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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 4項4号特許請求の範囲における明りょうでない記載の釈明 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1392798
総通号数 13 
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2023-01-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-12-21 
確定日 2022-12-12 
事件の表示 特願2016−195176「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 4月12日出願公開、特開2018− 57448〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成28年9月30日の出願であって、その手続の経緯の概略は次のとおりである。
令和 2年 7月 1日付け:拒絶理由通知書
同年 9月 7日 :意見書、手続補正書の提出
令和 3年 3月16日付け:拒絶理由通知書(最後)
同年 5月20日 :意見書、手続補正書の提出
同年 9月28日付け:補正の却下の決定
同日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
(同年10月 5日 :原査定の謄本の送達)
同年12月21日 :審判請求書、手続補正書の提出


第2 令和3年12月21日に提出された手続補正書による補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]

令和3年12月21日に提出された手続補正書による補正を却下する。

[理由]
1 令和3年12月21日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)について
本件補正は、特許請求の範囲を補正する内容を含んでおり、本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、

(補正前:令和2年9月7日にされた手続補正)
「【請求項1】
所定の始動条件の成立に基づいて、抽選情報を取得する抽選情報取得手段と、
前記抽選情報取得手段が取得した抽選情報を用いて抽選を行う抽選手段と、
前記抽選手段による抽選結果が特定結果であることに基づいて有利遊技状態を遊技者に付与する有利遊技付与手段と、
所定の開始条件の成立に基づいて前記抽選手段の抽選結果に応じた図柄変動を開始する図柄変動実行手段と、
前記図柄変動実行手段によって開始される前記図柄変動における変動演出を前記抽選手段の抽選結果に基づき決定する変動演出決定手段と、
始動条件の成立に基づいて取得した抽選情報の抽選結果を開始条件の成立前に事前判定する事前判定手段と、
前記抽選手段の抽選結果に応じた前記図柄変動の変動結果を示唆する演出を実行する示唆演出実行手段と、
を備えた遊技機であって、
前記示唆演出実行手段は、
前記変動演出決定手段によって第1変動演出が前記変動演出として決定され、前記第1変動演出の前記変動演出で開始された前記図柄変動の実行中に始動条件が成立し抽選情報を取得したことに基づいて、前記第1変動演出の前記変動演出で開始された実行中の前記図柄変動に対して、前記変動演出を前記変動演出決定手段によって前記第1変動演出で実行することが決定された際に決定されていなかった特定示唆演出を追加演出として前記変動演出決定手段によって決定されていた演出に追加して実行することが可能とされており、
前記第1変動演出の前記変動演出で開始された前記図柄変動において追加演出として前記特定示唆演出が実行された場合に、前記特定示唆演出が追加演出として実行される契機となった取得した抽選情報の開始条件が成立した際に開始される前記図柄変動において、前記第1変動演出の前記変動演出で開始された前記図柄変動で追加演出として実行された前記特定示唆演出と一連の演出となる特別演出を実行可能とし、該特別演出において可動役物が動作される
ことを特徴とする遊技機。」
から、

(補正後:令和3年12月21日にされた手続補正)
「【請求項1】
A 所定の始動条件の成立に基づいて、抽選情報を取得する抽選情報取得手段と、
B 前記抽選情報取得手段が取得した抽選情報を用いて抽選を行う抽選手段と、
C 前記抽選手段による抽選結果が特定結果であることに基づいて有利遊技状態を遊技者に付与する有利遊技付与手段と、
D1 所定の開始条件の成立に基づいて前記抽選手段の抽選結果に応じた図柄変動を開始する図柄変動実行手段と、
D2 前記図柄変動実行手段によって開始される前記図柄変動における変動演出を前記抽選手段の抽選結果に基づき決定する変動演出決定手段と、
E 始動条件の成立に基づいて取得した抽選情報の抽選結果を開始条件の成立前に事前判定する事前判定手段と、
F 前記抽選手段の抽選結果に応じた前記図柄変動の変動結果を示唆する演出を実行する示唆演出実行手段と、
G を備えた遊技機であって、
H1 前記示唆演出実行手段は、
H2 前記変動演出決定手段によって第1変動演出が前記変動演出として決定され、前記第1変動演出の前記変動演出で開始された前記図柄変動の実行中に始動条件が成立し抽選情報を取得したことに基づいて、前記第1変動演出の前記変動演出で開始されている実行中の前記図柄変動に対して、前記変動演出を前記変動演出決定手段によって前記第1変動演出で実行することが決定された際に決定されていなかった特定示唆演出を追加演出として前記変動演出決定手段によって決定されていた演出に追加して実行することが可能とされており、
H3 前記第1変動演出の前記変動演出で開始された前記図柄変動において追加演出として前記特定示唆演出が実行されると、前記特定示唆演出が追加演出として実行される契機となった取得した抽選情報の開始条件が成立する前に、前記第1変動演出の前記変動演出で開始された前記図柄変動で追加演出として実行された前記特定示唆演出と一連の演出となる特別演出を実行可能とし、該特別演出において可動役物が動作される
I ことを特徴とする遊技機。」
に補正された(下線は、補正箇所を明示するために当審合議体が付した。また、符号A等は、分説のため当審合議体が付した。)。

2 本件補正
(1) 本件補正による特許請求の範囲の請求項1についての補正
本件補正による特許請求の範囲の請求項1の補正について以下で検討する。

ア 「前記第1変動演出の前記変動演出で開始された実行中の前記図柄変動に対して、」を、「前記第1変動演出の前記変動演出で開始されている実行中の前記図柄変動に対して、」とする補正は、「前記図柄変動」の「開始」から、「前記図柄変動」の「実行中」の状態が継続していることをより明確にするために発明特定事項を限定したものである。
また、上記補正箇所の補正について、補正後の請求項1に係る発明は、補正前の請求項1に係る発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。

イ 「前記第1変動演出の前記変動演出で開始された前記図柄変動において追加演出として前記特定示唆演出が実行されると、前記特定示唆演出が追加演出として実行される契機となった取得した抽選情報の開始条件が成立する前に、前記第1変動演出の前記変動演出で開始された前記図柄変動で追加演出として実行された前記特定示唆演出と一連の演出となる特別演出を実行可能とし、該特別演出において可動役物が動作される」とする補正のうち、「前記第1変動演出の前記変動演出で開始された前記図柄変動において追加演出として前記特定示唆演出が実行されると、」とする補正箇所については以下のとおりである。
上記補正箇所は、補正前には、「前記第1変動演出の前記変動演出で開始された前記図柄変動において追加演出として前記特定示唆演出が実行された場合に、」とされていたものであり、「前記特定示唆演出が実行され」ることが次の演出を実行可能とする前提であったと解されるところ、補正後は、「前記特定示唆演出が実行され」ることが、次の演出を実行可能とする前提であることに加えて、「前記特定示唆演出が実行され」た状態から引き続いて次の演出が実行されるという連続性が意味づけられた点で、発明特定事項に限定が加わったといえる。
また、上記補正箇所の補正について、補正後の請求項1に係る発明は、補正前の請求項1に係る発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。

ウ 「前記第1変動演出の前記変動演出で開始された前記図柄変動において追加演出として前記特定示唆演出が実行されると、前記特定示唆演出が追加演出として実行される契機となった取得した抽選情報の開始条件が成立する前に、前記第1変動演出の前記変動演出で開始された前記図柄変動で追加演出として実行された前記特定示唆演出と一連の演出となる特別演出を実行可能とし、該特別演出において可動役物が動作される」とする補正のうち、「前記特定示唆演出が追加演出として実行される契機となった取得した抽選情報の開始条件が成立する前に、」とする補正箇所については以下のとおりである。
上記補正箇所は、補正前には、「前記特定示唆演出が追加演出として実行される契機となった取得した抽選情報の開始条件が成立した際に開始される前記図柄変動において、」としていたものであり、続く「前記第1変動演出の前記変動演出で開始された前記図柄変動で追加演出として実行された前記特定示唆演出と一連の演出となる特別演出を実行可能とし、該特別演出において可動役物が動作される」とする記載箇所と併せみて、第1変動演出の追加演出として実行された特定示唆演出と一連の演出となる「特別演出」は、「前記特定示唆演出が追加演出として実行される契機となった取得した抽選情報の開始条件が成立した際に開始される前記図柄変動において」実行可能であったと解される。
一方、補正後は、「前記特定示唆演出が追加演出として実行される契機となった取得した抽選情報の開始条件が成立する前に、」とされていることから、続く「前記第1変動演出の前記変動演出で開始された前記図柄変動で追加演出として実行された前記特定示唆演出と一連の演出となる特別演出を実行可能とし、該特別演出において可動役物が動作される」とする記載箇所と併せ見ると、第1変動演出の追加演出として実行された特定示唆演出と一連の演出となる「特別演出」は、「前記特定示唆演出が追加演出として実行される契機となった取得した抽選情報の開始条件が成立する前に」実行可能とされるものと解される。
そうすると、「特別演出」が実行可能とされるのは、補正前においては、「前記特定示唆演出が追加演出として実行される契機となった取得した抽選情報の開始条件が成立した際に開始される前記図柄変動において」であり、開始条件の成立との時期的な関係においては、少なくとも「抽選情報の開始条件が成立した後」である一方、補正後においては、「抽選情報の開始条件が成立する前」であることから、両者が時期的に重複しないことは明らかであって、上記補正箇所の補正により発明特定事項に限定が加えられたということはできない。
また、上記補正箇所の補正は、請求項の削除、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明のいずれにも該当しない。

