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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04N
管理番号 1391449
総通号数 12 
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-06-30 
確定日 2022-11-14 
事件の表示 特願2017− 61753「照明ダクトに取り付ける防犯カメラ」拒絶査定不服審判事件〔平成30年10月18日出願公開、特開2018−164236〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成29年3月27日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和2年 8月24日付け:拒絶理由通知書
同年10月23日 :意見書、手続補正書の提出
令和3年 3月26日付け:拒絶査定
同年 6月30日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和4年 5月10日付け:拒絶理由通知書(当審)
同年 6月20日 ;意見書、手続補正書の提出

第2 本願発明
本願の請求項1ないし2に係る発明は、令和4年6月20日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし2に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりである。
なお、各構成の符号A1〜Bは、説明のために当審において付与したものであり、以下、構成A1〜構成Bと称する。

「A1 撮影部と該撮影部を内包した筐体とを備え、被写体を撮影するカメラ本体と;
A2 前記カメラ本体の前記筐体の裏面に設けられ、照明装置を着脱可能に取り付ける照明ダクトに前記カメラ本体を着脱可能に取り付ける取付部と;
A3 前記取付部を介して前記照明ダクトから給電されることで充電可能な二次電池と;
A4 前記撮影部で撮影した被写体の画像を記録する記録部と;
A5 前記撮影部で撮影したデータを無線により送受信可能な無線通信部と;
A を有する防犯カメラであって、
B 前記照明ダクトへの電力供給が遮断されると、電源を前記二次電池に切り替えて撮影を継続し、前記撮影部で撮影した画像を前記記録部に記録するとともに、前記記録部に記録した画像データを前記無線通信部を介して外部へ送信する
A ことを特徴とする防犯カメラ。」

第3 当審拒絶理由の概要
当審において令和4年5月10日付けで通知した拒絶理由の概要は、次のとおりである。

本願の請求項1ないし2に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

・請求項1、2
・引用文献等 1ないし5

引 用 文 献 等 一 覧
1.特開2006−49990号公報
2.特開2002−218291号公報(周知技術を示す文献)
3.特開2008−103838号公報(周知技術を示す文献;新たに引用する文献)
4.特開2003−189138号公報(周知技術を示す文献;新たに引用する文献)
5.特開2004−171379号公報

第4 引用文献
1 引用文献1
引用文献1には、カメラ装置に関して、図面と共に以下の記載がある。下線は当審で付与した。

(1)「【0001】
この発明は、カメラ装置およびモニタリングシステムに関する。」

(2)「【0009】
上記目的を達成するために、この発明の第1の発明は、長手方向に沿って連続的な開口部を有すると共に長手方向に沿って導体が内部に配置されたダクト部材の開口部に着脱可能に嵌合でき、且つ開口部へ嵌合することで導体と接する端子が設けられたコネクタと、コネクタによって支持され、被写体を撮影して映像データを取得する撮像手段と、コネクタによって支持され、撮像手段によって取得した映像データを無線通信によって送信する通信手段とを有し、ダクト部材の導体に電源が接続され、コネクタを開口部へ嵌合することで端子を導体と接して電源を撮像手段および通信手段に供給することを特徴とするカメラ装置である。」

(3)「【0013】
カメラ装置をライト(照明)に模したデザインとすることで、隠しカメラのように使用することもできる。」

(4)「【0014】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、この発明の一実施形態によるモニタリングシステムを説明するための図である。なお、本明細書中における「システム」とは、複数の装置が論理的に集合したものである。参照符号1は、店舗内などに設置されている一実施形態によるモニタリングシステムを示す。モニタリングシステム1は、ライティングダクト2に対応するカメラ装置3と、ホスト装置4とから構成される。
【0015】
ライティングダクト2は、主として屋内照明の設置の自由度を向上するために用いられるものであり、多くは、屋内の天井などに敷設される。ライティングダクト2は、例えば、商品の展示場所の変更などに合わせて、照明の位置を自由に簡単に変えることができることから、小売店舗などで既に多く普及している。ライティングダクト2からは、例えば、商用電源(日本国内であれば、例えばAC100ボルトの電源)を引き出すことが可能である。ライティングダクト2として、例えば日本工業規格(JIS:Japan Industrial Standard)で規格されているライティングダクト(JISC8366)を適用することができる。」

