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審決分類 審判 一部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  E06B
審判 一部申し立て 2項進歩性  E06B
審判 一部申し立て 4号2号請求項の限定的減縮  E06B
管理番号 1392026
総通号数 12 
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2022-12-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-11-18 
確定日 2022-09-20 
異議申立件数
訂正明細書 true 
事件の表示 特許第6872876号発明「建具」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6872876号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、2〕、〔3−8〕、9、10について訂正することを認める。 特許第6872876号の請求項1ないし2、9、10に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6872876号の請求項1〜10に係る特許についての出願は、平成28年10月6日に出願され、令和3年4月22日にその特許権の設定登録がされ、同年5月19日に特許掲載公報が発行された。その後、その請求項1、2、9、10に係る特許について、同年11月18日に特許異議申立人 坂内 知英(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、当審は、令和4年3月18日付けで取消理由を通知した。特許権者は、その指定期間内である同年5月27日に意見書の提出及び訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)をしたので、当審は、申立人に対し、同年6月13日付けでこの意見書及び本件訂正請求に対して意見を述べる機会を与えが、その指定期間内に申立人からは何らの応答もなかった。

第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
本件訂正請求による訂正の内容は、以下のとおりである(下線は、訂正箇所を示す。)。
(1)訂正事項
ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に、
「上框、下框、戸先框及び召合せ框を有する框体で面材を保持した障子を開口枠で少なくとも1つ以上スライド可能に支持した建具であって、前記召合せ框には、内部に補強材が挿入された第1中空部が設けられ、前記戸先框には、第2中空部が設けられ、前記第1中空部を形成する壁部にはタイト材または熱膨張性部材を設けるポケット状凹部が形成され、前記第2中空部を形成する壁部のうち、少なくとも室外側見付け面を形成する室外側壁部の板厚が、前記第1中空部を形成する壁部のうち前記ポケット状凹部を形成する壁部を除く部分の板厚よりも厚いことを特徴とする建具。」
と記載されているのを、
「上框、下框、戸先框及び召合せ框を有する框体で面材を保持した障子を開口枠で少なくとも1つ以上スライド可能に支持した建具であって、前記召合せ框には、内部に補強材が挿入された第1中空部が設けられ、前記戸先框には、第2中空部が設けられ、前記第1中空部を形成する壁部にはタイト材または熱膨張性部材を設けるポケット状凹部が形成され、前記第2中空部を形成する壁部のうち、少なくとも室外側見付け面を形成する室外側壁部の板厚が、前記第1中空部を形成する壁部のうち前記ポケット状凹部を形成する壁部を除く部分の板厚よりも厚く、前記召合せ框の室外側見付け面を形成する第1中空部室外側壁部の室内側面に熱膨張性部材が設けられるとともに、前記補強材のうち前記第1中空部室外側壁部と対面する板部の室内側面に熱膨張性部材が設けられていることを特徴とする建具。」
に訂正する。(請求項1の記載を引用する請求項2も同様に訂正する。)

イ 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項3に、
「請求項1又は2記載の建具において、前記戸先框の第2中空部には、補強材が挿入されていないことを特徴とする建具。」
とあるうち、請求項1を引用するものについて、独立形式に改め、
「上框、下框、戸先框及び召合せ框を有する框体で面材を保持した障子を開口枠で少なくとも1つ以上スライド可能に支持した建具であって、前記召合せ框には、内部に補強材が挿入された第1中空部が設けられ、前記戸先框には、第2中空部が設けられ、前記第1中空部を形成する壁部にはタイト材または熱膨張性部材を設けるポケット状凹部が形成され、前記第2中空部を形成する壁部のうち、少なくとも室外側見付け面を形成する室外側壁部の板厚が、前記第1中空部を形成する壁部のうち前記ポケット状凹部を形成する壁部を除く部分の板厚よりも厚く、前記戸先框の第2中空部には、補強材が挿入されていないことを特徴とする建具。」
に訂正する。(請求項3の記載を直接又は間接的に引用する請求項4〜8も同様に訂正する。)

ウ 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項4に「請求項1〜3のいずれか1項に記載の建具において、」と記載されているのを、「請求項3記載の建具において、」に訂正する。(請求項4の記載を引用する請求項5〜8も同様に訂正する。)

エ 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項6に「請求項1〜5のいずれか1項に記載の建具において、」と記載されているのを、「請求項3〜5のいずれか1項に記載の建具において、」に訂正する。(請求項6の記載を引用する請求項7,8も同様に訂正する。)

オ 訂正事項5
特許請求の範囲の請求項7に「請求項1〜6のいずれか1項に記載の建具において、」と記載されているのを、「請求項3〜6のいずれか1項に記載の建具において、」に訂正する。(請求項7の記載を引用する請求項8も同様に訂正する。)

カ 訂正事項6
特許請求の範囲の請求項9に、
「上框、下框、戸先框及び召合せ框を有する框体で面材を保持した障子を開口枠で少なくとも1つ以上スライド可能に支持した建具であって、前記召合せ框には、内部に補強材が挿入された第1中空部が設けられ、前記上框には、第3中空部が設けられ、前記第1中空部を形成する壁部にはタイト材または熱膨張性部材を設けるポケット状凹部が形成され、前記第3中空部を形成する壁部のうち、少なくとも室外側見付け面を形成する室外側壁部の板厚が、前記第1中空部を形成する壁部のうち前記ポケット状凹部を形成する壁部を除く部分の板厚よりも厚いことを特徴とする建具。」
と記載されているのを、
「上框、下框、戸先框及び召合せ框を有する框体で面材を保持した障子を開口枠で少なくとも1つ以上スライド可能に支持した建具であって、前記召合せ框には、内部に補強材が挿入された第1中空部が設けられ、前記上框には、第3中空部が設けられ、前記第1中空部を形成する壁部にはタイト材または熱膨張性部材を設けるポケット状凹部が形成され、前記第3中空部を形成する壁部のうち、少なくとも室外側見付け面を形成する室外側壁部の板厚が、前記第1中空部を形成する壁部のうち前記ポケット状凹部を形成する壁部を除く部分の板厚よりも厚く、前記召合せ框の室外側見付け面を形成する第1中空部室外側壁部の室内側面に熱膨張性部材が設けられるとともに、前記補強材のうち前記第1中空部室外側壁部と対面する板部の室内側面に熱膨張性部材が設けられていることを特徴とする建具。」
に訂正する。

