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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B62M
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B62M
管理番号 1392609
総通号数 13 
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2023-01-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-08-06 
確定日 2022-12-22 
事件の表示 特願2017−224996号「人力駆動車両の駆動システム」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年 6月20日出願公開、特開2019− 93904号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成29年11月22日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和 2年10月 1日付け:拒絶理由通知書
令和 2年11月30日 :意見書、手続補正書の提出
令和 3年 4月27日付け:拒絶査定
令和 3年 8月 6日 :審判請求書、同時に手続補正書の提出
令和 4年 5月12日付け:拒絶理由通知書
令和 4年 7月 8日 :意見書、手続補正書の提出

第2 本願発明
本願の請求項1〜13に係る発明は、令和4年7月8日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1〜13に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。
「 人力駆動車両の推進をアシストするモータを含むドライブユニットと、
バッテリユニットと、を含み、
前記モータは、クランク軸の回転軸心に平行な第1軸方向と異なる第2軸方向に平行な回転軸心を有し、
前記バッテリユニットは、前記ドライブユニットと、人力駆動車両用コンポーネントと、に電力を供給可能に構成され、少なくとも一部が前記人力駆動車両のダウンチューブに収容され、
前記人力駆動車両用コンポーネントは、前記人力駆動車両の推進をアシストする機能とは異なる機能を有する電動アクチュエータを含み、
前記ドライブユニットは、
前記クランク軸の回転力が伝達され、前記モータの回転力が伝達される出力部と、
前記モータの回転力を前記出力部に伝達する伝達機構と、
第2ワンウェイクラッチと、を含み、
前記伝達機構は、前記モータの回転軸心と同軸である第1軸線まわりに回転する第1回転体と、前記第1軸線と交差する第2軸線まわりに回転し、前記第1回転体と接触する第2回転体とを含み、
前記第2ワンウェイクラッチは、前記第2回転体の内周部と、前記出力部の外周部との間に設けられ、前記第2回転体の第1回転方向の回転速度が前記出力部の第1回転方向の回転速度以上の場合に、前記第2回転体の回転を前記出力部に伝達し、前記第2回転体の前記第1回転方向の回転速度が前記出力部の前記第1回転方向の回転速度未満の場合に、前記第2回転体の回転を前記出力部に伝達しない、人力駆動車両の駆動システム。」

第3 当審における拒絶の理由
当審が通知した拒絶の理由は、次の理由を含むものである。
進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献一覧>
1.登録実用新案第3042376号公報
2.特開2014−151745号公報(周知技術を示す文献)
3.特開2017−188849号公報(周知技術を示す文献)
4.特開2017−30395号公報(周知技術を示す文献)
5.特開平6−239286号公報(周知技術を示す文献)
6.登録実用新案第3204600号公報(周知技術を示す文献)
7.特開2000−238675号公報(周知技術を示す文献)
8.特開2011−51415号公報(周知技術を示す文献)
9.特開2000−238674号公報(周知技術を示す文献)
10.特許第5778830号公報(周知技術を示す文献)

第4 引用文献、引用発明等
1 引用文献1
(1)引用文献1の記載
当審の拒絶の理由で引用された引用文献1には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同様である。)。
ア 記載事項
(ア)「【0009】
【考案の実施の形態】
以下、本考案の実施の形態に係る自動車用電気駆動装置について、図面を参照しながら説明する。
【0010】
図1は本実施形態に係る電気駆動装置を備えた自転車の正面図であり、図2は本実施形態に係る電気駆動装置の上部部分断面図である。本実施形態に係る電気駆動装置を備えた自転車は、自転車車軸81、一組のチェーン支持体80、自転車車軸81とチェーン支持体80の間に回転できるように配置されたクランク軸40、クランク軸40の第一の端部402と第二の端部404に固定された2つのクランクアーム43、クランク軸40の第一の端部402に取り付けられたチェーンホイール42、チェーンホイール42と噛み合う駆動チェーン46を備えている。
【0011】
本実施形態に係る電気駆動装置は、クランク軸40の周りに取り付けられた収納部12を持ち、収納部12は第一の収納体15と第二の収納体16からなる。駆動シャフト30がクランク軸40の周囲に取り付けられており、その第一の端部302の周りにはチェーンホイール42が取り付けられている。単方向回転ベアリング21が駆動シャフト30の周りに配置され、傘歯車20が単方向回転ベアリング21の周りに取り付けられている。さらに傘歯車20の駆動のための駆動機構が収納部12に取り付けられており、前記駆動機構は、傘歯車20と噛み合う第二の傘歯車14を持った歯車列(A)、歯車列(A)を駆動するモータ10、モータ10に電気を供給するためのバッテリ101を含んでいる。さらに自転車車軸81の周りに取り付けられたコンテナ102には図10に示すCPU100が取り付けられている。」

(イ)「【0019】
図1〜6を参照しながら本実施形態に係る電気駆動装置の稼働時の動作を説明する。クランク軸40は乗り手によりクランクアーム43に加えられるトルクによって回転し、回転方向制御部33によって駆動シャフト30が一方向のみに回転し、さらに駆動チェーン46と噛み合っているチェーンホイール42が回転することにより自転車が前方に推進する。この状況において、単方向回転ベアリング21がアイドル状態である場合は傘歯車20は駆動シャフト30と共には回転せず、補助動力がない状態での通常の自転車運転と同様である。次にモータによって補助動力が発生した場合、第二の傘歯車14がモータ10によって回転し、第二の傘歯車14が傘歯車20を回転させる。ここで傘歯車20を回転させる方向は自転車を前方に推進する駆動シャフト30の回転方向と同じ方向であり、自転車推進の駆動を補助する方向である。検知インタフェース332の側面に配置されている速度検知装置38によりクランク軸40の回転速度を検知する。」

ア 図面
(ア)図1



(イ)図2



(ウ)図7




(2)認定事項
ア 図2及び図7より、クランク軸40の回転軸心とモータ10の回転軸心とは異なる方向を向いていることが看取できる。

イ 段落【0010】の「電気駆動装置を備えた自転車は、自転車車軸81・・・を備えている」という記載、段落【0011】の「自転車車軸81の周りに取り付けられたコンテナ102」という記載、及び図1より、バッテリ101は自転車車軸81の周りに取り付けられたコンテナ102に収容されるものと認められる。

