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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 H04M
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04M
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 H04M
管理番号 1391770
総通号数 12 
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2022-01-17 
確定日 2022-12-06 
事件の表示 特願2020− 38348「マルチSIMデバイスのWWANおよびWLAN協働サポート」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 7月 2日出願公開、特開2020−102868、請求項の数(24)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2015年(平成27年)9月30日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2014年10月28日 米国)を国際出願日とする出願である特願2017−522630号の一部を、令和2年3月6日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和 2年 7月 3日 :手続補正書の提出
令和 3年 5月11日付け:拒絶理由通知書
令和 3年 6月28日 :意見書の提出
令和 3年11月18日付け:拒絶査定
令和 4年 1月17日 :拒絶査定不服審判の請求、手続補正書の提

令和 4年 7月12日付け:拒絶理由(当審拒絶理由)通知書
令和 4年 9月 6日 :意見書、手続補正書の提出

第2 原査定の概要
原査定(令和3年11月18日付け拒絶査定)の概要は、次のとおりである。
本願請求項1〜8,10〜16,18〜23,25〜29に係る発明は、以下の引用文献A,Bに記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献A:国際公開第2014/130284号
引用文献B:特開2012−029314号公報

第3 当審拒絶理由の概要
当審が令和4年7月12日付けで通知した拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)の概要は次のとおりである。

1 理由1(明確性
この出願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
請求項1には、「第1の無線アクセス技術に対応する第1の信号」、「前記第1の無線アクセス技術に対応する第2の信号」と記載されており、また、「前記第2の無線アクセス技術は、前記第1の無線アクセス技術とは異なる」とも記載されているが、多数存在する無線アクセス技術は通常、様々な観点で分類され、無線アクセス技術が同じか異なるかはどのような観点で分類するかによって変化することを考慮すると、「無線アクセス技術」が共に「第1の無線アクセス技術」であるとは、「無線アクセス技術」がどのような観点で共通しているのか不明であり、また、「無線アクセス技術」が「異なる」とはどのような観点で異なるのか、不明である。
請求項8には、「前記第2のアンテナは、前記第1の無線アクセス技術に関連するダイバーシティアンテナである」と記載されているが、ここで、請求項8が引用する請求項1には、「第1のアンテナ」と記載されているところ、請求項8の「ダイバーシティアンテナ」が、「第1のアンテナ」とは無関係に、それ自体が単独で「ダイバーシティアンテナ」として機能するという趣旨で記載されているのか、あるいは、「第2のアンテナ」は、単独では「ダイバーシティアンテナ」として機能しないが、「第1のアンテナ」と併せて「ダイバーシティアンテナ」として機能するという趣旨で記載されているのか、いずれか不明である。
よって、請求項1,8に係る発明は明確でない。請求項1,8と同様の記載がある請求項12,16,18,23,25,29に係る発明、請求項1,12,18,25のいずれかを引用するその余の請求項に係る発明(請求項4,5を除く)も、同様の理由により明確でない。

2 理由2(新規性
本願請求項1,2,4〜6,10,18,19,21に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

3 理由3(進歩性
本願請求項1〜6,8,10〜14,16〜21,23,25〜27,29,30に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明に基づいて、本願請求項7,15,22,28に係る発明は、以下の引用文献1,2に記載された発明に基づいて、本願請求項9,24に係る発明は、以下の引用文献1,3に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1:米国特許出願公開第2014/0146732号明細書(当審において新たに引用された文献)
引用文献2:特開2012−29314号公報(原査定の引用文献B)
引用文献3:特開2013−201615号公報(当審において新たに引用された文献)

第4 本願発明
本願請求項1〜24に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」〜「本願発明24」という。)は、令和4年9月6日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1〜24に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1,9,14,20は次のとおりの発明である。

「【請求項1】
ワイヤレス通信のための方法であって、
第1の無線アクセス技術に対応する第1の信号を、前記第1の無線アクセス技術に関連する第1のアンテナを介して受信することと、
前記第1の無線アクセス技術に対応する第2の信号を、前記第1の無線アクセス技術に関連する第2のアンテナを介して受信することと、ここにおいて、前記第1の信号と前記第2の信号は互いに異なる通信ネットワークの信号であり、前記第2のアンテナは、前記第1のアンテナと併せてダイバーシティアンテナとして機能する、前記第1の無線アクセス技術に関連するダイバーシティアンテナである、
第2の無線アクセス技術に関連する少なくとも1つの構成要素および前記第1の無線アクセス技術に関連する少なくとも1の構成要素によって前記第2の信号を処理することと、前記第2の無線アクセス技術は、前記第1の無線アクセス技術とは異なる、を備え、
ここにおいて、前記第1の無線アクセス技術は、ワイヤレスワイドエリアネットワーク(WWAN)に関連し、前記第2の無線アクセス技術は、ワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)に関連する、方法。」

「【請求項9】
ワイヤレス通信のための方法であって、
第1の無線アクセス技術に対応する第1の信号を、前記第1の無線アクセス技術に関連する第1のアンテナを介して送信することと、
第2の無線アクセス技術に関連する少なくとも1つの構成要素および前記第1の無線アクセス技術に関連する少なくとも1の構成要素によって第2の信号を処理することと、前記第2の無線アクセス技術は、前記第1の無線アクセス技術とは異なり、ここにおいて、前記第1の信号と前記第2の信号は互いに異なる通信ネットワークの信号であり、
前記第1の無線アクセス技術に対応する前記第2の信号を、前記第1の無線アクセス技術に関連する第2のアンテナを介して送信することと、ここにおいて、前記第2のアンテナは、前記第1のアンテナと併せてダイバーシティアンテナとして機能する、前記第1の無線アクセス技術に関連するダイバーシティアンテナであり、
を備え、
ここにおいて、前記第1の無線アクセス技術は、ワイヤレスワイドエリアネットワーク(WWAN)に関連し、前記第2の無線アクセス技術は、ワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)に関連する、方法。」

「【請求項14】
ワイヤレス通信のための装置であって、
プロセッサと、
前記プロセッサと電子通信しているメモリと、
前記メモリに記憶される命令と、
を備え、前記命令は、前記プロセッサによって、
第1の無線アクセス技術に対応する第1の信号を、前記第1の無線アクセス技術に関連する第1のアンテナを介して受信することと、
前記第1の無線アクセス技術に対応する第2の信号を、前記第1の無線アクセス技術に関連する第2のアンテナを介して受信することと、ここにおいて、前記第1の信号と前記第2の信号は互いに異なる通信ネットワークの信号であり、前記第2のアンテナは、前記第1のアンテナと併せてダイバーシティアンテナとして機能する、前記第1の無線アクセス技術に関連するダイバーシティアンテナである、
第2の無線アクセス技術に関連する少なくとも1つの構成要素および前記第1の無線アクセス技術に関連する少なくとも1の構成要素によって前記第2の信号を処理することと、前記第2の無線アクセス技術は、前記第1の無線アクセス技術とは異なる、を行うように実行可能である、
を備え、
ここにおいて、前記第1の無線アクセス技術は、ワイヤレスワイドエリアネットワーク(WWAN)に関連し、前記第2の無線アクセス技術は、ワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)に関連する、装置。」

「【請求項20】
ワイヤレス通信のための装置であって、
プロセッサと、
前記プロセッサと電子通信しているメモリと、
前記メモリに記憶される命令と、
を備え、前記命令は、前記プロセッサによって、
第1の無線アクセス技術に対応する第1の信号を、前記第1の無線アクセス技術に関連する第1のアンテナを介して送信することと、
第2の無線アクセス技術に関連する少なくとも1つの構成要素および前記第1の無線アクセス技術に関連する少なくとも1の構成要素によって第2の信号を処理することと、前記第2の無線アクセス技術は、前記第1の無線アクセス技術とは異なり、ここにおいて、前記第1の信号と前記第2の信号は互いに異なる通信ネットワークの信号であり、
前記第1の無線アクセス技術に対応する前記第2の信号を、前記第1の無線アクセス技術に関連する第2のアンテナを介して送信することと、ここにおいて、前記第2のアンテナは、前記第1のアンテナと併せてダイバーシティアンテナとして機能する、前記第1の無線アクセス技術に関連するダイバーシティアンテナである、を行うように実行可能であり、
ここにおいて、前記第1の無線アクセス技術は、ワイヤレスワイドエリアネットワーク(WWAN)に関連し、前記第2の無線アクセス技術は、ワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)に関連する、装置。」

