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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  F16F
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  F16F
審判 全部申し立て 2項進歩性  F16F
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  F16F
管理番号 1393097
総通号数 13 
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2023-01-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2022-02-07 
確定日 2022-10-28 
異議申立件数
訂正明細書 true 
事件の表示 特許第6923315号発明「トーショナルダンパ」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6923315号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔3、4〕について訂正することを認める。 特許第6923315号の請求項1、2及び4に係る特許を維持する。 特許第6923315号の請求項3に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6923315号(以下、「本件特許」という。)の請求項1〜4に係る特許についての出願は、平成28年12月13日の出願であって、令和3年8月2日にその特許権の設定登録がされ、令和3年8月18日に特許掲載公報が発行された。その後、特許異議申立人山▲崎▼浩一郎(以下、「申立人」という。)から本件特許の請求項1〜4に係る特許について特許異議の申立てがあったものである。
本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和4年 2月 7日 :申立人による特許異議の申立て
令和4年 6月 6日付け:取消理由通知書
令和4年 7月 8日 :特許権者による訂正請求書及び意見書の提出

第2 訂正の請求についての判断
1 訂正の内容
令和4年7月8日の訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項3を削除する。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項4に「請求項1乃至3のいずれか一項に記載の」と記載されているのを、「請求項1または2に記載の」に訂正する。

2 訂正の要件
訂正事項1は、訂正前の請求項3を削除するものであって、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、訂正事項1は、訂正前の請求項3を削除するものであって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるといえるから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合する。
また、訂正事項1は、訂正前の請求項3を削除するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しないことが明らかであるから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合する。

訂正事項2は、訂正前の請求項4が請求項1乃至3のいずれか一項の記載を引用するものであったところ、請求項4における請求項3の記載の引用を削除し、訂正後の請求項4が請求項1または2の記載を引用するものに減縮するよう訂正するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるとともに、訂正事項1で削除された請求項3の記載を引用しないことで、訂正後の請求項4に係る発明を明確にするものであるともいえるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものでもある。
そして、訂正事項2は、請求項4における請求項3の記載の引用を削除するものであって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるといえるから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合する。
また、訂正事項2は、請求項4における請求項3の記載の引用を削除するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しないことが明らかであるから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合する。

3 独立特許要件
訂正事項1及び2は、訂正前の請求項3及び4に係るものであって、訂正前の請求項3及び4は特許異議の申立てがされているから、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。

4 一群の請求項
訂正前の請求項4は、請求項1乃至3のいずれか一項の記載を引用するものであり、請求項3を訂正することによって請求項4も連動して訂正される。よって、訂正前の請求項3及び4に対応する訂正後の請求項3及び4は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。

5 小括
上記2のとおり、訂正事項1及び2に係る訂正は、訂正の要件を満たしている。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔3、4〕について訂正することを認める。

第3 訂正後の本件発明
上記第2のとおり本件訂正は認められるから、本件特許の請求項1、2及び4に係る発明(以下それぞれ「本件発明1」、「本件発明2」及び「本件発明4」といい、総称して「本件発明」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1、2及び4に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「【請求項1】
回転軸に取り付けられ、前記回転軸と一体的に回転するダンパハブと、
前記ダンパハブにゴム部材を介して装着された慣性リングと、
を有するトーショナルダンパであって、
前記ゴム部材は、ポリマーがEPDMのみからなるゴム組成物からなり、
前記ダンパハブと前記慣性リングとの間に装着された前記ゴム部材は、前記トーショナルダンパを共振周波数400HZ、加振振幅±0.05°で連続加振した時の表面温度60±5℃の時の損失係数(tanδpi)が0.27以上であり、
前記トーショナルダンパを共振周波数400HZ、加振振幅±0.05°で連続加振時した時の前記ゴム部材の表面最高到達温度(Tmax)は、以下の式
Tmax=α×ln(tanδpi)+β≦100
(式中、αは−46.9〜−60.4の範囲の係数を表し、βは+9.4〜+27.7の範囲の係数を表す)
を満たす、トーショナルダンパ。
【請求項2】
回転軸に取り付けられ、前記回転軸と一体的に回転するダンパハブと、
前記ダンパハブにゴム部材を介して装着された慣性リングと、
を有するトーショナルダンパであって、
前記ゴム部材は、ポリマーがEPDMのみからなるゴム組成物からなり、
前記ダンパハブに装着される前のゴム部材は、300%伸長時のモジュラスと50%伸長時のモジュラスとの比が7.2以上であり、
前記ダンパハブと前記慣性リングとの間に装着された前記ゴム部材は、前記トーショナルダンパを共振周波数400HZ、加振振幅±0.05°で連続加振した時の表面温度が60±5℃の時の損失係数(tanδpi)が0.27以上であり、
前記トーショナルダンパを共振周波数400HZ、加振振幅±0.05°で連続加振時した時の前記ゴム部材の表面最高到達温度(Tmax)は、以下の式
Tmax=α×ln(tanδpi)+β≦100
(式中、αは−46.9〜−60.4の範囲の係数を表し、βは+9.4〜+27.7の範囲の係数を表す)
を満たす、トーショナルダンパ。
【請求項4】
請求項1または2に記載のトーショナルダンパにおいて、
前記ゴム部材は、前記ダンパハブと前記慣性リングとで形成された隙間部を有し、
該隙間部は、複数の隙間間隔を有するとともに、前記隙間部の少なくとも一部に凸状の隙間部を有し、前記ゴム部材は、前記隙間部に圧入され、圧入後のゴム部材の半径方向の平均圧縮率は、以下の式で示される、トーショナルダンパ。
【数8】

ただし、 t0:圧入前のゴム部材の厚み
tn:異なる空隙部へ挿入(圧入)した時のゴム部材の厚み
L0:トーショナルダンパの幅
Ln:トーショナルダンパ各種空隙部のそれぞれの幅方向長さ
n:圧縮率が異なる領域の数であり、1から5までの整数。」

第4 取消理由通知に記載した取消理由
当審が令和4年6月6日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
1 理由1(明確性
本件特許は、特許請求の範囲の請求項3の記載事項が不明確であって、当該請求項3に係る発明が明確でないから、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである 。

2 理由2(新規事項)
令和3年3月4日付け手続補正書でした、特許請求の範囲の請求項3についての補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、本件特許は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。

第5 取消理由についての当審の判断
本件特許の特許請求の範囲の請求項3は、本件訂正により削除されたため、上記第4における特許請求の範囲の請求項3に係る特許についての取消理由は、その対象が存在しないものとなった。

