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審決分類 審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F
管理番号 1391354
総通号数 12 
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-04-08 
確定日 2022-11-16 
事件の表示 特願2017−511568「実在および仮想のオブジェクトと対話するための生体力学ベースの眼球信号のためのシステムおよび方法」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 2月 4日国際公開、WO2016/018487、平成29年 9月 7日国内公表、特表2017−526078〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2015年(平成27年) 5月 9日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2014年 5月 9日 米国、2014年 7月13日 米国、2014年 7月22日 米国、2014年 8月19日 米国、2014年 9月 4日 米国、2014年11月 4日 米国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成30年 5月 1日 :手続補正書の提出
令和 元年 7月30日付け :拒絶理由(最初の拒絶理由)通知書
令和 元年10月30日 :意見書、手続補正書の提出
令和 元年11月 8日付け :拒絶理由(最初の拒絶理由)通知書
令和 2年 1月23日 :意見書、手続補正書の提出
令和 2年 7月 7日付け :拒絶理由(最後の拒絶理由)通知書
令和 2年10月 8日 :意見書、手続補正書の提出
令和 2年11月30日付け :令和 2年10月 8日の手続補正につい
ての補正の却下の決定、拒絶査定(原査
定)
令和 3年 4月 8日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和 4年 1月26日付け :拒絶理由(当審拒絶理由)通知書

なお、令和 4年 1月26日付け拒絶理由通知書では、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、請求人からは何らの応答もない。

第2 本願発明
本願請求項1−12に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」−「本願発明12」という。)は、令和 3年 4月 8日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1−12に記載された事項により特定される、以下のとおりの発明である。

「 【請求項1】
検出器を用いて電子ディスプレイに対するユーザの片眼または両眼の動きに少なくとも部分的に基づいて前記ユーザの意図を判断するためにグラフィカルユーザインターフェイスを提供するための方法であって、
少なくとも1つの眼の視線が前記電子ディスプレイ上のオブジェクトに向けられていることを特定するステップと、
前記オブジェクトから、動作に対応する前記電子ディスプレイ上の第1のアイコンを含むターゲット位置の方への前記少なくとも1つの眼のサッケード運動を特定するステップと、
前記サッケード運動後に前記少なくとも1つの眼の視線が前記ターゲット位置に着地したことを確認するステップと、
前記オブジェクト上の前記動作を実行するステップと、
前記少なくとも1つの眼の視線が前記ターゲット位置に着地する前に、前記第1のアイコンを、前記ターゲット位置における前記オブジェクトに対応する第2のアイコンと置換するステップとを備え、
前記第2のアイコンは、前記オブジェクトのサムネイル、類似物、またはコピーである、方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの眼の視線が前記オブジェクトに向けられたことの視覚的確認を前記電子ディスプレイ上で提供するステップをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記視覚的確認は、前記オブジェクトの周囲に少なくとも部分的に境界を表示することを備える、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記視覚的確認は、前記オブジェクトを視覚的に修正することなく前記オブジェクトの周囲に少なくとも部分的に境界を表示することを備える、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記サッケード運動を特定するステップは、眼球運動がいつ予め定められた閾値を超える速度を有するかを判断するために前記少なくとも1つの眼の動きをモニタリングし、それによって、前記眼球運動がサッケードであることを特定するステップを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記眼球運動は、予め定められた閾値を超える期間または距離を有する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ステップのうちの1つ以上は、処理ユニットによって実行される、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
ユーザの片眼または両眼の動きに少なくとも部分的に基づいて前記ユーザの意図を判断するためにグラフィカルユーザインターフェイスを提供するためのシステムであって、
前記ユーザの少なくとも1つの眼の動きをモニタリングするように構成された検出器と、
前記検出器に作動的に関連付けられる電子ディスプレイと、
前記検出器および前記電子ディスプレイに作動的に結合される処理ユニットとを備え、前記処理ユニットは、
前記少なくとも1つの眼の視線が前記電子ディスプレイ上のオブジェクトに向けられていることを特定し、
前記オブジェクトから、動作に対応する前記電子ディスプレイ上の第1のアイコンを含むターゲット位置の方への前記少なくとも1つの眼のサッケード運動を特定し、
前記サッケード運動後に前記少なくとも1つの眼の視線が前記ターゲット位置に着地したことを確認し、
前記オブジェクト上の前記動作を実行し、
前記少なくとも1つの眼の視線が前記ターゲット位置に着地する前に、前記第1のアイコンを、前記ターゲット位置における前記オブジェクトに対応する第2のアイコンと置換し、
前記第2のアイコンは、前記オブジェクトのサムネイル、類似物、またはコピーである、システム。
【請求項9】
モバイル電子デバイスをさらに備え、前記電子ディスプレイは、前記モバイル電子デバイス上に設けられ、前記検出器は、前記電子ディスプレイ上にカメラを備え、前記カメラは、前記電子ディスプレイを閲覧するユーザが前記カメラの視野内になるように方向付けられる、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
ユーザの頭部に着用されるように構成されたヘッドギアをさらに備え、前記検出器は、前記ヘッドギアが着用されたときに前記ユーザの眼の方に方向付けられるように前記ヘッドギアに装着される、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記電子ディスプレイは、前記ヘッドギアが着用されたときに前記ユーザによって閲覧可能であるように前記ヘッドギアに装着される、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記電子ディスプレイは、前記ヘッドギアから遠く離れており、前記システムは、シーンカメラをさらに備え、前記シーンカメラは、前記ヘッドギアに装着され、前記電子ディスプレイが前記ユーザの正面に位置決めされたときに前記電子ディスプレイが前記シーンカメラの視野内になるように方向付けられる、請求項10に記載のシステム。」

