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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A23L
審判 全部申し立て ただし書き1号特許請求の範囲の減縮  A23L
審判 全部申し立て 判示事項別分類コード:357  A23L
審判 全部申し立て 判示事項別分類コード:356  A23L
管理番号 1392030
総通号数 12 
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2022-12-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-11-30 
確定日 2022-09-16 
異議申立件数
訂正明細書 true 
事件の表示 特許第6890986号発明「調理済み冷凍食品」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6890986号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1〜4〕について訂正することを認める。 特許第6890986号の請求項1〜4に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6890986号(以下「本件特許」という。)の請求項1〜4に係る特許についての出願は、平成29年2月2日に出願され、令和3年5月28日に特許権の設定登録がされ、令和3年6月18日に特許掲載公報が発行され、その請求項1〜4に係る発明の特許に対し、令和3年11月30日に田村良介(以下「特許異議申立人」という。)により、特許異議の申立てがされたものである。
特許異議の申立て以後の手続の経緯は次のとおりである。
令和4年 3月18日付け 取消理由通知
同年 5月18日 意見書・訂正請求書(特許権者)
同年 5月27日付け 訂正請求があった旨の通知
同年 6月29日 意見書(特許異議申立人)

第2 訂正の適否
1.訂正の内容
令和4年5月18日付けの訂正請求による訂正(以下「本件訂正」という。)の「請求の趣旨」は『特許第6890986号の明細書、特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1〜4について訂正することを求める。』というものであり、その内容は、以下の訂正事項1〜2からなるものである(なお、訂正箇所に下線を付す。)。

(1)訂正事項1
訂正前の請求項1の「前記冷凍具材は、最大差し渡し長さ20〜450mm且つ最小差し渡し長さ20〜250mmの大型冷凍具材を含み」との記載部分を、
訂正後の請求項1の「前記冷凍具材は、最大差し渡し長さ20〜35mm且つ最小差し渡し長さ20mmの大型冷凍具材を含み」との記載に訂正する(請求項1の記載を直接又は間接的に引用する請求項2〜4も同様に訂正する。)。

(2)訂正事項2
訂正前の明細書の段落0029の「該冷凍流動性食品部の表面において、最大差し渡し長さ及び最小差し渡し長さがいずれも約20mmである大型冷凍具材が多数露出していた。」との記載部分における「、最大差し渡し長さ及び最小差し渡し長さがいずれも約20mmである」との記載部分を削除して、訂正後の「該冷凍流動性食品部の表面において大型冷凍具材が多数露出していた。」との記載に訂正する。

2.本件訂正による訂正の適否
(1)訂正事項1について
ア 訂正事項1のうち、訂正前の請求項1の「最小差し渡し長さ20〜250mm」との記載部分を「最小差し渡し長さ20mm」との記載に改める訂正は、訂正前の請求項1に記載の「最小差し渡し長さ20〜250mm」との記載に「20mm」という「最小差し渡し長さ」の具体的な数値の記載があることを根拠に、その「最小差し渡し長さ」の数値範囲の上限を限定して減縮するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内において「特許請求の範囲の減縮」を目的として訂正するものに該当する。

イ 訂正事項1のうち、訂正前の請求項1の「最大差し渡し長さ20〜450mm」との記載部分を「最大差し渡し長さ20〜35mm」との記載に改める訂正は、その「最大差し渡し長さ」の数値範囲の上限を限定して減縮するものであって、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面には、当該「35mm」という具体的な値についての直接的な記載は明示されていないものの、当該「35mm」という値は、訂正前の請求項1に記載の「最大差し渡し長さ20〜450mm」との記載にある数値範囲に含まれる値であるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内において「特許請求の範囲の減縮」を目的として訂正するものに該当する。

ウ そして、訂正事項1は「特許請求の範囲の減縮」のみを目的とするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。

エ したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当し、なおかつ、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。

(2)訂正事項2について
ア 訂正事項2は、訂正前の明細書の段落0029に記載の「一辺が20mmの賽の目状のカット野菜(大型具材)」が、最大差し渡し長さ35mm、最小差し渡し長さ20mmとなることが、幾何学上の理論から明らかであって、同段落0029の「最大差し渡し長さ及び最小差し渡し長さがいずれも約20mmである大型冷凍具材」との記載が、設定登録時の明細書、特許請求の範囲又は図面中の他の記載との関係で不合理を生じているために不明瞭となっているため、その記載上の不備を訂正し、その本来の意を明らかにするための訂正であるといえるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。

イ そして、訂正事項2は、訂正前の明細書の段落0029の記載の一部を削除するだけのものであって、当該記載の一部の削除によって新たな技術的事項が導入されないことは明らかであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。

ウ また、訂正事項2は、明細書の記載を訂正するものであり、特許請求の範囲に記載された用語の定義や発明特定事項の技術的範囲を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲の記載を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。

(3)一群の請求項、及び明細書の訂正と関連する請求項について
訂正事項1に係る訂正前の請求項1〜4について、その請求項2〜4はいずれも直接又は間接的に請求項1を引用するものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものであるから、訂正前の請求項1〜4に対応する訂正後の請求項1〜4は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
また、訂正事項2による明細書の訂正に係る請求項は、訂正前の請求項1〜4であって、訂正事項1と関係する一群の請求項が請求の対象とされている(なお、訂正事項2による訂正は、願書に添付した明細書又は図面の訂正に係る請求項の全てについて行われており、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第4項に適合する。)。
したがって、訂正事項1〜2による本件訂正は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項に対してなされたものである。

3.まとめ
以上総括するに、訂正事項1及び2による本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、なおかつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項から第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項〔1〜4〕について訂正を認める。

第3 本件発明
本件訂正により訂正された請求項1〜4に係る発明(以下「本1発明」〜「本4発明」ともいう。)は、その特許請求の範囲の請求項1〜4に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
固形食品を冷凍固化してなる冷凍固形食品部と、流動性食品を冷凍固化してなる冷凍流動性食品部と、具材を冷凍固化してなる冷凍具材とを有し、該冷凍固形食品部の上に該冷凍流動性食品部が重ねて配され、該冷凍流動性食品部の表面において該冷凍具材が露出している調理済み冷凍食品であって、
前記冷凍具材は、最大差し渡し長さ20〜35mm且つ最小差し渡し長さ20mmの大型冷凍具材を含み、
前記冷凍固形食品部100質量部に対して、前記冷凍流動性食品部を70〜170質量部有し、
前記冷凍流動性食品部100質量部に対して、前記大型冷凍具材を10〜100質量部有し、
前記冷凍固形食品部の上面の面積の70%以上に前記冷凍流動性食品部が配されている調理済み冷凍食品。
【請求項2】
前記冷凍流動性食品部が配される前記冷凍固形食品部の上面は、水平面であり、該水平面は、鉛直方向に対して垂直な面と、該垂直な面とのなす角度が30度以内の面とを含む請求項1に記載の調理済み冷凍食品。
【請求項3】
前記固形食品が、米飯、麺及びベーカリー食品からなる群から選択される1種以上を含む請求項1又は2に記載の調理済み冷凍食品。
【請求項4】
前記流動性食品の品温50〜80℃における粘度が0.2〜500Pa・sである請求項1〜3の何れか1項に記載の調理済み冷凍食品。」

第4 特許異議申立理由及び取消理由通知の概要
1.特許異議申立理由の概要
(1)申立理由1(サポート要件違反)
本件特許請求の範囲の記載には不備があり、本件特許発明1乃至4は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
<不備1:巨大な塊>
大型冷凍具材が、最大差し渡し長さが450mm(45cm)、最小差し渡し250mm(25cm)、厚さが数十cmといった巨大な塊である場合をも包含する本件特許発明1の範囲まで発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとは認められない。
<不備2:実施例8〜10>
表2に示されている実施例8〜10は、評価結果が比較例1〜4と同等又はそれ以下となっており、評価で用いた10個のサンプルの中に『不良(2点)』或いは『非常に不良(1点)』であるものが存在していると考えられ、課題を解決できないことは明らかである。

(2)申立理由2(明確性要件違反)
本件特許請求の範囲の記載には不備があり、本件特許発明1乃至4は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
<不備3:差し渡し長さ>
例えば、大型冷凍具材が塊状であった場合、平面視における『差し渡し長さ』と投影図における『差し渡し長さ』が同一になるとは限らず、そのような場合、平面視と投影図のどちらの値を採用するかについては、本件明細書に記載されておらず、本件出願時の技術常識でもない。

(3)申立理由3(実施可能要件違反)
本件明細書の発明の詳細な説明の記載には不備があり、本件特許発明1乃至4は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
<不備4:大きな塊状のもの>
大型冷凍具材として、一辺又は直径が100mm(10cm)を超える大きな塊状のものや、最大差し渡し長さが450mm(45cm)且つ最小差し渡し長さが250mm(25cm)と冷凍固形食品部よりも大きなものを用いる場合について、どのように実施するかを当業者が理解できない。

(4)申立理由4(進歩性違反)
本件特許発明1乃至3は、甲第1号証に記載の発明及び周知技術(甲第2号証及び甲第3号証)に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、本件特許発明4は、甲第1号証に記載の発明及び周知技術(甲第2乃至5号証)に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定に違反する。
甲第1号証:実用新案登録第3205670号公報
甲第2号証:特開2005−287505号公報
甲第3号証:特開2004−49224号公報
甲第4号証:特開平10−99054号公報
甲第5号証:特開2009−159992号公報

