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審決分類 審判 査定不服 特39条先願 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1391694
総通号数 12 
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-12-13 
確定日 2022-11-04 
事件の表示 特願2017−18058「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成30年8月9日出願公開、特開2018−122005〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成29年2月3日の出願であって、令和2年1月29日及び令和2年9月15日に手続補正書が提出され、令和3年1月18日付けで拒絶の理由が通知されると同時に指令書により協議をしてその結果を届け出るべき旨を出願人に命じ、同年3月25日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年9月6日付け(謄本送達日:同年同月14日)で拒絶査定(以下「原査定」という。)がされ、これに対し、同年12月13日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和3年3月25日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定される次のとおりのものである(なお、記号A、D7等は、分説するため合議体が付した。記号A等が付された事項を以下「特定事項A」等という。)。

「A 遊技球を発射させるために操作される発射操作手段と、
B 遊技球を検知する所定検知手段と、
C 前記所定検知手段と電気的に接続され、遊技に対する遊技価値を付与するための処理を実行する遊技価値付与手段と、
D 前記遊技価値付与手段と電気的に接続され、所定の処理を実行する処理実行手段と、
E 前記遊技価値付与手段と電気的に接続され、払出手段を駆動制御する払出制御手段と、
F を備える遊技機において、
前記遊技価値付与手段は、
C1 前記遊技価値を付与するための処理に用いられる情報であって、前記所定検知手段の検知に対して参照される情報である参照用情報を記憶する第1参照用情報記憶手段と、
C2 本遊技機への電力の所定の供給が開始された後であって遊技を進行させるための所定処理の実行を開始する前に、前記第1参照用情報記憶手段に記憶されている前記参照用情報に対応した参照用情報信号を前記処理実行手段に対して送信する第1送信手段と、
C3 前記所定検知手段による検知に基づいて取得された情報である入球情報に基づく所定情報信号を前記処理実行手段に対して送信する第2送信手段と、
を備え、
前記処理実行手段は、
D1 前記遊技価値付与手段から送信された前記参照用情報信号に対応した参照用情報を記憶する第2参照用情報記憶手段と、
D2 前記第2送信手段から送信された前記所定情報信号、及び前記第2参照用情報記憶手段に記憶された前記参照用情報に基づいて、前記所定の処理を実行する実行手段と、
D3 前記実行手段による前記所定の処理の処理結果に関する情報である処理結果情報を記憶する処理結果情報記憶手段と、
を備え、
D4 前記実行手段は、前記遊技価値付与手段からの実行指示ではない所定実行契機が発生した場合に前記所定の処理を実行し、
E1 前記払出制御手段には前記第1参照用情報記憶手段に記憶されている前記参照用情報に対応した前記参照用情報信号が送信されない構成であり、
前記払出制御手段は、
E2 遊技の結果に基づき前記遊技価値付与手段から送信された払出指示信号に基づき、払い出すべき遊技球の数を把握する把握手段と、
E3 前記把握手段により把握された数の遊技球が払い出されるように前記払出手段を駆動制御する手段と、
を備え、
D5 前記処理結果情報記憶手段に記憶された前記処理結果情報に対応する情報が前記処理実行手段の外部に出力された後に、前記処理結果情報記憶手段に記憶された前記処理結果情報が消去される構成であり、
C4 前記遊技価値付与手段は、遊技の進行を制御する主制御手段であり、
D6 前記処理実行手段は、演出の実行を制御する演出制御手段であり、
D7 前記所定の処理は、遊技機の状態に対応する処理であって遊技球の払い出しとは異なる処理である
ことを特徴とする遊技機。」

第3 拒絶査定の拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1に係る発明は、同日出願され、令和2年9月14日に手続補正がされた下記の出願に係る発明と同一と認められ、かつ、令和3年1月18日付けの拒絶理由通知書と同日に発送した特許庁長官名による指令書に記載した届出がなく、特許法第39条第7項の規定により協議が成立しなかったものとみなされるから、特許法第39条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

<引用文献等一覧>
1.特願2017−18035号
2.特開2012−217727号公報(周知技術を示す文献)

