。)による訂正の内容は以下のとおりである(下線は訂正箇所を示す。)。

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に、
「出入口扉を開く出入口扉開処理部と、前記出入口扉を閉じる出入口扉閉処理部とを有する機械式駐車装置の出入口扉開閉制御装置において、
予約利用者による第一認証操作に基づいて第一の認証を行う第一認証処理部と、この第一認証処理部による認証処理後、直ちに当該予約利用者のための入出庫処理を行えるか、それとも予約登録を行ってふさわしいタイミングで入出庫処理を行うかを判定するタイミング判定処理部と、タイミング判定処理部で判定された予約利用者のID情報などの情報をふさわしいタイミングで記憶登録する記憶登録処理部と、直ちに入出庫処理を行う予約利用者または予約登録される予約利用者に対して入庫か出庫かをそれぞれ判定し対応する搬送処理を行う搬送処理部と、前記搬送処理部による準備完了後に前記予約利用者によって行われる第二認証操作に基づいて前記第一認証操作を行った前記予約利用者と同一人物かを認証判定する第二認証処理部と、前記第二認証処理部による一致が判定された後に自動で前記出入口扉を開く出入口扉開処理部とを設け、かつ、前記出入口扉を閉じる前に予約利用者による第三認証操作に基づいて前記第一認証操作及び前記第二認証操作を行った予約利用者と一致するか認証判定を行う第三認証処理部を有し、前記出入口扉閉処理部は、前記第三認証処理部による一致を確認した後に前記出入口扉を自動で閉処理することを特徴とする機械式駐車装置の出入口扉開閉制御装置。」
と記載されているのを、
「出入口扉を開く出入口扉開処理部と、前記出入口扉を閉じる出入口扉閉処理部とを有する機械式駐車装置の出入口扉開閉制御装置において、
予約利用者の操作盤でのICカード読み取り又は暗証番号入力による第一認証操作に基づいて第一の認証を行う第一認証処理部と、
前記第一認証処理部による認証処理後、直ちに当該予約利用者のための入出庫処理を行えるか、それとも予約登録を行って予約運転を行うタイミングで入出庫処理を行うかを判定するタイミング判定処理部と、
前記タイミング判定処理部で判定された予約利用者のID情報などの情報を、該判定されたタイミングで記憶登録する記憶登録処理部と、
直ちに入出庫処理を行う予約利用者または予約登録される予約利用者に対して、入庫か出庫かをそれぞれ判定し、該判定の結果に対応する搬送処理を行う搬送処理部と、
前記搬送処理部による準備完了後に前記予約利用者の前記操作盤での前記ICカード読み取り又は暗証番号入力による第二認証操作に基づいて前記第一認証操作を行った前記予約利用者と同一人物かを認証判定する第二認証処理部と、
前記第二認証処理部による一致が判定された後に自動で前記出入口扉を開く出入口扉開処理部とを設け、かつ、
前記出入口扉を閉じる前に予約利用者の前記操作盤での前記ICカード読み取り又は暗証番号入力による第三認証操作に基づいて前記第一認証操作及び前記第二認証操作を行った予約利用者と一致するか認証判定を行う第三認証処理部を有し、
前記出入口扉閉処理部は、前記第三認証処理部による前記第一認証操作及び前記第二認証操作を行った予約利用者であることの一致を確認した後に前記出入口扉を自動で閉処理することで、前記第三認証操作の前後で前記予約利用者が前記操作盤の出入口扉閉ボタンの操作を行わないことを特徴とする機械式駐車装置の出入口扉開閉制御装置。」
に訂正する。

(2)訂正事項2
明細書の段落【0006】について、
「本発明は上記目的を達成するために、出入口扉を開く出入口扉開処理部と、前記出入口扉を閉じる出入口扉閉処理部とを有する機械式駐車装置の出入口扉開閉制御装置において、予約利用者による第一認証操作に基づいて第一の認証を行う第一認証処理部と、この第一認証処理部による認証処理後、直ちに当該予約利用者のための入出庫処理を行えるか、それとも予約登録を行ってふさわしいタイミングで入出庫処理を行うかを判定するタイミング判定処理部と、タイミング判定処理部で判定された予約利用者のID情報などの情報をふさわしいタイミングで記憶登録する記憶登録処理部と、直ちに入出庫処理を行う予約利用者または予約登録される予約利用者に対して入庫か出庫かをそれぞれ判定し対応する搬送処理を行う搬送処理部と、前記搬送処理部による準備完了後に前記予約利用者によって行われる第二認証操作に基づいて前記第一認証操作を行った前記予約利用者と同一人物かを認証判定する第二認証処理部と、前記第二認証処理部による一致が判定された後に自動で前記出入口扉を開く出入口扉開処理部とを設け、かつ、前記出入口扉を閉じる前に予約利用者による第三認証操作に基づいて前記第一認証操作及び前記第二認証操作を行った予約利用者と一致するか認証判定を行う第三認証処理部を有し、前記出入口扉閉処理部は、前記第三認証処理部による一致を確認した後に前記出入口扉を自動で閉処理することを特徴とする。」
と記載されているのを、
「本発明は上記目的を達成するために、出入口扉を開く出入口扉開処理部と、前記出入口扉を閉じる出入口扉閉処理部とを有する機械式駐車装置の出入口扉開閉制御装置において、予約利用者の操作盤でのICカード読み取り又は暗証番号入力による第一認証操作に基づいて第一の認証を行う第一認証処理部と、前記第一認証処理部による認証処理後、直ちに当該予約利用者のための入出庫処理を行えるか、それとも予約登録を行って予約運転を行うタイミングで入出庫処理を行うかを判定するタイミング判定処理部と、前記タイミング判定処理部で判定された予約利用者のID情報などの情報を、該判定されたタイミングで記憶登録する記憶登録処理部と、直ちに入出庫処理を行う予約利用者または予約登録される予約利用者に対して入庫か出庫かをそれぞれ判定し、該判定の結果に対応する搬送処理を行う搬送処理部と、前記搬送処理部による準備完了後に前記予約利用者の前記操作盤での前記ICカード読み取り又は暗証番号入力による第二認証操作に基づいて前記第一認証操作を行った前記予約利用者と同一人物かを認証判定する第二認証処理部と、前記第二認証処理部による一致が判定された後に自動で前記出入口扉を開く出入口扉開処理部とを設け、かつ、前記出入口扉を閉じる前に予約利用者の前記操作盤での前記ICカード読み取り又は暗証番号入力による第三認証操作に基づいて前記第一認証操作及び前記第二認証操作を行った予約利用者と一致するか認証判定を行う第三認証処理部を有し、前記出入口扉閉処理部は、前記第三認証処理部による前記第一認証操作及び前記第二認証操作を行った予約利用者であることの一致を確認した後に前記出入口扉を自動で閉処理することで、前記第三認証操作の前後で前記予約利用者が前記操作盤の出入口扉閉ボタンの操作を行わないことを特徴とする。」
に訂正する。

(3)訂正事項3
明細書の段落【0015】について、
「予約した利用者が駐車車両の入出庫を行う場合、その予約利用者は、先ず操作盤2から第一認証操作を行う。この第一認証操作は、操作盤2からICカードを読み取らせたり、暗証番号を入力したり、その他の方法によって行われる。この第一認証操作を受けて出入口扉開閉制御装置は、取得したID情報などを用いて第一認証処理を行い、結果を保持する。」
と記載されているのを、
「予約した利用者が駐車車両の入出庫を行う場合、その予約利用者は、先ず操作盤2から第一認証操作を行う。この第一認証操作は、操作盤2からICカードを読み取らせたり、暗証番号を入力することによって行われる。この第一認証操作を受けて出入口扉開閉制御装置は、取得したID情報などを用いて第一認証処理を行い、結果を保持する。」
に訂正する。

(4)訂正事項4
明細書の段落【0020】について、
「この出入口扉開閉制御装置は、操作盤2との間での信号を送受信する信号送受信部9と、予約利用者による第一認証操作によって当該予約利用者を認証する第一認証処理部10と、この第一認証処理部10による認証処理後、直ちに当該予約利用者のための入出庫処理を行えるか、それとも予約登録を行ってふさわしいタイミングで入出庫処理を行うかを判定するタイミング判定処理部11と、タイミング判定処理部11で判定された予約利用者のID情報などの情報をふさわしいタイミングで記憶登録する記憶登録処理部12と、直ちに入出庫処理を行う予約利用者または予約登録される予約利用者に対して例えば前回記録情報を参照して今回操作が入庫か出庫かをそれぞれ判定し対応する搬送処理を行う搬送処理部13と、予約利用者による第二認証操作に基づいて第一認証操作を行った利用者と一致することを認証判定する第二認証処理部14と、第一認証操作と第二認証操作を行った予約利用者が一致するとの信号を受けて出入口扉1を自動で連続的に開処理を行う出入口扉開処理部15と、上述した各部や信号送受信部9からの信号を受けて操作盤2の液晶画面3を予め設定された形式に従って表示を行う液晶画面処理部16を有している。」
と記載されているのを、
「この出入口扉開閉制御装置は、操作盤2との間での信号を送受信する信号送受信部9と、予約利用者による第一認証操作によって当該予約利用者を認証する第一認証処理部10と、この第一認証処理部10による認証処理後、直ちに当該予約利用者のための入出庫処理を行えるか、それとも予約登録を行って予約運転を行うタイミングで入出庫処理を行うかを判定するタイミング判定処理部11と、タイミング判定処理部11で判定された予約利用者のID情報などの情報を、該判定されたタイミングで記憶登録する記憶登録処理部12と、直ちに入出庫処理を行う予約利用者または予約登録される予約利用者に対して例えば前回記録情報を参照して今回操作が入庫か出庫かをそれぞれ判定し、該判定の結果に対応する搬送処理を行う搬送処理部13と、予約利用者による第二認証操作に基づいて第一認証操作を行った利用者と一致することを認証判定する第二認証処理部14と、第一認証操作と第二認証操作を行った予約利用者が一致するとの信号を受けて出入口扉1を自動で連続的に開処理を行う出入口扉開処理部15と、上述した各部や信号送受信部9からの信号を受けて操作盤2の液晶画面3を予め設定された形式に従って表示を行う液晶画面処理部16を有している。」
に訂正する。

(5)訂正事項5
明細書の段落【0048】について、
「また、上記実施例では、予約操作を操作盤2で行うようにしたが、予約は、予約専用装置、例えば、待合室やエントランスに設けた予約操作盤や電話予約装置、リモコン予約装置等を用いても良い。」
と記載されているのを、
「また、上記実施例では、予約操作を操作盤2で行うようにしたが、予約は、予約専用装置、例えば、待合室やエントランスに設けた予約操作盤や電話予約装置、リモコン予約装置を用いても良い。」
に訂正する。

2.訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1
ア.訂正の目的について
(ア)訂正事項1に係る訂正のうち、訂正前の請求項1における「予約利用者による第一認証操作」を「予約利用者の前記操作盤での前記ICカード読み取り又は暗証番号入力による第一認証操作」に、「前記予約利用者によって行われる第二認証操作」を「前記予約利用者の前記操作盤での前記ICカード読み取り又は暗証番号入力による第二認証操作」に、「予約利用者による第三認証操作」を「予約利用者の操作盤での前記ICカード読み取り又は暗証番号入力による第三認証操作」にそれぞれ訂正する点は、「第一認証操作」、「第二認証操作」及び「第三認証操作」がそれぞれ「操作盤での前記ICカード読み取り又は暗証番号入力による」操作であることを限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

(イ)訂正事項1に係る訂正のうち、訂正前の請求項1における「この第一認証処理部による認証処理後」を「前記第一認証処理部による認証処理後」に訂正する点は、「この第一認証処理部」が当該記載よりも前に記載された「第一認証処理部」を指すことを明瞭にするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。

(ウ)訂正事項1に係る訂正のうち、訂正前の請求項1における「直ちに当該予約利用者のための入出庫処理を行えるか、それとも予約登録を行ってふさわしいタイミングで入出庫処理を行うかを判定する」を「直ちに当該予約利用者のための入出庫処理を行えるか、それとも予約登録を行って予約運転を行うタイミングで入出庫処理を行うかを判定する」に訂正する点は、訂正前の記載において「ふさわしいタイミング」がどのようなタイミングを意味するか不明瞭であったところ、当該タイミングが予約運転を行うタイミングであることを明瞭とするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。

(エ)訂正事項1に係る訂正のうち、訂正前の請求項1における「タイミング判定処理部で判定された」を「前記タイミング判定処理部で判定された」に訂正する点は、「タイミング判定処理部」が当該記載よりも前に記載された「タイミング判定処理部」を指すことを明瞭にするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。

(オ)訂正前の請求項1における「タイミング判定処理部で判定された予約利用者のID情報などの情報をふさわしいタイミングで記憶登録する」を「タイミング判定処理部で判定された予約利用者のID情報などの情報を、該判定されたタイミングで記憶登録する」に訂正する点は、訂正前の記載において「ふさわしいタイミング」がどのようなタイミングを意味するか不明瞭であったところ、当該タイミングがタイミング判定処理部による判定がなされたタイミングであることを明瞭にするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。

(カ)訂正前の請求項1における「入庫か出庫かをそれぞれ判定し対応する搬送処理を行う」を「入庫か出庫かをそれぞれ判定し、該判定の結果に対応する搬送処理を行う」に訂正する点は、訂正前の記載において「対応する搬送処理」が何に対応する搬送処理であるか不明瞭であったところ、当該搬送処理が入庫か出庫かの判定の結果に対応するものであることを明瞭にするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。

(キ)訂正前の請求項1における「一致を確認した後に」を「前記第一認証操作及び前記第二認証操作を行った予約利用者であることの一致を確認した後に」に訂正する点は、訂正前の記載において「一致」が何との一致であるか不明瞭であったところ、当該一致が第一認証操作及び前記第二認証操作を行った予約利用者であることの一致であることを明瞭にするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。

(ク)訂正事項1に係る訂正のうち、訂正前の請求項1における「前記出入口扉を自動で閉処理すること」を「前記出入口扉を自動で閉処理することで、前記第三認証操作の前後で前記予約利用者が前記操作盤の出入口扉閉ボタンの操作を行わないこと」に訂正する点は、「前記出入口扉を自動で閉処理すること」という事項がそれにより「前記第三認証操作の前後で前記予約利用者が前記操作盤の出入口扉閉ボタンの操作を行わないこと」であるとの限定を加える訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

イ.新規事項の追加について
(ア)訂正事項1に係る訂正のうち上記「ア.(ア)」に係る事項については、本件特許明細書の段落【0018】に「本実施例では、説明を簡略化するために、操作盤2を使用して予約利用者がICカードをかざしたり、または利用者が操作盤2から暗証番号を入力したりして第一認証操作、第二認証操作および第三認証操作をそれぞれ行い、出入口扉開閉制御装置は、これらの信号を受けて第一認証処理、第二認証処理および第三認証処理をそれぞれ行うように構成されているものとして説明する。」と記載されている。

(イ)訂正事項1に係る訂正のうち上記「ア.(ウ)及び(オ)」に係る事項については、本件特許明細書の段落【0033】に「次いで、タイミング判定処理部11は、ステップS4で直ちに入出庫運転可能か、それとも予約運転となるかを判定する。先の利用者による処理が継続していて完了していなければ、今回の予約利用者は予約登録扱いとする。記憶登録処理部12では、タイミング判定処理部11による処理が確定したとき、例えばステップS5で今回のICカードのデータまたは暗証番号や入出庫情報などを記憶部19に格納する。」と記載されている。

(ウ)訂正事項1に係る訂正のうち上記「ア.(カ)」に係る事項については、本件特許明細書の段落【0034】に「その後、搬送処理部13は、条件が整ったタイミングで今回の予約利用者に対する予約運転を開始させ、ステップS6で当該予約利用者に対する車両搬送処理が行われる。例えば、出庫であれば、当該予約利用者の駐車車両が乗降室に準備される。」と記載されている。

(エ)訂正事項1に係る訂正のうち上記「ア.(キ)」に係る事項については、本件特許明細書の段落【0041】に「出入口扉開閉制御装置における第三認証処理部17が図8に示したステップS13でこれらの送信信号を受信すると、第三認証処理部17は、記憶部19に今回格納された第一認証処理時及び第二認証時のICカードまたは暗証番号のデータを取り出して、今回の第三認証操作で取得したデータが一致するかを判定する。」と記載されている。

(オ)訂正事項1に係る訂正のうち上記「ア.(ク)」に係る事項については、本件特許明細書の段落【0042】に「この第三認証処理の結果、第一認証処理時の利用者と一致しない場合は、ステップS14に移行してエラー表示処理がなされ、エラー表示画面に切り替えられたりスピーカ4からエラーメッセージが音声出力されたりする。一方、ステップS13の判定で、第一認証時及び第二認証時と今回の第三認証時のデータが一致すると判定された場合、第三認証処理部17を通して信号を受けた液晶画面処理部16は、液晶画面3を図6に示した出入口扉操作中表示画面30に切り替える」と記載され、また、段落【0043】に「出入口扉操作中表示画面30には、「出入口扉を操作中です」などの文字表示31があり、一連の自動継続処理の中で出入口扉1を閉じる処理が既に受け付けられていることを利用者に通知することになる。これによって予約利用者は、出入口扉閉ボタン6を自分で直接操作しなくても出入口扉1が閉じられることを事前に知ることができる。その後、処理の最後として、出入口扉閉処理部18は、ステップS15で出入口扉1を実際に閉じる。」と記載されている。

(カ)そうすると、訂正事項1に係る訂正のうち上記「ア.(ア)、(ウ)及び(オ)ないし(ク)」に係る事項は、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲または図面(以下「本件明細書等」という。)に記載されていたということができる。

(キ)また、訂正事項1に係る訂正のうち上記「ア.(イ)及び(エ)」に係る事項は、「第一認証処理部」及び「タイミング判定処理部」が当該記載よりも前に記載された「第一認証処理部」及び「タイミング判定処理部」を指すことを明瞭にするものであるから、新たな技術的事項を導入するものではないことは明らかである。

(ク)よって、訂正事項1に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではないから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。

ウ.特許請求の範囲の拡張・変更について
上記「ア.」のとおり、訂正事項1に係る訂正は、訂正前の請求項1の明瞭でない記載の釈明を目的とするもの、及び、訂正前の請求項1に記載されていた事項を限定することによる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(2)訂正事項2ないし4
ア.訂正の目的について
訂正事項2ないし4に係る訂正は、訂正事項1によって特許請求の範囲が訂正されたことに伴い、特許請求の範囲と明細書の記載とを整合させるための訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

