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審決分類 審判 一部申し立て 1項3号刊行物記載  E06B
審判 一部申し立て 2項進歩性  E06B
管理番号 1392075
総通号数 12 
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2022-12-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2022-07-13 
確定日 2022-11-30 
異議申立件数
事件の表示 特許第6997562号発明「遮蔽装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6997562号の請求項1、2、3、5、7に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6997562号の請求項1ないし7に係る特許(以下、「本件特許」という。)についての出願は、平成29年8月30日に出願され、令和3年12月21日にその特許権の設定登録がされ、令和4年1月17日に特許掲載公報が発行され、その後、令和4年7月13日付けで特許異議申立人株式会社エスケープランニング(以下「申立人」という。)より、請求項1、2、3、5、7に係る特許に対して、特許異議の申立てがされたものである(特許異議申立書について、以下「申立書」という。)。

第2 本件特許発明
特許第6997562号の請求項1ないし7の特許に係る発明は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された事項により特定される、下記のとおりのものである(以下、それぞれ「本件発明1」等という。)。

「【請求項1】
遮蔽材の開閉を可能とする遮蔽装置であって、
前記遮蔽材を開閉可能に支持する枠体と、
前記枠体の下方から入射する外光を抑制するように可動して調整可能とするフィンと、
を備え、前記フィンは、間接的な手操作、又は直接的な手操作で可動した開閉状態を保持できるように構成されていることを特徴とする遮蔽装置。
【請求項2】
前記フィンは前記枠体の下方から入射する外光を遮光可能に構成されていることを特徴とする、請求項1に記載のロールスクリーン。
【請求項3】
前記フィンの可動した状態を前記フィンの可動範囲内の任意位置で保持できるように、前記フィンを可動させ開閉状態を切り替え可能とする切替手段を更に備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の遮蔽装置。
【請求項4】
遮蔽材の開閉を可能とする遮蔽装置であって、
前記遮蔽材を開閉可能に支持する枠体と、
前記枠体の下方から入射する外光を抑制又は遮光するように調整可能とするフィンと、
前記フィンを可動させ開閉状態を切り替え可能とする切替手段と、を備え、
前記切替手段は、前記フィンに一端を取着し前記枠体を介して他端が外部に導出された切替コードと、前記切替コードの引き操作で前記切替コードの移動のロック又はロック解除を作動させるストッパー装置とを備え、前記切替コードの引き操作で前記フィンの開閉状態を切り替え可能に構成されていることを特徴とする遮蔽装置。
【請求項5】
遮蔽材の開閉を可能とする遮蔽装置であって、
前記遮蔽材を開閉可能に支持する枠体と、
前記枠体の下方から入射する外光を抑制又は遮光するように調整可能とするフィンと、
前記フィンを可動させ開閉状態を切り替え可能とする切替手段と、を備え、
前記切替手段は、操作棒と、前記フィンの被動ギヤ構造の軸部と噛合する駆動ギヤ軸と、前記操作棒の回転を前記駆動ギヤ軸の回転へと伝達する伝達ギヤ部と、前記駆動ギヤ軸の回転に所定の制動トルクを生じさせるブレーキ装置とを備え、前記操作棒の回転操作で前記フィンの開閉状態を切り替え可能に構成されていることを特徴とする遮蔽装置。
【請求項6】
遮蔽材の開閉を可能とする遮蔽装置であって、
前記遮蔽材を開閉可能に支持する枠体と、
前記枠体の下方から入射する外光を抑制又は遮光するように可動して調整可能とするフィンと、を備え、
前記フィンは、直接的な手操作で可動した開閉状態として、前記フィンの可動範囲内の最大と最小の2選択とする位置で、或いは前記フィンの可動範囲内の任意位置で保持できるようにして、前記フィンは、直接的な手操作で前記フィンの開閉状態を切り替え可能に構成されていることを特徴とする遮蔽装置。
【請求項7】
前記フィンは、1つ又は複数段のフィンとして構成されていることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の遮蔽装置。」

第3 申立理由の概要
申立人は、
・本件特許発明1、2、3は、本件特許の出願前に頒布された甲第1号証、甲第2号証、甲第3号証、甲第4号証、又は甲第5号証に記載された発明であるか、甲第1号証〜甲第5号証に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第1項第3号又は同条第2項の規定により、特許を受けることができない。
・本件特許発明5は、本件特許の出願前に頒布された甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。
・さらに、本件特許発明7は、本件特許の出願前に頒布された甲第1号証に記載された発明であるか、甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第1項第3号又は同条第2項の規定により、特許を受けることができない。
・従って、本件特許発明1、2、3、5及び7は、特許法第113条第2号に該当し、特許を取消すべきである。
旨主張し(申立書2頁16〜31行、33頁9行〜34頁4行。なお申立書に頁番号が付されていないため、便宜上、その1枚目を1頁とし、以下順に頁番号を付加する(最終枚目は34頁となる。)。)、次の証拠方法とともに以下のとおり主張している。
(以下の1ないし4の申立書からの摘記において、文章における下線、図面における部材名称、符号の数字の枠線は、申立人が付与したものである。)

[証拠方法]
甲第1号証:中国実用新案第205206704号明細書
甲第2号証:特開2017−115321号公報
甲第3号証:特開2016−211361号公報
甲第4号証:特開2016−217108号公報
甲第5号証:特開2016−11578号公報

1 本件特許発明1、2、3、5及び7
「・・・本件特許発明1、2、3、5、及び7は、特許請求の範囲の請求項1、2、3、5、及び7に記載されたことを要旨とするものであり、以下に、構成要素毎に分節して記載する。
「【請求項1】
(A)遮蔽材の開閉を可能とする遮蔽装置であって、
(B)前記遮蔽材を開閉可能に支持する枠体と、
(C)前記枠体の下方から入射する外光を抑制するように可動して調整可能とするフィンと、を備え、
(D)前記フィンは、間接的な手操作、又は直接的な手操作で可動した開閉状態を保持できるように構成されていることを特徴とする遮蔽装置。
【請求項2】
(E)前記フィンは前記枠体の下方から入射する外光を遮光可能に構成されていることを特徴とする、請求項1に記載のロールスクリーン。
【請求項3】
(F)前記フィンの可動した状態を前記フィンの可動範囲内の任意位置で保持できるように、前記フィンを可動させ開閉状態を切り替え可能とする切替手段を更に備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の遮蔽装置。
【請求項5】
(A1)遮蔽材の開閉を可能とする遮蔽装置であって、
(B1)前記遮蔽材を開閉可能に支持する枠体と、
(C1)前記枠体の下方から入射する外光を抑制又は遮光するように調整可能とするフィンと、
(G)前記フィンを可動させ開閉状態を切り替え可能とする切替手段と、を備え、
(H)前記切替手段は、操作棒と、前記フィンの被動ギヤ構造の軸部と噛合する駆動ギヤ軸と、前記操作棒の回転を前記駆動ギヤ軸の回転へと伝達する伝達ギヤ部と、前記駆動ギヤ軸の回転に所定の制動トルクを生じさせるブレーキ装置とを備え、前記操作棒の回転操作で前記フィンの開閉状態を切り替え可能に構成されていることを特徴とする遮蔽装置。
【請求項7】
(I)前記フィンは、1つ又は複数段のフィンとして構成されていることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の遮蔽装置。」」(申立書3頁6〜33行)

2 本件特許発明1について
(1)甲第1号証
当審注:甲第1号証の中文に関し、以下の名称の文字が表示できないため、対応する符号の数字のみ示すこととする。(下記「3 本件特許発明5について」においても同様。)





ア 甲第1号証の説明
「甲第1号証には、以下の記載がある。(なお、強調のため、下線を付している。また、「中文」に対応する「和文」・・・を・・・記載しておく。)
甲1−1:・・・「縦型ブラインド100は、レール10と複数のブレード20を含んでいる。レール10は、建物の窓または窓枠の上端に設置され、ブレード20は、レール10の長軸に沿って配置され、レール10の下に平行に垂直に並べて吊るされている。ブレード20は、それぞれ、貫通穴20cを有する。レール10は、内部にチルト機構(図示せず)を備えており、また、チルト機構には、いくつかのブレードクリップ11が含まれている。ブレードクリップ11は、対応して、ブレード20の貫通穴20cに引っ掛けてブレード20を吊り下げ、その結果、ブレード20は、チルト機構によって駆動されて、遮光位置と非遮光位置との間で同期ステアリング動作を実行することができる・・・」・・・ことが記載されている(段落[0030]参照)。

甲1−2:・・・「実用新案の効果は、遮光ストリップをブレードの回転に合わせて簡単に引き上げたり、自然に垂らしたりできることである。遮光ストリップを引き上げた場合、遮光ストリップは光透過効果に影響を与えない。その遮光ストリップを垂れ下げた場合、遮光ストリップはレールの底面とブレードの上端の間の隙間を遮蔽して、その遮蔽個所での光漏れを防ぐ。」・・・ことが記載されている(段落[0011]参照)。

甲1−3:・・・「図3に示されるように、ブレード20が遮光位置にあるとき、各遮光ストリップ30は自然に垂れ下がる。このとき、2つの遮光ストリップ30は、レール10の底面とブレード20の上端20bとの間の隙間を遮断する・・・」・・・」ことが記載されている(段落[0033]参照)。

甲1−4:・・・「逆に、チルト機構を手動で制御して、ブレード20を図1に示す遮光位置から図7に示す非遮光位置に回転させるプロセスの間に、ブレード20の上部のコーナー20aは、ブレード20がひっくり返されるにつれて徐々に外側に移動する。図5および図6に示されるように、ひっくり返されたブレード20はそのコーナー20aで遮光ストリップ30の伸ばされたシート34の内壁を押し、ブレード20がひっくり返され、徐々に外側に移動するにつれて、各遮光ストリップ30の伸ばされたシート34が徐々に引き上げられる。ブレード20の上部のコーナー20aが伸ばされたシート34の範囲外になった後に、伸ばされたシート34の下端34aは、ブレード20が非遮光位置で停止するまで、ブレード20の上端20bに隣接する。」・・・」ことが記載されている(段落[0034]参照)。」(申立書4頁1行〜5頁28行)

イ 本件特許発明1と、甲第1号証に記載の発明との対比
「本件特許発明1と甲第1号証に記載の発明との対比を以下に示す。
「[請求項1]
(i)遮蔽材の開閉を可能とする遮蔽装置であって(構成要件(A))、
(本件特許発明1の「遮蔽材(4)」、「遮蔽装置(1)」はそれぞれ、甲第1号証の「叶片20」、「・・・100」に対応し(甲1−1)、「遮蔽装置(・・・100)」によって「遮蔽材(叶片20)の開閉を可能とする」ことは、甲1−1に記載されている。)

