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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A63F 審判 査定不服 特29条の2 取り消して特許、登録 A63F |
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管理番号 | 1391814 |
総通号数 | 12 |
発行国 | JP |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2022-12-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2022-02-10 |
確定日 | 2022-12-06 |
事件の表示 | 特願2018−179810「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 4月 2日出願公開、特開2020− 48763、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成30年9月26日の出願であって、その手続の経緯の概略は次のとおりである。 令和 2年 9月25日付け:拒絶理由通知書 同年12月11日 :意見書、手続補正書の提出 令和 3年 5月21日付け:拒絶理由通知書(最後) 同年 6月25日 :意見書、手続補正書の提出 同年11月 2日付け:補正の却下の決定 同日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。) (同年11月16日 :原査定の謄本の送達) 令和 4年 2月10日 :審判請求書、手続補正書の提出 第2 原査定の概要 原査定(令和3年11月2日付け拒絶査定)の理由の概要は次のとおりである。 本願請求項1〜2に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明及び引用文献5〜6に記載された技術、並びに、引用文献2及び引用文献3−4に記載された周知技術に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 1.特開2016−96916号公報 2.「12 設定変更装置の搭載について」、日本遊技機工業組合提供資料(「確率設定」に関する技術資料)、2017年10月18日、「4 PQ−31 設定変更中及び設定確認中の外部への信号出力について」の欄を参照 3.特開2013−128号公報 4.特開2005−27819号公報 5.特開2018−27469号公報 6.特開2017−148290号公報 第3 審判請求時の補正 審判請求時の補正(以下「本件補正」という。)により、請求項1は削除された。 次に、本件補正により、請求項1に、 「前記設定確認手段は、遊技機への電力供給が開始したときであって遊技に関する処理を実行可能な割込処理が実行される前に前記設定確認状態に制御可能であり、 前記設定確認状態が終了した後に前記割込処理が実行され、該割込処理が実行された後、遊技機への電力供給が停止されるまで前記設定確認状態に制御されず、」 という事項を追加する補正は、本件補正前の請求項2に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものである。 また、上記補正について、本件補正後の請求項1に係る発明は、本件補正前の請求項2に係る発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。 次に、本件補正前の請求項2の「前記変化期間が計時されているときに遊技機への電力供給が停止され、その後に遊技機への電力供給が再開して前記設定確認状態に制御された場合に、該設定確認状態が終了するまで前記変化期間の計時が中断され、該設定確認状態が終了したときに前記変化期間の計時が再開され、」を、本件補正後の請求項1の「前記変化期間が計時されているときに遊技機への電力供給が停止され、その後に遊技機への電力供給が再開して前記設定確認状態に制御されるときに、該設定確認状態が終了するまで前記変化期間の計時が中断され、該設定確認状態が終了したときに前記変化期間の計時が再開され、」とする補正については、「前記変化期間が計時されているときに遊技機への電力供給が停止され、その後に遊技機への電力供給が再開して前記設定確認状態に制御され」ることが、「該設定確認状態が終了するまで前記変化期間の計時が中断され、該設定確認状態が終了したときに前記変化期間の計時が再開され」ることの前提であるとともに前段階であることの意味づけを強調した点で、発明特定事項に限定が加わったといえる。 また、上記補正について、本件補正後の請求項1に係る発明は、本件補正前の請求項2に係る発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。 そうすると、本件補正による特許請求の範囲の請求項1についての補正は、特許法17条の2第5項1号に掲げる「請求項の削除」及び2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当するといえる。 そして、本件補正は、願書に最初に添付した明細書又は図面の【0266】〜【0285】、【0418】、【0427】〜【0432】、図8−20、図9−2、図9−3の記載からみて新規事項を追加するものではないから、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たすものである。 また、本件補正後の請求項1に係る発明は、特許法17条の2第4項に規定する要件を満たす。 さらに、本件補正後の請求項1に係る発明は、以下の「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」で述べるように、独立特許要件を満たすものであり、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合する。 したがって、本件補正は、特許法17条の2第3項から第6項までの要件に違反したものではない。 第4 本願発明 本願請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和4年2月10日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。なお、符号AないしJは分説するため合議体が付したものである。 「A 始動領域に遊技媒体が進入したことに基づいて可変表示を実行し、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、 B 遊技を進行可能な遊技制御手段と、 C 前記遊技制御手段からの情報に基づいて、演出を制御可能な演出制御手段と、 D 前記有利状態に制御される確率に関する設定値を設定可能な設定手段と、 E 特定条件の成立に基づいて、設定値の確認が可能な設定確認状態に制御可能な設定確認手段と、 F1 遊技者にとって有利な第1状態と、遊技者にとって不利な第2状態とに変化する可変手段と、 F2 前記有利状態中に前記可変手段を前記第2状態から前記第1状態に変化させる所定遊技を複数回実行可能な所定遊技実行手段と、 F3 前記可変手段を前記第1状態に変化させる変化期間を計時する可変計時手段と、を備え、 G1 前記設定確認手段は、遊技機への電力供給が開始したときであって遊技に関する処理を実行可能な割込処理が実行される前に前記設定確認状態に制御可能であり、 G2 前記設定確認状態が終了した後に前記割込処理が実行され、該割込処理が実行された後、遊技機への電力供給が停止されるまで前記設定確認状態に制御されず、 F4 前記変化期間が計時されているときに遊技機への電力供給が停止され、その後に遊技機への電力供給が再開して前記設定確認状態に制御されるときに、該設定確認状態が終了するまで前記変化期間の計時が中断され、該設定確認状態が終了したときに前記変化期間の計時が再開され、 H1 前記演出制御手段は、前記始動領域に遊技媒体が進入したことを指定する情報に基づく動作を所定の演出手段に実行させることが可能であり、 H2 前記所定の演出手段は、前記設定確認状態に制御されているときに、前記演出制御手段が前記始動領域に遊技媒体が進入したことを指定する情報を受信したとしても該情報に基づく動作を実行せず、 I1 前記遊技制御手段により制御され、少なくとも可変表示を行うことが可能な可変表示部を含む情報表示部を有し、 I2 前記設定確認状態に制御されているときに、該設定確認状態に制御されていることを認識可能な表示を前記情報表示部において行うことが可能である、 J ことを特徴とする遊技機。」 