ウ 段落【0011】の「傘歯車20と噛み合う第二の傘歯車14」という記載、及び図2より、第二の傘歯車14の回転軸線と、傘歯車20の回転軸線とは交差していることが理解できる。


(3)引用発明
上記(1)及び(2)から、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
<引用発明>
「 駆動シャフト30がクランク軸40の周囲に取り付けられ、
単方向回転ベアリング21が駆動シャフト30の周りに配置され、傘歯車20が単方向回転ベアリング21の周りに取り付けられ、
傘歯車20の駆動のための駆動機構は、傘歯車20と噛み合う第二の傘歯車14を持った歯車列(A)、歯車列(A)を駆動するモータ10、モータ10に電気を供給するためのバッテリ101を含んでいる、
クランク軸40は回転し、駆動シャフト30が一方向のみに回転し、この状況において、単方向回転ベアリング21がアイドル状態である場合は傘歯車20は駆動シャフト30と共には回転せず、モータ10によって補助動力が発生した場合、第二の傘歯車14がモータ10によって回転し、第二の傘歯車14が傘歯車20を回転させ、傘歯車20を回転させる方向は自転車を前方に推進する駆動シャフト30の回転方向と同じ方向であり、自転車推進の駆動を補助する方向である、
クランク軸40の回転軸心とモータ10の回転軸心とは異なる方向を向いて、
バッテリ101は自転車車軸81の周りに取り付けられたコンテナ102に収容され、
第二の傘歯車14の回転軸線と、傘歯車20の回転軸線とは交差している、
自転車用電気駆動装置。」

2 引用文献2
(1)引用文献2の記載
当審の拒絶の理由で引用された引用文献2には、図面とともに以下の事項が記載されている。
ア 「【0025】
モータ20が設けられる駆動ユニット4は、一般にフレームのシートチューブの下端部とフレームのダウンチューブの後端部との連結部付近に配置され、図示しないボルトによってフレームに固定される。モータ駆動用のバッテリ150(図4参照)は、リアキャリア、ダウンチューブまたはシートチューブに沿って配置される。」

イ 「【0046】
<電動補助自転車の電気的な構成>
図4は、駆動ユニット4を含む電動補助自転車の電気的な構成を示すブロック図である。電動補助自転車は、駆動ユニット4と、制御部110aおよびトルクセンサ50を含む自転車用制御装置110と、変速操作部70と、変速ユニット112とを含んで構成される。制御部110aは、駆動ユニット4と独立して設けられてもよい。たとえば、制御部110aは、リアキャリア、ダウンチューブまたはシートチューブに沿って配置されてもよい。また、制御部110aは、駆動ユニット4のケーシング11内に配置されてもよい。駆動ユニット4は、前述したモータ20およびトルクセンサ50と、インバータ114と、を含む。変速ユニット112は、変速用モータ116と、変速位置センサ118と、を含む。制御部110aには、駆動ユニット4のインバータ114とトルクセンサ50とが、電気的に接続される。また、制御部110aには、変速操作部70のモードダイヤル74と変速スイッチ76と、表示部78と、電気的に接続される。さらに、制御部110aには、変速ユニット112の変速用モータ116と、変速位置センサ118とが電気的に接続される。さらにまた、制御部110aには速度センサ80が電気的に接続される。速度センサ80は、自転車の走行速度を検出する。速度センサ80は、たとえば自転車の車輪に取り付けられる磁石と、フレームに取り付けられる磁石検出用センサとを含んで構成される。バッテリ150は、制御部110aおよびその他の電気部品に電気的に接続され、電力を供給する。」

ウ 図4




(2)認定事項
段落【0046】の「電動補助自転車は、駆動ユニット4と、制御部110aおよびトルクセンサ50を含む自転車用制御装置110と、・・・変速ユニット112とを含んで構成される」という記載、「バッテリ150は、制御部110aおよびその他の電気部品に電気的に接続され、電力を供給する」という記載、及び図4より、バッテリ150は、駆動ユニット4と、変速ユニット112とに電力を供給するものであることが理解できる。

(3)引用文献2技術事項
上記(1)及び(2)より、引用文献2には次の事項(以下「引用文献2技術事項」という。)が記載されていると認められる。
<引用文献2技術事項>
「バッテリ150は、駆動ユニット4と、変速ユニット112とに電力を供給する、制御部110aには、変速ユニット112の変速用モータ116が電気的に接続される、電動補助自転車。」

3 引用文献3
(1)引用文献3の記載
当審の拒絶の理由で引用された引用文献3には、図面とともに以下の事項が記載されている。
ア 「【0026】
図1に示されるように、電動アシスト自転車(以下では「自転車10」)は、自転車本体12、前輪14、後輪16、ハンドル18、クランク20、スプロケット24、チェーン26、自転車バッテリ28、自転車のコンポーネント(以下では「コンポーネント30」)、自転車センサ40、ライダーセンサ60、および、自転車用撮影装置(以下では「撮影装置70」)を備える。自転車本体12は、フレーム12Aおよびフロントフォーク12Bを含む。

イ 「【0030】
自転車バッテリ28は、フレーム12Aに取り付けられ、コンポーネント30に電力を供給する。コンポーネント30は、電動補助動力ユニット32、変速機34、サスペンション36、アジャスタブルシートポスト38、および、操作部Mを含む。操作部Mは、第1の操作部M1、第2の操作部M2、第3の操作部M3、および、第4の操作部M4を含む。コンポーネント30は、少なくとも第1の状態、および、第1の状態と異なる第2の状態で動作可能である。コンポーネント30の状態は、操作部Mの操作に応じて切り替わる。」

ウ 「【0035】
電動補助動力ユニット32は、アシストモータ(図示略)を含み、アシストモータによりクランク20の回転をアシストする。アシストモータの一例は電気モータである。・・・」

エ 「【0037】
変速機34は、後輪16のハブ16Bに設けられる内装変速機であり、リアスプロケット24Bに入力された回転を変速してホイール16Aに伝達する。変速機34に内蔵される遊星歯車機構(図示略)を構成する歯車(図示略)の連結状態は、ライダーの手の力を伝達するケーブル(図示略)、または、電気的に駆動されるアクチュエータ(図示略)により変更される。・・・」