(5)「【0020】
カメラ装置3は、所望の場所に少なくとも1台以上設置されるカメラである。例えば、カメラ装置3は、防犯、管理、情報収集などの目的で設置される。カメラ装置3は、電源取得部がライティングダクト2に対応した構造を有する。すなわち、カメラ装置3は、ライティングダクト2に取り付けることができ、ライティングダクト2に取り付けることでライティングダクト2から電源を取り出すことができる。ここでは、一例として、天井に敷設されたライティングダクト2に対応するカメラ装置3について説明する。
【0021】
図6にカメラ装置3の外観構成の一例を示す。カメラ装置3は、カメラ本体31の上部に筒形状の取り付けスタンド32を有する。取り付けスタンド32は、先端部にコネクタ33および電源アダプタ34を有している。
【0022】
コネクタ33は、ライティングダクト2に適合する取り付け形状を有する。すなわち、コネクタ33は、上述したプラグ26の取り付け部27と同様の形状を有しており、ライティングダクト2に安定して取り付けることができる。また、コネクタ33は、上述したプラグ26に設けられた端子28と同様の端子35を有しており、コネクタ33をライティングダクト2に取り付けることで、ライティングダクト2の導体21と端子35とを接触させ、ライティングダクト2から安全に電源を取り出すことができる。」

(6)「【0024】
端子35は、電源アダプタ34を介し、電源ケーブルなどの電気配線によって取り付けスタンド32内を通って、カメラ本体31内の電源回路と電気的に接続されている。なお、端子35と電源回路とを接続する電気配線は、取り付けスタンド32の外側から引き回してあっても良い。電源アダプタ34は、ライティングダクト2から供給される電源を所望のDC電源に変換するものである。なお、図示しないが、電源アダプタ34は、コネクタ33の端子35を正しい極性で接続するための、上述したプラグ26の突起29と同様の働きを行う突起を有する。電源アダプタ34は、取り付けスタンド32内に配置したり、カメラ本体31内に配置したりしても良い。それによって、外観のデザイン性を向上することができる。」

(7)「【0026】
この取り付けスタンド32の回転部分には、円盤状のカメラ本体31がカメラカバー37を介して取り付けられている。カメラ本体31の周面には、レンズ38、マイク孔39、電源発光部40および通信発光部41が配置されている。これらレンズ38、マイク孔39、電源発光部40および通信発光部41の配置位置は、特に限定するものではないが、それぞれ近接した位置に配置することが好ましい。」

(8)「【0030】
カメラカバー37は、カメラ本体31の周面に沿った形状を有し、カメラ本体31の縦方向の回転によってレンズ38による撮影を妨げないように、カメラ本体31の周面を部分的に覆う形状を有する。なお、カメラカバー37は、取り付けスタンド32の回転部分に固定されている。カメラカバー37には、カメラ本体31の縦方向の回転を固定するための回転止め42が設けられている。」

(9)「【0054】
また、無線通信ユニット65は、カメラ装置3の画像および音声データを、インターネット10を介して遠隔装置12に出力することができる。その場合、無線通信ユニット65で受信されたパケット化されたストリームは、ネットワークインタフェース67に供給される。」

(10)「【0061】
カメラ装置3とホスト装置4間のデータのやり取りは、無線通信ユニット56および無線通信ユニット65に搭載された無線モジュールによる無線通信で行われるため、カメラ装置3とホスト装置4間に画像および音声データ用のケーブルや制御用のケーブルなどを敷設する必要がなくなる。」

