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審決分類 |
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 G03G 審判 全部申し立て 2項進歩性 G03G 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 G03G |
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管理番号 | 1391986 |
総通号数 | 12 |
発行国 | JP |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2022-12-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2021-04-06 |
確定日 | 2022-09-13 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | true |
事件の表示 | 特許第6766310号発明「フェライト粒子、電子写真現像剤用キャリア芯材、電子写真現像剤用キャリア及び電子写真現像剤」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6766310号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1〜11〕について訂正することを認める。 特許第6766310号の請求項1〜5、7〜11に係る特許を維持する。 特許第6766310号の請求項6に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第6766310号(設定登録時の請求項の数は11。以下「本件特許」という。)に係る出願は、2020年(令和2年)2月20日(優先権主張 2019年2月25日)を国際出願日とする特許出願であって、令和2年9月23日にその特許権の設定登録がされ、同年10月14日に特許掲載公報が発行された。 その後、本件特許の請求項1〜11に係る特許に対し、特許異議申立人である山本英生より、令和3年4月6日に特許異議の申立てがされた。 以降の手続の経緯は、次のとおりである。 令和3年 9月28日付け:取消理由通知 同年11月26日 :意見書の提出及び訂正の請求(特許権者) 令和4年 2月10日 :意見書の提出(特許異議申立人) 第2 訂正の適否についての判断 令和3年11月26日に特許権者より請求された訂正(以下「本件訂正」という。)は適法になされたものと判断する。 以下、その理由につき詳述する。 1 訂正の内容 本件訂正は、本件特許請求の範囲を訂正するものであって、一群の請求項1〜11を訂正の単位として請求されたものであるから、特許法第120条の5第4項の規定に従うものであるところ、その訂正の内容(訂正事項)は、次のとおりである。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に記載の「であることを特徴とするフェライト粒子」を「であり、(MO)a(Fe2O3)b(但し、MはFe,Mg,Mn,Cu,Zn及びNiからなる群から選ばれる少なくとも1つの金属元素、a+b=100(mol%))の組成式で表されるスピネル型結晶からなる結晶相成分を主成分とするスピネル型フェライト粒子(但し、Zr含有量が500ppm以下のものを除く)」に訂正する。 請求項1を引用する請求項2〜5、7〜11も同様に訂正する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項6を削除する。 (3)訂正事項3 訂正事項2に伴い、特許請求の範囲の請求項7が引用する請求項を「請求項1〜請求項5のいずれか一項」に訂正する。 (4)訂正事項4 訂正事項2に伴い、特許請求の範囲の請求項8が引用する請求項を「請求項1〜請求項5及び請求項7のいずれか一項」に訂正する。 (5)訂正事項5 訂正事項2に伴い、特許請求の範囲の請求項9が引用する請求項を「請求項1〜請求項5及び請求項7のいずれか一項」に訂正する。 2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)訂正事項1について ア はじめに、訂正事項1のうちの「(MO)a(Fe2O3)b(但し、MはFe,Mg,Mn,Cu,Zn及びNiからなる群から選ばれる少なくとも1つの金属元素、a+b=100(mol%))の組成式で表されるスピネル型結晶からなる結晶相成分を主成分とするスピネル型フェライト粒子」の部分(以下「訂正事項1−1」という。)について検討をする。 この訂正事項1−1は、訂正前の請求項6に記載された「(MO)a(Fe2O3)b(但し、MはFe,Mg,Mn,Cu,Zn及びNiからなる群から選ばれる少なくとも1つの金属元素、a+b=100(mol%))の組成式で表されるスピネル型結晶からなる結晶相成分を主成分とする」との記載を追加するものであるから、訂正事項1−1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、また、新規事項の追加には該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 イ 次に、訂正事項1のうち「(但し、Zr含有量が500ppm以下のものを除く)」の部分(以下「訂正事項1−2」という。)