• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する G03B
審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する G03B
管理番号 1391946
総通号数 12 
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-12-28 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2022-03-08 
確定日 2022-09-28 
訂正明細書 true 
事件の表示 特許第6422800号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第6422800号の特許請求の範囲を、令和4年6月13日付けの手続補正により補正された審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1について訂正することを認める。 
理由 第1 手続の経緯
1 本件訂正審判の請求の前までの手続の経緯
特許第6422800号の請求項1〜7に係る特許についての出願は、平成27年3月10日に出願され、平成30年10月26日にその特許権の設定登録がされ、平成30年11月14日に特許掲載公報が発行された。
そして、その特許に対し、特許権者である泉株式会社(以下「請求人」という。)は、令和3年1月19日に1回目の訂正審判の請求を行ったが、同年3月29日に請求が取り下げられた。
その後、請求人は、令和3年3月29日に2回目の訂正審判の請求を行ったところ、令和3年9月30日付けで、令和3年7月7日付けの手続補正により補正された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1〜11について訂正を認めるとの審決がされた。

2 本件訂正審判の手続の経緯
請求人は、令和4年3月8日に3回目の訂正審判の請求となる本件訂正審判の請求(以下「本件訂正」という。)を行ったところ、その手続の経緯の概略は以下のとおりである。
令和4年3月 8日 :上申書の提出
同年5月 2日 :上申書の提出
同月24日 :上申書の提出
同月26日付け:訂正拒絶理由通知書
同年6月13日 :意見書、手続補正書の提出
同月29日 :上申書の提出
同年8月12日 :上申書の提出
同月18日 :上申書の提出


第2 本件訂正審判の請求の趣旨及び本件訂正の内容
1 請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は、特許第6422800号の特許請求の範囲を、令和4年6月13日付けの手続補正により補正された審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1について訂正することを認めるとの審決を求める、というものである。

2 本件訂正前後の請求項1の記載
(1) 本件訂正前の請求項1の記載
本件訂正前の請求項1の記載は、次のとおりのものである。

「【請求項1】
可搬式のマグネットスクリーン装置であって、
投影面と該投影面に対向するマグネット面とを備えたスクリーンシート、および
スクリーンシートを巻き取るためのロール部材
を有して成り、
非使用時ではマグネット面が投影面に対して相対的に内側となるようにスクリーンシートがロール部材に巻き取られており、
巻き出される又は巻き取られるスクリーンシートと接するように設けられた長尺部材、並びに、スクリーンシート、ロール部材および長尺部材を収納するケーシングを更に有して成り、非使用時並びに巻き出し時および巻き取り時において、前記ロール部材および前記長尺部材が前記ケーシングに収納されており、
スクリーンシートの巻き出し時又は巻き取り時において長尺部材が投影面と直接的に接し、ケーシングはスクリーンシートの巻き出しおよび巻き取りのための開口部を有し、および長尺部材が、該開口部に位置付けられており、かつ、マグネットスクリーン装置が設けられる設置面に対して相対的に近い側に位置付けられるロール部材の下側ロール胴部分に隣接して設けられていることを特徴とする、マグネットスクリーン装置。」

(2) 本件訂正後の請求項1の記載
本件訂正後の請求項1の記載は、令和4年6月13日に補正された審判請求書に添付された特許請求の範囲の請求項1に記載された、次のとおりのものである。下線は請求人が付したもので、訂正箇所を示している。なお、令和4年6月13日の手続補正は訂正事項の一部を削除するものであるから、当該補正は、審判請求書の要旨を変更するものではないと認められ、特許法131条の2第1項の規定に適合する。
「【請求項1】
可搬式のマグネットスクリーン装置であって、
投影面と該投影面に対向するマグネット面とを備えたスクリーンシート、および
スクリーンシートを巻き取るためのロール部材
を有して成り、
非使用時ではマグネット面が投影面に対して相対的に内側となるようにスクリーンシートがロール部材に巻き取られており、
巻き出される又は巻き取られるスクリーンシートと接するように設けられた長尺部材、並びに、スクリーンシート、ロール部材および長尺部材を収納するケーシングを更に有して成り、非使用時並びに巻き出し時および巻き取り時において、前記ロール部材および前記長尺部材が前記ケーシングに収納されており、
スクリーンシートの巻き出し時又は巻き取り時において長尺部材が投影面と直接的に接し、ケーシングはスクリーンシートの巻き出しおよび巻き取りのための開口部を有し、および長尺部材が、該開口部に位置付けられており、かつ、マグネットスクリーン装置が設けられる設置面に対して相対的に近い側に位置付けられるロール部材の下側ロール胴部分に隣接して設けられており、
前記長尺部材が、巻き出される又は巻き取られるスクリーンシートとの摺動接触に起因して回転可能となっており、
前記ケーシングは、取手部と、前記マグネットスクリーン装置の設置時に前記設置面に接するケーシング裏面に設けられたケーシング・マグネットとを有し、前記スクリーンシートの短手端部には、裏面にマグネットを有する操作バーが設けられていることを特徴とする、可搬式のマグネットスクリーン装置。」

3 本件訂正の訂正事項
本件訂正の内容は、次の訂正事項1から訂正事項3までからなる。下線は、訂正箇所を示す。
(1) 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「・・・かつ、マグネットスクリーン装置が設けられる設置面に対して相対的に近い側に位置付けられるロール部材の下側ロール胴部分に隣接して設けられている」とあるのを、「・・・かつ、マグネットスクリーン装置が設けられる設置面に対して相対的に近い側に位置付けられるロール部材の下側ロール胴部分に隣接して設けられており、前記長尺部材が、巻き出される又は巻き取られるスクリーンシートとの摺動接触に起因して回転可能となっており、」に訂正する。

(2) 訂正事項2
上記訂正事項1における「・・・前記長尺部材が、巻き出される又は巻き取られるスクリーンシートとの摺動接触に起因して回転可能となっており、」の後に「前記ケーシングは、取手部と、前記マグネットスクリーン装置の設置時に前記設置面に接するケーシング裏面に設けられたケーシング・マグネットとを有し、前記スクリーンシートの短手端部には、裏面にマグネットを有する操作バーが設けられている」を加える訂正をする。

(3) 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項1に「・・・ことを特徴とする、マグネットスクリーン装置」とあるのを、「・・・ことを特徴とする、可搬式のマグネットスクリーン装置」に訂正する。


第3 当審の判断
1 本件訂正の目的の適否、新規事項の追加の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
(1) 訂正事項1
ア 訂正事項1の訂正は、訂正前の「巻き出される又は巻き取られるスクリーンシートと接するように設けられた長尺部材」について、「巻き出される又は巻き取られるスクリーンシートとの摺動接触に起因して回転可能となって[いる]」ものに限定するものであるから、特許法126条1項ただし書き1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
イ また、上記訂正に係る構成は、願書に添付した明細書の【0012】及び【0049】に記載されており、新規事項を追加するものでなく、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものにも該当しない。
ウ よって、訂正事項1に係る訂正は、特許法126条1項ただし書き1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条5項及び6項の規定に適合する。

(2) 訂正事項2
ア(ア) 訂正事項2の訂正は、次のa及びbの限定を行うものである。
a 訂正前の「スクリーンシート、ロール部材および長尺部材を収納するケーシング」について、「取手部と、前記マグネットスクリーン装置の設置時に前記設置面に接するケーシング裏面に設けられたケーシング・マグネットとを有[する]」ものに限定すること。
b 訂正前の「投影面と該投影面に対向するマグネット面とを備えたスクリーンシート」について、「前記スクリーンシートの短手端部には、裏面にマグネットを有する操作バーが設けられている」ものに限定すること。
(イ) したがって、訂正事項2の訂正は、特許法126条1項ただし書き1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
イ また、上記訂正に係る構成のうち、ケーシングに関連する構成については、願書に添付した明細書の【0045】及び【図8】に記載されており、スクリーンシートに関連する構成については、【0047】及び【0051】に記載されているから、新規事項を追加するものでなく、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものにも該当しない。
ウ よって、訂正事項2に係る訂正は、特許法126条1項ただし書き1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条5項及び6項の規定に適合する。

(3) 訂正事項3
ア 訂正事項3の「マグネットスクリーン装置」を「可搬式のマグネットスクリーン装置」とする訂正は、訂正前の請求項1の冒頭に記載されている「可搬式のマグネットスクリーン装置であって、」という記載との整合を図るためのものであるから、特許法126条1項ただし書き3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
イ また、上記訂正に係る構成は、願書に添付した明細書の【0043】に記載されており、新規事項を追加するものでなく、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものにも該当しない。
ウ よって、訂正事項3に係る訂正は、特許法126条1項ただし書き3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条5項及び6項の規定に適合する。

2 独立特許要件について
前記訂正事項1及び2は、前記1で検討したとおり、訂正前の請求項1に係る発明の発明特定事項の一部を限定するものであるから、訂正後の請求項1に係る発明(以下「本件訂正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて検討する。

(1) 本件訂正発明
本件訂正発明は、本件訂正後の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、当該訂正後の請求項1の記載は、前記第2の2(2)において示したとおりである。

