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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1391630
総通号数 12 
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-11-05 
確定日 2022-12-12 
事件の表示 特願2019−144452「2D/3D混在コンテンツの検出及び表示」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 5月14日出願公開、特開2020− 74058、請求項の数(19)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯

本願は,令和元年8月6日(パリ条約による優先権主張 2018年8月7日 米国,2019年7月12日 米国)の出願であって,その手続の経緯は,概略,以下のとおりである。

令和2年 8月28日付け 拒絶理由通知
令和3年 2月 2日 意見書・手続補正書 提出
令和3年 7月 6日付け 拒絶査定(原査定)
令和3年11月 5日 審判請求書・手続補正書 提出
令和4年 5月31日付け 拒絶理由(最後)通知(当審拒絶理由)
令和4年 9月30日 意見書 提出

第2 原査定の概要

原査定(令和3年7月6日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

進歩性)本願の特許請求の範囲の請求項9−13および15ならびに16に係る発明は,以下の引用文献Aに記載された発明に基づいて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下,「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであり,
本願の特許請求の範囲の請求項14および17−19に係る発明は,以下の引用文献Aに記載された発明及び引用文献Bに記載された事項に基づいて,その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。



A.特表2013−520743号公報
B.特開2014−11654号公報

第3 当審拒絶理由の概要

令和4年5月31日付けで当審が通知した拒絶理由の概要は,次のとおりのものである。

進歩性)本願の特許請求の範囲の請求項9−16に係る発明は,以下の引用文献1に記載された発明及び引用文献2ないし4に記載された周知技術に基づいて,その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。



1.特表2013−520743号公報(原査定の引用文献A)
2.特開2014−127148号公報
3.特開2015−165379号公報
4.特開2017−187667号公報

第4 本願発明

本願請求項1に係る発明ないし請求項19に係る発明(以下,それぞれ,「本願発明1」ないし「本願発明19」という。)は,令和3年11月5日提出の手続補正書によって補正(以下,「本件補正」という。)された特許請求の範囲の請求項1ないし19に記載された事項により特定される以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
動作を実行するためにコンピュータ実行可能であるプログラム命令を記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって,
前記動作が,
第1デバイスのディスプレイ上にアプリケーションを介して表示するためのコンテンツ項目によって参照される2次元(2D)コンテンツを取得することと,
前記コンテンツ項目が前記2Dコンテンツに関連付けられた3次元(3D)コンテンツを参照することを検出することと,
第2デバイスが前記第1デバイスと通信していること,及び前記コンテンツ項目によって参照される前記3Dコンテンツを表示することが可能であることを検出することであって,前記第2デバイスが前記3Dコンテンツを表示することが可能であることを検出することは,前記第2デバイスのタイプを検出すること,又は前記3Dコンテンツを表示することが可能な前記第2デバイス上のアプリケーションを検出することに基づく,検出することと,
前記第2デバイスへ,前記コンテンツ項目によって参照される前記3Dコンテンツを提供することと,
を含む,非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項2】
前記コンテンツ項目がウェブページであり,前記ウェブページが前記3Dコンテンツを参照することを検出することは,前記3Dコンテンツに対応する前記ウェブページ内のマークアップ言語ステートメントを識別することを含む,請求項1に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項3】
前記3Dコンテンツが立体表示情報を有する仮想オブジェクトである,請求項1に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項4】
前記動作は,
前記第2デバイスが前記第1デバイスと通信していることを検出することに応じて,前記3Dコンテンツの可用性を示すインジケータを表示することを更に含む,請求項1に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項5】
前記第2デバイスが前記第1デバイスと通信していることを検出することは,
前記第1デバイス及び前記第2デバイスが両方とも同じアカウントに関連付けられていることを検出することと,
前記第2デバイスが前記第1デバイスの閾値近接度内にあることを検出すること,又は