2.取消理由通知の概要
令和4年3月18日付けの取消理由通知で通知された取消理由は、次の理由1及び2からなるものである。
「1.(サポート要件違反)
本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
2.(実施可能要件違反)
本件特許は、発明の詳細な説明の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。

・理由1について…最大差し渡し長さがその上限450mmに近く、かつ最小差し渡し長さがその上限250mmに近い大型冷凍具材は、…巨大なものであって、そのまま噛んで歯ごたえを楽しめるものとは到底認められず、また、冷凍具材が極端に大きければ解凍ムラが防止できないことは技術常識であることからも、…請求項1〜4に係る発明が、その課題「冷凍状態で長期保存が可能で、解凍するだけで喫食可能状態となる調理済み冷凍食品であって、解凍後において大きめの具材を含む流動性食品が固形食品の上に見栄えよく配され、且つ解凍ムラが無く食感が良好な調理済み冷凍食品を提供すること」を解決できるものであるとは認識できない。…
・理由2について…実施例1〜16及びその比較例1〜4の記載(発明の詳細な説明の段落0029〜0037)を参酌しても、最大差し渡し長さがその上限450mmに近く、かつ最小差し渡し長さがその上限250mmに近い大型冷凍具材を含む冷凍具材を採用する調理済み冷凍食品が、どのような調理済み冷凍食品であるのかを理解することすらできず、…技術常識を参酌しても、請求項1〜4に係る発明の調理済み冷凍食品を得る手段が、当業者には不明である。」

第5 当審の判断
1.理由1(サポート要件違反)について
(1)サポート要件の判断手法
一般に『特許請求の範囲の記載が,明細書のサポート要件に適合するか否かは,特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し,特許請求の範囲に記載された発明が,発明の詳細な説明に記載された発明で,発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か,また,その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものであり,明細書のサポート要件の存在は,特許出願人(…)が証明責任を負うと解するのが相当である。』とされている〔平成17年(行ケ)10042号判決参照。〕。

(2)本件特許の特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載
本件特許の特許請求の範囲の記載は、上記第3に示したとおりである。
また、本件特許明細書の発明の詳細な説明には、次の記載がある。

摘示a:発明が解決しようとする課題
「【0006】本発明の課題は、冷凍状態で長期保存が可能で、解凍するだけで喫食可能状態となる調理済み冷凍食品であって、解凍後において大きめの具材を含む流動性食品が固形食品の上に見栄えよく配され、且つ解凍ムラが無く食感が良好な調理済み冷凍食品を提供することに関する。」

摘示b:冷凍具材のサイズ
「【0021】本発明の調理済み冷凍食品は、前記冷凍具材として、比較的大きめのサイズの冷凍具材、具体的には、最大差し渡し長さ10〜600mm且つ最小差し渡し長さ2〜400mmの大型冷凍具材を含む。調理済み冷凍食品にこのような大型冷凍具材が含まれていることで、該調理済み冷凍食品を解凍して得られる調理済み食品は、大型具材の歯ごたえなどが良好で、食感的に優れたものとなり、また、視覚的に目立ちやすい大型具材が流動性食品の表面上にバランスよく配されることを前提として、見栄えがよいものとなり得る。食感及び外観のさらなる向上の観点、及び解凍ムラの防止の観点から、本発明に係る大型冷凍具材の最大差し渡し長さは、好ましくは15〜500mm、さらに好ましくは20〜450mmであり、また、最小差し渡し長さは、好ましくは5〜300mm、さらに好ましくは20〜250mmである。最大差し渡し長さは、冷凍具材(大型冷凍具材)の平面視における差し渡し長さの最大値であり、最小差し渡し長さは、該平面視における差し渡し長さの最小値である。即ち、最大又は最小差し渡し長さは、冷凍具材を任意の方向に投影した場合の投影図における差し渡し長さの最大値又は最小値とも言える。」

摘示c:実施例及び比較例
「【0029】〔実施例1〜16及び比較例1〜4〕
図1に示す調理済み冷凍食品1と同様の冷凍スパゲッティを製造した。具体的には、先ず、市販の乾燥スパゲティを茹で調理し、その茹でスパゲッティをトレイ1個当たり200g盛り付けて、茹で麺の麺塊(固形食品)を得た。次いで、この麺塊の上に市販のミートソース(流動性食品、品温60℃における粘度が200Pa・s)を所定量、該麺塊の上面からこぼれないように盛り付けた後、さらに該ミートソースの上に、一辺が20mmの賽の目状のカット野菜(大型具材)を所定量盛り付けて、調理済みスパゲティ(調理済み食品)を得た。前記カット野菜は、ナスのへたを取って茹で調理したものを、賽の目状にカットしたものである。こうして得られた調理済みスパゲティを−35℃で凍結することで、冷凍麺塊(冷凍固形食品部)、冷凍ソース(冷凍流動性食品部)及び冷凍カット野菜(大型冷凍具材)を有する冷凍スパゲッティを製造した。
製造した冷凍スパゲティは、冷凍固形食品部の上面が平面視において直径150mmの円形状をなし、高さが35mmであった。また、この冷凍スパゲティにおいては、冷凍固形食品部の上面の面積の70%以上に冷凍流動性食品部が配されており、該冷凍流動性食品部の表面において大型冷凍具材が多数露出していた。
【0030】〔試験例〕
各実施例及び比較例の調理済み冷凍スパゲティを、ポリエチレン製の袋に入れて−35℃の冷凍庫内で3日間保存した後に該冷凍庫から取り出し、該袋ごと50cmの高さから落下させた。この調理済み冷凍スパゲティの落下操作を2回繰り返した後、該冷凍スパゲッティを、袋に入ったままの状態で電子レンジにより出力500Wで5分間解凍した。解凍後、袋からスパゲッティを取り出して外観観察を行うと共に喫食し、スパゲッティ(調理済み食品)の外観(具材の配置、食品全体の見栄え)及び食感(解凍性)を下記評価基準により評価した。評価は、各実施例及び比較例につき10個のサンプルを用意して行い、その10個のサンプルの評価点の平均値を、当該実施例又は比較例の評価結果とした。結果を下記表1及び表2に示す。…
【0034】【表1】


【0035】表1において実施例と比較例との対比から、解凍後において大きめの具材を含む流動性食品が固形食品の上に見栄えよく配され、且つ解凍ムラが無く食感が良好な調理済み冷凍食品を得るためには、冷凍固形食品部100質量部に対して、冷凍流動性食品部を70〜170質量部含有させることが有効であることがわかる。
【0036】【表2】


【0037】表2において実施例と比較例との対比から、解凍後において大きめの具材を含む流動性食品が固形食品の上に見栄えよく配され、且つ解凍ムラが無く食感が良好な調理済み冷凍食品を得るためには、冷凍流動性食品部100質量部に対して、大型冷凍具材を10〜100質量部含有させることが有効であることがわかる。」

摘示d:符号の説明及び図面
「【符号の説明】…
1 調理済み冷凍食品(冷凍スパゲティ)
2 冷凍固形食品部(冷凍麺塊)
3 冷凍流動性食品部(冷凍ソース)
4 冷凍具材
【図1】




(3)本件発明の解決しようとする課題
本件特許の請求項1〜4に係る発明の解決しようとする課題は、本件特許明細書の段落0006(摘示a)の記載を含む発明の詳細な説明の全体の記載からみて『冷凍状態で長期保存が可能で、解凍するだけで喫食可能状態となる調理済み冷凍食品であって、解凍後において大きめの具材を含む流動性食品が固形食品の上に見栄えよく配され、且つ解凍ムラが無く食感が良好な調理済み冷凍食品の提供』にあるものと認められる。

(4)判断
理由1(サポート要件違反)で指摘する記載不備の趣旨は『最大差し渡し長さがその上限450mmに近く、かつ最小差し渡し長さがその上限250mmに近い大型冷凍具材は、巨大なものであって、課題を解決できるものであるとは認識できない。』というものである。
そして、本件訂正により、訂正後の「冷凍具材」は「最大差し渡し長さ20〜35mm且つ最小差し渡し長さ20mmの大型冷凍具材」を含むものに改められているから、上記「巨大なもの」を根拠にした記載不備は解消したものと認められる。
さらに検討するに、本件訂正による訂正後の発明の詳細な説明の段落0029及び0034〜0037(摘示c)には、実施例1〜16として「一辺が20mmの賽の目状のカット野菜(大型具材)を所定量盛り付け」た「図1に示す調理済み冷凍食品1と同様の冷凍スパゲッティ」の具体例が記載され、その表1及び表2には、実施例1〜16のものが「具材の配置」と「食品全体の見栄え」と「食感」の3つの調理済み食品の評価(5点満点)において、十分な有用性(性能)を示すことが裏付けられているところ、当該「一辺が20mmの賽の目状」にカットされた具材は、立方体の形状にあるので、幾何学上の理論から、冷凍後に「最大差し渡し長さ35mm且つ最小差し渡し長さ20mm」のサイズを有する「大型冷凍具材」となる(令和4年5月18日付けの訂正請求書の第5頁参照。)。
してみると、訂正後の請求項1に記載の「最大差し渡し長さ20〜35mm且つ最小差し渡し長さ20mmの大型冷凍具材」を含む「調理済み冷凍食品」は、上記『冷凍状態で長期保存が可能で、解凍するだけで喫食可能状態となる調理済み冷凍食品であって、解凍後において大きめの具材を含む流動性食品が固形食品の上に見栄えよく配され、且つ解凍ムラが無く食感が良好な調理済み冷凍食品の提供』という課題を解決できると当業者が認識できる範囲にあるといえるから、本件特許の請求項1及び請求項1を直接又は間接的に引用する請求項2〜4の記載が、発明の詳細な説明において開示されている技術的事項の範囲を超えているとはいえない。
したがって、本件特許の請求項1〜4の記載が、特許法第36条第6項第1号に適合しないとはいえず、取消理由で指摘した理由1(サポート要件違反)に理由はない。

