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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04W
管理番号 1391893
総通号数 12 
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2022-04-05 
確定日 2022-11-21 
事件の表示 特願2020−511538「ワイヤレスネットワークでWUR端末を起動するための方法および装置」拒絶査定不服審判事件〔平成31年 2月28日国際公開、WO2019/037747、令和 2年11月 5日国内公表、特表2020−532233、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2018年(平成30年)8月23日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2017年8月25日 中華人民共和国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

令和2年 4月 6日 :手続補正書の提出
令和3年 4月 1日付け:拒絶理由通知書
令和3年 4月15日 :応対記録
令和3年 7月 5日 :意見書、手続補正書の提出
令和3年12月 1日付け:拒絶査定
令和4年 4月 5日 :拒絶査定不服審判の請求、手続補正書の提出
令和4年 7月13日 :上申書の提出
令和4年 9月14日 :上申書の提出

第2 原査定の概要
原査定(令和3年12月1日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記(引用例については引用文献等一覧を参照)
・請求項1、5、13に対して、引用例1ないし4

引用文献等一覧
1.特表2016−509437号公報(以下、「引用例1」という。)
2.国際公開第2009/011065号(以下、「周知例2」という。)
3.特開平8−242478号公報(以下、「周知例3」という。)
4.国際公開第2014/054237号(以下、「周知例4」という。)

第3 本願発明
本願請求項1ないし4に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明4」という。)は、令和4年4月5日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。

「 【請求項1】
ワイヤレスネットワークでウェイクアップ無線(WUR)端末を起動するための方法であって、
無線アクセスポイントによって、前記WUR端末が前記無線アクセスポイントに関連付けられた時点に基づいて設定されるグループ化ルールにより、少なくとも1つのWUR端末を少なくとも1つのグループにグループ化するステップと、
前記無線アクセスポイントによって、グループ識別子を前記少なくとも1つのグループのそれぞれに割り当てるステップと、
前記無線アクセスポイントによって、対応するグループ識別子を前記少なくとも1つのWUR端末のそれぞれに送信するステップと、
前記無線アクセスポイントによって、ターゲットグループのすべてのWUR端末の起動を試みるために、前記ターゲットグループのグループ識別子を含むWURウェイクアップパケットを送信するステップと、
を含み、
前記グループ化ルールが、前記WUR端末が前記無線アクセスポイントに関連付けられた時点に基づいて設定される場合、前記グループ化ルールは、関連時点の順序に基づいてM(Mは1より大きい整数)個の前記WUR端末ごとに1つのグループにグループ化するように設定される、
方法。
【請求項2】
ワイヤレスネットワークでウェイクアップ無線(WUR)端末を起動するための装置であって、
前記WUR端末が無線アクセスポイントに関連付けられた時点に基づいて設定されるグループ化ルールにより、少なくとも1つのWUR端末を少なくとも1つのグループにグループ化するように構成されたグループ化ユニットと、
グループ識別子を前記少なくとも1つのグループのそれぞれに割り当てるように構成された割り当てユニットと、
対応するグループ識別子を前記少なくとも1つのWUR端末のそれぞれに送信するように構成された送信ユニットと、
を備え、
前記送信ユニットが、ターゲットグループのすべてのWUR端末の起動を試みるために、前記ターゲットグループのグループ識別子を含むWURウェイクアップパケットを送信するようにさらに構成され、
前記グループ化ルールが、前記WUR端末が前記無線アクセスポイントに関連付けられた時点に基づいて設定される場合、前記グループ化ルールは、関連時点の順序に基づいてM(Mは1より大きい整数)個の前記WUR端末ごとに1つのグループにグループ化するように設定される、
装置。
【請求項3】
プロセッサおよびトランシーバを備える、無線アクセスポイントであって、
前記プロセッサが、少なくとも1つのウェイクアップ無線(WUR)端末を、前記WUR端末が前記無線アクセスポイントに関連付けられた時点に基づいて設定されるグループ化ルールにより、少なくとも1つのグループにグループ化するように構成され、
前記プロセッサが、グループ識別子を前記少なくとも1つのグループのそれぞれに割り当てるようにさらに構成され、
前記プロセッサが、前記トランシーバを使用することによって対応するグループ識別子を前記少なくとも1つのWUR端末のそれぞれに送信するようにさらに構成され、
前記プロセッサが、前記トランシーバを使用することによって、ターゲットグループのすべてのWUR端末の起動を試みるために、前記ターゲットグループのグループ識別子を含むWURウェイクアップパケットを送信するようにさらに構成され、
前記グループ化ルールが、前記WUR端末が前記無線アクセスポイントに関連付けられた時点に基づいて設定される場合、前記グループ化ルールは、関連時点の順序に基づいてM(Mは1より大きい整数)個の前記WUR端末ごとに1つのグループにグループ化するように設定される、
無線アクセスポイント。
【請求項4】
命令を含む、コンピュータ可読記憶媒体であって、前記命令がコンピュータで実行されると、前記コンピュータが、請求項1に記載のワイヤレスネットワークのウェイクアップ無線(WUR)端末を起動するための方法を実行することが可能になる、コンピュータ可読記憶媒体。」

