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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1391825
総通号数 12 
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2022-02-15 
確定日 2022-11-04 
事件の表示 特願2019− 25056「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 8月31日出願公開、特開2020−130373〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯の概要
本願は、平成31年2月15日の特許出願であって、令和3年8月5日付けで拒絶の理由が通知され、同年9月17日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年11月26日付け(謄本送達日:同年12月7日)で拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、それに対して、令和4年2月15日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。

第2 令和4年2月15日に提出された手続補正書による補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和4年2月15日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲についてする補正を含むものであって、令和3年9月17日提出の手続補正書によって補正された本件補正前の請求項1及び2のうち、請求項1に、
「【請求項1】
ゲームの結果が特別結果となった場合に遊技者に有利な特別遊技状態を発生可能な遊技機において、
前記特別遊技状態が発生する期待度を示唆可能な特定演出を実行する特定演出実行手段を備え、
前記特定演出実行手段は、
第1キャラクタと、第2キャラクタと、を表示装置に表示可能であり、
前記特定演出の実行中に、前記第1キャラクタを複数表示可能であるとともに、前記第2キャラクタを複数表示可能であり、
前記特定演出の実行中に表示される前記第1キャラクタの総数をN(N≧1)とし、当該特定演出の実行中に表示される前記第2キャラクタの総数をM(M≧1)とした場合に、N−Mが大きいほど前記期待度が高く、
前記第1キャラクタ又は前記第2キャラクタには複数の種類があり、
第1種類の前記第1キャラクタを表示した後に当該第1種類とは異なる第2種類の前記第1キャラクタを表示した場合に、当該第2種類の第1キャラクタの表示に基づいて前記第1キャラクタの総数Nは増加され、増加した前記第1キャラクタの総数NによるN−Mで前記期待度を示唆し、又は第3種類の前記第2キャラクタを表示した後に当該第3種類とは異なる第4種類の前記第2キャラクタを表示した場合に、当該第4種類の第2キャラクタの表示に基づいて前記第2キャラクタの総数Mは増加され、増加した前記第2キャラクタの総数MによるN−Mで前記期待度を示唆することを特徴とする遊技機。」とあったものを、
「【請求項1】
ゲームの結果が特別結果となった場合に遊技者に有利な特別遊技状態を発生可能な遊技機において、
前記特別遊技状態が発生する期待度を示唆可能な特定演出を実行する特定演出実行手段を備え、
前記特定演出実行手段は、
第1キャラクタと、第2キャラクタと、を表示装置に表示可能であり、
前記特定演出の実行中に、前記第1キャラクタを複数表示可能であるとともに、前記第2キャラクタを複数表示可能であり、
前記特定演出の実行中に表示される前記第1キャラクタの総数をN(N≧1)とし、当該特定演出の実行中に表示される前記第2キャラクタの総数をM(M≧1)とした場合に、N−Mが大きいほど前記期待度が高く、
前記第1キャラクタ又は前記第2キャラクタには複数の種類があり、
第1種類の前記第1キャラクタを表示した後に当該第1種類とは異なる第2種類の前記第1キャラクタを表示した場合に、当該第2種類の第1キャラクタの表示に基づいて前記第1キャラクタの総数Nは増加され、増加した前記第1キャラクタの総数NによるN−Mで前記期待度を示唆し、又は第3種類の前記第2キャラクタを表示した後に当該第3種類とは異なる第4種類の前記第2キャラクタを表示した場合に、当該第4種類の第2キャラクタの表示に基づいて前記第2キャラクタの総数Mは増加され、増加した前記第2キャラクタの総数MによるN−Mで前記期待度を示唆し、
前記第1キャラクタの種類は少なくとも3種類あり、前記特定演出の実行中に表示される当該第1キャラクタの種類の組み合わせに応じて前記期待度が異なることを特徴とする遊技機。」
とする補正を含むものである(下線は、補正箇所を明示するために当審判合議体にて付した。)。

2 補正の適否
2−1 補正の目的及び新規事項について
本件補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「第1キャラクタ」に関して、「複数の種類があ」るとしていたものを「前記第1キャラクタの種類は少なくとも3種類あ」ると限定するとともに、補正前の請求項1で「前記特定演出の実行中に表示される前記第1キャラクタの総数をN(N≧1)とし、当該特定演出の実行中に表示される前記第2キャラクタの総数をM(M≧1)とした場合に、N−Mが大きいほど前記期待度が高」いとしていたものを、さらに「前記特定演出の実行中に表示される当該第1キャラクタの種類の組み合わせに応じて前記期待度が異なる」と限定するものを含むものである。
そして、補正後の請求項1に係る発明は、補正前の請求項1に係る発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正のうち特許請求の範囲の請求項1についてする補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。
また、本件補正の補正事項は、願書に最初に添付した明細書又は図面(以下「当初明細書」という。)の段落【0471】、【0483】、【0487】〜【0496】、図70、図71の記載に基づくものであり、新たな技術事項を導入するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。

2−2 独立特許要件について
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか否か、すなわち、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否かについて、以下に検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、次のとおりのものであると認める(記号A〜Iは、分説するため当審判合議体にて付した。)。
「【請求項1】
A ゲームの結果が特別結果となった場合に遊技者に有利な特別遊技状態を発生可能な遊技機において、
B 前記特別遊技状態が発生する期待度を示唆可能な特定演出を実行する特定演出実行手段を備え、
C 前記特定演出実行手段は、
C1 第1キャラクタと、第2キャラクタと、を表示装置に表示可能であり、
C2 前記特定演出の実行中に、前記第1キャラクタを複数表示可能であるとともに、前記第2キャラクタを複数表示可能であり、
D 前記特定演出の実行中に表示される前記第1キャラクタの総数をN(N≧1)とし、当該特定演出の実行中に表示される前記第2キャラクタの総数をM(M≧1)とした場合に、N−Mが大きいほど前記期待度が高く、
E 前記第1キャラクタ又は前記第2キャラクタには複数の種類があり、
F 第1種類の前記第1キャラクタを表示した後に当該第1種類とは異なる第2種類の前記第1キャラクタを表示した場合に、当該第2種類の第1キャラクタの表示に基づいて前記第1キャラクタの総数Nは増加され、増加した前記第1キャラクタの総数NによるN−Mで前記期待度を示唆し、
G 又は第3種類の前記第2キャラクタを表示した後に当該第3種類とは異なる第4種類の前記第2キャラクタを表示した場合に、当該第4種類の第2キャラクタの表示に基づいて前記第2キャラクタの総数Mは増加され、増加した前記第2キャラクタの総数MによるN−Mで前記期待度を示唆し、
H 前記第1キャラクタの種類は少なくとも3種類あり、前記特定演出の実行中に表示される当該第1キャラクタの種類の組み合わせに応じて前記期待度が異なる
I ことを特徴とする遊技機。」

(2)引用例、引用発明
原査定の拒絶の理由に引用文献2として引用された、本願の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2013−42778号公報(平成25年3月4日公開)(以下「引用例1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審判合議体にて付した。以下同じ。)。

ア 記載事項
(ア)「【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ本発明にかかる遊技機の一実施形態を説明する。図1に示す遊技機1は、遊技媒体として遊技球を用いるパチンコ遊技機であって、遊技盤2の縁に外側誘導レール3および内側誘導レール4が略円形に配置され、上記外側誘導レール3および内側誘導レール4によって区画された部分には遊技球が発射される遊技領域6が上記遊技盤2上に設けられている。上記遊技領域6には遊技球を誘導する誘導釘(図示せず)が遊技盤2の表面に設けられている。また、遊技機1の前面側には、装飾ランプ等からなるランプ装置35、発射装置へ供給する遊技球と払い出された遊技球を受けるための上側球受け皿36、該上側球受け皿36の満杯時に遊技球を受けるための下側球受け皿37、効果音等を発するスピーカ38、遊技者の発射操作に応じて遊技球を上記遊技領域6へ向けて弾発発射するための発射装置64、遊技者による操作可能な遊技ボタンスイッチ67が設けられている。なお、図1における符号W1は遊技機の外枠、W2は外枠W1に取り付けられた前枠、Gは上記前枠W2に開閉可能にヒンジで取り付けられたガラス枠である。以下、遊技機1の各構成について説明する。」