キ 訂正事項7
特許請求の範囲の請求項10に、
「上框、下框、戸先框及び召合せ框を有する框体で面材を保持した障子を開口枠で少なくとも1つ以上スライド可能に支持した建具であって、前記召合せ框には、内部に補強材が挿入された第1中空部が設けられ、前記下框には、第4中空部が設けられ、前記第1中空部を形成する壁部にはタイト材または熱膨張性部材を設けるポケット状凹部が形成され、前記第4中空部を形成する壁部のうち、少なくとも室外側見付け面を形成する室外側壁部の板厚が、前記第1中空部を形成する壁部のうち前記ポケット状凹部を形成する壁部を除く部分の板厚よりも厚いことを特徴とする建具。」
と記載されているのを、
「上框、下框、戸先框及び召合せ框を有する框体で面材を保持した障子を開口枠で少なくとも1つ以上スライド可能に支持した建具であって、前記召合せ框には、内部に補強材が挿入された第1中空部が設けられ、前記下框には、第4中空部が設けられ、前記第1中空部を形成する壁部にはタイト材または熱膨張性部材を設けるポケット状凹部が形成され、前記第4中空部を形成する壁部のうち、少なくとも室外側見付け面を形成する室外側壁部の板厚が、前記第1中空部を形成する壁部のうち前記ポケット状凹部を形成する壁部を除く部分の板厚よりも厚く、前記召合せ框の室外側見付け面を形成する第1中空部室外側壁部の室内側面に熱膨張性部材が設けられるとともに、前記補強材のうち前記第1中空部室外側壁部と対面する板部の室内側面に熱膨張性部材が設けられていることを特徴とする建具。」
に訂正する。

2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否

(1)訂正事項1について
ア 訂正の目的
訂正事項1に係る訂正は、訂正前の請求項1に記載の「召合せ框」に設けられた「内部に補強材が挿入された第1中空部」について、「前記召合せ框の室外側見付け面を形成する第1中空部室外側壁部の室内側面に熱膨張性部材が設けられるとともに、前記補強材のうち前記第1中空部室外側壁部と対面する板部の室内側面に熱膨張性部材が設けられている」ことを限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
上記アのとおり、訂正事項1に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
ウ 新規事項追加の有無
訂正事項1で追加された特定事項について、願書に添付した明細書(以下「本件明細書」といい、特許請求の範囲及び図面と併せて「本件明細書等」という。)の段落【0054】には、「図4(B)に示すように、障子14の召合せ框36dは、室内側見付け面に所定長さの熱膨張性部材25が設けられている。中空部66に挿入された補強材68は、コ字状の底部の室内側面に所定長さの熱膨張性部材25が設けられている。」との記載があり、この記載と図4(B)の図示を踏まえると、訂正事項1で追加された特定事項は、本件明細書等に記載されているといえる。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
エ 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
訂正事項1に係る訂正は、特許異議申立てがされている訂正前の請求項1についてするものであるから、特許法120条の5第9項で読み替えて準用する同法126条7項の独立特許要件は課されない。
オ 小括
以上のとおりであるから、訂正事項1に係る訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条9項において準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。

(2)訂正事項2について
ア 訂正の目的
訂正事項2に係る訂正は、訂正前の請求項3が請求項1又は2を引用する記載であるのを、請求項2を引用しないものとした上で、請求項1を引用するものについて請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項へ改めるための訂正であるから、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとするとともに、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否、新規事項追加の有無
訂正事項2に係る訂正は、何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、また、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
ウ 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
上記アのとおり、訂正事項2に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものにも該当するので、訂正後の請求項3に係る発明は特許出願の際に独立して特許を受けることができるものでなければならない。
そこで検討するに、訂正後の請求項3に係る発明は、訂正前の請求項1を引用する発明であり、訂正前の請求項3に係る発明にも含まれていたものであり、これに対しては特許異議の申立てがされておらず、その新規性進歩性等を否定する証拠が提出されていない。
この点に加えて、訂正後の請求項3に係る発明をみると、後記「第3」に示すように「前記召合せ框には、内部に補強材が挿入された第1中空部が設けられ、前記戸先框には、第2中空部が設けられ、前記第2中空部を形成する壁部のうち、少なくとも室外側見付け面を形成する室外側壁部の板厚が、前記第1中空部を形成する壁部のうち前記ポケット状凹部を形成する壁部を除く部分の板厚よりも厚く、前記戸先框の第2中空部には、補強材が挿入されていない」という構成を有しているところ、申立人が特許異議申立書に添付して提出したいずれの証拠にもかかる構成は記載されておらず、これらの各証拠からは訂正後の請求項3に係る発明が特許出願の際に独立して特許を受けることができないものとただちにはいえない。
以上を踏まえれば、訂正後の請求項3に係る発明は特許出願の際に独立して特許を受けることができたものといえる。
エ 小括
以上のとおりであるから、訂正事項2に係る訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号及び4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条9項において準用する同法126条5項、6項及び7項の規定に適合する。

(3)訂正事項3について
ア 訂正の目的
訂正事項3に係る訂正は、訂正前の請求項4が請求項1〜3のいずれか1項を引用する記載であるのを、請求項1及び2を引用しないものとするものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否、新規事項追加の有無
上記アのとおり、訂正事項3に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、また、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
ウ 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
上記アのとおり、訂正事項3に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものにも該当するので、訂正後の請求項4に係る発明は特許出願の際に独立して特許を受けることができるものでなければならない。
この点、訂正後の請求項4に係る発明は、訂正後の請求項3を引用するものであるから、訂正後の請求項3に係る発明について検討したのと同様、訂正後の請求項4に係る発明は特許出願の際に独立して特許を受けることができたものといえる。
エ 小括
以上のとおりであるから、訂正事項3に係る訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条9項において準用する同法126条5項、6項及び7項の規定に適合する。

