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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  H01R
審判 全部申し立て 特29条の2  H01R
管理番号 1392009
総通号数 12 
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2022-12-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-09-13 
確定日 2022-10-13 
異議申立件数
訂正明細書 true 
事件の表示 特許第6844760号発明「同軸コネクタセットにおけるグランド接続構造」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6844760号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1〜10〕、〔11〜21〕、22について訂正することを認める。 特許第6844760号の請求項11、12、15、21に係る特許を取り消す。 特許第6844760号の請求項1、4〜10、13、14、16〜20、22に係る特許を維持する。 特許第6844760号の請求項2、3に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 1 手続の経緯
特許第6844760号の請求項1〜22に係る特許についての出願は、2020年5月8日(優先権主張2019年5月10日、日本国)を国際出願日とする出願であって、令和3年3月1日にその特許権の設定登録がされ、令和3年3月17日に特許掲載公報が発行された。
その後の本件異議申立事件に関する手続の経緯は次のとおりである。
令和 3年 9月13日付け 特許異議申立人末吉直子(以下、「異議申立人」という。)による特許異議の申立て
同年12月17日付け 取消理由通知
令和 4年 2月18日付け 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
同年 4月 6日付け 異議申立人による意見書の提出
同年 5月30日付け 取消理由(決定の予告)通知
そして、取消理由(決定の予告)に対し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、特許権者からは応答がなかった。

2 訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
令和4年2月18日付けの訂正請求(以下、「本件訂正請求」という。)による訂正の内容は、以下のとおりである。
なお、下線部は訂正箇所を示す。
ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に、
「ショートカット接続路が形成されている、同軸コネクタセットにおけるグランド接続構造。」
と記載されているのを、
「ショートカット接続路が形成されており、
前記ショートカット接続路は、前記先端囲繞部と前記第2外部実装部との間に形成されている、同軸コネクタセットにおけるグランド接続構造。」
に訂正する。
請求項1の記載を引用する請求項4、5及び10も同様に訂正する。
イ 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2を削除する。
ウ 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3を削除する。
エ 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4に、
「請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の、」
と記載されているのを、
「請求項1に記載の、」
に訂正する。
請求項4の記載を引用する請求項5及び10も同様に訂正する。
オ 訂正事項5
特許請求の範囲の請求項6に、
「前記先端囲繞部と、前記第2外部実装部または前記グランド接続部との間をつなぐ前記ショートカット接続路として、ブリッジ接続部が配設されている、請求項1に記載の同軸コネクタセットにおけるグランド接続構造。」
と記載されているのを、
「中心導体および外部導体を有する同軸ケーブルが接続される第1コネクタと、グランド接続部を有する回路基板に実装される第2コネクタとを備える同軸コネクタセットにおいて、
前記第1コネクタは、前記外部導体に接続される第1外部端子を有し、前記第2コネクタは、前記第1外部端子に接続される第2外部端子を有し、
前記第1外部端子は、前記外部導体をクランプする外部導体クランプ部と、前記第2外部端子に接続される第1外部接触部と、前記外部導体クランプ部と前記第1外部接触部との間に位置して前記中心導体の先端部を囲繞する先端囲繞部とを備え、
前記第2外部端子は、前記第1外部接触部に接続される第2外部接触部と、前記回路基板のグランド接続部に実装される第2外部実装部とを備え、
前記先端囲繞部と、前記第2外部端子または前記グランド接続部との間には、ショートカット接続路が形成されており、
前記先端囲繞部と、前記第2外部実装部または前記グランド接続部との間をつなぐ前記ショートカット接続路として、ブリッジ接続部が配設されている、同軸コネクタセットにおけるグランド接続構造。」
に訂正する。
請求項6の記載を引用する請求項7及び10も同様に訂正する。
カ 訂正事項6
特許請求の範囲の請求項8に、
「前記先端囲繞部と、前記第2外部実装部または前記グランド接続部との間をつなぐ前記ショートカット接続路として、シールド部材が配設されている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の、同軸コネクタセットにおけるグランド接続構造。」
と記載されているのを、
「中心導体および外部導体を有する同軸ケーブルが接続される第1コネクタと、グランド接続部を有する回路基板に実装される第2コネクタとを備える同軸コネクタセットにおいて、
前記第1コネクタは、前記外部導体に接続される第1外部端子を有し、前記第2コネクタは、前記第1外部端子に接続される第2外部端子を有し、
前記第1外部端子は、前記外部導体をクランプする外部導体クランプ部と、前記第2外部端子に接続される第1外部接触部と、前記外部導体クランプ部と前記第1外部接触部との間に位置して前記中心導体の先端部を囲繞する先端囲繞部とを備え、
前記第2外部端子は、前記第1外部接触部に接続される第2外部接触部と、前記回路基板のグランド接続部に実装される第2外部実装部とを備え、
前記先端囲繞部と、前記第2外部端子または前記グランド接続部との間には、ショートカット接続路が形成されており、
前記先端囲繞部と、前記第2外部実装部または前記グランド接続部との間をつなぐ前記ショートカット接続路として、シールド部材が配設されている、同軸コネクタセットにおけるグランド接続構造。」
に訂正する。
請求項8の記載を引用する請求項9及び10も同様に訂正する。
キ 訂正事項7
特許請求の範囲の請求項10に、
「請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の、」
と記載されているのを、
「請求項1、請求項4から請求項9のいずれか1項に記載の1に記載の、」
に訂正する。
ク 訂正事項8
特許請求の範囲の請求項11に、
「前記接続部は、前記外部導体接続部よりも前記回路基板の近くに位置する、同軸コネクタセットにおけるグランド接続構造。」
と記載されているのを、
「前記接続部は、前記外部導体接続部よりも前記回路基板の近くに位置し、
前記接続部の表面にニッケルおよび金のメッキが施されている、同軸コネクタセットにおけるグランド接続構造。」
に訂正する。
請求項11の記載を引用する請求項12〜21も同様に訂正する。
ケ 訂正事項9
特許請求の範囲の請求項22に、
「前記先端囲繞部と前記第2外部接触部との間をつなぐ接続部が形成されている、同軸コネクタセット。」
と記載されているのを、
「前記先端囲繞部と前記第2外部接触部との間をつなぐ接続部が形成されており、
前記第2外部接触部は挿抜方向から見て円形状を有し、前記接続部の前記第2外部接触部の側の端部は、挿抜方向から見て円弧形状を有する、同軸コネクタセット。」
に訂正する。

(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、一群の請求項及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
ア 訂正事項1
訂正事項1は、訂正前の請求項1に係る発明の「ショートカット接続路」に関して、「前記ショートカット接続路は、前記先端囲繞部と前記第2外部実装部との間に形成されている」ことを特定するものであるので、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものといえる。
また、訂正事項1は、発明を特定する事項を直列的に付加するものであり、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。
そして、訂正事項1は、訂正前の請求項3の記載に基づくものであるので、願書に添付した特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。
イ 訂正事項2及び3
訂正事項2及び3は、訂正前の請求項2及び3を削除するものであるので、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものといえる。
また、訂正事項2及び3は、訂正前の請求項2及び3を削除するものであるので、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合する。
ウ 訂正事項4
訂正事項4は、訂正前の請求項4が請求項1〜3のいずれか1項の記載を引用するものであったのを、訂正事項2及び3により請求項2及び3が削除されたことに伴い、訂正事項1により訂正前の請求項3の事項が加わった請求項1の記載を引用するようにしたものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」及び同項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものといえる。
そして、訂正事項4は、訂正事項1〜3による訂正に伴い記載を引用する請求項を改めたものであるので、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合する。
エ 訂正事項5
訂正事項5は、訂正前の請求項6が請求項1の記載を引用するものであったのを、請求項間の引用関係を解消し独立形式の記載に改めるものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること。」を目的とするものといえる。
そして、訂正事項5は、記載の形式を引用形式から独立形式に改めたにすぎないので、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合する。
オ 訂正事項6
訂正事項6は、訂正前の請求項8が請求項1〜3のいずれか1項の記載を引用するものであったのを、訂正事項1による訂正後の請求項1の記載を引用するものに限定するとともに、請求項間の引用関係を解消し独立形式の記載に改めるものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」及び同項第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること。」を目的とするものといえる。
そして、訂正事項6は、記載を引用する請求項を限定するとともに、記載の形式を引用形式から独立形式に改めたものであるので、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合する。
カ 訂正事項7
訂正事項7は、訂正前の請求項10が請求項1〜9のいずれか1項の記載を引用するものであったのを、訂正事項2及び3により請求項2及び3が削除されたことに伴い、訂正事項1により訂正前の請求項3の事項が加わった請求項1の記載を引用するようにしたものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」及び同項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものといえる。
そして、訂正事項7は、訂正事項1〜3による訂正に伴い記載を引用する請求項を改めたものであるので、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合する。
キ 訂正事項8
訂正事項8は、訂正前の請求項11に記載されていた「接続部」に関し、「接続部の表面にニッケルおよび金のメッキが施されている」ことを限定するものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものといえる。
また、訂正事項8は、発明を特定する事項を直列的に付加するものであり、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。
そして、訂正事項8は、明細書の段落【0082】の記載に基づくものであるので、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。
ク 訂正事項9
訂正事項9は、訂正前の請求項22の「第2外部接触部」及び「接続部」に関し、「第2外部接触部は挿抜方向から見て円形状を有し、接続部の第2外部接触部の側の端部は、挿抜方向から見て円弧形状を有する」ことを限定するものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものといえる。
また、訂正事項9は、発明を特定する事項を直列的に付加するものであり、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。
そして、訂正事項9は、特許請求の範囲の請求項14、または、明細書の段落【0084】及び【図4】、【図21】の記載に基づくものであり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであるので、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。
ケ 一群の請求項
訂正前の請求項1〜10について、請求項2〜10は請求項1の記載を直接又は間接的に引用するものであるから、請求項1〜10は一群の請求項であり、上記訂正事項1〜7は、その一群の請求項においてなされたものであるから、特許法第120条の5第4項で規定する当該一群の請求項ごとに請求されているものである。
訂正前の請求項11〜21について、請求項12〜21は請求項11の記載を直接又は間接的に引用するものであるから、請求項11〜21は一群の請求項であり、上記訂正事項8は、その一群の請求項においてなされたものであるから、特許法第120条の5第4項で規定する当該一群の請求項ごとに請求されているものである。