第4 同日出願
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願日と同日の平成29年2月3日に出願され、令和3年12月13日に手続補正がされ、令和4年1月28日付けで特許査定がされ、同年3月14日に登録された特願2017−18035号(特許第7039837号公報)の請求項1に係る発明(以下「同日発明」という。)は、その特許掲載公報の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定される次のとおりのものである(なお、a、d7等は、本願発明の特定事項A、D7等に対応させて合議体が付した。)。
「a 遊技球を発射させるために操作される発射操作手段と、
b 遊技球を検知する所定検知手段と、
c 前記所定検知手段と電気的に接続され、遊技に対する遊技価値を付与するための処理を実行する遊技価値付与手段と、
d 前記遊技価値付与手段と電気的に接続され、所定の処理を実行する処理実行手段と、
e 前記遊技価値付与手段と電気的に接続され、払出手段を駆動制御する払出制御手段と、
f を備える遊技機において、
前記遊技価値付与手段は、
c1 前記遊技価値を付与するための処理に用いられる情報であって、前記所定検知手段の検知に対して参照される情報である参照用情報を記憶する第1参照用情報記憶手段と、
c2 本遊技機への電力の所定の供給が開始された後であって遊技を進行させるための所定処理の実行を開始する前に、前記第1参照用情報記憶手段に記憶されている前記参照用情報に対応した参照用情報信号を前記処理実行手段に対して送信する第1送信手段と、
c3 前記所定検知手段による検知に基づいて取得された情報である入球情報に基づく所定情報信号を前記処理実行手段に対して送信する第2送信手段と、
c5 所定契機が発生していることに基づいて、本遊技機への電力の所定の供給が開始された後であって前記所定処理の実行を開始する前に、所定記憶領域の情報の消去処理を実行する手段と、
を備え、
前記処理実行手段は、
d1 前記遊技価値付与手段から送信された前記参照用情報信号に対応した参照用情報を記憶する第2参照用情報記憶手段と、
d2 前記第2送信手段から送信された前記所定情報信号、及び前記第2参照用情報記憶手段に記憶された前記参照用情報に基づいて、前記所定の処理を実行する実行手段と、
d3 前記実行手段による前記所定の処理の処理結果に関する情報である処理結果情報を記憶する処理結果情報記憶手段と、
を備え、
d4 前記実行手段は、前記遊技価値付与手段からの実行指示ではない所定実行契機が発生した場合に前記所定の処理を実行し、
e1〜e3 前記払出制御手段には前記第1参照用情報記憶手段に記憶されている前記参照用情報に対応した前記参照用情報信号が送信されない構成であって、遊技の結果に基づき前記遊技価値付与手段から送信された払出指示信号に基づき前記払出制御手段において前記払出手段の駆動制御が実行される構成であり、
e4 前記払出制御手段は、前記払出手段の駆動制御が実行されたことに基づいて、本遊技機の外部に所定の信号が外部出力されるようにするための処理を実行する手段を備え、
d5 前記処理結果情報記憶手段に記憶された前記処理結果情報に対応する情報が前記処理実行手段の外部に出力された後に、前記処理結果情報記憶手段に記憶された前記処理結果情報が消去される構成であり、
c4 前記遊技価値付与手段は、遊技の進行を制御する主制御手段であり、
d6 前記処理実行手段は、演出の実行を制御する演出制御手段であり、
d7 前記所定の処理は、遊技機の状態に対応する処理であって遊技球の払い出しとは異なる処理であり、
c6 前記第1送信手段は、前記所定契機が発生している場合、前記消去処理が実行された後に前記参照用情報信号を前記処理実行手段に対して送信する
ことを特徴とする遊技機。」

第5 対比
本願発明と同日発明を対比する(見出し(a)、(d7)等は、本願発明の特定事項A、D7等に概ね対応する。)。

(a)同日発明の特定事項aの「遊技球を発射させるために操作される発射操作手段」「を備え」ることは、本願発明の特定事項Aの「遊技球を発射させるために操作される発射操作手段」「を備え」ることに相当する。

(b)同日発明の特定事項bの「遊技球を検知する所定検知手段」「を備え」ることは、本願発明の特定事項Bの「遊技球を検知する所定検知手段」「を備え」ることに相当する。

(c)同日発明の特定事項cの「前記所定検知手段と電気的に接続され、遊技に対する遊技価値を付与するための処理を実行する遊技価値付与手段」「を備え」ることは、本願発明の特定事項Cの「前記所定検知手段と電気的に接続され、遊技に対する遊技価値を付与するための処理を実行する遊技価値付与手段」「を備え」ることに相当する。

(d)同日発明の特定事項dの「前記遊技価値付与手段と電気的に接続され、所定の処理を実行する処理実行手段」「を備え」ることは、本願発明の特定事項Dの「前記遊技価値付与手段と電気的に接続され、所定の処理を実行する処理実行手段」「を備え」ることに相当する。

(e)同日発明の特定事項eの「前記遊技価値付与手段と電気的に接続され、払出手段を駆動制御する払出制御手段」「を備え」ることは、本願発明の特定事項Eの「前記遊技価値付与手段と電気的に接続され、払出手段を駆動制御する払出制御手段」「を備え」ることに相当する。

(f)同日発明の特定事項fの「遊技機」は、本願発明の特定事項Fの「遊技機」に相当する。

(c1)同日発明の特定事項c1の「前記遊技価値付与手段は、」「前記遊技価値を付与するための処理に用いられる情報であって、前記所定検知手段の検知に対して参照される情報である参照用情報を記憶する第1参照用情報記憶手段」「を備え」ることは、本願発明の特定事項C1の「前記遊技価値付与手段は、」「前記遊技価値を付与するための処理に用いられる情報であって、前記所定検知手段の検知に対して参照される情報である参照用情報を記憶する第1参照用情報記憶手段」「を備え」ることに相当する。

