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審決分類 |
審判 全部無効 特174条1項 G06F 審判 全部無効 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 G06F 審判 全部無効 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 G06F 審判 全部無効 特36条4項詳細な説明の記載不備 G06F 審判 全部無効 特許請求の範囲の実質的変更 G06F 審判 全部無効 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 G06F 審判 全部無効 (特120条の4,3項)(平成8年1月1日以降) G06F |
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管理番号 | 1393415 |
総通号数 | 14 |
発行国 | JP |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2023-02-24 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2018-12-28 |
確定日 | 2022-10-31 |
訂正明細書 | true |
事件の表示 | 上記当事者間の特許第4817157号発明「音声情報再生装置」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 令和3年3月30日付け訂正請求において、特許第4817157号の明細書を訂正請求書に添付された訂正明細書の段落0230,0231,0235,0236のとおり訂正することを認める。 特許第4817157号の請求項1ないし3に係る発明についての特許を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第4817157号(以下,「本件特許」という。)は,平成22年11月30日に出願され,平成23年9月9日に請求項1〜3に係る発明について特許権の設定登録がなされたものである。 これに対して,平成30年12月28日にソニックステクノロジー株式会社により,本件特許を無効にすることについての審判の請求がなされたところ,その審判における手続の経緯は,以下のとおりである。 平成30年12月28日付け 審判請求書(請求人) 令和 元年 6月10日付け 審判事件答弁書(被請求人) 同日付け 訂正請求 令和 元年 8月 2日付け 弁駁書(請求人) 令和 元年10月16日付け 審理事項通知(1回目) 令和 元年11月15日付け 口頭審理陳述要領書(第一回)(請求人) 令和 元年11月15日付け 口頭審理陳述要領書(被請求人,1回目) 令和 元年11月22日付け 審理事項通知(2回目) 令和 元年12月 5日付け 口頭審理陳述要領書(第二回)(請求人) 令和 元年12月 6日付け 口頭審理陳述要領書(被請求人,2回目) 令和 2年 1月14日付け 上申書(被請求人) 令和 2年 1月21日 口頭審理 令和 2年 1月28日付け 上申書(被請求人) 令和 2年 2月12日付け 上申書(請求人) 令和 2年 3月31日付け 上申書(被請求人) 令和 2年 7月15日付け 上申書(被請求人) 令和 2年 9月10日付け 上申書(請求人) 令和 3年 1月22日付け 審決の予告 令和 3年 3月30日付け 訂正請求(2回目) 令和 3年 3月30日付け 上申書(被請求人) 令和 3年 6月17日付け 弁駁書(2)(請求人) 令和 3年 8月 2日付け 答弁書(2)(被請求人) なお,本件無効審判事件に関連する事件として,以下の無効審判事件,特許権侵害差止等請求事件,同請求控訴事件がある。 無効2018−800155号 無効2018−800157号 無効2019−800003号 平成30年(ワ)第10126号 令和2年(ネ)第10045号 第2 訂正請求 1 訂正請求の趣旨および訂正の内容 本件特許の訂正について,令和元年6月10日付け訂正請求書及び令和3年3月30日付け訂正請求書(以下,「訂正請求書(2)」という。)が提出されているが,「訂正の請求がされた場合において,その審判事件において先にした訂正の請求があるときは,当該先の請求は,取り下げられたものとみなす」(特許法第134条の2第6項)と規定されているから,訂正請求書(2)における訂正の請求のみを審理の対象とする。 被請求人が,訂正請求書(2)で求める訂正請求(以下,「本件訂正請求」という。また,本件訂正請求に係る訂正を「本件訂正」という。)の趣旨は,「特許第4817157号の明細書,特許請求の範囲を,本件訂正請求書に添付した訂正明細書,特許請求の範囲のとおり,訂正後の請求項1〜3について訂正することを求める。」であり,その訂正の内容は,以下のとおりである。(当審注:以下,本件訂正前の「特許第4817157号の明細書」を単に,「明細書」あるいは「本件特許明細書」ともいう。なお,下線は,訂正の内容について参考のために当審で付加したものである。) (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に「縦横方向に等間隔に設けられた格子線の交点である格子点を中心に,前記情報ドットを前記格子点の中心から等距離で45°づつずらした方向のうちいずれかの方向に,どの程度ずらすかによってデータ内容を定義し」とあるのを,「縦横方向に等間隔に設けられた格子線の交点である格子点を中心に,前記情報ドットを前記格子点の中心から等距離で45°の2倍である90°づつずらした前記縦横方向のうちいずれかの方向に,どの程度ずらすかによってデータ内容を定義し」に訂正する。 (2)訂正事項2 明細書の段落0010の「縦横方向に等間隔に設けられた格子線の交点である格子点を中心に,前記情報ドットを前記格子点の中心から等距離で45°づつずらした方向のうちいずれかの方向に,どの程度ずらすかによってデータ内容を定義し」を「縦横方向に等間隔に設けられた格子線の交点である格子点を中心に,前記情報ドットを前記格子点の中心から等距離で45°の2倍である90°づつずらした前記縦横方向のうちいずれかの方向に,どの程度ずらすかによってデータ内容を定義し」に訂正する。 (3)訂正事項3 明細書の段落0230の「ここで,4×4個の格子領域を1つのデータブロックまたは格子ブロックと呼び,この格子ブロックの四隅(格子線の交点(格子点)上)には格子ドットLDが配置されている。」を「ここで,図105における4×5個の格子領域を1つのデータブロックまたは格子ブロックと呼び,この格子領域の四隅(格子線の交点(格子点)上)には格子ドットLDが配置されている。」に訂正する。 (4)訂正事項4 明細書の段落0231の「どの格子ブロックからどの格子ブロックまでが1つのデータであるかを示すためにキードットKDを配置している。」を「どの格子領域からどの格子領域までが1つのデータであるかを示すためにキードットKDを配置している。」に訂正する。 (5)訂正事項5 明細書の段落0235の「データは,図103に示すように,ドット605を格子ブロック内の中心点からどの程度ずらすかによってデータ内容が定義できるようになっている。」を「データは,図103に示すように,ドット605を格子領域内の中心点からどの程度ずらすかによってデータ内容が定義できるようになっている。」に訂正する。 (6)訂正事項6 明細書の段落0235の「同図では,中心から等距離で45度ずつそれぞれずらした点を8個定義することによって単一の格子ブロックで8通り,すなわち3ビットのデータを表現できるようになっている。」を「同図では,中心から等距離で45度ずつそれぞれずらした点を8個定義することによって単一の格子領域で8通り,すなわち3ビットのデータを表現できるようになっている。」に訂正する。 (7)訂正事項7 明細書の段落0236の「つまり,前述のようにキードットKDがデータ領域の範囲を定義しているため,このキードットKDの配置を変更すれば任意の可変長の格子ブロック群をデータ格納領域として扱うことができるわけである。」を「つまり,前述のようにキードットKDがデータ領域の範囲を定義しているため,このキードットKDの配置を変更すれば任意の可変長の格子領域群をデータ格納領域として扱うことができるわけである。」に訂正する。 2 訂正の適否についての当審の判断 (1)訂正事項1について ア 訂正の目的について (ア)訂正事項1は,特許請求の範囲の請求項1に「縦横方向に等間隔に設けられた格子線の交点である格子点を中心に,前記情報ドットを前記格子点の中心から等距離で45°づつずらした方向のうちいずれかの方向に,どの程度ずらすかによってデータ内容を定義し」とあるのを,「縦横方向に等間隔に設けられた格子線の交点である格子点を中心に,前記情報ドットを前記格子点の中心から等距離で45°の2倍である90°づつずらした前記縦横方向のうちいずれかの方向に,どの程度ずらすかによってデータ内容を定義し」に訂正するものである。 (イ)訂正前の「前記情報ドットを前記格子点の中心から等距離で45°づつずらした方向のうちいずれかの方向に,どの程度ずらすかによってデータ内容を定義し」という構成は,本件特許明細書の段落【0235】の「データは,図103に示すように,ドット605を格子ブロック内の中心点からどの程度ずらすかによってデータ内容が定義できるようになっている。同図では,中心から等距離で45度ずつそれぞれずらした点を8個定義することによって単一の格子ブロックで8通り,すなわち3ビットのデータを表現できるようになっている。なお,さらに中心点から距離を変更した点をさらに8個定義すれば16通り,すなわち4ビットのデータを表現できる。」との記載や本件特許の【図103】の記載において説明されるものであり,訂正前の構成は,「中心から等距離で45°づつずらした方向のうちいずれかの方向に,どの程度ずらすかによってデータ内容を定義し」ているから,8方向に情報ドットを配置することができるものである。 これに対し,訂正後の構成は,「中心から等距離で45°の2倍である90°づつずらした前記縦横方向のうちいずれかの方向に,どの程度ずらすかによってデータ内容を定義し」ているから,4方向にしか情報ドットを配置することができない。 そうすると,中心から等距離に情報ドットを配置した場合,8方向に情報ドットを配置できる構成を,4方向にしか情報ドットを配置することができない構成に変更すると,定義できるデータ内容の個数が8個から4個に減ってしまうから,両者は異なる構成であり,訂正後の構成は,訂正前の構成を下位概念に限定したものとはいえない(逆に,4個しか定義できない構成を8個定義できる構成に変更する場合であれば,そのための構成を付加し,上位概念から下位概念に限定したといえる余地もある。)。 したがって,訂正事項1は,上位概念を下位概念に限定したものとはいえないから,特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものとはいえない。 また,訂正事項1は,特許法第134条の2第1項ただし書第2号に掲げる「誤記又は誤訳の訂正」,同第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」,又は同第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」のいずれを目的とするものともいえないことは明らかである。 (ウ)したがって,訂正事項1は,特許法第134条の2第1項ただし書に掲げるいずれかの事項を目的とするものではない。 (エ)被請求人の主張について 被請求人は,令和3年8月2日付けの答弁書の7頁において,「ところで,令和3年3月30日提出の訂正請求書に記載の通り,訂正前の請求項1は情報ドットを8方向のうちいずれかの方向(1方向〜8方向)にずらす場合を含んでいたのに対し,本件訂正後の請求項1に係る発明(以下,「訂正発明1」という。)は情報ドットを4方向のみのうちいずれかの方向にずらす場合しか含まないから,情報ドットを8方向,7方向,6方向,5方向にずらした場合を含まなくなる。 すなわち,訂正前の請求項1は,45°づつずらした方向のうちいずれかの方向という,【図5】から【図8】の図5ドットパターンの概念を含みそれを拡張した技術的に上位の概念を含むのに対して,訂正後の請求項1は,90°づつずらした前記縦横方向のうちいずれかの方向という,【図5】〜【図8】の概念に限定される技術的に下位の概念という関係があることは明らかである。」などと主張しているが,8方向に情報ドットを配置できる構成を,4方向にしか情報ドットを配置することができない構成に変更すると,中心から等距離に情報ドットを配置した場合,定義できるデータ内容の個数が8個から4個に減ってしまうから,両者は異なる構成であり,訂正後の構成は,訂正前の構成を下位概念に限定したものとはいえないことは,上記したとおりである。 したがって,被請求人の上記主張は採用することができない。 イ 特許請求の範囲の拡張・変更 (ア)上記アで検討したとおり,訂正事項1は,8方向に情報ドットを配置できる構成を,4方向にしか情報ドットを配置することができない構成に変更することで,訂正前の「少なくとも8個以上のデータ内容が定義できる」構成を,「4個のデータ内容が定義できる」構成を含む訂正後の構成に変更するものであり,両者は,定義できるデータ内容の個数が異なるものであるから,実質上特許請求の範囲を変更するものである。 (イ)したがって,訂正事項1は,特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合しない。 ウ 新規事項の有無 (ア)訂正事項1による訂正後の請求項1は,「前記情報ドットを前記格子点の中心から等距離で45°の2倍である90°ずつずらした前記縦横方向のうちいずれかの方向に,どの程度ずらすかによってデータ内容を定義し」との事項で特定されるものである。 訂正事項1に関して,被請求人は,訂正請求書(2)の5頁において,以下の通り主張している。 「c 願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項1は,図5〜図8から明確に把握できる事項である。具体的には,図5〜図8には,点線で囲まれた領域の中に,縦横方向に等間隔に設けられた格子線の交点から上方向,下方向,右方向,左方向のうち少なくともいずれかの方向にドットが配置されている。点線で囲まれた領域から引き出し線で「この部分で情報を表現」と記載されていることからも明らかなように,これらのドットは,上方向,下方向,右方向,左方向のいずれかの方向,すなわち90°ずつずらした縦横方向のいずれかの方向にずれることによりデータ内容を定義している。 したがって,「前記情報ドットを前記格子点の中心から等距離で45°の2倍である90°づつずらした前記縦横方向のうちいずれかの方向に,どの程度ずらすかによってデータ内容を定義し」ていることは,願書に添付した明細書等に記載された事項である。」(訂正請求書(2)第5頁「c」の項を参照。) そこで,【図5】〜【図8】のドットパターンの記載について検討する。 【図5】〜【図8】のドットパターンに関しては,本件特許明細書の段落【0057】に「図4は他のドットパターンを用いた情報再生方法の構成を示すブロック図であり,(a)はドットコードの生成について,(b)はドットパターンの認識についての説明図である。図5から図8は他のドットパターンの一例を示す正面図である。」と記載されるほかは,特段,【図5】〜【図8】のドットパターンの内容に関する説明は記載されていないので,各図面の記載自体から読み取れる内容について検討する。 a まず,【図5】について検討する。 【図5】(図は,後記第7の「1」を参照。以下同様。)の左上のx0,x1,y0,y1のうちのx0とy0は白丸であるのに対して,x1,y1は黒丸であり,【図5】の9箇所のx0,x1,y0,y1に対応する位置の黒丸(ドット)の配置と,【図5】の下に標記されている「上記は,x座標100110001 y座標110101011 表現可能範囲は,0≦x座標≦29−1 0≦y座標≦29−1」との記載を合わせて読むと,x0とx1のうちのx0にドットを配置した場合は“x=0”を表し,x1にドットを配置した場合は,“x=1”を表し,同様に,y0とy1のうちのy0にドットを配置した場合は“y=0”を表し,y1にドットを配置した場合は,“y=1”を表していることを読み取ることができる。 してみると,【図5】には,x0とx1の中間点(x0とx1を結ぶ線とy0とy1を結ぶ線とが交わる点)から図面に向かって左側に一マス分ずれた位置にドットを配置すると“x=0”が表現され,前記中間点から右側に一マス分ずれた位置にドットを配置すると“x=1”が表現され,また,y0とy1の中間点(x0とx1を結ぶ線とy0とy1を結ぶ線とが交わる点)から図面に向かって下側に一マス分ずれた位置にドットを配置すると“y=0”が表現され,前記中間点から上側に一マス分ずれた位置にドットを配置すると“y=1”が表現されることが記載されていると認められる。 そうすると,訂正後の請求項1の「前記情報ドットを前記格子点の中心から等距離で45°の2倍である90°づつずらした前記縦横方向のうちいずれかの方向に,どの程度ずらすかによってデータ内容を定義し」との記載と,【図5】に記載されるドットパターンとは,「前記情報ドットを前記格子点の中心から等距離で45°の2倍である90°づつずらした前記縦横方向のうちいずれかの方向に配置することによってデータ内容を定義し」ている点では,共通しているものの,【図5】のドットパターンは,「情報ドット」を「格子点の中心」から「どの程度ずらすか」によってデータ内容を定義しているものとはいえない。 つまり,【図5】のドットパターンでは,格子点の中心と情報ドットが配置される上下左右方向の位置とは,1マス分の距離で一定となっており,「どの程度」というような可変の距離は想定されていない。 したがって,訂正後の請求項1における「前記情報ドットを前記格子点の中心から等距離で45°の2倍である90°づつずらした前記縦横方向のうちいずれかの方向に,どの程度ずらすかによってデータ内容を定義し」との事項は,【図5】のドットパターンには記載されていない。 