また、訂正後の請求項6及び8について、当該請求項についての訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別の訂正単位とする求めがなされているが、訂正後の請求項10は請求項1、4〜9の記載を引用するものであり、訂正後の請求項1、4〜10は一群の請求項であるので、この求めは認められない。

(3)小括
以上のとおり、訂正事項1〜9に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第3号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1〜10〕、〔11〜21〕、22について訂正を認める。

3 本件発明
本件訂正請求により訂正された請求項1、4〜22に係る発明(以下「本件発明1、4〜22」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1〜22に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
中心導体および外部導体を有する同軸ケーブルが接続される第1コネクタと、グランド接続部を有する回路基板に実装される第2コネクタとを備える同軸コネクタセットにおいて、
前記第1コネクタは、前記外部導体に接続される第1外部端子を有し、前記第2コネクタは、前記第1外部端子に接続される第2外部端子を有し、
前記第1外部端子は、前記外部導体をクランプする外部導体クランプ部と、前記第2外部端子に接続される第1外部接触部と、前記外部導体クランプ部と前記第1外部接触部との間に位置して前記中心導体の先端部を囲繞する先端囲繞部とを備え、
前記第2外部端子は、前記第1外部接触部に接続される第2外部接触部と、前記回路基板のグランド接続部に実装される第2外部実装部とを備え、
前記先端囲繞部と、前記第2外部端子または前記グランド接続部との間には、ショートカット接続路が形成されており、
前記ショートカット接続路は、前記先端囲繞部と前記第2外部実装部との間に形成されている、同軸コネクタセットにおけるグランド接続構造。
【請求項4】
前記先端囲繞部と前記グランド接続部との間をつなぐ前記ショートカット接続路として、介在部材が配設されている、請求項1に記載の、同軸コネクタセットにおけるグランド接続構造。
【請求項5】
前記先端囲繞部と前記介在部材との間は、弾性的に接触するように構成されている、請求項4に記載の、同軸コネクタセットにおけるグランド接続構造。
【請求項6】
中心導体および外部導体を有する同軸ケーブルが接続される第1コネクタと、グランド接続部を有する回路基板に実装される第2コネクタとを備える同軸コネクタセットにおいて、
前記第1コネクタは、前記外部導体に接続される第1外部端子を有し、前記第2コネクタは、前記第1外部端子に接続される第2外部端子を有し、
前記第1外部端子は、前記外部導体をクランプする外部導体クランプ部と、前記第2外部端子に接続される第1外部接触部と、前記外部導体クランプ部と前記第1外部接触部との間に位置して前記中心導体の先端部を囲繞する先端囲繞部とを備え、
前記第2外部端子は、前記第1外部接触部に接続される第2外部接触部と、前記回路基板のグランド接続部に実装される第2外部実装部とを備え、
前記先端囲繞部と、前記第2外部端子または前記グランド接続部との間には、ショートカット接続路が形成されており、
前記先端囲繞部と、前記第2外部実装部または前記グランド接続部との間をつなぐ前記ショートカット接続路として、ブリッジ接続部が配設されている、同軸コネクタセットにおけるグランド接続構造。
【請求項7】
前記先端囲繞部と前記ブリッジ接続部との間、または、前記第2外部実装部または前記グランド接続部と前記ブリッジ接続部との間は、弾性的に接触するように構成されている、請求項6に記載の、同軸コネクタセットにおけるグランド接続構造。
【請求項8】
中心導体および外部導体を有する同軸ケーブルが接続される第1コネクタと、グランド接続部を有する回路基板に実装される第2コネクタとを備える同軸コネクタセットにおいて、
前記第1コネクタは、前記外部導体に接続される第1外部端子を有し、前記第2コネクタは、前記第1外部端子に接続される第2外部端子を有し、
前記第1外部端子は、前記外部導体をクランプする外部導体クランプ部と、前記第2外部端子に接続される第1外部接触部と、前記外部導体クランプ部と前記第1外部接触部との間に位置して前記中心導体の先端部を囲繞する先端囲繞部とを備え、
前記第2外部端子は、前記第1外部接触部に接続される第2外部接触部と、前記回路基板のグランド接続部に実装される第2外部実装部とを備え、
前記先端囲繞部と、前記第2外部端子または前記グランド接続部との間には、ショートカット接続路が形成されており、
前記先端囲繞部と、前記第2外部実装部または前記グランド接続部との間をつなぐ前記ショートカット接続路として、シールド部材が配設されている、同軸コネクタセットにおけるグランド接続構造。
【請求項9】
前記シールド部材が、前記第1外部接触部と前記先端囲繞部との間に形成される間隙を覆うシールド部を有する、請求項8に記載の、同軸コネクタセットにおけるグランド接続構造。
【請求項10】
前記第1コネクタが、L型同軸コネクタである、請求項1、請求項4から請求項9のいずれか1項に記載の、同軸コネクタセットにおけるグランド接続構造。
【請求項11】
中心導体および外部導体を有する同軸ケーブルが接続される第1コネクタと、グランド接続部を有する回路基板に実装される第2コネクタとを備える同軸コネクタセットにおいて、
前記第1コネクタは、前記外部導体に接続される第1外部端子を有し、前記第2コネクタは、前記第1外部端子に接続される第2外部端子を有し、
前記第1外部端子は、前記外部導体をクランプする外部導体クランプ部と、前記第2外部端子に接続される第1外部接触部と、前記外部導体クランプ部と前記第1外部接触部との間に位置して前記中心導体の先端部を囲繞する先端囲繞部と、前記第1外部接触部と前記先端囲繞部とを接続する外部導体接続部とを備え、
前記第2外部端子は、前記第1外部接触部に接続される第2外部接触部と、前記回路基板のグランド接続部に実装される第2外部実装部とを備え、
前記外部導体接続部を介さずに、前記先端囲繞部と、前記第2外部端子または前記グランド接続部とを接続する接続部が設けられ、
前記接続部は、前記外部導体接続部よりも前記回路基板の近くに位置し、
前記接続部の表面にニッケルおよび金のメッキが施されている、同軸コネクタセットにおけるグランド接続構造。
【請求項12】
前記接続部は、前記先端囲繞部と前記第2外部接触部との間に形成されている、請求項11に記載の、同軸コネクタセットにおけるグランド接続構造。
【請求項13】
前記接続部の前記第2外部接触部の側の端部は、前記第2外部接触部の外形に沿った形状を有する、請求項12に記載の、同軸コネクタセットにおけるグランド接続構造。
【請求項14】
前記第2外部接触部は挿抜方向から見て円形状を有し、前記接続部の前記第2外部接触
部の側の前記端部は、挿抜方向から見て円弧形状を有する、請求項13に記載の、同軸コネクタセットにおけるグランド接続構造。
【請求項15】
前記接続部の前記第2外部接触部の側の端部が前記第2外部接触部に弾性的に接触するように、前記接続部の前記先端囲繞部の側には、折れ曲がり部が設けられている、請求項11から請求項14のいずれか1項に記載の、同軸コネクタセットにおけるグランド接続構造。
【請求項16】
前記接続部は、前記先端囲繞部と前記第2外部実装部との間に形成されている、請求項11に記載の、同軸コネクタセットにおけるグランド接続構造。
【請求項17】
前記先端囲繞部と前記グランド接続部との間をつなぐ前記接続部として、介在部材が配設されている、請求項11から請求項16のいずれか1項に記載の、同軸コネクタセットにおけるグランド接続構造。
【請求項18】
前記先端囲繞部と前記介在部材との間は、弾性的に接触するように構成されている、請求項17に記載の、同軸コネクタセットにおけるグランド接続構造。
【請求項19】
前記先端囲繞部と、前記第2外部実装部または前記グランド接続部との間をつなぐ前記接続部として、ブリッジ接続部が配設されている、請求項11に記載の、同軸コネクタセットにおけるグランド接続構造。
【請求項20】
前記先端囲繞部と前記ブリッジ接続部との間、または、前記第2外部実装部または前記グランド接続部と前記ブリッジ接続部との間は、弾性的に接触するように構成されている、請求項19に記載の、同軸コネクタセットにおけるグランド接続構造。
【請求項21】
前記第1コネクタが、L型同軸コネクタである、請求項11から請求項20のいずれか1項に記載の、同軸コネクタセットにおけるグランド接続構造。
【請求項22】
中心導体および外部導体を有する同軸ケーブルが接続される第1コネクタと、前記第1コネクタと嵌合可能な第2コネクタとを備える同軸コネクタセットであって、
前記第1コネクタは、前記外部導体をクランプする外部導体クランプ部と、第1外部接触部と、前記外部導体クランプ部および前記第1外部接触部の間に位置して前記中心導体の先端部を囲繞する先端囲繞部と、前記第1外部接触部と前記先端囲繞部との間をつなぐ外部導体接続部とを含み、
前記第2コネクタは、第2外部接触部を含み、
前記第1コネクタおよび前記第2コネクタの嵌合状態において、
前記第1外部接触部および前記第2外部接触部が互いに嵌合し、
前記先端囲繞部と前記第2外部接触部との間をつなぐ接続部が形成されており、
前記第2外部接触部は挿抜方向から見て円形状を有し、前記接続部の前記第2外部接触部の側の端部は、挿抜方向から見て円弧形状を有する、同軸コネクタセット。」