(c2)同日発明の特定事項c2の「前記遊技価値付与手段は、」「本遊技機への電力の所定の供給が開始された後であって遊技を進行させるための所定処理の実行を開始する前に、前記第1参照用情報記憶手段に記憶されている前記参照用情報に対応した参照用情報信号を前記処理実行手段に対して送信する第1送信手段」「を備え」ることは、本願発明の特定事項C2の「前記遊技価値付与手段は、」「本遊技機への電力の所定の供給が開始された後であって遊技を進行させるための所定処理の実行を開始する前に、前記第1参照用情報記憶手段に記憶されている前記参照用情報に対応した参照用情報信号を前記処理実行手段に対して送信する第1送信手段」「を備え」ることに相当する。

(c3)同日発明の特定事項c3の「前記遊技価値付与手段は、」「前記所定検知手段による検知に基づいて取得された情報である入球情報に基づく所定情報信号を前記処理実行手段に対して送信する第2送信手段」「を備え」ることは、本願発明の特定事項C3の「前記遊技価値付与手段は、」「前記所定検知手段による検知に基づいて取得された情報である入球情報に基づく所定情報信号を前記処理実行手段に対して送信する第2送信手段」「を備え」ることに相当する。

(d1)同日発明の特定事項d1の「前記処理実行手段は、」「前記遊技価値付与手段から送信された前記参照用情報信号に対応した参照用情報を記憶する第2参照用情報記憶手段」「を備え」ることは、本願発明の特定事項D1の「前記処理実行手段は、」「前記遊技価値付与手段から送信された前記参照用情報信号に対応した参照用情報を記憶する第2参照用情報記憶手段」「を備え」ることに相当する。

(d2)同日発明の特定事項d2の「前記処理実行手段は、」「前記第2送信手段から送信された前記所定情報信号、及び前記第2参照用情報記憶手段に記憶された前記参照用情報に基づいて、前記所定の処理を実行する実行手段」「を備え」ることは、本願発明の特定事項D2の「前記処理実行手段は、」「前記第2送信手段から送信された前記所定情報信号、及び前記第2参照用情報記憶手段に記憶された前記参照用情報に基づいて、前記所定の処理を実行する実行手段」「を備え」ることに相当する。

(d3)同日発明の特定事項d3の「前記処理実行手段は、」「前記実行手段による前記所定の処理の処理結果に関する情報である処理結果情報を記憶する処理結果情報記憶手段」「を備え」ることは、本願発明の特定事項D3の「前記処理実行手段は、」「前記実行手段による前記所定の処理の処理結果に関する情報である処理結果情報を記憶する処理結果情報記憶手段」「を備え」ることに相当する。

(d4)同日発明の特定事項d4の「前記実行手段は、前記遊技価値付与手段からの実行指示ではない所定実行契機が発生した場合に前記所定の処理を実行」することは、本願発明の特定事項D4の「前記実行手段は、前記遊技価値付与手段からの実行指示ではない所定実行契機が発生した場合に前記所定の処理を実行」することに相当する。

(e1)同日発明の特定事項e1〜e3の「前記払出制御手段には前記第1参照用情報記憶手段に記憶されている前記参照用情報に対応した前記参照用情報信号が送信されない構成であ」ることは、本願発明の特定事項E1の「前記払出制御手段には前記第1参照用情報記憶手段に記憶されている前記参照用情報に対応した前記参照用情報信号が送信されない構成であ」ることに相当する。

(e2、e3)同日発明は、特定事項e1〜e3の「遊技の結果に基づき前記遊技価値付与手段から送信された払出指示信号に基づき前記払出制御手段において前記払出手段の駆動制御が実行される構成であ」ることから、前記払出制御手段は、遊技の結果に基づき前記遊技価値付与手段から送信された払出指示信号に基づき、前記払出手段を駆動制御する手段を備えるものといえる。
したがって、本願発明の特定事項E2、E3の「前記払出制御手段は、遊技の結果に基づき前記遊技価値付与手段から送信された払出指示信号に基づき、払い出すべき遊技球の数を把握する把握手段と、前記把握手段により把握された数の遊技球が払い出されるように前記払出手段を駆動制御する手段と、を備え」ることと、同日発明の特定事項e1〜e3の「遊技の結果に基づき前記遊技価値付与手段から送信された払出指示信号に基づき前記払出制御手段において前記払出手段の駆動制御が実行される構成であ」ることとは、前記払出制御手段は、遊技の結果に基づき前記遊技価値付与手段から送信された払出指示信号に基づき、前記払出手段を駆動制御する手段を備える点で共通する。

(d5)同日発明の特定事項d5の「前記処理結果情報記憶手段に記憶された前記処理結果情報に対応する情報が前記処理実行手段の外部に出力された後に、前記処理結果情報記憶手段に記憶された前記処理結果情報が消去される構成であ」ることは、本願発明の特定事項D5の「前記処理結果情報記憶手段に記憶された前記処理結果情報に対応する情報が前記処理実行手段の外部に出力された後に、前記処理結果情報記憶手段に記憶された前記処理結果情報が消去される構成であ」ることに相当する。