第6 取消理由において採用しなかった特許異議の申立ての理由について
新規性進歩性について
(1)申立人の主張及び証拠方法
申立人は、令和4年2月7日付け特許異議申立書(以下、「申立書」という。)の3.(4)(4−2)〜(4−4)において、証拠として甲第1〜4号証を提出し、
ア 請求項1〜3に係る特許は、甲第1号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し、また、
イ 請求項1〜3に係る特許は、甲第1号証に記載された発明または甲第2号証に記載された発明または甲第3号証に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、
請求項1〜3に係る特許を取り消すべきものである旨主張する。

申立人が提出した証拠方法は、以下に示す甲第1号証〜甲第4号証である。

甲第1号証:国際公開第2016/143599号
甲第2号証:「制振材料に関する一般知識と材料データ」竹内文人:日本ゴム協会誌、第89巻、第8号(2016)、249−253ページ、2016年(平成28年)10月5日発行(抄録URL:https://doi.org/10.2324/gomu.89.249)
(参考URL:https://www.jstage.jst.go.jp/article/gomu/89/8/89_249/_pdf/-char/ja)
甲第3号証:特開2007−9073号公報
甲第4号証:特開2001−64460号公報

(2)甲第1〜4号証
ア 甲第1号証の記載及び甲1発明
甲第1号証には「架橋体および制振材」に関し、以下の記載がある。
(ア)「[0085]C)軟化剤
C−1)パラフィンオイル(商品名:ダイアナプロセスオイル PS−430(出光興産(株)製)
C−2)パラフィンオイル(商品名:ダイアナプロセスオイル PW−90(出光興産(株)製)」

(イ)「[0091](測定方法および評価方法)
以下の実施例および比較例において、各物性は以下の方法により測定または評価した。
a)動的粘弾性測定
粘弾性測定装置ARES(TA Instrumens JAPAN Inc.社製)を用いて、下記測定条件で各シート状架橋体サンプルの粘度の温度依存性を測定した。当該測定で得られた、貯蔵弾性率(G')と損失弾性率(G")との比(G"/G':損失正接)をtanδとした。tanδを温度に対してプロットすると、上に凸の曲線すなわちピークが得られ、そのピークの頂点の温度をガラス転移温度、すなわちtanδ―Tgとし、その温度における極大値を測定した。tanδにつき2つ以上のピークが観測された場合には、第1および第2のピークとして双方のtanδ―Tgおよび極大値を記録した。
[0092] (測定条件)
Frequency :1.0Hz
Temperature :−70〜80℃
Ramp Rate :4.0℃/分
Strain :0.5%」

(ウ)「[0104][比較例1〜11]
A〜E成分の配合組成を表3に示すとおりの配合組成に変更した以外は実施例1と同条件で加硫シートを作製し、実施例1と同様に物性値を求めた。比較例1〜11の結果を表3に示す。」

(エ)「[0108]
[表3]



(オ)上記(エ)の[表3]から、比較例1〜8の加硫シート(架橋体)は、ポリマーがオレフィン系重合体を含まずEPDMのみからなり、EPDM100質量部に対しパラオレフィンオイル56〜165質量部及びカーボンブラック104〜235質量部を含有し、−48〜−38℃でtanδの極大値が0.40〜0.73となることが読み取れる。

以上から、甲第1号証には以下の甲1発明が記載されていると認められる。

[甲1発明]
「ポリマーがEPDMのみであって、EPDM100質量部に対してパラフィンオイル56〜165質量部及びカーボンブラック104〜235質量部を含有する組成物を加硫した架橋体。」

イ 甲第2号証の記載及び甲2発明
甲第2号証には「制振材料」に関し、以下の記載がある。
(ア)「本稿では,防振と制振の基本的な解釈,制振機能を発現するメカニズム,EPDM配合と粘弾性特性について紹介する.」(249ページ左欄13〜15行)

(イ)「騒音・振動制御技術者は制振機能を発現すべき温度や周波数領域を把握した上で,適切な制振材料を選定する必要がある.」(251ページ右欄下から5−3行)

(ウ)「表1に,EPDMに対し,カーボンブラックとパラフィンオイルを配合し,総充填部数を200部,300部,400部,500部と変更した際の配合と代表物性を示す.」(252ページ右欄2〜4行)

(エ)「表1



(オ)「これらの架橋シートの粘弾性特性について図9に貯蔵弾性率(G’),図10に損失弾性率(G’’),図11に損失係数(tanδ=G’ ’/G’)を示す.総充填部数が高くなるほど,損失弾性率が増大し,その結果,損失係数も増大する.これは,カーボンブラック配合量の増大はカーボンブラック同士あるいはEPDM高分子鎖とカーボンブラックの相互作用部分の増大につながる.外部からのひずみによりその相互作用部分のずれや滑りがより多く発生するため,結果として損失係数が増大すると考えられる.
ここで紹介した配合による粘弾性特性の制御技術は,同一のEPDM素材を使っているにもかかわらず,カーボンブラックの配合により損失係数をコントロール可能である点が興味深い.」(252ページ右欄第8行〜253ページ右欄第2行)

(カ)「図11



(キ)上記(エ)の「表1 EPDMの配合事例」には、EPDMポリマー100部に対して、活性亜鉛、カーボンブラック、パラフィンオイル、軽質炭酸カルシウム、その他加工助剤等を配合しているEPDM組成物において、カーボンブラックとパラフィンオイルの配合量を変更し、総充填部数を200部、300部、400部、500部と変更した例が示されているところ、「表1 EPDMの配合事例」に記載された総充填部数300部〜500部の欄のEPDM組成物において、ポリマーがEPDMのみであって、EPDM100部に対してカーボンブラック104〜215部及びパラフィンオイル56〜145部を含有していることが読み取れる。

(ク)上記(カ)の図11から、総充填部数500部のEPDM組成物の60℃における損失係数が約0.28であることが読み取れる。

以上から、甲第2号証には以下の甲2発明が記載されていると認められる。

[甲2発明]
「ポリマーがEPDMのみであって、EPDM100部に対してカーボンブラック104〜215部及びパラフィンオイル56〜145部を含有し、総充填部数が300〜500部であるEPDM組成物。」

ウ 甲第3号証の記載及び甲3発明
甲第3号証には「ダンパー用ゴム部材」に関し、実施例の配合及び物性について次の記載がある。
(ア)「【0007】
本発明にかかるダンパー用ゴム部材によれば、低温領域から高温領域まで損失正接(tanδ)が大きいので高いダンピング(減衰)効果を得ることができる。また、このようにダンパー用ゴム部材の損失正接(tanδ)を大きくすることによって、共振領域における共振ピークを小さくすることができる。このため、400ヘルツ(Hz)以下の低周波領域の振動伝達率τを下げ、共振を抑制することができる。さらに、本発明にかかるダンパー用ゴム部材の振動吸収特性は動倍率に依存しないため、多様なダンパー用ゴム部材の静的弾性率(硬度)に対応可能である。」