第5 引用発明、引用文献記載事項等 1 引用文献1について (1) 記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された前記引用文献1には、次の事項が記載されている(下線は当審合議体が付した。以下同様。)。 ア 「【0053】 筐体1aの内部には、電源ボックス100が設けられている。電源ボックス100には、電源投入時(起動時)に設定確認状態および設定変更状態に切り替えるために、店員が設定キー37dを挿入する鍵穴37aが設けられている。店員が所有する設定キー37dを鍵穴37aに挿入したまま右に回す鍵操作をしたときには、設定キースイッチ37がON状態になる。一方、設定キー37dを鍵穴37aに挿入したまま左に回す鍵操作をしたときには、設定キースイッチ37がOFF状態になる。」 イ 「【0146】 払出率の設定値を確認するためには、ゲーム終了後、賭数が設定されていない状態で設定キースイッチ37を操作して、設定キースイッチ37をON状態にする必要がある。設定キースイッチ37をON状態にすると、ドアキー挿入センサ70bの検知信号がON状態であり、かつドアセンサ60の検知信号がON状態であり、かつドア開放エラーが解除され、かつ設定キー挿入センサ37bの検知信号がON状態であることを条件に、遊技の進行が不可能な状態である設定確認状態に移行する。設定確認状態に移行すると、設定値表示器24にRAM41cから読み出された設定値が表示値として表示される。 【0147】 払出率を設定変更するためには、筐体1a内に設けられている電源ボックス100の電源スイッチ39を操作して、スロットマシン1の電源がON状態である場合には一旦OFF状態にし、さらに、設定キースイッチ37を操作して、設定キースイッチ37をON状態にしてから、スロットマシン1の電源をONする必要がある。設定キースイッチ37をON状態にしてスロットマシン1の電源をON状態にすると、ドアキー挿入センサ70bの検知信号がON状態であり、かつドアセンサ60の検知信号がON状態であり、かつドア開放エラーが解除され、かつ設定キー挿入センサ37bの検知信号がON状態であることを条件に、遊技の進行が不可能な状態である設定変更状態に移行する。設定変更状態に移行すると、設定値表示器24にRAM41cから読み出された設定値が表示値として表示される。 【0148】 設定変更状態においては、設定スイッチ38が操作されると、設定値表示器24に表示された表示値が1ずつ更新されていく(設定6からさらに操作されたときは、設定1に戻る)。その後、スタートスイッチ7が操作されると、表示値を設定値として確定する。設定キースイッチ37がOFF状態にされると、確定した表示値(設定値)がRAM41cに格納され、遊技の進行が可能な状態に移行する。」 ウ 「【0213】 [設定確認処理] 図11を参照しながら、メイン制御部41が実行する設定確認処理について説明する。設定確認処理は、店員が払出率の設定値を確認するための処理であり、割込処理によって実行される。 【0214】 メイン制御部41は、設定キースイッチ37がON状態となるように鍵操作されたか否かを判定する(S20)。メイン制御部41は、設定キースイッチ37がON状態にされていないと判定したときには(S20でN)、設定確認処理を終了する。 【0215】 一方、メイン制御部41は、設定キースイッチ37がON状態にされたと判定したときには(S20でY)、ドアキー挿入センサ70bの検知信号がON状態であるか否かを判定する(S21)。メイン制御部41は、ドアキー挿入センサ70bの検知信号がOFF状態であると判定したときには(S21でN)、サブ制御部91に対して設定確認異常コマンドを送信し(S22)、設定確認処理を終了する。つまり、メイン制御部41は、鍵穴70aへのドアキー70dの挿入が検知されていないにも関わらず、設定確認するために設定キースイッチ37が操作されたときに、サブ制御部91に対して設定確認異常コマンドを送信する。 【0216】 サブ制御部91は、設定確認異常コマンドを受信したときに、設定確認の異常を特定可能な情報を報知する。たとえば、サブ制御部91は、液晶表示器51の画面上に「設定確認異常」の文字画像を表示するとともに、スピーカ53、54から「設定確認の異常です」の音声を出力する。 【0217】 一方、メイン制御部41は、ドアキー挿入センサ70bの検知信号がON状態であると判定したときには(S21でY)、ドアセンサ60の検知信号がON状態であるか否かを判定する(S23)。メイン制御部41は、ドアセンサ60の検知信号がOFF状態であると判定したときには(S23でN)、設定確認処理を終了する。 【0218】 一方、メイン制御部41は、ドアセンサ60の検知信号がON状態であると判定したときには(S23でY)、ドア開放エラーが解除されているか否かを判定する(S24)。メイン制御部41は、未だドア開放エラーが解除されていないと判定したときには(S24でN)、設定確認処理を終了する。 【0219】 一方、メイン制御部41は、ドア開放エラー状態がすでに解除されていると判定したときには(S24でY)、設定キー挿入センサ37bの検知信号がON状態であるか否かを判定する(S25)。メイン制御部41は、設定キー挿入センサ37bの検知信号がOFF状態であると判定したときには(S25でN)、サブ制御部91に対して設定確認異常コマンドを送信し(S22)、設定確認処理を終了する。つまり、メイン制御部41は、鍵穴37aへの設定キー37dの挿入が検知されていないにも関わらず、設定確認するために設定キースイッチ37が操作されたときに、サブ制御部91に対して設定確認異常コマンドを送信する。 【0220】 一方、メイン制御部41は、設定キー挿入センサ37bの検知信号がON状態であると判定したときには(S25でY)、S20における設定キースイッチ37の操作に基づく操作信号を有効に受け付け、サブ制御部91に対して設定確認状態に移行することを特定可能な確認開始コマンドを送信し(S26)、設定確認状態に移行する(S27)。 【0221】 設定確認状態において、メイン制御部41は、RAM41cから現在の設定値を読み出し、読み出した設定値を表示値に変換し(S28)、変換した表示値を設定値表示器24に表示する(S29)。 【0222】 その後、メイン制御部41は、設定キースイッチ37がOFFとなるように鍵操作されたか否かを判定する(S30)。メイン制御部41は、設定キースイッチ37がOFF状態にされていないと判定したときには(S30でN)、設定キースイッチ37がOFF状態にされるまで待機する。 【0223】 一方、メイン制御部41は、設定キースイッチ37がOFF状態にされたと判定したときには(S30でY)、サブ制御部91に対して設定確認状態を終了することを特定可能な確認終了コマンドを送信し(S31)、設定確認状態を終了する(S32)。その後、メイン制御部41は、設定確認処理を終了する。」 エ 「【0286】 [パチンコ遊技機について] 以上、本実施の形態および変形例においては、スロットマシン1について説明したが、本実施の形態および変形例におけるスロットマシンは、図15および図16を参照しながら説明するパチンコ遊技機200に置き換えてもよい。パチンコ遊技機200は、スロットマシン1と同一の構成を一部含んでおり、同一の構成・処理について説明を省略し、異なる構成・処理について説明する。また、上記で説明した本願実施例および変形例の内容は、パチンコ遊技機に適用してもよい。 【0287】 パチンコ遊技機200の遊技領域の中央付近には、液晶表示装置(LCD)で構成された演出表示装置160が設けられるとともに、右下には遊技球を遊技領域に向けて発射する打球操作ハンドル190が設けられている。遊技球が所定の入賞口に入賞すると、特別変動表示装置(図示は省略)が特別第1特別図柄および第2特別図柄のうち少なくとも一方を変動表示させるとともに、演出表示装置160では、第1特別図柄および第2特別図柄のうち少なくとも一方の変動表示に同期した演出図柄(飾り図柄)の変動表示(可変表示、更新表示、または、巡回表示ともいう)が行われる。演出図柄の変動表示は、スクロール表示などの各種の変動態様で実行される。演出表示装置160では、表示画面上で演出図柄を表示する演出図柄表示領域が設けられており、当該演出図柄表示領域に、たとえば「左」、「中」、「右」の3つ(複数)の演出図柄を変動表示する表示領域としての図柄表示エリアがある。 