前記第1デバイスが前記第2デバイスのカメラ視野内にあることを検出すること,
を含む,請求項1に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項6】
前記動作は,
前記第1デバイスと前記第2デバイスとの間の第1空間的関係を判定することと,
前記第1空間的関係に基づいて,検出された前記第2デバイスの前記ディスプレイ上に前記3Dコンテンツを表示することと,
を更に含む,請求項1に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項7】
前記動作は,
前記第2デバイスに対する前記第1デバイスの位置の変化を識別することと,
前記第1デバイスと前記第2デバイスとの間の第2空間的関係を判定することと,
前記第2空間的関係に基づいて,検出された前記第2デバイスの前記ディスプレイ上の前記3Dコンテンツを更新することと,
を更に含む,請求項6に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項8】
前記動作は,
前記第1デバイスの前記ディスプレイ上にある前記2Dコンテンツへの変化に関連付けられたデータを共有することと,
前記2Dコンテンツへの前記変化に基づいて,検出された前記第2デバイスの前記コンテンツ項目によって参照される前記3Dコンテンツを識別することと,
を更に含む,請求項1に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項9】
プロセッサ,コンピュータ可読記憶媒体,画像センサ及びディスプレイを備える第1デバイスにおいて,
前記画像センサを使用して,物理的環境を表す画像データを取得することと,
第2デバイスが前記画像データ内に描写されていることを検出することであって,前記第2デバイスが,コンテンツ項目によって参照されるオブジェクトを描写する3次元(3D)コンテンツなしで,前記コンテンツ項目によって参照される前記オブジェクトの2次元(2D)画像を表示する,ことと,
前記検出に基づいて,前記コンテンツ項目によって参照される前記オブジェクトを描写する前記3Dコンテンツを取得することと,
前記ディスプレイ上に表示するための前記コンテンツ項目によって参照される前記オブジェクトに対応する前記3Dコンテンツを含む3D環境のビューを提供することと,
を含む,方法。
【請求項10】
前記コンテンツ項目はウェブページである,請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記画像データにおいて,前記第1デバイス上のアプリケーションによって表示された前記コンテンツ項目の一部として表示された3Dコンテンツインジケータを検出すること
を更に含む,請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記3Dコンテンツインジケータを検出することに基づいて,
前記第2デバイスから前記3Dコンテンツを取得することを判定すること,又は 前記第2デバイスを介して前記3Dコンテンツを表示するためのユーザインタフェースオプションを提供すること,
を更に含む,請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第2デバイスが前記第1デバイスと通信していることを検出することを更に含む,
請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記3Dコンテンツが前記第2デバイスから取得される,請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記3D環境の前記ビューは,
前記コンテンツ項目によって参照される前記2Dコンテンツを表示する前記第2デバイスの描写と,
前記第2デバイスの前記描写に隣接した前記コンテンツ項目によって参照される前記3Dコンテンツと,
を含む,請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記3D環境の前記ビュー内の関連付けインジケータが,前記コンテンツ項目によって参照される前記3Dコンテンツと,前記コンテンツ項目によって参照される前記2Dコンテンツを表示する前記第2デバイスの前記描写との間の関連付けを示す,請求項15に記載の方法。
【請求項17】
ディスプレイ及び画像センサを持つ電子デバイスと,
プロセッサと,
コンピュータ可読記憶媒体と,を備えるシステムであって,
前記コンピュータ可読記憶媒体は,前記プロセッサによって実行されると前記システム
に動作を実行させる命令を含み,
前記動作が,
第1デバイスのディスプレイ上に表示するためのウェブページによって参照される2次元(2D)コンテンツを取得することと,
前記ウェブページが,前記2Dコンテンツに関連付けられた3次元(3D)コンテンツを参照することを検出することと,
第2デバイスが前記第1デバイスと通信していることを検出することであって,前記第2デバイスが,前記ウェブページによって参照される前記3Dコンテンツを表示すること
が可能である,ことと,
前記第2デバイスへ,前記ウェブページによって参照される前記3Dコンテンツを提供することと,
を含む,システム。
【請求項18】
前記3Dコンテンツが,立体表示情報を有する仮想オブジェクトである,請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記動作が,
前記第2デバイスが前記第1デバイスと通信していることを検出することと,
前記第2デバイスが前記第1デバイスと通信していることを検出することに応じて,前記3Dコンテンツの可用性を示すインジケータを表示することと,
を更に含む,請求項17に記載のシステム。」