第4 引用発明及び周知事項
1 原査定の拒絶の理由に引用された、引用例1(特表2016−509437号公報)には、図面と共に以下の事項が記載されている。(下線は当審が付与。)

(1)「【0016】
[0034]いくつかの実施態様では、WLANは、このワイヤレスネットワークにアクセスする構成要素である様々なデバイスを含む。たとえば、2つのタイプのデバイス、アクセスポイント(「AP」)と、クライアント(局または「STA」とも呼ばれる)がある。一般に、APは、WLANのハブまたは基地局として機能し、STAは、WLANのユーザとして機能する。たとえば、STAは、ラップトップコンピュータ、個人携帯情報端末(PDA)、モバイル電話などであり得る。一例では、STAは、WiFi(たとえばIEEE802.11プロトコル)準拠ワイヤレスリンクを介してAPに接続して、インターネットまたは他の広域ネットワークへの一般接続性を得る。いくつかの実施態様では、STAは、APとしても使用され得る。」

(2)「【0074】
[0092]いくつかの実施形態では、ウェイクアップ信号のフレームは、複数のアドレスを含み得る。代替の実施形態では、このフレームは、いかなるアドレスもまったく含まないこともあり得る。たとえば、APは、所与の時間で、ULPアウェイクモードであるすべてのSTAをウェイクアップする。APは、ULPイネーブル状態のSTA(ULP enabled STA)に、ある時間間隔を関連付け、その時間間隔を異なるスロットに分割し、各スロットを1つまたは複数のSTAに割り当てることができる。APは、特定のSTAに割り当てられた時間スロット内でULPウェイクアップ信号を送信することによって、その特定のSTAをウェイクアップすることができる。
【0075】
[0093]アドレスの特定のタイプは、限定されず、ウェイクアップ信号に含まれ得る。いくつかの実施形態では、アドレスは、ULP−IDであり得る。たとえば、ULP−IDは、(部分)ユニキャストAID(PAID)であり得る。いくつかの実施形態では、複数のULP−IDが、単一のSTAに割り当てられ得る。ULP−IDは、グループIDであり得る。たとえば、APは、複数のSTAにULP−IDを割り当て得る。いくつかの実施形態では、APは、ULP−IDの割当ておよびグループの作成を担当する。いくつかの実施形態では、このような割当てのためのアルゴリズムは、標準仕様には含まれず、実施態様に依存し得る。いくつかの実施形態では、ULP−IDは、BSSの部分識別子(a partial identifier)を含む。いくつかの実施形態では、共通のブロードキャストULP−IDが、そのAPと関連付けられたすべてのSTAに割り当てられる。」

上記記載及び当業者の技術常識を考慮すると、次のことがいえる。

ア 上記「(1)」の段落16に「WLANは、このワイヤレスネットワークにアクセスする構成要素である様々なデバイスを含む。たとえば、2つのタイプのデバイス、アクセスポイント(「AP」)と、クライアント(局または「STA」とも呼ばれる)がある。」と記載されていることから、引用例1ではワイヤレスネットワークを前提としていることは明らかである。
また、上記「(1)」の段落16に「アクセスポイント(「AP」)」及び「STAは、・・・個人携帯情報端末(PDA)・・・であり得る。」と記載されていることから、APはアクセスポイントであり、STAは個人携帯情報端末といえる。
そして、上記「(2)」の段落74に「APは、特定のSTAに割り当てられた時間スロット内でULPウェイクアップ信号を送信することによって、その特定のSTAをウェイクアップすることができる。」と記載されていることから、引用例1には「ワイヤレスネットワークにおいてアクセスポイントが個人携帯情報端末であるSTAをウェイクアップする方法」が記載されているといえる。