【0288】 遊技球が所定の入賞口(図示は省略)に入賞したが、所定の開始条件(大当り遊技中でなくかつ先に始動入賞した保留記憶に起因する可変表示が終了しているとき)が成立していないときには、所定の上限数の範囲内(たとえば、4個)で保留記憶情報として記憶する。保留記憶情報とは、たとえば、特定遊技状態(たとえば、大当り状態)に制御するか否かなどを特定するための情報である。 【0289】 パチンコ遊技機200は、保留記憶に起因する可変表示において、演出図柄が特定の図柄組合せ(大当り図柄組合せ)で停止表示されれば「大当り」となり、特定遊技状態に制御される。 【0290】 このようなパチンコ遊技機200は、図15および図16に示すように、額縁状の外枠100aに対して、前枠(セルともいう)100bとガラス扉100cとがその左側縁を揺動中心として開閉可能に設けられている。パチンコ遊技機200は、背面側が開口しているため、パチンコ遊技機200の背面側からであれば、内部に設けられたスイッチや基板に触れることができる。しかし、通常、パチンコ遊技機200は遊技場に設置されるため、パチンコ遊技機200の背面が遊技場の壁に接するか、あるいは、他の遊技機と共に形成される遊技島においてパチンコ遊技機200の背面が他の遊技機の背面と接する。このため、通常、店員以外の者はパチンコ遊技機200の背面側から内部に設けられたスイッチや基板に触れることができない。一方、店員は、前枠100bやガラス扉100cを開放することによって、パチンコ遊技機200の前面側を開放状態にすることができるため、遊技機200が遊技場に設置されていても、内部に設けられたスイッチや基板に触れることができる。なお、以下では、パチンコ遊技機200が遊技場に設置された状態、すなわち、パチンコ遊技機200の背面側が開口していない状態を想定して説明する。」 オ 図11 「 ![]() 」 カ 図15 「 ![]() 」 キ 図16 「 ![]() 」 (2) 引用発明 前記(1)ア〜キに摘記した記載事項に基づいて、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、a〜jの符号は、本願発明の分説A〜Jにおおむね対応させて、当審合議体が付したものである。 「a、b、c、h1、i1 遊技球が所定の入賞口に入賞すると、特別変動表示装置が特別第1特別図柄および第2特別図柄のうち少なくとも一方を変動表示させ、演出表示装置160が、第1特別図柄および第2特別図柄のうち少なくとも一方の変動表示に同期した演出図柄の変動表示を行い (【0287】)、演出図柄が特定の図柄組合せで停止表示されれば「大当り」となり、特定遊技状態に制御され (【0289】)、 d、e ゲーム終了後、設定キースイッチ37を操作して、設定キースイッチ37をON状態にして設定確認状態に移行すると、設定値表示器24に設定値が表示値として表示され、設定確認状態は、遊技の進行が不可能な状態であり (【0146】)、払出率を設定変更する (【0147】)設定変更状態において、設定スイッチ38が操作されると、設定値表示器24に表示された表示値が1ずつ更新され、その後、スタートスイッチ7が操作されると、表示値を設定値として確定する(【0148】)、 j パチンコ遊技機200 (【0289】)。」 2 引用文献2について (1) 記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された前記引用文献2の第2ページには、次の事項が記載されている。 ア 「 ![]() 」 (2) 引用文献2記載事項 前記(1)アの「4 PQ−31 設定変更中及び設定確認中の外部への信号出力について」欄の記載に基づいて、引用文献2には、「設定変更中または設定確認中であることを主基板にて制御されるランプ等により、遊技機外部から認識できるようにした点」が記載されていると認められる(以下「引用文献2記載事項」という。)。 3 引用文献3について (1) 記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された前記引用文献3には、次の事項が記載されている。 ア 「【0063】 なお、本実施の形態では、演出制御基板90に搭載されたサブ制御部91により、液晶表示器51、演出効果LED52、スピーカ53、54、リールLED55等の演出装置の出力制御が行なわれる構成であるが、サブ制御部91とは別に演出装置の出力制御を直接的に行なう出力制御部を演出制御基板90または他の基板に搭載し、サブ制御部91がメイン制御部41からのコマンドに基づいて演出装置の出力パターンを決定し、サブ制御部91が決定した出力パターンに基づいて出力制御部が演出装置の出力制御を行なう構成としてもよく、このような構成では、サブ制御部91及び出力制御部の双方によって演出装置の出力制御が行なわれることとなる。」 イ 「【0070】 設定値を変更するためには、スロットマシン1の電源がON状態である場合には一旦OFF状態にし、設定キースイッチ37をON状態としてからスロットマシン1の電源をONする必要がある。設定キースイッチ37をON状態として電源をONすると、設定値表示器24に設定値の初期値として1が表示され、リセット/設定スイッチ38の操作による設定値の変更操作が可能な設定変更モードに移行する。設定変更モードにおいて、リセット/設定スイッチ38が操作されると、設定値表示器24に表示された設定値が1ずつ更新されていく(設定6からさらに操作されたときは、設定1に戻る)。そして、スタートスイッチ7が操作されると設定値が確定し、確定した設定値がメイン制御部41のRAM41cに格納される。そして、設定キースイッチ37がOFFされると、賭数を設定することによりゲームが開始可能となる状態に移行する。なお、スロットマシン1の電源がON状態である場合に一旦OFF状態にする操作、設定キースイッチ37をON状態としてからスロットマシン1の電源をON状態にする操作、リセット/設定スイッチ38の操作、および設定値を確定させるためのスタートスイッチ7の操作など、設定値を設定するために必要な操作を設定変更操作という。なお、設定変更操作は、このような操作に限るものではなく、設定値を設定するための操作であればどのようなものであってもよい。 【0071】 また、設定値を確認するためには、ゲーム終了後、賭数が設定されていない状態で設定キースイッチ37をON状態とすればよい。このような状況で設定キースイッチ37をON状態とすると、設定値表示器24にRAM41cから読み出された設定値が表示されることで設定値を確認可能な設定確認状態に移行する。設定確認状態においては、ゲームの進行が不能であり、設定キースイッチ37をOFF状態とすることで、設定確認状態が終了し、ゲームの進行が可能な状態に復帰することとなる。」 ウ 「【0220】 [サブ制御部91による処理] 次に、サブ制御部91により実行される処理について説明する。サブ制御部91は、まず、所定の演出初期設定処理を実行し、演出制御基板90における制御状態を電力供給停止時の状態に復旧させるための演出制御復旧処理を実行した後、演出側乱数値更新処理を繰り返して実行する。 【0221】 また、サブ制御部91では、所定の時間間隔(たとえば、2ミリ秒)で演出の進行を制御するための割り込みが発生し、リセット/割込コントローラによりRAM91cのタイマ割込フラグがON状態にセットされ、演出制御割り込み処理が実行される。演出制御割り込み処理では、内部レジスタの内容を退避し、演出バックアップ処理を実行して、サブ制御部91が再起動された場合に再起動の以前における制御状態を復旧させるために必要なデータのバックアップが行なわれる。 【0222】 また、遊技制御基板40から送信された各種コマンドを解析するためのコマンド解析処理を実行し、所定の演出制御処理を実行する。サブ制御部91のROM91bには、図7で示した複数種類のコマンドを含むメイン制御部41から送信され得るコマンド(以下、正規のコマンドともいう)各々に対応付けて行なう制御内容を特定するための制御内容特定用情報が記憶されている。制御内容特定用情報は、受信したコマンドの上位バイトによって制御内容の種別が特定され、下位バイトによって種別に属する具体的な制御内容が特定されるように構成されている。 【0223】 演出制御処理では、制御内容特定用情報に基づいて、受信したコマンドに対応付けられた制御が行なわれる。サブ制御部91のROM91bには、メイン制御部41から送信され得るコマンド以外のコマンドに対応する制御内容特定用情報が記憶されていない。