第5 引用文献

1 引用文献1

(1)引用文献1の記載

当審拒絶理由の引用文献1(原査定の引用文献A)には,以下の記載がある。(下線は,当審が付加した。以下同様。)

ア 「【背景技術】
【0001】
拡張現実(AR)技術は,実世界環境の要素を仮想現実データと併合することによって,新たに混合された現実感を作り出す。娯楽,テレビ,ゲーム,教育,音楽または映画などの様々な分野でARアプリケーションを実装する際,マーカが使用される場合がある。マーカは,仮想現実データ情報を識別する2次元画像であり,一般にランダムなパターンを使用する。」

イ 図1b


ウ 「【0011】
図1bは,ARサービスが実装される例示的実施形態の環境を示す概略図である。図1bは,ARユーザデバイス400が,ARサービスサーバ300から受信された仮想現実(VR)データ,ならびにクライアントシステム200に表示された,検索されたウェブコンテンツおよび対応するマーカを使用して,ARサービスを提供することを示す。
【0012】
ARユーザデバイス400は,実世界画像を撮影し,その実世界画像からマーカを抽出する。さらに,ARユーザデバイス400は抽出したマーカをARサービスサーバ300に送信し,マーカに応じてVRデータをARサービスサーバ300から受信する。その結果,ARユーザデバイス400は,VRデータを実世界画像に重ね合わせることによってユーザにARサービスを提供する。一実施形態では,ARユーザデバイス400は,実世界画像を取り込むためのカメラ,実世界画像からマーカを感知し,抽出するためのマーカセンサ,マーカデータトランスミッタおよびVRデータレシーバなどのARサービスサーバ300とのワイヤレス通信のための通信ユニット,VRデータと実世界画像を結合することによってARデータを生成するためのARデータジェネレータ,および画面に拡張現実を表示するためのディスプレイユニットを含んでもよい。ARユーザデバイス400の構成は,図4を参照して以下で詳細に説明する。図1bは,ARユーザデバイス400の一例としてモバイルフォンを示しているが,ARユーザデバイス400は任意の種類のデバイスとして実装されることが可能なことが当業者には明らかであろう。例えば,ARユーザデバイス400はスマートフォン,PDA,UMPC(ウルトラモバイルPC),ヘッドマウントディスプレイ(HMD)などとして実装されてもよい。
【0013】
ARサービスサーバ300は,ARユーザデバイス400から送信されたマーカに応じてVRデータを検索し,検索されたVRデータをARユーザデバイス400に送信する。ARサービスサーバ300の構成は,図4を参照して以下で詳細に説明する。
【0014】
一実施形態で,ARユーザデバイス400は,ARユーザデバイス400のカメラを使用して,クライアントシステム200の画面画像を取り込んでもよい。クライアントシステム200の画面画像は,ユーザのキーワードに応じて検索システム100によって検索されたウェブコンテンツおよび対応するマーカを示してもよい。特に,図1aを参照して上で述べたように,クライアントシステム200はユーザのキーワードを含む検索要求を検索システム100に送信してもよく,クライアントシステム200は,検索システム100によって検索され,送信されたウェブコンテンツおよび対応するマーカを表示してもよい。検索されたウェブコンテンツおよび対応するマーカは,ハイパーリンクとしてクライアントシステム200の画面に表示されてもよいので,ユーザはハイパーリンクのうちの1つを選択することができ,次いでクライアントシステム200は,(例えば201などの)対応するマーカとともにウェブページを介して取り出された,(例えば211などの)選択されたウェブコンテンツを画面に表示することができる。例示的な一例として,図1bは,ARユーザデバイス400がクライアントシステム200の画面画像を取り込み,マーカ201に対応するVRデータ401として,画面402にサッカーをプレイする画像を表示することを示す。
【0015】
ARユーザデバイス400はさらに,取り込まれた(例えば401などの)画面画像から(例えば201などの)マーカを感知して抽出し,抽出されたマーカ201のデータをARサービスサーバ300に送信する。取り込まれた画像からマーカを抽出するための方法は,図4に関して以下で詳細に説明される。ARサービスサーバ300は,受信されたマーカ201に対応するVRデータ401をVRデータデータベースから検索し,検索されたVRデータ401をARユーザデバイス400に送信してもよい。ARユーザデバイス400は,VRデータ401を取り込まれた画面画像に重ね合わせて,AR画像を作り出してもよい。例として,ユーザがウェブコンテンツとしてサッカー選手「Beckam」を選択すると,選択されたウェブコンテンツおよび対応するマーカは,クライアントシステム200に表示されることが可能である。次いで,ARユーザデバイス400はウェブコンテンツおよびマーカを取り込んで,マーカをARサービスサーバ300に送信することができる。送信されたマーカに応じて,ARサービスサーバ300は(例えば「Beckman」の画像,ビデオまたは3Dオブジェクトなどの)VRデータを検索し,ARユーザデバイス400に送信することができる。したがって,ARユーザデバイス400は(例えばBeckmanの画像などの)送信されたVRデータを,画面402に表示されている取り込まれたウェブコンテンツ画像と重ね合わせることができる。
【0016】
VRデータ401は,画像の他にも(例えばビデオまたは3Dオブジェクトなどの)様々な情報を含むことができる。したがって,VRデータ401と実世界画像を結合することによって,ARサービスを作り出すことが可能である。さらに,ARサービスは,ユーザの要求に応じてインタラクティブに様々な情報を提供することができる。例えば,VRデータ401は,ユーザが入力した要求に応じて,回転された画像,ビデオまたは3Dオブジェクトを提供することができる。」

(2)引用発明

上記(1)より,特に,下線部に着目すると,引用文献1には,以下の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「ARユーザデバイス400が,ARサービスサーバ300から受信された仮想現実(VR)データ,ならびにクライアントシステム200に表示された,検索されたウェブコンテンツおよび対応するマーカを使用して,ARサービスを提供する方法であって,
ARユーザデバイス400は,実世界画像を撮影し,その実世界画像からマーカを抽出し,抽出したマーカをARサービスサーバ300に送信し,マーカに応じてVRデータをARサービスサーバ300から受信し,VRデータを実世界画像に重ね合わせることによってユーザにARサービスを提供しており,
ARユーザデバイス400は,実世界画像を取り込むためのカメラ,実世界画像からマーカを感知し,抽出するためのマーカセンサ,マーカデータトランスミッタおよびVRデータレシーバなどのARサービスサーバ300とのワイヤレス通信のための通信ユニット,VRデータと実世界画像を結合することによってARデータを生成するためのARデータジェネレータ,および画面に拡張現実を表示するためのディスプレイユニットを含んでおり,
ARユーザデバイス400はスマートフォン,PDA,UMPC(ウルトラモバイルPC),ヘッドマウントディスプレイ(HMD)などとして実装されてもよく,
ARユーザデバイス400は,ARユーザデバイス400のカメラを使用して,クライアントシステム200の画面画像を取り込み,ここで,クライアントシステム200の画面画像は,ユーザのキーワードに応じて検索システム100によって検索されたウェブコンテンツおよび対応するマーカを示しており,
ARユーザデバイス400はさらに,取り込まれた画面画像からマーカを感知して抽出し,抽出されたマーカ201のデータをARサービスサーバ300に送信しており,
ARサービスサーバ300は,受信されたマーカ201に対応するVRデータ401をVRデータデータベースから検索し,検索されたVRデータ401をARユーザデバイス400に送信しており,
ARユーザデバイス400は,VRデータ401を取り込まれた画面画像に重ね合わせて,AR画像を作り出しており,
VRデータ401は,画像の他にも(例えばビデオまたは3Dオブジェクトなどの)様々な情報を含むことができ,
ユーザの要求に応じてインタラクティブに様々な情報を提供することができるARサービス提供方法。」