(2) 補正の目的
そうすると、本件補正による特許請求の範囲の請求項1についての補正は、前記(1)ア及びイの点で、特許法17条の2第5項2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当するものの、前記(1)ウの点では、特許請求の範囲の減縮、請求項の削除、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明のいずれを目的とするものにも該当せず、特許法17条の2第5項各号のいずれを目的とするものでもないことになる。

(3) 新規事項
本件補正は、願書に最初に添付した明細書又は図面の【1242】〜【1251】、【1287】〜【1311】、【図146】、【図150】〜【図152】の記載からみて新規事項を追加するものではないから、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たす。

(4) 小括
前記2(2)で述べたように、本件補正は、特許法17条の2第5項に規定する要件に違反するものであり、同法159条1項で読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下されるべきものである。

3 独立特許要件についての検討
前記2(4)で述べたとおり本件補正は却下されるべきものであるが、前記2(2)で述べたように、請求項1についての補正事項の一部は、特許法17条の2第5項2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とした補正を含むものでもあるから、事案に鑑みて、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか)について以下で検討する。

(1) 本件補正発明
本件補正発明は、前記1で「補正後」として示した特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものである。

(2) 引用文献1
令和3年3月16日付け拒絶理由通知書(最後)における拒絶の理由に引用文献1として引用された特開2009−285285号公報(出願公開日:平成21年12月10日)(以下「引用文献1」という。)には、「パチンコ遊技機」に関し、次の事項が記載されている(下線は当審合議体が付した。以下同じ。)。

ア 記載事項
(ア) 「【技術分野】
【0001】
本発明は、始動保留内に大当たりの可能性が高いことを報知演出する機能を持つパチンコ遊技機に関するものである。」

(イ) 「【0023】
本発明では、例えば、特図変動中に新たに始動入賞が生じ、前記副制御部がその乱数情報を受信したときに、前記連続演出開始条件が成立し、連続演出を実行すると決定したときには、前記特図変動残時間に応じた割込み演出を実行するので、遊技者に遊技に注目するよう喚起を促すとともに、連続連出開始の予告の役割も兼ねるとともに、連続演出の一部を構成することにもなり、演出の多様性が広がるとともに、遊技者の大当たりに関する期待度を高めるという効果がある。
・・・
【0025】
本発明では、例えば、連続演出中に、連続演出として実行されている液晶演出に加え、前記割込み演出で実行されている演出を実行するので、割込み演出が前記連続液晶演出実行前より、連続演出として作動していることになり、実質上連続演出実行遊技数が多くなり、遊技者に対する大当たり期待度をさらに高めるという効果がある。
・・・
【0027】
・・・このように、前記液晶演出で実行した一連の連続演出の最後の演出の次の演出でも、追加演出を実行することで、さらに多遊技数(多保留球数)に亘り、連続演出が実行できるとともに、大当たりかハズレかを決定する最後の演出で、前記追加演出の演出態様を変化可能にすることにより、演出の多様性が広がるとともに、遊技者の演出に対する注目度を飛躍的に向上することができるという効果がある。」

(ウ) 「【0052】
電気制御ブロック図(図4)
図4に示す如く、本実施例のパチンコ遊技機の制御部100は、遊技制御を司る主制御部110と、該主制御部110からの指令に基づいて液晶表示部14、スピーカ11,12、ランプ類L1,L2、可動役物53等の制御を司る副制御部120とからなり、主制御部110と副制御部120とは、主制御部110から副制御部120への一方向通信経路によって互いに電気的に接続されている。主制御部110は、CPU111、ROM112、RAM113、入力ポート101A、及び出力ポート102を備え、主制御部110の入力ポート101Aには、第1始動口18への入賞を検知する第1始動口センサ18sと、第2始動口19への入賞を検知する第2始動口センサ19sと、大入賞口22への入賞を検知する大入賞口センサ22sと、遊技球のゲート21通過を検知するゲートセンサ21sと、3つの普通入賞口30,31,32への入賞をそれぞれ検知する普通入賞口センサ30s,31s,32sとが、それぞれ電気的に接続されている。主制御部110の出力ポート102には、特別図柄表示部24と、普通図柄表示部25と、特別図柄保留表示部26と、普通図柄保留表示部27と、電チュー20の可動羽根(花弁)201,202を開閉駆動する始動口役物駆動部61と、大入賞口22の開閉板23を開閉駆動する大入賞口役物駆動部62とが、それぞれ電気的に接続されている。主制御部110のCPU111は、ROM112に格納された遊技プログラムPgに則り、入力ポート101Aに接続された各種センサの検出信号に応じて、出力ポートに接続された各表示部及び駆動部の制御、並びに副制御部120へのコマンドの送信を行う。RAM113には、遊技プログラムPgの実行に必要な情報が逐次記憶される。
【0053】
主制御部は、遊技開始手段(例えば後に詳述する図9のS30,S31,S32,S33の処理を実行するCPU111),乱数取得手段(例えば後に詳述する図5のS4の処理を実行するCPU111),抽選手段(例えば、後に詳述する図9のS34〜S37、またはS34,S35,S38〜S40、またはS34,S35,S38,S39,S41の処理を実行するCPU111),特別遊技生起手段(例えば、図10の処理を実行するCPU111),抽選結果報知手段(例えば、図9のS46の処理を実行するCPU111),事前送信手段(例えば、後に詳述する図5のS5の処理を実行するCPU111)及び送信手段(例えば、後に詳述する図9のS42の処理を実行するCPU111)に相当する。また、RAM113は、乱数値記憶部を含む。
・・・
【0055】
副制御部120は、乱数情報記憶処理実行手段153(後に詳述する図15(a)の処理を実行するCPU121),演出実行手段(例えば、図14のS168,S177の処理を実行するCPU121),連続演出実行判定手段150(例えば、図14のS160の処理を実行するCPU121),連続演出抽選手段(例えば、後に詳述する図14のS160の一部を実行するCPU121),連続演出実行手段151(例えば、後に詳述する図14でS164〜S172の処理を実行するCPU121)、連続演出パターン選択実行手段(例えば、後に詳述する図14のS165,S168を実行するCPU121),識別情報変動残時間連計測手段(図4のタイマー160),割込み演出選択実行手段152(例えば、後に詳述する図18の処理を実行するCPU121)、追加演出選択実行手段(例えば、後に詳述する図14のS166,S168を実行するCPU121)及び追加演出態様変更手段(例えば、後に詳述する図14のS175,S177の処理を実行するCPU121)を含む。」

(エ) 「【0057】
始動入賞処理(図5)
・・・先ずステップS1にて、第1始動口18の入賞センサ18sもしくは第2始動口の入賞センサ19sが入賞を検知したか否かを判断し、NOと判断した場合には、ステップS1にて同じ判断を繰り返す。一方、ステップS1にてYESと判断した場合には、ステップS2へ移行して、第1始動口18もしくは第2始動口19入賞時に取得され大当り抽選を保留している大当り抽選乱数の数(以下、特図保留数という)が保留球の上限値4か否かを判断し、YESと判断した場合には、ステップS6へ移行する一方、NOと判断した場合には、次のステップS3にて、特図保留数に1加算する。次のステップS4では、前記始動口入賞時に取得した大当り抽選乱数R1、大当り種別抽選乱数(大当たり図柄抽選乱数)R2、特図変動時間抽選乱数R3、ハズレリーチ実行抽選乱数R4の乱数値をRAM113の特図保留記憶領域の最先の空き領域に記録する。次に、ステップS5で当該処理で取得した所定の遊技情報(乱数情報)を後に詳述する保留内連続演出を実行するためのデータとして、副制御部120に送信する。・・・」

(オ) 「【0066】
特図ゲーム処理(図9)
図9に示す特図ゲーム処理では、第1始動口18もしくは第2始動口19への入賞時に取得した各種乱数に基づく各種抽選処理と、該各種抽選処理の結果に応じた特別図柄表示部24の変動処理を実行する。・・・
【0067】
先ずステップS30にて、特別図柄表示部24が図柄変動中か否か、及び大当り遊技中か否かを判断し、何れかをYESと判断した場合には、ステップS30にて同じ判断を繰り返す。一方、何れもNOと判断した場合には、ステップS31へ移行して前記特図保留数が「0」か否かを判断する。ステップS31にてNOと判断した場合には、次のステップS32に移行して特図保留数を1減算すると共に、次のステップS33にて、抽選対象となる最先取得に係る各乱数R1〜R4の退避処理、並びに該退避処理によって空きのできた特図保留記憶領域の前詰処理を行う。一方、ステップS31にてYESの判断のときは、ステップS30へ戻る。
【0068】
次に、ステップS34では、当選確率に応じた大当たりテーブル及び大当り抽選乱数R1に基づく大当り抽選処理を行い、ステップS35で当該大当たり抽選に当選したか否かを判断する。ステップS35で、大当たり抽選に当選と判断したときは、ステップS36で大当り種別抽選乱数(大当たり図柄乱数)R2に基づき大当たり種別抽選を行い、次にステップS37で大当たり時の特図変動時間を抽選し決定する。一方、ステップ35でNOの判断のときは、ステップS38へ進み、ハズレリーチ用テーブル及びハズレリーチ実行抽選乱数R4に基づくハズレリーチ実行抽選処理を行い、ステップS39で当該ハズレリーチ実行抽選に当選したか否かを判断する。ステップS39でYESのときは、ステップS40で、ハズレリーチ時の特図変動時間抽選を行い、決定する。一方、ステップS39でNOのときは、ステップS41で通常ハズレ時の特図変動時間抽選を実行し、決定する。
【0069】
ステップS37もしくはステップS40もしくはステップS41を経由した次のステップS42では、例えば大当り抽選結果と、当該特図変動時間抽選結果等の情報を含む演出変動開始コマンドを副制御部120に送信し、次のステップS43にて、特別図柄表示部24での図柄変動を開始すると共に、特図変動時間の計測を開始する。当該演出変動開始コマンドを受信した副制御部120は、大当り抽選結果と、大当たり種別抽選結果と特図変動時間抽選結果とに応じて、液晶表示部14で実行すべき大当り抽選結果導出演出の種別を決定し、該演出の実行を開始する。
【0070】
次のステップS44では、変動時間の計測結果が当該特図変動時間抽選結果に応じて定まる当該特図変動時間に至ったか否かを判断する。ステップS44にてNOと判断した場合には、このステップを繰返す。変動時間の計測結果が前記特図変動時間に至ると、ステップS44にてYESと判断されてステップS45へ移行し、対応演出変動停止コマンドを副制御部120に送信する。対応演出変動停止コマンドを受信した副制御部120は、大当り抽選結果に応じた(大当たり抽選に当選の場合は大当たり種別抽選結果にも応じた)前記演出図柄を停止させて、前記大当り抽選結果導出演出を終了する。次のステップS46では、特別図柄表示部24での図柄変動を停止し、大当り抽選結果に応じた(大当たり抽選に当選の場合は大当たり種別抽選結果にも応じた)大当り図柄或いは外れ図柄を特別図柄表示部24に表示する。
【0071】
次にステップS47へ移行し、前記大当たり抽選に当選したか否かを判断する。ここでYESのときは、ステップS48の大当たり遊技処理に移行する。・・・」