(c4)同日発明の特定事項c4の「前記遊技価値付与手段は、遊技の進行を制御する主制御手段であ」ることは、本願発明の特定事項C4の「前記遊技価値付与手段は、遊技の進行を制御する主制御手段であ」ることに相当する。

(d6)同日発明の特定事項d6の「前記処理実行手段は、演出の実行を制御する演出制御手段であ」ることは、本願発明の特定事項D6の「前記処理実行手段は、演出の実行を制御する演出制御手段であ」ることに相当する。

(d7)同日発明の特定事項d7の「前記所定の処理は、遊技機の状態に対応する処理であって遊技球の払い出しとは異なる処理であ」ることは、本願発明の特定事項D7の「前記所定の処理は、遊技機の状態に対応する処理であって遊技球の払い出しとは異なる処理である」ことに相当する。

そうすると、本願発明と同日発明とは、
「A 遊技球を発射させるために操作される発射操作手段と、
B 遊技球を検知する所定検知手段と、
C 前記所定検知手段と電気的に接続され、遊技に対する遊技価値を付与するための処理を実行する遊技価値付与手段と、
D 前記遊技価値付与手段と電気的に接続され、所定の処理を実行する処理実行手段と、
E 前記遊技価値付与手段と電気的に接続され、払出手段を駆動制御する払出制御手段と、
F を備える遊技機において、
前記遊技価値付与手段は、
C1 前記遊技価値を付与するための処理に用いられる情報であって、前記所定検知手段の検知に対して参照される情報である参照用情報を記憶する第1参照用情報記憶手段と、
C2 本遊技機への電力の所定の供給が開始された後であって遊技を進行させるための所定処理の実行を開始する前に、前記第1参照用情報記憶手段に記憶されている前記参照用情報に対応した参照用情報信号を前記処理実行手段に対して送信する第1送信手段と、
C3 前記所定検知手段による検知に基づいて取得された情報である入球情報に基づく所定情報信号を前記処理実行手段に対して送信する第2送信手段と、
を備え、
前記処理実行手段は、
D1 前記遊技価値付与手段から送信された前記参照用情報信号に対応した参照用情報を記憶する第2参照用情報記憶手段と、
D2 前記第2送信手段から送信された前記所定情報信号、及び前記第2参照用情報記憶手段に記憶された前記参照用情報に基づいて、前記所定の処理を実行する実行手段と、
D3 前記実行手段による前記所定の処理の処理結果に関する情報である処理結果情報を記憶する処理結果情報記憶手段と、
を備え、
D4 前記実行手段は、前記遊技価値付与手段からの実行指示ではない所定実行契機が発生した場合に前記所定の処理を実行し、
E1 前記払出制御手段には前記第1参照用情報記憶手段に記憶されている前記参照用情報に対応した前記参照用情報信号が送信されない構成であり、
前記払出制御手段は、
E2’遊技の結果に基づき前記遊技価値付与手段から送信された払出指示信号に基づき、
E3’前記払出手段を駆動制御する手段と、
を備え、
D5 前記処理結果情報記憶手段に記憶された前記処理結果情報に対応する情報が前記処理実行手段の外部に出力された後に、前記処理結果情報記憶手段に記憶された前記処理結果情報が消去される構成であり、
C4 前記遊技価値付与手段は、遊技の進行を制御する主制御手段であり、
D6 前記処理実行手段は、演出の実行を制御する演出制御手段であり、
D7 前記所定の処理は、遊技機の状態に対応する処理であって遊技球の払い出しとは異なる処理である
ことを特徴とする遊技機。」である点で文言上においても一致し、以下の点で一応相違する。

・相違点1(特定事項E2、E3)
本願発明では、「前記払出制御手段は、遊技の結果に基づき前記遊技価値付与手段から送信された払出指示信号に基づき、払い出すべき遊技球の数を把握する把握手段と、前記把握手段により把握された数の遊技球が払い出されるように前記払出手段を駆動制御する手段と、を備え」るのに対し、同日発明では、「遊技の結果に基づき前記遊技価値付与手段から送信された払出指示信号に基づき前記払出制御手段において前記払出手段の駆動制御が実行される構成であ」るものの、「前記払出制御手段は、」「前記遊技価値付与手段から送信された払出指示信号に基づき、払い出すべき遊技球の数を把握する把握手段」「を備え」、「前記把握手段により把握された数の遊技球が払い出されるように」前記払出手段を駆動制御することが特定されていない点。

・相違点2(同日発明のc5、c6)
同日発明では、「前記遊技価値付与手段は、」「所定契機が発生していることに基づいて、本遊技機への電力の所定の供給が開始された後であって前記所定処理(遊技を進行させるための所定処理)の実行を開始する前に、所定記憶領域の情報の消去処理を実行する手段」「を備え、」「前記第1送信手段は、前記所定契機が発生している場合、前記消去処理が実行された後に前記参照用情報信号を前記処理実行手段に対して送信する」のに対し、本願発明では、そのように特定されていない点。