2 引用文献2および3

(1)引用文献2の記載

当審拒絶理由の引用文献2には,以下の記載がある。

ア 図1


イ 「【0013】
<1.本開示の一実施形態>
[システムの概要]
まず,図面を参照しながら本開示の一実施形態に係るARアプリケーションが用いられたシステムの概要を説明する。図1は,本開示の一実施形態に係るARアプリケーションが用いられたシステムの概要を示す説明図である。以下,図1を用いて本開示の一実施形態に係るARアプリケーションが用いられたシステムの概要について説明する。
【0014】
図1には,スマートフォン(多機能携帯電話),PC(Personal Computer),ゲーム端末又は携帯型音楽プレーヤ,ウェアラブルディスプレイ等からなる携帯端末200でARアプリケーションが実行される様子を模式的に示した図面が示されている。図1では,ARアプリケーションが実行されている携帯端末200が,ARコンテンツARを表示させるためのトリガTGをカメラ等の撮像装置で撮像している状態が示されている。図1に示した例では,ARコンテンツを表示させるためのトリガTGは,壁に貼られているポスターである。
【0015】
携帯端末200が撮像した画像は,例えば図1には図示されていないサーバ装置に送られ,サーバ装置で画像解析される。サーバ装置での画像解析によってトリガTGが認識されると,トリガTGに対応するARコンテンツARがサーバ装置から携帯端末200に提供される。
【0016】
このように,通常のARアプリケーションは,実世界に存在する物体が撮像されることにより,その物体に対応する様々なARコンテンツを,撮像画像中の物体に重畳して表示するものである。しかし,単に撮像された物体に対応するARコンテンツを表示させるだけでは,ユーザはどのようなARコンテンツが表示されるのかが容易に想像できてしまう。どのようなARコンテンツが表示されるのかが容易に想像できてしまうことは,ユーザによるARアプリケーションの利用頻度の低下に繋がってしまう。」

(2)引用文献3の記載

当審拒絶理由の引用文献3には,以下の記載がある。

ア 「【背景技術】
【0002】
従来から,所定のマーカを有するプリント物等をスマートフォン等の情報端末で撮像(キャプチャ)することで,撮像されたプリント物等を情報端末の表示部に表示し,情報端末の表示部に表示されたプリント物等の表示部分において所定の動画や音楽等のコンテンツを再生する拡張現実(Augmented Reality:AR)技術を利用したシステムが知られている。
【0003】
また,特許文献1には,画像のライブラリを管理する方法であって,画像と画像に対応するメモリタグとを複数有するインデックスプリントと,メモリタグからの情報の読み出しや,メモリタグへの情報の書き込みを行う読み出し/書き込み装置とが開示されている。
特許文献2には,動画像データの中から静止画データを抽出する静止画抽出システムが開示されており,特許文献3には,動画像データからデータ量の小さい標準画像データを生成する画像処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】 特開2006−127476号公報
【特許文献2】 特開2007−189324号公報
【特許文献3】 特開平9−22469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のAR技術を利用したシステムは,販促物等の広告利用が中心であり,一般のユーザが,AR技術を利用したコンテンツ(ARコンテンツ)を作成する試みは広くは普及していない。
【0006】
また,例えば,特許文献1に開示のインデックスプリントおよび読み出し/書き込み装置と,特許文献2に開示の静止画像抽出システムまたは特許文献3に開示の画像処理装置を利用して,静止画像と動画像とを組み合わせたARコンテンツを生成することは可能かもしれないが,ARコンテンツの生成には,動画像データからの静止画像データの抽出,マーカの生成,静止画像データと動画像データとの関連付け等の煩雑な一連の処理が必要であり,ARコンテンツの生成におけるこれらの一連の処理が,一般ユーザによるAR技術の利用の妨げとなっている。
【0007】
本発明の目的は,管理用のマーカの明示的な作成や管理用のマーカに対応するコンテンツの明示的な登録など,ユーザが煩雑な一連の処理を行うことなく,短時間で簡単にAR技術を利用したコンテンツを生成し,再生し,管理することができるコンテンツ管理システム,管理コンテンツ生成方法,管理コンテンツ再生方法,プログラムおよび記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために,本発明は,動画像データに基づいて少なくとも1つの静止画像データを生成する静止画像生成部と,静止画像生成部において生成された少なくとも1つの静止画像データのうち,1つの静止画像データをユーザに選択させる静止画像選択部と,静止画像選択部において選択された静止画像データまたは選択された静止画像データに基づく情報を,管理マーカとして動画像データと紐付けて登録する管理マーカ登録部と,動画像データを格納する格納部と,格納部に格納された動画像データへアクセスするためのアクセスキーを発行するアクセスキー発行部と,静止画像データとアクセスキーとを有する管理画像データを生成する管理画像生成部とを備えることを特徴とするコンテンツ管理システムを提供する。」