4 取消理由の概要
当審が令和4年5月30日付けで特許権者に通知した取消理由(決定の予告)の要旨は、次のとおりである。
(拡大先願)本件特許の請求項11、12、15及び21に係る発明は、本件特許出願の日前の特許出願であって、本件特許出願後に国際公開がされた下記の特許出願の願書に最初に添付した明細書、請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、本件特許出願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、また本件特許出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないから、上記の請求項に係る特許は、特許法第29条の2の規定に違反してされたものである(同法第184条の13参照)。
先願:特願2019−50505号(国際公開第2020/189221号)
上記先願は、異議申立人が特許異議申立書に添付して提出した甲第1号証の国際出願の優先権主張の基礎とされた出願であり、先願の願書に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面については、同じく異議申立人が提出した甲第2号証を参照されたい。

5 当審の判断
(1)先願明細書等の記載及び引用発明
先願の明細書には次のとおり記載されている。
「【0020】
図1は、本願発明に係る同軸コネクタ装置の第1の例を成す同軸コネクタ装置11を示す。図1に示される同軸コネクタ装置11は、同軸ケーブルの一端部に装着されて用いられるものとされている。同軸コネクタ装置11が一端部に装着される同軸ケーブルは、後述される図2に同軸ケーブル12として示されており、中心導体13と、中心導体13を密着包囲する内部絶縁体14と、内部絶縁体14を密着包囲する外側導体15と、外側導体15を密着包囲する表皮絶縁体16とを有している。斯かる同軸ケーブル12における同軸コネクタ装置11が装着される一端部は、表皮絶縁体16が部分的に切除されて外側導体15が露出するとともに、その外側導体15及び内部絶縁体14の夫々が部分的に切除されて中心導体13が露出する状態におかれる。
【0021】
斯かるもとで、同軸コネクタ装置11は、主要構成要素として、弾性導電性材料により形成されて、同軸ケーブル12の中心導体13との電気的接続がなされるものとされたシグナルコンタクト部材20と、弾性導電性材料により形成されて、同軸ケーブル12の外側導体15との電気的接続がなされるものとされたグラウンドコンタクト部材21と、合成樹脂材等の絶縁材料により形成されて、シグナルコンタクト部材20とグラウンドコンタクト部材21とを相互絶縁状態をもって支持する絶縁ハウジング部材22とを備えている。
【0022】
絶縁ハウジング部材22は、シグナルコンタクト部材20を保持した筒状部23、及び、筒状部23から伸びて、シグナルコンタクト部材20に接続される同軸ケーブル12の中心導体13をシグナルコンタクト部材20を介して支持する中心導体支持部24が設けられたものとされている。
【0023】
グラウンドコンタクト部材21は、絶縁ハウジング部材22の筒状部23を部分的に包囲する環状嵌合部25を有している。環状嵌合部25には、それにおける一対の相互対向する端部25aによって挟まれた開口部が形成されており、一対の端部25aからは、絶縁ハウジング部材22の中心導体支持部24に沿って伸びる一対の腕部26が夫々伸びていて、一対の腕部26は、中心導体支持部24を挟んで相互対向するものとされている。このような絶縁ハウジング部材22の筒状部23とそれを部分的に包囲するグラウンドコンタクト部材21の環状嵌合部25とは、同軸コネクタ装置11における嵌合連結部を構成しており、同軸ケーブル12の一端部に装着された同軸コネクタ装置11は、斯かる嵌合連結部をもって、他のコネクタ装置である相手方コネクタ装置に嵌合連結される。その際、環状嵌合部25は、相手方コネクタ装置のグラウンドコンタクト部に嵌合接続される。
【0024】
また、グラウンドコンタクト部材21は、環状嵌合部25に加えて、環状嵌合部25の一端から折曲可能に伸び、折り曲げられるとき、中心導体13がシグナルコンタクト部材20に接続された同軸ケーブル12の外側導体15との接続がなされることになるシェル部27を有している。グラウンドコンタクト部材21のシェル部27は、環状嵌合部25に対して折り曲げられていない直立位置と環状嵌合部25に対して折り曲げられた屈曲位置とを選択的にとるものとされていて、図1においては、グラウンドコンタクト部材21のシェル部27が直立位置をとるものとされており、後述される図3〜図5においては、グラウンドコンタクト部材21のシェル部27が屈曲位置をとるものとされている。そして、グラウンドコンタクト部材21のシェル部27には、折り曲げられて中心導体13がシグナルコンタクト部材20に接続された同軸ケーブル12に対する締め付けを行う一対の第1の締付部28及び一対の第2の締付部29が設けられている。
【0025】
グラウンドコンタクト部材21のシェル部27に設けられた一対の第1の締付部28には、各々の一端部から屈曲して伸びるものとされた一対の導電部材30が、第1の締付部28に一体的に形成されたものとして設けられている。これら一対の導電部材30は、一対の第1の締付部28の各々が折り曲げられて同軸ケーブル12に対する締め付けを行う状態におかれるとき、相互近接して配されるものとされる(後述される図4に示される。)。
【0026】
同軸コネクタ装置11におけるシグナルコンタクト部材20は、後述される図6に示されるように、絶縁ハウジング部材22の中心導体支持部24に支えられて配されて同軸ケーブル12の中心導体13との接続がなされる中心導体接続部31と、中心導体接続部31から伸びて絶縁ハウジング部材22の筒状部23内に配され、相手方コネクタ装置のシグナルコンタクト部に接触接続される接触接続部32(後述される図4に現れている。)とを有している。中心導体接続部31は、絶縁ハウジング部材22の中心導体支持部24から、グラウンドコンタクト部材21の環状嵌合部25における一対の端部25aに挟まれて形成された開口部を通じて、グラウンドコンタクト部材21の環状嵌合部25によって部分的に包囲された絶縁ハウジング部材22の筒状部23内へと伸びて配されており、グラウンドコンタクト部材21の環状嵌合部25における一対の端部25aに挟まれて形成された開口部は、同軸ケーブル12の中心導体13が接続されるシグナルコンタクト部材20の中心導体接続部31を配するために形成されたものとなっている。
【0027】
上述のような同軸コネクタ装置11が、同軸ケーブル12の一端部に装着されるに際しては、先ず、図2に示されるように、表皮絶縁体16が部分的に切除されて外側導体15が露出するとともにその外側導体15及び内部絶縁体14の夫々が部分的に切除されて中心導体13が露出する状態におかれた一端部を有した同軸ケーブル12の中心導体13が、グラウンドコンタクト部材21のシェル部27が直立位置をとるもとにおいて、絶縁ハウジング部材22の中心導体支持部24に支えられて配されたシグナルコンタクト部材20の中心導体接続部31に載置される。そして、同軸ケーブル12の中心導体13は、例えば、超音波溶接や半田付け等によって、シグナルコンタクト部材20の中心導体接続部31に接続されて固定される。
【0028】
その後、直立位置をとるグラウンドコンタクト部材21のシェル部27が、グラウンドコンタクト部材21の環状嵌合部25に対して折り曲げられて屈曲位置をとるものとされる。それにより、シェル部27は、中心導体13がシグナルコンタクト部材20の中心導体接続部31に接続された同軸ケーブル12の外側導体15に当接せしめられる。
【0029】
さらにその後、屈曲位置をとるものとされたシェル部27において、一対の第1の締付部28の夫々が折り曲げられて、グラウンドコンタクト部材21の環状嵌合部25における一対の端部25aから夫々伸びる一対の腕部26をそれらの外側から包むようにして一対の腕部26に対する締付けを行うとともに、中心導体13がシグナルコンタクト部材20の中心導体接続部31に接続された同軸ケーブル12の外側導体15に対する締付けを行うものとされ、また、一対の第2の締付部29の夫々が折り曲げられて、中心導体13がシグナルコンタクト部材20の中心導体接続部31に接続された同軸ケーブル12の外側導体15に対する締付けを行うものとされる。それにより、グラウンドコンタクト部材21のシェル部27が、中心導体13がシグナルコンタクト部材20の中心導体接続部31に接続された同軸ケーブル12の外側導体15に接続されて固定される。その結果、図3,図4,図5及び図6に示されるように、同軸ケーブル12の一端部に同軸コネクタ装置11が装着された状態が堅固に維持されることになる。図3は、同軸コネクタ装置11が同軸ケーブル12の一端部に装着された状態を示す上方側から見た斜視図であり、図4は、同軸コネクタ装置11が同軸ケーブル12の一端部に装着された状態を示す下方側から見た斜視図であり、図5は、同軸コネクタ装置11が同軸ケーブル12の一端部に装着された状態を示す平面図であり、図6は、図5におけるVI−VI線断面を示す断面図である。
【0030】
このとき、図4に示されるように、一対の第1の締付部28にそれらの各々の一端部から屈曲して伸びるものとされて設けられた一対の導電部材30が、相互近接したものとされて、グラウンドコンタクト部材21の環状嵌合部25における一対の端部25aに挟まれて形成された開口部を、部分的に塞ぐ位置に配されるものとされる。それにより、内部にシグナルコンタクト部材20の接触接続部32が配された、絶縁ハウジング部材22の筒状部23が、グラウンドコンタクト部材21の環状嵌合部25と一対の導電部材30とによって包囲された状態におかれることになる。
【0031】
図7は、同軸コネクタ装置11が連結される相手方コネクタ装置の一例を成す相手方コネクタ装置40と、相手方コネクタ装置40が装着された回路基板41とを示す。相手方コネクタ装置40は、回路基板41における部品等搭載面42上に固定されている
【0032】
相手方コネクタ装置40は、導電材料により形成され、回路基板41における部品等搭載面42に立設されて、回路基板41の部品等搭載面42に設けられたシグナル端子(図示が省略されている。)に電気的に連結されたシグナルコンタクト部43と、導電材料により環状体を成すものとして形成され、回路基板41における部品等搭載面42に、それからその外方に突出してシグナルコンタクト部43を包囲する状態をもって固定されて、部品等搭載面42に設けられたグラウンド電位部(図示が省略されている。)に電気的に連結されたグラウンドコンタクト部44とを備えている。そして、グラウンドコンタクト部44は、相手方コネクタ装置40に連結される同軸コネクタ装置11が備えるグラウンドコンタクト部材21の環状嵌合部25が嵌合接続されるものとされている。
【0033】
図8及び図9は、図3,図4,図5及び図6に示される同軸ケーブル12の一端部に装着された同軸コネクタ装置11が、図7に示される相手方コネクタ装置40に連結された状態を示す。図8及び図9に示されるような、同軸コネクタ装置11が相手方コネクタ装置40に連結された状態がとられる際には、同軸コネクタ装置11におけるグラウンドコンタクト部材21の環状嵌合部25が相手方コネクタ装置40のグラウンドコンタクト部44に嵌合接続される。さらに、同軸コネクタ装置11が備えるグラウンドコンタクト部材21のシェル部27における第1の締付部28にそれと一体に設けられた導電部材30が、相手方コネクタ装置40のグラウンドコンタクト部44に接触接続される。
【0034】
このようにして、同軸ケーブル12の一端部に装着された同軸コネクタ装置11におけるグラウンドコンタクト部材21の環状嵌合部25が、相手方コネクタ装置40のグラウンドコンタクト部44に嵌合接続されるとともに、グラウンドコンタクト部材21のシェル部27における第1の締付部28にそれと一体に設けられた導電部材30が、相手方コネクタ装置40のグラウンドコンタクト部44に接触接続されたもとにあっては、図8におけるIX−IX線断面を示す図9に示されるように、同軸コネクタ装置11における絶縁ハウジング部材22により支持されて、その中心導体接続部31に同軸ケーブル12の中心導体13が接続されたシグナルコンタクト部材20における、絶縁ハウジング部材22における筒状部23の内部に配された接触接続部32が、相手方コネクタ装置40のシグナルコンタクト部43に接触接続されたものとされる。それにより、同軸ケーブル12の中心導体13が、同軸コネクタ装置11におけるシグナルコンタクト部材20及び相手方コネクタ装置40のシグナルコンタクト部43を通じて、回路基板41の部品等搭載面42に設けられたシグナル端子に連結され、また、同軸ケーブル12の外側導体15が、同軸コネクタ装置11におけるグラウンドコンタクト部材21及び相手方コネクタ装置40のグラウンドコンタクト部44を通じて、回路基板41に設けられたグラウンド電位部に連結された状態が得られる。
【0035】
そして、このとき、同軸コネクタ装置11におけるグラウンドコンタクト部材21のシェル部27における一対の第1の締付部28にそれらの各々の一端部から屈曲して伸びるものとされて第1の締付部28と一体的に設けられた一対の導電部材30は、一対の第1の締付部28及び相手方コネクタ装置40のグラウンドコンタクト部44を通じてグラウンド電位が与えられたもとで、相互近接したものとされて、グラウンドコンタクト部材21の環状嵌合部25における一対の端部25aに挟まれて形成された開口部を部分的に塞ぐ位置に配されるものとされており、それにより、内部に同軸コネクタ装置11におけるシグナルコンタクト部材20の接触接続部32が配された、同軸コネクタ装置11における絶縁ハウジング部材22の筒状部23が、グラウンド電位が与えられた同軸コネクタ装置11におけるグラウンドコンタクト部材21の環状嵌合部25と一対の導電部材30とによって包囲された状態におかれることになる。その結果、同軸コネクタ装置11にあっては、それにおけるシグナルコンタクト部材20を通じる高周波信号のグラウンドコンタクト部材21の環状嵌合部25に設けられた開口部を通じての外部への漏洩を、効果的に軽減することができることになる。」