(イ)「【0021】
上記表示装置10(表示手段)は表示部11を有する。表示部は、特別図柄を表示したり、所定の演出映像・画像(詳細を後述する対戦演出を含む)を表示するために用いられる。表示部11には、左右に並ぶ左特別図柄(左判定図柄、左識別情報)と中特別図柄(中判定図柄、中識別情報)と右特別図柄(右判定図柄、右識別情報)が、所定時間変動表示された後、所定の演出判定結果に基づき左特別図柄、中特別図柄、右特別図柄が確定停止特別図柄(確定停止判定図柄、確定停止識別情報)として停止表示される。この際、表示部11には、上記特別図柄に加えて演出映像・画像(キャラクタ,背景,文字等)が表示されることもある。
【0022】
この実施形態において変動および停止表示される左特別図柄、中特別図柄、右特別図柄は、本実施形態ではそれぞれ『0,1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11』の12通りの図柄とされている。本実施形態では、遊技の当否判定結果が大当たり(当たり)の場合には、上記表示部11に大当たりの特別図柄組合せ、この例では『1,1,1』(いわゆる‘1’のぞろ目)や『2,2,2』(いわゆる‘2’のぞろ目)等、同一数字の組合せ)で特別図柄(が停止表示され、通常遊技よりも遊技者に有利な特別遊技(大当たり遊技)を実行する。通常遊技は、特別遊技以外の当否判定を行う遊技状態をいい、本実施形態では低確率状態や確変状態(高確率状態)や時短状態(時間短縮状態)が存在する。上記表示部11は、大当たりの判定を行う特別図柄変動保留球数表示器を兼ねている(いわゆる保留球数は表示部11に表示される)。」

(ウ)「【0032】
上記遊技機1の裏側には、図2に示すように、複数の制御基板や装置等が設けられている。制御基板の主なものとして、主制御基板200、サブ制御基板205、表示制御基板210、音声制御基板220、払出制御基板240、電源基板250、発射制御基板260等がある。符号265は外部端子、281は払出装置、283は球無し検出スイッチ、289は球貯留タンク、291は球誘導樋である。なお各制御基板には制御回路が設けられている。また、各制御基板は、単独でまたは複数まとめてケースに収納された状態で遊技機1の裏側に配置されている。主な制御基板を、図3のブロック図を用いて簡略に示す。」

(エ)「【0040】
表示制御基板210は、CPU、ROM、RAMを備えたマイクロコンピュータと、上記サブ制御基板205を結ぶ入力回路と上記表示装置10を結ぶ出力回路等で構成され、上記サブ制御基板205から出力される制御信号に基づき、上記表示装置10に対して表示の制御を行う。」

(オ)「【0101】
変動コマンド処理(S505−6)では、まず上記演出乱数用カウンタにより演出用乱数を取得すると共に、上記補助キャラクタ表示用乱数カウンタにより補助キャラクタ表示用乱数を取得する(S505−6−1)。続いて、受信された変動コマンドが大当たりとなる変動コマンドか否か(特別図柄がぞろ目で揃うときの演出か否か)が判断される(S505−6−2)。大当たりとなる変動コマンドである場合には、上記演出乱数用カウンタによって取得された演出用乱数値が、対戦演出パターンを行う乱数か否かが判断される(S505−6−3)。対戦演出パターンは、勝利するかまたは負けなければ(引き分けであれば)遊技者側に有利な遊技状態(大当たり)となる主要キャラクタ(第一のキャラクタ)と、主要キャラクタを敗北させるなど勝利すれば遊技者側に不利な遊技状態(外れ)となる敵キャラクタであるホラー(第二のキャラクタ)が戦う「ホラー対戦演出」である。主要キャラクタおよび敵キャラクタ以外には、主要キャラクタ側のキャラクタ(遊技者側に有利な遊技状態となる可能性(信頼度)を高めるキャラクタ)として詳細を後述する補助キャラクタ(第三のキャラクタ)が登場することがある。
【0102】
本実施形態では、演出乱数用カウンタによって‘0’〜‘9’のいずれかの演出用乱数値が取得された場合、すなわち演出態様選択手段(演出乱数用カウンタを用いた演出決定手段)によって複数の演出態様の中から対戦演出パターンが選択された場合、ホラー対戦演出が実行される。なお、ホラー対戦演出が実行されない乱数が取得された場合には、その他の変動コマンドに対応する変動処理(S505−6−4)、すなわちこの場合は‘10’〜‘99’の各演出用乱数値に対応した演出(大当たり演出)が実行された後、その他の変動処理(S505−6−5)がある場合には実行されて、変動コマンド処理(S505−6)が終了する。
【0103】
ホラー対戦演出は、表示装置10(表示手段)の表示部11を三つ以上の表示領域(パネル)に分割し、この分割された表示領域に主要キャラクタや敵キャラクタ、あるいは補助キャラクタを表示する。本実施形態では、表示部11が横方向に略等分されてなる四つの表示領域に各キャラクタを表示する。そして、補助キャラクタを含む主要キャラクタ側のキャラクタに対する敵キャラクタ側のキャラクタ(敵キャラクタ)の表示数(表示領域)に応じて大当たりの可能性(信頼度)が異なり、本実施形態では敵キャラクタ側のキャラクタ数(表示領域数)が少ないほど、主要キャラクタ側のキャラクタ数(表示領域数)が多くなり大当たりの可能性(信頼度)が高くなるように構成されている。このように表示部11を分割して各キャラクタを表示する手段、すなわち表示手段11(表示制御基板210やそれを制御するサブ制御基板205)を含む構成が対戦数表示手段に相当する。なお、以下の説明においては、この分割された各表示領域を区別して、表示部11に向かって左から表示領域A1,表示領域A2,表示領域A3,表示領域A4と称することもある。
【0104】
上記S505−6−3において演出乱数用カウンタによって取得された乱数が‘0’〜‘3’である場合(S505−6−6)には、図25に詳細を示すホラー対戦演出が実施される。まず、表示部11において、停止した状態にある特別図柄(図25(a))が、変動を開始する(図25(b))。その最中、爆発が生じたかのような映像が表示され(図25(c))、表示部11が表示領域A1,表示領域A2,表示領域A3,表示領域A4に分割される(図25(d))。分割された各表示領域には、一方側の面に主要キャラクタ、他方側の面に敵キャラクタが表示されたパネルが回転するような映像が表示される(図25(e))。所定時間経過後、パネルの回転が停止し、一体の敵キャラクタが一の表示領域に表示され、残りの表示領域、すなわち三つの表示領域のそれぞれには一つずつ主要キャラクタが表示される(S505−6−7)。つまり、表示部11には、一体の敵キャラクタ(敵キャラクタパネル)と、三体の主要キャラクタ(主要キャラクタパネル)が表示される。本実施形態では、表示領域A1に敵キャラクタが表示され、表示領域A2〜表示領域A4のそれぞれに主要キャラクタが表示される(図25(f))。そして、表示領域A2〜表示領域A4に表示された主要キャラクタが(例えば合体する等の演出により)ひとまとまりとなり(図25(g))、一体の主要キャラクタ対一体の敵キャラクタの最終対戦演出が行われる(図25(h)(i))(S505−6−8)。なお、この最終対戦演出を実行(表示)する手段、すなわち表示手段11(表示制御基板210やそれを制御するサブ制御基板205)を含む構成が本発明における対戦演出手段に相当する。このように、主要キャラクタと対戦する敵キャラクタの数が少なく(一対一の対戦であり)、さらに主要キャラクタ側の表示領域の方が敵キャラクタ側の表示領域よりも大きくなるので、当該演出は、後述する敵キャラクタが複数残存した場合に比べて大当たりへの期待感を高くさせる。このS505−6−8の最終対戦演出に進む確率(割合)は、4/10=40/100[40%]である。その後、その他の変動処理(S505−6−5)がある場合には実行されて、変動コマンド処理(S505−6)が終了する。上記一対一の最終対戦演出は、特定の演出に限定されるものではないが、先制攻撃をした方のキャラクタが勝利するような演出(主要キャラクタ側が先制した場合:当たり対戦結果演出/敵キャラクタ側が先制した場合:外れ対戦結果演出)が例示できる。
【0105】
また、上記S505−6−3において演出乱数用カウンタによって取得された乱数が‘4’〜‘6’である場合(S505−6−9)には、図26または図27に詳細を示すホラー対戦演出が実施される。まず、表示部11において、停止した状態にある特別図柄(図26(a)、図27(a))が、変動を開始する(図26(b)、図27(b))。その最中、爆発が生じたかのような映像が表示され(図26(c)、図27(c))、表示部11が表示領域A1,表示領域A2,表示領域A3,表示領域A4に分割される(図26(d)、図27(d))。分割された各表示領域には、一方側の面に主要キャラクタ、他方側の面に敵キャラクタが表示されたパネルが回転するような映像が表示される(図26(e)、図27(e))。ここまでの演出は、図25に示した演出と同じである。所定時間経過後、パネルの回転が停止し、二つの表示領域のそれぞれには一つずつ敵キャラクタが表示され、残りの表示領域、すなわち二つの表示領域のそれぞれには一つずつ主要キャラクタが表示される(S505−6−10)。つまり、表示部11には、二体の敵キャラクタ(敵キャラクタパネル)と、二体の主要キャラクタ(主要キャラクタパネル)が表示される。本実施形態では、表示領域A1および表示領域A2のそれぞれに敵キャラクタが表示され、表示領域A3および表示領域A4のそれぞれに主要キャラクタが表示される(図26(f)、図27(f))。
【0106】
その後、上記S505−6−1において取得された補助キャラクタ表示用乱数値が‘0’〜‘4’であるか否かが判断される(S505−6−11)。取得された補助キャラクタ表示用乱数値が‘0’〜‘4’である場合、表示領域変更手段により敵キャラクタが表示されていた表示領域の一つ(本実施形態では表示領域A2)に補助キャラクタを表示する(図26(g))(S505−6−12)。つまり、一の表示領域において、敵キャラクタが補助キャラクタに変更され、二体であった敵キャラクタが一体となる。このように、敵キャラクタが表示されていた表示領域に補助キャラクタを表示することで、主要キャラクタ側の表示領域を拡大すると共に敵キャラクタ側の表示領域を減少させる手段(具体的にはサブ制御基板205を含む構成)が、本発明における表示領域変更手段に相当する。また、このように補助キャラクタ表示用乱数カウンタを用いた補助キャラクタを登場させるか否かを決定する手段が、本発明における補助表示判定手段に相当する。なお、この補助キャラクタを表示するタイミングは適宜設定すればよい。例えば、遊技者が遊技ボタンスイッチ67を押したときや、S505−6−10において敵キャラクタおよび主要キャラクタが表示されたときから一定時間が経過したとき等が挙げられる。そして、表示領域A3および表示領域A4に表示された主要キャラクタが表示領域A2に表示された補助キャラクタと共に(例えば合体する等の演出により)ひとまとまりとなり(図26(h))、対戦演出手段による一体の主要キャラクタ対残った一体の敵キャラクタの最終対戦演出(一対一の最終対戦演出)が行われる(図26(i)(j))(S505−6−13)。このように、補助キャラクタが登場した結果、敵キャラクタの数が減少して一対一の対戦になり、さらに主要キャラクタ側の表示領域が拡大すると共に敵キャラクタ側の表示領域が減少するので、当該演出は、後述する敵キャラクタが複数残存した場合に比べて大当たりへの期待感を高くさせる。このS505−6−13の最終対戦演出に進む確率(割合)は、(3/10)×(5/10)=15/100[15%]である。その後、その他の変動処理(S505−6−5)がある場合には実行されて、変動コマンド処理(S505−6)が終了する。上記一対一の最終対戦演出の例は上述した通りである。」

