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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G06F |
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管理番号 | 1391426 |
総通号数 | 12 |
発行国 | JP |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2022-12-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2021-06-16 |
確定日 | 2022-11-15 |
事件の表示 | 特願2017−201694「サーバシステム、クライアント装置及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 1月25日出願公開、特開2018− 14139、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成28年3月2日の出願である特願2016−40489号の一部を、平成29年10月18日に新たな特許出願(特願2017−201694号)としたものであって、その後の手続の概要は、以下のとおりである。 令和2年 1月 7日付け:拒絶理由通知書 令和2年 3月17日: 意見書の提出 令和2年 8月28日付け:拒絶理由通知書 令和2年10月23日: 意見書、手続補正書の提出 令和3年 3月31日付け:拒絶査定 令和3年 6月16日: 審判請求書の提出 令和4年 2月22日付け:拒絶理由通知書(以下、「当審拒絶理由(1 )」という。) 令和4年 4月28日: 意見書、手続補正書の提出 令和4年 8月16日付け:拒絶理由通知書(以下、「当審拒絶理由(2 )」という。) 令和4年 9月 9日: 意見書、手続補正書の提出 第2 原査定の概要 原査定(令和3年3月31日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 理由1(進歩性) 本願請求項1に係る発明は、以下の引用文献A−Cに基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 A.特開2011−154493号公報 B.特開2016−027489号公報 C.hifive,h5.js,hifivetools [オンライン],日本,2016年1月14日[検索日 2020年1月7日],P.51-58,インターネット: <URL: http://github.com/hifive/hifivetools/blob/master/lib/H5SourceCodeConverter/js/h5.js>, 第2405-第2718行目 第3 当審拒絶理由の概要 1 当審拒絶理由(1)の概要 理由1(明確性) この出願は、特許請求の範囲の請求項1の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 理由2(サポート要件) この出願は、特許請求の範囲の請求項1の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 理由3(進歩性) 本願請求項1に係る発明は、引用文献1−5に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 1.特開2011−154493号公報(拒絶査定時の引用文献A) 2.特開2016−027489号公報(拒絶査定時の引用文献B) 3.hifive,h5.js,hifivetools [オンライン],日本,2016年1月14日[検索日 2022年2月2日],p,70−79,インターネット: <URL: http://github.com/hifive/hifivetools/blob/master/lib/H5SourceCodeConverter/js/h5.js>, 第2405-第2718行目(拒絶査定時の引用文献C) 4.処理中のユーザーの誤操作を防止しよう,hifive[オンライン],日本,2017年12月31日[検索日 2022年2月2日],p.1−9,URL,htttp://www.htmlhifive.com/conts/web/view/recipe/indicator(当審において新たに引用した文献) 5.インジケータに表示/非表示判定。hifiveの便利なUI機能を紹介します,hifive開発者ブログ [オンライン],日本,2014年8月27日[検索日 2022年2月2日],p.1−5,インターネット: <URL: http://blog.htmlhifive.com/2014/08/27/hifive-ui-tips-indicator-isinview/>(当審において新たに引用した文献) 2 当審拒絶理由(2)の概要 理由1(明確性) この出願は、特許請求の範囲の請求項4の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 第4 本願発明 本願請求項1−4に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」−「本願発明4」という。)