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審決分類 |
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない。 B60K 審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 B60K 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 B60K 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B60K 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 B60K |
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管理番号 | 1391441 |
総通号数 | 12 |
発行国 | JP |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2022-12-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2021-06-24 |
確定日 | 2022-11-14 |
事件の表示 | 特願2017−26352号「運搬台車用の駆動装置」拒絶査定不服審判事件〔平成30年8月23日出願公開、特開2018−131068号〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成29年2月15日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和2年 9月 4日付け :拒絶理由通知書 同年 11月 9日 :意見書、手続補正書の提出 同年 12月 8日付け :拒絶理由通知書(最後) 令和3年 3月19日 :意見書、手続補正書の提出 同年 4月15日付け :令和3年3月19日にされた手続補正についての補正の却下の決定、拒絶査定 同年 6月24日 :審判請求書、同時に手続補正書の提出 第2 令和3年6月24日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和3年6月24日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 補正の内容 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線は、補正箇所を示すため、当審が付与したものである。) (1)本件補正後の特許請求の範囲の記載 「 【請求項1】 モータと、 モータから入力される動力を減速して出力する減速機と、 前記減速機からの出力により回転するメカナムホイールと、を備え、 前記減速機は、前記モータからの動力を入力される減速部と、前記減速部を支持するキャリアと、前記キャリアに対して相対回転可能なケースと、前記モータを支持する基部と、を有し、 前記減速部は、前記キャリアが前記基部に固定されているとき前記動力を前記ケースに伝達し、且つ、前記ケースが前記基部に固定されているとき前記動力を前記キャリアに伝達し、 前記キャリアは前記基部に固定され且つ前記メカナムホイールは前記ケースに固定され、 前記減速機は、前記キャリアと前記ケースとの間で前記減速部の径方向外周部に配置された一対の軸受をさらに備える、運搬台車用の駆動装置。」 (2)本件補正前の特許請求の範囲の記載 令和3年3月19日にされた手続補正についての補正の却下の決定がされたので、本件補正前の令和2年11月9日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。 「 【請求項1】 モータと、 モータから入力される動力を減速して出力する減速機と、 前記減速機からの出力により回転するメカナムホイールと、を備え、 前記減速機は、前記モータからの動力を入力される減速部と、前記減速部を支持するキャリアと、前記キャリアに対して相対回転可能なケースと、を有し、 前記メカナムホイールは、前記ケース又は前記キャリアに固定され、 前記減速機は、前記キャリアと前記ケースとの間で前記減速部の径方向外周部に配置された一対の軸受をさらに備える、運搬台車用の駆動装置。」 2 補正の適否 (1)本件補正の内容 本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「減速機」について、「前記モータを支持する基部」を有するとの限定を付与し、「減速部」について「前記減速部は、前記キャリアが前記基部に固定されているとき前記動力を前記ケースに伝達し、且つ、前記ケースが前記基部に固定されているとき前記動力を前記キャリアに伝達し、」との限定を付与し、「キャリア」について、「前記キャリアは前記基部に固定され」との限定を付与し、さらに、「メカナムホイール」について、「前記メカナムホイールは、前記ケース又は前記キャリアに固定され、」としていたものを「メカナムホイールは前記ケースに固定され、」とするものである。 (2)願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)の記載 当初明細書等には以下の記載がある。(下線は、当審が付与したものである。) ア 明細書 「【0016】 〔第1の実施の形態〕 図1は、本発明の第1の実施の形態に係る運搬台車用の駆動装置を示す斜視図である。また、図2は、図1に示す駆動装置のモータの回転軸線に沿った断面図である。 【0017】 図1及び図2に示すように、駆動装置10は、モータ20と、モータ20から入力される動力、すなわち回転を減速して出力する減速機30と、減速機30からの出力により回転するメカナムホイール40と、を備える。 【0018】 図2に示すように、減速機30は、モータ20からの動力(回転)を入力される減速部31と、減速部31を支持するキャリア32と、キャリア32に対して相対運動可能なケース33と、を有している。また、図2に示す例においては、減速機30は、さらに、モータ20を支持する基部34を有している。 【0019】 ケース33及び基部34は、概ね円筒状の部材であり、モータ20の回転軸線Ax方向に延在する。基部34の一方の端部には、モータ20の本体部21が、図示しない締結部材によって基部34に取り付けられている。一方、基部34の他方の端部には、ケース33の一方の端部が、ボルト等の締結部材51によって固定されている。 【0020】 回転軸線Axを中心とする径方向におけるケース33及び基部34の内側には、入力軸35が、回転軸線Ax方向に延在している。また、回転軸線Axを中心とする径方向におけるケース33の内側には、減速部31及びキャリア32が配置されている。 【0021】 入力軸35は、減速部31にモータ20の動力を入力するインプットギアとして機能する。具体的には、入力軸35の一方の端部には、モータ20の出力軸25が接続されている。これにより、入力軸35は、モータ20の出力軸25と一体的に、回転軸線Axを中心に回転することができる。このようにして、モータ20から出力される動力(回転)が、入力軸35に伝達される。入力軸35は、その他方の端部において、減速部31にモータ20の動力を入力するようになっている。 【0022】 なお、モータ20の本体部21及び出力軸25は、それぞれ、基部34及び入力軸35に着脱可能に取り付けられている。そのため、モータ20は、必要に応じて交換することが可能である。 【0023】 減速部31は、入力軸35から入力される動力(回転)を減速して、トルクが増大された動力をキャリア32またはケース33に伝達する。図2に示す例においては、ケース33は基部34に固定されているため、減速部31は、キャリア32に動力を伝達し、キャリア32を回転させる。」 「【0032】 図2に示す例においては、メカナムホイール40は、キャリア32の接続部80に、メカナムホイール40の回転軸線Bxとキャリア32の回転軸線Axとが一致するように固定されている。なお、後述の例のように、減速部31がケース33を回転させるようになっている場合、メカナムホイール40は、ケース33に固定され、ケース33とともに回転するようにしてもよい。」 「【0034】 以上に説明した第1の実施の形態による運搬台車用の駆動装置10は、モータ20と、モータ20から入力される動力を減速して出力する減速機30と、減速機30からの出力により回転するメカナムホイール40と、を備えている。そして、減速機30は、モータ20からの動力を入力される減速部31と、減速部31を支持するキャリア32と、キャリア32に対して相対回転可能なケース33と、を有しており、メカナムホイール40は、ケース33又はキャリア32に固定されている。」 「【0038】 〔第2の実施の形態〕 次に、図3を参照して、第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態は、減速機の少なくとも一部がメカナムホイールの内側に配置されている点と、メカナムホイールがキャリアではなくケースに固定されている点と、において、第1の実施の形態と異なり、他の構成は、第1の実施の形態と略同一である。第2の実施の形態において、第1の実施の形態と同一部分には、同一符号を付して詳細な説明は省略する。また、第1の実施の形態において得られる作用効果が本実施の形態においても得られることが明らかである場合、その説明を省略することもある。 【0039】 図3に示す駆動装置100において、減速機30の減速部31は、動力をケース33に伝達するようになっている。具体的には、図3に示す例においては、ケース33は基部34に固定されておらず、キャリア32が基部34にボルト等の締結部材55によって固定されている。この結果、減速部31は、動力をケース33に伝達して、ケース33を回転させるようになっている。 【0040】 また、図3に示す駆動装置100においては、減速機30の少なくとも一部が、メカナムホイール40の回転軸線Bxを中心とする径方向におけるメカナムホイール40の内側に配置されている。