第3 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、令和 2年 7月 7日付け拒絶理由通知書に記載した理由に示したものであり、概略、次のとおりのものである。

1 理由1
発明の詳細な説明の記載及び本願出願時の技術常識を参酌しても、本願発明のうち「前記サッケード運動を特定するステップは、眼球運動の初期の速度および方向を判断し、前記眼球運動の初期の速度および方向に基づいて、前記眼球運動の目的地が前記ターゲット位置であることを予測するステップをさらに含み、」という構成については、当業者に期待し得る程度を超える試行錯誤や複雑高度な実験等を必要とするものであるから、本願は、発明の詳細な説明の記載が特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。

第4 当審での経緯
本件審判請求は
「原査定を取り消す、本願は特許すべきものであるとの審決を求める。」との趣旨で、
令和 3年 4月 8日付けで請求され、令和 4年 1月26日付けで最初の拒絶理由通知(令和 4年 2月 1日発送)(以下「当審拒絶理由通知」と記す。)がなされたものである。
当審による令和 4年 1月26日付けの拒絶理由(以下,これを「当審拒絶理由」という)は,次のとおりである。

「1 (実施可能要件)この出願は、発明の詳細な説明の記載が下記の点で、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。

2 (サポート要件)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

3 (明確性要件)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。



●理由1(実施可能要件)について
・請求項 1−12
補正後の請求項1には、「前記少なくとも1つの眼の視線が前記ターゲット位置に着地する前に、前記第1のアイコンを、前記ターゲット位置における前記オブジェクトに対応する第2のアイコンと置換するステップ」と記載されており、視線がターゲット位置に着地する前にターゲット位置を特定するものである。出願人が補正の根拠と主張する発明の詳細な説明の段落0415,0418,0419,0479,0500のうち、ターゲット位置の予測に関連する箇所は、「カメラ性能の制御の特に有用な用途は、高速サッケード眼球運動中のターゲット位置の追跡および予測である。上記のように、サッケード眼球運動は「弾道的」性質がある。言い換えれば(無誘導ミサイルの打ち上げと同様に)、サッケードのターゲット位置は、主にサッケード立ち上がり時に判断される。サッケードには「中間修正」は適用されない。サッケード運動の初期部分の方向および速度を注意深く測定することによって、弾道ミサイルに適用されるものと同様の数学的アプローチを用いてサッケードのターゲット位置を予測することが可能である。」(段落0415)であるが、弾道ミサイルの着弾点の予測には、初速と方角以外に、仰角、重力、質量、着弾点付近の地形、気流などのパラメータを用いることで着弾点を予測することができるものの、視線のターゲット位置の予測では、サッケード運動の初期部分の方向及び速度以外で、弾道ミサイルの着弾点の予測とは共通するパラメータが存在せず、初期部分の方向及び速度のみでどのようにターゲット位置を予測するのかが実施可能に記載されているとはいえない。換言すると、サッケード運動の初期部分の方向及び速度のみでは、停止するまでの距離、時間が予測できず、どこまでサッケード運動が継続するのかが予測できないため、「前記少なくとも1つの眼の視線が前記ターゲット位置に着地する前に」、ターゲット位置を特定することはできないと思われる。
また、発明のカテゴリーが異なる請求項8についても同様であり、請求項1を引用する請求項2−7,及び請求項8を引用する請求項9−12についても同様である。

