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審決分類 |
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備 C08J 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 C08J 審判 全部申し立て 2項進歩性 C08J 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 C08J |
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管理番号 | 1390565 |
総通号数 | 11 |
発行国 | JP |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2022-11-25 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2021-10-14 |
確定日 | 2022-09-13 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | true |
事件の表示 | 特許第6856826号発明「吸水性樹脂粒子」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6856826号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項[1−7]、[8−9]、[10−11]について、訂正することを認める。 特許第6856826号の請求項1ないし11に係る特許を維持する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第6856826号(以下、「本件特許」という。)の請求項1ないし11に係る特許についての出願は、2020年(令和2年)4月16日(優先権主張 2019年(平成31年)4月23日)を国際出願日とする特許出願であって、令和3年3月22日にその特許権の設定登録(請求項の数11)がされ、同年4月14日に特許掲載公報が発行され、その後、その特許に対し、同年10月14日に特許異議申立人 株式会社日本触媒(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立て(対象請求項:請求項1ないし11)がされ、令和4年1月31日付けで取消理由が通知され、同年4月7日に特許権者 住友精化株式会社(以下、「特許権者」という。)より訂正の請求がなされるとともに意見書の提出がされ、同年4月14日付けで訂正請求があった旨の特許法第120条の5第5項に基づく通知を行ったところ、申立人からの応答がなかったものである。 第2 訂正の適否についての判断 1 訂正の内容 本件訂正請求による訂正の内容は、以下のとおりである。(下線は、訂正箇所について当審が付したものである。) (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に「0〜15」とあるのを、「13〜15」に訂正すると共に、「である、吸水性樹脂粒子。」とあるのを、「であり、無加圧DW5分値が30ml/g以上である、吸水性樹脂粒子。」に訂正する。 請求項1の記載を直接又は間接的に引用する請求項3ないし7についても同様に訂正する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2に「無加圧DW5分値が30ml/g以上である、請求項1に記載の吸水性樹脂粒子。」とあるのを、「(メタ)アクリル酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むエチレン性不飽和単量体に由来する構造単位を有する架橋重合体を含む吸水性樹脂粒子であって、(メタ)アクリル酸及びその塩の割合が前記架橋重合体中の単量体単位全量に対して70〜100モル%であり、下記式により表される吸収効率指数が0〜15であり、無加圧DW5分値が30ml/g以上であり、2.07kPa荷重下吸水量が33ml/g以上である、吸水性樹脂粒子。 吸収効率指数=[(C−A)/A]×100 A:吸水性樹脂粒子の生理食塩水吸水量 C:吸水性樹脂粒子1g当たりのみかけ吸水量=(B1−B2)/10 B1:吸水性樹脂粒子10g及び粉砕パルプ8gを空気混合により均一混合して形成されたシート状吸収体を備える、吸水性樹脂粒子を含有するB1測定用吸収性物品の吸水量 B2:吸水性樹脂粒子10gを含まないこと以外は前記B1測定用吸収性物品と同様の構成を有するB2測定用吸収性物品の吸水量」に訂正する。 請求項2の記載を直接又は間接的に引用する請求項3ないし7についても同様に訂正する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項8に「0〜15」とあるのを、「13〜15」に訂正すると共に、「である吸水性樹脂粒子」とあるのを、「であり、無加圧DW5分値が30ml/g以上である吸水性樹脂粒子」に訂正する。 請求項8の記載を引用する請求項9についても同様に訂正する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項10に「0〜15」とあるのを、「13〜15」に訂正すると共に、「に調整する」とあるのを、「に、無加圧DW5分値を30ml/g以上に調整する」に訂正する。 請求項10の記載を引用する請求項11についても同様に訂正する。 上記訂正事項1及び2は、請求項1ないし7という一群の請求項に係る訂正であり、訂正事項3は、請求項8及び9という一群の請求項に係る訂正であり、訂正事項4は、請求項10及び11という一群の請求項に係る訂正である。 2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び、特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)訂正事項1に係る請求項1及び3ないし7の訂正ついて 訂正事項1に係る請求項1の訂正は、請求項1の「0〜15」との数値範囲を「13〜15」に減縮するとともに、吸水性樹脂粒子の「無加圧DW5分値」を「30ml/g以上である」と特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項1に係る請求項1の訂正は、明細書の段落【0007】及び【0136】の【表1】の記載からみて、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 訂正事項1に係る請求項3ないし7の訂正についても同様である。 (2)訂正事項2に係る請求項2及び3ないし7の訂正について 訂正事項2に係る請求項2の訂正は、訂正前の請求項2が訂正前の請求項1を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、請求項1を引用しないものとするとともに、吸水性樹脂粒子について「2.07kPa加重下吸水量が33ml/g以上」と特定するものであるから、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること、及び、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項2に係る請求項2の訂正は、明細書の段落【0026】及び【0109】の記載からみて、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 訂正事項2に係る請求項3ないし7に係る訂正についても同様である。 (3)訂正事項3に係る請求項8及び9の訂正について 訂正事項3に係る請求項8の訂正は、訂正前の請求項8の「0〜15」との数値範囲を「13〜15」に減縮するとともに、吸水性樹脂粒子について「無加圧DW5分値を30ml/g以上である」と特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項3に係る請求項8の訂正は、明細書の段落【0007】及び【0136】の【表1】の記載からみて、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 訂正事項3に係る請求項9の訂正についても同様である。 (4)訂正事項4に係る請求項10及び11の訂正ついて 訂正事項4に係る請求項10の訂正は、訂正前の請求項10の「0〜15」との数値範囲を「13〜15」に減縮するとともに、吸水性樹脂粒子について「無加圧DW5分値を30ml/g以上に調整する」と特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項4に係る請求項10の訂正は、明細書の段落【0007】及び【0136】の【表1】の記載からみて、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 訂正事項4に係る請求項11の訂正についても同様である。 3 訂正の適否についてのまとめ 以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 したがって、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項[1−7]、[8−9]、[10−11]について訂正することを認める。 第3 本件発明 上記第2のとおりであるから、本件特許の請求項1ないし11に係る発明(以下、「本件発明1」ないし「本件発明11」という。)は、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1ないし11に記載された事項により特定された次のとおりのものである。 「【請求項1】 (メタ)アクリル酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むエチレン性不飽和単量体に由来する構造単位を有する架橋重合体を含む吸水性樹脂粒子であって、(メタ)アクリル酸及びその塩の割合が前記架橋重合体中の単量体単位全量に対して70〜100モル%であり、下記式により表される吸収効率指数が13〜15であり、 無加圧DW5分値が30ml/g以上である、吸水性樹脂粒子。 吸収効率指数=[(C−A)/A]×100 A:吸水性樹脂粒子の生理食塩水吸水量 C:吸水性樹脂粒子1g当たりのみかけ吸水量=(B1−B2)/10 B1:吸水性樹脂粒子10g及び粉砕パルプ8gを空気混合により均一混合して形成されたシート状吸収体を備える、吸水性樹脂粒子を含有するB1測定用吸収性物品の吸水量 B2:吸水性樹脂粒子10gを含まないこと以外は前記B1測定用吸収性物品と同様の構成を有するB2測定用吸収性物品の吸水量 【請求項2】 (メタ)アクリル酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むエチレン性不飽和単量体に由来する構造単位を有する架橋重合体を含む吸水性樹脂粒子であって、(メタ)アクリル酸及びその塩の割合が前記架橋重合体中の単量体単位全量に対して70〜100モル%であり、下記式により表される吸収効率指数が0〜15であり、無加圧DW5分値が30ml/g以上であり、2.07kPa荷重下吸水量が33ml/g以上である、吸水性樹脂粒子。 吸収効率指数=[(C−A)/A]×100 A:吸水性樹脂粒子の生理食塩水吸水量 C:吸水性樹脂粒子1g当たりのみかけ吸水量=(B1−B2)/10 B1:吸水性樹脂粒子10g及び粉砕パルプ8gを空気混合により均一混合して形成されたシート状吸収体を備える、吸水性樹脂粒子を含有するB1測定用吸収性物品の吸水量 B2:吸水性樹脂粒子10gを含まないこと以外は前記B1測定用吸収性物品と同様の構成を有するB2測定用吸収性物品の吸水量 【請求項3】 生理食塩水吸水量が30g/g以上である、請求項1又は2に記載の吸水性樹脂粒子。 【請求項4】 前記架橋重合体における表面架橋剤の使用量が、エチレン性不飽和単量体1モルに対して0.01〜20ミリモルである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の吸水性樹脂粒子。 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか一項に記載の吸水性樹脂粒子を含有する、吸収体。 【請求項6】 請求項5に記載の吸収体を備える、吸収性物品。 【請求項7】 おむつである、請求項6に記載の吸収性物品。 【請求項8】 (メタ)アクリル酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むエチレン性不飽和単量体に由来する構造単位を有する架橋重合体を含む吸水性樹脂粒子の製造方法であって、(メタ)アクリル酸及びその塩の割合が前記架橋重合体中の単量体単位全量に対して70〜100モル%であり、下記式により表される吸収効率指数が13〜15であり、無加圧DW5分値が30ml/g以上である吸水性樹脂粒子を選別することを含む、吸水性樹脂粒子の製造方法。 吸収効率指数=[(C−A)/A]×100 A:吸水性樹脂粒子の生理食塩水吸水量 C:吸水性樹脂粒子1g当たりのみかけ吸水量=(B1−B2)/10 B1:吸水性樹脂粒子10g及び粉砕パルプ8gを空気混合により均一混合して形成されたシート状吸収体を備える、吸水性樹脂粒子を含有するB1測定用吸収性物品の吸水量 B2:吸水性樹脂粒子10gを含まないこと以外は前記B1測定用吸収性物品と同様の構成を有するB2測定用吸収性物品の吸水量 【請求項9】 前記架橋重合体における表面架橋剤の使用量が、エチレン性不飽和単量体1モルに対して0.01〜20ミリモルである、請求項8に記載の製造方法。 【請求項10】 下記式により表される吸水性樹脂粒子の吸収効率指数を13〜15に、無加圧DW5分値が30ml/g以上に調整することを含み、 前記吸水性樹脂粒子が、(メタ)アクリル酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むエチレン性不飽和単量体に由来する構造単位を有する架橋重合体を含み、(メタ)アクリル酸及びその塩の割合が前記架橋重合体中の単量体単位全量に対して70〜100モル%である、吸水性樹脂粒子を含有する吸収体の傾斜状態での吸水性能を改善する方法。 吸収効率指数=[(C−A)/A]×100 C:吸水性樹脂粒子1g当たりのみかけ吸水量=(B1−B2)/10 A:吸水性樹脂粒子の生理食塩水吸水量 B1:吸水性樹脂粒子10g及び粉砕パルプ8gを空気混合により均一混合して形成されたシート状吸収体を備える、吸水性樹脂粒子を含有するB1測定用吸収性物品の吸水量 B2:吸水性樹脂粒子10gを含まないこと以外は前記B1測定用吸収性物品と同様の構成を有するB2測定用吸収性物品の吸水量 【請求項11】 前記架橋重合体における表面架橋剤の使用量が、エチレン性不飽和単量体1モルに対して0.01〜20ミリモルである、請求項10に記載の方法。」 第4 特許異議申立書に記載した申立ての理由の概要 令和3年10月14日に申立人が提出した特許異議申立書(以下、「申立書」という。)に記載した申立ての理由の概要は次のとおりである。 1 申立理由1(甲第1号証に基づく新規性・進歩性) 本件特許の請求項1ないし11に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるか、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1号証に記載された発明に基づいて、その優先日前にこの発明の属する技術分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1ないし11に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。 2 申立理由2(甲第2号証に基づく新規性・進歩性) 本件特許の請求項1ないし11に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第2号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるか、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第2号証に記載された発明に基づいて、その優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1ないし11に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。 3 申立理由3(甲第3号証に基づく新規性・進歩性) 本件特許の請求項1ないし11に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第3号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるか、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第3号証に記載された発明に基づいて、その優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1ないし11に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。 