• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申し立て 発明同一  B32B
管理番号 1391997
総通号数 12 
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2022-12-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-07-05 
確定日 2022-10-03 
異議申立件数
訂正明細書 true 
事件の表示 特許第6809509号発明「接着剤組成物、電池用包装材、及び電池用容器」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6809509号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1〜11〕について訂正することを認める。 特許第6809509号の請求項1、2、4〜11に係る特許を維持する。 特許第6809509号の請求項3に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6809509号(以下「本件特許」という。)の請求項1〜11に係る特許についての出願は、平成25年8月12日に出願した特願2013−167262号の一部を平成29年7月12日に新たな特許出願とした特願2017−136112号の一部を、平成30年6月25日に新たな特許出願としたものであって、令和2年12月14日にその特許権の設定登録がされ、令和3年1月6日に特許掲載公報が発行された。
本件の特許異議の申立ては、本件特許のすべての請求項に係る特許を対象としたものであって、その手続の経緯は、次のとおりである。
令和3年7月5日 :特許異議申立人岡林茂(以下「申立人」という)による特許異議の申立て
令和4年3月9日付け:取消理由の通知
同年5月11日 :特許権者らによる意見書及び訂正請求書の提出
同年6月20日 :申立人による意見書の提出

第2 本件訂正請求について
1 訂正の内容
令和4年5月11日に提出された訂正請求書による訂正請求(以下「本件訂正請求」という。)は、特許第6809509号の特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1〜11について訂正することを求めるものである。
以下に、その訂正の内容を、訂正箇所に下線を付して示す。

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1の(ア)の記載から「三元共重合体」に関する部分を削除し、「(ア) プロピレンと1−ブテンとの二元共重合体に、エチレン性不飽和カルボン酸もしくはその酸無水物と、スチレン、ドデシル(メタ)アクリレートおよびステアリル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれるモノマーとをグラフト重合させた変性ポリオレフィン樹脂であって、前記二元共重合体が、1−ブテン単位を16〜37モル%含む」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2及び請求項4〜11も同様に訂正する。)。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項3を削除する。

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項4の記載の「請求項1〜3いずれか1項」を、「請求項1又は2」に訂正する(請求項4の記載を引用する請求項5〜11も同様に訂正する。)。

(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項5の記載の「請求項1〜4いずれか1項」を、「請求項1〜2又は4」に訂正する(請求項5の記載を引用する請求項6〜11も同様に訂正する。)。

(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項6の記載の「請求項1〜5いずれか1項」を、「請求項1〜2又は4〜5」に訂正する(請求項6の記載を引用する請求項7も同様に訂正する。)。

(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項8の記載の「請求項1〜5いずれか1項」を、「請求項1〜2又は4〜5」に訂正する(請求項8の記載を引用する請求項9〜11も同様に訂正する。)。

2.訂正の適否
(1)一群の請求項
請求項2〜11は、請求項1の記載を直接又は間接的に引用する請求項であって、訂正事項1により訂正される請求項1に連動して訂正されるものであり、本件訂正請求は一群の請求項ごとにされたものである。

(2)訂正事項1について
訂正事項1は、特許請求の範囲の請求項1に記載されていた「ポリオレフィン樹脂(A)」に関し「プロピレンと1−ブテンとの二元共重合体もしくはエチレンとプロピレンと1−ブテンとの三元共重合体」を「エチレンとプロピレンと1−ブテンとの三元共重合体」を削除して「プロピレンと1−ブテンとの二元共重合体」に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
訂正事項1は、選択的な要素の一部を削除するものといえるから、本件の願書に添付された明細書、特許請求の範囲(以下「本件特許明細書等」という。)に記載した事項の範囲内のものであるし、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当するものではない。

(3)訂正事項2について
訂正事項2は、特許請求の範囲の請求項3の記載を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
訂正事項2は、また、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内のものであって、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当するものではない。

(4)訂正事項3〜6について
訂正事項3〜6は、訂正事項2により特許請求の範囲の請求項3の記載が削除されることに伴い、請求項4、5、6、8の記載において引用する請求項から請求項3を削除するものである。
そうすると、訂正事項3〜6は、不明瞭な記載の釈明を目的とするものといえる。
訂正事項3〜6は、また、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内のものであって、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当するものではない。

3 本件訂正請求についてのまとめ
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、第120条の5第2項ただし書第1号又は第3号に掲げられた事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項及び第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
本件訂正請求による訂正前の請求項2〜11の記載が請求項1の記載を直接的又は間接的に引用するものであって請求項1〜11が一群の請求項を構成していたことから、本件訂正請求による請求項1〜11についての訂正を認める。

第3 本件発明
上記のとおり、本件訂正請求を認めることができるから、本件特許の請求項1〜11に係る発明(以下「本件発明1」等という。)は、それぞれ、特許請求の範囲の請求項1〜11記載された事項により特定される、次のとおりのものである。

【請求項1】
カルボキシル基もしくは酸無水物基を有するポリオレフィン樹脂(A)と、多官能イソシアネート硬化剤(B)と、溶剤(C)とを含有する電池用包装材形成用接着剤組成物であって、
前記ポリオレフィン樹脂(A)のガラス転移温度が−30〜10℃であり、融点が60〜110℃であり、融解エネルギーが22〜50(mJ/mg)であり、
前記ポリオレフィン樹脂(A)が、下記(ア)である電池用包装材形成用接着剤組成物。
(ア) プロピレンと1−ブテンとの二元共重合体に、エチレン性不飽和カルボン酸もしくはその酸無水物と、スチレン、ドデシル(メタ)アクリレートおよびステアリル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれるモノマーとをグラフト重合させた変性ポリオレフィン樹脂であって、
前記二元共重合体が、1−ブテン単位を16〜37モル%含む、変性ポリオレフィン樹脂。
【請求項2】
ポリオレフィン樹脂(A)の融解エネルギーが27〜50(mJ/mg)である、請求項1に記載の電池用包装材形成用接着剤組成物。
【請求項4】
カルボキシル基もしくは酸無水物基を有するポリオレフィン樹脂(A)1(g)当たりカルボキシル基の含有量をX(mmol)、酸無水物基の含有量をY(mmol)とした場合に、X+2Yが0.05〜0.6であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電池用包装材形成用接着剤組成物。
【請求項5】
接着剤組成物中に含まれるカルボキシル基もしくは酸無水物基を有するポリオレフィン樹脂(A)をP(g)、多官能イソシアネート硬化剤(B)由来のイソシアネート基をZ(mmol)とした場合に、Z/[(X+2Y)P]が0.5〜10であることを特徴とする請求項1〜2又は4いずれか1項に記載の電池用包装材形成用接着剤組成物。
【請求項6】
接着剤層を介して、金属箔と熱融着性フィルムとが積層されてなる積層体であって、前記接着剤層が、請求項1〜2又は4〜5いずれか1項に記載の電池用包装材形成用接着剤組成物から形成された接着剤層であることを特徴とする積層体。
【請求項7】
金属箔側に他のシート状部材がさらに積層されてなる、請求項6に記載の積層体。
【請求項8】
外層から順に、外層側樹脂フィルム層、外層側接着剤層、金属箔層、内層側接着剤層、熱融着性フィルム層を必須とする電池用包装材において、前記内層側接着剤層が請求項1〜2又は4〜5いずれか1項に記載の電池用包装材形成用接着剤組成物にて形成されたことを特徴とする電池用包装材。
【請求項9】
外層側樹脂フィルム層がポリアミドフィルムまたはポリエステルフィルムであり、熱融着性フィルムがポリオレフィン系フィルムであることを特徴とする請求項8に記載の電池用包装材。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の電池用包装材から形成されてなる電池用容器であって、熱融着性フィルム層が内面を構成している、電池用容器。
【請求項11】
請求項10に記載の電池用容器を使用してなる電池。