つまり、回転軸線Ax方向において、減速機30の少なくとも一部は、メカナムホイール40と重複する領域に配置されている。具体的には、減速機30のケース33が、メカナムホイール40に圧入されている。メカナムホイール40のホイール本体41は、ボルト等の締結部材56によってケース33に固定されているだけでなく、ケース33によってホイール本体41の内周側から支持されている。もちろん、減速機30のケース33は、圧入以外の方法、例えばすきまばめ、によってメカナムホイール40の内側に配置されてもよい。」 イ 図面 (ア)図1 「 ![]() 」 (イ)図2 「 ![]() 」 (ウ)図3 「 ![]() 」 (3)新たな技術的事項の導入の有無について ア 本件補正は、上記(1)のとおり、「前記減速部は、前記キャリアが前記基部に固定されているとき前記動力を前記ケースに伝達し、且つ、前記ケースが前記基部に固定されているとき前記動力を前記キャリアに伝達し、」との限定(以下「構成A」という。)を付与することを含むものである。 イ 上記(2)ア及びイの記載事項を踏まえると、【0016】〜【0023】、【0032】、【0034】及び図2から、第1の実施の形態では、ケース33が基部34に固定され、キャリア32は基部34に固定されておらず、メカナムホイール40はキャリア32に固定され、減速部31はキャリア32に動力を伝達し、メカナムホール40が回転するものとなっている。これに対して、【0038】〜【0040】及び図3から、第2の実施の形態では、キャリア32が基部34に固定され、ケース33は基部34に固定されておらず、メカナムホイール40はケース33に固定され、減速部31はケース33に動力を伝達し、メカナムホイール40は回転するものとなっている。つまり、【0038】にも記載されているとおり、本発明の第1の実施の形態と第2の実施の形態とは、モータによりメカナムホイールを回転する機構が基本的に異なるものである。 そして、第1の実施の形態と第2の実施の形態は、モータ20の本体部21に基部34が締結部材によって取り付けられる点では共通しており、基部34はモータ20によって回転するものとはなっていない。 ウ ここで、構成Aは、減速部が、キャリアが基部に固定されているとき動力をケースに伝達する構成と、ケースが基部に固定されているとき動力をキャリアに伝達する構成とを同時に満たす構成であると解することができるところ、これは、第1の実施の形態と第2の実施の形態を同時に満たすというに等しい。 エ ところが、上記イのとおり、第1の実施の形態と第2の実施の形態とはそれぞれ基本的な機構が異なるものであり、減速部31はキャリア32又はケース33のいずれか一方にしか動力を伝達することができず、基部34に固定されるのはキャリア32又はケース33のいずれか一方に限られる。また仮に、モータ20の本体部21が取り付けられる基部34に対してキャリア32とケース33の両方が固定されてしまうと、基部34はモータ20により回転するものではないことから、キャリア32及びケース33のいずれも回転させることができなくなってしまい、ひいてはメカナムホイール40を回転させることができなくなる。つまり、第1の実施の形態と第2の実施の形態を同時に満たすような構成は、メカナムホイール40を回転させることができない。 そうすると、第1の実施の形態と第2の実施の形態を同時に満たす構成は、当初明細書等に記載された事項の範囲内のものであるということはできないし、本願の出願前に技術常識又は周知の技術であったとする証拠もない。 オ 以上より、構成Aは、当初明細書等には記載がなく、当初明細書等から自明でもないから、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項であるといえる。 したがって、本件補正は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてするものとはいえない新たな技術的事項を導入する補正を含むことから、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。 カ 請求人は、審判請求書において、本件補正は、【0018】、【0023】、【0039】、【0040】等に基づくと主張する。 確かに、【0023】には、「減速部31は、入力軸35から入力される動力(回転)を減速して、トルクが増大された動力をキャリア32またはケース33 に伝達する。」と記載されていることから、減速部31はキャリア32またはケース33に動力を伝達することが記載されているように一応みえる。 しかしながら、同【0023】には、「図2に示す例においては、ケース33は基部34に固定されているため、減速部31は、キャリア32に動力を伝達し、キャリア32を回転させる。」とも記載されており、図2に示す例とは第1の実施の形態であることを踏まえると、あくまでも、第1の実施の形態では、減速部31がキャリア32に動力を伝達するものであることが理解できるし、減速部31がケース33に動力を伝達するのが第2の実施の形態であることは、当初明細書等のすべての記載からみれば理解できる。 