(3)引用文献2および3記載の周知技術

上記(1)および(2)より,引用文献2および3には,以下の周知技術(以下,「引用文献2および3記載周知技術」という。)が記載されていると認められる。

「拡張現実感(AR)の技術分野において,ARコンテンツを取得する際に検出対象となるマーカとして,ARコンテンツをあらわす2次元画像を用いることにより,ARコンテンツをあらわす2次元画像であるマーカを見ることで,当該マーカにより,どのようなARコンテンツが取得できるのかユーザが容易に理解できる技術。」

3 引用文献4

(1)引用文献4の記載

当審拒絶理由の引用文献4には,以下の記載がある。

ア 図4


イ 「【0023】
図4は,HMD100の構成を機能的に示すブロック図である。図4に示すように,制御部10は,ROM121と,RAM122と,電源130と,操作部135と,マーカー画像記憶部138と,CPU140と,インターフェイス180と,送信部51(Tx51)および送信部52(Tx52)と,を有している。」

(2)引用文献4記載の周知技術

上記(1)より,引用文献4には,以下の周知技術(以下,「引用文献4記載周知技術」という。)が記載されていると認められる。

「CPU(プロセッサ)およびROMやRAM等のメモリ(コンピュータ可読記憶媒体)を備えたヘッドマウントディスプレイ(HMD)。」

4 引用文献B

(1)引用文献Bの記載

原査定の引用文献Bには,以下の記載がある。

ア 図3


イ 「【0024】
図3は,実施の形態に係る画像解析装置500の内部構成を模式的に示す図である。実施の形態に係る画像解析装置500は,上述した情報処理装置400の一部として実現される。あるいは,インターネット等のネットワークを介して情報処理装置400に送信するための立体映像を生成するサーバ内に実現されてもよいし,立体映像観察デバイス200やモニタ300に内蔵されてもよい。あるいはさらに,画像解析装置500は独立したひとつの装置であってもよい。以下では,実施の形態に係る画像解析装置500は,上述した情報処理装置400の一部として実現されることを前提に説明する。
【0025】
実施の形態に係る画像解析装置500は,映像取得部502,モニタ特定部504,およびコンテンツ再生部506を含む。
【0026】
コンテンツ再生部506は,映画やゲーム,テレビ番組等のコンテンツを再生する。コンテンツ再生部506が再生するコンテンツの映像のうち,少なくとも一部の映像はモニタ300に表示される。また,コンテンツ再生部506が再生するコンテンツの映像の一部は,立体映像観察デバイス200中の光学透過型HMDに表示される。
【0027】
例えば,コンテンツ再生部506が再生するコンテンツがゲームアプリケーションである場合,ゲームの映像のうち背景画像がモニタ300に表示され,ユーザの操作対象となるキャラクタの映像やARイメージ等が光学透過型HMDに表示される。
【0028】
立体映像観察デバイス200に備えられた撮像素子204は,コンテンツ再生部506が再生するコンテンツの再生画面を表示中のモニタ300を含む映像を撮像する。映像取得部502は,撮像素子204が撮像した映像を取得する。モニタ特定部504は,映像取得部502が取得した映像中に映っているマーカを検出し,検出したマーカをもとにモニタ300の位置を特定する。このため,コンテンツ再生部506は,モニタ特定部504がモニタ300の特定に利用するためのマーカを,モニタ300に表示させる。コンテンツ再生部506は,モニタ特定部504が特定したモニタ300の位置をもとに,光学透過型HMDに表示されるモニタ300上に3次元イメージを重ねて表示させる。」

(2)引用文献B記載技術

上記(1)より,引用文献Bには,以下の技術的事項(以下,「引用文献B記載技術」という。)が記載されていると認められる。

「背景画像である2次元映像(「コンテンツ項目」に相当。)を表示するモニタの位置をもとに,キャラクタの映像やARイメージ等の3次元イメージ(「3Dコンテンツ」に相当。)をHMD(「第2デバイス」に相当。)に表示させること」

第6 対比・判断

1 本願発明9

(1)対比

本願発明9と引用発明を対比すると,以下のとおりとなる。

ア 引用発明は,「ARユーザデバイス400が,ARサービスサーバ300から受信された仮想現実(VR)データ,ならびにクライアントシステム200に表示された,検索されたウェブコンテンツおよび対応するマーカを使用して,ARサービスを提供する方法であって,」「ARユーザデバイス400は,実世界画像を取り込むためのカメラ,実世界画像からマーカを感知し,抽出するためのマーカセンサ,マーカデータトランスミッタおよびVRデータレシーバなどのARサービスサーバ300とのワイヤレス通信のための通信ユニット,VRデータと実世界画像を結合することによってARデータを生成するためのARデータジェネレータ,および画面に拡張現実を表示するためのディスプレイユニットを含んで」いるとされている。

