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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1392759
総通号数 13 
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2023-01-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-12-03 
確定日 2022-12-20 
事件の表示 特願2019−135907「通話後状況適合ワークフローを作成するシステム及び方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 1月30日出願公開、特開2020− 17279、請求項の数(9)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、令和元年7月24日の出願(パリ条約による優先権主張2018年7月25日、米国)であって、その手続の経緯は次のとおりである。

令和2年 9月 7日付け:拒絶理由通知
令和3年 3月10日 :意見書、手続補正書の提出
令和3年 7月28日付け:拒絶査定(原査定)
令和3年12月 3日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和4年 6月14日付け:拒絶理由通知(当審拒絶理由)
令和4年 9月15日 :意見書、手続補正書の提出


第2 原査定の概要
原査定(令和3年7月28日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

理由1(新規性
本願請求項1,2,4,6−8,10に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

理由2(進歩性
本願請求項1,2,4,6−8,10に係る発明は、以下の引用文献1に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであり、本願請求項3に係る発明は、以下の引用文献1−3に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.米国特許出願公開第2014/0337751号明細書
2.特開2018−041462号公報
3.特開2017−078965号公報


第3 本願発明
本願請求項1−9に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」−「本願発明9」という。)は、令和4年9月15日提出の手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1−9に記載された事項により特定される発明であって、本願発明6は以下のとおりの発明である。

「【請求項6】
第1の通信エンドポイント内の1つ以上のセンサーからデータを受信することであって、該受信されたデータは、前記第1の通信エンドポイントと少なくとも第2の通信エンドポイントとの間の第1の通信セッションに関連することと、
前記受信されたデータに基づいて、第1のアクション、第1のユーザー、及び第1のリソースのうちの少なくとも1つを識別することであって、前記第1のリソースは、文書、スプレッドシート、写真、ビデオ、複写物、ファイル、およびアプリケーションの少なくとも1つを備え、前記受信されたデータの少なくとも一部は、前記第1の通信セッションからの音声ストリームであって、
前記第1のユーザーと異なる第2のユーザーを識別することであって、前記第2のユーザーを識別することは、前記第1の通信セッションの間に前記1つ以上のセンサーから受信される前記受信されたデータの前記一部に基づき、
前記第1の通信エンドポイント上に表示するために、第1の簡略化されたユーザーインターフェースコマンドと簡略化されたユーザーインターフェースコマンドビルダーとのうちの少なくとも一方を生成することであって、前記生成することは前記第1のユーザーと、前記第2のユーザーと、前記第1のアクションと、及び前記第1のリソースとの間の関連性に基づく、方法。」

なお、本願発明1−5,7−9の概要は以下のとおりである。
本願発明1は、本願発明6に対応する「システム」の発明である。
本願発明2−5は、本願発明1を減縮した発明である。
本願発明7−8は、本願発明6を減縮した発明である。
本願発明9は、本願発明6に対応する「ハンドヘルド通信エンドポイント」の発明である。


第4 引用文献、引用発明

1 引用文献1、引用発明
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審による。訳は当審訳。以下同様。)。

「[0044]FIG. 2 is a flowchart of another example method 200 for automatically creating calendar items. The example method 200 can be performed, at least in part, by a computing device, such as a mobile phone.
[0045]At 210, calendar-related activity is detected within user-accessed content. For example, the user-accessed content can comprise text communication content (e.g., SMS, email, IM, etc.), audio communication content, video communication content, picture content, web page content, third-party application content, and/or other types of user-accessed content. The calendar-related activity can be detected using a variety of detection techniques (e.g., performed by a computing device, by a server environment, or a combination with some techniques performed by the computing device and other techniques performed by the server environment).」