(ii)前記遮蔽材を開閉可能に支持する枠体(構成要件(B))と、
(本件特許発明1の「枠体(2)」は、甲第1号証の「横梁10」に対応し(甲1−1)、「枠体(横梁10)」が「遮蔽材(叶片20)を開閉可能に支持する」ことは、甲1−1に記載されている。また、甲第1号証の図1及び図7には、「横梁10」が「叶片20」を支持することが示されている。)

(iii)前記枠体の下方から入射する外光を抑制するように可動して調整可能とするフィン(構成要件(C))と、を備え、
(本件特許発明1の「フィン(9)」は、甲第1号証の「・・・30」に対応し(甲1−2,甲1−3)、「フィン(・・・30)」が、「枠体(横梁10)の下方から入射する外光を抑制するように可動して調整可能とする」ことは、甲1−2,甲1−3に記載されている。)

(iv)前記フィンは、間接的な手操作、又は直接的な手操作で可動した開閉状態を保持できるように構成されている(構成要件(D))
(「フィン(・・・30)」が、「間接的な手操作・・・で可動した開閉状態を保持できるように構成されている」ことは、甲1−2〜甲1−4に記載されている。)

ことを特徴とする遮蔽装置。」
・・・


以上より、本件特許発明1は、本件特許の出願前に頒布された・・・(甲第1号証)に記載された発明であるか、甲第1号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第1項第3号又は同条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。」(申立書5頁30行〜7頁11行)

(2)甲第2号証
ア 甲第2号証の説明
「甲第2号証には、以下の記載がある。(なお、強調のため、下線を付している。)
甲2−1:「図17に示す横型ブラインド101は、ヘッドボックス102の左端部側及び右端部側にそれぞれ配設されたコード支持装置103から室内側及び室外側に垂下する一対のラダーコード112を介して多数段のスラット104が吊下支持され(る)」ことが記載されている(段落[0202]参照)。
甲2−2:「コード支持装置103は、駆動軸109の回転を利用して、ボトムレール105に取着された昇降コード111をヘッドボックス102内への引き込み及びヘッドボックス102からの引き出しを行うことによって、ボトムレール105を昇降させることによりスラット104を昇降させることができる。また、コード支持装置103は、駆動軸109の回転を利用して、室内側及び室外側に垂下する一対のラダーコード112を介して多数段のスラット104の角度を調節することができる。」ことが記載されている(段落[0205]参照)。
甲2−3:「本実施形態の横型ブラインド101では、光漏れ防止機能を有する可動フィン107がヘッドボックス102の底部から回動可能に軸支されており、駆動軸109の回転を利用して可動フィン107を回動可能とする可動体駆動機構110がヘッドボックス102の左端部に設けられている。」ことが記載されている(段落[0206]参照)。
甲2−4:「ヘッドボックス102の右端側には、操作ユニット106が設けられている。操作ユニット106は、例えば手動式であれば、操作コード(例えば、無端状のボールチェーンや紐等)を掛装可能に凹凸の外周溝を有して駆動軸109を回転操作可能とするプーリーとすることができる。・・・したがって、操作ユニット106の形態は、操作者による操作に応じて駆動軸109の回転へと伝達可能な形態であれば任意の形態とすることができる。」ことが記載されている(段落[0204]参照)。
甲2−5:「可動フィン107の軸部107aは、ヘッドボックス102の底部にて軸支され、軸部107aを軸に可動フィン107は回動可能となっている。これにより、可動フィン107は、最上段のスラット104とヘッドボックス102との間で生じる隙間からの外光を効果的に遮蔽する光漏れ防止機能を有する。」ことが記載されている(段落[0208]参照)。」(申立書7頁12行〜8頁15行)

イ 本件特許発明1と、甲第2号証に記載の発明との対比
「本件特許発明1と甲第2号証に記載の発明との対比を以下に示す。
「[請求項1]
(i)遮蔽材の開閉を可能とする遮蔽装置であって(構成要件(A))、
(本件特許発明1の「遮蔽材(4)」、「遮蔽装置(1)」はそれぞれ、甲第2号証の「スラット104」、「横型ブラインド101」に対応し(甲2−1)、「遮蔽装置(横型ブラインド101)」によって「遮蔽材(スラット104)の開閉を可能とする」ことは、甲2−2に記載されている。)

(ii)前記遮蔽材を開閉可能に支持する枠体(構成要件(B))と、
(本件特許発明1の「枠体(2)」は、甲第1号証の「ヘッドボックス102」に対応し(甲2−1)、「枠体(ヘッドボックス102)」が「遮蔽材(スラット104)を開閉可能に支持する」ことは、甲2−2に記載されている。)

(iii)前記枠体の下方から入射する外光を抑制するように可動して調整可能とするフィン(構成要件(C))と、を備え、
(本件特許発明1の「フィン(9)」は、甲第2号証の「可動フィン107」に対応し(甲2−3)、「フィン(可動フィン107)」が、「枠体(ヘッドボックス102)の下方から入射する外光を抑制するように可動して調整可能とする」ことは、甲2−3,甲2−5に記載されている。)

(iv)前記フィンは、間接的な手操作、又は直接的な手操作で可動した開閉状態を保持できるように構成されている(構成要件(D))
(「フィン(可動フィン107)」が、「間接的な手操作・・・で可動した開閉状態を保持できるように構成されている」ことは、甲2−3、甲2−4に記載されている。)

ことを特徴とする遮蔽装置。」
・・・



以上より、本件特許発明1は、本件特許の出願前に頒布された・・・(甲第2号証)に記載された発明であるか、甲第2号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第1項第3号又は同条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。」(申立書8頁17行〜9頁14行)

(3)甲第3号証
ア 甲第3号証の説明
「甲第3号証には、以下の記載がある。(なお、強調のため、下線を付している。)
甲3−1:「包括的には、本発明に係る各実施形態のロールスクリーン1では、巻取パイプ3と、この巻取パイプ3を支持する枠体(取付フレーム2)の下面との間の隙間からの光漏れを抑制する光漏れ防止部材9が設けられ、この光漏れ防止部材9は、可動に取付フレーム2又は支持部材2a,2bに支持されるよう構成される。」ことが記載されている(段落[0035]参照)。
甲3−2:「巻取パイプ3の右端部には操作プーリー8が設けられ、この操作プーリー8に掛回される無端状の操作コード7が垂下されている。そして、操作コード7の操作により巻取パイプ3を回転操作可能となるよう構成されている。尚、この操作コード7はボールチェーンでもよい。また、操作コード7を省略しウェイトバー5を引くことにより昇降させてもよい。」ことが記載されている(段落[0038]参照)。
甲3−3:「巻取パイプ3は、スクリーン4の一端を取着して巻き取り可能に吊下支持している。」ことが記載されている(段落[0039]参照)。
甲3−4:「つまり、光漏れ防止部材9は、その略板状の本体部に対して丸軸の先端部92が形成されてスクリーン4と当接可能となっており、これにより、スクリーン4の巻取径に応じて光漏れ防止部材9を回動させることができる。」ことが記載されている(段落[0060]参照)。」(申立書9頁16行〜10頁8行)

イ 本件特許発明1と、甲第3号証に記載の発明との対比
「本件特許発明1と甲第3号証に記載の発明との対比を以下に示す。
「[請求項1]
(i)遮蔽材の開閉を可能とする遮蔽装置であって(構成要件(A))、
(本件特許発明1の「遮蔽材(4)」、「遮蔽装置(1)」はそれぞれ、甲第3号証の「スクリーン4」、「ロールスクリーン1」に対応し(甲3−1)、「遮蔽装置(ロールスクリーン1)」によって「遮蔽材(スクリーン4)の開閉を可能とする」ことは、甲3−1〜甲3−3に記載されている。)

(ii)前記遮蔽材を開閉可能に支持する枠体(構成要件(B))と、
(本件特許発明1の「枠体(2)」は、甲第3号証の「枠体(取付フレーム2)」に対応し(甲3−1)、「枠体(取付フレーム2)」が「遮蔽材(スクリーン4)を開閉可能に支持する」ことは、甲3−1〜甲3−3に記載されている。)

(iii)前記枠体の下方から入射する外光を抑制するように可動して調整可能とするフィン(構成要件(C))と、を備え、
(本件特許発明1の「フィン(9)」は、甲第3号証の「光漏れ防止部材9」に対応し(甲3−1)、「フィン(光漏れ防止部材9)」が、「枠体(取付フレーム2)の下方から入射する外光を抑制するように可動して調整可能とする」ことは、甲3−1に記載されている。)

(iv)前記フィンは、間接的な手操作、又は直接的な手操作で可動した開閉状態を保持できるように構成されている(構成要件(D))
(「フィン(光漏れ防止部材9)」が、「間接的な手操作・・・で可動した開閉状態を保持できるように構成されている」ことは、甲3−4に記載されている。)

ことを特徴とする遮蔽装置。」
・・・



以上より、本件特許発明1は、本件特許の出願前に頒布された・・・(甲第3号証)に記載された発明であるか、甲第3号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第1項第3号又は同条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。」(申立書10頁10行〜11頁10行)

(4)甲第4号証
ア 甲第4号証の説明
「甲第4号証には、以下の記載がある。(なお、強調のため、下線を付している。)
甲4−1:「本発明に係るロールスクリーン1は、スクリーン4の一端を取着して巻き取り可能に吊下支持する巻取パイプ9と、巻取パイプ9を支持する取付フレーム2と、取付フレーム2と巻取パイプ9との間から入射する外光を遮蔽する光漏れ防止部材6,31とを備える。」ことが記載されている(要約書参照)。
甲4−2:「本発明による第4態様の遮蔽装置において、前記光漏れ防止部材は、前記遮蔽材の開閉を操作する操作コードと当接した際に前記取付フレームに対し相対回動するよう構成されていることを特徴とする。」ことが記載されている(段落[0033]参照)。
甲4−3:「例えば図16(a)に示す非操作状態から、図16(b)に示すように操作コード3を正面側(室内側)に角度をつけて引くことで、巻取パイプ9によるスクリーン4の巻き上げを行う際に、操作コード3が光漏れ防止部材6の曲面状隆起部61bと当接し、光漏れ防止部材6が回動するようになっており、その引き操作を妨げることが無い。」ことが記載されている(段落[0118]参照)。」(申立書11頁12行〜最下行)