第4 取消理由
・(拡大先願)
本件特許の請求項1〜11に係る発明は、本件特許に係る出願の日前の特許出願であって、その出願後に出願公開がされた下記の特許出願(以下「先願」という。)の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「先願明細書等」という。)に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者が先願の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が先願の出願人と同一でもないので、請求項1〜11に係る特許は、特許法第29条の2の規定に違反してされたものである。

先願:特願2013−152466号(特開2015−21108号公報)(甲第1号証)
甲第2号証:特開2004−277617号公報
甲第3号証:特開2017−160375号公報
甲第5号証:特開2002−110111号公報

第5 当審の判断
1 先願及び引用文献等に記載された事項、発明
以下、下線は、当審が強調又は理解の便宜のために付したものである。
(1)先願について
ア 先願明細書等に記載された事項
先願明細書等には、次の事項が記載されている。
・ 「【請求項1】
有機溶剤と、該有機溶剤に溶解する変性ポリオレフィン系樹脂と、多官能イソシアネート化合物とを含有する接着剤組成物であって、
前記変性ポリオレフィン系樹脂は、ポリオレフィン樹脂(A)がα,β−不飽和カルボン酸又はその誘導体(B)、及び下記一般式(I)で表される(メタ)アクリル酸エステル(C)でグラフト変性された樹脂であり、
前記変性ポリオレフィン系樹脂中の前記(B)、(C)のグラフト重量は、各々0.1〜20重量%、0.1〜30重量%であり、かつ、当該樹脂の重量平均分子量は、15,000〜200,000であることを特徴とする接着剤組成物。
CH2=CR1COOR2・・・(I)
[式(I)中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は炭素数8〜18のアルキル基である。]
【請求項2】
上記ポリオレフィン樹脂(A)が、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、及びエチレン−プロピレン−ブテン共重合体よりなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項3】
上記α,β−不飽和カルボン酸又はその誘導体(B)が、無水イタコン酸及び/又は無水マレイン酸である請求項1又は2に記載の接着剤組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の接着剤組成物が硬化してなる接着剤層と、該接着剤層の一面側に接合された金属層と、該接着剤層の他面側に接合された熱融着性樹脂層とを備えることを特徴とする熱融着性部材。」
・ 「【技術分野】
【0001】
本発明は、接着剤組成物及びこの接着剤組成物を用いた熱融着性部材に関する。更に詳しくは、優れた接着性、接着部における耐熱性等を与え、ポリオレフィン樹脂フィルム等のポリオレフィン樹脂成形体と他部材との接着に有用な接着剤組成物、及びこの接着剤組成物によりアルミニウム箔等の金属箔と熱融着性樹脂フィルムとが接合されてなる熱融着性部材に関する。
【背景技術】
【0002】
・・・
これらの接着剤組成物は、複数の部材どうしの接着に用いられた結果、複合物を形成する。そして、この複合物は、食品、薬品等を収容する密封用容器、生活雑貨等の用途に適用されている。一般に、このような複合物は、生活環境の中で用いられると、形状安定性を得ることができるが、耐熱性や耐溶剤性が要求される用途では、必ずしも、形状安定性が得られるわけではない。具体的には、リチウムイオン電池の収納ケースに用いられる材料として、ポリオレフィンフィルムとアルミニウム箔と耐熱性樹脂フィルムからなるラミネート包装材が使用されているが、当該用途では80℃程度の耐熱性と、耐電解液性を有する包装材用接着剤が要望されている。
・・・
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
・・・
本発明は、リチウムイオン電池の包装材に用いた場合でも、十分な接着強度が得られる接着剤組成物を提供することを目的とする。更に、本発明は、この接着剤組成物により、アルミニウム箔等の金属箔とポリオレフィン樹脂フィルム等の熱融着性樹脂フィルムとが接合されてなる熱融着性部材を提供することを目的とする。」
・ 「【発明の効果】
【0006】
・・・本発明の接着剤組成物を用いてリチウムイオン電池の包装材を製造した場合は、高温においても優れた耐電解液性を発現する。・・・ 」
・ 「【0011】
また、上記変性ポリオレフィン系樹脂の示差走査型熱量計(以下「DSC」ともいう)による融点は、50〜90℃であることが好ましく、60〜85℃であることがより好ましい。融点が50℃以上であることにより、十分な接着強度を得ることができる。一方、融点が90℃以下であることにより接着剤組成物の安定性が良好であり、低温での十分な保管安定性を得ることができる。
【0012】
ポリオレフィン樹脂(A)は、特に限定されないが、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、4−メチル−1−ペンテン等の炭素数2以上20以下、好ましくは2以上6以下のオレフィンの単独重合体又は共重合体が好ましい。ポリオレフィン樹脂中のこれらモノマーの割合は任意に選択できるが、結晶性ポリエチレン、ポリプロピレン等難接着性非極性ポリオレフィン樹脂を被着体とする場合は、本発明の変性ポリオレフィン樹脂は、エチレン−プロピレン、プロピレン−ブテン、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体が好ましく、特にこれらの樹脂中のプロピレンの割合が50モル%以上98モル%以下であることが好ましい。50モル%よりも少ないと被着体への接着性が劣り、98モル%より多いと柔軟性が不足する。また、出発原料であるポリオレフィン樹脂(A)の分子量には、特に制限はない。
【0013】
α,β−不飽和カルボン酸及びその誘導体(B)は、変性ポリオレフィン系樹脂のグラフト成分である。成分(B)としては、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、アコニット酸、フタル酸、トリメリット酸、ノルボルネンジカルボン酸等の不飽和ポリカルボン酸又はこれらの誘導体(例えば、酸無水物、酸ハライド、アミド、イミド、エステル等)である。これらの中では、無水イタコン酸、無水マレイン酸が、変性ポリオレフィン系樹脂の諸被膜物性及び取り扱い性やコストの点で好ましい。成分(B)は、α,β−不飽和カルボン酸及びその誘導体から選ばれる1種以上の化合物であればよく、α,β−不飽和カルボン酸1種以上とその誘導体1種以上の組み合わせ、α,β−不飽和カルボン酸2種以上の組み合わせ、α,β−不飽和カルボン酸の誘導体2種以上の組み合わせであってもよい。」
・ 「【0016】
(メタ)アクリル酸エステル(C)は、下記一般式(I)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種である。
CH2=CR1COOR2・・・(I)