イ 上記「ア」で説示したように、APはアクセスポイントである。また、上記「(2)」の段落74に「APは、特定のSTAに割り当てられた時間スロット内でULPウェイクアップ信号を送信することによって、その特定のSTAをウェイクアップすることができる。」と記載されていることから、引用例1のアクセスポイントによって、ウェイクアップ信号を送信することが記載されているといえる。
そして、上記「(2)」の段落74に「ウェイクアップ信号のフレームは、複数のアドレスを含み得る。」と記載され、及び、段落75に「アドレスは、ULP−IDであり得る。・・・ULP−IDは、グループIDであり得る。」と記載されていることから、ウェイクアップ信号はグループIDを含むことが記載されているといえる。
よって、引用例1のアクセスポイントによって、グループIDを含むウェイクアップ信号を送信することが記載されているといえる。

したがって、以上を総合すると、引用例1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「 ワイヤレスネットワークにおいてアクセスポイントが個人携帯情報端末であるSTAをウェイクアップする方法であって、
アクセスポイントによって、グループIDを含むウェイクアップ信号を送信する、
方法。」

2 周知事項
(1)原査定の拒絶の理由に引用された、周知例2(国際公開第2009/011065号)には、図面と共に以下の事項が記載されている。(下線は当審が付与。)

「[0118] 基地局200は、サービスエリア内の各移動端末100に対して、グループ設定部212によりグループ数(本例では3)を設定し、このグループ数を含むグループ設定情報を通信プロトコル処理部203および無線送信部202を介して移動端末100へ報知する。移動端末100は、グループ設定情報を受けて、グループ番号算出部107により自身の端末番号と受信したグループ数とから自身のグループ番号を演算する。このとき、図22(a)に示すように、例えば端末番号1〜10の各移動端末において、各自のグループ番号0,1,2をそれぞれ算出して決定する。」

上記記載によれば、移動端末が自身の端末番号からグループ番号を演算していることから、端末番号に基づいてグループ化しているといえる。

(2)原査定の拒絶の理由に引用された、周知例3(特開平8−242478号公報)には、図面と共に以下の事項が記載されている。(下線は当審が付与。)

「【0037】D−1.第4実施例による信号構成
上述した信号を統制する方法を具体的な例として、現在、広く用いられているページングプロトコルであるPOCSAG方式を下り回線プロトコルとした場合で説明する。POCSAG信号は、図5に示すように、信号の先頭を示すプリアンブル80と複数のバッチ81,82,……,83で構成されている。バッチ81〜83は、各々、同期90,100,110と、8つのグループ91,92,……,98、101,102,……,108、111,112,……,118とから構成されている。携帯端末が持つ固有のアドレスの下位3ビットは、1つのバッチ81のグループ92,93,……,98の位置に相当する。すなわち、アドレスの下位3ビットの値が「0」の場合には、グループ91、3ビットの値が「7」の場合には、グループ98という具合である。」

上記記載によれば、端末のアドレスに基づいてグループ化しているといえる。

(3)原査定の拒絶の理由に引用された、周知例4(国際公開第2014/054237号)には、図面と共に以下の事項が記載されている。(下線は当審が付与。)

「[0037] ここで、本明細書で使用する「RAN端末情報」との用語について定義する。本明細書におけるRAN端末情報は、RAN20において取得又は決定される移動端末200に関する情報であり、以下の(a)〜(c)のうち少なくとも1つを含む。
(a)RAN20において取得された移動端末200に関する計測情報、
(b)RAN20において取得された移動端末200に関する履歴情報、及び
(c)RAN20において決定された移動端末200に関する設定情報。
上述の情報(a)〜(c)は、移動端末200毎に取得又は決定されてもよいし、端末グループ毎に取得又は決定されてもよい。端末グループは、例えば、端末種別単位、移動端末200が使用するサービス単位、又は移動端末200が要求するQuality of Service(QoS)単位で定義されてもよい。端末グループをQoS単位で定義する場合、QoS Class Indicator(QCI)を指標として用いてもよい。更に、上述の情報(a)〜(c)は、移動端末200に対して時間帯毎で管理してもよい。時間毎で管理することで、移動端末200の挙動に応じたきめ細やかな移動端末管理が可能となる。端末グループRAN端末情報としての情報(a)〜(c)の具体例について以下に説明する。」