オ 「【0038】
サスペンション36は、フロントフォーク12Bに設けられ、フロントフォーク12Bに対する前輪14の位置を変化可能に支持するフロントサスペンションである。サスペンション36は、弾性体(図示略)を含み、前輪14に加えられた衝撃を弾性エネルギーに変換することにより吸収する。弾性体の例は、ばね、空気、油、および、磁性流体等を含む流体が封入されたシリンダである。サスペンション36に内蔵される弾性体の状態は、ライダーの手の力を伝達するケーブル(図示略)、または、電気的に駆動されるアクチュエータ(図示略)により変更される。・・・」

カ 「【0039】
アジャスタブルシートポスト38は、フレーム12Aに設けられ、フレーム12Aに対する位置が変化可能に支持される。アジャスタブルシートポスト38の一部はフレーム12Aの内部に挿入される。アジャスタブルシートポスト38のフレーム12Aに対する位置は、ライダーの手の力を伝達するケーブル(図示略)、または、電気的に駆動されるアクチュエータ(図示略)により変更される。・・・」

カ 図3




(2)引用文献3技術事項
上記(1)より、引用文献3には次の事項(以下「引用文献3技術事項」という。)が記載されていると認められる。
<引用文献3技術事項>
「 自転車バッテリ28は、コンポーネント30に電力を供給する、
コンポーネント30は、電動補助動力ユニット32、変速機34、サスペンション36、アジャスタブルシートポスト38を含む、
変速機34に内蔵される遊星歯車機構を構成する歯車の連結状態は、電気的に駆動されるアクチュエータにより変更され、
サスペンション36に内蔵される弾性体の状態は、電気的に駆動されるアクチュエータにより変更され、
アジャスタブルシートポスト38のフレーム12Aに対する位置は、電気的に駆動されるアクチュエータにより変更される、
電動アシスト自転車。」

4 引用文献4
(1)引用文献4の記載
当審の拒絶の理由で引用された引用文献4には、図面とともに以下の事項が記載されている。
ア 「【0020】
自転車10はさらに、バッテリB、ランプ24、トルクセンサ26、車速センサ28、および、駆動機構30を備える。バッテリBは、フレーム12に取り付けられる。バッテリBは、電線Lによりランプ24、トルクセンサ26、車速センサ28、操作制御装置100、各ユニット200、300、400、500、600と電気的に接続される。・・・」

イ 「【0031】
アシストユニット200は、ドライブユニット32のハウジングに設けられる。アシストユニット200は、アシストモータ202、第2の制御部204、第2の記憶部206、第2の通信部208、および、第2の接続部210を含む。第2の制御部204は、予め定める制御プログラムを実行する演算処理装置を含んで構成される。」

ウ 「【0034】
変速ユニット300は、後輪16のハブ16B(図1参照)に設けられる。変速ユニット300は、変速機302、アクチュエータ304、第3の制御部306、第3の記憶部308、第3の通信部310、および、第3の接続部312を含む。変速機302は、自転車10の変速比を変更可能である。変速機302は、例えば遊星歯車機構(図示略)を含み、後輪16のハブ16Bと一体化された内装変速機である。アクチュエータ304は、例えば電気モータであり、自転車10の変速比が変更されるように変速機302を動作させる。」

エ 図3




(2)認定事項
段落【0020】の「バッテリBは、電線Lにより・・・各ユニット200、300・・・と電気的に接続される」という記載、段落【0031】の「アシストユニット200」という記載、段落【0034】の「変速ユニット300」という記載、及び図3より、バッテリBはアシストユニット200及び変速ユニット300に電力を供給可能に構成されているものと認められる。

(3)引用文献4技術事項
上記(1)及び(2)より、引用文献4には次の事項(以下「引用文献4技術事項」という。)が記載されていると認められる。
<引用文献4技術事項>
「バッテリBはアシストユニット200及び変速ユニット300に電力を供給可能に構成され、変速ユニット300は、アクチュエータ304を含む、アクチュエータ304は電気モータであり、自転車10の変速比が変更されるように変速機302を動作させる、自転車10。」

5 引用文献5
(1)引用文献5の記載
当審の拒絶の理由で引用された引用文献5には、図面とともに以下の事項が記載されている。
ア 「【0010】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図1および図2によって詳細に説明する。図1は本発明に係る電動自転車の側面図、図2は図1における前側車体フレームのII−II線断面図である。これらの図において、1は本発明に係る電動自転車で、この電動自転車1は、前側車体フレーム2および後側車体フレーム3からなるフレーム4と、このフレーム4にフロントフォーク5を介して回転自在かつ操舵自在に支持された前輪6と、前記後側車体フレーム3に回転自在に支持された後輪7と、この後輪7を回転駆動する駆動装置8等から構成されている。

イ 「【0018】前記電動装置23は、本実施例ではその全てが前側車体フレーム2の中空部内に装着され、前記出力軸27に歯車式伝動装置32を介して連結された動力源としてのモータ33と、このモータ33の回転を制御するコントローラ34と、前記モータ33やコントローラ34の電源となるバッテリ35と、前側車体フレーム2の車体右側前部に配置されてこの電動装置23の回路を開閉するメインスイッチ36等を備えている。このメインスイッチ36は、前側車体フレーム2の中空部内に配置されているが、前側車体フレーム2の上面に開口されたキー孔(図示せず)を介してキーが挿抜される構造になっている。」

ウ 図1




(2)引用文献5技術事項
上記(1)より、引用文献5には次の事項(以下「引用文献5技術事項」という。)が記載されていると認められる。
<引用文献5技術事項>
「電動装置23は、その全てが前側車体フレーム2の中空部内に装着され、モータ33やコントローラ34の電源となるバッテリ35を備えている電動自転車1。」

6 引用文献6
(1)引用文献6の記載
当審の拒絶の理由で引用された引用文献6には、図面とともに以下の事項が記載されている。
ア 「【0025】
(実施形態)
図1〜図5を参照して、自転車用フレーム20(以下、「フレーム20」)を含む自転車10について説明する。」