は、令和4年9月9日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1−4に記載された事項により特定される、以下のとおりの発明である。 「【請求項1】 クライアント装置において、コンテンツ収容画面に包含され、ユーザによる操作が可能な複数のコンテンツ画面をロードする際に、当該コンテンツ画面と当該コンテンツ画面の送信完了通知とをクライアント装置に送信する送信部を有し、 前記通知は、前記クライアント装置において前記コンテンツ画面をロードする際に操作不可能な状態で表示されていた前記コンテンツ画面を操作可能とする、サーバシステム。 【請求項2】 前記コンテンツ画面は、ユーザにより選択される、請求項1に記載のサーバシステム。 【請求項3】 前記送信部は、前記コンテンツ画面に対する操作を不可能な状態で当該コンテンツ画面を前記クライアント装置において表示させる制御情報を送信する、請求項1又は2に記載のサーバシステム。 【請求項4】 クライアント装置において、コンテンツ収容画面に包含され、ユーザによる操作が可能な複数のコンテンツ画面をロードする際に、当該コンテンツ画面と当該コンテンツ画面の送信完了通知とをサーバシステムがクライアント装置に送信する工程を有し、 前記通知は、前記クライアント装置において前記コンテンツ画面をロードする際に操作不可能な状態で表示されていた前記コンテンツ画面を操作可能とする、方法。」 第5 引用文献、引用発明等 1 引用文献1及び引用発明 (1) 引用文献1 当審拒絶理由(1)の理由3において引用された引用文献1には、図面とともに、以下の記載がある(下線は、特に着目した箇所を示す。以下同様。)。 ア 段落【0019】 「【0019】 本発明は、以上の点に着目したもので、その目的は、現状の広告配信システムをそのまま活用しつつ、必要が生じた時点で任意に広告の差し替えを行うことである。他の目的は、広告の差し替えを簡便に行なって、効率的な広告・宣伝を行うことである。更に他の目的は、低いスペックや細い通信回線でも運用可能な広告差し替えのためのシステムを提供することである。更に他の目的は、複数の広告を差し替えるための管理作業や、機械的及び人的な作業リスクを軽減し、広告原稿の差替えのための再入稿に伴う負担を軽減することである。」 イ 段落【0027】 「【0027】 次に、媒体コンテンツ運用サーバ122は、クライアント110のディスプレイ112上に、ポータルサイトの広告媒体としてのwebページ114を表示するためのサーバである。webページ114には、例えば、ニュース,天気予報などのコンテンツが表示されており、更に広告を表示するための広告枠116が設けられている。一方、広告配信サーバ124及び広告配信代行サーバ132は、前記webページ114の広告枠116に広告画像を表示するためのサーバである。」 ウ 図2−図3 「【図2】 ![]() 【図3】 ![]() 」 エ 段落【0031】−【0036】 「【0031】 <実施例の動作>・・・次に、図2及び図3も参照しながら、本実施例の動作を説明する。図2は動作の手順を示すシーケンス図であり、図3は主要動作を示す図である。まず、広告主140は、広告原稿ファイル200を、広告配信サーバ124(もしくは広告配信代行サーバ132)に入稿する。本例では、広告原稿ファイル200に、図3に示す広告画像221〜223の3つが含まれている。また、広告主140は、表示設定サーバ212に対して表示設定データ202を送信する。なお、これらの広告原稿ファイル200の入稿や、表示設定データ202の送信も、インターネット100を通じて行うようにしてよい。 【0032】 クライアント110が、パソコン111によってポータルサイト運営会社120が運営するポータルサイトにインターネット100を通じてアクセスすると(図2ステップSA)、媒体コンテンツ運用サーバ122は、当該ポータルサイトのwebページ114のコンテンツデータをインターネット100を通じてクライアント110に送信する(ステップSB)。 【0033】 一方、広告配信サーバ124は、webページ114の広告枠116に表示すべき広告原稿ファイル200を、当該ポータルサイトのwebページを構成する要素として広告枠116に表示されるように、同時にクライアント110にインターネット100を通じて送信する(ステップSC)。クライアント110では、パソコン111によってウェブブラウザ内にコンテンツと広告原稿ファイル200がインターネット100を通じて読み込まれる。このとき、広告原稿ファイル200に含まれている表示設定プログラム201が実行される(ステップSD)。