「[0044]図2は、カレンダアイテムを自動的に生成するための別の例示的な方法200のフローチャートである。例えば、方法200は、少なくとも部分的に、携帯電話などのコンピューティングデバイスによって実行されることができる。
[0045]210で、カレンダー関連のアクティビティは、ユーザにアクセスされたコンテンツ内で検出される。例えば、ユーザによりアクセスされるコンテンツは、テキスト通信内容(例えば、SMS、電子メール、IMなど)、音声コンテンツ、映像コンテンツ、画像コンテンツ、ウェブページコンテンツは、第3者アプリケーションコンテンツ、および/または他のタイプのユーザにアクセスされたコンテンツを含むことができる。カレンダ関連活性は、様々な検出技術(例えば、コンピューティングデバイスによって実行される、サーバ環境、またはコンピューティングデバイスによって実行されるいくつかの技術と組み合わせて、サーバ環境で実行される他の技術)を用いて検出することができる。」

「[0052]FIG. 3 depicts an example implementation for automatically creating calendar items within an SMS application running on a mobile phone. Specifically, FIG. 3 depicts example screenshots of a mobile phone display at four stages during the process of creating the calendar item while using the SMS application.
[0053]As depicted in the first example screenshot 310, the user of the mobile phone is using an SMS application. The user is texting with Linda, who is asking the user (Anna in this example) if the user wants to get lunch on Friday. The user responds by stating, Yes! Let's go shopping and eat at the mall.
[0054]From the user-accessed content (the text content of the SMS exchange in this example), calendar-related activity is detected. For example, the calendar-related activity can be detected based on a variety of techniques, such as pattern recognition (e.g., based on the words lunch and a day Friday in the text content). Other techniques can be applied as well, such as natural language processing.
[0055]As depicted in the second example screenshot 320, calendar information is displayed at 325. The calendar information depicted at 325 comprises free-busy information for Friday, March 22nd. The free-busy information includes a calendar item for a 10:00-11:00 am Run with Terri and a calendar item for a Pizza night event (e.g., an event that occurs on Friday but is not associated with a specific time period). The calendar information is relevant to the calendar-related activity because it occurs on the day (Friday, 3/22) that the user is considering for the lunch appointment with Linda. Using the displayed calendar information at 325, the user can quickly and efficiently tell what is going on that day (e.g., what is currently in the user's calendar on Friday, 3/22), which helps the user decide whether to create the calendar item, propose a different day and/or time, or make some other decision regarding the lunch appointment. Additional calendar information from Linda's calendar could also be displayed in the second example screenshot 320 (e.g., similar to how the user's calendar information is displayed at 325).
[0056]Instead of, or in addition to, presenting the calendar information in a visual format (as depicted at 325), the calendar information can be presented in an audio format (e.g., the mobile phone can speak the calendar information using a synthesized voice). For example, instead of an SMS communication, the communication can be a voice call and the calendar information can be presented by the mobile phone in an audio format during or after the phone call between the user and Linda (e.g., telling the user what calendar items are already scheduled for Friday, when the user is free on Friday, proposed alternative dates and/or times, etc.).
[0057]Also depicted in the calendar information at 325 is an indication of a proposed calendar item for the lunch appointment with Linda. The user can select the calendar information (e.g., select the proposed Lunch with Linda link) to indicate that the user wants to create a calendar item for the lunch appointment. The user can use a different method to indicate that the user wants to create a calendar item (e.g., selecting a different user interface element, such as a button or icon, speaking a voice command, etc.).
[0058]As depicted in the third example screenshot 330, the user has indicated that the user wants to create the calendar item. In response, a user interface area is displayed at 335 for creating the calendar item. In the user interface area displayed at 335, calendar details have been automatically filled in (e.g., populated) based on the calendar-related activity. Specifically, a description of the calendar item has been entered (Lunch with Linda), the location has been entered (Mall caf), the date has been entered (Mar. 22, 2013), and a photo of Linda has been associated with the calendar item (e.g., obtained from the user's contact information for Linda). Other details can also be filled in, such as a proposed time for the lunch (e.g., 12:00-1:00 pm).
[0059]The user can modify the calendar items as needed. For example, the user could change the location or date for the lunch appointment. As depicted in the third example screenshot 340, the user has modified the location (Bellevue, Wash.) and entered the time for the lunch appointment (11:45 am).」