・相違点3(同日発明のe4)
同日発明では、「前記払出制御手段は、前記払出手段の駆動制御が実行されたことに基づいて、本遊技機の外部に所定の信号が外部出力されるようにするための処理を実行する手段を備え」るのに対し、本願発明では、そのように特定されていない点。

第6 判断
1 本願発明を先願とし、同日発明を後願と仮定した場合
(1)相違点1について
ア 同日発明は、本願発明の「前記払出制御手段は、」「前記遊技価値付与手段から送信された払出指示信号に基づき、払い出すべき遊技球の数を把握する把握手段」「を備え」、「前記把握手段により把握された数の遊技球が払い出されるように」前記払出手段を駆動制御するとの特定事項を有しないものであり、この点において、本願発明の特定事項を上位概念化しているものであり、上記相違点1に係る本願発明(先願)の特定事項は、同日発明(後願)に含まれるものである。

イ さらに検討すると、パチンコ遊技機において、払出制御手段が遊技価値付与手段から送信された払出指示信号に基づき、払い出すべき遊技球の数を把握する把握手段を備え、把握手段により把握された数の遊技球が払い出されるように払出手段を駆動制御することは周知(以下「周知技術1」という。例.原査定で引用した特開2012−217727号公報(特に「【0016】・・・遊技領域120内の入賞口に遊技球が入球すると、入賞信号がメイン制御基板1000に送られメイン制御基板1000は払出個数を決定し、払出制御基板2000へ賞球の信号を送信する。・・・これを受けて払出制御基板2000は払出ユニット13を作動させ、払出ユニット13内の払出モータ13aが遊技球の払出を実行する。」、「【0041】・・・払出制御手段2300は、メイン制御基板1000からの賞球払出コマンド・・・をバッファリングするための払出情報一時記憶手段2310と、遊技球の払出制御に係る情報を一時記憶するための払出処理関連情報一時記憶手段2320と・・・を有している。」、「【0042】ここで、払出情報一時記憶手段2310は、・・・メイン制御基板1000側からの賞球払出コマンドに基づく賞球数を一時記憶するためのバッファC2313と、を有している。【0043】また、払出処理関連情報一時手段2320は・・・払出処理時に払い出される遊技球数がセットされる払出カウンタ2322と・・・メイン制御基板1000からの賞球払出コマンドに基づく賞球数を累積して一時記憶するための賞球払出予定数累積一時記憶手段2327と、を有している。」、図8参照。ここで、払出制御手段2300が、メイン制御基板1000から送信された賞球払出コマンドに基づく賞球数を一時記憶し、払出処理時に払い出される遊技球数がセットされて、払出ユニットを作動させて遊技球を払出を実行することから、払出制御手段が、メイン制御基板から送信された賞球払出コマンドに基づき、払い出すべき遊技球の数を把握する把握手段を備え、把握手段により把握された数の遊技球が払い出されるように払出ユニットを駆動制御していることは明らかである。))である。
そして、本願発明及び同日発明の課題は、本願及び同日出願の明細書の【0270】等の記載を参酌すると、対象入球部への遊技球の入球態様の管理を適切に行うことであって、上記相違点1に係る本願発明の「前記払出制御手段は、」「前記遊技価値付与手段から送信された払出指示信号に基づき、払い出すべき遊技球の数を把握する把握手段」「を備え」、「前記把握手段により把握された数の遊技球が払い出されるように」前記払出手段を駆動制御するとの特定は、前記課題の解決手段に対応する本質的な発明特定事項と直接関連がないから、前記課題の解決に影響を及ぼすものではない。
そうすると、同日発明において、「前記払出制御手段は、」「前記遊技価値付与手段から送信された払出指示信号に基づき、払い出すべき遊技球の数を把握する把握手段」「を備え」、「前記把握手段により把握された数の遊技球が払い出されるように」前記払出手段を駆動制御するとの周知技術1を削除することは、前記課題の解決のための具体化手段における微差(周知技術の削除)であって、新たな効果を奏するものではないから、上記相違点1は実質的な相違点ではない。