すると、クライアント110は、まず表示設定サーバ212にインターネット100を通じてアクセスし、表示設定プログラム201から広告判別情報を表示設定サーバ212に送信する(ステップSE)。通常広告配信サーバ124には、多数の広告主140からそれぞれ広告原稿ファイル200が入稿されており、同時に、表示設定サーバ212にも多数の表示設定データ202が用意されている。これらの多数の表示設定データ202がいずれの広告原稿ファイル200のものかを判別するためのデータが広告判別情報である。 【0034】 表示設定サーバ212は、インターネット100を通じて広告判別情報を受信し(ステップSF)、該当する表示設定データ202を該当するクライアント110に送信する(ステップSG)。クライアント110では、インターネット100を通じて表示設定データ202を受信し(ステップSH)、受信した表示設定データ202において指定されている表示態様に基づいて(ステップSI)、ファイル内で指示通りに広告画像を組み立てる。この広告画像は、媒体コンテンツ運用サーバ122から送信されたコンテンツが表示されるwebページ114の広告枠116内に表示される(ステップSJ)。 【0035】 図3の例では、広告原稿ファイル200に、広告画像221〜223及び表示設定プログラム201が含まれており、これがクライアント110のパソコン112にインターネット100を通じて広告配信サーバ124から送信される。一方、表示設定データ202においては、2番目の広告画像222が指定されている。このため、クライアント110では、表示設定プログラム201によって、表示設定データ202で指示された広告画像222のみがwebページ114の広告枠116内に表示されることとなる。なお、広告画像222が表示されるまでは、例えば「Now Loading...」といった表示が広告枠116内に表示される。 【0036】 この場合において、ポータルサイトのwebページ114に広告画像222を表示したときのユーザの反応は、広告配信サーバ124において管理されており、広告主は広告画像222のクリック数を知ることができる。その結果、クリック数が予想よりも低いときは、表示設定データ202の設定を、広告画像222から他の広告画像,例えば広告画像221に変更する。すると、変更後の表示設定データ202に基づいて、広告原稿ファイル200から広告画像221が選択され、次にクライアント110がポータルサイトにアクセスした際には、ポータルサイトのwebページ114に広告画像221が表示されるようになる。広告配信代行サーバ132による広告の代行配信の場合も同様である。」 (2) 引用発明 よって、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が開示されているものと認められる。 「媒体コンテンツ運用サーバ122は、クライアント110のディスプレイ112上に、ポータルサイトの広告媒体としてのwebページ114を表示するためのサーバであり、 webページ114には、例えば、ニュース,天気予報などのコンテンツが表示されており、更に広告を表示するための広告枠116が設けられ、 広告配信サーバ124及び広告配信代行サーバ132は、前記webページ114の広告枠116に広告画像を表示するためのサーバであり、 クライアント110が、パソコン111によってポータルサイト運営会社120が運営するポータルサイトにインターネット100を通じてアクセスすると(ステップSA)、 媒体コンテンツ運用サーバ122は、当該ポータルサイトのwebページ114のコンテンツデータをインターネット100を通じてクライアント110に送信し(ステップSB)、 一方、広告配信サーバ124は、webページ114の広告枠116に表示すべき広告原稿ファイル200を、当該ポータルサイトのwebページを構成する要素として広告枠116に表示されるように、同時にクライアント110にインターネット100を通じて送信し(ステップSC)、 クライアント110では、パソコン111によってウェブブラウザ内にコンテンツと広告原稿ファイル200がインターネット100を通じて読み込まれ、このとき、広告原稿ファイル200に含まれている表示設定プログラム201が実行され(ステップSD)、 クライアント110では、インターネット100を通じて表示設定データ202を受信し(ステップSH)、受信した表示設定データ202において指定されている表示態様に基づいて(ステップSI)、ファイル内で指示通りに広告画像を組み立て、この広告画像は、媒体コンテンツ運用サーバ122から送信されたコンテンツが表示されるwebページ114の広告枠116内に表示され(ステップSJ)、 なお、広告画像222が表示されるまでは、例えば「Now Loading...」といった表示が広告枠116内に表示され、 ポータルサイトのwebページ114に広告画像222を表示したときのユーザの反応は、広告配信サーバ124において管理されており、広告主は広告画像222のクリック数を知ることができる、 媒体コンテンツ運用サーバ122、広告配信サーバ124及び広告配信代行サーバ132。」 