(イ)「【0015】 以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【0016】 本実施の形態にかかるダンパー用ゴム部材は、エチレン・プロピレンゴムを含むゴム組成物を架橋して得られたダンパー用ゴム部材であって、パルス法NMRを用いてハーンエコー法によって150℃で測定した、第2の成分の成分分率(fnn)が0.2〜0.6であって、−40〜150℃における損失正接(tanδ)が0.35を超え、かつ1.0未満であることを特徴とする。
【0017】 本実施の形態にかかるエチレン・プロピレンゴムは、EPDM(エチレン・プロピレン・ジエン・共重合体)、EPM(エチレン・プロピレン共重合体)等を用いることができるが、EPDMが好ましい。」

(ウ)「【0019】 損失正接(tanδ)は、本実施の形態にかかる架橋したゴム組成物で動的粘弾性試験(測定温度:−40〜150℃)を行い、動的剪断弾性率(E’、単位はdyn/cm2)と動的損失弾性率(E”、単位はdyn/cm2)とを求め、損失正接(tanδ=E”/E’)を計算して得ることができる。損失正接(tanδ)が0.35を超えることで、低温領域(0℃)から高温領域(150℃)まで高いダンピング(減衰)効果を有するダンパー用ゴム部材を得ることができる。また、損失正接(tanδ)が1.0以上ではへたりが大きくなるので好ましくない。」

(エ)「【0024】
(1)の条件について:平均粒径10〜50nmのカーボンブラックを用いることが好ましい。このようなカーボンブラックとしては、例えばSAF、ISAF,HAF,FEFなどのグレードのカーボンブラックを挙げることができる。このように非常に小さいカーボンブラックを用いることで、ゴム組成物を補強しながら、バウンドラバー(拘束成分)の量を多くすることで損失正接(tanδ)を大きくすることができる。このバウンドラバーは、エチレン・プロピレンゴムとの混練によってカーボンブラックの周囲に形成され、カーボンブラックとゴム分子との間の摩擦が大きくなり、従って損失正接(tanδ)が大きくなる。ゴム組成物は、エチレン・プロピレンゴム100重量部に対し、カーボンブラック10〜120重量部を添加することが好ましい。カーボンブラックの添加量が10重量部より少ないとダンパー用ゴム部材の強さが不足し、120重量部を超えるとバウンドラバーの量が多くなりすぎて、成形が困難となる。」

(オ)「【0039】
(動的粘弾性試験)
各サンプルについて、SII社製の粘弾性試験機(DMS200)を用いて、測定温度−40〜150℃、周波数10Hz、歪み率0.1%、の条件で動的粘弾性試験を行ない、動的剪断弾性率(E’、単位はMPa)と動的損失弾性率(E”、単位はMPa)とを求め、損失正接(tanδ=E”/E’)の最小値を計算して得た。計算結果を表1及び表2に示す。」

(カ)「【0041】
【表1】



(キ)上記(カ)の【表1】の実施例1から、ポリマーがポリプロピレン成分を含まずEPDMのみからなり、EPDM100質量部に対しカーボンブラック40質量部を含有し、架橋密度が75%であり、tanδが0.38のゴム部材の成分が読み取れる。

以上から、甲第3号証には以下の甲3発明が記載されていると認められる。

[甲3発明]
「ポリマーがEPDMのみであって、EPDM100質量部に対してカーボンブラック40質量部を含有し、架橋密度が75%であるダンパー用ゴム部材。」

エ 甲第4号証の記載
(ア)「【0007】本発明は上記従来の問題点を解決し、トーショナルダンパー、エンジンマウント、マフラーハンガー等の高温環境下で使用される耐熱性防振ゴム組成物であって、高い減衰性を示す上に、硬度、強力、伸びなどのゴム物性、耐圧縮永久歪性、耐油性等の諸特性に優れ、しかもこれらのバランスも良好な防振ゴム組成物を提供することを目的とする。」

(イ)「【0025】
【表1】





(3)甲1発明に基づく新規性及び進歩性について
ア 本件発明1についての新規性及び進歩性についての検討
本件発明1と甲1発明とを対比すると、甲1発明の「架橋体」は、本件発明1の「ゴム部材」に相当するから、本件発明1と甲1発明とは、
「ゴム部材は、ポリマーがEPDMのみからなるゴム組成物からなる。」点で一致し、以下の相違点1で相違する。

[相違点1]
本件発明1は、「回転軸に取り付けられ、前記回転軸と一体的に回転するダンパハブと、
前記ダンパハブにゴム部材を介して装着された慣性リングと、
を有するトーショナルダンパであって、
前記ダンパハブと前記慣性リングとの間に装着された前記ゴム部材は、前記トーショナルダンパを共振周波数400HZ、加振振幅±0.05°で連続加振した時の表面温度60±5℃の時の損失係数(tanδpi)が0.27以上であり、
前記トーショナルダンパを共振周波数400HZ、加振振幅±0.05°で連続加振時した時の前記ゴム部材の表面最高到達温度(Tmax)は、以下の式
Tmax=α×ln(tanδpi)+β≦100
(式中、αは−46.9〜−60.4の範囲の係数を表し、βは+9.4〜+27.7の範囲の係数を表す)
を満たす、トーショナルダンパ。」であるのに対し、甲1発明は「架橋体」をトーショナルダンパに適用するとの特定はなく、また、架橋体の特性について、本件発明1のような特定もされていない点。

以下、相違点1について検討する
甲1発明をトーショナルダンパに適用することについて甲第1号証に記載はない。そして、架橋体の用途は非常に多岐にわたり、トーショナルダンパが架橋体および制振材の代表的な用途ともいえない。
また、甲第1号証には、甲1発明の架橋体のtanδの極大値が−48〜−38℃で0.40〜0.73となることが記載されているが(上記(2)ア(エ)参照。)、そのtanδの測定条件は甲第1号証の段落[0091]、[0092]に記載されているとおりであり、本件発明1の「共振周波数400HZ、加振振幅±0.05°で連続加振」と異なることから、甲1発明の架橋体のtanδは、本件発明1の「共振周波数400HZ、加振振幅±0.05°で連続加振した時の表面温度が60±5℃の時の損失係数(tanδpi)」を示すものではない。
さらに、トーショナルダンパにおいて加振した際におけるゴム部材の表面最高到達温度に関して、共振周波数400HZ、加振振幅±0.05°で連続加振時した時の前記ゴム部材の表面最高到達温度(Tmax)は、以下の式
Tmax=α×ln(tanδpi)+β≦100
(式中、αは−46.9〜−60.4の範囲の係数を表し、βは+9.4〜+27.7の範囲の係数を表す)
と規定する構成は、甲第2〜4号証のいずれにも記載も示唆もされていないし、本件特許の出願当時の技術常識から当業者が認識できた事項とも認められない。
そうすると、当業者といえども、甲1発明の構成から、上記相違点1に係る本件発明1の構成に至らない。