一般式(I)中、R1は水素原子又はメチル基を表し、メチル基であることが好ましい。R2は炭素数8〜18のアルキル基を表す。式(I)で示される化合物としては、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸ステアリルが好ましい。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルを意味する。」
・ 「【0024】
上記多官能イソシアネート化合物は、変性ポリオレフィン系樹脂のカルボキシ基と反応し、接着剤組成物を硬化させる作用を有する。この多官能イソシアネート化合物は、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有するものであれば、特に限定されず、芳香族系、脂肪族系、脂環族系の各種イソシアネート化合物、更には、これらのイソシアネート化合物の変性物を用いることができる。具体例としては、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物、及びこれらの化合物をイソシアヌレート変性、ビュレット変性、トリメチロールプロパン等の多価アルコールでアダクト変性した変性物、イソシアネートをブロック剤でマスクして安定化したブロック型イソシアネート等が挙げられる。これらの多官能イソシアネート化合物は、1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。本発明においては、1分子中に3個以上のイソシアネート基を有する化合物が好ましい。尚、本発明の接着剤組成物において、この多官能イソシアネート化合物は、通常、有機溶剤に溶解している。
【0025】
多官能イソシアネート化合物としては、市販品を用いることができ、イソシアヌレート変性された市販品として日本ポリウレタン工業社製「コロネートHX」(商品名)、旭化成ケミカルズ社製「デュラネートTPA−100」(商品名)、三井武田ケミカル社製「タケネートD−170N」(商品名)等が挙げられる。ビュレット変性された市販品として三井武田ケミカル社製「タケネートD−165NN」(商品名)等が挙げられる。また、トリメチロールプロパンアダクト変性された市販品として日本ポリウレタン工業社製「コロネートL」(商品名)、三井武田ケミカル社製「タケネートD−102」(商品名)、「タケネートD−140N」(商品名)等が挙げられる。更に、イソシアネートをブロック剤でマスクして安定化したブロック型イソシアネートの市販品として、日本ポリウレタン工業製「コロネート2507」(商品名)、「コロネート2513」(商品名)等が挙げられる。
【0026】
上記接着剤組成物における変性ポリオレフィン系樹脂と、多官能イソシアネート化合物との重量割合は、特に限定されないが、多官能イソシアネート化合物が有するイソシアネート基(NCO)と、変性ポリオレフィン系樹脂が有するカルボキシ基を構成するヒドロキシ基(OH)との当量比(NCO/OH)が、好ましくは0.01〜12.0、より好ましくは0.04〜12.0、更に好ましくは0.1〜12.0、特に好ましくは0.1〜9.0となるように両者が含有される。当量比が0.01〜12.0であれば、特に初期の接着性に優れた接着剤組成物とすることができるとともに、十分な架橋密度を有し、且つ柔軟性等に優れた硬化物(接着剤)を形成することができる。」
・ 「【0034】
本発明の接着剤組成物は耐溶剤性を有する。本発明において耐溶剤性とは、上記硬化物が溶剤に接した場合にも、性能(例えば接着性)が失われないことを意味する。本発明の接着剤組成物は上記構成を有することにより、常温を含む広い温度範囲(例えば、−30℃〜80℃)における耐溶剤性を有する。そのため、リチウムイオン電池の包装材に用いた場合には、電池保管若しくは使用環境における温度変化、特に、充電若しくは放電に伴う電池構成材料の化学的な温度上昇、夏期、又は自動車内等の常温より高い温度範囲において接着性等を保つことができる。
【0035】
2.熱融着性部材
本発明の熱融着性部材は、本発明の接着剤組成物が硬化してなる接着剤層と、接着剤層の一面側に接合された金属層と、接着剤層の他面側に接合された熱融着性樹脂層とを備える。
本発明の熱融着性部材の概略図は、図1及び図2に示される。即ち、図1の熱融着性部材1は、熱融着性樹脂層11と、接着剤層12と、金属層13と、を、順次、備える。また、図2の熱融着性部材1は、熱融着性樹脂層11と、接着剤層12と、金属層13と、他の層14と、を、順次、備える。
本発明の熱融着性部材の形状は、適宜選択される。
【0036】
上記「熱融着性樹脂層」は、熱によって溶融し、一面側の層を構成する材料と、他面側の層を構成する材料とを融着し得る樹脂を含む層である。そして、この熱融着性樹脂層は、好ましくは50℃〜200℃の温度で溶融する樹脂を含む層である。このような性質を有する樹脂としては、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。これらの中では、十分な強度で熱融着させることができることから、ポリオレフィン樹脂が好ましい。更に、ポリオレフィン樹脂としては、ポリプロピレンが好ましい。特に、熱融着性部材を用いて、他の部材と一体化させる場合に、寸法変化(収縮)が少ないことから、無延伸ポリプロピレンがより好ましい。
上記熱融着性樹脂層は、必要に応じて、滑剤、充填剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、着色剤、分散剤、密着性付与剤等の添加剤を含む層であってもよい。
【0037】
上記熱融着性樹脂層の厚さは、樹脂の材質等にもより、特に限定されないが、通常、10〜200μmである。例えば、無延伸ポリプロピレンを含む層である場合、好ましくは10〜200μm、より好ましくは20〜100μm、更に好ましくは60〜100μmである。無延伸ポリプロピレンを含む層の厚さが10〜200μmであれば、容易に破損することがなく、耐久性の高い密封容器等の熱融着複合製品を得ることができる。
【0038】
上記「接着剤層」は、上記に記載された接着剤組成物が硬化して形成された層であり、即ち、変性ポリオレフィン系樹脂と、多官能イソシアネート化合物との反応生成物を含む硬化物からなる層である。接着剤層の厚さは、特に限定されないが、好ましくは1〜20μm、特に好ましくは2〜10μmである。接着剤層の厚さが1〜20μmであれば、熱融着性部材が、例えば、シート状である場合の折り曲げ等の加工が容易である。
【0039】
上記「金属層」は、金属(合金を含む)を含む層である。金属又は合金は、特に限定されないが、加工性に優れるため、通常、アルミニウムが用いられる。金属層の厚さは、その材質等にもより、特に限定されない。金属層が、例えば、アルミニウムからなる場合、好ましくは20〜100μm、特に好ましくは20〜80μm、更に好ましくは30〜60μmである。
【0040】
本発明の熱融着性部材が、金属層を備える場合には、図2に示すように、金属層13の表面に、他の層14を備えることができる。他の層を構成する材料は、金属層を保護するという観点から、樹脂を含むことが好ましい。即ち、他の層は、樹脂層であることが好ましい。この樹脂は、特に限定されず、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂等とすることができる。樹脂層の透明性は、特に限定されないが、この樹脂層が透明又は半透明であるとき、熱融着複合製品として密封容器等とした場合に、優れた外観を得ることができる。
他の層の厚さは、特に限定されず、好ましくは30〜60μm、特に好ましくは30〜50μmである。
【0041】
図1に示される熱融着性部材の製造方法は、以下の通りである。