について検討する。 訂正事項1−2は、「RZrO3の組成式(但し、Rはアルカリ土類金属元素)で表されるペロブスカイト型結晶からなる結晶相成分を含むフェライト粒子」である訂正前の請求項1において、Zr含有量の範囲として500ppm以下の範囲にあるフェライト粒子を除くもので、フェライト粒子におけるZr含有量の範囲を減縮するであること、また、これにより新たな技術的事項が導入されるものとはいえないことから、訂正事項1−2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、また、新規事項の追加には該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (2)訂正事項2について 訂正事項2は、訂正前の請求項6を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (3)訂正事項3〜5について 訂正事項3〜5は、訂正事項2で訂正前の請求項6を削除したことに伴い、請求項7〜9における引用請求項の一部を削除する訂正であり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものということができる。 そして、当該訂正事項が、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことは明らかである。 3 小括 以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものに該当し、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものといえる。 よって、標記結論のとおり、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、本件訂正後の請求項〔1〜11〕について訂正することを認める。 第3 本件訂正後の本件発明 上記第2のとおり本件訂正は適法になされたものと認められるので、本件特許の特許請求の範囲の請求項1〜5、7〜11に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」〜「本件発明5」、「本件発明7」〜「本件発明11」といい、これらをまとめて「本件発明」という。)は、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1〜5、7〜11に記載された事項により特定される、次のとおりのものである(下線は訂正箇所)。 「【請求項1】 RZrO3の組成式(但し、Rはアルカリ土類金属元素)で表されるペロブスカイト型結晶からなる結晶相成分を含み、見掛密度が以下の式で表わされる範囲内であり、(MO)a(Fe2O3)b(但し、MはFe,Mg,Mn,Cu,Zn及びNiからなる群から選ばれる少なくとも1つの金属元素、a+b=100(mol%))の組成式で表されるスピネル型結晶からなる結晶相成分を主成分とするスピネル型フェライト粒子(但し、Zr含有量が500ppm以下のものを除く)。 1.90≦ Y ≦ 2.45 但し、上記式においてYは当該フェライト粒子の見掛密度(g/cm3)である。 【請求項2】 当該フェライト粒子のBET比表面積が以下の式で表わされる範囲内である請求項1に記載のフェライト粒子。 0.08≦ X ≦ 0.550 但し、上記式においてXは当該フェライト粒子のBET比表面積(m2/g)である。 【請求項3】 前記見掛密度と前記BET比表面積が以下の関係式を満たす請求項2に記載のフェライト粒子。 −0.892X+2.34 ≦ Y ≦ −0.892X+2.49 【請求項4】 前記RがSr、Ca及びBaからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の元素である請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のフェライト粒子。 【請求項5】 X線回折パターンのリートベルト解析により当該フェライト粒子を構成する結晶相の相組成分析を行ったときに、前記ペロブスカイト型結晶からなる結晶相成分を0.05質量%以上2.50質量%以下含む請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のフェライト粒子。 【請求項7】 当該フェライト粒子は、(MnO)x(MgO)y(Fe2O3)z(但し、15≦x≦50、2≦y≦35、45≦z≦60、x+y+z=100(mol%))の組成式で表されるスピネル型結晶からなる結晶相成分を主成分とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のフェライト粒子。 【請求項8】 請求項1〜請求項5及び請求項7のいずれか一項に記載のフェライト粒子を含む電子写真現像剤用キャリア芯材。 