イ 本件特許発明1と、甲第4号証に記載の発明との対比
「本件特許発明1と甲第4号証に記載の発明との対比を以下に示す。
「[請求項1]
(i)遮蔽材の開閉を可能とする遮蔽装置であって(構成要件(A))、
(本件特許発明1の「遮蔽材(4)」、「遮蔽装置(1)」はそれぞれ、甲第4号証の「スクリーン4」、「ロールスクリーン1」に対応し(甲4−1、「遮蔽装置(ロールスクリーン1)」によって「遮蔽材(スクリーン4)の開閉を可能とする」ことは、甲4−1に記載されている。)

(ii)前記遮蔽材を開閉可能に支持する枠体(構成要件(B))と、
(本件特許発明1の「枠体(2)」は、甲第4号証の「取付フレーム2」に対応し(甲2−1)<<当審注:この「(甲2−1)」は「(甲4−1)」の誤記と考えられる。>、「枠体(取付フレーム2)」が「遮蔽材(スクリーン4)を開閉可能に支持する」ことは、甲4−1に記載されている。)

(iii)前記枠体の下方から入射する外光を抑制するように可動して調整可能とするフィン(構成要件(C))と、を備え、
(本件特許発明1の「フィン(9)」は、甲第4号証の「光漏れ防止部材6」に対応し(甲4−1)、「フィン(光漏れ防止部材6)」が、「枠体(取付フレーム2)の下方から入射する外光を抑制するように可動して調整可能とする」ことは、甲4−1〜甲4−3に記載されている。)

(iv)前記フィンは、間接的な手操作、又は直接的な手操作で可動した開閉状態を保持できるように構成されている(構成要件(D))
(「フィン(光漏れ防止部材9)」が、「間接的な手操作・・・で可動した開閉状態を保持できるように構成されている」ことは、甲4−2、甲4−3に記載されている。)

ことを特徴とする遮蔽装置。」
・・・



以上より、本件特許発明1は、本件特許の出願前に頒布された・・・(甲第4号証)に記載された発明であるか、甲第4号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第1項第3号又は同条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。」(申立書12頁2行〜13頁4行)

(5)甲第5号証
ア 甲第5号証の説明
「甲第5号証には、以下の記載がある。(なお、強調のため、下線を付している。)
甲5−1:「第7実施形態のロールスクリーン1は、第5実施形態のロールスクリーン1とほぼ同様の構成要素で構成されるが、取付フレーム2、支持部材2a、コードカバー20、可動フィン40、操作ユニット60、及びボールチェーンで構成される操作コード3とその操作プーリー10の各形状が、第5実施形態とは相違している。」ことが記載されている(段落[0146]参照)。
甲5−2:「操作コード3を操作して巻取パイプ9をスクリーン巻取り方向へ回転させるとボトムレール5が上昇し、巻取パイプ9をスクリーン巻戻し方向へ回転させるとボトムレール5が下降する。」ことが記載されている(段落[0112]参照)。
甲5−3:「スクリーン4は、光を一部透過させる透過部4bと、光を遮る遮光部4aとが縞状に交互に形成され、このスクリーン4が二重に重ね合わされた状態で吊下支持されているため、操作コード3の操作により、前後のスクリーン4を上下方向に相対移動させて、透過部4bと遮光部4aとの重なり具合を調整することにより、採光量が調節可能となっている。」ことが記載されている(段落[0114]参照)。
甲5−4:「スクリーン4は、取付フレーム2の室外側端面に設けられた固定部2cから垂下されているため、この可動フィン40が、操作ユニット60の相対回動により操作プレート部材6aの突出片61の側端部で押圧されると、可動フィン40が回動して室外側のスクリーン4が、より室外側へと移動するようになっている。」ことが記載されている(段落[0163]参照)。
甲5−5:「長尺に構成した可動フィン40は、取付フレーム2と巻取パイプ9との間の隙間から入射しうる外光をより遮蔽することができる。」ことが記載されている(段落[0166]参照)。」(申立書13頁6行〜14頁3行)

イ 本件特許発明1と、甲第5号証に記載の発明との対比
「本件特許発明1と甲第5号証に記載の発明との対比を以下に示す。
「[請求項1]
(i)遮蔽材の開閉を可能とする遮蔽装置であって(構成要件(A))、
(本件特許発明1の「遮蔽材(4)」、「遮蔽装置(1)」はそれぞれ、甲第5号証の「スクリーン4」、「ロールスクリーン1」に対応し(甲5−1、甲5−4)、「遮蔽装置(ロールスクリーン1)」によって「遮蔽材(スクリーン4)の開閉を可能とする」ことは、甲5−1〜甲5−3に記載されている。)

(ii)前記遮蔽材を開閉可能に支持する枠体(構成要件(B))と、
(本件特許発明1の「枠体(2)」は、甲第5号証の「取付フレーム2」に対応し(甲5−1)、「枠体(取付フレーム2)」が「遮蔽材(スクリーン4)を開閉可能に支持する」ことは、甲5−1〜甲5−3に記載されている。)

(iii)前記枠体の下方から入射する外光を抑制するように可動して調整可能とするフィン(構成要件(C))と、を備え、
(本件特許発明1の「フィン(9)」は、甲第5号証の「可動フィン40」に対応し(甲5−1)、「フィン(可動フィン40)」が、「枠体(取付フレーム2)の下方から入射する外光を抑制するように可動して調整可能とする」ことは、甲5−4、甲5−5に記載されている。)

(iv)前記フィンは、間接的な手操作、又は直接的な手操作で可動した開閉状態を保持できるように構成されている(構成要件(D))
(「フィン(光漏れ防止部材9)」が、「間接的な手操作・・・で可動した開閉状態を保持できるように構成されている」ことは、甲5−4に記載されている。)

ことを特徴とする遮蔽装置。」
・・・



以上より、本件特許発明1は、本件特許の出願前に頒布された・・・(甲第5号証)に記載された発明であるか、甲第5号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第1項第3号又は同条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。」(申立書14頁5行〜15頁5行)

3 本件特許発明5について
(1)各甲号証の説明
ア 甲第1号証の説明
「甲第1号証には、以下の記載がある。・・・
甲1−1:・・・。
甲1−4:・・・。」(申立書25頁27行〜27頁3行)

イ 甲第2号証の説明
「また、甲第2号証には、以下の記載がある。(なお、強調のため、下線を付している。)
甲2−1:・・・。
甲2−2:・・・。
甲2−3:・・・。
甲2−4:・・・。
甲2−6:「可動体駆動機構110は、前述した第1実施形態とほぼ同様の構成要素、即ち、ロータリーダンパー10、ダンパーギヤ11、平ギヤ11a、支持補助部材12、カムギヤ13aを有する押し上げカム13、及び戻しスプリング14により構成さる。」ことが記載されている(段落[0207]参照)。
甲2−5:・・・。」(申立書27頁4〜31行)

(2)本件特許発明5と、各甲号証に記載の発明との対比
「本件特許発明5と甲第1号証に記載の発明との対比を以下に示す。
「[請求項5]
(i)遮蔽材の開閉を可能とする遮蔽装置(構成要件(A1))であって、
(・・・甲1−1に記載されている。)

(ii)前記遮蔽材を開閉可能に支持する枠体(構成要件(B1))と、
(・・・甲1−1に記載されている。また、甲第1号証の図1及び図7に・・・示されている。)

(iii)前記枠体の下方から入射する外光を抑制又は遮光するように調整可能とするフィン(構成要件(C1))と、
(・・・本件特許発明5の「フィン(9)」は、甲第1号証の「・・・30」に対応し(甲1−2,甲1−3)、「フィン(・・・30)」が、「枠体(横梁10)の下方から入射する外光を抑制するように可動して調整可能とする」ことは、甲1−2,甲1−3に記載されている。)

(iv)前記フィンを可動させ開閉状態を切り替え可能とする切替手段(構成要件(G))と、
(本件特許発明5の「切替手段」は、甲第1号証の「・・・(チルト機構)」に対応し(甲1−1,甲14)、「切替手段(・・・(チルト機構))」によって、「フィン((・・・30))を可動させ開閉状態を切り替え可能とする」ことは、甲1−1,1−4に記載されている。)

を備え、
(v)前記切替手段は、操作棒と、前記フィンの被動ギヤ構造の軸部と噛合する駆動ギヤ軸と、前記操作棒の回転を前記駆動ギヤ軸の回転へと伝達する伝達ギヤ部と、前記駆動ギヤ軸の回転に所定の制動トルクを生じさせるブレーキ装置とを備え、前記操作棒の回転操作で前記フィンの開閉状態を切り替え可能に構成されている(構成要件(H))
(「切替手段(・・・(チルト機構))は、操作棒(図1,図7)と、・・・を備え、操作棒(図1,図7)の回転操作でフィンの開閉状態を切り替え可能に構成されている」ことは、甲1−1、甲1−4に記載されている。)

ことを特徴とする遮蔽装置。」
・・・



ここで、本件特許発明5と甲第2号証に記載の発明との対比を以下に示す。
「[請求項5]
(i)遮蔽材の開閉を可能とする遮蔽装置(構成要件(A1))であって、
(・・・甲2−2に記載されている。)

(ii)前記遮蔽材を開閉可能に支持する枠体(構成要件(B1))と、
(・・・甲2−2に記載されている。)

(iii)前記枠体の下方から入射する外光を抑制又は遮光するように調整可能とするフィン(構成要件(C1))と、
(・・・本件特許発明5の「フィン(9)」は、甲第2号証の「可動フィン107」に対応し(甲2−3)、「フィン(可動フィン107)」が、「枠体(ヘッドボックス102)の下方から入射する外光を抑制するように可動して調整可能とする」ことは、甲2−3,甲2−5に記載されている。)

(iv)前記フィンを可動させ開閉状態を切り替え可能とする切替手段(構成要件(G))と、
(本件特許発明5の「切替手段」は、甲第2号証の「操作ユニット106、可動体駆動機構110」に対応し(甲2−3,甲2−4)、「切替手段(操作ユニット106、可動体駆動機構110)」によって、「フィン(可動フィン107)を可動させ開閉状態を切り替え可能とする」ことは、甲2−3,甲2−4に記載されている。)

を備え、
(v)前記切替手段は、操作棒と、前記フィンの被動ギヤ構造の軸部と噛合する駆動ギヤ軸と、前記操作棒の回転を前記駆動ギヤ軸の回転へと伝達する伝達ギヤ部と、前記駆動ギヤ軸の回転に所定の制動トルクを生じさせるブレーキ装置とを備え、前記操作棒の回転操作で前記フィンの開閉状態を切り替え可能に構成されている(構成要件(H))
(「切替手段(操作ユニット106、可動体駆動機構110)は・・・フィン(可動フィン107)の被動ギヤ構造(カムギヤ13a)の軸部と噛合する駆動ギャ軸(ダンパーギヤ11)と、・・・回転を駆動ギヤ軸の回転へと伝達する伝達ギヤ部(操作ユニット106)と、駆動ギヤ軸(ダンパーギヤ11)の回転に所定の制動トルクを生じさせるブレーキ装置(ロータリーダンパー10)とを備え、・・・回転操作でフィンの開閉状態を切り替え可能に構成されている」ことは、甲2−4〜甲2−6に記載されている。)