b 次に,【図6】について検討する。 【図6】の左上のc0,c1,c2,c3のうちのc0の位置に黒丸(ドット)が配置されており,【図6】の9箇所のc0,c1,c2,c3に対応する位置におけるドットの配置と,【図6】の下に標記されている「上記は,コード124432311=000111111001100000 表現可能範囲は,0≦コード≦49−1≦218−1」との記載を合わせて読むと,等式の左辺の「124432311」との記載と図面のドットの位置から,c0にドットを配置した場合は“1”を表し,c1にドットを配置した場合は“2”を表し,c2にドットを配置した場合は“3”を表し,c3にドットを配置した場合は“4”を表していることを読み取ることができ,また,同様に等式の右辺の「000111111001100000」との記載と図面のドット位置から,c0にドットを配置した場合は二進数“00”を表し,c1にドットを配置した場合は“01”を表し,c2にドットを配置した場合は“10”を表し,c3にドットを配置した場合は“11”を表していることを読み取ることができる。 してみると,【図6】には,c0とc2を結ぶ線とc3とc1を結ぶ線とが交わる点(中心点)から図面に向かって上側に一マス分ずれた位置にドットを配置すると“00”が表現され,前記中心点から右側に一マス分ずれた位置にドットを配置すると“01”が表現され,前記中心点から下側に一マス分ずれた位置にドットを配置すると“10”が表現され,前記中心点から左側に一マス分ずれた位置にドットを配置すると“11”が表現されることが記載されていると認められる。 そうすると,訂正後の請求項1の「前記情報ドットを前記格子点の中心から等距離で45°の2倍である90°づつずらした前記縦横方向のうちいずれかの方向に,どの程度ずらすかによってデータ内容を定義し」との記載と,【図6】に記載されるドットパターンとは,「前記情報ドットを前記格子点の中心から等距離で45°の2倍である90°づつずらした前記縦横方向のうちいずれかの方向に配置することによってデータ内容を定義し」ている点では,共通しているものの,【図6】のドットパターンは,「情報ドット」を「格子点の中心」から「どの程度ずらすか」によってデータ内容を定義しているものとはいえない。 つまり,【図6】のドットパターンでは,格子点の中心と情報ドットが配置される上下左右方向の位置とは,1マス分の距離で一定となっており,「どの程度」というような可変の距離は想定されていない。 したがって,訂正後の請求項1における「前記情報ドットを前記格子点の中心から等距離で45°の2倍である90°づつずらした前記縦横方向のうちいずれかの方向に,どの程度ずらすかによってデータ内容を定義し」との事項は,【図6】のドットパターンには記載されていない。 c 次に,【図7】について検討する。 【図7】の上の段に記載されている,x1,x2,x3,x4,x5,x6の部分をみると,x1,x3,x4の位置にドットが配置されており,また,y1,y2,y3,y4,y5,y6の部分をみると,y2,y4,y5の位置にドットが配置されていることが読み取れる。 そして,【図7】のx1〜x18のドットの有無及びy1〜y18のドットの有無と,【図7】の下に標記されている「上記は,x座標101100111001010110 y座標010110011010100110 表現可能範囲は,0≦x座標≦218−1 0≦y座標≦218−1」との記載を合わせて読むと,x1〜x18,y1〜y18にドットを配置した場合は“1”を表し,ドットを配置しない場合には,“0”を表していることを読み取ることができる。 してみると,【図7】には,x1とx2を結ぶ線とy1とy2を結ぶ線とが交わる点(中心点)から図面に向かって左側に一マス分ずれた位置にドットを配置すると“x1=1”が表現され,ドットを配置しないと“x1=0”が表現され,同様に,前記中心点から図面に向かって右側に一マス分ずれた位置にドットを配置すると“x2=1”が表現され,ドットを配置しないと“x2=0”が表現され,また,前記中心点から図面に向かって上側に一マス分ずれた位置にドットを配置すると“y1=1”が表現され,ドットを配置しないと“y1=0”が表現され,同様に,前記中心点から図面に向かって下側に一マス分ずれた位置にドットを配置すると“y2=1”が表現され,ドットを配置しないと“y2=0”が表現されることが記載されていると認められる。 そうすると,訂正後の請求項1の「前記情報ドットを前記格子点の中心から等距離で45°の2倍である90°づつずらした前記縦横方向のうちいずれかの方向に,どの程度ずらすかによってデータ内容を定義し」との記載と,【図7】に記載されるドットパターンとは,「前記情報ドットを前記格子点の中心から等距離で45°の2倍である90°づつずらした前記縦横方向のうちいずれかの方向に配置することによってデータ内容を定義し」ている点では,共通しているものの,【図7】のドットパターンは,「情報ドット」を「格子点の中心」から「どの程度ずらすか」によってデータ内容を定義しているものとはいえない。 つまり,【図7】のドットパターンでは,格子点の中心と情報ドットが配置される上下左右方向の位置とは,1マス分の距離で一定となっており,「どの程度」というような可変の距離は想定されていない。 したがって,訂正後の請求項1における「前記情報ドットを前記格子点の中心から等距離で45°の2倍である90°づつずらした前記縦横方向のうちいずれかの方向に,どの程度ずらすかによってデータ内容を定義し」との事項は,【図7】のドットパターンには記載されていない。 d 最後に,【図8】について検討する。 図8の上の段に記載されている,c1,c2,・・・c12の部分をみると,c1,c4,c6,c7,c8,c9の位置にドットが配置されており,c2,c3,c5,c10,c11,c12の位置にはドットが配置されていないことが読み取れる。 そして,【図8】のc1〜c36におけるドットの有無と,【図8】の下に標記されている「上記は,コード100101111000010010100011110011100101 表現可能範囲は,0≦コード≦236−1」との記載を合わせて読むと,c1〜c36にドットを配置した場合は“1”を表し,ドットを配置しない場合には,“0”を表していることを読み取ることができる。 してみると,【図8】には,c1とc2を結ぶ線とc3とc4を結ぶ線とが交わる点(中心点)から図面に向かって上側に一マス分ずれた位置にドットを配置すると“c1=1”が表現され,ドットを配置しないと“c1=0”が表現され,同様に,前記中心点から図面に向かって下側に一マス分ずれた位置にドットを配置すると“c2=1”が表現され,ドットを配置しないと“c2=0”が表現され,また,前記中心点から図面に向かって左側に一マス分ずれた位置にドットを配置すると“c3=1”が表現され,ドットを配置しないと“c3=0”が表現され,同様に,前記中心点から図面に向かって右側に一マス分ずれた位置にドットを配置すると“c4=1”が表現され,ドットを配置しないと“c4=0”が表現されることが記載されていると認められる。 そうすると,訂正後の請求項1の「前記情報ドットを前記格子点の中心から等距離で45°の2倍である90°づつずらした前記縦横方向のうちいずれかの方向に,どの程度ずらすかによってデータ内容を定義し」との記載と,【図8】に記載されるドットパターンとは,「前記情報ドットを前記格子点の中心から等距離で45°の2倍である90°づつずらした前記縦横方向のうちいずれかの方向に配置することによってデータ内容を定義し」ている点では,共通しているものの,【図8】のドットパターンは,「情報ドット」を「格子点の中心」から「どの程度ずらすか」によってデータ内容を定義しているものとはいえない。 つまり,【図8】のドットパターンでは,格子点の中心と情報ドットが配置される上下左右方向の位置とは,1マス分の距離で一定となっており,「どの程度」というような可変の距離は想定されていない。 したがって,訂正後の請求項1における「前記情報ドットを前記格子点の中心から等距離で45°の2倍である90°づつずらした前記縦横方向のうちいずれかの方向に,どの程度ずらすかによってデータ内容を定義し」との事項は,【図8】のドットパターンには記載されていない。 (イ)上記(ア)で検討したとおり,本件特許の【図5】〜【図8】には,訂正事項1に係る「縦横方向に等間隔に設けられた格子線の交点である格子点を中心に,前記情報ドットを前記格子点の中心から等距離で45°の2倍である90°づつずらした前記縦横方向のうちいずれかの方向に,どの程度ずらすかによってデータ内容を定義し」との構成は記載されていない。 ところで,本件特許明細書の段落【0235】には,「データは,図103に示すように,ドット605を格子ブロック内の中心点からどの程度ずらすかによってデータ内容が定義できるようになっている。同図では,中心から等距離で45度ずつそれぞれずらした点を8個定義することによって単一の格子ブロックで8通り,すなわち3ビットのデータを表現できるようになっている。なお,さらに中心点から距離を変更した点をさらに8個定義すれば16通り,すなわち4ビットのデータを表現できる。」