(2) 先願発明の認定
ア 先願明細書1に記載された事項と先願発明1の認定
(ア) 先願明細書1に記載された事項
本件特許出願前の特許出願であって、本件特許出願後に出願公開がされた特願2014−104585号(特開2015−217642号公報)の明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「先願明細書1」という。)には、以下の事項が記載されている。
a 【0001】
「【技術分野】
【0001】
本発明は、黒板に映写スクリーンを設置した黒板装置に関する。」
b 【0022】〜【0040】
「【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に本発明の好適な一実施形態を図面に基づいて説明すると、本発明に係る黒板装置の全体を示す図1及びその詳細を示す図2において、1は曲面状の黒板で、図2の(b)に示すように、黒板本体1aと、この黒板本体1aの表面側に貼着された鋼板(磁性金属材)製の表面材1bと、からなるもので、黒板1の上下側縁部には上下縁枠2a,2bが、左右側縁部には左右縁枠2c,2cが夫々取り付けられている。尚、図1の(a)〜(c)において、31は黒板1の下端部に設けられた粉受け、32は黒板取付枠で、この黒板取付枠32を介して黒板1を建物壁面等に取り付けるようになっている。
【0023】
黒板1の上下端部には、黒板1の曲面に対応する曲線状のガイドレール3,4が黒板1の全長にわたって取り付けられており、上下両ガイドレール3,4にはスクリーン収納用スライド枠5の上下端部が転動子6(図2の(d)参照)を介してスライド可能に取り付けられている。このスクリーン収納用スライド枠5は、図2の(a)に示すように、枠本体5aと、これに取り付けられたカバー体5bとからなるもので、図1の(a)及び図2の(d)に示すように、枠本体5aの上下端部に設けられたブラケット18,19に夫々複数の転動子6が軸着され、各転動子6が上下ガイドレール3,4に夫々スライド可能に嵌合され、それによってスクリーン収納用スライド枠5が上下両ガイドレール3,4に沿って横方向にスライドできるようになっている。尚、図2の(d)は上部ガイドレール3部分の断面構造を示し、下部ガイドレール4部分の断面構造は図示を省略している。
【0024】
また図2の(a)に示すように、スクリーン収納用スライド枠5には、一端部7aが黒板1の一端部に固定される映写スクリーン7の他端部をコイルバネ8の付勢力によって巻き取り収納する巻取軸9と、前記コイルバネ8の付勢力に抗して巻取軸9から引き出される映写スクリーン7の裏面側を黒板1の表面材1bに近接させるように案内するガイドローラ10とが設けられている。尚、このガイドローラ10は、上記のように映写スクリーン7の裏面側を黒板1の表面材1bに近接させると共に、映写スクリーン7の表面側が巻取軸9に対し外向きになるように案内するローラである。この実施形態の黒板装置では、映写スクリーン7は、図1の(a),(b)及び図2の(a)に示すように、その一端部7aが、黒板1の表面材1bの左側端部で左側の縁枠2cに挟まれた状態で固定されている。
【0025】
映写スクリーン7は、図2の(b)に示すように、表面側のスクリーン生地11と、このスクリーン生地11の裏面に貼着されたマグネットシート12とからなるもので、スクリーン生地11は、例えば塩化ビニルからなる支持体(図示せず)の表面側にフッ素フィルム(図示せず)を積層したものからなり、またマグネットシート12は、磁性粉末を含有する合成ゴムシートからなるものである。
【0026】
そして、この映写スクリーン7を巻取軸9に巻き取るにあたり、図2の(c)に示すように、映写スクリーン7の表面側スクリーン生地11が巻取軸9に対して外向きに配され、裏面側マグネットシート12が巻取軸9に対して内向きに配されて巻き取られるようになっている。
【0027】
前記スクリーン収納用スライド枠5には、このスライド枠5を、黒板1の表面材1b上の所要スライド位置で固定するストッパー13が設けられているから、このストッパー13でスクリーン収納用スライド枠5を固定することにより、映写スクリーン7の使用中にスクリーン収納用スライド枠5が不測に移動することがなく、また映写スクリーン7が巻取軸9に完全に巻き取られて、映写スクリーン7が黒板1の表面に磁着されていない状態でも、スクリーン収納用スライド枠5を黒板1の所要位置に固定することができる。
【0028】
上記ストッパー13は、図1の(a)及び図2の(a)に示すように、スクリーン収納用スライド枠5の先端側に配置された断面矩形状のストップバー14と、このストップバー14の一側部に取り付けられた帯板状のマグネット15と、前記ストップバー14に取り付けられた回動操作用ハンドル16とにより構成されるもので、前記ストップバー14は、前記マグネット15が黒板1の表面材1bに当接して磁着する停止位置(図2の(a)の実線図示位置)と、前記マグネット15が前記停止位置より90度回転して黒板1の表面材1bから離間する停止解除位置(同図の仮想線図示位置)とに亘って回動するようにヒンジ17によりスクリーン収納用スライド枠5に枢着されているから、回動操作用ハンドル16によってストップバー14を停止位置と停止解除位置とに容易に操作することができる。
(中略)
【0033】
前記したように、映写スクリーン7は、巻取軸9に対し、表面側のスクリーン生地11が外向きに配され、裏面側マグネットシート12が内向きに配されて巻き取られているため、上記のように映写スクリーン7がコイルバネ8の付勢力に抗して巻取軸9から引き出される時は、図2の(c)に示すように、映写スクリーン7のスクリーン生地11側に矢印ハで示すように伸張力が働いて、映写スクリーン7の表面側が伸張し、マグネットシート12側には矢印ニで示すように収縮力が働いて、映写スクリーン7の裏面側が収縮することになる。このため、映写スクリーン7の開放端部である幅方向両端部は、内側へ反り返った状態とはなっても、外側へ反り返ってカールを形成するようなことがなく、従って映写スクリーン7の幅方向両端部は、黒板1の表面材1b上に隙間なく密着した状態で磁着される。これにより、スクリーン表面の平面性が維持されて、映写時に明るさムラなどを発生するおそれがない。
(中略)
【0035】
上述した図1に示す実施形態の黒板装置では、映写スクリーン7の一端部7a、即ち巻取軸9から引き出される映写スクリーン7の先端部を黒板1の一端部に固定しているが、図3に示す実施形態の黒板装置は、映写スクリーン7の一端部7aを、上下端部が前記上下両ガイドレール3,4にスライド可能に取り付けられたスクリーン引出端部保持用スライド枠20に保持させるようにしている。尚、図3に示す黒板装置では、図1に示すようなビデオプロジェクターVP、ガイドレール枠33及び取付支柱枠34の図示を省略する。
【0036】
このスクリーン引出端部保持用スライド枠20は、図3の(a),(b)及び図4の左側に示すように、枠本体20aと、これに取り付けられたカバー体20bとからなるもので、枠本体20aの上下端部に設けられたブラケット28,29には、図示は省略するが、先の実施形態である図2の(d)に示すものと同じ構造で、夫々複数の転動子が軸着されて、各転動子が上下ガイドレール3,4に夫々スライド可能に嵌合され、それによりスクリーン引出端部保持用スライド枠20が上下両ガイドレール3,4に沿って横方向にスライドできるようになっている。そして、このスライド枠20の枠本体20aに映写スクリーン7の一端部7aが止着されている。
【0037】
この図3に示す実施形態の黒板装置は、スクリーン引出端部保持用スライド枠20以外の構成については、図1に示す実施形態の黒板装置と全く同じ構成であるため、同一構成部材には同一符号を付して説明を省略する。この黒板装置の特徴は、映写スクリーン7を黒板1の左右長手方向のどの位置でも使用できる、つまり黒板の左側部分でも、右側部部でも、中央部分でも、また黒板の全域でも使用することができることであり、その作用を以下に説明する。
【0038】
映写スクリーン7を使用しない時は、スクリーン収納用スライド枠5とスクリーン引出端部保持用スライド枠20とを互いに引き寄せて近接させた状態で、図3の(a)の仮想線図示のように黒板1の左端に寄せておく。また、この時、ストッパー13は、停止位置にセットしておく。
【0039】
尚、学校に設置される黒板装置の場合には、映写スクリーン7の非使用時に、生徒・児童が授業以外の時間で勝手に動かさないように、スクリーン収納用スライド枠5及びスクリーン引出端部保持用スライド枠20を黒板1の端部にロックするロック手段を設けておくとよい。このロック手段としては、例えば、図3の(a)に概略示すように、鎖等の索体Kの一端部を黒板1の左端部に固定し、その他端部にロックピンPを止着しておいて、スクリーン収納用スライド枠5及びスクリーン引出端部保持用スライド枠20が黒板1の左端に寄せられた位置で、スクリーン収納用スライド枠5の下端側のブラケット19に設けた錠LにロックピンPを差し込んで、この錠Lを鍵(図示せず)で施錠することにより、ロックピンPをロックして、スクリーン収納用スライド枠5及びスクリーン引出端部保持用スライド枠20を動かないように固定することができる。
【0040】
映写スクリーン7を黒板1の中央部側で使用する時は、ストッパー13を停止解除状態にして、スクリーン収納用スライド枠5及びスクリーン引出端部保持用スライド枠20を、図3の(a)の仮想線図示位置から右方へスライドさせ、そしてスクリーン引出端部保持用スライド枠20が同図(a)の実線図示位置まで移動した状態で、スクリーン収納用スライド枠5をスクリーン引出端部保持用スライド枠20から離れる右方へスライドさせることにより、映写スクリーン7はコイルバネ8の付勢力に抗して巻取軸9から引き出され、その裏面側のマグネットシート12が黒板1の表面材1b上に磁着されていく。」

c 【図1】〜【図4】
「【図1】


「【図2】


「【図3】


「【図4】



d 【図4】から読み取れる事項の認定
(a) 【図4】から、巻取軸9とガイドローラ10が、スクリーン収納用スライド枠5の枠本体5a及びこれに取り付けられたカバー体5bに収納されていることが読み取れる。

(b) 【図4】から、ガイドローラ10は、枠本体5aとカバー体5bの間の開口部に、巻取軸9より下側に設けられており、映写スクリーン7は、その表面がガイドローラ10に接した状態で、当該開口部から引き出される又は巻き取られていることが読み取れる。

(イ) 先願発明1の認定
上記(ア)の記載事項及び【図4】から読み取れる事項を総合すると、先願明細書1には、次の発明(以下「先願発明1」という。)が記載されているものと認められる。

<先願発明1>
「黒板1の上下端部に取り付けられた上下両ガイドレール3,4に、転動子6を介してスライド可能に取り付けられたスクリーン収納用スライド枠5であって(【0023】)、
このスクリーン収納用スライド枠5は、枠本体5aと、これに取り付けられたカバー体5bとからなり(【0023】)、
スクリーン収納用スライド枠5には、映写スクリーン7の他端部をコイルバネ8の付勢力によって巻き取り収納する巻取軸9と、前記コイルバネ8の付勢力に抗して巻取軸9から引き出される映写スクリーン7の裏面側を黒板1の表面材1bに近接させるように案内するガイドローラ10とが設けられており(【0024】)、
巻取軸9とガイドローラ10は、スクリーン収納用スライド枠5の枠本体5a及びこれに取り付けられたカバー体5bに収納されており(【図4】)、
映写スクリーン7は、表面側のスクリーン生地11と、このスクリーン生地11の裏面に貼着されたマグネットシート12とからなるものであり(【0025】)、
映写スクリーン7の表面側スクリーン生地11が巻取軸9に対して外向きに配され、裏面側マグネットシート12が巻取軸9に対して内向きに配されて巻き取られるようになっており(【0026】)、
ガイドローラ10は、スクリーン収納用スライド枠5の枠本体5aとカバー体5bの間の開口部に、巻取軸9より下側に設けられ、映写スクリーン7は、その表面がガイドローラ10に接した状態で、当該開口部から引き出される又は巻き取られ(【図4】)、
映写スクリーン7の一端部7aを、上下端部が前記上下両ガイドレール3,4にスライド可能に取り付けられたスクリーン引出端部保持用スライド枠20に保持させ(【0035】)、
前記スクリーン収納用スライド枠5には、このスライド枠5を、黒板1の表面材1b上の所要スライド位置で固定するストッパー13が設けられ(【0027】)、
上記ストッパー13は、スクリーン収納用スライド枠5の先端側に配置された断面矩形状のストップバー14と、このストップバー14の一側部に取り付けられた帯板状のマグネット15と、前記ストップバー14に取り付けられた回動操作用ハンドル16とにより構成されるもので、前記ストップバー14は、前記マグネット15が黒板1の表面材1bに当接して磁着する停止位置と、前記マグネット15が前記停止位置より90度回転して黒板1の表面材1bから離間する停止解除位置とに亘って回動するようにヒンジ17によりスクリーン収納用スライド枠5に枢着されている(【0028】)、
スクリーン収納用スライド枠5。」

イ 先願明細書2に記載された事項と先願発明2−1、2−2の認定
(ア) 先願明細書2に記載された事項
本件特許出願前の特許出願であって、本件特許出願後に出願公開がされた特願2013−176317号(特開2015−45715号公報)の明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「先願明細書2」という。)には、以下の事項が記載されている。
a 【請求項2】及び【請求項3】
「【請求項2】
収納ケースと、
前記収納ケースに対し回動自在に取り付けられた巻取りロールと、
少なくとも、一方の表面にスクリーン層を有し、他方の表面にマグネット層を有するスクリーン本体と、
前記収納ケースに取り付けられた押さえ部と、を備え、
前記押さえ部の長さは、前記スクリーン本体の幅より大きく設定され、又は前記スクリーン本体の幅と同一に設定され、
前記スクリーン本体の巻き取り方向の一端部におけるマグネット層側の面が、前記巻取りロールに接合され、
前記スクリーン本体は、マグネット層側を内側にして前記巻取りロールにロール状に巻き取られている収納状態から使用時に引き出されて張設され、
前記張設されたスクリーン本体における前記巻取りロールに近接した部位を幅全体にわたって前記押さえ部によって被磁着体側に向けて押さえ付け得るものとなされていることを特徴とするマグネットスクリーン。
【請求項3】
前記押さえ部は、前記収納ケースに対し移動可能に取り付けられ、
前記押さえ部は、被磁着体から離れた第1配置態様と、被磁着体に近接した第2配置態様の少なくとも2つの配置態様を採ることができるものとなされている請求項2に記載のマグネットスクリーン。」

b 【0001】
「【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、黒板、ホワイトボード等の被磁着面に磁力で固定して使用されるマグネットスクリーンに関する。」

c 【0018】〜【0020】
「【0018】
[2]の発明では、スクリーン本体の巻き取り方向の一端部におけるマグネット層側の面が巻取りロールに接合され、スクリーン本体は、マグネット層側を内側にして巻取りロールにロール状に巻き取られて収納される構成であるから、使用時にスクリーン本体を引き出して張設したときに、スクリーン本体の両端部が、捲れ上がることがなくて、スクリーン本体を被磁着体から浮き上がりを生じることなく張設することができる。従って、スクリーン本体のスクリーン層の幅方向の両端部も有効面として使用することができると共に、スクリーン本体の張設時の見栄え、外観も良好である。
【0019】
また、押さえ部の長さは、スクリーン本体の幅より大きく設定され、又はスクリーン本体の幅と同一に設定されているので、張設されたスクリーン本体における巻取りロールに近接した部位を幅全体にわたって押さえ部によって被磁着体側に向けて押さえ付けることができ、これにより、巻取りロールに近接した部位をも被磁着体に磁着させた状態でスクリーン本体を張設することができ、従って、張設されたスクリーン本体のスクリーン層の略全面(略全領域)を有効面として使用することができる。
【0020】
[3]の発明では、押さえ部は、収納ケースに対し移動可能に取り付けられ、押さえ部は、被磁着体から離れた第1配置態様と、被磁着体に近接した第2配置態様の少なくとも2つの配置態様を採ることができる構成であるから、スクリーン本体を、巻取りロールに巻き取られている収納状態から引き出す時や、スクリーン本体を巻取りロールに巻き取る時に、押さえ部を第1配置態様にすれば、スクリーン本体の引き出し操作、巻き取り操作をスムーズに行うことができる。一方、スクリーン本体を張設したときには、押さえ部を第2配置態様にすることで、スクリーン本体における巻取りロールに近接した部位を幅全体にわたって押さえ部によって被磁着体側に向けて押さえ付けることができる。」