ことを特徴とする遮蔽装置。」
・・・




・・・
以上より、本件特許発明5は、本件特許の出願前に頒布された・・・(甲第1号証)及び・・・(甲第2号証)に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。」(申立書27頁33行〜31頁下から2行)

(加えて、本件発明2、3、7に関する主張が、それぞれ申立書15頁6行〜20頁4行、20頁5行〜25頁22行、及び31頁最下行〜33頁7行に記載されている。)

第4 当審の判断
1 各甲号証の記載事項
(1)甲第1号証
本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲第1号証には、以下の記載がある。
(中文に表示できない文字を含むため、(ア)段落全体の中文の画像、(イ)その段落における、抄訳に対応する部分の中文の画像(申立人提出。)、(ウ)抄訳(申立人提出。当審で下線を付与した。)を順に示す。)

ア (下記段落[0011]のみ、(ア)と(イ)は同じ)。
(ア)

(イ)

(ウ)
「[0011]実用新案の効果は、遮光ストリップをブレードの回転に合わせて簡単に引き上げたり、自然に垂らしたりできることである。遮光ストリップを引き上げた場合、遮光ストリップは光透過効果に影響を与えない。その遮光ストリップを垂れ下げた場合、遮光ストリップはレールの底面とブレードの上端の間の隙間を遮蔽して、その遮光個所での光漏れを防ぐ。」


(ア)

(イ)

(ウ)
「[0030]・・・縦型ブラインド100は、レール10と複数のブレード20を含んでいる。レール10は、建物の窓または窓枠の上端に設置され、ブレード20は、レール10の長軸に沿って配置され、レール10の下に平行に垂直に並べて吊るされている。ブレード20は、それぞれ、貫通穴20cを有する。レール10は、内部にチルト機構(図示せず)を備えており、また、チルト機構には、いくつかのブレードクリップ11が含まれている。ブレードクリップ11は、対応して、ブレード20の貫通穴20cに引っ掛けてブレード20を吊り下げ、その結果、ブレード20は、チルト機構によって駆動されて、遮光位置と非遮光位置との間で同期ステアリング動作を実行することができる・・・」


(ア)

(イ)

(ウ)
「[0033]・・・図3に示されるように、ブレード20が遮光位置にあるとき、各遮光ストリップ30は自然に垂れ下がる。このとき、2つの遮光ストリップ30は、レール10の底面とブレード20の上端20bとの間の隙間を遮蔽する。すなわち、伸ばされたシート34の下端34aは、ブレード20の上端20bよりも低く、その結果、伸ばされたシート34は、ブレード20に接触することなく、ブレード20の上面を遮蔽する。好ましくは、引き伸ばされたシート34の下端34aは、各ブレード20の貫通穴20cの少なくとも下端を遮蔽して、その遮蔽個所での光漏れを回避し、遮光効果を向上させる。」


(ア)

(イ)

(ウ)
「[0034]逆に、チルト機構を手動で制御して、ブレード20を図1に示す遮光位置から図7に示す非遮光位置に回転させるプロセスの間に、ブレード20の上部のコーナー20aは、ブレード20がひっくり返されるにつれて徐々に外側に移動する。図5および図6に示されるように、ひっくり返されたブレード20は、そのコーナー20aで遮光ストリップ30の伸ばされたシート34の内壁を押し、ブレード20がひっくり返され、徐々に外側に移動するにつれて、各遮光ストリップ30の伸ばされたシート34が徐々に引き上げられる。ブレード20の上部のコーナー20aが伸ばされたシート34の範囲外になった後に、伸ばされたシート34の下端34aは、ブレード20が非遮光位置で停止するまで、ブレード20の上端20bに隣接する。」

オ (下記(イ)中の[0035]の下線は申立人が付与。)
(ア)

(イ)

(ウ)
「[0035]しかしながら、実際の用途では、それは2つの長くて狭い挿入溝12aに限定されず、ケーシングの底部の長軸に沿って配置される複数の短い溝に形成することもできる。遮光ストリップ30の水平バー32は、一体型の長いロッドに限定されず、マルチセグメントの短い複数のロッドに形成することもできるが、短い溝と短いロッドは、対応して配置されなければならない。また、遮光ストリップ30をケーシング12内で座屈させることができ、レール10に対して移動可能に裏返すことができるという効果もある。」

カ 図面は次のものである。
(ア)図1は次のものである。


(イ)図3は次のものである。


(ウ)図4は次のものである。


(エ)図5は次のものである。


(オ)図6は次のものである。


(カ)図7は次のものである。


(キ)上記ア、ウ、オの記載を踏まえ、上記(ア)ないし(カ)の図1、3ないし7より、縦型ブラインド100が、レール10と複数のブレード20とともに、2つの遮光ストリップ30を含むことが看取できる。

キ 上記アないしカより、甲第1号証には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認める。

[甲1発明]
「レール10と、複数のブレード20と、2つの遮光ストリップ30を含む、縦型ブラインド100であって、
レール10は、建物の窓または窓枠の上端に設置され、ブレード20は、レール10の長軸に沿って配置され、レール10の下に平行に垂直に並べて吊るされており、
ブレード20は、遮光位置と非遮光位置との間で同期ステアリング動作できるものであり、
2つの遮光ストリップ30は、
ブレード20が遮光位置にあるとき、各遮光ストリップ30は自然に垂れ下がり、このとき、2つの遮光ストリップ30は、レール10の底面とブレード20の上端20bとの間の隙間を遮蔽して、その遮光個所での光漏れを防ぐものであり、
チルト機構を手動で制御して、ブレード20を遮光位置から非遮光位置に回転させるプロセスの間に、ブレード20の上部のコーナー20aは、ブレード20がひっくり返されるにつれて徐々に外側に移動し、ひっくり返されたブレード20は、そのコーナー20aで遮光ストリップ30の伸ばされたシート34の内壁を押し、ブレード20がひっくり返され、徐々に外側に移動するにつれて、各遮光ストリップ30の伸ばされたシート34が徐々に引き上げられ、遮光ストリップ30を引き上げた場合、遮光ストリップ30は光透過効果に影響を与えないものである、
縦型ブラインド100。」

(2)甲第2号証
本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲第2号証には、以下の記載がある(下線は当審で付した。以下同様。)。

ア 「【0201】
〔第9実施形態〕
前述した各実施形態では、遮蔽装置としてロールスクリーン1を対象にして、主に可動フィンに関して巻取パイプ9の動作中に回動させる例を説明した。このように可動フィンの回動させる仕組みは、横型ブラインドに適用しても有効である。図17は、本発明による第9実施形態の遮蔽装置としての横型ブラインド101の概略構成を示す正面図である。また、図18(a),(b),(c)は、それぞれスラット水平停止時、スラット回動開始時、及びスラット回動停止時の本発明による第9実施形態の遮蔽装置としての横型ブラインド101における可動体駆動機構の動作を示す側面透視図である。
【0202】
(横型ブラインドの構成)
図17に示す横型ブラインド101は、ヘッドボックス102の左端部側及び右端部側にそれぞれ配設されたコード支持装置103から室内側及び室外側に垂下する一対のラダーコード112を介して多数段のスラット104が吊下支持され、それぞれのラダーコード112の下端にボトムレール105が吊下支持されている。ヘッドボックス102は、ブラケット108を介して天井側の取付面に固定される。
・・・
【0204】
ヘッドボックス102の右端側には、操作ユニット106が設けられている。操作ユニット106は、例えば手動式であれば、操作コード(例えば、無端状のボールチェーンや紐等)を掛装可能に凹凸の外周溝を有して駆動軸109を回転操作可能とするプーリーとすることができる。・・・この操作ユニット106を構成するプーリー又は電動モーターの中心軸は、操作者による操作に応じて回転可能に構成されている。したがって、操作ユニット106の形態は、操作者による操作に応じて駆動軸109の回転へと伝達可能な形態であれば任意の形態とすることができる。
【0205】
そして、コード支持装置103は、駆動軸109の回転を利用して、ボトムレール105に取着された昇降コード111をヘッドボックス102内への引き込み及びヘッドボックス102からの引き出しを行うことによって、ボトムレール105を昇降させることによりスラット104を昇降させることができる。また、コード支持装置103は、駆動軸109の回転を利用して、室内側及び室外側に垂下する一対のラダーコード112を介して多数段のスラット104の角度を調節することができる。
【0206】
ところで、本実施形態の横型ブラインド101では、光漏れ防止機能を有する可動フィン107がヘッドボックス102の底部から回動可能に軸支されており、駆動軸109の回転を利用して可動フィン107を回動可能とする可動体駆動機構110がヘッドボックス102の左端部に設けられている。
【0207】
可動体駆動機構110は、前述した第1実施形態とほぼ同様の構成要素、即ち、ロータリーダンパー10、ダンパーギヤ11、平ギヤ11a、支持補助部材12、カムギヤ13aを有する押し上げカム13、及び戻しスプリング14により構成される。尚、図18において、第1実施形態における支持補助部材12に関する図示を省略しているが、同様の機能を可動体駆動機構110の外壁を為すケース部に設けることができる。
【0208】
より具体的には、可動フィン107は、略板状の形状を有し、可動フィン107の中央部よりやや上方に軸部107aが形成され、尚且つ、可動フィン107の後側上端近傍に丸凸条107bが形成されており、ヘッドボックス102の左右方向(長手方向)のほぼ全長に亘って延在している。可動フィン107の軸部107aは、ヘッドボックス102の底部にて軸支され、軸部107aを軸に可動フィン107は回動可能となっている。これにより、可動フィン107は、最上段のスラット104とヘッドボックス102との間で生じる隙間からの外光を効果的に遮蔽する光漏れ防止機能を有する。
・・・
【0212】
ここで、図18(a)に示すようにスラット104が水平状態で停止して一対のラダーコード112により吊下支持されている状態から、図18(b)に示すように駆動軸109の回転を利用して当該スラット104を回動させ遮光状態にする場合を考える。スラット104を遮光状態にしても、ヘッドボックス102と最上段のスラット104との間に隙間があるときには光漏れの原因となることから、図18(b)に示すように光漏れ防止機能を有する可動フィン107を設けることは有効である。
【0213】
しかしながら、当該スラット104を遮光状態にするよう回動させるときに、可動フィン107と干渉する恐れがある。このため、本実施形態の横型ブラインド101では、図18(a)に示すようにスラット104が水平状態で停止して一対のラダーコード112により吊下支持されている状態から、図18(b)に示すように駆動軸109の回転を利用して当該スラット104を回動させ遮光状態にする際に、そのスラット104の回動の妨げとならぬよう可動体駆動機構110により可動フィン107を回動させることができる。
【0214】
また、可動体駆動機構110における戻しスプリング14による戻し機構の作用で、図18(c)に示すように駆動軸109の回転が停止している状態でも、可動フィン107を規定の停止状態まで戻すことができる。尚、図18では、スラット4の角度調整を逆遮蔽とする方向へチルトさせる例を説明したが、正遮蔽とする方向へチルトさせる場合も同様に動作する。」