(カ) 「【0078】
特図変動パターンテーブル(図11(d)、図12〜図13)
次に、図11(d)の特別図柄変動パターンについて説明する。特別図柄変動時間抽選乱数R3は、「0」〜「9972」の9973個ある。特図の変動開始時に遊技情報(例えば大当たり抽選判定結果、ハズレリーチを実行するか否か、特図の変動時間)に基づいて、後述する演出テーブル(図12、13参照)と前記R3乱数を比較して、特別図柄変動時間及び当該特別図柄変動時間に応じた演出が例えば液晶表示部14で実行される。・・・」

(キ) 「【0094】
副制御部の連続演出処理及び割込み演出処理(図14〜図24)
次に図14に基づいて、前記保留球内に大当たり乱数が記憶されている可能性が相対的に高いことを当該保留内乱数に基づき変動パターンが実行されるまで、各保留球に対応する特図変動時に、連続演出を実行する副制御部120の処理フローについて説明する。なお、以下の記載で、例えばステップS160のことを単にS160と記載する。
【0095】
まず、S160の「連続演出フラグOFFのときの図柄変動中に、連続演出開始可能条件成立し、抽選により次回の演出変動より、連続演出を実行することを決定」について説明する。・・・
【0096】
次に、「連続演出開始可能条件成立」について説明する。まず、図5のS5の所定の遊技情報(乱数情報)について説明する。第1始動口18もしくは第2始動口19に遊技球が入賞したときに、ハズレリーチ実行抽選乱数R4及び特図変動時間抽選乱数R3を取得するが、それらの乱数値を取得したタイミングで、副制御部120に送信する。上記のように、ハズレリーチ実行抽選乱数R4の値は「0〜250」をとり、乱数個数は251である。前記保留数が「0」もしくは「1」のときは、リーチ実行乱数値は「0」〜「28」の29個である。また、前記保留数が「2」のときは、リーチ実行乱数値は「0」〜「21」の22個である。また、前記保留数が「3」もしくは「4」のときは、リーチ実行乱数値は「0」〜「18」の19個である。ゆえに、前記保留数に関係なくリーチなしハズレになる乱数値は、「29」〜「250」である。つまり、副制御部120は、受信した保留球のハズレリーチ実行抽選乱数値が「29」〜「250」であるか否かを判断して、副制御部120の保留球遊技情報記憶部156(図15(b)参照)の最先の空き記憶部に記憶する。ここでは、前記保留球のハズレリーチ実行抽選乱数値が「29」〜「250」であるときに、ハズレリーチなしフラグ「NRF」を記憶する。
【0097】
また、上記のように、特図変動時間抽選乱数R3の値は「0」〜「9972」をとり、図12に示すように、大当たり抽選に外れている時に、大当たり期待度が高く、変動時間の長い、いわゆるスーパーリーチ(全回転リーチを含む)が実行される乱数値は、「6093」〜「9972」である。つまり、副制御部120は、受信した保留球の特別図柄変動時間抽選乱数R3の値が「6093」〜「9972」であるか否かを判断して、副制御部120の保留球遊技情報記憶部156(図15(b)参照)の最先の空き記憶部に記憶する。ここでは、前記保留球の乱数値が「6093」〜「9972」であるときに、スーパーリーチフラグ「SRF」を記憶する。
【0098】
ここで、図13で、前記保留球の特別図柄変動時間抽選乱数R3の値が「6093」〜「9972」のときの演出パターンは、15R大当たりのときは、図柄変動パターン「27」の一部〜「30」であり、いわゆるこれらの演出が実行されれば、大当たりが充分期待できるものである。一方、2R大当たりのときは、特図変動パターン「23」の一部及び「24」となり、対応する演出は2R大当たり確定演出である。つまり、前記保留球の特別図柄変動時間抽選乱数値が「6093」〜「9972」である保留球の変動は大当たり抽選に当選していることが期待できる。・・・
【0099】
ここで、副制御部120での前記乱数R3及びR4の記憶処理について、図15(a)に基づいて説明する。まず、S200で主制御部110から乱数R3及びR4情報を受信したか否かを判断する。ここでNOのときは同じ判断を繰返す。一方、S200でYESのときは、S201で、このとき特図変動中(次の変動に移行するためのディレイを含む)か否かを判定する。ここで、NOのときは、S202で作動用遊技情報記憶部M50(図15(b)参照)に「NRF」フラグもしくは「SRF」フラグ情報を記憶する。一方、S201でYESのときは、S203で、最先の空き保留遊技情報記憶部(M51〜M54)に、「NRF」フラグもしくは「SRF」フラグを記憶する。なお、ここでは、副制御部120は前記乱数値R3及びR4の値そのものを主制御部110から受信し、その受信した乱数に基づいて、副制御部120が判定し、前記フラグ情報を記憶するが、主制御部110で、リーチ実行抽選乱数R3(当審合議体注:「R4」の誤記と認められる。)の値が「29」〜「250」であるか否かを判定するとともに、前記特別演出変動時間抽選乱数R4(当審合議体注:「R3」の誤記と認められる。)の値が「6093」〜「9972」であるか否かを判定し、その判断結果のデータを副制御部120が受信して前記保留球遊技情報記憶部156に記憶しても良い。
【0100】
引き続き、図14のS160の「連続演出開始可能条件」について図15,16に基づいて説明する。上記のように、遊技球が第1始動口もしくは第2始動口に入賞したときに取得したハズレリーチ実行抽選乱数R4及び特図変動時間抽選乱数R3の乱数値を主制御部から受信した副制御部120は、その情報が保留記憶となるときに、ハズレリーチ乱数R4の値が「29」〜「250」であれば、ハズレリーチなしフラグ「NRF」を前記最先の空きの保留情報記憶部(M51〜M54)に記憶する(図15(b)参照)。一方で、特図変動時間抽選乱数R3の値が「6093」〜「9972」であるときは、スーパーリーチフラグ「SRF」を前記最先の空きの保留情報記憶部に記憶する。・・・
【0101】
「連続演出開始可能条件」については、特図変動中に前記第1始動口もしくは第2始動口に遊技球の入賞があったときに、その保留情報が「SRF」であり、当該「SRF」が記憶される保留情報記憶部よりも最先に少なくとも1個以上の「NRF」が記憶されていることが必要である。図16にその一例を示す。図16(a)は、現在特図変動中の始動入賞球の遊技情報が記憶されている作動用遊技情報記憶部に「NRF」が記憶され、第1保留遊技情報記憶部に「NRF」が記憶されているときに、新たに始動入賞が生じて、第2保留遊技情報記憶部に「SRF」が記憶されたときに、前記「連続演出開始可能条件」が成立する。・・・
【0102】
また、図16(b)は、現在特図変動中の始動入賞球の遊技情報が記憶されている作動用遊技情報記憶部に「NRF」が記憶され、第1保留遊技情報記憶部及び第2保留遊技情報記憶部「NRF」が記憶されているときに、新たに始動入賞が生じて、第3保留遊技情報記憶部に「SRF」が記憶されたときに、前記「連続演出開始可能条件」が成立する。・・・
【0103】
また、図16(c)は、現在特図変動中の始動入賞球の遊技情報が記憶されている作動用遊技情報記憶部に「NRF」が記憶され、第1保留遊技情報記憶部、第2保留遊技情報記憶部及び第3保留遊技情報記憶部「NRF」が記憶されているときに、新たに始動入賞が生じて、第4保留遊技情報記憶部に「SRF」が記憶されたときに、前記「連続演出開始可能条件」が成立する。・・・
【0104】
ここで、前記「連続演出開始可能条件」が成立したときに、前記連続演出を実行するか否かを決定する抽選について説明する。前記「連続演出開始可能条件」が成立する保留球情報(ここでは前記乱数R4とR3の値)を主制御部から受信したときに、CPU121は、ROM122で生成される連続演出実行抽選乱数R6を取得し、実行連続回数に応じて、連続演出を実行するか否かを決定する。・・・
【0105】
図14に戻って、S160で、「連続演出フラグOFFのときの図柄変動中に、連続演出開始可能条件成立し、抽選により次回の演出変動より、連続演出を実行することを決定」したときは、S161で、RAM123内の連続演出実行状態フラグ設定部157にフラグ「1」を設定する(連続演出フラグON)。