イ.新規事項の追加及び特許請求の範囲の拡張・変更について
訂正事項2ないし4に係る訂正は、訂正事項1に係る訂正について上記「(1)イ.及びウ.」で検討したのと同様の理由により、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
したがって、訂正事項2ないし4に係る訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(3)訂正事項5
ア.訂正の目的について
訂正事項5に係る訂正は、訂正前の明細書の段落【0048】において、「予約専用装置」について「例えば、待合室やエントランスに設けた予約操作盤や電話予約装置、リモコン予約装置等を用いても良い」とされていたものを、「等」を削除して「例えば、待合室やエントランスに設けた予約操作盤や電話予約装置、リモコン予約装置を用いても良い」とすることにより、「予約専用装置」の範囲に関する記載を明瞭にするための訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

イ.新規事項の追加及び特許請求の範囲の拡張・変更について
訂正事項5に係る訂正は、「予約専用装置」の例示に関する記載から「等」を削除するものであって、訂正の前後で「予約専用装置」として「待合室やエントランスに設けた予約操作盤や電話予約装置、リモコン予約装置」が挙げられていることに変わりはないから、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
したがって、訂正事項5に係る訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(4)小括
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

3.まとめ
したがって、明細書及び特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1について訂正することを認める。

第3 訂正後の本件発明

本件訂正請求により訂正された本件特許の請求項1に係る発明(以下「本件訂正発明」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。

【請求項1】
出入口扉を開く出入口扉開処理部と、前記出入口扉を閉じる出入口扉閉処理部とを有する機械式駐車装置の出入口扉開閉制御装置において、
予約利用者の操作盤でのICカード読み取り又は暗証番号入力による第一認証操作に基づいて第一の認証を行う第一認証処理部と、
前記第一認証処理部による認証処理後、直ちに当該予約利用者のための入出庫処理を行えるか、それとも予約登録を行って予約運転を行うタイミングで入出庫処理を行うかを判定するタイミング判定処理部と、
前記タイミング判定処理部で判定された予約利用者のID情報などの情報を、該判定されたタイミングで記憶登録する記憶登録処理部と、
直ちに入出庫処理を行う予約利用者または予約登録される予約利用者に対して入庫か出庫かをそれぞれ判定し、該判定の結果に対応する搬送処理を行う搬送処理部と、
前記搬送処理部による準備完了後に前記予約利用者の前記操作盤での前記ICカード読み取り又は暗証番号入力による第二認証操作に基づいて前記第一認証操作を行った前記予約利用者と同一人物かを認証判定する第二認証処理部と、
前記第二認証処理部による一致が判定された後に自動で前記出入口扉を開く出入口扉開処理部とを設け、かつ、
前記出入口扉を閉じる前に予約利用者の前記操作盤での前記ICカード読み取り又は暗証番号入力による第三認証操作に基づいて前記第一認証操作及び前記第二認証操作を行った予約利用者と一致するか認証判定を行う第三認証処理部を有し、
前記出入口扉閉処理部は、前記第三認証処理部による前記第一認証操作及び前記第二認証操作を行った予約利用者であることの一致を確認した後に前記出入口扉を自動で閉処理することで、前記第三認証操作の前後で前記予約利用者が前記操作盤の出入口扉閉ボタンの操作を行わないことを特徴とする機械式駐車装置の出入口扉開閉制御装置。

第4 取消理由(決定の予告)の概要、証拠一覧及び証拠の記載

1.令和3年6月18日付け取消理由(決定の予告)の概要
令和3年6月18日付け取消理由(決定の予告)(以下、単に「決定の予告」という。)において、令和2年11月26日提出の訂正請求書により訂正された本件特許の請求項1に係る発明(以下、本項において「本件発明」という。)に対して通知した取消理由の概要は、決定の予告の「第5 4.予備的検討」において検討したものも含めて整理すると、以下のとおりである。

本件発明は、
甲第1号証に記載された発明並びに甲第3号証及び甲第4号証に記載された技術的事項に基いて、若しくは、
甲第1号証に記載された発明、甲第3号証及び甲第4号証に記載された技術的事項、並びに甲第2号証〜甲第4号証に記載された周知技術に基いて、又は、
甲第1号証に記載された発明、甲第3号証及び甲第4号証に記載された技術的事項、並びに甲第6号証〜甲第11号証に記載された周知技術に基いて、若しくは、
甲第1号証に記載された発明、甲第3号証及び甲第4号証に記載された技術的事項、甲第2号証〜甲第4号証に記載された周知技術、並びに甲第6号証〜甲第11号証に記載された周知技術に基いて、
当業者が容易に発明することができたものであるから、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。

2.証拠一覧
決定の予告で引用した証拠は、次のものである。

甲第1号証:特開2015−117470号公報
甲第2号証:特開2013−143041号公報
甲第3号証:特開2013−30038号公報
甲第4号証:特許第5480423号公報
甲第6号証:特開2005−194733号公報
甲第7号証:特開2006−118216号公報
甲第8号証:特開2002−194911号公報
甲第9号証:特開2002−194914号公報
甲第10号証:特開平8−086109号公報
甲第11号証:特開2001−32555号公報

上記の証拠のうち、甲第1号証ないし甲第4号証は、申立書に添付されたものである。また、甲第6号証ないし甲第11号証は、令和3年1月20日提出の意見書に添付されたものであって、上記決定の予告の「第5 4.予備的検討」において引用したものである。

なお、申立人は、決定の予告で引用した上記の証拠のほか、申立書に添付して甲第5号証を、令和3年1月20日提出の意見書に添付して甲第12号証を、令和3年12月16日提出の意見書に添付して甲第13号証を提出している。

甲第5号証:特許第4012901号公報
甲第12号証:特許第4252232号公報
甲第13号証:特許第5710042号公報

3.証拠の記載
(1)甲第1号証
ア.甲第1号証の記載
本件特許出願前に頒布された甲第1号証には、次の記載がある(下線は当審で付した。以下同様。)。

(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、機械式駐車装置の制御装置、機械式駐車装置、及び機械式駐車装置の制御方法に関するものである。」

(イ)「【背景技術】
【0002】
機械式駐車装置として、格納階に格納されているパレットが乗入階へ呼び出され、このパレットに車両が載置され、再びパレットが格納階へ格納されるものが普及している。そして、乗入階へ車両が出入りするための入出庫扉が備えられている。
機械式駐車装置の利用者がパレットの呼び出し操作を行い、車両の入庫又は出庫を完了した後に、入出庫扉を閉めずに乗入階を立ち去る場合がある。入出庫扉を閉めずに利用者が立ち去ると、次の利用者によるパレットの呼び出しができず、機械式駐車装置の入出庫動作が実行されない。特に車両の出庫作業では、乗入階から利用者が車両に乗った状態で出庫されるため、入出庫扉の閉め忘れが発生し易い。
【0003】
このような入出庫扉の閉め忘れに対応するために、入出庫扉の閉操作を誰でも可能とした機械式駐車装置もある。しかし、誰でも入出庫扉の閉操作が可能とされると、例えば、利用者が乗入階に居る状態で入出庫扉が閉められる可能性もあり、安全上の問題も生じる。
(中略)
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の機械式駐車装置の制御装置、機械式駐車装置、及び機械式駐車装置の制御方法は以下の手段を採用する。
【0009】
本発明の第一態様に係る機械式駐車装置の制御装置は、車両が載置されるパレットが格納部と乗入部との間で移動し、前記乗入部へ前記車両が出入りするための扉が閉め忘れられた場合に利用者によって該扉の閉操作が可能な機械式駐車装置であって、前記扉の閉め忘れを検知する検知手段と、前記検知手段によって前記扉の閉め忘れが発生した場合に、前記機械式駐車装置に対する操作が利用者によって入力される操作盤に、前記扉の閉操作を促す情報を表示させる表示指示手段と、を備える。」

(ウ)「【0030】
この立体駐車場とされた機械式駐車装置1は、複数の車両2を収容可能なタワー型の駐車塔3を備えている。駐車塔3の一階部分には車両2を入出庫させる入出庫口4が開設されている。入出庫口4には上下スライド式の入出庫扉4aが設けられている。
(中略)
【0034】
リフト14と車両格納棚17の床面には、リフト14と車両格納棚17との床面の高さが一致した時に、空荷のパレット18(以下「空パレット」という。)、又は車両2が積載されたパレット18(以下「実パレット」という。)を、リフト14から車両格納棚17に、又は車両格納棚17からリフト14に、スムーズに受け渡すことができる図示しない受渡機構が設けられている。
【0035】
車両2の入庫時は、まず空パレットが収容されている車両格納棚17から、リフト14によって空パレットが乗入階7に降ろされ、このパレット18に車両2が乗り上げて、そのままパレット18ごとターンテーブル8によって90°方向転回された後、リフト14で昇降通路13を上昇し、車両格納棚17に収容される。
【0036】
また、出庫時は、出庫する車両2が収容されている車両格納棚17の高さまでリフト14が上昇し、パレット18ごと出庫車両がリフト14に引き取られ、そのままパレット18はリフト14によって乗入階7に降ろされ、出庫車両が入出庫口4から出庫する。」

(エ)「【0038】
操作盤22は、利用者が各自で、利用者認証と、入出庫予約と、入出庫扉4aの開閉操作等を含む機械操作とを行う入力部である。さらに、操作盤22の上方の壁面等に、緑、黄、赤の3色を有する三色灯23が設置されている。
(中略)
【0040】
さらに、図1、図2及び図8に示すように、乗入階7の内部等に、この機械式駐車装置1の全体の制御を行う立駐制御装置(CPU)30が設置されている。立駐制御装置30は、入出庫口4、ターンテーブル8、リフト14等による一連の入出庫動作(機械操作)を実行する装置である。立駐制御装置30には操作盤22が接続されており、操作盤22と情報を交換しながら入出庫操作を実行する。
【0041】
図3に示すように、操作盤22は、手前側に開口する筐体33と、この筐体33の開口部を覆う開閉可能な蓋34とを備えており、筐体33の内部には、図4に示すように、例えばタッチパネル式の液晶画面である操作画面35(表示部35aと入力部35bとを備える)と、認証用のトランスポンダリーダー36と、非常停止ボタン37等とが配置されている。操作画面35を使用しない時には、蓋34を閉じることで操作画面35を外部から覆い、内部を保護することができる。
(中略)
【0043】
施錠部38は、そのキーシリンダ38aに、詳細を後述する図7に示すリモコン送信機50に内蔵された専用の機械式キー56を差し込んで捻ることにより、手動で解錠及び施錠することができる。また、リモコン送信機50を用いれば、立駐制御装置30から解錠司令を出力させて自動解錠させることができる。さらに、蓋34には、施錠部38の解錠時に緑色に点灯し、施錠時に赤色に点灯する施錠灯39と、ディスプレイ画面41(表示部)等が設置されている。また、例えば筐体33の下面にLF送信アンテナ46(リモコン照合信号送信部)と利用者検知部47とが設けられている。
(中略)
【0045】
また、操作盤22にはRF受信アンテナ48が設けられている。このRF受信アンテナ48は、利用者が所持しているリモコン送信機50から発信される各種のリモコン信号SA,SB,SCを受信する。
【0046】
操作盤22のトランスポンダリーダー36は、電磁波EMWを発信しながら、リモコン送信機50が所定の距離以内に接近した時に、リモコン送信機50のトランスポンダから送信される無電源認証信号SEを受信するようになっている。
【0047】
そして、操作盤22は、RF受信アンテナ48によるリモコン信号SAの受信、又はトランスポンダリーダー36による無電源認証信号SEの受信が行われることによってユーザー認証を行うことができる。」

(オ)「【0060】
図8に示すように、機械式駐車装置1を利用する利用者には、当該利用者自身の固有の認証情報(ID)を記憶されたリモコン送信機50を貸与され、利用者が機械式駐車装置1を利用する時に携帯することが求められる。このリモコン送信機50は、例えばタグやキーホルダー状に形成され、車両2のキーと一緒に持ち歩いたり、鞄やバック等に入れたりして持ち運ぶものである。リモコン送信機50は、電池(ボタン型電池等)を内蔵されており、この電池から電力を供給されて、後述するように利用者認証や操作盤22の遠隔操作等を行う各種のリモコン信号SA,SB,SCを送信することができる。
【0061】
図9は、機械式駐車場設備100の制御装置の全体概略構成を示すブロック図である。
【0062】
主制御装置70は、機械式駐車場設備100の全体の制御を司る。
主制御装置70は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体等から構成されている。そして、各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で記録媒体等に記録されており、このプログラムをCPUがRAM等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、ROMやその他の記憶媒体に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等である。
【0063】
また、主制御装置70は、機械式駐車装置1を制御する立駐制御装置30と接続され、立駐制御装置30と各種情報の送受信を行う。また、主制御装置70は、機械式駐車場設備100に対する操作が利用者によって入力される操作盤である出庫予約盤22B及び入庫予約盤22Cや、各種情報を表示する出庫順番表示機49とも接続され、これらと各種情報の送受信を行う。さらに、主制御装置70は、外部との情報の送受信のためにインターネット等の外部ネットワーク72とも接続されている。
また、本実施形態では、立駐制御装置30が2基、出庫順序表示器49、出庫予約盤22B、入庫予約盤22Cを各々1台としているが、この数量に限定されるものではない。
【0064】
そして、主制御装置70は、号機決定部74、入出庫指示部76、扉閉忘検知部78、及び表示指示部80を備える。
【0065】
号機決定部74は、出庫予約盤22Bを介して入力された出庫予約、又は入庫予約盤22Cを介して入力された入庫予約等の入出庫操作に基づいて、車両2を入庫させる機械式駐車装置1又は車両2を出庫させる機械式駐車装置1を決定する。
【0066】
入出庫指示部76は、号機決定部74によって決定された機械式駐車装置1へ、パレット18を車両格納棚17から乗入階7へ呼び出す入出庫指示を出力する。」

(カ)「【0070】
立駐制御装置30は、入出庫指示部76から入力された入出庫指示に基づいて、対応する機械式駐車装置1を動作させる。これに伴い、立駐制御装置30は、機械式駐車装置1に入出庫する利用者を示す利用者番号を利用者番号表示器60に表示させる。
そして、立駐制御装置30は、操作盤22への利用者からのリモコン送信機50等を介した各種入力に応じて入出庫扉4aの開閉等の制御を行う。」

(キ)「【0072】
図10は、扉閉忘処理が行われず、正常に出庫される場合の処理の流れである。図10では、出庫予約盤22B前での利用者の動作(左端のフロー)、出庫予約盤22Bの動作(左端から2つめのフロー)、出庫順番表示機49の動作(中央のフロー)、操作盤22及び利用者番号表示器60の動作(右端から2つめのフロー)、及び機械式駐車装置1の動作(右端のフロー)毎に示されている。
【0073】
まず、車両2を出庫する利用者が出庫予約盤22Bの前に到着する(S100)。
【0074】
出庫予約盤22Bは、認証を促す表示をディスプレイ画面41Bに表示する(S200)。例えば、ディスプレイ画面41Bには、リモコン送信機50をトランスポンダリーダー36Bに接触させることを促す表示がされる。
【0075】
利用者は、出庫予約盤22Bに対して認証操作を行う(S102)。認証操作は、出庫予約盤22Bのトランスポンダリーダー36Bにリモコン送信機50を接触させ、認証情報を出庫予約盤22Bへ送信することで行ってもよいし、タッチパネルとされているディスプレイ画面41Bに、認証情報を入力することで行ってもよい。
【0076】
出庫予約盤22Bは、認証に成功すると、出庫予約を受け付ける(S202)。なお、ディスプレイ画面41Bには「出庫予約中」の表示がされるとともに、音声案内がされる。
【0077】
出庫予約盤22Bが出庫予約を受け付けると、機械式駐車場設備100の主制御装置70が備える号機決定部74によって、車両2を出庫させる出庫号機が決定される(S500)。認証情報は、車両2が載置されている実パレットと紐付けされているため、認証情報に基づいて出庫号機が決定される。
また、号機決定部74は、出庫号機と共に、受け付けた出庫予約の予約順番(以下「出庫順番」という。)を決定する。
【0078】
決定された出庫号機と出庫順番は、出庫予約盤22Bのディスプレイ画面41Bに表示される(S204)。
【0079】
さらに、決定された出庫号機と出庫順番は、出庫順番表示機49に登録され、表示される(S300)。なお、出庫順番表示機49に表示される出庫順番として、出庫予約の早い順から昇順に利用者番号が表示される。
【0080】
主制御装置70が備える入出庫指示部76が、出庫予約の先頭に対応する出庫号機へ出庫指示を出力する。出庫指示を受け付けた機械式駐車装置1は、実パレットを車両格納棚17から乗入階7へ移動させる出庫起動を行う(S502)。
【0081】
出庫起動が行われる機械式駐車装置1が備える利用者番号表示器60に利用者番号が表示される(S400)。
【0082】
乗入階7に実パレットが到着すると(S504)、入庫管制灯21が赤点滅する(S402)。それと共に、乗入階7に到着した実パレットに対応する出庫予約が、出庫順番の先頭として出庫順番表示器49に表示される(S302)。出庫順番表示器49に自身の出庫予約が先頭に表示された利用者は、入出庫口4へ移動する(S104)。
【0083】
利用者は入出庫口4の前に到着すると、操作盤22に対して認証操作を行う(S404)。認証操作は、リモコン送信機50に対するボタン操作、もしくは操作盤22のトランスポンダリーダー36Bにリモコン送信機50を接触させ、認証情報を操作盤22へ送信することで行ってもよいし、タッチパネルとされているディスプレイ画面41に、認証情報を入力することで行ってもよい。
【0084】
認証に成功すると、機械式駐車装置1は、入出庫扉4aを開ける(S506)。そして、利用者は、乗入階7へ入り、車両2を出庫する(S410)。車両2が出庫されると、車両2を出庫させた利用者が入出庫扉4aのリモコン送信機50を用いて再度認証を行った後に操作盤22で入出庫扉4aの閉操作を行う。これにより、入出庫扉4aは閉まり(S508)、車両2の出庫が完了する。」