なお、申立人は特許異議申立書において、本件発明1の
「前記ゴム部材は、ポリマーがEPDMのみからなるゴム組成物からなり、」を構成要件B、
「前記ダンパハブと前記慣性リングとの間に装着された前記ゴム部材は、前記トーショナルダンパを共振周波数400HZ、加振振幅±0.05°で連続加振した時の表面温度60±5℃の時の損失係数(tanδpi)が0.27以上であり、」を構成要件C、
「前記トーショナルダンパを共振周波数400HZ、加振振幅±0.05°で連続加振時した時の前記ゴム部材の表面最高到達温度(Tmax)は、以下の式を満たす、トーショナルダンパ
Tmax=α×ln(tanδpi)+β≦100
(式中、αは−46.9〜−60.4の範囲の係数を表し、βは+9.4〜+27.7の範囲の係数を表す)」を構成要件D(15ページ9〜20行)とし、
「すなわち、甲第1号証に記載の架橋体は、本件特許発明1の構成要件Bを充足し、かつ、構成要件C及びDを充足するための好ましい組成を有するゴム組成物を加硫してなるものである。・・・省略・・・そうすると、甲第1号証に記載の架橋体は、共振周波数400HZ、加振振幅±0.05°で連続加振時した時の・・・(中略)・・・表面最高到達温度(Tmax)が100℃以下であるといえる。」((4−2)イ(ア)、21ページ20行〜末行)と主張している。
しかしながら、上述のとおり、甲1発明は、ダンパハブや慣性リングを備えたトーショナルダンパではないし、甲1発明の架橋体のtanδは本件発明1の「共振周波数400HZ、加振振幅±0.05°で連続加振した時の表面温度が60±5℃の時の損失係数(tanδpi)」を示すものでもないことから、構成要件Cを充足せず、上記の申立人の主張は採用できない。

そして、本件発明1は、上記相違点1に係る本件発明1の構成により、「ダンパハブと慣性リングとの間に装着されるゴム部材の温度上昇を抑制することができるので、耐久性の向上したトーショナルダンパを提供することができる。」(本件特許の明細書の段落【0013】参照。)という作用・効果を奏すると認められる。
したがって、本件発明1は甲1発明でなく、また、本件発明1は甲1発明及び甲第2〜4号証に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでない。

イ 本件発明2についての新規性及び進歩性について
本件発明2と甲1発明とを対比すると、甲1発明の「架橋体」は、本件発明2の「ゴム部材」に相当するから、本件発明2と甲1発明とは、
「ゴム部材は、ポリマーがEPDMのみからなるゴム組成物からなる。」点で一致し、以下の相違点2で相違する。

[相違点2]
本件発明2は、「回転軸に取り付けられ、前記回転軸と一体的に回転するダンパハブと、
前記ダンパハブにゴム部材を介して装着された慣性リングと、
を有するトーショナルダンパであって、
前記ダンパハブに装着される前のゴム部材は、300%伸長時のモジュラスと50%伸長時のモジュラスとの比が7.2以上であり、
前記ダンパハブと前記慣性リングとの間に装着された前記ゴム部材は、前記トーショナルダンパを共振周波数400HZ、加振振幅±0.05°で連続加振した時の表面温度が60±5℃の時の損失係数(tanδpi)が0.27以上であり、
前記トーショナルダンパを共振周波数400HZ、加振振幅±0.05°で連続加振時した時の前記ゴム部材の表面最高到達温度(Tmax)は、以下の式
Tmax=α×ln(tanδpi)+β≦100
(式中、αは−46.9〜−60.4の範囲の係数を表し、βは+9.4〜+27.7の範囲の係数を表す)
を満たす、トーショナルダンパ。」であるのに対し、甲1発明は「架橋体」をトーショナルダンパに適用するとの特定はなく、また、架橋体の特性について、本件発明2のような特定もされていない点。

以下、相違点2について検討する
甲1発明をトーショナルダンパに適用することについて甲第1号証に記載はない。そして、架橋体の用途は非常に多岐にわたり、トーショナルダンパが架橋体および制振材の代表的な用途ともいえない。
また、甲第1号証には、甲1発明の架橋体のtanδの極大値が−48〜−38℃で0.40〜0.73となることが記載されているが(上記(2)ア(エ)参照。)、そのtanδの測定条件は甲第1号証の段落[0091]、[0092]に記載されているとおりであり、本件発明1の「共振周波数400HZ、加振振幅±0.05°で連続加振」と異なることから、甲1発明の架橋体のtanδは、本件発明2の「共振周波数400HZ、加振振幅±0.05°で連続加振した時の表面温度が60±5℃の時の損失係数(tanδpi)」を示すものではない。
さらに、トーショナルダンパにおいて加振した際におけるゴム部材の表面最高到達温度に関して、共振周波数400HZ、加振振幅±0.05°で連続加振時した時の前記ゴム部材の表面最高到達温度(Tmax)は、以下の式
Tmax=α×ln(tanδpi)+β≦100
(式中、αは−46.9〜−60.4の範囲の係数を表し、βは+9.4〜+27.7の範囲の係数を表す)
と規定する構成は、甲第2〜4号証のいずれにも記載も示唆もされていないし、本件特許の出願当時の技術常識から当業者が認識できた事項とも認められない。
そうすると、当業者といえども、甲1発明の構成から、上記相違点2に係る本件発明2の構成に至らない。

そして、本件発明2は、上記相違点2に係る本件発明2の構成により、「ダンパハブと慣性リングとの間に装着されるゴム部材の温度上昇を抑制することができるので、耐久性の向上したトーショナルダンパを提供することができる。」(本件特許の明細書の段落【0013】参照。)という作用・効果を奏すると認められる。
したがって、本件発明2は甲1発明でなく、また、本件発明2は甲1発明及び甲第2〜4号証に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでない。

(4)甲2発明に基づく進歩性について
ア 本件発明1についての進歩性について
本件発明1と甲2発明とを対比すると、甲2発明の「EPDM組成物」は、本件発明1の「ゴム部材」に相当するから、本件発明1と甲2発明とは、
「ゴム部材は、ポリマーがEPDMのみからなるゴム組成物からなる。」点で一致し、以下の相違点3で相違する。