第5 当審拒絶理由の理由1について
令和4年9月6日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1は、「前記第2のアンテナは、前記第1のアンテナと併せてダイバーシティアンテナとして機能する」と記載されているものとされ、また、「前記第1の無線アクセス技術は、ワイヤレスワイドエリアネットワーク(WWAN)に関連し、前記第2の無線アクセス技術は、ワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)に関連する」と記載されているものとされている。
この点は、同じく補正された特許請求の範囲の請求項9,14,20についても同様である。
よって、当審拒絶理由の理由1は解消した。

第6 引用文献の記載、引用発明等
1 引用文献1、引用発明
(1)当審拒絶理由にて引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審による。以下同様。なお、訳文として、引用文献1のパテントファミリーである特表2017−509270号公報の記載を採用した。)。

ア 「[0056] FIG. 7 is a diagram 700 illustrating an implementation of the measurement phase of a handover process that avoids gaps in communication between a UE and its serving cell. In this implementation, a second radio of the UE is used to carry out the measurements, thereby obviating the use of gap patterns as shown in FIG. 6. A first radio of the UE temporarily configures a second radio of the UE to do these measurements. This is feasible since mobile devices have multiple radios designed to work on different networks. For example, the E-UTRAN and WCDMA radios are designed to work on wireless wide area networks (WWAN) while 802.11 radios are designed to work on wireless local area networks (WLAN). These WLAN radios implement an FFT engine as part of their normal operation. The FFT engine can be used to perform measurements on the downlink of WWAN networks, and hence eliminates the need for configuring the wireless device with measurement gaps.
[0057] A UE 702 is shown communicating with a first eNB 704 within a serving cell 706 adjacent a second eNB 708 within a neighboring cell 710. The UE 702, 702' includes a first radio 712 that is based on a first radio technology, e.g., a radio technology that implements a wireless wide area network (WWAN), such as LTE or UMTS. The UE 702, 702' also includes a second radio 714 that is based on a second radio technology that is different from the first radio technology, e.g., a radio technology that implements a wireless local area network (WLAN), such as Wi-Fi. The second radio 714, however, is configured or configurable to receive signals transmitted based on a radio technology different from the second radio technology, from a neighboring cell operating on a different frequency.」
(訳: [0056] 図7は、UEとそれのサービングセルとの間の通信ギャップを回避するハンドオーバープロセスの測定フェーズの実装を例示した図700である。この実装では、UEの第2の無線が測定を実施するために使用され、それにより、図6において示されるようにギャップパターンの使用を除去する。UEの第1の無線は、これらの測定を行うようにUEの第2の無線を一時的に構成する。これは、モバイルデバイスが異なるネットワーク上で作動するように設計された複数の無線を有するので実行可能である。例えば、E−UTRAN無線およびWCDMA(登録商標)無線は、ワイヤレスワイドエリアネットワーク(WWAN)で作動するように設計される一方、802.11無線は、ワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)で作動するように設計される。これらのWLAN無線は、これらの通常の動作の一部としてFFTエンジンを実装する。FFTエンジンは、WWANネットワークのダウンリンク上で測定を実行するために使用することができ、従って、測定ギャップを持つワイヤレスデバイスを構成する必要性をなくす。
[0057] UE702は、近隣セル710内の第2のeNB708に隣接するサービングセル706内の第1のeNB704と通信中であることが示される。UE702、702’は、第1の無線技術、例えば、LTEまたはUMTSのようなワイヤレスワイドエリアネットワーク(WWAN)を実装する無線技術、に基づく第1の無線712を含む。UE702、702’は、第1の無線技術と異なる第2の無線技術、例えば、Wi−Fiのようなワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)を実装する無線技術、に基づく第2の無線714も含む。しかしながら、第2の無線714は、異なる周波数上で動作する近隣セルから、第2の無線技術と異なる無線技術に基づいて送信された信号を受信するように構成されまたは構成可能である。)

イ (図7)「



ウ 「[0097] In various embodiments, the second radio may be configured to assist the first radio with a first-radio operation, such as multiple-subscriber identity module (SIM) page monitoring and page/data processing. A multiple-SIM mobile device, which supports Dual-SIM Dual Standby (DS-DS) may monitor pages simultaneously on a first SIM card and a second SIM card of the mobile device using the first radio. However, once on an active call (using the first radio) on the first SIM, the first radio may not be able to monitor the pages on the second SIM without interrupting the call. Therefore, pages, calls, or data relating to the second SIM may be missed because the user of the mobile device could not be contacted via the second SIM. Accordingly, in various embodiments, the second radio may be configured to make page and data measurements and/or process this information for the second SIM (and/or other SIMs).
[0098] In particular embodiments, when the first SIM is in use, page and data may be collected by the second radio and reported to the first radio for processing (e.g., at the RF signal or digital signal level). In some embodiments, the second radio may process the page and the data. Accordingly, for instance, the second radio may notify (report to) the first radio. Likewise, when the second SIM is in use, the second radio may monitor for page and data for the first SIM. In other embodiments, the second radio may communicate with the network on behalf of the first radio to receive page and data information and then forward the page and data information to the first radio at that time or some later time.」
(訳: [0097] 様々な実施形態では、第2の無線は、複数の加入者アイデンティティモジュール(SIM)ページモニタリングおよびページ/データ処理のような、第1の無線動作に対して第1の無線を支援するように構成され得る。デュアルSIMデュアルスタンバイ(DS−DS)をサポートする複数のSIMモバイルデバイスは、第1の無線を使用してモバイルデバイスの第1のSIMカードおよび第2のSIMカード上で同時にページをモニタリングし得る。しかしながら、一旦、第1のSIM上で(第1の無線を使用して)アクティブ呼を作動すると、第1の無線は、呼を遮断せずに第2のSIMカード上でページをモニタリングすることができない。従って、第2のSIMに関連するページ、呼、またはデータは、モバイルデバイスのユーザが第2のSIMを介して交信できないので、見落とされ得る。従って、様々な実施形態では、第2の無線は、第2のSIM(および/または他のSIM)のためにページおよびデータ測定を行うことおよび/またはこの情報を処理することを行うように構成され得る。
[0098] 特定の実施形態では、第1のSIMが使用中であるとき、ページおよびデータは、(例えば、第2の無線によって収集され、RF信号またはデジタル信号レベルでの)処理のために第1の無線に報告され得る。幾つかの実施形態では、第2の無線は、ページおよびデータを処理し得る。従って、例えば、第2の無線は、第1の無線に通知し(報告し)得る。同様に、第2のSIMが使用中であるとき、第2の無線は、第1のSIMのためのページおよびデータに対してモニタリングし得る。他の実施形態において、第2の無線は、ページおよびデータ情報を受信し、その後、その時点でまたはその後の時点で第1の無線にページおよびデータ情報を転送するために第1の無線の代わりにネットワークと通信し得る。)