d 【0030】〜【0048】
「【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、本発明に係るマグネットスクリーンの一実施形態をスクリーン本体を引き出した張設状態で示す正面図である。このマグネットスクリーン1は、収納ケース2と、巻取りロール3と、スクリーン本体4と、押さえ部5と、を備えている。
【0031】
前記収納ケース2は、例えば金属や合成樹脂等で形成された横長の容器からなる。前記収納ケース2に巻取りロール3が回動自在に取り付けられている。前記巻取りロール3は、前記収納ケース2内に収容されている。通常、非使用時には、前記巻取りロール3にロール状に巻き取られたスクリーン本体4が、前記収納ケース2内に収容されている(図5(A)参照)。前記収納ケース2には、スクリーン本体4の引き出し、巻き取りを行うための開口部2Bが、ケース2の長さ方向に沿って形成されている(図3〜5参照)。
【0032】
前記巻取りロール3には、図示しないスプリングにより、前記スクリーン本体4を巻き取ることのできる巻き取り力が常時付与されている。
【0033】
前記スクリーン本体4は、少なくとも、一方の表面にスクリーン層4aを有し、他方の表面にマグネット層4bを有する構成である(図1、3参照)。前記スクリーン本体4は、通常は、平面視略矩形状に形成されている。
【0034】
前記スクリーン本体4の一端部(巻取りロール側の端部)におけるマグネット層4b側の面が前記巻取りロール3に接合されている。従って、非使用時等には、スクリーン本体4は、マグネット層4b側を内側にして(即ちスクリーン層4a側を外側にして)巻取りロール3にロール状に巻き取られて、収納ケース2内に収容されている(図3(A)及び図5(A)参照)。
【0035】
前記スクリーン本体4の先端側縁部(引き出す方向側の縁部)に固定用バー8が接合されている(図1参照)。前記固定用バー8の長さ方向の両端部に図示しない永久磁石が埋設されており、この永久磁石の磁力によって固定用バー8を被磁着体90に固定することができる。前記固定用バー8の長さ方向の略中心位置に取手9が設けられている(図1参照)。
【0036】
前記押さえ部5は、前記巻取りロール3の軸線に対し平行状に配置された棒状体で形成されている(図1、2参照)。即ち、前記棒状体からなる押さえ部5の軸線と、前記巻取りロール3の軸線が、平行状になるように、前記押さえ部5が配置されている。前記棒状体の横断面視での外形形状(外周面の形状)は、円弧面に形成されている(図3参照)。前記押さえ部5の長さは、スクリーン本体4の幅より大きく、収納ケース2の長さより短い(図1参照)。
【0037】
前記収納ケース2の長さ方向の両端部に図示しない永久磁石が埋設されており、この永久磁石の磁力によって収納ケース2を被磁着体90に固定することができる。」
【0038】
前記収納ケース2内における長さ方向の両端部に取付具10、10が取り付けられている(図2参照)。図6に示すように、前記取付具10は、ベース板11と、可動片12とを備えている。前記ベース板11の一端部と、前記可動片12の一端部とが枢軸13で枢着されている(図6参照)。前記可動片12における前記枢軸13側の一端部から係止用湾曲突片15が延設されている。また、前記ベース板11の内面に係止板14が接合されている。前記係止板14における前記枢軸13側の一端部14aは、図6(A)に示すように、前記可動片12側に斜めに屈曲した態様に成形されている。しかして、図6(A)に示すように、前記ベース板11に対して可動片12を重ね合わせた状態では、前記斜め屈曲片14aと前記係止用湾曲突片15は、ほぼ互いに干渉し合わない状態になっており、一方、図6(B)に示すように、ベース板11に対して可動片12を略直角になる状態まで開くと、可動片12の係止用湾曲突片15により前記係止板14の斜め屈曲片14aがベース板11の側に向けて押し込まれ、該押し込まれたことによる前記斜め屈曲片14aの反発力(図6(A)の状態に戻ろうとする復帰反発力)が存在する状態下において、可動片12をベース板11に重ね合わせる方向に動かそうとすると(図6(A)の状態に戻そうとすると)、係止用湾曲突片15が、斜め屈曲片14aをベース板11の側に向けてさらに押し込むことになるので、斜め屈曲片14aの反発力の影響により、小さい力では可動片12を動かすことはできず、従って、前記可動片12は、前記ベース板11に対して略直角に開いた状態でロック状態になる(図6(B)参照)。そして、図6(B)に示すロック状態(安定状態)から、少し強い力を用いて可動片12をベース板11の側に向けて約10〜約30度程度傾けて近づけると、前記ロック状態(可動片12がベース板11に対して略直角に開いた状態でのロック状態)が解消されて、その後は自然に(力を入れなくても)図6(A)に示すベース板11に対して可動片12が重ね合わされた状態まで戻る。ベース板11に対して可動片12が重ね合わされた状態が、斜め屈曲片14aと係止用湾曲突片15とが最も干渉し合わないので、従って、前記ロック状態が解消された後、力が加えられていない状態では、自然に、図6(A)に示すベース板11に対して可動片12が重ね合わされた状態まで戻る。前記取付具10の市販品としては、株式会社栃木屋製の「ステンレスパチン錠TL−345」を例示できる。
【0039】
図2、3に示すように、前記収納ケース2の底壁2aの長さ方向の両端部のそれぞれに、断面形状が略コの字状の支持部材17の下板部17aが固定され、該支持部材17の上板部17bに、固定用板18の長さ方向の一端側が接合固定されている。前記固定用板18の長さ方向の他端側に、前記取付具10のベース板11が固定されている。このような取付構造により、前記収納ケース2内における長さ方向の両端部に取付具10、10が取り付けられている(図2参照)。
【0040】
前記一端側の取付具10の可動片12に前記押さえ部5の長さ方向の一端部が固定されると共に、前記他端側の取付具10の可動片12に該押さえ部5の長さ方向の他端部が固定されている(図2、3参照)。即ち、前記収納ケース2に、取付具10を介して押さえ部5が取り付けられている。
【0041】
そして、図4に示すように、ベース板11に可動片12を重ね合わせた状態にすることで、押さえ部5を被磁着体90から離した態様(第1配置態様)に固定することができる一方、図3、5に示すように、ベース板11に対して可動片12を略90度開いたロック状態にすることで、押さえ部5を被磁着体90に近接した態様(第2配置態様)に固定することができる。このように、押さえ部5は、収納ケース2に対し移動可能に取り付けられている。
【0042】
次に、上記構成のマグネットスクリーン1の使用手順を説明する。通常は、持ち運び時や格納時等の非使用時には、スクリーン本体4は、マグネット層4bを内側にして(即ちスクリーン層4aを外側にして)巻取りロール3にロール状に巻き取られて収納ケース2に収納された状態になっている(図5参照)。
【0043】
使用時には、まず、収納ケース2(の底壁2a)を、黒板、ホワイトボード等の被磁着体90に磁着させる(図5参照)。次いで、固定用バー8の取手9を手で持って引っ張ることによりスクリーン本体4を引き出していくのであるが、この時、スクリーン本体4が被磁着体90に近接した位置にあると、スクリーン本体4が被磁着体90に磁着しやすくて引き出し操作をスムーズに行い難いし、スクリーン本体4の表面に傷が付くことがあることから、引き出しを開始する前に、図4に示すように、ベース板11に可動片12を重ね合わせた状態(ロック状態)にして、押さえ部5を被磁着体90から離した態様(第1配置態様)に固定する。そして、この第1配置態様の状態でスクリーン本体4を引き出していく(図4参照)。このような引き出し操作を行うことにより、スクリーン本体4をスムーズに引き出して張設することができるし、スクリーン本体4に傷が付くことも防止できる。
【0044】
スクリーン本体4の引き出し操作が完了した後、固定用バー8を被磁着体90に磁着させて固定すると共に、図3に示すように、ベース板11に対して可動片12を略90度開いた状態のロック状態にすることで、押さえ部5を被磁着体90に近接させた態様(第2配置態様)に固定することにより、スクリーン本体4(のマグネット層4b)を被磁着体90に磁着させて、スクリーン本体4を張設する。
【0045】
この時、スクリーン本体4は、マグネット層4b側を内側にして(スクリーン層4a側を外側にして)巻取りロール3に巻き取られた収納状態から引き出されているので、スクリーン本体4の両端部が、捲れ上がることがなくて、被磁着体90から浮き上がりを生じることなくスクリーン本体4を張設することができる。従って、スクリーン本体4のスクリーン層4aの幅方向の両端部も有効面として使用することができると共に、スクリーン本体4の張設時の見栄え、外観も良好なものとなる。
【0046】
更に、張設されたスクリーン本体4における巻取りロール3に近接した部位を幅全体にわたって押さえ部5によって被磁着体90側に向けて押さえ付けることができるので(図3(A)参照)、巻取りロール3に近接した部位をも被磁着体90に磁着させた状態でスクリーン本体4を張設することができ、これにより、引き出されたスクリーン本体4のスクリーン層4aの略全面(略全領域)を有効面として使用することができる。
【0047】
使用後に、スクリーン本体4を巻取りロール3に巻き取って収納ケース2に収納する際には、巻き取りを開始する前に、図4に示すように、前記略90度開いたロック状態を解除し、ベース板11に可動片12を重ね合わせた状態にして、押さえ部5を被磁着体90から離した態様(第1配置態様)に固定する。そして、固定用バー8を被磁着体90から離間させると共に、スクリーン本体4も被磁着体90から離間させて浮かせた状態で、前記スプリング(図示しない)により付与される巻き取り力によって巻取りロール3にスクリーン本体4を巻き取らせていく(図4参照)。このような巻き取り操作を行うことにより、スクリーン本体4をスムーズに巻き取って収納することができるし、スクリーン本体4に傷が付くことも防止できる。
【0048】
スクリーン本体4の巻き取りを終了したとき、図5に示すように、ベース板11に対して可動片12を略90度開いたロック状態にして、この開いた状態の可動片12に固定用バー8を当接させた状態にすることにより、固定用バー8をできるだけ巻取りロール3に近い位置で収容する。このような収容を行うことにより、マグネットスクリーン1の格納スペースを低減させることができる。」