[相違点3]
本件発明1は、「回転軸に取り付けられ、前記回転軸と一体的に回転するダンパハブと、
前記ダンパハブにゴム部材を介して装着された慣性リングと、
を有するトーショナルダンパであって、
前記ダンパハブと前記慣性リングとの間に装着された前記ゴム部材は、前記トーショナルダンパを共振周波数400HZ、加振振幅±0.05°で連続加振した時の表面温度60±5℃の時の損失係数(tanδpi)が0.27以上であり、
前記トーショナルダンパを共振周波数400HZ、加振振幅±0.05°で連続加振時した時の前記ゴム部材の表面最高到達温度(Tmax)は、以下の式
Tmax=α×ln(tanδpi)+β≦100
(式中、αは−46.9〜−60.4の範囲の係数を表し、βは+9.4〜+27.7の範囲の係数を表す)
を満たす、トーショナルダンパ。」であるのに対し、甲2発明は「EPDM組成物」をトーショナルダンパに適用するとの特定はなく、また、EPDM組成物の特性について、本件発明1のような特定もされていない点。

以下、相違点3について検討する
甲2発明をトーショナルダンパに適用することについて甲第2号証に記載はない。そして、EPDM組成物の用途は非常に多岐にわたり、トーショナルダンパがEPDM組成物の代表的な用途ともいえない。
また、甲第2号証には、甲2発明のEPDM組成物の60℃における損失係数が約0.28となるものが記載されているが(上記(2)イ(ク)参照。)、その損失係数の測定条件は記載されておらず、甲2発明のEPDM組成物の損失係数は、本件発明1の「共振周波数400HZ、加振振幅±0.05°で連続加振した時の表面温度が60±5℃の時の損失係数(tanδpi)」を示すものではない。
さらに、トーショナルダンパにおいて加振した際におけるゴム部材の表面最高到達温度に関して、共振周波数400HZ、加振振幅±0.05°で連続加振時した時の前記ゴム部材の表面最高到達温度(Tmax)は、以下の式
Tmax=α×ln(tanδpi)+β≦100
(式中、αは−46.9〜−60.4の範囲の係数を表し、βは+9.4〜+27.7の範囲の係数を表す)
と規定する構成は、甲第1、3及び4号証のいずれにも記載も示唆もされていないし、本件特許の出願当時の技術常識から当業者が認識できた事項とも認められない。
そうすると、当業者といえども、甲2発明の構成から、上記相違点3に係る本件発明1の構成に至らない。

なお、申立人は特許異議申立書において、甲第2号証について、
「これらのEPDM組成物は、上記「(4−2),イ,(ア)」で述べた本件特許発明を実施するための好ましいゴム組成物の組成に該当するものである。・・・(中略)・・・そのため、当該EPDM組成物の架橋シートは、共振周波数400HZ、加振振幅±0.05°で連続加振時した時の・・・(中略)・・・表面最高到達温度(Tmax)が100℃以下であるといえる。」(特許異議申立書(4−3)イ(ア)、特に28ページ14〜24行)と主張している。
しかしながら、上述のとおり、甲2発明は、ダンパハブや慣性リングを備えたトーショナルダンパではないし、甲2発明の損失係数は本件発明1の「共振周波数400HZ、加振振幅±0.05°で連続加振した時の表面温度が60±5℃の時の損失係数(tanδpi)」を示すものでもないことから、構成要件Cを充足せず、上記の申立人の主張は採用できない。

そして、本件発明1は、上記相違点3に係る本件発明1の構成により、「ダンパハブと慣性リングとの間に装着されるゴム部材の温度上昇を抑制することができるので、耐久性の向上したトーショナルダンパを提供することができる。」(本件特許の明細書の段落【0013】参照。)という作用・効果を奏すると認められる。
したがって、本件発明1は甲2発明並びに甲第1、3及び4号証に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでない。

イ 本件発明2についての進歩性について
本件発明2と甲2発明とを対比すると、甲2発明の「EPDM組成物」は、本件発明2の「ゴム部材」に相当するから本件発明2と甲2発明とは、
「ゴム部材は、ポリマーがEPDMのみからなるゴム組成物からなる。」点で一致し、以下の相違点4で相違する。

[相違点4]
本件発明2は、「 回転軸に取り付けられ、前記回転軸と一体的に回転するダンパハブと、
前記ダンパハブにゴム部材を介して装着された慣性リングと、
を有するトーショナルダンパであって、
前記ダンパハブに装着される前のゴム部材は、300%伸長時のモジュラスと50%伸長時のモジュラスとの比が7.2以上であり、
前記ダンパハブと前記慣性リングとの間に装着された前記ゴム部材は、前記トーショナルダンパを共振周波数400HZ、加振振幅±0.05°で連続加振した時の表面温度が60±5℃の時の損失係数(tanδpi)が0.27以上であり、
前記トーショナルダンパを共振周波数400HZ、加振振幅±0.05°で連続加振時した時の前記ゴム部材の表面最高到達温度(Tmax)は、以下の式
Tmax=α×ln(tanδpi)+β≦100
(式中、αは−46.9〜−60.4の範囲の係数を表し、βは+9.4〜+27.7の範囲の係数を表す)
を満たす、トーショナルダンパ。」であるのに対し、甲2発明は「EPDM組成物」をトーショナルダンパに適用するとの特定はなく、また、EPDM組成物の特性について、本件発明2のような特定もされていない点。

以下、相違点4について検討する
甲2発明をトーショナルダンパに適用することについて甲第2号証に記載はない。そして、EPDM組成物の用途は非常に多岐にわたり、トーショナルダンパがEPDM組成物の代表的な用途ともいえない。
また、甲第2号証には、甲2発明のEPDM組成物の60℃における損失係数が約0.28となるものが記載されているが(上記(2)イ(ク)参照。)、その損失係数の測定条件は記載されておらず、甲2発明のEPDM組成物の損失係数は、本件発明2の「共振周波数400HZ、加振振幅±0.05°で連続加振した時の表面温度が60±5℃の時の損失係数(tanδpi)」を示すものではない。
さらに、トーショナルダンパにおいて加振した際におけるゴム部材の表面最高到達温度に関して、共振周波数400HZ、加振振幅±0.05°で連続加振時した時の前記ゴム部材の表面最高到達温度(Tmax)は、以下の式
Tmax=α×ln(tanδpi)+β≦100
(式中、αは−46.9〜−60.4の範囲の係数を表し、βは+9.4〜+27.7の範囲の係数を表す)
と規定する構成は、甲第1、3及び4号証のいずれにも記載も示唆もされていないし、本件特許の出願当時の技術常識から当業者が認識できた事項とも認められない。
そうすると、当業者といえども、甲2発明の構成から、上記相違点4に係る本件発明2の構成に至らない。

そして、本件発明2は、上記相違点4に係る本件発明2の構成により、「ダンパハブと慣性リングとの間に装着されるゴム部材の温度上昇を抑制することができるので、耐久性の向上したトーショナルダンパを提供することができる。」(本件特許の明細書の段落【0013】参照。)という作用・効果を奏すると認められる。
したがって、本件発明2は甲2発明並びに甲第1、3及び4号証に記載された事項及びに基いて当業者が容易に発明をすることができたものでない。