イ 図面は次のものである。
(ア)図17は次のものである。



(イ)図18は次のものである。



ウ 上記ア及びイより、甲第2号証には、次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認める。

[甲2発明]
「ヘッドボックス102からスラット104が吊下支持され、
ヘッドボックス102は、天井側の取付面に固定され、
最上段のスラット104とヘッドボックス102との間で生じる隙間からの外光を効果的に遮蔽する光漏れ防止機能を有する可動フィン107を設ける、
横型ブラインド101であって、
スラット104は、操作者による操作に応じた駆動軸109の回転を利用して回動し、逆遮蔽とする方向へチルトあるいは正遮蔽とする方向へチルトさせることができ、
スラット104を回動させ遮光状態にする際に、そのスラット104の回動の妨げとならぬよう可動体駆動機構110により可動フィン107を回動させることができ、可動体駆動機構110における戻し機構の作用で、駆動軸109の回転が停止している状態でも、可動フィン107を規定の停止状態まで戻すことができる、
横型ブラインド101。」

(3)甲第3号証
本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲第3号証には、以下の記載がある。

ア 「【0035】
包括的には、本発明に係る各実施形態のロールスクリーン1では、巻取パイプ3と、この巻取パイプ3を支持する枠体(取付フレーム2)の下面との間の隙間からの光漏れを抑制する光漏れ防止部材9が設けられ、この光漏れ防止部材9は、可動に取付フレーム2又は支持部材2a,2bに支持されるよう構成される。尚、以下に説明する「移動」は、「直線移動」及び「回動移動」を含む上位概念として包括的に表現している。よって、「可動」とは、「直線移動」又は「回動移動」を可能とする状態を云う。このように構成される各実施形態のロールスクリーン1について、以下、順に説明する。」

ウ 「【0036】
〔第1実施形態〕
(全体構成)
まず、図1を参照して、本発明による第1実施形態のロールスクリーン1の構成を説明する。図1は、本発明による第1実施形態のロールスクリーン1の概略構成を示す正面図である。第1実施形態のロールスクリーン1では、巻取パイプ3と、取付フレーム2の下面との間の隙間からの光漏れを抑制する光漏れ防止部材9が設けられている。この光漏れ防止部材9の基端部91は、取付フレーム2の下面側で回動可能に軸支され、光漏れ防止部材9がスクリーン4の錘部材(ウェイトバー5)に非接触となるよう構成される。
【0037】
図1に示すロールスクリーン1は、取付フレーム2の両端に支持部材2a,2bが固定され、その支持部材2a,2bから延びる固定軸(図示せず)によって、支持部材2a,2b間に円筒状の巻取パイプ3が回転可能に支持される。取付フレーム2は、ブラケット6により天井面等の取付面に固定される。
【0038】
巻取パイプ3の右端部には操作プーリー8が設けられ、この操作プーリー8に掛回される無端状の操作コード7が垂下されている。そして、操作コード7の操作により巻取パイプ3を回転操作可能となるよう構成されている。尚、この操作コード7はボールチェーンでもよい。また、操作コード7を省略しウェイトバー5を引くことにより昇降させてもよい。
【0039】
巻取パイプ3は、スクリーン4の一端を取着して巻き取り可能に吊下支持している。スクリーン4の他端は、錘部材として機能するウェイトバー5に取着されている。従って、スクリーン4はウェイトバー5の重量に基づいて張設される。」

イ 「【0055】
〔第2実施形態〕
次に、図7を参照して、本発明による第2実施形態のロールスクリーン1の構成を説明する。図7は、本発明による第2実施形態のロールスクリーン1における光漏れ防止部材9の構成を示す側面図である。尚、第1実施形態と同様な構成要素には同一の参照番号を付しており、本発明による第2実施形態のロールスクリーン1の全体構成は、光漏れ防止部材9に係る構成を除き、前述した図1とほぼ同様であることから、その更なる説明は省略する。
【0056】
第2実施形態のロールスクリーン1では、巻取パイプ3と、取付フレーム2の下面との間の隙間からの光漏れを抑制する光漏れ防止部材9が設けられており、この光漏れ防止部材9の基端部91が取付フレーム2の下面側前端縁近傍にて回動可能に軸支され、光漏れ防止部材9がスクリーン4の錘部材(ウェイトバー5)に非接触となるよう、スクリーン4の最大巻取径を超えない範囲で回動可能に構成される。
【0057】
(第2実施形態の光漏れ防止部材)
図7を参照するに、光漏れ防止部材9は、全体として略I字状の断面形状で取付フレーム2の左右方向幅とほぼ同じ長さで延在しており、丸軸で形成された光漏れ防止部材9の基端部91が取付フレーム2の下面側前端縁近傍にて回動可能に軸支されている。この丸軸が、支持部材2a,2bにより支持される。光漏れ防止部材9は遮光性のあるものとし、例えば合成樹脂で形成されている。
【0058】
また、光漏れ防止部材9の回動を支持するよう取付フレーム2の下面側前端縁近傍には、その長手方向(左右方向)に延在する略C字断面形状の係合支持部20が形成されている。この係合支持部20に光漏れ防止部材9の基端部91が係合しており、これにより光漏れ防止部材9は、取付フレーム2の下面側で回動可能に支持される。また、係合支持部20は、光漏れ防止部材9の回動を所定の回動範囲に規制させた構成とすることもできる。
・・・
【0060】
そして、本実施形態の光漏れ防止部材9においても、ウェイトバー5に非接触となるよう構成され、且つスクリーン4の最大巻取径Wmを超えない範囲で回動可能に構成されている。特に、本例の光漏れ防止部材9は、その基端部91で取付フレーム2の下面側端部縁近傍にて回動可能に軸支され、その先端部92で、巻取パイプ3の周面上のスクリーン4と当接可能となっている。つまり、光漏れ防止部材9は、その略板状の本体部に対して丸軸の先端部92が形成されてスクリーン4と当接可能となっており、これにより、スクリーン4の巻取径に応じて光漏れ防止部材9を回動させることができる。尚、本例の、光漏れ防止部材9において、取付フレーム2と対向する面で、巻取パイプ3の周面上のスクリーン4と当接可能に構成してもよい。また、ウェイトバー5が下限位置から取付フレーム2と当接する上限位置となるまで移動しても、光漏れ防止部材9は、その回転軸芯をフレーム断面において巻取軸の回転軸芯より非吊下側に設け、スクリーンの非吊下側面に接触させる構成であるため、図示点線から矢印で示すように、ウェイトバー5とは常時非接触である。更に、光漏れ防止部材9は、スクリーン4の最大巻取径Wmを超えない範囲で回動可能に構成されているため、光漏れ防止部材9の設置に起因する設置スペースの増大が生じない。」

ウ 図面は次のものである。
(ア)図1は次のものである。


(イ)図7は次のものである。


エ 上記アないしウより、甲第3号証には、次の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されていると認める。

[甲3発明]
「巻取パイプ3と、取付フレーム2の下面との間の隙間からの光漏れを抑制する光漏れ防止部材9が設けられ、
取付フレーム2によって、巻取パイプ3が回転可能に支持され、
操作コード7あるいはボールチェーンの操作により巻取パイプ3を回転操作可能となるよう構成され、
巻取パイプ3は、スクリーン4の一端を取着して巻き取り可能に吊下支持し、
光漏れ防止部材9は、取付フレーム2の下面側で回動可能に支持される、
ロールスクリーン1であって、
光漏れ防止部材9は、その基端部91で取付フレーム2の下面側端部縁近傍にて回動可能に軸支され、その先端部92で、巻取パイプ3の周面上のスクリーン4と当接可能となっている、つまり、光漏れ防止部材9は、その略板状の本体部に対して丸軸の先端部92が形成されてスクリーン4と当接可能となっており、これにより、スクリーン4の巻取径に応じて光漏れ防止部材9を回動させることができる、
ロールスクリーン1。」

(4)甲第4号証
本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲第4号証には、以下の記載がある。

ア 「【0032】
更に、本発明による第4態様の遮蔽装置は、遮蔽材の開閉を可能とする遮蔽装置であって、遮蔽材を開閉可能に支持する開閉支持手段と、前記開閉支持手段を支持する取付フレームと、前記取付フレームと前記開閉支持手段との間から入射する外光を遮蔽する光漏れ防止部材とを備え、前記取付フレームは、該取付フレームの前面又は後面に、前記光漏れ防止部材を固定するための被固定部が設けられ、前記光漏れ防止部材は、正面視において前記取付フレームと前記開閉手段との間を塞ぐとともに、所定の装飾面材を着脱可能に掴持するための弾性変形可能な突起部を有する基板を備えることを特徴とする。
【0033】
また、本発明による第4態様の遮蔽装置において、前記光漏れ防止部材は、前記遮蔽材の開閉を操作する操作コードと当接した際に前記取付フレームに対し相対回動するよう構成されていることを特徴とする。」