イ 「【0025】
図2に示されるとおり、収容部24は、第1のコンポーネント40を収容可能な収容空間24Aを形成する。収容部24は、図1のダウンチューブ22A、トップチューブ22B、および、シートチューブ22Cの少なくとも1つに設けられる。一例では、収容部24は、ダウンチューブ22Aに設けられる。
【0026】
図2に示されるとおり、第1のコンポーネント40は、バッテリホルダ42およびバッテリユニット44を含む。バッテリホルダ42は、バッテリユニット44を着脱可能に保持する。・・・」

ウ 図1




エ 図2




(2)引用文献6技術事項
上記(1)より、引用文献6には次の事項(以下「引用文献6技術事項」という。)が記載されていると認められる。
<引用文献6技術事項>
「収容部24は、第1のコンポーネント40を収容可能な収容空間24Aを形成する、収容部24は、ダウンチューブ22Aに設けられる、第1のコンポーネント40は、バッテリホルダ42およびバッテリユニット44を含む、自転車10。」

7 引用文献7
(1)引用文献7の記載
当審の拒絶の理由で引用された引用文献7には、図面とともに以下の事項が記載されている。
ア 「【0012】図1に示す電動自転車1において、2は車体前方上部に位置するヘッドパイプであり、該ヘッドパイプ2内にはステアリング軸3が回動自在に挿通している。そして、ステアリング軸3の上端にはハンドル4が取り付けられ、同ステアリング軸3の下端には左右一対のフロントフォーク5の上端が取り付けられ、該フロントフォーク5の下端には前輪6が回転自在に軸支されている。」

イ 「【0014】而して、本実施の形態においては、ダウンチューブ7内にはバッテリ12とパワーユニット13の電動モータ14の一部が組み込まれている。」

ウ 図1




(2)引用文献7技術事項
上記(1)より、引用文献7には次の事項(以下「引用文献7技術事項」という。)が記載されていると認められる。
<引用文献7技術事項>
「ダウンチューブ7内にはバッテリ12が組み込まれている電動自転車1。」

8 引用文献8
(1)引用文献8の記載
当審の拒絶の理由で引用された引用文献8には、図面とともに以下の事項が記載されている。
ア 「【0026】
本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1に示されるように、電動二輪車10は、・・・」

イ 「【0027】
ロアフレーム19が、ダウンフレーム18に一体的に形成されることで、メインフレーム37が形成されている。ボックス形状のロアフレーム19内にパワーユニット30へ電力を供給するバッテリ39が収容されている。同じくボックス形状のダウンフレーム18内に収容されているのは、第2バッテリ41である。」

ウ 図1




(2)引用文献8技術事項
上記(1)より、引用文献8には次の事項(以下「引用文献8技術事項」という。)が記載されていると認められる。
<引用文献8技術事項>
「ボックス形状のダウンフレーム18内に収容されているのは、第2バッテリ41である電動二輪車10。」

9 引用文献9
(1)引用文献9の記載
当審の拒絶の理由で引用された引用文献9には、図面とともに以下の事項が記載されている。
ア 「【0021】而して、電動自転車1にはパワーユニット23の駆動源としてのバッテリの搭載が不可欠であるが、本実施の形態では、図1に示すように前記トップチューブ14とダウンチューブ15内にバッテリ35,36をそれぞれ着脱可能に収納している。」

イ 図1




(2)引用文献9技術事項
上記(1)より、引用文献9には次の事項(以下「引用文献9技術事項」という。)が記載されていると認められる。
<引用文献9技術事項>
「ダウンチューブ15内にバッテリ36を着脱可能に収納している電動自転車1。」

10 引用文献10
(1)引用文献10の記載
当審の拒絶の理由で引用された引用文献10には、図面とともに以下の事項が記載されている。
ア 「【0018】
図1に示されるように、自転車10は、フレーム12、ハンドル14、前輪16、後輪18、駆動機構20、変速機24、ダイナモ26、踏力センサ28、変速操作部30、アシスト機構32、制御ユニット60(図2参照)、および、バッテリ34を含む。

イ 「【0024】
変速機24は、ハブと一体化された内装変速機によって実現される。変速機24は、複数の変速段を含み、たとえば1段から3段までの変速段を含む。変速機24は、アクチュエータ48(図2参照)と、アクチュエータ48によって制御される遊星歯車機構(図示略)を含む。アクチュエータ48は、例えば、電気モータである。アクチュエータ48は、遊星歯車機構を構成する歯車の連結状態を変更することによって、自転車10の変速段、すなわち、変速比γを変更する。
【0025】
アシスト機構32は、モータ50および減速機(図示略)を含む。モータ50は、電気モータであり、バッテリ34から供給される電力によって回転する。モータ50の回転は、減速機を介してフロントスプロケット42に伝達される。モータ50とフロントスプロケットとの間には、クランクアーム36が前転したときに人力駆動力によってモータが回転することを防止するためにワンウェイクラッチが設けられてもよい。モータ50を含むアシスト機構32は、モータ50の駆動により、フロントスプロケット42を回転させる人力駆動動力をアシストする。
【0026】
図2を参照して、制御ユニット60の構成について説明する。制御ユニット60は、人力演算部62、アシスト制御部64、制御部66、速度演算部68、禁止設定部70、および、記憶部72を含む。制御ユニット60は、ダイナモ26、踏力センサ28、変速操作部30、アクチュエータ48、モータ50、および、バッテリ34と電力線により接続されている。制御ユニット60は、ダイナモ26、踏力センサ28、変速操作部30、アクチュエータ48、モータ50、および、バッテリ34と相互に電力線通信によって通信することができる。制御ユニット60は、アシスト機構32のアシスト状態、および、変速機24の変速状態を制御する。」

ウ 図2




(2)認定事項
段落【0024】の「変速機24は、アクチュエータ48・・・と、アクチュエータ48によって制御される遊星歯車機構・・・を含む。アクチュエータ48は・・・電気モータである」という記載、段落【0025】のアシスト機構32は、モータ50・・・を含む。モータ50は、電気モータであり、バッテリ34から供給される電力によって回転する」という記載、段落【0026】の「制御ユニット60は、・・・アクチュエータ48、モータ50、および、バッテリ34と電力線により接続されている」という記載、及び図2より、バッテリ34は、アシスト機構32と、変速機24とに電力を供給可能に構成されているものと認められる。