(5)甲3発明に基づく進歩性について
ア 本件発明1についての進歩性について
本件発明1と甲3発明とを対比すると、甲3発明の「ダンパー用ゴム」は、本件発明1の「ゴム部材」に相当するから、本件発明1と甲3発明とは
「ゴム部材は、ポリマーがEPDMのみからなるゴム組成物からなる。」点で一致し、以下の相違点5で相違する。

[相違点5]
本件発明1は、「回転軸に取り付けられ、前記回転軸と一体的に回転するダンパハブと、
前記ダンパハブにゴム部材を介して装着された慣性リングと、
を有するトーショナルダンパであって、
前記ダンパハブと前記慣性リングとの間に装着された前記ゴム部材は、前記トーショナルダンパを共振周波数400HZ、加振振幅±0.05°で連続加振した時の表面温度60±5℃の時の損失係数(tanδpi)が0.27以上であり、
前記トーショナルダンパを共振周波数400HZ、加振振幅±0.05°で連続加振時した時の前記ゴム部材の表面最高到達温度(Tmax)は、以下の式
Tmax=α×ln(tanδpi)+β≦100
(式中、αは−46.9〜−60.4の範囲の係数を表し、βは+9.4〜+27.7の範囲の係数を表す)
を満たす、トーショナルダンパ。」であるのに対し、甲3発明は「ダンパー用ゴム」をトーショナルダンパに適用するとの特定はなく、また、ダンパー用ゴムの特性について、本件発明1のような特定もされていない点。

以下、相違点5について検討する
甲3発明をトーショナルダンパに適用することについて甲第3号証に記載はない。そして、ダンパー用ゴムの用途は非常に多岐にわたり、トーショナルダンパがダンパー用ゴムの代表的な用途ともいえない。
また、甲第3号証には、甲3発明のダンパー用ゴム部材のtanδが0.38であることが記載されているが(上記(2)ウ(キ)参照。)、そのtanδの測定条件は甲第3号証の段落【0039】に記載されているとおりであり、本件発明1の「共振周波数400HZ、加振振幅±0.05°で連続加振」と異なることから、甲3発明の架橋体のtanδは、本件発明1の「共振周波数400HZ、加振振幅±0.05°で連続加振した時の表面温度が60±5℃の時の損失係数(tanδpi)」を示すものではない。
さらに、トーショナルダンパにおいて加振した際におけるゴム部材の表面最高到達温度に関して、共振周波数400HZ、加振振幅±0.05°で連続加振時した時の前記ゴム部材の表面最高到達温度(Tmax)は、以下の式
Tmax=α×ln(tanδpi)+β≦100
(式中、αは−46.9〜−60.4の範囲の係数を表し、βは+9.4〜+27.7の範囲の係数を表す)
と規定する構成は、甲第1、2及び4号証に記載も示唆もされていないし、本件特許の出願当時の技術常識から当業者が認識できた事項とも認められない。
そうすると、甲3発明に甲第1、2及び4号証に記載された事項を組み合わせても、上記相違点5に係る本件発明1の構成に至らない。
そして、本件発明1は、上記相違点5に係る本件発明1の構成により、「ダンパハブと慣性リングとの間に装着されるゴム部材の温度上昇を抑制することができるので、耐久性の向上したトーショナルダンパを提供することができる。」(本件特許の明細書の段落【0013】参照。)という作用・効果を奏すると認められる。
したがって、本件発明1は甲3発明並びに甲第1、2及び4号証に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでない。

イ 本件発明2についての進歩性について
本件発明2と甲3発明とを対比すると、甲3発明の「ダンパー用ゴム」は、本件発明2の「ゴム部材」に相当するから本件発明2と甲3発明とは
「ゴム部材は、ポリマーがEPDMのみからなるゴム組成物からなる。」点で一致し、以下の相違点6で相違する。

[相違点6]
本件発明2は、「回転軸に取り付けられ、前記回転軸と一体的に回転するダンパハブと、
前記ダンパハブにゴム部材を介して装着された慣性リングと、
を有するトーショナルダンパであって、
前記ダンパハブに装着される前のゴム部材は、300%伸長時のモジュラスと50%伸長時のモジュラスとの比が7.2以上であり、
前記ダンパハブと前記慣性リングとの間に装着された前記ゴム部材は、前記トーショナルダンパを共振周波数400HZ、加振振幅±0.05°で連続加振した時の表面温度が60±5℃の時の損失係数(tanδpi)が0.27以上であり、
前記トーショナルダンパを共振周波数400HZ、加振振幅±0.05°で連続加振時した時の前記ゴム部材の表面最高到達温度(Tmax)は、以下の式
Tmax=α×ln(tanδpi)+β≦100
(式中、αは−46.9〜−60.4の範囲の係数を表し、βは+9.4〜+27.7の範囲の係数を表す)
を満たす、トーショナルダンパ。」であるのに対し、甲3発明は「ダンパー用ゴム」をトーショナルダンパに適用するとの特定はなく、また、ダンパー用ゴムの特性について、本件発明2のような特定もされていない点。

以下、相違点6について検討する 甲3発明をトーショナルダンパに適用することについて甲第3号証に記載はない。そして、ダンパー用ゴムの用途は非常に多岐にわたり、トーショナルダンパがダンパー用ゴムの代表的な用途ともいえない。
また、甲第3号証には、甲3発明のダンパー用ゴム部材のtanδが0.38であることが記載されているが(上記(2)ウ(キ)参照。)、そのtanδの測定条件は甲第3号証の段落【0039】に記載されているとおりであり、本件発明2の「共振周波数400HZ、加振振幅±0.05°で連続加振」と異なることから、甲3発明の架橋体のtanδは、本件発明1の「共振周波数400HZ、加振振幅±0.05°で連続加振した時の表面温度が60±5℃の時の損失係数(tanδpi)」を示すものではない。
さらに、トーショナルダンパにおいて加振した際におけるゴム部材の表面最高到達温度に関して、共振周波数400HZ、加振振幅±0.05°で連続加振時した時の前記ゴム部材の表面最高到達温度(Tmax)は、以下の式
Tmax=α×ln(tanδpi)+β≦100
(式中、αは−46.9〜−60.4の範囲の係数を表し、βは+9.4〜+27.7の
範囲の係数を表す)
と規定する構成は、甲第1、2及び4号証に記載も示唆もされていないし、本件特許の出願当時の技術常識から当業者が認識できた事項とも認められない。
そうすると、甲3発明に甲第1、2及び4号証に記載された事項を組み合わせても、上記相違点6に係る本件発明2の構成に至らない。