【請求項9】 請求項1〜請求項5及び請求項7のいずれか一項に記載のフェライト粒子と、当該フェライト粒子の表面に設けられた樹脂被覆層とを備える電子写真現像剤用キャリア。 【請求項10】 請求項9に記載の電子写真現像剤用キャリアとトナーとを含む電子写真現像剤。 【請求項11】 補給用現像剤として用いられる請求項10に記載の電子写真現像剤。」 第4 取消理由通知に記載した取消理由について 1 取消理由の概要 本件特許の請求項1〜11に係る発明(ただし本件訂正前のもの)に対して、当審が令和3年9月21日付けで特許権者に通知した取消理由1〜3の要旨は、次のとおりである。 (1)取消理由1(新規性欠如) 本件特許の請求項1〜11に係る発明は、本件特許出願の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、請求項1〜11に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。 (2)取消理由2(進歩性欠如) 本件特許の請求項1〜11に係る発明は、本件特許出願の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願の優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1〜11に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 (3)取消理由3(サポート要件違反) 本件請求項1〜11に係る特許は、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 (刊行物一覧) 甲1:特開2006−17828号公報 甲2:国際公開第2017/175646号 なお、甲1、甲2はいずれも主たる証拠である。 2 取消理由についての当審の判断 (1)取消理由1(新規性欠如)及び取消理由2(進歩性欠如)について ア 各証拠の記載事項 (ア)甲1の記載事項 1a「【特許請求の範囲】 【請求項1】ジルコニウムを40〜500ppm含有することを特徴とする電子写真現像剤用フェライトキャリア。 【請求項2】フェライト組成が、下記式(1)で示される請求項1記載の電子写真現像剤用フェライトキャリア。 (MnO)x(MgO)y(Fe2O3)z …(1) (式中、x+y+z=100mol%、x=35〜45mol%、y=5〜15mol%、z=40〜60mol%) ・・・ 【請求項4】樹脂で表面が被覆されている請求項1、2又は3記載の電子写真現像剤用フェライトキャリア。 ・・・ 【請求項9】請求項1〜4のいずれかに記載のフェライトキャリアとトナーとからなる電子写真現像剤。」(特許請求の範囲) 1b 「【0036】 本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリアの比表面積は、好ましくは0.05〜0.2m2/g、さらに好ましくは0.06〜0.15m2/gである。比表面積が0.05m2/g未満であると画質が粗くなり、所望の解像度を得られにくく、0.2m2/gを超えると流動性が悪くなるためか、画質が悪くなる。」 1c「【0042】 本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリアの見掛け密度は、好ましくは2.0〜2.5g/cm3、さらに好ましくは2.1〜2.4g/cm3である。見掛け密度が2.0g/cm3未満であると、流動性が悪くなるため、画質が悪くなる。見掛け密度が2.5g/cm3を超えると、磁気ブラシの穂が硬くなるためか、画質が粗くなり、所望の解像度が得られにくくなる。」 1d「【0044】 <本発明に係る現像剤用フェライトキャリアの製造方法> 次に、本発明に係る現像剤用フェライトキャリアの製造方法について説明する。 先ず、所定組成となるように、フェライト原料を適量秤量した後、ボールミル又は振動ミル等で0.5時間以上、好ましくは1〜20時間粉砕、混合する。このようにして得られた粉砕物を加圧成型器等によりペレット化した後、700〜1200℃の温度で仮焼成する。加圧成型器を使用せずに、粉砕した後、水を加えてスラリー化し、スプレードライヤーを用いて粒状化しても良い。また見掛け密度を下げたい場合は仮焼成の工程は省いてもよい。 【0045】 仮焼成後、さらにボールミル又は振動ミル等で粉砕した後、水及び必要に応じ分散剤、バインダー等を添加し、粘度調整後、造粒し、酸素濃度を制御し、1000〜1500℃の温度で1〜24時間保持し、本焼成を行う。仮焼後に粉砕する際は、水を加えて湿式ボールミルや湿式振動ミル等で粉砕してもよい。 【0046】 本発明に係る製造方法では、焼成(本焼成)後のジルコニウム含有量が40〜500ppmとなるようにジルコニウム原料を添加する。 【0047】 ジルコニウム原料の添加は、フェライト原料と同時に添加するのが一般的である。このようなフェライト原料として酸化ジルコニウム等が挙げられる。」 1e 「【実施例1】 【0081】 MnO:35mol%、MgO:14mol%、Fe2O3:50mol%、SrO:1mol%になるように各フェライト原料を秤量、混合したもの100重量部に対して、焼成後にジルコニウム含有量が400ppm程度になるように酸化ジルコニウムを適量添加し、乾式振動ミルで3時間粉砕、混合し、加圧成型機にてペレット化する。