(ク)「【0085】
図11は、扉閉忘処理が行われる場合の処理の流れを示す。なお、図11における図10と同一のステップについては図10と同一の符号を付して、その説明を一部又は全部省略する。
【0086】
ステップ410で、車両2の出庫が完了したのち、車両2を出庫した利用者が入出庫扉4aを閉めないまま、扉閉忘時間が経過すると、扉閉忘検知部78によって入出庫扉4aの閉め忘れが検知される(S412)。入出庫扉4aの閉め忘れが検知されると、出庫順番表示機49の出庫順番の先頭は出庫を完了した利用者のままで、入出庫扉4aの閉め忘れが発生していることが表示される(S304)。また、閉め忘れの発生は、操作盤22のディスプレイ画面41、出庫予約盤22Bのディスプレイ画面41B、及び入庫予約盤22Cのディスプレイ画面41Cにも表示される。
これにより、機械式駐車装置1の次の出庫予約を行った利用者(以下「出庫利用者」という。)、又は入庫予約を行った利用者(以下「入庫利用者」という。)は、乗入階7の入出庫扉4aの閉め忘れの発生を目視によって認識し、入出庫扉4aの閉操作を行うことができる。
【0087】
入出庫扉4aの閉め忘れの発生を認識した次の出庫利用者は、入出庫口4への移動を開始する(S106)。
次の出庫利用者は入出庫口4の前に到着すると、操作盤22に対して認証操作を行い、認証に成功すると、乗入階7の安全を確認した後に入出庫扉4aの閉操作を行う(S414)。これにより、入出庫扉4aは閉まることとなる(S508)。
なお、閉め忘れられている入出庫扉4aは、予め登録されている利用者による閉操作のみが可能とされる。予め登録されている利用者とは、機械式駐車場設備100の利用者として認証可能な者である。これにより、出庫順番表示機49等の表示を目視した次の出庫利用者が入出庫扉4aの閉操作をできるため、入出庫扉4aが閉まっていない状態を早期に解消できる。また、入出庫扉4aを閉操作する利用者が固定されているため、入出庫扉4aを閉じる際の安全性が高められる。」

(ケ)「【0101】
なお、「閉忘発生」の表示がされてから、所定時間、例えば1分間は次の出庫利用者のみが入出庫扉4aを閉めることが可能とされ、該所定時間を超えた場合に、2番目以降の出庫利用者が入出庫扉4aを閉めることを可能とされてもよい。出庫利用者が入出庫扉4aの閉操作が可能なことを認識させるために、閉操作が可能な出庫利用者を示す利用者番号が出庫順番表示機49において強調表示されてもよい。
これにより、複数人の出庫利用者が、同時に入出庫扉4aを閉めるために入出庫口4へ移動することを抑制できる。」

(コ)「【0104】
また、上記実施形態で説明した扉閉忘処理の流れも一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよい。」

イ.甲第1号証に記載された発明
上記「ア.」の記載を総合すると、甲第1号証には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されている。

(甲1発明)
「機械式駐車装置の制御装置であって、
乗入階7の内部等に、この機械式駐車装置1の全体の制御を行う立駐制御装置(CPU)30が設置されており、立駐制御装置30は、入出庫扉4aが設けられている入出庫口4、ターンテーブル8、リフト14等による一連の入出庫動作(機械操作)を実行する装置であり、立駐制御装置30には操作盤22が接続されており、操作盤22と情報を交換しながら入出庫操作を実行し、
操作盤22は、利用者が各自で、利用者認証と、入出庫予約と、入出庫扉4aの開閉操作等を含む機械操作とを行う入力部であり、
操作盤22は筐体33と蓋34とを備えており、筐体33の内部には認証用のトランスポンダリーダー36が配置されており、蓋34にはディスプレイ画面41が設置されており、
また、操作盤22にはRF受信アンテナ48が設けられており、このRF受信アンテナ48は、利用者が所持しているリモコン送信機50から発信されるリモコン信号SAを受信し、
操作盤22のトランスポンダリーダー36は、リモコン送信機50のトランスポンダから送信される無電源認証信号SEを受信し、
操作盤22は、RF受信アンテナ48によるリモコン信号SAの受信、又はトランスポンダリーダー36による無電源認証信号SEの受信が行われることによってユーザー認証を行うことができ、
主制御装置70が、機械式駐車場設備100の全体の制御を司るものであり、主制御装置70は、機械式駐車装置1を制御する立駐制御装置30と接続され、立駐制御装置30と各種情報の送受信を行い、また、主制御装置70は、機械式駐車場設備100に対する操作が利用者によって入力される操作盤である出庫予約盤22B及び入庫予約盤22Cや、各種情報を表示する出庫順番表示機49とも接続され、これらと各種情報の送受信を行い、
主制御装置70は、号機決定部74及び入出庫指示部76を備え、
入出庫指示部76は、号機決定部74によって決定された機械式駐車装置1へ、パレット18を車両格納棚17から乗入階7へ呼び出す入出庫指示を出力するものであり、
立駐制御装置30は、入出庫指示部76から入力された入出庫指示に基づいて、対応する機械式駐車装置1を動作させるものであり、
正常に出庫される場合の処理の流れにおいて、
まず、車両2を出庫する利用者が出庫予約盤22Bの前に到着し(S100)、利用者は、出庫予約盤22Bに対して認証操作を行い(S102)、認証操作は、タッチパネルとされているディスプレイ画面41Bに、利用者自身の固有の認証情報(ID)を入力することで行ってもよく、
出庫予約盤22Bは、認証に成功すると、出庫予約を受け付け(S202)、出庫予約盤22Bが出庫予約を受け付けると、号機決定部74によって、認証情報に基づいて出庫号機が決定され、また、号機決定部74は、出庫号機と共に、受け付けた出庫予約の予約順番である出庫順番を決定し、
決定された出庫号機と出庫順番は、出庫予約盤22Bのディスプレイ画面41Bに表示され(S204)、さらに、決定された出庫号機と出庫順番は、出庫順番表示機49に登録され、表示され(S300)、
入出庫指示部76が、出庫予約の先頭に対応する出庫号機へ出庫指示を出力し、出庫指示を受け付けた機械式駐車装置1は、実パレットを車両格納棚17から乗入階7へ移動させる出庫起動を行い(S502)、
乗入階7に実パレットが到着すると(S504)、乗入階7に到着した実パレットに対応する出庫予約が、出庫順番の先頭として出庫順番表示器49に表示され(S302)、出庫順番表示器49に自身の出庫予約が先頭に表示された利用者は、入出庫口4へ移動し(S104)、
利用者は入出庫口4の前に到着すると、操作盤22に対して認証操作を行い(S404)、認証操作は、リモコン送信機50に対するボタン操作、もしくは操作盤22のトランスポンダリーダー36Bにリモコン送信機50を接触させ、認証情報を操作盤22へ送信することで行ってもよいし、タッチパネルとされているディスプレイ画面41に、認証情報を入力することで行ってもよく、認証に成功すると、機械式駐車装置1は、入出庫扉4aを開け(S506)、
そして、利用者は、乗入階7へ入り、車両2を出庫し(S410)、車両2が出庫されると、車両2を出庫させた利用者が入出庫扉4aのリモコン送信機50を用いて再度認証を行った後に操作盤22で入出庫扉4aの閉操作を行い、これにより、入出庫扉4aは閉まる(S508)、
機械式駐車装置の制御装置。」

なお、甲1発明においては複数回の「認証操作」が行われるところ、以下では、「S102」における「認証操作」を「認証操作(S102)」、「S404」における「認証操作」を「認証操作(S404)」という。

(2)甲第2号証
ア.甲第2号証の記載
本件特許出願前に頒布された甲第2号証には、次の記載がある。

(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、機械式駐車装置、及びその制御装置、方法、並びにプログラムに関するものである。」

(イ)「【0048】
以下に、制御装置20の予約盤30の運転処理方法の一例を、図5から図7を用いて説明する。
図5及び図6には、本実施形態にかかる制御装置20の動作フローが示されている。また、図7は、実行部31による実行中の運転処理と、予約テーブル34に格納されている第1予約及び第2予約の組み合わせパターンとを示した図である。
実行部31により現在実行中の運転処理が出庫処理である場合に、出庫処理において乗入階13でパレット17から車両12が出車後である出庫モードの状態が完了すると(つまり、乗入階13のパレット17が空パレットになると)、予約テーブル34の第1予約の有無が確認される(図5のステップSA1)。
【0049】
第1予約がある場合(図5のステップSA1のYes)には、第1予約は入庫処理であるか否かが判定され(図5のステップSA2)、入庫処理である場合には、入庫処理で使用されるパレットの種類と、乗入階13にある空パレットの種類とが比較され、第1予約の入庫処理の車両12は空パレットに入庫可能か否かが判定される(図5のステップSA3)。空パレットと第1予約の入庫処理で使用されるパレット17とが同じ種類である場合には、出庫処理の出庫モードの状態の完了後に、出庫格納モードに移行せず、第1予約の入庫処理を割込み実行させ(図5のステップSA4)、本処理を終了する。これは、図7(a)のケース1、ケース2、ケース7の場合を示している。
【0050】
また、出庫処理の出庫モードの完了後に、第1予約が無い場合(図5のステップSA1のNo)には、所定期間待機され(図5のステップSA5)、所定期間経過後に改めて第1予約があるか否かが判定される(図5のステップSA6)。ここで、第1予約がある場合には、ステップSA2に移行し、第1予約がない場合には、実行部31により現在実行中の出庫処理が継続され、出庫格納モードに移行する(図5のステップSA7)。これは、図7(a)のケース10の場合を示している。」

(3)甲第3号証
ア.甲第3号証の記載
本件特許出願前に頒布された甲第3号証には、次の記載がある。

(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、機械式駐車場に係り、特に車両の入庫時および出庫時に、該車両のユーザー(ドライバー)自身が入出庫扉を開閉操作するように構成された機械式駐車場の制御装置、制御方法、およびこの制御方法により制御される機械式駐車場に関するものである。」

(イ)「【0078】
以上のように構成された機械式駐車場1に車両2を入庫する場合の手順と、機械式駐車場1の制御および動作を以下に説明する。入庫手順については、図7中に番号(1)から(7)で示す。なお、ここでは入庫する車両が車載バッテリーの充電を要する電動車両2Eである場合について説明する。
【0079】
まず、ユーザー(電動車両2Eのドライバー)は、電動車両2Eを入出庫口3(入出庫扉12)の前に停車させ、同乗者が居る場合は降車させ、ドアミラーを畳み、アンテナを下げる(1)。次に、ユーザーは電動車両2Eから降車して外部操作盤14に向かう(2)。上記(1)、(2)では、ユーザーが所持している携帯認証媒体70が、所定の認証エリア、例えばここでは外部認証エリアA1に入ることにより外部認証エリアアンテナ61に認識され、外部認証エリアアンテナ61が外部認証信号SIG.1を発信し、この外部認証信号SIG.1を受信した主制御部41の認証照合部46(図5参照)においてユーザーのIDが照合され、ユーザーが機械式駐車場1の正式な契約者であればユーザー認証が行われる(第1の外部認証処理)。このユーザー認証は全て自動的に行われる。
【0080】
外部認証エリアA1が車両の運転席までカバーできる位に広く形成されている場合には、ユーザーは車両から降車しなくても認証を受けることができ、これに加えて、携帯認証媒体70にリモコン機能を付与し、後述する外部操作盤14における操作を車上から行えるようにすれば利便性を高めることができる。反対に、外部認証エリアA1の範囲を敢えて狭くし、ユーザーが車両から降車しないと携帯認証媒体70による自動認証を受けられないようにすれば、ユーザーが車両から一旦降車して離れてからまた戻って乗車するため、自ずと車両の周囲の安全確認を行えるようになり、例えば車両の近傍に子供が居る等といった危険な状況をユーザーに察知させて安全な運行を行うことができる。この外部認証エリアA1の範囲は、外部認証エリアアンテナ61のボリュームを調整することによって適宜設定することができる。
【0081】
そして、このように第1の外部認証処理が完了し、主制御部41が外部認証信号SIG.1の受信を継続していることを条件に、ユーザーに外部操作盤14の操作を行うことが許可される。具体的には、例えば外部操作盤14の操作表示画面56にテンキーボタン等の認証入力画面(非図示)が液晶表示され、操作表示画面56における文字表示と、音声スピーカ58からの音声によって、テンキーボタンで暗証番号を入力するか、または専用のICカードをICカードリーダー57にタッチして認証操作を行うように案内がなされる。したがって、携帯認証媒体70による認証を行わない部外者が操作表示画面56を操作することは不可能である(テンキーボタン等が液晶表示されない)。
【0082】
ユーザーが外部操作盤14において認証操作を行うと、主制御部41の認証照合部46においてユーザーの認証が再度行われる。この時にユーザーが入力する認証内容が正しくないと、操作表示画面56における文字表示と、音声スピーカ58からの音声により、エラー表示がなされ、このユーザーの入庫操作はキャンセルされ、次のユーザーの入出庫操作が受け付けられる(キャンセル処理)。このようにユーザーに外部操作盤14を操作させて再度認証を行うのは、例えば正規の契約者が携帯認証媒体70を紛失し、この携帯認証媒体70を部外者が拾って悪用しようとした場合に、そのまま入出庫扉12が開いて入庫を許可してしまうことを防止するためである。
【0083】
この外部操作盤14における認証入力操作が成功すると、次に操作表示画面56に起動ボタン(非図示)が表示され、この起動ボタンをユーザーが押す(タッチ)することにより、所定のパレット31が乗入室5に呼び出される(搬送呼出処理)。この時、ユーザーが入庫を希望しているか出庫を希望しているかの判断は、図5に示すように主制御部41に接続されたユーザーデータベース42に記憶されている入出庫履歴に基づいて主制御部41が自動的に行う。かくして、入庫時には車両2が積載されていない空車のパレット31が乗入室5に呼び出される。この呼び出しが行われている間は外部操作盤14の操作表示画面56に「呼出中」の表示がなされる。」

(ウ)「【0104】
次に、機械式駐車場1に駐車している車両を出庫させる場合の手順と、機械式駐車場1の制御および動作を説明する。出庫手順については、図8中に番号(8)から(14)で示す。なお、ここでは出庫する車両が車載バッテリーの充電を完了させた電動車両2Eである場合について簡単に説明する。
【0105】
まず、ユーザー(電動車両2Eのドライバー)は、外部操作盤14に向かう(8)。そして、外部操作盤14にて認証・開扉操作を行う。ここでは、入庫時と同様に、ユーザーが所持している携帯認証媒体70が外部認証エリアA1に入ることにより第1の外部認証処理が行われ、ユーザーが正規の契約者であれば、ユーザーが外部認証エリアA1に入っていることを条件に、外部操作盤14の操作を行うことが許可され、ユーザーは起動ボタンを押してパレット31の呼び出しを行う。この時は、ユーザーが出庫を希望していることを、ユーザーデータベース42に記憶されている入出庫履歴に基づいて主制御部41が判定し、該当する電動車両2Eが積載されたパレット31が乗入室5に呼び出され(搬送呼出処理)、その間は外部操作盤14の操作表示画面56に「呼出中」の表示がなされる。」

(エ)「【0131】
ところで、上記のような一連の入出庫操作を先のユーザーが行っている間に、携帯認証媒体70を所持している次のユーザーが1人乃至数人来場して待機している場合には、この待機ユーザーが外部操作盤14に近付き、その携帯認証媒体70が外部認証エリアA1に入った時点で、この待機ユーザーが入庫を希望しているか出庫を希望しているかが、その携帯認証媒体70の認証情報と、主制御部41に接続されたユーザーデータベース42に記憶されている入出庫履歴に基づいて認証照合部46にて判断され、入出庫の予約(順番決定)が行われる(予約処理)。
【0132】
この予約処理が実行されることにより、先のユーザーが入出庫操作を行っている間に待機ユーザーの入出庫予約が行われるため、待機ユーザーが多い場合に順番を決定して混乱を回避するとともに、各待機ユーザーの認証時間を短縮し、機械式駐車場1のスムーズな運行を実現することができる。
(中略)
【0135】
上記の予約処理および入換処理の制御方法について、図14に示すフローチャートで説明する。
【0136】
まず、制御の開始後、ステップS61で入出庫操作中であるか否かが判定される。ステップS61の判定結果が否定判定、即ち入出庫操作が行われていなければ、再びステップS61に戻る制御が繰り返される。また、ステップS61の判定結果が肯定判定、即ち入出庫操作中であれば、ステップS62に進み、待機ユーザーの持つ携帯認証媒体70が外部認証エリアA1に入ることによる外部認証信号SIG.1の受信があるか否かが判定される。このステップS62の判定結果が否定判定であれば、ステップS61に戻り、以降ステップS61とS62が繰り返される。また、ステップS62の判定結果が肯定判定であればステップS63に進んで予約処理が実行され、さらにステップS64に進んで入換処理が実行され、制御が終了する。」

イ.甲第3号証に記載された技術的事項
上記「ア.」の記載を総合すると、甲第3号証には、次の技術的事項(以下「甲3技術的事項」という。)が記載されている。

(甲3技術的事項)
「機械式駐車場において、
機械式駐車場1に車両2を入庫する場合、ユーザーが所持している携帯認証媒体70が、外部認証エリアA1に入ることにより外部認証エリアアンテナ61に認識され、外部認証エリアアンテナ61が外部認証信号SIG.1を発信し、この外部認証信号SIG.1を受信した主制御部41の認証照合部46においてユーザーのIDが照合され、ユーザーが機械式駐車場1の正式な契約者であればユーザー認証が行われ(第1の外部認証処理)、
第1の外部認証処理が完了し、主制御部41が外部認証信号SIG.1の受信を継続していることを条件に、ユーザーに外部操作盤14の操作を行うことが許可され、
ユーザーが外部操作盤14において認証操作を行うと、主制御部41の認証照合部46においてユーザーの認証が再度行われ、
この外部操作盤14における認証入力操作が成功すると、次に操作表示画面56に起動ボタンが表示され、この起動ボタンをユーザーが押す(タッチ)することにより、所定のパレット31が乗入室5に呼び出され(搬送呼出処理)、この時、ユーザーが入庫を希望しているか出庫を希望しているかの判断は、主制御部41に接続されたユーザーデータベース42に記憶されている入出庫履歴に基づいて主制御部41が自動的に行い、入庫時には車両2が積載されていない空車のパレット31が乗入室5に呼び出され、
機械式駐車場1に駐車している車両を出庫させる場合、ユーザーが所持している携帯認証媒体70が外部認証エリアA1に入ることにより第1の外部認証処理が行われ、ユーザーが正規の契約者であれば、ユーザーが外部認証エリアA1に入っていることを条件に、外部操作盤14の操作を行うことが許可され、ユーザーは起動ボタンを押してパレット31の呼び出しを行い、ユーザーが出庫を希望していることを、ユーザーデータベース42に記憶されている入出庫履歴に基づいて主制御部41が判定し、該当する電動車両2Eが積載されたパレット31が乗入室5に呼び出され(搬送呼出処理)、
一連の入出庫操作を先のユーザーが行っている間に、携帯認証媒体70を所持している次のユーザーが1人乃至数人来場して待機している場合には、この待機ユーザーが外部操作盤14に近付き、その携帯認証媒体70が外部認証エリアA1に入った時点で、この待機ユーザーが入庫を希望しているか出庫を希望しているかが、その携帯認証媒体70の認証情報と、主制御部41に接続されたユーザーデータベース42に記憶されている入出庫履歴に基づいて認証照合部46にて判断されて、入出庫の予約(順番決定)が行われ(予約処理)、
予約処理の制御方法は、まず、制御の開始後、入出庫操作中であるか否かが判定され、この判定結果が否定判定、即ち入出庫操作が行われていなければ、再び、入出庫操作中であるか否かが判定されるステップに戻り、この判定結果が肯定判定、即ち入出庫操作中であれば、待機ユーザーの持つ携帯認証媒体70が外部認証エリアA1に入ることによる外部認証信号SIG.1の受信があるか否かが判定され、この判定結果が否定判定であれば、入出庫操作中であるか否かが判定されるステップに戻り、この判定結果が肯定判定であれば予約処理が実行される点。」