さらに、【0018】は、第1の実施の形態について説明する段落であり、【0039】及び【0040】は、第2の実施の形態について説明する段落であるところ、上述したとおり、これらの段落の記載をみても、第1の実施の形態と第2の実施の形態を同時に満たす構成については記載されておらず、そのような構成について示唆もされていない。 よって、請求人の主張は採用することができない。 (4)特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて 本件補正は、上記(1)で示した事項をその内容とするものであり、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題も同一であるから、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。 ア サポート要件 構成Aは、上記(3)エで述べたとおり、本願の発明の詳細の説明及び図面に記載されたものであるとはいえず、また、そのような構成Aを含む請求項1に係る発明は、基部に対してキャリアとケースの両方が同時に基部に固定されるものであることから、メカナムホイールを回転させるという課題を解決できるものであるとはいえない。 よって、本件補正後の請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されたものではないので、特許法第36条第6項第1号を満たすものであるということはできない。 イ 実施可能要件 上記(3)エで述べたとおり、構成Aを含む請求項1に係る発明において、どのようにしてメカナムホイールを回転することができるのか、当業者であっても理解することができず、本願の発明の詳細な説明は当該発明を実施できる程度に記載されたものであるとはいえない。 よって、本願の発明の詳細な説明は、特許法第36条第4号第1号に規定する要件を満たすものであるということはできない。 3 補正の却下の決定のむすび 上記2(3)のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により、却下されるべきものである。 また、上記2(4)のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 令和3年6月24日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1〜7に係る発明は、令和2年11月9日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1〜7に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。 2 原査定における拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、以下の理由を含むものである。 本願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献1:中国特許出願公開第101654039号明細書 3 引用文献の記載及び引用発明 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。(なお、下線及び括弧内の日本語訳は当審が付与したものである。) (1)記載事項 ア 第2ページのヘッダー及び第1〜21行 「 ![]() 」 (日本語訳: 特許請求の範囲 1.埋め込み型平歯車切換式メカナムホイールであって、メカナムホイール本体を含み、メカナムホイール本体内部に支持系が設けられ、且つメカナムホイール本体は支持系に回動可能に接続され、メカナムホイール本体の内側面に内歯車リム(7)が設けられ、支持系に動力入力軸(2)が設けられるとともに動力入力軸(2)はメカナムホイール本体の回転中心に位置し、動力入力軸(2)に逆方向遊嵌太陽歯車(5)及び同方向遊嵌太陽歯車(12)が遊嵌され、動力入力軸(2)に動力入力軸(2)からの動力を逆方向遊嵌太陽歯車(5)又は同方向遊嵌太陽歯車(12)へと伝達することに用いられる切換機構が結合され、前記支持系に逆方向伝動歯車(6)、第1同方向伝動歯車(11)及び第2同方向伝動歯車(10)が回動可能に接続され、且つ、前記逆方向伝動歯車(6)は逆方向遊嵌太陽歯車(5)及び内歯車リム(7)にそれぞれ噛合し、前記第1同方向伝動歯車(11)は同方向遊嵌太陽歯車(12)及び第2同方向伝動歯車(10)にそれぞれ噛合し、前記第2同方向伝動歯車(10)はさらに内歯車リム(7)に噛合することを特徴とする埋め込み型平歯車切換式メカナムホイール。 2.支持系は互いに接続された右ホイールカバー(s1)、中間プレート(s9)及び左ホイールカバー(s12)からなることを特徴とする請求項1に記載の埋め込み型平歯車切換式メカナムホイール。 3.