「[0052]図3は、携帯電話上で動作するSMSアプリケーション内のカレンダ項目を自動的に生成するための実装の例を示す図である。具体的には、図3は、SMSアプリケーションを使用しながら、予定表の項目を形成するプロセスの間に、4段階の携帯電話ディスプレイのスクリーンショット例を示す図である。
[0053]第1の例示的なスクリーンショット310に示すように、携帯電話のユーザは、SMSアプリケーションを使用している。ユーザは、金曜日にランチを望む場合、ユーザ(この例では、アンナ)に尋ねるリンダとテキストメッセージをやりとりする。ユーザは、はい、ショッピングとモールでの食事をしましょう、と言って応答する。
[0054]ユーザにアクセスされたコンテンツ(この例ではSMSのテキストコンテンツ)から、カレンダー関連の活動が検出される。例えば、カレンダー関連活性は、様々な技術、例えば、パターン認識(例えば、単語lunch、および日付Friday、テキストコンテンツに基づく)などに基づいて検出することができる。他の技術も同様に適用され、自然言語処理を使用することができる。
[0055]第2の一例となる画面表示320に示されるように、カレンダ情報が325で表示される。325で示されたカレンダ情報は、金曜日、3月22日の空き時間情報を含む。空き時間情報は、午前10:00-11 00のTerriとのRunのカレンダー項目とPizza nightイベント(例えば、金曜日に生じるが、特定の期間に関連しないイベントである)のカレンダー項目を含む。カレンダー情報は、ユーザがリンダと昼食の約束を検討している日(金曜日)、3/22)で生じるカレンダ関連活動に関連している。325で表示されたカレンダ情報を使用して、ユーザは曜日(例えば、金曜日、3/22に、現在、ユーザのカレンダにどの)で何が起こっているのかを迅速かつ効率良く行うことができ、ユーザは、カレンダ項目を作成するか否かを判定し、別の日付および/または時刻を提案すること、または昼食約束に関するいくつかの他の決定を行うことに役立つ。リンダのカレンダからカレンダ情報も、第2の実施例のスクリーンショット320(例えば、ユーザのカレンダー情報が325で表示されるのと同様に)に表示することができる。
[0056]また、この装置には、カレンダー情報を視覚形式(325で示される)ではなく、カレンダ情報は、オーディオフォーマット(例えば、携帯電話)は、合成音声を使用してカレンダ情報を話すことができる)に提示することができる。例えば、SMSの代わりに、通信は音声電話でもよいしカレンダー情報は、ユーザとの間の電話通話およびLinda(例えば、ユーザ、ユーザが金曜日、代替日付および/または時刻を提案等を含まない場合のためにすでにスケジュールされているカレンダアイテムを教える)の間または後に、オーディオフォーマットでは、携帯電話によって提示することができる。
[0057]また、325には、カレンダー情報に示された昼食約束リンダ(Linda)のために提案されたカレンダー項目の指示である。ユーザは、ユーザが昼食の約束のためのカレンダー項目を作成したいことを示すために、カレンダー情報(例えば、提案を選択する;Lunch with Linda)を選択することができる。ユーザは、異なる方法を使用して、ユーザは、カレンダ項目(たとえば、ボタン、アイコン、音声コマンドを話すなど、異なるユーザ・インタフェース要素を選択する)を作成することを所望することを示すことができる。
[0058]第3の一例となる画面表示330に示されるように、ユーザは、ユーザがカレンダアイテムを作成したいことを示している。これに応答して、カレンダアイテムを作成するための335で表示されるユーザインタフェースの領域である。335で表示されたユーザインターフェース領域には、カレンダー、カレンダー関連の活動に基づいて自動的に記入されて(populated)いる。具体的には、カレンダアイテムの記述が入力された(Lunch with Linda)、位置が入力されると(Mall cafe)、日付が入力された(3/22、2013)、およびLindaの写真は、カレンダ項目(たとえば、Linda向けのユーザの連絡先情報から得られる)と関連している。他の詳細はまた、充填された、昼食(例えば12:00-1:00pm)の提案される時とすることができる。
[0059]ユーザは、必要に応じて、カレンダ項目を変更することができる。例えば、ユーザは、位置を変更したり、あるいは昼食約束することもできるであろう。第3の一例となる画面表示340に示されるように、ユーザは、ロケーション(ワシントン州ベルヴュー)を修飾し、昼食の約束(11:45am)のための時間を入力している。」





したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「カレンダアイテムを自動的に生成するための方法200であって、
方法200は、携帯電話などのコンピューティングデバイスによって実行され、
携帯電話上で動作するSMSアプリケーション内のカレンダ項目を自動的に生成するための実装の例において、
ユーザは、金曜日にランチを望む場合、ユーザ(この例では、アンナ)に尋ねるリンダとテキストメッセージをやりとりし、ユーザは、はい、ショッピングとモールでの食事をしましょう、と言って応答すると、
ユーザにアクセスされたコンテンツ(この例ではSMSのテキストコンテンツ)から、カレンダー関連活動が検出され、
カレンダー情報が325で表示され、
カレンダー情報は、ユーザがリンダとランチの約束を検討している日(金曜日、3/22)に生じるカレンダ関連活動に関連しており、
ユーザは、ユーザが昼食の約束のためのカレンダー項目を作成したいことを示すために、カレンダー情報(例えば、提案を選択する;Lunch with Linda)を選択することができ、
SMS通信の代わりに、通信は音声電話でもよい、
方法。」

2 引用文献2
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている(以下、「引用文献2記載の技術的事項」という。)。

「【0029】
ユーザ端末101、103は、インスタントメッセージアプリケーションを介してチャットルームに参加したユーザ(例えば、参加者)の端末である。例えば、ユーザ端末101は、チャットルーム内のメッセージを送信したユーザ端末であり、ユーザ端末103は、チャットルームで当該メッセージを受信した相手側の端末である。ユーザ端末101とユーザ端末103は、メッセージサーバ105によって生成されたチャットルームに参加してインスタントメッセージをやりとりする。メッセージアプリケーションを介して作成されたインスタントメッセージは、チャットルームに参加したユーザ端末101とユーザ端末103の画面に表現されるチャットルームに表示される。チャットルームは、例えば、二人の参加者が1対1でチャットする1対1チャットルーム、又は、3人以上の参加者がグループにチャットするグループチャットルームのいずれか1つであり得る。」

3 引用文献3
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている(以下、「引用文献2記載の技術的事項」という。)。

「【0053】
制御部120は、3人以上のユーザがチャットのメッセージ40の送受信をするときに、該メッセージ40の表示領域50の表示制御を行ってもよい。
【0054】
例えば、端末20AのユーザA、端末20BのユーザB、及び端末20CのユーザCとの間でメッセージ40の交換を行っている場合において、ユーザBのメッセージ40を表示領域50Bに設定する旨の指示を、ユーザAの端末20Aから情報処理サーバ10が受信した場合について説明する。この場合、ユーザBからユーザA、及びユーザCへのメッセージ40を受信したときに、制御部120は、かかるメッセージ40のユーザAの端末20Aにおける表示領域50を表示領域50Bに設定すると共に、ユーザCの端末20Cにおける表示領域50を表示領域50Bに設定してもよい。ここで、表示領域50Aは、画面の左側の領域で、表示領域50Bは画面の右側の領域であってもよい。」