4 申立理由4(甲第4号証に基づく新規性・進歩性) 本件特許の請求項1ないし9に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第4号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるか、本件特許の請求項1ないし11に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第4号証に記載された発明に基づいて、その優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1ないし11に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。 5 申立理由5(甲第5号証に基づく新規性・進歩性) 本件特許の請求項1ないし11に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第5号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるか、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第5号証に記載された発明に基づいて、その優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1ないし11に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。 6 申立理由6(甲第6号証に基づく新規性・進歩性) 本件特許の請求項1ないし9に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第6号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるか、本件特許の請求項1ないし11に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第6号証に記載された発明に基づいて、その優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1ないし11に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。 7 申立理由7(甲第7号証に基づく新規性・進歩性) 本件特許の請求項1ないし11に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第7号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるか、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第7号証に記載された発明に基づいて、その優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1ないし11に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。 8 申立理由8(甲第8号証に基づく新規性・進歩性) 本件特許の請求項1ないし11に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第8号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるか、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第8号証に記載された発明に基づいて、その優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1ないし11に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。 9 申立理由9(甲第9号証に基づく新規性・進歩性) 本件特許の請求項1ないし9に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第9号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるか、本件特許の請求項1ないし11に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第9号証に記載された発明に基づいて、その優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1ないし11に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。 10 申立理由10(甲第10号証に基づく進歩性) 本件特許の請求項1ないし9に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第10号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるか、本件特許の請求項1ないし11に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第10号証に記載された発明及び甲第11ないし15号証に記載の事項に基づいて、その優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1ないし11に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。 11 申立理由11(サポート要件) 本件特許の請求項1及び請求項4ないし11に係る特許は、下記の点で特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し取り消すべきものである。 本件発明の解決すべき課題は、「傾斜状態での吸収性能に優れる吸収性物品を与える吸水性樹脂粒子を提供すること」であり、本件特許明細書によれば(段落【0128】)、投入4回で240秒のうちに160mlの液吸収が必要とされているが、請求項1の吸収効率指数は60分(生理食塩水吸水量(A))および30分のB1測定用吸収性物品の吸水量(B1))から計算される無次元の値で、吸収効率指数が0〜15を満たすとしても、B1とAとが共に低い値を取れば、本件発明の課題を解決できない範囲を含むことは明らかである。(甲21の吸水性樹脂参照)そうすると、本件発明1、8、10には、初期の吸水速度が遅い吸水性樹脂粒子が含まれており、これらは本件発明の課題を解決しない範囲を含む。 よって、本件発明1、8、10およびこれらを引用する4ないし7、9、11は、サポート要件欠如により取り消されるべきである。 12 申立理由12(明確性要件) 本件特許の請求項8及び9に係る特許は、下記の点で特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し取り消すべきものである。 請求項8に関し、吸収効率指数が0〜15を満たすものが得られることで選別されたと言えるのか、あるいは、吸収効率指数が0〜15を満たさないものが必須に存在する中から吸収効率指数が0〜15を満たすものを選別するのか明確ではない。仮に吸収効率指数が0〜15を満たさないものが必須に存在する中から選別するとすれば、吸収効率指数を測定する工程が必須であるが、明細書にはその記載が無く、請求項にも規定されていない。また1粒ごとに選別するのか、他の方法で選別するのかについて本件明細書を参照しても不明である。 よって、本件発明8及びこれを引用する本件発明9は明確でなく、明確性欠如によりと取消されるべきである。 13 申立理由13(実施可能要件) 本件特許の請求項8ないし11に係る特許は、下記の点で特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し取り消すべきものである。 本件発明8及び本件発明10に特定された吸水性樹脂粒子の製造方法、及び方法は、甲1〜10に記載された吸水性樹脂粒子において相違点がないことはすでに説明した通りであり、吸収効率指数を評価する方法は記載されているが、吸収効率指数を調整するための方法、及び選別するための方法について何ら開示がなく、製造された吸水性樹脂粒子の吸収効率指数を評価するのみでは、その評価対象である吸水性樹脂粒子の物性に反映されないことは自明であることから、本件明細書には、本件発明8、10およびこれらを引用する本件発明9、11を実施できるように記載されていない。 14 証拠方法 甲第1号証:国際公開第2018/155591号 甲第2号証:特開2001−98170号公報 甲第3号証:国際公開第2016/204302号 甲第4号証:国際公開第2016/088848号 甲第5号証:特開2003−192732号公報 甲第6号証:国際公開第2015/129917号 甲第7号証:特開2004−1355号公報 甲第8号証:国際公開第2011/086843号 甲第9号証:国際公開第2016/104374号 甲第10号証:国際公開第2006/054487号 甲第11号証:特開平7−25917号公報 甲第12号証:特開平9−157313号公報 甲第13号証:特開平6−293802号公報 甲第14号証:特開平7−33804号公報 甲第15号証:特開2003−26706号公報 甲第16号証:Modern Superabsorbent Polymer Technology (1997) 甲第17号証:実験成績証明書(甲第1号証の製造例2と製造例23の追試) 甲第18号証:実験成績証明書(甲第2号証の実施例10の追試) 甲第19号証:実験成績証明書(甲第3号証の実施例30の追試) 甲第20号証:実験成績証明書(甲第4号証の実施例15の追試) 甲第21号証:特開2012−7062号公報 なお、証拠の表記は、申立書の記載におおむね従った。以下、順に「甲1」のようにいう。 第5 取消理由通知に記載した取消理由の概要 当審が令和4年1月31日付けで特許権者に通知した取消理由通知書の概要は、次のとおりである。 1 取消理由1−1(甲1に基づく新規性) 本件特許の請求項1ないし11に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲1に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1ないし11に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。 2 取消理由1−2(甲2に基づく新規性) 本件特許の請求項1ないし11に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲2に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1ないし11に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。 3 取消理由1−3(甲3に基づく新規性) 本件特許の請求項1ないし11に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲3に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1ないし11に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。 4 取消理由1−4(甲4に基づく新規性) 本件特許の請求項1ないし11に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲4に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1ないし11に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。 5 取消理由2−1(甲1に基づく進歩性) 本件特許の請求項1ないし11に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲1に記載された発明に基づいて、その優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1ないし11に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。 6 取消理由2−2(甲2に基づく進歩性) 本件特許の請求項1ないし11に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲2に記載された発明に基づいて、その優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1ないし11に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。 7 取消理由2−3(甲3に基づく進歩性) 本件特許の請求項1ないし11に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲3に記載された発明に基づいて、その優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1ないし11に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。 8 取消理由2−4(甲4に基づく進歩性) 本件特許の請求項1ないし11に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲4に記載された発明に基づいて、その優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1ないし11に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。 9 取消理由3(サポート要件) 本件特許の請求項1及び4ないし11に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し取り消すべきものである。 なお、上記取消理由は、申立人の申立理由1ないし4及び11と同旨である。 第6 取消理由についての当審の判断 以下に述べるように、当審が令和4年1月31日付けで特許権者に通知した取消理由通知書での取消理由には理由がないと判断する。 1 取消理由1−1及び2−1(甲1に基づく新規性・進歩性)について (1)甲1に記載された発明 甲1の特許請求の範囲の請求項1、請求項40、段落【0018】、【0023】、【0034】、【0035】、【0081】、【0155】、【0207】〜【0279】、【0289】、【0465】、【0474】〜【0477】、【0513】、【0559】〜【0734】の記載から、製造例2の粒子状含水ゲル(2)及び製造例(23)の粒子状含水ゲル(23)として記載されている発明(以下、それぞれ、「甲1製造例2発明」、「甲1製造例23発明」という。)及びそれぞれの粒子状含水ゲル(2)及び(23)の製造方法として記載されている発明(以下、それぞれ、「甲1製造例2製法発明」、「甲1製造例23製法発明」という。)が記載されていると認める。 <甲1製造例2発明> 「アクリル酸300質量部、48質量%の水酸化ナトリウム水溶液100質量部、ポリエチレングリコールジアクリレート(平均n数9)0.61質量部、1.0質量%のエチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)5ナトリウム水溶液6.5質量部及び脱イオン水346.1質量部からなる単量体水溶液(b)を調製し、次に、40℃に調温した上記単量体水溶液(b)を定量ポンプで連続供給した後、さらに48質量%の水酸化ナトリウム水溶液150.6質量部を連続的にラインミキシングし、次に、4質量%の過硫酸ナトリウム水溶液14.6質量部を連続的にラインミキシングした後、両端に堰を備えた平面状の重合ベルトを有する連続重合機に、厚さが10mmとなるように連続的に供給し、その後、重合(重合時間3分間)が連続的に行われ、帯状の含水ゲル(b)を得、得られた帯状の含水ゲル(b)を重合ベルトの進行方向に対して幅方向に、切断長が300mmとなるように等間隔に連続して切断することで、短冊状の含水ゲル(b)を得、得られた短冊状の含水ゲル(b)を、先端部に直径100mm、孔径8mm、孔数40個、開孔率25.6%、厚さ10mmの多孔板が備えられ、スクリュー軸の外径は86mmであるスクリュー押出機に供給してゲル粉砕を行って得られた、含水率が52.5質量%、質量平均粒子径(D50)が860μm、粒度分布の対数標準偏差(σδ)が0.95である粒子状含水ゲル(2)。」 <甲1製造例2製法発明> 「アクリル酸300質量部、48質量%の水酸化ナトリウム水溶液100質量部、ポリエチレングリコールジアクリレート(平均n数9)0.61質量部、1.0質量%のエチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)5ナトリウム水溶液6.5質量部及び脱イオン水346.1質量部からなる単量体水溶液(b)を調製し、次に、40℃に調温した上記単量体水溶液(b)を定量ポンプで連続供給した後、さらに48質量%の水酸化ナトリウム水溶液150.6質量部を連続的にラインミキシングし、次に、4質量%の過硫酸ナトリウム水溶液14.6質量部を連続的にラインミキシングした後、両端に堰を備えた平面状の重合ベルトを有する連続重合機に、厚さが10mmとなるように連続的に供給し、その後、重合(重合時間3分間)が連続的に行われ、帯状の含水ゲル(b)を得、得られた帯状の含水ゲル(b)を重合ベルトの進行方向に対して幅方向に、切断長が300mmとなるように等間隔に連続して切断することで、短冊状の含水ゲル(b)を得、得られた短冊状の含水ゲル(b)を、先端部に直径100mm、孔径8mm、孔数40個、開孔率25.6%、厚さ10mmの多孔板が備えられ、スクリュー軸の外径は86mmであるスクリュー押出機に供給してゲル粉砕を行って得られた、含水率が52.5質量%、質量平均粒子径(D50)が860μm、粒度分布の対数標準偏差(σδ)が0.95である粒子状含水ゲル(2)の製造方法。」 <甲1製造例23発明> 「アクリル酸300質量部、48質量%の水酸化ナトリウム水溶液100質量部、ポリエチレングリコールジアクリレート(平均n数9)0.94質量部、0.1質量%のジエチレントリアミン五酢酸三ナトリウム水溶液16.4質量部及び脱イオン水314.3質量部からなる単量体水溶液(a)を調製し、次に、38℃に調温した上記単量体水溶液(a)を定量ポンプで連続供給した後、さらに48質量%の水酸化ナトリウム水溶液150.6質量部を連続的にラインミキシングし、次に4質量%の過硫酸ナトリウム水溶液14.6質量部を連続的にラインミキシングした後、両端に堰を備えた平面状の重合ベルトを有する連続重合機に、厚さが10mmとなるように連続的に供給し、その後、重合(重合時間3分間)が連続的に行われ、帯状の含水ゲル(b)を得、得られた帯状の含水ゲル(b)を重合ベルトの進行方向に対して幅方向に、切断長が300mmとなるように等間隔に連続して切断することで、短冊状の含水ゲル(a)を得、得られた短冊状の含水ゲル(a)を、先端部に直径100mm、孔径9.5mm、孔数40個、開孔率36.1%、厚さ10mmの多孔板が備えられ、スクリュー軸の外径は86mmであるスクリュー押出機に供給してゲル粉砕を行って得られた、粒子状含水ゲル(1)のゲル粉砕終了後、1分間以内に上記粒子状含水ゲル(1)を通気ベルト式連続乾燥機の通気ベルト上に載置(この時点での粒子状含水ゲル(1)の温度は80℃)し、185℃の熱風を30分間通気させることで乾燥し、熱風の平均風速は、通気ベルトの進行方向に対して垂直方向に1.0m/sであり、次いで、上記乾燥後に得られた乾燥重合体(1)全量を3段ロールミルに供給して粉砕し、その後、目開き710μm及び175μmのJIS標準篩を用いて分級することで、不定形破砕状の吸水性樹脂粉末(1)を得、次に、前記吸水性樹脂粉末(1)100質量部に対して、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.025質量部、1,4−ブタンジオール0.4質量部、プロピレングリコール0.6質量部及び脱イオン水3.0質量部からなる表面架橋剤溶液(1)を添加して、均一になるまで混合し、その後、得られる吸水性樹脂粒子(1)のCRCが35g/gとなるように、190℃で45分間程度、加熱処理し、その後、60℃まで強制冷却し、次に、上記操作で得られた吸水性樹脂粒子(1)について、上述したペイントシェーカーテストを実施し、製造プロセス相当のダメージを付与し、その後、吸水性樹脂粉末(1)100質量部に対して、ジエチレントリアミン五酢酸三ナトリウム0.01質量部及び脱イオン水1質量部からなるキレート剤水溶液(1)1.01質量部を添加して、均一になるまで混合し、その後、60℃で1時間乾燥し、得られた結果物を目開き710μmのJIS標準篩に通過させ、その後、二酸化ケイ素(商品名:アエロジル200、日本アエロジル製)0.4質量部を添加して、均一になるまで混合して得られた粒子状吸水剤(23)。」 <甲1製造例23製法発明> 「アクリル酸300質量部、48質量%の水酸化ナトリウム水溶液100質量部、ポリエチレングリコールジアクリレート(平均n数9)0.94質量部、0.1質量%のジエチレントリアミン五酢酸三ナトリウム水溶液16.4質量部及び脱イオン水314.3質量部からなる単量体水溶液(a)を調製し、次に、38℃に調温した上記単量体水溶液(a)を定量ポンプで連続供給した後、さらに48質量%の水酸化ナトリウム水溶液150.6質量部を連続的にラインミキシングし、次に4質量%の過硫酸ナトリウム水溶液14.6質量部を連続的にラインミキシングした後、両端に堰を備えた平面状の重合ベルトを有する連続重合機に、厚さが10mmとなるように連続的に供給し、その後、重合(重合時間3分間)が連続的に行われ、帯状の含水ゲル(a)を得、得られた帯状の含水ゲル(a)を重合ベルトの進行方向に対して幅方向に、切断長が300mmとなるように等間隔に連続して切断することで、短冊状の含水ゲル(a)を得、得られた短冊状の含水ゲル(a)を、先端部に直径100mm、孔径9.5mm、孔数40個、開孔率36.1%、厚さ10mmの多孔板が備えられ、スクリュー軸の外径は86mmであるスクリュー押出機に供給してゲル粉砕を行って得られた、粒子状含水ゲル(1)のゲル粉砕終了後、1分間以内に上記粒子状含水ゲル(1)を通気ベルト式連続乾燥機の通気ベルト上に載置(この時点での粒子状含水ゲル(1)の温度は80℃)し、185℃の熱風を30分間通気させることで乾燥し、熱風の平均風速は、通気ベルトの進行方向に対して垂直方向に1.0m/sであり、次いで、上記乾燥後に得られた乾燥重合体(1)全量を3段ロールミルに供給して粉砕し、その後、目開き710μm及び175μmのJIS標準篩を用いて分級することで、不定形破砕状の吸水性樹脂粉末(1)を得、次に、前記吸水性樹脂粉末(1)100質量部に対して、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.025質量部、1,4−ブタンジオール0.4質量部、プロピレングリコール0.6質量部及び脱イオン水3.0質量部からなる表面架橋剤溶液(1)を添加して、均一になるまで混合し、その後、得られる吸水性樹脂粒子(1)のCRCが35g/gとなるように、190℃で45分間程度、加熱処理し、その後、60℃まで強制冷却し、次に、上記操作で得られた吸水性樹脂粒子(1)について、上述したペイントシェーカーテストを実施し、製造プロセス相当のダメージを付与し、その後、吸水性樹脂粉末(1)100質量部に対して、ジエチレントリアミン五酢酸三ナトリウム0.01質量部及び脱イオン水1質量部からなるキレート剤水溶液(1)1.01質量部を添加して、均一になるまで混合し、その後、60℃で1時間乾燥し、得られた結果物を目開き710μmのJIS標準篩に通過させ、その後、二酸化ケイ素(商品名:アエロジル200、日本アエロジル製)0.4質量部を添加して、均一になるまで混合して得られた粒子状吸水剤(23)の製造方法。」 (2)本件発明1について ア 甲1製造例2発明との対比・判断 本件発明1と甲1製造例2発明とを対比する。 甲1製造例2発明の「粒子状含水ゲル(2)」は、本件発明1の「吸水性樹脂粒子」に相当する。 また、甲1製造例2発明の製造に用いられているモノマー成分と配合量からみて、甲1製造例2発明は、本件発明1の「(メタ)アクリル酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むエチレン性不飽和単量体に由来する構造単位を有する架橋重合体を含む吸水性樹脂粒子であって、(メタ)アクリル酸及びその塩の割合が前記架橋重合体中単量体単位全量に対して70〜100モル%であり」を満足している。 そうすると、本件発明1と甲1製造例2発明は次の点で一致する。 <一致点> 「(メタ)アクリル酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むエチレン性不飽和単量体に由来する単量体単位を有する架橋重合体を含む重合体粒子と、該重合体粒子の表面上に配置された複数の無機粒子と、を含み、(メタ)アクリル酸及びその塩の割合が前記架橋重合体中の単量体単位全量に対して70〜100モル%である、吸水性樹脂粒子。」 そして、両者は次の点で相違する。 <相違点1−1> 吸水性樹脂粒子に関し、本件発明1においては、「下記式により表される吸収効率指数が13〜15である 吸収効率指数=[(C−A)/A]×100 A:吸水性樹脂粒子の生理食塩水吸水量 C:吸水性樹脂粒子1g当たりのみかけ吸水量=(B1−B2)/10 B1:吸水性樹脂粒子10g及び粉砕パルプ8gを空気混合により均一混合して形成されたシート状吸収体を備える、吸水性樹脂粒子を含有するB1測定用吸収性物品の吸水量 B2:吸水性樹脂粒子10gを含まないこと以外は前記B1測定用吸収性物品と同様の構成を有するB2測定用吸収性物品の吸水量」と特定されているのに対し、甲1製造例2発明においては、そのようには特定されていない点 <相違点1−2> 吸水性樹脂に関し、本件発明1においては、「無加圧DW5分値が30ml/g以上である」と特定されているのに対し、甲1製造例2発明においては、そのようには特定されていない点 相違点1−1について検討する。 まず、新規性について検討する。 甲17(実験成績証明書)によると、甲1製造例2発明の粒子状含水ゲル(2)における「吸収効率指数」は7であるので、相違点1−1は、実質上の相違点である。 そうすると、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1製造例2発明、すなわち、甲1に記載された発明でない。 次に、進歩性について検討する。 相違点1−1に係る発明特定事項を開示する文献は提示されておらず、当業者において、相違点1−1に係る発明特定事項が周知であったものともいえない。 そして、甲1製造例2発明において、相違点1−1に係る発明特定事項とする動機もない。 してみれば、甲1製造例2発明において、相違点1−1に係る発明特定事項とすることは当業者といえども容易に想到し得たことではない。 したがって、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1製造例2発明、すなわち、甲1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 イ 甲1製造例23発明との対比・判断 本件発明1と甲1製造例23発明とを対比すると、上記アと同様であるから、本件発明1と甲1製造例23発明は、上記アに記載の一致点で一致し、上記アに記載の相違点1−1及び相違点1−2で相違する。 そこで、相違点1−1について検討する。 甲17(実験成績証明書)によると、甲1製造例23発明の粒子状吸水剤(23)における「吸収効率指数」は9であるので、相違点1−1は、実質上の相違点である。そして、上記アと同様に判断されるので、本件発明1は、甲1製造例23発明、すなわち、甲1に記載された発明であるとはいえないし、甲1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 (3)本件発明2について ア 甲1製造例2発明との対比・判断 本件発明2と甲1製造例2発明とを対比すると、上記(2)アで検討したとおりの相当関係が成り立つから、本件発明2と甲1製造例2発明は次の点で一致する。 <一致点> 「(メタ)アクリル酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むエチレン性不飽和単量体に由来する単量体単位を有する架橋重合体を含む重合体粒子と、該重合体粒子の表面上に配置された複数の無機粒子と、を含み、(メタ)アクリル酸及びその塩の割合が前記架橋重合体中の単量体単位全量に対して70〜100モル%である、吸水性樹脂粒子。」 そして、両者は次の点で相違する。 <相違点1−3> 吸水性樹脂粒子に関し、本件発明2においては、「下記式により表される吸収効率指数が0〜15である 吸収効率指数=[(C−A)/A]×100 A:吸水性樹脂粒子の生理食塩水吸水量 C:吸水性樹脂粒子1g当たりのみかけ吸水量=(B1−B2)/10 B1:吸水性樹脂粒子10g及び粉砕パルプ8gを空気混合により均一混合して形成されたシート状吸収体を備える、吸水性樹脂粒子を含有するB1測定用吸収性物品の吸水量 B2:吸水性樹脂粒子10gを含まないこと以外は前記B1測定用吸収性物品と同様の構成を有するB2測定用吸収性物品の吸水量」と特定されているのに対し、甲1製造例2発明においては、そのようには特定されていない点 <相違点1−4> 吸水性樹脂に関し、本件発明2においては、「2.07kPa荷重下吸水量が33ml/g以上である」と特定されているのに対し、甲1製造例2発明においては、そのようには特定されていない点 事案に鑑み、相違点1−4について検討する。 まず、新規性について検討する。 甲17によると、甲1製造例2発明の粒子状含水ゲル(2)における「2.07kPa荷重下吸水量」は24ml/gであるので、相違点1−4は、実質上の相違点である。 そうすると、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明2は、甲1製造例2発明、すなわち、甲1に記載された発明でない。 次に、進歩性について検討する。 甲1製造例2発明において、「2.07kPa荷重下吸水量」という特定の指標の数値のみを変更する動機はないから、甲1製造例2発明において、相違点1−4に係る発明特定事項とすることは当業者といえども容易に想到し得たことではない。 したがって、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明2は、甲1製造例2発明、すなわち、甲1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 イ 甲1製造例23発明との対比・判断 本件発明1と甲1製造例23発明とを対比すると、上記アと同様であるから、本件発明2と甲1製造例23発明は、上記アに記載の一致点で一致し、上記アに記載の相違点1−3及び相違点1−4で相違する。 そこで、相違点1−4について検討する。 甲17によると、甲1製造例23発明の粒子状吸水剤(23)における「2.07kPa荷重下吸水量」は24ml/gであるので、相違点1−4は、実質上の相違点である。そして、上記アと同様に判断されるので、本件発明2は、甲1製造例23発明、すなわち、甲1に記載された発明であるとはいえないし、甲1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 (4)本件発明3ないし7について 本件発明3ないし7は、いずれも、請求項1又は2を直接又は間接的に引用するものであって、請求項1又は2に記載された発明特定事項を全て備えるものであるから、本件発明1又は2と同様に、甲1製造例2発明又は甲1製造例23発明、すなわち、甲1に記載された発明でないし、甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることできたものでもない。 (5)本件発明8について 本件発明8と甲1製造例2製法発明又は甲1製造例23製法発明とを対比すると、上記(2)で検討したとおりの相当関係が成り立つから、本件発明8と甲1製造例2製法発明又は甲1製造例23製法発明は次の点で一致する。 <一致点> 「(メタ)アクリル酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むエチレン性不飽和単量体に由来する単量体単位を有する架橋重合体を含む重合体粒子と、該重合体粒子の表面上に配置された複数の無機粒子と、を含み、(メタ)アクリル酸及びその塩の割合が前記架橋重合体中の単量体単位全量に対して70〜100モル%である、吸水性樹脂粒子の製造方法。」 そして、両者は次の点で相違する。 <相違点1−5> 本件発明8においては、「下記式により表される吸収効率指数が13〜15である吸水性樹脂粒子を選別することを含む、 吸収効率指数=[(C−A)/A]×100 A:吸水性樹脂粒子の生理食塩水吸水量 C:吸水性樹脂粒子1g当たりのみかけ吸水量=(B1−B2)/10 B1:吸水性樹脂粒子10g及び粉砕パルプ8gを空気混合により均一混合して形成されたシート状吸収体を備える、吸水性樹脂粒子を含有するB1測定用吸収性物品の吸水量 B2:吸水性樹脂粒子10gを含まないこと以外は前記B1測定用吸収性物品と同様の構成を有するB2測定用吸収性物品の吸水量」と特定されているのに対し、甲1製造例2製法発明又は甲1製造例23製法発明においては、そのようには特定されていない点 <相違点1−6> 吸水性樹脂に関し、本件発明8においては、「無加圧DW5分値が30ml/g以上である」と特定されているのに対し、甲1製造例2製法発明又は甲1製造例23製法発明においては、そのようには特定されていない点 上記相違点について検討すると、相違点1−5は、上記(2)アにおける相違点1−1と実質的に同じであるから、その判断は、上記(2)ア及びイのとおりである。 よって、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明8は、甲1製造例2製法発明又は甲1製造例23製法発明、すなわち、甲1に記載された発明であるとはいえないし、甲1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 (6)本件発明9について 本件発明9は、請求項8を直接引用するものであって、請求項8に記載された発明特定事項を全て備えるものであるから、本件発明8と同様に、甲1に記載された発明でないし、甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることできたものでもない。 (7)本件発明10について 本件発明10と甲1製造例2製法発明又は甲1製造例23製法発明とを対比すると、上記(2)で検討したとおりの相当関係が成り立つから、本件発明10と甲1製造例2製法発明又は甲1製造例23製法発明は次の点で一致する。 <一致点> 「(メタ)アクリル酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むエチレン性不飽和単量体に由来する単量体単位を有する架橋重合体を含む重合体粒子と、該重合体粒子の表面上に配置された複数の無機粒子と、を含み、(メタ)アクリル酸及びその塩の割合が前記架橋重合体中の単量体単位全量に対して70〜100モル%である、吸水性樹脂粒子の方法。」 そして、両者は次の点で相違する。 <相違点1−7> 本件発明10においては、「下記式により表される吸収効率指数が13〜15に調整することを含み、 吸収効率指数=[(C−A)/A]×100 A:吸水性樹脂粒子の生理食塩水吸水量 C:吸水性樹脂粒子1g当たりのみかけ吸水量=(B1−B2)/10 B1:吸水性樹脂粒子10g及び粉砕パルプ8gを空気混合により均一混合して形成されたシート状吸収体を備える、吸水性樹脂粒子を含有するB1測定用吸収性物品の吸水量 B2:吸水性樹脂粒子10gを含まないこと以外は前記B1測定用吸収性物品と同様の構成を有するB2測定用吸収性物品の吸水量 」と特定されているのに対し、甲1製造例2製法発明又は甲1製造例23製法発明においては、そのようには特定されていない点 <相違点1−8> 本件発明10においては、「吸水性樹脂粒子を含有する吸収体の傾斜状態での吸収性能を改善する」と特定されているのに対し、甲1製造例2製法発明又は甲1製造例23製法発明においては、そのようには特定されていない点 上記相違点について検討すると、相違点1−7は、上記(2)アにおける相違点1−1と実質的に同じであるから、その判断は、上記(2)ア及びイのとおりである。 よって、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明10は、甲1製造例2製法発明又は甲1製造例23製法発明、すなわち、甲1に記載された発明であるとはいえないし、甲1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 (8)本件発明11について 本件発明11は、請求項10を直接引用するものであって、請求項10に記載された発明特定事項を全て備えるものであるから、本件発明10と同様に、甲1に記載された発明でないし、甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることできたものでもない。 (9)まとめ 以上のとおりであるから、取消理由1−1及び2−1は、理由がない。 2 取消理由1−2及び2−2(甲2に基づく新規性・進歩性)について (1)甲2に記載された発明 甲2の発明の詳細な説明の段落【0004】、【0006】、【0019】、【0022】〜【0042】、【0049】〜【0063】、【0067】、【0068】及び【0072】の記載から、実施例10の吸水剤組成物(10)として記載されている発明(以下、「甲2実施例10発明」という。)及び当該吸水性樹脂(10)の製造方法として記載されている発明(以下、「甲2実施例10製法発明」という。)として、以下の発明が記載されていると認める。 <甲2実施例10発明> 「中和率75モル%のアクリル酸ナトリウム(親水性不飽和単量体)33重量%水溶液5,500gに、内部架橋剤としてのポリエチレングリコールジアクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数8)4.46gを溶解させて反応液とし、次に、この反応液を、窒素ガス雰囲気下で30分間脱気し、次いで、シグマ型羽根を2本有する内容積10Lのジャケット付きステンレス製双腕型ニーダーに蓋を取り付けて形成した反応器に、上記の反応液を供給し、反応液を25℃に保ちながら系を窒素ガス置換し、続いて、反応液を攪拌しながら、重合開始剤としての過硫酸アンモニウム2.4gおよびL−アスコルビン酸0.12gを添加したところ、およそ1分後に重合が開始し、25〜90℃で重合を行い、重合を開始してから40分後に反応を終了して含水ゲル状重合体を取り出し、得られた含水ゲル状重合体は、その径が約5mmに細分化されており、この細分化された含水ゲル状重合体を50メッシュ(目開きの大きさ300μm)の金網上に広げ、170℃で70分間熱風乾燥し、次いで、乾燥物を振動ミルを用いて粉砕後、分級し、不定形破砕状の吸水性樹脂前駆体(b)を得、得られた吸水性樹脂前駆体(b)100重量部に、プロピレングリコール0.7重量部と、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.02重量部、水2重量部、エチルアルコール0.7重量部とからなる表面架橋剤水溶液を混合し、上記の混合物を185℃で40分間加熱処理することにより得られた、無加圧下吸収倍率は43g/g、加圧下吸収倍率は32g/g、平均粒径は430μmであり、粒径が106μm未満の粒子の割合は3重量%である、吸水性樹脂(b)100gに、過通液緩衝剤としての微粒子状の親水性二酸化ケイ素(商品名・アエロジル200(1次粒子の平均粒径約12nm);日本アエロジル株式会社製)0.3gを添加・混合(ドライブレンド)して得られた吸水剤組成物(10)。」 <甲2実施例10製法発明> 「中和率75モル%のアクリル酸ナトリウム(親水性不飽和単量体)33重量%水溶液5,500gに、内部架橋剤としてのポリエチレングリコールジアクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数8)4.46gを溶解させて反応液とし、次に、この反応液を、窒素ガス雰囲気下で30分間脱気し、次いで、シグマ型羽根を2本有する内容積10Lのジャケット付きステンレス製双腕型ニーダーに蓋を取り付けて形成した反応器に、上記の反応液を供給し、反応液を25℃に保ちながら系を窒素ガス置換し、続いて、反応液を攪拌しながら、重合開始剤としての過硫酸アンモニウム2.4gおよびL−アスコルビン酸0.12gを添加したところ、およそ1分後に重合が開始し、25〜90℃で重合を行い、重合を開始してから40分後に反応を終了して含水ゲル状重合体を取り出し、得られた含水ゲル状重合体は、その径が約5mmに細分化されており、この細分化された含水ゲル状重合体を50メッシュ(目開きの大きさ300μm)の金網上に広げ、170℃で70分間熱風乾燥し、次いで、乾燥物を振動ミルを用いて粉砕後、分級し、不定形破砕状の吸水性樹脂前駆体(b)を得、得られた吸水性樹脂前駆体(b)100重量部に、プロピレングリコール0.7重量部と、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.02重量部、水2重量部、エチルアルコール0.7重量部とからなる表面架橋剤水溶液を混合し、上記の混合物を185℃で40分間加熱処理することにより得られた、無加圧下吸収倍率は43g/g、加圧下吸収倍率は32g/g、平均粒径は430μmであり、粒径が106μm未満の粒子の割合は3重量%である、吸水性樹脂(b)100gに、過通液緩衝剤としての微粒子状の親水性二酸化ケイ素(商品名・アエロジル200(1次粒子の平均粒径約12nm);日本アエロジル株式会社製)0.3gを添加・混合(ドライブレンド)して得られた吸水剤組成物(10)の製造方法。」 (2)本件発明1について 本件発明1と甲2実施例10発明とを対比する。 甲2実施例10発明の「吸水剤組成物(10)」は、平均粒径は430μmである吸水性樹脂(b)100gに、過通液緩衝剤としての微粒子状の親水性二酸化ケイ素0.3gを添加・混合して得られたものであるから、本件発明1の「吸水性樹脂粒子」に相当する。 また、甲2実施例10発明の製造に用いられているモノマー成分と配合量からみて、甲2実施例10発明は、本件発明1の「(メタ)アクリル酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むエチレン性不飽和単量体に由来する構造単位を有する架橋重合体を含む吸水性樹脂粒子であって、(メタ)アクリル酸及びその塩の割合が前記架橋重合体中単量体単位全量に対して70〜100モル%であり」を満足している。 そうすると、本件発明1と甲2実施例10発明は次の点で一致する。 <一致点> 「(メタ)アクリル酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むエチレン性不飽和単量体に由来する単量体単位を有する架橋重合体を含む重合体粒子と、該重合体粒子の表面上に配置された複数の無機粒子と、を含み、(メタ)アクリル酸及びその塩の割合が前記架橋重合体中の単量体単位全量に対して70〜100モル%である、吸水性樹脂粒子。」 そして、両者は次の点で一応相違する。 <相違点2−1> 吸水性樹脂粒子に関し、本件発明1においては、「下記式により表される吸収効率指数が13〜15である 吸収効率指数=[(C−A)/A]×100 A:吸水性樹脂粒子の生理食塩水吸水量 C:吸水性樹脂粒子1g当たりのみかけ吸水量=(B1−B2)/10 B1:吸水性樹脂粒子10g及び粉砕パルプ8gを空気混合により均一混合して形成されたシート状吸収体を備える、吸水性樹脂粒子を含有するB1測定用吸収性物品の吸水量 B2:吸水性樹脂粒子10gを含まないこと以外は前記B1測定用吸収性物品と同様の構成を有するB2測定用吸収性物品の吸水量」と特定されているのに対し、甲2実施例10発明においては、そのようには特定されていない点 <相違点2−2> 吸水性樹脂に関し、本件発明1においては、「無加圧DW5分値が30ml/g以上である」と特定されているのに対し、甲2実施例10発明においては、そのようには特定されていない点 相違点2−1について検討する。 まず、新規性について検討する。 甲18(実験成績証明書)によると、甲2実施例10発明の吸水剤組成物(10)における「吸収効率指数」は0であるので、相違点2−1は、実質上の相違点である。 そうすると、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲2実施例10発明、すなわち、甲2に記載された発明でない。 次に、進歩性について検討する。 相違点2−1に係る発明特定事項を開示する文献は提示されておらず、当業者において、相違点2−1に係る発明特定事項が周知であったものともいえない。 そして、甲2実施例10発明において、相違点2−1に係る発明特定事項とする動機もない。 してみれば、甲2実施例10発明において、相違点2−1に係る発明特定事項とすることは当業者といえども容易に想到し得たことではない。 したがって、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲2実施例10発明、すなわち、甲2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (3)本件発明2について 本件発明2と甲2実施例10発明とを対比すると上記(2)と同様な相当関係が成り立つから、本件発明2と甲2実施例10発明は次の点で一致する。 <一致点> 「(メタ)アクリル酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むエチレン性不飽和単量体に由来する単量体単位を有する架橋重合体を含む重合体粒子と、該重合体粒子の表面上に配置された複数の無機粒子と、を含み、(メタ)アクリル酸及びその塩の割合が前記架橋重合体中の単量体単位全量に対して70〜100モル%である、吸水性樹脂粒子。」 そして、両者は次の点で相違する。 <相違点2−3> 吸水性樹脂粒子に関し、本件発明2においては、「下記式により表される吸収効率指数が0〜15である 吸収効率指数=[(C−A)/A]×100 A:吸水性樹脂粒子の生理食塩水吸水量 C:吸水性樹脂粒子1g当たりのみかけ吸水量=(B1−B2)/10 B1:吸水性樹脂粒子10g及び粉砕パルプ8gを空気混合により均一混合して形成されたシート状吸収体を備える、吸水性樹脂粒子を含有するB1測定用吸収性物品の吸水量 B2:吸水性樹脂粒子10gを含まないこと以外は前記B1測定用吸収性物品と同様の構成を有するB2測定用吸収性物品の吸水量」と特定されているのに対し、甲2実施例10発明においては、そのようには特定されていない点 <相違点2−4> 吸水性樹脂に関し、本件発明2においては、「2.07kPa荷重下吸水量が33ml/g以上である」と特定されているのに対し、甲2実施例10発明においては、そのようには特定されていない点 事案に鑑み、相違点2−4について検討する。 まず、新規性について検討する。 甲18によると、甲2実施例10発明の吸水剤組成物(10)における「2.07kPa荷重下吸水量」は19ml/gであるので、相違点2−4は、実質上の相違点である。 そうすると、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明2は、甲2実施例10発明、すなわち、甲2に記載された発明でない。 次に、進歩性について検討する。 甲2実施例10発明において、「2.07kPa荷重下吸水量」という特定の指標の数値のみを変更する動機はないから、甲2実施例10発明において、相違点2−4に係る発明特定事項とすることは当業者といえども容易に想到し得たことではない。 したがって、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明2は、甲2実施例10発明、すなわち、甲2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (4)本件発明3ないし7について 本件発明3ないし7は、いずれも、請求項1又は2を直接又は間接的に引用するものであって、請求項1又は2に記載された発明特定事項を全て備えるものであるから、本件発明1又は2と同様に、甲2実施例10発明、すなわち、甲2に記載された発明でないし、甲2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることできたものでもない。 (5)本件発明8について 本件発明8と甲2実施例10製法発明とを対比すると、上記(2)で検討したとおりの相当関係が成り立つから、本件発明8と甲2実施例10製法発明は次の点で一致する。 <一致点> 「(メタ)アクリル酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むエチレン性不飽和単量体に由来する単量体単位を有する架橋重合体を含む重合体粒子と、該重合体粒子の表面上に配置された複数の無機粒子と、を含み、(メタ)アクリル酸及びその塩の割合が前記架橋重合体中の単量体単位全量に対して70〜100モル%である、吸水性樹脂粒子の製造方法。」 そして、両者は次の点で相違する。 <相違点2−5> 本件発明8においては、「下記式により表される吸収効率指数が13〜15である吸水性樹脂粒子を選別することを含む、 吸収効率指数=[(C−A)/A]×100 A:吸水性樹脂粒子の生理食塩水吸水量 C:吸水性樹脂粒子1g当たりのみかけ吸水量=(B1−B2)/10 B1:吸水性樹脂粒子10g及び粉砕パルプ8gを空気混合により均一混合して形成されたシート状吸収体を備える、吸水性樹脂粒子を含有するB1測定用吸収性物品の吸水量 B2:吸水性樹脂粒子10gを含まないこと以外は前記B1測定用吸収性物品と同様の構成を有するB2測定用吸収性物品の吸水量」と特定されているのに対し、甲2実施例10製法発明においては、そのようには特定されていない点 <相違点2−6> 吸水性樹脂に関し、本件発明8においては、「無加圧DW5分値が30ml/g以上である」と特定されているのに対し、甲2実施例10製法発明においては、そのようには特定されていない点 相違点2−5について検討すると、相違点2−5は、上記(2)における相違点2−1と実質的に同じであるから、その判断は、上記(2)のとおりである。 よって、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明8は、甲2実施例10製法発明、すなわち、甲2に記載された発明であるとはいえないし、甲2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 (6)本件発明9について 本件発明9は、請求項8を直接引用するものであって、請求項8に記載された発明特定事項を全て備えるものであるから、本件発明8と同様に、甲2に記載された発明でないし、甲2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることできたものでもない。 (7)本件発明10について 本件発明10と甲2実施例10製法発明とを対比すると、上記(2)で検討したとおりの相当関係が成り立つから、本件発明10と甲2実施例10製法発明は次の点で一致する。 <一致点> 「(メタ)アクリル酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むエチレン性不飽和単量体に由来する単量体単位を有する架橋重合体を含む重合体粒子と、該重合体粒子の表面上に配置された複数の無機粒子と、を含み、(メタ)アクリル酸及びその塩の割合が前記架橋重合体中の単量体単位全量に対して70〜100モル%である、吸水性樹脂粒子の方法。」 そして、両者は次の点で相違する。 <相違点2−7> 本件発明10においては、「下記式により表される吸収効率指数が13〜15に調整することを含み、 吸収効率指数=[(C−A)/A]×100 A:吸水性樹脂粒子の生理食塩水吸水量 C:吸水性樹脂粒子1g当たりのみかけ吸水量=(B1−B2)/10 B1:吸水性樹脂粒子10g及び粉砕パルプ8gを空気混合により均一混合して形成されたシート状吸収体を備える、吸水性樹脂粒子を含有するB1測定用吸収性物品の吸水量 B2:吸水性樹脂粒子10gを含まないこと以外は前記B1測定用吸収性物品と同様の構成を有するB2測定用吸収性物品の吸水量 」と特定されているのに対し、甲2実施例10製法発明においては、そのようには特定されていない点 <相違点2−8> 本件発明10においては、「吸水性樹脂粒子を含有する吸収体の傾斜状態での吸収性能を改善する」と特定されているのに対し、甲2実施例10製法発明においては、そのようには特定されていない点 相違点2−7について検討すると、相違点2−7は、上記(2)における相違点2−1と実質的に同じであるから、その判断は、上記(2)のとおりである。 