(カ)「【0124】
このように、本実施形態にかかる遊技機の対戦演出パターンは、最初の段階において(S505−6−7、S505−6−10、S505−6−15、S505−6−26、S505−6−29、S505−6−34において)表示領域の少なくとも一つに主要キャラクタを、残りの表示領域に敵キャラクタを表示し、その後補助キャラクタが登場すれば、敵キャラクタの数が減少するという演出形態である。そして、対戦演出手段による最終対戦演出では、主要キャラクタ(主要キャラクタ側のキャラクタ)と戦う敵キャラクタ(敵キャラクタ側のキャラクタ)の数が少ないほど(主要キャラクタが勝利しやすいので)、大当たりとなる可能性(大当たり信頼度)が高く、外れとなる可能性が低くなるように設定されている。
【0125】
つまり、大当たりとなる変動コマンドの場合、最終的に一対一の最終対戦演出になる可能性(割合)が最も高く、(40/100)+(15/100)+(15/100)=70/100[70%]である。続いて一対二の最終対戦演出になる可能性が高く、(15/100)+(9/100)=24/100[24%]である。そして、一対三の最終対戦演出となる可能性が最も低く、6/100[6%]である。一方、外れとなる変動コマンドの場合、大当たりとなる変動コマンドと比較して、最終的に一対一の最終対戦演出となる可能性((10/100)+(4/100)+(14/100)=28/100[28%])が低く、一対二の最終対戦演出になる可能性((16/100)+(21/100)=37/100[37%])や、一対三の最終対戦演出になる可能性(35/100=[35%])が高い。したがって、遊技者は、最終対戦演出において敵キャラクタ(敵キャラクタ側のキャラクタ)が少なくなることを願いつつ遊技を楽しむこととなる。
【0126】
この対戦演出手段による最終対戦演出において主要キャラクタと戦う敵キャラクタが何体になるかは、最初の段階において(S505−6−7、S505−6−10、S505−6−15、S505−6−26、S505−6−29、S505−6−34において)予め定められた表示領域に表示される敵キャラクタ数が何体になるか、および演出の途中で補助キャラクタが何体登場するか、そして最終的な表示領域の大きさ(最終的な主要キャラクタ側の表示領域の大きさおよび敵キャラクタ側の表示領域の大きさ)によって左右される。すなわち、遊技者は、最初に対戦数表示手段によって予め定められた表示領域に最初の段階において表示される敵キャラクタ数(第二のキャラクタ数)が何体になるかによって、大当たりの信頼度が高いか低いかを得る(最初の信頼度を得る)。その後、補助キャラクタ(第三のキャラクタ)が登場するか否か、および登場する補助キャラクタ(第三のキャラクタ)が何体になるか(S505−6−12、S505−6−17、S505−6−20、S505−6−31、S505−6−36、S505−6−39)によって最初の信頼度が変化する(最終的な信頼度を得る)。つまり、遊技者は、予め定められた表示領域に最初の段階で登場する敵キャラクタ(第二のキャラクタ)が少なくなることを期待して遊技すると共に、その後の補助キャラクタ(第三のキャラクタ)の登場により、主要キャラクタ側(第一のキャラクタ側)の表示領域と敵キャラクタ側(第二のキャラクタ側)の表示領域の配分が変化(拡大・縮小)することで信頼度がさらに向上する期待をもって遊技することが可能となる。例えば、最初の段階で登場する敵キャラクタ(第二のキャラクタ)が多くても、その後の補助キャラクタ(第三のキャラクタ)の登場により敵キャラクタ側(第二のキャラクタ側)のキャラクタ数が減少し、信頼度が大きく向上する可能性があるから、最終的な当否判定の結果が出るまで、遊技者の興趣を惹きつけることが可能となる。」

(キ)「【0133】
また、上記対戦演出パターンでは、主要キャラクタ側のキャラクタ(主要キャラクタおよび補助キャラクタ)がひとまとまりとなって、残存した一または複数の敵キャラクタと対戦する最終対戦演出が実行されることを説明したが、複数の主要キャラクタ側のキャラクタがひとまとまりとならず、そのまま複数の主要キャラクタ側のキャラクタとして分割された状態で最終対戦演出に突入する演出形態としてもよい。
【0134】
具体的には、例えば図31に示すように、最終対戦演出前に、二体の主要キャラクタと一体の補助キャラクタが登場した場合には、主要キャラクタ側のキャラクタは三体ということになるから、三体の主要キャラクタ(主要キャラクタ側のキャラクタ)対一体の敵キャラクタ(敵キャラクタ側のキャラクタ)の最終対戦演出が行われる。一方、例えば図32に示すように、最終対戦演出前に、一体の主要キャラクタと一体の補助キャラクタが登場した場合には、主要キャラクタ側のキャラクタは二体ということになるから、二体の主要キャラクタ(主要キャラクタ側のキャラクタ)対二体の敵キャラクタ(敵キャラクタ側のキャラクタ)の最終対戦演出が行われる。この場合、主要キャラクタ側のキャラクタ数が多く、敵キャラクタ側のキャラクタ数が少ない方が、主要キャラクタ側が勝利するかまたは負けない(引き分ける)可能性(信頼度)が高く設定される。すなわち、上記の例では、図31に示すケースの方が、図32に示すケースよりも大当たりの可能性(信頼度)が高い。このように、一または複数の主要キャラクタ側のキャラクタ対一または複数の敵キャラクタ(敵キャラクタ側のキャラクタ)が最終的に対戦する演出形態としてもよい。
【0135】
なお、この場合、複数種の主要キャラクタ側のキャラクタからなる主要キャラクタ群が存在するように設定され、この主要キャラクタ群を構成する複数の主要キャラクタ側のキャラクタのうち、主要キャラクタ側が勝利する可能性(負けない可能性)が高いキャラクタほど強いキャラクタとなるように設定してもよい。そうすれば、遊技者は、強い主要キャラクタ側のキャラクタが登場することを期待しつつ遊技を楽しむことになる。また、図31および図32に示すように、登場した補助キャラクタは、最終対戦演出前に、主要キャラクタ群から選択された主要キャラクタに置き換わるようにしてもよいし、そのまま補助キャラクタが主要キャラクタ側のキャラクタとして敵キャラクタ側との対戦に加わるようにしてもよい。
【0136】
また、上記対戦演出パターンにおいて、敵キャラクタは少なくとも表示領域の数以上の種類が存在するように(複数種の敵キャラクタからなる敵キャラクタ群が)設定され、この複数種の敵キャラクタのうち、敵キャラクタ側が勝利する可能性(主要キャラクタが負ける可能性)が高いキャラクタほど強い敵キャラクタとなるように、各敵キャラクタの強さを設定した構成としてもよい。このような構成とすれば、上記対戦演出パターンにおいて、残存する敵キャラクタの強弱によって主要キャラクタ側が勝利するかまたは引き分ける可能性が変化することになる。例えば、上記対戦演出パターンでは、補助キャラクタが登場することによって少なくとも一体の敵キャラクタが消滅することになるが、強い敵キャラクタが消滅するか、弱い敵キャラクタが消滅するかによって、主要キャラクタ側が勝利するかまたは引き分ける可能性(信頼度)が変化する遊技となるから、遊技者は強い敵キャラクタが消滅し、弱い敵キャラクタが残存することを期待しつつ遊技を楽しむことになる。
【0137】
具体的には、図33および図34に示すように、敵キャラクタ群が敵キャラクタA(5段階評価で強さ4)とその敵キャラクタAよりも弱い敵キャラクタB(5段階評価で強さ2)を含む場合において、最初の段階でこの敵キャラクタAと敵キャラクタBが表示されたとき、相対的に弱い敵キャラクタBが残存した方が、敵キャラクタAが残存したときよりも大当たりの可能性(信頼度)が高まることになる(つまり、図34のケースの方が大当たりの可能性が高い)。したがって、遊技者は、補助キャラクタの登場によって敵キャラクタAが消滅することを願うことになる。このように、「残存する敵キャラクタの数」および「残存する敵キャラクタの強弱」によって、大当たりとなる可能性が変化するから(演出のバリエーションが増加するから)、遊技の興趣をさらに高めることが可能となる。
【0138】
また、上記対戦演出パターンでは、主要キャラクタ側のキャラクタとして補助キャラクタが登場する可能性があることを説明したが、敵キャラクタ側のキャラクタとして別のキャラクタ(敵補助キャラクタ;第四のキャラクタ)が登場する可能性がある演出形態としてもよい。」