エ 「[0110] In various embodiments, the mobile device may be configured to include radio frequency enhancements to allow the second radio to assist the first radio with a first-radio operation. In particular embodiments, the mobile device may be configured to manage transmission by the radios of the mobile device while the second radio assists with the first-radio operation. FIG. 14 illustrates a block diagram of an example of a mobile device 1400 (e.g., 606, 702, 702', 1002, 1002' in FIGS. 6, 7, 10, 11) having a first radio system 1410 (e.g., 712, 802, 1004 in FIGS. 7, 8, 10) and a second radio system 1460 (e.g., 714, 804, 1006 in FIGS. 7, 8, 10). The first radio system 1410 may include a primary antenna 1412 and a diversity antenna 1422. A primary front end module (FEM0) 1416 may be provided between the primary antenna 1412 and a first radio transceiver 1430. A diversity front end module (FEW 1426 may be provided between the diversity antenna 1422 and the first radio transceiver 1430.
[0111] The second radio system 1460 may include an antenna 1462. The antenna 1462 may be configured for the first radio and the second radio. For example, the antenna 1462 may be a shared antenna for the first radio (e.g., LTE) and the second radio (e.g., WiFi).
[0112] The second radio system 1460 may include a plurality of filters, such as a first first-radio filter (FRF1) 1466 and a second first-radio filter (FRF2) 1468. The first first-radio filter 1466 may correspond to a first band (e.g., band 40 (2300-2400 MHz)), and the second first-radio filter 1468 may correspond to a second band (e.g., band 38 (2570-2620 MHz)) that is at least partially different from the first band. Such filters may help reduce first radio interference.
[0113] The second radio system 1460 may also include a third filter 1470, such as an ISM (industrial, scientific, and medical) filter 1470. In some embodiments, the third filter corresponds to a third band (e.g., ISM band (2400-2490 MHz)) that may be at least partially different from one or more of the first band and the second band. A first switch 1464, such as an IP3 (third-order intercept point) switch, may be coupled to the antenna 1462 for receiving a signal 1463 received via the antenna 1462 and selecting which of the filters 1466, 1468, 1470 receives a corresponding signal 1465a-1465c. An output of the ISM filter 1470 may also be coupled to a second radio transceiver 1480 to provide a signal 1471, which corresponds to the signal 1465c (e.g., when the first switch 1464 selects the third filter 1470).
[0114] A filtered signal 1467 of the first first-radio filter 1466 (corresponding to the signal 1465a) may be provided to the second radio transceiver 1480 (e.g., when the first switch 1464 selects the first first-radio filter 1466). A filtered signal 1469 of the second first-radio filter 1468 (corresponding to the signal 1465b) may be provided to the second radio transceiver 1480 (e.g., when the first switch 1464 selects the second first-radio filter 1468). In particular embodiments, the mobile device 1400 may include a second switch 1472 coupled to respective outputs of the first first-radio filter 1466 and the second first-radio filter 1468 for selecting the appropriate filtered signal (1467 or 1469) for providing to the second radio transceiver 1480.」
(訳: [0110] 様々な実施形態では、モバイルデバイスは、第2の無線が第1の無線動作に対して第1の無線を支援するのを可能にするために無線周波数拡張を含むように構成され得る。特定の実施形態では、モバイルデバイスは、第2の無線が第1の無線動作で支援する一方、モバイルデバイスの無線による送信を管理するように構成され得る。図14は、第1の無線システム1410(例えば、図7、図8、図10における712、802、1004)および第2の無線システム1460(例えば、図7、図8、図10における714、804、1006)を有するモバイルデバイス1400(例えば、図6、図7、図10、図11における606、702、702’、1002、1002’)の例のブロック図を例示する。第1の無線システム1410は、プライマリアンテナ1412と、ダイバーシティアンテナ1422とを含み得る。プライマリフロントエンドモジュール(FEM0)1416は、プライマリアンテナ1412と第1の無線トランシーバ1430との間に提供され得る。ダイバーシティフロントエンドモジュール(FEM1)1426は、ダイバーシティアンテナ1422と第1の無線トランシーバ1430との間に提供され得る。
[0111] 第2の無線システム1460は、アンテナ1462を含み得る。アンテナ1462は、第1の無線および第2の無線のために構成され得る。例えば、アンテナ1462は、第1の無線(例えば、LTE)および第2の無線(例えば、WiFi)のための共有アンテナであり得る。
[0112] 第2の無線システム1460は、第1の第1の無線フィルタ(FRF1)1466および第2の第1の無線フィルタ(FRF2)1468のような、複数のフィルタを含み得る。第1の、第1の無線フィルタ1466は、第1の帯域(例えば、帯域40(2300乃至2400MHz))に対応し得、第2の、第1の無線フィルタ1468は、第1の帯域と少なくとも部分的に異なる第2の帯域(例えば、帯域38(2570乃至2620MHz)に対応し得る。そのようなフィルタは、第1の無線の干渉を低減させるのに役立ち得る。
[0113] 第2の無線システム1460は、ISM(工業、科学、および医療)フィルタ1470のような第3のフィルタ1470を含み得る。幾つかの実施形態では、第3のフィルタは、第1の帯域および第2の帯域のうちの1つまたは複数と少なくとも部分的に異なり得る第3の帯域(例えば、ISM帯域(2400乃至2490MHz))に対応する。IP3(第3次インターセプトポイント)スイッチのような、第1のスイッチ1464は、アンテナ1462を介して受信された信号1463を受信し、フィルタ1466、1468、1470のうちのいずれが対応する信号1465a乃至1465cを受信するかを選択するためのアンテナ1462に結合され得る。ISMフィルタ1470は、(例えば、第1のスイッチ1464が第3のフィルタ1470を選択するとき)信号1465cに対応する、信号1471を提供するために第2の無線トランシーバ1480に結合され得る。
[0114] (信号1465aに対応する)第1の、第1の無線フィルタ1466のフィルタ処理された信号1467は、(例えば、第1のスイッチ1464が第1の、第1の無線フィルタ1466を選択したとき)第2の無線トランシーバ1480に提供され得る。(信号1465bに対応する)第2の第1の無線フィルタ1468のフィルタ処理された信号1469は、(例えば、第1のスイッチ1464が第2の第1の無線フィルタ1468を選択したとき)第2の無線トランシーバ1480に提供され得る。特定の実施形態では、モバイルデバイス1400は、第2の無線トランシーバ1480に提供するための適切にフィルタ処理された信号(1467または1469)を選択するために第1の、第1の無線フィルタ1466および第2の、第1の無線フィルタ1468の各々の出力に結合された第2のスイッチ1472を含み得る。)

オ (図14)「


(当審注: 図中、「1244」とあるのは「1422」の誤記と認める。)

(2)上記(1)エは、特に同オの図14を参照して記載された、「モバイルデバイス」の「無線」通信のための方法についての記載であるといえる。

(3)上記(1)エ、オ及び上記(2)から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「第1の無線システム1410は、プライマリアンテナ1412と、ダイバーシティアンテナ1422とを含み、プライマリフロントエンドモジュール1416は、プライマリアンテナ1412と第1の無線トランシーバ1430との間に提供され、ダイバーシティフロントエンドモジュール1426は、ダイバーシティアンテナ1422と第1の無線トランシーバ1430との間に提供され、
第2の無線システム1460は、アンテナ1462を含み、アンテナ1462は、LTEおよびWiFiのための共有アンテナであり、
第2の無線システム1460は、第1の第1の無線フィルタ1466および第2の第1の無線フィルタ1468のような、複数のフィルタを含み、第1の、第1の無線フィルタ1466は、帯域40(2300乃至2400MHz)に対応し、第2の、第1の無線フィルタ1468は、帯域38(2570乃至2620MHz)に対応し、
第2の無線システム1460は、第3のフィルタ1470を含み、第3のフィルタは、ISM帯域(2400乃至2490MHz)に対応し、
第1のスイッチ1464は、アンテナ1462を介して受信された信号1463を受信し、フィルタ1466、1468、1470のうちのいずれが対応する信号1465a乃至1465cを受信するかを選択するためのアンテナ1462に結合され、ISMフィルタ1470は、例えば、第1のスイッチ1464が第3のフィルタ1470を選択するとき、信号1465cに対応する、信号1471を提供するために第2の無線トランシーバ1480に結合され、
第1の、第1の無線フィルタ1466のフィルタ処理された信号1467は、例えば、第1のスイッチ1464が第1の、第1の無線フィルタ1466を選択したとき、第2の無線トランシーバ1480に提供され、第2の第1の無線フィルタ1468のフィルタ処理された信号1469は、例えば、第1のスイッチ1464が第2の第1の無線フィルタ1468を選択したとき、第2の無線トランシーバ1480に提供される、
無線通信のための方法。」