よって、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明10は、甲2実施例10製法発明、すなわち、甲2に記載された発明であるとはいえないし、甲2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 (8)本件発明11について 本件発明11は、請求項10を直接引用するものであって、請求項10に記載された発明特定事項を全て備えるものであるから、本件発明10と同様に、甲2に記載された発明でないし、甲2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることできたものでもない。 (9)まとめ 以上のとおりであるから、取消理由1−2及び2−2は、理由がない。 3 取消理由1−3及び2−3(甲3に基づく新規性・進歩性)について (1)甲3に記載された発明 甲3の特許請求の範囲の請求項1、段落【0028】、【0032】、【0034】、【0041】〜【0042】、【0057】、【0325】〜【0368】、【0412】、【0436】〜【0441】、【0474】〜【0634】の記載から、実施例30の粒子状吸水剤(EX−30)として記載されている発明(以下、「甲3実施例30発明」という。)及び当該粒子状吸水剤(EX−30)の製造方法として記載されている発明(以下、「甲3実施例30製法発明」という。)として、以下の発明が記載されていると認める。 <甲3実施例30発明> 「温度計、窒素ガス導入管および排気孔を備えた蓋と底面300mm×220mm、深さ60mmのバットからなる反応容器に、アクリル酸170g、37重量%アクリル酸ナトリウム水溶液1800g、ポリエチレングリコールジアクリレート(重量平均分子量523)1.73g、アンヒトール20BS(花王株式会社製、有効成分30重量%)2.090g(モノマー成分に対して有効成分で0.075重量%)および脱イオン水216gを供給混合し、20℃の水浴に底から10mmの高さまで浸し、この水溶液に窒素ガスを導入し20分間脱気し、この溶液が20℃になったのを確認後、窒素気流雰囲気下20重量%過硫酸ナトリウム水溶液6.61g、および0.1重量%L−アスコルビン酸水溶液6.33gを添加し、攪拌混合し、重合開始後、重合系は攪拌せず、引き続き20℃の水浴に反応容器を浸して冷却を行い、最高到達温度を示した後、水浴の温度を70℃にして20分間重合反応を行い、含水ゲル状架橋重合体(GK30)を得、得られた含水ゲル状架橋重合体(GK30)をブロック状に切り分け、ユニパック(株式会社生産日本社製)に入れ、恒温器内に1時間静置し60℃に恒温させ、60℃に恒温させた含水ゲル状架橋重合体(GK8)を、シートヒーターを用いて60℃に暖めたスクリュー押出機に供給しゲル粉砕し、該スクリュー押出機としては、先端部に直径100mm、孔径3.2mm、孔数316個、開口率32.3%、厚さ10mmの多孔板が供えられた、スクリュー軸の外径が86mm、ケーシング内径が88mmであるミートチョッパーを使用し、該ミートチョッパーのスクリュー軸回転数を225rpmとして、含水ゲル状架橋重合体(GK30)を1680g/minで供給し、1回通すことにより含水ゲル状架橋重合体粉砕物(GKF30)を得、得られた含水ゲル状架橋重合体粉砕物(GKF30)を、185℃、30分間熱風乾燥機で乾燥し、乾燥物を得、その後ロールミル(有限会社井ノ口技研社製)で粉砕し、目開き850μm、600μm、500μm、300μm、150μmを有する篩で篩い分けた後、850μmを通過し600μmを通過しない粒子が3重量%、600μmを通過し500μmを通過しない粒子が10重量%、500μmを通過し300μmを通過しない粒子が54重量%、300μmを通過し150μmを通過しない粒子が31重量%、150μmを通過し45μmを通過しない粒子が2重量%に調合することにより、吸水性樹脂粉末(B30)を得、吸水性樹脂粉末(B1)100重量部に、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.025重量部と、エチレンカーボネート0.3重量部と、プロピレングリコール0.5重量部と、脱イオン水2.0重量部とからなる表面架橋剤溶液を噴霧することによって混合し、上記の混合物を200℃で20分間加熱処理することにより、表面架橋された吸水性樹脂粒子(S30)を得、表面架橋された吸水性樹脂粒子(S1)100重量部に対して、キレート剤として、1重量%のDTPA(ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム)水溶液1重量部を攪拌しながら添加し、1分間混合し、次いで60℃の熱風乾燥機中に30分間放置してから、目開き850μmの金網を通過させ、フュームドシリカ(アエロジル200、日本アエロジル株式会社製)0.6重量部を混合し、混合は表面架橋された吸水性樹脂粒子(S1)30gを容量225mlのマヨネーズ瓶にヒュームドシリカと共に入れ、ペイントシェーカーを用いて3分間振とうすることで行って得られた粒子状吸水剤(EX−30)。」 <甲3実施例30製法発明> 「温度計、窒素ガス導入管および排気孔を備えた蓋と底面300mm×220mm、深さ60mmのバットからなる反応容器に、アクリル酸170g、37重量%アクリル酸ナトリウム水溶液1800g、ポリエチレングリコールジアクリレート(重量平均分子量523)1.73g、アンヒトール20BS(花王株式会社製、有効成分30重量%)2.090g(モノマー成分に対して有効成分で0.075重量%)および脱イオン水216gを供給混合し、20℃の水浴に底から10mmの高さまで浸し、この水溶液に窒素ガスを導入し20分間脱気し、この溶液が20℃になったのを確認後、窒素気流雰囲気下20重量%過硫酸ナトリウム水溶液6.61g、および0.1重量%L−アスコルビン酸水溶液6.33gを添加し、攪拌混合し、重合開始後、重合系は攪拌せず、引き続き20℃の水浴に反応容器を浸して冷却を行い、最高到達温度を示した後、水浴の温度を70℃にして20分間重合反応を行い、含水ゲル状架橋重合体(GK30)を得、得られた含水ゲル状架橋重合体(GK30)をブロック状に切り分け、ユニパック(株式会社生産日本社製)に入れ、恒温器内に1時間静置し60℃に恒温させ、60℃に恒温させた含水ゲル状架橋重合体(GK8)を、シートヒーターを用いて60℃に暖めたスクリュー押出機に供給しゲル粉砕し、該スクリュー押出機としては、先端部に直径100mm、孔径3.2mm、孔数316個、開口率32.3%、厚さ10mmの多孔板が供えられた、スクリュー軸の外径が86mm、ケーシング内径が88mmであるミートチョッパーを使用し、該ミートチョッパーのスクリュー軸回転数を225rpmとして、含水ゲル状架橋重合体(GK30)を1680g/minで供給し、1回通すことにより含水ゲル状架橋重合体粉砕物(GKF30)を得、得られた含水ゲル状架橋重合体粉砕物(GKF30)を、185℃、30分間熱風乾燥機で乾燥し、乾燥物を得、その後ロールミル(有限会社井ノ口技研社製)で粉砕し、目開き850μm、600μm、500μm、300μm、150μmを有する篩で篩い分けた後、850μmを通過し600μmを通過しない粒子が3重量%、600μmを通過し500μmを通過しない粒子が10重量%、500μmを通過し300μmを通過しない粒子が54重量%、300μmを通過し150μmを通過しない粒子が31重量%、150μmを通過し45μmを通過しない粒子が2重量%に調合することにより、吸水性樹脂粉末(B30)を得、吸水性樹脂粉末(B1)100重量部に、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.025重量部と、エチレンカーボネート0.3重量部と、プロピレングリコール0.5重量部と、脱イオン水2.0重量部とからなる表面架橋剤溶液を噴霧することによって混合し、上記の混合物を200℃で20分間加熱処理することにより、表面架橋された吸水性樹脂粒子(S30)を得、表面架橋された吸水性樹脂粒子(S1)100重量部に対して、キレート剤として、1重量%のDTPA(ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム)水溶液1重量部を攪拌しながら添加し、1分間混合し、次いで60℃の熱風乾燥機中に30分間放置してから、目開き850μmの金網を通過させ、フュームドシリカ(アエロジル200、日本アエロジル株式会社製)0.6重量部を混合し、混合は表面架橋された吸水性樹脂粒子(S1)30gを容量225mlのマヨネーズ瓶にヒュームドシリカと共に入れ、ペイントシェーカーを用いて3分間振とうすることで行って得られた粒子状吸水剤(EX−30)の製造方法。」 (2)本件発明1について 本件発明1と甲3実施例30発明とを対比する。 甲3実施例30発明の「粒子状吸水剤(EX−30)」は、本件発明1の「吸水性樹脂粒子」に相当する。 また、甲3実施例30発明の製造に用いられているモノマー成分と配合量からみて、甲3実施例30発明は、本件発明1の「(メタ)アクリル酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むエチレン性不飽和単量体に由来する構造単位を有する架橋重合体を含む吸水性樹脂粒子であって、(メタ)アクリル酸及びその塩の割合が前記架橋重合体中単量体単位全量に対して70〜100モル%であり」を満足している。 そうすると、本件発明1と甲3実施例30発明は次の点で一致する。 <一致点> 「(メタ)アクリル酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むエチレン性不飽和単量体に由来する単量体単位を有する架橋重合体を含む重合体粒子と、該重合体粒子の表面上に配置された複数の無機粒子と、を含み、(メタ)アクリル酸及びその塩の割合が前記架橋重合体中の単量体単位全量に対して70〜100モル%である、吸水性樹脂粒子。」 そして、両者は次の点で一応相違する。 <相違点3−1> 吸水性樹脂粒子に関し、本件発明1においては、「下記式により表される吸収効率指数が13〜15である 吸収効率指数=[(C−A)/A]×100 A:吸水性樹脂粒子の生理食塩水吸水量 C:吸水性樹脂粒子1g当たりのみかけ吸水量=(B1−B2)/10 B1:吸水性樹脂粒子10g及び粉砕パルプ8gを空気混合により均一混合して形成されたシート状吸収体を備える、吸水性樹脂粒子を含有するB1測定用吸収性物品の吸水量 B2:吸水性樹脂粒子10gを含まないこと以外は前記B1測定用吸収性物品と同様の構成を有するB2測定用吸収性物品の吸水量」と特定されているのに対し、甲3実施例30発明においては、そのようには特定されていない点 <相違点3−2> 吸水性樹脂に関し、本件発明1においては、「無加圧DW5分値が30ml/g以上である」と特定されているのに対し、甲3実施例30発明においては、そのようには特定されていない点 相違点3−1について検討する。 まず、新規性について検討する。 甲19(実験成績証明書)によると、甲3実施例30発明の粒子状吸水剤(EX−30)における「吸収効率指数」は11であるので、相違点3−1は、実質上の相違点である。 そうすると、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲3実施例30発明、すなわち、甲3に記載された発明でない。 次に、進歩性について検討する。 相違点3−1に係る発明特定事項を開示する文献は提示されておらず、当業者において、相違点3−1に係る発明特定事項が周知であったものともいえない。 そして、甲3実施例30発明において、相違点3−1に係る発明特定事項とする動機もない。 してみれば、甲3実施例30発明において、相違点3−1に係る発明特定事項とすることは当業者といえども容易に想到し得たことではない。 したがって、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲3実施例30発明、すなわち、甲3に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (3)本件発明2について 本件発明2と甲3実施例30発明とを対比すると上記(2)と同様な相当関係が成り立つから、本件発明2と甲3実施例30発明は次の点で一致する。 <一致点> 「(メタ)アクリル酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むエチレン性不飽和単量体に由来する単量体単位を有する架橋重合体を含む重合体粒子と、該重合体粒子の表面上に配置された複数の無機粒子と、を含み、(メタ)アクリル酸及びその塩の割合が前記架橋重合体中の単量体単位全量に対して70〜100モル%である、吸水性樹脂粒子。」 そして、両者は次の点で相違する。 <相違点3−3> 吸水性樹脂粒子に関し、本件発明2においては、「下記式により表される吸収効率指数が0〜15である 吸収効率指数=[(C−A)/A]×100 A:吸水性樹脂粒子の生理食塩水吸水量 C:吸水性樹脂粒子1g当たりのみかけ吸水量=(B1−B2)/10 B1:吸水性樹脂粒子10g及び粉砕パルプ8gを空気混合により均一混合して形成されたシート状吸収体を備える、吸水性樹脂粒子を含有するB1測定用吸収性物品の吸水量 B2:吸水性樹脂粒子10gを含まないこと以外は前記B1測定用吸収性物品と同様の構成を有するB2測定用吸収性物品の吸水量」と特定されているのに対し、甲3実施例30発明においては、そのようには特定されていない点 <相違点3−4> 吸水性樹脂に関し、本件発明2においては、「2.07kPa荷重下吸水量が33ml/g以上である」と特定されているのに対し、甲3実施例30発明においては、そのようには特定されていない点 事案に鑑み、相違点3−4について検討する。 まず、新規性について検討する。 甲19によると、甲3実施例30発明の粒子状吸水剤(EX−30)における「2.07kPa荷重下吸水量」は30ml/gであるので、相違点3−4は、実質上の相違点である。 そうすると、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明2は、甲3実施例30発明、すなわち、甲3に記載された発明でない。 次に、進歩性について検討する。 甲3実施例30発明において、「2.07kPa荷重下吸水量」という特定の指標の数値のみを変更する動機はないから、甲3実施例30発明において、相違点3−4に係る発明特定事項とすることは当業者といえども容易に想到し得たことではない。 したがって、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明2は、甲3実施例30発明、すなわち、甲3に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (4)本件発明3ないし7について 本件発明3ないし7は、いずれも、請求項1又は2を直接又は間接的に引用するものであって、請求項1又は2に記載された発明特定事項を全て備えるものであるから、本件発明1又は2と同様に、甲3実施例30発明、すなわち、甲3に記載された発明でないし、甲3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることできたものでもない。 (5)本件発明8について 本件発明8と甲3実施例30製法発明とを対比すると、上記(2)で検討したとおりの相当関係が成り立つから、本件発明8と甲3実施例30製法発明は次の点で一致する。 <一致点> 「(メタ)アクリル酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むエチレン性不飽和単量体に由来する単量体単位を有する架橋重合体を含む重合体粒子と、該重合体粒子の表面上に配置された複数の無機粒子と、を含み、(メタ)アクリル酸及びその塩の割合が前記架橋重合体中の単量体単位全量に対して70〜100モル%である、吸水性樹脂粒子の製造方法。」 そして、両者は次の点で相違する。 <相違点3−5> 本件発明8においては、「下記式により表される吸収効率指数が13〜15である吸水性樹脂粒子を選別することを含む、 吸収効率指数=[(C−A)/A]×100 A:吸水性樹脂粒子の生理食塩水吸水量 C:吸水性樹脂粒子1g当たりのみかけ吸水量=(B1−B2)/10 B1:吸水性樹脂粒子10g及び粉砕パルプ8gを空気混合により均一混合して形成されたシート状吸収体を備える、吸水性樹脂粒子を含有するB1測定用吸収性物品の吸水量 B2:吸水性樹脂粒子10gを含まないこと以外は前記B1測定用吸収性物品と同様の構成を有するB2測定用吸収性物品の吸水量」と特定されているのに対し、甲3実施例30製法発明においては、そのようには特定されていない点 <相違点3−6> 吸水性樹脂に関し、本件発明8においては、「無加圧DW5分値が30ml/g以上である」と特定されているのに対し、甲3実施例30製法発明においては、そのようには特定されていない点 相違点3−5について検討すると、相違点3−5は、上記(2)における相違点3−1と実質的に同じであるから、その判断は、上記(2)のとおりである。 