このため、演出制御処理では、静電ノイズなどの影響によりコマンドがデータ化けした結果、メイン制御部41から送信され得るコマンド以外のコマンドを受信したときに、当該コマンドを破棄することにより、サブ制御部91側により本来と全く種類の異なる制御が行なわれる不都合の発生を防止している。」 エ 「【0270】 また、サブ制御部91のROM91bには、メイン制御部41から送信され得る正規なコマンド以外のコマンドに対して制御内容特定用情報が記憶されていないため、サブ制御部91は、そのような正規でないコマンドを受信した場合には当該コマンドに応じた制御を行なうことなく当該コマンドを破棄する処理を行なう。 【0271】 その結果、サブ制御部91がデータ化けしたコマンドを受信したとしても、本来と異なる演出制御がサブ制御部91により実行されてしまう不都合の発生を防止することができる。」 オ 「【0275】 また、サブ制御部91のROM91bには、正規なコマンド以外のコマンドに対して制御内容特定用情報が記憶されていないため、サブ制御部91は、そのような正規でないコマンドを受信した場合には当該コマンドに応じた制御を行なわない。」 カ 「【0299】 また、本発明を具現化する遊技機は、たとえば、所定の入賞領域が設けられた遊技領域に遊技球を打ち込んで遊技を行なうパチンコ遊技機であってもよい。また、入賞領域を遊技球が通過したことが検出されたことに応答して所定数の賞球を払い出す払出式のパチンコ遊技機であってもよく、また、遊技球を封入し入賞球の検出に応答して得点を付与する封入式のパチンコ遊技機にも適用することができる。このようなパチンコ遊技機に適用する場合、たとえば、遊技制御手段から出力されるすべてのコマンドについて所定数ビットのデータが反転したとしても他のいずれのコマンドにもならないように設定してもよく、また、いずれのコマンドにおいても所定数ビットのデータが反転したとしても遊技者あるいは遊技場にとって重要となる特定のコマンド(たとえば、大当り開始を特定するための大当り開始コマンド、大当りのエンディング開始を特定するためのエンディング表示コマンドなど)のいずれとも一致しないように、コマンドのデータを設定してもよい。このように構成することにより、前述した実施の形態と同様に、コマンドのうち所定数のビットが反転しても、遊技者に不利益を与えてしまうことや不信感を抱かせてしまうといった不都合や、遊技場に不測の不利益を与えてしまうといった不都合の発生を防止することができる。」 (2) 引用文献3記載事項 前記(1)ア〜カに摘記した記載に基づいて、引用文献3には、「パチンコ遊技機(【0299】)のサブ制御基板91で(【0221】)、遊技制御基板40から送信された各種コマンドを解析するためのコマンド解析処理を実行して、所定の演出制御処理を実行し(【0222】)、メイン制御部41から送信され得るコマンド以外のコマンドを受信したときに、当該コマンドを破棄することにより、サブ制御部91側により本来と全く種類の異なる制御が行なわれる不都合の発生を防止(【0223】)する点」が記載されていると認められる(以下「引用文献3記載事項」という。)。 4 引用文献4について (1) 記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された前記引用文献4には、次の事項が記載されている。 ア 「【0003】 サブ基板2はメイン基板1からコマンドをうけ、これに従って演出等の処理を行う。コマンドの流れはメイン基板1からサブ基板2への一方のみであり、逆にサブ基板2からメイン基板1へコマンド等が出されることはない。 【0004】 メイン基板1には乱数発生部20、スタートスイッチ30,ストップスイッチ50,リール駆動部70,リール位置検出回路71、ホッパー駆動部80及びホッパー81から払い出されたメダルの枚数を数えるためのメダル検出部82が接続されている。サブ基板2には液晶表示装置62の制御基板200、スピーカ基板201、LED基板202などの周辺基板(ローカル基板)が接続されている。これらの詳細は後述する。 【0005】 遊技機には液晶表示装置、スピーカや表示ランプ等が設けられ、これらは演出表示装置を構成する(詳細は後述する)。この演出表示装置は、遊技者に入賞等を報知したり、いわゆるアシストタイム(AT)において、一定ゲーム間に特定の小役を台自体が何らかのアクションを伴ってユーザに教えたりするためのものである。(アシストタイム(AT):特定の小役が成立しても遊技者がリールの図柄を揃えないと払い戻しがない。小役による払い出しを確実にするために、ビッグボーナス終了後(もしくは成立時)あるいはその他の任意の契機にアシストタイムを抽選し、これに当選すると一定ゲーム間は特定の小役を成立させるための操作を何らかのアクションを伴って遊技者に教えるという機能) 【0006】 上記ATのように、サブ基板2側のソフトウエアで出玉の獲得割合の重みを制御するようにしている遊技機がある。サブ基板2側に出玉の調整機能を持たせたのである。具体的には、上述のように出玉を得るための指示を液晶表示装置に表示して遊技者がその指示に従って操作すれば容易に出玉を得られるようにしている。当該指示は常時出されるわけではなく、特定の場合に出される。 【0007】 当該指示あるいは他の指示を行う際に、メイン基板1はサブ基板2へ8ビットのコマンドを送信している。具体的には電文1と電文2の2つのコマンドデータ(いずれも8ビット)を合わせて1つのサブコマンドとし、当該サブコマンドをメイン基板1からサブ基板2へ送信している。 【0008】 ところで、メイン基板1からサブ基板2への通信途中でノイズ等の影響によりサブコマンドデータが全く別の意味を持つサブコマンドデータに変化してしまう可能性がある(例えば図10の矢印の部分でデータが変化する)。別のサブコマンドに変化した場合に起こりうる現象の一例として、一般遊技中であるはずの液晶画面が突然、役物連続作動増加装置作動中(例えばビッグボーナス中)の画面に切り替わってしまう、といったことなどが考えられる。サブコマンドが1ビット変化するだけでもその影響は大きなものである。 【0009】 図11の具体例を参照してサブコマンドデータが全く別の意味を持つサブコマンドデータに変化することを説明する。図11において上の10010100(16進表記で94H)はメイン基板1から送出される本来のコマンドである。これがノイズの影響により第5ビットが0から1に変化して10110100(16進表記でB4H)になったとする。従来の遊技機においてはこのような場合でも受信したコマンドB4Hをサブ基板2が解読し、何らかの処理を実行してしまう可能性があった。 【0010】 【発明が解決しようとする課題】 上述のように、従来の遊技機にはメイン基板1からサブ基板2へ送信するサブコマンドに対する信頼性は十分に確保されていなかった。サブコマンドが通信途中で変化した場合、サブ基板2側で別のサブコマンドとして認識され、誤動作するおそれがある。 【0011】 本発明は上記課題を解決するためになされたもので、サブコマンドがノイズ等の影響により別の値に変化した場合でも、サブ基板上で誤動作することを少なくできる遊技機及び遊技機におけるコマンドの通信方法並びにコマンド通信プログラムを提供することを目的とする。 【0012】 【課題を解決するための手段】 この発明は、内部抽選及び入賞判定を行うとともに、入賞に応じて遊技媒体の払い出し制御を行う第1処理部と、前記第1処理部からコマンドを受けて演出処理を行う第2処理部とを備える遊技機において、 前記第1処理部は、コマンドを生成するときに用いられる使用ビット数の制限ルールを予め記憶する第1のコマンドビット制限テーブルと、前記第1処理部から要求を受けて前記制限ルールに基づきコマンドを生成するコマンド生成部とを含み、 前記第2処理部は、コマンドを解読するときに用いられる使用ビット数の制限ルールを予め記憶する第2のコマンドビット制限テーブルと、前記制限ルールに基づき受信したコマンドを解読するコマンド解読部とを含み、 前記第1制御装置の前記コマンド生成部で生成されたコマンドが前記第2制御装置へ送られ、前記コマンド解読部で解読されて前記第2処理部により実行されることを特徴とするものである。 【0013】 好ましくは、前記コマンド解読部は、受けたコマンドが前記制限ルールに従っていないとき、当該コマンドを破棄する。 前記第2処理部は、さらに、破棄されたコマンドに関する情報を記憶する記憶部を備え、これに破棄されたコマンドに関する情報を記憶するようにしてもよい。 