(4)訂正事項4について
ア 訂正の目的
訂正事項4に係る訂正は、訂正前の請求項6が請求項1ないし5のいずれか1項を引用する記載であるのを、請求項1及び2を引用しないものとするものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否、新規事項追加の有無
上記アのとおり、訂正事項4に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、また、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
ウ 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
上記アのとおり、訂正事項4に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものにも該当するので、訂正後の請求項6に係る発明は特許出願の際に独立して特許を受けることができるものでなければならない。
この点、訂正後の請求項6に係る発明は、訂正後の請求項3の構成を直接又は間接的に引用するものであるから、訂正後の請求項3に係る発明について検討したのと同様の理由により、訂正後の請求項6に係る発明は特許出願の際に独立して特許を受けることができたものといえる。
エ 小括
以上のとおりであるから、訂正事項4に係る訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条9項において準用する同法126条5項、6項及び7項の規定に適合する。

(5)訂正事項5について
ア 訂正の目的
訂正事項5に係る訂正は、訂正前の請求項7が請求項1ないし6のいずれか1項を引用する記載であるのを、請求項1及び2を引用しないものとするものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否、新規事項追加の有無
上記アのとおり、訂正事項5に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、また、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
ウ 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
上記アのとおり、訂正事項5に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものにも該当するので、訂正後の請求項7に係る発明は特許出願の際に独立して特許を受けることができるものでなければならない。
この点、訂正後の請求項7に係る発明は、訂正後の請求項3の構成を直接又は間接的に引用するものであるから、訂正後の請求項3に係る発明について検討したのと同様の理由により、訂正後の請求項7に係る発明は特許出願の際に独立して特許を受けることができたものといえる。
エ 小括
以上のとおりであるから、訂正事項5に係る訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条9項において準用する同法126条5項、6項及び7項の規定に適合する。

(6)訂正事項6について
ア 訂正の目的
訂正事項6に係る訂正は、訂正前の請求項9に記載の「召合せ框」に設けられた「内部に補強材が挿入された第1中空部」について、「前記召合せ框の室外側見付け面を形成する第1中空部室外側壁部の室内側面に熱膨張性部材が設けられるとともに、前記補強材のうち前記第1中空部室外側壁部と対面する板部の室内側面に熱膨張性部材が設けられている」ことを限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
上記アのとおり、訂正事項6に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
ウ 新規事項追加の有無
訂正事項6で追加された特定事項は、訂正事項1で追加された特定事項と同じであるから、訂正事項1で追加された特定事項で検討したのと同様の理由により、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
エ 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
訂正事項6に係る訂正は、特許異議申立てがされている訂正前の請求項9についてするものであるから、特許法120条の5第9項で読み替えて準用する同法126条7項の独立特許要件は課されない。
オ 小括
以上のとおりであるから、訂正事項7に係る訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条9項において準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。

(7)訂正事項7について
ア 訂正の目的
訂正事項7に係る訂正は、訂正前の請求項10に記載の「召合せ框」に設けられた「内部に補強材が挿入された第1中空部」について、「前記召合せ框の室外側見付け面を形成する第1中空部室外側壁部の室内側面に熱膨張性部材が設けられるとともに、前記補強材のうち前記第1中空部室外側壁部と対面する板部の室内側面に熱膨張性部材が設けられている」ことを限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
上記アのとおり、訂正事項7に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
ウ 新規事項追加の有無
訂正事項7で追加された特定事項は、訂正事項1で追加された特定事項と同じであるから、訂正事項1で追加された特定事項で検討したのと同様の理由により、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
エ 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
訂正事項7に係る訂正は、特許異議申立てがされている訂正前の請求項10についてするものであるから、特許法120条の5第9項で読み替えて準用する同法126条7項の独立特許要件は課されない。
オ 小括
以上のとおりであるから、訂正事項7に係る訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条9項において準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。

(8)一群の請求項、別の訂正単位とする求めについて
ア 一群の請求項について
訂正前の請求項1〜8について、請求項2〜8は、請求項1を直接又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
したがって、訂正前の請求項1〜8に対応する訂正後の請求項1〜8は、特許法120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
イ 別の訂正単位とする求めについて
特許権者は、訂正後の請求項3と、訂正後の請求項3の記載を引用する訂正後の請求項4〜8については、当該請求項についての訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することを求めているところ、上記のとおり、訂正後の請求項3〜8についての訂正は認められる。

3 まとめ
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号及び4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条9項において準用する同法126条5項、6項及び7項の規定に適合する。
よって、本件訂正後の請求項〔1、2〕、〔3〜8〕、9、10についての訂正を認める。