と記載されていて,「中心点から距離を変更した点をさらに8個定義すれば16通り,すなわち4ビットのデータを表現できる」ことは,中心点からずらす「程度」によって異なる情報を表現できることであるから,この記載は,訂正事項1に係る「縦横方向に等間隔に設けられた格子線の交点である格子点を中心に,前記情報ドットを前記格子点の中心から等距離で45°の2倍である90°づつずらした前記縦横方向のうちいずれかの方向に,どの程度ずらすかによってデータ内容を定義し」に対応する記載であると認められる。 しかしながら,上記段落【0235】の記載は,【図103】〜【図106】の実施例に関する記載であって,後記第7の「1」で検討するとおり,【図5】〜【図8】の実施例に基づくドットパターンと【図103】〜【図106】の実施例に基づくドットパターンを組み合わせることは,本件特許明細書では想定されておらず,そのような組合せをすることは,新規事項の追加と判断されるものであることからすると,【図5】〜【図8】のドットパターンにおいて,【図103】の説明である段落【0235】の記載に基づく構成を採用することは,同様に,新規事項の追加と判断されるものである。 (ウ)上記(ア)及び(イ)で検討したとおりであるから,訂正事項1に係る「縦横方向に等間隔に設けられた格子線の交点である格子点を中心に,前記情報ドットを前記格子点の中心から等距離で45°の2倍である90°ずつずらした前記縦横方向のうちいずれかの方向に,どの程度ずらすかによってデータ内容を定義し」との事項は,本件特許明細書にも,本件特許の図面にも記載されていない。 したがって,訂正事項1は,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正ではなく,特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合しない。 エ 小括 上記ア〜ウで検討したとおり,訂正事項1は,特許法第134条の2第1項ただし書に掲げるいずれかの事項を目的とするものではなく,また,特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合しないから,訂正事項1に係る訂正を認めない。 (2)訂正事項2について ア 訂正の目的について 訂正事項2は,特許請求の範囲の請求項1の訂正(上記訂正事項1に係る訂正)に対応して,当該特許請求の範囲の請求項1の記載との整合を図るために明細書の記載を訂正するものであるから,特許法第134条の2第1項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。 イ 新規事項の有無 訂正事項2は,訂正事項1で請求項1の記載を訂正することに対応して,対応する明細書の段落【0010】の記載を訂正事項1と同様の内容で訂正するものであるから,上記(1)ウで検討した訂正事項1と同様の理由で,訂正事項2は,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正ではない。 したがって,訂正事項2は,特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合しない。 ウ 小括 上記イで検討したとおり,訂正事項2は,特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合しないから,訂正事項2に係る訂正を認めない。 (3)訂正事項3〜7について 訂正事項3〜7それぞれの適否を以下の(4)〜(8)で検討する前に,本件特許明細書における,「格子線」,「格子点」,「格子ドットLD」,「キードットKD」,「データブロック」,「格子領域」,「格子ブロック」と「ダミードット」,「空ドット」,「情報ドット」の各用語の意味を検討する。 なお,本件特許明細書は,平成23年6月30日付け手続補正により段落【0010】〜【0012】が変更され,段落【0033】,【0041】,【0044】,【0045】,【0048】,【0050】が削除されているが,それ以外は願書に最初に添付した明細書(以下,「出願当初明細書」という。)と同じである。また,特許請求の範囲については,願書に最初に添付した特許請求の範囲から変更されているが,図面については,願書に最初に添付した図面から変更,削除はされていない(以下,出願当初明細書,願書に最初に添付した特許請求の範囲,及び図面を合わせて「出願当初明細書等」という。)。 ア 本件特許明細書と各図面の対応について 本件特許明細書の記載を,記載の文脈に沿って理解すると,本件特許明細書の段落【0228】〜【0246】までは,段落【0228】に「次に,本発明におけるドットパターンの仕様について図103〜図106を用いて説明する。」と記載されるとおり,主に,本件特許の図面の【図103】〜【図106】を用いた,ドットパターンの仕様の説明であると認められる。 詳細には,訂正の対象部分の本件特許明細書は,以下のような,本件特許の図面との対応関係があると認められる。 ・本件特許明細書の段落【0229】〜【0233】:本件特許の図面の【図105】を用いた,ドットパターンの構成要素の説明, ・本件特許明細書の段落【0234】:本件特許の図面の【図104】を用いた,「データの並び」の順序の説明, ・本件特許明細書の段落【0235】:本件特許の図面の【図103】を用いた,ドットを「ずらした点」の説明, ・本件特許明細書の段落【0236】〜【0237】:「キードットKD」の変形(配置とずらし方)の説明。 なお,本件特許明細書の段落【0238】以下には,訂正の対象ではないが,以下の説明の記載がある。 ・本件特許明細書の段落【0238】〜【0240】は,本件特許の図面の【図74】,【図76】,【図78】を用いた,角度パラメータによる階層的な情報配置の説明, ・本件特許明細書の段落【0241】は,本件特許の図面の【図106】を用いた,「ダミードット」の説明, ・本件特許明細書の段落【0242】は,「空ドット」の説明, ・本件特許明細書の段落【0243】〜【0244】は,撮影中心と「異なるブロック」(「他のブロック」)の読み取りの説明, ・本件特許明細書の段落【0245】〜【0246】は,本発明のドットパターンが,格子ドットを用いることで撮影条件による歪みに強いことの説明。 さらに,本件特許明細書の段落【0247】〜【0254】は,本件特許の図面の【図61】〜【図67】を用いた,サブブロックで構成された1ブロック相当のドットパターンをカメラで読み込む方法の説明である。 そこで,以下では,訂正事項の検討において,上記のような本件特許明細書の記載における前後の文脈に従って,本件特許明細書と対応する各図面とを参照して,検討する。 イ 「格子線」及び「格子点」について 本件特許明細書には,「格子線」及び「格子点」について,段落【0010】〜【0012】に請求項1−請求項3の引き写しが記載され,また,段落【0229】,【0230】,【0232】,【0237】,及び【0288】に以下の記載があるほかは,「格子線」及び「格子点」に関する特段の記載はなされていない。(当審注:下線は当審で付加。) 「【0229】 ドットパターン部601は,図105に示すように,格子状に配置されたドットで構成されている。なお縦横方向の格子線はドットの配置位置を説明するためのものであり実際の印刷物上には存在しない。 【0230】 ここで,4×4個の格子領域を1つのデータブロックまたは格子ブロックと呼び,この格子ブロックの四隅(格子線の交点(格子点)上)には格子ドットLDが配置されている。格子ドットLD同士の間隔は0.35mm〜1.0mm,好ましくは0.5mm程度であることが最適である。また,ドットの直径は前記格子ドット間隔の8〜10%程度であることが望ましい。」 「【0232】 キードットKDとは,格子ドットLDの位置をずらしたものである。すなわち,格子ドットLDは本来格子点上に配置されているが,この位置をずらしてキードットKDを配置している。なお,キードットKDの格子点からのずれは約20%前後程度が好ましい。」 「【0237】 また,本発明のドットパターンでは,キードットのずらし方を変更することにより,同一のドットパターン部であっても別の意味を持たせることができる。つまり,キードットKDは格子点からずらすことでキードットKDとして機能するものであるが,このずらし方を格子点から等距離で45度ずつずらすことにより8パターンのキードットを定義できる。」 「【0288】 この場合,ペン型スキャナ1001の先端部をヒントを希望する空白枠内1133に当接させることで,該空白枠内に形成されたドットパターンを読み込んで当該ワードのヒントを液晶表示部1131に表示させることができる。このとき,同じ空白枠内に当接させる場合であっても,ペン型スキャナ1001を当接させる角度によって縦方向のヒント,横方向のヒント,斜め方向のヒントをそれぞれ表示させることができる。このとき,前述のように,格子ドットに対するキードットの格子点からのずれを中央処理装置(CPU)で計算する際に,カメラの傾き(紙面の鉛直軸を中心にした撮像素子の回転方向へのずれ)を計算できるため,カメラの傾きに応じたクロスワードパズルの縦,横,斜め方向を認識することができる。