(1)接着剤組成物を、金属層13形成用の金属箔、金属製フィルム等の表面に塗布し、その後、組成物中の有機溶剤を除去して接着剤層12を形成し、次いで、接着剤層12が形成された面に、熱融着性樹脂層11形成用樹脂フィルム(熱融着性樹脂フィルム)を接触させて、加熱しながら、圧着する方法。
(2)接着剤組成物を、熱融着性樹脂層11形成用樹脂フィルム(熱融着性樹脂フィルム)の表面に塗布し、その後、組成物中の有機溶剤を除去して接着剤層12を形成し、次いで、接着剤層12が形成された面に、金属層13形成用の金属箔等を接触させて、加熱しながら、圧着する方法。
【0042】
また、図2に示される熱融着性部材の製造方法は、以下の通りである。
(3)接着剤組成物を、他の層14を構成する樹脂層と、この樹脂層の一面側に、蒸着等により形成された金属層13とを有する複合フィルムにおける金属層13の表面に塗布し、その後、組成物中の有機溶剤を除去して接着剤層12を形成し、次いで、接着剤層12が形成された面と、熱融着性樹脂層11形成用樹脂フィルム(熱融着性樹脂フィルム)を接触させて、加熱しながら、圧着する方法。
(4)接着剤組成物を、熱融着性樹脂層11形成用樹脂フィルム(熱融着性樹脂フィルム)の表面に塗布し、その後、組成物中の有機溶剤を除去して接着剤層12を形成し、次いで、接着剤層12が形成された面に、他の層14を構成する樹脂層と、この樹脂層の一面側に、蒸着等により形成された金属層13とを有する複合フィルムにおける金属層13が形成された面を接触させて、加熱しながら、圧着する方法。
(5)上記(1)又は(2)の方法により得られた積層体における金属層13の表面に、他の層14形成用フィルムを押出成形する方法。
【0043】
接着剤組成物は、金属箔等の金属層形成用材料、又は、金属層及び他の層(樹脂層)を備える複合フィルムにおける金属層の表面に塗布されることが多いが、特に限定されない。金属箔を用いる場合には、厚さが20〜100μmであるアルミニウム箔を用いることが好ましい。これにより、破損が抑制された熱融着性部材を容易に形成することができる。また、複合フィルムを用いる場合には、金属層がアルミニウムを含み、他の層(樹脂層)がポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂等を含むことが好ましい。更に、複合フィルムを用いず、図2に示す熱融着性部材を製造する場合、即ち、上記(5)の方法を採用する場合、他の層14形成用フィルムとして、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂等を含むフィルムを用いることが好ましい。
また、熱融着性樹脂フィルムとしては、ポリオレフィン樹脂フィルム、ポリアミド樹脂フィルム、ポリエステル樹脂フィルム等を用いることができる。これらの樹脂フィルムは、押出法、キャスト成形法、Tダイ法、インフレーション法等の製膜化法により得られたフィルムとすることができる。熱融着性樹脂フィルムの厚さは、通常、10〜200μmである。本発明においては、熱融着性部材を完成させる熱融着、及び、熱融着複合製品を製造する際の熱融着、を容易に行うことができることから、ポリオレフィン樹脂フィルムが好ましく、無延伸ポリプロピレンフィルムが特に好ましい。この無延伸ポリプロピレンフィルムを用いる場合、好ましい厚さは10〜200μmであり、より好ましくは20〜100μm、更に好ましくは60〜100μmである。 」
・ 「【0052】
2.変性ポリオレフィン系樹脂の製造
合成例1
L/D=42、φ=58mmの二軸押出機に、プロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体(プロピレン成分72モル%、エチレン成分7モル%、ブテン成分21モル%、重量平均分子量120,000、Tm=100℃)100重量部、無水マレイン酸1.5重量部、メタクリル酸ラウリル4重量部、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン1.5重量部を投入した。滞留時間は10分、バレル温度は180℃(第1バレル〜第7バレル)として反応し、第7バレルにて脱気を行い、残留する未反応物を除去した。得られた変性ポリオレフィン樹脂の重量平均分子量は92,000、Tm=90℃、無水マレイン酸のグラフト重量は1.1重量%、メタクリル酸ラウリルのグラフト重量は3.6重量%であった。カルボキシ基の含有量は、22.4mmol/100gである。」
・ 「【0055】
合成例3
L/D=42、φ=58mmの二軸押出機に、プロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体(プロピレン成分68モル%、エチレン成分8モル%、ブテン成分24モル%、重量平均分子量50,000、Tm=70℃)100重量部、無水イタコン酸8重量部、アクリル酸トリデシル5重量部、ラウロイルパーオキサイド2重量部を投入した。滞留時間は10分、バレル温度は170℃(第1バレル〜第7バレル)として反応し、第7バレルにて脱気を行い、残留する未反応物を除去した。得られた変性ポリオレフィン樹脂の重量平均分子量は36,000、Tm=60℃、無水イタコン酸のグラフト重量は7.5重量%、アクリル酸トリデシルのグラフト重量は4.6重量%であった。カルボキシ基の含有量は、134mmol/100gである。」
・ 「【0057】
合成例5
L/D=42、φ=58mmの二軸押出機に、プロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体(プロピレン成分68モル%、エチレン成分8モル%、ブテン成分24モル%、重量平均分子量50,000、Tm=70℃)100重量部、無水マレイン酸18重量部、メタクリル酸ラウリル25重量部、ラウロイルパーオキサイド2重量部を投入した。滞留時間は10分、バレル温度は170℃(第1バレル〜第7バレル)として反応し、第7バレルにて脱気を行い、残留する未反応物を除去した。得られた変性ポリオレフィン樹脂の重量平均分子量は62,000、Tm=70℃、無水マレイン酸のグラフト重量は16重量%、メタクリル酸ラウリルのグラフト重量は24重量%であった。カルボキシ基の含有量は、326mmol/100gである。」
・ 「【0066】
3.接着剤組成物の製造及び評価
実施例1
コンデンサー及び攪拌機が付設された内容積300mlのフラスコに、合成例1で合成した変性ポリオレフィン樹脂15g、メチルシクロヘキサン68g及びメチルエチルケトン17gを仕込み、60℃で10分間撹拌し、溶液を得た。室温まで冷却した後、この溶液に、反応促進剤としてジブチルスズジラウレート(以下「DBTL」という)1.5mgを添加して更に混合し、25℃における粘度が54mPa・sであり、樹脂濃度が15重量%である、液状の樹脂組成物を得た。
次いで、この樹脂組成物を主剤とし、この主剤に多官能イソシアネート化合物(旭化成ケミカルズ社製、商品名「デュラネートTPA−100」)を、1.5g(NCO/OH=2.07)配合して混合し、接着剤組成物を得た。この接着剤組成物を用いて、上記の評価を行った。尚、試験片の作製に際して、多官能イソシアネート化合物を配合後、1時間以内に、接着剤組成物を使用した。配合組成及び評価結果を表1に示す。
【0067】
実施例2〜6
変性ポリオレフィン樹脂を合成例2〜6で合成した変性ポリオレフィン樹脂とし、多官能イソシアネート化合物の配合量を表1に示した量とした以外は、実施例1と同様にして接着剤組成物を得た。そして、上記の評価を行った。配合組成及び評価結果を表1に示す。」
「【0070】
【表1】