【0014】 例えば、前記制限ルールは、コマンドを構成する複数のビットにおいて1のビット数を常に一定にする、または0のビット数を常に一定にするというものである。」 イ 「【0025】 この発明は、制限ルールにしたがってサブコマンドデータの使用ビット数を限定することを特徴とする。当該制限ルールは、例えば、サブコマンドデータの8ビット中の3ビットを使用するデータ(例えば3ビットにおいてその値が1)と8ビット中の5ビットを使用するデータ(例えば5ビットにおいてその値が1)の2種類に限定するものである。なお、この項で前者を「3ビットデータ」と記す。このようにすると、3ビットデータのサブコマンドがノイズ等の影響により1ビット変化して(例えばあるビットが0から1になる)4ビットデータになっても、4ビットデータのサブコマンドは存在しないので、サブ基板ではこの受信したサブコマンドを破棄するようになる。このことによりサブコマンドが通信中に変化してサブ基板側で誤認識され、起こりえない演出等が発生する現象を防ぐことができる。」 ウ 「【0039】 前記サブコマンドはサブ基板2で受信され、コマンド解読部2aで解読されて所定の処理が実行される。例えば、コマンドAが受信されたとき処理Xが実行される。コマンド解読部2aにおいてコマンドを解読する際にコマンドビット制限テーブル2bが参照され、予め定められた制限ルールに従っているかどうか判断される。制限ルールはコマンドビット制限テーブル1bの動作ルールに対応している。受信したサブコマンドが制限ルールに従っていないと判断された場合、当該サブコマンドは破棄される。この点については後に詳しく説明する。」 エ 「【0057】 そこで、制限ルールにしたがってコマンドを生成し、上記問題を解決するようにした。制限ルールは、一部のビットが変化した場合でも変化したコマンドが他のコマンドと間違われないようにするためのものであり、具体的にはコマンドにおいて1のビット数(または0のビット数)を常に一定(例えば3又は5)とするというルールである。この一例を図4に示す。この制限ルールの下で生成されるコマンドの1のビット数は常に一定であるから、ノイズ等の影響により一部のビットが変化してビット数が増加あるいは減少した場合、サブコマンドの伝送に障害が生じたことを検出することができる。制限ルールの他の例として、コマンドにおいて1のビット数(または0のビット数)を常に偶数(または奇数)とするというルールがある。」 オ 「【0070】 この発明の実施の形態によれば、制限ルールにしたがってサブコマンドデータの使用ビット数を限定する。当該制限ルールは、例えば、サブコマンドデータの8ビット中の3ビットを使用するデータ(例えば3ビットにおいてその値が1)と8ビット中の5ビットを使用するデータ(例えば5ビットにおいてその値が1)の2種類に限定するものである。このようにすると、3ビットデータのサブコマンドがノイズ等の影響により1ビット変化して(例えばあるビットが0から1になる)4ビットデータになっても、4ビットデータのサブコマンドは存在しないので、サブ基板ではこの受信したサブコマンドを破棄するようになる。このことによりサブコマンドが通信中に変化してサブ基板側で誤認識され、起こりえない演出等が発生する現象を防ぐことができる。」 (2) 引用文献4記載事項 前記(1)ア〜オに摘記した記載に基づいて、引用文献4には、「第1処理部からコマンドを受けて演出処理を行う第2処理部を備える遊技機において、第2処理部のコマンド解読部は、受けたコマンドが前記制限ルールに従っていないとき、当該コマンドを破棄し、起こりえない演出等が発生する現象を防ぐ点」が記載されていると認められる(以下「引用文献4記載事項」という。)。 5 引用文献5について (1) 記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された前記引用文献5には、次の事項が記載されている。 ア 「【0051】 設定キースイッチ152は、操作部のうちの第1操作部をなす設定キー操作部の操作を検出するものである。設定キー操作部は、設定キーを差し込む鍵穴を備え、対応する設定キーを差し込んだ場合にのみ第1位置から第2位置(所定状態)へ当該設定キーを回すことができるように構成されている。設定キースイッチ152は、第2位置へ回した状態となっていることを検出可能なセンサであり、第2位置に回した状態である場合にオン状態となり、第2位置に回していない状態である場合にオフ状態となる。 【0052】 設定値変更スイッチ151は、操作部のうちの第2操作部をなす設定値変更ボタンの操作を検出するものである。設定値変更ボタンはプッシュ式のボタンであり、設定値変更スイッチ151は、設定値変更ボタンが押下されている状態である場合にオン状態となり、押下されていない場合にオフ状態となる。 【0053】 これらの操作部を操作することで、特図変動表示ゲームで特別結果となる確率値が割り当てられた確率設定値を選択することができ、選択された確率設定値に対応する確率値が遊技で使用されるようになっている。ここでは確率設定値として設定1〜設定6の6つが用意されている。各確率設定値に割り当てられた確率値は、設定1では1/320、設定2では1/310、設定3では1/300、設定4では1/290、設定5では1/280、設定6では1/270とされている。この確率値は通常確率状態での確率値であり、高確率状態での確率値は通常確率状態での確率値の10倍とされている。 【0054】 確率設定値を選択する際には、まず、前面枠12を開放した状態とし、さらに設定キー操作部の設定キーを第2位置に回した状態で遊技機の電源を投入することで確率設定値を変更可能な確率設定値変更状態となり、この確率設定値変更状態で設定値変更ボタンを押下することで確率設定値を変更することができるようになっている。選択されている確率設定値は確率設定値表示装置153に表示される。 【0055】 また、前面枠12が閉鎖された状態で設定キー操作部の設定キーを第2位置に回した状態として電源を投入した場合や、遊技機の電源を投入した後に設定キー操作部の設定キーを第2位置に回した場合は、現在選択されている確率設定値が確率設定値表示装置153に表示されるが確率設定値の変更はできない確率設定値確認モードとなる。」 イ 「【0241】 遊技中とは、特図変動表示ゲームの実行中、普図変動表示ゲームの実行中、特別遊技状態中又は普図の当り状態中のいずれかに該当する場合である。すなわち、遊技の状態が確率設定値確認モードを開始することを禁止する禁止状態である場合である。遊技中である場合(ステップS433;Y)は、確率設定値確認処理を終了する。すなわち、遊技中である場合は確率設定値確認モードに移行しない。この場合、演出制御装置300に遊技中であるので確率設定値確認モードに移行できない旨の情報を送信し、その旨の報知を行うようにしても良い。」 ウ 「【0245】 その後、セキュリティ信号制御タイマ領域に初期値をセーブし(ステップS437)、確率設定値確認中のコマンドを演出制御基板(演出制御装置300)に送信して(ステップS438)、確率設定値確認処理を終了する。確率設定値確認モードが開始された場合には外部情報として所定期間にわたりセキュリティ信号が出力される。また、演出制御装置300では、確率設定値確認中のコマンドを受信することに基づき、表示装置41やサブ情報表示装置90の表示、枠装飾装置18や盤装飾装置46のLEDの発光、盤演出装置44の動作、スピーカ19a,19bによる音声の出力などにより、確率設定値の確認中である旨の報知を行う。」 エ 「【0490】 〔第10変形例〕 次に、上述した第1実施形態の遊技機の第10変形例について説明する。なお、基本的には、上述の実施形態の遊技機と同様の構成を有しており、以下、同様の構成を有する部分については同じ符号を付して説明を省略し、主に異なる部分について説明する。本変形例の遊技機は、遊技中でも確率設定値確認モードへの移行が可能である。 【0491】 〔確率設定値確認処理〕 本変形例では、図12に示した確率設定値確認処理に替えて図49に示す確率設定値確認処理を行う。この確率設定値確認処理では、設定キースイッチがオン状態である場合(ステップS434;Y)に、遊技中であるかを判定する(ステップS511)。遊技中でない場合(ステップS511;N)は、ステップS435に移行する。 【0492】 一方、遊技中である場合(ステップS511;Y)は、遊技中断を設定し(ステップS512)、遊技中断フラグをセットして(ステップS513)、ステップS435に移行する。これにより、遊技中であっても確率設定値確認モードに移行でき、確率設定値確認モード中は遊技が中断された状態となる。 