切換機構は動力入力軸(2)に結合されたスライド切換ディスク(4)を含み、スライド切換ディスク(4)を押し引きすることによりスライド切換ディスク(4)を逆方向遊嵌太陽歯車(5)又は同方向遊嵌太陽歯車(12)に当接させることに用いられる操作装置(13)がスライド切換ディスク(4)に接続されることを特徴とする請求項1又は2に記載の埋め込み型平歯車切換式メカナムホイール。 4.メカナムホイール本体は複数のメカナムローラ装着ホルダ(9)を含み、メカナムローラ装着ホルダ(9)にメカナムローラ(8)が設けられ、前記内歯車リム(7)はメカナムローラ装着ホルダ(9)に設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の埋め込み型平歯車切換式メカナムホイール。) イ 第3ページ第6〜16行 「 ![]() 」 (日本語訳: 背景技術 メカナムホイール(Mecanum Wheel)は全方向移動車輪であり、1973年にスイス人のBengt Lionによって発明されたためLionホイールとも呼ばれ、勤務していたのがMecanum AB社である。該ホイールの特徴は、従来の車輪を基礎として、複数の自由に回動可能な小ローラが軸線に対して45°方向になるようにリムに装着され、これにより車輪が転動するとき、小ローラの横方向運動が可能になることである。メカナムホイールを組み合わせて使用し制御することにより、車体に運動を発生させて平面内の任意の方向に移動及び回転させることができる。 1975年、Lionは米国特許(特許番号3,746,112、方向安定自己推進車両、「Directionally Stable Self Propelled Vehicle」)を取得し、1980年米国海軍が該特許を買い取るとともに軍事応用開発を行った。1996年該特許権の失効後、米国及び世界の多くの大学、研究機構及び企業が応用開発及び利用発明を行い、全方向移動可能なフォークリフト、トラック、車椅子、弾薬運搬車両、移動ロボットなどの分野で応用されている。) ウ 第7ページ第7〜15行 「 ![]() 」 (日本語訳: 従来技術と比較して、本発明は以下の利点を有する。 本発明の埋め込み型平歯車切換式メカナムホイールを用いて設計された全方向移動車体は、1つの動力源を集中的に用いて駆動することができ、各車輪の回転速度を正確に制御しなくても必要な平面全方向移動を実現することができる。したがって、全方向移動車体の操作システムを単純化できるとともに、例えば内燃機関、各種モータ、流体駆動の回転機械といった既存の各種高効率回転動力源を用いても、全方向車両の信頼性を大幅に向上させ、製造保守コストを削減することができる。本発明は、メカナムホイール本体と支持系とを互いに回動可能に接続することにより、方向切換、動力伝達及びメカナムホイール本体を一体に集約し、3者が一体化して1つの全体を形成する。このため体積が小さく、構造がコンパクトであるという利点を有し、且つ、本発明の該構造により、本発明を用いた全方向移動車は単純化され、その構造はさらに有効にコンパクトになる。) エ 第8ページ第21〜第9ページ第20行 「 ![]() ![]() 」 (日本語訳: メカナムホイール本体は複数のメカナムローラ装着ホルダ9を含み、メカナムローラ装着ホルダ9にメカナムローラ8が設けられ、前記内歯車リム7はメカナムローラ装着ホルダ9に設けられる。 図3に示すように、支持系は互いに接続された右ホイールカバーs1、中間プレートs9及び左ホイールカバーs12からなる。前記支持系に逆方向伝動歯車6、第1同方向伝動歯車11及び第2同方向伝動歯車10を回動可能に接続するための具体的な実施形態は非常に多く、たとえば以下のとおりである:第1同方向伝動歯車11及び第2同方向伝動歯車10に第1同方向伝動歯車回転軸及び第2同方向伝動歯車回転軸がそれぞれ設置され、第1同方向伝動歯車11及び第2同方向伝動歯車10が中間プレートs9及び左ホイールカバーs12にそれぞれ架設されることにより第1同方向伝動歯車回転軸及び第2同方向伝動歯車回転軸の回動可能な接続が実現できる。逆方向伝動歯車6に逆方向伝動歯車回転軸が設置され、逆方向伝動歯車6が中間プレートs9及び右ホイールカバーs1に架設されることにより逆方向伝動歯車回転軸の回動可能な接続が実現できる。且つ支持系とメカナムホイール本体との回動可能な接続は、右ホイールカバーs1とメカナムローラ装着ホルダ9との間に右深溝玉軸受s7を、左ホイールカバーs12とメカナムローラ装着ホルダ9との間に左深溝玉軸受s8をそれぞれ設置することにより実現できる。 図1及び図3に示すように、外部回動を入力歯車3から入力し、入力軸2を連動させて同期回動させ、入力軸2の回動はさらにスライドキー1を介してスライド切換ディスク4を連動させて同期回動させる。 外部操作装置13によりスライド切換ディスク4を制御し、図の左の位置へとスライドして同方向遊嵌太陽歯車12に係合させると、スライド切換ディスク4が同方向遊嵌太陽歯車12を連動させて入力歯車3と同期回動させる。同方向遊嵌太陽歯車12の回動は、第1同方向伝動歯車11を経由して第2同方向伝動歯車10に伝達され、第2同方向太陽歯車10が内歯車リム7を連動させて、入力軸2と同方向に回動させ、且つ同方向の回動は減速する。