(4)甲第4号証
ア.甲第4号証の記載
本件特許出願前に頒布された甲第4号証には、次の記載がある。

(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、機械式駐車場設備に係り、特に車両の入出庫操作時に、その入出庫操作を行う操作者の認証が行われる機械式駐車場設備の制御装置、これを備えた機械式駐車場設備、および機械式駐車場設備の制御方法に関するものである。」

(イ)「【0059】
[入出庫制御の第1実施形態]
制御装置50における主制御部30の演算処理部30aは、契約利用者(操作者)が操作盤22を操作するのに先立ち、アンテナ43が取得した認証情報によって契約利用者の初回認証を自動的に行い、この初回認証が成功した時にのみ操作盤22のタッチパネル式の操作画面35を操作可能にする制御を行う。この制御の流れを、図7〜図12を参照しながら説明する。
【0060】
まず、演算処理部30aは、前述したように操作盤22の蓋34が開錠されると、操作画面35に図7に示す認証画面を表示し、契約利用者に認証ボタン51をタッチさせる。この認証ボタン51がタッチされると、契約利用者が所持する携帯認証媒体41から発信されている認証情報を元に契約利用者の初回認証が自動的に行われる。
【0061】
そして、この初回認証が成功すると、立体駐車場1の中に当該契約利用者の車両が収容されているか否かによって入庫なのか出庫なのかが判定され、入庫の場合には図8に示す入庫確認画面が表示される。また、出庫の場合には図示しない出庫確認画面が表示される。以下では入庫の場合について説明する。」

(ウ)「【0075】
ところで、制御装置50(演算処理部30a)は、契約利用者が入出庫扉4aを閉扉操作する際に、当該契約利用者の再認証を行い、その認証結果と、初回認証時における認証結果とが一致した場合にのみ入出庫扉4aの閉扉を許可する制御を実行するようになっている。
【0076】
この制御の流れを図14に示すフローチャートを参照しながら説明する。このフローチャートにおいて、各制御ステップには符号S21,S22,S23…を付してある。
【0077】
この制御のスタート後、契約利用者が図12に示す閉扉ボタン57にタッチすると(S21)、契約利用者が所持している携帯認証媒体41から発信される認証情報がアンテナ43に取得され(S22)、認証情報の取得が成功したか否かが判定される(S23)。
【0078】
認証情報の取得に失敗した場合(S23→NO)には、入出庫扉4aの閉扉が不許可になる(S24)。また、認証情報の取得に成功した場合(S23→YES)には、取得された認証情報が主制御部30に送られ、データベースに記憶されているユーザー登録情報と照合される(S25)。
【0079】
次に、取得した認証情報がデータベースに記憶されている契約利用者の認証情報であるか否かが判定される(S26)。データベースに記憶されている契約利用者の認証情報ではない場合(S26→NO)には、入出庫扉4aの閉扉が不許可になる(S24)。
【0080】
また、取得した認証情報がデータベースに記憶されている契約利用者の認証情報である場合(S26→YES)には、この認証情報が初回認証時の認証情報と一致するか否かが判定される(S27)。取得した認証情報が初回認証時の認証情報と一致しない場合(S27→NO)には、入出庫扉4aの閉扉が不許可になる(S24)。また、取得した認証情報が初回認証時の認証情報と一致する場合(S27→YES)には、入出庫扉4aの閉扉が許可され(S28)、制御が終了する。
【0081】
このように、入出庫扉4aが閉じられる前に、この閉扉操作を行っている契約利用者の再認証が行われ、この再認証の結果が初回認証の結果と一致した場合にのみ入出庫扉4aの閉扉が許可されるため、例えば初回認証を受けた契約利用者が操作盤22から離れた時(乗入室7の中に入った時等)に、認証を受けていない他の利用者が操作盤22を操作して入出庫扉4aを閉じてしまうことが規制される。
【0082】
したがって、初回の認証から最後に入出庫扉4aが閉じられるまで、終始一貫して同一の契約利用者のみが操作を許可され、これによって立体駐車場1の保安性および運用性を高めることができる。」

イ.甲第4号証に記載された技術的事項
上記「ア.」の記載を総合すると、甲第4号証には、次の技術的事項(以下「甲4技術的事項」という。)が記載されている。

(甲4技術的事項)
「機械式駐車場設備において、
契約利用者が操作盤22を操作するのに先立ち、契約利用者の初回認証を自動的に行い、
初回認証が成功すると、入庫なのか出庫なのかが判定され、
制御装置50(演算処理部30a)は、契約利用者が入出庫扉4aを閉扉操作する際に、当該契約利用者の再認証を行い、その認証結果と、初回認証時における認証結果とが一致した場合にのみ入出庫扉4aの閉扉を許可する制御を実行するものであり、
契約利用者が閉扉ボタン57にタッチすると(S21)、認証情報の取得が成功したか否かが判定され(S23)、
認証情報の取得に成功した場合(S23→YES)には、取得した認証情報がデータベースに記憶されている契約利用者の認証情報であるか否かが判定され(S26)、
取得した認証情報がデータベースに記憶されている契約利用者の認証情報である場合(S26→YES)には、この認証情報が初回認証時の認証情報と一致するか否かが判定され(S27)、
取得した認証情報が初回認証時の認証情報と一致する場合(S27→YES)には、入出庫扉4aの閉扉が許可され(S28)、制御が終了し、
初回の認証から最後に入出庫扉4aが閉じられるまで、終始一貫して同一の契約利用者のみが操作を許可され、これによって立体駐車場1の保安性および運用性を高めることができる点。」

(5)甲第6号証
ア.甲第6号証の記載
本件特許出願前に頒布された甲第6号証には、次の記載がある。

(ア)「【0032】
図5は、制御盤35における車両の入出庫処理のフロー図である。図5を参照し、駐車装置1の入出庫処理について説明する。
(中略)
【0036】
この後、カード読取部25にICカード91が検出された場合は(S230)、S232の処理へ進む。S232では再びICカード91から利用者IDが読み込まれ、再びカードの正当性が確認される(S232)。このカードの正当性確認では、ここで読み込まれた利用者IDが、S206において読み取られた利用者IDと同一であるか否かが確認される。両者が同一でないと判断された場合には、他の者がICカードをカード読取部25に近づけたものとみなされ、駐車装置1が使用中である旨のメッセージが表示部29へ表示されて(S234)、処理はS230へ戻る。
【0037】
S232において利用者IDが同一であると判断された場合には、利用者が車両の搬入或いは搬出を終えたものとみなされ、操作ロック状態が解除される(S235)。すなわち、操作ロック状態はS206で読み取られたICカードと同一のカードを再びカード読取部25において検出した場合に解除される。操作ロック状態が解除されたら、ゲート21を閉じるべくゲート駆動モータ63が駆動される(S236)。そして、S238においてカード読取部25にICカード91が検出され続けるか否かがチェックされると共に、カードの利用者IDがチェックされる。S238のチェックは、ゲート21が閉じ切った待機状態に復帰するまでの間、継続的に行われる。」

(6)甲第7号証
ア.甲第7号証の記載
本件特許出願前に頒布された甲第7号証には、次の記載がある。

(ア)「【0032】
図5は、駐車装置1における車両の入出庫処理のフロー図である。本図を参照しながら、駐車装置1の入出庫処理及び利用者の動作について説明する。
(中略)
【0038】
続いて、車両の入出庫を終えた利用者は、操作盤23のロック解除ボタン34の操作(例えば、ボタンの押下)を行う。駐車装置1ではロック解除ボタン34の操作が検出され(S226)、操作ロック状態が解除される(S228)。このように、操作ロック状態を解除する際にロック解除ボタン34を操作させることで、駐車装置1が次の動作に移行することを利用者に意識させ、安全確認を促すことができる。
【0039】
操作ロック状態の解除の後、利用者は、再びICカード91をカード読み取り部25へ接触させる。駐車装置1では、検出されたICカードが、先のS204に用いられたカードと同じであることが確認され(S232)、ゲート21を閉じるべくゲート駆動モータ63が駆動される(S234)。そして、ゲート21が閉じ切った後(S236)には、入出庫が終了した旨のメッセージが表示部29に表示され(S238)、電源が切られて待機状態(S202)へ戻る。なお、ゲート21が閉じきった後(S236の後)に、ICカード91を再びカード読取部25に接触させることを要求する処理を加えてもよい。このようにすれば、ゲート21が閉じきる前に利用者が立ち去ることを抑制することができるので、安全性を高めることができる。また、このとき、ICカード91が接触されなかった場合には、利用者が安全確認を怠ったことへのペナルティとして、当該利用者のICカード91を次回から使用不可能とする処理をしてもよい。」

(7)甲第8号証
ア.甲第8号証の記載
本件特許出願前に頒布された甲第8号証には、次の記載がある。

(ア)「【0021】図3は、本発明の指紋認識による入庫方法のフロー図である。この図に基づき本発明による車の入庫方法を説明する。なお、以下の説明で符号Sは利用者の動作、符号Tは機械式駐車装置の機械動作を示す。
(中略)
【0024】入庫する利用者は入出庫扉が開いたのを確認した後、車を入庫し(S4)、車から降りて退室する(S5)。また、この退出の際に、再度指紋入力装置8cで指紋を入力するか、退出後に操作盤で扉閉釦を押す(S7)。
【0025】上記のステップにより、機械側では、車が入庫し利用者が退室したことが確認され、扉を閉じ(T8)、駐車した車に対応する指紋グループと駐車パレット番号を駐車番号メモリ8bに記憶して(T8)、入庫動作を完了する(T9)。なお、退出の際に、指紋の入力を忘れた場合には、遅延タイマーで扉を閉じるようになっている。
【0026】上述した本発明の方法によれば、入庫の際に所定の前面空地に停車した後、指紋入力装置(8c)により指紋を入力するだけで、指紋が照合されて自動運転が開始し、空パレットを入出庫位置まで移動させ、その着床後に入出庫用の扉を開いて、入庫状態となる。従って、利用者は暗証番号やカード等を用いることなく、簡単な操作で車の入庫操作を自分自身で行うことができ、これにより誤操作を低減し、利便性を高めることができる。また、指紋は第三者が利用できないので、第三者の悪用を回避することができ、セキュリティを向上することができる。
【0027】また、入出庫用の扉が開いている場合には、そのまま待機して自動運転により閉じるのを待つか、操作盤の扉閉釦を押すことで扉を閉じるので、扉の全閉を利用者が必ず目視確認することになり、入出庫操作を利用者自身が安全に行うことができる。」

(イ)「【0028】図3は、本発明の指紋認識による出庫方法のフロー図である。この図に基づき本発明による車の入庫方法(当審注:「入庫方法」は「出庫方法」の誤記と認める。)を説明する。
(中略)
【0031】出庫する利用者は入出庫扉が開いたのを確認した後、入室して車に乗車し(S14)、車を出庫させる(S15)。また、この退出の際に、再度指紋入力装置8cで指紋を入力するか、退出後に操作盤で扉閉釦を押す(S17)。
【0032】上記のステップにより、機械側では、車が出庫し利用者が退室したことが確認され、扉を閉じ(T16)、出庫動作を完了する(T17)。また、退出の際に、指紋の入力を忘れた場合には、遅延タイマーで扉を閉じるようになっている。」

(8)甲第9号証
ア.甲第9号証の記載
本件特許出願前に頒布された甲第9号証には、次の記載がある。

(ア)「【0016】発信機2(リモコン)は、暗証番号(例えば4桁の数字)を記憶し、これを発信できる持ち運び可能な大きさの装置である。発信機2は、無線又は光通信により受信機4から離れた位置から受信機4に信号を発信する。発信機2の出力は制限されており、所定の駐車位置から例えば5m以上離れた場合には、受信できない程度になっている。この発信機2は、対象とする機械式駐車装置9(例えばエレベータ方式やタワーパーキング方式の機械式駐車装置)の収容台数に応じて、複数台が予め利用者に渡されており、それぞれの異なる暗証番号が記憶されている。」

(イ)「【0020】図2は、本発明のリモコン操作による入庫方法のフロー図である。この図に基づき本発明による車の入庫方法を説明する。なお、以下の説明で符号Sは利用者の動作、符号Tは機械式駐車装置の機械動作を示す。また、前述のように、操作盤8は、暗証番号メモリ8aと駐車番号メモリ8bとを備え、それぞれに予め決められた複数の暗証番号と駐車中の車両の暗証番号と駐車パレット番号が記憶されている。
【0021】入庫する利用者は所定の前面空地に停車(S1)し、次いで入出庫扉9aを目視確認し(S2)、閉じている場合には、車に乗ったまま発信機2(リモコン)の発信ボタンをおしてリモコン操作(S3)をする。また、扉が開いているか半開きの場合には、前の利用者が使用中の場合があるので、そのまま閉じるのを待つか、車から降り操作盤8の扉閉ボタンを押す(S6)。次いで、扉が閉じた後に車に戻ってリモコン操作(S3)をするか、そのまま操作盤の操作ボタン8cで暗証番号を入力する(S7)。
【0022】上記のステップにより、機械側では、在車センサー6により所定位置の車両を検出し(T1)、扉閉をリミットスイッチ等で検出し(T2)、受信機4で暗証番号を受信し、或いは操作盤8に暗証番号が入力される(T3)。次いで、機械側では、受信又は入力された暗証番号と暗証番号メモリ8a内の暗証番号とを照合し(T4)、これが一致する場合には、自動運転を開始して空パレットを入出庫位置まで移動させ(T5,T6)、その着床後に入出庫用の扉を開いて(T7)、入庫状態で待機する。
【0023】入庫する利用者は入出庫扉が開いたのを確認した後、車を入庫し(S4)、車から降りて退室する(S5)。また、この退出の際に、リモコン(発信機2)を携帯して発信ボタンを押すか、退出後に操作盤で扉閉ボタンを押す(S8)。
【0024】上記のステップにより、機械側では、車が入庫し利用者が退室したことが確認され、扉を閉じ(T8)、駐車した車の暗証番号と駐車パレット番号を駐車番号メモリ8bに記憶して(T9)、入庫動作を完了する(T10)。なお、リモコン(発信機2)の発信ボタンを押し忘れた場合には、遅延タイマーで扉を閉じるようになっている。」

(ウ)「【0027】図3は、本発明のリモコン操作による出庫方法のフロー図である。この図に基づき本発明による車の入庫方法(当審注:「入庫方法」は「出庫方法」の誤記と認める。)を説明する。
【0028】出庫する利用者は所定の前面空地に来場(S11)し、次いで入出庫扉9aを目視確認し(S12)、閉じている場合には、リモコン(発信機2)の発信ボタンをおしてリモコン操作(S13)をする。また、扉が開いているか半開きの場合には、他の利用者が使用中の場合があるので、そのまま閉じるのを待つか、操作盤8の扉閉ボタンを押す(S16)。次いで、扉が閉じた後にリモコン操作(S13)をするか、そのまま操作盤で暗証番号を入力する(S17)。
【0029】上記のステップにより、機械側では、扉閉をリミットスイッチ等で検出し(T11)、受信機4で暗証番号を受信し、或いは操作盤8に暗証番号が入力される(T12)。次いで、受信又は入力された暗証番号と駐車番号メモリ8b内の暗証番号とを照合し(T13)、これが一致する場合には、自動運転を開始して対応する車の乗った実パレットを入出庫位置まで移動させ(T14,T15)、その着床後に入出庫用の扉を開いて(T16)、出庫状態で待機する。
【0030】出庫する利用者は入出庫扉が開いたのを確認した後、入室して車に乗車し(S14)、車を出庫させる(S15)。また、この退出の際に、リモコン(発信機2)を携帯して発信ボタンを押すか、退出後に操作盤で扉閉ボタンを押す(S18)。
【0031】上記のステップにより、機械側では、車が出庫し利用者が退室したことが確認され、扉を閉じ(T17)、出庫動作を完了する(T18)。また、リモコン(発信機2)の発信ボタンを押し忘れた場合には、遅延タイマーで扉を閉じる。」

(9)甲第10号証
ア.甲第10号証の記載
本件特許出願前に頒布された甲第10号証には、次の記載がある。

(ア)「【0014】入出庫に関する個々の手持送受信機11が有する個別の入力データになりうるデータは手持送受信機11毎に対応する駐車設備を特定する物件データ、手持送受信機11毎の区別する該当リモコン番号あるいは連番などの番号、ユーザ(個人)を特定する使用者暗証番号、入出庫予約時刻、或いは入庫から出庫までの駐車時間を示す入出庫操作時間等であり、個々の手持送受信機11の区別手段は区別する番号又は暗証番号である。そして、後に述べるように、前記の個別の入力データは数字又は文字データとして該当する各々の手持送受信機11毎に個別にメモリー13に記憶されている。また、手持送受信機11から入力する釦操作は運転釦21操作、キャンセル釦22操作、開閉釦23操作及び旋回釦24操作である。なお、入出庫予約時刻及び運転者専用の手持送受信機11に臨時に区別する番号を任意に与えることができるような仕様の場合には手持送受信機11にテンキーを設置する必要がある。
(中略)
【0017】機械式駐車設備の基本データおよび手持送受信機11毎の番号及び暗証番号を記憶するメモリ13はROMまたはRAMから構成されている。メモリ13に記憶される基本データには1台分のトレーを駐車する駐車区画毎について収容したトレー番号のデータ及びトレー番号毎について手持送受信機11毎の区別手段としての区別する番号又は暗証番号のデータをROM又はRAMデータとして記憶されたものだけでなく、全ての手持送受信機11が有する前記の個別のデータが含まれ、機械式駐車設備を制御するための情報は全て含まれる。」