2 引用文献2−5 (1) 引用文献2 引用文献2の段落【0057】−【0058】には、以下の記載がある。 「【0057】 〔5−1.複数の広告枠(1)〕 上記実施形態では、単一の広告枠を例に挙げて説明したが、上述してきた広告配信装置100は、複数の広告枠に表示される広告コンテンツを配信することもできる。このとき、広告配信装置100は、広告枠の優先度が決められている場合には、優先度の高い広告枠の順に、かかる広告枠に表示される配信候補の広告コンテンツとして、単位評価値が高い順に広告コンテンツを抽出してもよい。この点について図6を用いて説明する。図6は、変形例に係る広告抽出処理の一例を示す説明図である。なお、図6に示した広告配信装置100は、図1の例と同様に、広告コンテンツC11〜C15を保持するものとする。 【0058】 図6の例では、端末装置10は、高さ「6」の広告枠R21及びR22を含むウェブページを表示している。ここで、広告枠R21及びR22は、広告コンテンツを表示させる優先度が決められている。図6の例では、広告枠を示す矩形内に示した数値が優先度を示し、数値が低いほど優先度が高いことを示すものとする。すなわち、広告枠R21の優先度「1」であり、広告枠R22の優先度「2」であり、広告枠R22の優先度よりも広告枠R21の優先度の方が高い。このような広告枠の優先度は、ウェブページを配信する情報提供装置30によって決定される。例えば、情報提供装置30は、ウェブページ毎に、ユーザにクリックされる回数が多い広告枠の順に高い優先度を設定する。」 (2) 引用文献3−5について 引用文献3の2600−2603行には、コメント行として、以下の記載がある。 「2600 * 指定された要素に対して、インジケータ(メッセージ・画面ブロック・ 進捗)の表示や非表示を行うためのオブジェクトを取得します。 2601 * 使用例2602 * 画面全体をブロックする場合 2603 * ・画面全体をブロックする場合、targetオプションにdocument、windowまたはbodyを指定する。 」 上記2600行には、「指定された要素に対して、インジケータ(メッセージ・画面ブロック・進捗)の表示や非表示を行うためのオブジェクトを取得します」と記載され、使用例が記載される2603行においては、インジケータの「targetオプション」指定において、「document」すなわちHTML文書全体を指定することで、「画面全体をブロックする」ことが記載されているといえる。 また、引用文献3の2405−2415行には、コメント行として、以下の「インジケータ」クラスの定義がある。 「2405 * インジケータ(メッセージ・画面ブロック・進捗表示)の表示や非表示を行うクラス。 2406 * 2407 * @class 2408 * @name Indicator 2409 * @param {String|Object} target インジケータを表示する対象のDOMオブジェクトまたはセレクタ 2410 * @param {Object} [option] オプション 2411 * @param {String} [option.message] メッセージ 2412 * @param {Number} [option.percent] 進捗を0〜100の値で指定する。 2413 * @param {Boolean} [option.block] 操作できないよう画面をブロックするか (true:する/false:しない) 2414 * @param {Promise|Promise[]} [option.promises] Promiseオブジェクト (Promiseの状態と合わせてインジケータの表示・非表示する) 2415 * @param {String} [options.cssClass] インジケータの基点となるクラス名 (CSSでテーマごとにスタイルをする場合に使用する)」 上記2409行には、「インジケータを表示する対象のDOMオブジェクトまたはセレクタ」を指定する「target」オプションが記載されている。 ここで、インジケータの表示範囲を指定する「target」オプションについて、さらに、 引用文献4、1ページ下から4行目「target: document,」、及び、同1ページ最下行の「このように書くとドキュメント全体にインジケータを表示します」の記載、及び、 引用文献5、3ページ下から5〜4行目「targetはインジケータを表示する範囲を指定するオプションです。指定しない場合はコントローラをバインドした要素に対してインジケータを表示します。(今回はtargetを指定しなくてOKです。)」の記載を参照すると、引用文献3の「target」オプションの指定により、インジケータを表示させる範囲として、画面全体のうちの所定の位置を指定できるものと認められる。 また、引用文献3の2413行には、 「2413 * @param {Boolean} [option.block] 操作できないよう画面をブロックするか (true:する/false:しない)」 との記載があり、「block」オプションの指定により、「画面」全体の操作をブロックできることが読み取れる。 