こうして、メカナムローラ装着ホルダ9を介して内歯車7に装着されたメカナムローラ8は、内歯車リム7に同期して同方向に回動する。このとき、内歯車リム7はさらに逆方向伝動歯車6を介して逆方向遊嵌太陽歯車5を連動させ、入力軸2上で空転させる。 外部操作装置13によりスライド切換ディスク4を制御し、図の右の位置へとスライドして逆方向遊嵌太陽歯車5に係合させると、スライド切換ディスク4が逆方向遊嵌太陽歯車5を連動させて入力歯車3と同期回動させる。逆方向遊嵌太陽歯車5の回動は、逆方向伝動歯車6を経由して内歯車リム7を連動させて入力軸2の逆方向に回動させ、且つ逆方向の回動は減速する。こうして、メカナムローラ装着ホルダ9を介して内歯車7に装着されたメカナムローラ8は、内歯車リム7に同期して逆方向に回動する。このとき、内歯車リム7はさらに第2同方向伝動歯車10を介して第1同方向伝動歯車11へと伝動し、第1同方向伝動歯車11がさらに同方向遊嵌太陽歯車12を連動させて、入力軸2上で空転させる。) オ 図3 「 ![]() 」 カ 図5 「 ![]() 」 (2)認定事項 ア 図3から、右深溝玉軸受s7、左深溝玉軸受s8は、逆方向伝動歯車6及び第2同方向伝動歯車10の外周部に配置されることが看取できる。 イ 動力入力軸(2)は、動力源から動力が入力されるものであることは明らかである。 (3)引用発明 上記(1)及び(2)から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「埋め込み型平歯車切換式メカナムホイールであって、メカナムホイール本体を含み、メカナムホイール本体内部に支持系が設けられ、且つメカナムホイール本体は支持系に回動可能に接続され、メカナムホイール本体の内側面に内歯車リム(7)が設けられ、支持系に動力入力軸(2)が設けられるとともに動力入力軸(2)はメカナムホイール本体の回転中心に位置し、動力入力軸(2)に逆方向遊嵌太陽歯車(5)及び同方向遊嵌太陽歯車(12)が遊嵌され、動力入力軸(2)に動力入力軸(2)からの動力を逆方向遊嵌太陽歯車(5)又は同方向遊嵌太陽歯車(12)へと伝達することに用いられる切換機構が結合され、前記支持系に逆方向伝動歯車(6)、第1同方向伝動歯車(11)及び第2同方向伝動歯車(10)が回動可能に接続され、且つ、前記逆方向伝動歯車(6)は逆方向遊嵌太陽歯車(5)及び内歯車リム(7)にそれぞれ噛合し、前記第1同方向伝動歯車(11)は同方向遊嵌太陽歯車(12)及び第2同方向伝動歯車(10)にそれぞれ噛合し、前記第2同方向伝動歯車(10)はさらに内歯車リム(7)に噛合し、 支持系は互いに接続された右ホイールカバー(s1)、中間プレート(s9)及び左ホイールカバー(s12)からなり、 メカナムホイール本体は複数のメカナムローラ装着ホルダ(9)を含み、メカナムローラ装着ホルダ(9)にメカナムローラ(8)が設けられ、前記内歯車リム(7)は、メカナムローラ装着ホルダ(9)に設けられ、 支持系とメカナムホイール本体との回動可能な接続は、右ホイールカバー(s1)とメカナムローラ装着ホルダ(9)との間に右深溝玉軸受(s7)を、左ホイールカバー(s12)とメカナムローラ装着ホルダ(9)との間に左深溝玉軸受(s8)をそれぞれ設置することにより実現でき、 同方向遊嵌太陽歯車(12)の回動は、第1同方向伝動歯車(11)を経由して第2同方向伝動歯車(10)に伝達され、第2同方向太陽歯車(10)が内歯車リム(7)を連動させて、入力軸(2)と同方向に回動させ、且つ同方向の回動は減速し、メカナムローラ装着ホルダ(9)を介して内歯車(7)に装着されたメカナムローラ(8)は、内歯車リム(7)に同期して同方向に回動し、 逆方向遊嵌太陽歯車(5)の回動は、逆方向伝動歯車(6)を経由して内歯車リム(7)を連動させて入力軸(2)の逆方向に回動させ、且つ逆方向の回動は減速し、メカナムローラ装着ホルダ(9)を介して内歯車(7)に装着されたメカナムローラ(8)は、内歯車リム(7)に同期して逆方向に回動し、 右深溝玉軸受(s7)、左深溝玉軸受(s8)は、逆方向伝動歯車(6)及び第2同方向伝動歯車(10)の外周部に配置され、 動力入力軸(2)に動力源からの動力が入力される、 埋め込み型平歯車切換式メカナムホイール。」 4 対比 本願発明と引用発明とを対比する。 (1)引用発明の「メカナムホイール本体は複数のメカナムローラ装着ホルダ(9)を含み、メカナムローラ装着ホルダ(9)にメカナムローラ(8)が設けられ、前記内歯車リム(7)は、メカナムローラ装着ホルダ(9)に設けられ」るものとなっていることから、引用発明の「メカナムローラ装着ホルダ(9)」は、「メカナムローラ(8)」を支持するローラ支持部と「内歯車リム(7)」を保持するリム保持部とからなり、これらローラ支持部とリム保持部とを一体的に備えたものであるといえる。 そうすると、引用発明の「メカナムローラ(8)」と、「メカナムローラ装着ホルダ(9)」のうちローラ支持部は、その機能及び構造からみて、本願発明の「メカナムホイール」に相当する。