2 引用文献2
当審拒絶理由にて引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0020】
図2は、本発明によるマルチモード無線端末における通信モードの切替えシーケンスの1例を示す。
本発明では、図2に示すように、所定周期T1で繰り返される携帯電話モード(公衆ネットワーク無線通信モード)の間欠的な待ち受け受信T11(201、202、・・・)の合間T12(211、212、・・・)に、端末の通信モードを無線LANモード(局所的ネットワーク無線通信モード)に変更する。ここで、携帯電話モードは、例えば、GSM、PDC、EDGE、GPRS、cdmaOne、cdma2000、W−CDMAのうちの1つであり、無線LANモードは、IEEE802.11a、IEEE802.11b、IEEE802.11g、IEEE802.11h、HiperLAN/2、Bluetooth、UWBのうちの1つである。」

「【0024】
図1は、図2に示したモード切替えが適用されるマルチモード無線端末の1例を示す構成図である。
マルチモード無線端末は、アンテナ10に接続されたフロントエンド部11と、該フロントエンド部11に接続された無線部12と、アナログ/ディジタル変換器(A/D)131とディジタル/アナログ変換器(D/A)132とを含む無線部インタフェース13と、変復調部141とディジタル信号プロセッサ(DSP)142とを含むベースバンド部14と、内部バス18を介して上記DSP16と接続された制御プロセッサ(CPU)16と、ユーザインタフェース15と、上記内部バス18に接続されたRAM17AおよびROM(またはフラッシュメモリ)17Bとからなる。端末の通信モードの切替えは、制御プロセッサ16がDSP142と協力して行う。
【0025】
無線部12は、後述するモード切替えの制御対象となる高周波半導体集積回路(RF−IC)30と、送信用パワー増幅器(PA)40とを含む。また、ユーザインタフェース15は、DSP142に接続されたアナログインタフェース15Aと、内部バス18および変復調部141に接続されたディジタル(データ)インタフェース15Bとからなる。上記アナログインタフェース15Aは、スピーカ20とマイク21に接続され、ディジタルインタフェース15Bには、表示部221とキーボード23とが接続されている。
【0026】
アンテナ10からの受信信号は、フロントエンド部10に入力され、アンテナスイッチ(又はデュプレクサ)で送信信号から分離され、フィルタリングを受けた後、無線部12に入力される。無線部12のRF−IC30は、フィルタ、増幅器、ミキサなどの回路機能を有し、受信信号は、上記RF−IC30によってベースバンドの信号に変換される。
【0027】
RF−IC30から出力されたベースバンド信号は、インタフェース部13のA/D変換器131でディジタル信号に変換した後、ベースバンド処理部14の変復調部141で復調される。復調信号が音声信号の場合は、DSP142で処理した後、アナログインタフェース15Aに出力される。復調信号がデータの場合は、ディジタルインタフェース15Bまたは内部バス18に出力される。
【0028】
マイク21から入力された送信音声信号と制御プロセッサ16から出力された送信データは、DSP142で誤り訂正符号化等の処理を受けた後、変復調部141で変調される。変調された送信信号は、A/D変換器132でアナログ信号に変換した後、無線部12のRF−IC30で所望周波数帯域の高周波送信信号に変換される。高周波送信信号は、パワー増幅器40で増幅され、フロントエンド部11でフィルタリングされた後、アンテナ10から送信される。
【0029】
制御プロセッサ(CPU)16は、キーボード23からのユーザ操作に応答してデータ処理用または通信制御用の各種プログラムを実行する。また、制御プロセッサ16は、後述する通信モード切替え制御ルーチンを実行し、DSP142を介して、RF−IC30への各種パラメータの設定とモード変更を行う。RF−IC30のパラメータ設定とモード切替えは信号線L1、送信用パワー増幅器40の電源オン/オフは信号線L2を介して指令される。
【0030】
図3の(A)は、マルチモード無線端末用の従来のRF−ICの制御回路主要部を示す。
ここでは、説明を簡単にするために、RF−ICの構成要素として、受信回路を構成するフィルタ32、可変利得増幅器33、ミキサ34と、これらの要素に対応してパラメータ参照レジスタ領域300に形成されるフィルタ係数レジスタ302、アンプ(ゲイン)調整パラメータレジスタ303、周波数設定パラメータレジスタ304を示す。実際のRF−ICでは、受信回路に上記要素以外の更に他のアナログ部品を含む。また、上記RF−ICの基板上には、受信回路の他に、パラメータ値によって特性変更可能な送信回路も形成される。
【0031】
マルチモード無線端末では、図3(A)に示すように、RF−IC上に形成されたアナログ部品のうちの幾つかを設定パラメータの値によって動作特性を変更できる回路構成としておくことによって、1つのRF−ICで異なる複数の通信モードを実現している。
【0032】
パラメータ参照レジスタ領域300に設定されるパラメータは、アナログ部品の種類によって異なる。例えば、参照レジスタ304に設定されるミキサ用のパラメータは、ミキサに供給すべきローカル信号の周波数を示している。参照レジスタ303に設定される可変利得アンプ用のパラメータは、アンプのゲイン係数を示し、参照レジスタ302に設定されるフィルタ用のパラメータは、フィルタ係数を示している。これらのパラメータは、例えば、“0”がGND、“1”がVddに対応しており、多ビットパラメータの各ビットでアナログ部品の各端子電位を指定する。
尚、パワーアンプのように非線形部品の特性をプリディストーション等によって補正する場合、レジスタに設定されるパラメータには、キャリブレーション補正値も含まれる。
【0033】
従来のRF−ICでは、これらパラメータは、外部信号入力ピン31から設定値書込制御回路305に入力され、設定値書込制御回路305がスイッチ306を切替えることによって、入力パラメータをパラメータ参照レジスタ領域300内の特定のレジスタ302〜304に選択的に設定している。フィルタ32、可変利得増幅器33、ミキサ34などのアナログ部品は、それぞれと対応するレジスタが示す参照パラメータ値に従った動作特性をもつ。」

「【図1】



「【図2】


(2)上記(1)から、引用文献2には、次の発明が記載されていると認められる。

「所定周期T1で繰り返される携帯電話モード(公衆ネットワーク無線通信モード)の間欠的な待ち受け受信T11(201、202、・・・)の合間T12(211、212、・・・)に、端末の通信モードを無線LANモード(局所的ネットワーク無線通信モード)に変更する、マルチモード無線端末であって、
マルチモード無線端末は、アンテナ10に接続されたフロントエンド部11と、該フロントエンド部11に接続された無線部12と、アナログ/ディジタル変換器(A/D)131とディジタル/アナログ変換器(D/A)132とを含む無線部インタフェース13と、変復調部141とディジタル信号プロセッサ(DSP)142とを含むベースバンド部14とからなり、
無線部12は、高周波半導体集積回路(RF−IC)30と、送信用パワー増幅器(PA)40とを含み、
アンテナ10からの受信信号は、フロントエンド部10に入力され、アンテナスイッチ(又はデュプレクサ)で送信信号から分離され、フィルタリングを受けた後、無線部12に入力され、無線部12のRF−IC30は、フィルタ、増幅器、ミキサなどの回路機能を有し、受信信号は、上記RF−IC30によってベースバンドの信号に変換され、
RF−IC30から出力されたベースバンド信号は、インタフェース部13のA/D変換器131でディジタル信号に変換した後、ベースバンド処理部14の変復調部141で復調され、
送信データは、変復調部141で変調され、変調された送信信号は、A/D変換器132でアナログ信号に変換した後、無線部12のRF−IC30で所望周波数帯域の高周波送信信号に変換され、高周波送信信号は、パワー増幅器40で増幅され、フロントエンド部11でフィルタリングされた後、アンテナ10から送信され、
RF−ICの構成要素として、フィルタ32、可変利得増幅器33を含み、また、上記RF−ICの基板上には、受信回路の他に、パラメータ値によって特性変更可能な送信回路も形成され、
RF−IC上に形成されたアナログ部品のうちの幾つかを設定パラメータの値によって動作特性を変更できる回路構成としておくことによって、1つのRF−ICで異なる複数の通信モードを実現し、
フィルタ32、可変利得増幅器33が、参照パラメータ値に従った動作特性をもつ、
マルチモード無線端末。」