第5 対比・判断

1 本願発明6について
(1)対比
本願発明6と引用発明とを比較すると、次のことがいえる。

ア 引用発明の「携帯電話」は、SMS等で通信を行っていることは明らかであるから、本願発明6の「通信エンドポイント」に相当する。

イ 引用発明において、「ユーザ(アンナ)」及び「リンダ」は、本願発明6の「第1のユーザ」及び「第2のユーザ」に相当する。

ウ 引用発明の「ユーザ(アンナ)」及び「リンダ」が「携帯電話」を用いて「テキストメッセージをやりとり」することは、本願発明6の「第1の通信エンドポイントと少なくとも第2の通信エンドポイントとの間の第1の通信セッション」に相当する。

エ 引用発明において「携帯電話」が、「ユーザにアクセスされたコンテンツ(この例ではSMSのテキストコンテンツ)」から「カレンダー関連活動」を「検出」する際に、ユーザにアクセスされたコンテンツ(SMSのテキストコンテンツ)に関する情報を取得していることは明らかであるから、上記ウを踏まえると、引用発明の「携帯電話」は、本願発明6の「第1の通信エンドポイント内の1つ以上のセンサーからデータを受信」する点で共通する。

オ 引用発明における「ランチ」は、本願発明6の「第1のアクション」に相当する。

カ 引用発明において、「ユーザがリンダとランチの約束を検討している日(金曜日、3/22)に生じるカレンダ関連活動」を「ユーザにアクセスされたコンテンツ(この例ではSMSのテキストコンテンツ)から」「検出」することは、上記イ−オを踏まえると、本願発明6の「前記受信されたデータに基づいて、第1のアクション、第1のユーザー及び第1のリソースのうちの少なくとも1つを識別すること」及び「前記第1のユーザーと異なる第2のユーザーを識別することであって、前記第2のユーザーを識別することは、前記第1の通信セッションの間に前記1つ以上のセンサーから受信される前記受信されたデータの前記一部に基づき」に相当する。

キ 引用発明において、「カレンダー情報」が、「ユーザ」によって「(例えば、提案を選択する;Lunch with Linda)を選択することができ」ることは、「カレンダー情報」がユーザーインターフェースであるといえるから、引用発明の「携帯電話」に表示される「カレンダー情報」が「ユーザがリンダと昼食の約束を検討している日(金曜日、3/22)に生じるカレンダ関連活動に関連」していることは、上記カを踏まえると、本願発明6における「前記第1の通信エンドポイント上に表示するために、第1の簡略化されたユーザーインターフェースコマンドと簡略化されたユーザーインターフェースコマンドビルダーとのうちの少なくとも一方を生成することであって、該第1の簡略化されたユーザーインターフェースコマンドと該簡略化されたユーザーインターフェースコマンドビルダーとのうちの前記少なくとも一方は、前記第1のユーザーと、前記第2のユーザーと、前記第1のアクションと、及び前記第1のリソースとの間の関連性を用いて生成されること」に相当する。

ク 引用発明において、「SMS通信の代わりに、通信は音声電話でもよい」とされていることは、本願発明6における「前記受信されたデータの少なくとも一部は、前記第1の通信セッションからの音声ストリームであ」ることに相当する。

(2)一致点・相違点
したがって、本願発明6と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

[一致点]
「第1の通信エンドポイント内の1つ以上のセンサーからデータを受信することであって、該受信されたデータは、前記第1の通信エンドポイントと少なくとも第2の通信エンドポイントとの間の第1の通信セッションに関連することと、
前記受信されたデータに基づいて、第1のアクション、第1のユーザー、及び第1のリソースのうちの少なくとも1つを識別することであって、前記受信されたデータの少なくとも一部は、前記第1の通信セッションからの音声ストリームであって、
前記第1のユーザーと異なる第2のユーザーを識別することであって、前記第2のユーザーを識別することは、前記第1の通信セッションの間に前記1つ以上のセンサーから受信される前記受信されたデータの前記一部に基づき、
前記第1の通信エンドポイント上に表示するために、第1の簡略化されたユーザーインターフェースコマンドと簡略化されたユーザーインターフェースコマンドビルダーとのうちの少なくとも一方を生成することであって、前記生成することは前記第1のユーザーと、前記第2のユーザーと、前記第1のアクションとの関連性に基づく、方法。」