(2)相違点2について
パチンコ遊技機において、遊技価値付与手段が、所定契機が発生している(RAMクリアスイッチがONされている)ことに基づいて、本遊技機への電力の所定の供給が開始された後であって遊技を進行させるための所定処理(タイマ割込処理)の実行を開始する前に、所定記憶領域の情報の消去処理を実行する手段を備え、遊技価値付与手段が、前記所定契機が発生している場合、前記消去処理が実行された後に演出制御手段等の周辺部に対して初期設定を行うためのコマンドを送信することは周知(以下「周知技術2」という。例.特開2009−82474号公報(特に「【0073】前記主制御基板(主制御回路、主制御手段)200では・・・前記CPUがメイン処理Mを行う。・・・【0074】・・・メイン処理Mでは・・・RAMの初期化処理(S30)、ウェイト処理(S40)・・・割り込み処理(S100)が行われ、最終処理においてループ処理が行われている間に4ms毎に割り込み処理(S100)が実行される。【0075】・・・RAMクリアスイッチ206がONされているか・・・判断し(S20)・・・RAMの初期化が行われる(S30)。このRAMの初期化は、本発明において所定の操作に基づいて遊技機の設定が初期化される初期化設定手段に相当し、前記所定の操作とはRAMクリアスイッチ206が押される操作に相当する。ウェイト処理(S40)では、従制御基板等(演出制御基板210、ランプ制御基板215等)が立ち上がる(作動する)のを待った後に、初期設定コマンド(電源投入コマンド、RAMクリアコマンド等)を演出制御基板210に出力する処理が実行される。」、図10参照。)、特開2011−87738号公報(特に「【0132】RAMクリアスイッチがONであれば(ステップS703:Yes)、主制御部301は、RAMクリアをおこなう(ステップS704)。・・・【0133】RAMクリアをおこなうと、主制御部301は、クリア時の作業領域を設定し(ステップS705)、周辺部の初期設定をおこなう(ステップS706)。たとえば、ステップS706では、主制御部301は、演出制御部302、賞球制御部303などの各周辺部に対して、所定の初期設定処理の実行を指示する初期設定コマンドを送信する。・・・【0137】・・・主制御部301は・・・タイマ割込処理の割り込み許可設定をおこない(ステップS715)、ステップS711へ移行する。以降、主制御部301は、ステップS711からステップS715の処理を繰り返し実行する。」、図7参照。))である。
そして、本願発明及び同日発明の課題は、前述のとおり、対象入球部への遊技球の入球態様の管理を適切に行うことであって、本願発明及び同日発明において、特定事項C2、c2の「第1送信手段」が「本遊技機への電力の所定の供給が開始された後であって遊技を進行させるための所定処理の実行を開始する前に、前記第1参照用情報記憶手段に記憶されている前記参照用情報に対応した参照用情報信号を前記処理実行手段に対して送信する」ものでありさえすれば、前記課題を解決できるといえ、同日発明のc5、c6の「前記遊技価値付与手段は、」「所定契機が発生していることに基づいて、本遊技機への電力の所定の供給が開始された後であって前記所定処理(遊技を進行させるための所定処理)の実行を開始する前に、所定記憶領域の情報の消去処理を実行する手段」「を備え、」「前記第1送信手段は、前記所定契機が発生している場合、前記消去処理が実行された後に前記参照用情報信号を前記処理実行手段に対して送信する」との特定は、前記課題の解決に影響を及ぼすものではない。
そうすると、同日発明において、遊技価値付与手段が、所定契機が発生していることに基づいて、本遊技機への電力の所定の供給が開始された後であって演出制御手段が処理の実行を開始する前に、所定記憶領域の情報の消去処理を実行する手段を備え、遊技価値付与手段が、前記所定契機が発生している場合、前記消去処理が実行された後に演出制御手段等の周辺部に対して初期設定を行うためのコマンドを送信するとの周知技術2を削除することは、前記課題の解決のための具体化手段における微差(周知技術の単なる削除)であって、新たな効果を奏するものではないから、上記相違点2は実質的な相違点ではない。

(3)相違点3について
パチンコ遊技機において、払出制御手段が、払出手段の駆動制御が実行されたことに基づいて、本遊技機の外部に所定の信号が外部出力されるようにするための処理を実行する手段を備えることは周知(以下「周知技術3」という。例.原査定で引用した特開2012−217727号公報(特に「【0036】・・・払出制御基板2000は・・・外部中継端子板5000への払出関連情報の出力制御を司る払出関連情報出力制御手段2340と、を有している。・・・【0044】次に、払出関連情報出力制御手段2340は、払出関連情報の一情報である「実払出数」に係る情報を外部中継端子板5000に出力するための制御を司る実払出数出力制御手段2341・・・を有している。」、図8参照。))である。
そして、本願発明及び同日発明の課題は、前述のとおり、対象入球部への遊技球の入球態様の管理を適切に行うことであって、同日発明のe4の「前記払出制御手段は、前記払出手段の駆動制御が実行されたことに基づいて、本遊技機の外部に所定の信号が外部出力されるようにするための処理を実行する手段を備え」るとの特定は、前記課題の解決手段に対応する本質的な発明特定事項と直接関連がないから、前記課題の解決に影響を及ぼすものではない。
そうすると、同日発明において、払出制御手段が、払出手段の駆動制御が実行されたことに基づいて、本遊技機の外部に所定の信号が外部出力されるようにするための処理を実行する手段を備えるとの周知技術3を削除することは、前記課題の解決のための具体化手段における微差(周知技術の単なる削除)であって、新たな効果を奏するものではないから、上記相違点3は実質的な相違点ではない。