その後、950℃で1時間保持し仮焼成を行った。これを湿式ボールミルで5時間粉砕した。湿式ボールミルのメディアは、約3mm(1/8インチ)径のステンレスビーズを用いた。得られたスラリーのスラリー粒径は表1に示す通りであった。 【0082】 このスラリーに分散剤及びバインダーを適量添加し、次いでスプレードライヤーにより造粒、乾燥し、電気炉にて、温度1250℃、酸素濃度1.5%で4時間保持し、本焼成を行なった。その後、解砕し、さらに分級して粒度調整し、その後磁力選鉱により低磁力品を分別し、フェライト粒子の芯材を得た。 【0083】 これらフェライト粒子を芯材とし、シリコーン系樹脂(商品名:SR−2411、固形分20重量%、東レ・ダウコーニング社製)とγ−アミノプロピルトリエトキシシランを樹脂固形分に対して2重量%を秤量しトルエンに溶解させ、流動床コート装置を用いてキャリア芯材に対して0.5重量%をコーティングし、さらに250℃で3時間焼き付けを行い、上記樹脂によって被覆されたフェライトキャリアを得た。 【0084】 得られたキャリアの平均粒径は35.2μmであり、ジルコニウムの含有率は380ppmであった。このキャリアの各種特性及び物性(抵抗、比表面積、形状係数、磁化、見掛け密度)を表2に示す。なお、表1及び2に示される各種特性及び物性の測定方法は、上述した通りである。」 (イ)甲2の記載事項 2a「[0072]2.本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア 本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア(以下、「フェライトキャリア」と表記する。)は、上記フェライトキャリア芯材と、当該フェライトキャリア芯材の表面に設けられた樹脂被覆層とを備える。樹脂被覆層は、一層であってもよいし、複数層であってもよく、所望の特性に応じて樹脂被覆層の層数を決めることができる。樹脂被覆層を二層以上設ける場合は、各樹脂被覆層の組成、樹脂被覆量及び樹脂被覆層を形成する際に使用する装置は変化させてもよいし、変えなくてもよい。」 2b 「[0111] 上記のように製造されたフェライトキャリアとトナーとを混合し、電子写真現像剤を得ることができる。フェライトキャリアとトナーの混合比、即ちトナー濃度は、3質量%以上15質量%以下に設定することが好ましい。3質量%未満であると所望の画像濃度が得にくく、15質量%を超えると、トナー飛散やかぶりが発生しやすくなる。 [0112] 本発明に係る電子写真現像剤は、補給用現像剤として用いることもできる。この際のフェライトキャリアとトナーの混合比、即ちトナー濃度は100質量%以上3000質量%以下に設定することが好ましい。」 2c 「【実施例1】 [0115] MnO:38.7モル%、MgO:10.0モル%、Fe2O3:50.6モル%及びSrO:0.7モル%になるように原料を秤量し、乾式のメディアミル(振動ミル、1/8インチ径のステンレスビーズ)で5時間粉砕し、得られた粉砕物を用いてローラーコンパクターにて約1mm角のペレットを作製した。MnO原料としては四酸化三マンガンを、MgO原料としては水酸化マグネシウムを、SrO原料としては、炭酸ストロンチウムをそれぞれ用いた。 [0116] このペレットを目開き3mmの振動ふるいに掛けて粗粉を除去し、次いで目開き0.5mmの振動ふるいにて微粉を除去した後、ロータリー式電気炉で、1100℃で3時間加熱し、仮焼成を行った。次いで、乾式のメディアミル(振動ミル、1/8インチ径のステンレスビーズ)を用いて、6時間粉砕することにより、体積平均粒径が約5μmの粉砕物を得た。次に、得られた粉砕物に水を加えてスラリーとし、さらに湿式のメディアミル(横型ビーズミル、1mm径のジルコニアビーズ)を用いて6時間粉砕した。このスラリーの粒径(粉砕の一次粒子径)をマイクロトラックにて測定した結果、D50は約2μmであった。このスラリーに分散剤を適量添加し、バインダーとしてPVA(10%溶液)を固形分に対して0.4質量%添加し、次いでスプレードライヤーにより造粒、乾燥し、得られた粒子(造粒物)の粒度調整を行った。得られた造粒物を、ロータリー式電気炉を用いて大気雰囲気で、800℃で2時間加熱することにより、分散剤やバインダーといった有機成分の除去を行った(脱バインダー処理)。 [0117] 次に、上記脱バインダー処理済みの造粒物100質量%に対して体積平均粒径が1.5μmのZrO2粒子を1.0質量%添加し、混合ミルで30分間混合撹拌することにより、造粒物の表面にZrO2粒子を付着させた。ZrO2粒子が表面に付着した造粒物を80メッシュの振動ふるいで凝集体をほぐし、フェライトキャリア芯材用原料を得た。 [0118] その後、得られたフェライトキャリア芯材用原料について、トンネル式電気炉にて、焼成温度1180℃、酸素濃度0.7容量%にて、5時間保持することにより本焼成を行った。この時、昇温速度を150℃/時とし、本焼成後の冷却速度を110℃/時とした。その後、解砕し、さらに分級して粒度調整を行い、磁力選鉱により低磁力品を分別することにより、フェライトキャリア芯材を得た。得られたフェライトキャリア芯材は、フェライト粒子の表面がZrO2で被覆されており、表面にZrが偏在している。