【0106】
S161で、連続演出フラグONになったのを受けて、S162で副制御部120は、割込み演出制御処理を実行する。図18に基づいて前記割込み演出処理について説明する。その処理は、S160の処理を受けて、S161で連続演出フラグがONになったときに、現在の特図変動残時間(換言すると現在の液晶演出残時間)をRAM123内に読込む(S220)。次に前記残時間に応じて実行可能な演出を選択する。現在実行されている特図変動に関しては、作動用遊技情報記憶部M50には前記「NRF」が記憶されているので、特図変動パターンは「0」〜「2」のいずれかである(図12参照)。・・・演出実行上、前記特図変動残時間が2秒以上あれば、特定の効果音を伴うチャンスランプL2の高輝度フラッシュが可能である。また、演出実行上、前記特図変動残時間が5秒以上あれば、液晶特別演出(キャラクタ通過演出)の実行が可能である。また、演出実行上、前記特図変動残時間が8秒以上あれば、可動役物の作動が可能である(図17(b)参照)。
・・・
【0110】
次に図21に割込み演出である可動役物作動53による報知の一例を示す。(a)は、前記演出図柄変動中(特別図柄変動中でもある)に、第1始動口もしくは第2始動口に遊技球が入賞し、前記連続演出開始可能条件が成立し、抽選の結果、次回の特図変動から、液晶表示部での連続演出を実行することを副制御部120が決定する。次に(b)では、現特図変動残時間(すなわち前記演出図柄変動残時間でもある)に基づいて、該残時間で実行可能な割込み演出として可動役物作動が実行される。・・・(c)では、現特図変動時間が経過し、液晶表示部14の前記演出図柄は、ハズレ態様で確定停止する。前記は、可動役物の作動は、少なくとも前記特図変動時間終了時までに終了する。なお、これらの演出は、前記特図変動残時間に基づいて、図17(b)のテーブルに従って実行される。・・・
【0111】
次に、図14に戻って、S163で、当該変動が終了したか否かを判断する。ここでNOのときは、同じ判断を繰返す。S163でYESのときは、S164で遊技情報(前記連続演出可能な保留球数等)に基づき、液晶連続演出回数SをRAM113内の連続演出残回数記憶部158に記憶する。
【0112】
次に、S165にて、主制御部110から受信した特図変動パターンに応じて、図22に示す連続演出用テーブルに基づいて、液晶演出を選択する。テーブルは2種類有り、図22(a)では前記特図変動パターン(特図変動時間)は、保留球数に応じて選択される。ノーマルに前記演出図柄がスクロール変動し、特図変動時間が経過すると、前記演出図柄停止時に効果音を伴うチャンス目(例えば「3」と「7」の組合せの「337」、「377」、「733」等)で確定停止する。
【0113】
図23に基づいて保留球数4個(S=3)に亘る前記チャンス目連続演出を説明する。図23(a)は、前記連続演出実行状態フラグが成立した遊技(特図変動)であり、当該遊技(特図変動)が終了し、前記演出図柄がハズレ態様で確定停止している状態である。(b)から特図変動ごとに、連続演出が実行される。連続演出は、主制御部から各特図変動開始時に送信される特図変動パターン(特図変動時間)に応じて、前記演出図柄が変動し、該演出図柄停止時には、特定の効果音を伴い、前記チャンス目で確定停止する。さらに、この実施例では、連続演出中の前記演出図柄変動時には、後に詳述する追加演出も実行される。
・・・
【0117】
次に、図14に戻って、S166で、前記割込み演出と同様の追加演出を選択する。例えば、図22(a)の変動テーブルに基づいて連続演出が実行されるときは、液晶連続演出中の演出時間(すなわち特図変動時間)は、保留球数に応じたノーマルハズレ演出が実行される(ただし、前記演出図柄はチャンス目で停止する)。特図変動パターンが「0」のときは、前記チャンスランプL2のみが実行可能であり、特図変動パターンが「1」のときは、前記チャンスランプL2および前記液晶キャラクタ通過演出が実行可能であり、特図変動パターンが「2」のときは、前記チャンスランプL2、前記液晶キャラクタ通過演出及び前記可動役物作動が追加演出として実行可能である。実行可能な追加演出はすべて実行することにしても良いし、実行可能な追加演出の中から抽選で実行するか否かを決定しても良い。
【0118】
次に、S167で、主制御部からの特図変動開始信号を受信して、演出変動時間を計測するタイマー160がスタートするとともに、前記選択した演出(液晶による連続演出及び追加演出)が実行される(S168)。・・・
【0119】
次に、S171に移行して、S164でRAM113内の連続演出残回数記憶部158に設定記憶された連続演出残回数Sから1を減算して記憶する。次にS172で、S=0か否かを判断する。ここでNOのときは、次回の特図変動時にも、液晶連続演出が続行するのでS165に戻る。一方、S172でYESのときは、S173へ移行し、前記連続演出フラグをOFFにする。つまりRAM123内の連続演出実行状態フラグ設定部157に、フラグ「0」が設定される。
【0120】
次に、S174へ移行して、前記連続演出後の大当たりに当選している可能性が高い特図変動の演出を選択する。この特図変動は、前記連続演出を実行する契機となった変動である。すなわち、本特図変動開始時に、主制御部110から受信する大当たり抽選結果、大当たり種別抽選結果及び当該特図変動パターンに応じて、液晶演出パターンを専用テーブル(図12、13参照)から選択する。
【0121】
次にS175で大当たり抽選結果及び特図変動パターンに基づいて、図17(c)のテーブルに従って、本特図変動パターン実行時に実行する追加演出を選択する。ここでの追加演出は、基本的に前記割込み演出や前記液晶連続演出時の追加演出と同様であるが、大当たり抽選結果に当選か否かによって、演出態様が変化する場合がある。
・・・
【0124】
また、可動役物作動演出は、作動なし、通常態様及び回転態様の3種類存在する。可動役物作動演出の通常態様は、図21に示すように、棺桶役物の扉DRが下方に移動して、中からフィギュアFGが登場し、大当たりのチャンスであることを報知した後、扉DRが上方へ移動して閉まる。可動役物作動演出の回転態様は、棺桶役物の扉DRが下方に移動して、中からフィギュアFGが登場したときに、回転しながら、大当たりのチャンスであることを報知した後、扉DRが上方へ移動して閉まる。当該可動役物作動演出は、大当たり抽選に非当選(ハズレ)のときは、選択されにくい。大当たり当戦時は当然のことながら、当該演出は選択されやすいが、他の2種類の追加演出と比較すると、大当たり当選時でも選択されにくい。基本的に、前記3種類の追加演出は、図17(c)のテーブルに基づいて、複合して実行されるので、非常に多様性に富んだ、大当たり期待度演出として機能する。」


(ク) 図9




(ケ) 図14




(コ) 図15






(サ) 図16




(シ) 図18




(ス) 図21




(セ) 図22




イ 認定事項
(ア) 認定事項1
前記ア(セ)の【図22】からは、「(a)連続演出実行時特図変動パターンテーブル」において、「保留球数」が、「0もしくは1」、「2」、「3もしくは4」のいずれの場合でも、「特図変動パターン(変動時間)」の「「2」(12.052秒)」が選択されうることが理解されるところ、前記ア(キ)に摘記したように、「追加演出」については、「・・・特図変動パターンが「2」のときは、前記チャンスランプL2、前記液晶キャラクタ通過演出及び前記可動役物作動が追加演出として実行可能である。実行可能な追加演出はすべて実行することにしても良いし、・・・」(【0117】)と説明されることから、「(a)連続演出実行時特図変動パターンテーブル」では、「保留球数にかかわらず、可動役物の作動を追加演出として実行可能であること」を想定していると認められる(以下「認定事項1」という。)。

ウ 引用発明
前記アの記載事項及び前記イの認定事項を総合すると、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている(符号a〜iは、本件補正発明の分説A〜Iにおおむね対応させて、当審合議体が付した。)。