e 【0051】〜【0067】
「【0051】
次に、本発明に係るマグネットスクリーンの他の実施形態について説明する。図7は、他の実施形態をスクリーン本体を引き出した張設状態で示す正面図である。このマグネットスクリーン1は、収納ケース2と、巻取りロール3と、スクリーン本体4と、を備えている。
【0052】
前記収納ケース2は、例えば金属や合成樹脂等で形成された横長の容器からなる。本実施形態では、前記収納ケース2は、ケース本体21と、可動体24と、からなる(図9〜11)。前記ケース本体21は、横断面形状が略L字形状である(図9参照)。前記ケース本体21の幅方向の一端部(図9で上端部)に、該ケース本体21の長さ方向に沿って枢着用内側軸部22が設けられている。前記枢着用内側軸部22の外周面の横断面形状は、開口部を除いて円弧面に形成されている。前記可動体24の幅方向の一端部(図9で右端部)に、該可動体24の長さ方向に沿って枢着用外側中空軸部25が設けられている。前記枢着用外側中空軸部25は、中空部を有し、該中空軸部25の内周面の横断面形状は、開口部を除いて円弧面に形成されている。しかして、図9に示すように、前記可動体24の枢着用外側中空軸部25の中空部に、前記ケース本体21の枢着用内側軸部22が挿通配置されることによって、可動体24の幅方向の一端部が、ケース本体21の幅方向の一端部に枢着されている。
【0053】
前記収納ケース2に巻取りロール3が回動自在に取り付けられている。前記巻取りロール3は、前記収納ケース2内に収容されている。通常、非使用時には、前記巻取りロール3にロール状に巻き取られたスクリーン本体4が、前記収納ケース2内に収容されている(図11(A)参照)。前記収納ケース2には、スクリーン本体4の引き出し、巻き取りを行うための開口部2Bが、ケース2の長さ方向に沿って形成されている(図9〜11参照)。即ち、前記可動体24の幅方向の他端の先端部26と、前記ケース本体21の幅方向の他端部(図9で左端部)との間に、ケース2の長さ方向に沿って延びる開口部2Bが設けられている。
【0054】
前記巻取りロール3には、図示しないスプリングにより、前記スクリーン本体4を巻き取ることのできる巻き取り力が常時付与されている。
【0055】
前記スクリーン本体4は、少なくとも、一方の表面にスクリーン層4aを有し、他方の表面にマグネット層4bを有する構成である(図7、9参照)。前記スクリーン本体4は、通常は、平面視略矩形状に形成されている。
【0056】
前記スクリーン本体4の一端部(巻取りロール側の端部)におけるマグネット層4b側の面が前記巻取りロール3に接合されている。従って、非使用時等には、スクリーン本体4は、マグネット層4b側を内側にして(即ちスクリーン層4a側を外側にして)巻取りロール3にロール状に巻き取られて、収納ケース2内に収容されている(図9(A)及び図11(A)参照)。
【0057】
前記スクリーン本体4の先端側縁部(引き出す方向側の縁部)に固定用バー8が接合されている(図7参照)。前記固定用バー8の長さ方向の両端部に図示しない永久磁石が埋設されており、この永久磁石の磁力によって固定用バー8を被磁着体90に固定することができる。前記固定用バー8の長さ方向の略中心位置に取手9が設けられている(図7参照)。
【0058】
前記収納ケース2の長さ方向の両端部に図示しない永久磁石が埋設されており、この永久磁石の磁力によって収納ケース2を被磁着体90に固定することができる。
【0059】
前記収納ケース2内における長さ方向の両端部のそれぞれに、固定用第1部材31及び固定用第2部材33が取り付けられている(図8参照)。即ち、図8に示すように、前記ケース本体21の底壁2aの長さ方向の両端部のそれぞれに、断面形状が略コの字状の支持部材17の下板部17aが固定され、該支持部材17の上板部17bに固定用第1部材31が固定されている。更に、図8に示すように、可動体24の内面の長さ方向の両端部のそれぞれに、固定用第2部材33が固定されている。
【0060】
前記ケース本体21の長さ方向の両端部に固定された固定用第1部材31は、図10(B)に示すように、その上端部に、一対の係止用アーム部32が取り付けられている。前記一対の係止用アーム部32の互いの対向面に係止用凹部32aが形成されている(図10(B)参照)。一方、前記可動体24の長さ方向の両端部に固定された固定用第2部材33は、図10(B)に示すように、その下端部に、係止用台座部34が固定されている。前記係止用台座部34の先端には、左右一対の係止用凸部34aが突設されている(図10(B)参照)。そして、固定用第2部材33の係止用凸部34aが、固定用第1部材31の一対の係止用アーム部32の間に押し込まれると、係止用凸部34aが、係止用アーム部32の係止用凹部32aに係合されて、ロック状態になるように構成されている。即ち、ロック状態になって固定用第2部材33と固定用第1部材31とが互いに固定されるように構成されている(図9(B)、図11(B)参照)。一方、このような固定状態から、可動体24を開口部2Bを閉じるように少し強い力で押し込むと、前記ロック状態が解消されて、固定用第2部材33の係止用凸部34aが、固定用第1部材31の一対の係止用アーム部32から離脱して、固定用第2部材33と固定用第1部材31とを分離できるように構成されている(図10(B)参照)。前記固定用第1部材31の市販品としては、スガツネ工業株式会社製の「プッシュラッチESN−195/BLK」を例示できる。前記固定用第2部材33の市販品としては、スガツネ工業株式会社製の「ストライクESN−195−ST」を例示できる。
【0061】
上記マグネットスクリーン1の使用手順を説明する。通常は、持ち運び時や格納時等の非使用時には、スクリーン本体4は、マグネット層4bを内側にして(即ちスクリーン層4aを外側にして)巻取りロール3にロール状に巻き取られて収納ケース2に収納された状態になっている(図11参照)。
【0062】
使用時には、まず、収納ケース2(の底壁2a)を、黒板、ホワイトボード等の被磁着体90に磁着させる(図11参照)。次いで、固定用バー8の取手9を手で持って引っ張ることによりスクリーン本体4を引き出していくのであるが、この時、スクリーン本体4が被磁着体90に近接した位置にあると、スクリーン本体4が被磁着体90に磁着しやすくて引き出し操作をスムーズに行い難いし、スクリーン本体4の表面に傷が付くことがあることから、引き出しを開始する前に、図10に示すように、可動体24を開口部2Bを閉じるように少し強い力で押し込むことによって、前記ロック状態を解消せしめて、即ち固定用第2部材33の係止用凸部34aを、固定用第1部材31の一対の係止用アーム部32から離脱させて、次いで開口部2Bを開くように可動体24を手で動かして、可動体24の先端部26を被磁着体90から離した態様(第1配置態様)にする。そして、この第1配置態様の状態でスクリーン本体4を引き出していく(図10参照)。このような引き出し操作を行うことにより、スクリーン本体4をスムーズに引き出して張設することができるし、スクリーン本体4に傷が付くことも防止できる。更に、前記可動体24の先端部26の横断面視での外形形状は、少なくとも前記スクリーン本体4と接触し得る部分が円弧面に形成されているので(図10参照)、引き出し操作の際のスクリーン本体4の傷付きを十分に防止することができる。
【0063】
スクリーン本体4の引き出し操作が完了した後、固定用バー8を被磁着体90に磁着させて固定すると共に、図9に示すように、可動体24を手で持って開口部2Bを閉じるようにケース本体21に近づけていき、可動体24の先端部26を被磁着体90に近接させた態様(第2配置態様)に固定することにより、スクリーン本体4(のマグネット層4b)を被磁着体90に磁着させて、スクリーン本体4を張設する。この時、ケース本体21に対し可動体24を開口部2Bを閉じるように近づけていくと、図9(B)に示すように、収納ケース2の両端部において、可動体24に固定された固定用第2部材33の係止用凸部34aが、ケース本体21に固定された固定用第1部材31の一対の係止用アーム部32の係止用凹部32aに係合されて、ロック状態になるから、即ち固定用第2部材33と固定用第1部材31とが相互に固定されるから、前記可動体24は、被磁着体90に近接した第2配置態様でケース本体21に固定された状態になる(図9参照)。このような状態でスクリーン本体4を張設する。
【0064】
上記張設されたスクリーン本体4は、マグネット層4b側を内側にして(スクリーン層4a側を外側にして)巻取りロール3に巻き取られた収納状態から引き出されたものであるので、スクリーン本体4の両端部が、捲れ上がることがなくて、このように被磁着体90から浮き上がりを生じることなくスクリーン本体4を張設することができる。従って、スクリーン本体4のスクリーン層4aの幅方向の両端部も有効面として使用することができると共に、スクリーン本体4の張設時の見栄え、外観も良好なものとなる。
【0065】
更に、張設されたスクリーン本体4における巻取りロール3に近接した部位を幅全体にわたって可動体24の先端部26によって被磁着体90側に向けて押さえ付けることができるので(図9(A)参照)、巻取りロール3に近接した部位をも被磁着体90に磁着させた状態でスクリーン本体4を張設することができ、従って、引き出されたスクリーン本体4のスクリーン層4aの略全面(略全領域)を有効面として使用できる。
【0066】
使用後に、スクリーン本体4を巻取りロール3に巻き取って収納ケース2に収納する際には、巻き取りを開始する前に、図10に示すように、可動体24を開口部2Bを閉じるように少し強い力で押し込むことによって、前記ロック状態を解消せしめて、即ち固定用第2部材33の係止用凸部34aを、固定用第1部材31の一対の係止用アーム部32から離脱させて、次いで開口部2Bを開くように可動体24を手で動かして、可動体24の先端部26を被磁着体90から離した態様(第1配置態様)にする。そして、固定用バー8を被磁着体90から離間させると共に、スクリーン本体4も被磁着体90から離間させて浮かせた状態で、前記スプリング(図示しない)により付与される巻き取り力によって巻取りロール3にスクリーン本体4を巻き取らせていく(図10参照)。このような巻き取り操作を行うことにより、スクリーン本体4をスムーズに巻き取って収納することができるし、スクリーン本体4に傷が付くことも防止できる。更に、前記可動体24の先端部26の横断面視での外形形状は、少なくとも前記スクリーン本体4と接触し得る部分が円弧面に形成されているので(図10参照)、巻き取り操作の際のスクリーン本体4の傷付きを十分に防止することができる。
【0067】
スクリーン本体4の巻き取りを終了したとき、図11に示すように、可動体24の先端部26を被磁着体90に近接させた態様(第2配置態様)に固定して、この第2配置態様の可動体24の外面に固定用バー8を当接させた状態にすることにより、固定用バー8をできるだけ巻取りロール3に近い位置で収容する。このような収容を行うことにより、マグネットスクリーン1の格納スペースを低減させることができる。」

f 【図1】、【図3】(A)、【図4】(A)、【図7】、【図9】(A)及び【図10】(A)
「【図1】


「【図3】(A)


「【図4】(A)


「【図7】


「【図9】(A)


「【図10】(A)



g 【図3】(A)から読み取れる事項の認定
【0031】、【0044】及び【図3】(A)から、押さえ部5を被磁着体90に近接させた態様(第2配置態様)では、押さえ部5は、収納ケース2の開口部2Bの巻取りロール3より下側に位置して、収納ケース2に収納されていることが読み取れる。

h 【図4】(A)から読み取れる事項の認定
【0043】及び【図4】(A)から、押さえ部5を被磁着体90から離した態様(第1配置態様)では、押さえ部5は収納ケース2に収納されていないことと、押さえ部5はスクリーン本体4のスクリーン層4aを有する表面と接していることが読み取れる。

i 【図10】(A)から読み取れる事項の認定
【0062】及び【図10】(A)から、可動体24の先端部26を被磁着体90から離した態様(第1配置態様)では、可動体24の先端部26はスクリーン本体4のスクリーン層4aを有する表面と接していることが読み取れる。

(イ) 先願発明2−1、2−2の認定
上記(ア)の記載事項及び【図3】(A)、【図4】(A)、【図10】(A)から読み取れる事項を総合すると、先願明細書2には、次の二つの発明(以下「先願発明2−1」及び「先願発明2−2」という。)が記載されていると認められる。なお、「先願発明2−1」は、先願明細書2の【0030】〜【0050】及び【図1】〜【図6】記載された実施形態に、また、「先願発明2−2」は、先願明細書2の【0051】〜【0072】及び【図7】〜【図11】に記載された他の実施形態に、それぞれ対応するものである。

<先願発明2−1>
「収納ケース2と、巻取りロール3と、スクリーン本体4と、押さえ部5と、を備えているマグネットスクリーン1であって(【0030】)、
前記巻取りロール3は、前記収納ケース2内に収容され、前記収納ケース2には、スクリーン本体4の引き出し、巻き取りを行うための開口部2Bが形成され(【0031】)、
前記スクリーン本体4は、少なくとも、一方の表面にスクリーン層4aを有し、他方の表面にマグネット層4bを有する構成であり(【0033】)、
前記押さえ部5は、前記巻取りロール3の軸線に対し平行状に配置された棒状体で形成され、前記棒状体の横断面視での外形形状(外周面の形状)は、円弧面に形成され(【0036】)、
前記収納ケース2内における長さ方向の両端部に取付具10、10が取り付けられ(【0039】)、
前記一端側の取付具10の可動片12に前記押さえ部5の長さ方向の一端部が固定されると共に、前記他端側の取付具10の可動片12に該押さえ部5の長さ方向の他端部が固定され(【0040】)、
持ち運び時や格納時等の非使用時には、スクリーン本体4は、マグネット層4bを内側にして(即ちスクリーン層4aを外側にして)巻取りロール3にロール状に巻き取られて収納ケース2に収納された状態になっており(【0042】)、
使用時には、まず、収納ケース2(の底壁2a)を、黒板、ホワイトボード等の被磁着体90に磁着させ、次いで、押さえ部5を被磁着体90から離した態様(第1配置態様)に固定し、この第1配置態様の状態でスクリーン本体4を引き出し(【0043】)、
スクリーン本体4の引き出し操作が完了した後、押さえ部5を被磁着体90に近接させた態様(第2配置態様)に固定することにより、スクリーン本体4(のマグネット層4b)を被磁着体90に磁着させて、スクリーン本体4を張設し(【0044】)、
前記押さえ部5を被磁着体90から離した態様(第1配置態様)では、押さえ部5は収納ケース2に収納されておらず、かつ押さえ部5はスクリーン本体4のスクリーン層4aを有する表面と接しており(【0043】、【図4】(A))、
前記押さえ部5を被磁着体90に近接させた態様(第2配置態様)では、押さえ部5は、収納ケース2の開口部2Bの巻取りロール3より下側に位置して、収納ケース2に収納されており(【0044】、【図3】(A))、
前記収納ケース2の長さ方向の両端部に永久磁石が埋設されており、この永久磁石の磁力によって収納ケース2を被磁着体90に固定することができ(【0037】)、
前記スクリーン本体4の先端側縁部(引き出す方向側の縁部)に固定用バー8が接合され、前記固定用バー8の長さ方向の両端部に永久磁石が埋設されており、この永久磁石の磁力によって固定用バー8を被磁着体90に固定することができ、前記固定用バー8の長さ方向の略中心位置に取手9が設けられている(【0035】)、
マグネットスクリーン1。」