第6 対比・判断 1 本願発明1について (1) 対比 本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。 ア 引用発明の「クライアント110」は、本願発明1の「クライアント装置」に相当する。 引用発明の「ポータルサイトの広告媒体としてのwebページ114」は、本願発明1の「コンテンツ収容画面」に相当する。 引用発明の「webページ114には、例えば、ニュース,天気予報などのコンテンツが表示されており、更に広告を表示するための広告枠116が設けられ」ていることにおける「広告を表示するための広告枠116」は、本願発明1の「ユーザによる操作が可能な複数のコンテンツ画面」と、「ユーザによる操作が可能なコンテンツ画面」である点で共通するといえる よって、引用発明の「クライアント110が、パソコン111によってポータルサイト運営会社120が運営するポータルサイトにインターネット100を通じてアクセスすると(ステップSA)、 媒体コンテンツ運用サーバ122は、当該ポータルサイトのwebページ114のコンテンツデータをインターネット100を通じてクライアント110に送信し(ステップSB)、 一方、広告配信サーバ124は、webページ114の広告枠116に表示すべき広告原稿ファイル200を、当該ポータルサイトのwebページを構成する要素として広告枠116に表示されるように、同時にクライアント110にインターネット100を通じて送信し(ステップSC)、 クライアント110では、パソコン111によってウェブブラウザ内にコンテンツと広告原稿ファイル200がインターネット100を通じて読み込まれ、このとき、広告原稿ファイル200に含まれている表示設定プログラム201が実行され(ステップSD)、 クライアント110では、インターネット100を通じて表示設定データ202を受信し(ステップSH)、受信した表示設定データ202において指定されている表示態様に基づいて(ステップSI)、ファイル内で指示通りに広告画像を組み立て、この広告画像は、媒体コンテンツ運用サーバ122から送信されたコンテンツが表示されるwebページ114の広告枠116内に表示され(ステップSJ)」ることは、本願発明1の「クライアント装置において、コンテンツ収容画面に包含され、ユーザによる操作が可能な複数のコンテンツ画面をロードする際に、当該コンテンツ画面と当該コンテンツ画面の送信完了通知とをクライアント装置に送信する送信部を有」することと、「クライアント装置において、コンテンツ収容画面に包含され、ユーザによる操作が可能なコンテンツ画面をロードする際に、当該コンテンツ画面をクライアント装置に送信する送信部を有」する点で共通するといえる。 ウ 引用発明の「媒体コンテンツ運用サーバ122、広告配信サーバ124及び広告配信代行サーバ132」は、本願発明1の「サーバシステム」に相当する。 よって、本願発明1と引用発明との一致点・相違点は次のとおりであるといえる。 [一致点] 「クライアント装置において、コンテンツ収容画面に包含され、ユーザによる操作が可能なコンテンツ画面をロードする際に、当該コンテンツ画面をクライアント装置に送信する送信部を有する、 サーバシステム。」 [相違点1] 本願発明1では、「クライアント装置において、コンテンツ収容画面に包含され、ユーザによる操作が可能な複数のコンテンツ画面をロードする際に」、「当該コンテンツ画面」「をクライアント装置に送信する」のに対して、引用発明では、「広告画像222が表示されるまでは、例えば「Now Loading...」といった表示が広告枠116内に表示され」るものであって、「広告を表示するための広告枠116」が、「複数」あることが特定されていない点。 [相違点2] 本願発明1では、さらに、「当該コンテンツ画面と当該コンテンツ画面の送信完了通知とをクライアント装置に送信する送信部を有し、 前記通知は、前記クライアント装置において前記コンテンツ画面をロードする際に操作不可能な状態で表示されていた前記コンテンツ画面を操作可能とする」のに対して、引用発明では、コンテンツ画面とともに「送信完了通知」を送信するものではなく、「前記通知」により、「コンテンツ画面を操作可能とする」ことが特定されていない点。 (2) 当審の判断 事案に鑑みて、上記[相違点2]について先に検討すると、本願発明1の上記[相違点2]に係る、「当該コンテンツ画面と当該コンテンツ画面の送信完了通知とをクライアント装置に送信する送信部を有し、 前記通知は、前記クライアント装置において前記コンテンツ画面をロードする際に操作不可能な状態で表示されていた前記コンテンツ画面を操作可能とする」構成については、上記引用文献1−5には記載されておらず、周知技術であるともいえない。 