先願の明細書及び図面の記載から、次の事項が記載されていると認められる。
・段落【0024】及び【図6】の記載から、第1の締付部28は、中心導体13の先端部を囲繞すると認められる。
・段落【0032】及び【図7】の記載から、グラウンドコンタクト部44は、シグナルコンタクト部43を包囲し同軸コネクタ装置11が備えるグラウンドコンタクト部材21の環状嵌合部25に嵌合接続する環状部と、回路基板41の部品等搭載面42に設けられたグラウンド電位部に連結される平板部とからなると認められる。
・【図1】及び【図6】から、導電部材30が、シェル部27を介さずに第1の締付部28とグラウンドコンタクト部44とを接続すると理解でき、また、導電部材30は、シェル部27よりも回路基板41の近くに位置することを看取しうる。

以上の点から、先願の明細書、特許請求の範囲及び図面(以下、「先願明細書等」という。)には次の発明(以下、「引用発明1〜3」という。)が記載されていると認められる。
〔引用発明1〕
「中心導体13および外部導体15を有する同軸ケーブル12が接続される同軸コネクタ装置11と、グラウンド電位部を有する回路基板41に実装される相手方コネクタ装置40とを備える同軸コネクタセットにおいて、
前記同軸コネクタ装置11は、前記外部導体15に接続されるグラウンドコンタクト部材21を有し、前記相手側コネクタ装置40は、前記グラウンドコンタクト部材21に接続されるグラウンドコンタクト部44を有し、
前記グラウンドコンタクト部材21は、前記外部導体15を締め付ける第2の締付部29と、前記グラウンドコンタクト部44に接続される環状嵌合部25と、前記第2の締付部29と前記環状嵌合部25との間に位置して前記中心導体13の先端部を囲繞する第1の締付部28とを備え、
前記グラウンドコンタクト部44は、前記環状嵌合部25に嵌合接続される環状部と、前記回路基板41のグラウンド電位部に連結される平板部とを備え、
前記第1の締付部28と、前記グラウンドコンタクト部44との間には、前記第1の締付部28と前記グラウンドコンタクト部44とを接続する導電部材30が形成されており、
前記導電部材30は、前記第1の締付部28と前記グラウンドコンタクト部44の環状部との間に形成されている、同軸コネクタセットにおけるグランド接続構造。」
〔引用発明2〕
「中心導体13および外部導体15を有する同軸ケーブル12が接続される同軸コネクタ装置11と、グラウンド電位部を有する回路基板41に実装される相手方コネクタ装置40とを備える同軸コネクタセットにおいて、
前記同軸コネクタ装置11は、前記外部導体15に接続されるグラウンドコンタクト部材21を有し、前記相手側コネクタ装置40は、前記グラウンドコンタクト部材21に接続されるグラウンドコンタクト部44を有し、
前記グラウンドコンタクト部材21は、前記外部導体15を締め付ける第2の締付部29と、前記グラウンドコンタクト部44に接続される環状嵌合部25と、前記第2の締付部29と前記環状嵌合部25との間に位置して前記中心導体13の先端部を囲繞する第1の締付部28と、前記環状嵌合部25と前記第1の締付部28とを接続するシェル部27とを備え、
前記グラウンドコンタクト部44は、前記環状嵌合部25に嵌合接続される環状部と、前記回路基板41のグラウンド電位部に連結される平板部とを備え、
前記シェル部27を介さずに、前記第1の締付部28と、前記グラウンドコンタクト部44とを接続する導電部材30が設けられ、
前記導電部材30は、前記シェル部27よりも前記回路基板41の近くに位置する、同軸コネクタセットにおけるグランド接続構造。」
〔引用発明3〕
「中心導体13および外部導体15を有する同軸ケーブル12が接続される同軸コネクタ装置11と、前記同軸コネクタ装置11と嵌合可能な相手方コネクタ装置40とを備える同軸コネクタセットであって、
前記同軸コネクタ装置11は、前記外部導体15を締め付ける第2の締付部29と、環状嵌合部25と、前記第2の締付部29および前記環状嵌合部25の間に位置して前記中心導体13の先端部を囲繞する第1の締付部28と、前記環状嵌合部25と前記第1の締付部28との間をつなぐシェル部27とを含み、
前記相手方コネクタ装置40は、環状部を含み、
前記同軸コネクタ装置11および前記相手方コネクタ装置40の嵌合状態において、
前記環状嵌合部25および前記環状部が互いに嵌合し、
前記第1の締付部28と前記環状部との間をつなぐ導電部材30が形成されている、同軸コネクタセット。」