イ 「【0115】
〔第4態様のロールスクリーン〕
(全体構成)
本発明による第4態様の一実施形態のロールスクリーン1の概略構成は、前述した第3態様における概略構成(図12にて部分的に示す正面図)とほぼ同様であるが、光漏れ防止部材6の形状が異なる。図16(a),(b)は、それぞれ本発明による第4態様の一実施形態のロールスクリーン1における光漏れ防止部材6の構成及び動作を示す側面図である。尚、前述した第3態様のロールスクリーン1と同様の構成要素には同一の参照番号を付している。
・・・
【0117】
特に、第4態様のロールスクリーン1では、図16に示すように光漏れ防止部材6が全体として略逆L字状の断面形状を有しており、設置に要する省スペース化及び意匠性に優れ、任意径の巻取パイプ9への適応性に優れた形状となっている。そして、光漏れ防止部材6の軸部61aが取付フレーム2の正面側(室内側)に設けられた支持溝20に対して回動可能に軸支され、スクリーン4は巻取パイプ9の背面側(室外側)から垂下されている。
【0118】
したがって、第4態様のロールスクリーン1においても、第3態様と同様に、操作プーリー10の少なくとも一部を覆うよう光漏れ防止部材6を設けたときに、例えば図16(a)に示す非操作状態から、図16(b)に示すように操作コード3を正面側(室内側)に角度をつけて引くことで、巻取パイプ9によるスクリーン4の巻き上げを行う際に、操作コード3が光漏れ防止部材6の曲面状隆起部61bと当接し、光漏れ防止部材6が回動するようになっており、その引き操作を妨げることが無い。
・・・
【0120】
また、引き操作により巻取パイプ9で巻き取るスクリーン4が所定の巻取径に達すると、スクリーン4が光漏れ防止部材6における遮蔽部61cと当接するため、操作コード3は光漏れ防止部材6と当接しなくなり、光漏れ防止部材6はそのスクリーン4の巻取りに応じて回動するため、光漏れ防止部材6の機能及びその操作性を妨げることはない。
・・・
【0137】
このように構成された光漏れ防止部材6は、その組立性を容易とし、且つ巻取パイプ9と取付フレーム2との間で生じる隙間からの光漏れを効果的に遮蔽することができる。そして、光漏れ防止部材6の回動機能により、その回動動作の平滑性を保ちつつ、巻取パイプ9の巻取径の増減に追随して回動するため、様々な巻取径に対応しコンパクト化しつつ光漏れを軽減させることができる。」

ウ 図面は次のものである。
(ア)図1は次のものである。


(イ)図16は次のものである。


エ 上記アないしウより、甲第4号証には、次の発明(以下「甲4発明」という。)が記載されていると認める。

[甲4発明]
「遮蔽材の開閉を可能とする遮蔽装置であって、
遮蔽材を開閉可能に支持する開閉支持手段と、前記開閉支持手段を支持する取付フレームと、前記取付フレームと前記開閉支持手段との間から入射する外光を遮蔽する光漏れ防止部材とを備え、
前記光漏れ防止部材は、前記遮蔽材の開閉を操作する操作コードと当接した際に前記取付フレームに対し相対回動するよう構成されている、
ロールスクリーン1であって、
スクリーン4が巻取パイプ9から垂下され
操作コード3を正面側に角度をつけて引くことで、巻取パイプ9によるスクリーン4の巻き上げを行う際に、操作コード3が光漏れ防止部材6と当接し、光漏れ防止部材6が回動するようになっており、その引き操作を妨げることが無い、
ロールスクリーン1。」

(5)甲第5号証
本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲第5号証には、以下の記載がある。」

ア 「【0108】
〔第5実施形態〕
次に、図15乃至図18を参照して、本発明による第5実施形態のロールスクリーン1の構成を説明する。前述した各実施形態では、巻取パイプ9に一辺を取着したスクリーン4の他辺を支持軸7に取着する例を説明したが、本実施形態は、巻取パイプ9に一辺を取着したスクリーン4の他辺は、取付フレーム2の室外側端面に設けられた固定部2cに取着する例である。・・・
・・・
【0112】
従って、操作コード3を操作して巻取パイプ9をスクリーン巻取り方向へ回転させるとボトムレール5が上昇し、巻取パイプ9をスクリーン巻戻し方向へ回転させるとボトムレール5が下降する。
・・・
【0114】
スクリーン4は、光を一部透過させる透過部4bと、光を遮る遮光部4aとが縞状に交互に形成され、このスクリーン4が二重に重ね合わされた状態で吊下支持されているため、操作コード3の操作により、前後のスクリーン4を上下方向に相対移動させて、透過部4bと遮光部4aとの重なり具合を調整することにより、採光量が調節可能となっている。」

イ 「【0146】
〔第7実施形態〕
次に、図22乃至図24を参照して、本発明による第7実施形態のロールスクリーン1の構成を説明する。第7実施形態のロールスクリーン1は、第5実施形態のロールスクリーン1とほぼ同様の構成要素で構成されるが、取付フレーム2、支持部材2a、コードカバー20、可動フィン40、操作ユニット60、及びボールチェーンで構成される操作コード3とその操作プーリー10の各形状が、第5実施形態とは相違している。
【0147】
図22は、本発明による第7実施形態のロールスクリーンの概略構成を示す正面図である。図23は、本発明による第7実施形態のロールスクリーン1における操作ユニット60周辺の概略構成を示す分解斜視図である。また、図24(a),(b),(c)は、本発明による第7実施形態のロールスクリーン1における操作ユニット60の動作説明図である。尚、第5実施形態と同様な構成要素には、同一の参照番号を付している。
【0148】
図22に示すように、第7実施形態のロールスクリーン1は、第5実施形態と同様に、取付フレーム2の両端に支持部材2a,2bが固定され、その支持部材2a,2bから延びる固定軸11によって、支持部材2a,2b間に円筒状の巻取パイプ9が回転可能に支持される。
【0149】
巻取パイプ9の右端部には、巻取パイプ9及び支持部材2a,2bに対して相対回動可能な操作ユニット60が設けられている。また、操作ユニット60内には、操作プーリー10が収容され、この操作プーリー10に掛回される無端状の操作コード3が垂下されている。そして、操作コード3の操作により巻取パイプ9を回転操作可能となるよう構成されている。この操作コード3は、所定ピッチで連続するボール部3a及びチェーン部3bからなる無端状のボールチェーンで構成され、操作プーリー10の表面は、そのボール部3aに適合する形状の凹凸を有するように構成される。
【0150】
巻取パイプ9は、スクリーン4の一辺を取着して巻き取り可能に吊下支持しており、巻取パイプ9から垂下し、錘部材として機能するボトムレール5を介して折り返されたスクリーン4の他辺は、巻取パイプ9よりも上部に位置する取付フレーム2の室外側端面に設けられた固定部2cに取着されている。本実施形態に係る固定部2cは、図24に示すように、スクリーン4の端部を巻付けて、その長さを調整可能とする生地押さえ80を着脱可能に係止するよう構成されている。そして、巻取パイプ9と固定部2cとの間で垂下されるスクリーン4の下端部には、ボトムレール5の両端部で回転可能に支持されるローラー15が挿通されている。これにより、スクリーン4はボトムレール5の重量に基づいて張設される。
【0151】
従って、操作コード3を操作して巻取パイプ9をスクリーン巻取り方向へ回転させるとボトムレール5が上昇し、巻取パイプ9をスクリーン巻戻し方向へ回転させるとボトムレール5が下降する。
・・・
【0153】
スクリーン4は、光を一部透過させる透過部4bと、光を遮る遮光部4aとが縞状に交互に形成され、このスクリーン4が二重に重ね合わされた状態で吊下支持されているため、操作コード3の操作により、前後のスクリーン4を上下方向に相対移動させて、透過部4bと遮光部4aとの重なり具合を調整することにより、採光量が調節可能となっている。
・・・
【0163】
一方、支持部材2a,2bで両端が固定される取付フレーム2には、その底面における室外側端部にて、略鑓状の可動フィン40がその基軸で回動可能に吊り下げられている。第7実施形態の可動フィン40は、第5実施形態と比較して取付フレーム2と巻取パイプ9との間の隙間が無くなるよう長尺に構成し、且つ内側を肉抜きして強度を保持しつつ軽量化している。このように長尺に構成した可動フィン40は、取付フレーム2と巻取パイプ9との間の隙間から入射しうる外光をより遮蔽できるようになり、当該軽量化により振り子動作に係る可動フィン40の変位に対する負荷を低減させることができる。そして、スクリーン4は、取付フレーム2の室外側端面に設けられた固定部2cから垂下されているため、この可動フィン40が、操作ユニット60の相対回動により操作プレート部材6aの突出片61の側端部で押圧されると、可動フィン40が回動して室外側のスクリーン4が、より室外側へと移動するようになっている。
【0164】
このように構成された操作ユニット60は、操作コード3の操作時には、相対移動可能な二重のスクリーン4の間隔が離れるよう振り子動作するように構成されている。そして、二重のスクリーン4の操作時の間隔が、静止時の間隔より大きくなるよう構成されている。
・・・
【0166】
この静止時では、ボトムレール5が下限位置にあるとき、或いはボトムレール5の中間位置及び上限位置で巻取パイプ9に所定の巻取径でスクリーン4が巻き取られている状態にあるとき、二重のスクリーン4の間隔を近接又は密着させる位置(二重のスクリーン4の間隔d1)で安定化するようになっている。従って、二重のスクリーン4の透過部4bと遮光部4aとをずらして半透過状態とすることや、スクリーン4の透過部4bと遮光部4aとを一致させて遮光状態とすることができ、特に、遮光状態としたときの遮光性を向上させることができる。特に、本実施形態の取付フレーム2の固定部2cは、スクリーン4の端部を巻いて、その長さを調整可能とする生地押さえ80を着脱可能に係止するよう構成されているため、例えばボトムレール5が下限位置にあるときに遮蔽状態とするようスクリーン4の長さを調整するのが容易な構造となっている。また、長尺に構成した可動フィン40は、取付フレーム2と巻取パイプ9との間の隙間から入射しうる外光をより遮蔽することができる。
【0167】
次に、図24(b)を参照するに、例えばボトムレール5が下限位置や中間位置にある状態からボトムレール5を上昇させるよう操作コード3を操作すると、巻取パイプ9にスクリーン4が巻き取られる。このとき、操作コード3が室内側のコード案内部12に当接して操作ユニット60に時計回りのトルクが加わることにより操作ユニット60が振り子動作し、操作プレート部材6aの突出片61の側端部が可動フィン40を回動させ、室外側のスクリーン4を押圧する。このため、二重のスクリーン4の操作時の間隔d2が、静止時の間隔d1より大きくなるよう構成されている。従って、上昇操作時に二重のスクリーン4が摩擦することなく、或いは摩擦はしても昇降中の一部分的か、又は摩擦力が低減されて相対移動するため、スクリーン4を痛めるおそれが無くなる。また、前側のコード案内部12とコード案内部13との間、及び、後側のコード案内部12とコード案内部13との間で、操作コード3のボール部3aの外形よりわずかに大きい案内経路は、所定ピッチで連続する少なくとも2つのボール部3aがコード案内部12,13のいずれ一方に常時当接するよう形成されているため、操作コード3の操作時における操作ユニット60内のガタツキを抑制するとともに、ボール部3aとコード案内部12,13との間の干渉で生じうる操作音を軽減させることができる。
【0168】
同様に、図24(c)を参照するに、例えばボトムレール5が中間位置や上限位置にある状態からボトムレール5を下降させるよう操作コード3を操作すると、巻取パイプ9に巻き取られていたスクリーン4が下降する。このとき、操作コード3が室内側のコード案内部13に当接して操作ユニット60に時計回りのトルクが加わることにより操作ユニット60が振り子動作し、操作プレート部材6aの突出片61の側端部が可動フィン40を回動させ、室外側のスクリーン4を押圧する。このため、二重のスクリーン4の操作時の間隔d3が、静止時の間隔d1より大きくなるよう構成されている。従って、下降操作時に二重のスクリーン4が摩擦することなく、或いは摩擦はしても昇降中の一部分的か、又は摩擦力が低減されて相対移動するため、スクリーン4を痛めるおそれが無くなる。尚、スクリーン4の生地が巻き太る上限付近の一部では摩擦が発生したとしても、摩擦力が低減される方向に作用する。
【0169】
従って、第7実施形態のロールスクリーン1によれば、昇降操作時に操作コード3の引張力により操作ユニット60が回動し二重のスクリーン4が離れ、摩擦することなく(又は摩擦したとしても摩擦が低減されて)相対移動するため、スクリーン4を痛めるおそれが無くなる(又は低減される)。・・・」