(イ)「【0022】かかる構成を有する機械式駐車設備について動作を説明する。図5および図6は本実施例の機械式駐車設備における入庫操作を説明するフローチャートである。この入庫操作について、図5にしたがって説明すると、まず処理ステップ(以下単にステップという)ST1においてドア前に自動車を停止させて運転者が自動車に乗ったままで手持送受信機11の送信部25で入庫操作のデータ送信を行なう。すると操作盤12の受信部41がデータを受信する。機械式駐車設備側では、ステップST2において制御盤14のCPUが手持送受信機11からの通信呼び出しがあるか否かをチェックし、通信呼び出しがあれば、ステップST3において手持送受信機11側で運転者が手持送受信機11を使って入庫指示操作(データの送信)を行なう。機械式駐車設備側では、ステップST4において操作盤12の受信部41がデータを受信し、次いでステップST5において制御盤14が手持送受信機11から送られてきたデータ(基本データ)が正しいものであるか否かをチェックし正しければ、ステップST6において空トレー呼び出し運転を開始する。この空トレー呼び出し運転によりトレー移動駆動装置15が作動し、ステップST7において空トレーが機械式駐車設備の乗込部に着床する。次に、ステップST8においてドア開閉駆動装置16が作動してドアを開動作させ、ステップST9において自動車を入庫させる。
(中略)
【0025】ステップST9において自動車を入庫し終わると、次にはステップST16において運転者が駐車設備の乗込部から退出する。すると、制御盤14は、ステップST17において制御盤14のCPUが手持送受信機11からの通信呼び出しがあるか否かをチェックし、通信呼び出しがあれば、ステップST18において手持送受信機11側で運転者がこの手持送受信機11を使って入庫完了操作(データの送信)を行なう。機械式駐車設備側では、ステップST19において操作盤12の受信部41がデータを受信し、次いでステップST20において制御盤14が手持送受信機11から送られてきた基本データが正しいものであるか否かをチェックし正しければ、ステップST21においてドア開閉駆動装置16が作動してドアを閉鎖する。これで一連の自動車入庫操作は終了したことになる(ステップST22)。」

(ウ)「【0028】次に本実施例の機械式駐車設備における自動車の出庫動作について説明する。図7乃至図9は本実施例の機械式駐車設備における出庫操作を説明するフローチャートである。この出庫操作について、図7にしたがって説明すると、まず前提操作として、自動車を出庫させたい運転者が機械式駐車設備の場所へ行き、自己の手持送受信機11の送信部25で出庫操作のデータ送信を行なう。すると操作盤12の受信部41がデータを受信する。機械式駐車設備側では、ステップST31において制御盤14のCPUが手持送受信機11からの通信呼び出しがあるか否かをチェックし、通信呼び出しがあれば、ステップST32において手持送受信機11側で運転者が手持送受信機11を使って出庫指示操作(データの送信)を行なう。機械式駐車設備側では、ステップST33において操作盤12の受信部41がデータを受信し、次いでステップST34において制御盤14が手持送受信機11から送られてきた基本データが正しいものであるか否かをチェックし正しければ、ステップST35において出庫トレー呼び出し運転を開始する。この出庫トレー呼び出し運転によりトレー移動駆動装置15が作動し、ステップST36において出庫トレーが機械式駐車設備の乗込部に着床する。次に、ステップST37においてドア開閉駆動装置16が作動してドアを開動作させ、ステップST38において自動車を出庫させる。
(中略)
【0031】ステップST38において自動車を出庫し終わると、次にはステップST45において機械式駐車設備の乗込部のドア前に自動車を停止させる。すると、制御盤14は、ステップST46において制御盤14のCPUが手持送受信機11からの通信呼び出しがあるか否かをチェックし、通信呼び出しがあれば、ステップST47において手持送受信機11側で運転者がこの手持送受信機11を使って出庫完了操作(データの送信)を行なう。機械式駐車設備側では操作盤12の受信部41がデータを受信し、次いでステップST48において制御盤14が手持送受信機11から送られてきた基本データが正しいものであるか否かをチェックし正しければ、ステップST49においてドアを閉鎖する。」

(10)甲第11号証
ア.甲第11号証の記載
本件特許出願前に頒布された甲第11号証には、次の記載がある。

(ア)「【0023】このプログラムによれば、利用者の個人情報IDから利用者の判別を行い、その利用者に必要なパレット番号を検出し、安全を確認したら、当該必要なパレットを昇降或いは横行して運転し、乗込み面まで搬送する。搬送が終了したら、ゲートを開く。即ち、該当する昇降パレット2の下にあるパレットを横行或いは下降させて昇降パレット2を下降するスペースを確保し、昇降パレット2を乗込み面Gまで下降する。もしも、この間に利用者が操作盤8の前から離れる(IDタグ7とデータ入出部8bとの距離が離れる)と、前記図7bのマイナプログラムにより装置が停止する。昇降パレット2の下降が完了すると、制御盤に「ゲート開」を指令してゲート6を上昇させ、利用者が装置内に進入して車両Cを退出できるようにする。同様に、もしも、この間に利用者が操作盤8の前から離れる(IDタグ7とデータ入出部8bとの距離が離れる)と、前記図7bのマイナプログラムにより装置が停止する。
【0024】車両Cの昇降パレット2上からの退出が終了し、利用者が車両から降りて操作盤8の前に再度近づくと、「ゲート閉」が指令されてゲート6が下降する。利用者が車両Cを入庫するためにIDタグ7をデータ入出部8bに近づけた場合も、前述と同様の動作が行われて、必要なパレットを自動的に呼出し、同時に安全な状態でのゲートの開閉を行う。
【0025】以上のように、IDタグ呼出装置10により、利用者はIDタグ7をデータ入出部8bに近づけるだけで入出庫ができ、入出庫に要する時間を短縮することができる。なお、本実施の形態では、横行昇降式の駐車設備を例に説明しているが、請求項1に係る発明は、タワー式等の他のタイプを含め、全ての機械式立体駐車設備に展開可能である。」

(11)甲第13号証
ア.甲第13号証の記載
本件特許出願前に頒布された甲第13号証には、次の記載がある。

「【0025】
図1は、本発明に係る制御方法を適用し得る機械式立体駐車場の一例を示す斜視図である。この機械式立体駐車場1は、オフィスビルやマンション等に併設される契約者専用のものである。機械式立体駐車場1は、複数の車両2を収容可能な垂直循環式の立体駐車場施設であり、地上部に車両2の入出庫口3が開口する塔状の車庫装置(駐車塔)4内に複数のパレット5(車体搬送手段)が収容されている。各パレット5は車庫装置4内で上下に駆動される搬送チェーン6にアーム7を介して所定間隔で設けられたケージ8に吊設されており、搬送チェーン6の位置に拘らず常に水平な姿勢を保たれている。
(中略)
【0030】
操作盤12は主制御部17に接続されている。この操作盤12には、表示画面31と、音声スピーカ32と、テンキー操作部33と、ICカードリーダー34と、起動ボタン35と、閉扉ボタン36等が設けられている。表示画面31と音声スピーカ32は、画面および音声によってユーザーに操作方法を指示するものであり、テンキー操作部33はユーザーに暗証番号によって認証を行わせるものであり、ICカードリーダー34はユーザーにICカードによって認証を行わせるものである。また、起動ボタン35は、認証操作を終えたユーザーがパレット5の呼び出しを行うスイッチであり、閉扉ボタン36はユーザーが入出庫扉11を閉じるためのスイッチである。
【0031】
このように構成された機械式立体駐車場1にユーザーが車両を入庫させる時の手順は次の通りである。
まず、図3に示すように、車両2を入出庫扉11の前(ターンテーブル9の上)に停車させ、同乗者を降車させ、ドアミラーを畳み、アンテナを下げる。次に、図4に示すように、ユーザー(車両のドライバー)は、操作盤12に向かい、第1の認証操作を行う。この第1の認証操作に基づき、主制御部17の認証照合部21において、ユーザーが機械式立体駐車場1の正式な契約者であるか否かの判定が行われる。仮に非契約者が認証操作を行っても、表示画面31と音声スピーカ32によりエラー表示がなされ、機械式立体駐車場1は動作しない。
【0032】
この第1の認証操作は、ユーザーが自分専用の暗証番号をテンキー操作部33に入力するか、自分専用に貸与された暗証記号媒体を操作盤12に認識させることによって行われる。この機械式立体駐車場1では、例えば図示しないICカードが暗証記号媒体として用いられており、ユーザーはICカードを操作盤12のICカードリーダー34にタッチして認識させる。
(中略)
【0036】
次に、ユーザーは、車庫装置4の外部に出て、図8に示すように再び操作盤12に向かい、第2の認証操作を行う。第2の認証操作は第1の認証操作と同様な操作である。この第2の認証操作では、第1の認証操作を行ったユーザーと、第2の認証操作を行ったユーザーとが同一人物であるか否かの判定が行われる。仮に第2の認証操作を行ったユーザーが第1の認証操作を行ったユーザーと異なる場合、例えば第1のユーザーが車庫装置4の中に居る時に次のユーザーが訪れて第1の認証操作を行った場合には、第1の認証操作と第2の認証操作の認証情報が一致しないため、表示画面31と音声スピーカ32によりエラー表示がなされ、機械式立体駐車場1は動作しない。このため、前のユーザーがまだ車庫装置4の中に居る状態で入出庫扉11が閉じられてパレット駆動機構25が起動してしまうことが防止される。」

イ.甲第13号証に記載された技術的事項
上記「ア.」の記載を総合すると、甲第13号証には、次の技術的事項(以下「甲13技術的事項」という。)が記載されている。

(甲13技術的事項)
「機械式立体駐車場において、
操作盤12には、テンキー操作部33と、ICカードリーダー34等が設けられており、
ユーザーが機械式立体駐車場1の正式な契約者であるか否かの判定が行われる第1の認証操作は、ユーザーが自分専用の暗証番号をテンキー操作部33に入力するか、自分専用に貸与された暗証記号媒体を操作盤12に認識させることによって行われ、ICカードが暗証記号媒体として用いられ、ユーザーはICカードを操作盤12のICカードリーダー34にタッチして認識させ、
第1の認証操作を行ったユーザーと、第2の認証操作を行ったユーザーとが同一人物であるか否かの判定が行われる第2の認証操作は第1の認証操作と同様な操作である点。」

第5 当審の判断

1.対比
本件訂正発明と甲1発明とを対比する。

(1)甲1発明の「立駐制御装置30」は、「入出庫扉4aが設けられている入出庫口4、ターンテーブル8、リフト14等による一連の入出庫動作(機械操作)を実行する装置」である。そして、「入出庫扉4aが設けられている入出庫口4」等による「入出庫動作」が、入出庫扉4aを開く動作及び閉じる動作を含むことは明らかである。
そうすると、甲1発明が、そのような「立駐制御装置30」を含んだ「機械式駐車装置の制御装置」である点は、扉を開閉する上での具体的な処理内容の異同はさておき、本件訂正発明が「出入口扉を開く出入口扉開処理部と、前記出入口扉を閉じる出入口扉閉処理部とを有する機械式駐車装置の出入口扉開閉制御装置」である点に相当する。

(2)甲1発明は、「正常に出庫される場合の処理の流れにおいて、まず、車両2を出庫する利用者が出庫予約盤22Bの前に到着し(S100)、利用者は、出庫予約盤22Bに対して認証操作を行い(S102)、認証操作は、タッチパネルとされているディスプレイ画面41Bに、利用者自身の固有の認証情報(ID)を入力することで行ってもよく、出庫予約盤22Bは、認証に成功すると、出庫予約を受け付け(S202)」るから、「認証操作(S102)」は、「出庫される場合の処理」における「出庫予約」を行う「利用者」による初回の認証操作であるといえる。
そうすると、甲1発明における上記「出庫予約」を行う「利用者」は本件訂正発明の「予約利用者」に相当し、同様に「認証操作(S102)」は「第一認証操作」に相当する。
そして、甲1発明においては、「出庫予約盤22Bは、認証に成功すると、出庫予約を受け付け(S202)」ることから、上記「認証操作(S102)」に基いて認証が行われていることは明らかであり、また、「主制御装置70が、機械式駐車場設備100の全体の制御を司るものであ」ること、及び、「主制御装置70は、機械式駐車場設備100に対する操作が利用者によって入力される操作盤である出庫予約盤22B及び入庫予約盤22Cや、各種情報を表示する出庫順番表示機49とも接続され、これらと各種情報の送受信を行」うこと等に鑑みれば、上記認証が「主制御装置70」によってなされていることは明らかである。
また、「暗証」の通常の語義が「本人であることを証明する、予め登録しておいた秘密の数字や文字。」(岩波書店『広辞苑 第六版』)であり、「ID」については「ID番号」の通常の語義が「複数の利用者を識別するための符号。英数字の組み合わせを用いる場合が多い。アカウント番号。ID」(岩波書店『広辞苑 第六版』)であることからすれば、甲1発明の「利用者自身の固有の認証情報(ID)」は、本件訂正発明の「暗証番号」に相当する。
以上を総合すると、甲1発明の上記「主制御装置70」と、本件訂正発明の「予約利用者の操作盤でのICカード読み取り又は暗証番号入力による第一認証操作に基づいて第一の認証を行う第一認証処理部」とは、「予約利用者の暗証番号入力による第一認証操作に基づいて第一の認証を行う第一認証処理部」の点で共通する。
なお、甲1発明においては、上記「認証操作(S102)」は「出庫予約盤22Bに対して」行われるから、甲1発明の当該「出庫予約盤22B」が本件訂正発明の「操作盤」に相当するとも解し得るが、後記「(6)」で検討するとおり、甲1発明の「操作盤22」も、「認証操作(S404)」は「操作盤22に対して」行われるものであって、同様に本件訂正発明の「操作盤」に相当すると解し得るところ、以下では、甲1発明の「出庫予約盤22B」ではなく「操作盤22」が、本件訂正発明の「操作盤」に相当するものとして検討する。

(3)甲1発明は、「出庫予約盤22Bは、認証に成功すると、出庫予約を受け付け(S202)、出庫予約盤22Bが出庫予約を受け付けると、号機決定部74によって、認証情報に基づいて出庫号機が決定され、また、号機決定部74は、出庫号機と共に、受け付けた出庫予約の予約順番である出庫順番を決定」するものであり、ここでの「認証」が出庫予約盤22Bに対する「認証操作(S102)」(本件訂正発明の「予約利用者による第一認証操作」に相当)を指すことは明らかである。
また、上記の出庫順番の決定について、甲1発明は「入出庫指示部76が、出庫予約の先頭に対応する出庫号機へ出庫指示を出力」するものであるから、仮に決定された出庫順番が先頭であれば直ちに出庫指示が出力されること、及び、決定された出庫順番が先頭でなければ後で出庫順番が先頭となったタイミングで出庫指示が出力されることは明らかである。
そうすると、甲1発明における上記「号機決定部74」と、本件訂正発明の「前記第一認証処理部による認証処理後、直ちに当該予約利用者のための入出庫処理を行えるか、それとも予約登録を行って予約運転を行うタイミングで入出庫処理を行うかを判定するタイミング判定処理部」とは、「第前記一認証処理部による認証処理後、当該予約利用者のための入出庫処理を行うタイミングを判定するタイミング判定処理部」である点で共通する。

(4)本件訂正発明の「予約利用者のID情報などの情報」とは、予約利用者に関連する情報を意味しており、「ID情報」はその一例として示されているものと認められる。
そうすると、甲1発明において、「決定された出庫号機と出庫順番」は、号機決定部74によって、車両2を出庫する利用者の認証情報に基づいて決定された情報であるから、本件訂正発明の「タイミング判定処理部で判定された予約利用者のID情報などの情報」に相当する。
そして、甲1発明は、「決定された出庫号機と出庫順番は、出庫予約盤22Bのディスプレイ画面41Bに表示され(S204)、さらに、決定された出庫号機と出庫順番は、出庫順番表示機49に登録され、表示され(S300)」るものであり、また、「主制御装置70は、機械式駐車場設備100に対する操作が利用者によって入力される操作盤である出庫予約盤22B及び入庫予約盤22Cや、各種情報を表示する出庫順番表示機49とも接続され、これらと各種情報の送受信を行」うものであるから、決定された出庫号機と出庫順番とが記憶登録されていることや、当該処理が「主制御装置70」によってなされていることは明らかである。そして、主制御装置70による出庫順番の記憶登録は、当該出庫順番の決定がされたタイミングでなされているといえる。
以上を総合すると、甲1発明の上記「主制御装置70」は、本件訂正発明の「前記タイミング判定処理部で判定された予約利用者のID情報などの情報を、該判定されたタイミングで記憶登録する記憶登録処理部」に相当する。

(5)本件訂正発明の「搬送処理部」が「直ちに入出庫処理を行う予約利用者または予約登録される予約利用者に対して入庫か出庫かをそれぞれ判定し、該判定の結果に対応する搬送処理を行う」際には、「直ちに入出庫処理を行う予約利用者」と「予約登録される予約利用者」とが区別されているから、「予約登録される予約利用者」に対する場合の「入庫か出庫か」の「判定の結果に対応する搬送処理」においては、判定の結果が入庫又は出庫のいずれであっても直ちに搬送処理を行うものではないことは明らかである。
一方、甲1発明は、「入出庫指示部76が、出庫予約の先頭に対応する出庫号機へ出庫指示を出力し、出庫指示を受け付けた機械式駐車装置1は、実パレットを車両格納棚17から乗入階7へ移動させる出庫起動を行」う(S502)ものであり、出庫予約の先頭に対応しない出庫号機へは出庫起動を直ちには行わないことが明らかである。また、甲1発明における主制御装置70の「入出庫指示部76」は、その名称からみて、出庫のみならず入庫の場合にもパレットを移動させる指示を行うものであることは明らかである。
以上を総合すると、甲1発明の当該「入出庫指示部76」と、本件訂正発明の「直ちに入出庫処理を行う予約利用者または予約登録される予約利用者に対して入庫か出庫かをそれぞれ判定し、該判定の結果に対応する搬送処理を行う搬送処理部」とは、「直ちに入出庫処理を行う予約利用者または予約登録される予約利用者に対して、搬送処理を行う搬送処理部」で共通する。