そして、同様に、引用発明の「メカナムローラ装着ホルダ(9)」のうちリム保持部は、本願発明の「ケース」に相当するといえる。 (2)引用発明は、「同方向遊嵌太陽歯車(12)の回動は、第1同方向伝動歯車(11)を経由して第2同方向伝動歯車(10)に伝達され、第2同方向太陽歯車(10)が内歯車リム(7)を連動させて、入力軸(2)と同方向に回動させ、且つ同方向の回動は減速し」、「逆方向遊嵌太陽歯車(5)の回動は、逆方向伝動歯車(6)を経由して内歯車リム(7)を連動させて入力軸(2)の逆方向に回動させ、且つ逆方向の回動は減速」するものであることから、引用発明の「第1同方向伝動歯車(11)」、「第2同方向伝動歯車(10)」、「逆方向伝動歯車(6)」からなる機構(以下「減速機構」という。)は、動力入力軸(2)に入力された回動を減速して、メカナムホイール本体の「内歯車リム(7)」に対して動力を伝達するものであるといえるので、本願発明の「減速部」に相当する。 また、引用発明の「動力源」と本願発明の「モータ」とは、「動力部」である点で共通する。 そして、引用発明の「動力入力軸(2)」は、動力源からの動力が入力されるものであり、また、「動力入力軸(2)からの動力を逆方向遊嵌太陽歯車(5)又は同方向遊嵌太陽歯車(12)へと伝達」することで減速機構に動力を伝達するものであることから、引用発明の「動力入力軸(2)に動力源からの動力が入力される」という構成及び減速機構と、本願発明の「前記モータからの動力を入力される減速部」とは、「動力部からの動力を入力される減速部」である点で共通する。 (3)引用発明の「前記支持系に逆方向伝動歯車(6)、第1同方向伝動歯車(11)及び第2同方向伝動歯車(10)が回動可能に接続され」、「支持系は互いに接続された右ホイールカバー(s1)、中間プレート(s9)及び左ホイールカバー(s12)からな」るとの構成及び上記(2)を踏まえると、引用発明の「右ホイールカバー(s1)、中間プレート(s9)及び左ホイールカバー(s12)」(以下「減速機構支持部」という。)は、引用発明の減速機構を支持するものであるので、本願発明の「減速部を支持するキャリア」に相当する。 (4)引用発明の「支持系とメカナムホイール本体との回動可能な接続は、右ホイールカバー(s1)とメカナムローラ装着ホルダ(9)との間に右深溝玉軸受(s7)を、左ホイールカバー(s12)とメカナムローラ装着ホルダ(9)との間に左深溝玉軸受(s8)をそれぞれ設置することにより実現でき」との構成から、引用発明の「メカナムローラ装着ホルダ(9)」のうちリム保持部は、引用発明の減速機構支持部に対して相対回転可能となっているといえるので、本願発明の「前記キャリアに対して相対回転可能なケース」の構成に相当する。 (5)引用発明の「右深溝玉軸受(s7)」及び「左深溝玉軸受(s8)」(以下「両軸受」という。)は、本願発明の「一対の軸受」に相当する。 そして、引用発明の「右ホイールカバー(s1)とメカナムローラ装着ホルダ(9)との間に右深溝玉軸受(s7)を、左ホイールカバー(s12)とメカナムローラ装着ホルダ(9)との間に左深溝玉軸受(s8)をそれぞれ設置」される構成から、引用発明の両軸受は、減速機構支持部と「メカナムローラ装着ホルダ(9)」のリム保持部との間に設置されているといえ、また、引用発明の「右深溝玉軸受(s7)、左深溝玉軸受(s8)は、逆方向伝動歯車(6)及び第2同方向伝動歯車(10)の外周部に配置される」構成から、引用発明の両軸受は、減速機構の外周部に配置されているといえるから、引用発明の両軸受は、本願発明の「前記キャリアと前記ケースとの間で前記減速部の径方向外周部に配置された一対の軸受」に相当する。 (6)引用発明の減速機構、減速機構支持部、リム保持部、両軸受からなる構成は、本願発明の「減速機」に相当する。 そして、引用発明の減速機構、減速機構支持部、リム保持部の構成は、上記(2)〜(4)を踏まえると、本願発明の「前記減速機は、前記モータからの動力を入力される減速部と、前記減速部を支持するキャリアと、前記キャリアに対して相対回転可能なケースと、を有し」の構成と、「前記減速機は、動力部からの動力を入力される減速部と、前記減速部を支持するキャリアと、前記キャリアに対して相対回転可能なケースと、を有し」の点で共通する。 また、引用発明の両軸受の構成は、上記(5)を踏まえると、本願発明の「前記減速機は、前記キャリアと前記ケースとの間で前記減速部の径方向外周部に配置された一対の軸受をさらに備える」構成に相当する。 (7)上記(2)で説示したように、引用発明の減速機構は、動力入力軸(2)に入力された回動を減速して、メカナムホイール本体の「内歯車リム(7)」に対して動力を伝達するものといえ、すなわち、動力を減速して出力するものといえ、上記(6)で説示したように、引用発明の減速機構は、本願発明の「減速機」の構成要素であることを踏まえると、引用発明の「動力入力軸(2)に動力源からの動力が入力される」という構成及び減速機構と、本願発明の「モータから入力される動力を減速して出力する減速機」とは、「動力部から入力される動力を減速して出力する減速機」である点で共通する。 