ZrO2被覆量は、脱バインダー処理済みの造粒物に対するZrO2粒子の添加量に等しく、フェライト粒子100質量%に対して1.0質量%である。」 2d 「[0125][比較例4] 本比較例では、まず、実施例1と全く同様にして体積平均粒径が約5μmの粉砕物を得た。次に、得られた粉砕物に対して水に加えて体積平均粒径が15μmのZrO2粒子を添加してスラリーとした以外は、実施例1と同様にしてバインダー処理済みの造粒物を得た。ZrO2粒子の添加量は、粉砕物100質量%に対して1.0質量%であった。次に、上記脱バインダー処理済みの造粒物に対するZrO2粒子の添加、及び、混合ミルによる撹拌を行うことなく、当該造粒物を80メッシュの振動ふるいに掛けた以外は、実施例1と全く同様にしてフェライト芯材用原料を得た。その後、得られたフェライト芯材用原料を用いた以外は、実施例1と同様にしてフェライトキャリア芯材を得た。得られたフェライトキャリア芯材は、フェライト粒子の表面だけでなく内部にもZrが存在し、当該フェライトキャリア芯材の粒子全体に亘ってZrが分散して存在している。」 イ 各証拠に記載された発明 (ア)甲1に記載された発明 記載事項 1a〜1e によると、甲1には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。 「Mn、Mg、Fe、Srを含む所定組成のフェライト原料に酸化ジルコニウムを添加して粉砕、混合し、仮焼成した後、造粒し、焼成し、解砕、分級して粒度調整して得られた、ジルコニウムを40〜500ppm含有し、見掛け密度が2.0〜2.5g/cm3であり、比表面積が0.05〜0.2m2/gである電子写真現像剤用フェライト粒子。」 (イ)甲2に記載された発明 記載事項 2c、2d により、比較例4について着目すると、甲2には、次の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。 「Mn、Mg、Fe、Srを含む所定組成のフェライト原料100質量%に対して、ZrO2を添加して粉砕してから造粒し、加熱した後、さらに焼成して得られた、粒子全体に亘ってZrが分散したフェライト粒子。」 ウ 対比・判断 (ア)甲1を主引用例とした場合 a 本件発明1と甲1発明とを対比すると、両者は以下の点で相違する。 相違点1:本件発明1のフェライト粒子は「(但し、Zr含有量が500ppm以下のものを除く)」とするものであるのに対し、甲1発明では「ジルコニウムを40〜500ppm含有する」フェライト粒子である点。 b この点について、甲1の段落【0021】には、「本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリアは、ジルコニウムを含有する。その含有量は40〜500ppm、好ましくは50〜150ppmである。・・・500ppmを超えると、粒界の成長が抑制され過ぎるため表面の凹凸が激しくなり、結果として凸部からの電荷リークが発生しやすくなる」ことが示されている。 そうすると、甲1発明において、ジルコニウム含有量が500ppmを超えたフェライト粒子は想定されておらず、甲1発明のフェライト粒子において、ジルコニウム含有量として500ppmを超えたものとすることは、当業者といえども容易に想到し得ないというべきである。 c 以上のとおりであるから、本件発明1は、甲1発明に対して進歩性が欠如するということはできない。また、本件発明2〜5、7〜11は、本件発明1の発明特定事項をすべて具備するものであるから、上記a、bの本件発明1についての検討と同様、甲1発明に対して進歩性が欠如するということはできない。 (イ)甲2を主引用例とした場合 a 本件発明1と甲2発明とを対比すると、両者は以下の点で相違する。 相違点2:本件発明1は、「RZrO3の組成式(但し、Rはアルカリ土類金属元素)で表されるペロブスカイト型結晶からなる結晶相成分を含む」ことが特定されているのに対して、甲2発明に係るフェライト粒子は、「Mn、Mg、Fe、Srを含む所定組成のフェライト原料にZrO2を添加して粉砕してから造粒し、加熱した後、さらに焼成して得られた、粒子全体に亘ってZrが分散した」というものである点。 b この点について、本件明細書の段落【0104】には、「例えば、(MnO)x(MgO)y(Fe2O3)z(但し、15≦x≦50、2≦y≦35、45≦z≦60、x+y+z=100(mol%))の組成式で表されるスピネル型結晶からなる結晶相成分を主成分とするフェライト粒子を製造するには、スピネル型結晶からなるフェライト成分を十分に生成させつつ、粒界にジルコニウム成分を分散させるためにスピネル型結晶からなるフェライト成分の生成に適した温度(850℃以上1150℃以下)で3時間以上保持し、その後、例えば、ジルコン酸ストロンチウムなどのRZrO3の組成式で表されるペロブスカイト型結晶からなる結晶相成分を生成させるために適した温度で1時間以上保持することにより本焼成を行うことがより好ましい」こと、また段落【0105】には、「例えば、ジルコン酸ストロンチウム(SrZrO3)の場合、ペロブスカイト型結晶からなる結晶相成分を十分に生成させつつ、見掛密度を本件発明の範囲内とするには、焼成温度を好ましくは1170℃以上1400℃以下、より好ましくは1180℃以上1350℃以下、さらに好ましくは1200℃以上1330℃以下の温度で1時間以上保持することが好ましい。