(3)引用文献10技術事項
上記(1)及び(2)より、引用文献10には次の事項(以下「引用文献10技術事項」という。)が記載されていると認められる。
<引用文献10技術事項>
「バッテリ34は、アシスト機構32と、変速機24とに電力を供給可能に構成され、変速機24は、アクチュエータ48と、アクチュエータ48によって制御される遊星歯車機構を含む、アクチュエータ48は電気モータである、自転車10。」

11 引用文献11
(1)引用文献11の記載
当審が周知の技術を示す文献として新たに提示する特開平7−95744号公報(以下「引用文献11」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
ア 「【0019】9はこの電動自転車1の補助動力装置である。この補助動力装置9は、バッテリケース10に収納されたバッテリ11から給電されると共に後述する制御ユニットによって制御されるモータ12と、クランク軸13を有しかつ前記モータ12に連結された遊星ローラ式減速機を内蔵する被駆動装置としてのパワーユニット14と、クランク軸13における車体右側端部に軸装されたクランクギヤ15(図4)、クランク16およびペダル17等を備えている。」

イ 「【0039】次に、モータ12に連結された電気駆動系の構造について説明する。モータ12は、図4に示すように、その回転軸12aが遊星ローラ式減速機25、モータ側一方向クラッチ51、出力歯車部材52およびこの出力歯車部材52に噛合する前記リングギヤ40を介して前記筒状出力軸31に連結されている。なお、52aは出力歯車部材52に圧入されたカラーである。
【0040】遊星ローラ式減速機25は、丸棒からなるモータ12の回転軸12aより大径な円筒状に形成されてモータ12の軸端部に回転軸12aと同軸に固定された外輪53と、この外輪53と前記回転軸12aとの間に複数配置されてこれら両者に各々が添接する遊星ローラ54と、これらの遊星ローラ54を回転自在に保持するピン55を備えかつモータ側一方向クラッチ51を介して出力歯車部材52に動力を伝えるキャリア56とから形成されている。」

ウ 「【0042】前記遊星ローラ54は、本実施例では図8に示すように、外輪53の周方向に等間隔おいて4個装着され、各々がキャリア56に圧入されたピン55に軸受62によって回転自在に支持されている。また、この遊星ローラ54を保持するキャリア56は、底部に前記ピン55が突設された有底円筒状に形成されており、中空部にモータ側一方向クラッチ51および出力歯車部材52が装着されている。」

エ 図4




(2)認定事項
ア 段落【0019】、【0039】の記載、及び図4より、モータ12の回転軸12aの回転軸心と、クランク軸13の回転軸心とは、異なる方向を向くものと認められる。

イ 段落【0040】の「回転軸12aと同軸に固定された外輪53と、この外輪53と前記回転軸12aとの間に複数配置されてこれら両者に各々が添接する遊星ローラ54と、これらの遊星ローラ54を回転自在に保持するピン55を備えかつモータ側一方向クラッチ51を介して出力歯車部材52に動力を伝えるキャリア56」という記載、段落【0042】の「前記遊星ローラ54は・・・外輪53の周方向に等間隔おいて4個装着され、各々がキャリア56に圧入されたピン55に軸受62によって回転自在に支持されている」という記載、及び図4より、回転軸12aと、外輪53と、キャリア56とは同軸であることが理解できる。
また、段落【0042】の「キャリア56は、・・・有底円筒状に形成されており、中空部にモータ側一方向クラッチ51および出力歯車部材52が装着されている」という記載、及び図4より、キャリア56と出力歯車部材52とは同軸であることが理解できる。
そうすると、モータ12の回転軸12aの回転軸心と、出力歯車部材52の回転軸線とは同軸であるものと認められる。

(3)引用文献11技術事項
上記(1)及び(2)より、引用文献11には次の事項(以下「引用文献11技術事項」という。)が記載されていると認められる。
<引用文献11技術事項>
「モータ12の回転軸12aの回転軸心と、クランク軸13の回転軸心とは、異なる方向を向く、モータ12の回転軸12aの回転軸心と、出力歯車部材52の回転軸線とは同軸である、電動自転車1。」

12 引用文献12
(1)引用文献12の記載
当審が周知の技術を示す文献として新たに提示する米国特許出願公開第2013/0263697号明細書(以下「引用文献12」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている({}内に当審が作成した翻訳文を示す。)。
ア 「[0035] The supporting shaft tube (10) is a long straight hollow tube coupled to the bottom of a seat cushion of a bicycle.」
{支持軸管(10)は、自転車のシートクッションの底部に結合され、長い直線状の中空管である。}

イ 「[0037] The gear speed governor (30), which is installed on the driving shaft (21) of the vertical shaft motor (20) and passed into the supporting shaft tube (10), includes a speed retardation device having at least one reduction gear set installed therein. By setting the gear ratio of the reduction gear set, the gear speed governor (30) can adjust the rotating speed of the driving shaft (21) and use an output shaft (31) to output a smaller rotating speed. The adjustment of gears of this sort is a prior art that can be applied or substituted by other equivalent prior art by those ordinarily skilled in the art, and the details of the gear ratio are not intended to be covered by the claims of this invention. Thus, the gear ratio of the gears installed inside the gear speed governor (30) will not be described in details here. The output shaft (31) includes a first steering gear (32) installed thereon and coupled and latched to the output shaft (31) and driven and rotated by the output shaft (31), wherein the first steering gear (32) can be a fan gear.」
{[0037] 垂直軸モータ(20)の駆動軸(21)に装着され、支持軸管(10)内へ導入される調速機(30)は、その中に組み込まれた少なくとも1つの減速ギアセットを有する減速装置を備えている。減速ギアセットのギア比を設定することにより、ギア調速機(30)は、駆動軸(21)の回転速度を調整し、出力軸(31)を使用して、より小さな回転速度を出力することができる。この種のギアの調整は、当業者が他の同等の従来技術に適用または代替できるものであり、ギア比の詳細については、本発明のクレームによってカバーされることを意図するものではない。それゆえ、ギア調速機(30)の内部に設置されたギアのギア比は、ここでは詳細には説明しない。出力軸(31)は、その上に設置され、出力軸(31)に連結され、ラッチされ、出力軸(31)により回転駆動される第1のステアリングギア(32)を含み、第1のステアリングギア(32)は扇形ギアとすることができる。}