第3 本件発明
上記第2で検討したとおり、本件訂正請求にる訂正はすべて認められるから、本件特許の請求項1〜10に係る発明(以下、各請求項に係る発明を「本件発明1」などといい、まとめて「本件発明」という。)は、それぞれ、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1〜10に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。
「【請求項1】
上框、下框、戸先框及び召合せ框を有する框体で面材を保持した障子を開口枠で少なくとも1つ以上スライド可能に支持した建具であって、
前記召合せ框には、内部に補強材が挿入された第1中空部が設けられ、
前記戸先框には、第2中空部が設けられ、
前記第1中空部を形成する壁部にはタイト材または熱膨張性部材を設けるポケット状凹部が形成され、
前記第2中空部を形成する壁部のうち、少なくとも室外側見付け面を形成する室外側壁部の板厚が、前記第1中空部を形成する壁部のうち前記ポケット状凹部を形成する壁部を除く部分の板厚よりも厚く、
前記召合せ框の室外側見付け面を形成する第1中空部室外側壁部の室内側面に熱膨張性部材が設けられるとともに、前記補強材のうち前記第1中空部室外側壁部と対面する板部の室内側面に熱膨張性部材が設けられていることを特徴とする建具。
【請求項2】
請求項1記載の建具において、
前記戸先框の第2中空部は、前記面材を保持する開口溝の一部を形成する開口側壁部の板厚が、前記召合せ框の第1中空部を形成する壁部の前記板厚よりも厚いことを特徴とする建具。
【請求項3】
上框、下框、戸先框及び召合せ框を有する框体で面材を保持した障子を開口枠で少なくとも1つ以上スライド可能に支持した建具であって、
前記召合せ框には、内部に補強材が挿入された第1中空部が設けられ、
前記戸先框には、第2中空部が設けられ、
前記第1中空部を形成する壁部にはタイト材または熱膨張性部材を設けるポケット状凹部が形成され、
前記第2中空部を形成する壁部のうち、少なくとも室外側見付け面を形成する室外側壁部の板厚が、前記第1中空部を形成する壁部のうち前記ポケット状凹部を形成する壁部を除く部分の板厚よりも厚く、
前記戸先框の第2中空部には、補強材が挿入されていないことを特徴とする建具。
【請求項4】
請求項3記載の建具において、
前記上框には、少なくとも室外側見付け面を形成する室外側壁部の板厚が、前記召合せ框の第1中空部を形成する壁部の前記板厚よりも厚い第3中空部が設けられ、
前記下框には、少なくとも室外側見付け面を形成する室外側壁部の板厚が、前記召合せ框の第1中空部を形成する壁部の前記板厚よりも厚い第4中空部が設けられていることを特徴とする建具。
【請求項5】
請求項4記載の建具において、
前記上框の第3中空部及び前記下框の第4中空部には、補強材が挿入されていないことを特徴とする建具。
【請求項6】
請求項3〜5のいずれか1項に記載の建具において、
前記召合せ框には、前記第1中空部の室内側に並んで第5中空部が設けられると共に、前記第1中空部の一壁部が前記面材を保持する開口溝を形成しており、
前記第5中空部には、補強材が挿入されていないことを特徴とする建具。
【請求項7】
請求項3〜6のいずれか1項に記載の建具において、
前記開口枠の上枠は、前記障子側となる内側見込み面の反対側に中空部を有することを特徴とする建具。
【請求項8】
請求項7記載の建具において、
前記上枠は、前記内側見込み面に前記障子を案内するレールが突出形成されており、
前記中空部の内部は、前記レールの延長線上に設けられた支柱壁によって複数の空間に仕切られていることを特徴とする建具。
【請求項9】
上框、下框、戸先框及び召合せ框を有する框体で面材を保持した障子を開口枠で少なくとも1つ以上スライド可能に支持した建具であって、
前記召合せ框には、内部に補強材が挿入された第1中空部が設けられ、
前記上框には、第3中空部が設けられ、
前記第1中空部を形成する壁部にはタイト材または熱膨張性部材を設けるポケット状凹部が形成され、
前記第3中空部を形成する壁部のうち、少なくとも室外側見付け面を形成する室外側壁部の板厚が、前記第1中空部を形成する壁部のうち前記ポケット状凹部を形成する壁部を除く部分の板厚よりも厚く、
前記召合せ框の室外側見付け面を形成する第1中空部室外側壁部の室内側面に熱膨張性部材が設けられるとともに、前記補強材のうち前記第1中空部室外側壁部と対面する板部の室内側面に熱膨張性部材が設けられていることを特徴とする建具。
【請求項10】
上框、下框、戸先框及び召合せ框を有する框体で面材を保持した障子を開口枠で少なくとも1つ以上スライド可能に支持した建具であって、
前記召合せ框には、内部に補強材が挿入された第1中空部が設けられ、
前記下框には、第4中空部が設けられ、
前記第1中空部を形成する壁部にはタイト材または熱膨張性部材を設けるポケット状凹部が形成され、
前記第4中空部を形成する壁部のうち、少なくとも室外側見付け面を形成する室外側壁部の板厚が、前記第1中空部を形成する壁部のうち前記ポケット状凹部を形成する壁部を除く部分の板厚よりも厚く、
前記召合せ框の室外側見付け面を形成する第1中空部室外側壁部の室内側面に熱膨張性部材が設けられるとともに、前記補強材のうち前記第1中空部室外側壁部と対面する板部の室内側面に熱膨張性部材が設けられていることを特徴とする建具。」

第4 取消理由通知に記載した取消理由について
1 当審より通知した取消理由の概要
当審より令和4年3月18日付けで通知した取消理由の概要は以下のとおりである。

〔特許法29条2項違反(進歩性欠如)〕
訂正前の請求項1、2、9、10に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1、2、9、10に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
(引用文献等)
甲第1号証:特開2012−136927号公報
甲第2号証:特開2015−59320号公報
甲第3号証:特開2014−152442号公報
甲第5号証:特開2016−56555号公報

2 甲号証の記載
(1)甲第1号証
甲第1号証(特開2012−136927号公報。以下「甲1」という。)には、以下の事項が記載されている。
ア「【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1−6は本発明のサッシの一実施形態を示している。本サッシは、躯体開口部に取付けたサッシ枠1と、サッシ枠1内に引違い状に開閉自在に収めた外障子2及び内障子3を備えている。」
イ「【0040】
外障子2と内障子3は、図5,6に示すように、上框40a,40bと下框41a,41bと戸先框42a,42bと召し合せ框43a,43bを四周框組みし、その内周にガラス44をグレージングチャンネル45を介してを嵌め込んで取付けてある。ガラス44は、複層ガラスを使用している。上框40a,40bと下框41a,41bと戸先框42a,42bは、室外側の部分がアルミで形成され、室内側の部分は樹脂で形成してあり、内障子3の召し合せ框43bは樹脂製のカバー46で室内側が覆われている。外障子2と内障子3は、框の室内側が樹脂で覆ってあることと複層ガラスを使用したことにより、室内側の結露を防止している。
【0041】
戸先框42a,42bと召し合せ框43a,43bは、図6に示すように中空部58を有しており、中空部58内にはコ字形断面の補強材47が長手方向のほぼ全長にわたって配置され、長手方向に所定のピッチでネジ48により固定してある。補強材47は、溶融亜鉛メッキ鋼板を折り曲げて形成している。このように補強材47を設けることで、火災時における戸先框42a,42bと召し合せ框43a,43bの熱伸びとたわみを防止できる。
また、上框40a,40bと下框41a,41bと戸先框42a,42bと召し合せ框43a,43bの内周側のガラス保持溝49内には、ステンレスの板をコ字形に曲げて形成したガラス間口補強材50がグレージングチャンネル45の外側を囲むように配置され、長手方向に所定のピッチでネジ51により固定してある。ガラス間口補強材50は、ガラス44の周縁部を全周カバーしている。このようにガラス間口補強材50を設けることで、框のガラス保持溝49の室外側の壁や室内側の壁が火災の熱で溶けたとしても、ガラス44が脱落するのを防止できる。
【0042】
下框41a,41bは、図1,2に示すように、外周側にレール9,10を呑み込む溝52が形成してあり、溝52の下縁に沿ってタイト材53a,53bが設けてあり、タイト材53a,53bの上方に加熱されると発泡して膨張する耐火材57a,57bが設けてある。耐火材57a,57bは、下框41a,41bの全長に連続して設けてある。火災時には、図9に示すように、耐火材57a,57bが膨張して下框41a,41bとレール9,10間の隙間を塞ぐ。
戸先框42a,42bは、図6に示すように、外周側に竪枠6の突条54を呑み込む溝55が形成してあり、その溝55の底面に加熱されると発泡して膨張する耐火材57cが戸先框42a,42bの全長に連続して設けてあり、火災時にはこの耐火材57cが発泡して膨張し、竪枠6と戸先框42a,42b間の隙間を塞ぐ。
外障子2の召し合せ框43aの室内側面には、煙返し56の近傍に加熱されると発泡して膨張する耐火材57dが召し合せ框43aの全長に連続して設けてあり、火災時にはこの耐火材57dが発泡して膨張し、内外障子の召し合せ框43a,43b間の隙間を塞ぐ。・・・」
ウ 図5は次のものである。
「【図5】