したがって、同日発明(後願)と本願発明(先願)とは実質的に同一の発明である。

2 同日発明を先願とし、本願発明を後願と仮定した場合
(1)相違点1について
上記1(1)イで示したように、パチンコ遊技機において、払出制御手段が遊技価値付与手段から送信された払出指示信号に基づき、払い出すべき遊技球の数を把握する把握手段を備え、把握手段により把握された数の遊技球が払い出されるように払出手段を駆動制御することは周知である。
そして、本願発明及び同日発明の課題は、本願又は同日出願の明細書の【0270】等の記載を参酌すると、対象入球部への遊技球の入球態様の管理を適切に行うことであって、本願発明の「前記払出制御手段は、」「前記遊技価値付与手段から送信された払出指示信号に基づき、払い出すべき遊技球の数を把握する把握手段」「を備え」、「前記把握手段により把握された数の遊技球が払い出されるように」前記払出手段を駆動制御するとの特定は、前記課題の解決手段に対応する本質的な発明特定事項と直接関連がないから、前記課題の解決に影響を及ぼすものではない。
そうすると、同日発明において、「前記払出制御手段は、」「前記遊技価値付与手段から送信された払出指示信号に基づき、払い出すべき遊技球の数を把握する把握手段」「を備え」、「前記把握手段により把握された数の遊技球が払い出されるように」前記払出手段を駆動制御するとの周知技術1を付加することは、前記課題の解決のための具体化手段における微差(周知技術の付加)であって、新たな効果を奏するものではないから、上記相違点1は実質的な相違点ではない。

(2)相違点2について
ア 本願発明は、同日発明のc5、c6の「前記遊技価値付与手段は、」「所定契機が発生していることに基づいて、本遊技機への電力の所定の供給が開始された後であって前記所定処理(遊技を進行させるための所定処理)の実行を開始する前に、所定記憶領域の情報の消去処理を実行する手段」「を備え、」「前記第1送信手段は、前記所定契機が発生している場合、前記消去処理が実行された後に前記参照用情報信号を前記処理実行手段に対して送信する」との特定事項を有しないものであり、この点において、同日発明の特定事項を上位概念化しているものであり、上記相違点1に係る同日発明(先願)の特定事項は、本願発明(後願)に含まれるものである。

イ さらに検討すると、上記1(2)で示したように、パチンコ遊技機において、遊技価値付与手段が、所定契機が発生している(RAMクリアスイッチがONされている)ことに基づいて、本遊技機への電力の所定の供給が開始された後であって遊技を進行させるための所定処理(タイマ割込処理)の実行を開始する前に、所定記憶領域の情報の消去処理を実行する手段を備え、遊技価値付与手段が、前記所定契機が発生している場合、前記消去処理が実行された後に演出制御手段等の周辺部に対して初期設定を行うためのコマンドを送信することは周知である。
そして、本願発明及び同日発明の課題は、前述のとおり、対象入球部への遊技球の入球態様の管理を適切に行うことであって、本願発明及び同日発明において、特定事項C2、c2の「第1送信手段」が「本遊技機への電力の所定の供給が開始された後であって遊技を進行させるための所定処理の実行を開始する前に、前記第1参照用情報記憶手段に記憶されている前記参照用情報に対応した参照用情報信号を前記処理実行手段に対して送信する」ものでありさえすれば、前記課題を解決できるといえ、同日発明のc5、c6の「前記遊技価値付与手段は、」「所定契機が発生していることに基づいて、本遊技機への電力の所定の供給が開始された後であって前記所定処理(遊技を進行させるための所定処理)の実行を開始する前に、所定記憶領域の情報の消去処理を実行する手段」「を備え、」「前記第1送信手段は、前記所定契機が発生している場合、前記消去処理が実行された後に前記参照用情報信号を前記処理実行手段に対して送信する」との特定は、前記課題の解決に影響を及ぼすものではない。
そうすると、同日発明において、遊技価値付与手段が、所定契機が発生していることに基づいて、本遊技機への電力の所定の供給が開始された後であって演出制御手段が処理の実行を開始する前に、所定記憶領域の情報の消去処理を実行する手段を備え、遊技価値付与手段が、前記所定契機が発生している場合、前記消去処理が実行された後に演出制御手段等の周辺部に対して初期設定を行うためのコマンドを送信するとの周知技術2を削除することは、前記課題の解決のための具体化手段における微差(周知技術の単なる削除)であって、新たな効果を奏するものではないから、上記相違点2は実質的な相違点ではない。

(3)相違点3について
ア 本願発明は、同日発明のe4の「前記払出制御手段は、前記払出手段の駆動制御が実行されたことに基づいて、本遊技機の外部に所定の信号が外部出力されるようにするための処理を実行する手段を備え」るとの特定事項を有しないものであり、この点において、同日発明の特定事項を上位概念化しているものであり、上記相違点1に係る同日発明(先願)の特定事項は、本願発明(後願)に含まれるものである。