イ 図面の図示内容
「【図26】



「【図30】



「【図31】



ウ 認定事項
(ア)上記ア(カ)の段落【0124】には「・・・表示領域の少なくとも一つに主要キャラクタを、残りの表示領域に敵キャラクタを表示し、その後補助キャラクタが登場すれば、敵キャラクタの数が減少するという演出形態である。そして、対戦演出手段による最終対戦演出では、主要キャラクタ(主要キャラクタ側のキャラクタ)と戦う敵キャラクタ(敵キャラクタ側のキャラクタ)の数が少ないほど(主要キャラクタが勝利しやすいので)、大当たりとなる可能性(大当たり信頼度)が高く、外れとなる可能性が低くなるように設定されている。」と記載され、上記ア(キ)の段落【0138】には「また、上記対戦演出パターンでは、主要キャラクタ側のキャラクタとして補助キャラクタが登場する可能性があることを説明したが、敵キャラクタ側のキャラクタとして別のキャラクタ(敵補助キャラクタ;第四のキャラクタ)が登場する可能性がある演出形態としてもよい。」と記載されていることから、引用例1には「表示領域の少なくとも一つに主要キャラクタを、残りの表示領域に敵キャラクタを表示し、その後敵補助キャラクタが登場すれば、主要キャラクタ数が減少するという演出形態」が記載されているといえる。
そうすると、「対戦演出手段による最終対戦演出では、主要キャラクタ(主要キャラクタ側のキャラクタ)と戦う敵キャラクタ(敵キャラクタ側のキャラクタ)の数が少ないほど(主要キャラクタが勝利しやすいので)、大当たりとなる可能性(大当たり信頼度)が高く、外れとなる可能性が低くなるように設定されている。」(【0124】)のであるから、敵補助キャラクタが登場した場合、敵キャラクタの数が増加し、主要キャラクタの数が少ないほど、大当たりとなる可能性(大当たり信頼度)が低く、外れとなる可能性が高くなるように設定されているといえる(以下「認定事項(ア)」という。)。

(イ)上記ア(キ)の段落【0134】には「具体的には、例えば図31に示すように、最終対戦演出前に、二体の主要キャラクタと一体の補助キャラクタが登場した場合には、主要キャラクタ側のキャラクタは三体ということになるから、三体の主要キャラクタ(主要キャラクタ側のキャラクタ)対一体の敵キャラクタ(敵キャラクタ側のキャラクタ)の最終対戦演出が行われる。」と記載されており、図31には、主要キャラクタ側のキャラクタして「主1」、「主2」、「主3」と区別して図示されていることから、三体の主要キャラクタは3種類であるといえる(以下「認定事項(イ)」という。)。

エ 引用発明
上記アの記載事項、上記イの図面の図示内容及び上記ウの認定事項から、引用例1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認める(記号a等は、本件補正発明の記号A等に対応させて当審判合議体にて付した。)。

「a 左右に並ぶ左特別図柄と中特別図柄と右特別図柄が、所定時間変動表示された後、所定の演出判定結果に基づき左特別図柄、中特別図柄、右特別図柄が確定停止特別図柄として停止表示され(【0021】)、遊技の当否判定結果が大当たり(当たり)の場合には、表示部11に大当たりの特別図柄組合せで特別図柄が停止表示され、通常遊技よりも遊技者に有利な特別遊技(大当たり遊技)を実行する(【0022】)遊技機1(【0018】)において、
b、c、c1、d 遊技機1の裏側には、主制御基板200、サブ制御基板205、表示制御基板210、音声制御基板220、払出制御基板240、電源基板250、発射制御基板260等が設けられ(【0032】)、表示制御基板210は、サブ制御基板205から出力される制御信号に基づき、表示装置10に対して表示の制御を行い(【0040】)、表示装置10が有する表示部11には、特別図柄に加えて演出映像・画像(キャラクタ,背景,文字等)が表示されることもあり(【0021】)、対戦演出パターンは、勝利するかまたは負けなければ(引き分けであれば)遊技者側に有利な遊技状態(大当たり)となる主要キャラクタ(第一のキャラクタ)と、主要キャラクタを敗北させるなど勝利すれば遊技者側に不利な遊技状態(外れ)となる敵キャラクタであるホラー(第二のキャラクタ)が戦う「ホラー対戦演出」であり、主要キャラクタ側のキャラクタ(遊技者側に有利な遊技状態となる可能性(信頼度)を高めるキャラクタ)として補助キャラクタ(第三のキャラクタ)が登場することがあり(【0101】)、補助キャラクタが登場すれば、敵キャラクタの数が減少し(【0124】)、補助キャラクタを含む主要キャラクタ側のキャラクタに対する敵キャラクタ側のキャラクタ(敵キャラクタ)の表示数(表示領域)に応じて大当たりの可能性(信頼度)が異なり、敵キャラクタ側のキャラクタ数(表示領域数)が少ないほど、主要キャラクタ側のキャラクタ数(表示領域数)が多くなり大当たりの可能性(信頼度)が高くなるように構成されており(【0103】)、遊技者は、最終対戦演出において敵キャラクタ(敵キャラクタ側のキャラクタ)が少なくなることを願いつつ遊技を楽しむこととなり(【0125】)、
c2 演出乱数用カウンタによって取得された乱数が‘4’〜‘6’である場合には、ホラー対戦演出が実施され、表示部11には、二体の敵キャラクタ(敵キャラクタパネル)と、二体の主要キャラクタ(主要キャラクタパネル)が表示され(【0105】)、
e、h 複数種の主要キャラクタ側のキャラクタからなる主要キャラクタ群が存在するように設定され、この主要キャラクタ群を構成する複数の主要キャラクタ側のキャラクタのうち、主要キャラクタ側が勝利する可能性(負けない可能性)が高いキャラクタほど強いキャラクタとなるように設定し(【0135】)、敵キャラクタは少なくとも表示領域の数以上の種類が存在するように(複数種の敵キャラクタからなる敵キャラクタ群が)設定され、この複数種の敵キャラクタのうち、敵キャラクタ側が勝利する可能性(主要キャラクタが負ける可能性)が高いキャラクタほど強い敵キャラクタとなるように、各敵キャラクタの強さを設定した構成とし(【0136】)、
f ホラー対戦演出が実施されると、まず、表示部11において、停止した状態にある特別図柄が、変動を開始し、その最中、爆発が生じたかのような映像が表示され、表示部11が表示領域A1,表示領域A2,表示領域A3,表示領域A4に分割されて、分割された各表示領域には、一方側の面に主要キャラクタ、他方側の面に敵キャラクタが表示されたパネルが回転するような映像が表示され、所定時間経過後、パネルの回転が停止し、二つの表示領域のそれぞれには一つずつ敵キャラクタが表示され、残りの表示領域、すなわち二つの表示領域のそれぞれには一つずつ主要キャラクタが表示され、表示部11には、二体の敵キャラクタ(敵キャラクタパネル)と、二体の主要キャラクタ(主要キャラクタパネル)が表示され(【0104】)、取得された補助キャラクタ表示用乱数値が‘0’〜‘4’である場合、表示領域変更手段により敵キャラクタが表示されていた表示領域の一つに補助キャラクタを表示し、一の表示領域において、敵キャラクタが補助キャラクタに変更され、二体であった敵キャラクタが一体となり、敵キャラクタが表示されていた表示領域に補助キャラクタを表示することで、主要キャラクタ側の表示領域を拡大すると共に敵キャラクタ側の表示領域を減少させ(【0106】)、
g 表示領域の少なくとも一つに主要キャラクタを、残りの表示領域に敵キャラクタを表示し、その後敵補助キャラクタが登場すれば、主要キャラクタ数が減少し(【0138】、認定事項(ア))、敵補助キャラクタが登場した場合、敵キャラクタの数が増加し、主要キャラクタの数が少ないほど、大当たりとなる可能性(大当たり信頼度)が低く、外れとなる可能性が高くなるように設定され(認定事項(ア))、
h 最終対戦演出前に、二体の主要キャラクタと一体の補助キャラクタが登場した場合には、主要キャラクタ側のキャラクタは3種類の三体ということになり、三体の主要キャラクタ(主要キャラクタ側のキャラクタ)対一体の敵キャラクタ(敵キャラクタ側のキャラクタ)の最終対戦演出が行われる(【0134】、認定事項(イ))
i 遊技機1(【0018】)。」