(引用発明)
「a、b、c、d1、d2 パチンコ遊技機の制御部100は、主制御部110と、副制御部120とからなり、主制御部110は、CPU111、ROM112、RAM113を備え、主制御部110のCPU111は、各種センサの検出信号に応じて、各表示部及び駆動部の制御、並びに副制御部120へのコマンドの送信を行い(【0052】)、
始動入賞処理では、第1始動口18もしくは第2始動口が入賞を検知した場合には、前記始動口入賞時に取得した大当り抽選乱数R1、大当り種別抽選乱数(大当たり図柄抽選乱数)R2、特図変動時間抽選乱数R3、ハズレリーチ実行抽選乱数R4の乱数値をRAM113の特図保留記憶領域の最先の空き領域に記録し、当該処理で取得した所定の遊技情報(乱数情報)を保留内連続演出を実行するためのデータとして、副制御部120に送信し(【0057】)、
第1始動口18もしくは第2始動口19への入賞時に取得した各種乱数に基づく各種抽選処理と、該各種抽選処理の結果に応じた特別図柄表示部24の変動処理を実行する特図ゲーム処理では(【0066】、図9)、
先ず、特別図柄表示部24が図柄変動中か否か、及び大当り遊技中か否かを判断し、何れもNOと判断した場合に、特図保留数が「0」か否かを判断し、NOと判断した場合には、特図保留数を1減算し、抽選対象となる最先取得に係る各乱数R1〜R4の退避処理、並びに該退避処理によって空きのできた特図保留記憶領域の前詰処理を行い(【0067】、図9)、
次に、当選確率に応じた大当たりテーブル及び大当り抽選乱数R1に基づく大当り抽選処理を行い、当該大当たり抽選に当選したか否かを判断し、大当たり抽選に当選と判断したときは、大当り種別抽選乱数(大当たり図柄乱数)R2に基づき大当たり種別抽選を行い、次に大当たり時の特図変動時間を抽選し決定し、一方、大当り抽選に当選したか否かを判断してNOの判断のときは、ハズレリーチ用テーブル及びハズレリーチ実行抽選乱数R4に基づくハズレリーチ実行抽選処理を行い、当該ハズレリーチ実行抽選に当選したか否かを判断し、YESのときは、ハズレリーチ時の特図変動時間抽選を行い、決定する一方、NOのときは、通常ハズレ時の特図変動時間抽選を実行し、決定し(【0068】、図9)、
前記したように、大当たり時の特図変動時間を抽選し決定し、もしくは、ハズレリーチ時の特図変動時間抽選を行い、もしくは、通常ハズレ時の特図変動時間抽選を実行し、決定し(【0068】、図9)た次の段階で、大当り抽選結果と、当該特図変動時間抽選結果等の情報を含む演出変動開始コマンドを副制御部120に送信し、特別図柄表示部24での図柄変動を開始すると共に、特図変動時間の計測を開始し、当該演出変動開始コマンドを受信した副制御部120は、大当り抽選結果と、大当たり種別抽選結果と特図変動時間抽選結果とに応じて、液晶表示部14で実行すべき大当り抽選結果導出演出の種別を決定し、該演出の実行を開始し(【0069】、図9)、
次に、変動時間の計測結果が当該特図変動時間抽選結果に応じて定まる当該特図変動時間に至ったと判断されて、特別図柄表示部24での図柄変動を停止し、大当り抽選結果に応じた大当り図柄或いは外れ図柄を特別図柄表示部24に表示し(【0070】、図9)、
次に、前記大当たり抽選に当選したと判断されたときは、大当たり遊技処理に移行し(【0071】、図9)、

e、f、h1、h2、h3 第1始動口18もしくは第2始動口19に遊技球が入賞したときに、ハズレリーチ実行抽選乱数R4及び特図変動時間抽選乱数R3を取得し、それらの乱数値を取得したタイミングで、副制御部120に送信するところ、ハズレリーチ実行抽選乱数R4の値は「0〜250」をとるが、副制御部120が、受信した保留球のハズレリーチ実行抽選乱数値が「29」〜「250」であるか否かを判断して、副制御部120の保留球遊技情報記憶部156の最先の空き記憶部に記憶し、前記保留球のハズレリーチ実行抽選乱数値が「29」〜「250」であるときに、ハズレリーチなしフラグ「NRF」を記憶し(【0096】)、
特図変動時間抽選乱数R3の値は「0」〜「9972」をとるが、副制御部120は、受信した保留球の特別図柄変動時間抽選乱数R3の値が「6093」〜「9972」であるか否かを判断して、前記保留球の乱数値が「6093」〜「9972」であるときに、副制御部120の保留球遊技情報記憶部156の最先の空き記憶部にスーパーリーチフラグ「SRF」を記憶し(【0097】)、
前記保留球の特別図柄変動時間抽選乱数値が「6093」〜「9972」である保留球の変動は大当たり抽選に当選していることが期待できるものであり(【0098】)、
主制御部110で、リーチ実行抽選乱数R4の値が「29」〜「250」であるか否かを判定するとともに、前記特別演出変動時間抽選乱数R3の値が「6093」〜「9972」であるか否かを判定し、その判断結果のデータを副制御部120が受信して前記保留球遊技情報記憶部156に記憶しても良く(【0099】)、
連続演出開始可能条件については、特図変動中に前記第1始動口もしくは第2始動口に遊技球の入賞があったときに、その保留情報が「SRF」であり、当該「SRF」が記憶される保留情報記憶部よりも最先に少なくとも1個以上の「NRF」が記憶されていることが必要であり、現在特図変動中の始動入賞球の遊技情報が記憶されている作動用遊技情報記憶部に「NRF」が記憶され、第1保留遊技情報記憶部に「NRF」が記憶されているときに、新たに始動入賞が生じて、第2保留遊技情報記憶部に「SRF」が記憶されたときに、前記連続演出開始可能条件が成立し(【0101】)、
前記連続演出開始可能条件が成立する保留球情報(前記乱数R4とR3の値)を主制御部から受信したときに、CPU121は、ROM122で生成される連続演出実行抽選乱数R6を取得し、連続演出を実行するか否かを決定し(【0104】)、
連続演出フラグOFFのときの図柄変動中に、連続演出開始可能条件成立し、抽選により次回の演出変動より、連続演出を実行することを決定したときは、RAM123内の連続演出実行状態フラグ設定部157にフラグを設定し(連続演出フラグON)(【0105】)、
連続演出フラグONになったのを受けて、副制御部120は、割込み演出制御処理を実行し、その処理は、連続演出フラグがONになったときに、現在の特図変動残時間(換言すると現在の液晶演出残時間)をRAM123内に読込み、次に前記残時間に応じて実行可能な演出を選択するものであり、前記特図変動残時間が8秒以上あれば、可動役物の作動が可能であり(【0106】)、
次に、当該変動が終了したか否かを判断し、YESのときは、遊技情報(前記連続演出可能な保留球数等)に基づき、液晶連続演出回数SをRAM113内の連続演出残回数記憶部158に記憶し(【0111】)、
次に、主制御部110から受信した、保留球数に応じて選択される特図変動パターンに応じて、連続演出用テーブルに基づいて、液晶演出を選択し(【0112】)、
連続演出は、特図変動ごとに実行され、主制御部から各特図変動開始時に送信される特図変動パターン(特図変動時間)に応じて、前記演出図柄が変動し、該演出図柄停止時には、チャンス目で確定停止するものであり、連続演出中の前記演出図柄変動時には、追加演出も実行され(【0113】)、
前記割込み演出と同様の追加演出を選択するものであり(【0117】)、
保留球数にかかわらず、可動役物の作動を追加演出として実行可能である(認定事項1)、

g、i パチンコ遊技機(【0001】)。」

(3) 本件補正発明と引用発明との対比
ア 構成G、Iについて
引用発明の「パチンコ遊技機」は、本件補正発明の「遊技機」に相当する。

イ 構成A、B、C、D1、D2について
引用発明は、前記(2)ウのa、b、c、d1、d2の構成を備えるものである。
(ア) 構成Aについて
引用発明における「前記始動口入賞時に取得した大当り抽選乱数R1、大当り種別抽選乱数(大当たり図柄抽選乱数)R2、特図変動時間抽選乱数R3、ハズレリーチ実行抽選乱数R4の乱数値」は、いずれも本件補正発明の「抽選情報」に相当するものであり、引用発明が「前記始動口入賞時に取得した大当り抽選乱数R1、大当り種別抽選乱数(大当たり図柄抽選乱数)R2、特図変動時間抽選乱数R3、ハズレリーチ実行抽選乱数R4の乱数値」(抽選情報)を「RAM113の特図保留記憶領域の最先の空き領域に記録」することは、本件補正発明の構成Aの「所定の始動条件の成立に基づいて、抽選情報を取得する」ことに相当するものであって、これを実行する手段である本件補正発明の「抽選情報取得手段」の機能を、引用発明の主制御部110が備えることも自明である。
そうすると、引用発明は、本件補正発明の構成Aに相当する構成を備えているといえる。

(イ) 構成Bについて
引用発明の「第1始動口18もしくは第2始動口19への入賞時に取得した各種乱数」は、前記(ア)の「前記始動口入賞時に取得した大当り抽選乱数R1、大当り種別抽選乱数(大当たり図柄抽選乱数)R2、特図変動時間抽選乱数R3、ハズレリーチ実行抽選乱数R4の乱数値」(抽選情報)に対応し、同じく前記した構成Aについての対比を踏まえると、いずれも本件補正発明の「前記抽選情報取得手段が取得した抽選情報」に相当するものである。そして、引用発明における「当選確率に応じた大当たりテーブル及び大当り抽選乱数R1に基づく大当り抽選処理」、「大当り種別抽選乱数(大当たり図柄乱数)R2に基づ」く「大当たり種別抽選」、「ハズレリーチ用テーブル及びハズレリーチ実行抽選乱数R4に基づくハズレリーチ実行抽選処理」、並びに、「大当たり時の特図変動時間」の「抽選」、「ハズレリーチ時の特図変動時間抽選」及び「通常ハズレ時の特図変動時間抽選」は、上記したそれぞれの乱数値(抽選情報)を用いた「抽選」であり、これを実行する手段である本件補正発明の「抽選手段」の機能を、引用発明の「主制御部110」が備えることも明らかである。
そうすると、引用発明は、本件補正発明の構成Bに相当する構成を備えているといえる。