ウ 「[0040] The shaft sleeve (60) is a long tube component rotatably sheathed on the pedal shaft (50) and can rotatably passed into the first shaft hole (42) and the second shaft hole (43). The shaft sleeve (60) is passed into the first bearing unit (1A), and at least one second bearing unit (1B) is installed between the shaft sleeve (60) and the second shaft hole (43). The shaft sleeve (60) includes a second steering gear (61) installed thereon, wherein the second steering gear (61) is a fan gear corresponding to the first steering gear (32). The second steering gear (61) is installed perpendicular to the first steering gear (32) and the second steering gear (61) engaged with the first steering gear (32), so as to convert an output power of the output shaft (31) into an output of a rotating force in a horizontal direction. In addition, the shaft sleeve (60) further includes a needle roller bearing (62) installed on a wall of the inner ring at both ends respectively and sheathed on the wall of the pedal shaft (50).」
{[0040] 軸スリーブ(60)は、ペダル軸(50)に外装され回転自在に長尺の管部品であり、第1軸孔(42)及び第2軸孔(43)に回動自在に挿通される。軸スリーブ(60)は、第1軸受部(1A)に挿入され、少なくとも1つの第1軸受部(1B)は、軸スリーブ(60)と第2軸孔(43)との間に設置される。軸スリーブ(60)は、その上に設置される第2のステアリングギア(61)を含み、第2のステアリングギア(61)は、第1のステアリングギア(32)に対応した扇形ギアである。第2のステアリングギア(61)は、第1のステアリングギア(32)に対して垂直に設置され、第2ステアリングギア(61)は第1のステアリングギア(32)に係合し、出力軸(31)の出力を水平方向への回転出力に変換する。さらに、軸スリーブ(60)は、内側リングの壁の両側にそれぞれ設置され、ペダル軸(50)の壁に覆われたニードルローラーベアリング(62)を含む。}

ウ 図3




エ 図4




(2)認定事項
段落[0037]、[0040]の記載、図3及び図4より、垂直軸モータ(20)の駆動軸(21)の回転軸心と、ペダル軸(50)の回転軸心とは、異なる方向を向くものであり、垂直軸モータ(20)の駆動軸(21)の回転軸心と、出力軸(31)により回転駆動される第1のステアリングギア(32)の回転軸線とは同軸であるものと認められる。

(3)引用文献12技術事項
上記(1)及び(2)より、引用文献12には次の事項(以下「引用文献12技術事項」という。)が記載されていると認められる。
<引用文献12技術事項>
「垂直軸モータ(20)の駆動軸(21)の回転軸心と、ペダル軸(50)の回転軸心とは、異なる方向を向く、垂直軸モータ(20)の駆動軸(21)の回転軸心と、出力軸(31)により回転駆動される第1のステアリングギア(32)の回転軸心とは同軸である、自転車。」

第5 対比
本願発明と引用発明とを対比すると次のことがいえる。
1 引用発明の「自転車」は本願発明の「人力駆動車両」に相当し、以下同様に、「モータ10」は「モータ」に、「バッテリ101」は「バッテリユニット」に、「クランク軸40」は「クランク軸」に、「駆動シャフト30」は「出力部」に、「単方向回転ベアリング21」は「第2ワンウェイクラッチ」に、「自転車車軸81」は「ダウンチューブ」に、「第二の傘歯車14」は「第1回転体」に、「傘歯車20」は「第2回転体」に、「自転車用電気駆動装置」は「人力駆動車両の駆動システム」に、それぞれ相当する。
引用発明の「第二の傘歯車14」を有する「歯車列(A)」と「傘歯車20」とからなる機構は、本願発明の「伝達機構」に相当する。
また、引用発明の「モータ10」、「駆動シャフト30」、「単方向ベアリング21」、「第二の傘歯車14」を有する「歯車列(A)」及び「傘歯車20」からなる装置は、本願発明の「ドライブユニット」に相当する。
そして、上記の相当関係を踏まえると、以下のことがいえる。

2 引用発明において、「モータ10によって補助動力が発生した場合」には、「第二の傘歯車14がモータ10によって回転し、第二の傘歯車14が傘歯車20を回転させ、傘歯車20を回転させる方向は自転車を前方に推進する駆動シャフト30の回転方向と同じ方向であり、自転車推進の駆動を補助する方向である」から、引用発明の「モータ10」は、自転車推進を補助、すなわちアシストするものといえる。
このことと、引用発明の「モータ10」が本願発明の「ドライブユニット」の一部を構成するものであることを踏まえると、引用発明の「駆動シャフト30がクランク軸40の周囲に取り付けられ、単方向回転ベアリング21が駆動シャフト30の周りに配置され、傘歯車20が単方向回転ベアリング21の周りに取り付けられ、傘歯車20の駆動のための駆動機構は、傘歯車20と噛み合う第二の傘歯車14を持った歯車列(A)、歯車列(A)を駆動するモータ10、モータ10に電気を供給するためのバッテリ101を含んでいる」構成及び「モータによって補助動力が発生」する構成は、本願発明の「人力駆動車両の推進をアシストするモータを含むドライブユニットと、バッテリユニットと、を含」む構成に相当する。

3 引用発明の「クランク軸40の回転軸心とモータ10の回転軸心とは異なる方向を向いて」いる構成は、クランク軸40の回転軸心に平行な方向と、モータ10の回転軸心に平行な方向とが異なるものであるから、本願発明の「前記モータは、クランク軸の回転軸心に平行な第1軸方向と異なる第2軸方向に平行な回転軸心を有」する構成に相当する。

4 引用発明の「モータ10」が本願発明の「ドライブユニット」の一部を構成するものであることを踏まえると、引用発明の「モータ10に電気を供給するためのバッテリ101」という構成は、バッテリ101がドライブユニットの一部であるモータ10に電気を供給するといえるから、本願発明の「前記バッテリユニットは、前記ドライブユニット」「に電力を供給可能に構成され」る構成に相当する。