(5)指摘した点以外の不備について
指摘した点以外にサポート要件違反となる理由があるか否かについて検討するに、本件特許明細書の段落0034〜0035(摘示c)には、本件特許の請求項1の要件のすべてを満たす実施例1〜16の具体例が、上述のとおり「具材の配置」と「食品全体の見栄え」と「食感」の3つの調理済み食品の評価(5点満点)において、十分な有用性(性能)を示すことが具体的な試験結果によって裏付けられており、上記所定の課題を解決できると当業者が認識できる範囲にあるといえるので、本件特許の請求項1及び請求項1を直接又は間接的に引用する請求項2〜4の記載が、明細書のサポート要件を満たすことは明らかである。
したがって、本件特許の請求項1〜4の記載は、特許法第36条第6項第1号に適合する。

2.理由2(実施可能要件違反)について
理由2(実施可能要件違反)で指摘する記載不備の趣旨は『実施例1〜16及びその比較例1〜4の記載を参酌しても、最大差し渡し長さがその上限450mmに近く、かつ最小差し渡し長さがその上限250mmに近い大型冷凍具材を含む冷凍具材を採用する調理済み冷凍食品が、どのような調理済み冷凍食品であるのかを理解することすらできず、請求項1〜4に係る発明の調理済み冷凍食品を得る手段が、当業者には不明である。』というものである。
そして、本件訂正により、訂正後の「冷凍具材」は「最大差し渡し長さ20〜35mm且つ最小差し渡し長さ20mmの大型冷凍具材」を含むものに改められ、このようなサイズ範囲のものは、本件特許明細書の段落0029(摘示c)の記載にあるように、実施例1〜16の具体例として記載されている。
してみると、本件特許の発明の詳細な説明は、当業者が本1〜本4発明の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されたものではないとはいえないので、上記「最大差し渡し長さがその上限450mmに近く、かつ最小差し渡し長さがその上限250mmに近い大型冷凍具材を含む冷凍具材を採用する調理済み冷凍食品」が理解できないことを根拠にした記載不備は解消したものと認められる。
したがって、本件特許の発明の詳細な説明の記載が、特許法第36条第4項第1号に適合しないとはいえず、取消理由で指摘した理由2(実施可能要件違反)に理由はない。
さらに、その他に実施可能要件違反となる理由があるか否かについて検討するに、一般に『方法の発明における発明の実施とは,その方法の使用をすることをいい(特許法2条3項2号),物の発明における発明の実施とは,その物を生産,使用等をすることをいうから(同項1号),方法の発明については,明細書にその方法を使用できるような記載が,物の発明については,その物を製造する方法についての具体的な記載が,それぞれ必要があるが,そのような記載がなくても明細書及び図面の記載並びに出願当時の技術常識に基づき当業者がその方法を使用し,又はその物を製造することができるのであれば,上記の実施可能要件を満たすということができる。』とされているところ〔平成22年(行ケ)10348号判決参照。〕、本件特許明細書の段落0029には、実施例1〜16の具体例が記載されている。
してみると、本件特許の請求項1〜4に係る発明の「調理済み冷凍食品」という物の発明について「その物を製造する方法についての具体的な記載」がなされているので、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載は、実施可能要件を満たすということができる。
したがって、本件特許の発明の詳細な説明の記載は、特許法第36条第4項第1号に適合する。

3.取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
(1)申立理由1(サポート要件違反)について
ア 不備1:巨大な塊について
上記1.(4)に示したように、本件訂正により、訂正後の「冷凍具材」は「最大差し渡し長さ20〜35mm且つ最小差し渡し長さ20mmの大型冷凍具材」を含むものに改められたので、当該「巨大な塊」を根拠にした理由は解消したものと認められる。
したがって、不備1(巨大な塊)の理由によっては、本件特許がサポート要件に違反してなされたものであるとはいえない。

イ 不備2:実施例8〜10について
本件特許明細書の段落0036(摘示c)に記載の実施例8〜10のものは、その「調理済み食品の評価」の各項目において、四捨五入した場合に『不良(2点)』又は『非常に不良(1点)』になるものが皆無であるのに対して、比較例1〜4のものは、各項目において、四捨五入した場合に『不良(2点)』又は『非常に不良(1点)』になるものが存在するので、実施例8〜10の評価結果が、比較例1〜4と同等又はそれ以下であるとはいえない。
してみると、当該「実施例8〜10は、評価結果が比較例1〜4と同等又はそれ以下」との主張は、その前提に誤りがあるといわざるを得ない。
したがって、不備2(実施例8〜10)の理由によっては、本件特許がサポート要件に違反してなされたものであるとはいえない。

ウ 令和4年6月29日付けの意見書の主張について
令和4年6月29日付けの意見書の第5頁で、特許異議申立人は『どこから見ても最大差し渡し長さ20〜35mm且つ最小差し渡し長さ20mmである場合には、例えば、長径35mm、短径20mmの楕円体状の具材も含まれる可能性があるが、本件明細書の発明の詳細な説明には、「一辺が20mmの賽の目状にカットした茹でたナスをミートソース上に盛り付けた冷凍スパゲティ」が記載されているのみで、それ以外の形状・サイズの大型冷凍具材については、何ら記載されておらず、訂正発明1の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとは認められない。』という旨の主張をしている。
しかしながら、訂正後の請求項1に記載の「最大差し渡し長さ20〜35mm且つ最小差し渡し長さ20mmの大型冷凍具材」という冷凍具材のサイズの数値範囲が、不当に広すぎるといえる合理的な理由は見当たらず、実施例1〜16で用いられた「一辺が20mmの賽の目状のカット野菜(大型具材)」で裏付けられた有用性(性能)の試験結果を、上記「長径35mm、短径20mmの楕円体状の具材」にまで拡張ないし一般化できないとする合理的な理由も見当たらないので、上記意見書の主張は採用できない。

エ 申立理由1(サポート要件違反)のまとめ
以上総括するに、本件特許の請求項1及びその従属項に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載されたものではないとはいえないので、本件特許の請求項1〜4の記載が、特許法第36条第6項第1号に適合しないとはいえず、特許異議申立人が主張する申立理由1(サポート要件違反)に理由はない。

(2)申立理由2(明確性要件違反)について
ア 不備3:差し渡し長さについて
本件特許明細書の段落0021(摘示b)の「即ち、最大又は最小差し渡し長さは、冷凍具材を任意の方向に投影した場合の投影図における差し渡し長さの最大値又は最小値とも言える。」との記載における「任意の方向に投影した場合の投影図」との記載からみて、本件特許の請求項1の「最大差し渡し長さ20〜35mm且つ最小差し渡し長さ20mmの大型冷凍具材」とは、上記(1)エの「どこから見ても最大差し渡し長さ20〜35mm且つ最小差し渡し長さ20mmである場合」のものを意味すると普通に解せる。
してみると、本件特許の請求項1に記載された「最大差し渡し長さ」と「最小差し渡し長さ」の値の定義が「第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確である」とはいえない。

イ 令和4年6月29日付けの意見書の主張について
令和4年6月29日付けの意見書の第3頁で、特許異議申立人は『冷凍食品には、賽の目状(立方体)だけでなく、様々な形状の具材が用いられており、例えば下記図Aに示す剥きエビのような複雑な形状のものや、下記図Bに示す三角錐状にカットされたもの、下記図Cに示すような円錐台形状の具材ものなどは、「差し渡し長さ」が最大となる箇所及び最小となる箇所をどこにすればよいか不明である。』という旨の主張をしている。
しかしながら、例えば、厚みが20mm未満の具材(ハムや海苔など)を20mm×20mmの正方形の面でカットした具材は、その厚みが20mm未満であることから「最小差し渡し長さ20mm」の要件を満たさないことは明らかであり、同様に、厚みが22mm以上の具材を20mm×20mmの正方形の面でカットした具材は、その立方体の対角線の長さが36mm以上となることから「最大差し渡し長さ20〜35mm」の要件を満たさなくなることが明らかである。
また、一辺の長さが24.5mmの正四面体(三角錐)の場合、その「最大差し渡し長さ」は一辺の長さ24.5mmと等しく、その「最小差し渡し長さ」は幾何学上の理論から計算可能な正四面体の高さ20mmと等しくなることから、一辺の長さが24.5mm以外の正四面体は全て「最小差し渡し長さ20mm」の要件を満たさなくなることが明らかである。
してみると、特許異議申立人が主張する図A〜Cを包含する、各種の立体形状について、任意の方向に投影した場合の投影図における差し渡し長さの最大値と最小値は、明確に把握できるといえるから、本1発明の「最大差し渡し長さ20〜35mm且つ最小差し渡し長さ20mmの大型冷凍具材」という発明特定事項が「第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確である」とはいえず、上記意見書の主張は採用できない。