(3)周知技術
ア 周知例1
新たに提示する本願の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2017−217566号公報(平成29年12月14日公開)(以下「周知例1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

(ア)「【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態に係るパチンコ遊技機(遊技機)の構成及び各種動作について、図面を参照しながら説明する。」

(イ)「【0650】
(5)雷背景の通常リーチ演出
雷背景の通常リーチ演出では、演出開始後、まず、液晶画面に雷背景の背景画像が表示されるとともに、中装飾図柄が消える。次いで、液晶画面において稲光が発生する映像演出が行われ、該稲光により、液晶画面の中央に上記背景Aの演出で説明したキャラクタA〜E及び特別キャラクタのいずれかのキャラクタが一瞬映し出される映像演出が行われる。次いで、この稲光によりキャラクタを一瞬映し出す映像演出が所定回数繰り返される。そして、最後の稲光によりキャラクタが映し出されると、演出が、雷背景の通常リーチ演出から該キャラクタの種別に対応するスペシャルリーチ演出に発展する。
【0651】
図60に、本実施の形態で用意されている雷背景の演出パターンを示す。図60では、雷背景の演出パターン(No.1〜20)毎に設定された、稲光毎(最終の稲光発生時(最終結果)も含む)に映し出されるキャラクタの種別の組合せと大当り期待度との対応関係を示す。なお、雷背景の通常リーチ演出において実際に液晶画面に映し出されるキャラクタの順序(最終結果以外)は、図60の演出内容欄に記載されているキャラクタの並び順であってもよいし、図60の演出内容欄に記載されているキャラクタの並び順でなくてもよい。」

(ウ)「【図60】



(エ)認定事項
上記(イ)の段落【0651】には「・・・図60では、雷背景の演出パターン(No.1〜20)毎に設定された、稲光毎(最終の稲光発生時(最終結果)も含む)に映し出されるキャラクタの種別の組合せと大当り期待度との対応関係を示す。・・・」と記載され、(ウ)の図60では、例えば、No.2で、演出内容として、稲光毎に、キャラA、キャラA、キャラBの組合せで、最終結果が、キャラBの場合の期待度は、5%であり、No.3で、キャラB、キャラB、キャラBの組合せで、最終結果が、キャラBの場合の期待度は、10%であり、No.4で、キャラA、キャラB、キャラCの組合せで、最終結果が、キャラCの場合の期待度は、15%であり、No.5で、キャラA、キャラC、キャラCの組合せで、最終結果が、キャラCの場合の期待度は、20%であり、No.6で、キャラC、キャラC、キャラCの組合せで、最終結果が、キャラCの場合の期待度は、25%であることが図示されており、No.1〜No.20のその他の稲光毎のキャラの例を含めて、周知例1には、演出で表示されるキャラの種類の組合せに応じて大当たり期待度が異なることが記載されているといえる((以下「認定事項(エ)」という。)。


(オ)上記(ア)〜(ウ)の記載事項及び(エ)の認定事項から周知例1には次の事項が記載されている(以下「周知例1の記載事項」という。)。
「演出で表示されるキャラの種類の組合せに応じて大当たり期待度が異なる遊技機。」

イ 周知例2
新たに提示する本願の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2016−47466号公報(平成28年4月7日公開)(以下「周知例2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

(ア)「【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、遊技機の一例としてパチンコ遊技機を示すが、本発明はパチンコ遊技機に限られず、コイン遊技機、あるいは、スロットマシン等のその他の遊技機であってもよく、各々が識別可能な複数種類の識別情報を可変表示する可変表示手段に予め定められた特定表示結果が導出表示されたときに、遊技者にとって有利な特定遊技状態に制御する遊技機であれば、どのような遊技機であってもよい。」

(イ)「【0486】
図76は、第4予告演出の一例としてのミニキャラ予告が実行されたときの演出表示装置9における表示例を示す説明図である。図76では、(A)〜(E)に、擬似連の変動表示中にミニキャラ予告が実行されたときの表示状態が時間経過にしたがって示されている。
【0487】
図76においては、一例として、第1ステップアップ予告が実行されているときにミニキャラ予告が実行されたときの表示状態が示されている。ミニキャラ予告は、前述したように、他の予告演出とは別個に実行の有無および予告パターンが決定されるので、他の予告演出と同時に実行されるときと、ミニキャラ予告単独で実行されるときとがある。
【0488】
(A)に示すような演出図柄が停止されている状態から(B1)、(B2)、または(B3)に示すようなすべての図柄表示エリア9L、9C、9Rで演出図柄が変動を開始した段階になると、ミニキャラ予告が行なわれるときには、複数種類のミニキャラ画像961,962,963のうちから選択されたミニキャラ画像が演出表示装置9において表示される。
【0489】
たとえば、(B1)に示される第1ミニキャラ画像961は、虫の形状のミニキャラであり、ミニキャラ表示Aの予告パターンが選択されたときに表示される。(B2)に示される第2ミニキャラ画像962は、木の葉の形状のミニキャラであり、ミニキャラ表示Bの予告パターンが選択されたときに表示される。(B3)に示される第3ミニキャラ画像963は、鳥の形状のミニキャラであり、ミニキャラ表示Cの予告パターンが選択されたときに表示される。
【0490】
ミニキャラ予告の予告パターンとしてのミニキャラ表示A〜ミニキャラ表示Cについては、ミニキャラ表示A<ミニキャラ表示B<ミニキャラ表示Cの順序で、その後に大当りとなる割合が高くなるように大当りとなる信頼度が設定されている。これにより、遊技者からの見た目では、第1ミニキャラ画像961<第2ミニキャラ画像962<第3ミニキャラ画像963の順序で、表示されたときにその後に大当りとなる割合が高くなるように大当りとなる信頼度が設定されている。
【0491】
ミニキャラ画像は、このようなミニキャラ予告を行なう第1ミニキャラ画像961〜第3ミニキャラ画像963を含めて、複数種類の画像が設けられており、略すべての変動表示の開始時において、大当りとなるか否かに関係なくいずれかのミニキャラ画像がランダムに選択されて表示される。したがって、第1ミニキャラ画像961〜第3ミニキャラ画像963を用いたミニキャラ予告は、大当りとなる信頼度がその他の予告演出よりも低いものとなる。
【0492】
ミニキャラ画像は、視認性が低い画像であるので、この実施の形態のようにミニキャラ予告を行なうときには、遊技経験が浅い遊技者にとっては見逃しやすくなる予告演出であるが、遊技経験を積んだ熟練の遊技者にとっては見逃さなくても済むような予告演出にすることが可能であるので、熟練の遊技者の満足感を高めることができる。
【0493】
なお、ミニキャラ画像としては、ミニキャラ予告以外のときにミニキャラ画像を表示しないようにするか、ミニキャラ予告以外のときにミニキャラ画像を実行する割合を極めて低くなるようにしてもよい。このようにすれば、ミニキャラ予告の大当りへの信頼度が高くなることにより、ミニキャラ画像に遊技者の注意を引き付けることができる。また、ミニキャラ画像については、ミニキャラ予告に用いる第1ミニキャラ画像961〜第3ミニキャラ画像963に限定して、ミニキャラ予告以外のときにミニキャラ画像を表示しないようにするか、ミニキャラ予告以外のときにミニキャラ画像を実行する割合を極めて低くなるようにしてもよい。このようにすれば、ミニキャラ予告に用いられる特定のミニキャラ画像について、ミニキャラ予告の大当りへの信頼度が高くなることにより、ミニキャラ画像に遊技者の注意を引き付けることができる。
【0494】
なお、ミニキャラ予告の予告パターンであるミニキャラ表示としては、1つのミニキャラ画像のみを表示する例を示したが、これに限らず、ミニキャラ表示として、複数のミニキャラ画像を表示するようにしてもよい。また、複数のミニキャラ画像を表示するときには、表示するミニキャラ画像の数が時間経過にしたがって増加するような演出を行なうようにしてもよい。このように複数のミニキャラ画像を表示可能にするときには、ミニキャラ画像の数が多い程、予告後に大当りとなる割合が高くなるように大当りとなる信頼度が設定されるようにしてもよい。
【0495】
また、ミニキャラ予告の予告パターンであるミニキャラ表示としては、異なる種類のミニキャラ画像から選択したミニキャラ画像のみを表示する例を示したが、これに限らず、ミニキャラ表示として、同じ種類のミニキャラ画像であるが画像の表示サイズ(表示面積)が異なるミニキャラ画像を表示するようにしてもよい。そのような同種類で表示サイズが異なるミニキャラ画像を表示するときには、ミニキャラ画像の表示サイズが大きい程、予告後に大当りとなる割合が高くなるように大当りとなる信頼度が設定されるようにしてもよい。
【0496】
また、ミニキャラ予告の予告パターンであるミニキャラ表示としては、大当りとなる信頼度に応じて、異なる種類のミニキャラ画像から選択したミニキャラ画像の組合せを表示するようにしてもよい。たとえば、3種類のミニキャラ画像のうちから表示するミニキャラ画像を選択し、選択されたミニキャラ画像を表示し、その表示されたミニキャラ画像の組合せにより大当りとなる信頼度が異なるようにしてもよい。たとえば、3種類のミニキャラ画像について、大当りとなる信頼度に応じて選択するか否かを決定する割合を異ならせたミニキャラ画像選択テーブルをミニキャラ画像別に設け、ミニキャラ画像別に、選択するか否かの決定を行なう。これにより、大当りとなる信頼度に応じてミニキャラ画像の選択されやすさが異なるので、表示されたミニキャラ画像の組合せ(ミニキャラ画像が選択されない場合もあり、1つのミニキャラ画像のみが選択される場合もある)により、大当りとなる信頼度が異なるようにすることができる。このようにすれば、ミニキャラ画像を用いた演出の面白みが向上し、遊技の興趣をより一層向上させることができる。なお、組合せて表示するミニキャラ画像を、大当りとなる信頼度に応じて選択割合が異なる態様で予め定めたミニキャラ画像組合せ選択テーブルを1つ設けておき、そのミニキャラ画像組合せ選択テーブルを用いてミニキャラ画像の組合せを一括的に選択する制御(ミニキャラ画像が選択されない場合があってもよく、1つのミニキャラ画像のみが選択される場合もあってもよい)を行なうようにしてもよい。このようにすれば、ミニキャラ画像の組合せを選択するときの演出制御用マイクロコンピュータ100の処理負担を軽減することができる。
【0497】
このように、ミニキャラ予告においては、大当りの信頼度に応じた演出態様でミニキャラ画像が表示させられることにより、遊技者の興趣を向上させることができる。」