図5から、上框40aは、内周側のガラス保持溝49に面する壁部とその室外側端部から上方に延びる壁部を含む四周の壁部により形成される中空部を有していること、
下框41aは、内周側のガラス保持溝49に面する壁部とその室外側端部から下方に延びる壁部を含む四周の壁部により形成される中空部を有していること、が看取される。

エ 図6は次のものである。
「【図6】


図6から、召し合せ框43aは、内周側のガラス保持溝49に面する壁部とその室外側端部及び室内側端部から外周側に延びる壁部を含む四周の壁部により中空部58を形成していること、
戸先框42aは、内周側のガラス保持溝49に面する壁部とその室外側端部及び室内側端部から外周側に延びる壁部を含む四周の壁部により中空部58を形成していること、
召し合せ框43aの内周側のガラス保持溝49に面する壁部の室外側端部から外周側に延びる壁部は、召し合せ框43aを形成する四周の壁部のうち最も板厚が厚く、戸先框42aの内周側のガラス保持溝49に面する壁部及び当該壁部の室外側端部から外周側に延びる壁部の板厚よりも厚いこと、が看取される。

甲1の上記記載、看取事項によれば、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているものと認められる。
(甲1発明)
「躯体開口部に取付けたサッシ枠1と、サッシ枠1内に引違い状に開閉自在に収めた外障子2及び内障子3を備えるサッシであって、
外障子2は、上框40aと下框41aと戸先框42aと召し合せ框43aを四周框組みし、その内周にガラス44をグレージングチャンネル45を介して嵌め込んで取付けてあり、
戸先框42aと召し合せ框43aは、中空部58を有しており、中空部58内にはコ字形断面の補強材47が長手方向にわたって配置され、
召し合せ框43aの室内側面には、加熱されると発泡して膨張する耐火材57dが設けてあり、
召し合せ框43aは、内周側のガラス保持溝49に面する壁部とその室外側端部及び室内側端部から外周側に延びる壁部を含む四周の壁部により中空部58を形成しており、
戸先框42aは、内周側のガラス保持溝49に面する壁部とその室外側端部及び室内側端部から外周側に延びる壁部を含む四周の壁部により中空部58を形成しており、
召し合せ框43aの内周側のガラス保持溝49に面する壁部の室外側端部から外周側に延びる壁部は、召し合せ框43aを形成する四周の壁部のうち最も板厚が厚く、戸先框42aの内周側のガラス保持溝49に面する壁部及び当該壁部の室外側端部から外周側に延びる壁部の板厚よりも厚く、
上框40aは、内周側のガラス保持溝49に面する壁部とその室外側端部から上方に延びる壁部を含む四周の壁部により形成される中空部を有しており、
下框41aは、内周側のガラス保持溝49に面する壁部とその室外側端部から下方に延びる壁部を含む四周の壁部により形成される中空部を有している、
サッシ。」

(2)甲第2号証
甲第2号証(特開2015−59320号公報。以下「甲2」という。)には、以下の記載がある。
ア「【0035】
図4は本発明の窓の防火構造の他の実施の形態であり、室内側障子5の召し合せ框8のみならず、室外側障子6の召し合せ框13における室内側障子5の召し合せ框8との対向面にも加熱発泡材30を、召し合せ框13のほぼ全長にわたって設けたものである。この実施の形態においても、召し合せ框13に設けた取付け溝31に加熱発泡材30を嵌め込んで取付けている。」
イ 図4は次のものである。
「【図4】



(3)甲第3号証
甲第3号証(特開2014−152442号公報。以下「甲3」という。)には、以下の記載がある。
ア「【0012】
本発明によるサッシによれば、上框、下框、縦框及び召し合せ框における金属框の肉厚を大きくしたことで、芯材を設けることなく各框の強度を確保することができ、火災時に崩落を防いで所定の防火性能を確保できる。しかも、サッシの重量を削減できて内外障子の操作性が向上すると共にサッシ材料の部品点数を削減できるため製作工数を削減できる。また、各框の金属框の肉厚を増大したことで、芯材を用いなくてもねじで直接、各框の金属框に螺合させてガラス保持金具等の部材を固定できる。」
イ 図3は次のものである。
「【図3】



(4)甲第5号証
甲第5号証(特開2016−56555号公報。以下「甲5」という。)には、以下の記載がある。
ア「【0068】
すなわち、建具10では、上框32a、下框32b及び戸先框32cは、上記のように火災時に樹脂製框材40が円滑に外れて金属製框材38の放熱を促進する構成であるため、これら上框32a、下框32b及び戸先框32cには補強材を配設せずに防火構造を構築することができる。一方、召合せ框32dは、開口枠12に対してその上端及び下端のみで支持されるため、他の框よりも高い耐久性が必要となり、また開口枠12との接触部も上端及び下端のみであることから該開口枠12への放熱もほとんど期待されない。そこで、建具10では、召合せ框32dにのみ補強材88を配設することで防火性能を向上させ、同時に補強材の配設によるコストや重量の増加を最小限なものとしている。」
イ 図3は次のものである。
「【図3】