そして、本件発明2は、上記相違点6に係る本件発明2の構成により、「ダンパハブと慣性リングとの間に装着されるゴム部材の温度上昇を抑制することができるので、耐久性の向上したトーショナルダンパを提供することができる。」(本件特許の明細書の段落【0013】参照。)という作用・効果を奏すると認められる。
したがって、本件発明2は甲3発明並びに甲第1、2及び4号証に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでない。

(6)小括
以上のとおり、本件発明1及び2は甲第1号証に記載された発明ではなく、また、甲第1〜3号証に記載された発明及び甲第1〜4号証に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでないから、特許異議申立書の3.(4)(4−2)〜(4−4)における申立人の主張は採用できない。

明確性について
(1)ゴム部材の損失係数について
申立人は、特許請求の範囲の請求項1及び2に「表面温度60±5℃の時の損失係数(tanδpi)が0.27以上」と記載されており、損失係数の下限だけが限定されているため、発明の範囲が不明確であり、特許法第36条第6項第2号の規定に違反する旨主張する(特許異議申立書の3.(4)(4−5)ア参照)。
しかしながら、下限しか示していないことだけで発明が不明確になるとまでいえず、本件発明1及び2の、「前記ダンパハブと前記慣性リングとの間に装着された前記ゴム部材は、前記トーショナルダンパを共振周波数400HZ、加振振幅±0.05°で連続加振した時の表面温度60±5℃の時の損失係数(tanδpi)が0.27以上であり」との特定事項自体は明確であって、本件発明1、2及び4は明確であるから、上記の申立人の主張は採用できない。

(2)ゴム部材のモジュラスについて
申立人は、特許請求の範囲の請求項2に「前記ダンパハブに装着される前のゴム部材は、300%伸長時のモジュラスと50%伸長時のモジュラスとの比が7.2以上であり」と記載されており、7.2という下限だけが限定されているため、発明の範囲が不明確であり、特許法第36条第6項第2号の規定に違反する旨主張する(特許異議申立書の3.(4)(4−5)イ参照)。
しかしながら、下限しか示していないことだけで発明が不明確になるとまでいえず、本件発明2の、「前記ダンパハブに装着される前のゴム部材は、300%伸長時のモジュラスと50%伸長時のモジュラスとの比が7.2以上であり」との特定事項自体は明確であって、本件発明2及び4は明確であるから、上記の申立人の主張は採用できない。

3 サポート要件について
(1)ゴム部材の損失係数について
申立人は、損失係数(tanδpi)が本件特許の明細書の実施例5の0.34より大きい場合には、300%伸長時のモジュラスと50%伸長時のモジュラスとの比が7.2より小さくなり、耐久時にゴム部材の破損が生じる場合があるから、発明の詳細な説明に記載された課題を解決する発明は、ゴム部材の損失係数(tanδpi)が0.34以下のものであり、ゴム部材の損失係数(tanδpi)が0.34以下という事項を発明特定事項として特定していない特許請求の範囲の請求項1、2及び4は、特許法第36条第6項第1号の規定に違反する旨主張する(特許異議申立書の3.(4)(4−7)イ参照)。
しかしながら、本件特許の明細書には、「トーショナルダンパの耐久性を向上させるためには、車両等のエンジン稼働時におけるゴム部材の温度上昇を抑制すること」(段落【0008】参照。)を課題とし、「ゴム部材の温度上昇を抑制し、耐久性の向上したトーショナルダンパを提供すること」(段落【0009】参照。)を目的に、「損失係数(tanδpi)の大きいゴム部材は、ゴム部材自体の発する発熱量が少ない」(段落【0020】参照。同様の事項が段落【0039】、【0050】等にも記載されている。)との観点から、「前記トーショナルダンパを共振周波数400HZ、加振振幅±0.05°で連続加振した時の表面温度60±5℃の時の損失係数(tanδpi)が0.27以上」(段落【0011】参照。)とした発明が記載されているといえる。
一方で、本件特許の明細書には、300%伸長時のモジュラスと50%伸長時のモジュラスとの比について、
「また、トーショナルダンパ10の耐久性を向上させる観点から、トーショナルダンパ装着前のゴム部材13は、300%伸長時のモジュラス(Mpa)と50%伸長時のモジュ ラス(Mpa)との比(300%伸長時モジュラス/50%伸長時モジュラス)を7.2以上とすることが望ましい。300%伸長時のモジュラス(Mpa)と50%伸長時のモジュラス(Mpa)との比(300%伸長時モジュラス/50%伸長時モジュラス)比が7.2より小さい場合には、外力を加えたときのゴム部材の歪が大きくなり、耐久時にゴム部材が破損したりする場合がある。」(段落【0084】参照。)と記載されており、ゴム部材の温度上昇を抑制することとは別の観点で耐久性を向上させるために、300%伸長時のモジュラスと50%伸長時のモジュラスとの比を特定することが記載されている。
そうすると、本件特許の明細書には、「トーショナルダンパを共振周波数400HZ、加振振幅±0.05°で連続加振した時の表面温度60±5℃の時の損失係数(tanδpi)」と「300%伸長時のモジュラスと50%伸長時のモジュラスとの比」とは、異なる意図でそれらの数値範囲が決定されることが記載されており、「300%伸長時のモジュラスと50%伸長時のモジュラスとの比」と関係なく「損失係数(tanδpi)が0.27以上」とだけ特定した本件発明は、本件特許の明細書に記載されたものといえる。
また、「前記トーショナルダンパを共振周波数400HZ、加振振幅±0.05°で連続加振した時の表面温度60±5℃の時の損失係数(tanδpi)」と「300%伸長時のモジュラス(Mpa)と50%伸長時のモジュラス(Mpa)との比」との間に相関関係があるとしても、一方の値から他方の値が一義的に定まることが技術常識であるとも認められず、本件特許の明細書に記載された実施例5のみから損失係数(tanδpi)の上限値が決定される理由もない。
したがって、上記の申立人の主張は採用できない。