したがってそれに対応したヒントを記憶手段から読み出して表示したりスピーカ1007から発声させることができる。」 上記記載によれば,本件特許明細書において,「格子線」は,「ドットの配置位置を説明するためのもので」,「実際の印刷物上には存在しない」,「縦横方向の線」のことであることが読み取れ,また,「格子点」は,「格子線の交点」であることが読み取れる。 ここで,「格子」とは,「○一(当審注:原文の「丸付き漢数字」は,「〇」を付して表記する。以下同様。) 細い・木(竹)を縦横(タテヨコ)に組んだもの。建具(タテグ)に使う。○二 ←格子戸。 ○三 ←格子じま。」(三省堂国語辞典第三版(中型版),1989年3月25日 第32刷)の意味であり,また,「格子じま」とは,「すじを縦横(タテヨコ)に組み合わせた・しま(模様《モヨウ》)。」(三省堂国語辞典第三版(中型版),1989年3月25日 第32刷)の意味であるところ,当該意味は,本件特許明細書において,「格子線」は,「縦横方向の線」であるという,「格子線」に関する上記記載内容と整合するものであるから,本件特許明細書における「格子線」とは,「ドットの配置位置を説明するためのもので,実際の印刷物上には存在しない,縦横方向の線」のことであり,また,「格子点」とは,「格子線の交点」のことであると理解される。 「本件特許の図面の【図105】 」 ウ 「格子ドットLD」及び「キードットKD」について 本件特許明細書の段落【0229】の「ドットパターン部601は,図105に示すように,格子状に配置されたドットで構成されている。なお縦横方向の格子線はドットの配置位置を説明するためのものであり実際の印刷物上には存在しない」との記載から,本件特許の図面の【図105】における縦横方向の線は,上記イに記載したように,「ドットの配置位置を説明するためのもので,実際の印刷物上には存在しない,縦横方向の線」であり,当該「縦横方向の線」のうち,その交点が「格子点」となる線が「格子線」であると認められる。 そして,本件特許明細書の段落【0232】の「格子ドットLDは本来格子点上に配置されているが,この位置をずらしてキードットKDを配置している」との記載から,「格子ドットLD」は,本件特許の図面の【図105】に記載されている縦横方向の格子線の交点である格子点上に配置されているドットであると認められ,下記の【図105A】においては,格子点上の位置に置かれた丸の印の中のドットそれぞれが「格子ドットLD」であると認められる。(当審注:なお,下記の【図105A】は,本件特許の図面の【図105】に,当審において説明の都合上,丸,三角等の印を付した図である。) また,同じく段落【0232】の「キードットKDとは,格子ドットLDの位置をずらしたものである」との記載と,本件特許の図面の【図105】中の,縦横方向に規則的に配置された「格子ドットLD」が当該規則どおりであれば本来配置されているはずの格子点から上方にずれた位置に置かれた2つのドットに対する「KD」(すなわち「キードット」)との表記から,下記の【図105A】においては,図中の2箇所の「KD」と表記された点を含む,格子点から上方にずれた位置に置かれた三角の印の中のドットそれぞれが「キードットKD」であると認められる。 「当審で【図105】に記号を付した【図105A】 」 エ 「データブロック」について 本件特許明細書の段落【0233】の「キードットKDに囲まれた領域,またはキードットKDを中心にした領域が1つのデータを構成している」との記載から,ここで上記の【図105A】を参照すると,三角の印の中の4つのキードットKDに囲まれた範囲内には複数のドット,すなわち,データが含まれるから,段落【0233】の「1つのデータを構成」している,「キードットKDに囲まれた領域」が,ひとかたまりのデータ,すなわち,「1つのデータブロックを構成」していることを意味していることは明らかであって,上記の【図105A】においては,4つのキードットKDに囲まれている二重線の四角で囲まれた領域が「1つのデータブロック」であると認められる。 オ 「格子領域」について 「格子領域」という用語は,本件特許明細書の段落【0230】に「4×4個の格子領域を1つのデータブロックまたは格子ブロックと呼び」との定義が記載されているのみである(当審注:後記(4)のとおり,「4×4個」は「図105における4×5個」の誤記であると認められる。)。当該記載の定義から,キードットKDで囲まれた領域である1つのデータブロックは,複数の格子領域から構成されているものであると認められる。 ここで,「格子領域」とは,文言どおりの「格子」状の「領域」,すなわち「四角形の領域」であると認められるところ,上記の【図105A】における点線の四角で囲まれた領域(格子ドットLDに相当する4つの丸の印の中のドットに囲まれた領域,または,キードットKDがずらされる前の格子ドットLDが本来配置されているはずの格子点と3つの丸の印の中のドットに囲まれた領域)のそれぞれは,4つのキードットKDで囲まれた1つのデータブロックを構成する複数の「四角形の領域」であることから,これを「格子領域」であると解釈するのが自然である。 カ 「格子ブロック」について 上記本件特許明細書の段落【0230】の記載からすると,「格子ブロック」は,「データブロック」と同義であり,複数の格子領域から構成されているものであると認められる。 キ 「ダミードット」,「空ドット」,「情報ドット」について 上記ウ記載の「格子ドットLD」及び「キードットKD」のほか,「ドット」として,「ダミードット」,「空ドット」,「情報ドット」について,以下の記載がある。(当審注:下線は当審で付加した。) (ア)本件特許明細書の段落【0105】〜【0107】 「【0105】 図21は本発明のカメラ入力による情報入出力方法の構成を示すブロック図であり,(a)はドットコードの生成について,(b)はドットパターンの認識についての説明図である。図22はドットパターンの一例を示す正面図である。 【0106】 本発明のカメラ入力によるドットパターンを用いた情報入出力方法は,ドットパターン1の生成と,そのドットパターン1の認識と,このドットパターン1から対応した情報およびプログラムを出力する手段とからなる方法である。すなわち,ドットパターン1をカメラユニット2によりその画像データを取り込み,先ずキードット3を抽出し,次に情報ドット4を抽出することによりデジタル化して情報領域を抽出して情報の数値化を図り,その数値情報より,このドットパターン1から対応した情報およびプログラムを出力させる方法である。 【0107】 本発明のドットパターン1の生成は,ドットコード生成アルゴリズムにより,情報を認識させるために微細なドット(キードット(KD)3a,格子ドット(LD)3b,情報ドット4)を所定の規則に則って配列する。ドットパターン1の認識には,カメラユニット2のレンズによる歪率の補正,またはカメラユニット2の傾きによる歪の補正と,キードット3a(KD)と情報ドット4の数値情報の再生とからなる。ドットパターン1については,C−MOSカメラまたはCCDカメラ等の撮像素子を備えたカメラユニット2を用いてその画像データを取り込む。」 (イ)本件特許の図面の【図22】 「 」 (ウ)本件特許明細書の段落【0241】〜【0242】 「【0241】 本発明において,ダミードットDDを定義することができる。このダミードットDDは,4個の格子ドットLDの正中心に配置したドットである(図106(a)参照)。このようなダミードットは,マスク領域毎に境界を定義した絵本等に適している。図106(c)に示すようにmask1とmask2の領域の境界にダミードットDDを配置している。このようなマスク境界にダミードットDD領域を配置することにより,それぞれのマスク領域に定義されたコード情報を同時に読み取ってしまうことを防止している。図106(d)はダミードットDDの配置状態を示した図である。 【0242】 また,絵本等の背景部分については,格子ドットの中心にドットを配置しない空ドットを配置することが好ましい。空ドットは,情報が記録された通常のデータドットに比べてドット数が少ないため,ドットパターンの目立たない印刷が可能となる。また,空ドットの連続であるために,模様が生じにくく,単一色の背景に適している。」 (エ)本件特許の図面の【図103】 「 」 (オ)本件特許の図面の【図104】 「 」 (カ)本件特許の図面の【図106】 「 」 (キ)本件特許明細書の段落【0248】 「【0248】 図61に示すように,カメラは,被写体に光を照射するためにLEDと,LEDから出射される光をフィルターするためのLEDアクリルフィルターと,被写体からの反射光をフィルターするための可視光フィルター(赤外線透過フィルター)とを備える。カメラを収納する筒は,長手方向が10mm前後で構成されており,ドットパターンの撮像範囲は直径10mmとすると,4mm×4mmのドットパターン1ブロック分(I1〜I16)を読み込むためには,最大2r=2×4√2=11.28mmの撮像範囲が必要となる(図62参照)。