上記(1)ないし(10)から、引用文献1には以下の事項が記載されている。
・上記【0014】、【0020】によれば、引用文献1には、防犯、管理、情報収集などの目的で、店舗内などに設置されているモニタリングシステムを構成するカメラ装置に関する発明が記載されている。
・上記【0014】によれば、モニタリングシステム1は、ライティングダクト2に対応するカメラ装置3と、ホスト装置4とから構成されたものである。
・上記【0015】によれば、ライティングダクト2は、屋内照明の設置の自由度を向上するために用いられるものであり、屋内の天井などに敷設され、商用電源を引き出すことが可能なものである。
・上記【0009】、【0021】〜【0022】によれば、カメラ装置3の取り付けスタンド32は、先端部にコネクタ33を有しており、ライティングダクト2に着脱可能に取り付けることができ、コネクタ33をライティングダクト2に取り付けることで、ライティングダクト2から安全に電源を取り出すことができものである。
・上記【0026】によれば、取り付けスタンド32の回転部分には、円盤状のカメラ本体31がカメラカバー37を介して取り付けられている。
・上記【0030】によれば、カメラカバー37は、カメラ本体31の周面に沿った形状を有し、カメラ本体31の縦方向の回転によってレンズ38による撮影を妨げないように、カメラ本体31の周面を部分的に覆う形状を有している。
・上記【0061】によれば、カメラ装置3とホスト装置4間のデータのやり取りは、カメラ装置3の無線通信ユニット56およびホスト装置4の無線通信ユニット65に搭載された無線モジュールによる無線通信で行われる。
・上記【0054】によれば、無線通信ユニット65は、カメラ装置3の画像および音声データを、インターネット10を介して遠隔装置12に出力することができるものである。

したがって、上記摘記事項および図面を総合勘案すると、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

「防犯、管理、情報収集などの目的で、店舗内などに設置されているモニタリングシステムを構成するカメラ装置であって、
モニタリングシステム1は、ライティングダクト2に対応するカメラ装置3と、ホスト装置4とから構成されており、
ライティングダクト2は、屋内照明の設置の自由度を向上するために用いられるものであり、屋内の天井などに敷設され、商用電源を引き出すことが可能なものであり、
カメラ装置3の取り付けスタンド32は、先端部にコネクタ33を有しており、ライティングダクト2に着脱可能に取り付けることができ、コネクタ33をライティングダクト2に取り付けることで、ライティングダクト2から安全に電源を取り出すことができ、
取り付けスタンド32の回転部分には、円盤状のカメラ本体31がカメラカバー37を介して取り付けられており、
カメラカバー37は、カメラ本体31の周面に沿った形状を有し、カメラ本体31の縦方向の回転によってレンズ38による撮影を妨げないように、カメラ本体31の周面を部分的に覆う形状を有しており、
カメラ装置3とホスト装置4間のデータのやり取りは、カメラ装置3の無線通信ユニット56およびホスト装置4の無線通信ユニット65に搭載された無線モジュールによる無線通信で行われ、
無線通信ユニット56は、カメラ装置3の画像および音声データを、インターネット10を介して遠隔装置12に出力することができる、
カメラ装置。」

2 引用文献2ないし4
(1)引用文献2には、監視カメラ装置に関して、図面と共に以下の事項が記載されている。なお、下線は当審で付与した(以下、同様)。

ア「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、監視カメラ装置、特に簡易取付型の監視カメラ装置に関する。」

イ「【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施の形態を図面に基づいて説明する。図1〜図5は本発明の一実施形態に係る監視カメラ装置を示す図である。まず、その構成について説明すると、図1および図2に示す監視カメラ装置10は電球型のケース11内に小形のカメラ本体12を固定具29を用いて内蔵したものであり、そのケース11は所定形式の(既存の)電灯設置用配線器具20に着脱可能な導電性の着脱部13である口金を有している。このケース11は、カメラ本体12によって外部の撮影が可能なように、撮影用の窓を有しているか、球体部分が透明になっている。」

ウ「



エ「



(2)引用文献3には、監視カメラ装置に関して、図面と共に以下の記載がある。

オ「【0001】
本発明は監視カメラユニットに係り、特に天井に配設される監視カメラユニットに関する。」

カ「【0014】
図1は、本発明の一実施例である監視カメラユニット10の全体構成を示している。監視カメラユニット10は、大略すると監視カメラ装置20、レール部材30、及びコネクタ部材40等により構成されている。この監視カメラユニット10は、例えばデパート、スパー・マーケット、コンビニエンス・ストア等(以下、デパート等という)に配置され、店内を監視するのに用いられる。
・・・(略)・・・
【0016】
カメラ本体21は内部にCCDカメラ等の撮像装置が組み込まれており、被撮像位置となる店内を撮像する機能を奏するものである。このカメラ本体21の内部には、CCDカメラ等の撮像装置の他に、防犯のための各種センサ(温度センサ,煙検知センサ等)、マイク、及びスピーカ等を設けた構成としてもよい。尚、本実施例ではカメラ本体21としてカプセル型のカメラを用いた例を示しているが、ズーム型のカメラを用いる構成としてもよい。」