ここで,引用発明の「実世界画像を取り込むためのカメラ」,「画面に拡張現実を表示するためのディスプレイユニット」および「ARユーザデバイス400」は,それぞれ,本願発明9の「画像センサ」,「ディスプレイ」,「第1デバイス」に対応する。

したがって,本願発明9と,引用発明とは,「画像センサ及びディスプレイを備える第1デバイス」における「方法」である点で共通しているといえる。

しかし,本願発明9の「第1デバイス」が「プロセッサ」および「コンピュータ可読記憶媒体」を備えているのに対して,引用発明の「ARユーザデバイス400」が「プロセッサ」および「コンピュータ可読記憶媒体」を備えているのか否か明らかでない点で相違している。

イ 引用発明において,「ARユーザデバイス400は,実世界画像を取り込むためのカメラ(中略)を含んでおり,」「ARユーザデバイス400のカメラを使用して,クライアントシステム200の画面画像を取り込」んでいるとされている。

ここで,引用発明の「ARユーザデバイス400」が「実世界画像を取り込むためのカメラ」「を使用して,クライアントシステム200の画面画像を取り込」むことは,本願発明9の「第1デバイス」が「画像センサを使用して,物理的環境を表す画像データを取得すること」に対応する。

したがって,本願発明9と引用発明とは,「前記画像センサを使用して,物理的環境を表す画像データを取得すること」「を含む,方法」である点で共通するといえる。

ウ 引用発明において,「ARユーザデバイス400は,ARユーザデバイス400のカメラを使用して,クライアントシステム200の画面画像を取り込み,ここで,クライアントシステム200の画面画像は,ユーザのキーワードに応じて検索システム100によって検索されたウェブコンテンツおよび対応するマーカを示しており,ARユーザデバイス400はさらに,取り込まれた画面画像からマーカを感知して抽出し」ているとされている。

ここで,引用発明の「クライアントシステム200」,「ウェブコンテンツ」は,本願発明9の「第2デバイス」,「コンテンツ項目」に対応する。

また,引用発明の「クライアントシステム200の画面画像」には,「ウェブコンテンツおよび対応するマーカ」が表示されており,上記ア(イ)の図1bを参照すると,マーカ201は,2次元の画像であると認められるから,「マーカ」は,2次元画像であるとい,引用発明の「クライアントシステム200の画面画像」には,ウェブコンテンツによって参照される3次元コンテンツは含まれておらず,ウェブコンテンツによって参照される2次元画像である「マーカ」が表示されているといえる。

したがって,本願発明9の「前記第2デバイスが,コンテンツ項目によって参照されるオブジェクトを描写する3次元(3D)コンテンツなしで,前記コンテンツ項目によって参照される前記オブジェクトの2次元(2D)画像を表示する,こと」と引用発明とは,「前記第2デバイスが,コンテンツ項目によって参照されるオブジェクトを描写する3次元(3D)コンテンツなしで,前記コンテンツ項目によって参照される」「2次元(2D)画像を表示する,こと」である点で共通するといえる。

しかし,本願発明9では,「第2デバイスが前記画像データ内に描写されていることを検出」しているのに対して,引用発明では,第2デバイスが画像データ内に描写されていることを検出しているのか否か明らかでない点で相違している。

また,本願発明9の「2次元(2D)画像」が「前記オブジェクトの2次元(2D)画像」であるのに対して,引用発明の「2次元(2D)画像」は,「マーカ」であって,「前記オブジェクトの2次元(2D)画像」でない点で相違している。

エ 引用発明において,「ARユーザデバイス400はさらに,取り込まれた画面画像からマーカを感知して抽出し,抽出されたマーカ201のデータをARサービスサーバ300に送信しており,
ARサービスサーバ300は,受信されたマーカ201に対応するVRデータ401をVRデータデータベースから検索し,検索されたVRデータ401をARユーザデバイス400に送信しており,
ARユーザデバイス400は,VRデータ401を取り込まれた画面画像に重ね合わせて,AR画像を作り出しており,
VRデータ401は,画像の他にも(例えばビデオまたは3Dオブジェクトなどの)様々な情報を含むことができ」るとされている。

ここで,引用発明の「ARユーザデバイス400」は,「取り込まれた画面画像から」「感知して抽出し」た「マーカ」を「ARサービスサーバ300に送信して」「VRデータ401」を取得しており,「VRデータ401は,画像の他にも(例えばビデオまたは3Dオブジェクトなどの)様々な情報を含むことができ」るのであるから,引用発明の「ARユーザデバイス400」も,本願発明9の「第1デバイス」と同様に,「前記検出に基づいて,前記コンテンツ項目によって参照される前記オブジェクトを描写する前記3Dコンテンツを取得」しているといえる。