これを解消するために,1ブロックとして構成されるキードットの周辺に配置される情報ドット16個を順次読み込むのではなく,他の情報ドットと独立的な情報を有する4個の情報ドット毎(1/4ブロック(サブブロック)毎)に読み込む。これにより,撮像範囲からはずれた1/4ブロックの情報ドットを撮像範囲内にある,他のブロックの対応する情報ドット(1/4ブロック)を入力することにより,1ブロック分の情報を撮像範囲の直径10mm内で入力可能とする。」 (ク)本件特許の図面の【図62】 「 」 (ケ)本件特許の図面の【図63】 「 」 (コ)上記(ア)〜(ケ)の記載から,4つの「格子ドットLD」(格子ドットLDの位置をずらした「キードットKD」である場合を含む)で囲まれた領域に配置されるドットとして,以下の3種類のドットがあると認められる。 ・「4個の格子ドットLDの正中心に配置した」ドットである「ダミードットDD」(特に,上記(ウ)の段落【0241】及び上記(カ)の【図106】の(a)参照), ・「格子ドットの中心にドットを配置しない」「空ドット」(特に,上記(ウ)の段落【0242】参照), ・4つの格子ドット△によって囲まれている領域の中心から所定の規則に則ってずらされて配置されている「情報ドット4」(特に,上記(ア)の段落【0107】及び上記(イ)の【図22】におけるX1〜X12,Y1〜Y12を参照)。 ここで,上記(カ)の【図106】の(a)及び(d)を参照すると,格子点上に配置されている格子ドットによって囲まれている領域である格子領域内に「ダミードットDD」や「情報ドット」を配置する場合に,「ダミードットDD」が配置される位置であり,かつ,「情報ドット」をずらす基点でもある「4個の格子ドットLDの正中心」は,「格子領域内の中心点」である。 よって,「情報ドット」は,「4個の格子ドットLDの正中心」や「格子領域内の中心点」からずらしたドットであるといえる。 (4)訂正事項3について ア 訂正の目的 上記(3)アに記載したとおり,本件特許明細書の段落【0230】は,本件特許の図面の【図105】を用いたドットパターンの構成要素を説明しているものと認められる。そして,上記(3)エに記載したとおり,「データブロック」は,上記【図105A】において4つのキードットKDに囲まれている二重線の四角で囲まれた領域であり,上記(3)オに記載したとおり,「格子領域」は,上記【図105A】において4つの格子ドットLD(格子ドットLDの位置をずらしたキードットKDである場合を含む)に囲まれている点線の四角で囲まれた領域であると認められるところ,4つのキードットKDに囲まれた,点線の四角で示された格子領域の数を計算すると,4×5(=20)個となるので,訂正後の段落【0230】の記載が正しく,訂正前の段落【0230】の記載は,誤記であると認められる。 また,訂正前の段落【0230】において,「4×4個の格子領域を1つのデータブロックまたは格子ブロックと呼び,この格子ブロックの四隅(格子線の交点(格子点)上)には格子ドットLDが配置されている」と記載されているが,上記(3)オに記載したとおり,上記【図105A】において,格子ブロックの四隅には格子線の交点(格子点)からずれた位置にキードットKDが配置されており,格子線の交点(格子点)上には格子ドットLDが配置されていない。そうすると,「この格子ブロック」における「この」が指しているのは,「格子ブロック」ではなく,四隅に格子ドットLDが配置されている「格子領域」であると解するのが自然であり,訂正前の段落【0230】の記載は,誤記であると認められる。 したがって,訂正事項3は,特許法第134条の2第1項ただし書き第2号に規定する誤記又は誤訳の訂正を目的とするものである。 イ 新規事項の有無 誤記又は誤訳の訂正を目的とする訂正は,出願当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしなければならないところ,出願当初明細書等に記載した事項とは,当業者によって,明細書又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項を意味し,当該訂正が,このようにして導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入しないものであるときは,当該訂正は,「明細書又は図面に記載した事項の範囲内において」するものということができる。(以下,本件審決において,「新規事項の有無」の判断について同じ。) そして,上記アに記載したとおり,訂正事項3は,出願当初明細書等における段落【0230】に記載した事項,及び【図105】に記載した事項の範囲内の訂正であり,特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更 訂正事項3は,誤記を訂正したものであるから,技術的事項を変更するものではなく,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものには該当せず,特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 (5)訂正事項4について ア 訂正の目的 上記(3)エ及びカに記載したとおり,4つのキードットKDに囲まれた領域が「格子ブロック」であると認められるところ,本件特許明細書の段落【0233】に「キードットKDに囲まれた領域,またはキードットKDを中心にした領域が1つのデータを構成している」と記載されるように,キードットKDに囲まれた格子ブロック自体が1つのデータを構成しているものと認められる。 そうすると,訂正前の段落【0231】の「どの格子ブロックからどの格子ブロックまでが1つのデータであるかを示すためにキードットを配置している」との記載は誤記であり,上記(3)カに記載したとおり,「格子ブロック」が複数の格子領域から構成されたものであることから,上記訂正前の段落【0231】の記載は,「どの格子領域からどの格子領域までが1つのデータであるかを示すためにキードットを配置している」との記載が正しいと認められる。 したがって,訂正事項4は,特許法第134条の2第1項ただし書き第2号に規定する誤記又は誤訳の訂正を目的とするものである。 イ 新規事項の有無 上記アに記載したとおり,訂正事項4は,出願当初明細書等における段落【0230】,【0231】,【0233】に記載した事項,及び【図105】に記載した事項の範囲内の訂正であり,特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更 訂正事項4は,誤記を訂正したものであるから,技術的事項を変更するものではなく,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものには該当せず,特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 (6)訂正事項5について ア 訂正の目的 上記(3)エ及びオに記載したとおり,「格子領域」は,上記【図105A】において4つの格子ドットLD(格子ドットLDの位置をずらした「キードットKD」である場合を含む)に囲まれている点線の四角で囲まれた領域であり,「データブロック」は,上記【図105A】において4つのキードットKDに囲まれている二重線の四角で囲まれた領域であって,4×5個の格子領域から構成されているものと認められるところ,これら4×5個の格子領域それぞれが,格子領域内の中心点からドットをどの程度ずらすかによってデータ内容を定義しているものと認められる。そして,上記【図105A】の点線の四角で示された格子領域それぞれにおいて,格子領域内にあるドットが,本件特許の図面の【図103】に示されるように中心点からずらされてデータ内容を定義しているものと認められる。 そうすると,訂正前の段落【0235】の「データは,図103に示すように,ドット605を格子ブロック内の中心点からどの程度ずらすかによってデータ内容が定義できるようになっている」との記載における「格子ブロック」は「格子領域」の誤記であると認められる。 したがって,訂正事項5は,特許法第134条の2第1項ただし書き第2号に規定する誤記又は誤訳の訂正を目的とするものである。 イ 新規事項の有無 上記アに記載したとおり,訂正事項5は,出願当初明細書等における段落【0235】に記載した事項,及び【図103】,【図105】に記載した事項の範囲内の訂正であり,特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更 訂正事項5は,誤記を訂正したものであるから,技術的事項を変更するものではなく,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものには該当せず,特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 (7)訂正事項6について ア 訂正の目的 上記(3)エ及びオに記載したとおり,「格子領域」は,上記【図105A】において4つの格子ドットLD(格子ドットLDの位置をずらした「キードットKD」である場合を含む)に囲まれている点線の四角で囲まれた領域であり,「データブロック」は,上記【図105A】において4つのキードットKDに囲まれている二重線の四角で囲まれた領域であって,4×5個の格子領域から構成されているものと認められるところ,これら4×5個の格子領域それぞれが,格子領域内の中心点からドットをどの程度ずらすかによってデータ内容を定義しているものと認められる。