3 当審の判断
(1)本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲1発明とを対比する。
(ア)甲1発明における「上框40a」、「下框41a」、「戸先框42a」、「召し合せ框43a」、これらを「四周框組みし」たもの、「ガラス44」は、それぞれ、本件発明1における『上框』、『下框』、『戸先框』、『召合せ框』、『框体』、『面材』に相当する。
したがって、甲1発明における「上框40aと下框41aと戸先框42aと召し合せ框43aを四周框組みし、その内周にガラス44を・・・取付け」た「外障子2と内障子3」は、本件発明1における『上框、下框、戸先框及び召合せ框を有する框体で面材を保持した障子』に相当する。
そして、甲1発明における「躯体開口部に取付けたサッシ枠1」は、本件発明1における『開口枠』に相当し、「(外障子2と内障子3が)サッシ枠1内に引違い状に開閉自在に収め」られることは、本件発明1における『(障子を)少なくとも1つ以上スライド可能に支持』することに相当する。
甲1発明における「サッシ」は、本件発明1における『建具』に相当する。
以上から、甲1発明において、「上框40aと下框41aと戸先框42aと召し合せ框43aを四周框組みし、その内周にガラス44を・・・取付け」た「外障子2」と「内障子3」を「躯体開口部に取付けたサッシ枠1」内に「引違い状に開閉自在に収め」た「サッシ」は、本件発明1において、『上框、下框、戸先框及び召合せ框を有する框体で面材を保持した障子』を『開口枠』で『少なくとも1つ以上スライド可能に支持した』『建具』に相当する。
(イ)甲1発明における「召し合せ框43a」、「中空部58」、「コ字形断面の補強材47」は、それぞれ、本件発明1における『前記召合せ框』、『第1中空部』、『補強材』に相当する。
以上から、甲1発明において、「召し合せ框43aは、中空部58を有しており、中空部58内にはコ字形断面の補強材47が長手方向にわたって配置され」ることは、本件発明1において、『前記召合せ框には、内部に補強材が挿入された第1中空部が設けられ』ることに相当する。
(ウ)甲1発明における「戸先框42a」が「中空部58を有して」いることは、本件発明1において、『前記戸先框には、第2中空部が設けられ』ていることに相当する。
(エ)甲1発明における「召し合せ框43aの室内側面」は、「召し合せ框43a」の「内周側のガラス保持溝49に面する壁部の室内側端部から外周側に延びる壁部」であり、当該壁部を含む四周の壁部により「中空部58(第1中空部)」を形成するから、本件発明1における『第1中空部を形成する壁部』に相当する。また、甲1発明における「加熱されると発泡して膨張する耐火材57d」は、本件発明1における『熱膨張性部材』に相当する。
そうすると、甲1発明において、「召し合せ框43aの室内側面に・・・加熱されると発泡して膨張する耐火材57dが・・・設けてあ」ることと、本件発明1において、『前記第1中空部を形成する壁部にはタイト材または熱膨張性部材を設けるポケット状凹部が形成され』ることとは、『前記第1中空部を形成する壁部には熱膨張性部材を設け』るものである点で共通する。
(オ)甲1発明における「戸先框42a」の「内周側のガラス保持溝49に面する壁部とその室外側端部及び室内側端部から外周側に延びる壁部を含む四周の壁部」は、「中空部58(第2中空部)を形成」するから、本件発明1における『第2中空部を形成する壁部』に相当するところ、甲1発明における「戸先框42a」の「内周側のガラス保持溝49に面する壁部の室外側端部から外周側に延びる壁部」は、本件発明1における『前記第2中空部を形成する壁部のうち、少なくとも室外側見付け面を形成する室外側壁部』に相当する。
甲1発明における「召し合せ框43a」の「内周側のガラス保持溝49に面する壁部とその室外側端部及び室内側端部から外周側に延びる壁部を含む四周の壁部」は、「中空部58(第1中空部)を形成」するから、本件発明1における『第1中空部を形成する壁部』に相当するところ、甲1発明の「召し合せ框43a」の「内周側のガラス保持溝49に面する壁部の室外側端部から外周側に延びる壁部」は、耐火材57dが設けられていないから、本件発明1における『前記第1中空部を形成する壁部のうち前記ポケット状凹部を形成する壁部を除く部分』とは、『前記第1中空部を形成する壁部のうち熱膨張性部材を設ける壁部を除く部分』である点で共通する。

以上によれば、本件発明1と甲1発明とは、以下の一致点及び相違点を有する。
(一致点)
上框、下框、戸先框及び召合せ框を有する框体で面材を保持した障子を開口枠で少なくとも1つ以上スライド可能に支持した建具であって、
前記召合せ框には、内部に補強材が挿入された第1中空部が設けられ、
前記戸先框には、第2中空部が設けられ、
前記第1中空部を形成する壁部には熱膨張性部材が設けられる、建具。
(相違点1)
本件発明1では、「前記第1中空部を形成する壁部にはタイト材または熱膨張性部材を設けるポケット状凹部が形成され」るのに対し、
甲1発明では、召し合せ框43aの室内側面に熱膨張性部材を設ける「ポケット状凹部」を形成することは特定されていない点。
(相違点2)
「前記第2中空部を形成する壁部のうち、少なくとも室外側見付け面を形成する室外側壁部」の板厚と「前記第1中空部を形成する壁部のうち熱膨張性部材を設ける壁部を除く部分」の板厚との関係について、
本件発明1では前者が後者よりも厚いのに対し、甲1発明では後者が前者よりも厚い点。
(相違点3)
本件発明1では、「前記召合せ框の室外側見付け面を形成する第1中空部室外側壁部の室内側面に熱膨張性部材が設けられるとともに、前記補強材のうち前記第1中空部室外側壁部と対面する板部の室内側面に熱膨張性部材が設けられている」のに対し、
甲1発明は、かかる構成を有しない点。

イ 判断
事案にかんがみ、上記相違点3について検討する。
相違点3に係る構成は、熱膨張性部材を、召合せ框の中空部の室外側壁部の室内側面と、召合せ框の中空部に挿入された補強材の前記中空部の室外側壁部と対面する板部の室内側面とに設けるものであるところ、甲1発明における補強材は、その板部が召合せ框の中空部の室外側壁部と対面するように配置されるものではないし、甲1には、中空部の内側に熱膨張性部材を設けることについて記載がない。
上記取消理由通知で引用した甲2、甲3、甲5をみると、甲2及び甲3には、召合せ框における中空部の内側に熱膨張性部材を設けることについて記載がなく、甲5には、召合せ框の中空部に配置された補強材に熱膨張性部材を設けることについて記載がない。
上記取消理由通知では引用しなかったものの、申立人が異議申立書に添付して提出した甲第4号証、甲第6ないし8号証(以下「甲4」などという。)をみても、甲4(特開2013−19116号公報)には、召合せ框の中空部に補強材を配置すること、召合せ框の中空部に熱膨張性部材を設けることについて記載がなく、甲6(特開2016−56556号公報)、甲7(特開2016−56557号公報)、甲8(特開2016−56558号公報)には、甲5と同様の記載があるにとどまり、召合せ框の中空部に配置された補強材に熱膨張性部材を設けることについて記載がない。
したがって、相違点3に係る本件発明1の構成は、甲1発明及び甲2ないし甲8に記載の技術的事項に基づいて当業者が容易に想到し得たものということはできない。