キ「



(3)引用文献4には、防犯用カメラ装置に関して、図面と共に以下の記載がある。

ク「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、天井や壁面などの高所に設置して使用される防犯用カメラ装置に係わり、特に、設置作業やメンテナンス時の着脱作業を容易にし、さらに設置作業後に第三者により簡単に取り外すことができないようにした防犯用カメラ装置に関する。」

ケ「【0028】カメラカバー30は、赤外線パッシブセンサー24を臨ませる開口31aを有する略円筒形の筐体31と透明または半透明で透過性のあるドーム型の透光板32とからなり、図2から図4のように、カメラユニット23および回路基板などを覆うようにカメラホルダ20の台座部10への装着側からねじなどにより固定されてカメラホルダ20に取付けられ、カメラカバー30を取付けたカメラホルダ20を台座部10へ装着すると、カメラカバー30の取付け部は台座部10で隠され、カメラカバー30を簡単に取り外すことはできない。なお、カメラカバー30の取付けは、カメラカバー30の取付け部が台座部10で隠されるようにカメラホルダ20の台座部10への装着側、すなわち裏面から固定されていればよく、例えば、カメラホルダ20に係止孔を設けるとともにカメラカバー30に係止爪を設け、係止爪を係止孔に挿通してカメラホルダ20の裏面に係止して固定するようにしてもよい。」

コ「



サ「



(4)引用文献2〜4に記載された監視カメラ装置は、何れも建物の天井などに設置するものであるところ、これらの監視カメラ装置においては、上記(1)エ、(2)キ、(3)コにあるように、設置する際に取付部が天井を向くように、すなわち監視カメラを覆うケースやカバー等の筐体の裏面に取付部を設けることが当然といえる。

(5)上記(1)〜(3)の記載及び(4)より、監視カメラ装置に関して、以下の技術は周知の技術事項であると認められる。
「建物の天井などに設置する監視カメラ装置において、撮影部を内包するタイプの筐体を用いること、及び当該筐体の裏面に監視カメラ装置の取付部を設けること」

3 引用文献5
引用文献5には、送信装置を備えた監視カメラ装置に関して、図面と共に以下の記載がある。

「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の通信回線の各々に接続可能な複数の通信インターフェイスを備え、該通信インターフェイスを介してデータの送信を行う送信装置、送信装置を備えたビデオカメラ装置、送信装置の送信方法およびビデオカメラ装置の送信方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
オフィスや店舗等の状況を遠隔地で監視を行う場合、従来の監視システムでは被監視側に設置された監視カメラからNTSC信号等のアナログ信号が出力され、これを同軸ケーブル等による専用線を介し、監視側において専用のモニタに出力することで監視を行っている。」

「【0014】
本発明のもう一つの目的は、停電時にもデータを送信が可能な送信装置を提供することにある。」

「【0096】
次に、本発明によるビデオカメラ装置の第7の実施の形態を図1および図11を用いて説明する。本発明によるビデオカメラ装置の第1の実施の形態において、ネットワーク監視カメラ101で撮影された画像を監視側のモニタ122に出力する場合についての動作は第1の実施の形態と同様であり、説明を省略する。
【0097】
次に、ネットワーク監視カメラ101が停電等の異常により外部からの電源供給が断たれた場合に、監視カメラに搭載されたバッテリー107への切り換え時の動作を図1を参照しながら図11のフローチャート図を用いて説明する。
【0098】
コントローラ121より送信要求があった場合、制御部106は記憶装置108に格納されている通信回線の状況に関する情報に基づき最も優先順位の高い通信回線(例ではインターネット網135)にコントローラ121を接続し、画像データ送信が行われる(ステップS201〜S202)。
【0099】
そして、もし、画像データ送信中に停電となった場合(ステップS1101)、電源をバッテリー107に切り換える(ステップS1102)。
【0100】
このとき、通信回線に接続した際一番消費電力の小さい通信回線に対応する通信インターフェイスを選択する(ステップS1103)。
【0101】
もし、選択した通信インターフェイスに対応する通信回線が接続可能ならば、圧縮部103の圧縮部A113より出力される画像データとともにバッファ104に保存された回線が切断している間の画像データを送信する(ステップS205、S209,S210)。また、選択した通信回線が接続不可であれば、さらに残りの回線で接続を行う(ステップS205、S206、S207)。」