(2)ゴム部材のモジュラスの比「7.2」について
申立人は、特許請求の範囲の請求項2に「前記ダンパハブに装着される前のゴム部材は、300%伸長時のモジュラスと50%伸長時のモジュラスとの比が7.2以上であり」と記載されているが、7.2以上の全範囲にまで、本件明細書の発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえないから、特許請求の範囲の請求項2及び4は、特許法第36条第6項第1号の規定に違反する旨主張する(特許異議申立書の3.(4)(4−7)ウ(ア)参照)。
しかしながら、本件特許の明細書の段落【0084】に「トーショナルダンパ10の耐久性を向上させる観点から、トーショナルダンパ装着前のゴム部材13は、300%伸長時のモジュラス(Mpa)と50%伸長時のモジュラス(Mpa)との比(300%伸長時モジュラス/50%伸長時モジュラス)を7.2以上とすることが望ましい。300%伸長時のモジュラス(Mpa)と50%伸長時のモジュラス(Mpa)との比(300%伸長時モジュラス/50%伸長時モジュラス)比が7.2より小さい場合には、外力を加えたときのゴム部材の歪が大きくなり、耐久時にゴム部材が破損したりする場合がある。」と記載されており、「300%伸長時のモジュラス(Mpa)と50%伸長時のモジュラス(Mpa)との比」を「7.2以上」と特定することで、加えられる力が増加するほど変形しにくくなるゴムに限定し、「ゴム部材の歪が大きく」なりやすいものを除外し、「耐久性を向上」した発明が記載されているといえ、本件発明2が記載されているといえる。
したがって、上記の申立人の主張は採用できない。

(3)ゴム部材のモジュラスの比「10.2」について
申立人は、「300%伸長時のモジュラスと50%伸長時のモジュラスとの比」が10.2より大きくなると、損失係数(tanδpi)が0.27を下回り、ゴム部材の温度上昇を抑制することができないところ、本件発明2に「前記ダンパハブに装着される前のゴム部材は、300%伸長時のモジュラスと50%伸長時のモジュラスとの比が10.2以下」とする上限の規定がないから、本件発明2は、本件特許の明細書の発明の詳細な説明に記載された発明でなく、特許請求の範囲の請求項2及び4は、特許法第36条第6項第1号の規定に違反する旨主張する(特許異議申立書の3.(4)(4−7)ウ(イ)参照)。
しかしながら、上記(1)で述べたと同様に、「300%伸長時のモジュラスと50%伸長時のモジュラスとの比」と損失係数(tanδpi)との間に相関関係があるとしても、一方の値から他方の値が一義的に定まることが技術常識であるとも認められず、本件特許の明細書に記載された実施例1で損失係数(tanδpi)が下限値を示すことから、「前記ダンパハブに装着される前のゴム部材は、300%伸長時のモジュラスと50%伸長時のモジュラスとの比」の上限値が決定される理由もない。
したがって、上記の申立人の主張は採用できない。

実施可能要件について
申立人は、実施例で具体的に示されている範囲を超えて本件発明1,2及び4を実施するためには、当業者に期待し得る程度を超える試行錯誤、複雑な実験をする必要があるから、本件特許の明細書の発明の詳細な説明の記載は、特許法第36条第4項第1号の規定に違反する旨主張する(特許異議申立書の3.(4)(4−8)参照)。
しかしながら、本件特許の明細書の段落【0088】〜【0091】及び【表6】には、ダンパゴム組成物を具体的に特定すると共に、ゴム部材の製造について具体的に記載しているといえる。
したがって、本件特許の明細書の発明の詳細な説明は、当業者が請求項1、2及び4に係る発明を実施する程度に明確かつ十分に記載されているといえるから、上記の申立人の主張は採用できない。

第7 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び申立人による特許異議の申立ての理由によっては、本件の請求項1、2及び4に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件の請求項1、2及び4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
そして、本件の請求項3は、本件訂正により削除されたため、申立人による特許異議の申立てにおける請求項3に係る特許についての申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったので、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。

 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸に取り付けられ、前記回転軸と一体的に回転するダンパハブと、
前記ダンパハブにゴム部材を介して装着された慣性リングと、
を有するトーショナルダンパであって、
前記ゴム部材は、ポリマーがEPDMのみからなるゴム組成物からなり、
前記ダンパハブと前記慣性リングとの間に装着された前記ゴム部材は、前記トーショナルダンパを共振周波数400HZ、加振振幅±0.05°で連続加振した時の表面温度60±5℃の時の損失係数(tanδpi)が0.27以上であり、
前記トーショナルダンパを共振周波数400HZ、加振振幅±0.05°で連続加振時した時の前記ゴム部材の表面最高到達温度(Tmax)は、以下の式
Tmax=α×ln(tanδpi)+β≦100
(式中、αは−46.9〜−60.4の範囲の係数を表し、βは+9.4〜+27.7の範囲の係数を表す)
を満たす、トーショナルダンパ。
【請求項2】
回転軸に取り付けられ、前記回転軸と一体的に回転するダンパハブと、
前記ダンパハブにゴム部材を介して装着された慣性リングと、
を有するトーショナルダンパであって、
前記ゴム部材は、ポリマーがEPDMのみからなるゴム組成物からなり、
前記ダンパハブに装着される前のゴム部材は、300%伸長時のモジュラスと50%伸長時のモジュラスとの比が7.2以上であり、
前記ダンパハブと前記慣性リングとの間に装着された前記ゴム部材は、前記トーショナルダンパを共振周波数400HZ、加振振幅±0.05°で連続加振した時の表面温度が60±5℃の時の損失係数(tanδpi)が0.27以上であり、
前記トーショナルダンパを共振周波数400HZ、加振振幅±0.05°で連続加振時した時の前記ゴム部材の表面最高到達温度(Tmax)は、以下の式
Tmax=α×ln(tanδpi)+β≦100
(式中、αは−46.9〜−60.4の範囲の係数を表し、βは+9.4〜+27.7の範囲の係数を表す)
を満たす、トーショナルダンパ。
【請求項3】(削除)
【請求項4】
請求項1または2に記載のトーショナルダンパにおいて、
前記ゴム部材は、前記ダンパハブと前記慣性リングとで形成された隙間部を有し、
該隙間部は、複数の隙間間隔を有するとともに、前記隙間部の少なくとも一部に凸状の隙間部を有し、前記ゴム部材は、前記隙間部に圧入され、圧入後のゴム部材の半径方向の平均圧縮率は、以下の式で示される、トーショナルダンパ。
【数8】

ただし、t0:圧入前のゴム部材の厚み
tn:異なる空隙部へ挿入(圧入)した時のゴム部材の厚み
L0:トーショナルダンパの幅
Ln:トーショナルダンパ各種空隙部のそれぞれの幅方向長さ
n:圧縮率が異なる領域の数であり、1から5までの整数。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2022-10-19 
出願番号 P2016-241495
審決分類 P 1 651・ 113- YAA (F16F)
P 1 651・ 536- YAA (F16F)
P 1 651・ 121- YAA (F16F)
P 1 651・ 537- YAA (F16F)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 平田 信勝
特許庁審判官 尾崎 和寛
内田 博之
登録日 2021-08-02 
登録番号 6923315
権利者 株式会社フコク
発明の名称 トーショナルダンパ  
代理人 弁理士法人筒井国際特許事務所  
代理人 弁理士法人筒井国際特許事務所  

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