上記記載によれば、端末の種別に基づいてグループ化しているといえる。

上記の(1)ないし(3)によれば、「端末をグループ化する際に、端末の番号、アドレスや種別に基づいてグループ化する。」ことは、周知事項であると認められる。

第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、以下のことがいえる。

ア 引用発明の「ワイヤレスネットワーク」、ワイヤレスネットワークにおける「アクセスポイント」は、それぞれ本願発明1の「ワイヤレスネットワーク」、「無線アクセスポイント」に相当する。
また、引用発明のワイヤレスネットワークにおける「個人携帯情報端末であるSTA」は無線端末といえる。そして、引用発明では「アクセスポイントが個人携帯情報端末であるSTAをウェイクアップする」ことから、引用発明の「個人携帯情報端末であるSTA」はウェイクアップする無線端末といえる。したがって、引用発明の「個人携帯情報端末であるSTA」は本願発明1の「ウェイクアップ無線(WUR)端末」に相当する。
更に、引用発明の「ワイヤレスネットワークにおいてアクセスポイントが個人携帯情報端末であるSTAをウェイクアップする方法」とはワイヤレスネットワークで個人携帯情報端末であるSTAをウェイクアップ、つまり起動するための方法といえることから、引用発明の「ワイヤレスネットワークにおいてアクセスポイントが個人携帯情報端末であるSTAをウェイクアップする方法」は、本願発明1と同様に、ワイヤレスネットワークでウェイクアップ無線(WUR)端末を起動するための方法といえる。

イ 上記「ア」で説示したように、引用発明の「アクセスポイント」は、本願発明1の「無線アクセスポイント」に相当する。また、引用発明の「グループID」は、本願発明1の「グループ識別子」に相当する。
そして、本願発明1の「WURウェイクアップパケット」と引用発明の「ウェイクアップ信号」は、WURウェイクアップ信号の点で共通する。
したがって、本願発明1の「記無線アクセスポイントによって、ターゲットグループのすべてのWUR端末の起動を試みるために、前記ターゲットグループのグループ識別子を含むWURウェイクアップパケットを送信するステップ」と、引用発明の「アクセスポイントによって、グループIDを含むウェイクアップ信号を送信する」こととは、「無線アクセスポイントによって、グループ識別子を含むWURウェイクアップ信号を送信するステップ」である点で共通する。

以上を総合すると、本願発明1と引用発明とは、以下の点で一致し、また、相違している。

(一致点)
「ワイヤレスネットワークでウェイクアップ無線(WUR)端末を起動するための方法であって、
無線アクセスポイントによって、グループ識別子を含むWURウェイクアップ信号を送信するステップと、
を含む、
方法。」

(相違点1)
本願発明1では、
「 無線アクセスポイントによって、前記WUR端末が前記無線アクセスポイントに関連付けられた時点に基づいて設定されるグループ化ルールにより、少なくとも1つのWUR端末を少なくとも1つのグループにグループ化するステップと、
前記無線アクセスポイントによって、グループ識別子を前記少なくとも1つのグループのそれぞれに割り当てるステップと、
前記無線アクセスポイントによって、対応するグループ識別子を前記少なくとも1つのWUR端末のそれぞれに送信するステップ」を含み、「前記グループ化ルールが、前記WUR端末が前記無線アクセスポイントに関連付けられた時点に基づいて設定される場合、前記グループ化ルールは、関連時点の順序に基づいてM(Mは1より大きい整数)個の前記WUR端末ごとに1つのグループにグループ化するように設定される」のに対し、引用発明では、当該発明特定事項が特定されていない点。

(相違点2)
無線アクセスポイントによって、グループ識別子を含むWURウェイクアップ信号を送信するステップについて、本願発明1では、「ターゲットグループのすべてのWUR端末の起動を試みるために」行われるものであって、グループ識別子が「ターゲットグループの」ものであるのに対し、引用発明では、当該発明特定事項が特定されていない点。