そして,上記【図105A】の点線の四角で示された格子領域それぞれにおいて,格子領域内にあるドットが,【図103】に示されるように中心点からずらされてデータ内容を定義しているものと認められる。 そうすると,訂正前の段落【0235】の「同図では,中心から等距離で45度ずつそれぞれずらした点を8個定義することによって単一の格子ブロックで8通り,すなわち3ビットのデータを表現できるようになっている」との記載における「格子ブロック」は「格子領域」の誤記であると認められる。 したがって,訂正事項6は,特許法第134条の2第1項ただし書き第2号に規定する誤記又は誤訳の訂正を目的とするものである。 イ 新規事項の有無 上記アに記載したとおり,訂正事項6は,出願当初明細書等における段落【0235】に記載した事項,及び【図103】,【図105】に記載した事項の範囲内の訂正であり,特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更 訂正事項6は,誤記を訂正したものであるから,技術的事項を変更するものではなく,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものには該当せず,特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 (8)訂正事項7について ア 訂正の目的 上記(3)エ及びオに記載したとおり,「格子領域」は,上記【図105A】において4つの格子ドットLD(格子ドットLDの位置をずらした「キードットKD」である場合を含む)に囲まれている点線の四角で囲まれた領域であり,「データブロック」は,上記【図105A】において4つのキードットKDに囲まれている二重線の四角で囲まれた領域であって,複数個の格子領域(すなわち,「格子領域群」)から構成されているものと認められる。そして,本件特許明細書の段落【0236】における「キードットKDがデータ領域の範囲を定義している」とは,キードットKDがデータ領域の範囲であるデータブロック(格子領域群)を定義していることにほかならない。 そうすると,訂正前の段落【0236】の「つまり,前述のようにキードットKDがデータ領域の範囲を定義しているため,このキードットKDの配置を変更すれば任意の可変長の格子ブロック群をデータ格納領域として扱うことができるわけである」との記載における「格子ブロック群」は「格子領域群」でなければならず,上記訂正前の段落【0236】における「格子ブロック群」は「格子領域群」の誤記であると認められる。 したがって,訂正事項5は,特許法第134条の2第1項ただし書き第2号に規定する誤記又は誤訳の訂正を目的とするものである。 イ 新規事項の有無 上記アに記載したとおり,訂正事項7は,出願当初明細書等における段落【0236】に記載した事項,及び【図105】に記載した事項の範囲内の訂正であり,特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更 訂正事項7は,誤記を訂正したものであるから,技術的事項を変更するものではなく,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものには該当せず,特許法134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 3 訂正請求に対する結論 上記2(1)で検討したとおり,訂正事項1は,特許法第134条の2第1項ただし書に掲げるいずれかの事項を目的とするものではなく,また,特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合しないから,訂正事項1に係る訂正を認めない。 また,上記2(2)で検討したとおり,訂正事項2は,特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合しないから,訂正事項2に係る訂正を認めない。 また,上記2(3)〜(8)で検討したとおり,訂正事項3〜7は,特許法第134条の2第1項ただし書き第2号に掲げる事項を目的とするものであり,また,訂正事項3〜7は,願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではないから,特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので,訂正事項3〜7については,訂正を認める。 第3 本件特許発明 以上のとおり,本件訂正のうち,請求項1〜3に係る訂正事項1,2は認められないので,本件特許の請求項1〜3に係る発明は,特許請求の範囲に記載された以下の事項により特定されるとおりのものである。(以下,「請求項1に係る発明」を「本件特許発明1」といい,同様に「請求項2に係る発明」等を「本件特許発明2」等といい,本件特許発明1〜3を総称して「本件特許発明」という。) 「【請求項1】 媒体表面に印刷され,所定の配置法則で印刷された所定のドットパターンを読み取る光学読取手段と, 予め所定の音声情報をドットパターンと関連づけた参照テーブルと, 前記音声情報が記憶された音声記憶手段と, 前記光学読取手段によって前記ドットパターンが読み取られたときに,前記参照テーブルを参照して前記音声記憶手段から当該ドットパターンに関連付けられた音声情報を読み出して出力する音声出力手段とからなる音声情報再生装置であって, 前記所定のドットパターンは,媒体面上に形成され,且つデータ内容が定義できる情報ドットが配置されたドットパターンであって,縦横方向に等間隔に設けられた格子線の交点である格子点を中心に,前記情報ドットを前記格子点の中心から等距離で45°づつずらした方向のうちいずれかの方向に,どの程度ずらすかによってデータ内容を定義し,前記情報ドットが配置されて情報を表現する部分を囲むように,前記縦方向の所定の格子点間隔ごとに水平方向に引いた第一方向ライン上と,該第一方向ラインと交差するように前記横方向の所定の格子点間隔ごとに垂直方向に引いた第二方向ライン上とにおいて,該縦横方向の複数の格子点上に格子ドットが配置されたドットパターンであることを特徴とする音声情報再生装置。 【請求項2】 前記ドットパターンは,水平方向および/または垂直方向に,複数繰り返されていることを特徴とする請求項1記載の音声情報再生装置。 【請求項3】 前記格子ドットの1つは,前記格子点からのずれ方によって一般コードまたはXY座標を示すフラグを意味していることを特徴とする請求項1または2記載の音声情報再生装置。」 第4 無効理由 1 請求人の請求の趣旨および主張した無効理由の概要 請求人は,「特許第4817157号発明の特許請求の範囲の請求項1〜3に記載された発明についての特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求める。」との請求の趣旨を述べ,証拠方法として以下の書証を提出し,本件特許が無効とされるべき理由として,以下に要約される無効理由1ないし9を主張している。 (1)無効理由1:特許法第36条第4項第1号 本件特許に係る出願の願書に添付した明細書の発明の詳細な説明が,下記の点で特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしておらず,本件特許の請求項1〜3に係る特許は同法第123条第1項第4号に該当し,無効とされるべきである。 ア 本件特許明細書段落【0228】〜【0246】及び【図103】〜【図106】の記載からは,「格子領域」「格子ブロック」「格子ブロック群」を互いに矛盾なく定義することができず,その結果として,「情報ドット」も正しく定義することができない。したがって,本件特許に係る出願の願書に添付した明細書の発明の詳細な説明の記載は,少なくとも,本件特許発明1の「前記所定のドットパターンは」,「縦横方向に等間隔に設けられた格子線の交点である格子点を中心に,前記情報ドットを前記格子点の中心から等距離で45°づつずらした方向のうちいずれかの方向に,どの程度ずらすかによってデータ内容を定義し」に関し,特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。 