ウ 申立理由2(明確性要件違反)のまとめ
以上総括するに、本件特許の請求項1に記載された発明が、明確ではないとはいえないので、本件特許の請求項1及びその従属項の記載が、特許法第36条第6項第2号に適合しないとはいえず、特許異議申立人が主張する申立理由2(明確性要件違反)に理由はない。

(3)申立理由3(実施可能要件違反)について
ア 不備4:大きな塊状のものについて
上記2.に示したように、本件訂正により、訂正後の「冷凍具材」は「最大差し渡し長さ20〜35mm且つ最小差し渡し長さ20mmの大型冷凍具材」を含むものに改められている。
そして、このようなサイズ範囲のものは、本件特許明細書の段落0029(摘示c)の記載にあるように、実施例1〜16の具体例として記載されている。
してみると、当該「大きな塊状のもの」を根拠にした理由は解消したものと認められる。
したがって、不備4(大きな塊状のもの)の理由によっては、本件特許が実施可能要件に違反してなされたものであるとはいえない。

イ 令和4年6月29日付けの意見書の主張について
令和4年6月29日付けの意見書の第6頁で、特許異議申立人は『冷凍食品には様々な形状の具材が用いられるが、賽の目状(立方体)以外の形状の具材については「最大差し渡し長さ」及び「最小差し渡し長さ」がどの部分の長さを指すのかについての記載がないから、実施可能要件に違反する』という旨の主張をしている。
しかしながら、上記(2)イに示したように、本件特許明細書の段落0021(摘示b)の「即ち、最大又は最小差し渡し長さは、冷凍具材を任意の方向に投影した場合の投影図における差し渡し長さの最大値又は最小値とも言える。」との記載からみて、本件特許の請求項1の「最大差し渡し長さ20〜35mm且つ最小差し渡し長さ20mmの大型冷凍具材」とは、上記(1)ウの「どこから見ても最大差し渡し長さ20〜35mm且つ最小差し渡し長さ20mmである場合」のものを意味すると普通に解せる。
してみると、様々な形状の具材であっても、その「最大差し渡し長さ」及び「最小差し渡し長さ」がどの部分の長さを指すのかは当業者にとって自明であるということができ、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確とはいえず、上記意見書の主張は採用できない。

ウ 申立理由3(実施可能要件違反)のまとめ
以上総括するに、本件特許の発明の詳細な説明は、当業者が本1〜本4発明の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されたものといえるので、本件特許の発明の詳細な説明の記載が、特許法第36条第4項第1号に適合しないとはいえず、特許異議申立人が主張する申立理由3(実施可能要件違反)に理由はない。

(4)申立理由4(進歩性違反)について
ア 甲第1〜5号証の記載事項
甲第1号証には、次の記載がある。
摘記1a:請求項1
「【請求項1】冷凍されてなる調味液層である第1層と、
前記第1層の上に積層され、少なくとも複数の固形具材を有する第2層と、を含み、
前記第2層は、前記第1層の上に装飾的に載置される
冷凍食品。」

摘記1b:段落0065〜0071及び0081〜0083
「【0065】(実施の形態2)
本実施の形態に係る冷凍食品は、実施の形態1の冷凍食品100と主食材塊とを積層した構成である。図6を用いて、本実施の形態に係る冷凍食品500を説明する。なお、上述したように、本実施の形態に係る冷凍食品500の一例としてパスタについて説明する。
【0066】[2−1.構成]
本実施の形態では、実施の形態1と異なる部分のみを説明し、実施の形態1と同一の部分については説明を省略する。図6は、実施の形態2に係る冷凍食品500の一例を示す断面図である。なお、図6に示すように、第1層10及び第2層20は実施の形態1と同様であり、主食材塊1000が設けられている点が実施の形態1と異なる。本実施の形態では、主食材塊1000はパスタである。なお、パスタは特に限定はなく、ゆでパスタでも生パスタでもよい。また、主食材塊1000を構成する食品の形状は特に限定されない。主食材塊1000を構成する食品の形状は、例えば、パスタであれば、スパゲッティ、マカロニ又はラザニア等があげられる。また、主食材塊1000は、例えば、クスクスのように粒状の食品であってもよい。
【0067】また、本実施の形態では、冷凍食品100が主食材塊1000に積層される構成であるが、積層される冷凍食品はこれに限定されない。例えば、冷凍食品は実施例1〜3で説明した冷凍食品200、300、400でもよいし、それ以外でもよい。例えば、後述する実施例4及び実施例5の構成であってもよい。つまり、本実施の形態の冷凍食品は、主食材塊1000と調味液層である第1層10と第2層20とが積層され形成されている冷凍食品であればよい。なお、ここで層状とは、各層が完全に分離され積層されている構成以外に、図6に示すように層の一部(第1層10)が他の層(主食材塊1000)を覆っている構成も含む。また、第1層10の一部が主食材塊1000の内部に浸透し第1層10と主食材塊1000とが混在する層が存在する場合があるが、これも本実施の形態の層状に含まれる。
【0068】図6に示すように、主食材塊1000は、第1層10の下側(図6におけるZ軸の負方向)に積層されている。つまり、冷凍食品500は、下側から、主食材塊1000、第1層10及び第2層20の順に積層されている。ここで、第1層10と接している主食材塊1000の面を、主食材塊1000の上面(主食材塊1000におけるZ軸の正方向側の面)とする。また、主食材塊1000と、第1層10及び第2層20との重量比は特に限定されない。
【0069】主食材塊1000の輪郭は、平面視において、例えば、第1層10と同じ形状である。本実施の形態では、第1層10及び主食材塊1000の輪郭は略円形である。なお、第1層10及び主食材塊1000の形状は、これに限定されない。例えば、方形、三角形、又はその他の略多角形であってもよい。また、上記の形状の組み合わせから形成されていてもよい。第1層10及び主食材塊1000の形状は、別々の形状であってもよい。
【0070】また、本実施の形態では第1層10は主食材塊1000の上面だけではなく、側面の一部を覆っている。なお、これに限定されず、第1層10は主食材塊1000の上面を覆っていればよい。
【0071】なお、本考案に係る冷凍食品の主食材塊1000としてパスタについて説明したが、上記に示すように主食材塊1000はパスタに限定されない。主食材塊1000は、穀物を主成分とする食品であればよい。例えば、主食材塊1000は、ご飯、麺類、お好み焼き又はホットケーキなどであってもよい。主食材塊1000がご飯である場合、冷凍食品としては、例えば、冷凍カレー、冷凍丼物、冷凍ドリアなどである。例えば、冷凍食品が冷凍カレーである場合、第1層がカレーソースであり、第2層が肉、じゃがいも又は人参などの固形具材となる。主食材塊1000がうどんである場合、冷凍食品としては、例えば冷凍うどんなどである。例えば、冷凍食品が冷凍うどんである場合、第1層がうどんのスープであり、第2層が油揚げ、かき揚げ、ねぎ、かまぼこ、又は天かすなどの固形具材となる。主食材塊1000がお好み焼きである場合、冷凍食品としては冷凍お好み焼きなどである。例えば、冷凍お好み焼きである場合、第1層がお好み焼きのソース又はマヨネーズ、第2層が鰹節若しくは青のりなどの固形具材、又はねりからしなどのソースである。また、主食材塊1000がホットケーキなどの場合においても、同様である。…
【0081】次に、図7及び図8を用いて実施の形態2に係る冷凍食品の他の例を実施例として説明する。なお、これらの実施例は実施の形態2のさらなる理解の助けを目的とするものであり、本考案は、以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例4】
【0082】図7は、実施の形態2に係る冷凍食品の他の一例を示す斜視図である。図7に示すように、冷凍食品600は、第1層510、第2層520、及び主食材塊1000を有する。第1層510は、ホワイトソースである。第2層520は、固形具材540を有している。…
【0083】また、固形具材540それぞれの食材について説明する。例えば、長方形具材540aは長方形にカットされたかぼちゃである。例えば、くし形具材540bは略くし形にカットされたトマトである。例えば、円形具材540cは略円形にスライスされたハムである。」

摘記1c:図6〜図7
「【図6】

【図7】



甲第2号証には、次の記載がある。
摘記2a:段落0022〜0023
「【0022】…実施例2−1〜2−15
茹でうどん、冷しうどんの液状タレ(Brix20%)、具及び1個あたり5〜20gの小塊状氷を用意し、表2に示す組成となるように選択し、各々を冷凍した。尚、具は短冊切りしたハムを用い、タレ中に冷凍されるように同時に冷凍した。続いて、図1に示す形態となるようにポリエチレン製の袋に入れ、冷しうどん用包装冷凍食品を製造した。…
【0023】【表2】