3 引用文献3
当審拒絶理由にて引用された引用文献3には、段落【0031】〜【0035】等を参照すると、LTE及びWiFiのアンテナ構成を個別のアンテナとすることが記載されていると認められる。

4 引用文献A
原査定の拒絶の理由にて引用された引用文献Aは、図面とともに次の事項が記載されている(なお、訳文として、引用文献Aのパテントファミリーである特表2016−508702号公報の記載を採用した。)。

「[0014] FIG. 1 shows a wireless device 110 communicating with wireless communication systems 120 and 122. Each wireless system may be a Long Term Evolution (LTE) system, a Code Division Multiple Access (CDMA) system, a Global System for Mobile Communications (GSM) system, a wireless local area network (WLAN) system, or some other wireless system. A CDMA system may implement Wideband CDMA (WCDMA), CDMA IX, Time Division Synchronous CDMA (TD- SCDMA), or some other version of CDMA. For simplicity, FIG. 1 shows wireless system 120 including two base stations 130 and 132 and one system controller 140, and wireless system 122 including one base station 134. In general, a wireless system may include any number of base stations and any set of network entities. A base station may also be referred to as a Node B, an evolved Node B (eNB), an access point, etc.
[0015] Wireless device 110 may also be referred to as a user equipment (UE), a mobile station, a terminal, an access terminal, a subscriber unit, a station, etc. Wireless device 110 may be a cellular phone, a smartphone, a tablet, a wireless modem, a personal digital assistant (PDA), a handheld device, a laptop computer, a smartbook, a netbook, a cordless phone, a wireless local loop (WLL) station, a Bluetooth device, etc. Wireless device 110 may communicate with wireless system 120 and/or 122. Wireless device 110 may also receive signals from broadcast stations, signals from satellites (e.g., a satellite 150) in one or more global navigation satellite systems (GNSS), etc. Wireless device 110 may support one or more radio technologies for wireless communication such as LTE, WCDMA, CDMA IX, TD-SCDMA, GSM, 802.11, etc.」
(訳: [0014]図1に、ワイヤレス通信システム120および122と通信するワイヤレスデバイス110を示す。各ワイヤレスシステムは、ロングタームエボリューション(LTE:Long Term Evolution)システム、符号分割多元接続(CDMA)システム、モバイル通信用グローバルシステム(GSM(登録商標):Global System for Mobile Communications)システム、ワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN:wireless local area network)システム、または何らかの他のワイヤレスシステムであり得る。CDMAシステムは、広帯域CDMA(WCDMA(登録商標))、CDMA 1X、時分割同期CDMA(TD−SCDMA:Time Division Synchronous CDMA)、またはCDMAの何らかの他のバージョンを実装し得る。簡単のために、図1は、2つの基地局130および132と1つのシステムコントローラ140とを含むワイヤレスシステム120と、1つの基地局134を含むワイヤレスシステム122とを示している。概して、ワイヤレスシステムは、任意の数の基地局と、ネットワークエンティティの任意のセットとを含み得る。基地局は、ノードB、発展型ノードB(eNB)、アクセスポイントなどと呼ばれることもある。
[0015]ワイヤレスデバイス110は、ユーザ機器(UE)、移動局、端末、アクセス端末、加入者ユニット、局などと呼ばれることもある。ワイヤレスデバイス110は、セルラーフォン、スマートフォン、タブレット、ワイヤレスモデム、携帯情報端末(PDA)、ハンドヘルドデバイス、ラップトップコンピュータ、スマートブック、ネットブック、コードレスフォン、ワイヤレスローカルループ(WLL)局、Bluetoothデバイスなどであり得る。ワイヤレスデバイス110はワイヤレスシステム120および/または122と通信し得る。ワイヤレスデバイス110はまた、放送局からの信号、1つまたは複数のグローバルナビゲーション衛星システム(GNSS:global navigation satellite systems)中の衛星(たとえば、衛星150)からの信号などを受信し得る。ワイヤレスデバイス110は、LTE、WCDMA、CDMA 1X、TD−SCDMA、GSM、802.11など、ワイヤレス通信のための1つまたは複数の無線技術をサポートし得る。」