また,「ARユーザデバイス400は,VRデータ401を取り込まれた画面画像に重ね合わせて,AR画像を作り出して」いるから,引用発明の「ARユーザデバイス400」も,本願発明9の「第1デバイス」と同様に,「前記ディスプレイ上に表示するための前記コンテンツ項目によって参照される前記オブジェクトに対応する前記3Dコンテンツを含む」「ビューを提供」しているといえる。

したがって,本願発明9と引用発明とは,「前記コンテンツ項目によって参照される前記オブジェクトを描写する前記3Dコンテンツを取得することと,
前記ディスプレイ上に表示するための前記コンテンツ項目によって参照される前記オブジェクトに対応する前記3Dコンテンツを含むビューを提供することと,
を含む,方法」である点で共通するといえる。

しかし,本願発明9では,前記オブジェクトに対応する前記3Dコンテンツを含むビューを提供する際に,「3D環境のビュー」として提供しているのに対し,引用発明では,「3D環境のビュー」として提供していない点。

なお,本願発明9における「3D環境のビュー」は,一般的な技術用語ではないため,本願の明細書を参照すると,段落0084に以下の記載がある。

「3D環境のビューの構築は,画像データに描写された現実世界コンテンツの一部又は全てに対応する3Dモデルを構築し,3Dコンテンツをモデルに追加し,次に特定の視点から合成コンテンツの画像を作成することによって実行される。」

(2)一致点

本願発明9と,引用発明とは,以下の点で一致する。

「画像センサ及びディスプレイを備える第1デバイスにおいて,
前記画像センサを使用して,物理的環境を表す画像データを取得することと,
前記第2デバイスが,コンテンツ項目によって参照されるオブジェクトを描写する3次元(3D)コンテンツなしで,前記コンテンツ項目によって参照される2次元(2D)画像を表示する,ことと,
前記コンテンツ項目によって参照される前記オブジェクトを描写する前記3Dコンテンツを取得することと,
前記ディスプレイ上に表示するための前記コンテンツ項目によって参照される前記オブジェクトに対応する前記3Dコンテンツを含むビューを提供することと,
を含む,方法。」

(3)相違点

本願発明9と,引用発明とは,以下の点で相違する。

ア 相違点1

本願発明9の「第1デバイス」が「プロセッサ」および「コンピュータ可読記憶媒体」を備えているのに対して,引用発明の「ARユーザデバイス400」が「プロセッサ」および「コンピュータ可読記憶媒体」を備えているのか否か明らかでない点。

イ 相違点2

本願発明9では,「第2デバイスが前記画像データ内に描写されていることを検出」しているのに対して,引用発明では,第2デバイスが画像データ内に描写されていることを検出しているのか否か明らかでない点。

ウ 相違点3

本願発明9の「2次元(2D)画像」が「前記オブジェクトの2次元(2D)画像」であるのに対して,引用発明の「2次元(2D)画像」は,「マーカ」であって,「前記オブジェクトの2次元(2D)画像」でない点。

エ 相違点4

本願発明9では,前記オブジェクトに対応する前記3Dコンテンツを含むビューを提供する際に,「3D環境のビュー」として提供しているのに対し,引用発明では,「3D環境のビュー」として提供していない点。

(4)相違点について

事案に鑑みて,上記相違点4について,先に検討する。

本願発明9における「3D環境のビュー」は,「画像データに描写された現実世界コンテンツの一部又は全てに対応する3Dモデルを構築し,3Dコンテンツをモデルに追加し,次に特定の視点から合成コンテンツの画像を作成することによって」構築されるものであるところ,引用文献1ないし4およびBには,いずれも,前記オブジェクトに対応する前記3Dコンテンツを含むビューを提供する際に,「3D環境のビュー」として提供している構成について,記載も示唆もなく,当該構成が本願出願前に周知であったとも認められない。

したがって,引用発明および引用文献2ないし4ならびに引用文献B記載の技術事項に基づいて,本願発明の相違点4に係る前記オブジェクトに対応する前記3Dコンテンツを含むビューを提供する際に,「3D環境のビュー」として提供している構成は,当業者が想到し得たものではない。

(5)小括

以上から,相違点1ないし3について検討するまでもなく,本願発明9は,引用発明および引用文献2ないし4ならびに引用文献Bに記載された技術的事項に基づいて,当業者が容易に想到し得たものではない。

2 本願発明10〜16

本願発明10ないし16は,いずれも,本願発明9を減縮したものであり,本願発明9と同じ構成を備えているから,上記1で述べたとおり,本願発明9と同じ理由により,引用発明および引用文献2ないし4ならびに引用文献Bに記載された技術的事項に基づいて,当業者が容易に想到し得たものではない。

3 本願発明1〜8

(1)本願発明1

ア 本願発明1と引用発明とは,少なくとも,以下の点で相違している。

「第2デバイスが前記第1デバイスと通信していること,及び前記コンテンツ項目によって参照される前記3Dコンテンツを表示することが可能であることを検出することであって,前記第2デバイスが前記3Dコンテンツを表示することが可能であることを検出することは,前記第2デバイスのタイプを検出すること,又は前記3Dコンテンツを表示することが可能な前記第2デバイス上のアプリケーションを検出することに基づく,検出することと,」