甲第3号証には、次の記載がある。
摘記3a:段落0035及び0044〜0046
「【0035】…調味液としては、例えば、ミートソース等のソース類、麺つゆ、中華風等のスープ等が用いられ、これらは具材を含んでいてもよい。…
【0044】…(実施例3)
常法により得られたうどん(太さ3mm)を10分間茹でた後、水洗して冷却した。そして、水切りした茹で麺を200gずつ計量して小分けにし、各々を、底面が円筒形(直径120mm)のプラスティック製の凍結用トレーに入れた。
【0045】一方、所定の方法により調理した肉うどん用スープを250gずつ計量して小分けにし、各々を、前述の麺凍結用トレーよりも小さな大きさを有するトレー、すなわち前述の麺凍結用トレーにほぼ相似なプラスティック製の凍結用トレー(直径100mm)に入れた。そして、これをトレーごと急速冷凍して凍結させた。
【0046】麺凍結用トレー内において麺塊が均一な厚さになるように平らにならした後、麺塊上面に、スープ凍結用トレーから取り出した前述の肉うどん用凍結スープ(調味液塊2)を載せた。ここでは、図1および図2に示すように、麺塊1の外周からほぼ等距離に位置し麺塊1の上面全体をほぼ均一に覆うように肉うどん用凍結スープ(調味液塊2)を配置した。次に、凍結スープ(調味液塊2)が載った麺塊をトレーごと急速冷凍し、図1,2に示すように、凍結させた麺塊(すなわち麺塊1)の上に凍結スープ(調味液塊2)が配置されてなる冷凍肉うどんを得た。」

甲第4号証には、次の記載がある。
摘記4a:請求項1
「【請求項1】脂肪含量が10〜17%であって、加熱調理直後90℃、及び30℃に冷却後におけるホワイトソースの粘度がいずれも10〜25pを示すことを特徴とする滑らかな食感を有するホワイトソース。」

甲第5号証には、次の記載がある。
摘記5a:請求項1
「【請求項1】具材を除くソース部全体に対し、卵黄を生卵黄換算で1.0%以上、チーズをナチュラルチーズ換算で1.0%以上含有したカルボナーラ用レトルトソースであって、キサンタンガムを含有し、ソース部の粘度が品温60℃において3.5Pa・s以下であることを特徴とするカルボナーラ用レトルトソース。」

イ 甲第1号証に記載された発明
摘記1aの「冷凍されてなる調味液層である第1層と、前記第1層の上に積層され、少なくとも複数の固形具材を有する第2層と、を含み、前記第2層は、前記第1層の上に装飾的に載置される冷凍食品。」との記載、
摘記1bの「図6に示すように、…冷凍食品500は、下側から、主食材塊1000、第1層10及び第2層20の順に積層されている。…主食材塊1000と、第1層10及び第2層20との重量比は特に限定されない。…本実施の形態では第1層10は主食材塊1000の上面だけではなく、側面の一部を覆っている。なお、これに限定されず、第1層10は主食材塊1000の上面を覆っていればよい。…主食材塊1000がご飯である場合、冷凍食品としては、例えば、冷凍カレー、冷凍丼物、冷凍ドリアなどである。例えば、冷凍食品が冷凍カレーである場合、第1層がカレーソースであり、第2層が肉、じゃがいも又は人参などの固形具材となる。」との記載、及び
摘記1cの図6の記載からみて、甲第1号証には、
『下側から、主食材塊1000(例えば、ご飯)、第1層10(例えば、カレーソース)及び第2層20(例えば、ジャガイモ又はにんじんなどの固形具材)の順に積層され、主食材塊1000と、第1層10及び第2層20との重量比は特に限定されず、第1層10は主食材塊1000の上面だけではなく側面の一部を覆っている、冷凍食品500(例えば、冷凍カレー)。』についての発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているといえる。

ウ 対比
本1発明と甲1発明とを対比する。
甲1発明の「主食材塊1000(例えば、ご飯)」は、甲1発明の「冷凍食品500(例えば、冷凍カレー)」を構成する食材の各々が「冷凍」されて冷凍固化していることが明らかであることから、本1発明の「固形食品を冷凍固化してなる冷凍固形食品部」に相当する。
甲1発明の「第1層10(例えば、カレーソース)」は、甲1発明の「冷凍食品500(例えば、冷凍カレー)」を構成する食材の各々が「冷凍」されて冷凍固化していることが明らかであることから、本1発明の「流動性食品を冷凍固化してなる冷凍流動性食品部」に相当する。
甲1発明の「第2層20(例えば、ジャガイモ又はにんじんなどの固形具材)」は、甲1発明の「冷凍食品500(例えば、冷凍カレー)」を構成する食材の各々が「冷凍」されて冷凍固化していることが明らかであることから、本1発明の「具材を冷凍固化してなる冷凍具材」に相当する。
甲1発明の「主食材塊1000(例えば、ご飯)、第1層10(例えば、カレーソース)及び第2層20(例えば、ジャガイモ又はにんじんなどの固形具材)の順に積層され」た「冷凍食品500(例えば、冷凍カレー)」は、その図6の層構成からみて、第2層の固形具材が、表面において露出していることが明らかであるから、本1発明の「該冷凍固形食品部の上に該冷凍流動性食品部が重ねて配され、該冷凍流動性食品部の表面において該冷凍具材が露出している調理済み冷凍食品」に相当する。
甲1発明の「第1層10は主食材塊1000の上面だけではなく側面の一部を覆っている」は、当該「主食材塊1000の上面」の全て(100%)が「第1層10」によって覆われていることが明らかであるから、本1発明の「前記冷凍固形食品部の上面の面積の70%以上に前記冷凍流動性食品部が配されている」に相当する。

してみると、本1発明と甲1発明は『固形食品を冷凍固化してなる冷凍固形食品部と、流動性食品を冷凍固化してなる冷凍流動性食品部と、具材を冷凍固化してなる冷凍具材とを有し、該冷凍固形食品部の上に該冷凍流動性食品部が重ねて配され、該冷凍流動性食品部の表面において該冷凍具材が露出している調理済み冷凍食品であって、
前記冷凍固形食品部の上面の面積の70%以上に前記冷凍流動性食品部が配されている調理済み冷凍食品。』という点において一致し、次の(α)〜(γ)の3つの点において相違する。

(α)冷凍具材が、本1発明においては「最大差し渡し長さ20〜35mm且つ最小差し渡し長さ20mmの大型冷凍具材を含」むのに対して、甲1発明においては、その「最大差し渡し長さ」及び「最小差し渡し長さ」が特定されていない点。
(β)冷凍固形食品部に対する冷凍流動性食品部の質量比が、本1発明においては「前記冷凍固形食品部100質量部に対して、前記冷凍流動性食品部を70〜170質量部」有するものとされているのに対して、甲1発明においては「主食材塊1000と、第1層10及び第2層20との重量比は特に限定されず」とされている点。
(γ)冷凍流動性食品部に対する大型冷凍具材の質量比が、本1発明においては「前記冷凍流動性食品部100質量部に対して、前記大型冷凍具材を10〜100質量部」有するものとされているのに対して、甲1発明においては「主食材塊1000と、第1層10及び第2層20との重量比は特に限定されず」とされている点。

エ 判断
(ア)相違点(α)について
甲第1号証には、甲1発明の「第2層20(例えば、ジャガイモ又はにんじんなどの固形具材)」で用いられている「固形具材」の具体的なサイズについては、示唆を含めて記載がなく、例えば、甲第1号証の図7の実施の態様で用いられている、長方形にカットされたカボチャ(長方形具材540a)や、略くし形にカットされたトマト(くし形部材540b)や、略円形にスライスされたハム(円形具材540c)のサイズについて、カボチャやトマトやハムのカットサイズとして、これらのものが「最大差し渡し長さ20〜35mm且つ最小差し渡し長さ20mm」を満たすようにカットされている(どこから見ても最大差し渡し長さ20〜35mm且つ最小差し渡し長さ20mmとなるようにカットされている)といえる技術的な根拠や技術常識の存在も見当たらない。
そして、甲第2号証の段落0023の表2(摘記2a)には、実施例2−4として、うどん(本1発明の「冷凍固形食品部」に相当)250gに対して、タレ(本1発明の「冷凍流動性食品部」に相当)100gと、具(本1発明の「冷凍具材」に相当)40gを用いたものや、実施例2−15として、うどん120gに対して、タレ180gと、具40gを用いたものなどが記載されているものの、タレ中に冷凍されるように同時に冷凍された具(短冊切りしたハム)のカットサイズについては、示唆を含めて記載がなく、
甲第3号証の段落0046(摘記3a)には「凍結させた麺塊(すなわち麺塊1)の上に凍結スープ(調味液塊2)が配置されてなる冷凍肉うどん」が記載され、同段落0035(摘記3a)には、調味液が「具材」を含んでいてもよいことが記載されているものの、当該「具材」のサイズについては、示唆を含めて記載がなく、
甲第4号証には「30℃に冷却後におけるホワイトソースの粘度」が「10〜25pを示す」ことについて記載され、甲第5号証には「ソース部の粘度が品温60℃において3.5Pa・s以下であること」についての記載はあるものの、冷凍具材のサイズについては、示唆を含めて記載がない。
してみると、上記(α)の相違点に係る構成を導き出すことが、当業者にとって容易であるとはいえない。