(ウ)「【図76】



(ウ)上記(ア)及び(イ)の記載事項から周知例2には次の事項が記載されている(以下「周知例2の記載事項」という。)
「複数種類のミニキャラ画像961,962,963のうちから選択されたミニキャラ画像が演出表示装置9において表示され、3種類のミニキャラ画像のうちから表示するミニキャラ画像を選択し、選択されたミニキャラ画像を表示し、その表示されたミニキャラ画像の組合せにより大当りとなる信頼度が異なる遊技機。」

ウ 周知技術
上記ア(オ)の周知例1の記載事項及びイ(ウ)の周知例2の記載事項を総合すると、
「複数種類のキャラのうち、表示されるキャラの種類の組合せにより大当たりとなる期待度が異なる遊技機。」は本願出願前に遊技機の分野で周知(以下「周知技術」という。)であると認められる。

(4)対比
本件補正発明と引用発明とを、分説に従い対比する。

ア 構成Aについて
引用発明の構成aの「所定時間変動表示された後、所定の演出判定結果に基づき左特別図柄、中特別図柄、右特別図柄が確定停止特別図柄として停止表示され」たときの「確定停止特別図柄」、「大当たりの特別図柄組合せで特別図柄が停止表示され」た場合、「通常遊技よりも遊技者に有利な特別遊技(大当たり遊技)を実行する」ことが可能であること、「遊技機1」は、それぞれ本件補正発明の「ゲームの結果」、「特別結果となった場合」、「遊技者に有利な特別遊技状態を発生可能」であること、「遊技機」に相当する。
よって、引用発明の構成aは、本件補正発明の構成Aに相当する構成を有する。

イ 構成Bについて
引用発明の構成b、c、c1、dでは、「遊技機1の裏側には、主制御基板200、サブ制御基板205、表示制御基板210、音声制御基板220、払出制御基板240、電源基板250、発射制御基板260等が設けられ、表示制御基板210は、サブ制御基板205から出力される制御信号に基づき、表示装置10に対して表示の制御を行い、表示装置10が有する表示部11には、特別図柄に加えて演出映像・画像(キャラクタ,背景,文字等)が表示されることもあり、対戦演出パターンは、勝利するかまたは負けなければ(引き分けであれば)遊技者側に有利な遊技状態(大当たり)となる主要キャラクタ(第一のキャラクタ)と、主要キャラクタを敗北させるなど勝利すれば遊技者側に不利な遊技状態(外れ)となる敵キャラクタであるホラー(第二のキャラクタ)が戦う「ホラー対戦演出」であり、主要キャラクタ側のキャラクタ(遊技者側に有利な遊技状態となる可能性(信頼度)を高めるキャラクタ)として補助キャラクタ(第三のキャラクタ)が登場することがあり、補助キャラクタを含む主要キャラクタ側のキャラクタに対する敵キャラクタ側のキャラクタ(敵キャラクタ)の表示数(表示領域)に応じて大当たりの可能性(信頼度)が異なり、敵キャラクタ側のキャラクタ数(表示領域数)が少ないほど、主要キャラクタ側のキャラクタ数(表示領域数)が多くなり大当たりの可能性(信頼度)が高くなるように構成されて」いることから、引用発明の構成b、c、c1、dの「ホラー対戦演出」、「表示制御基板210」は、それぞれ本件補正発明の「前記特別遊技状態が発生する期待度を示唆可能な特定演出(バトル演出)」、「特定演出実行手段」に相当する。
よって、引用発明の構成b、c、c1、dは、本件補正発明の構成Bに相当する構成を有する。

ウ 構成C及び構成C1について
引用発明の構成b、c、c1、dの「表示制御基板210」、「主要キャラクタ(第一のキャラクタ)」及び「補助キャラクタ(第三のキャラクタ)」、「敵キャラクタであるホラー(第二のキャラクタ)」及び構成c1,gの「敵補助キャラクタ」、「表示装置10」は、それぞれ本件補正発明の「前記特定演出実行手段」、「第1キャラクタ(味方キャラクタ)」、「第2キャラクタ(敵キャラクタ)」、「表示装置」に相当する。
よって、引用発明の構成b、c、c1、d及び構成c1、gは、本件補正発明の構成C及び構成C1に相当する構成を有する。

エ 構成C2について
引用発明の構成c2の「ホラー対戦演出が実施され」ている間であること、「二体の主要キャラクタ(主要キャラクタパネル)が表示され」ること、「二体の敵キャラクタ(敵キャラクタパネル)」「が表示され」ることは、それぞれ本件補正発明の「前記特定演出の実行中」であること、「前記第1キャラクタを複数表示可能である」こと、「前記第2キャラクタを複数表示可能であ」ることに相当する。
よって、引用発明の構成c2は、本件補正発明の構成C2に相当する構成を有する。