カ 図面は次のものである。
(ア)図1は次のものである。



(イ)図24は次のものである。



キ 上記アないしカより、甲第5号証には、次の発明(以下「甲5発明」という。)が記載されていると認める。

[甲5発明]
「取付フレーム2に円筒状の巻取パイプ9が回転可能に支持され、
巻取パイプ9は、スクリーン4の一辺を取着して巻き取り可能に吊下支持しており、
操作コード3を操作して、巻取パイプ9をスクリーン巻取り方向へ回転あるいはスクリーン巻戻し方向へ回転させるもので、
スクリーン4は、光を一部透過させる透過部4bと、光を遮る遮光部4aとが縞状に交互に形成され、このスクリーン4が二重に重ね合わされた状態で吊下支持されているため、操作コード3の操作により、前後のスクリーン4を上下方向に相対移動させて、透過部4bと遮光部4aとの重なり具合を調整することにより、採光量が調節可能となっており、
取付フレーム2には、可動フィン40が回動可能に吊り下げられ、
可動フィン40は、取付フレーム2と巻取パイプ9との間の隙間から入射しうる外光をより遮蔽することができるものである、
ロールスクリーン1であって、
操作コード3を操作し、巻取パイプ9にスクリーン4が巻き取られる際、可動フィン40を回動させ、室外側のスクリーン4を押圧し、これにより、上昇操作時に二重のスクリーン4が摩擦することなく、或いは摩擦はしても昇降中の一部分的か、又は摩擦力が低減されて相対移動するため、スクリーン4を痛めるおそれが無くなり、
また、操作コード3を操作し、巻取パイプ9に巻き取られていたスクリーン4が下降する際、可動フィン40を回動させ、室外側のスクリーン4を押圧し、これにより、下降操作時に二重のスクリーン4が摩擦することなく、或いは摩擦はしても昇降中の一部分的か、又は摩擦力が低減されて相対移動するため、スクリーン4を痛めるおそれが無くなる、
ロールスクリーン1。」

2 本件特許発明1について
(1)甲1発明を主引用例として
ア 対比
本件特許発明1と甲1発明を対比する。

(ア)甲1発明の「ブレード20」は本件特許発明1の「遮蔽材」に相当し、
甲1発明で「ブレード20は、遮光位置と非遮光位置との間で同期ステアリング動作できるもの」であるということは、本件特許発明1で「遮蔽材の開閉を可能とする」ことに相当する。
よって、甲1発明の「遮光位置と非遮光位置との間で同期ステアリング動作できる」「複数のブレード20」「を含む、縦型ブラインド100」は、本件発明1の「遮蔽材の開閉を可能とする遮蔽装置」に相当する。

(イ)甲1発明の「建物の窓または窓枠の上端に設置され」る「レール10」は、「ブレード20」をその「下に平行に垂直に並べて吊る」すものであるから、本件特許発明1の「前記遮蔽材を」「支持する枠体」に相当する。
そして、レール10に吊るされるブレード20は「遮光位置と非遮光位置との間で」動作できる状態である。
よって、甲1発明の、「建物の窓または窓枠の上端に設置され、ブレード20は、レール10の長軸に沿って配置され、レール10の下に平行に垂直に並べて吊るされる」「レール10」は、「ブレード20は、遮光位置と非遮光位置との間で同期ステアリング動作できるもの」であることから、本件特許発明1の「前記遮蔽材を開閉可能に支持する枠体」に相当する。

(ウ)甲1発明の「レール10の底面とブレード20の上端20bとの間の隙間を遮蔽して、その遮光個所での光漏れを防ぐもの」である「遮光ストリップ30」は、本件特許発明1の「前記枠体の下方から入射する外光を抑制する」「フィン」に相当する。
そして、甲1発明の「チルト機構を手動で制御して、ブレード20を遮光位置から非遮光位置に回転させるプロセスの間に」「遮光ストリップ30を引き上げた場合」があるということは、本件特許発明1の「前記フィンは、間接的な手操作」「で可動」であるということに相当する。

さらに、甲1発明において、
「ブレード20が遮光位置にあるとき、各遮光ストリップ30は自然に垂れ下がり、このとき、2つの遮光ストリップ30は、レール10の底面とブレード20の上端20bとの間の隙間を遮蔽して、その遮光個所での光漏れを防ぐ」ということは、「ブレード20が遮光位置にある」状態では、「2つの遮光ストリップ30」は「自然に垂れ下が」って、「レール10の底面とブレード20の上端20bとの間の隙間を遮蔽して、その遮光個所での光漏れを防ぐ」状態が保持されるということである。
また、「チルト機構を手動で制御して、ブレード20を遮光位置から非遮光位置に回転させるプロセスの間に、ブレード20の上部のコーナー20aは、ブレード20がひっくり返されるにつれて徐々に外側に移動し、ひっくり返されたブレード20は、そのコーナー20aで遮光ストリップ30の伸ばされたシート34の内壁を押し、ブレード20がひっくり返され、徐々に外側に移動するにつれて、各遮光ストリップ30の伸ばされたシート34が徐々に引き上げられ、遮光ストリップ30を引き上げた場合、遮光ストリップ30は光透過効果に影響を与えないものである」ということは、ブレード20が「非遮光位置に回転」した状態では、「ブレード20」が「外側に移動し、」「そのコーナー20aで遮光ストリップ30の伸ばされたシート34の内壁を押」すこととなり、「各遮光ストリップ30の伸ばされたシート34が」「引き上げられ、遮光ストリップ30を引き上げ」て、「光透過効果に影響を与えない」状態が保持されるということとなる。

よって、
「ブレード20が遮光位置にあるとき、各遮光ストリップ30は自然に垂れ下がり、このとき、2つの遮光ストリップ30は、レール10の底面とブレード20の上端20bとの間の隙間を遮蔽して、その遮光個所での光漏れを防ぐものであり、
チルト機構を手動で制御して、ブレード20を遮光位置から非遮光位置に回転させるプロセスの間に、ブレード20の上部のコーナー20aは、ブレード20がひっくり返されるにつれて徐々に外側に移動し、ひっくり返されたブレード20は、そのコーナー20aで遮光ストリップ30の伸ばされたシート34の内壁を押し、ブレード20がひっくり返され、徐々に外側に移動するにつれて、各遮光ストリップ30の伸ばされたシート34が徐々に引き上げられ、遮光ストリップ30を引き上げた場合、遮光ストリップ30は光透過効果に影響を与えないものである」
ことは、本件特許発明1の
「前記枠体の下方から入射する外光を抑制するように可動して調整可能とするフィンと、
を備え、前記フィンは、間接的な手操作、又は直接的な手操作で可動した開閉状態を保持できるように構成されている」ことと、
「前記枠体の下方から入射する外光を抑制する、可動のフィンと、
を備え、前記フィンは、間接的な手操作で可動した開閉状態を保持できるように構成されている」点で共通する。

(エ) 前記(ア)ないし(ウ)から、本件特許発明1と甲1発明とは、

[一致点]
「遮蔽材の開閉を可能とする遮蔽装置であって、
前記遮蔽材を開閉可能に支持する枠体と、
前記枠体の下方から入射する外光を抑制する、可動のフィンと、
を備え、前記フィンは、間接的な手操作で可動した開閉状態を保持できるように構成されている遮蔽装置。」
の点で一致し、そして以下の点で相違する。

[相違点1] 本件特許発明1では「フィン」は、「枠体の下方から入射する外光を抑制するように可動して調整可能」とされているのに対し、甲1発明ではそのような「調整」についての特定はされていない点。

イ 判断
(ア)検討
相違点1について検討する。
相違点1に係る本件特許発明1の「枠体の下方から入射する外光を抑制するように可動して調整可能」という構成は、その記載に基づいても、また本件特許の明細書における
「【0026】
(開閉切り替え式フィン)
ここで、本発明に係るロールスクリーン1では、・・・フィン9が、・・・巻取パイプ3と取付フレーム2との間で生じる隙間からの光漏れ等を効果的に遮蔽するようになっており、尚且つフィン9は、外光に対し遮蔽する閉状態と、外光に対し部分採光する開状態とを切り替え可能となっている。」、及び
「【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明によれば、遮蔽装置の上方に配置したフィンの開閉状態を切り替え可能とすることで、より快適性の高い優れた遮蔽装置を構成することができるので、フィンによる遮光及び部分採光を要する遮蔽装置の用途に有用である。」、
という記載を考慮しても、「枠体の下方から入射する外光」を調整の対象とし、それを可動して「調整」可能な構成と認められる。
これに対し、甲1発明における「遮光ストリップ30」は、「ブレード20が遮光位置にあるとき」は「レール10の底面とブレード20の上端20bとの間の隙間を遮蔽して、その遮光個所での光漏れを防」ぐ状態となり、「ブレード20を遮光位置から非遮光位置に回転させる」と「光透過効果に影響を与えない」状態となるというもの、すなわち「縦型ブラインド100」全体に入射する外光を調整するまでのものであって、「レール10の底面とブレード20の上端20bとの間の隙間」から入射する外光を調整の対象とし、それを可動して調整可能とする構成は有していない。
また、甲第1号証全体を見ても、「レール10の底面とブレード20の上端20bとの間の隙間」から入射する外光を「調整」することは記載も示唆もされていない。
加えて、甲第2号証ないし甲第5号証をみても、相違点1にかかる本件特許発明1の構成は記載も示唆もされていない。
よって、本件特許発明1と甲1発明との間に実質的な相違点(相違点1)が存在するから、本件特許発明1は、甲1発明ではなく、また、相違点1にかかる本件特許発明1の構成は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証ないし甲第5号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に想到することができたものではない。

