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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A61C
管理番号 1392640
総通号数 13 
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2023-01-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-09-08 
確定日 2022-12-15 
事件の表示 特願2020− 81333「口腔洗浄装置」拒絶査定不服審判事件〔令和2年 7月30日出願公開、特開2020−114546〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成29年 3月 8日出願の特願2017−43511号の一部を、令和2年 5月 1日に新たな特許出願としたものであって、出願後の経緯は以下のとおりである。

令和2年 5月 1日 上申書の提出
同年11月25日付け 拒絶理由通知
令和3年 1月22日 意見書の提出
同年 5月31日付け 拒絶査定
同年 9月 8日 拒絶査定不服審判の請求、手続補正書(明細書 のみの補正。)の提出
令和4年 4月 5日付け 拒絶理由通知
同年 6月 6日 意見書の提出

第2 本願発明
本願の請求項1〜6に係る発明は、願書に添付された特許請求の範囲の請求項1〜6に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりである。
【請求項1】
「洗浄液を吐出するポンプを含む本体ユニットと、
吐出された前記洗浄液が流れるように前記本体ユニットと接続されるチューブと、
前記洗浄液を吐出できるように前記チューブと接続される洗浄ユニットと、
前記洗浄ユニットに設けられる第1操作部と、
前記第1操作部の操作に応じて前記ポンプを制御する制御部と、
前記第1操作部と前記制御部とを通信接続する通信部とを含み、
前記通信部は、前記第1操作部の操作に応じた無線信号を送信できるように前記洗浄ユニットに設けられる第1無線通信部と、前記無線信号を受信できるように前記本体ユニットに設けられる第2無線通信部とを含み、
前記制御部は前記第2無線通信部が受信した前記無線信号に応じて前記ポンプを制御し、前記第1無線通信部と前記第2無線通信部との通信が悪い場合、前記ポンプの動作を停止する
口腔洗浄装置。」

第3 当審が通知した拒絶理由
令和4年4月5日付けで当審が通知した拒絶理由は、本願発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された引用文献に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、という理由を含むものである。

引用文献1:米国特許出願公開第2014/0259474号明細書
引用文献2:特開平9−24005号公報
引用文献3:特開2005−250784号公報
引用文献4:特開2011−132007号公報

第4 引用文献の記載及び引用発明
(1)引用文献1
引用文献1には、「MECHANICALLY-DRIVEN, SONIC TOOTHBRUSH AND WATER FLOSSER」(機械的に駆動される、音波歯ブラシ、フロス装置)について、FIG.1-35Bとともに、以下の事項が記載されている。なお、括弧内は、当審で付した日本語訳である。

1 「TECHNICAL FIELD
[0003]The present disclosure relates to oral health products. More specifically, the present disclosure relates to sonic toothbrush systems with water flosser features.」
(発明が属する技術分野
[0003]本発明は、口腔衛生製品に関する。より具体的には、本開示は、水洗浄機能を備えた音波歯ブラシシステムに関するものである。)

2 「[0066]An external, water flosser base system that generates a pulsed water jet is attached to an inlet port on the handle via a hose. When activated, this water jet generating system supplies a stream of pulsed water which passes through the handle, through the rush tip, and exits from the nozzle within the toothbrush head bristle pattern. This pulsed water jet can be directed along the gum line to provide the water flossing effect of a standard, standalone water flosser. The water flosser base unit pumps water or other fluid from a reservoir in the base unit, through the connection hose, through the fluid pathway in the sonic toothbrush, and out the irrigator tip in the brush head to provide a water flossing device in combination with the benefits of a sonic toothbrush.」
([0066]パルス水流を発生させる外部水フロッサーベースシステムが、ホースを介してハンドルの入口ポートに取り付けられる。この水ジェット発生システムは、起動すると、ハンドルからラッシュチップを通り、歯ブラシヘッドのブリッスルパターン内のノズルから出るパルス水の流れを供給する。このパルス水流を歯茎のラインに沿って流すことで、標準的な独立型口腔洗浄装置の水洗浄効果を得ることができる。水フロッサーベースユニットは、水または他の流体をベースユニット内のリザーバから、接続ホースを通して、音波歯ブラシ内の流体経路を通り、ブラシヘッド内のイリゲーターチップから送り出し、音波歯ブラシの利点と組み合わせた口腔洗浄装置を提供する。)