[相違点]
本願発明6において、「前記生成することは前記第1のユーザーと、前記第2のユーザーと、前記第1のアクションと、及び前記第1のリソースとの間の関連性に基づく」ものであって、「前記第1のリソースは、文書、スプレッドシート、写真、ビデオ、複写物、ファイル、およびアプリケーションの少なくとも1つ」であるのに対し、引用発明においてその点が特定されていない点。

(3)相違点についての判断
本願発明6の相違点に係る、「前記生成することは前記第1のユーザーと、前記第2のユーザーと、前記第1のアクションと、及び前記第1のリソースとの間の関連性に基づく」ものであって、「前記第1のリソースは、文書、スプレッドシート、写真、ビデオ、複写物、ファイル、およびアプリケーションの少なくとも1つ」である構成について、引用文献1−3には記載も示唆もなく、当該構成が周知であったとも認められない。
よって、引用発明及び引用文献2,3に記載の技術事項に基づいて、当業者は本願発明6の相違点に係る構成を容易に想到することはできない。

2 本願発明1,9について
本願発明1,9は、概ね、本願発明6の発明のカテゴリを、単にそれぞれ、方法の発明からシステムの発明、ハンドヘルド通信エンドポイントの発明へと変更したものであり、上記相違点に係る構成と同様の構成を備えているから、本願発明6と同様の理由により、当業者であっても引用発明及び引用文献2,3に記載の技術事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

3 本願発明2−5, 7−8について
本願発明2−5は、本願発明1を減縮したものであり、本願発明7−8は、本願発明6を減縮したものであり、上記相違点に係る構成を備えるものであるから、本願発明6と同じ理由により、当業者であっても引用発明及び引用文献2,3に記載の技術事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

第6 原査定についての判断
令和4年9月15日提出の手続補正書による補正の結果、本願発明1−9は上記相違点に係る技術的事項を有するものとなっており、上記第5のとおり、引用文献1に記載された発明ではなく、引用文献1−3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定を維持することはできない。

第7 当審拒絶理由について
当審が令和4年6月14日付けで通知した拒絶理由の概要は次のとおりである。
この出願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

請求項1記載の「第1のユーザ」が、「第1の通信エンドポイント」を操作するユーザであるのか、その他のユーザであるのか特定できない。
上記したとおり、「第1のユーザ」が特定できないため、「前記第1の通信エンドポイント上に表示するために、第1の簡略化されたユーザーインターフェースコマンドと簡略化されたユーザーインターフェースコマンドビルダーとのうちの少なくとも一方を生成すること」についても、どのように生成されるのか不明である。
発明のカテゴリーが異なる請求項6,10についても同じことが指摘される。
さらに、請求項1,6を引用する請求項2−5,7−9についても同じことが指摘される。
よって、請求項1−10に係る発明は明確でない。

これに対して、令和4年9月15日に提出がされた手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1,6,9には、「前記第1のユーザーと異なる第2のユーザーを識別することであって、前記第2のユーザーを識別することは、前記第1の通信セッションの間に前記1つ以上のセンサーから受信される前記受信されたデータの前記一部に基づ」くこと、「該第1の簡略化されたユーザーインターフェースコマンドと該簡略化されたユーザーインターフェースコマンドビルダーとのうちの前記少なくとも一方は、前記第1のユーザーと、前記第2のユーザーと、前記第1のアクションと、及び前記第1のリソースとの間の関連性を用いて生成されること」と補正された結果、当審拒絶理由は解消した。

第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2022-12-06 
出願番号 P2019-135907
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 ▲吉▼田 耕一
特許庁審判官 野崎 大進
石井 則之
発明の名称 通話後状況適合ワークフローを作成するシステム及び方法  
代理人 吉澤 弘司  
代理人 岡部 洋  
代理人 岡部 讓  
代理人 三村 治彦  

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