<先願発明2−2>
「収納ケース2と、巻取りロール3と、スクリーン本体4と、を備えているマグネットスクリーン1であって(【0051】)、
前記収納ケース2は、ケース本体21と、可動体24と、からなり(【0052】)、
前記巻取りロール3は、前記収納ケース2内に収容され、前記収納ケース2には、スクリーン本体4の引き出し、巻き取りを行うための開口部2Bが、形成され(【0053】)、
前記スクリーン本体4は、少なくとも、一方の表面にスクリーン層4aを有し、他方の表面にマグネット層4bを有する構成であり(【0055】)、
持ち運び時や格納時等の非使用時には、スクリーン本体4は、マグネット層4bを内側にして(即ちスクリーン層4aを外側にして)、巻取りロール3にロール状に巻き取られて収納ケース2に収納された状態になっており(【0061】
)、
使用時には、まず、収納ケース2(の底壁2a)を、黒板、ホワイトボード等の被磁着体90に磁着させ、次いで、可動体24を手で動かして、可動体24の先端部26を被磁着体90から離した態様(第1配置態様)にして、この第1配置態様の状態でスクリーン本体4を引き出し(【0062】)、
スクリーン本体4の引き出し操作が完了した後、可動体24を手で持って開口部2Bを閉じるようにケース本体21に近づけていき、可動体24の先端部26を被磁着体90に近接させた態様(第2配置態様)に固定することにより、スクリーン本体4(のマグネット層4b)を被磁着体90に磁着させて、スクリーン本体4を張設し(【0063】)、
前記可動体24の先端部26を被磁着体90から離した態様(第1配置態様)では、可動体24の先端部26はスクリーン本体4のスクリーン層4aを有する表面と接しており(【0062】、【図10】(A))、
前記収納ケース2の長さ方向の両端部に永久磁石が埋設されており、この永久磁石の磁力によって収納ケース2を被磁着体90に固定することができ(【0058】)、
前記スクリーン本体4の先端側縁部(引き出す方向側の縁部)に固定用バー8が接合され、前記固定用バー8の長さ方向の両端部に永久磁石が埋設されており、この永久磁石の磁力によって固定用バー8を被磁着体90に固定することができ、前記固定用バー8の長さ方向の略中心位置に取手9が設けられている(【0057】)、
マグネットスクリーン1。」

ウ 甲8号証に記載された事項
本件特許出願前に発行された特開平10−291397号公報(以下「甲8号証」という。)には、以下の事項が記載されている。

(ア) 【0001】
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シート上に書かれた文字や図形などをシートと相対的に移動する読み取り部によって読み取り、感熱紙などの記録紙へ印刷することができる電子黒板装置に関するものである。」

(イ) 【0007】、【0008】、【図1】、【図2】
「【0007】図1は本発明の一実施の形態における電子黒板装置の外観を表す斜視図であって、1は電子黒板本体部の筐体、2は可撓性の不透明シートからなり水性マーカーなどの筆記具で書き込み・消去可能な筆記シートである。3は筆記シート2の一端に取り付けられた把手、4は筐体1内部にあるプリンタ部の蓋であって、筐体1に対して開閉可能に取り付けられ、この蓋4を開いて感熱紙6をセットする。5はシート巻き取りキーやコピーキーを有する操作パネルである。
【0008】図2は、本発明の一実施の形態の電子黒板装置の断面図である。図中、11は筆記シートを巻き取るための巻き取りローラー、12、13、14、15は筆記シート2の搬送に連れ回りするローラーであって、ローラー12とローラー13は筆記シート2を挟持している。また、ローラー15は筐体1を図示しない金具によって壁51に取り付けた状態で、シート2を壁51に押し付けることにより、シート2が壁51から浮き上がることを防止する。16はシート2上に書かれた文字や図形などを光学的に読み取って、電気信号に変換する読み取り部である。17は筐体1の開口部7の部分に設けられたセンサであって、把手3を検知することによって筆記シート2の巻き取り完了を検知する。また、19は読み取り部16で読み取られた文字や図形を感熱紙6に記録するための感熱ヘッド、18はプラテンである。」

(ウ) 【図1】、【図2】
「【図1】


「【図2】



(3) 先願発明1との非同一性について
ア 本件訂正発明と先願発明1の対比
本件訂正発明と先願発明1を対比する。
(ア) 先願発明1の「スクリーン収納用スライド枠5」は、裏面にマグネットシート12が貼着された映写スクリーン7を収納しているから、「可搬式のマグネットスクリーン装置」の発明である本件訂正発明と先願発明1は、「マグネットスクリーン装置」の発明である点で共通する。

(イ) 先願発明1の「スクリーン生地11」の「表面」は、本件訂正発明の「投影面」に相当するから、先願発明1の「表面側のスクリーン生地11と、このスクリーン生地11の裏面に貼着されたマグネットシート12とからなる」「映写スクリーン7」は、本件訂正発明の「投影面と該投影面に対向するマグネット面とを備えたスクリーンシート」に相当する。

(ウ) 先願発明1の「映写スクリーン7の他端部をコイルバネ8の付勢力によって巻き取り収納する巻取軸9」は、本件訂正発明の「スクリーンシートを巻き取るためのロール部材」に相当する。

(エ) 先願発明1の「映写スクリーン7の表面側スクリーン生地11が巻取軸9に対して外向きに配され、裏面側マグネットシート12が巻取軸9に対して内向きに配されて巻き取られるようになって」いることは、非使用時に映写スクリーン7が巻き取られることは自明であるから、本件訂正発明の「非使用時ではマグネット面が投影面に対して相対的に内側となるようにスクリーンシートがロール部材に巻き取られて」いることに相当する。

(オ) 先願発明1の「スクリーン収納用スライド枠5の枠本体5aとカバー体5bの間の開口部に、巻取軸9より下側に設けられ、映写スクリーン7は、その表面がガイドローラ10に接した状態で、当該開口部から引き出される又は巻き取られる」「ガイドローラ10」は、本件訂正発明の「巻き出される又は巻き取られるスクリーンシートと接するように設けられた長尺部材」に相当する。

(カ) 先願発明1は、「巻取軸9とガイドローラ10は、スクリーン収納用スライド枠5の枠本体5a及びこれに取り付けられたカバー体5bに収納されて」おり、また「スクリーン収納用スライド枠5」は、スクリーン収納用であるから、当然に、映写スクリーン7を収納しているものである。
よって、先願発明1の「スクリーン収納用スライド枠5の枠本体5a及びこれに取り付けられたカバー体5b」は、本件訂正発明の「スクリーンシート、ロール部材および長尺部材を収納するケーシング」に相当する。

(キ) 先願発明1の「巻取軸9」及び「ガイドローラ10」は、「スクリーン収納用スライド枠5」に設けられており、その位置は常に固定されているものと認められるから、本件訂正発明の「非使用時並びに巻き出し時および巻き取り時において、前記ロール部材および前記長尺部材が前記ケーシングに収納されて」いることに相当する。

(ク) 先願発明1の「ガイドローラ10」が「巻取軸9より下側に設けられ」ていることは、本件訂正発明の「マグネットスクリーン装置が設けられる設置面に対して相対的に近い側に位置付けられるロール部材の下側ロール胴部分に隣接して設けられて」いることに相当する。
よって、先願発明1の「ガイドローラ10」が「スクリーン収納用スライド枠5の枠本体5aとカバー体5bの間の開口部に、巻取軸9より下側に設けられ、映写スクリーン7は、その表面がガイドローラ10に接した状態で、当該開口部から引き出される又は巻き取られ」ることは、本件訂正発明の「スクリーンシートの巻き出し時又は巻き取り時において長尺部材が投影面と直接的に接し、ケーシングはスクリーンシートの巻き出しおよび巻き取りのための開口部を有し、および長尺部材が、該開口部に位置付けられており、かつ、マグネットスクリーン装置が設けられる設置面に対して相対的に近い側に位置付けられるロール部材の下側ロール胴部分に隣接して設けられている」ことに相当する。

(ケ) 先願発明1の「ガイドローラ10」は、「ローラ」であり、「回転可能」であることは明らかであるところ、さらに、「映写スクリーン7は、その表面がガイドローラ10に接した状態で、当該開口部から引き出される又は巻き取られ」ているから、本件訂正発明の「前記長尺部材が、巻き出される又は巻き取られるスクリーンシートとの摺動接触に起因して回転可能となって」いることに相当する。

(コ) 先願発明1の「スクリーン収納用スライド枠5」は、このスライド枠5を、黒板1の表面材1b上の所要スライド位置で固定するストッパー13が設けられており、当該ストッパー13は、スクリーン収納用スライド枠5の先端側に配置された断面矩形状のストップバー14と、このストップバー14の一側部に取り付けられた帯板状のマグネット15により構成されるものである。
したがって、先願発明1の「スクリーン収納用スライド枠5」と、本件訂正発明の「前記ケーシングは、取手部と、前記マグネットスクリーン装置の設置時に前記設置面に接するケーシング裏面に設けられたケーシング・マグネットとを有し」ていることは、「前記ケーシングは、ケーシング・マグネットを有し」ている点で共通する。

イ 一致点及び相違点
上記アの検討を総合すると、本件訂正発明と先願発明1は、以下の一致点で一致し、以下の相違点1において相違する。

<一致点>
マグネットスクリーン装置であって、
投影面と該投影面に対向するマグネット面とを備えたスクリーンシート、および
スクリーンシートを巻き取るためのロール部材
を有して成り、
非使用時ではマグネット面が投影面に対して相対的に内側となるようにスクリーンシートがロール部材に巻き取られており、
巻き出される又は巻き取られるスクリーンシートと接するように設けられた長尺部材、並びに、スクリーンシート、ロール部材および長尺部材を収納するケーシングを更に有して成り、非使用時並びに巻き出し時および巻き取り時において、前記ロール部材および前記長尺部材が前記ケーシングに収納されており、
スクリーンシートの巻き出し時又は巻き取り時において長尺部材が投影面と直接的に接し、ケーシングはスクリーンシートの巻き出しおよび巻き取りのための開口部を有し、および長尺部材が、該開口部に位置付けられており、かつ、マグネットスクリーン装置が設けられる設置面に対して相対的に近い側に位置付けられるロール部材の下側ロール胴部分に隣接して設けられており、
前記長尺部材が、巻き出される又は巻き取られるスクリーンシートとの摺動接触に起因して回転可能となっており、
前記ケーシングは、ケーシング・マグネットを有している
ことを特徴とする、マグネットスクリーン装置、である点。

<相違点1>
本件訂正発明は、「可搬式のマグネットスクリーン装置」であり、「ケーシングは、取手部と、前記マグネットスクリーン装置の設置時に前記設置面に接するケーシング裏面に設けられたケーシング・マグネットとを有し、前記スクリーンシートの短手端部には、裏面にマグネットを有する操作バーが設けられている」のに対して、先願発明1の「スクリーン収納用スライド枠5」は、黒板1の上下端部に取り付けられた上下両ガイドレール3,4に、転動子6を介してスライド可能に取り付けられており、「可搬式」ではなく、「スクリーン収納用スライド枠5」が取手部を有しておらず、その裏面にマグネットを有しておらず、さらに、「映写スクリーン7」の一端部7aを保持する「スクリーン引出端部保持用スライド枠20」が裏面にマグネットを有していない点。