(2)判断
まず上記相違点1について検討する。
上記相違点1に係る発明特定事項のうち「無線アクセスポイントによって、前記WUR端末が前記無線アクセスポイントに関連付けられた時点に基づいて設定されるグループ化ルールにより、少なくとも1つのWUR端末を少なくとも1つのグループにグループ化するステップ」及び「前記グループ化ルールが、前記WUR端末が前記無線アクセスポイントに関連付けられた時点に基づいて設定される場合、前記グループ化ルールは、関連時点の順序に基づいてM(Mは1より大きい整数)個の前記WUR端末ごとに1つのグループにグループ化するように設定される」点について、周知例2ないし4には記載されておらず、ワイヤレスネットワークの分野において周知技術であるともいえない。
よって、引用発明において、上記相違点1に係る本願発明1の発明特定事項のうち「無線アクセスポイントによって、前記WUR端末が前記無線アクセスポイントに関連付けられた時点に基づいて設定されるグループ化ルールにより、少なくとも1つのWUR端末を少なくとも1つのグループにグループ化するステップ」及び「前記グループ化ルールが、前記WUR端末が前記無線アクセスポイントに関連付けられた時点に基づいて設定される場合、前記グループ化ルールは、関連時点の順序に基づいてM(Mは1より大きい整数)個の前記WUR端末ごとに1つのグループにグループ化するように設定される」ことは、当業者といえども、容易に想到し得たとはいえない。
したがって、相違点1の他の発明特定事項、及び相違点2について検討するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び周知例2ないし4に記載された周知事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2 本願発明4について
本願発明4は、本願発明1の発明特定事項を全て含むから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び周知例2ないし4に記載された周知事項に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。

3 本願発明2について
本願発明2は、本願発明1に対応する装置の発明であり、本願発明1の上記相違点1のうち「無線アクセスポイントによって、前記WUR端末が前記無線アクセスポイントに関連付けられた時点に基づいて設定されるグループ化ルールにより、少なくとも1つのWUR端末を少なくとも1つのグループにグループ化するステップ」及び「前記グループ化ルールが、前記WUR端末が前記無線アクセスポイントに関連付けられた時点に基づいて設定される場合、前記グループ化ルールは、関連時点の順序に基づいてM(Mは1より大きい整数)個の前記WUR端末ごとに1つのグループにグループ化するように設定される」に対応する「前記WUR端末が無線アクセスポイントに関連付けられた時点に基づいて設定されるグループ化ルールにより、少なくとも1つのWUR端末を少なくとも1つのグループにグループ化するように構成されたグループ化ユニット」及び「前記グループ化ルールが、前記WUR端末が前記無線アクセスポイントに関連付けられた時点に基づいて設定される場合、前記グループ化ルールは、関連時点の順序に基づいてM(Mは1より大きい整数)個の前記WUR端末ごとに1つのグループにグループ化するように設定される」を含むことから、本願発明1と同様理由により、当業者であっても、引用発明及び周知例2ないし4に記載された周知事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

4 本願発明3について
本願発明3は、本願発明1に対応する無線アクセスポイントの発明であり、本願発明1の上記相違点1のうち「無線アクセスポイントによって、前記WUR端末が前記無線アクセスポイントに関連付けられた時点に基づいて設定されるグループ化ルールにより、少なくとも1つのWUR端末を少なくとも1つのグループにグループ化するステップ」及び「前記グループ化ルールが、前記WUR端末が前記無線アクセスポイントに関連付けられた時点に基づいて設定される場合、前記グループ化ルールは、関連時点の順序に基づいてM(Mは1より大きい整数)個の前記WUR端末ごとに1つのグループにグループ化するように設定される」に対応する「前記プロセッサが、少なくとも1つのウェイクアップ無線(WUR)端末を、前記WUR端末が前記無線アクセスポイントに関連付けられた時点に基づいて設定されるグループ化ルールにより、少なくとも1つのグループにグループ化するように構成され」及び「前記グループ化ルールが、前記WUR端末が前記無線アクセスポイントに関連付けられた時点に基づいて設定される場合、前記グループ化ルールは、関連時点の順序に基づいてM(Mは1より大きい整数)個の前記WUR端末ごとに1つのグループにグループ化するように設定される」を含むことから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明及び周知例2ないし4に記載された周知事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

第6 原査定についての判断
令和4年4月5日にされた手続補正により、本願発明1ないし本願発明4のいずれも、少なくとも「前記グループ化ルールが、前記WUR端末が前記無線アクセスポイントに関連付けられた時点に基づいて設定される場合、前記グループ化ルールは、関連時点の順序に基づいてM(Mは1より大きい整数)個の前記WUR端末ごとに1つのグループにグループ化するように設定される」という発明特定事項を備えるものとなっている。
してみれば、上記「第5」のとおり、本願発明1ないし4は、当業者であっても、原査定において引用された引用発明及び周知例2ないし4に記載された周知事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。

第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。

 
審決日 2022-11-08 
出願番号 P2020-511538
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H04W)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 廣川 浩
特許庁審判官 中木 努
本郷 彰
発明の名称 ワイヤレスネットワークでWUR端末を起動するための方法および装置  
代理人 野村 進  
代理人 実広 信哉  

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