また、上述のように、引用発明の減速機構は、動力入力軸(2)に入力された回動を減速して、メカナムホイール本体の「内歯車リム(7)」に対して動力を減速して出力するものといえ、上記(1)で説示したように、内歯車リム(7)は、「メカナムローラ装着ホルダ(9)」のリム保持部に保持されることから、引用発明の「メカナムローラ(8)」及び「メカナムローラ装着ホルダ(9)」のローラ保持部は、減速機構が出力する動力により回動するといえるので、本願発明の「前記減速機からの出力により回転するメカナムホイール」の構成に相当する。 (8)引用発明の「埋め込み型平歯車切換式メカナムホイール」は、引用発明の「メカナムローラ(8)は、内歯車リム(7)に同期して同方向に回動し」又は「メカナムローラ(8)は、内歯車リム(7)に同期して逆方向に回動し」との構成から、メカナムホイールを駆動するものであるから、本願発明の「駆動装置」に相当する。 (9)以上を踏まえると、本願発明と引用発明とは、以下の点で一致する。 [一致点] 「動力部と、 動力部から入力される動力を減速して出力する減速機と、 前記減速機からの出力により回転するメカナムホイールと、を備え、 前記減速機は、前記動力部からの動力を入力される減速部と、前記減速部を支持するキャリアと、前記キャリアに対して相対回転可能なケースと、を有し、 前記減速機は、前記キャリアと前記ケースとの間で前記減速部の径方向外周部に配置された一対の軸受をさらに備える、駆動装置。」 そして、以下の点で相違する。 [相違点1] メカナムホイールについて、本願発明では、前記メカナムホイールは、前記ケース又はキャリアに固定される構成であるのに対して、引用発明では、メカナムホイール本体は、メカナムローラ(8)と、内歯車リム(7)を設けたメカナムローラ装着ホルダ(9)とを設けたものであり、メカナムローラ装着ホルダ(9)はローラ支持部とリム保持部とを一体的に備えたものである点。 [相違点2] 動力部について、本願発明では、「モータ」であるのに対して、引用発明では、特定されていない点。 [相違点3] 駆動装置の用途について、本願発明では、「運搬台車用」であるのに対して、引用発明では、特定されていない点。 5 判断 (1)相違点1について 本願発明は、「前記メカナムホイールは、前記ケース又は前記キャリアに固定され、」との構成を有するものであるから、本願発明は、「ケース」がメカナムホイールに固定される構成を含むものであるといえる。 ここで、引用発明の「メカナムローラ装着ホルダ(9)」は、ローラ支持部とリム保持部とを一体的に備えたものであるところ、このローラ支持部とリム保持部とを一つの部材で構成するのではなく、これらを別の部材とした上で互いに固定するように構成することは、ある一つの物をわざわざ二つの物から構成したにすぎず、また、そうすることで格別顕著な作用効果を奏するものであるともいえないので、必要に応じて選択しうる単なる設計事項にすぎない。 (2)相違点2について 上記「第3 3(1)ウ」のとおり、引用文献1には、メカナムホイールの動力源として、例えば内燃機関、各種モータ、流体駆動の回転機械といった既存の各種高効率回転動力源を用いることが記載されていることを踏まえれば、引用発明の動力源を「モータ」として、相違点2に係る本願発明の構成とすることは、当業者にとって何ら困難性はない。 (3)相違点3について 上記「第3 3(1)イ」のとおり、引用文献1には、メカナムホイールが、全方向移動可能なフォークリフト、トラック、車椅子、弾薬運搬車両、移動ロボットなど、運搬用車両において一般的に利用されることが記載されていることを踏まえれば、引用発明のメカナムホイールの用途として、運搬用車両の一つである運搬台車を選択して、相違点3に係る本願発明の構成とすることは、当業者にとって何ら困難性はない。 (4)作用効果について 本願発明の奏する作用効果は、当業者の予測の範囲内のものであって、格別のものではない。 (5)小括 以上のとおり、本願発明は、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 第4 結論 上記のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 |
審理終結日 | 2022-09-13 |
結審通知日 | 2022-09-16 |
審決日 | 2022-09-29 |
出願番号 | P2017-026352 |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(B60K)
P 1 8・ 536- Z (B60K) P 1 8・ 561- Z (B60K) P 1 8・ 537- Z (B60K) P 1 8・ 121- Z (B60K) |
最終処分 | 02 不成立 |
特許庁審判長 |
一ノ瀬 覚 |
特許庁審判官 |
芦原 康裕 筑波 茂樹 |
発明の名称 | 運搬台車用の駆動装置 |
代理人 | 中村 行孝 |
代理人 | 宮嶋 学 |
代理人 | 堀田 幸裕 |