この場合、酸化ジルコニウム(ZrO2)の配合量を0.05mol〜3.00molとすることが好ましい。」が示されており、目的とする結晶組織を生成するために焼成条件を調整することで、本件発明のフェライト粒子を製造できることが示されている。 一方、甲2発明において、ジルコン酸ストロンチウムなどのペロブスカイト型結晶からなる結晶相成分を粒界に分散させたスピネル型フェライト粒子は想定されておらず、また、甲2発明のフェライト粒子が、ペロブスカイト型結晶からなる結晶相成分を粒界に分散させたスピネル型フェライト粒子であることは示されていない。 また、甲2の比較例4(【0138】の【表1】)における電気抵抗の環境変動率(141(%)=1.41)は、本件明細書の実施例(【0146】の【表2】)に示されるフェライト粒子の環境変動比(1.06〜1.14)と比較して望ましくない大きな値を示すことから、粒子に含まれる結晶組織は電気抵抗に影響するという技術常識を踏まえると、甲4発明のフェライト粒子における結晶組織は、本件発明1のフェライト粒子における結晶組織とは異なると考えるのが妥当である。 そうすると、仮に甲2に、一部製造条件が重なる方法により製造されるフェライト粒子が示されているとしても、甲2発明のフェライト粒子は、RZrO3の組成式(但し、Rはアルカリ土類金属元素)で表されるペロブスカイト型結晶からなる結晶相成分を含むとはいえず、この結晶成分を含むフェライト粒子は、当業者といえども容易に想到し得ないというべきである。 c 以上のとおりであるから、本件発明1は、甲2発明に対して進歩性が欠如するということはできない。また、本件発明2〜5、7〜11は、本件発明1の発明特定事項をすべて具備するものであるから、上記a、bの本件発明1についての検討と同様、甲2発明に対して進歩性が欠如するということはできない。 (2)取消理由3(サポート要件違反)について ア 「RZrO3」の組成式で表されるペロブスカイト型結晶について (ア)ペロブスカイト型結晶に関する上記取消理由3は、要するに、本件発明1に係るフェライト粒子において、「RZrO3の組成式(但し、Rはアルカリ土類金属元素)で表されるペロブスカイト型結晶」からなる結晶相成分を含むことが特定され、本件発明4において、「前記RがSr、Ca及びBaからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の元素である」ことが特定されているが、本件明細書の実施例に具体的に記載されているのは、RがSrの場合のみであり、本件明細書の段落【0175】〜【0183】の実施例の評価結果に関する記載や、段落【0039】〜【0045】の本件発明に係るフェライト粒子がペロブスカイト型結晶からなる結晶成分を含むことによる作用機序に関する記載を参酌しても、Sr以外のアルカリ土類金属元素について、本件発明の「高温高湿環境下においてもキャリア飛散の発生を抑制することできるフェライト粒子、電子写真現像剤用キャリア芯材、電子写真現像剤用キャリア及び電子写真現像剤を提供する」という課題が解決できることを本件明細書の記載から当業者が認識できるものではない、というものである。 (イ)そこで、あらためて特許権者の令和3年11月26日提出の意見書(以下、「特許権者意見書」という。)における主張にも照らして検討してみると、(i)本件明細書の段落【0106】には、「ジルコン酸カルシウム(CaZrO3)やジルコン酸バリウム(BaZrO3)の場合、原料を微粉砕すると共に反応促進剤を添加した上で所定の温度下で焼成することが好ましい。ジルコン酸カルシウム(CaZrO3)やジルコン酸バリウム(BaZrO3)のペロブスカイト型結晶からなる結晶相成分を生成させるには、反応促進剤を添加しない場合には、2000℃以上の高温で焼成する必要がある。一方、原料を数十ナノメートル程度の一次粒径まで微粉砕し、反応促進剤としてアルミニウム化合物(例えば、アルミナ(Al2O3)等)等を添加することで、1500℃以下の温度でもこれらのペロブスカイト型結晶からなる結晶相成分を生成させることができる。このように目的とする組成に応じて、ペロブスカイト型結晶からなる結晶相成分を生成する上で適した温度で保持すると共に、必要に応じてその他の条件を調整することで本件発明に係るフェライト粒子を得ることができる。」と記載されており、Sr以外のアルカリ土類金属元素においてジルコン酸塩のペロブスカイト型結晶からなる結晶成分を生成させる方法が具体的に示されていること、(ii)本件明細書の段落【0039】〜【0046】には、本件発明の効果に関する推察として、RZrO3の組成式で表されるペロブスカイト型結晶などの絶縁性物質が粒界に分散することでフェライト粒子の環境依存性を小さくできることが示されていること、及び(iii)ペロブスカイト型結晶において、アルカリ土類金属に属する元素は一般に互いに置換可能であり、共通する絶縁性を有するものとして扱われることは技術常識であることから、Sr以外のアルカリ土類金属元素についても、本件発明の課題が解決できることを本件明細書の発明の詳細な説明の記載及び本件特許の出願当時の技術常識から当業者が認識できると理解するのが合理的である。 