「[0024] Wireless device 110 may concurrently receive multiple transmitted signals at different frequencies. These multiple transmitted signals may be sent by one or more base stations on multiple carriers at different frequencies for carrier aggregation. These multiple transmitted signals may also be sent by different base stations for coordinated multi-point (CoMP) transmission, handover, etc. These multiple transmitted signals may also be sent by base stations in different wireless systems for concurrent services such as voice/data, or data/data, or voice/voice, etc. For example, wireless device 110 may support dual SIM/dual standby (DSDS) and/or dual SIM/dual-active (DSDA) and may be able to concurrently communicate with multiple wireless systems such as TD-SCDMA and GSM systems, or LTE and GSM systems, or CDMA and GSM systems, etc.
[0025] FIG. 3 shows a block diagram of an exemplary design of wireless device 110 in FIG. 1. In this exemplary design, wireless device 110 includes a transceiver 320 coupled to a primary antenna 310, a transceiver 322 coupled to a secondary antenna 312, and a data processor/controller 380. Transceiver 320 includes an antenna interface circuit 324, multiple (K) LNAs 330a to 330k, receive circuits 340, transmit circuits 350, and K power amplifiers (PAs) 360a to 360k. Transceiver 322 includes an antenna interface circuit 326, multiple (M) LNAs 332a to 332m, receive circuits 342, transmit circuits 352, and M PAs 362a to 362m. Transceivers 320 and 322 may support multiple frequency bands, carrier aggregation, multiple radio technologies, multiple wireless systems, receive diversity, MIMO transmission from multiple transmit antennas to multiple receive antennas, etc., or any combination thereof.
[0026] For data reception, antenna 310 receives signals from base stations and/or other transmitter stations and provides a received RF signal to antenna interface circuit 324, which provides one or more input RF signals to one or more selected LNAs 330. For example, antenna interface circuit 324 may provide (i) one input RF signal to one selected LNA for intra-band CA, with the input RF signal comprising multiple transmitted signals on multiple carriers in the same band, or (ii) two input RF signals for two bands to two LNAs for inter-band CA. Antenna interface circuit 324 may include switches, duplexers, diplexers, transmit filters, receive filters, matching circuits, etc. Each selected LNA 330 amplifies its input RF signal and provides one or more amplified RF signals to receive circuits 340. Receive circuits 340 downconvert each amplified RF signal from RF to baseband, filter and amplify the downconverted signal, and provide an input baseband signal to data processor 380. Receive circuits 340 may include mixers, filters, amplifiers, matching circuits, oscillators, local oscillator (LO) generators, phase locked loops (PLLs), etc.
[0027] For data transmission, data processor 380 processes (e.g., encodes and modulates) data to be transmitted and provides one or more output baseband signals to transmit circuits 350. Transmit circuits 350 amplify, filter, and upconvert each output baseband signal from baseband to RF and provide a modulated signal to a selected PA 360. Transmit circuits 350 may provide one modulated signal to one selected PA for intra-band CA or multiple modulated signals to multiple selected PAs for inter-band CA. Transmit circuits 350 may include amplifiers, filters, mixers, matching circuits, oscillators, LO generators, PLLs, etc. Each selected PA 360 amplifies its modulated signal and provides an output RF signal having the proper transmit power level. The output RF signal is routed through antenna interface circuit 324 and transmitted via antenna 310.
[0028] LNAs 332, receive circuits 342, transmit circuits 352, and PAs 362 within transceiver 322 may operate in similar manner as LNAs 330, receive circuits 340, transmit circuits 350, and PAs 360 within transceiver 320. Transceivers 320 and 322 may also include other circuits not shown in FIG. 3. All or a portion of transceivers 320 and 322 may be implemented on one or more analog integrated circuits (ICs), RF ICs (RFICs), mixed-signal ICs, etc. For example, LNAs 330 and receive circuits 340 may be implemented on one module, which may be an RFIC, etc. The circuits in transceivers 320 and 322 may also be implemented in other manners.
[0029] Data processor/controller 380 may perform various functions for wireless device 1 10. For example, data processor 380 may perform processing for data being received via receiver circuits 340 and 342 and data being transmitted via transmit circuits 350 and 352. Controller 380 may control the operation of various circuits within transceivers 320 and 322. A memory 382 may store program codes and data for data processor/controller 380. Data processor/controller 380 may be implemented on one or more application specific integrated circuits (ASICs) and/or other ICs.」
(訳: [0024]ワイヤレスデバイス110は、異なる周波数において複数の送信信号を同時に受信し得る。これらの複数の送信信号は、キャリアアグリゲーションについて異なる周波数における複数のキャリア上で1つまたは複数の基地局によって送られ得る。また、多地点協調(CoMP:coordinated multi-point)送信、ハンドオーバなどのために異なる基地局によって送られ得る。これらの複数の送信信号はまた、ボイス/データ、またはデータ/データ、またはボイス/ボイスなど、同時サービスのために異なるワイヤレスシステムにおける基地局によって送られ得る。たとえば、ワイヤレスデバイス110は、デュアルSIM/デュアルスタンバイ(DSDS:dual SIM/dual standby)および/またはデュアルSIM/デュアルアクティブ(DSDA:dual SIM/dual-active)をサポートし得、TD−SCDMAおよびGSMシステム、またはLTEおよびGSMシステム、またはCDMAおよびGSMシステムなど、複数のワイヤレスシステムと同時に通信することが可能であり得る。
[0025]図3に、図1中のワイヤレスデバイス110の例示的な設計のブロック図を示す。この例示的な設計では、ワイヤレスデバイス110は、1次アンテナ310に結合されたトランシーバ320と、2次アンテナ312に結合されたトランシーバ322と、データプロセッサ/コントローラ380とを含む。トランシーバ320は、アンテナインターフェース回路324と、複数の(K個の)LNA330a〜330kと、受信回路340と、送信回路350と、K個の電力増幅器(PA)360a〜360kとを含む。トランシーバ322は、アンテナインターフェース回路326と、複数の(M個の)LNA332a〜332mと、受信回路342と、送信回路352と、M個のPA362a〜362mとを含む。トランシーバ320および322は、複数の周波数帯域、キャリアアグリゲーション、複数の無線技術、複数のワイヤレスシステム、受信ダイバーシティ、複数の送信アンテナから複数の受信アンテナへのMIMO送信など、またはそれらの任意の組合せをサポートし得る。
[0026]データ受信では、アンテナ310は、基地局および/または他の送信機局から信号を受信し、受信RF信号をアンテナインターフェース回路324に与え、アンテナインターフェース回路324は、1つまたは複数の選択されたLNA330に1つまたは複数の入力RF信号を与える。たとえば、アンテナインターフェース回路324は、(i)帯域内CAのために1つの選択されたLNAに1つの入力RF信号を与え、その入力RF信号は同じ帯域中の複数のキャリア上の複数の送信信号を備え、または(ii)帯域間CAのために2つのLNAに2つの帯域のための2つの入力RF信号を与え得る。アンテナインターフェース回路324は、スイッチ、デュプレクサ、ダイプレクサ、送信フィルタ、受信フィルタ、整合回路などを含み得る。各選択されたLNA330は、それの入力RF信号を増幅し、受信回路340に1つまたは複数の増幅されたRF信号を与える。受信回路340は、各増幅されたRF信号をRFからベースバンドにダウンコンバートし、ダウンコンバートされた信号をフィルタ処理し、増幅し、データプロセッサ380に入力ベースバンド信号を与える。受信回路340は、ミキサ、フィルタ、増幅器、整合回路、発振器、局部発振器(LO:local oscillator)生成器、位相ロックループ(PLL:phase locked loop)などを含み得る。
[0027]データ送信では、データプロセッサ380は、送信されるべきデータを処理(たとえば、符号化および変調)し、送信回路350に1つまたは複数の出力ベースバンド信号を与える。送信回路350は、各出力ベースバンド信号を増幅し、フィルタ処理し、ベースバンドからRFにアップコンバートし、選択されたPA360に被変調信号を与える。送信回路350は、帯域内CAのために1つの選択されたPAに1つの被変調信号を与えるか、または帯域間CAのために複数の選択されたPAに複数の被変調信号を与え得る。送信回路350は、増幅器、フィルタ、ミキサ、整合回路、発振器、LO生成器、PLLなどを含み得る。各選択されたPA360は、それの被変調信号を増幅し、適切な送信電力レベルを有する出力RF信号を与える。出力RF信号は、アンテナインターフェース回路324を介してルーティングされ、アンテナ310を介して送信される。
[0028]トランシーバ322内のLNA332、受信回路342、送信回路352、およびPA362は、トランシーバ320内のLNA330、受信回路340、送信回路350、およびPA360と同様の方法で動作し得る。トランシーバ320および322は、図3に示されていない他の回路をも含み得る。トランシーバ320および322の全部または一部分が、1つまたは複数のアナログ集積回路(IC)、RF IC(RFIC)、混合信号ICなどの上に実装され得る。たとえば、LNA330および受信回路340は、RFICなどであり得る1つのモジュール上に実装され得る。トランシーバ320および322中の回路は他の方法でも実装され得る。
[0029]データプロセッサ/コントローラ380は、ワイヤレスデバイス110のための様々な機能を実行し得る。たとえば、データプロセッサ380は、受信回路340および342を介して受信されているデータならびに送信回路350および352を介して送信されているデータのための処理を実行し得る。コントローラ380は、トランシーバ320および322内の様々な回路の動作を制御し得る。メモリ382は、データプロセッサ/コントローラ380のプログラムコードおよびデータを記憶し得る。データプロセッサ/コントローラ380は、1つまたは複数の特定用途向け集積回路(ASIC)および/または他のIC上に実装され得る。)

(図1)「



(図3)「



第7 当審拒絶理由の理由2,3について(引用発明との対比・判断)
1 本願発明1について
(1)対比
ア 本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

(ア)引用発明の「無線通信のための方法」は、後述する相違点は別として、本願発明1の「ワイヤレス通信のための方法」に相当する。

(イ)引用発明の「第1の無線システム1410」は、「プライマリアンテナ1412と、ダイバーシティアンテナ1422とを含」むものであり、「プライマリアンテナ1412」又は「ダイバーシティアンテナ1422」を介して何らかの信号を受信することは当然であって、当該信号は本願発明1の「第1の信号」に相当する。そして、引用発明の「プライマリアンテナ1412」及び「ダイバーシティアンテナ1422」のいずれかは、本願発明1の「第1のアンテナ」に相当する。
したがって、引用発明における「プライマリアンテナ1412」又は「ダイバーシティアンテナ1422」が信号を受信することと、本願発明1の
「第1の無線アクセス技術に対応する第1の信号を、前記第1の無線アクセス技術に関連する第1のアンテナを介して受信すること」
とは、少なくとも
「第1の信号を、第1のアンテナを介して受信すること」
を備える点で共通する。