(イ)本1発明の効果について
本件特許明細書の段落0021(摘示b)には「大型冷凍具材が含まれていることで、該調理済み冷凍食品を解凍して得られる調理済み食品は、大型具材の歯ごたえなどが良好で、食感的に優れたものとなり、また、視覚的に目立ちやすい大型具材が流動性食品の表面上にバランスよく配されることを前提として、見栄えがよいものとなり得る。」という効果が示されている。そして、このような効果は本1発明の「最大差し渡し長さ20〜35mm且つ最小差し渡し長さ20mm」という大きさの「冷凍具材」を用いることで得られるものであり、このような効果は、甲第1〜5号証の記載及び技術常識から想定できる効果との対比において、予測できるといえないし、顕著なものである。

(ウ)令和4年6月29日付けの意見書の主張について
令和4年6月29日付けの意見書の第6〜7頁で、特許異議申立人は『甲第1号証(実用新案登録第3205670号公報)には、冷凍食品の具材として「略円形にスライスされたハム、略くし形にカットされたトマト、空豆、略星形にスライスされた人参、ブロッコリーの小房、薄く輪切りにされたズッキーニ等」を用いることが記載されている。甲第1号証には具材のサイズは明記されていないが、少なくとも空豆やブロッコリーの小房は「最大差し渡し長さ20〜35mm且つ最小差し渡し長さ20mmの大型冷凍具材」に該当する可能性が高い。』という旨の主張をしている。
しかしながら、当該「空豆やブロッコリーの小房」が「最大差し渡し長さ20〜35mm且つ最小差し渡し長さ20mmの大型冷凍具材」に該当することを裏付ける具体的な証拠は何ら提示されていないので、上記意見書の主張は採用できない。

(エ)まとめ
以上総括するに、本1発明は、甲1発明及び周知技術(甲第2〜5号証)に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるとはいえない。

オ 本2〜本4発明について
本2〜本4発明は、本1発明を直接又は間接的に引用し、さらに限定したものであるから、上記エに示したように、本1発明の進歩性が甲1発明及び周知技術(甲第2〜5号証)によって否定できない以上、本2〜本4発明が、甲第1号証に記載された発明及び周知技術(甲第2〜5号証)に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえず、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるとはいえない。

第6 むすび
以上のとおり、取消理由通知に記載した取消理由、並びに特許異議申立人が申し立てた理由及び証拠によっては、訂正後の請求項1〜4に係る発明の特許を取り消すことができない。
また、ほかに訂正後の請求項1〜4に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。