3 「[0074]Control circuits on the circuit board 134 are actuated via the control buttons 122a, 122b to cause the motor 132 to operate at different states (e.g., on, off, high speed, low speed, etc.). In one embodiment, the toothbrush/flosser 110 may be electrically connected with the base water flosser unit and the control buttons 122a, 122b may control the actuation and operation of the base water flosser unit per the design of the circuits on the circuit board 134. In an alternate embodiment, the circuit board 134 may be provided with a radio frequency (RF) transmitter or transceiver to wirelessly communicate with and control a water flosser base unit to provide control commands to the base unit. In one exemplary embodiment the circuit board 134 and the base unit may both be equipped with Bluetooth transceivers. In another exemplary embodiment, the wireless connection may be an infrared communication link.」
([0074]回路基板134上の制御回路は、制御ボタン122a、122bを介して作動され、モータ132を異なる状態(例えば、オン、オフ、高速、低速など)で動作させることができる。一実施形態において、歯ブラシ/洗浄装置110は、水フロッサーベースユニットと電気的に接続されてもよく、制御ボタン122a、122bは、回路基板134上の回路の設計に従って水フロッサーベースユニットの作動及び動作を制御してもよい。代替の実施形態では、回路基板134は、ベースユニットに制御コマンドを提供するために水フロッサーベースユニットと無線で通信し制御するための無線周波数(RF)送信機又はトランシーバを備えてもよい。ひとつの例示的な実施形態では、回路基板134及びベースユニットは、両方ともブルートゥーストランシーバを備えてもよい。別の例示的な実施形態では、無線接続は、赤外線通信リンクであってもよい。)

4「[0083]In the embodiment of FIGS. 1-11, the toothbrush/flosser device 110 of the delivers water or other fluid through the device 110 to an irrigator tip 228 provided among the bristles 127 within the brush head 224. ・・・
[0084]As shown in detail in FIG.8, the toothbrush/flosser device 110 may be connected with an irrigator hose 215 from a water flosser base unit (not shown) having a fluid reservoir and pump to provide a pulsating, high pressure water flow to the irrigator tip 228.・・・ 」
([0083]図1-11の実施形態において、歯ブラシ/洗浄装置110は、装置110を介してブラシヘッド224内の毛127の間に設けられたイリゲーターチップ228に水または他の流体を送出する。・・・
[0084]図8に詳細に示すように、歯ブラシ/洗浄装置110は、流体リザーバ及びポンプを有する水フロッサーベースユニット(図示せず)からイリゲーターホース215と接続されて、脈動する高圧水流をイリゲーターチップ228に提供してもよい。・・・)

5「[0156]・・・When the removable base 318 is removed from the handle 311, the lower poppet 394 is forced to seal the post aperture 462 by the lower poppet spring 393. This prevents any residual water in the hose from the base pump unit from leaking, or alternatively prevents a leak if the base unit is accidentally turned on while the hose is still attached to the removable base 318.・・・」
([0156]・・・取り外し可能なベース318がハンドル311から取り外されると、下部ポペット394は、下部ポペットスプリング393によってポスト開口462を封止するように強制される。これにより、ベースポンプユニットからのホース内の残留水が漏れることを防止し、あるいは、ホースが取り外し可能なベース318に取り付けられたままベースユニットが誤ってオンされた場合の漏れを防止することができる。・・・)

A 摘記事項4の「歯ブラシ/洗浄装置110は、流体リザーバ及びポンプを有する水フロッサーベースユニット(図示せず)からイリゲーターホース215と接続されて、脈動する高圧水流をイリゲーターチップ228に提供」との記載から、引用文献1に記載された口腔洗浄装置において、水フロッサーベースユニットが水を吐出するポンプを備えること、該ポンプから吐出された水が流れるように、イリゲーターホース215は水フロッサーベースユニットに接続されること、歯ブラシ/洗浄装置110が水を吐出できるようにイリゲーターホース215と接続されることが理解できる。