オ 構成Dについて
引用発明の構成b、c、c1、dでは、「補助キャラクタを含む主要キャラクタ側のキャラクタに対する敵キャラクタ側のキャラクタ(敵キャラクタ)の表示数(表示領域)に応じて大当たりの可能性(信頼度)が異なり、敵キャラクタ側のキャラクタ数(表示領域数)が少ないほど、主要キャラクタ側のキャラクタ数(表示領域数)が多くなり大当たりの可能性(信頼度)が高くなるように構成されており、遊技者は、最終対戦演出において敵キャラクタ(敵キャラクタ側のキャラクタ)が少なくなることを願いつつ遊技を楽しむこととな」っており、「主要キャラクタ側のキャラクタ(遊技者側に有利な遊技状態となる可能性(信頼度)を高めるキャラクタ)として補助キャラクタ(第三のキャラクタ)が登場することがあり、補助キャラクタが登場すれば、敵キャラクタの数が減少し、補助キャラクタを含む主要キャラクタ側のキャラクタに対する敵キャラクタ側のキャラクタ(敵キャラクタ)の表示数(表示領域)に応じて大当たりの可能性(信頼度)が異なり、敵キャラクタ側のキャラクタ数(表示領域数)が少ないほど、主要キャラクタ側のキャラクタ数(表示領域数)が多くなり大当たりの可能性(信頼度)が高くなるように構成されて」おり、引用発明では、「主要キャラクタ」及び「補助キャラクタ」(第1キャラクタ)の表示数(本件補正発明の「第1キャラクタの総数」の「N」に相当)が「敵キャラクタ側のキャラクタ数(敵キャラクタと敵補助キャラクタ)」の表示数(本件補正発明の「第2キャラクタの総数」の「M」に相当)より多いほど(本件補正発明の「N−Mが大きいほど」に相当)大当たりの可能性(信頼度)(本件補正発明の「期待度」に相当)が高くなるように構成されている。
よって、引用発明の構成b、c、c1、dは、本件補正発明の構成Dに相当する構成を有する。

カ 構成Eについて
引用発明の構成e、hでは、「複数種の主要キャラクタ側のキャラクタからなる主要キャラクタ群が存在するように設定され」、「敵キャラクタは少なくとも表示領域の数以上の種類が存在するように(複数種の敵キャラクタからなる敵キャラクタ群が)設定され」ていることから、「主要キャラクタ側のキャラクタ」及び「敵キャラクタ」はそれぞれ複数種類あることは明らかである。
よって、引用発明の構成e、hは、本件補正発明の構成Eに相当する構成を有する。

キ 構成Fについて
引用発明の構成fでは、「ホラー対戦演出が実施されると」「表示部11には、二体の敵キャラクタ(敵キャラクタパネル)と、二体の主要キャラクタ(主要キャラクタパネル)が表示され」「取得された補助キャラクタ表示用乱数値が‘0’〜‘4’である場合、表示領域変更手段により敵キャラクタが表示されていた表示領域の一つに補助キャラクタを表示し、一の表示領域において、敵キャラクタが補助キャラクタに変更され、二体であった敵キャラクタが一体となり敵キャラクタが表示されていた表示領域に補助キャラクタを表示することで、主要キャラクタ側の表示領域を拡大すると共に敵キャラクタ側の表示領域を減少させ」ており、引用発明の構成fの「主要キャラクタ」、「補助キャラクタ」は、それぞれ本件補正発明の「第1種類の前記第1キャラクタ」、「当該第1種類とは異なる第2種類の前記第1キャラクタ」に相当する。
そして、引用発明で「敵キャラクタが表示されていた表示領域に補助キャラクタを表示することで、主要キャラクタ側の表示領域を拡大すると共に敵キャラクタ側の表示領域を減少させ」て、敵キャラクタ側の表示領域が減少することにより、主要キャラクタ側の表示領域が増加しているから、本件補正発明の「当該第2種類の第1キャラクタの表示に基づいて前記第1キャラクタの総数Nは増加され」ることに相当する。
また、引用発明の構成b、c、c1、dで「敵キャラクタ側のキャラクタ数(表示領域数)が少ないほど、主要キャラクタ側のキャラクタ数(表示領域数)が多くなり大当たりの可能性(信頼度)が高くなるように構成されて」いるから、本件補正発明の「増加した前記第1キャラクタの総数NによるN−Mで前記期待度を示唆」すること、に相当する構成を備えていることは明らかである。
よって、引用発明の構成fは、本件補正発明の構成Fに相当する構成を有する。

ク 構成Gについて
引用発明の構成gの「敵キャラクタ」、「敵補助キャラクタ」、「敵補助キャラクタが登場」、「敵キャラクタの数が増加」することは、それぞれ本件補正発明の「第3種類の前記第2キャラクタ」、「当該第3種類とは異なる第4種類の前記第2キャラクタ」、「当該第4種類の第2キャラクタの表示」、「前記第2キャラクタの総数Mは増加され」ることに相当する。
そして、引用発明で「主要キャラクタの数が少ないほど、大当たりとなる可能性(大当たり信頼度)が低く、外れとなる可能性が高くなるように設定されている」ことから、引用発明が、本件補正発明の「増加した前記第2キャラクタの総数MによるN−Mで前記期待度を示唆」することに相当する構成を有することは明らかである。
よって、引用発明の構成gは、本件補正発明の構成Gに相当する構成を有する。

ケ 構成Hについて
引用発明の構成hの「三体の主要キャラクタ」は「3種類」であることは、本件補正発明の「前記第1キャラクタの種類は少なくとも3種類あ」ることに相当する。
また、引用発明で、主要キャラクタが表示されるのは対戦演出パターンであるホラー対戦演出(本件補正発明の「特定演出」)中であることは明らかである。
そして、引用発明の構成e、hでは「主要キャラクタ側が勝利する可能性(負けない可能性)が高いキャラクタほど強いキャラクタとなるように設定し」ており、構成b、c、c1、dでは「対戦演出パターンは、勝利するかまたは負けなければ(引き分けであれば)遊技者側に有利な遊技状態(大当たり)となる」ことから、引用発明と本件補正発明とは、「前記第1キャラクタの種類は少なくとも3種類あり、前記特定演出の実行中に表示される当該第1キャラクタの種類に応じて前記期待度が異なる」点で共通する。

コ 構成Iについて
引用発明の構成iの「遊技機1」は、本件補正発明の「遊技機」に相当する。
よって、引用発明の構成iは、本件補正発明の構成Iに相当する構成を有する。

上記ア〜コによれば、本件補正発明と引用発明は、
<一致点>
「A ゲームの結果が特別結果となった場合に遊技者に有利な特別遊技状態を発生可能な遊技機において、
B 前記特別遊技状態が発生する期待度を示唆可能な特定演出を実行する特定演出実行手段を備え、
C 前記特定演出実行手段は、
C1 第1キャラクタと、第2キャラクタと、を表示装置に表示可能であり、
C2 前記特定演出の実行中に、前記第1キャラクタを複数表示可能であるとともに、前記第2キャラクタを複数表示可能であり、
D 前記特定演出の実行中に表示される前記第1キャラクタの総数をN(N≧1)とし、当該特定演出の実行中に表示される前記第2キャラクタの総数をM(M≧1)とした場合に、N−Mが大きいほど前記期待度が高く、
E 前記第1キャラクタ又は前記第2キャラクタには複数の種類があり、
F 第1種類の前記第1キャラクタを表示した後に当該第1種類とは異なる第2種類の前記第1キャラクタを表示した場合に、当該第2種類の第1キャラクタの表示に基づいて前記第1キャラクタの総数Nは増加され、増加した前記第1キャラクタの総数NによるN−Mで前記期待度を示唆し、
G 又は第3種類の前記第2キャラクタを表示した後に当該第3種類とは異なる第4種類の前記第2キャラクタを表示した場合に、当該第4種類の第2キャラクタの表示に基づいて前記第2キャラクタの総数Mは増加され、増加した前記第2キャラクタの総数MによるN−Mで前記期待度を示唆し、
H’前記第1キャラクタの種類は少なくとも3種類あり、前記特定演出の実行中に表示される当該第1キャラクタの種類に応じて前記期待度が異なる
I 遊技機。」

<相違点1>(構成H)
本件補正発明では「前記特定演出の実行中に表示される当該第1キャラクタの種類の組み合わせに応じて前記期待度が異なる」のに対して、
引用発明では、主要キャラクタの種類に応じて大当たりの可能性(信頼度)が異なっているものの、主要キャラクタの種類の組合せに応じて期待度が異なっていない点。

(5)判断
ア 相違点1について検討する。
上記(3)ウで示した周知技術の「キャラの種類の組合せ」、「大当たりとなる期待度が異なる」は、それぞれ本件補正発明の「第1キャラクタの種類の組み合わせ」、「前記期待度が異なる」に相当する。
そして、引用発明及び周知技術は、ともに遊技機におけるキャラクタの演出で遊技者に期待度を示唆するものであり、ともにキャラクタの演出により遊技の興趣を向上するという共通の課題を内在していることは明らかであるから、引用発明の主要キャラクタの種類を用いた大当たりの可能性(信頼度)の示唆の手法として、上記周知技術を適用して、主要キャラクタの種類に応じて大当たりの可能性(信頼度)を異ならせることに加え、主要キャラクタの種類の組み合わせによっても大当たりとなる期待度が異なるようにして、本件補正発明の相違点1に係る発明の構成とすることは当業者が容易になし得たことである。