(2)対比・判断
ア 本件発明1
本件発明1と引用発明1とを対比する。
後者の「中心導体13」、「外部導体15」、「同軸ケーブル12」、「同軸コネクタ装置11」は、前者の「中心導体」、「外部導体」、「同軸ケーブル」、「第1コネクタ」に、それぞれ相当する。
後者の「グラウンド電位部」、「回路基板41」、「相手方コネクタ装置40」は、前者の「グランド接続部」、「回路基板」、「第2コネクタ」に、それぞれ相当する。
後者の「グラウンドコンタクト部材21」、「グラウンドコンタクト部44」は、前者の「第1外部端子」、「第2外部端子」に相当する
後者の外部導体15を「締め付ける第2の締付部29」は、前者の外部導体を「クランプする外部導体クランプ部」に相当し、後者の「環状嵌合部25」、「第1の締付部28」は、前者の「第1外部接触部」、「先端囲繞部」に、それぞれ相当する。
後者の環状嵌合部25に「嵌合接続される環状部」は、前者の第1外部接触部に「接続される第2外部接触部」に相当し、後者の回路基板41のグラウンド電位部に「連結される平板部」は、前者の回路基板のグランド接続部に「実装される第2外部実装部」に相当する。
後者の「前記第1の締付部28と前記グラウンドコンタクト部44とを接続する導電部材30」は、第1の締付部28とグラウンドコンタクト部44との間をショートカットするものであるので、前者の「ショートカット接続路」に相当する。
前者の「前記第2外部端子または前記グランド接続部との間」は選択的な構成であるので、、後者の「前記第1の締付部28と、前記グラウンドコンタクト部44との間には、前記第1の締付部28と前記グラウンドコンタクト部44とを接続する導電部材30が形成されて」いることは、前者の「前記先端囲繞部と、前記第2外部端子または前記グランド接続部との間には、ショートカット接続路が形成されている」ことに相当する。
そうすると、両者の一致点、相違点は次のとおりである。
〔一致点1〕
「中心導体および外部導体を有する同軸ケーブルが接続される第1コネクタと、グランド接続部を有する回路基板に実装される第2コネクタとを備える同軸コネクタセットにおいて、
前記第1コネクタは、前記外部導体に接続される第1外部端子を有し、前記第2コネクタは、前記第1外部端子に接続される第2外部端子を有し、
前記第1外部端子は、前記外部導体をクランプする外部導体クランプ部と、前記第2外部端子に接続される第1外部接触部と、前記外部導体クランプ部と前記第1外部接触部との間に位置して前記中心導体の先端部を囲繞する先端囲繞部とを備え、
前記第2外部端子は、前記第1外部接触部に接続される第2外部接触部と、前記回路基板のグランド接続部に実装される第2外部実装部とを備え、
前記先端囲繞部と、前記第2外部端子または前記グランド接続部との間には、ショートカット接続路が形成されている、同軸コネクタセットにおけるグランド接続構造。」
〔相違点1〕
「ショートカット接続路」に関して、本件発明1は、「先端囲繞部と第2外部実装部との間に形成されている」ものであるのに対して、引用発明1は、「導電部材30」が「第1の締付部28とグラウンドコンタクト部44の環状部との間に形成されている」ものである点。

そして、先願明細書等には、導電部材30を、グラウンドコンタクト部44の環状部との間に形成することに代えて、グラウンドコンタクト部44における回路基板41のグラウンド電位部に連結される平板部(本件発明1の「第2外部実装部」に相当。以下同様に、括弧内は本件発明の相当する発明特定事項を示す。)との間に形成することは記載も示唆もされておらず、相違点1に係る本件発明1の構成は設計上の微差ともいえない。
よって、本件発明1は、先願明細書等に記載された発明と同一であるとはいえない。

イ 本件発明4、5及び10
請求項4、5及び10は請求項1の記載を直接または間接的に引用するものであり、本件発明4、5及び10は、本件発明1の「ショートカット接続路は、先端囲繞部と第2外部実装部との間に形成されている」との構成を備えるものである。
そうすると、上記アで述べたのと同様の理由により、本件発明4、5及び10は、先願明細書等に記載された発明と同一であるとはいえない。

ウ 本件発明6
本件発明6は、本件発明1から「前記ショートカット接続路は、前記先端囲繞部と前記第2外部実装部との間に形成されている」との事項を削除し、「前記先端囲繞部と、前記第2外部実装部または前記グランド接続部との間をつなぐ前記ショートカット接続路として、ブリッジ接続部が配設されている」との事項を追加したものである。
そうすると、本件発明6と引用発明1とを対比すると、上記アで述べた〔一致点1〕で一致し、以下の点で相違する。
〔相違点2〕
本件発明6は、「前記先端囲繞部と、前記第2外部実装部または前記グランド接続部との間をつなぐ前記ショートカット接続路として、ブリッジ接続部が配設されている」ものであるのに対して、引用発明1は、「前記導電部材30は、前記第1の締付部28と前記グラウンドコンタクト部44の環状部との間に形成されている」ものである点。

そして、先願明細書等には、導電部材30(ショートカット接続路)を、グラウンドコンタクト部44の環状部との間に形成することに代えて、グラウンドコンタクト部44における回路基板41のグラウンド電位部に連結される平板部(第2外部実装部)または回路基板41のグラウンド電位部(グランド接続部)との間に形成することは記載も示唆もされておらず、相違点2に係る本件発明6の構成は設計上の微差ともいえない。
よって、本件発明6は、先願明細書等に記載された発明と同一であるとはいえない。

エ 本件発明7
請求項7は請求項6の記載を直接または間接的に引用するものであり、本件発明7は、本件発明6の「先端囲繞部と、第2外部実装部またはグランド接続部との間をつなぐショートカット接続路として、ブリッジ接続部が配設されている」との構成を備えるものである。
そうすると、上記ウで述べたのと同様の理由により、本件発明7は、先願明細書等に記載された発明と同一であるとはいえない。

オ 本件発明8
本件発明8は、本件発明6の「ブリッジ接続部が配設されている」を、「シールド部材が配設されている」に変更したものである。
そうすると、本件発明8と引用発明1とを対比すると、上記アで述べた〔一致点1〕で一致し、以下の点で相違する。
〔相違点3〕
本件発明8は、「前記先端囲繞部と、前記第2外部実装部または前記グランド接続部との間をつなぐ前記ショートカット接続路として、シールド部材が配設されている」ものであるのに対して、引用発明1は、「前記導電部材30は、前記第1の締付部28と前記グラウンドコンタクト部44の環状部との間に形成されている」ものである点。

そして、先願明細書等には、導電部材30(ショートカット接続路)を、グラウンドコンタクト部44の環状部との間に形成することに代えて、グラウンドコンタクト部44における回路基板41のグラウンド電位部に連結される平板部(第2外部実装部)または回路基板41のグラウンド電位部(グランド接続部)との間に形成することは記載も示唆もされておらず、相違点3に係る本件発明8の構成は設計上の微差ともいえない。
よって、本件発明8は、先願明細書等に記載された発明と同一であるとはいえない。

カ 本件発明9
請求項9は請求項8の記載を直接または間接的に引用するものであり、本件発明9は、本件発明8の「先端囲繞部と、第2外部実装部またはグランド接続部との間をつなぐショートカット接続路として、シールド部材が配設されている」との構成を備えるものである。
そうすると、上記オで述べたのと同様の理由により、本件発明9は、先願明細書等に記載された発明と同一であるとはいえない。