B 摘記事項3の「歯ブラシ/洗浄装置110は、水フロッサーベースユニットと電気的に接続されてもよく、制御ボタン122a、122bは・・・水フロッサーベースユニットの作動及び動作を制御してもよい。代替の実施形態では、回路基板134は、ベースユニットに制御コマンドを提供するために水フロッサーベースユニットと無線で通信し制御するための無線周波数(RF)送信機又はトランシーバを備えてもよい。」との記載から、引用文献1に記載された口腔洗浄装置において、歯ブラシ/洗浄装置110に制御ボタン122a、122bが設けられていること、制御ボタン122a、122bの操作に応じて水フロッサーベースユニットの作動及び動作が制御されることが理解できる。ここで、水フロッサーベースユニットの作動及び動作とは、水フロッサーベースユニットがポンプを備えること及び上記摘記事項2の「水フロッサーベースユニットは、水または他の流体をベースユニット内のリザーバから、接続ホースを通して、音波歯ブラシ内の流体経路を通り、ブラシヘッド内のイリゲーターチップから送り出し、音波歯ブラシの利点と組み合わせた口腔洗浄装置を提供する。」という水フロッサーベースユニットの機能に鑑みると、ポンプを制御することが含まれることが明らかである。さらに、同じく摘記事項3の「ひとつの例示的な実施形態では、回路基板134及びベースユニットは、両方ともブルートゥーストランシーバを備えてもよい。」との記載を併せ読むと、引用文献1に記載された口腔洗浄装置は、制御ボタン122a、122bと水フロッサーベースユニットとを通信接続するための通信部を備えること、通信部は制御ボタン122a、122bの操作に応じた無線信号を送信できるように回路基板134に設けられたブルートゥーストランシーバと、当該無線信号を受信できるように水フロッサーベースユニットに設けられたブルートゥーストランシーバとを備えること、が理解できる。そして、近距離無線データ通信のための規格に準拠することが義務づけられるブルートゥーストランシーバでは、水フロッサーベースユニットのポンプを駆動するような大きな電流を送信することができないことに鑑みれば、当該ポンプは、ポンプを駆動するための電源部や、水フロッサーベースユニットに設けられたブルートゥーストランシーバから得た指令信号を受けてその指令信号に応じて電源部を介してポンプを制御する制御装置を水フロッサーベースユニットが備えることは自明といえる。
よって、引用文献1に記載された口腔洗浄装置において、歯ブラシ/洗浄装置110に制御ボタン122a、122bが設けられていること、制御装置は制御ボタン122a、122bの操作に応じて水フロッサーベースユニットのポンプを制御すること、制御ボタン122a、122bと水フロッサーベースユニットとを通信接続するための通信部を備えること、通信部は制御ボタン122a、122bの操作に応じた無線信号を送信できるように回路基板134に設けられたブルートゥーストランシーバと、当該無線信号を受信できるように水フロッサーベースユニットに設けられたブルートゥーストランシーバとを備えること、制御装置は水フロッサーベースユニットに設けられたブルートゥーストランシーバが受信した無線信号に応じてポンプを制御することが理解できる。

そこで、引用文献1の上記摘記事項1〜5及び上記認定事項A、Bを図面を参照しつつ、技術常識を踏まえ、本願発明に対応させて整理すると、引用文献1には以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「水を吐出するポンプを含む水フロッサーベースユニットと、
吐出された水が流れるように水フロッサーベースユニットと接続されるイリゲーターホース215と、
水を吐出できるようにイリゲーターホース215と接続される歯ブラシ/洗浄装置110と、
歯ブラシ/洗浄装置110に設けられる制御ボタン122a、122bと、
制御ボタン122a、122bの操作に応じてポンプを制御する制御装置と、
制御ボタン122a、122bと制御装置とを通信接続する通信部とを含み、
通信部は、制御ボタン122a、122bの操作に応じた無線信号を送信できるように歯ブラシ/洗浄装置110の回路基板134に設けられたブルートゥーストランシーバと、当該無線信号を受信できるように水フロッサーベースユニットに設けられたブルートゥーストランシーバとを含み、
制御装置は水フロッサーベースユニットに設けられたブルートゥーストランシーバが受信した無線信号に応じてポンプを制御する
口腔洗浄装置。」

(2)引用文献2
引用文献2には、以下の事項が記載されている。
「【0032】このような一連の動作において、例えば、吸引モータ37を動作して掃除作業をしているときに、電波障害物が介在したり、使用中に無線受信部43が故障したり、使用中に電池34の電圧が低下するなどの事態が発生して、吸込み操作体24と掃除機本体25との間の無線通信状態が悪くなると、掃除機本体25の制御部53は正しいパイロット信号の認識ができなくなる。この状態が、パイロット信号の受信回数の50回、すなわち、50×10msec=0.5sec間継続すると、制御部53は吸引モータ37の動作を自動停止させる。」
「【0033】このように、吸込み操作体24と掃除機本体25との間の無線通信状態が悪くなった場合には、吸引モータ37の動作が自動停止されるので、従来のように、吸込み操作体24と掃除機本体25との間の無線通信状態が悪いまま掃除作業を行い、その後、何等かの事情により吸引モータ37の動作を緊急に停止させたいときに切スイッチを何回操作しても吸引モータ37の動作停止ができないという事態は発生しない。すなわち、吸込み操作体24と掃除機本体25との間の無線通信状態が悪くなった場合には何時でも吸引モータ37の動作を自動停止できるので、操作性を向上でき、しかも省電力化を図ることができる。このような自動停止は、吸引モータ37のみで無く、ホース駆動機構42が動作してホース26の送出しや巻取りを行っているときも同様で、ホース駆動機構42が動作している最中に吸込み操作体24と掃除機本体25との間の無線通信状態が悪くなった場合には何時でもホース駆動機構42の動作を自動停止できるので、操作性の向上及び省電力化を図ることができる。」