イ そして、本件補正発明の奏する効果は、引用発明の奏する効果及び上記周知技術の奏する効果から、当業者が予測することができた程度のものである。

(6)請求人の主張について
請求人は、令和4年2月15日付けの審判請求書において、次の点について主に主張をする(下線は当審判合議体で付した。)。
「3−3 本願発明が特許されるべき理由
本願請求項1,2に係る発明は、上記の構成〔A〕を備えています。すなわち、特定演出の実行中に表示される第1キャラクタの総数と第2キャラクタの総数の差(N−M)によって、特定演出の大当り期待度が異なるだけでなく、特定演出の実行中に表示される第1キャラクタの種類の組み合わせによっても、特定演出の大当り期待度が異なります。したがって、キャラクタ数の差(N−M)だけでなく、第1キャラクタの種類の組み合わせにも、遊技者が興味を持つこととなって、興趣の高い特定演出を実行することが可能となります。
また、キャラクタ数の差(N−M)によって大当り期待度を報知するだけでなく、第1キャラクタの種類の組み合わせによっても大当り期待度を報知することで、特定演出のバリエーションを増やすことができるので、特定演出によって遊技の興趣をより一層高めることが可能となります。

引用文献1(特開2013−42778号公報)の遊技機は、主要キャラクタと敵キャラクタが対戦する対戦演出を実行可能であり、主要キャラクタ側と敵キャラクタ側の表示数によって判定結果が当たりである可能性を報知します([請求項1])。
そして、引用文献1の[0135]には“複数種の主要キャラクタ側のキャラクタからなる主要キャラクタ群が存在するように設定され、この主要キャラクタ群を構成する複数の主要キャラクタ側のキャラクタのうち、主要キャラクタ側が勝利する可能性(負けない可能性)が高いキャラクタほど強いキャラクタとなるように設定してもよい。そうすれば、遊技者は、強い主要キャラクタ側のキャラクタが登場することを期待しつつ遊技を楽しむことになる。”と記載されています。すなわち、引用文献1には、登場する主要キャラクタの種類によって大当り期待度が異なることが記載されています。しかしながら、引用文献1には、登場する主要キャラクタの種類の組み合わせによって大当り期待度が異なることについての記載や示唆はありません。
また、引用文献1の[0136]〜[0137]には“複数種の敵キャラクタのうち、敵キャラクタ側が勝利する可能性(主要キャラクタが負ける可能性)が高いキャラクタほど強い敵キャラクタとなるように、各敵キャラクタの強さを設定した構成としてもよい。・・・具体的には、図33および図34に示すように、敵キャラクタ群が敵キャラクタA(5段階評価で強さ4)とその敵キャラクタAよりも弱い敵キャラクタB(5段階評価で強さ2)を含む場合において、最初の段階でこの敵キャラクタAと敵キャラクタBが表示されたとき、相対的に弱い敵キャラクタBが残存した方が、敵キャラクタAが残存したときよりも大当たりの可能性(信頼度)が高まることになる(つまり、図34のケースの方が大当たりの可能性が高い)。したがって、遊技者は、補助キャラクタの登場によって敵キャラクタAが消滅することを願うことになる。”と記載されています。したがって、敵キャラクタBが表示されるパターンには、敵キャラクタBのみが表示される第1パターンと、敵キャラクタAとBが表示されて敵キャラクタAが残存する第2パターンと、敵キャラクタAとBが表示されて敵キャラクタBが残存する第3パターンと、があり、これらのパターンのうち、第2パターンと第3パターンは大当り期待度が異なりますが、第1パターンと第3パターンは大当り期待度が同一であります。すなわち、引用文献1には、残存する敵キャラクタの種類によって(敵キャラクタAが残存するパターンと敵キャラクタBが残存するパターンとで)大当り期待度が異なることが記載されていますが、表示される敵キャラクタの種類の組み合わせによって(敵キャラクタBのみが表示されるパターンと敵キャラクタAとBが表示されるパターンとで)大当り期待度が異なることについての記載や示唆はありません。
これに対し、本願発明では、表示される第1キャラクタの種類の組み合わせによって大当り期待度が異なります。具体的には、例えば、第1キャラクタの種類が第1キャラクタA〜Cの3種類である場合には、これら3種類の第1キャラクタのうち、いずれか1種類のみが表示されるか、いずれか2種類のみが表示されるか、全種類が表示されるか、によって大当り期待度が異なり、さらに、いずれか1種類のみが表示される場合にも、第1キャラクタAが表示されるか、第1キャラクタBが表示されるか、第1キャラクタCが表示されるか、によって大当り期待度が異なり、いずれか2種類のみが表示される場合にも、第1キャラクタAとBが表示されるか、第1キャラクタAとCが表示されるか、第1キャラクタBとCが表示されるか、によって大当り期待度が異なります。すなわち、第1キャラクタの種類の組み合わせによって大当り期待度が異なるので、例えば、第1キャラクタBが表示されるパターンには、第1キャラクタBのみが表示されるパターンと、第1キャラクタAとBが表示されるパターンと、第1キャラクタBとCが表示されるパターンと、第1キャラクタAとBとCが表示されるパターンと、がありますが、これらのパターンはそれぞれ大当り期待度が異なります。
以上のことから、本願請求項1,2に係る発明は、引用文献1に記載された発明とは異なり、また、引用文献1に記載された発明から容易に想到することができないため、新規性及び進歩性を有するものと思料いたします。」

そこで、請求人の上記主張について検討する。
上記(3)ウで示したとおり「複数種類のキャラのうち、表示されるキャラの種類の組合せにより大当たりとなる期待度が異なる遊技機。」は遊技機の分野において周知技術である。
そして、(5)アで説示したとおり、当該周知技術を適用して、本件補正発明の相違点1に係る発明の構成とすることは当業者が容易になし得たことであるから、請求人の上記主張を採用することはできない。

(7)まとめ
以上のように、本件補正発明は、当業者が、引用発明及び上記周知技術から容易に発明できたものである。
したがって、本件補正発明は、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3 むすび
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和3年9月17日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
ゲームの結果が特別結果となった場合に遊技者に有利な特別遊技状態を発生可能な遊技機において、
前記特別遊技状態が発生する期待度を示唆可能な特定演出を実行する特定演出実行手段を備え、
前記特定演出実行手段は、
第1キャラクタと、第2キャラクタと、を表示装置に表示可能であり、
前記特定演出の実行中に、前記第1キャラクタを複数表示可能であるとともに、前記第2キャラクタを複数表示可能であり、
前記特定演出の実行中に表示される前記第1キャラクタの総数をN(N≧1)とし、当該特定演出の実行中に表示される前記第2キャラクタの総数をM(M≧1)とした場合に、N−Mが大きいほど前記期待度が高く、
前記第1キャラクタ又は前記第2キャラクタには複数の種類があり、
第1種類の前記第1キャラクタを表示した後に当該第1種類とは異なる第2種類の前記第1キャラクタを表示した場合に、当該第2種類の第1キャラクタの表示に基づいて前記第1キャラクタの総数Nは増加され、増加した前記第1キャラクタの総数NによるN−Mで前記期待度を示唆し、又は第3種類の前記第2キャラクタを表示した後に当該第3種類とは異なる第4種類の前記第2キャラクタを表示した場合に、当該第4種類の第2キャラクタの表示に基づいて前記第2キャラクタの総数Mは増加され、増加した前記第2キャラクタの総数MによるN−Mで前記期待度を示唆することを特徴とする遊技機。」

2 原査定の拒絶の理由(令和3年11月26日付け)
原査定の拒絶の理由は、概ね、次のとおりである。
1.(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
2.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記(引用文献等については引用文献等一覧参照)
●理由1(新規性)、理由2(進歩性)について
・請求項 1
・引用文献等 1〜3のいずれか1つ

<引用文献等一覧>
1.特開2014−155582号公報
2.特開2013−42778号公報
3.特開2001−129191号公報

3 引用例1に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用文献2として引用された特開2013−42778号公報(上記引用例1)の記載事項及び引用発明の認定については、上記「第2〔理由〕2 2−2(2)引用発明」に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明(上記第2〔理由〕1)は、本件補正発明(上記第2〔理由〕2 2−2(1))から、上記「第2〔理由〕2 2−1」において検討したとおり、本件補正発明において、「第1キャラクタ」に関して、「前記第1キャラクタの種類は少なくとも3種類あ」るという限定を省くとともに、「前記特定演出の実行中に表示される当該第1キャラクタの種類の組み合わせに応じて前記期待度が異なる」という限定を省いたものであり、本願発明は、本件補正発明から、上記相違点1に係る構成を削除したものである。
そうすると、本願発明と引用発明とは、上記「第2〔理由〕2 2−2(4)対比」において相違点が存在しないから、本願発明は引用発明である。

5 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないから、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。

 
別掲 (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。
 
審理終結日 2022-08-30 
結審通知日 2022-09-06 
審決日 2022-09-20 
出願番号 P2019-025056
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 113- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 南 宏輔
特許庁審判官 澤田 真治
村田 泰利
発明の名称 遊技機  
代理人 荒船 良男  
代理人 特許業務法人光陽国際特許事務所  

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