キ 本件発明11
本件発明11は、本件発明1に「前記第1外部接触部と前記先端囲繞部とを接続する外部導体接続部」を追加し、「前記先端囲繞部と、前記第2外部端子または前記グランド接続部との間には、ショートカット接続路が形成されており、前記ショートカット接続路は、前記先端囲繞部と前記第2外部実装部との間に形成されている」ことに代えて「前記外部導体接続部を介さずに、前記先端囲繞部と、前記第2外部端子または前記グランド接続部とを接続する接続部が設けられ」とし、「前記接続部は、前記外部導体接続部よりも前記回路基板の近くに位置」することを追加し、「前記接続部の表面にニッケルおよび金のメッキが施されている」ことを追加したものである。
これに対して、引用発明2は、引用発明1に「前記環状嵌合部25と前記第1の締付部28とを接続するシェル部27」を追加し、「導電部材30」に関し「前記シェル部27を介さずに」、前記第1の締付部28と、前記グラウンドコンタクト部44とを接続することが特定され、「前記導電部材30は、前記シェル部27よりも前記回路基板41の近くに位置する」ことを追加したものである。
本件発明11と引用発明2とを対比する。
本件発明11と本件発明1との重複する構成と、引用発明2と引用発明1との重複する構成との対比は、上記アで説示したとおりである。
後者の「前記環状嵌合部25と前記第1の締付部28とを接続するシェル部27」は、前者の「前記第1外部接触部と前記先端囲繞部とを接続する外部導体接続部」に相当し、後者の「前記シェル部27を介さずに、前記第1の締付部28と、前記グラウンドコンタクト部44とを接続する導電部材30が設けられ」ることは、前者の「前記外部導体接続部を介さずに、前記先端囲繞部と、前記第2外部端子または前記グランド接続部とを接続する接続部が設けられ」ることに相当し、後者の「前記導電部材30は、前記シェル部27よりも前記回路基板41の近くに位置する」ことは、前者の「前記接続部は、前記外部導体接続部よりも前記回路基板の近くに位置する」ことに相当する。
そうすると、両者の一致点、相違点は次のとおりである。
〔一致点2〕
「中心導体および外部導体を有する同軸ケーブルが接続される第1コネクタと、グランド接続部を有する回路基板に実装される第2コネクタとを備える同軸コネクタセットにおいて、
前記第1コネクタは、前記外部導体に接続される第1外部端子を有し、前記第2コネクタは、前記第1外部端子に接続される第2外部端子を有し、
前記第1外部端子は、前記外部導体をクランプする外部導体クランプ部と、前記第2外部端子に接続される第1外部接触部と、前記外部導体クランプ部と前記第1外部接触部との間に位置して前記中心導体の先端部を囲繞する先端囲繞部と、前記第1外部接触部と前記先端囲繞部とを接続する外部導体接続部とを備え、
前記第2外部端子は、前記第1外部接触部に接続される第2外部接触部と、前記回路基板のグランド接続部に実装される第2外部実装部とを備え、
前記外部導体接続部を介さずに、前記先端囲繞部と、前記第2外部端子または前記グランド接続部とを接続する接続部が設けられ、
前記接続部は、前記外部導体接続部よりも前記回路基板の近くに位置する、同軸コネクタセットにおけるグランド接続構造。
〔相違点4〕
本件発明11は、「接続部の表面にニッケルおよび金のメッキが施されている」ものであるのに対して、引用発明2の「導電部材30」は、そのようなメッキが施されているとは特定されていない点。

しかしながら、端子にニッケルおよび金のメッキを施すことは周知慣用の技術的事項であり、相違点4に係る本件発明11の構成は、単に周知慣用の技術的事項を付加したものにすぎず、新たな作用効果を奏するものではなく、課題解決のための具体化手段における微差にすぎないといえる。
よって、本件発明11は、先願明細書等に記載された発明と実質的に同一である。

ク 本件発明12
先願明細書等の段落【0033】の「第1の締付部28にそれと一体に設けられた導電部材30が、相手方コネクタ装置40のグラウンドコンタクト部44に接触接続される。」との記載、及び【図9】の記載からみて、先願明細書等には引用発明2の「前記第1の締付部28と、前記グラウンドコンタクト部44とを接続する導電部材30」が「第1の締付部28とグラウンドコンタクト部44の環状部との間に」設けられていると特定された発明(以下、「引用発明2a」という。)が記載されていると認められる。
本件発明12と引用発明2aとを対比すると、上記キで述べた相当関係に加えて、後者の「第1の締付部28とグラウンドコンタクト部44の環状部との間に形成された」ことは、前者の「前記接続部は、前記先端囲繞部と前記第2外部接触部との間に形成されている」ことに相当するので、両者は上記相違点4で一応相違し、その余の点で一致する。
そして、相違点4については、上記キで判断したとおりである。
よって、本件発明12は、先願明細書等に記載された発明と実質的に同一である。

ケ 本件発明13
本件発明13と引用発明2aとを対比すると、両者は上記相違点4で一応相違するとともに以下の点で相違し、その余の点で一致する。
〔相違点5〕
本件発明13は、「前記接続部の前記第2外部接触部の側の端部は、前記第2外部接触部の外形に沿った形状を有する」ものであるのに対して、引用発明2aの「導電部材30」は、その先端でグラウンドコンタクト部44の環状部と接するものであるが、環状部の外形に沿った形状ではない点。

そして、先願明細書等には、導電部材30の先端を環状部の外形に沿った形状とすることは、記載も示唆もされていない。
また、相違点5に係る本件発明13の構成について、本件特許の明細書には、
「【0084】
・・・これにより、ブリッジ接続部16sの他端部が、第2外部接触部26bに対して確実に電気的に接続される。・・・」
と記載されている。
そうすると、本件発明13特定される構成は、第2外部接触部と接続部とが確実に電気的に接続されるとの作用効果を奏するものと認められ、問題解決のための具体化手段における微差ということはできない。
よって、本件発明13は、先願明細書等に記載された発明と同一であるとはいえない。

コ 本件発明14
請求項14は請求項13の記載を引用するものであり、本件発明14は、本件発明13の「前記接続部の前記第2外部接触部の側の端部は、前記第2外部接触部の外形に沿った形状を有する」との構成を備えるものである。
そうすると、上記ケで述べたのと同様の理由により、本件発明14は、先願明細書等に記載された発明と同一であるとはいえない。

サ 本件発明15
先願明細書等の段落【0033】の「・・・導電部材30が、相手方コネクタ装置40のグラウンドコンタクト部44に接触接続される。」との記載及び【図9】の記載からみて、先願明細書等には引用発明2の「導電部材30」が「端部は折り曲げられて、グラウンドコンタクト部44の環状部に弾性的に接触する」と特定された発明(以下、「引用発明2b」という。)が記載されていると認められる。
本件発明15と引用発明2bとを対比すると、上記キで述べた相当関係に加えて、後者の「導電部材30」が「端部は折り曲げられて、グラウンドコンタクト部44の環状部に弾性的に接触する」ことは、前者の「前記接続部の前記第2外部接触部の側の端部が前記第2外部接触部に弾性的に接触するように、前記接続部の前記先端囲繞部の側には、折れ曲がり部が設けられている」ことに相当するので、両者は上記相違点4で一応相違し、その余の点で一致する。
そして、相違点4については、上記キで判断したとおりである。
よって、本件発明15は、先願明細書等に記載された発明と実質的に同一である。

シ 本件発明16
本件発明16と引用発明2とを対比すると、両者は上記キで述べた一致点で一致し、上記相違点4で一応相違するとともに、以下の相違点を有する。
〔相違点6〕
本件発明16は、「前記接続部は、前記先端囲繞部と前記第2外部実装部との間に形成されている」のに対し、引用発明2は、そのような構成を備えていない点。

そして、先願明細書等には、導電部材30(接続部)を、第1の締付部28(先端囲繞部)とグラウンドコンタクト部44における回路基板41のグラウンド電位部に連結される平板部(第2外部実装部)との間に形成することは記載も示唆もされておらず、相違点6に係る本件発明16の構成は設計上の微差ともいえない。
よって、本件発明16は、先願明細書等に記載された発明と同一であるとはいえない。

ス 本件発明17
本件発明17と引用発明2とを対比すると、両者は上記キで述べた一致点で一致し、上記相違点4で一応相違するとともに、以下の相違点を有する。
〔相違点7〕
本件発明17は、「前記先端囲繞部と前記グランド接続部との間をつなぐ前記接続部として、介在部材が配設されている」のに対して、引用発明2は、そのような構成を備えていない点。

そして、先願明細書等には、導電部材30(接続部)を、第1の締付部28(先端囲繞部)と回路基板41のグラウンド電位部(グランド接続部)との間に形成することは、記載も示唆もされておらず、相違点7に係る本件発明17の構成は設計上の微差ともいえない。
よって、本件発明17は、先願明細書等に記載された発明と同一であるとはいえない。

セ 本件発明18
請求項18は請求項17の記載を引用するものであり、本件発明18は本件発明17の構成を備えるものであるので、上記スで述べたのと同様の理由により、本件発明18は、先願明細書等に記載された発明と同一であるとはいえない。

ソ 本件発明19
本件発明19と引用発明2とを対比すると、両者は上記キで述べた一致点で一致し、上記相違点4で一応相違するとともに、以下の相違点を有する。
〔相違点8〕
本件発明19は、「前記先端囲繞部と、前記第2外部実装部または前記グランド接続部との間をつなぐ前記接続部として、ブリッジ接続部が配設されている」のに対し、引用発明2は、そのような構成を備えていない点。