イ さらに検討すると、上記1(3)で示したように、パチンコ遊技機において、払出制御手段が、払出手段の駆動制御が実行されたことに基づいて、本遊技機の外部に所定の信号が外部出力されるようにするための処理を実行する手段を備えることは周知である。
そして、本願発明及び同日発明の課題は、前述のとおり、対象入球部への遊技球の入球態様の管理を適切に行うことであって、同日発明のe4の「前記払出制御手段は、前記払出手段の駆動制御が実行されたことに基づいて、本遊技機の外部に所定の信号が外部出力されるようにするための処理を実行する手段を備え」るとの特定は、前記課題の解決手段に対応する本質的な発明特定事項と直接関連がないから、前記課題の解決に影響を及ぼすものではない。
そうすると、同日発明において、払出制御手段が、払出手段の駆動制御が実行されたことに基づいて、本遊技機の外部に所定の信号が外部出力されるようにするための処理を実行する手段を備えるとの周知技術3を削除することは、前記課題の解決のための具体化手段における微差(周知技術の単なる削除)であって、新たな効果を奏するものではないから、上記相違点3は実質的な相違点ではない。
したがって、同日発明(先願)と本願発明(後願)とは実質的に同一の発明である。

3 小括
以上のとおりであるから、本願発明と同日発明とは、いずれの発明を先願と仮定しても、他の発明と実質的に同一であるから、本願発明と同日発明とは同一である。

4 請求人の主張について
請求人は、審判請求書の「【本願発明が特許されるべき理由】」の「(2)拒絶査定に対する意見」において、以下のとおり主張する。
「同日出願1は令和3年12月13日付けで手続補正書が提出されている。そして、当該補正後における同日出願1に係る発明は、
・「所定契機が発生していることに基づいて、本遊技機への電力の所定の供給が開始された後であって前記所定処理の実行を開始する前に、所定記憶領域の情報の消去処理を実行する手段」という構成と、
・「前記第1送信手段は、前記所定契機が発生している場合、前記消去処理が実行された後に前記参照用情報信号を前記処理実行手段に対して送信する」という構成と、
を備えているのに対して、本願発明は当該構成を備えていない点で相違する。また、この相違点に係る構成は周知技術を例示するための文献として提示されている引用文献2(特開2012−217727号公報)に記載されておらず、上記相違点に係る構成が周知技術であるとする客観的な根拠は存在していない。
また、上記相違点に係る構成を備えていることにより、上記同日出願1に係る発明は、
「所定契機が発生していることに基づいて、本遊技機への電力の所定の供給が開始された後であって遊技を進行させるための所定処理の実行が開始される前に、所定記憶領域の情報の消去処理が実行されるため、所定契機が発生している場合には遊技の進行が開始される前に所定記憶領域の情報を消去させることが可能となる。この場合に、本遊技機への電力の所定の供給が開始された後であって遊技を進行させるための所定処理の実行が開始される前に、第1参照用情報記憶手段に記憶されている参照用情報に対応した参照用情報信号が処理実行手段に対して送信される構成において、所定契機が発生している場合には所定記憶領域の情報の消去処理が実行された後に参照用情報信号が処理実行手段に対して送信される。これにより、所定契機が発生している場合には参照用情報信号の送信よりも所定記憶領域の情報の消去を優先させることが可能となり、所定契機が発生している場合には所定記憶領域の情報の消去を早期に完了させることが可能となる。また、所定記憶領域の情報の消去処理が実行された後には参照用情報信号の送信が行われるため、所定記憶領域の情報の消去が優先される構成であったとしても、遊技を進行させるための所定処理の実行を開始する前に参照用情報信号が送信されるようにすることが可能となる。」
という新たな効果を奏することが可能である。
したがって、本願発明は上記同日出願1に係る発明とは同一ではない。」

しかしながら、遊技価値付与手段が、所定契機が発生していることに基づいて、本遊技機への電力の所定の供給が開始された後であって演出制御手段が処理の実行を開始する前に、所定記憶領域の情報の消去処理を実行する手段を備え、遊技価値付与手段が、前記所定契機が発生している場合、前記消去処理が実行された後に演出制御手段等の周辺部に対して初期設定を行うためのコマンドを送信するという周知技術2であれば、所定契機が発生している場合には信号の送信よりも所定記憶領域の情報の消去を優先させることが可能となり、所定契機が発生している場合には所定記憶領域の情報の消去を早期に完了させることが可能となり、また、所定記憶領域の情報の消去処理が実行された後には信号の送信が行われるため、所定記憶領域の情報の消去が優先される構成であったとしても、遊技を進行させるための所定処理の実行を開始する前に信号が送信されるようにすることが可能であることは明らかである。そうすると、請求人が主張する効果は、周知技術2が付加されれば自ずと付随する効果であり、新たな効果とは認められないから、上記主張は採用できない。

5 まとめ
以上のように、本願発明と同日発明は同一の発明であると認められ、かつ、同日出願に係る発明は特許されており協議を行うことができないから、特許法第39条第2項の規定により特許を受けることができない。

第7 むすび
以上のとおりであるから、本願は、特許法第39条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
別掲 (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。
 
審理終結日 2022-08-30 
結審通知日 2022-09-06 
審決日 2022-09-20 
出願番号 P2017-018058
審決分類 P 1 8・ 4- Z (A63F)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 鉄 豊郎
特許庁審判官 村田 泰利
藤田 年彦
発明の名称 遊技機  
代理人 安藤 悟  

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