●理由2(サポート要件)について
・請求項 6−7
請求項6には、「前記眼球運動は、予め定められた閾値を超える期間または距離を有する」とあるが、発明の詳細な説明における対応する記載箇所が不明である。例えば、段落0095には、「マイクロサッケードは、およそ0.2°未満の範囲にわたるもっぱら不随意の運動であり」という記載があり、0.2°は視線の投射面においては距離とも考えられるが、「期間」に相当する記載はその他の段落においても見受けられない。
請求項6を引用する請求項7についても同様である。

・請求項 12
請求項12には、電子ディスプレイ及びシーンカメラについて、ヘッドギアに対する配置状況が記載されているが、発明の詳細な説明における対応する記載箇所が不明である。

●理由3(明確性要件)について
・請求項 9
請求項9には、「モバイル電子デバイスをさらに備え、前記電子ディスプレイは、前記モバイル電子デバイス上に設けられ、前記検出器は、前記電子ディスプレイ上にカメラを備え、前記カメラは、前記電子ディスプレイを閲覧するユーザが前記カメラの視野内になるように方向付けられる」と記載されているが、「前記検出器は、前記電子ディスプレイ上にカメラを備え」ることの、技術的意味が不明確である。すなわち、検出器は、電子ディスプレイ上にカメラを備えるということは、検出器とは別に電子ディスプレイにカメラが設けられているのか否かについても明確ではなく、検出器、電子ディスプレイ、カメラの各々の関係が不明確である。例えば、「前記検出器は、前記電子ディスプレイ上に備えられたカメラであり」の誤記であるならば、補正を検討されたい。」

第5 当審拒絶理由についての当審の判断

1.当審拒絶理由の理由1について

実施可能要件について
特許法第36条第4項は,「前項第三号の発明の詳細な説明の記載は、次の各号に適合するものでなければならない。」と記載され,その第1号において,「経済産業省令で定めるところにより、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易にその実施をすることができる程度に、明確かつ十分に記載しなければならない。」と規定している。同号は,明細書のいわゆる実施可能要件を規定したものであって,方法の発明では,その方法を実施するための具体的な記載が発明の詳細な説明にあるか,そのような記載がない場合には,明細書及び図面の記載及び出願時の技術常識に基づき,当業者が過度の試行錯誤や複雑高度な実験等を行う必要なく,その方法を実施することができる程度にその発明が記載されてなければならないと解される。

以下,この観点に立って,判断する。

・請求項 1−12
令和 3年 4月 8日付けの補正後の請求項1には、「前記少なくとも1つの眼の視線が前記ターゲット位置に着地する前に、前記第1のアイコンを、前記ターゲット位置における前記オブジェクトに対応する第2のアイコンと置換するステップ」と記載されており、視線がターゲット位置に着地する前にターゲット位置を特定するものである。出願人が補正の根拠と主張する発明の詳細な説明の段落0415,0418,0419,0479,0500のうち、ターゲット位置の予測に関連する箇所は、「カメラ性能の制御の特に有用な用途は、高速サッケード眼球運動中のターゲット位置の追跡および予測である。上記のように、サッケード眼球運動は「弾道的」性質がある。言い換えれば(無誘導ミサイルの打ち上げと同様に)、サッケードのターゲット位置は、主にサッケード立ち上がり時に判断される。サッケードには「中間修正」は適用されない。サッケード運動の初期部分の方向および速度を注意深く測定することによって、弾道ミサイルに適用されるものと同様の数学的アプローチを用いてサッケードのターゲット位置を予測することが可能である。」(段落0415)である。ここで、補正後の請求項1記載の「前記少なくとも1つの眼の視線が前記ターゲット位置に着地する前」とは、視線がターゲット位置に着地する「直前」も含まれるが、発明の詳細な説明では、「サッケードのターゲット位置は、主にサッケード立ち上がり時に判断される。サッケードには「中間修正」は適用されない。」と記載されており、サッケードの立ち上がり時の方向と速度によりターゲット位置を予測することが記載されている。その上で、発明の詳細な説明には「弾道ミサイルに適用されるものと同様の数学的アプローチを用いてサッケードのターゲット位置を予測することが可能」と記載されているが、弾道ミサイルの着弾点の予測には、初速と方角以外に、仰角、重力、質量、着弾点付近の地形、気流などのパラメータを用いることで、ある時点で折り返す放物線を描くことにより、地表での着弾点を予測することができるものの、視線のターゲット位置の予測では、サッケード運動の初期部分の方向及び速度以外で、弾道ミサイルの着弾点の予測とは共通するパラメータが存在せず、初期部分の方向及び速度のみでは、どの時点で減速を開始し、どのようにターゲット位置を予測するのかが実施可能に記載されているとはいえない。換言すると、サッケード運動の初期部分の方向及び速度のみでは、特に弾道ミサイルの着弾点の予測で使用される重力加速度に相当するパラメータが存在しないため、停止するまでの距離、時間が予測できず、どこまでサッケード運動が継続するのかが予測できないため、「前記少なくとも1つの眼の視線が前記ターゲット位置に着地する前に」、ターゲット位置を特定することはできないと思われる。
したがって、発明の詳細な説明の記載は、本願発明1の全体について、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されたものでない。
また、発明のカテゴリーが異なる請求項8についても同様であり、請求項1を引用する請求項2−7,及び請求項8を引用する請求項9−12についても同様である。