・ 「【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明の接着剤組成物は、ポリオレフィン樹脂成形体と他の部材(金属製部材、樹脂製部材等)との接着に好適であり、ポリオレフィン樹脂フィルム等のポリオレフィン樹脂成形体同士だけでなく、ポリオレフィン樹脂フィルムと、樹脂層及び金属層を備える複合フィルムにおける金属層との接着、等に用いることもできる。本発明に係るポリオレフィン樹脂を含有する接着剤組成物を用いて得られた熱融着性部材は、耐熱性(耐熱接着性)及び耐電解液性に優れるため、リチウムイオン電池の包装材の形成に利用することができる。」
・ 「【符号の説明】
【0073】
1 熱融着性部材
11 熱融着性樹脂層
12 接着剤層
13 金属層
14 他の層」
・ 「【図1】


・ 「【図2】



イ 先願明細書等に記載された発明
(ア)上記アにおいて摘記した記載事項、特に、請求項1〜3及び下線を付した部分に着目すると、先願明細書等には、次の発明(以下「先願発明1」という。)が記載されている。
「有機溶剤と、該有機溶剤に溶解する変性ポリオレフィン系樹脂と、多官能イソシアネート化合物とを含有する接着剤組成物であって、
前記変性ポリオレフィン系樹脂は、ポリオレフィン樹脂(A)がα,β−不飽和カルボン酸又はその誘導体(B)、及び下記一般式(I)で表される(メタ)アクリル酸エステル(C)でグラフト変性された樹脂であり、
CH2=CR1COOR2・・・(I)
[式(I)中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は炭素数8〜18のアルキル基である。]
前記(B)、(C)のグラフト重量は、各々0.1〜20重量%、0.1〜30重量%であり、かつ、重量平均分子量は、15,000〜200,000であり、
上記ポリオレフィン樹脂(A)が、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、及びエチレン−プロピレン−ブテン共重合体よりなる群から選ばれる少なくとも1種であり、
上記α,β−不飽和カルボン酸又はその誘導体(B)が、無水イタコン酸及び/又は無水マレイン酸であり、
上記一般式(I)で表される(メタ)アクリル酸エステル(C)は、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸ステアリルであり、
上記変性ポリオレフィン系樹脂の示差走査型熱量計による融点は、60〜85℃であり、
上記変性ポリオレフィン系樹脂は、樹脂中のプロピレンの割合が50モル%以上98モル%以下であり、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体の場合、プロピレン成分72モル%、エチレン成分7モル%、ブテン成分21モル%、又は、プロピレン成分68モル%、エチレン成分8モル%、ブテン成分24モル%であり、
上記多官能イソシアネート化合物は、変性ポリオレフィン系樹脂のカルボキシ基と反応し、接着剤組成物を硬化させる作用を有する、
リチウムイオン電池の包装材に用いられる接着剤組成物。」
(イ)上記アにおいて摘記した記載事項、特に、請求項1〜4及び下線を付した部分に着目すると、先願明細書等には、熱融着性部材に係る以下の発明(以下「先願発明2」という。)も記載されており、さらには、リチウムイオン電池の包装材に係る発明(以下「先願発明3」という。)、リチウムイオン電池の収納ケースに係る発明(以下「先願発明4」という。)も記載されている。
・ 「先願発明1のリチウムイオン電池の包装材に用いられる接着剤組成物が硬化してなる接着剤層と、該接着剤層の一面側に接合された金属層と、該接着剤層の他面側に接合された熱融着性樹脂層とを備え、金属層の表面に、他の層を備える、熱融着性部材。」
・ 「ポリオレフィン樹脂を含み、熱融着性樹脂フィルムから形成した融着性樹脂層と、先願発明1のリチウムイオン電池の包装材に用いられる接着剤組成物が硬化してなる接着剤層と、アルミニウム箔等の金属箔からなる金属層と、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂等を含むフィルムで形成した他の層と、を、順次、備える熱融着性部材、を利用したリチウムイオン電池の包装材。」
・ 「ポリオレフィン樹脂を含み、熱融着性樹脂フィルムから形成した融着性樹脂層と、先願発明1のリチウムイオン電池の包装材に用いられる接着剤組成物が硬化してなる接着剤層と、アルミニウム箔等の金属箔からなる金属層と、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂等を含むフィルムで形成した他の層と、を、順次、備える熱融着性部材、を利用したリチウムイオン電池の包装材、を用いたリチウムイオン電池の収納ケース。」