イ 上記相違点について,引用文献1ないし4およびBには,いずれも,記載も示唆もなく,当該構成が本願出願前に周知であったとも認められない。

したがって,引用発明および引用文献2ないし4ならびに引用文献B記載の技術事項に基づいて,本願発明1の上記相違点に係る構成は,当業者が想到し得たものではない。

ウ 以上から,本願発明1は,引用発明および引用文献2ないし4ならびに引用文献B記載の技術事項に基づいて,当業者が想到し得たものではない。

(2)本願発明2〜8

本願発明2ないし8は,いずれも,本願発明1を減縮したものであり,本願発明1と同じ構成を備えているから,上記(1)で述べたとおり,本願発明1と同じ理由により,引用発明および引用文献2ないし4ならびに引用文献Bに記載された技術的事項に基づいて,当業者が容易に想到し得たものではない。

4 本願発明17〜19

(1)本願発明17

ア 本願発明17と引用発明とは,少なくとも,以下の点で相違している。

「第2デバイスが前記第1デバイスと通信していることを検出することであって,前記第2デバイスが,前記ウェブページによって参照される前記3Dコンテンツを表示すること
が可能である,ことと,」

イ 上記相違点について,引用文献1ないし4およびBには,いずれも,記載も示唆もなく,当該構成が本願出願前に周知であったとも認められない。

したがって,引用発明および引用文献2ないし4ならびに引用文献B記載の技術事項に基づいて,本願発明17の上記相違点に係る構成は,当業者が想到し得たものではない。

ウ 以上から,本願発明17は,引用発明および引用文献2ないし4ならびに引用文献B記載の技術事項に基づいて,当業者が想到し得たものではない。

(2)本願発明18,19

本願発明18および19は,いずれも,本願発明17を減縮したものであり,本願発明17と同じ構成を備えているから,上記(1)で述べたとおり,本願発明17と同じ理由により,引用発明および引用文献2ないし4ならびに引用文献Bに記載された技術的事項に基づいて,当業者が容易に想到し得たものではない。

第7 原査定についての判断

1 本願発明1−8

本願発明1ないし8は,原査定における拒絶の理由の対象とされていない。

2 本願発明9−16

令和3年11月5日提出の手続補正書により,本願発明9は,「前記ディスプレイ上に表示するための前記コンテンツ項目によって参照される前記オブジェクトに対応する前記3Dコンテンツを含む3D環境のビューを提供することと,」という技術的事項を有するものとなった。当該技術的事項は,原査定における引用文献A(当審拒絶理由における引用文献1)および引用文献Bには記載されておらず,本願出願前における周知技術でもないので,本願発明は,当業者であっても,原査定における引用文献AおよびBに基づいて容易に発明できたものではない。

本願発明10ないし16は,いずれも,本願発明9を減縮したものであり,本願発明9と同じ構成を備えているから,上述もとおり,本願発明9と同じ理由により,本願発明は,当業者であっても,原査定における引用文献A(当審拒絶理由における引用文献1)およびBに基づいて容易に発明できたものではない。

3 本願発明17−19

(1)本願発明17

ア 本願発明17と引用文献A(当審拒絶理由における引用文献1)に記載された引用発明とは,少なくとも,以下の点で相違している。

「第2デバイスが前記第1デバイスと通信していることを検出することであって,前記第2デバイスが,前記ウェブページによって参照される前記3Dコンテンツを表示すること
が可能である,ことと,」

イ 上記相違点について,引用文献A(当審拒絶理由における引用文献1)および引用文献Bには,いずれも,記載も示唆もなく,当該構成が本願出願前に周知であったとも認められない。

したがって,引用文献A(当審拒絶理由における引用文献1)に記載された引用発明および引用文献B記載の技術事項に基づいて,本願発明17の上記相違点に係る構成は,当業者が想到し得たものではない。

ウ 以上から,本願発明17は,引用文献A(当審拒絶理由における引用文献1)に記載された引用発明および引用文献B記載の技術事項に基づいて,当業者が想到し得たものではない。

(2)本願発明18,19

本願発明18および19は,いずれも,本願発明17を減縮したものであり,本願発明17と同じ構成を備えているから,上記(1)で述べたとおり,本願発明17と同じ理由により,引用文献A(当審拒絶理由における引用文献1)に記載された引用発明および引用文献Bに記載された技術的事項に基づいて,当業者が容易に想到し得たものではない。

4 小括

以上から,原査定を維持することはできない。

第8 むすび

以上のとおり,原査定の理由によって,本願を拒絶することはできない。
他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。

 
審決日 2022-11-29 
出願番号 P2019-144452
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 稲葉 和生
特許庁審判官 野崎 大進
▲吉▼田 耕一
発明の名称 2D/3D混在コンテンツの検出及び表示  
代理人 那須 威夫  
代理人 ▲吉▼田 和彦  
代理人 西島 孝喜  
代理人 大塚 文昭  
代理人 岩崎 吉信  
代理人 田中 伸一郎  

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