(6)本件明細書に「その後、搬送処理部13は、条件が整ったタイミングで今回の予約利用者に対する予約運転を開始させ、ステップS6で当該予約利用者に対する車両搬送処理が行われる。例えば、出庫であれば、当該予約利用者の駐車車両が乗降室に準備される。」(段落【0034】)、「予約利用者に対しては、予約運転の後に、第二認証操作を行ってもらい」(段落【0045】)と記載されていること等を踏まえると、本件訂正発明の「前記搬送処理部による準備完了」は「搬送処理」が完了することであると解されるから、甲1発明の「乗入階7に実パレットが到着する」(S504)は、本件訂正発明の「前記搬送処理部による準備完了」に相当する。
そして、甲1発明において、利用者が入出庫口4の前に到着したときに行う「認証操作」(S404)は、上記の「実パレットが到着する」(S504)後に行われるものであるから、本件訂正発明の「前記搬送処理部による準備完了後に前記予約利用者」によって行われるものである「第二認証操作」に相当する。
また、甲1発明の「操作盤22」は、本件訂正発明において「第二認証操作」を行う「操作盤」に相当し、甲1発明においては、「認証操作は、タッチパネルとされているディスプレイ画面41に、認証情報を入力することで行ってもよ」いところ、「操作盤22」は「蓋34」を備えており、「蓋34にはディスプレイ画面41が設置されて」いるから、甲1発明は「操作盤22」に「認証情報を入力することで」「認証操作(S404)」を行っているといえる。
そして、立駐制御装置30が操作盤22と情報を交換するものであること、及び、主制御装置70が出庫予約盤22Bと各種情報の送受信を行うものであることに鑑みれば、上記認証判定が「立駐制御装置30」又は「主制御装置70」によってなされていることも明らかである。
以上を総合すると、甲1発明の上記「立駐制御装置30」又は「主制御装置70」と、本件訂正発明の「前記搬送処理部による準備完了後に前記予約利用者の前記操作盤での前記ICカード読み取り又は暗証番号入力による第二認証操作に基づいて前記第一認証操作を行った前記予約利用者と同一人物かを認証判定する第二認証処理部」とは、「搬送処理部による準備完了後に予約利用者の操作盤での暗証番号入力による第二認証操作に基づいて認証判定する第二認証処理部」で共通する。

(7)甲1発明は、「利用者は入出庫口4の前に到着すると、操作盤22に対して認証操作を行い(S404)」、「認証に成功すると、機械式駐車装置1は、入出庫扉4aを開け(S506)」るものであって、当該「入出庫扉4aを開け(S506)」る処理が「立駐制御装置30」によって「認証操作」以外の操作を要することなく行われるから、当該処理は自動でなされるといい得るものである。
そうすると、甲1発明における上記「立駐制御装置30」は、本件訂正発明の「前記第二認証処理部による一致が判定された後に自動で前記出入口扉を開く出入口扉開処理部」に相当する。

(8)甲1発明において、「車両2を出庫させた利用者が入出庫扉4aのリモコン送信機50を用いて」行う認証は、入出庫扉4aが閉まる前に、車両2を出庫した利用者によってなされるものである。
そして、甲1発明は、当該認証処理が「立駐制御装置30」又は「主制御装置70」の一部によってなされていることは明らかであるから、甲1発明における上記「立駐制御装置30」又は「主制御装置70」と、本件訂正発明の「前記出入口扉を閉じる前に予約利用者の前記操作盤での前記ICカード読み取り又は暗証番号入力による第三認証操作に基づいて前記第一認証操作及び前記第二認証操作を行った予約利用者と一致するか認証判定を行う第三認証処理部」とは、「出入口扉を閉じる前に予約利用者による第三認証操作に基づいて認証判定を行う第三認証処理部」で共通する。
また、甲1発明における上記認証を行った後に「操作盤22で入出庫扉4aの閉操作を行い、これにより、入出庫扉4aは閉まる(S508)」点に関して、当該入出庫扉4aを閉める処理は立駐制御装置30が行っていることが明らかである。
そうすると、甲1発明の「立駐制御装置30」が上記処理を行う点と、本件訂正発明の「前記出入口扉閉処理部は、前記第三認証処理部による前記第一認証操作及び前記第二認証操作を行った予約利用者であることの一致を確認した後に前記出入口扉を自動で閉処理することで、前記第三認証操作の前後で前記予約利用者が前記操作盤の出入口扉閉ボタンの操作を行わない」点とは、「出入口扉閉処理部は、第三認証処理部による一致を確認した後に出入口扉を閉処理する」点で共通する。

以上を総合すると、本件訂正発明と甲1発明とは、
「出入口扉を開く出入口扉開処理部と、前記出入口扉を閉じる出入口扉閉処理部とを有する機械式駐車装置の出入口扉開閉制御装置において、
予約利用者の暗証番号入力による第一認証操作に基づいて第一の認証を行う第一認証処理部と、
前記第一認証処理部による認証処理後、当該予約利用者のための入出庫処理を行うタイミングを判定するタイミング判定処理部と、
前記タイミング判定処理部で判定された予約利用者のID情報などの情報を、該判定されたタイミングで記憶登録する記憶登録処理部と、
直ちに入出庫処理を行う予約利用者または予約登録される予約利用者に対して、搬送処理を行う搬送処理部と、
前記搬送処理部による準備完了後に前記予約利用者の操作盤での暗証番号入力による第二認証操作に基づいて認証判定する第二認証処理部と、
前記第二認証処理部による一致が判定された後に自動で前記出入口扉を開く出入口扉開処理部とを設け、かつ、
前記出入口扉を閉じる前に予約利用者による第三認証操作に基づいて認証判定を行う第三認証処理部を有し、
前記出入口扉閉処理部は、前記第三認証処理部による一致を確認した後に前記出入口扉を閉処理する機械式駐車装置の出入口扉開閉制御装置。」
の点で一致し、次の点で相違する。

(相違点1)
第一認証操作が、本件訂正発明においては「操作盤」でのICカード読み取り又は暗証番号入力によるのに対し、甲1発明においては「操作盤22」ではなく「出庫予約盤22B」での入力による点。

(相違点2)
本件訂正発明では、「タイミング判定処理部」が「直ちに当該予約利用者のための入出庫処理を行えるか、それとも予約登録を行って予約運転を行うタイミングで入出庫処理を行うかを判定する」のに対して、甲1発明はそのようなものでない点。

(相違点3)
搬送処理部が、本件訂正発明においては「入庫か出庫かをそれぞれ判定し、該判定の結果に対応する」搬送処理を行うのに対して、甲1発明においてはそのような処理をするか明らかでない点。

(相違点4)
第二認証処理部が、本件訂正発明においては「第一認証操作を行った予約利用者と同一人物か」を認証判定するのに対して、甲1発明においてはどのように認証判定するか明らかでない点。

(相違点5)
第三認証操作が、本件訂正発明においては「予約利用者の操作盤でのICカード読み取り又は暗証番号入力による」のに対して、甲1発明においては「利用者が入出庫扉4aのリモコン送信機50を用いて」行う点。

(相違点6)
本件訂正発明においては、第三認証処理部が「第一認証操作及び第二認証操作を行った予約利用者と一致するか」認証判定を行い、出入口扉閉処理部が「第三認証処理部による第一認証操作及び第二認証操作を行った予約利用者であることの一致」を確認した後に出入口扉を閉処理するのに対して、甲1発明においては第三認証処理部がどのように認証判定するか明らかでない点。

(相違点7)
出入口扉閉処理部が、本件訂正発明においては第三認証処理部による確認の後に「出入口扉を自動で閉処理することで、第三認証操作の前後で前記予約利用者が前記操作盤の出入口扉閉ボタンの操作を行わない」のに対して、甲1発明においては「再度認証を行った後に操作盤22で入出庫扉4aの閉操作を行い、これにより、入出庫扉4aは閉まる(S508)」点。

2.判断
(1)相違点1について
ア.甲1発明の「操作盤22」は、「利用者が各自で、利用者認証と、入出庫予約と、入出庫扉4aの開閉操作等を含む機械操作とを行う入力部であ」るから、「入出庫予約」を行うことができる「入力部」であるといえる。
また、甲1発明の「操作盤22」は、「入出庫扉4aを開け(S506)」る際に「利用者は入出庫口4の前に到着すると、操作盤22に対して認証操作を行い(S404)、認証操作は、タッチパネルとされているディスプレイ画面41に、認証情報を入力することで行ってもよ」いことからみて、「タッチパネルとされているディスプレイ画面41に、認証情報を入力することで」「認証操作」を行うことができるものであるから、「出庫予約を受け付け(S202)」る前に「認証操作(102)」を行う際にも、「出庫予約盤22B」に加えて、「操作盤22」の「タッチパネルとされているディスプレイ画面41に、認証情報を入力することで」「認証操作」を行うことができると解するのが自然である。
そして、このように解した場合、甲1発明の「操作盤22」は、本件訂正発明において「第一認証操作」を行う「操作盤」に相当し、甲1発明の「タッチパネルとされているディスプレイ画面41に、認証情報を入力することで」行う「認証操作」は、上記「1.(2)」での対比を踏まえると、本件訂正発明の「暗証番号入力による第一認証操作」に相当する。
そうすると、相違点1は実質的な相違点ではない。

イ.仮に相違点1が実質的な相違点であるとしても、機械式駐車装置において認証時の利便性を高めることは一般的な課題であって、当該課題は甲1発明にも内在する。
そして、甲1発明の「操作盤22」は、現に、「筐体33の内部には認証用のトランスポンダリーダー36が配置されており、蓋34にはディスプレイ画面41が設置されており」、「RF受信アンテナ48が設けられており」、「RF受信アンテナ48によるリモコン信号SAの受信、又はトランスポンダリーダー36による無電源認証信号SEの受信が行われることによってユーザー認証を行うことができ」るとともに、「認証操作は、タッチパネルとされているディスプレイ画面41に、認証情報を入力することで行ってもよ」いから、「トランスポンダリーダー36」、「RF受信アンテナ48」及び「タッチパネルとされているディスプレイ画面41」という複数の認証操作の入力手段を備えていて、いずれの入力手段によっても認証情報を入力することができるものと認められる。
また、機械式駐車装置の制御においては、どのようなステップにおいて行われる利用者による認証であっても、入力される認証情報自体が共通であることは明らかである。
そうすると、甲1発明において、「出庫予約を受け付け(S202)」る前に「認証操作(S102)」を行う際にも、「認証操作(S404)」の際と同様に、「操作盤22」の「タッチパネルとされているディスプレイ画面41に、認証情報を入力すること」によっても「認証操作」を行うことができるようにすることは、当業者が適宜なし得る設計的事項である。

(2)相違点2について
甲3技術的事項は、「機械式駐車場1に車両2を入庫する場合」及び「機械式駐車場1に駐車している車両を出庫させる場合」には、「ユーザーが所持している携帯認証媒体70が、外部認証エリアA1に入ることにより外部認証エリアアンテナ61に認識され、外部認証エリアアンテナ61が外部認証信号SIG.1を発信し、この外部認証信号SIG.1を受信した主制御部41の認証照合部46においてユーザーのIDが照合され、ユーザーが機械式駐車場1の正式な契約者であればユーザー認証が行われ(第1の外部認証処理)」、「ユーザーに外部操作盤14の操作を行うことが許可され」るものである。また、「入出庫操作中であるか否かが判定され」て、「入出庫操作が行われていなければ、再び、入出庫操作中であるか否かが判定されるステップに戻」る制御が繰り返される一方、「入出庫操作中であれば、待機ユーザーの持つ携帯認証媒体70が外部認証エリアA1に入ることによる外部認証信号SIG.1の受信があるか否かが判定され、この判定結果が肯定判定であれば」、「入出庫の予約(順番決定)が行われ(予約処理)」るものである。
すなわち、甲3技術的事項においては、「携帯認証媒体70が外部認証エリアA1に入ることによる外部認証信号SIG.1の受信がある」場合、「入出庫操作が行われていな」いと「判定」されていれば、「ユーザー」に対して「入出庫の予約(順番決定)が行われ」ずに、「入庫」や「出庫」の「操作を行うこと」を「許可」するための制御を行い、「入出庫操作中であ」ると判定されていれば、「ユーザー」に対して「入出庫の予約(順番決定)が行われる」。
そして、甲3技術的事項のこの点は、本件訂正発明の「直ちに当該予約利用者のための入出庫処理を行えるか、それとも予約登録を行って予約運転を行うタイミングで入出庫処理を行うかを判定する」点に相当するから、甲3技術的事項は、本件訂正発明の相違点2に相当する構成を備えるものと認められる。
甲1発明と甲3技術的事項はいずれも機械式駐車場の分野に属する技術である。また、甲3技術的事項の上記構成は、「待機ユーザーが多い場合に順番を決定して混乱を回避するとともに、各待機ユーザーの認証時間を短縮し、機械式駐車場1のスムーズな運行を実現する」ための構成であるところ(上記「第4 3.(3)ア.(エ)」参照。)、ユーザの混乱回避、処理時間の短縮、スムーズな運行は、機械式駐車場における一般的な課題であって、甲1発明にも内在する課題である。
そうすると、甲1発明と甲3技術的事項とは、属する技術分野及び課題が共通するから、甲1発明に甲3技術的事項を適用して本件訂正発明の相違点2に係る構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。

(3)相違点3について
ア.甲1発明の主制御装置70の「入出庫指示部76」は、その名称、及び、「パレット18を車両格納棚17から乗入階7へ呼び出す入出庫指示を出力するものであ」る点に鑑みれば、出庫のみならず入庫の場合にもパレットを移動させる指示を行うことは明らかである。
そして、制御に関する技術分野における技術常識を参酌すれば、同一の制御部によって2種類の異なる処理を実行する場合、実行する処理がいずれの種類のものであるかを区別した上で、その結果に対応した処理を実行していることは明らかというべきである。
したがって、甲1発明の「入出庫指示」が入庫または出庫という2種類の処理に係るものであることに鑑みれば、甲1発明の主制御装置70の「入出庫指示部76」が入庫か出庫かを判定していることは明らかであるから、上記相違点3は実質的な相違点ではない。

イ.仮に甲1発明の主制御装置70の「入出庫指示部76」が入庫か出庫かを判定しているとはいえないとしても、機械式駐車装置に関する技術分野において、制御部が入庫か出庫かを判定し、該判定の結果に対応する搬送処理を行うことは、例えば甲第2号証(上記「第4 3.(2)ア.(イ)」参照。)、甲第3号証(上記「第4 3.(3)ア.(イ)及び(ウ)」参照。)及び甲第4号証(上記「第4 3.(4)ア.(イ)」参照。)等に記載されているように本件特許出願前に周知の技術事項(以下「周知技術1」という。)であって、甲1発明に当該周知技術1を適用して本件訂正発明の相違点3に係る構成とすることは当業者が容易になし得たことである。

(4)相違点4について
本件訂正発明においては「前記第一認証操作を行った前記予約利用者と同一人物かを認証判定する」のが「自動で前記出入口扉を開く」前であるのに対して、甲4技術的事項において「この認証情報が初回認証時の認証情報と一致するか否かが判定され」るのは「入出庫扉4aの閉扉」の前であるものの、このような扉の開閉の違いを措けば、甲4技術的事項の「この認証情報が初回認証時の認証情報と一致するか否かが判定され」は、本件訂正発明の「前記第一認証操作を行った前記予約利用者と同一人物かを認証判定する」に相当する。
また、甲4技術的事項は「初回の認証から最後に入出庫扉4aが閉じられるまで、終始一貫して同一の契約利用者のみが操作を許可され、これによって立体駐車場1の保安性および運用性を高めることができる」ものであるところ、「契約利用者の初回認証」が「契約利用者が操作盤22を操作するのに先立ち」行われることを勘案すると、甲4技術的事項の「初回の認証から最後に入出庫扉4aが閉じられるまで」の間には入出庫扉4aの開扉も行われ、当該開扉を行う際にも「同一の契約利用者のみが操作を許可され」るものと認められる。
そして、入出庫扉4aの開扉に際して「同一の契約利用者のみが操作を許可され」るための具体的手段としては、「入出庫扉4aの閉扉」の際と同様に「この認証情報が初回認証時の認証情報と一致するか否かが判定され」ると解するのが自然であるし、仮に、そのような解釈が自然であるとまではいえないとしても、入出庫扉4aの開扉に際して「同一の契約利用者のみが操作を許可され」るようにするための具体化手段として、「入出庫扉4aの閉扉」の際と同様の手段を採用することは当業者が適宜なし得たことである。
甲1発明と甲4技術的事項とはいずれも機械式駐車場の分野に属する技術であり、また、甲4技術的事項は「立体駐車場1の保安性および運用性を高めること」を課題とすると認められるところ、当該課題は機械式駐車装置の技術分野において一般的な課題であって甲1発明にも内在する。
そうすると、甲1発明に甲4技術的事項を適用して本件訂正発明の相違点4に係る構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。

(5)相違点5について
ア.甲1発明においては、「車両2を出庫」する際には、「車両2を出庫させた利用者が入出庫扉4aのリモコン送信機50を用いて再度認証を行った後に操作盤22で入出庫扉4aの閉操作を行」うところ、「操作盤22にはRF受信アンテナ48が設けられており、このRF受信アンテナ48は、利用者が所持しているリモコン送信機50から発信されるリモコン信号SAを受信し、操作盤22のトランスポンダリーダー36は、リモコン送信機50のトランスポンダから送信される無電源認証信号SEを受信し、操作盤22は、RF受信アンテナ48によるリモコン信号SAの受信、又はトランスポンダリーダー36による無電源認証信号SEの受信が行われることによってユーザー認証を行うことができ」るのだから、甲1発明は、「リモコン送信機50を用いて再度認証を行」う際には、「操作盤22」に設けられた「RF受信アンテナ48によるリモコン信号SAの受信」、又は、「操作盤22」の「トランスポンダリーダー36による無電源認証信号SEの受信が行われることによってユーザー認証を行う」ものであって、「リモコン送信機50」が送信するのが「リモコン信号SA」であっても「無電源認証信号SE」であっても「操作盤22」において当該信号が受信されてユーザー認証が行われると解される。
ここで、甲1発明の「操作盤22」は、「利用者認証」を行う入力部であり、「蓋34にはディスプレイ画面41が設置されており」、「認証操作を行い(S404)」においては「認証操作は、タッチパネルとされているディスプレイ画面41に、認証情報を入力することで行ってもよ」いものであるから、「車両2を出庫」するために認証を行う際にも、リモコン送信機50を用いるほかに、「操作盤22」の「タッチパネルとされているディスプレイ画面41に、認証情報を入力することで」「認証操作」を行うことができると解するのが自然である。
そして、このように解した場合、甲1発明の「操作盤22」は、上記「1.(6)」で対比したとおり、本件訂正発明の「操作盤」に相当し、甲1発明の「タッチパネルとされているディスプレイ画面41に、認証情報を入力することで」行う「認証操作」は、上記「1.(2)」での対比を踏まえると、本件訂正発明の「操作盤での暗証番号入力による第三認証操作」に相当するから、相違点5は実質的な相違点ではない。