(2)甲第2号証について
甲第2号証(以下、各甲号証を「甲2」等という。)には、以下の事項が記載されている。
・ 「【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、炭素数5〜9個の脂環式炭化水素と芳香族炭化水素との重量混合比率10:90〜90:10の範囲内にある混合溶剤に、不飽和ポリカルボン酸あるいはその誘導体および(メタ)アクリル酸あるいはその誘導体で変性されてその各々を0.1〜20重量%および0.1〜30重量%含有し、かつ重量平均分子量が15,000〜150,000であるガラス転移温度(Tg)が−10℃以下の変性ポリオレフィン樹脂を10〜50重量%の固形分濃度に溶解させることにより得られるバインダー樹脂溶液が、良好な低温流動性及び作業性を示し、且つポリオレフィンに対して優れた付着性と耐溶剤性を有することを見出し、本発明を成すに至った。」
・ 「【0026】
(試作例1)
L/D=34、φ=40mmの二軸押出機((株)テクノベル製)に、プロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体(プロピレン成分68モル%、エチレン成分8モル%、ブテン成分24モル%、重量平均分子量70,000)100重量部、無水マレイン酸8重量部、ラウリルメタクリレート8重量部、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン1.5重量部を投入した。滞留時間は10分、バレル温度は180℃(第1バレル〜第7バレル)として反応し、第7バレルにて脱気を行い、残留する未反応物を除去した。得られた変性ポリオレフィン樹脂の重量平均分子量は59,000、無水マレイン酸のグラフト重量は5.2重量%、ラウリルメタクリレートのグラフト重量は6.2重量%、Tgは−26.7℃であった。
【0027】
(試作例2)
L/D=34、φ=40mmの二軸押出機に、プロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体(プロピレン成分68モル%、エチレン成分8モル%、ブテン成分24モル%、重量平均分子量70,000)100重量部、無水イタコン酸12重量部、トリデシルアクリレート6重量部、ラウロイルパ−オキサイド2重量部を投入した。滞留時間は10分、バレル温度は190℃(第1バレル〜第7バレル)として反応し、第7バレルにて脱気を行い、残留する未反応物を除去した。得られた変性ポリオレフィン樹脂の重量平均分子量は57,000、無水イタコン酸のグラフト重量は7.5重量%、トリデシルアクリレートのグラフト重量は4.6重量%、Tgは−26.1℃であった。」
・ 「【0030】
(試作例5)
L/D=34、φ=40mmの二軸押出機に、プロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体(プロピレン成分68モル%、エチレン成分8モル%、ブテン成分24モル%、重量平均分子量70,000)100重量部、無水イタコン酸15重量部、オクチルメタクリレート5重量部、ラウロイルパーオキサイド2重量部を投入した。滞留時間は10分、バレル温度は220℃(第1バレル〜第7バレル)として反応し、第7バレルにて脱気を行い、残留する未反応物を除去した。得られた変性ポリオレフィン樹脂の重量平均分子量は13,000、無水イタコン酸のグラフト重量は12.5重量%、オクチルメタクリレートのグラフト重量は4.2重量%、Tgが−26.0℃であった。」

(3)甲3について
甲3は、本件特許に係る出願後に公開されたものではあるが、変性ポリオレフィン樹脂の物性を示す参考文献として、引用する。
甲3には、以下の事項が記載されている。
・ 「【0078】
<ポリオレフィン樹脂(A)のガラス転移温度、融点、融解エネルギー(ΔE)>
約10mgのポリオレフィン樹脂(A)の直径または各辺が0.5mm以下の場合はそのまま使用し、0.5mmを超えるものは0.5mm以下に切断して容器に入れる。
毎分10℃で融点より約30℃高い温度まで加熱し、その後毎分10℃でガラス転移温度より約50℃低い温度まで冷却する。再度毎分10℃で融点より約30℃高い温度まで加熱し、その際に表れるガラス転移に対応する変移について、変移以下の温度におけるベースラインと変曲点での接線の交点からガラス転移温度を、融解に対応するピークについて、ピークトップから融点を求めた。また、ΔEは、融解に対応するピークが、ベースラインから離れてから再度ベースラインに戻るまでの部分の面積より求めた。」
・ 「【0083】
<ポリオレフィン樹脂(A1)の製造>
ポリオレフィン樹脂の重合反応として、窒素置換した内容積500mLのガラス製オートクレーブに精製トルエン250mL、メチルアルミノキサンをAl原 子換算で2.0mg、ジメチルシリル−ビス−(4,5,6,7,8−ペンタヒドロアズレン−2−イル)ジルコニウムジクロライドをZr原子換算で4.0μg原子を投入し、20℃に昇温した。続いてプロピレンを、100L/hrの一定速度で供給しながら、20℃で1.32MPaの一定圧力を維持するように1−ブテンモノマーを連続供給し、重合を開始した。20℃、8時間、重合を行った後、イソプロパノールを添加して重合を停止した。得られたポリマー溶液を、多量のメタノールに添加し、ポリマーを析出させた。析出したポリマーをろ過、乾燥することにより、プロピレン/1−ブテン=72/28(モル比)で共重合されたポリオレフィン樹脂を得た。
ポリオレフィン樹脂へのモノマーグラフト反応として、3Lフラスコに、得られたポリオレフィン樹脂371gと、トルエン600gと、グラフトモノマーとして無水マレイン酸25gを仕込み、窒素気流下、加熱溶解させ、溶液温度の100℃にした。1時間攪拌した後に、tert−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)4gを添加して4時間その温度で反応を続けた。得られた溶液を室温まで冷却し、アセトンを加えてマレイン化されたポリオレフィン樹脂を析出させた。析出した樹脂を繰り返しアセトンで洗浄した後、乾燥することで固形樹脂を得た。これをポリオレフィン樹脂(A1)とする。
ポリオレフィン樹脂(A1)の数平均分子量、ガラス転移温度、融点、ΔE、酸無水物価は、それぞれ22000、−17℃、76℃、30mJ/mg、0.38mmol/gであった。
・・・
【0087】
<ポリオレフィン樹脂(A5)の製造>
ポリオレフィン樹脂へのモノマーグラフト反応の際にポリオレフィン樹脂を360g、グラフトモノマーとして無水マレイン酸を32g、ラウリルメタアクリレートを3g使用した以外はポリオレフィン樹脂(A1)の製造と同様の条件で製造を行い、プロピレン/1−ブテン=72/28(モル比)で共重合されたポリオレフィン樹脂(A5)を得た。
ポリオレフィン樹脂(A5)の数平均分子量、ガラス転移温度、融点、ΔE、酸無水物価は、それぞれ22000、−17℃、77℃、30mJ/mg、0.54mmol/gであった。」
・ 「【0089】
【表1】