(イ)申立人の主張について
上記第3の2(1)イで摘記したように、申立人は申立書において、本件特許発明1の「前記枠体の下方から入射する外光を抑制するように可動して調整可能とするフィン」に対応する構成が甲第1号証に記載されている旨主張している。
しかし上記(ア)で説示したように、甲第1号証には、「枠体の下方から入射する外光」を調整の対象とし、可動して「調整」可能ということは記載されていないので、申立人の主張を採用することはできない。

ウ 小括
以上のとおりであるから、本件特許発明1は甲第1号証に記載された発明ではない。
また、本件特許発明1は当業者が甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証ないし甲第5号証に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものではない。

(2)甲2発明、甲3発明、甲4発明、又は甲5発明を主引用例として
ア 対比・判断
本件特許発明1と甲2発明、甲3発明、甲4発明、又は甲5発明を対比すると、上記(1)アと同様の、

[相違点1’] 本件特許発明1では「フィン」は、「枠体の下方から入射する外光を抑制するように可動して調整可能」とされているのに対し、甲2発明の「可動フィン107」、甲3発明の「光漏れ防止部材9」、甲4発明の「光漏れ防止部材6」、又は甲5発明の「可動フィン40」においては、そのような「調整」についての特定はされていない点。

という相違点1’を有しており、また甲第2号証、甲第3号証、甲第4号証、又は甲第5号証全体を見ても、「枠体の下方から入射する外光を抑制するように可動して調整可能」ということは記載も示唆もされていない。
加えて甲第1号証をみても、相違点1’にかかる本件特許発明1の構成は記載も示唆もされていない。

イ 小括
以上のとおりであるから、本件特許発明1は、甲第2号証、甲第3号証、甲第4号証、又は甲第5号証に記載された発明ではない。
また、本件特許発明1は、当業者が、
・甲第2号証に記載された発明並びに甲第1号証及び甲第3号証ないし甲第5号証に記載された発明、
・甲第3号証に記載された発明並びに甲第1号証ないし甲第2号証及び甲第4号証ないし甲第5号証に記載された発明、
・甲第4号証に記載された発明並びに甲第1号証ないし甲第3号証及び甲第5号証に記載された発明、又は
・甲第5号証に記載された発明及び甲第1号証ないし甲第4号証に記載された発明、
に基づいて容易に発明をすることができたものではない。

3 本件特許発明2及び3について
本件特許発明2及び3は、それぞれ、本件特許発明1の構成をすべて含み、更に減縮したものであるから、上記1と同様の理由により、甲第1号証、甲第2号証、甲第3号証、甲第4号証、又は甲第5号証に記載された発明ではない。
また、本件特許発明2及び3は、それぞれ、当業者が、
・甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証ないし甲第5号証に記載された発明、
・甲第2号証に記載された発明並びに甲第1号証及び甲第3号証ないし甲第5号証に記載された発明、
・甲第3号証に記載された発明並びに甲第1号証ないし甲第2号証及び甲第4号証ないし甲第5号証に記載された発明、
・甲第4号証に記載された発明並びに甲第1号証ないし甲第3号証及び甲第5号証に記載された発明、又は
・甲第5号証に記載された発明及び甲第1号証ないし甲第4号証に記載された発明、
に基づいて容易に発明をすることができたものではない。

4 本件特許発明5について
(1)甲1発明を主引用例として
ア 対比
本件特許発明5と甲1発明を対比する。

(ア)甲1発明の「ブレード20」は本件特許発明1の「遮蔽材」に相当し、
甲1発明で「ブレード20は、遮光位置と非遮光位置との間で同期ステアリング動作できるもの」であるということは、本件特許発明1で「遮蔽材の開閉を可能とする」ことに相当する。
よって、甲1発明の「遮光位置と非遮光位置との間で同期ステアリング動作できる」「複数のブレード20」「を含む、縦型ブラインド100」は、本件発明5の「遮蔽材の開閉を可能とする遮蔽装置」に相当する。

(イ)甲1発明の「建物の窓または窓枠の上端に設置され」る「レール10」は、「ブレード20は、レール10の長軸に沿って配置され、レール10の下に平行に垂直に並べて吊るされる」ものであるから、本件特許発明5の「前記遮蔽材を」「支持する枠体」に相当する。
そして、レール10に吊るされるブレード20は「遮光位置と非遮光位置との間で」動作できる状態である。
よって、甲1発明の、「建物の窓または窓枠の上端に設置され、ブレード20は、レール10の長軸に沿って配置され、レール10の下に平行に垂直に並べて吊るされる」「レール10」は、「ブレード20は、遮光位置と非遮光位置との間で同期ステアリング動作できるもの」であることから、本件特許発明5の「前記遮蔽材を開閉可能に支持する枠体」に相当する。

(ウ)甲1発明の「レール10の底面とブレード20の上端20bとの間の隙間を遮蔽して、その遮光個所での光漏れを防ぐもの」である「遮光ストリップ30」は、本件特許発明5の「前記枠体の下方から入射する外光を抑制又は遮光する」「フィン」に相当する。
そして、甲1発明の「チルト機構を手動で制御して、ブレード20を遮光位置から非遮光位置に回転させるプロセスの間に」「遮光ストリップ30を引き上げた場合」があるということは、本件特許発明5で「前記フィンを可動させ開閉状態を切り替え可能と」していることに相当し、また甲1発明の「縦型ブラインド100」がその切り替え可能とする「切替手段」を備えていることは明らかである。
よって、甲1発明の
「チルト機構を手動で制御して、ブレード20を遮光位置から非遮光位置に回転させるプロセスの間に、ブレード20の上部のコーナー20aは、ブレード20がひっくり返されるにつれて徐々に外側に移動し、ひっくり返されたブレード20は、そのコーナー20aで遮光ストリップ30の伸ばされたシート34の内壁を押し、ブレード20がひっくり返され、徐々に外側に移動するにつれて、各遮光ストリップ30の伸ばされたシート34が徐々に引き上げられ、遮光ストリップ30を引き上げた場合、遮光ストリップ30は光透過効果に影響を与えないものである」
ことは、本件特許発明5の
「前記枠体の下方から入射する外光を抑制又は遮光するように調整可能とするフィンと、
前記フィンを可動させ開閉状態を切り替え可能とする切替手段」を備えることと、
「前記枠体の下方から入射する外光を抑制又は遮光するフィンと、
前記フィンを可動させ開閉状態を切り替え可能とする切替手段」を備える点で共通する。

(エ) 前記(ア)ないし(ウ)から、本件特許発明5と甲1発明とは、

[一致点]
遮蔽材の開閉を可能とする遮蔽装置であって、
前記遮蔽材を開閉可能に支持する枠体と、
前記枠体の下方から入射する外光を抑制又は遮光するフィンと、
前記フィンを可動させ開閉状態を切り替え可能とする切替手段と、を備える遮蔽装置。」
の点で一致し、そして以下の点で相違する。

[相違点1’’] 本件特許発明5では「フィン」は、「前記枠体の下方から入射する外光を抑制又は遮光するように調整可能」とされているのに対し、甲1発明ではそのような「調整」についての特定はされていない点。

[相違点2] 本件特許発明5では「前記切替手段は、操作棒と、前記フィンの被動ギヤ構造の軸部と噛合する駆動ギヤ軸と、前記操作棒の回転を前記駆動ギヤ軸の回転へと伝達する伝達ギヤ部と、前記駆動ギヤ軸の回転に所定の制動トルクを生じさせるブレーキ装置とを備え、前記操作棒の回転操作で前記フィンの開閉状態を切り替え可能に構成されている」とされているのに対し、甲1発明ではそのような特定はされていない点。

イ 判断
(ア)検討
相違点1’’について検討すると、上記2イ(ア)における相違点1についての検討と同様に、甲1発明は「前記枠体の下方から入射する外光を抑制又は遮光するように調整可能」なものとはいえず、また甲第1号証全体を見ても、加えて甲第2号証ないし甲第5号証をみても、相違点1’’にかかる本件特許発明5の構成は記載も示唆もされていない。
よって、本件特許発明5と甲1発明との間に実質的な相違点(相違点1’’)が存在するから、本件特許発明1は、甲1発明ではなく、また、相違点1’’にかかる本件特許発明5の構成は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証ないし甲第5号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に想到することができたものではない。

(イ)申立人の主張について
上記第3の3(2)で摘記したように、申立人は申立書において、本件特許発明5の「前記枠体の下方から入射する外光を抑制又は遮光するように調整可能とするフィン」に対応する構成が甲第1号証、甲第2号証に記載されている旨主張している。
しかし上記2における説示と同様に、甲第1号証、甲第2号証には、「前記枠体の下方から入射する外光」を調整の対象とし、「調整」可能ということは記載されていないので、申立人の主張を採用することはできない。

(ウ)小括
以上のとおりであるから、その余の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明5は当業者が甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証に記載された発明、並びに甲第3号証ないし甲第5号証に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものではない。

(2)甲2発明を主引用例として
ア 対比・判断
本件特許発明5と甲2発明は、上記(1)アと同様に、

[相違点1’’’] 本件特許発明5では「フィン」は、「前記枠体の下方から入射する外光を抑制又は遮光するように調整可能」とされているのに対し、甲2発明ではそのような「調整」についての特定はされていない点。

という相違点1’’’を有する。そして上記(1)イでの判断と同様に、本件特許発明5と甲2発明との間に実質的な相違点(相違点1’’’)が存在するから、本件特許発明5は、甲2発明ではなく、また、相違点1’’’にかかる本件特許発明5の構成は、甲第2号証に記載された発明並びに甲第1号証に記載された発明及び甲第3号証ないし甲第5号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に想到することができたものではない。

イ 小括
以上のとおりであるから、その余の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明5は当業者が甲第2号証に記載された発明及び甲第1号証に記載された発明、並びに甲第3号証ないし甲第5号証に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものではない。

5 本件特許発明7について
本件特許発明7は、本件特許発明1の構成をすべて含み、更に減縮したものであるから、上記2(1)と同様の理由により、甲第1号証に記載された発明ではなく、また、当業者が甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証ないし甲第5号証に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものでもない。

第5 むすび
したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1、2、3、5、7に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1、2、3、5、7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。


 
異議決定日 2022-11-18 
出願番号 P2017-165332
審決分類 P 1 652・ 113- Y (E06B)
P 1 652・ 121- Y (E06B)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 住田 秀弘
特許庁審判官 前川 慎喜
西田 秀彦
登録日 2021-12-21 
登録番号 6997562
権利者 立川ブラインド工業株式会社
発明の名称 遮蔽装置  
代理人 英 貢  

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