ウ 当審の判断
前記相違点1について検討する。
(ア)a 先願発明1の「スクリーン収納用スライド枠5」は、黒板1の上下端部に取り付けられた上下両ガイドレール3,4に、転動子6を介してスライド可能に取り付けられているところ、先願明細書1の【図2】(d)から、容易に取り外しが可能でない構成であることが認められる。
b さらに、先願明細書1の【0039】には、「尚、学校に設置される黒板装置の場合には、映写スクリーン7の非使用時に、生徒・児童が授業以外の時間で勝手に動かさないように、スクリーン収納用スライド枠5及びスクリーン引出端部保持用スライド枠20を黒板1の端部にロックするロック手段を設けておくとよい。」と記載されており、当該記載からみても、また先願明細書1のその他の記載からみても、先願発明1の「スクリーン収納用スライド枠5」は、「据え置き式」を前提としており、取り外し可能にして「可搬式」とすることは想定されていないことが認められる。

(イ) 先願発明1において、「スクリーン収納用スライド枠5」は、黒板1の上下両ガイドレール3、4にスライド可能に取り付けられているところ、「スクリーン収納用スライド枠5」の裏面にマグネットを設けた場合、マグネットが黒板1に磁着するため、ガイドレールに沿ってスライドさせることが困難になることは明らかである。
このように、本件訂正発明の「マグネットスクリーン装置の設置時に前記設置面に接するケーシング裏面に設けられたケーシング・マグネットとを有」するとの構成は、「可搬式」であれば技術的に意味のある構成であると認められるが、据え置き式である先願発明1においては望ましくないものであるから、上記構成は、課題解決のための具体化手段における微差とは認められない。

(ウ) したがって、本件訂正発明と先願発明1は実質同一であるとは認められない。

(4) 先願発明2−1との非同一性について
ア 本件訂正発明と先願発明2−1の対比
本件訂正発明と先願発明2−1を対比する。
(ア) 先願発明2−1の「マグネットスクリーン1」は、持ち運び時や格納時等の非使用時に、スクリーン本体4が巻取りロール3にロール状に巻き取られて収納ケース2に収納された状態とされるものであり、非使用時に持ち運ぶことを想定しているものであるから、本願訂正発明の「可搬式のマグネットスクリーン装置」に相当する。

(イ) 先願発明2−1の「スクリーン層4a」を有する「一方の表面」は、本件訂正発明の「投影面」に相当するから、先願発明2−1の「少なくとも、一方の表面にスクリーン層4aを有し、他方の表面にマグネット層4bを有する」「スクリーン本体4」は、本件訂正発明の「投影面と該投影面に対向するマグネット面とを備えたスクリーンシート」に相当する。

(ウ) 先願発明2−1の「スクリーン本体4」を「ロール状に巻き取」る「巻取りロール3」は、本件訂正発明の「スクリーンシートを巻き取るためのロール部材」に相当する。

(エ) 先願発明2−1の「持ち運び時や格納時等の非使用時には、スクリーン本体4は、マグネット層4bを内側にして(即ちスクリーン層4aを外側にして)巻取りロール3にロール状に巻き取られて」いることは、本件訂正発明の「非使用時ではマグネット面が投影面に対して相対的に内側となるようにスクリーンシートがロール部材に巻き取られて」いることに相当する。

(オ) 先願発明2−1の「押さえ部5」は、横断面視での外形形状(外周面の形状)が円弧面に形成されている棒状体で形成されており、またスクリーン本体4を引き出す時の第1配置態様において、押さえ部5はスクリーン本体4と接しているから、本件訂正発明の「巻き出される又は巻き取られるスクリーンシートと接するように設けられた長尺部材」に相当する。

(カ) 先願発明2−1の「収納ケース2」は、巻取りロール3を収容し、非使用時にスクリーン本体4を収納し、かつスクリーン本体4の引き出し操作が完了した後、押さえ部5を被磁着体90に近接させた態様(第2配置態様)とする時に押さえ部5を収納しているから、本件訂正発明の「スクリーンシート、ロール部材および長尺部材を収納するケーシング」に相当する。

(キ) 先願発明2−1の「収納ケース2」は、巻取りロール3を収容しているものの、スクリーン本体4を引き出す時の、押さえ部5を被磁着体90から離した態様(第1配置態様)では、押さえ部5を収納していないから、本件訂正発明の「非使用時並びに巻き出し時および巻き取り時において、前記ロール部材および前記長尺部材が前記ケーシングに収納されて」いることと、「非使用時並びに巻き出し時および巻き取り時において、前記ロール部材が前記ケーシングに収納されて」いる点で共通する。

(ク) 先願発明2−1の「スクリーン本体4を引き出す時の第1配置態様において、押さえ部5はスクリーン本体4のスクリーン層4aを有する表面と接して」いる構成は、本件訂正発明の「スクリーンシートの巻き出し時又は巻き取り時において長尺部材が投影面と直接的に接し」ている構成に相当する。

(ケ) 先願発明2−1の「収納ケース2には、スクリーン本体4の引き出し、巻き取りを行うための開口部2Bが形成さ」れている構成は、本件訂正発明の「ケーシングはスクリーンシートの巻き出しおよび巻き取りのための開口部を有し」ている構成に相当する。
また、先願発明2−1の「巻取りロール3より下側に位置し」ていることは、本件訂正発明の「マグネットスクリーン装置が設けられる設置面に対して相対的に近い側に位置付けられるロール部材の下側ロール胴部分に隣接して設けられ」ることに相当するから、先願発明2−1の「押さえ部5を被磁着体90に近接させた態様(第2配置態様)では、押さえ部5は、収納ケース2の開口部2Bの巻取りロール3より下側に位置して、収納ケース2に収納されている」ことは、本件訂正発明の「長尺部材が、該開口部に位置付けられており、かつ、マグネットスクリーン装置が設けられる設置面に対して相対的に近い側に位置付けられるロール部材の下側ロール胴部分に隣接して設けられて」いることに相当する。

(コ) 先願発明2−1では、「収納ケース2の長さ方向の両端部に永久磁石が埋設されており、この永久磁石の磁力によって収納ケース2を被磁着体90に固定することができ」、「使用時には、まず、収納ケース2(の底壁2a)を、黒板、ホワイトボード等の被磁着体90に磁着させ」るものであるから、収納ケース2の底壁2aすなわち裏面に、永久磁石が埋設されていることになる。
よって、先願発明2−1の上記構成と、本件訂正発明の「ケーシングは、取手部と、前記マグネットスクリーン装置の設置時に前記設置面に接するケーシング裏面に設けられたケーシング・マグネットとを有し」ている構成は、「ケーシングは、前記マグネットスクリーン装置の設置時に前記設置面に接するケーシング裏面に設けられたケーシング・マグネット」を有している点で共通する。

(サ) 先願発明2−1の「スクリーン本体4の先端側縁部(引き出す方向側の縁部)」は、本件訂正発明の「スクリーンシートの短手端部」に相当する。
また、先願発明2−1の「固定用バー8」及び「取手9」は、本件訂正発明の「操作バー」に相当する。
よって、先願発明2−1の「スクリーン本体4の先端側縁部(引き出す方向側の縁部)に固定用バー8が接合され、前記固定用バー8の長さ方向の両端部に永久磁石が埋設されており」、「前記固定用バー8の長さ方向の略中心位置に取手9が設けられている」構成は、本件訂正発明の「スクリーンシートの短手端部には、裏面にマグネットを有する操作バーが設けられている」構成に相当する。

イ 一致点及び相違点
上記アの検討を総合すると、本件訂正発明と先願発明2−1の両者は、以下の一致点で一致し、以下の相違点2−1a及び2−1bにおいて相違する。

<一致点>
可搬式のマグネットスクリーン装置であって、
投影面と該投影面に対向するマグネット面とを備えたスクリーンシート、および
スクリーンシートを巻き取るためのロール部材
を有して成り、
非使用時ではマグネット面が投影面に対して相対的に内側となるようにスクリーンシートがロール部材に巻き取られており、
巻き出される又は巻き取られるスクリーンシートと接するように設けられた長尺部材、並びに、スクリーンシート、ロール部材および長尺部材を収納するケーシングを更に有して成り、非使用時並びに巻き出し時および巻き取り時において、前記ロール部材が前記ケーシングに収納されており、
スクリーンシートの巻き出し時又は巻き取り時において長尺部材が投影面と直接的に接し、ケーシングはスクリーンシートの巻き出しおよび巻き取りのための開口部を有し、および長尺部材が、該開口部に位置付けられており、かつ、マグネットスクリーン装置が設けられる設置面に対して相対的に近い側に位置付けられるロール部材の下側ロール胴部分に隣接して設けられており、
前記ケーシングは、前記マグネットスクリーン装置の設置時に前記設置面に接するケーシング裏面に設けられたケーシング・マグネットを有し、前記スクリーンシートの短手端部には、裏面にマグネットを有する操作バーが設けられている
ことを特徴とする、可搬式のマグネットスクリーン装置、である点。

<相違点2−1a>
本件訂正発明では、巻き出し時および巻き取り時において、「前記長尺部材が前記ケーシングに収納されており」(以下「部分相違点2−1a1」という。)、かつ、「前記長尺部材が、巻き出される又は巻き取られるスクリーンシートとの摺動接触に起因して回転可能となって[いる]」(以下「部分相違点2−1a2」という。)のに対して、先願発明2−1では、スクリーン本体4を引き出す時において、押さえ部5は収納ケース2に収納されておらず、かつ、押さえ部5が回転可能でない点。

<相違点2−1b>
本件訂正発明の「ケーシング」が取手部を有しているのに対して、先願発明2−1の「収納ケース2」が取手部を有しているか不明な点。

ウ 当審の判断
前記相違点2−1aについて検討する。
(ア) 先願発明2−1において、押さえ部5を被磁着体90から離した態様(第1配置態様)で、スクリーン本体4を引き出すのは、先願明細書2の【0043】に記載されているように、スクリーン本体4をスムーズに引き出して張設するとともに、スクリーン本体4に傷が付くことを防止するという課題を解決するためと認められる。
そして、先願発明2−1において、スクリーン本体4を引き出すときに、押さえ部5を被磁着体90から離した態様(第1配置態様)とせずに、押さえ部5を収納ケース2に収納したままにした場合、上記課題を解決し得なくなることは明らかである。
したがって、先願発明2−1における上記部分相違点2−1a1に係る構成は、課題解決のための具体化手段における微差とは認められない。

(イ) 次の(ウ)に示すとおりの、前記部分相違点2−1a1の点は、先願明細書2に明示的に開示されてないとしても先願明細書2の記載から認識できるとの主張も考えられるので、以下検討する。

(ウ)a(a) 先願明細書2の請求項2には、「押さえ部」は、「前記張設されたスクリーン本体における前記巻取りロールに近接した部位を幅全体にわたって前記押さえ部によって被磁着体側に向けて押さえ付け得るもの」とされているところ、同請求項2では、「前記収納ケースに取り付けられた押さえ部と、を備え」と特定されているに留まり、収納ケースに対し押さえ部が可動か否かについては記載されていない。
(b) 一方、前記請求項2の記載を引用する請求項3では、「前記押さえ部は、前記収納ケースに対し移動可能に取り付けられ」と押さえ部が可動であることが明記されている。

b(a) 先願明細書2の【0019】には、請求項2の発明の効果として、押さえ部によって、巻取りロールに近接した部位をも被磁着体に磁着させた状態でスクリーン本体を張設することができ、張設されたスクリーン本体のスクリーン層の略全面を有効面として使用することができる旨が記載されている。
(b) 一方、先願明細書2の【0020】には、請求項3の発明の効果として、収納ケースに対し移動可能に取り付けられた押さえ部を移動させ、被磁着体から離れた第1配置態様にすることで、スクリーン本体の引き出し操作、巻き取り操作をスムーズに行うことができ、被磁着体に近接した第2配置態様にすることで、スクリーン本体における巻取りロールに近接した部位を幅全体にわたって被磁着体側に向けて押さえ付けることができる旨が記載されている。

c 前記a及びbの点を踏まえると、先願明細書2の【0019】に記載の効果は、押さえ部が移動可能かどうかに関わらず奏するものと認められるから、請求項3に記載の「前記押さえ部は、前記収納ケースに対し移動可能に取り付けられ」る構成は、先願発明2−1において、少なくとも上記効果を奏するという点においては必須でなく、先願明細書2の請求項2に記載の発明には、押さえ部が移動可能でない構成、すなわち、前記部分相違点2−1a1に係る構成である、巻き出し時および巻き取り時において、「前記長尺部材が前記ケーシングに収納されて[いる]」構成が含まれているとして、前記部分相違点2−1a1の点は、先願明細書2に開示されていたとの主張も考えられる。