引用文献2には、ウェブページにおいて広告枠を複数設ける周知技術が記載され、引用文献3には、インジケータの「targetオプション」指定において、「document」すなわちHTML文書全体を指定することで、画面全体をブロックできること、さらに、引用文献4−5の記載も参照すると、画面全体のうちの所定の範囲を指定して、インジケータを「表示」できること、「blockオプション」により、「画面」全体の操作をブロックできることは開示されているといえるが、「コンテンツ収容画面に包含され、ユーザによる操作が可能な複数のコンテンツ画面をロードする際に」、「コンテンツ画面の送信完了通知」をクライアント装置に送信する送信部であって、「前記通知は、前記クライアント装置において前記コンテンツ画面をロードする際に操作不可能な状態で表示されていた前記コンテンツ画面を操作可能とする」構成は、開示されていない。 よって、当業者といえども、引用発明及び引用文献2−5に記載された技術的事項から、本願発明1の上記[相違点2」に係る構成を容易に想到することはできない。 したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明及び引用文献2−5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 2 本願発明2−4について 本願発明2−4も、本願発明1の上記[相違点2」に係る、「当該コンテンツ画面と当該コンテンツ画面の送信完了通知とをクライアント装置に送信する送信部を有し、 前記通知は、前記クライアント装置において前記コンテンツ画面をロードする際に操作不可能な状態で表示されていた前記コンテンツ画面を操作可能とする」構成と、(実質的に)同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2−5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。 第7 当審拒絶理由(2)の理由1について 令和4年9月9日付けの補正による、補正後の請求項4は、「クライアント装置において、コンテンツ収容画面に包含され、ユーザによる操作が可能な複数のコンテンツ画面をロードする際に、当該コンテンツ画面と当該コンテンツ画面の送信完了通知とをサーバシステムがクライアント装置に送信する工程」と補正された結果、「クライアント装置に送信する工程」の主体が明確となり、当審拒絶理由(2)の理由1(明確性)は解消した。 第8 当審拒絶理由(1)の理由1−2について 1 理由1(明確性)について 令和4年9月9日付けの補正による、補正後の請求項1には、「クライアント装置において、コンテンツ収容画面に包含され、ユーザによる操作が可能な複数のコンテンツ画面をロードする際に」とあり、用語「コンテンツ」と「コンテンツ画面」の定義と、両者の対応関係が、明確に特定されており、当審拒絶理由(1)の理由1(明確性)は解消した。 2 理由2(サポート要件)について 令和4年9月9日付けの補正による、補正後の請求項1には、「クライアント装置において、コンテンツ収容画面に包含され、ユーザによる操作が可能な複数のコンテンツ画面をロードする際に、当該コンテンツ画面と当該コンテンツ画面の送信完了通知とをクライアント装置に送信する送信部を有し」とあり、「コンテンツの送信」と、「コンテンツ画面をロードする」ことのタイミングの前後関係が明確に特定されており、当審拒絶理由(1)の理由2(サポート要件)は解消した。 第9 原査定についての判断 令和4年9月9日付けの補正による、補正後の請求項1−4は、本願発明1の上記[相違点2」に係る、「当該コンテンツ画面と当該コンテンツ画面の送信完了通知とをクライアント装置に送信する送信部を有し、 前記通知は、前記クライアント装置において前記コンテンツ画面をロードする際に操作不可能な状態で表示されていた前記コンテンツ画面を操作可能とする」という技術的事項を有するものである。当該技術的事項は、原査定における引用文献A−Cには記載されておらず、周知技術でもないので、本願発明1−4は、当業者であっても、原査定における引用文献A−Cに基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定を維持することはできない。 第10 むすび 以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。 他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2022-11-01 |
出願番号 | P2017-201694 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(G06F)
P 1 8・ 537- WY (G06F) |
最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
▲吉▼田 耕一 |
特許庁審判官 |
稲葉 和生 石井 則之 |
発明の名称 | サーバシステム、クライアント装置及びプログラム |
代理人 | 伊東 忠彦 |
代理人 | 伊東 忠重 |