5 引用発明の「モータによって補助動力が発生した場合、第二の傘歯車14がモータ10によって回転し、第二の傘歯車14が傘歯車20を回転させ、傘歯車20を回転させる方向は自転車を前方に推進する駆動シャフト30の回転方向と同じ方向であ」る構成は、第二の傘歯車14及び傘歯車20が、モータ10によって発生した補助動力を駆動シャフト30に伝達するものと認められる。また、引用発明の「クランク軸40は回転し、駆動シャフト30が一方向のみに回転」する構成は、クランク軸40が駆動シャフト30を回転させる、すなわちクランク軸40の回転力が駆動シャフト30に伝達される構成といえる。
そうすると、引用発明の上記構成と、「駆動シャフト30がクランク軸40の周囲に取り付けられ、単方向回転ベアリング21が駆動シャフト30の周りに配置され、傘歯車20が単方向回転ベアリング21の周りに取り付けられ、傘歯車20の駆動のための駆動機構は、傘歯車20と噛み合う第二の傘歯車14を持った歯車列(A)・・・を含んでいる」構成とは、本願発明の「前記ドライブユニットは、前記クランク軸の回転力が伝達され、前記モータの回転力が伝達される出力部と、前記モータの回転力を前記出力部に伝達する伝達機構と、第2ワンウェイクラッチと、を含」む構成に相当する。

6 引用発明の「傘歯車20と噛み合う第二の傘歯車14」という構成と、「第二の傘歯車14の回転軸線と、傘歯車20の回転軸線とは交差している」という構成とは、本願発明の「前記伝達機構は、」「第1軸線まわりに回転する第1回転体と、前記第1軸線と交差する第2軸線まわりに回転し、前記第1回転体と接触する第2回転体とを含」む構成に相当する。

7 引用発明の「単方向回転ベアリング21が駆動シャフト30の周りに配置され、傘歯車20が単方向回転ベアリング21の周りに取り付けられ」る構成は、本願発明の「前記第2ワンウェイクラッチは、前記第2回転体の内周部と、前記出力部の外周部との間に設けられ」る構成に相当する。

8 引用発明の「クランク軸40は回転し、駆動シャフト30が一方向のみに回転し、この状況において、単方向回転ベアリング21がアイドル状態である場合は傘歯車20は駆動シャフト30と共には回転せず、モータによって補助動力が発生した場合、第二の傘歯車14がモータ10によって回転し、第二の傘歯車14が傘歯車20を回転させ、傘歯車20を回転させる方向は自転車を前方に推進する駆動シャフト30の回転方向と同じ方向であり、自転車推進の駆動を補助する方向である」構成について検討する。

(1)引用発明の「クランク軸40は回転し、駆動シャフト30が一方向のみに回転し、この状況において、単方向回転ベアリング21がアイドル状態である場合」は、「モータによって補助動力が発生」していない場合であり、モータ10により傘歯車20は回転されない一方、駆動シャフト30は「自転車を前方に推進する駆動シャフト30の回転方向」に回転するものであるから、「自転車を前方に推進する駆動シャフト30の回転方向」への回転について、傘歯車20の回転速度が駆動シャフト30の回転速度未満であるものと認められる。
このことと、単方向回転ベアリングが一方の方向のみに回転力を伝達するクラッチ機構であり、アイドル状態のときには回転力を伝達しないものであることが技術常識であることとを踏まえると、引用発明の「クランク軸40は回転し、駆動シャフト30が一方向のみに回転し、この状況において、単方向回転ベアリング21がアイドル状態である場合は傘歯車20は駆動シャフト30と共には回転せず」という構成は、本願発明の「前記第2回転体の前記第1回転方向の回転速度が前記出力部の前記第1回転方向の回転速度未満の場合に、前記第2回転体の回転を前記出力部に伝達しない」構成に相当する。

(2)引用発明の「モータによって補助動力が発生した場合、第二の傘歯車14がモータ10によって回転し、第二の傘歯車14が傘歯車20を回転させ、傘歯車20を回転させる方向は自転車を前方に推進する駆動シャフト30の回転方向と同じ方向であり、自転車推進の駆動を補助する方向である」構成においては、「単方向回転ベアリング21がアイドル状態」ではなく、単方向回転ベアリング21が、傘歯車20の回転を駆動シャフト30に伝達しているものと認められる。
そして、単方向回転ベアリングが、一方の部材の回転力を他方の部材に伝達しているときには、両部材が一体的に回転する、すなわち一方の部材の回転速度と他方の部材の回転速度とが同じになっていることが技術常識であるから、「モータによって補助動力が発生した場合、第二の傘歯車14がモータ10によって回転し、第二の傘歯車14が傘歯車20を回転させ、傘歯車20を回転させる方向は自転車を前方に推進する駆動シャフト30の回転方向と同じ方向であり、自転車推進の駆動を補助する方向である」構成は、本願発明の「前記第2ワンウェイクラッチは、」「前記第2回転体の第1回転方向の回転速度が前記出力部の第1回転方向の回転速度以上の場合に、前記第2回転体の回転を前記出力部に伝達」する構成に相当する。

9 以上のことから、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
<一致点>
「 人力駆動車両の推進をアシストするモータを含むドライブユニットと、
バッテリユニットと、を含み、
前記モータは、クランク軸の回転軸心に平行な第1軸方向と異なる第2軸方向に平行な回転軸心を有し、
前記バッテリユニットは、前記ドライブユニットに電力を供給可能に構成され、
前記ドライブユニットは、
前記クランク軸の回転力が伝達され、前記モータの回転力が伝達される出力部と、
前記モータの回転力を前記出力部に伝達する伝達機構と、
第2ワンウェイクラッチと、を含み、
前記伝達機構は、第1軸線まわりに回転する第1回転体と、前記第1軸線と交差する第2軸線まわりに回転し、前記第1回転体と接触する第2回転体とを含み、
前記第2ワンウェイクラッチは、前記第2回転体の内周部と、前記出力部の外周部との間に設けられ、前記第2回転体の第1回転方向の回転速度が前記出力部の第1回転方向の回転速度以上の場合に、前記第2回転体の回転を前記出力部に伝達し、前記第2回転体の前記第1回転方向の回転速度が前記出力部の前記第1回転方向の回転速度未満の場合に、前記第2回転体の回転を前記出力部に伝達しない、人力駆動車両の駆動システム。」