(ウ) 構成Cについて
前記(イ)の構成Bについての対比を踏まえると、引用発明の「当選確率に応じた大当たりテーブル及び大当り抽選乱数R1に基づく大当り抽選処理」が、本件補正発明の「前記抽選手段による抽選」に含まれることは明らかであり、また、引用発明の「前記大当たり抽選に当選したと判断されたとき」に「大当たり遊技処理に移行」することは、上記「当選確率に応じた大当たりテーブル及び大当り抽選乱数R1に基づく大当り抽選処理」(前記抽選手段による抽選)を行って、本件補正発明の如く「結果が特定結果であることに基づいて有利遊技状態を遊技者に付与する」ことに相当する。そして、これを実行する手段である本件補正発明の「有利遊技付与手段」の機能を、引用発明の「主制御部110」が備えることも明らかである。
そうすると、引用発明は、本件補正発明の構成Cに相当する構成を備えているといえる。

(エ) 構成D1について
前記(イ)の構成Bについての対比で述べたように、引用発明の「当選確率に応じた大当たりテーブル及び大当り抽選乱数R1に基づく大当り抽選処理」に加えて、「大当り種別抽選乱数(大当たり図柄乱数)R2に基づ」く「大当たり種別抽選」、「ハズレリーチ用テーブル及びハズレリーチ実行抽選乱数R4に基づくハズレリーチ実行抽選処理」、並びに、「大当たり時の特図変動時間」の「抽選」、「ハズレリーチ時の特図変動時間抽選」及び「通常ハズレ時の特図変動時間抽選」は、いずれも本件補正発明の「前記抽選手段の抽選」に相当し、これに含まれるものである。
そして、引用発明が、「大当たり時の特図変動時間を抽選し決定し、もしくは、ハズレリーチ時の特図変動時間抽選を行い、もしくは、通常ハズレ時の特図変動時間抽選を実行し」た次の段階で、「大当り抽選結果と、当該特図変動時間抽選結果等の情報を含む演出変動開始コマンドを副制御部120に送信し、」「当該演出変動開始コマンドを受信した副制御部120は、大当り抽選結果と、大当たり種別抽選結果と特図変動時間抽選結果とに応じて、液晶表示部14で実行すべき大当り抽選結果導出演出の種別を決定し、該演出の実行を開始」することは、引用発明では、「副制御部120」が、上記した各抽選(前記抽選手段の抽選)の「結果」を「演出変動開始コマンド」として受信し、当該「結果」に応じて、「液晶表示部14で実行す」る「演出の実行を開始」していると言い換えられる。
そうすると、引用発明は、本件補正発明の如く「所定の開始条件の成立に基づいて前記抽選手段の抽選結果に応じた図柄変動を開始する」ものであるといえるとともに、これを実行する「図柄変動実行手段」に相当する機能を、引用発明の「副制御部120」が備えることも明らかであるから、引用発明は、本件補正発明の構成D1に相当する構成を備えているといえる。

(オ) 構成D2について
次に、構成D2について、前記(エ)の構成D1についての対比で挙げたように、引用発明は、「大当たり時の特図変動時間を抽選し決定し、もしくは、ハズレリーチ時の特図変動時間抽選を行い、もしくは、通常ハズレ時の特図変動時間抽選を実行し」た次の段階で、「大当り抽選結果と、当該特図変動時間抽選結果等の情報を含む演出変動開始コマンドを副制御部120に送信し、」「当該演出変動開始コマンドを受信した副制御部120は、大当り抽選結果と、大当たり種別抽選結果と特図変動時間抽選結果とに応じて、液晶表示部14で実行すべき大当り抽選結果導出演出の種別を決定し、該演出の実行を開始」するものである。
ここで「液晶表示部14で実行すべき大当り抽選結果導出演出の種別を決定」することは、本件補正発明の「変動演出」を「決定する」ことに相当し、前記(エ)の構成D1についての対比を踏まえると、引用発明は、本件補正発明の如く「前記図柄変動実行手段によって開始される前記図柄変動における変動演出を前記抽選手段の抽選結果に基づき決定する」ものであるといえるともに、これを実行する「変動演出決定手段」に相当する機能を、引用発明の「副制御部120」が備えることも明らかである。
そうすると、引用発明は、本件補正発明の構成D2に相当する構成を備えているといえる。

ウ 構成E、F、H1、H2、H3について
引用発明は、前記(2)ウのe、f、h1、h2、h3の構成を備えるものである。
(ア) 構成Eについて
前記イ(ア)の構成Aについての対比で述べたように、引用発明における「前記始動口入賞時に取得した大当り抽選乱数R1、大当り種別抽選乱数(大当たり図柄抽選乱数)R2、特図変動時間抽選乱数R3、ハズレリーチ実行抽選乱数R4の乱数値」は、いずれも本件補正発明の「始動条件の成立に基づいて」「取得」した「抽選情報」に相当し、これに含まれるが、これらの「抽選情報」については、「保留内連続演出を実行するためのデータとして、副制御部120に送信」することが想定され、「主制御部110で、リーチ実行抽選乱数R4の値が「29」〜「250」であるか否かを判定するとともに、前記特別演出変動時間抽選乱数R3の値が「6093」〜「9972」であるか否かを判定し、その判断結果のデータを副制御部120が受信して前記保留球遊技情報記憶部156に記憶しても良」いものである。
上記したように、「保留内連続演出を実行するため」に、「抽選情報」に含まれる「リーチ実行抽選乱数R4」と「特別演出変動時間抽選乱数R3」について、その値を「判定」した判断結果を副制御部120が受信することにした場合には、主制御部110での当該「判定」は、本件補正発明における「抽選結果」の「事前判定」に相当するものであり、また、これを実行する手段である本件補正発明の「事前判定手段」の機能を、引用発明の主制御部110が備えることも明らかである。
さらに、当該「判定」(事前判定)は、「保留内連続演出を実行するため」のものであるから、前記イ(オ)の構成D1についての対比を踏まえると、「開始条件の成立前」に行われていることも明らかである。
そうすると、引用発明は、本件補正発明の構成Eに相当する構成を備えているといえる。

(イ) 構成H2について
引用発明における、第1始動口18もしくは第2始動口19に遊技球が入賞したときに取得した「ハズレリーチ実行抽選乱数R4の値」に応じて保留球遊技情報記憶部156に記憶した「ハズレリーチなしフラグ「NRF」」と「特図変動時間抽選乱数R3の値」に応じて保留球遊技情報記憶部156に記憶した「スーパーリーチフラグ「SRF」」について、「連続演出開始可能条件については、特図変動中に前記第1始動口もしくは第2始動口に遊技球の入賞があったときに、その保留情報が「SRF」であり、当該「SRF」が記憶される保留情報記憶部よりも最先に少なくとも1個以上の「NRF」が記憶されていることが必要であり」と説明されることを前提として、「現在特図変動中の始動入賞球の遊技情報が記憶されている作動用遊技情報記憶部に「NRF」が記憶され、第1保留遊技情報記憶部に「NRF」が記憶されているときに、新たに始動入賞が生じて、第2保留遊技情報記憶部に「SRF」が記憶されたとき」とした「連続演出開始可能条件」の成立の一例については、本件補正発明の「第1変動演出」に相当する「ハズレリーチなし」演出の実行中に、新たに始動入賞が生じて「SRF」が記憶され「連続演出開始可能条件」が成立したときと言い換えることができる。
次に、引用発明は、「連続演出フラグOFFのときの図柄変動中に、連続演出開始可能条件成立し、抽選により次回の演出変動より、連続演出を実行することを決定したときは、RAM123内の連続演出実行状態フラグ設定部157にフラグを設定し(連続演出フラグON)」、「連続演出フラグONになったのを受けて、副制御部120は、割込み演出制御処理を実行」するものである。
そして、上記「割込み演出制御処理」については、「その処理は、連続演出フラグがONになったときに、現在の特図変動残時間(換言すると現在の液晶演出残時間)をRAM123内に読込み、次に前記残時間に応じて実行可能な演出を選択するものであり、前記特図変動残時間が8秒以上あれば、可動役物の作動が可能」であるから、上記「割込み演出」は、上記した「連続演出」と区別され、本件補正発明の「追加演出」に相当するといえるものである。
これらを総合すると、引用発明は、本件補正発明の構成H2に相当する構成を備えているといえる。