そして、先願明細書等には、導電部材30(接続部)を、第1の締付部28(先端囲繞部)とグラウンドコンタクト部44における回路基板41のグラウンド電位部に連結される平板部(第2外部実装部)または回路基板41のグラウンド電位部(グランド接続部)との間に形成することは記載も示唆もされておらず、相違点8に係る本件発明19の構成は設計上の微差ともいえない。
よって、本件発明19は、先願明細書等に記載された発明と同一であるとはいえない。

タ 本件発明20
請求項20は請求項19の記載を引用するものであり、本件発明20は本件発明19の構成を備えるものであるので、上記ソと同様の理由により、本件発明20は、先願明細書等に記載された発明と同一であるとはいえない。

チ 本件発明21
先願明細書等の【図1】等から、引用発明2の「同軸コネクタ装置11」が「L型同軸コネクタ」である発明(以下、「引用発明2c」という。)が記載されていると認められる。
本件発明21と引用発明2cとを対比すると、上記キで述べた相当関係に加えて、後者の「同軸コネクタ装置11がL型同軸コネクタ」であることは、前者の「前記第1コネクタが、L型同軸コネクタである」ことに相当するので、両者は上記相違点4で一応相違し、その余の点で一致する。
そして、相違点4については、上記キで判断したとおりである。
よって、本件発明21は、先願明細書等に記載された発明と実質的に同一である。

ツ 本件発明22
本件発明22と引用発明3とを対比すると、上記ア及びキの対比結果を踏まえれば、両者の一致点、相違点は以下のとおりである。
〔一致点3〕
「中心導体および外部導体を有する同軸ケーブルが接続される第1コネクタと、前記第1コネクタと嵌合可能な第2コネクタとを備える同軸コネクタセットであって、
前記第1コネクタは、前記外部導体をクランプする外部導体クランプ部と、第1外部接触部と、前記外部導体クランプ部および前記第1外部接触部の間に位置して前記中心導体の先端部を囲繞する先端囲繞部と、前記第1外部接触部と前記先端囲繞部との間をつなぐ外部導体接続部とを含み、
前記第2コネクタは、第2外部接触部を含み、
前記第1コネクタおよび前記第2コネクタの嵌合状態において、
前記第1外部接触部および前記第2外部接触部が互いに嵌合し、
前記先端囲繞部と前記第2外部接触部との間をつなぐ接続部が形成されている、同軸コネクタセット。」
〔相違点9〕
本件発明22は、「前記第2外部接触部は挿抜方向から見て円形状を有し、前記接続部の前記第2外部接触部の側の端部は、挿抜方向から見て円弧形状を有する」ものであるのに対して、引用発明3は、そのような構成を備えていない点。

そして、上記ケで述べたと同様に、先願明細書等には、導電部材30の先端をグラウンドコンタクト部44の環状部の外形に沿った形状とすることは、記載も示唆もされておらず、また、当該形状について本件特許の明細書段落【0084】に示されている作用効果からみて、相違点5に係る本件発明22の構成は、問題解決のための具体化手段における微差ということはできない。
よって、本件発明22は、先願明細書等に記載された発明と同一であるとはいえない。

(3)小括
以上のとおりであるので、本件特許の請求項11、12、15及び21に係る発明は、本件特許出願の日前の特許出願であって、本件特許出願後に国際公開がされた上記の特許出願の願書に最初に添付した明細書、請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、本件特許出願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、また本件特許出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないから、上記の請求項に係る特許は、特許法第29条の2の規定に違反してされたものである(同法第184条の13参照)。

6 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
(1)異議申立人の主張
異議申立人は、特許異議申立書において、訂正前の特許請求の範囲に関し、概略、次の主張をしている。
明確性要件について
(ア)請求項1の「ショートカット接続路」の具体的な態様が明らかでなく、ショートカット接続路と他の部材との接続態様が明示されておらず、どのような短さで、先端囲繞部と、第2外部端子またはグランド接続部とを接続しているのか不明である(特許異議申立書79頁10行〜80頁22行)。
(イ)請求項9の「間隙」が「第1外部接触部と先端囲繞部との間」のどこに、どのような態様で形成されているのか把握できないため、「間隙」を覆うとされる「シールド部」の構成も不明確である(特許異議申立書80頁23行〜81頁5行)。
イ サポート要件について
請求項1の「ショートカット接続路」は、「先端囲繞部と、第2外部端子またはグランド接続部との間」に形成されるものであるが、何に対してどの程度短いのかが把握できず、高周波が第1外部接触部16b→外部導体接続部16a→先端囲繞部16mの順で迂回接続路を流れるよりも長い経路でショートカット接続路が先端囲繞部と、第2外部端子またはグランド接続部とを接続する態様をも含んでいるものと認められ、発明の課題を解決するための手段が反映されていないため、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えて特許を請求している。
請求項11の「外部導体接続部を介さずに、先端囲繞部と、第2外部端子またはグランド接続部とを接続する接続部」、請求項22の「前記第1コネクタおよび前記第2コネクタの嵌合状態において、・・・前記先端囲繞部と前記第2外部接触部との間をつなぐ接続部」についても、請求項1と同様に、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えて特許を請求している(特許異議申立書81頁7行〜84頁21行)。

(2)当審の判断
明確性要件について
本件発明1の「ショートカット接続路」が、「先端囲繞部と」、第2外部端子の「第2外部実装部との間に形成されている」ことは明確に理解でき、ショートカット接続路と他の部材との接続態様が明示されていないことや、その長さが具体的でないことを以て、発明が不明確とまでいうことはできない。
また、本件発明9の「間隙」が、「第1外部接触部と先端囲繞部との間に形成される」ものであることは明確に把握でき、その形成箇所が具体的でないことを以て、発明が不明確とまでいうことはできない。
イ サポート要件について
本件特許の願書に添付した明細書には、「同軸ケーブルが接続される第1コネクタと第2コネクタとの接続構造においては、不要な電位差が生じることにより、ノイズが放射伝搬しやすくなり、高周波帯域における安定した信号伝送が妨げられる」(段落【0006】)ため、「高周波帯域において安定した信号伝送を可能にする、同軸コネクタセットにおけるグランド接続構造を提供すること」(段落【0007】)を発明が解決しようとする課題とし、その課題を解決する手段として、「ショートカット接続路により、第1外部端子の先端囲繞部と、第2外部端子または回路基板のグランド接続部とが、短い距離で結ばれる」(段落【0010】)こと、または、「接続部により、第1外部端子の先端囲繞部と、第2外部端子または回路基板のグランド接続部とが、短い距離で結ばれる」(段落【0011】)ことが記載されている。
そして、明細書には具体的な課題解決手段として、「同軸コネクタセット30におけるグランド接続構造は、先端囲繞部16mと、第2外部接触部26bまたは第2外部実装部26aとの間をつなぐショートカット接続路として、ブリッジ接続部16sが配設されている」(段落【0059】)、「ブリッジ接続部16sにおける第1外部接触部16bの側の先端部は、第2外部実装部26aの側の下面において、接触部16tを有して、第2外部実装部26aにおける同軸ケーブル40の側の上面に弾性的に接触する態様とすることもできる。これにより、先端囲繞部16mと第2外部実装部26aとの間で、安定した電気的接続が得られる。」(段落【0068】)と記載されている。
上記の本件特許の明細書の記載から、本件発明1の課題解決手段は、ショートカット接続路であるブリッジ接続路16sが先端囲繞部16mと第2外部実装部26aとを電気的に接続することと理解でき、そうすると、本件発明1の「前記先端囲繞部と、前記第2外部端子または前記グランド接続部との間には、ショートカット接続路が形成されており、前記ショートカット接続路は、前記先端囲繞部と前記第2外部実装部との間に形成されている」ことは、明細書に記載されている事項であり、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えているとはいえない。
同様に、本件発明11の「外部導体接続部を介さずに、先端囲繞部と、第2外部端子またはグランド接続部とを接続する接続部」、本件発明22の「第1コネクタおよび第2コネクタの嵌合状態において、・・・先端囲繞部と第2外部接触部との間をつなぐ接続部」についても、明細書に記載されている事項であり、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えているとはいえない。

7 むすび
以上のとおり、本件発明11、12、15及び21は、本件特許出願の日前の特許出願であって、本件特許出願後に国際公開がされた上記の特許出願の願書に最初に添付した明細書、請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、本件特許出願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、また本件特許出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないから、上記の請求項に係る特許は、特許法第29条の2の規定に違反してされたものである(同法第184条の13参照)。
したがって、本件発明11、12、15及び21に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
また、本件発明1、4〜10、13、14、16〜20、22に係る特許は、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては取り消すことはできない。さらに、他に本件発明1、4〜10、13、14、16〜20、22に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
また、請求項2、3に係る特許は、訂正により削除されたため、異議申立人による本件特許の請求項2、3に対する特許異議の申立てについては、申立ての対象が存在しないものとなるので、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。