イ.また、仮に相違点5が実質的な相違点であるとしても、上記「(1)イ.」で検討したとおり、機械式駐車装置において認証時の利便性を高めることは一般的な課題であって、当該課題は甲1発明にも内在する。
そして、甲1発明の「操作盤22」は、「トランスポンダリーダー36」、「RF受信アンテナ48」及び「タッチパネルとされているディスプレイ画面41」という複数の認証操作の入力手段を備えて、いずれの入力手段によっても認証情報を入力することができるものと認められるし、機械式駐車装置の制御においては、どのようなステップにおいて行われる利用者による認証であっても、入力される認証情報自体が共通であることは明らかである。
そうすると、甲1発明において、「車両2を出庫」するために認証を行う際に、「操作盤22」の「タッチパネルとされているディスプレイ画面41に、認証情報を入力すること」によっても「認証操作」を行うことができるようにすることは、当業者が適宜なし得る設計的事項である。

(6)相違点6について
甲4技術的事項においては、「この認証情報が初回認証時の認証情報と一致するか否かが判定され(S27)、取得した認証情報が初回認証時の認証情報と一致する場合(S27→YES)には、入出庫扉4aの閉扉が許可され(S28)、制御が終了」するのだから、甲4技術的事項が「S27」に係る判定の処理を行う手段、及び、「S28」に係る入出庫扉4aの閉扉の許可の処理を行う手段を有することは明らかであって、これらの手段はそれぞれ本件訂正発明の「第三認証処理部」及び「出入口扉閉処理部」に相当する。
そうすると、本件訂正発明においては「第一認証操作及び第二認証操作を行った予約利用者と一致するか」認証判定を行うのが「前記出入口扉を閉じる前」であり、甲4技術的事項において「この認証情報が初回認証時の認証情報と一致するか否かが判定され」るのが「入出庫扉4aの閉扉」の前であって、いずれも扉を閉じる前であることを考慮すると、甲4技術的事項において「この認証情報が初回認証時の認証情報と一致するか否かが判定され(S27)、取得した認証情報が初回認証時の認証情報と一致する場合(S27→YES)には、入出庫扉4aの閉扉が許可され(S28)、制御が終了」することと、本件訂正発明において、第三認証処理部が「第一認証操作及び第二認証操作を行った予約利用者と一致するか」認証判定を行い、出入口扉閉処理部が「第三認証処理部による第一認証操作及び第二認証操作を行った予約利用者であることの一致」を確認した後に出入口扉を閉処理することとは、第三認証処理部が「第一認証操作を行った予約利用者と一致するか」認証判定を行い、出入口扉閉処理部が「第三認証処理部による第一認証操作を行った予約利用者であることの一致」を確認した後に出入口扉を閉処理する点で共通する。
そして、甲1発明と甲4技術的事項とはいずれも機械式駐車場の分野に属する技術であり、また、甲4技術的事項は「立体駐車場1の保安性および運用性を高めること」を課題とすると認められるところ、当該課題は機械式駐車装置の技術分野において一般的な課題であって甲1発明にも内在する。
そうすると、甲1発明に甲4技術的事項を適用して、第三認証処理部(甲1発明における「立駐制御装置30」又は「主制御装置70」)が「第一認証操作を行った予約利用者と一致するか」認証判定を行い、出入口扉閉処理部(甲1発明における「立駐制御装置30」)が「第三認証処理部による第一認証操作を行った予約利用者であることの一致」を確認した後に出入口扉を閉処理するようになすことは当業者が容易になし得たことである。
そして、上記「(4)」で相違点4について検討したとおり、甲1発明に甲4技術的事項を適用すれば第二認証処理部(甲1発明における「立駐制御装置30」又は「主制御装置70」)が「前記第一認証操作を行った前記予約利用者と同一人物かを認証判定する」ことになるのだから、「第一認証操作を行った予約利用者と一致するか」認証判定を行えば、第一認証操作及び第二認証操作を行った予約利用者と一致するか」認証判定することになり、「第一認証操作を行った予約利用者であることの一致」を確認すれば、「第一認証操作及び第二認証操作を行った予約利用者であることの一致」を確認することになる。
以上のとおりであるから、甲1発明に甲4技術的事項を適用して本件訂正発明の相違点6に係る構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。

(7)相違点7について
機械式駐車装置の技術分野において、出入口扉を閉処理する際に、利用者による閉操作(利用者が出入口扉を閉じるために行う操作であって、認証操作とは別のもの。)を伴わずに自動で閉処理することは、例えば、申立人が令和3年1月20日提出の意見書に添付して提出した甲第6号証(特に「第4 3.(5)ア.(ア)」参照。)、甲第7号証(特に「第4 3.(6)ア.(ア)」参照。)、甲第8号証(特に「第4の3(7)ア(ア)及び(イ)参照。)、甲第9号証(特に「第4 3.(8)ア.(イ)及び(ウ)」参照)、甲第10号証(特に「第4 3.(9)ア.(イ)及び(ウ)」参照。)及び甲第11号証(特に「第4 3.(10)ア.(ア)」参照。)に記載されているように、本件特許出願前に周知の技術(以下「周知技術2」という。)である。
そして、機械式駐車装置において操作を簡易化することは一般的な課題であって、当該課題は甲1発明にも内在する。
また、甲第1号証には、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除してもよい旨記載されているところ(上記「第4 3.(1)ア.(コ)」参照。)、甲第1号証には「誰でも入出庫扉の閉操作が可能とされると、・・・安全上の問題も生じる」(上記「第4 3.(1)ア.(イ)」の段落【0003】参照。)という課題を、「前記扉の閉め忘れを検知する検知手段と、前記検知手段によって前記扉の閉め忘れが発生した場合に、前記機械式駐車装置に対する操作が利用者によって入力される操作盤に、前記扉の閉操作を促す情報を表示させる表示指示手段と、を備える」(同段落【0009】参照。)という手段によって解決することが記載されていることからして、甲1発明において入出庫扉4aを閉める際に、上記「(5)ア.」に示したとおり、実質的に操作盤に対して「再度認証を行った後」に、さらに「操作盤22」での「入出庫扉4aの閉操作」を行うことが発明の趣旨に照らして必須のものであるとする事情はない。
そうすると、甲1発明に上記周知技術2を適用して本件訂正発明の相違点7に係る構成とすることは当業者が容易になし得たことである。

3.小括
よって、本件訂正発明は、甲1発明、甲3技術的事項、甲4技術的事項及び周知技術2に基いて、又は、甲1発明、甲3技術的事項、甲4技術的事項、周知技術1及び周知技術2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.特許権者の主張について
特許権者は、令和3年8月23日提出の意見書において、概略、甲第1号証の段落【0087】等の記載を挙げ、入出庫扉4aが閉め忘れられている状態で、閉め忘れている入出庫扉4aを次の出庫利用者が閉操作できること、及び、当該次の利用者は、予め登録されている利用者であって、機械式駐車場設備100の利用者として認証可能な者であること、が明確に記載されているとした上で、本件特許発明では、閉め忘れた出入口扉は第一認証操作で認証された予約利用者であっても、換言すれば、機械式駐車装置を利用可能な複数の予約利用者では第三認証操作まで認証が成功しないと閉まらない構造になっているのに対し、甲1発明では、機械式駐車場設備100の利用者として認証可能とされる予め登録されている利用者すべてが、閉め忘れた入出庫扉4aを閉めることができる状態になっており、入出庫ロ4の中に利用者又は第三者が存在している状態でも、入出庫扉4aは、機械式駐車場設備100の利用者として認証可能とされる予め登録されている利用者であれば、出庫した当人以外の利用者でも閉めることができるから、前の出庫利用者又は第三者が入出庫ロ4の中に閉じ込められてしまう危険性がある一方、本件特許発明は、第一認証操作、第二認証操作、及び第三認証操作のすベてが同一利用者であることを認証しないと出入口扉は閉まらないものであり、本件特許発明が解決しようとする課題と、甲1発明が解決しようとする課題との間に関連性がないばかりでなく、甲1発明には阻害要因がある旨主張している(同意見書第10ページ第16行〜第11ページ下から4行)。
しかしながら、上記「1.(8)」での対比のとおり、本件訂正発明の「予約利用者による第三認証操作に基づいて」行う「認証判定」に対応するのは、甲1発明における「車両2を出庫させた利用者が入出庫扉4aのリモコン送信機50を用いて」行う認証であって、甲第1号証の段落【0086】に記載されるように、入出庫扉4aが閉じられることなく扉閉忘時間が経過した後に、段落【0087】に記載されるように、車両2を出庫させた利用者が閉め忘れている入出庫扉4aを車両2を出庫させた利用者以外の者が閉操作する際の認証ではない。
また、車両2を出庫させた利用者が閉め忘れている入出庫扉4aを、車両2を出庫させた利用者以外の者が閉操作するためには、車両2を出庫させた利用者以外の者を認証する必要があることは自明であるし、甲第1号証の段落【0101】には「なお、「閉忘発生」の表示がされてから、所定時間、例えば1分間は次の出庫利用者のみが入出庫扉4aを閉めることが可能とされ、該所定時間を超えた場合に、2番目以降の出庫利用者が入出庫扉4aを閉めることを可能とされてもよい。・・・これにより、複数人の出庫利用者が、同時に入出庫扉4aを閉めるために入出庫口4へ移動することを抑制できる。」(上記「第4 3.(1)ア.(ケ)」参照。)と記載されており、入出庫扉4aを閉めることが可能な者を次の出庫利用者のみとすることが記載されている。
そうすると、甲第1号証に、入出庫扉4aを閉めないまま出庫した当人以外の利用者でも、閉め忘れられている入出庫扉4aを閉めることができる旨が開示されているとしても、それを以て甲1発明の「車両2を出庫させた利用者が入出庫扉4aのリモコン送信機50を用いて」行う認証に、甲4技術的事項を適用することに阻害要因があるとすることはできないし、甲第1号証には閉め忘れの発生時に入出庫扉4aを閉めることが可能な者を次の出庫利用者のみとすることが記載されていることからすれば、通常時においても入出庫扉4aを閉めることが可能な者を制限することはむしろ自然な発想であるといえる。
そして、甲1発明と甲4技術的事項との技術分野の共通性及び課題の内在については上記「2.(6)」で検討したとおりであって、甲1発明に甲4技術的事項を適用して本件訂正発明の相違点6に係る構成とすることは、当業者が容易になし得たことであるから、特許権者の上記主張は採用することができない。

第6 むすび

以上のとおり、本件訂正発明は、甲1発明、甲3技術的事項、甲4技術的事項及び周知技術2に基いて、又は、甲1発明、甲3技術的事項、甲4技術的事項、周知技術1及び周知技術2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
そうすると、本件訂正発明に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
 