ウ 小括
以上のとおりであるから、相違点1及び相違点2について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明及び甲2ないし甲8に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(2)本件発明2について
本件発明2は、本件発明1の構成をすべて含んでいるから、本件発明2と甲1発明とは、本件発明1と甲1発明との相違点と同様の相違点1ないし3を有しているところ、上記相違点3に係る構成は、本件発明1において検討したとおり、当業者が容易に想到し得たものではないから、本件発明2も同様の理由により、当業者が容易に想到し得たものではない。
したがって、本件発明2は、甲1発明及び甲2ないし甲8に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(3)本件発明9について
ア 対比
本件発明9と甲1発明とを対比する。
本件発明1と甲1発明との対比を踏まえると、本件発明9と甲1発明とは以下の一致点及び相違点を有する。
(一致点)
上框、下框、戸先框及び召合せ框を有する框体で面材を保持した障子を開口枠で少なくとも1つ以上スライド可能に支持した建具であって、
前記召合せ框には、内部に補強材が挿入された第1中空部が設けられ、
前記上框には、第3中空部が設けられ、
前記第1中空部を形成する壁部には熱膨張性部材が設けられる、建具。
(相違点4)
本件発明9では、「前記第1中空部を形成する壁部にはタイト材または熱膨張性部材を設けるポケット状凹部が形成され」るのに対し、
甲1発明では、召し合せ框43aの室内側面に熱膨張性部材を設ける「ポケット状凹部」を形成することは特定されていない点。
(相違点5)
「前記第3中空部を形成する壁部のうち、少なくとも室外側見付け面を形成する室外側壁部」の板厚と「前記第1中空部を形成する壁部のうち熱膨張性部材を設ける壁部を除く部分」の板厚との関係について、
本件発明9では前者が後者よりも厚いのに対し、甲1発明では後者が前者よりも厚い点。
(相違点6)
本件発明9では、「前記召合せ框の室外側見付け面を形成する第1中空部室外側壁部の室内側面に熱膨張性部材が設けられるとともに、前記補強材のうち前記第1中空部室外側壁部と対面する板部の室内側面に熱膨張性部材が設けられている」のに対し、
甲1発明は、かかる構成を有しない点。

イ 判断
事案にかんがみ、上記相違点6について検討するに、相違点6に係る構成は、本件発明1において検討した相違点3に係る構成と同じであるから、相違点3について検討したのと同様の理由により、当業者が容易に想到し得たものではない。

ウ 小括
以上のとおりであるから、相違点4及び相違点5について検討するまでもなく、本件発明9は、甲1発明及び甲2ないし甲8に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(4)本件発明10について
ア 対比
本件発明10と甲1発明とを対比する。
本件発明1と甲1発明との対比を踏まえると、本件発明10と甲1発明とは以下の一致点及び相違点を有する。
(一致点)
上框、下框、戸先框及び召合せ框を有する框体で面材を保持した障子を開口枠で少なくとも1つ以上スライド可能に支持した建具であって、
前記召合せ框には、内部に補強材が挿入された第1中空部が設けられ、
前記下框には、第4中空部が設けられ、
前記第1中空部を形成する壁部には熱膨張性部材が設けられる、建具。
(相違点7)
本件発明10では、「前記第1中空部を形成する壁部にはタイト材または熱膨張性部材を設けるポケット状凹部が形成され」るのに対し、
甲1発明では、召し合せ框43aの室内側面に熱膨張性部材を設ける「ポケット状凹部」を形成することは特定されていない点。
(相違点8)
「前記第3中空部を形成する壁部のうち、少なくとも室外側見付け面を形成する室外側壁部」の板厚と「前記第1中空部を形成する壁部のうち熱膨張性部材を設ける壁部を除く部分」の板厚との関係について、
本件発明10では前者が後者よりも厚いのに対し、甲1発明では後者が前者よりも厚い点。
(相違点9)
本件発明10では、「前記召合せ框の室外側見付け面を形成する第1中空部室外側壁部の室内側面に熱膨張性部材が設けられるとともに、前記補強材のうち前記第1中空部室外側壁部と対面する板部の室内側面に熱膨張性部材が設けられている」のに対し、
甲1発明は、かかる構成を有しない点。

イ 判断
事案にかんがみ、上記相違点9について検討するに、相違点9に係る構成は、本件発明1において検討した相違点3に係る構成と同じであるから、相違点3について検討したのと同様の理由により、当業者が容易に想到し得たものではない。

ウ 小括
以上のとおりであるから、相違点7及び相違点8について検討するまでもなく、本件発明10は、甲1発明及び甲2ないし甲8に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

第5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由等について
申立人は、特許異議申立書において、訂正前の請求項1、2、9、10に記載の「少なくとも室外側見付け面を形成する室外側壁部の板厚が、前記第1中空部を形成する壁部のうち前記ポケット状凹部を形成する壁部を除く部分の板厚よりも厚」いとの記載は、「少なくとも室外側見付け面を形成する室外側壁部の板厚」が、「前記第1中空部を形成する壁部のうち前記ポケット状凹部を形成する壁部を除く、全ての部分の板厚よりも厚い」ことを意味するのか、「少なくとも一つの部分の板厚よりも厚い」ことを意味するのか不明瞭であるという旨申し立てている(下線は申立人が付した)。
しかしながら、上記請求項における「前記第1中空部を形成する壁部のうち前記ポケット状凹部を形成する壁部を除く部分」との記載は、「前記第1中空部を形成する壁部のうち前記ポケット状凹部を形成する壁部」については「除く」、すなわち例外とすることを意味することを踏まえれば、「少なくとも室外側見付け面を形成する室外側壁部の板厚」が「前記第1中空部を形成する壁部のうち前記ポケット状凹部を形成する壁部を除く、全ての部分の板厚よりも厚い」ことを意味すると解するのが自然である。
したがって、申立人が指摘する請求項1、2、9、10の上記記載は不明瞭であるとはいえず、当該特許異議申立理由には理由がない。