よって、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明8は、甲3実施例30製法発明、すなわち、甲3に記載された発明であるとはいえないし、甲3に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 (6)本件発明9について 本件発明9は、請求項8を直接引用するものであって、請求項8に記載された発明特定事項を全て備えるものであるから、本件発明8と同様に、甲3に記載された発明でないし、甲3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることできたものでもない。 (7)本件発明10について 本件発明10と甲3実施例30製法発明とを対比すると、上記(2)で検討したとおりの相当関係が成り立つから、本件発明10と甲3実施例30製法発明は次の点で一致する。 <一致点> 「(メタ)アクリル酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むエチレン性不飽和単量体に由来する単量体単位を有する架橋重合体を含む重合体粒子と、該重合体粒子の表面上に配置された複数の無機粒子と、を含み、(メタ)アクリル酸及びその塩の割合が前記架橋重合体中の単量体単位全量に対して70〜100モル%である、吸水性樹脂粒子の方法。」 そして、両者は次の点で相違する。 <相違点3−7> 本件発明10においては、「下記式により表される吸収効率指数が13〜15に調整することを含み、 吸収効率指数=[(C−A)/A]×100 A:吸水性樹脂粒子の生理食塩水吸水量 C:吸水性樹脂粒子1g当たりのみかけ吸水量=(B1−B2)/10 B1:吸水性樹脂粒子10g及び粉砕パルプ8gを空気混合により均一混合して形成されたシート状吸収体を備える、吸水性樹脂粒子を含有するB1測定用吸収性物品の吸水量 B2:吸水性樹脂粒子10gを含まないこと以外は前記B1測定用吸収性物品と同様の構成を有するB2測定用吸収性物品の吸水量」と特定されているのに対し、甲3実施例30製法発明においては、そのようには特定されていない点 <相違点3−8> 本件発明10においては、「吸水性樹脂粒子を含有する吸収体の傾斜状態での吸収性能を改善する」と特定されているのに対し、甲3実施例30製法発明においては、そのようには特定されていない点 相違点3−7について検討すると、相違点3−7は、上記(2)における相違点3−1と実質的に同じであるから、その判断は、上記(2)のとおりである。 よって、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明10は、甲3実施例30製法発明、すなわち、甲3に記載された発明であるとはいえないし、甲3に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 (8)本件発明11について 本件発明11は、請求項10を直接引用するものであって、請求項10に記載された発明特定事項を全て備えるものであるから、本件発明10と同様に、甲3に記載された発明でないし、甲3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることできたものでもない。 (9)まとめ 以上のとおりであるから、取消理由1−3及び2−3は、理由がない。 4 取消理由1−4及び2−4(甲4に基づく新規性・進歩性)について (1)甲4に記載された発明 甲4の特許請求の範囲の請求項1、段落【0020】〜【0022】、【0032】〜【0182】、【0184】、【0195】〜【0197】、【0222】〜【0300】の記載から、実施例15の吸水性樹脂(15)として記載されている発明(以下、「甲4実施例15発明」という。)及び当該吸水性樹脂(15)の製造方法として記載されている発明(以下、「甲4実施例15製法発明」という。)として、以下の発明が記載されていると認める。 <甲4実施例15発明> 「混合装置としてスタティックミキサー(株式会社ノリタケカンパニーリミテド製;T3−15)、供給装置としてニードル(内径:0.21mm、形式:UNS−27G/ユニコントロールズ株式会社)」、反応装置としてPFA製チューブ(内径:4mm、外径:6mm、全長:60m)を螺旋状に成形したもの、供給装置として三つ口ニードル(内径:0.21mm、形式:UN3−27G/ユニコントロールズ株式会社)、反応装置としてPFA製チューブ(内径:25mm、全長:10m)を縦に配置したもの、分離装置として重力沈降を利用した固液分離装置を、それぞれ使用し、重合反応の準備段階として、有機溶媒としてn−ヘプタン(比重:0.76)を、上記反応装置、上記分離装置及びこれらを接続する配管内に投入し、分散助剤としてショ糖脂肪酸エステル(商品名:DKエステルF−50/第一工業製薬株式会社)をn−ヘプタンに濃度が0.1質量%となるように添加し、続いて、送液ポンプを稼働させて、流量750ml/分で循環を開始し、また、熱交換器を稼働させて、設定温度が90℃となるように、上記有機溶媒を加熱し、次に、アクリル酸、48.5質量%の水酸化ナトリウム水溶液及びイオン交換水を混合し、更に、N,N−メチレンビスアクリルアミド及びジエチレントリアミン5酢酸・3ナトリウムを配合することで、単量体水溶液(10)を作製し、該単量体水溶液(10)に、液温を25℃に保ちながら窒素ガスを吹き込むことで窒素置換をおこない、また、別途、過硫酸ナトリウム及びイオン交換水を混合することで、10質量%の過硫酸ナトリウム水溶液(10)を作製し、該過硫酸ナトリウム水溶液(10)に、窒素ガスを吹き込むことで窒素置換をおこない、続いて、上記操作で得られた単量体水溶液(10)と過硫酸ナトリウム水溶液(10)とを、それぞれ別個に上記混合装置に供給して混合することで、単量体組成物(10)を調製し、該単量体組成物(2)のモノマー濃度は43質量%、中和率は70モル%であり、また、内部架橋剤であるポリエチレングリコールジアクリレートは単量体に対して0.02モル%、キレート剤であるジエチレントリアミン5酢酸・3ナトリウムは単量体に対して100ppm、重合開始剤である過硫酸ナトリウムは単量体に対して0.1g/モルであり、次に、上記混合工程で調製した単量体組成物(10)を、速やかに上記供給装置に送液し、その後、上記ニードルを用いて流量50ml/分(59g/分)で上記反応装置内を満たしている有機溶媒中へ投入し、ここで、該単量体組成物(10)は、該有機溶媒の循環方向と同じ方向(並流)となるように投入しており、また、該有機溶媒に投入する前の単量体組成物(10)の液温を25℃に保持し、上記ニードルによって投入された該単量体組成物(10)は該有機溶媒中で液滴状(液滴径;200〜300μm)に分散し、上記単量体組成物(10)と上記有機溶媒との比(W/O比)は、6.7容積%であり、上記一連の操作で得られた含水ゲル(10)は、上記有機溶媒と共に連続的に反応装置から排出され、単量体組成物(10)の反応装置への投入開始から、最初の含水ゲル(10)の反応装置からの排出までの重合時間は120秒であって、また、含水ゲル(10)の排出口近傍での有機溶媒の液温は92℃であり、STYは310kg/hr/m3であり、上記反応装置から排出された含水ゲル(10)と有機溶媒とは、そのまま分離装置に連続的に供給され、該分離装置において、重力沈降を利用して、該含水ゲル(10)と有機溶媒とを分離し、該分離装置で分離された有機溶媒は、設定温度が90℃となるように熱交換器で調製した後、再度、反応装置に供給していて、単量体組成物(10)の投入を10分間継続することにより、590gの含水ゲル(10)を得、引き続き、得られた上記含水ゲル(10)について、180℃で50分間乾燥を行った後、得られた乾燥重合体(10)を、目開き4mmの篩を用いて分級し、この篩の通過物を採取し、なお、目開き4mmの篩上には、2質量%の乾燥重合体(10)が残存しており、該篩上に残存した乾燥重合体(10)を、市販の卓上粉砕機で粉砕し、目開き4mmの篩を通過させたものを併せて得られた吸水性樹脂粉末(10)100質量部に対して、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.015質量部、プロピレングリコール1.0質量部及びイオン交換水3.0質量部からなる表面架橋剤溶液をスプレーで噴霧して、高速連続混合機を用いて均一に混合し、次に、得られた混合物を雰囲気温度を195℃±2℃に調温した熱処理機に導入して、40分間加熱処理を行った後、粉温を60℃まで強制的に冷却することで表面架橋された吸水性樹脂(15)。」 <甲4実施例15製法発明> 「混合装置としてスタティックミキサー(株式会社ノリタケカンパニーリミテド製;T3−15)、供給装置としてニードル(内径:0.21mm、形式:UNS−27G/ユニコントロールズ株式会社)」、反応装置としてPFA製チューブ(内径:4mm、外径:6mm、全長:60m)を螺旋状に成形したもの、供給装置として三つ口ニードル(内径:0.21mm、形式:UN3−27G/ユニコントロールズ株式会社)、反応装置としてPFA製チューブ(内径:25mm、全長:10m)を縦に配置したもの、分離装置として重力沈降を利用した固液分離装置を、それぞれ使用し、重合反応の準備段階として、有機溶媒としてn−ヘプタン(比重:0.76)を、上記反応装置、上記分離装置及びこれらを接続する配管内に投入し、分散助剤としてショ糖脂肪酸エステル(商品名:DKエステルF−50/第一工業製薬株式会社)をn−ヘプタンに濃度が0.1質量%となるように添加し、続いて、送液ポンプを稼働させて、流量750ml/分で循環を開始し、また、熱交換器を稼働させて、設定温度が90℃となるように、上記有機溶媒を加熱し、次に、アクリル酸、48.5質量%の水酸化ナトリウム水溶液及びイオン交換水を混合し、更に、N,N−メチレンビスアクリルアミド及びジエチレントリアミン5酢酸・3ナトリウムを配合することで、単量体水溶液(10)を作製し、該単量体水溶液(10)に、液温を25℃に保ちながら窒素ガスを吹き込むことで窒素置換をおこない、また、別途、過硫酸ナトリウム及びイオン交換水を混合することで、10質量%の過硫酸ナトリウム水溶液(10)を作製し、該過硫酸ナトリウム水溶液(10)に、窒素ガスを吹き込むことで窒素置換をおこない、続いて、上記操作で得られた単量体水溶液(10)と過硫酸ナトリウム水溶液(10)とを、それぞれ別個に上記混合装置に供給して混合することで、単量体組成物(10)を調製し、該単量体組成物(2)のモノマー濃度は43質量%、中和率は70モル%であり、また、内部架橋剤であるポリエチレングリコールジアクリレートは単量体に対して0.02モル%、キレート剤であるジエチレントリアミン5酢酸・3ナトリウムは単量体に対して100ppm、重合開始剤である過硫酸ナトリウムは単量体に対して0.1g/モルであり、次に、上記混合工程で調製した単量体組成物(10)を、速やかに上記供給装置に送液し、その後、上記ニードルを用いて流量50ml/分(59g/分)で上記反応装置内を満たしている有機溶媒中へ投入し、ここで、該単量体組成物(10)は、該有機溶媒の循環方向と同じ方向(並流)となるように投入しており、また、該有機溶媒に投入する前の単量体組成物(10)の液温を25℃に保持し、上記ニードルによって投入された該単量体組成物(10)は該有機溶媒中で液滴状(液滴径;200〜300μm)に分散し、上記単量体組成物(10)と上記有機溶媒との比(W/O比)は、6.7容積%であり、上記一連の操作で得られた含水ゲル(10)は、上記有機溶媒と共に連続的に反応装置から排出され、単量体組成物(10)の反応装置への投入開始から、最初の含水ゲル(10)の反応装置からの排出までの重合時間は120秒であって、また、含水ゲル(10)の排出口近傍での有機溶媒の液温は92℃であり、STYは310kg/hr/m3であり、上記反応装置から排出された含水ゲル(10)と有機溶媒とは、そのまま分離装置に連続的に供給され、該分離装置において、重力沈降を利用して、該含水ゲル(10)と有機溶媒とを分離し、該分離装置で分離された有機溶媒は、設定温度が90℃となるように熱交換器で調製した後、再度、反応装置に供給していて、単量体組成物(10)の投入を10分間継続することにより、590gの含水ゲル(10)を得、引き続き、得られた上記含水ゲル(10)について、180℃で50分間乾燥を行った後、得られた乾燥重合体(10)を、目開き4mmの篩を用いて分級し、この篩の通過物を採取し、なお、目開き4mmの篩上には、2質量%の乾燥重合体(10)が残存しており、該篩上に残存した乾燥重合体(10)を、市販の卓上粉砕機で粉砕し、目開き4mmの篩を通過させたものを併せて得られた吸水性樹脂粉末(10)100質量部に対して、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.015質量部、プロピレングリコール1.0質量部及びイオン交換水3.0質量部からなる表面架橋剤溶液をスプレーで噴霧して、高速連続混合機を用いて均一に混合し、次に、得られた混合物を雰囲気温度を195℃±2℃に調温した熱処理機に導入して、40分間加熱処理を行った後、粉温を60℃まで強制的に冷却することで表面架橋された吸水性樹脂(15)の製造方法。」 (2)本件発明1について 本件発明1と甲4実施例15発明とを対比する。 甲4実施例15発明の「吸水性樹脂(15)」は、本件発明1の「吸水性樹脂粒子」に相当する。 また、甲4実施例15発明の製造に用いられているモノマー成分と配合量からみて、甲4実施例15発明は、本件発明1の「(メタ)アクリル酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むエチレン性不飽和単量体に由来する構造単位を有する架橋重合体を含む吸水性樹脂粒子であって、(メタ)アクリル酸及びその塩の割合が前記架橋重合体中単量体単位全量に対して70〜100モル%であり」を満足している。 そうすると、本件発明1と甲4実施例15発明は次の点で一致する。 <一致点> 「(メタ)アクリル酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むエチレン性不飽和単量体に由来する単量体単位を有する架橋重合体を含む重合体粒子と、該重合体粒子の表面上に配置された複数の無機粒子と、を含み、(メタ)アクリル酸及びその塩の割合が前記架橋重合体中の単量体単位全量に対して70〜100モル%である、吸水性樹脂粒子。」 そして、両者は次の点で一応相違する。 <相違点4−1> 吸水性樹脂粒子に関し、本件発明1においては、「下記式により表される吸収効率指数が13〜15である 吸収効率指数=[(C−A)/A]×100 A:吸水性樹脂粒子の生理食塩水吸水量 C:吸水性樹脂粒子1g当たりのみかけ吸水量=(B1−B2)/10 B1:吸水性樹脂粒子10g及び粉砕パルプ8gを空気混合により均一混合して形成されたシート状吸収体を備える、吸水性樹脂粒子を含有するB1測定用吸収性物品の吸水量 B2:吸水性樹脂粒子10gを含まないこと以外は前記B1測定用吸収性物品と同様の構成を有するB2測定用吸収性物品の吸水量」と特定されているのに対し、甲4実施例15発明においては、そのようには特定されていない点 <相違点4−2> 吸水性樹脂に関し、本件発明1においては、「無加圧DW5分値が30ml/g以上である」と特定されているのに対し、甲4実施例15発明においては、そのようには特定されていない点 相違点4−1について検討する。 まず、新規性について検討する。 甲20(実験成績証明書)によると、甲4実施例15発明の吸水性樹脂(15)における「吸収効率指数」は11であるので、相違点4−1は、実質上の相違点である。 そうすると、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲4実施例15発明、すなわち、甲4に記載された発明でない。 次に、進歩性について検討する。 相違点4−1に係る発明特定事項を開示する文献は提示されておらず、当業者において、相違点4−1に係る発明特定事項が周知であったものともいえない。 そして、甲4実施例15発明において、相違点4−1に係る発明特定事項とする動機もない。 してみれば、甲4実施例15発明において、相違点4−1に係る発明特定事項とすることは当業者といえども容易に想到し得たことではない。 したがって、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲4実施例15発明、すなわち、甲4に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (3)本件発明2について 本件発明2と甲4実施例15発明とを対比すると上記(2)と同様な相当関係が成り立つから、本件発明2と甲4実施例15発明は次の点で一致する。 <一致点> 「(メタ)アクリル酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むエチレン性不飽和単量体に由来する単量体単位を有する架橋重合体を含む重合体粒子と、該重合体粒子の表面上に配置された複数の無機粒子と、を含み、(メタ)アクリル酸及びその塩の割合が前記架橋重合体中の単量体単位全量に対して70〜100モル%である、吸水性樹脂粒子。」 そして、両者は次の点で相違する。 <相違点4−3> 吸水性樹脂粒子に関し、本件発明2においては、「下記式により表される吸収効率指数が0〜15である 吸収効率指数=[(C−A)/A]×100 A:吸水性樹脂粒子の生理食塩水吸水量 C:吸水性樹脂粒子1g当たりのみかけ吸水量=(B1−B2)/10 B1:吸水性樹脂粒子10g及び粉砕パルプ8gを空気混合により均一混合して形成されたシート状吸収体を備える、吸水性樹脂粒子を含有するB1測定用吸収性物品の吸水量 B2:吸水性樹脂粒子10gを含まないこと以外は前記B1測定用吸収性物品と同様の構成を有するB2測定用吸収性物品の吸水量」と特定されているのに対し、甲4実施例15発明においては、そのようには特定されていない点 <相違点4−4> 吸水性樹脂に関し、本件発明2においては、「2.07kPa荷重下吸水量が33ml/g以上である」と特定されているのに対し、甲4実施例15発明においては、そのようには特定されていない点 事案に鑑み、相違点4−4について検討する。 まず、新規性について検討する。 甲20によると、甲4実施例15発明の吸水性樹脂(15)における「2.07kPa荷重下吸水量」は30ml/gであるので、相違点4−4は、実質上の相違点である。 そうすると、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明2は、甲4実施例15発明、すなわち、甲4に記載された発明でない。 次に、進歩性について検討する。 甲4実施例15発明において、「2.07kPa荷重下吸水量」という特定の指標の数値のみを変更する動機はないから、甲4実施例15発明において、相違点4−4に係る発明特定事項とすることは当業者といえども容易に想到し得たことではない。 したがって、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明2は、甲4実施例15発明、すなわち、甲4に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (4)本件発明3ないし7について 本件発明3ないし7は、いずれも、請求項1又は2を直接又は間接的に引用するものであって、請求項1又は2に記載された発明特定事項を全て備えるものであるから、本件発明1又は2と同様に、甲4実施例15発明、すなわち、甲4に記載された発明でないし、甲4に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることできたものでもない。 (5)本件発明8について 本件発明8と甲4実施例15製法発明とを対比すると、上記(2)で検討したとおりの相当関係が成り立つから、本件発明8と甲4実施例15製法発明は次の点で一致する。 <一致点> 「(メタ)アクリル酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むエチレン性不飽和単量体に由来する単量体単位を有する架橋重合体を含む重合体粒子と、該重合体粒子の表面上に配置された複数の無機粒子と、を含み、(メタ)アクリル酸及びその塩の割合が前記架橋重合体中の単量体単位全量に対して70〜100モル%である、吸水性樹脂粒子の製造方法。」 そして、両者は次の点で相違する。 <相違点4−5> 本件発明8においては、「下記式により表される吸収効率指数が13〜15である吸水性樹脂粒子を選別することを含む、 吸収効率指数=[(C−A)/A]×100 A:吸水性樹脂粒子の生理食塩水吸水量 C:吸水性樹脂粒子1g当たりのみかけ吸水量=(B1−B2)/10 B1:吸水性樹脂粒子10g及び粉砕パルプ8gを空気混合により均一混合して形成されたシート状吸収体を備える、吸水性樹脂粒子を含有するB1測定用吸収性物品の吸水量 B2:吸水性樹脂粒子10gを含まないこと以外は前記B1測定用吸収性物品と同様の構成を有するB2測定用吸収性物品の吸水量」と特定されているのに対し、甲4実施例15製法発明においては、そのようには特定されていない点 <相違点4−6> 吸水性樹脂に関し、本件発明8においては、「無加圧DW5分値が30ml/g以上である」と特定されているのに対し、甲4実施例15製法発明においては、そのようには特定されていない点 相違点4−5について検討すると、相違点4−5は、上記(2)における相違点4−1と実質的に同じであるから、その判断は、上記(2)のとおりである。 よって、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明8は、甲4実施例15製法発明、すなわち、甲4に記載された発明であるとはいえないし、甲4に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 (6)本件発明9について 本件発明9は、請求項8を直接引用するものであって、請求項8に記載された発明特定事項を全て備えるものであるから、本件発明8と同様に、甲4に記載された発明でないし、甲4に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることできたものでもない。 (7)本件発明10について 本件発明10と甲4実施例15製法発明とを対比すると、上記(2)で検討したとおりの相当関係が成り立つから、本件発明10と甲4実施例15製法発明は次の点で一致する。 <一致点> 「(メタ)アクリル酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むエチレン性不飽和単量体に由来する単量体単位を有する架橋重合体を含む重合体粒子と、該重合体粒子の表面上に配置された複数の無機粒子と、を含み、(メタ)アクリル酸及びその塩の割合が前記架橋重合体中の単量体単位全量に対して70〜100モル%である、吸水性樹脂粒子の方法。」 そして、両者は次の点で相違する。 <相違点4−7> 本件発明10においては、「下記式により表される吸収効率指数が13〜15に調整することを含み、 吸収効率指数=[(C−A)/A]×100 A:吸水性樹脂粒子の生理食塩水吸水量 C:吸水性樹脂粒子1g当たりのみかけ吸水量=(B1−B2)/10 B1:吸水性樹脂粒子10g及び粉砕パルプ8gを空気混合により均一混合して形成されたシート状吸収体を備える、吸水性樹脂粒子を含有するB1測定用吸収性物品の吸水量 B2:吸水性樹脂粒子10gを含まないこと以外は前記B1測定用吸収性物品と同様の構成を有するB2測定用吸収性物品の吸水量」と特定されているのに対し、甲4実施例15製法発明においては、そのようには特定されていない点 <相違点4−8> 本件発明10においては、「吸水性樹脂粒子を含有する吸収体の傾斜状態での吸収性能を改善する」と特定されているのに対し、甲4実施例15製法発明においては、そのようには特定されていない点 相違点4−7について検討すると、相違点4−7は、上記(2)における相違点4−1と実質的に同じであるから、その判断は、上記(2)のとおりである。 よって、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明10は、甲4実施例15製法発明、すなわち、甲4に記載された発明であるとはいえないし、甲4に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 (8)本件発明11について 本件発明11は、請求項10を直接引用するものであって、請求項10に記載された発明特定事項を全て備えるものであるから、本件発明10と同様に、甲4に記載された発明でないし、甲4に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることできたものでもない。 (9)まとめ 以上のとおりであるから、取消理由1−4及び2−4は、理由がない。 5 取消理由3(サポート要件)について 本件特許の明細書の発明の詳細な説明(以下、「詳細な説明」という。)の【0005】の記載からみて、本件発明1及び4ないし11は、「傾斜状態での吸収性能に優れる吸収性物品を与える吸水性樹脂粒子を提供すること」を発明の課題とするものである。そして、詳細な説明の【0006】ないし【0008】、【0019】ないし【0026】及び実施例の記載からは、吸水性樹脂粒子が、 「下記式により表される吸収効率指数が0〜15であり 吸収効率指数=[(C−A)/A]×100 A:吸水性樹脂粒子の生理食塩水吸水量 C:吸水性樹脂粒子1g当たりのみかけ吸水量=(B1−B2)/10 B1:吸水性樹脂粒子10g及び粉砕パルプ8gを空気混合により均一混合して形成されたシート状吸収体を備える、吸水性樹脂粒子を含有するB1測定用吸収性物品の吸水量 B2:吸水性樹脂粒子10gを含まないこと以外は前記B1測定用吸収性物品と同様の構成を有するB2測定用吸収性物品の吸水量」 を満足し、 「無加圧DW5分値が30ml/g以上である」 との特定事項を満たすことにより、傾斜状態での吸収性能に優れる吸収性物品を与える吸水性樹脂粒子を得ることができることが理解できる。 そして、本件発明1及び4ないし11は、上記の特定事項を満たすものであるから、本件発明1及び4ないし11は、発明の課題を解決するものであるといえる。 よって、取消理由3は、その理由がない。 第6 取消理由に採用しなかった特許異議申立書に記載した申立ての理由について 令和4年1月31日付けで特許権者に通知した取消理由通知に記載した取消理由において採用しなかった特許異議申立書に記載した申立ての理由は、上記第4に記載の申立理由5ないし10、申立理由12及び申立理由13であるので、以下、検討する。 1 申立理由5(甲5に基づく新規性・進歩性)について (1)甲5に記載された発明 甲5において合成例4として記載されている吸水性樹脂(A−4)と、その製造方法として、甲5には次の発明(以下、「甲5合成例4発明」、「甲5合成例4製法発明」という。)が記載されていると認める。 <甲5合成例4発明> 「ガラス製反応容器にアクリル酸81.8部、N,N’−メチレンビスアクリルアミド0.3部及び脱イオン水241部を仕込み、攪拌・混合しながら内容物の温度を1〜2℃に保ち、次いで内容物の液層中に窒素を流入し、液層中の溶存酸素量を0.5ppm(セントラル科学株式会社製DOメーターUC−12−SOL型にて測定)とした後、密閉下、1%水溶液の過酸化水素を1部、0.2%のアスコルビン酸水溶液1.2部及び2%の2,2’−アゾビスアミジノプロパンジハイドロクロライド水溶液2.8部を添加・混合して重合を開始させ(約5℃)、引き続き、密閉下で50〜60℃に約8時間温度管理しながら重合した後、この水を含んだ重合体をインターナルミキサーで混練しながら、45%の水酸化ナトリウム水溶液109.0部を添加してカルボキシル基の72当量%を中和し、次いでインターナルミキサーで2〜5mmの大きさに細断し、150℃、風速2.0m/秒の条件の通気型バンド乾燥機で乾燥した後、乾燥物を80g採取して、回転式粉砕器(商品名:ファイバーミキサーMX−X62、松下電器産業株式会社製)で、40秒間粉砕した後、標準篩(JIS Z8801−2000)を用いて篩い分けし、850μm以上の粒子及び150μm以下の粒子を取り除くことで150〜850μmの粒子径を有する粒子に調整し、この粒子100部を50〜60℃に保ちながら高速攪拌下で、10%のエチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセ化成品工業社、商品名:デナコールEX810)水/メタノール混合溶液(水/メタノール[体積比]=60/40)20.0部を加えて、引き続き50〜60℃に保ちながら約30分間混合した後、140℃で30分間反応させることにより得られた吸水性樹脂(A−4)であって、当該吸水性樹脂は、加圧下5分吸水量 {測定法(1)}が27g/g、加圧下5分吸水量 {測定法(2)}が21g/g、保水量{測定法(3)}が35g/g、吸水倍率{測定法(7)}が54g/g、加圧下吸水倍率{測定法(8)}が30g/gである吸水性樹脂(A−4)。」 <甲5合成例4製法発明> 「ガラス製反応容器にアクリル酸81.8部、N,N’−メチレンビスアクリルアミド0.3部及び脱イオン水241部を仕込み、攪拌・混合しながら内容物の温度を1〜2℃に保ち、次いで内容物の液層中に窒素を流入し、液層中の溶存酸素量を0.5ppm(セントラル科学株式会社製DOメーターUC−12−SOL型にて測定)とした後、密閉下、1%水溶液の過酸化水素を1部、0.2%のアスコルビン酸水溶液1.2部及び2%の2,2’−アゾビスアミジノプロパンジハイドロクロライド水溶液2.8部を添加・混合して重合を開始させ(約5℃)、引き続き、密閉下で50〜60℃に約8時間温度管理しながら重合した後、この水を含んだ重合体をインターナルミキサーで混練しながら、45%の水酸化ナトリウム水溶液109.0部を添加してカルボキシル基の72当量%を中和し、次いでインターナルミキサーで2〜5mmの大きさに細断し、150℃、風速2.0m/秒の条件の通気型バンド乾燥機で乾燥した後、乾燥物を80g採取して、回転式粉砕器(商品名:ファイバーミキサーMX−X62、松下電器産業株式会社製)で、40秒間粉砕した後、標準篩(JIS Z8801−2000)を用いて篩い分けし、850μm以上の粒子及び150μm以下の粒子を取り除くことで150〜850μmの粒子径を有する粒子に調整し、この粒子100部を50〜60℃に保ちながら高速攪拌下で、10%のエチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセ化成品工業社、商品名:デナコールEX810)水/メタノール混合溶液(水/メタノール[体積比]=60/40)20.0部を加えて、引き続き50〜60℃に保ちながら約30分間混合した後、140℃で30分間反応させることにより得る吸水性樹脂(A−4)であって、当該吸水性樹脂は、加圧下5分吸水量 {測定法(1)}が27g/g、加圧下5分吸水量 {測定法(2)}が21g/g、保水量{測定法(3)}が35g/g、吸水倍率{測定法(7)}が54g/g、加圧下吸水倍率{測定法(8)}が30g/gである吸水性樹脂(A−4)の製造方法。」 (2)本件発明1と甲5合成例4発明との対比・判断 本件発明1と甲5合成例4発明を対比する。 甲5合成例4発明の「吸水性樹脂(A−4)」は、標準篩(JIS Z8801−2000)を用いて篩い分けし、850μm以上の粒子及び150μm以下の粒子を取り除くことで150〜850μmの粒子径を有する粒子に調整し、この粒子100部を50〜60℃に保ちながら高速攪拌下で、10%のエチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセ化成品工業社、商品名:デナコールEX810)水/メタノール混合溶液(水/メタノール[体積比]=60/40)20.0部を加えて、引き続き50〜60℃に保ちながら約30分間混合した後、140℃で30分間反応させることにより得られたものであるから、本件発明1の「吸水性樹脂粒子」に相当する。 また、甲5合成例4発明の製造に用いられているモノマー成分と配合量からみて、甲5合成例4発明は、本件発明1の「(メタ)アクリル酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むエチレン性不飽和単量体に由来する構造単位を有する架橋重合体を含む吸水性樹脂粒子であって、(メタ)アクリル酸及びその塩の割合が前記架橋重合体中単量体単位全量に対して70〜100モル%であり」を満足している。 そうすると、本件発明1と甲5合成例4発明は次の点で一致する。 <一致点> 「(メタ)アクリル酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むエチレン性不飽和単量体に由来する単量体単位を有する架橋重合体を含む重合体粒子と、該重合体粒子の表面上に配置された複数の無機粒子と、を含み、(メタ)アクリル酸及びその塩の割合が前記架橋重合体中の単量体単位全量に対して70〜100モル%である、吸水性樹脂粒子。」 そして、両者は次の点で一応相違する。 <相違点5−1> 吸水性樹脂粒子に関し、本件発明1においては、「下記式により表される吸収効率指数が13〜15である 吸収効率指数=[(C−A)/A]×100 A:吸水性樹脂粒子の生理食塩水吸水量 C:吸水性樹脂粒子1g当たりのみかけ吸水量=(B1−B2)/10 B1:吸水性樹脂粒子10g及び粉砕パルプ8gを空気混合により均一混合して形成されたシート状吸収体を備える、吸水性樹脂粒子を含有するB1測定用吸収性物品の吸水量 B2:吸水性樹脂粒子10gを含まないこと以外は前記B1測定用吸収性物品と同様の構成を有するB2測定用吸収性物品の吸水量」と特定されているのに対し、甲5合成例4発明においては、そのようには特定されていない点 <相違点5−2> 吸水性樹脂に関し、本件発明1においては、「無加圧DW5分値が30ml/g以上である」と特定されているのに対し、甲5合成例4発明においては、そのようには特定されていない点 相違点5−1について検討する。 まず、新規性について検討する。 甲5合成例4発明の吸水性樹脂(A−4)における「吸収効率指数」は不明である。また、当該吸収効率指数がどの程度となるかを示す証拠や理論は示されていない。そうすると、相違点5−1は実質上の相違点である。 なお、特許異議申立人は、特許異議申立書において「甲5に記載の合成例4の吸水性樹脂は、本件明細書に記載された組成に同一又は類似する組成を有し、本件明細書に記載された水溶液重合法で製造されている。従って、甲5に記載の合成例4の湧水性樹脂の吸水効率指数を評価すると、満たす蓋然性が高い」と主張するが、本件明細書における実施例及び比較例で示されているように、同一の組成で同一の水溶液重合法で製造されていても共沸蒸留により系外へ抜き出す水の量を変更しただけで吸水効率指数が大きく変化するものであるから、当該主張は採用できない。 そうすると、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲5合成例4発明、すなわち、甲5に記載された発明でない。 