 
発明の名称 (54)【発明の名称】調理済み冷凍食品
【技術分野】
【0001】
本発明は、解凍するだけで喫食可能状態となる調理済み冷凍食品に関し、詳細には、麺などの固形主食材の上に具材を含む流動性副食材が配された調理済み食品の冷凍固化物に関する。
【背景技術】
【0002】
冷凍食品は、保存料を使用しなくても保存中に品質低下が少なく、長期保存が可能な食品であり、その利便性の良さが多くの消費者に支持されている。冷凍食品には、単に未調理の食品素材を凍結したものも存在するが、近年は核家族化、個食化の進展などを背景に、電子レンジなどの加熱調理器を用いて加熱調理するだけで簡単に喫食状態にすることが可能な、いわゆるレディトゥイートな調理済み冷凍食品の需要が急伸している。また、冷凍技術の発達により、調理済み冷凍食品の種類は多様化しており、ご飯や麺等の主食材のみならず、主食材と各種おかずなどの副食材とが互い分離した状態で並べて配置された分離タイプ、あるいは、ソース載せスパゲティやカレーライスに代表される、固形主食材の上にソース・あん・たれなどの流動性副食材が配された一体化タイプが存在する。前者の分離タイプは一般に、容器内に設けられた複数の区画それぞれに主食材又は副食材が種類ごとに配置されているところ、このような配置形態の冷凍食品は、電子レンジで解凍処理した際に解凍ムラが発生しやすく、一部の食材が過加熱となる一方で、他の一部の食材が加熱不十分でほぼ未解凍となるなどの不都合が生じるおそれがある。これに対し、後者の一体化タイプ(例えば特許文献1及び2参照)は、主食材と副食材とが重なり合って一体となっているために、電子レンジで解凍処理しても解凍ムラが発生し難く、解凍後の食感にも総じて優れている。
【0003】
また、調理済み冷凍食品は、食感などの喫食時の品質のみならず、喫食前の外観も重要であり、解凍前及び解凍後の双方において、各種食材が見栄えよく配置されていることが望ましい。例えば、市販の調理済み冷凍食品のパッケージには通常、喫食状態の食品が見栄えよく印刷されており、消費者は、そのパッケージの食品見本から喫食時の食品の外観の良否を判断して購入する場合が少なくないところ、解凍後の食品の外観がパッケージの食品見本から大きくかけ離れたものであると、消費者に大きな失望感を与え、食品製造会社の信用低下にも繋がり得る。この点、固形主食材の上にソースなどの流動性副食材が配された一体化タイプの調理済み食品の冷凍固化物の場合、解凍前においては、固形主食材の冷凍固化物の上に流動性副食材の冷凍固化物が見栄えよく配置されていても、解凍後においては、解凍処理により流動性を有するようになった流動性副食材が固形主食材の上から流れ落ち、これを見る者に乱雑な印象を与え、見栄えが非常に悪くなるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−31397号公報
【特許文献2】特開2005−171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
麺などの固形主食材の上にソースなどの流動性副食材が配された一体化タイプの調理済み食品の冷凍固化物において、その流動性副食材にカットした野菜や肉などの具材が含まれている場合、とりわけ、その具材が比較的サイズの大きな大型具材である場合、小型具材を使用した場合よりも食感及び外観などの品質面での向上が期待できる一方で、具材の大きさが徒となって品質低下を招くことが懸念される。即ち、大型具材を含む調理済み冷凍食品においては、流動性副食材の冷凍固化物の表面から大型具材の冷凍固化物の一部が比較的大きく突出しているため、冷凍保存中に大型具材が脱落・破損しやすく、前記の食品の見栄えの問題がより深刻化する傾向があり、さらには、電子レンジなどで加熱解凍したときに大型具材に解凍ムラが発生しやすく、食感の低下が顕著に現れやすい。
【0006】
本発明の課題は、冷凍状態で長期保存が可能で、解凍するだけで喫食可能状態となる調理済み冷凍食品であって、解凍後において大きめの具材を含む流動性食品が固形食品の上に見栄えよく配され、且つ解凍ムラが無く食感が良好な調理済み冷凍食品を提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、固形食品を冷凍固化してなる冷凍固形食品部と、流動性食品を冷凍固化してなる冷凍流動性食品部と、具材を冷凍固化してなる冷凍具材とを有し、該冷凍固形食品部の上に該冷凍流動性食品部が重ねて配され、該冷凍流動性食品部の表面において該冷凍具材が露出している調理済み冷凍食品であって、前記冷凍具材は、最大差し渡し長さ10〜600mm且つ最小差し渡し長さ2〜400mmの大型冷凍具材を含み、前記冷凍固形食品部100質量部に対して、前記冷凍流動性食品部を70〜170質量部有し、前記冷凍流動性食品部100質量部に対して、前記大型冷凍具材を10〜100質量部有する調理済み冷凍食品である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の調理済み冷凍食品は、冷凍状態で長期保存が可能であり、また、解凍するだけで喫食可能状態即ち調理済み食品となり、しかも、その調理済み食品においては、大きめの具材を含む流動性食品が固形食品の上に見栄えよく配され、且つ解凍ムラが無く食感が良好である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の調理済み冷凍食品の一実施形態である冷凍スパゲティの模式的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の調理済み冷凍食品は、冷凍固形食品部、冷凍流動性食品部及び冷凍具材を有し、該冷凍固形食品部の上に該冷凍流動性食品部が重ねて配され、該冷凍流動性食品部の表面において該冷凍具材が露出している。本発明の調理済み冷凍食品は、電子レンジなどの加熱調理器を用いて常法に従って解凍するだけの簡単な作業で、喫食可能状態即ち調理済み食品となる。
【0011】
本発明に係る冷凍固形食品部は、固形食品を冷凍固化してなるもの、即ち固形食品の冷凍固化物である。前記固形食品は、そのままの状態で喫食可能な食品であり、喫食可能状態において非流動性の固形部分を含む食品であればよく、また、1種類の食材から構成されていてもよく、複数種の食材から構成されていてもよい。前記固形食品として典型的なものは、食事の中心となる食品即ち主食材であり、具体的には、米飯、麺及びベーカリー食品が挙げられる。前記固形食品は、米飯、麺及びベーカリー食品の1種のみから構成されていてもよく、これらの2種以上を含んで構成されていてもよい。
【0012】
前記固形食品としての米飯の種類は特に限定されず、例えば、白飯、赤飯、炒飯が挙げられる。前記固形食品としての米飯は、通常少なくとも、生米に炊飯又は蒸煮などの加水加熱処理を施したものである。
【0013】
前記固形食品としての麺の種類は特に限定されず、例えば、スパゲッティ、マカロニ等のパスタ;うどん、ひやむぎ、そうめん、平めん、日本蕎麦、中華麺;鮫子、焼売、春巻き、ワンタンの皮等の麺皮類が挙げられる。前記固形食品としての麺は、通常、茄で調理などの加熱調理によってα化されたα化麺である。
【0014】
前記固形食品としてのベーカリー食品は、小麦粉などの穀粉を主体とし、これに必要に応じてイーストや膨張剤、水、食塩、砂糖などの副材料を加えて得られた発酵又は非発酵生地を、焼成、蒸し、フライ等の加熱処理に供して得られる食品である。前記固形食品としてのベーカリー食品の種類は特に限定されず、例えば、食パン、ロールパン、白パン、黒パン、フランスパン、コッペパン、クロワッサン、蒸しパン等のパン類;スポンジケーキ、バターケーキ、ロールケーキ、ホットケーキ、ブッセ、バームクーヘン、パウンドケーキ、チーズケーキ、スナックケーキ、マプイン、バー、クッキー、パンケーキ等のケーキ類;ピザの台;ワッフル、シュー、ビスケット、どら焼き、焼き饅頭等の和洋焼き菓子;ドーナツ等の揚げ菓子が挙げられる。
【0015】
本発明に係る冷凍流動性食品部は、流動性食品を冷凍固化してなるもの、即ち流動性食品の冷凍固化物である。前記流動性食品は、そのままの状態で喫食可能な食品であり、喫食可能状態において流動性を有する部分を含む食品であればよく、一部に固形物を含んでいてもよい。また、1種類の食材から構成されていてもよく、複数種の食材から構成されていてもよい。前記流動性食品として典型的なものは、主食材たる前記固形食品と共に食される副食材であり、具体的には例えば、ソース、ルー、あん、たれ、つゆ、クリーム、ディップなどと呼ばれるものである。例えば、前記固形食品が米飯の場合に併用される前記流動性食品として、カレーソース(この場合、調理済み食品はカレーライス)、シチュー(この場合、調理済み食品はシチューライス)が挙げられる。また、調理済み食品がスパゲティ又はパスタの場合において、前記固形食品が麺の場合に併用される前記流動性食品として、ミートソース、ナポリタンソース、アラビアータソース等のトマト系ソース、カルボナーラソース等のホワイト系ソース、ブラウン系ソースが挙げられる。
【0016】
本発明の調理済み冷凍食品の解凍後の品質(外観、食感)のさらなる向上の観点から、前記流動性食品としては、品温即ち該流動性食品の温度50〜80℃における粘度が0.2〜500Pa・s、特に0.4〜30Pa・sの範囲にあるものが特に好ましい。ここでいう粘度は、B型粘度測定器(例えば、東機産業社製「TVB−20L」)を用いて常法に従って測定される粘度である。尚、粘度の測定対象たる前記流動性食品の品温を50〜80℃としたのは、前記流動性食品の一般的な喫食温度帯を想定したものである。
【0017】
本発明に係る冷凍具材は、具材を冷凍固化してなるもの、即ち具材の冷凍固化物である。前記具材は、そのままの状態で喫食可能な食品であり、喫食可能状態において塊状の固形物を含む食品であればよく、また、1種類の食材から構成されていてもよく、複数種の食材から構成されていてもよい。前記具材として典型的なものは、野菜類、畜肉類、魚介類である。前記具材の形状、大きさは特に限定されず、比較的大きな塊状でも細片でもよいが、見栄えの点からは、塊状の形状が好ましい。前記具材は例えば、塊状の肉や野菜、あるいは、挽き肉、微塵切り野菜であり得る。
【0018】
図1には、本発明の調理済み冷凍食品の一実施形態が示されている。図1に示す調理済み冷凍食品1は、冷凍麺類より具体的には冷凍スパゲティであり、電子レンジなどの加熱調理器を用いて常法に従って解凍するだけの簡単な作業で、喫食可能状態即ち調理済み食品たるスパゲティとなる。調理済み冷凍食品1は、前記固形食品たる茄で麺の麺塊を冷凍固化してなる冷凍麺塊である冷凍固形食品部2と、前記流動性食品たるソースを冷凍固化してなる冷凍ソースである冷凍流動性食品部3と、前記具材を冷凍固化してなる冷凍具材4とを有し、冷凍固形食品部2の上に冷凍流動性食品部3が重ねて配され、冷凍流動性食品部3の表面において冷凍具材4が露出している。調理済み冷凍食品1を構成する各部(冷凍固形食品部2、冷凍流動性食品部3、冷凍具材4)は相互に結合し一体化している。
【0019】
冷凍固形食品部2は平面視(上面視)において略円形状をなし、その略円形状の上面が、冷凍流動性食品部3の配置部とされる。この冷凍固形食品部2の上面は、冷凍流動性食品部3及びこれを解凍して得られる流動性食品の配置を安定させ、解凍前後で配置がなるべく変化しないようにする観点から、水平面即ち水平方向に対する傾斜角度が0度であることが好ましい。ここでいう「水平面」には、重力の作用する鉛直方向に対して垂直な面と、該面とのなす角度が30度以内の面との双方が含まれる。前記傾斜角度は、冷凍固形食品部2の上面に、凹凸の無い平坦な板を、該上面全体を覆うように載置したときの、該板の水平方向に対する傾斜角度として測定される。
【0020】
冷凍固形食品部2の形状は図示の平面視円形状に限定されず、任意に選択し得る。例えば平面視(上面視)において、四角形、楕円形、ひし形、台形等の形状を例示できる。また、冷凍固形食品部2の大きさも特に限定されないが、通常の電子レンジで解凍が行える大きさが好ましい。冷凍固形食品部2の好ましい形態の具体例として、冷凍流動性食品部3の配置部となる冷凍固形食品部2の上面が、直径100〜250mmの円形状が挙げられる。別の具体例として、冷凍固形食品部2の上面が、平面視において短辺が100〜200mm、長辺が120〜300mmの長方形形状であるか、又は該長方形形状の全ての辺に内接する楕円形形状若しくはひし形形状が挙げられる。また、冷凍固形食品部2の高さ(冷凍固形食品部2の上面と下面との間の距離)は、解凍ムラの防止、外観向上などの観点から、5〜50mm程度が好ましい。
【0021】
本発明の調理済み冷凍食品は、前記冷凍具材として、比較的大きめのサイズの冷凍具材、具体的には、最大差し渡し長さ10〜600mm且つ最小差し渡し長さ2〜400mmの大型冷凍具材を含む。調理済み冷凍食品にこのような大型冷凍具材が含まれていることで、該調理済み冷凍食品を解凍して得られる調理済み食品は、大型具材の歯ごたえなどが良好で、食感的に優れたものとなり、また、視覚的に目立ちやすい大型具材が流動性食品の表面上にバランスよく配されることを前提として、見栄えがよいものとなり得る。食感及び外観のさらなる向上の観点、及び解凍ムラの防止の観点から、本発明に係る大型冷凍具材の最大差し渡し長さは、好ましくは15〜500mm、さらに好ましくは20〜450mmであり、また、最小差し渡し長さは、好ましくは5〜300mm、さらに好ましくは20〜250mmである。最大差し渡し長さは、冷凍具材(大型冷凍具材)の平面視における差し渡し長さの最大値であり、最小差し渡し長さは、該平面視における差し渡し長さの最小値である。即ち、最大又は最小差し渡し長さは、冷凍具材を任意の方向に投影した場合の投影図における差し渡し長さの最大値又は最小値とも言える。
【0022】
図1に示す調理済み冷凍食品1においては、冷凍具材4が複数含まれているところ、これら複数の冷凍具材4の全部が前記大型冷凍具材であってもよく、一部のみが前記大型冷凍具材であってもよい。調理済み冷凍食品1に含まれる冷凍具材4の総数に占める、前記大型冷凍具材の総数の割合は、好ましくは80%以上であり、100%でもよい。また、調理済み冷凍食品1に含まれる複数の冷凍具材4は、互いに食材の種類が同じでもよく、異なっていてもよい。
【0023】
前述した通り、調理済み冷凍食品に前記大型冷凍具材が含まれていることで、該調理済み冷凍食品を解凍して得られる調理済み食品の食感及び外観の向上が期待できるが、単に前記大型冷凍具材が含まれているだけでは、却って食感や外観の低下を招くおそれがある。その理由は、前記大型冷凍具材の如き、比較的大きめのサイズの冷凍具材は、その大きさ故に、これを含む調理済み冷凍食品の冷凍保存中に脱落・破損しやすく、それに起因して、該冷凍食品の解凍前後で冷凍具材の配置が大きく異なり、見栄えが解凍前よりも悪くなる、冷凍具材に解凍ムラが生じる、などの不都合が起こりやすいためである。
【0024】
これに対し、本発明の調理済み冷凍食品においては、前記大型冷凍具材の採用に加えてさらに、該冷凍食品を構成する各部どうしの質量比を特定範囲に設定することで、前記大型冷凍具材の採用に起因する不都合の発生を効果的に防止し、解凍後において大きめの固形具材を含む流動性食品が固形食品の上に見栄えよく配され、且つ解凍ムラが無く食感が良好な調理済み冷凍食品が得られるようにした。
具体的には、本発明の調理済み冷凍食品は、前記冷凍固形食品部100質量部に対して、前記冷凍流動性食品部を70〜170質量部、好ましくは80〜160質量部、さらに好ましくは85〜150質量部有する。
また、本発明の調理済み冷凍食品は、前記冷凍流動性食品部100質量部に対して、前記大型冷凍具材を10〜100質量部、好ましくは15〜90質量部、さらに好ましくは20〜80質量部有する。
前記の調理済み冷凍食品を構成する各部どうしの質量比の特定範囲の臨界意義は、後述する実施例と比較例との対比からも明らかである。
【0025】
また、外観の向上、解凍ムラの防止等の観点から、前記冷凍固形食品部の上面の面積(冷凍固形食品部の上面の投影面積)の70%以上に前記冷凍流動性食品部が配されていることが好ましい。また、前記大型冷凍具材の数、前記冷凍固形食品部の重量などは特に限定されず、調理済み冷凍食品の種類等に応じて適宜調整すればよい。
【0026】
本発明の調理済み冷凍食品は、典型的には、固形食品、流動性食品及び大型具材を含む具材を有する非冷凍の調理済み食品を得る工程と、該調理済み食品を冷凍する工程とを経て製造される。例えば図1に示す調理済み冷凍食品1(冷凍スパゲッティ)は、固形食品(茄で麺の麺塊)の上面に流動性食品(ソース)をかけ、さらに該流動性食品の上に、大型具材(冷凍されて前記大型冷凍具材となる具材)を載せることで調理済み食品(スパゲッティ)を得、しかる後、該調理済み食品全体を冷凍することで製造される。この調理済み冷凍食品1の製造方法において、流動性食品には大型具材は含まれていないが、大型具材よりも小型の具材が含まれていてもよい。
【0027】
また、調理済み冷凍食品1の別の製造方法として、固形食品を冷凍固化して冷凍固形食品部2を得る第1の工程と、流動性食品の上に大型具材を載せた後、該流動性食品を冷凍固化して前記大型冷凍具材を含む冷凍流動性食品部3を得る第2の工程と、該第1の工程で得られた冷凍固形食品部2の上に、該第2の工程で得られた冷凍流動性食品部3を配置する第3の工程とを有する製造方法が挙げられる。斯かる製造方法によって製造された調理済み冷凍食品1においては、冷凍固形食品部2と冷凍流動性食品部3とは結合していない。
【実施例】
【0028】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0029】
〔実施例1〜16及び比較例1〜4〕
図1に示す調理済み冷凍食品1と同様の冷凍スパゲッティを製造した。具体的には、先ず、市販の乾燥スパゲティを茄で調理し、その茄でスパゲッティをトレイ1個当たり200g盛り付けて、茄で麺の麺塊(固形食品)を得た。次いで、この麺塊の上に市販のミートソース(流動性食品、品温60℃における粘度が200Pa・s)を所定量、該麺塊の上面からこぼれないように盛り付けた後、さらに該ミートソースの上に、一辺が20mmの實の目状のカット野菜(大型具材)を所定量盛り付けて、調理済みスパゲティ(調理済み食品)を得た。前記カット野菜は、ナスのへたを取って茄で調理したものを、實の目状にカットしたものである。こうして得られた調理済みスパゲティを−35℃で凍結することで、冷凍麺塊(冷凍固形食品部)、冷凍ソース(冷凍流動性食品部)及び冷凍カット野菜(大型冷凍具材)を有する冷凍スパゲッティを製造した。
製造した冷凍スパゲティは、冷凍固形食品部の上面が平面視において直径150mmの円形状をなし、高さが35mmであった。また、この冷凍スパゲティにおいては、冷凍固形食品部の上面の面積の70%以上に冷凍流動性食品部が配されており、該冷凍流動性食品部の表面において大型冷凍具材が多数露出していた。
【0030】
〔試験例〕
各実施例及び比較例の調理済み冷凍スパゲティを、ポリエチレン製の袋に入れて一35℃の冷凍庫内で3日間保存した後に該冷凍庫から取り出し、該袋ごと50cmの高さから落下させた。この調理済み冷凍スパゲティの落下操作を2回繰り返した後、該冷凍スパゲッティを、袋に入ったままの状態で電子レンジにより出力500Wで5分間解凍した。解凍後、袋からスパゲッティを取り出して外観観察を行うと共に喫食し、スパゲッティ(調理済み食品)の外観(具材の配置、食品全体の見栄え)及び食感(解凍性)を下記評価基準により評価した。評価は、各実施例及び比較例につき10個のサンプルを用意して行い、その10個のサンプルの評価点の平均値を、当該実施例又は比較例の評価結果とした。結果を下記表1及び表2に示す。
【0031】
<具材の配置の評価基準>
5点:全ての具材(カット野菜)が、固形食品(麺塊)の上に位置する流動性食品(ミートソース)の上に露出した状態で配されており、解凍前の冷凍具材の配置から実質的に変化がない。
4点:固形食品の上に位置する流動性食品と重なっていない具材の割合が、全ての具材の全質量に対して20質量%以下である。
3点:固形食品の上に位置する流動性食品と重なっていない具材の割合が、全ての具材の全質量に対して20質量%超50質量%以下である。
2点:固形食品の上に位置する流動性食品と重なっていない具材の割合が、全ての具材の全質量に対して50質量%超80質量%以下である。
1点:固形食品の上に位置する流動性食品と重なっていない具材の割合が、全ての具材の全質量に対して80質量%超である。
【0032】
<食品全体の見栄えの評価基準>
5点:固形食品(麺塊)の上に位置する流動性食品(ミートソース)の表面に具材(カット野菜)がバランスよく配されており、調理済み食品(スパゲティ)全体の見栄えがよく、非常に良好。
4点:固形食品の上に位置する流動性食品の表面における具材の配置のバランスがやや劣るが、調理済み食品全体の見栄えは概ね良好。
3点:一部の具材が、固形食品の上に位置する流動性食品と重なっておらず、調理済み食品全体の見栄えがやや不良。
2点:一部の具材が、固形食品の上に位置する流動性食品と重なっておらず、調理済み食品全体の見栄えが不良。
1点:全ての具材が、固形食品の上に位置する流動性食品と重なっておらず、調理済み食品全体の見栄えが非常に不良。
【0033】
<食感(解凍性)の評価基準>
5点:調理済み食品(スパゲッティ)全体がバランスよく解凍されており、具材(カット野菜)の食感も十分あり、非常に良好。
4点:調理済み食品に部分的に解凍ムラが存在するが、具材の食感があり、概ね良好。
3点:調理済み食品に部分的に解凍ムラが存在し、具材の食感に劣り、やや不良。
2点:調理済み食品に解凍ムラが存在し、具材の食感に乏しく、不良。
1点:調理済み食品に解凍ムラが多く存在し、具材の食感に欠け、非常に不良。
【0034】
【表1】