上記記載によれば、引用文献5には、次の技術事項が記載されている。
「データの送信を行う監視カメラ装置において、停電等により電源供給が絶たれた場合に、電源をバッテリーに切り替えること、及び当該バッテリーによりバッファに保存された画像データを監視側に送信すること」

第5 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
1 構成A1について
引用発明のカメラ装置3における「カメラ本体31」は、「レンズ38による撮影」を行うものであり、本願発明の「撮影部」に相当する。
また、引用発明の「カメラカバー37」は、「カメラ本体31の周面を部分的に覆う形状」を有しており、撮影部を覆うといえるものであり、引用発明の「カメラカバー37」と本願発明の「撮影部を内包した筐体」は「撮影部を覆う部材」である点で共通する。
そうすると、引用発明の「カメラ本体31」及び「カメラカバー37」からなる構成と本願発明の「カメラ本体」は、「撮影部と該撮影部を覆う部材とを備え、被写体を撮影するカメラ本体」である点で共通する。
ただし、撮影部を覆う部材について、本願発明は「撮影部を内包した筐体」であるのに対して、引用発明は「カメラ本体31の周面を部分的に覆う形状」を有したカメラカバー37である点で相違する。

2 構成A2について
引用発明の「ライティングダクト2」は、照明装置を着脱可能に取り付けられるものであることが明白であり、本願発明の「照明装置を着脱可能に取り付ける照明ダクト」に相当する。
また、引用発明の「取り付けスタンド32」は、ライティングダクト2にカメラ装置3を着脱可能に取り付ける「取付部」といえるものである。
したがって、引用発明の「取り付けスタンド32」と本願発明の「取付部」は「照明装置を着脱可能に取り付ける照明ダクトに前記カメラ本体を着脱可能に取り付ける取付部」である点で共通する。
ただし、取付部について、本願発明は「前記カメラ本体の前記筐体の裏面に設けられ」ているのに対して、引用発明はそのように構成されていない点で相違する。

3 構成A3について
本願発明は「前記取付部を介して前記照明ダクトから給電されることで充電可能な二次電池」を有するのに対して、引用発明はそのように構成されていない点で相違する。

4 構成A4について
本願発明は「前記撮影部で撮影した被写体の画像を記録する記録部」を有するのに対して、引用発明はそのように構成されていない点で相違する。

5 構成A5について
引用発明の「無線通信ユニット56」は、データのやり取り、すなわちデータの送受信を無線通信で行い、カメラ装置3の画像および音声データを、インターネット10を介して遠隔装置12に出力することができるものである。
したがって、引用発明の「無線通信ユニット56」は本願発明の「前記撮影部で撮影したデータを無線により送受信可能な無線通信部」に相当する。

6 構成Aについて
引用発明の「カメラ装置3」は、上述した「カメラ本体31」、「カメラカバー37」、「取り付けスタンド32」及び「無線通信ユニット56」を有し、防犯などの目的で設置されるものであるから、本願発明の「防犯カメラ」に相当する。

7 構成Bについて
引用発明は、カメラ装置3とホスト装置4間のデータのやり取りを無線通信で行っており、引用発明と本願発明は「画像データを前記無線通信部を介して外部へ送信する」点で共通する。
ただし、本願発明は「前記照明ダクトへの電力供給が遮断されると、電源を前記二次電池に切り替えて撮影を継続し、前記撮影部で撮影した画像を前記記録部に記録するとともに、前記記録部に記録した画像データを前記無線通信部を介して外部へ送信する」のに対して、引用発明はそのような処理を行っていない点で相違する。

8 上記1ないし7から、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。

<一致点>
「A1’撮影部と該撮影部を覆う部材とを備え、被写体を撮影するカメラ本体と;
A2’照明装置を着脱可能に取り付ける照明ダクトに前記カメラ本体を着脱可能に取り付ける取付部と;
A5 前記撮影部で撮影したデータを無線により送受信可能な無線通信部と;
A を有する防犯カメラであって、
B’ 画像データを前記無線通信部を介して外部へ送信する
A ことを特徴とする防犯カメラ。」