別掲 (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この決定に対する訴えは、この決定の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】機械試駐車装置の出入口扉開閉制御装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の入出庫時に開閉操作される入出庫扉を備えた機械式駐車装置の出入口扉開閉制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の機械式駐車装置として、特許第5710042号公報(特許文献1)が知られている。この特許文献1には、車庫装置の入出庫扉を開く前に、ユーザーによる第1の認証操作に基づいて第1のユーザー認証を行う第1の認証処理と、前記第1の認証処理の後で車体搬送手段を呼び出す搬送呼出処理と、前記車体搬送手段の到着後に前記入出庫扉を開く開扉処理と、前記入出庫扉を閉じる前に、ユーザーによる第2の認証操作に基づいて第2のユーザー認証を行う第2の認証処理と、前記第1の認証処理における認証情報と前記第2の認証処理における認証情報とが一致しているか否かを照合する照合処理と、前記照合処理における照合結果が一致した後に、前記車庫装置の外部に設けられた操作盤がユーザーによって操作されることにより閉扉指示が入力され、該閉扉指示に従って前記入出庫扉を閉じる閉扉処理と、を有する機械式駐車場の制御方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】 特許第5710042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の機械式駐車装置の出入口扉開閉制御装置は、予約利用者が入出庫操作を行うとき、操作盤の近傍には複数の利用者がいる状況が生じると、現在の利用者でない人が不適切なタイミングで出入口扉を開閉操作してしまう危険がある。
【0005】
本発明の目的は、予約利用者の記憶処理を行うことはできるが、操作盤の近傍に現在の利用者や予約利用者や第三者などが存在しても出入口扉の誤操作を防止して安全性を向上した機械式駐車装置の出入口扉開閉制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記目的を達成するために、出入口扉を開く出入口扉開処理部と、前記出入口扉を閉じる出入口扉閉処理部とを有する機械式駐車装置の出入口扉開閉制御装置において、予約利用者の操作盤でのICカード読み取り又は暗証番号入力による第一認証操作に基づいて第一の認証を行う第一認証処理部と、前記第一認証処理部による認証処理後、直ちに当該予約利用者のための入出庫処理を行えるか、それとも予約登録を行って予約運転を行うタイミングで入出庫処理を行うかを判定するタイミング判定処理部と、前記タイミング判定処理部で判定された予約利用者のID情報などの情報を、該判定されたタイミングで記憶登録する記憶登録処理部と、直ちに入出庫処理を行う予約利用者または予約登録される予約利用者に対して入庫か出庫かをそれぞれ判定し、該判定の結果に対応する搬送処理を行う搬送処理部と、前記搬送処理部による準備完了後に前記予約利用者の前記操作盤での前記ICカード読み取り又は暗証番号入力による第二認証操作に基づいて前記第一認証操作を行った前記予約利用者と同一人物かを認証判定する第二認証処理部と、前記第二認証処理部による一致が判定された後に自動で前記出入口扉を開く出入口扉開処理部とを設け、かつ、前記出入口扉を閉じる前に予約利用者の前記操作盤での前記ICカード読み取り又は暗証番号入力による第三認証操作に基づいて前記第一認証操作及び前記第二認証操作を行った予約利用者と一致するか認証判定を行う第三認証処理部を有し、前記出入口扉閉処理部は、前記第三認証処理部による前記第一認証操作及び前記第二認証操作を行った予約利用者であることの一致を確認した後に前記出入口扉を自動で閉処理することで、前記第三認証操作の前後で前記予約利用者が前記操作盤の出入口扉閉ボタンの操作を行わないことを特徴とする。
【0007】
このような構成の機械式駐車装置の出入口扉開閉制御装置によれば、予約利用者に先ず第一認証操作を行ってもらい、その後に第二認証操作を行ってもらい、先に行われた第一認証操作時と同じ利用者であるかどうか第二認証処理部で確認するようにしているため、現在の予約登録者以外の人による出入口扉の操作を阻止して、出入口扉における安全上の誤操作を防止することができる。また、第三認証処理部および出入口扉閉処理部では継続的な一連の処理を行っているため、第三認証処理により利用者が一致しない場合は、出入口扉を閉操作することができず、利用者の安全性を一層高めることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明による機械式駐車装置の出入口扉開閉制御装置によれば、予約利用者に先ず第一認証操作を行ってもらい、その後に第二認証操作を行ってもらい、先に行われた第一認証操作時と同じ利用者であるかどうか第二認証処理部で確認するようにしているため、現在の予約利用者以外の人による出入口扉の操作を阻止して、出入口扉における安全上の誤操作を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明を適用する機械式駐車装置の出入口扉を示す正面図である。
【図2】図1に示した機械式駐車装置における操作盤の拡大正面図である。
【図3】本発明の一実施例による機械式駐車装置の出入口扉開閉制御装置を示すブロック構成図である。
【図4】図2に示した液晶画面がICカード認証画面となった状態の操作盤を示す正面図である。
【図5】図4に示した液晶画面が暗証番号認証画面に切り替えられた状態の操作盤を示す正面図である。
【図6】図2に示した液晶画面が出入口扉操作中表示画面となった状態の操作盤を示す正面図である。
【図7】図3に示した機械式駐車装置の出入口扉開閉制御装置による処理動作を示すフローチャートである。
【図8】図7に示したフローチャートの後半部分の処理動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は、本発明を適用する機械式駐車装置の出入口扉を示す正面図である。
【0014】
機械式駐車装置内への出入口には、上下方向に移動して開閉される出入口扉1が付設されており、その近傍の外壁面には出入口扉1の開閉操作するための操作盤2が配置されている。この操作盤2は図示を省略した出入口扉開閉制御装置に接続されている。
【0015】
予約した利用者が駐車車両の入出庫を行う場合、その予約利用者は、先ず操作盤2から第一認証操作を行う。この第一認証操作は、操作盤2からICカードを読み取らせたり、暗証番号を入力することによって行われる。この第一認証操作を受けて出入口扉開閉制御装置は、取得したID情報などを用いて第一認証処理を行い、結果を保持する。
【0016】
予約利用者が第一認証操作を行ったとき、前の利用者によって既に処理が行われている場合、予約登録を行い、その後の条件が整った時点で予約運転が実行される。従って、操作盤2の近傍に他の利用者がいても、操作盤2から予約利用者による操作を行うことができるが、現在の利用者と、予約利用者と、近傍にいる第三の人物によって、出入口扉1を望まないタイミングで開閉させることを阻止して安全性を確保する必要がある。そのために、予約利用者に対する予約運転が実行されたとき、出入口扉1を開状態にする前に、予約利用者が一致しているかどうかを判定するために、第二認証操作と、これに基づく第二認証処理を行い、その後、出入口扉1を開状態にするようにしている。
【0017】
その後、予約利用者は、出入口扉1の向こう側に形成されている乗降室に入って駐車車両から降りたり乗り込んだりした後に、第三認証操作を行う。この第三認証操作を受けて出入口扉開閉制御装置は、予約利用者が第一認証操作または第二認証操作を行った予約利用者かどうかを判定する第三認証処理を行い、合致すると判断されたときに出入口扉1を閉状態にする。
【0018】
本実施例では、説明を簡略化するために、操作盤2を使用して予約利用者がICカードをかざしたり、または利用者が操作盤2から暗証番号を入力したりして第一認証操作、第二認証操作および第三認証操作をそれぞれ行い、出入口扉開閉制御装置は、これらの信号を受けて第一認証処理、第二認証処理および第三認証処理をそれぞれ行うように構成されているものとして説明する。
図2は、上述した操作盤2の拡大正面図である。
【0019】
操作盤2は、予約利用者に対して表示画面によって操作を促すタッチパネル式の液晶画面3と、その操作を補足する音声案内などを行うためのスピーカ4と、主に管理員などによって出入口扉1を開閉動作させるときに操作される出入口扉開ボタン5および出入口扉閉ボタン6と、緊急時に操作される緊急停止ボタン7と、予約利用者が予め所持しているICカードなどから情報を読み取るICカード読み取り部8などを有している。
図3は、本発明の一実施例による機械式駐車装置の出入口扉開閉制御装置の要部を示すブロック構成図である。
【0020】
この出入口扉開閉制御装置は、操作盤2との間での信号を送受信する信号送受信部9と、予約利用者による第一認証操作によって当該予約利用者を認証する第一認証処理部10と、この第一認証処理部10による認証処理後、直ちに当該予約利用者のための入出庫処理を行えるか、それとも予約登録を行って予約運転を行うタイミングで入出庫処理を行うかを判定するタイミング判定処理部11と、タイミング判定処理部11で判定された予約利用者のID情報などの情報を、該判定されたタイミングで記憶登録する記憶登録処理部12と、直ちに入出庫処理を行う予約利用者または予約登録される予約利用者に対して例えば前回記録情報を参照して今回操作が入庫か出庫かをそれぞれ判定し、該判定の結果に対応する搬送処理を行う搬送処理部13と、予約利用者による第二認証操作に基づいて第一認証操作を行った利用者と一致することを認証判定する第二認証処理部14と、第一認証操作と第二認証操作を行った予約利用者が一致するとの信号を受けて出入口扉1を自動で連続的に開処理を行う出入口扉開処理部15と、上述した各部や信号送受信部9からの信号を受けて操作盤2の液晶画面3を予め設定された形式に従って表示を行う液晶画面処理部16を有している。
【0021】
また出入口扉開閉制御装置は、第三認証操作を行った予約利用者が先の第一認証操作または第二認証操作を行った予約利用者と一致することを確認する第三認証処理部17と、上述した第三認証処理部17で予約利用者が一致することを確認した後に出入口扉1の閉操作を自動で連続的に行う出入口扉閉処理部18と、制御プログラムを格納した記憶部19と、本機械式駐車装置の利用者を予め登録した登録者データテーブル20と、制御プログラムに従って各部を制御する制御部21などを備えている。
【0022】
詳細については後述するが出入口扉開閉制御装置は、特に、予約利用者によるそれぞれの認証操作信号を取り込んで、記憶部19に予め格納されたプログラムに従って一連の処理を行わせるように構成されている。液晶画面3の表示などを制御する液晶画面処理部16は、液晶画面3の表示を切り替えることによって利用者の一連の操作を促したり、その操作を補足したりすることができる。
図4は、上述した液晶画面3がカード認証画面となった状態の操作盤2を示す正面図である。
【0023】
通常、操作盤2の液晶画面3はカード認証画面22で待機状態となっている。予約利用者は、このカード認証画面22から第一認証操作および第二認証操作を行うと出入口扉開処理部15による出入口扉1の開動作まで、また第三認証操作を行うと出入口扉閉処理部18による出入口扉1の閉動作まで、出入口扉開閉制御装置は一連の処理を開始する。
【0024】
このときのカード認証画面22では、その下部に「呼出操作を受け付けています。カードをタッチしてください」という文字表示23が行われたり、スピーカ4からの音声案内が追加されたり、またその操作をどのように行うかが一目瞭然となるように画面で例示したりしている。また液晶画面3には、暗証番号入力操作に切り替え表示させるテンキー表示24が設けられている。
【0025】
この液晶画面3などによって、予約利用者は不慣れであっても今行う操作と次の手順を知ることができる。そこで、自分が所持しているICカードをICカード読み取り部8にかざすと、この操作が各認証操作信号となりICカードの読み取り情報と共に出入口扉開閉制御装置側に送信される。
図5は、液晶画面3が暗証番号認証画面に切り替えられた状態の操作盤2を示す正面図である。
【0026】
予約利用者が図4に示した液晶画面3のテンキー表示24をタッチ操作すると、液晶画面処理部16によって図5に示すように液晶画面3が暗証番号認証画面25に切り替えられる。このときの暗証番号認証画面25では、その下部に「暗証番号を入力し「運転」キーを操作してください」という文字表示26が行われたり、スピーカ4からの音声案内が追加されたりする。また暗証番号認証画面25には、暗証番号を入力するためのテンキー27がメイン表示され、完了後に予約利用者によって操作されることになる運転キー28や、図4に戻るための戻キー29などが表示されている。こうして予約利用者がICカードの所持を忘れた場合でも、暗証番号認証画面25へ切り替え表示し、暗証番号の入力によって認証を行うことができる。
図6は、液晶画面3が出入口扉操作中表示画面に切り替えられた状態の操作盤2を示す正面図である。
【0027】
この出入口扉操作中表示画面30は、予約利用者が各認証操作を行った後、実際に出入口扉開処理部15または出入口扉閉処理部18によって出入口扉1が開または閉操作されるまで自動で行われることを理解するように通知するものである。この出入口扉操作中表示画面30には、「出入口扉を操作中です」などの文字表示31が含まれており、予約利用者はこの文字表示31を見て出入口開ボタン5または出入口扉閉ボタン6を自分で直接操作しなくても出入口扉1が閉じられることを知り、待つことになる。この通知によって、他の駐車装置では利用者が出入口扉閉ボタン6を直接操作する方式に慣れていたとしても、一連の自動処理の中で対応する操作が行われたことを知ることができる。
【0028】
また液晶画面3は、第一認証操作、第二認証操作および第三認証操作の前に、一連の操作が完了した時点で、図4に示した初期画面に戻るため、予約利用者は認証操作が求められていることを容易に推測することができる。しかし、スピーカ4からの音声や他の文字表示31によって、この要求を一層分かり易くすることもできる。
図7および図8は、本発明の一実施例による機械式駐車装置の出入口扉開閉制御装置による処理動作を示すフローチャートである。
【0029】
出入口扉開閉制御装置は、第一認証処理部10および液晶画面処理部16によって液晶画面3を図4で説明したカード認証画面22に切り替えて待機している。予約利用者が図4に示したカード認証画面22に従って自分が所持しているICカードをICカード読み取り部8にかざしたとする。すると、ステップS1で、第一認証操作の開始信号と、ICカード読み取り部8で読み取ったデータとが信号送受信部9へと送信される。
【0030】
このとき予約利用者がICカードを忘れてしまい暗証番号の入力にしたい場合は、図4のテンキー表示24をタッチすると、図5に示した暗証番号認証画面25に切り替えられる。そこで、予約利用者はテンキー27を操作して暗証番号を入力すると、第一認証操作の開始信号と、暗証番号の入力信号が信号送受信部9へと送信される。
【0031】
いずれの場合も、この信号を受けた出入口扉開閉制御装置では一連の処理が開始され、出入口扉1の実際の開処理に先立って、第一認証処理部10ではステップS2で、実際の認証処理が行われる。第一認証処理部10では第一認証処理を実行し、取得したデータを用いて予約利用者として記憶する。
【0032】
一方、第一認証処理の結果、登録者データテーブル20に駐車装置利用者として格納した登録者に該当しない場合は、ステップS3に移行してエラー表示処理がなされ、エラー表示画面に切り替えられたりスピーカ4からエラーメッセージが音声出力されたりする。
【0033】
次いで、タイミング判定処理部11は、ステップS4で直ちに入出庫運転可能か、それとも予約運転となるかを判定する。先の利用者による処理が継続していて完了していなければ、今回の予約利用者は予約登録扱いとする。記憶登録処理部12では、タイミング判定処理部11による処理が確定したとき、例えばステップS5で今回のICカードのデータまたは暗証番号や入出庫情報などを記憶部19に格納する。
【0034】
その後、搬送処理部13は、条件が整ったタイミングで今回の予約利用者に対する予約運転を開始させ、ステップS6で当該予約利用者に対する車両搬送処理が行われる。例えば、出庫であれば、当該予約利用者の駐車車両が乗降室に準備される。
【0035】
搬送処理部13からステップS7で予約運転中か又は予約運転完了かの信号を受けると、液晶画面処理部16は図4に示したように操作盤2の液晶画面3などにより予約登録者に対して第二認証を行うように促す。そこで予約登録者は、ステップS8でICカードをICカード読み取り部8にかざす。すると第二認証処理部14は、ステップS9で、第二認証操作の開始信号およびICカード読み取り部8で読み取ったデータと、先に取得している第一認証時のデータとを照合して、二度目の認証処理を行う。
【0036】
この二度目の第二認証処理によって、ステップS9で第一認証を行った予約利用者と一致することが確認されると、出入口扉開処理部15はステップS10で出入口扉1を自動で開く。ステップS9の判定で一致しない場合は、ステップS11でエラー表示が行われる。
【0037】
こうして予約利用者が操作を行うとき、操作盤2の近傍には複数の利用者や同乗者などの他の第三者がいると、操作盤2からの操作と車両搬送処理との間で混乱を生じさせる危険があるが、予約利用者に対する二度の第一認証処理および第二認証処理による一致が確認されるので、誤処理や安全上の問題発生を防止することができる。
【0038】
出入口扉1が開いた後、利用者は、入庫の場合には出入口の前に停車させておいた駐車車両内に再び乗り込んで運転して、乗降室内に準備された所定位置に駐車車両を停車させる。その後、乗降室内における作業を完了した利用者は、開扉状態の出入口から出て再び操作盤2の前へと移動する。出庫の場合は、乗降室内に準備された駐車車両に乗り込んで運転して乗降室から出て、再び操作盤2の前へと移動する。
【0039】
この時点で、液晶画面処理部16は、液晶画面3を図4に示したカード認証画面22に切り替えている。カード認証画面22の文字表示23やスピーカ4からの音声案内などに従って、利用者は、自分が所持しているICカードを再びICカード読み取り部8に再びかざす。すると、図8に示すように今回の操作がステップS12で第三認証操作として検出され、ステップS13でICカード読み取り部8から読み取られたICカードのデータが第三認証操作の開始信号と共に信号送受信部9へと送信される。
【0040】
このとき利用者がICカードを忘れてしまい暗証番号の入力にしたい場合は、図4のテンキー表示24をタッチすると、図5に示した暗証番号認証画面25となる。そこで、利用者はテンキー27を操作して暗証番号を入力すると、その入力信号と第三認証操作の開始信号とが信号送受信部9へと送信される。
【0041】
いずれの場合も、出入口扉開閉制御装置における第三認証処理部17が図8に示したステップS13でこれらの送信信号を受信すると、第三認証処理部17は、記憶部19に今回格納された第一認証処理時及び第二認証時のICカードまたは暗証番号のデータを取り出して、今回の第三認証操作で取得したデータが一致するかを判定する。
【0042】
この第三認証処理の結果、第一認証処理時の利用者と一致しない場合は、ステップS14に移行してエラー表示処理がなされ、エラー表示画面に切り替えられたりスピーカ4からエラーメッセージが音声出力されたりする。一方、ステップS13の判定で、第一認証時及び第二認証時と今回の第三認証時のデータが一致すると判定された場合、第三認証処理部17を通して信号を受けた液晶画面処理部16は、液晶画面3を図6に示した出入口扉操作中表示画面30に切り替える。
【0043】
出入口扉操作中表示画面30には、「出入口扉を操作中です」などの文字表示31があり、一連の自動継続処理の中で出入口扉1を閉じる処理が既に受け付けられていることを利用者に通知することになる。これによって予約利用者は、出入口扉閉ボタン6を自分で直接操作しなくても出入口扉1が閉じられることを事前に知ることができる。その後、処理の最後として、出入口扉閉処理部18は、ステップS15で出入口扉1を実際に閉じる。
【0044】
このような一連の処理を行うため、操作盤2の近傍には予約利用者以外に他の利用者やその他の第三者が存在しても出入口扉の誤操作を防止して安全性を向上した機械式駐車装置の出入口扉開閉制御装置を提供できる。例えば、第一認証操作を行った予約利用者が乗降室内でまだ作業を行っているときに、他の人が操作盤2を誤操作して出入口扉1が閉じられることを防止することができる。また、現在の予約利用者が操作盤2の前に立って第三認証操作に没頭したり戸惑ったりしているときに、他の同乗者などが乗降室内に入り込んでしまう危険があるが、一連の処理としての円滑な流れの中で、作業者も円滑な操作を行うことができるので戸惑うこともない。
【0045】
特に、現在入出庫操作を行っている予約登録者がいる時に、操作盤2の近傍に複数の人がいると、出入口扉1における安全上の誤操作が生じ易い状況となる。しかし、予約利用者に対しては、予約運転の後に、第二認証操作を行ってもらい、先に行われた第一認証操作時と同じ予約利用者であるかどうか第二認証処理部14で確認するようにしているため、現在の予約利用者以外の人による出入口扉1の操作を阻止して、出入口扉1における安全上の誤操作を防止することができる。
【0046】
しかも、従来では第三認証操作の後に、利用者によって出入口扉閉ボタン6を操作することにより出入口扉1を閉処理するようにしていたが、この場合、第三認証操作後に、利用者自身が忘れ物などをしたことを思い出し、しかも、まだ出入口扉閉ボタン6を自分が操作していないという理由で乗降室内に入ると、次の利用者によって出入口扉閉ボタン6を操作されてしまい、本来の利用者が乗降室内に閉じ込められてしまう危険がある。しかし、第一認証処理を行うと一連の処理が自動継続で進行して出入口扉1の閉扉処理まで行われるため、安全性を高めることができる。また、非常に使い勝手の良い操作盤2とすることができる。
【0047】
上述した実施例では、液晶画面処理部16によって液晶画面3の表示を少なくともカード認証画面22、暗証番号認証画面25、出入口扉操作中画面30を切り替え表示可能なものとして説明したが、一部を省略したり、さらに他の表示画面を追加したりすることができ、また各表示画面の構成も図示のものに限定するものではない。
【0048】
また、上記実施例では、予約操作を操作盤2で行うようにしたが、予約は、予約専用装置、例えば、待合室やエントランスに設けた予約操作盤や電話予約装置を用いても良い。
【0049】
以上説明したように本発明は、予約利用者による第一認証操作に基づいて第一の認証を行第一認証処理部10と、第一認証処理部10による認証後に対応する車両の予約処理を行う搬送処理部13と、搬送処理部13による準備完了後に予約利用者によって行われる第二認証操作に基づいて第一認証操作を行った予約利用者と同一人物かを認証判定する第二認証処理部14と、第二認証処理部14による一致が判定された後に自動で連続的に前記出入口扉を開く出入口扉開処理部15とを設けたことを特徴とする。
【0050】
このような構成によれば、予約利用者に先ず第一認証操作を行ってもらい、その後に第二認証操作を行ってもらい、先に行われた第一認証操作時と同じ利用者であるかどうか第二認証処理部14で確認するようにしているため、現在の予約利用者以外の人による出入口扉1の操作を阻止して、出入口扉1における安全上の誤操作を防止することができる。
【0051】
また本発明は、上述の構成に加えて、第三認証処理部17は、出入口扉1を閉じる前に予約利用者による第三認証操作に基づいて第一認証操作及び第二認証操作を行った予約利用者と一致するか認証判定を行い、出入口扉閉処理部18は、第三認証処理部17による一致を確認した後に出入口扉1を自動で連続的に閉処理することを特徴とする。
【0052】
このような構成によれば、第三認証処理部17および出入口扉閉処理部18では継続的な一連の処理を行っているため、第三認証処理により利用者が一致しない場合、出入口扉1が閉操作されることがなく、利用者の安全性を一層高めることができる。
【符号の説明】
【0053】
1 出入口扉
2 操作盤
10 第一認証処理部
11 予約判定処理部
13 搬送処理部
14 第二認証処理部
15 出入口扉開処理部
17 第三認証処理部
18 出入口扉閉処理部
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
出入口扉を開く出入口扉開処理部と、前記出入口扉を閉じる出入口扉閉処理部とを有する機械式駐車装置の出入口扉開閉制御装置において、
予約利用者の操作盤でのICカード読み取り又は暗証番号入力による第一認証 操作に基づいて第一の認証を行う第一認証処理部と、
前記第一認証処理部による認証処理後、直ちに当該予約利用者のための入出庫 処理を行えるか、それとも予約登録を行って予約運転を行うタイミングで入出庫 処理を行うかを判定するタイミング判定処理部と、
前記タイミング判定処理部で判定された予約利用者のID情報などの情報を、 該判定されたタイミングで記憶登録する記憶登録処理部と、
直ちに入出庫処理を行う予約利用者または予約登録される予約利用者に対して 入庫か出庫かをそれぞれ判定し、該判定の結果に対応する搬送処理を行う搬送処 理部と、
前記搬送処理部による準備完了後に前記予約利用者の前記操作盤での前記ICカード読み取り又は暗証番号入力による第二認証操作に基づいて前記第一認証操作を行った前記予約利用者と同一人物かを認証判定する第二認証処理部と、
前記第二認証処理部による一致が判定された後に自動で前記出入口扉を開く出入口扉開処理部とを設け、かつ、
前記出入口扉を閉じる前に予約利用者の前記操作盤での前記ICカード読み取り又は暗証番号入力による第三認証操作に基づいて前記第一認証操作及び前記第二認証操作を行った予約利用者と一致するか認証判定を行う第三認証処理部を有し、
前記出入口扉閉処理部は、前記第三認証処理部による前記第一認証操作及び前記第二認証操作を行った予約利用者であることの一致を確認した後に前記出入口扉を自動で閉処理することで、前記第三認証操作の前後で前記予約利用者が前記操作盤の出入口扉閉ボタンの操作を行わないことを特徴とする機械式駐車装置の出入口扉開閉制御装置。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2022-06-27 
出願番号 P2015-218932
審決分類 P 1 651・ 121- ZAA (E04H)
最終処分 06   取消
特許庁審判長 住田 秀弘
特許庁審判官 森次 顕
有家 秀郎
登録日 2019-12-20 
登録番号 6632337
権利者 日精株式会社
発明の名称 機械式駐車装置の出入口扉開閉制御装置  
代理人 中島 愼一  
代理人 中島 愼一  

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