(ウ)引用発明の「第2の無線システム1460」は、「アンテナ1462」を含み、「アンテナ1462は、LTEおよびWiFiのための共有アンテナであ」るものであるから、「アンテナ1462」は、無線アクセス技術として「LTE」に関連するものであり、当該無線アクセス技術は、本願発明1の「第1の無線アクセス技術」に相当し、ここで、引用文献1の「LTEまたはUMTSのようなワイヤレスワイドエリアネットワーク(WWAN)」(段落[0057])との記載によれば、当該無線アクセス技術は、ワイヤレスワイドエリアネットワーク(WWAN)に関連するといえる。
また、「アンテナ1462」を介して、「LTE」に対応する信号を受信することは当然であって、当該信号は、上記(イ)の「プライマリアンテナ1412」又は「ダイバーシティアンテナ1422」が受信する信号とアンテナが異なることから、本願発明1の「第2の信号」に相当する。そして、引用発明の「アンテナ1462」は、本願発明1の「第2のアンテナ」に相当する。
したがって、引用発明と本願発明1とは、
「前記第1の無線アクセス技術に対応する第2の信号を、前記第1の無線アクセス技術に関連する第2のアンテナを介して受信すること」
を備える点で一致する。

(エ)引用発明の
「第2の無線システム1460は、第1の第1の無線フィルタ1466および第2の第1の無線フィルタ1468のような、複数のフィルタを含み、第1の、第1の無線フィルタ1466は、帯域40(2300乃至2400MHz)に対応し、第2の、第1の無線フィルタ1468は、帯域38(2570乃至2620MHz)に対応し、
第2の無線システム1460は、第3のフィルタ1470を含み、第3のフィルタは、ISM帯域(2400乃至2490MHz)に対応し、
第1のスイッチ1464は、アンテナ1462を介して受信された信号1463を受信し、フィルタ1466、1468、1470のうちのいずれが対応する信号1465a乃至1465cを受信するかを選択するためのアンテナ1462に結合され、ISMフィルタ1470は、例えば、第1のスイッチ1464が第3のフィルタ1470を選択するとき、信号1465cに対応する、信号1471を提供するために第2の無線トランシーバ1480に結合され、
第1の、第1の無線フィルタ1466のフィルタ処理された信号1467は、例えば、第1のスイッチ1464が第1の、第1の無線フィルタ1466を選択したとき、第2の無線トランシーバ1480に提供され、第2の第1の無線フィルタ1468のフィルタ処理された信号1469は、例えば、第1のスイッチ1464が第2の第1の無線フィルタ1468を選択したとき、第2の無線トランシーバ1480に提供される」
との構成によれば、「第1のスイッチ1464が第1の、第1の無線フィルタ1466を選択したとき」、「アンテナ1462を介して受信された信号1463」は、「第1の、第1の無線フィルタ1466」により「フィルタ処理され」るとともに、当該「フィルタ処理された信号1467」は、「第2の無線トランシーバ1480に提供され」るから、引用発明は、「第2の無線トランシーバ1480」および「第1の、第1の無線フィルタ1466」によって、「アンテナ1462を介して受信された信号1463」を処理するものといえる。

(オ)上記(エ)で述べた引用発明の構成における、「第3のフィルタ1470」が「ISM帯域(2400乃至2490MHz)に対応」するものであること、及び、「ISMフィルタ1470は、例えば、第1のスイッチ1464が第3のフィルタ1470を選択するとき、信号1465cに対応する、信号1471を提供するために第2の無線トランシーバ1480に結合され」ることについて、ISM帯域(2400乃至2490MHz)がWiFiに用いられる帯域であることは技術常識であることを考慮すると、「第2の無線トランシーバ1480」は、「LTEおよびWiFiのための共有アンテナ」である「アンテナ1462」が受信する「WiFi」の信号を処理し得るといえる。したがって、「第2の無線トランシーバ1480」は、無線アクセス技術として「WiFi」に関連するものであり、当該無線アクセス技術は本願発明1の「第2の無線アクセス技術」に相当する。
そして、この点を踏まえると、「第2の無線トランシーバ1480」と、本願発明1の「第2の無線アクセス技術に関連する少なくとも1つの構成要素」とは、「構成要素」の数が「少なくとも1つ」すなわち択一的記載である「1つ又は複数」のうちの「1つ」である場合について、「第2の無線アクセス技術に関連する少なくとも1つの構成要素」である点で一致する。

(カ)上記(エ)で述べた引用発明の構成における、「第1の、第1の無線フィルタ1466は、帯域40(2300乃至2400MHz)に対応」することについて、帯域40(2300乃至2400MHz)がLTEに用いられる帯域であることは技術常識であることを考慮すると、「第1の、第1の無線フィルタ1466」は、「LTEおよびWiFiのための共有アンテナ」である「アンテナ1462」が受信する「LTE」の信号に対応させたものであることが明らかである。
この点について、上記(ウ)を踏まえると、「第1の、第1の無線フィルタ1466」と、本願発明1の「第1の無線アクセス技術に関連する少なくとも1の構成要素」とは、「構成要素」の数が「少なくとも1」すなわち択一的記載である「1つ又は複数」のうちの「1」である場合について、「第1の無線アクセス技術に関連する少なくとも1の構成要素」である点で一致し、また、「第1の、第1の無線フィルタ1466」が処理する「アンテナ1462を介して受信された信号1463」は、本願発明1の「前記第2の信号」に相当する。

(キ)引用発明において、「WiFi」は、「LTE」とは異なる無線アクセス技術であるとともに、引用文献1の「Wi−Fiのようなワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)」(段落[0057])との記載によれば、ワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)に関連するといえる。

(ク)上記(エ)〜(キ)から、引用発明は、本願発明1の
「第2の無線アクセス技術に関連する少なくとも1つの構成要素および前記第1の無線アクセス技術に関連する少なくとも1の構成要素によって前記第2の信号を処理することと、前記第2の無線アクセス技術は、前記第1の無線アクセス技術とは異なる」こと
に相当する構成を備えるということができ、また、上記(ウ)、(キ)から、引用発明と本願発明1とは、
「ここにおいて、前記第1の無線アクセス技術は、ワイヤレスワイドエリアネットワーク(WWAN)に関連し、前記第2の無線アクセス技術は、ワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)に関連する」
点で一致するといえる。

イ 上記アから、本願発明1と引用発明とは、以下の点で一致し、また、相違する。
(一致点)
「ワイヤレス通信のための方法であって、
第1の信号を、第1のアンテナを介して受信することと、
前記第1の無線アクセス技術に対応する第2の信号を、前記第1の無線アクセス技術に関連する第2のアンテナを介して受信することと、
第2の無線アクセス技術に関連する少なくとも1つの構成要素および前記第1の無線アクセス技術に関連する少なくとも1の構成要素によって前記第2の信号を処理することと、前記第2の無線アクセス技術は、前記第1の無線アクセス技術とは異なる、を備え、
ここにおいて、前記第1の無線アクセス技術は、ワイヤレスワイドエリアネットワーク(WWAN)に関連し、前記第2の無線アクセス技術は、ワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)に関連するを備える、方法。」

(相違点1)
本願発明1では、「第1の信号」が「第1の無線アクセス技術に対応する」ものであり、及び「第1のアンテナ」が「前記第1の無線アクセス技術に関連する」ものであるのに対して、引用発明では、「プライマリアンテナ1412」又は「ダイバーシティアンテナ1422」が何の無線アクセス技術に関連し、当該アンテナを介して受信する信号が何の無線アクセス技術に対応するのかが特定されるものではない点。