<相違点1>
撮影部を覆う部材について、本願発明は「撮影部を内包した筐体」であるのに対して、引用発明は「カメラ本体31の周面を部分的に覆う形状」を有したカメラカバー37である点。

<相違点2>
取付部について、本願発明は「前記カメラ本体の前記筐体の裏面に設けられ」ているのに対して、引用発明はそのように構成されていない点。

<相違点3>
本願発明は「前記取付部を介して前記照明ダクトから給電されることで充電可能な二次電池」と「前記撮影部で撮影した被写体の画像を記録する記録部」を有しており、「前記照明ダクトへの電力供給が遮断されると、電源を前記二次電池に切り替えて撮影を継続し、前記撮影部で撮影した画像を前記記録部に記録するとともに、前記記録部に記録した画像データを前記無線通信部を介して外部へ送信する」のに対して、引用発明はそのように構成されていない点。

第6 判断
1 相違点についての検討
(1)相違点1、2について
建物の天井などに設置する監視カメラにおいて、撮影部を内包するタイプの筐体を用いること、及び当該筐体の裏面に監視カメラの取付部を設けることは周知の技術事項である(上記「第4」の「2(5)」参照)。
引用発明のモニタリングシステムのカメラ装置は、店舗内の天井付近に設置されるものであり、その外観については、引用文献1の明細書の発明の詳細な説明においてライト(照明)に模したデザインとすることで隠しカメラのように使用できることや(【0013】)、デザイン性の向上(【0024】)が説明されているように、当業者が適宜設計し得る事項である。
してみると、引用発明のカメラ装置に上記周知の技術事項を採用して、上記相違点1、2に係る構成とすることは当業者が容易になし得たことである。

(2)相違点3について
引用文献5には、監視カメラにおいて、停電等により電源供給が絶たれた場合に、電源をバッテリーに切り替えること、及びバッファに保存された画像データを監視側に送信することが記載されている(上記「第4」の「3」参照)。
ここで、引用文献5記載の技術事項の「監視カメラ」は、【0002】にも記載があるように、オフィスや店舗等の状況を遠隔地で監視を行う監視システムにおいて被監視側に設置されるものであり、保守性を考慮するとバッテリーとして充電可能な二次電池を用いていると考えるのが自然である。
そして、引用発明のカメラ装置においても電源供給が絶たれた場合への対処は自明な課題といえ、引用発明に引用文献5記載の技術事項を適用して、電源供給が経たれた場合でもカメラ装置の画像及び音声データをホスト装置4や遠隔装置12に出力できるようにして、上記相違点3に係る構成とすることは当業者が容易になし得たことである。

(3)まとめ
上記(1)、(2)のとおり、本願発明は引用発明、引用文献5記載の技術事項、及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
そして、本願発明が奏する効果は、引用発明、引用文献5記載の技術事項、及び周知の技術事項から当業者が十分に予測できたものであって格別なものとはいえない。

2 審判請求人の主張について
審判請求人は、令和4年6月20日提出の意見書において、「引用文献5(特開2004−171379号公報)には、バッテリー107を備えるネットワーク監視カメラ101の開示があります。そして、このネットワーク監視カメラ101は、停電等の異常により外部からの電源供給が断たれた場合に、電源をバッテリーに切り替える動作や、バッテリー駆動時に消費電力が少ない手段でデータを送信する動作の開示があります。しかし、引用文献5にはバッテリーが二次電池である構成や、バッテリーが充電可能である構成の開示はありません。」と主張している。
しかしながら、上記相違点3についてで述べたとおり、引用文献5記載の技術事項はバッテリーとして充電可能な二次電池を用いたものと考えるのが自然である。
よって、審判請求人の上記主張を採用することはできない。

第7 むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本願は、他の請求項について論及するまでもなく拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり、審決する。
 
別掲 (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。
 
審理終結日 2022-09-09 
結審通知日 2022-09-15 
審決日 2022-09-29 
出願番号 P2017-061753
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H04N)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 千葉 輝久
特許庁審判官 五十嵐 努
田中 啓介
発明の名称 照明ダクトに取り付ける防犯カメラ  
代理人 熊谷 昌俊  
代理人 河野 仁志  

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