以上検討したとおり、本件明細書は、本願発明の方法を実施するための具体的な記載があるとはいえず、本願は特許法第36条第4項第1号の規定に違反するものである。

2.当審拒絶理由の理由2について

サポート要件について
特許請求の範囲の記載がサポート要件に適合するか否かは,特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し,特許請求の範囲に記載された発明が,発明の詳細な説明に記載された発明で,発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できる範囲のものであるか否か,また,発明の詳細な説明に記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。

以下、この観点に立って、判断する。

・請求項 6−7
請求項6には、「前記眼球運動は、予め定められた閾値を超える期間または距離を有する」とあるが、発明の詳細な説明における対応する記載箇所が不明である。例えば、段落0095には、「マイクロサッケードは、およそ0.2°未満の範囲にわたるもっぱら不随意の運動であり」という記載があり、0.2°は視線の投射面では、投射面までの距離に応じてマイクロサッケードの開始時点と終了時点との距離に変換できるため、「予め定められた閾値を超える距離」とも考えられるが、「期間」に相当する記載はその他の段落においても見受けられない。
請求項6を引用する請求項7についても同様である。

・請求項 12
請求項12には、「前記電子ディスプレイは、前記ヘッドギアから遠く離れており、前記システムは、シーンカメラをさらに備え、前記シーンカメラは、前記ヘッドギアに装着され、前記電子ディスプレイが前記ユーザの正面に位置決めされたときに前記電子ディスプレイが前記シーンカメラの視野内になるように方向付けられる」とあり、電子ディスプレイ及びシーンカメラについて、ヘッドギアに対する配置状況が記載されているが、発明の詳細な説明には配置状況に関する記載が見受けられず、請求項12の記載に対応する記載箇所が不明である。

以上検討したとおり、本願発明は、本件明細書の発明の詳細な説明に記載されたものとはいえず、本願は特許法第36条第6項第1号の規定に違反するものである。

3.当審拒絶理由の理由3について

明確性要件について
特許を受けようとする発明が明確であるか否かは,特許請求の範囲の記載だけではなく,願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し,また,当業者の出願当時における技術常識を基礎として,特許請求の範囲の記載が,第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるか否かという観点から判断されるべきである。

以下,この観点に立って,判断する。

・請求項 9
請求項9には、「モバイル電子デバイスをさらに備え、前記電子ディスプレイは、前記モバイル電子デバイス上に設けられ、前記検出器は、前記電子ディスプレイ上にカメラを備え、前記カメラは、前記電子ディスプレイを閲覧するユーザが前記カメラの視野内になるように方向付けられる」と記載されているが、「前記検出器は、前記電子ディスプレイ上にカメラを備え」ることの、技術的意味が不明確である。すなわち、検出器は、電子ディスプレイ上にカメラを備えるということは、検出器とは別に電子ディスプレイにカメラが設けられているのか否かについても明確ではなく、検出器、電子ディスプレイ、カメラの各々の関係が不明確である。

以上検討したとおり、本願発明は、特許を受けようとする発明が明確であるとはいえず、本願は特許法第36条第6項第2号の規定に違反するものである。

第6 むすび
以上のとおり、本願は、発明の詳細な説明の記載が特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしておらず、特許請求の範囲の記載が同条第6項第1号に規定する要件を満たしておらず、特許請求の範囲の記載が同条第6項第2号に規定する要件を満たしていないから、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲 (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。

審判長 角田 慎治
出訴期間として在外者に対し90日を附加する。
 
審理終結日 2022-06-08 
結審通知日 2022-06-14 
審決日 2022-07-06 
出願番号 P2017-511568
審決分類 P 1 8・ 536- WZ (G06F)
P 1 8・ 537- WZ (G06F)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 角田 慎治
特許庁審判官 ▲高▼瀬 健太郎
野崎 大進
発明の名称 実在および仮想のオブジェクトと対話するための生体力学ベースの眼球信号のためのシステムおよび方法  
代理人 特許業務法人深見特許事務所  

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