(相違点2)
本願発明1は、「第1の信号」と「第2の信号」との関係及び「第1のアンテナ」と「第2のアンテナ」との関係について、「ここにおいて、前記第1の信号と前記第2の信号は互いに異なる通信ネットワークの信号であり、前記第2のアンテナは、前記第1のアンテナと併せてダイバーシティアンテナとして機能する、前記第1の無線アクセス技術に関連するダイバーシティアンテナである」と特定されるのに対して、引用発明は、「プライマリアンテナ1412」又は「ダイバーシティアンテナ1422」が受信する信号、及び、「アンテナ1462」が受信する「LTE」に対応する信号について、「互いに異なる通信ネットワークの信号」であると特定されるものではなく、「アンテナ1462」が、「プライマリアンテナ1412」又は「ダイバーシティアンテナ1422」と「併せてダイバーシティアンテナとして機能する」と特定されるものでもない点。

(2)判断
事案に鑑みて、相違点2について先に検討する。
引用文献1には、上記第6の1(1)ウのとおり、「デュアルSIMデュアルスタンバイ(DS−DS)」等についての記載があり、当該記載中の「第1のSIM」、「第2のSIM」は、互いに異なる2つの通信ネットワークに対応するものと解されるが、特に「第1の無線を使用してモバイルデバイスの第1のSIMカードおよび第2のSIMカード上で同時にページをモニタリングし得る」との記載から、引用発明の「第1の無線システム1410」の「プライマリアンテナ1412」及び「ダイバーシティアンテナ1422」について、それぞれ、互いに異なる通信ネットワークの「第1の信号」、「第2の信号」を受信する構成を導くことは、当業者にとって容易になし得るとしても、引用文献1の上記記載は、相違点2に係る、「プライマリアンテナ1412」、「ダイバーシティアンテナ1422」のいずれか一方のアンテナ、及び、「第2の無線システム1460」における「LTEおよびWiFiのための共有アンテナ」である「アンテナ1466」について、両アンテナを併せて同じ無線アクセス技術(LTE)に関連するダイバーシティアンテナとして機能するものとした上で、それぞれ、互いに異なる通信ネットワークの「第1の信号」、「第2の信号」を受信する構成についてまで示唆するものであるとはいえず、当該構成を導くことは当業者にとって容易になし得るとはいえない。
また、引用文献2,3の記載事項が当該構成について示唆するものではないことは明らかである。
よって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用文献1〜3に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2 本願発明2〜8について
本願発明2〜8は、本願発明1を減縮した発明であるから、いずれも相違点2に係る技術的事項を有する。
よって、本願発明2〜8も、本願発明1と同様に、当業者であっても引用文献1〜3に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

3 本願発明9について
(1)対比
本願発明9は、「第1の信号」及び「第2の信号」を「送信」することに関するものであるのに対して、引用発明は「アンテナ1462を介して受信された信号1463を受信」する等の構成を含むものであるものの、「トランシーバ」という用語の意味からすれば、「第1の無線トランシーバ1430」や「第2の無線トランシーバ1480」が送信信号の処理を行うことは明らかであるから、引用発明の各「アンテナ」が送信動作を行うことも明らかである。
この点も考慮して本願発明9と引用発明とを対比すると、両者は、以下の点で一致し、また、相違する。

(一致点)
「ワイヤレス通信のための方法であって、
第1の信号を、前第1のアンテナを介して送信することと、
第2の無線アクセス技術に関連する少なくとも1つの構成要素および前記第1の無線アクセス技術に関連する少なくとも1の構成要素によって第2の信号を処理することと、前記第2の無線アクセス技術は、前記第1の無線アクセス技術とは異なり、
前記第1の無線アクセス技術に対応する前記第2の信号を、前記第1の無線アクセス技術に関連する第2のアンテナを介して送信することと、
を備え、
ここにおいて、前記第1の無線アクセス技術は、ワイヤレスワイドエリアネットワーク(WWAN)に関連し、前記第2の無線アクセス技術は、ワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)に関連する、方法。」

(相違点3)
本願発明1では、「第1の信号」が「第1の無線アクセス技術に対応する」ものであり、及び「第1のアンテナ」が「前記第1の無線アクセス技術に関連する」ものであるのに対して、引用発明では、「プライマリアンテナ1412」又は「ダイバーシティアンテナ1422」が何の無線アクセス技術に関連し、当該アンテナを介して送信する信号が何の無線アクセス技術に対応するのかが特定されるものではない点。

(相違点4)
本願発明1は、「第1の信号」と「第2の信号」との関係について、「ここにおいて、前記第1の信号と前記第2の信号は互いに異なる通信ネットワークの信号であ」ると特定されるのに対して、引用発明は、「プライマリアンテナ1412」又は「ダイバーシティアンテナ1422」が受信する信号、及び、「アンテナ1462」が受信する「LTE」に対応する信号について、「互いに異なる通信ネットワークの信号」であると特定されるものではない点。

(相違点5)
本願発明1は、「第1のアンテナ」と「第2のアンテナ」との関係について、「ここにおいて、前記第2のアンテナは、前記第1のアンテナと併せてダイバーシティアンテナとして機能する、前記第1の無線アクセス技術に関連するダイバーシティアンテナであ」ると特定されるのに対して、引用発明は、「アンテナ1462」が、「プライマリアンテナ1412」又は「ダイバーシティアンテナ1422」と「併せてダイバーシティアンテナとして機能する」と特定されるものではない点。

(2)判断
事案に鑑みて、先に、「第1の信号」、「第2の信号」がそれぞれ「第1のアンテナ」、「第2のアンテナ」で送信されることから相互に関連する相違点4,5について、まとめて検討すると、上記1(2)と同様のことがいえる。
よって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明9は、当業者であっても引用文献1〜3に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

4 本願発明10〜13について
本願発明10〜13は、本願発明9を減縮した発明であるから、いずれも相違点4,5に係る技術的事項を有する。
よって、本願発明10〜13も、本願発明9と同様に、当業者であっても引用文献1〜3に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

5 本願発明14〜24について
本願発明14は、本願発明1と実質的に発明のカテゴリのみが相違する「装置」の発明であり、本願発明15〜19は、それぞれ、本願発明14を減縮した発明であるから、いずれも、上記1(1)イの相違点2と同様の技術的事項を有する。
また、本願発明20は、本願発明9と実質的に発明のカテゴリのみが相違する「装置」の発明であり、本願発明21〜24は、それぞれ、本願発明20を減縮した発明であるから、いずれも、上記3(1)の相違点4,5と同様の技術的事項を有する。
よって、本願発明14〜24も、本願発明1又は本願発明9と同様の理由により、当業者であっても引用文献1〜3に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

6 小括
以上のことから、当審拒絶理由の理由3は解消した。また、本願発明1等についての、少なくとも相違点2は実質的な相違点であり、本願発明9等についての、少なくとも相違点4,5は実質的な相違点であるから、同理由2も解消している。

第8 原査定についての判断
令和4年9月6日に提出された手続補正書により補正された請求項1〜24は、相違点2に係る技術的事項もしくは相違点4,5に係る技術的事項、又はそれらのいずれかと同様の技術的事項を有するものであり、当該技術的事項は、原査定における引用文献A,Bには記載されておらず、本願の優先日前において周知技術であったとも認められない。
よって、本願発明1〜24は、当業者であっても、原査定における引用文献A,Bに基づいて容易に発明をすることができたものではないから、原査定を維持することはできない。

第9 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2022-11-22 
出願番号 P2020-038348
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H04M)
P 1 8・ 113- WY (H04M)
P 1 8・ 537- WY (H04M)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 稲葉 和生
特許庁審判官 富澤 哲生
石井 則之
発明の名称 マルチSIMデバイスのWWANおよびWLAN協働サポート  
代理人 岡田 貴志  
代理人 井関 守三  
代理人 蔵田 昌俊  

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