第6 むすび
よって、請求項1、2、9、10に係る特許は、取消理由通知に記載した理由及び特許異議申立書に記載した理由及び証拠によっては取り消すことはできない。
さらに、他に請求項1、2、9、10に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上框、下框、戸先框及び召合せ框を有する框体で面材を保持した障子を開口枠で少なくとも1つ以上スライド可能に支持した建具であって、
前記召合せ框には、内部に補強材が挿入された第1中空部が設けられ、
前記戸先框には、第2中空部が設けられ、
前記第1中空部を形成する壁部にはタイト材または熱膨張性部材を設けるポケット状凹部が形成され、
前記第2中空部を形成する壁部のうち、少なくとも室外側見付け面を形成する室外側壁部の板厚が、前記第1中空部を形成する壁部のうち前記ポケット状凹部を形成する壁部を除く部分の板厚よりも厚く、
前記召合せ框の室外側見付け面を形成する第1中空部室外側壁部の室内側面に熱膨張性部材が設けられるとともに、前記補強材のうち前記第1中空部室外側壁部と対面する板部の室内側面に熱膨張性部材が設けられていることを特徴とする建具。
【請求項2】
請求項1記載の建具において、
前記戸先框の第2中空部は、前記面材を保持する開口溝の一部を形成する開口側壁部の板厚が、前記召合せ框の第1中空部を形成する壁部の前記板厚よりも厚いことを特徴とする建具。
【請求項3】
上框、下框、戸先框及び召合せ框を有する框体で面材を保持した障子を開口枠で少なくとも1つ以上スライド可能に支持した建具であって、
前記召合せ框には、内部に補強材が挿入された第1中空部が設けられ、
前記戸先框には、第2中空部が設けられ、
前記第1中空部を形成する壁部にはタイト材または熱膨張性部材を設けるポケット状凹部が形成され、
前記第2中空部を形成する壁部のうち、少なくとも室外側見付け面を形成する室外側壁部の板厚が、前記第1中空部を形成する壁部のうち前記ポケット状凹部を形成する壁部を除く部分の板厚よりも厚く、
前記戸先框の第2中空部には、補強材が挿入されていないことを特徴とする建具。
【請求項4】
請求項3記載の建具において、
前記上框には、少なくとも室外側見付け面を形成する室外側壁部の板厚が、前記召合せ框の第1中空部を形成する壁部の前記板厚よりも厚い第3中空部が設けられ、
前記下框には、少なくとも室外側見付け面を形成する室外側壁部の板厚が、前記召合せ框の第1中空部を形成する壁部の前記板厚よりも厚い第4中空部が設けられていることを特徴とする建具。
【請求項5】
請求項4記載の建具において、
前記上框の第3中空部及び前記下框の第4中空部には、補強材が挿入されていないことを特徴とする建具。
【請求項6】
請求項3〜5のいずれか1項に記載の建具において、
前記召合せ框には、前記第1中空部の室内側に並んで第5中空部が設けられると共に、前記第1中空部の一壁部が前記面材を保持する開口溝を形成しており、
前記第5中空部には、補強材が挿入されていないことを特徴とする建具。
【請求項7】
請求項3〜6のいずれか1項に記載の建具において、
前記開口枠の上枠は、前記障子側となる内側見込み面の反対側に中空部を有することを特徴とする建具。
【請求項8】
請求項7記載の建具において、
前記上枠は、前記内側見込み面に前記障子を案内するレールが突出形成されており、
前記中空部の内部は、前記レールの延長線上に設けられた支柱壁によって複数の空間に仕切られていることを特徴とする建具。
【請求項9】
上框、下框、戸先框及び召合せ框を有する框体で面材を保持した障子を開口枠で少なくとも1つ以上スライド可能に支持した建具であって、
前記召合せ框には、内部に補強材が挿入された第1中空部が設けられ、
前記上框には、第3中空部が設けられ、
前記第1中空部を形成する壁部にはタイト材または熱膨張性部材を設けるポケット状凹部が形成され、
前記第3中空部を形成する壁部のうち、少なくとも室外側見付け面を形成する室外側壁部の板厚が、前記第1中空部を形成する壁部のうち前記ポケット状凹部を形成する壁部を除く部分の板厚よりも厚く、
前記召合せ框の室外側見付け面を形成する第1中空部室外側壁部の室内側面に熱膨張性部材が設けられるとともに、前記補強材のうち前記第1中空部室外側壁部と対面する板部の室内側面に熱膨張性部材が設けられていることを特徴とする建具。
【請求項10】
上框、下框、戸先框及び召合せ框を有する框体で面材を保持した障子を開口枠で少なくとも1つ以上スライド可能に支持した建具であって、
前記召合せ框には、内部に補強材が挿入された第1中空部が設けられ、
前記下框には、第4中空部が設けられ、
前記第1中空部を形成する壁部にはタイト材または熱膨張性部材を設けるポケット状凹部が形成され、
前記第4中空部を形成する壁部のうち、少なくとも室外側見付け面を形成する室外側壁部の板厚が、前記第1中空部を形成する壁部のうち前記ポケット状凹部を形成する壁部を除く部分の板厚よりも厚く、
前記召合せ框の室外側見付け面を形成する第1中空部室外側壁部の室内側面に熱膨張性部材が設けられるとともに、前記補強材のうち前記第1中空部室外側壁部と対面する板部の室内側面に熱膨張性部材が設けられていることを特徴とする建具。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2022-09-08 
出願番号 P2016-197787
審決分類 P 1 652・ 572- YAA (E06B)
P 1 652・ 121- YAA (E06B)
P 1 652・ 537- YAA (E06B)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 居島 一仁
特許庁審判官 長井 真一
奈良田 新一
登録日 2021-04-22 
登録番号 6872876
権利者 YKK AP株式会社
発明の名称 建具  
代理人 弁理士法人酒井国際特許事務所  
代理人 弁理士法人酒井国際特許事務所  

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