したがって、本件明細書の発明の詳細な説明の記載に、上記「RZrO3」の組成式で表されるペロブスカイト型結晶に関する不備はなく、この点についての取消理由3は妥当ではない。 (ウ)この点について、特許異議申立人の令和4年2月10日提出の意見書(以下、「異議申立人意見書」という。)における主張を検討するに、特許異議申立人は「アルカリ士類金属元素が典型元素であって共通の化学的性質を有するとしても、アルカリ土類金属元素を含む化合物までもが共通の化学的性質を有するとは決していえない」から、「アルカリ土類金属元素が「Sr」の場合の実施例のみから、・・(中略)・・アルカリ土類金属元素が「Ca」や「Ba」などの「Sr」以外の場合についても同様の作用機序が奏されて訂正発明1の課題が解決できるとは当業者は認識することはできない」旨主張するが、上記(イ)で示したとおり、Sr以外のアルカリ土類金属元素についても、本件発明の課題が解決できることを本件明細書の記載などから当業者が認識できる上、異議申立人意見書では、「Ca」や「Ba」などの「Sr」以外のアルカリ士類金属元素が共通する化学的性質を有するといえないとする具体的な理由や証拠は示されていないことから、上記特許異議申立人の主張は採用できない。 イ フェライト粒子の組成について (ア)フェライト粒子の組成に関する上記取消理由3は、要するに、本件発明において特定されたフェライト粒子の組成について、本件明細書の実施例に具体的に記載されているのは、Mn−Mg系フェライトのみであり、フェライト粒子全般に対しての作用機序については、本件明細書の記載からは明らかでないから、Mn−Mg系フェライト以外のフェライト粒子については、本件発明の課題が解決できることを本件明細書の記載から当業者が認識できるものではない、というものである。 (イ)本件訂正を踏まえて、あらためて特許権者意見書における主張にも照らして検討してみると、本件訂正により、請求項1の関連記載は、「(MO)a(Fe2O3)b(但し、MはFe,Mg,Mn,Cu,Zn及びNiからなる群から選ばれる少なくとも1つの金属元素、a+b=100(mol%))の組成式で表されるスピネル型結晶からなる結晶相成分を主成分とするスピネル型フェライト粒子」となり、フェライト粒子は特定の組成式で示されるスピネル型フェライト粒子に特定されるとともに、本件明細書の段落【0039】〜【0046】では、本件発明に係る作用機序につき、ペロブスカイト型結晶からなる結晶成分がスピネル型結晶に固溶せずに粒界に分散することによるものと説明されていることから、結晶組織に関して実施例に示されたものと軌を一にする、スピネル型結晶からなる結晶相成分を主成分とするフェライト粒子であれば、フェライト粒子におけるMg成分の有無にかかわらず、ペロブスカイト型結晶からなる結晶成分がフェライトに固溶せずに粒界に分散することで、本件明細書の実施例と同様の効果を奏すると理解するのが合理的である。 したがって、本件明細書の発明の詳細な説明の記載に、上記フェライト粒子の組成に関する不備はなく、この点についての取消理由3は妥当ではない。 (ウ)この点について、異議申立人意見書における主張を検討するに、特許異議申立人は「本件明細書の実施例で示されているのはMn−Mg系フェライト粒子のみ」であるから、「Mn−Mg系フェライト粒子以外のフェライト粒子について訂正発明1の課題が解決できるとは当業者は認識することはできない」旨主張するが、上記(イ)で示したとおり、本件発明のスピネル型フェライト粒子は、本件明細書の実施例と結晶組織が同じであるので、本件明細書の実施例と同様の効果を奏すると理解するのが合理的であること、また、異議申立人意見書では、同じスピネル型フェライト粒子であってもMn−Mg系フェライト粒子以外のスピネル型フェライト粒子が本件発明の効果を有しないとする具体的な理由や証拠は示されていないことから、上記特許異議申立人の主張は採用できない。 3 小括 上記2(1)、(2)のとおりであるから、本件訂正後の請求項1〜5、7〜11に係る特許は、特許法第29条第1項第3号又は第2項の規定に違反してされたものとも、特許法第36条第6項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものともいえず、同法第113条第2号又は第113条第4号に該当しないため、取消理由1(新規性欠如)、取消理由2(進歩性欠如)、又は取消理由3(サポート要件違反)を理由に、本件訂正後の請求項1〜5、7〜11に係る特許を取り消すことはできない。 第5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について 1 標記特許異議申立理由の概要 特許異議申立人が、特許異議申立書において主張する特許異議申立理由のうち、当審が上記取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由の要旨は、次のとおりである。 ・明確性要件違反 本件特許の請求項3〜11(ただし、本件訂正前のもの)について、本件発明3では、見掛密度X(g/cm3)とBET比表面積Y(m2/g)が関係式「−0.892X+2.34 ≦ Y ≦ −0.892X+2.49」を満たすことを規定するが、この関係式の導出過程に本件明細書には記載がなく、上記関係式がどのように導かれたか全く不明であり、また、上記関係式と効果との因果関係が不明である。 