 
別掲 (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この決定に対する訴えは、この決定の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心導体および外部導体を有する同軸ケーブルが接続される第1コネクタと、グランド接続部を有する回路基板に実装される第2コネクタとを備える同軸コネクタセットにおいて、
前記第1コネクタは、前記外部導体に接続される第1外部端子を有し、前記第2コネクタは、前記第1外部端子に接続される第2外部端子を有し、
前記第1外部端子は、前記外部導体をクランプする外部導体クランプ部と、前記第2外部端子に接続される第1外部接触部と、前記外部導体クランプ部と前記第1外部接触部との間に位置して前記中心導体の先端部を囲繞する先端囲繞部とを備え、
前記第2外部端子は、前記第1外部接触部に接続される第2外部接触部と、前記回路基板のグランド接続部に実装される第2外部実装部とを備え、
前記先端囲繞部と、前記第2外部端子または前記グランド接続部との間には、ショートカット接続路が形成されており、
前記ショートカット接続路は、前記先端囲繞部と前記第2外部実装部との間に形成されている、同軸コネクタセットにおけるグランド接続構造。
【請求項2】(削除)
【請求項3】(削除)
【請求項4】
前記先端囲繞部と前記グランド接続部との間をつなぐ前記ショートカット接続路として介在都材が配設されている、請求項1に記載の、同軸コネクタセットにおけるグランド接続構造。
【請求項5】
前記先端囲繞部と前記介在部材との間は、弾性的に接触するように構成されている、請求項4に記載の、同軸コネクタセットにおけるグランド接続構造。
【請求項6】
中心導体および外部導体を有する同軸ケーブルが接続される第1コネクタと、グランド接続部を有する回路基板に実装される第2コネクタとを備える同軸コネクタセットにおいて、
前記第1コネクタは、前記外部導体に接続される第1外部端子を有し、前記第2コネク夕は、前記第1外部端子に接続される第2外部端子を有し、
前記第1外部端子は、前記外部導体をクランプする外部導体クランプ都と、前記第2外部端子に接続される第1外部接触部と、前記外部導体クランプ部と前記第1外部接触部との間に位置して前記中心導体の先端部を囲繞する先端囲繞部とを備え、
前記第2外部端子は、前記第1外部接触部に接続される第2外部接触部と、前記回路基板のグランド接続部に実装される第2外部実装部とを備え、
前記先端囲繞部と、前記第2外部端子または前記グランド接続部との間には、ショートカット接続路が形成されており、
前記先端囲繞部と、前記第2外部実装部または前記グランド接続部との間をつなぐ前記ショートカット接続路として、ブリッジ接続部が配設されている、同軸コネクタセットにおけるグランド接続構造。
【請求項7】
前記先端囲繞部と前記ブリッジ接続都との間、または、前記第2外部実装部または前記グランド接続部と前記ブリッジ接続部との間は、弾性的に接触するように構成されている、請求項6に記載の、同軸コネクタセットにおけるグランド接続構造。
【請求項8】
中心導体および外部導体を有する同軸ケーブルが接続される第1コネクタと、グランド接続部を有する回路基板に実装される第2コネクタとを備える同軸コネクタセットにおいて、
前記第1コネクタは、前記外部導体に接続される第1外部端子を有し、前記第2コネク夕は、前記第1外部端子に接続される第2外部端子を有し、
前記第1外部端子は、前記外部導体をクランプする外部導体クランプ部と、前記第2外部端子に接続される第1外部接触部と、前記外部導体クランプ部と前記第1外部接触部との間に位置して前記中心導体の先端部を囲繞する先端囲繞部とを備え、
前記第2外部端子は、前記第1外部接触部に接続される第2外部接触部と、前記回路基板のグランド接続部に実装される第2外部実装部とを備え、
前記先端囲繞部と、前記第2外部端子または前記グランド接続部との間には、ショートカット接続路が形成されており、
前記先端囲繞部と、前記第2外部実装部または前記グランド接続部との間をつなぐ前記シヨートカット接続路として、シールド部材が配設されている、同軸コネクタセットにおけるグランド接続構造。
【請求項9】
前記シールド部材が、前記第1外部接触部と前記先端囲繞部との間に形成される間隙を覆うシールド部を有する、請求項8に記載の、同軸コネクタセットにおけるグランド接続構造。
【請求項10】
前記第1コネクタが、L型同軸コネクタである、請求項1、請求項4から請求項9のいずれか1項に記載の、同軸コネクタセットにおけるグランド接続構造。
【請求項11】
中心導体および外部導体を有する同軸ケーブルが接続される第1コネクタと、グランド接続部を有する回路基板に実装される第2コネクタとを備える同軸コネクタセットにおいて、
前記第1コネクタは、前記外部導体に接続される第1外部端子を有し、前記第2コネクタは、前記第1外部端子に接続される第2外部端子を有し、
前記第1外部端子は、前記外部導体をクランプする外部導体クランプ部と、前記第2外部端子に接続される第1外部接触部と、前記外部導体クランプ部と前記第1外部接触部との間に位置して前記中心導体の先端部を囲繞する先端囲繞部と、前記第1外部接触部と前記先端囲繞部とを接続する外部導体接続部とを備え、
前記第2外部端子は、前記第1外部接触部に接続される第2外部接触部と、前記回路基板のグランド接続部に実装される第2外部実装部とを備え、
前記外部導体接続部を介さずに、前記先端囲繞部と、前記第2外部端子または前記グランド接続部とを接続する接続部が設けられ、
前記接続部は、前記外部導体接続部よりも前記回路基板の近くに位置し、
前記接続部の表面にニッケルおよび金のメッキが施されている、同軸コネクタセットにおけるグランド接続構造。
【請求項12】
前記接続部は、前記先端囲繞部と前記第2外部接触部との間に形成されている、請求項11に記載の、同軸コネクタセットにおけるグランド接続構造。
【請求項13】
前記接続部の前記第2外部接触部の側の端部は、前記第2外部接触部の外形に沿った形状を有する、請求項12に記載の、同軸コネクタセットにおけるグランド接続構造。
【請求項14】
前記第2外部接触部は挿抜方向から見て円形状を有し、前記接続部の前記第2外部接触部の側の前記端部は、挿抜方向から見て円弧形状を有する、請求項13に記載の、同軸コネクタセットにおけるグランド接続構造。
【請求項15】
前記接続部の前記第2外部接触部の側の端部が前記第2外部接触部に弾性的に接触するように、前記接続部の前記先端囲繞部の側には、折れ曲がり部が設けられている、請求項11から請求項14のいずれか1項に記載の、同軸コネクタセットにおけるグランド接続構造。
【請求項16】
前記接続部は、前記先端囲繞部と前記第2外部実装部との間に形成されている、請求項11に記載の、同軸コネクタセットにおけるグランド接続構造。
【請求項17】
前記先端囲繞部と前記グランド接続部との間をつなぐ前記接続部として、介在部材が配設されている、請求項11から請求項16のいずれか1項に記載の、同軸コネクタセットにおけるグランド接続構造。
【請求項18】
前記先端囲繞部と前記介在部材との間は、弾性的に接触するように構成されている、請求項17に記載の、同軸コネクタセットにおけるグランド接続構造。
【請求項19】
前記先端囲繞部と、前記第2外部実装部または前記グランド接続部との間をつなぐ前記接続部として、ブリッジ接続部が配設されている、請求項11に記載の、同軸コネクタセットにおけるグランド接続構造。
【請求項20】
前記先端囲繞部と前記ブリッジ接続部との間、または、前記第2外部実装部または前記グランド接続部と前記ブリッジ接続部との間は、弾性的に接触するように構成されている請求項19に記載の、同軸コネクタセットにおけるグランド接続構造。
【請求項21】
前記第1コネクタが、L型同軸コネクタである、請求項11から請求項20のいずれか1項に記載の、同軸コネクタセットにおけるグランド接続構造。
【請求項22】
中心導体および外部導体を有する同軸ケーブルが接続される第1コネクタと、前記第1コネクタと嵌合可能な第2コネクタとを備える同軸コネクタセットであって、
前記第1コネクタは、前記外部導体をクランプする外部導体クランプ部と、第1外部接触部と、前記外部導体クランプ部および前記第1外部接触部の間に位置して前記中心導体の先端部を囲繞する先端囲繞部と、前記第1外部接触部と前記先端囲繞部との間をつなぐ外部導体接続部とを含み、
前記第2コネクタは、第2外部接触部を含み、
前記第1コネクタおよび前記第2コネクタの嵌合状態において、
前記第1外部接触部および前記第2外部接触部が互いに嵌合し、
前記先端囲繞部と前記第2外部接触部との間をつなぐ接続部が形成されており、
前記第2外部接触部は挿抜方向から見て円形状を有し、前記接続部の前記第2外部接触部の側の端部は、挿抜方向から見て円弧形状を有する、同軸コネクタセット。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2022-09-02 
出願番号 P2020-557366
審決分類 P 1 651・ 537- ZDA (H01R)
P 1 651・ 16- ZDA (H01R)
最終処分 08   一部取消
特許庁審判長 平瀬 知明
特許庁審判官 平田 信勝
尾崎 和寛
登録日 2021-03-01 
登録番号 6844760
権利者 株式会社村田製作所
発明の名称 同軸コネクタセットにおけるグランド接続構造  
代理人 岡部 博史  
代理人 山田 裕三  
代理人 山田 裕三  
代理人 岡部 博史  
代理人 山尾 憲人  
代理人 山尾 憲人  

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