(4)甲5について
甲5には、以下の事項が記載されている。
・ 「【請求項1】単層または多層の基材フイルムに、アルミニウム箔、接着層、シーラント層が順次積層された積層体において、少なくともアルミニウム箔の接着層側の面がベーマイト処理されていることを特徴とするリチウムイオン電池用外装材。
【請求項2】単層または多層の基材フイルムに、アルミニウム箔、接着層、シーラント層が順次積層された積層体において、アルミニウム箔の両面がベーマイト処理されていることを特徴とするリチウムイオン電池用外装材。
【請求項3】前記接着層が、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸で変性されたポリオレフィン樹脂(A)10〜90重量%及び未変性ポリオレフィン樹脂(B)90〜10重量%からなる樹脂混合物100重量部に対し、イソシアネート化合物(C)1〜10重量部の割合で配合された組成物からなることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のリチウムイオン電池用外装材。
【請求項4】前記シーラント層の樹脂フイルムが、190℃以上の加熱圧着ラミネート法により、前期接着層を介してアルミニウム箔のベーマイト処理面に積層されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載のリチウムイオン電池用外装材。」
・ 「【0010】
【発明の実施の形態】本発明のリチウムイオン電池用外装材を、実施の形態に沿って以下に詳細に説明する。
【0011】本発明の請求項1に係る発明を詳細に説明すれば、図1は本発明の一実施の形態を示す側断面図である。厚み方向の順に、基材フイルム1、接着剤層2、アルミニウム箔3、接着層4、シーラント層5が形成されている。」

2 本件発明と先願発明との対比・判断
(1)本件発明1について
ア 本件発明1と先願発明1との対比
先願発明1の「プロピレン−ブテン共重合体」は、本件発明1の「プロピレンと1−ブテンとの二元共重合体」に相当する。
先願発明1の「無水イタコン酸及び/又は無水マレイン酸であ」る「α,β−不飽和カルボン酸又はその誘導体(B)」は、本件発明1の「エチレン性不飽和カルボン酸もしくはその酸無水物」に相当する。
先願発明1の「下記一般式(I)で表される(メタ)アクリル酸エステル(C) CH2=CR1COOR2・・・(I)[式(I)中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は炭素数8〜18のアルキル基である。]」のうち、「(メタ)アクリル酸ラウリル」及び「(メタ)アクリル酸ステアリル」は、それぞれ、本件発明1の「ドデシル(メタ)アクリレート」及び「ステアリル(メタ)アクリレート」に相当する。
そうすると、先願発明1の「ポリオレフィン樹脂(A)がα,β−不飽和カルボン酸又はその誘導体(B)、及び下記一般式(I)で表される(メタ)アクリル酸エステル(C)でグラフト変性された樹脂であり、
CH2=CR1COOR2・・・(I)
[式(I)中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は炭素数8〜18のアルキル基である。]
前記(B)、(C)のグラフト重量は、各々0.1〜20重量%、0.1〜30重量%であり、かつ、重量平均分子量は、15,000〜200,000であり、
上記ポリオレフィン樹脂(A)が、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、及びエチレン−プロピレン−ブテン共重合体よりなる群から選ばれる少なくとも1種であり、
上記α,β−不飽和カルボン酸又はその誘導体(B)が、無水イタコン酸及び/又は無水マレイン酸であり、
上記一般式(I)で表される(メタ)アクリル酸エステル(C)は、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸ステアリルであ」る「変性ポリオレフィン系樹脂」と、本件発明1の「(ア)プロピレンと1−ブテンとの二元共重合体に、エチレン性不飽和カルボン酸もしくはその酸無水物と、スチレン、ドデシル(メタ)アクリレートおよびステアリル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれるモノマーとをグラフト重合させた変性ポリオレフィン樹脂」とは、「(ア)プロピレンと1−ブテンとの二元共重合体に、エチレン性不飽和カルボン酸もしくはその酸無水物と、スチレン、ドデシル(メタ)アクリレートおよびステアリル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれるモノマーとをグラフト重合させた変性ポリオレフィン樹脂」である点で共通している。
先願発明1の「変性ポリオレフィン樹脂は、樹脂中のプロピレンの割合が50モル%以上98モル%以下であり、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体の場合、プロピレン成分72モル%、エチレン成分7モル%、ブテン成分21モル%、又は、プロピレン成分68モル%、エチレン成分8モル%、ブテン成分24モル%」であることは、本件発明1の「前記二元共重合体が、1−ブテン単位を16〜37モル%含む」ことに相当する。
先願発明1の「上記変性ポリオレフィン系樹脂の示差走査型熱量計による融点は、60〜85℃であ」ることは、本件発明1の「前記ポリオレフィン樹脂(A)の」「融点が60〜110℃であ」ることの範囲内にある。
先願発明1の「変性ポリオレフィン系樹脂のカルボキシ基と反応し、接着剤組成物を硬化させる作用を有する」「多官能イソシアネート化合物」及び「有機溶剤」は、それぞれ、本件発明1の「多官能イソシアネート硬化剤(B)」及び「溶剤(C)」に相当し、先願発明1の「リチウムイオン電池の包装材に用いられる接着剤組成物」は本件発明1の「電池用包装材形成用接着剤組成物」に相当する。
したがって、本件発明1と先願発明1とは、次の一致点で一致し、次の相違点で一応相違する。
[一致点1]
「カルボキシル基もしくは酸無水物基を有するポリオレフィン樹脂(A)と、多官能イソシアネート硬化剤(B)と、溶剤(C)とを含有する電池用包装材形成用接着剤組成物であって、
前記ポリオレフィン樹脂(A)の融点が60〜110℃であり、
前記ポリオレフィン樹脂(A)が、下記(ア)である電池用包装材形成用接着剤組成物。
(ア)プロピレンと1−ブテンとの二元共重合体に、エチレン性不飽和カルボン酸もしくはその酸無水物と、スチレン、ドデシル(メタ)アクリレートおよびステアリル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれるモノマーとをグラフト重合させた変性ポリオレフィン樹脂であって、
前記二元共重合体が、1−ブテン単位を16〜37モル%含む、変性ポリオレフィン樹脂。」
[相違点1]
本件発明1は「前記ポリオレフィン樹脂(A)のガラス転移温度が−30〜10℃であ」るのに対し、先願発明1はその点不明である点。
[相違点2]
本件発明1は「前記ポリオレフィン樹脂(A)の」「融解エネルギーが22〜50(mJ/mg)であ」るのに対し、先願発明1はその点不明である点。
イ 判断
(ア)相違点1について
甲2には、試作例1、2、5として、プロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体を用いた変性ポリオレフィン樹脂のガラス転移温度が記載されている。この共重合体は、“エチレンとプロピレンとブテンとの三元共重合体”であり、本件発明1でいう“プロピレンとブテンとの二元共重合体”ではない。
甲2には、“プロピレンとブテンとの二元共重合体”を用いた変性ポリオレフィン樹脂のガラス転移温度Tgは、開示されていない。
そうすると、甲2を参酌しても、先願発明1におけるポリオレフィン樹脂(A)のガラス転移温度が−30〜10℃であるということはできない。
したがって、相違点1は、実質的なものというべきである。
(イ)以上を踏まえると、相違点2について検討するまでもなく、本件発明1と先願発明1の間には、明らかに、実質的な相違点が存在しているのであるから、本件発明1は、先願発明1と同一ではないといえる。