(3)引用文献3
引用文献3には、以下の事項が記載されている。
「【0011】続いて、駆動軸制御装置2と操作装置3の無線通信に関する部分について説明する。駆動軸制御装置2には第1送受信部15と第1受信部16、第1比較部17が備えられ、操作装置3には第2送受信部18と第2受信部19、第2比較部20が備えられている。第1送受信部15と第2送受信部18は送受信の切り替えが可能な無線通信装置であり、互いに無線接続されて操作入力情報や表示情報の授受を行なう。また、第1受信部16と第2受信部19は受信のみ可能な無線通信装置であり、前記送受信部15および18と同じ無線チャンネルに常時設定されて、前記操作入力情報や表示情報を傍受する。」
「【0012】第1比較部17は、第1送受信部15と第1受信部16に接続され、双方に保持された送信あるいは受信された情報が一致しているか否かを比較する。比較の結果、一致していなければ駆動電源制御部6で駆動軸の電源を遮断する。同様に第2比較部20は、第2送受信部18と第2受信部19に接続され、双方に保持された送信あるいは受信された情報が一致しているか否かを比較する。比較結果は制御部12に送られ、通信情報が異常となったことを駆動軸制御装置2へ通知するため、操作装置異常情報の送信あるいは送信の中断を行なう。」
「【0013】図2は、第1の実施の形態における駆動軸制御装置2の処理手順を示すフローチャートである。駆動軸制御装置2は、操作装置3との通信が確立されると、第1送受信部15を受信に設定する(ステップS101)。操作装置3から操作入力情報が送信されると、これを第1送受信部15で受信(ステップS102)と同時に第1受信部16でも受信し(ステップS103)、双方の受信データを第1比較部17において比較する(ステップS104)。比較結果が一致しなかった場合には、ステップS105に進んで駆動軸の電源遮断処理を行なう。比較結果が一致した場合にはステップS106に進み、受信した操作入力情報に基づくロボット動作等の処理を行なう。」
「【0014】続いて処理結果を反映した表示情報を操作装置3に送信するため、第1送受信部15を送信に設定する(ステップS107)。第1送受信部15より表示情報を送信する(ステップS108)のと同時に該情報を第1受信部16で傍受し(ステップS109)、双方のデータを第1比較部17において比較する(ステップS110)。比較結果が一致しなかった場合には、ステップS105に進んで駆動軸の電源遮断処理を行なう。比較結果が一致した場合には、ステップS101に戻って再度操作入力情報の受信を行なう。図示していないが、ステップS101より所定時間以内に操作装置3からの操作入力情報が受信されなければ、操作装置3の異常と判断して駆動軸の電源遮断を行なう。」

(4)引用文献4
引用文献4には、以下の事項が記載されている。
「【0002】一般に、移動式クレーンや高所作業車などの作業車では、ブームやバケットなどの作業機の状態を計測手段によって計測している。そして、計測された計測値は、伝送手段を介して制御手段に伝送されて強度計算や安定計算などに利用される。」
「【0003】従来、計測値データを制御手段に伝送する際に、伝送経路上でノイズや電波状況の影響を受けて通信不良を生じることがあり、作業機を緊急停止させることで対応している。」
「【0038】加えて、制御手段5は、図5に示すように、通信エラー率eが許容エラー率ea以下の場合には駆動手段の規定速度Veを減少させずに最大速度Vemaxに保持するとともに、限界エラー率eL以上の場合には駆動手段の規定速度Veを零にすべく緊急停止する。」