(ウ) 構成H3について
引用発明は、前記(イ)の構成H2についての対比で述べたように、現在の特図変動残時間(換言すると現在の液晶演出残時間)に応じて実行可能な演出を「割込み演出」(追加演出)として実行可能なものであるが、「連続演出」については、「当該変動が終了したか否かを判断し、YESのときは、遊技情報(前記連続演出可能な保留球数等)に基づき、液晶連続演出回数SをRAM113内の連続演出残回数記憶部158に記憶し」、「次に、主制御部110から受信した、保留球数に応じて選択される特図変動パターンに応じて、連続演出用テーブルに基づいて、液晶演出を選択し」、「連続演出は、特図変動ごとに実行され、主制御部から各特図変動開始時に送信される特図変動パターン(特図変動時間)に応じて、前記演出図柄が変動し、」とされていることから、当該「連続演出」は、「割込み演出が終了した後、連続演出可能な保留球数等に基づき取得された液晶連続演出回数Sに応じて、特図変動ごとに実行される演出」であると言い換えられる。
そして、前記(イ)の構成H2についての対比で挙げた一例は、「現在特図変動中の始動入賞球の遊技情報が記憶されている作動用遊技情報記憶部に「NRF」が記憶され、第1保留遊技情報記憶部に「NRF」が記憶されているときに、新たに始動入賞が生じて、第2保留遊技情報記憶部に「SRF」が記憶されたとき」に「連続演出開始可能条件」が成立するものであるが、上記した点を踏まえると、この例の場合における「連続演出」は、割込み演出が終了した後に、「第1保留」の分の演出と、「SRF」が記憶されて割込み演出を行う契機となった「第2保留」の分の演出とをあわせて、2回にわたり実行されることになる。
また、引用発明は、「連続演出中の前記演出図柄変動時には、追加演出も実行され」て、「前記割込み演出と同様の追加演出を選択する」ものであって、「保留球数にかかわらず、可動役物の作動を追加演出として実行可能である」ことから、前記した構成H2の対比で述べたように「割込み演出」として「可動役物の作動」が実行される場合に、当該「割込み演出」と、上記「第2保留」の分の「前に」実行される、「第1保留」の分の演出に、あわせて実行される「追加演出」で、「同様」の「可動役物の作動」が実行されることになる。
引用発明の「割込み演出」が本件補正発明の「追加演出」に相当することは、前記(イ)のH2についての対比で述べたとおりであり、また、引用発明の「追加演出」は本件補正発明の「特別演出」に対応する。
そうすると、引用発明は、本件補正発明の構成H3に相当する構成を備えているといえる。

(エ) 構成F、H1について
引用発明の「割込み演出」(追加演出)は、「特別図柄変動時間抽選乱数R3の値が、「6093」〜「9972」であるか否かを判断して、・・・乱数値が「6093」〜「9972」であるときにスーパーリーチフラグ「SRF」を記憶し」たことを条件の一つとしていることは、前記した構成H2、H3についての対比で述べたとおりであるが、「特別図柄変動時間抽選乱数値が「6093」〜「9972」である保留球の変動は大当たり抽選に当選していることが期待できるもの」であることから、「割込み演出」(追加演出)が実行される場合には、同様に、その後に実行される連続演出の図柄変動での当選が期待できることになり、この点で、当該「割込み演出」(追加演出)は、本件補正発明の「前記抽選手段の抽選結果に応じた前記図柄変動の変動結果を示唆する演出」に相当するといえる。また、この演出を実行する「示唆演出実行手段」に相当する機能を、引用発明の「副制御部120」が備えることも明らかである。
そうすると、引用発明は、本件補正発明の構成F、H1に相当する構成を備えているといえる。

(4) 判断
前記(3)ア〜ウからみて、本件補正発明と引用発明とは相違するところがない。

(5) 構成H3に係る本件補正発明と引用発明との対比についての補足
ところで、本件補正発明の構成H3は、前記1に「補正後」の「H3」として記載したとおり、「前記第1変動演出の前記変動演出で開始された前記図柄変動において追加演出として前記特定示唆演出が実行されると、前記特定示唆演出が追加演出として実行される契機となった取得した抽選情報の開始条件が成立する前に、前記第1変動演出の前記変動演出で開始された前記図柄変動で追加演出として実行された前記特定示唆演出と一連の演出となる特別演出を実行可能とし、該特別演出において可動役物が動作される」とした構成であるところ、上記「前記特定示唆演出が追加演出として実行される契機となった取得した抽選情報の開始条件が成立する前に、」が、それに続く「前記第1変動演出の前記変動演出で開始された前記図柄変動で追加演出として実行された前記特定示唆演出と一連の演出となる特別演出を実行可能とし」とされた節全体又は「実行可能」とされた語に係るのではなく、「前記第1変動演出の前記変動演出で開始された」とされた句又は「開始」とされた語のみに係ると解釈する余地がないとはいえず、そのように解釈することは、審判請求人が、上記の補正の根拠について、審判請求書の「[3] 本願発明の説明」」の「(2)補正された範囲における補正事項の根拠」欄で、「以下に、特許請求の範囲の各補正事項について、その根拠となる本出願の願書に最初に添付した明細書における記載箇所を説明します。・・・2)第2補正事項「前記第1変動演出の前記変動演出で開始された前記図柄変動において追加演出として前記特定示唆演出が実行されると、前記特定示唆演出が追加演出として実行される契機となった取得した抽選情報の開始条件が成立する前に、前記第1変動演出の前記変動演出で開始された前記図柄変動で追加演出として実行された前記特定示唆演出と一連の演出となる特別演出を実行可能とし、該特別演出において可動役物が動作される」とする補正は、出願当初明細書の段落[1250]の「また、周辺制御MPUは、予告判定処理の判定対象変動の擬似連演出を上部前可動装飾体3350の動作に置き換えた場合、当該動作の一部又は全部をSPリーチ中に実行してもよい。図146の例では、周辺制御MPUは、第2変動における1連目及び2連目の擬似連演出を、それぞれ上部前可動装飾体3350の動作に置き換え、さらにSPリーチ中に上部前可動装飾体3350を動作させる(図146の変動例3)ことを決定する。これにより、連続回数が少ない(大当り期待度が低い)仮想的な擬似連演出からSPリーチに発展したとしても、SPリーチ中にさらに仮想的な擬似連演出が追加される可能性があるため、遊技者は連続回数が少ない(大当り期待度が低い)仮想的な擬似連演出から発展したリーチ演出に対しても強い関心を抱くことができる。」という記載に基づきます。」と説明していることとも整合するところである。
そのため、以下では、補足的に、本件補正発明の構成H3を、「前記特定示唆演出が追加演出として実行される契機となった取得した抽選情報の開始条件が成立する前に、」が、「前記第1変動演出の前記変動演出で開始された」とされた句又は「開始」とされた語のみに係ると解釈して、引用発明の構成e、f、h1、h2、h3とを対比検討する。
前記(3)ウ(イ)の構成H2についての対比で挙げた「連続演出開始可能条件」の成立の一例は、割込み演出が終了した後に、「連続演出」が、「第1保留」の分の演出と、「SRF」が記憶されて割込み演出を行う契機となった「第2保留」の分の演出とをあわせて、2回にわたり実行されるものであるところ、「割込み演出」(追加演出)と、「第2保留」の分の演出にあわせて実行される「追加演出」(特別演出)で、「同様」の「可動役物の作動」が実行されることになることからみて、引用発明は、上記した解釈においても、本件補正発明の構成H3に相当する構成を備えているといえる。
また、上記の一例は、「連続演出開始可能条件」(特図変動中に前記第1始動口もしくは第2始動口に遊技球の入賞があったときに、その保留情報が「SRF」であり、当該「SRF」が記憶される保留情報記憶部よりも最先に少なくとも1個以上の「NRF」が記憶されていることが必要)を満たすものであるところ、同様に「連続演出開始可能条件」を満たすものとして、「現在特図変動中の始動入賞球の遊技情報が記憶されている作動用遊技情報記憶部に「NRF」が記憶されているときに、新たに始動入賞が生じて、第1保留遊技情報記憶部に「SRF」が記憶されたとき」を想定することができるが、この場合にも、「割込み演出」(追加演出)と、次の「第1保留」の分の演出にあわせて実行される「追加演出」(特別演出)で、「同様」の「可動役物の作動」が実行されることになり、上記の一例の場合と同様に、引用発明は、上記した前提における本件補正発明の構成H3に相当する構成を備えているといえる。
以上のとおり、本件補正発明の構成H3を、「前記特定示唆演出が追加演出として実行される契機となった取得した抽選情報の開始条件が成立する前に、」が、「前記第1変動演出の前記変動演出で開始された」とされた句又は「開始」とされた語のみに係ると解釈したとしても、引用発明は、本件補正発明の構成H3に相当する構成を備えているということができるから、前記(4)の判断と同様にして、本件補正発明と引用発明とは相違するところがない。

(6) 請求人の主張について
審判請求人は、令和3年12月21日に提出した審判請求書の「[4] 本願発明が特許されるべき理由」において、おおむね以下の主張をしている。

(主張1)「本願発明は「追加演出」の実行条件が成立した際に実行していた図柄変動に対して「追加演出」を実行するのに対して、引用文献1は「割込み演出」の実行条件が成立した際に実行していた図柄変動が終了した後に実行される図柄変動(次変動)に対して「割込み演出」を実行するものである。」

上記主張1について検討するに、前記(3)ウ(イ)で説示したように、引用発明における「割込み演出制御」は、「連続演出フラグがONになったときに、現在の特図変動残時間(換言すると現在の液晶演出残時間)をRAM123内に読込み、次に前記残時間に応じて実行可能な演出を選択する」ものであり、その例についても、「演出実行上、前記特図変動残時間が2秒以上あれば、特定の効果音を伴うチャンスランプL2の高輝度フラッシュが可能である。また、演出実行上、前記特図変動残時間が5秒以上あれば、液晶特別演出(キャラクタ通過演出)の実行が可能である。また、演出実行上、前記特図変動残時間が8秒以上あれば、可動役物の作動が可能である」(【0106】)と説明されているように、次回の演出変動から実行する「連続演出」とは区別されるべきものである。
したがって、上記主張1で述べられた点で、本件補正発明と引用発明とが相違するとはいえず、主張1は採用できない。