(エ)a 前記(ウ)に示す、潜在的な主張について以下検討する。
先願発明2−1が前記部分相違点2−1a1の点を備えるようにすると、先願明細書2の【0020】に請求項3の効果として記載されている、スクリーン本体の引き出し操作、巻き取り操作をスムーズに行うことができるとの効果は奏しなくなる、すなわち、先願明細書2の【0043】に記載されている、スクリーン本体4をスムーズに引き出して張設するとともに、スクリーン本体4に傷が付くことを防止するという課題を解決することができなくなるのであるから、あくまで、前記(ウ)の主張は、望ましくない態様として当業者が把握できるという域を出るものではない。

b(a) そして、本件訂正発明は、更に「前記長尺部材が、巻き出される又は巻き取られるスクリーンシートとの摺動接触に起因して回転可能となって[いる]」という前記部分相違点2−1a2に係る構成も有している。
(b) 当該部分相違点2−1a2を備えることにより、本願明細書の【0049】に記載された次の作用効果を奏すると認められる。
「かかる長尺部材30は、巻き出される又は巻き取られるスクリーンシートとの摺動接触に起因して回転可能(特に、長尺部材の軸方向中心に回転可能)となっており、それによって、「設置面側に抑え込まれるスクリーンシート10」に起因して長尺部材30にもたらされ得る摩擦抵抗が減じられることになり、よりスムーズな巻き出し又は巻き取りが実現される。」
(c) 先願発明2−1の押さえ部を移動可能にすることと、本件訂正発明の長尺部材を固定としつつ巻き出される又は巻き取られるスクリーンシートとの摺動接触に起因して回転可能とすることは、いずれもスムーズな巻き出し又は巻き取りを実現するための手段であるものの、その解決手段としては、前者は押さえ部を被磁着体から離れた位置に移動可能にすることによるもので、後者は長尺部材を固定としつつ巻き出される又は巻き取られるスクリーンシートとの摺動接触に起因して回転可能とすることによるものであり、両者は作用が明らかに異なっており、技術的に均等な手段ではない。
(d) そうすると、当業者が先願明細書2から把握できることは、押さえ部が移動可能でない構成の場合には、スクリーン本体の引き出し操作、巻き取り操作をスムーズに行うことができないことにとどまり、押さえ部を移動可能でない構成にした上で、さらに、押さえ部を巻き出される又は巻き取られるスクリーンシートとの摺動接触に起因して回転可能とすることまでは、認識できるものではない。

(e) 仮に、甲8号証の【0008】に「ローラー15は筐体1を図示しない金具によって壁51に取り付けた状態で、シート2を壁51に押し付けることにより、シート2が壁51から浮き上がることを防止する。」と記載されているように、シート2を回転可能なローラー15で押し付けることが、本件特許出願前に周知技術であったとしても、前記(a)に示したとおり、先願発明2−1が前記部分相違点2−1a1の点を備える構成は、当業者が望ましくない態様として把握しているものにとどまるのであるから、当該構成に、さらに上記周知技術を付加することまでを先願明細書2の記載から認識できるものではない。
すなわち、先願発明2−1が前記部分相違点2−1a1の点を備える構成に、スクリーン本体4に傷が付くことを防止するという課題を解決するために、上記周知技術を適用することは、進歩性欠如の主張としては成り立つ余地があるとしても、特許法29条の2における実質同一性の主張としては成り立つものでない。

(f) したがって、前記(ウ)に示す、前記部分相違点2−1a1の点は先願明細書2に明示的に開示されてないとしても先願明細書2の記載から認識できるとの主張は、採用することができず、このような主張を考慮しても、前記部分相違点2−1a2は、課題解決のための具体化手段における微差とは認められない。

(オ) 以上検討のとおり、本件訂正発明は、前記相違点2−1bについて検討するまでもなく、先願発明2−1と同一ではない。

(5) 先願発明2−2との非同一性について
ア 本件訂正発明と先願発明2−2の対比
本件訂正発明と先願発明2−2を対比する。
(ア) 先願発明2−2の「マグネットスクリーン1」は、持ち運び時や格納時等の非使用時に、スクリーン本体4が巻取りロール3にロール状に巻き取られて収納ケース2に収納された状態とされるものであり、非使用時に持ち運ぶことを想定しているものであるから、本願訂正発明の「可搬式のマグネットスクリーン装置」に相当する。

(イ) 先願発明2−2の「スクリーン層4a」を有する「一方の表面」は、本件訂正発明の「投影面」に相当するから、先願発明2−2の「少なくとも、一方の表面にスクリーン層4aを有し、他方の表面にマグネット層4bを有する」「スクリーン本体4」は、本件訂正発明の「投影面と該投影面に対向するマグネット面とを備えたスクリーンシート」に相当する。

(ウ) 先願発明2−2の「スクリーン本体4」を「ロール状に巻き取」る「巻取りロール3」は、本件訂正発明の「スクリーンシートを巻き取るためのロール部材」に相当する。

(エ) 先願発明2−2の「持ち運び時や格納時等の非使用時には、スクリーン本体4は、マグネット層4bを内側にして(即ちスクリーン層4aを外側にして)巻取りロール3にロール状に巻き取られて」いることは、本件訂正発明の「非使用時ではマグネット面が投影面に対して相対的に内側となるようにスクリーンシートがロール部材に巻き取られて」いることに相当する。

(オ) 先願発明2−2の「可動体24の先端部26を被磁着体90から離した態様(第1配置態様)では、可動体24の先端部26はスクリーン本体4のスクリーン層4aを有する表面と接している」ように構成された「先端部26」は、本件訂正発明の「巻き出される又は巻き取られるスクリーンシートと接するように設けられ」ている「長尺部材」に相当する。
また先願発明2−2の「収納ケース2」が、巻取りロール3を収容し、非使用時にスクリーン本体4を収納していることは、本件訂正発明の「スクリーンシート、ロール部材および長尺部材を収納するケーシングを更に有して成り、非使用時並びに巻き出し時および巻き取り時において、前記ロール部材および前記長尺部材が前記ケーシングに収納されて」いることと、「スクリーンシート、ロール部材を収納するケーシングを更に有して成り、非使用時並びに巻き出し時および巻き取り時において、前記ロール部材が前記ケーシングに収納されて」いる点で共通する。

(カ) 先願発明2−2の「可動体24の先端部26を被磁着体90から離した態様(第1配置態様)では、可動体24の先端部26はスクリーン本体4のスクリーン層4aを有する表面と接している」構成は、本件訂正発明の「長尺部材が」「スクリーンシートの巻き出し時又は巻き取り時において」「投影面と直接的に接し」ている構成に相当する。
また先願発明2−2の「収納ケース2には、スクリーン本体4の引き出し、巻き取りを行うための開口部2Bが形成さ」れていることは、本件訂正発明の「ケーシングはスクリーンシートの巻き出しおよび巻き取りのための開口部を有し、および長尺部材が、該開口部に位置付けられており、かつ、マグネットスクリーン装置が設けられる設置面に対して相対的に近い側に位置付けられるロール部材の下側ロール胴部分に隣接して設けられている」ことと、「ケーシングはスクリーンシートの巻き出しおよび巻き取りのための開口部を有している」点で共通する。

(キ) 先願発明2−2では、「収納ケース2の長さ方向の両端部に永久磁石が埋設されており、この永久磁石の磁力によって収納ケース2を被磁着体90に固定することができ」、「使用時には、まず、収納ケース2(の底壁2a)を、黒板、ホワイトボード等の被磁着体90に磁着させ」るものであるから、収納ケース2の底壁2aすなわち裏面に、永久磁石が埋設されていることになる。
よって、先願発明2−2の上記構成と、本件訂正発明の「ケーシングは、取手部と、前記マグネットスクリーン装置の設置時に前記設置面に接するケーシング裏面に設けられたケーシング・マグネットとを有し」ている構成は、「ケーシングは、前記マグネットスクリーン装置の設置時に前記設置面に接するケーシング裏面に設けられたケーシング・マグネット」「を有し」ている点で共通する。

(ク) 先願発明2−2の「スクリーン本体4の先端側縁部(引き出す方向側の縁部)」は、本件訂正発明の「スクリーンシートの短手端部」に相当する。
また、先願発明2−2の「固定用バー8」及び「取手9」は、本件訂正発明の「操作バー」に相当する。
よって、先願発明2−2の「スクリーン本体4の先端側縁部(引き出す方向側の縁部)に固定用バー8が接合され、前記固定用バー8の長さ方向の両端部に永久磁石が埋設されており」、「前記固定用バー8の長さ方向の略中心位置に取手9が設けられている」構成は、本件訂正発明の「スクリーンシートの短手端部には、裏面にマグネットを有する操作バーが設けられている」構成に相当する。

イ 一致点及び相違点
上記アの検討を総合すると、本件訂正発明と先願発明2−2の両者は、以下の一致点で一致し、以下の相違点2−2a及び2−2bにおいて相違する。

<一致点>
可搬式のマグネットスクリーン装置であって、
投影面と該投影面に対向するマグネット面とを備えたスクリーンシート、および
スクリーンシートを巻き取るためのロール部材
を有して成り、
非使用時ではマグネット面が投影面に対して相対的に内側となるようにスクリーンシートがロール部材に巻き取られており、
巻き出される又は巻き取られるスクリーンシートと接するように設けられた長尺部材、並びに、スクリーンシート、ロール部材を収納するケーシングを更に有して成り、非使用時並びに巻き出し時および巻き取り時において、前記ロール部材が前記ケーシングに収納されており、
スクリーンシートの巻き出し時又は巻き取り時において長尺部材が投影面と直接的に接し、ケーシングはスクリーンシートの巻き出しおよび巻き取りのための開口部を有し、
前記ケーシングは、前記マグネットスクリーン装置の設置時に前記設置面に接するケーシング裏面に設けられたケーシング・マグネットを有し、前記スクリーンシートの短手端部には、裏面にマグネットを有する操作バーが設けられている
ことを特徴とする、可搬式のマグネットスクリーン装置、である点。

<相違点2−2a>
本件訂正発明では、「長尺部材を収納するケーシングを更に有して成り、非使用時並びに巻き出し時および巻き取り時において」、「前記長尺部材が前記ケーシングに収納されており」、「長尺部材が、該開口部に位置付けられており、かつ、マグネットスクリーン装置が設けられる設置面に対して相対的に近い側に位置付けられるロール部材の下側ロール胴部分に隣接して設けられ」、かつ、「前記長尺部材が、巻き出される又は巻き取られるスクリーンシートとの摺動接触に起因して回転可能となって」いるのに対して、先願発明2−2では、そのような構成を有していない点。

<相違点2−2b>
本件訂正発明の「ケーシング」が取手部を有しているのに対して、先願発明2−2の「収納ケース2」が取手部を有しているか不明な点。

ウ 当審の判断
前記相違点2−2aについて検討する。
先願発明2−2における、ケース本体21と可動体24からなる「収納ケース2」は、前記ア(オ)において示したとおり、本件訂正発明の「ケーシング」に相当するものであるが、先願発明2−2の「可動体24の先端部26」は、前記可動体24と一体化されて、その一部を構成するものであり、可動体24に収納されているものとはいえないから、本件訂正発明の「非使用時並びに巻き出し時および巻き取り時において」、「前記ケーシングに収納されて」いる「長尺部材」に相当するものとはいえない。
また、先願発明2−2の「可動体24の先端部26」は、可動体24を手で動かして、可動体24の先端部26を被磁着体90から離した態様(第1配置態様)においては、本件訂正発明の「マグネットスクリーン装置が設けられる設置面に対して相対的に近い側に位置付けられるロール部材の下側ロール胴部分に隣接して設けられている」「長尺部材」に相当するものとはいえない。
更に、当該「可動体24の先端部26」以外に、本件訂正発明の「長尺部材」に相当する構成も、先願発明2−2に見当たらない。
そして、先願発明2−2において、「可動体24の先端部26」を被磁着体90から離した態様(第1配置態様)でスクリーン本体4を引き出すことは、先願明細書2の【0062】に記載されているように、スクリーン本体4をスムーズに引き出して張設するとともに、スクリーン本体4に傷が付くことを防止するという課題を解決するためであるところ、前記(4)ウで先願発明2−1について検討したのと同様、先願発明2−2の「可動体24の先端部26」を被磁着体90に対して移動可能にすることと、本件訂正発明の長尺部材を固定としつつ巻き出される又は巻き取られるスクリーンシートとの摺動接触に起因して回転可能とすることは、技術的に均等な手段ではないから、当該相違点2−2aに係る構成は課題解決のための具体化手段における微差とは認められない。
よって、本件訂正発明は、前記相違点2−2bについて検討するまでもなく、先願発明2−2と同一ではない。