第5 対比
本願発明と引用発明(以下、それぞれを「前者」、「後者」といい、それらを併せて「両者」ということがある。)とを、技術常識をふまえ、その用語の意味、機能に基いて対比すると、後者の「水フロッサーベースユニット」は前者の「本体ユニット」に、同様に「水」は「洗浄液」に、「イリゲーターホース215」は「チューブ」に、「歯ブラシ/洗浄装置110」は「洗浄ユニット」に、「制御ボタン122a、122b」は「第1操作部」に、「制御装置」は「制御部」に、「回路基板134に設けられたブルートゥーストランシーバ」は「第1無線通信部」に、「水フロッサーベースユニットに設けられたブルートゥーストランシーバ」は「第2無線通信部」に、それぞれ相当する。
そうすると、両者は、
(一致点)
「洗浄液を吐出するポンプを含む本体ユニットと、
吐出された前記洗浄液が流れるように前記本体ユニットと接続されるチューブと、
前記洗浄液を吐出できるように前記チューブと接続される洗浄ユニットと、
前記洗浄ユニットに設けられる第1操作部と、
前記第1操作部の操作に応じて前記ポンプを制御する制御部と、
前記第1操作部と前記制御部とを通信接続する通信部とを含み、
前記通信部は、前記第1操作部の操作に応じた無線信号を送信できるように前記洗浄ユニットに設けられる第1無線通信部と、前記無線信号を受信できるように前記本体ユニットに設けられる第2無線通信部とを含み、
前記制御部は前記第2無線通信部が受信した前記無線信号に応じて前記ポンプを制御する
口腔洗浄装置。」の点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点)
制御部が、本願発明では、第1無線通信部と第2無線通信部との通信が悪い場合、ポンプの動作を停止するのに対し、引用発明では、そのように制御するか不明である点。

第6 相違点の検討
相違点について検討すると、上記第4(2)で摘記した、引用文献2の「【0032】・・・例えば、吸引モータ37を動作して掃除作業をしているときに、電波障害物が介在したり、使用中に無線受信部43が故障したり、使用中に電池34の電圧が低下するなどの事態が発生して、吸込み操作体24と掃除機本体25との間の無線通信状態が悪くなると、・・・制御部53は吸引モータ37の動作を自動停止させる。」との記載、上記第4(3)で摘記した引用文献3の「【0012】第1比較部17は、第1送受信部15と第1受信部16に接続され、双方に保持された送信あるいは受信された情報が一致しているか否かを比較する。比較の結果、一致していなければ駆動電源制御部6で駆動軸の電源を遮断する。・・・」及び「【0013】・・・駆動軸制御装置2は、操作装置3との通信が確立されると、第1送受信部15を受信に設定する(ステップS101)。操作装置3から操作入力情報が送信されると、これを第1送受信部15で受信(ステップS102)と同時に第1受信部16でも受信し(ステップS103)、双方の受信データを第1比較部17において比較する(ステップS104)。比較結果が一致しなかった場合には、ステップS105に進んで駆動軸の電源遮断処理を行なう。・・・」との記載、上記第4(4)で摘記した引用文献4の「【0002】・・・移動式クレーンや高所作業車などの作業車・・・」、「【0003】 従来、計測値データを制御手段に伝送する際に、伝送経路上でノイズや電波状況の影響を受けて通信不良を生じることがあり、作業機を緊急停止させることで対応している。」並びに「【0038】 ・・・制御手段5は、・・・通信エラー率eが・・・限界エラー率eL以上の場合には駆動手段の規定速度Veを零にすべく緊急停止する。」との記載からみて、無線通信を用いて機器の制御を行う制御部において、安全対策として通信状態が悪い場合に機器を停止するよう制御することは周知技術である。
そして、引用発明も無線信号によりポンプを制御するものである以上、状況により通信状態が悪い場合が生じることは自明であって、そのような場合にも安全に対処すべきことは内在する課題といえる。また、引用文献1の摘記事項5「([0156]・・・取り外し可能なベース318がハンドル311から取り外されると、下部ポペット394は、下部ポペットスプリング393によってポスト開口462を封止するように強制される。これにより、ベースポンプユニットからのホース内の残留水が漏れることを防止し、あるいは、ホースが取り外し可能なベース318に取り付けられたままベースユニットが誤ってオンされた場合の漏れを防止することができる。・・・)」との記載に注目すると、引用文献1においても、「ホースが取り外し可能なベース318に取り付けられたままベースユニットが誤ってオンされた場合の漏れを防止」と記載されているように、使用者が意図しないタイミングでのベースユニットの動作、すなわちポンプの動作を抑止して、漏れを防止する必要があるという課題が認識されていたということができる。
してみると、引用発明において、当該課題を解決するために、上記周知技術を採用して、本願発明の相違点に係る制御を行うことは、当業者が容易に想到できたものである。
そして、本願発明の効果をみても、引用発明及び上記周知技術からみて格別の効果ということもできない。
よって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に想到することができたものである。

第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
別掲 (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。
 
審理終結日 2022-09-27 
結審通知日 2022-10-04 
審決日 2022-11-01 
出願番号 P2020-081333
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A61C)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 佐々木 一浩
特許庁審判官 栗山 卓也
内藤 真徳
発明の名称 口腔洗浄装置  
代理人 恩田 誠  
代理人 恩田 博宣  

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