【0493】 また、ステップS442の処理を行った後、遊技中断フラグがあるかを判定する(ステップS514)。遊技中断フラグがない場合(ステップS514;N)、すなわち遊技が中断されていない場合は、確率設定値確認処理を終了する。また、遊技中断フラグがある場合(ステップS514;Y)、すなわち遊技が中断されている場合は、遊技再開を設定し(ステップS515)、遊技中断フラグをクリアして(ステップS516)、確率設定値確認処理を終了する。これにより、確率設定値確認モードの終了に伴い中断されていた遊技が再開されるようになる。 【0494】 遊技を中断している状態では、一括表示装置50の表示を一旦消去するようにしても良いし、中断直前の状態を継続するようにしても良い。また、特図変動表示ゲームや普図変動表示ゲームの変動表示中に遊技が中断された場合には、一括表示装置50での変動表示を継続するようにしても良い。また、一括表示装置50に中断状態であることを示す表示を行うようにしても良い。 【0495】 また、遊技を中断する際に演出制御装置300に対して中断コマンドを送信し、遊技を再開する際に演出制御装置300に再開コマンドを送信するようにして、表示装置41や音声、LED等の発光部材又は可動役物により中断に対応した演出を行うようにしても良い。また、遊技を再開する際における表示装置41での表示等は、停電復旧時における表示装置41での表示等と同様としても良い。 【0496】 また、遊技の中断中であっても始動入賞口36、普通変動入賞装置37、一般入賞口35及び特別変動入賞装置38への入賞を有効としても良いし、無効としても良い。また、遊技の中断中であっても遊技球の払い出しは継続するようにしても良い。」 オ 図49 「 ![]() 」 (2) 引用文献5記載事項 前記(1)ア〜オに摘記した記載に基づいて、引用文献5には、「特図変動表示ゲームで特別結果となる確率値が割り当てられた確率設定値を選択することができ(【0053】)、前面枠12が閉鎖された状態で設定キー操作部の設定キーを第2位置に回した状態として電源を投入した場合に、現在選択されている確率設定値が確率設定値表示装置153に表示されて、確率設定値確認モードとなり(【0055】)、確率設定値確認処理で(【0491】)、特図変動表示ゲームの実行中、普図変動表示ゲームの実行中、特別遊技状態中又は普図の当り状態中のいずれかに該当する(【0241】)遊技中であると判定する(【0491】)と、遊技中断を設定し、遊技中断フラグをセットして、遊技中であっても確率設定値確認モードに移行でき、確率設定値確認モード中は遊技が中断された状態となり(【0492】)、確率設定値確認処理を終了すると、遊技中断フラグをクリアして中断されていた遊技を再開し(【0493】)、演出制御装置300では、確率設定値確認中のコマンドを受信することに基づき、表示装置41やサブ情報表示装置90の表示、枠装飾装置18や盤装飾装置46のLEDの発光、盤演出装置44の動作、スピーカ19a,19bによる音声の出力などにより、確率設定値の確認中である旨の報知を行う(【0245】)点」が記載されていると認められる(以下「引用文献5記載事項」という。)。 6 引用文献6について (1) 記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された前記引用文献6には、次の事項が記載されている。 ア 「【0108】 具体的に、ソレノイド動作確認処理(S211)ではまず、電源投入フラグがONか否かを判定し(S5001)、電源投入フラグがONでない、すなわち電源投入時ではないと判定した場合(S5001でNO)、処理を終える。一方、S5001で、電源投入フラグがONである、すなわち電源投入時であると判定した場合(S5001でYES)、次いで普通図柄が変動中であったかどうか(普通図柄変動中断情報が記憶されているかどうか)を判定する(S5002)。普通図柄が変動中でなかったと判定した場合(S5002でNO)、S5004の処理に移行する。S5002で、普通図柄が変動中であった(普通図柄変動中断情報が記憶されている)と判定した場合(S5002でYES)、普図変動中断フラグをONにし(S5003)、S5004の処理に移行する。 【0109】 ここで、電源が遮断され(OFFにされ)、その後電源が投入されるパターンとして、主制御部80のバックアップ用RAM内に記憶されているバックアップ情報に基づいて電源遮断時の遊技状態を復帰させる電源投入パターンと、主制御部80のバックアップ用RAM内の遊技情報を全て消去して初期化状態とする電源投入パターンと、がある。前者は、例えば、遊技店の営業時間内における遊技途中に停電が発生したり、何らかの不具合等を解消するために遊技機の電源を一旦OFFにしたりした後に電源投入される(復帰する)場合が該当する。この様な場合には、電源が遮断される際に必要な遊技情報をバックアップし、再度電源が投入される際には当該バックアップ情報に基づいて、極力電源遮断時の遊技状態を復帰させ、遊技者が不利益を被らないようにされている。」 イ 「【0111】 また、バックアップする情報(バックアップ対象の遊技情報)としては、主に、普通図柄が変動表示の途中で中断したこと(残り変動時間、当否判定結果等)、特別図柄が変動表示の途中で中断したこと(残り変動時間、当否判定結果等)、普図当り遊技が途中で中断したこと(残り開放時間、残り開放回数、入球個数等)、特図当り遊技(大当り遊技、小当り遊技)が途中で中断したこと(残り開放時間、残り開放回数、残りラウンド数、入球個数等)、普通図柄に係る保留数及び保留情報(取得した乱数値等)、特別図柄に係る保留数及び保留情報(取得した乱数値等)、確率状態(低確率又は高確率)、時短状態(時短又は非時短)等を対象としている。すなわち、S5002で、普通図柄が変動中であった(普通図柄変動中断情報が記憶されている)と判定される場合(S5002でYES)とは、遊技者が遊技中であって普通図柄の変動表示中に何らかの事情(停電や不具合解消のため)で電源が遮断(電源OFF)され、その後電源が再投入されてバックアップ情報に基づいて遊技状態が復帰した場合である。 【0112】 また、「普図変動中断フラグ」は、電源投入後にソレノイド動作確認用動作を完了するまで、普通図柄の変動表示が開始するのを待機させるためのフラグである。すなわち、本実施例1のパチンコ遊技機1では、電源投入時にバックアップ情報がある場合であっても、当該バックアップ情報に基づく遊技を行う前に、ソレノイド動作確認用動作を行うものとされている。S5002で、普通図柄が変動中であったと判定した場合には、この普図変動中断フラグをONにすることで、電源投入後にバックアップ情報に基づいて普通図柄が残り変動時間の変動表示を開始するのを待機させることが可能となる。これにより、普通図柄に係る保留情報がある場合にも、当該保留情報に基づく普通図柄の変動表示も、当該普図変動中断フラグがOFFになるまで待機することとなる。 【0113】 S5004では、特別図柄(第1特別図柄又は第2特別図柄)が変動表示中であったかどうか(特別図柄変動中断情報が記憶されているかどうか)を判定する(S5004)。特別図柄が変動中でなかったと判定した場合(S5004でNO)、S5006の処理に移行する。S5004で、特別図柄が変動中であった(特別図柄変動中断情報が記憶されている)と判定した場合(S5004でYES)、特図変動中断フラグをONにし(S5005)、S5006の処理に移行する。S5004で、特別図柄が変動中であった(特別図柄変動中断情報が記憶されている)と判定される場合(S5004でYES)とは、遊技者が遊技中であって特別図柄の変動表示中に何らかの事情(停電や不具合解消のため)で電源が遮断(電源OFF)され、その後電源が再投入されてバックアップ情報に基づいて遊技状態が復帰した場合である。 【0114】 また、「特図変動中断フラグ」は、電源投入後にソレノイド動作確認用動作を完了するまで、特別図柄の変動表示が開始するのを待機させるためのフラグである。S5004で、特別図柄が変動中であったと判定した場合には、この特図変動中断フラグをONにすることで、電源投入後にバックアップ情報に基づいて特別図柄が残り変動時間の変動表示を開始するのを待機させることが可能となる。これにより、特別図柄(第1特別図柄及び第2特別図柄)に係る保留情報がある場合にも、当該保留情報に基づく特別図柄の変動表示も、当該特図変動中断フラグがOFFになるまで待機することとなる。 