2 標記特許異議申立理由についての当審の判断 請求項3の見掛密度X(g/cm3)とBET比表面積Y(m2/g)における「−0.892X+2.34 ≦ Y ≦ −0.892X+2.49」との関係式は、見掛密度とBET比表面積の測定によって、充足するか否かは明確に判断でき、請求項3に係る発明は明確であるといえるため、標記特許異議申立理由には理由がない。 なお、関係式と効果の因果関係は、一般に見掛密度が大きくなればBET比表面積が小さくなることを踏まえると、本件明細書の段落【0072】における記載、見掛密度についての段落【0061】〜【0065】における記載及びBET比表面積についての段落【0066】〜【0070】についての記載から、当業者であれば理解できるといえ、本件明細書の記載に基づいて、見掛密度とBET比表面積に基づく結果から両者の関係式を導出することは、当業者にとって困難なこととはいえず、導出に不明な点があるとも認められない。 第6 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件訂正後の請求項1〜5、7〜11に係る特許を取り消すことはできない。 また、他にこれらの特許を取り消すべき理由を発見しない。 さらに、請求項6に係る特許については、本件訂正により請求項6は削除され、当該請求項6に係る特許についての特許異議の申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 RZrO3の組成式(但し、Rはアルカリ土類金属元素)で表されるペロブスカイト型結晶からなる結晶相成分を含み、見掛密度が以下の式で表わされる範囲内であり、(MO)a(Fe2O3)b(但し、MはFe,Mg,Mn,Cu,Zn及びNiからなる群から選ばれる少なくとも1つの金属元素、a+b=100(mol%))の組成式で表されるスピネル型結晶からなる結晶相成分を主成分とするスピネル型フェライト粒子(但し、Zr含有量が500ppm以下のものを除く)。 1.90≦Y≦2.45 但し、上記式においてYは当該フェライト粒子の見掛密度(g/cm3)である。 【請求項2】 当該フェライト粒子のBET比表面積が以下の式で表わされる範囲内である請求項1に記載のフェライト粒子。 0.08≦X≦0.550 但し、上記式においてXは当該フェライト粒子のBET比表面積(m2/g)である。 【請求項3】 前記見掛密度と前記BET比表面積が以下の関係式を満たす請求項2に記載のフェライト粒子。 −0.892X+2.34 ≦ Y ≦ −0.892X+2.49 【請求項4】 前記RがSr、Ca及びBaからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の元素である請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のフェライト粒子。 【請求項5】 X線回折パターンのリートベルト解析により当該フェライト粒子を構成する結晶相の相組成分析を行ったときに、前記ペロブスカイト型結晶からなる結晶相成分を0.05質量%以上2.50質量%以下含む請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のフェライト粒子。 【請求項6】 削除 【請求項7】 当該フェライト粒子は、(MnO)x(MgO)y(Fe2O3)z(但し、15≦x≦50、2≦y≦35、45≦z≦60、x+y+z=100(mol%))の組成式で表されるスピネル型結晶からなる結晶相成分を主成分とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のフェライト粒子。 【請求項8】 請求項1〜請求項5及び請求項7のいずれか一項に記載のフェライト粒子を含む電子写真現像剤用キャリア芯材。 【請求項9】 請求項1〜請求項5及び請求項7のいずれか一項に記載のフェライト粒子と、当該フェライト粒子の表面に設けられた樹脂被覆層とを備える電子写真現像剤用キャリア。 【請求項10】 請求項9に記載の電子写真現像剤用キャリアとトナーとを含む電子写真現像剤。 【請求項11】 補給用現像剤として用いられる請求項10に記載の電子写真現像剤。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2022-09-02 |
出願番号 | P2020-532081 |
審決分類 |
P
1
651・
113-
YAA
(G03G)
P 1 651・ 121- YAA (G03G) P 1 651・ 537- YAA (G03G) |
最終処分 | 07 維持 |
特許庁審判長 |
日比野 隆治 |
特許庁審判官 |
正 知晃 後藤 政博 |
登録日 | 2020-09-23 |
登録番号 | 6766310 |
権利者 | パウダーテック株式会社 |
発明の名称 | フェライト粒子、電子写真現像剤用キャリア芯材、電子写真現像剤用キャリア及び電子写真現像剤 |
代理人 | 上村 欣浩 |
代理人 | 根岸 宏子 |
代理人 | 上村 欣浩 |
代理人 | 根岸 宏子 |