(2)本件発明2、4、5について
本件発明2、4、5は、いずれも、本件発明1の発明特定事項を全て含むものであるから、本件発明2、4、5と先願発明1を対比すると、両者の間には、少なくとも、本件発明1と先願発明1を対比した際の相違点1、2が存在することになり、そして、それら相違点についての判断は、既に述べたとおりである。
したがって、本件発明2、4、5は、いずれも、先願発明1と同一ではない。

(3)本件発明6、7について
本件発明6、7は、いずれも、本件発明1の発明特定事項を全て含むものであるから、本件発明6、7と先願発明2を対比すると、少なくとも、本件発明1と先願発明1を対比した際の相違点1、2が存在することになり、そして、それら相違点についての判断は、既に述べたとおりである。
したがって、本件発明6、7は、いずれも、先願発明2と同一ではない。

(4)本件発明8、9について
本件発明8、9は、いずれも、本件発明1の発明特定事項を全て含むものであるから、本件発明8、9と先願発明3を対比すると、少なくとも、本件発明1と先願発明1を対比した際の相違点1、2が存在することになり、そして、それら相違点についての判断は、既に述べたとおりである。
したがって、本件発明8、9は、いずれも、先願発明3と同一ではない。

(5)本件発明10、11について
本件発明10、11は、いずれも、本件発明1の発明特定事項を全て含むものであるから、本件発明10、11と先願発明4を対比すると、少なくとも、本件発明1と先願発明1を対比した際の相違点1、2が存在することになり、そして、それら相違点についての判断は、既に述べたとおりである。
したがって、本件発明10、11は、いずれも、先願発明4と同一ではない。

(6)以上のとおりであるから、本件発明1、2、4〜11は、いずれも、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないものではない。

第6 むすび
したがって、請求項1、2、4〜11に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由によって、取り消すことはできない。また、他に請求項1、2、4〜11に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
また、請求項3に係る特許についての特許異議の申立ては、請求項3が本件訂正により削除されたことによりその対象が存在しないものとなったので、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルボキシル基もしくは酸無水物基を有するポリオレフィン樹脂(A)と、多官能イソシアネート硬化剤(B)と、溶剤(C)とを含有する電池用包装材形成用接着剤組成物であって、
前記ポリオレフィン樹脂(A)のガラス転移温度が−30〜10℃であり、融点が60〜110℃であり、融解エネルギーが22〜50(mJ/mg)であり、
前記ポリオレフィン樹脂(A)が、下記(ア)である電池用包装材形成用接着剤組成物。(ア) プロピレンと1−ブテンとの二元共重合体に、エチレン性不飽和カルボン酸もしくはその酸無水物と、スチレン、ドデシル(メタ)アクリレートおよびステアリル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれるモノマーとをグラフト重合させた変性ポリオレフィン樹脂であって、
前記二元共重合体が、1−ブテン単位を16〜37モル%含む、変性ポリオレフィン樹脂。
【請求項2】
ポリオレフィン樹脂(A)の融解エネルギーが27〜50(mJ/mg)である、請求項1に記載の電池用包装材形成用接着剤組成物。
【請求項3】
(削除)
【請求項4】
カルボキシル基もしくは酸無水物基を有するポリオレフィン樹脂(A)1(g)当たりカルボキシル基の含有量をX(mmol)、酸無水物基の含有量をY(mmol)とした場合に、X+2Yが0.05〜0.6であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電池用包装材形成用接着剤組成物。
【請求項5】
接着剤組成物中に含まれるカルボキシル基もしくは酸無水物基を有するポリオレフィン樹脂(A)をP(g)、多官能イソシアネート硬化剤(B)由来のイソシアネート基をZ(mmol)とした場合に、Z/[(X+2Y)P]が0.5〜10であることを特徴とする請求項1〜2又は4いずれか1項に記載の電池用包装材形成用接着剤組成物。
【請求項6】
接着剤層を介して、金属箔と熱融着性フィルムとが積層されてなる積層体であって、前記接着剤層が、請求項1〜2又は4〜5いずれか1項に記載の電池用包装材形成用接着剤組成物から形成された接着剤層であることを特徴とする積層体。
【請求項7】
金属箔側に他のシート状部材がさらに積層されてなる、請求項6に記載の積層体。
【請求項8】
外層から順に、外層側樹脂フィルム層、外層側接着剤層、金属箔層、内層側接着剤層、熱融着性フィルム層を必須とする電池用包装材において、前記内層側接着剤層が請求項1〜2又は4〜5いずれか1項に記載の電池用包装材形成用接着剤組成物にて形成されたことを特徴とする電池用包装材。
【請求項9】
外層側樹脂フィルム層がポリアミドフィルムまたはポリエステルフィルムであり、熱融着性フィルムがポリオレフィン系フィルムであることを特徴とする請求項8に記載の電池用包装材。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の電池用包装材から形成されてなる電池用容器であって、熱融着性フィルム層が内面を構成している、電池用容器。
【請求項11】
請求項10に記載の電池用容器を使用してなる電池。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2022-09-20 
出願番号 P2018-119603
審決分類 P 1 651・ 161- YAA (B32B)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 井上 茂夫
特許庁審判官 藤原 直欣
藤井 眞吾
登録日 2020-12-14 
登録番号 6809509
権利者 東洋インキSCホールディングス株式会社 東洋モートン株式会社 トーヨーケム株式会社
発明の名称 接着剤組成物、電池用包装材、及び電池用容器  
代理人 家入 健  
代理人 秦 恵子  
代理人 秦 恵子  
代理人 家入 健  
代理人 秦 恵子  
代理人 秦 恵子  
代理人 家入 健  
代理人 秦 恵子  
代理人 家入 健  
代理人 家入 健  
代理人 秦 恵子  
代理人 家入 健  
代理人 特許業務法人太陽国際特許事務所  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