【0115】 S5006では、第2始動口を開状態とする普図当り遊技の実行中であったかどうか(普図当り遊技中断情報)を判定する(S5006)。普図当り遊技が実行中でなかったと判定した場合(S5006でNO)、S5008の処理に移行する。S5006で、普図当り遊技が実行中であった(普図当り遊技中断情報が記憶されている)と判定した場合(S5006でYES)、普図当り遊技中断フラグをONにし(S5007)、S5008の処理に移行する。S5006で、普図当り遊技が実行中であった(普図当り遊技中断情報が記憶されている)と判定される場合(S5006でYES)とは、遊技者が遊技中であって普図当り遊技の実行中に何らかの事情(停電や不具合解消のため)で電源が遮断(電源OFF)され、その後電源が再投入されてバックアップ情報に基づいて遊技状態が復帰した場合である。 【0116】 また、「普図当り遊技中断フラグ」は、電源投入後にソレノイド動作確認用動作を完了するまで、普図当り遊技が開始(再開)するのを待機させるためのフラグである。S5006で、普図当り遊技が実行中であったと判定した場合には、この普図当り遊技中断フラグをONにすることで、電源投入後にバックアップ情報に基づいて普図当り遊技の残りの開放態様(開放時間、開放回数等)が開始するのを待機させることが可能となる。これにより、新たな普図当り遊技の開始も、当該普図当り遊技中断フラグがOFFになるまで待機することとなる。」 ウ 「【0132】 [ソレノイド動作確認終了処理] 次に、図14を用いてソレノイド動作確認終了処理(S5022)について説明する。ソレノイド動作確認終了処理(S5022)では、ソレノイド動作確認用動作の終了に伴ってS5012乃至S5017で無効にした各種センサを有効にする処理、及び、中断していた普通図柄の変動表示等があれば中断を解除し再開させる処理を行う。 【0133】 まずS5031で、普図ゲートセンサ(ゲートセンサ28a)を有効とし(S5031)、次いで第1始動口センサ20aを有効とし(S5032)、次いで第2始動口センサ21aを有効とし(S5033)、第1大入賞口センサ30aを有効とし(S5034)、第2大入賞口センサ35aを有効とし(S5035)、特定領域センサ39aを有効とし(S5036)、S5037の処理に移行する。これらの処理(S5031乃至S5036)により、ソレノイド動作確認用動作を実行している間無効にしていた各種センサを有効な状態、すなわち遊技球が通過した場合に当該遊技球を検知して所定の遊技利益(賞球、当否判定等)を付与する状態に設定する。 【0134】 S5037では、普図変動中断フラグがONか否かを判定し(S5037)、ONでないと判定した場合(S5037でNO)、S5040の処理に移行する。一方、S5037で、普図変動中断フラグがONであると判定した場合(S5037でYES)、普図変動中断フラグをOFFにし(S5038)、普図変動再開処理を行い(S5039)、S5040の処理に移行する。ここで普図変動再開処理では、中断していた普通図柄の変動表示を開始すると共に、普通図柄の変動時間(残り変動時間)を計測するタイマ手段のカウントも再開させる。 【0135】 S5040では、特図変動中断フラグがONか否かを判定し(S5040)、ONでないと判定した場合(S5040でNO)、S5043の処理に移行する。一方、S5040で、特図変動中断フラグがONであると判定した場合(S5040でYES)、特図変動中断フラグをOFFにし(S5041)、特図変動再開処理を行い(S5042)、S5043の処理に移行する。ここで特図変動再開処理では、中断していた特別図柄(第1特別図柄又は第2特別図柄)の変動表示を開始すると共に、特別図柄の変動時間(残り変動時間)を計測するタイマ手段のカウントも再開させる。 【0136】 S5043では、普図当り遊技中断フラグがONか否かを判定し(S5043)、ONでないと判定した場合(S5043でNO)、S5046の処理に移行する。一方、S5043で、普図当り遊技中断フラグがONであると判定した場合(S5043でYES)、普図当り遊技中断フラグをOFFにし(S5044)、普図当り遊技再開処理を行い(S5045)、S5046の処理に移行する。ここで普図当り遊技再開処理では、中断していた普図当り遊技を開始すると共に、普図当り遊技の実行時間(残り実行時間)を計測するタイマ手段のカウントも再開させる。 【0137】 S5046では、当り遊技中断フラグがONか否かを判定し(S5046)、ONでないと判定した場合(S5046でNO)、処理を終える。一方、S5046で、当り遊技中断フラグがONであると判定した場合(S5046でYES)、当り遊技中断フラグをOFFにし(S5047)、当り遊技再開処理を行い(S5048)、処理を終える。ここで当り遊技再開処理では、中断していた当り遊技(大当り遊技又は小当り遊技)を開始すると共に、当り遊技の実行時間(残り実行時間)を計測するタイマ手段のカウントも再開させる。これにより、電源投入時のソレノイド動作確認処理を終え、通常の遊技を行うことを可能とする。」 エ 図12 「 ![]() 」 オ 図13 「 ![]() 」 カ 図14 「 ![]() 」 (2) 引用文献6記載事項 前記(1)ア〜カに摘記した記載に基づいて、引用文献6には、「遊技店の営業時間内における遊技途中に停電が発生したり、何らかの不具合等を解消するために遊技機の電源を一旦OFFにしたりした後に電源投入される(復帰する)場合には、電源が遮断される際に必要な遊技情報をバックアップし、再度電源が投入される際には当該バックアップ情報に基づいて、極力電源遮断時の遊技状態を復帰させ、遊技者が不利益を被らないようにされており(【0109】)、バックアップする情報(バックアップ対象の遊技情報)としては、普通図柄が変動表示の途中で中断したこと(残り変動時間、当否判定結果等)、普図当り遊技が途中で中断したこと(残り開放時間、残り開放回数、入球個数等)、特図当り遊技(大当り遊技、小当り遊技)が途中で中断したこと(残り開放時間、残り開放回数、残りラウンド数、入球個数等)等を対象とし、その後電源が再投入されてバックアップ情報に基づいて遊技状態が復帰する(【0111】)点」が記載されていると認められる(以下「引用文献6記載事項」という。)。 第6 対比・判断 1 本願発明と引用発明との対比 本願発明と引用発明とを対比すると次のことがいえる。 (1) 本願発明の構成A、B、C、H1、I1、Jについて 引用発明の構成a、b、c、h1、i1、jにおける「遊技球」、「所定の入賞口」、「入賞」、「特別変動表示装置が特別第1特別図柄および第2特別図柄のうち少なくとも一方を変動表示させ」ること、「特定遊技状態に制御され」ること、「演出表示装置160」、「パチンコ機200」は、それぞれ、本願発明の「遊技媒体」、「始動領域」、「進入」、「可変表示」の「実行」、「遊技者にとって有利な遊技状態に制御」すること、「所定の演出手段」、「遊技機」に相当する。 続いて、引用発明の「パチンコ機200」(遊技機)が、「特別変動表示装置が特別第1特別図柄および第2特別図柄のうち少なくとも一方を変動表示させ」、「特定遊技状態」に「制御され」るために、本願発明の「遊技を進行可能な遊技制御手段」に相当する手段を備えることは自明である。 また、引用発明における、「演出表示装置160が」「行」う「第1特別図柄および第2特別図柄のうち少なくとも一方の変動表示に同期した演出図柄の変動表示」は、本願発明の「遊技制御手段からの情報に基づ」く「演出」に相当するとともに、当該「演出」を実行するために、引用発明の「パチンコ機200」(遊技機)が、本願発明の「演出を制御可能な演出制御手段」に相当する手段を備えること、及び、当該「演出を制御可能な演出制御手段」に相当する手段が、「所定の入賞口」(始動領域)に「遊技球」(遊技媒体)が「入賞」(進入)したことを指定する情報に基づく動作を「演出表示装置160」(所定の演出手段)に「実行させる」ことも自明である。 さらに、引用発明の「特別第1特別図柄および第2特別図柄のうち少なくとも一方を変動表示させ」ること、「特別変動表示装置」は、それぞれ、本願発明の「可変表示を行う」こと、「可変表示部を含む情報表示部」に相当するとともに、引用発明の「特別第1特別図柄および第2特別図柄のうち少なくとも一方」の「変動表示」が、「遊技制御手段」の「制御」によるものであることも、上記検討を踏まえると自明である。 そうすると、引用発明は、本願発明の構成A、B、C、H1、I1、Jに相当する構成を備えているといえる。 (2) 本願発明の構成D、Eについて 引用発明における「払出率を設定変更する」「設定変更状態において、設定スイッチ38が操作されると、設定値表示器24に表示された表示値が1ずつ更新され、その後、スタートスイッチ7が操作される」ことで「確定」する「設定値」は、本願発明の「有利状態に制御される確率に関する設定値」に相当するとともに、「設定スイッチ38」や「スタートスイッチ7」の「操作」により「設定値」を「確定」させるために、引用発明の「パチンコ機200」(遊技機)が、本願発明の「設定手段」に相当する手段を備えることは自明である。 また、引用発明における「ゲーム終了後、設定キースイッチ37を操作して、設定キースイッチ37をON状態に」すること、「設定確認状態」、「設定値表示器24に設定値が表示値として表示され」ることは、それぞれ、本願発明の「特定条件の成立」、「設定確認状態」、「設定値の確認が可能」なことに相当するとともに、そのような制御を可能とするために、引用発明の「パチンコ機200」(遊技機)が、本願発明の「設定確認手段」に相当する手段を備えることも自明である。 そうすると、引用発明は、本願発明の構成D、Eに相当する構成を備えているといえる。 (3) そうすると、本願発明と引用発明との間には、次の一致点、相違点がある。 (一致点) 「A 始動領域に遊技媒体が進入したことに基づいて可変表示を実行し、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、 B 遊技を進行可能な遊技制御手段と、 C 前記遊技制御手段からの情報に基づいて、演出を制御可能な演出制御手段と、 D 前記有利状態に制御される確率に関する設定値を設定可能な設定手段と、 E 特定条件の成立に基づいて、設定値の確認が可能な設定確認状態に制御可能な設定確認手段と、を備え、 H1 前記演出制御手段は、前記始動領域に遊技媒体が進入したことを指定する情報に基づく動作を所定の演出手段に実行させることが可能であり、 I1 前記遊技制御手段により制御され、少なくとも可変表示を行うことが可能な可変表示部を含む情報表示部を有する、 J 遊技機。」 (相違点1) (構成F1〜F4について) 本願発明は、「遊技者にとって有利な第1状態と、遊技者にとって不利な第2状態とに変化する可変手段と、前記有利状態中に前記可変手段を前記第2状態から前記第1状態に変化させる所定遊技を複数回実行可能な所定遊技実行手段と、前記可変手段を前記第1状態に変化させる変化期間を計時する可変計時手段と、を備え」るとともに、「前記変化期間が計時されているときに遊技機への電力供給が停止され、その後に遊技機への電力供給が再開して前記設定確認状態に制御されるときに、該設定確認状態が終了するまで前記変化期間の計時が中断され、該設定確認状態が終了したときに前記変化期間の計時が再開され、」とした点を特定しているのに対し、引用発明はこの点を備えていない点。 (相違点2) (構成G1〜G2について) 本願発明は、「前記設定確認手段は、遊技機への電力供給が開始したときであって遊技に関する処理を実行可能な割込処理が実行される前に前記設定確認状態に制御可能であり、前記設定確認状態が終了した後に前記割込処理が実行され、該割込処理が実行された後、遊技機への電力供給が停止されるまで前記設定確認状態に制御されず、」とした点を特定しているのに対し、引用発明ではこの点を備えていない点。 (相違点3) (構成H2について) 本願発明は、「前記所定の演出手段は、前記設定確認状態に制御されているときに、前記演出制御手段が前記始動領域に遊技媒体が進入したことを指定する情報を受信したとしても該情報に基づく動作を実行せず、」とした点を特定しているのに対し、引用発明はこの点について明らかでない点。 (相違点4) (構成I2について) 本願発明は、「前記設定確認状態に制御されているときに、該設定確認状態に制御されていることを認識可能な表示を前記情報表示部において行うことが可能である、」とした点を特定しているのに対し、引用発明はこの点を備えていない点。 2 相違点についての判断 まず、相違点1について検討する。 前記第5の5(2)で述べた引用文献5記載事項における「特別遊技状態中」「に該当する遊技中」、「確率設定値確認モード」は、それぞれ、本願発明の構成F1〜F4における「有利状態中」、「設定確認状態」に相当する。そうすると、引用文献5記載事項における「前面枠12が閉鎖された状態で設定キー操作部の設定キーを第2位置に回した状態として電源を投入した場合に、現在選択されている確率設定値が確率設定値表示装置153に表示されて、確率設定値確認モードとなり」とされた事項は、本願発明の構成F4における「遊技機への電力供給が再開して前記設定確認状態に制御される」ことに相当するといえる。 一方、前記引用文献5記載事項における、「確率設定値確認処理で、」「特別遊技状態中」「に該当する遊技中であると判定すると、遊技中断を設定」する事項について、「確率設定値確認処理」で「設定」される「遊技の中断」が、本願発明の構成F1〜F4の、「有利状態中」において「可変手段」を「第1状態に変化させる変化期間」の「計時」の「中断」を含むということはできない。 ここで、前記第5の6(2)で述べたように、引用文献6には、「遊技機の電源を一旦OFFにしたりした後に電源投入される(復帰する)場合に」、「電源が遮断される際に」、「特図当り遊技(大当り遊技」「)」が途中で中断したこと(残り開放時間、残り開放回数、残りラウンド数」「)」を「バックアップ情報」として「バックアップ」する点が記載されるところではあるが(引用文献6記載事項)、仮に、この記載における「特図当り遊技(大当り遊技)が途中で中断したこと(残り開放時間、残り開放回数、残りラウンド数)」の「バックアップ情報」が、本願発明の構成F1〜F4の、「有利状態中」において「可変手段」を「第1状態に変化させる変化期間」の「計時」の「中断」に対応するとしても、当該「バックアップ」が、引用文献5記載事項の「確率設定値確認モード」となるとき、すなわち、本願発明の構成F4における「遊技機への電力供給が再開して前記設定確認状態に制御されるとき」というタイミングではなく、「電源が遮断される際」に実行される処理であることに鑑みれば、前記第5の1(2)で述べた引用発明に、引用文献5記載事項を適用するに際して、引用文献5記載事項における「確率設定値確認処理」で「設定」される「遊技の中断」として、さらに、引用文献6記載事項の「バックアップ情報」に関する事項を含めることを動機付ける根拠がない。 上記相違点1に係る本願発明の構成、特に構成F4は、前記第5の2(2)〜(4)で挙げた引用文献2記載事項〜引用文献4記載事項に特定されておらず、引用文献2〜引用文献4に開示されるものでもない。 そして、本願発明は、相違点1に係る構成により、「変化期間が計時されている間に遊技機への電力供給が停止されてしまい、その後に設定確認状態に制御されてしまった場合であっても、設定確認状態が終了したときに変化期間の計時が再開されることで、遊技者が損害を被ることを防止することができ」る(審判請求書から摘記)という効果を奏するものであるといえる。 3 小括 以上の検討から、前記相違点1に係る本願発明の構成については、当業者であっても、引用発明及び引用文献5〜6に記載された技術、並びに、引用文献2及び引用文献3〜4に記載された周知技術に基づいて容易に発明できたものではない。 したがって、前記相違点2〜4について検討するまでもなく、本願発明は、当業者であっても、引用発明及び引用文献5〜6に記載された技術、並びに、引用文献2及び引用文献3〜4に記載された周知技術に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 第7 原査定について 上記第6で検討したとおり、本願発明は、当業者であっても、原査定において引用された引用発明及び引用文献5〜6に記載された技術、並びに、引用文献2及び引用文献3〜4に記載された周知技術に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 したがって、原査定の理由を維持することはできない。 第8 むすび 以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2022-11-22 |
出願番号 | P2018-179810 |
審決分類 |
P
1
8・
16-
WY
(A63F)
P 1 8・ 121- WY (A63F) |
最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
鉄 豊郎 |
特許庁審判官 |
村田 泰利 小林 俊久 |
発明の名称 | 遊技機 |