なお、審判請求人は、同審判請求書の「[3] 本願発明の説明」」の「(2)補正された範囲における補正事項の根拠」欄において、「以下に、特許請求の範囲の各補正事項について、その根拠となる本出願の願書に最初に添付した明細書における記載箇所を説明します。・・・2)第2補正事項「前記第1変動演出の前記変動演出で開始された前記図柄変動において追加演出として前記特定示唆演出が実行されると、前記特定示唆演出が追加演出として実行される契機となった取得した抽選情報の開始条件が成立する前に、前記第1変動演出の前記変動演出で開始された前記図柄変動で追加演出として実行された前記特定示唆演出と一連の演出となる特別演出を実行可能とし、該特別演出において可動役物が動作される」とする補正は、出願当初明細書の段落[1250]の「また、周辺制御MPUは、予告判定処理の判定対象変動の擬似連演出を上部前可動装飾体3350の動作に置き換えた場合、当該動作の一部又は全部をSPリーチ中に実行してもよい。図146の例では、周辺制御MPUは、第2変動における1連目及び2連目の擬似連演出を、それぞれ上部前可動装飾体3350の動作に置き換え、さらにSPリーチ中に上部前可動装飾体3350を動作させる(図146の変動例3)ことを決定する。これにより、連続回数が少ない(大当り期待度が低い)仮想的な擬似連演出からSPリーチに発展したとしても、SPリーチ中にさらに仮想的な擬似連演出が追加される可能性があるため、遊技者は連続回数が少ない(大当り期待度が低い)仮想的な擬似連演出から発展したリーチ演出に対しても強い関心を抱くことができる。」という記載に基づきます。」と説明しているところ、当審合議体は、上記第2補正事項のうち、特に「前記特定示唆演出が追加演出として実行される契機となった取得した抽選情報の開始条件が成立する前に、前記第1変動演出の前記変動演出で開始された前記図柄変動で追加演出として実行された前記特定示唆演出と一連の演出となる特別演出を実行可能とし」とする補正の適否の判断については、願書に最初に添付した明細書又は図面の【1287】〜【1311】、【図150】〜【図152】の記載も参照して行った。

(7) 小括
以上のとおり、本件補正発明は、引用文献1に記載された発明であるから、特許法29条1項3号の規定により、特許出願の際、独立して特許を受けることができない。
また、本件補正発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許出願の際、独立して特許を受けることができない。

4 むすび
したがって、本件補正は、前記2(4)で述べたとおり特許法17条の2第5項に規定する要件に違反するものであるが、かりにそうでないとしても、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。


第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は前記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前記第2の1に補正前として示した特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものであり、以下に再掲する(符号A等は分説のため当審合議体が付した。)。

(本願発明)
「【請求項1】
A 所定の始動条件の成立に基づいて、抽選情報を取得する抽選情報取得手段と、
B 前記抽選情報取得手段が取得した抽選情報を用いて抽選を行う抽選手段と、
C 前記抽選手段による抽選結果が特定結果であることに基づいて有利遊技状態を遊技者に付与する有利遊技付与手段と、
D1 所定の開始条件の成立に基づいて前記抽選手段の抽選結果に応じた図柄変動を開始する図柄変動実行手段と、
D2 前記図柄変動実行手段によって開始される前記図柄変動における変動演出を前記抽選手段の抽選結果に基づき決定する変動演出決定手段と、
E 始動条件の成立に基づいて取得した抽選情報の抽選結果を開始条件の成立前に事前判定する事前判定手段と、
F 前記抽選手段の抽選結果に応じた前記図柄変動の変動結果を示唆する演出を実行する示唆演出実行手段と、
G を備えた遊技機であって、
H1 前記示唆演出実行手段は、
H2´ 前記変動演出決定手段によって第1変動演出が前記変動演出として決定され、前記第1変動演出の前記変動演出で開始された前記図柄変動の実行中に始動条件が成立し抽選情報を取得したことに基づいて、前記第1変動演出の前記変動演出で開始された実行中の前記図柄変動に対して、前記変動演出を前記変動演出決定手段によって前記第1変動演出で実行することが決定された際に決定されていなかった特定示唆演出を追加演出として前記変動演出決定手段によって決定されていた演出に追加して実行することが可能とされており、
H3´ 前記第1変動演出の前記変動演出で開始された前記図柄変動において追加演出として前記特定示唆演出が実行された場合に、前記特定示唆演出が追加演出として実行される契機となった取得した抽選情報の開始条件が成立した際に開始される前記図柄変動において、前記第1変動演出の前記変動演出で開始された前記図柄変動で追加演出として実行された前記特定示唆演出と一連の演出となる特別演出を実行可能とし、該特別演出において可動役物が動作される
I ことを特徴とする遊技機。」

2 原査定の拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由の概要は次のとおりである。
1.(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
2.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

●理由1(新規性)、理由2(進歩性)について
・請求項 1
・引用文献等 1

<引用文献等一覧>
1 特開2009−285285号公報

3 引用文献
ア 引用文献1の記載事項及び認定事項
引用文献1の記載事項及び認定事項は、前記第2の3(2)ア〜イに記載したとおりのものである。

イ 引用発明
引用文献1に記載される引用発明は、前記第2の3(2)ウに記載したとおりのものである。

4 本願発明と引用発明との対比
ア 構成G、Iについて
前記第2の3(3)アで説示したとおりであり、引用発明は、本願発明の構成G、Iに相当する構成を備えているといえる。

イ 構成A、B、C、D1、D2について
前記第2の3(3)イ(ア)〜(オ)で説示したとおりであり、引用発明は、本願発明の構成A、B、C、D1、D2に相当する構成を備えているといえる。

ウ 構成E、F、H1、H2´、H3´について
まず、構成Eについては、前記第2の3(3)ウ(ア)で説示したとおりであり、引用発明は、本願発明の構成Eに相当する構成を備えているといえる。

次に、構成H2´については、前記第2の2(1)アで検討したとおり、本件補正発明の構成H2から、「前記第1変動演出の前記変動演出」の「前記図柄変動」について、「開始」から「実行中」の状態が継続していることを明確にするためにした限定を省いたものであるから、前記第2の3(3)ウ(イ)で、本件補正発明の構成H2と引用発明との対比で説示したとおり、引用発明は、本願発明の構成H2´に相当する構成を備えているといえる。

次に、構成H3´について、本願発明と引用発明を対比する。
前記第2の3(3)ウ(ウ)の、本件補正発明の構成H3と引用発明との対比で説示したように、引用発明においては、「現在の特図変動残時間(換言すると現在の液晶演出残時間)に応じて実行可能な演出を「割込み演出」として実行可能」であって、「連続演出」は、「割込み演出が終了した後、連続演出可能な保留球数等に基づき取得された液晶連続演出回数Sに応じて、特図変動ごとに実行される演出」であり、「連続演出開始可能条件」が成立する例として、前記第2の3(3)ウ(イ)の、本件補正発明の構成H2と引用発明との対比で挙げたように、「現在特図変動中の始動入賞球の遊技情報が記憶されている作動用遊技情報記憶部に「NRF」が記憶され、第1保留遊技情報記憶部に「NRF」が記憶されているときに、新たに始動入賞が生じて、第2保留遊技情報記憶部に「SRF」が記憶され」る一例が挙げられるところ、上記した点を踏まえると、この一例の場合の「連続演出」は、割込み演出が終了した後に、「第1保留」の分の演出と、「SRF」が記憶されて割込み演出を行う契機となった「第2保留」の分の演出とをあわせて、2回分にわたって実行されることになることは、前記第2の3(3)ウ(ウ)又は3(5)で説示したとおりである。そして、引用発明は、「連続演出中の前記演出図柄変動時には、追加演出も実行され」て、「前記割込み演出と同様の追加演出を選択する」ものであって、「保留球数にかかわらず、可動役物の作動を追加演出として実行可能である」ことから、「割込み演出」として「可動役物の作動」が実行される場合に、当該「割込み演出」(追加演出)と、上記「第1保留」の分と「第2保留」の分の演出にあわせて実行される「追加演出」(特別演出)で、「同様」の「可動役物の作動」が実行されるといえることも、前記第2の3(3)ウ(ウ)で説示したとおりである。
また、同様に、前記第2の3(5)で説示したように、「連続演出開始可能条件」(特図変動中に前記第1始動口もしくは第2始動口に遊技球の入賞があったときに、その保留情報が「SRF」であり、当該「SRF」が記憶される保留情報記憶部よりも最先に少なくとも1個以上の「NRF」が記憶されていることが必要)を満たすものとして、「現在特図変動中の始動入賞球の遊技情報が記憶されている作動用遊技情報記憶部に「NRF」が記憶されているときに、新たに始動入賞が生じて、第1保留遊技情報記憶部に「SRF」が記憶された」場合を想定することができるが、この場合にも、「割込み演出」(追加演出)と、次の「第1保留」の分の演出にあわせて実行される「追加演出」(特別演出)で、「同様」の「可動役物の作動」が実行されることになる。
そうすると、いずれの場合を採ったとしても、引用発明は、本願発明の構成H3´に相当する構成を備えているといえる。

次に、構成F、H1については、前記第2の3(3)ウ(エ)で説示したとおりであり、引用発明は、本願発明の構成F、H1に相当する構成を備えているといえる。

5 判断
前記4からみて、本願発明と引用発明とは相違するところがない。
また、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものである。

6 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用文献1に記載された発明であるから、特許法29条1項3号の規定により特許を受けることができない。
また、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

 
別掲 (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。
 
審理終結日 2022-10-18 
結審通知日 2022-10-19 
審決日 2022-11-01 
出願番号 P2016-195176
審決分類 P 1 8・ 574- Z (A63F)
P 1 8・ 572- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 113- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 鉄 豊郎
特許庁審判官 蔵野 いづみ
小林 俊久
発明の名称 遊技機  

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