次に、進歩性について検討する。 相違点5−1に係る発明特定事項を開示する文献は提示されておらず、当業者において、相違点5−1に係る発明特定事項が周知であったものともいえない。 そして、甲5合成例4発明において、相違点5−1に係る発明特定事項とする動機もない。 してみれば、甲5合成例4発明において、相違点5−1に係る発明特定事項とすることは当業者といえども容易に想到し得たことではない。 したがって、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲5合成例4発明、すなわち、甲5に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (3)本件発明2について 本件発明2と甲5合成例4発明とを対比すると上記(2)と同様な相当関係が成り立つから、本件発明2と甲5合成例4発明は次の点で一致する。 <一致点> 「(メタ)アクリル酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むエチレン性不飽和単量体に由来する単量体単位を有する架橋重合体を含む重合体粒子と、該重合体粒子の表面上に配置された複数の無機粒子と、を含み、(メタ)アクリル酸及びその塩の割合が前記架橋重合体中の単量体単位全量に対して70〜100モル%である、吸水性樹脂粒子。」 そして、両者は次の点で相違する。 <相違点5−3> 吸水性樹脂粒子に関し、本件発明2においては、「下記式により表される吸収効率指数が0〜15である 吸収効率指数=[(C−A)/A]×100 A:吸水性樹脂粒子の生理食塩水吸水量 C:吸水性樹脂粒子1g当たりのみかけ吸水量=(B1−B2)/10 B1:吸水性樹脂粒子10g及び粉砕パルプ8gを空気混合により均一混合して形成されたシート状吸収体を備える、吸水性樹脂粒子を含有するB1測定用吸収性物品の吸水量 B2:吸水性樹脂粒子10gを含まないこと以外は前記B1測定用吸収性物品と同様の構成を有するB2測定用吸収性物品の吸水量」と特定されているのに対し、甲5合成例4発明においては、そのようには特定されていない点 <相違点5−4> 吸水性樹脂に関し、本件発明2においては、「2.07kPa荷重下吸水量が33ml/g以上である」と特定されているのに対し、甲5合成例4発明においては、そのようには特定されていない点 相違点5−3について検討するに、上記(2)における相違点5−1と同様に判断される。 よって、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明2は、甲5合成例4発明、すなわち、甲5に記載された発明であるとはいえないし、甲5に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 (4)本件発明3ないし7について 本件発明3ないし7は、いずれも、請求項1又は2を直接又は間接的に引用するものであって、請求項1又は2に記載された発明特定事項を全て備えるものであるから、本件発明1又は2と同様に、甲5合成例4発明、すなわち、甲5に記載された発明でないし、甲5に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることできたものでもない。 (5)本件発明8について 本件発明8と甲5合成例4製法発明とを対比すると、上記(2)で検討したとおりの相当関係が成り立つから、本件発明8と甲5合成例4製法発明は次の点で一致する。 <一致点> 「(メタ)アクリル酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むエチレン性不飽和単量体に由来する単量体単位を有する架橋重合体を含む重合体粒子と、該重合体粒子の表面上に配置された複数の無機粒子と、を含み、(メタ)アクリル酸及びその塩の割合が前記架橋重合体中の単量体単位全量に対して70〜100モル%である、吸水性樹脂粒子の製造方法。」 そして、両者は次の点で相違する。 <相違点5−5> 本件発明8においては、「下記式により表される吸収効率指数が13〜15である吸水性樹脂粒子を選別することを含む、 吸収効率指数=[(C−A)/A]×100 A:吸水性樹脂粒子の生理食塩水吸水量 C:吸水性樹脂粒子1g当たりのみかけ吸水量=(B1−B2)/10 B1:吸水性樹脂粒子10g及び粉砕パルプ8gを空気混合により均一混合して形成されたシート状吸収体を備える、吸水性樹脂粒子を含有するB1測定用吸収性物品の吸水量 B2:吸水性樹脂粒子10gを含まないこと以外は前記B1測定用吸収性物品と同様の構成を有するB2測定用吸収性物品の吸水量」と特定されているのに対し、甲5合成例4製法発明においては、そのようには特定されていない点 <相違点5−6> 吸水性樹脂に関し、本件発明8においては、「無加圧DW5分値が30ml/g以上である」と特定されているのに対し、甲5合成例4製法発明においては、そのようには特定されていない点 相違点5−5について検討すると、相違点5−5は、上記(2)における相違点5−1と実質的に同じであるから、その判断は、上記(2)のとおりである。 よって、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明8は、甲5合成例4製法発明、すなわち、甲5に記載された発明であるとはいえないし、甲5に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 (6)本件発明9について 本件発明9は、請求項8を直接引用するものであって、請求項8に記載された発明特定事項を全て備えるものであるから、本件発明8と同様に、甲5に記載された発明でないし、甲5に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることできたものでもない。 (7)本件発明10について 本件発明10と甲5合成例4製法発明とを対比すると、上記(2)で検討したとおりの相当関係が成り立つから、本件発明10と甲5合成例4製法発明は次の点で一致する。 <一致点> 「(メタ)アクリル酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むエチレン性不飽和単量体に由来する単量体単位を有する架橋重合体を含む重合体粒子と、該重合体粒子の表面上に配置された複数の無機粒子と、を含み、(メタ)アクリル酸及びその塩の割合が前記架橋重合体中の単量体単位全量に対して70〜100モル%である、吸水性樹脂粒子の方法。」 そして、両者は次の点で相違する。 <相違点5−7> 本件発明10においては、「下記式により表される吸収効率指数が13〜15に調整することを含み、 吸収効率指数=[(C−A)/A]×100 A:吸水性樹脂粒子の生理食塩水吸水量 C:吸水性樹脂粒子1g当たりのみかけ吸水量=(B1−B2)/10 B1:吸水性樹脂粒子10g及び粉砕パルプ8gを空気混合により均一混合して形成されたシート状吸収体を備える、吸水性樹脂粒子を含有するB1測定用吸収性物品の吸水量 B2:吸水性樹脂粒子10gを含まないこと以外は前記B1測定用吸収性物品と同様の構成を有するB2測定用吸収性物品の吸水量」と特定されているのに対し、甲5合成例4製法発明においては、そのようには特定されていない点 <相違点5−8> 本件発明10においては、「吸水性樹脂粒子を含有する吸収体の傾斜状態での吸収性能を改善する」と特定されているのに対し、甲5合成例4製法発明においては、そのようには特定されていない点 相違点5−7について検討すると、相違点5−7は、上記(2)における相違点5−1と実質的に同じであるから、その判断は、上記(2)のとおりである。 よって、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明10は、甲5合成例4製法発明、すなわち、甲5に記載された発明であるとはいえないし、甲5に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。 (8)本件発明11について 本件発明11は、請求項10を直接引用するものであって、請求項10に記載された発明特定事項を全て備えるものであるから、本件発明10と同様に、甲5に記載された発明でないし、甲5に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることできたものでもない。 (9)まとめ 以上のとおりであるから、申立理由5は、理由がない。 2 申立理由6〜10(甲6ないし10に基づく新規性・進歩性)について 申立人が提示した甲1ないし21には、申立人が行った実験成績証明書である甲17ないし甲20以外には、吸水性樹脂粒子に関しての吸水効率指数に関する記載はない。 そして、甲6ないし11に記載された発明としてどのような発明を認定したとしても、本件発明1ないし11とそれらの発明とは、少なくとも吸収効率指数を特定の範囲とする点で相違するものであり、かつ、当該相違点が実質上の相違点でないとする証拠もなく、実質上の相違点でないとする当業者の技術常識もない。 そして、甲6ないし11に記載された発明において、当該相違点に係る発明特定事項を満たすものとする動機もない。 そうすると、本件発明1ないし11は、甲6ないし11のいずれかに記載された発明でなく、また、甲6ないし11のいずれかに記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものともいえない。 よって、甲6ないし11に基づく申立理由6ないし10は、理由がない。 3 申立理由12(明確性)について 本件特許の請求項8の「吸収効率指数が0〜15を満たすものを選別する」という記載の意味は、吸収効率指数が0〜15を満たさないものが必須に存在する中から吸収効率指数が0〜15を満たすものを選別するものであることは明らかであり、吸収効率指数は請求項8において定義されていて、当業者は請求項8の記載を明確に理解できる。 よって、申立理由12は、理由がない。 4 申立理由13(実施可能要件)について 本件発明8ないし11について、本件特許の詳細な説明には、吸収効率指数の技術的な意義について段落【0020】〜【0022】に記載があり、吸水性樹脂粒子のその他の性状に関し、段落【0023】〜【0035】に詳細に記載され、吸水性樹脂粒子の製造時に利用する各種成分及び製造条件等について段落【0036】〜【0074】に詳述されており、特に段落【0070】には、吸収効率指数を調整する手段の例示もある。そして、段落【0103】〜【0138】においては、本件発明8ないし11で特定されている吸収効率指数を満たす吸水性樹脂粒子が実施例として製造され、満たさない吸水性樹脂粒子が比較例として製造されている。 してみれば、発明の詳細な説明の記載には、本件発明8ないし11について、当業者が実施できる程度の記載があるといえる。 よって、申立理由13は、理由がない。 第7 結語 上記第5及び6のとおり、本件特許の請求項1ないし11に係る特許は、取消理由及び特許異議申立書に記載した申立ての理由によっては、取り消すことはできない。 また、他に本件特許の請求項1ないし11に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 (メタ)アクリル酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むエチレン性不飽和単量体に由来する構造単位を有する架橋重合体を含む吸水性樹脂粒子であって、(メタ)アクリル酸及びその塩の割合が前記架橋重合体中の単量体単位全量に対して70〜100モル%であり、下記式により表される吸収効率指数が13〜15であり、無加圧DW5分値が30ml/g以上である、吸水性樹脂粒子。 吸収効率指数=[(C−A)/A]×100 A:吸水性樹脂粒子の生理食塩水吸水量 C:吸水性樹脂粒子1g当たりのみかけ吸水量=(B1−B2)/10 B1:吸水性樹脂粒子10g及び粉砕パルプ8gを空気混合により均一混合して形成されたシート状吸収体を備える、吸水性樹脂粒子を含有するB1測定用吸収性物品の吸水量 B2:吸水性樹脂粒子10gを含まないこと以外は前記B1測定用吸収性物品と同様の構成を有するB2測定用吸収性物品の吸水量 【請求項2】 (メタ)アクリル酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むエチレン性不飽和単量体に由来する構造単位を有する架橋重合体を含む吸水性樹脂粒子であって、(メタ)アクリル酸及びその塩の割合が前記架橋重合体中の単量体単位全量に対して70〜100モル%であり、下記式により表される吸収効率指数が0〜15であり、無加圧DW5分値が30ml/g以上であり、2.07kPa荷重下吸水量が33ml/g以上である、吸水性樹脂粒子。 吸収効率指数=[(C−A)/A]×100 A:吸水性樹脂粒子の生理食塩水吸水量 C:吸水性樹脂粒子1g当たりのみかけ吸水量=(B1−B2)/10 B1:吸水性樹脂粒子10g及び粉砕パルプ8gを空気混合により均一混合して形成されたシート状吸収体を備える、吸水性樹脂粒子を含有するB1測定用吸収性物品の吸水量 B2:吸水性樹脂粒子10gを含まないこと以外は前記B1測定用吸収性物品と同様の構成を有するB2測定用吸収性物品の吸水量 【請求項3】 生理食塩水吸水量が30g/g以上である、請求項1又は2に記載の吸水性樹脂粒子。 【請求項4】 前記架橋重合体における表面架橋剤の使用量が、エチレン性不飽和単量体1モルに対して0.01〜20ミリモルである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の吸水性樹脂粒子。 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか一項に記載の吸水性樹脂粒子を含有する、吸収体。 【請求項6】 請求項5に記載の吸収体を備える、吸収性物品。 【請求項7】 おむつである、請求項6に記載の吸収性物品。 【請求項8】 (メタ)アクリル酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むエチレン性不飽和単量体に由来する構造単位を有する架橋重合体を含む吸水性樹脂粒子の製造方法であって、(メタ)アクリル酸及びその塩の割合が前記架橋重合体中の単量体単位全量に対して70〜100モル%であり、下記式により表される吸収効率指数が13〜15であり、無加圧DW5分値が30ml/g以上である吸水性樹脂粒子を選別することを含む、吸水性樹脂粒子の製造方法。 吸収効率指数=[(C−A)/A]×100 A:吸水性樹脂粒子の生理食塩水吸水量 C:吸水性樹脂粒子1g当たりのみかけ吸水量=(B1−B2)/10 B1:吸水性樹脂粒子10g及び粉砕パルプ8gを空気混合により均一混合して形成されたシート状吸収体を備える、吸水性樹脂粒子を含有するB1測定用吸収性物品の吸水量 B2:吸水性樹脂粒子10gを含まないこと以外は前記B1測定用吸収性物品と同様の構成を有するB2測定用吸収性物品の吸水量 【請求項9】 前記架橋重合体における表面架橋剤の使用量が、エチレン性不飽和単量体1モルに対して0.01〜20ミリモルである、請求項8に記載の製造方法。 【請求項10】 下記式により表される吸水性樹脂粒子の吸収効率指数を13〜15に、無加圧DW5分値を30ml/g以上に調整することを含み、 前記吸水性樹脂粒子が、(メタ)アクリル酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むエチレン性不飽和単量体に由来する構造単位を有する架橋重合体を含み、(メタ)アクリル酸及びその塩の割合が前記架橋重合体中の単量体単位全量に対して70〜100モル%である、吸水性樹脂粒子を含有する吸収体の傾斜状態での吸水性能を改善する方法。 吸収効率指数=[(C−A)/A]×100 C:吸水性樹脂粒子1g当たりのみかけ吸水量=(B1−B2)/10 A:吸水性樹脂粒子の生理食塩水吸水量 B1:吸水性樹脂粒子10g及び粉砕パルプ8gを空気混合により均一混合して形成されたシート状吸収体を備える、吸水性樹脂粒子を含有するB1測定用吸収性物品の吸水量 B2:吸水性樹脂粒子10gを含まないこと以外は前記B1測定用吸収性物品と同様の構成を有するB2測定用吸収性物品の吸水量 【請求項11】 前記架橋重合体における表面架橋剤の使用量が、エチレン性不飽和単量体1モルに対して0.01〜20ミリモルである、請求項10に記載の方法。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2022-09-01 |
出願番号 | P2020-555248 |
審決分類 |
P
1
651・
121-
YAA
(C08J)
P 1 651・ 537- YAA (C08J) P 1 651・ 536- YAA (C08J) P 1 651・ 113- YAA (C08J) |
最終処分 | 07 維持 |
特許庁審判長 |
加藤 友也 |
特許庁審判官 |
植前 充司 大島 祥吾 |
登録日 | 2021-03-22 |
登録番号 | 6856826 |
権利者 | 住友精化株式会社 |
発明の名称 | 吸水性樹脂粒子 |
代理人 | 福島 直樹 |
代理人 | 長谷川 芳樹 |
代理人 | 特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK |
代理人 | 吉住 和之 |
代理人 | 沖田 英樹 |
代理人 | 吉川 絵美 |
代理人 | 吉川 絵美 |
代理人 | 長谷川 芳樹 |
代理人 | 沖田 英樹 |
代理人 | 福島 直樹 |
代理人 | 清水 義憲 |
代理人 | 吉住 和之 |
代理人 | 清水 義憲 |