<相違点1>
「バッテリユニット」の機能などについて、本願発明では、バッテリユニットは、「前記ドライブユニットと、人力駆動車両用コンポーネントと、に電力を供給可能に構成され」、「前記人力駆動車両用コンポーネントは、前記人力駆動車両の推進をアシストする機能とは異なる機能を有する電動アクチュエータを含」む構成であるのに対し、引用発明では、かかる人力駆動車両用コンポーネントを有しておらず、バッテリユニットがドライブユニットに電力を供給するものの、人力駆動車両用コンポーネントに電力を供給する構成でない点。

<相違点2>
「バッテリユニット」の配置などについて、本願発明では、バッテリユニットは、「少なくとも一部が前記人力駆動車両のダウンチューブに収容され」る構成であるのに対し、引用発明では、「バッテリ101は、」「自転車車軸81の周りに取り付けられたコンテナ102に収容される」構成である点。

<相違点3>
第1軸線について、本願発明では、第1軸線が「前記モータの回転軸心と同軸である」のに対し、引用発明では、「第二の傘歯車14の回転軸線」がそのように特定されていない点。

第6 判断
以下、相違点について検討する。
1 相違点1について
引用文献2技術事項〜引用文献4技術事項、及び引用文献10技術事項に例示されるように、「バッテリが、アシストモータと、アシストモータとは異なるモータを含む電動コンポーネントと、に電力を供給可能に構成される電動アシスト自転車」は、本願出願前に周知の技術(以下「周知技術1」という。)である。
補足すると、引用文献2技術事項の「変速ユニット112」、引用文献3技術事項の「変速機34」、「サスペンション36」、及び「アジャスタブルシートポスト38」、引用文献4技術事項の「変速ユニット300」、並びに引用文献10技術事項の「変速機24」はいずれも、周知技術1の「アシストモータとは異なるモータを含む電動コンポーネント」に相当するものである。
引用発明と周知技術1とは、電動アシスト自転車という共通の技術分野に属し、バッテリ(バッテリユニット)がアシストモータ(ドライブユニットの一部)に電力を供給可能に構成される点においても共通しているから、引用発明に周知技術1を付加し、バッテリ101(バッテリユニット)がモータ10(ドライブユニットの一部)と、モータ10とは異なるモータを含む電動コンポーネント(人力駆動車両用コンポーネント)とに電力を供給可能な構成とし、上記相違点1に係る本願発明の構成とすることは、当業者にとって容易である。

2 相違点2について
引用文献5技術事項〜引用文献9技術事項に例示されるように、「バッテリがダウンチューブに収容される電動アシスト自転車」は、本願出願前に周知の技術(以下「周知技術2」という。)である。
引用発明と周知技術2とは、電動アシスト自転車という共通の技術分野に属する。また、引用発明の「バッテリ101は自転車車軸81の周りに取り付けられたコンテナ102に収容され」ることと、周知技術2の「バッテリがダウンチューブに収容される」こととは、バッテリをダウンチューブに対して取り付けるという態様が類似するものである。
したがって、引用発明に周知技術2を適用して、バッテリ101(バッテリユニット)を自転車車軸81(ダウンチューブ)の周りに取り付けられたコンテナ102に収容する構成に代えて、自転車車軸81(ダウンチューブ)に収容する構成とし、上記相違点2に係る本願発明の構成とすることは、当業者にとって容易である。

3 相違点3について
引用文献11技術事項〜引用文献12技術事項に例示されるように、「アシストモータの回転軸心と、クランク軸の回転軸心とが異なる方向を向き、アシストモータの回転軸心と、アシストモータの駆動力が伝達される歯車部材の回転軸心とが同軸である電動アシスト自転車」は、本願出願前に周知の技術(以下「周知技術3」という。)である。
引用発明と周知技術3とは、電動アシスト自転車という共通の技術分野に属する。また、引用発明は、「クランク軸40の回転軸心とモータ10の回転軸心とは異なる方向を向いて」いる構成であるところ、アシストモータの回転軸心と、クランク軸の回転軸心とが異なる方向を向く構成において、周知技術3と共通している。
したがって、引用発明に周知技術3を適用して、モータ10(モータ)の回転軸心と第二の傘歯車14(第1回転体)の回転軸線(第1軸線)とを同軸とし、上記相違点3に係る本願発明の構成とすることは、当業者にとって容易である。

4 効果について
本願発明の作用効果も、引用発明及び周知技術1〜3から当業者が予測し得る範囲のものであって、格別なものとはいえない。

5 請求人の主張について
請求人は、令和4年7月8日に提出された意見書の「(4)理由3(進歩性)が解消される理由」において、「仮に本件認定1のように引用発明1の第二の傘歯車14を有する歯車列(A)が、本願発明1の第1回転体に対応するとしても、引用発明1において、第二の傘歯車14を有する歯車列(A)の構成を、本願構成1のように構成する動機はありません。」と主張している。ここで、「引用発明1」は上記引用発明であり、「本願構成1」は「「前記伝達機構は、前記モータの回転軸心と同軸である第1軸線まわりに回転する第1回転体と、…を含み、」という構成(以下「本願構成1B」)」のことと認められる。
しかしながら、上記本願構成1Bは、上記3において説示した周知技術3に相当するものであり、引用発明に周知技術3を適用する動機があることは、上記3において説示したとおりである。
したがって、上記請求人の主張は採用できない。

第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術1〜3に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲 (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。
 
審理終結日 2022-10-19 
結審通知日 2022-10-25 
審決日 2022-11-08 
出願番号 P2017-224996
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (B62M)
P 1 8・ 537- WZ (B62M)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 一ノ瀬 覚
特許庁審判官 出口 昌哉
大谷 光司
発明の名称 人力駆動車両の駆動システム  
代理人 恩田 博宣  
代理人 恩田 誠  

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