(6) 独立特許要件についてのまとめ
以上のとおり、本件訂正発明は、先願発明1、先願発明2−1及び2―2のいずれとも実質的に相違し、同一ではないから、特許法29条の2の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものとはいえない。
そして、その他に、本件訂正発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができない理由もない。
したがって、前記訂正事項1及び2による訂正は、特許法126条7項に規定する独立特許要件を満たすものである。


第4 むすび
以上のとおり、前記訂正事項1及び2は、特許法126条1項ただし書き1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正であり、前記訂正事項3は、同項ただし書き3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正である。
また、前記訂正事項1〜3は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当せず、さらに訂正後の請求項1に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができないものでもないから、特許法126条5項、6項及び7項の規定に適合する。
したがって、本件訂正は、特許法126条1項、同条5項から7項までの規定に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。




 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可搬式のマグネットスクリーン装置であって、
投影面と該投影面に対向するマグネット面とを備えたスクリーンシート、および
スクリーンシートを巻き取るためのロール部材
を有して成り、
非使用時ではマグネット面が投影面に対して相対的に内側となるようにスクリーンシートがロール部材に巻き取られており、
巻き出される又は巻き取られるスクリーンシートと接するように設けられた長尺部材、並びに、スクリーンシート、ロール部材および長尺部材を収納するケーシングを更に有して成り、非使用時並びに巻き出し時および巻き取り時において、前記ロール部材および前記長尺部材が前記ケーシングに収納されており、
スクリーンシートの巻き出し時又は巻き取り時において長尺部材が投影面と直接的に接し、ケーシングはスクリーンシートの巻き出しおよび巻き取りのための開口部を有し、および長尺部材が、該開口部に位置付けられており、かつ、マグネットスクリーン装置が設けられる設置面に対して相対的に近い側に位置付けられるロール部材の下側ロール胴部分に隣接して設けられており、
前記長尺部材が、巻き出される又は巻き取られるスクリーンシートとの摺動接触に起因して回転可能となっており、
前記ケーシングは、取手部と、前記マグネットスクリーン装置の設置時に前記設置面に接するケーシング裏面に設けられたケーシング・マグネットとを有し、前記スクリーンシートの短手端部には、裏面にマグネットを有する操作バーが設けられていることを特徴とする、可搬式のマグネットスクリーン装置。
【請求項2】
可搬式のマグネットスクリーン装置であって、
投影面と該投影面に対向するマグネット面とを備えたスクリーンシート、および
スクリーンシートを巻き取るためのロール部材
を有して成り、
非使用時ではマグネット面が投影面に対して相対的に内側となるようにスクリーンシートがロール部材に巻き取られており、
巻き出される又は巻き取られるスクリーンシートと接するように設けられた長尺部材、並びに、スクリーンシート、ロール部材および長尺部材を収納するケーシングを更に有して成り、スクリーンシートの巻き出し時又は巻き取り時において長尺部材が投影面と直接的に接し、ケーシングはスクリーンシートの巻き出しおよび巻き取りのための開口部を有し、および長尺部材が、該開口部に位置付けられており、かつ、マグネットスクリーン装置が設けられる設置面に対して相対的に近い側に位置付けられるロール部材の下側ロール胴部分に隣接して設けられ、
マグネットスクリーン装置が設けられる設置面に相対的に近く位置付けられる近位ロール側部と、該近位ロール側部に対向して設置面に相対的に遠く位置付けられる遠位ロール側部とを有するロール部材について、遠位ロール側部からスクリーンシートが巻き出し又は巻き取りされることを特徴とする、マグネットスクリーン装置。
【請求項3】
可搬式のマグネットスクリーン装置であって、
投影面と該投影面に対向するマグネット面とを備えたスクリーンシート、および
スクリーンシートを巻き取るためのロール部材
を有して成り、
非使用時ではマグネット面が投影面に対して相対的に内側となるようにスクリーンシートがロール部材に巻き取られており、
巻き出される又は巻き取られるスクリーンシートと接するように設けられた長尺部材、並びに、スクリーンシート、ロール部材および長尺部材を収納するケーシングを更に有して成り、スクリーンシートの巻き出し時又は巻き取り時において長尺部材が投影面と直接的に接し、ケーシングはスクリーンシートの巻き出しおよび巻き取りのための開口部を有し、および長尺部材が、該開口部に位置付けられており、かつ、マグネットスクリーン装置が設けられる設置面に対して相対的に近い側に位置付けられるロール部材の下側ロール胴部分に隣接して設けられ、
設置面に設けたマグネットスクリーン装置につき下側に設置面が位置する一方、上側にロール部材が位置するように方向を規定した場合、ロール部材におけるスクリーンシートの巻き出しポイント又は巻き取りポイントがロール部材の上側半分に位置付けられることを特徴とする、マグネットスクリーン装置。
【請求項4】
可搬式のマグネットスクリーン装置であって、
投影面と該投影面に対向するマグネット面とを備えたスクリーンシート、および
スクリーンシートを巻き取るためのロール部材
を有して成り、
非使用時ではマグネット面が投影面に対して相対的に内側となるようにスクリーンシートがロール部材に巻き取られており、
巻き出される又は巻き取られるスクリーンシートと接するように設けられた長尺部材、並びに、スクリーンシート、ロール部材および長尺部材を収納するケーシングを更に有して成り、スクリーンシートの巻き出し時又は巻き取り時において長尺部材が投影面と直接的に接し、ケーシングはスクリーンシートの巻き出しおよび巻き取りのための開口部を有し、および長尺部材が、該開口部に位置付けられており、かつ、マグネットスクリーン装置が設けられる設置面に対して相対的に近い側に位置付けられるロール部材の下側ロール胴部分に隣接して設けられ、
長尺部材が、巻き出される又は巻き取られるスクリーンシートとの摺動接触に起因して回転可能となっていることを特徴とする、マグネットスクリーン装置。
【請求項5】(削除)
【請求項6】(削除)
【請求項7】(削除)
【請求項8】
可搬式のマグネットスクリーン装置であって、
投影面と該投影面に対向するマグネット面とを備えたスクリーンシート、および
スクリーンシートを巻き取るためのロール部材
を有して成り、
非使用時ではマグネット面が投影面に対して相対的に内側となるようにスクリーンシートがロール部材に巻き取られており、
巻き出される又は巻き取られるスクリーンシートと接するように設けられた長尺部材、並びに、スクリーンシート、ロール部材および長尺部材を収納するケーシングを更に有して成り、スクリーンシートの巻き出し時又は巻き取り時において長尺部材が投影面と直接的に接し、ケーシングはスクリーンシートの巻き出しおよび巻き取りのための開口部を有し、および長尺部材が、該開口部に位置付けられており、かつ、マグネットスクリーン装置が設けられる設置面に対して相対的に近い側に位置付けられるロール部材の下側ロール胴部分に隣接して設けられ、
マグネットスクリーン装置が設けられる設置面に相対的に近く位置付けられる近位ロール側部と、該近位ロール側部に対向して設置面に相対的に遠く位置付けられる遠位ロール側部とを有するロール部材について、遠位ロール側部からスクリーンシートが巻き出し又は巻き取りされ、
設置面に設けたマグネットスクリーン装置につき下側に設置面が位置する一方、上側にロール部材が位置するように方向を規定した場合、ロール部材におけるスクリーンシートの巻き出しポイント又は巻き取りポイントがロール部材の上側半分に位置付けられることを特徴とする、マグネットスクリーン装置。
【請求項9】
可搬式のマグネットスクリーン装置であって、
投影面と該投影面に対向するマグネット面とを備えたスクリーンシート、および
スクリーンシートを巻き取るためのロール部材
を有して成り、
非使用時ではマグネット面が投影面に対して相対的に内側となるようにスクリーンシートがロール部材に巻き取られており、
巻き出される又は巻き取られるスクリーンシートと接するように設けられた長尺部材、並びに、スクリーンシート、ロール部材および長尺部材を収納するケーシングを更に有して成り、スクリーンシートの巻き出し時又は巻き取り時において長尺部材が投影面と直接的に接し、ケーシングはスクリーンシートの巻き出しおよび巻き取りのための開口部を有し、および長尺部材が、該開口部に位置付けられており、かつ、マグネットスクリーン装置が設けられる設置面に対して相対的に近い側に位置付けられるロール部材の下側ロール胴部分に隣接して設けられ、
マグネットスクリーン装置が設けられる設置面に相対的に近く位置付けられる近位ロール側部と、該近位ロール側部に対向して設置面に相対的に遠く位置付けられる遠位ロール側部とを有するロール部材について、遠位ロール側部からスクリーンシートが巻き出し又は巻き取りされ、
長尺部材が、巻き出される又は巻き取られるスクリーンシートとの摺動接触に起因して回転可能となっていることを特徴とする、マグネットスクリーン装置。
【請求項10】
可搬式のマグネットスクリーン装置であって、
投影面と該投影面に対向するマグネット面とを備えたスクリーンシート、および スクリーンシートを巻き取るためのロール部材
を有して成り、
非使用時ではマグネット面が投影面に対して相対的に内側となるようにスクリーンシートがロール部材に巻き取られており、
巻き出される又は巻き取られるスクリーンシートと接するように設けられた長尺部材、並びに、スクリーンシート、ロール部材および長尺部材を収納するケーシングを更に有して成り、スクリーンシートの巻き出し時又は巻き取り時において長尺部材が投影面と直接的に接し、ケーシングはスクリーンシートの巻き出しおよび巻き取りのための開口部を有し、および長尺部材が、該開口部に位置付けられており、かつ、マグネットスクリーン装置が設けられる設置面に対して相対的に近い側に位置付けられるロール部材の下側ロール胴部分に隣接して設けられ、
設置面に設けたマグネットスクリーン装置につき下側に設置面が位置する一方、上側にロール部材が位置するように方向を規定した場合、ロール部材におけるスクリーンシートの巻き出しポイント又は巻き取りポイントがロール部材の上側半分に位置付けられ、
長尺部材が、巻き出される又は巻き取られるスクリーンシートとの摺動接触に起因して回転可能となっていることを特徴とする、マグネットスクリーン装置。
【請求項11】
可搬式のマグネットスクリーン装置であって、
投影面と該投影面に対向するマグネット面とを備えたスクリーンシート、および
スクリーンシートを巻き取るためのロール部材
を有して成り、
非使用時ではマグネット面が投影面に対して相対的に内側となるようにスクリーンシートがロール部材に巻き取られており、
巻き出される又は巻き取られるスクリーンシートと接するように設けられた長尺部材、並びに、スクリーンシート、ロール部材および長尺部材を収納するケーシングを更に有して成り、スクリーンシートの巻き出し時又は巻き取り時において長尺部材が投影面と直接的に接し、ケーシングはスクリーンシートの巻き出しおよび巻き取りのための開口部を有し、および長尺部材が、該開口部に位置付けられており、かつ、マグネットスクリーン装置が設けられる設置面に対して相対的に近い側に位置付けられるロール部材の下側ロール胴部分に隣接して設けられ、
マグネットスクリーン装置が設けられる設置面に相対的に近く位置付けられる近位ロール側部と、該近位ロール側部に対向して設置面に相対的に遠く位置付けられる遠位ロール側部とを有するロール部材について、遠位ロール側部からスクリーンシートが巻き出し又は巻き取りされ、
設置面に設けたマグネットスクリーン装置につき下側に設置面が位置する一方、上側にロール部材が位置するように方向を規定した場合、ロール部材におけるスクリーンシートの巻き出しポイント又は巻き取りポイントがロール部材の上側半分に位置付けられ、
長尺部材が、巻き出される又は巻き取られるスクリーンシートとの摺動接触に起因して回転可能となっていることを特徴とする、マグネットスクリーン装置。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2022-08-29 
結審通知日 2022-09-01 
審決日 2022-09-16 
出願番号 P2015-047415
審決分類 P 1 41・ 853- Y (G03B)
P 1 41・ 851- Y (G03B)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 中塚 直樹
特許庁審判官 濱本 禎広
岡田 吉美
登録日 2018-10-26 
登録番号 6422800
発明の名称 マグネットスクリーン装置  
代理人 高岡 健  
代理人 江間 晴彦  
代理人 高岡 健  
代理人 田村 啓  
代理人 江間 晴彦  
代理人 田村 啓  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