【0035】
表1において実施例と比較例との対比から、解凍後において大きめの具材を含む流動性食品が固形食品の上に見栄えよく配され、且つ解凍ムラが無く食感が良好な調理済み冷凍食品を得るためには、冷凍固形食品部100質量部に対して、冷凍流動性食品部を70〜170質量部含有させることが有効であることがわかる。
【0036】
【表2】

【0037】
表2において実施例と比較例との対比から、解凍後において大きめの具材を含む流動性食品が固形食品の上に見栄えよく配され、且つ解凍ムラが無く食感が良好な調理済み冷凍食品を得るためには、冷凍流動性食品部100質量部に対して、大型冷凍具材を10〜100質量部含有させることが有効であることがわかる。
【符号の説明】
【0038】
1 調理済み冷凍食品(冷凍スパゲティ)
2 冷凍固形食品部(冷凍麺塊)
3 冷凍流動性食品部(冷凍ソース)
4 冷凍具材
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固形食品を冷凍固化してなる冷凍固形食品部と、流動性食品を冷凍固化してなる冷凍流動性食品部と、具材を冷凍固化してなる冷凍具材とを有し、該冷凍固形食品部の上に該冷凍流動性食品部が重ねて配され、該冷凍流動性食品部の表面において該冷凍具材が露出している調理済み冷凍食品であって、
前記冷凍具材は、最大差し渡し長さ20〜35mm且つ最小差し渡し長さ20mmの大型冷凍具材を含み、
前記冷凍固形食品部100質量部に対して、前記冷凍流動性食品部を70〜170質量部有し、
前記冷凍流動性食品部100質量部に対して、前記大型冷凍具材を10〜100質量部有し、
前記冷凍固形食品部の上面の面積の70%以上に前記冷凍流動性食品部が配されている調理済み冷凍食品。
【請求項2】
前記冷凍流動性食品部が配される前記冷凍固形食品部の上面は、水平面であり、該水平面は、鉛直方向に対して垂直な面と、該垂直な面とのなす角度が30度以内の面とを含む請求項1に記載の調理済み冷凍食品。
【請求項3】
前記固形食品が、米飯、麺及びベーカリー食品からなる群から選択される1種以上を含む請求項1又は2に記載の調理済み冷凍食品。
【請求項4】
前記流動性食品の品温50〜80℃における粘度が0.2〜500Pa・sである請求項1〜3の何れか1項に記載の調理済み冷凍食品。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2022-09-05 
出願番号 P2017-017184
審決分類 P 1 651・ 357- YAA (A23L)
P 1 651・ 851- YAA (A23L)
P 1 651・ 356- YAA (A23L)
P 1 651・ 121- YAA (A23L)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 瀬良 聡機
特許庁審判官 木村 敏康
関 美祝
登録日 2021-05-28 
登録番号 6890986
権利者 株式会社日清製粉ウェルナ
発明の名称 調理済み冷凍食品  
代理人 弁理士法人翔和国際特許事務所  
代理人 弁理士法人翔和国際特許事務所  

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