イ 本件特許発明1における「第一方向ライン」「第二方向ライン」を「ドットパターン」のみから一義的に導き出せることが,本件特許明細書及び図面には記載されている必要があるところ,少なくとも明示的には「ドットパターン」のみから「第一方向ライン」「第二方向ライン」を導き出せることは,本件特許明細書及び図面には記載されておらず,本件特許明細書及び図面の記載は,本件特許発明1の属する技術分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであるとはいうことができないのであるから,本件特許に係る出願の願書に添付した明細書の発明の詳細な説明の記載は,少なくとも,本件特許発明1の「前記情報ドットが配置されて情報を表現する部分を囲むように,前記縦方向の所定の格子点間隔ごとに水平方向に引いた第一方向ライン上と,該第一方向ラインと交差するように前記横方向の所定の格子点間隔ごとに垂直方向に引いた第二方向ライン上とにおいて,該縦横方向の複数の格子点上に格子ドットが配置されたドットパターンである」に関し,特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。 (2)無効理由2:特許法第17条の2第3項 本件特許に係る出願の願書に添付した特許請求の範囲について,平成23年6月30日付でした補正は,下記の点で,本件特許に係る出願の願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものではないから,平成23年6月30日付でした補正は,特許法第17条の2第3項の規定に規定する要件を満たしておらず,本件特許の請求項1〜3に係る特許は同法第123条第1項第1号に該当し,無効とされるべきである。 ア 本件特許明細書段落【0228】〜【0246】及び【図103】〜【図106】に記載される発明と,本件特許に係る【図5】,【図6】,【図7】,【図8】に記載される発明が組合せたものとされる本件特許発明1は,本件特許に係る出願の願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものではない。 イ 本件特許発明1における「前記情報ドットが配置されて情報を表現する部分を囲むように」という点は,本件特許に係る出願の願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものではない。 (3)無効理由3:特許法第36条第6項第1号 本件特許の請求項1〜3に係る発明は,下記の点で本件特許に係る出願の願書に添付した明細書の発明の詳細な説明に記載したものではないから,特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしておらず,本件特許の請求項1〜3に係る特許は同法第123条第1項第4号に該当し,無効とされるべきである。 ア 本件特許発明1の「前記縦方向の所定の格子点間隔ごとに水平方向に引いた第一方向ライン」「該第一方向ラインと交差するように前記横方向の所定の格子点間隔ごとに垂直方向に引いた第二方向ライン」という点は,発明の詳細な説明に記載されたものではない。 イ 本件特許発明1の「前記縦方向の所定の格子点間隔ごとに水平方向に引いた第一方向ライン上と,該第一方向ラインと交差するように前記横方向の所定の格子点間隔ごとに垂直方向に引いた第二方向ライン上とにおいて,該縦横方向の複数の格子点上に格子ドットが配置された」という点は,発明の詳細な説明に記載されたものではない。 ウ 本件特許発明3の「前記格子ドットの1つは,前記格子点からのずれ方によって一般コードまたはXY座標を示すフラグを意味していることを特徴とする」という点は,発明の詳細な説明に記載されたものではない。 (4)無効理由4:特許法第36条第6項第2号 本件特許の請求項1〜3に係る発明は,下記の点で明確ではないから,特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしておらず,本件特許の請求項1〜3に係る特許は同法第123条第1項第4号に該当し,無効とされるべきである。 ア 本件特許発明1の「音声情報再生装置」の「媒体表面に印刷され,所定の配置法則で印刷された所定のドットパターンを読み取る光学読取装置」を「ドットパターン」に関する事項を用いて特定しようとする記載は明確ではない。 イ 本件特許発明1の「縦横方向」「縦方向」「横方向」「水平方向」「垂直方向」は明確ではない。 ウ 本件特許発明1における「格子点の中心」は明確ではない。 エ 本件特許発明1における「格子線」「格子点」「格子点の中心」「縦横方向に等間隔に設けられた格子線」「格子点を中心に」は明確ではない。 オ 本件特許発明1における「縦横方向に等間隔に設けられた格子線の交点である格子点を中心に,前記情報ドットを前記格子点の中心から等距離で45°づつずらした方向のうちいずれかの方向に,どの程度ずらすか」は明確ではない。 カ 本件特許発明1における「所定の格子点間隔」は明確ではない。 キ 本件特許発明3の「格子点からのずれ方」は明確ではない。 ク 本件特許発明3の「一般コードまたはXY座標を示すフラグ」は明確ではない。 (5)無効理由5:特許法第29条第2項 本件特許発明1,2は,甲第1〜3号証に記載された発明に基づき当業者が容易に発明できたものであるから,本件特許の請求項1,2に係る特許は,特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり,同法第123条第1項第2号に該当し,無効とされるべきである。 (6)無効理由6:特許法第29条第2項 本件特許に係る出願(特願2010−267198号)(以下,「本件特許出願」という。)は,特許法第41条に基づく優先権の主張を適法にしたものではなく,本件特許発明1,2に関する新規性,進歩性等の判断は,原出願である特願2005−501954号(PCT/JP2003/012364)の現実の国際出願日である平成15年9月26日を基準としてなされるべきものである。 そして,本件特許発明1,2は,甲第4,3,2,5号証に記載された発明に基づき当業者が容易に発明できたものであるから,本件特許の請求項1,2に係る特許は,特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり,同法第123条第1項第2号に該当し,無効とされるべきである。 (7)無効理由7:特許法第29条第2項 本件特許出願は分割の要件を満たさないから,本件特許出願の出願日は,現実の出願日である平成22年11月30日とすべきものである。 そして,本件特許発明1,2は,甲第6,3,5号証に記載された発明に基づき当業者が容易に発明できたものであるから,本件特許の請求項1,2に係る特許は,特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり,同法第123条第1項第2号に該当し,無効とされるべきである。 (8)無効理由8:特許法第29条第2項 本件特許出願は分割の要件を満たさないから,本件特許出願の出願日は,現実の出願日である平成22年11月30日とすべきものである。 そして,本件特許発明1〜3は,甲第7,3,8号証に記載された発明に基づき当業者が容易に発明できたものであるから,本件特許の請求項1〜3に係る特許は,特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり,同法第123条第1項第2号に該当し,無効とされるべきである。 (9)無効理由9:特許法第29条第1項第3号 本件特許出願は分割の要件を満たさないから,本件特許出願の出願日は,現実の出願日である平成22年11月30日とすべきものである。 そして,本件特許発明1〜3は,甲第8号証に記載されたものであるから,本件特許の請求項1〜3に係る特許は,特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものであり,同法第123条第1項第2号に該当し,無効とされるべきである。 (10)証拠方法 甲第1号証:特開平10−326331号公報(平成10年(1998年)12月8日公開) 甲第2号証:米国特許出願公開第2002/0091711号明細書(2002年7月11日公開) 甲第3号証:特開昭60−108894号公報(昭和60年(1985年)6月14日公開) 甲第4号証:英国特許出願公開第2384094号明細書(2003年7月16日公開) 甲第5号証:特開平03−038791号公報(平成3年(1991年)2月19日公開) 甲第6号証:特開2007−288756号公報(平成19年(2007年)11月1日公開) 甲第7号証:国際公開第2006/070458号(2006年7月6日公開) 甲第8号証:国際公開第2004/029871号(2004年4月8日公開) 甲第9号証:優先権証明書(特願2002−281815号) 甲第10号証:優先権証明書(特願2002−292907号) 甲第11号証:優先権証明書(特願2002−380503号) 甲第12号証:優先権証明書(特願2002−380932号) 甲第13号証:優先権証明書(特願2002−381743号) 甲第14号証:特願2008−177416号に対する平成22年11月30日付拒絶理由通知書 甲第15号証:特願2008−177416号に対する平成23年1月31日付意見書 甲第16号証:特願2010−254460号に対する平成23年3月8日付拒絶理由通知書 甲第17号証:特願2010−254460号に対する平成23年4月28日付意見書 甲第18号証:平成30年(ワ)第10126号特許権侵害差止等請求事件における平成30年9月7日付原告第1準備書面 甲第19号証:平成30年(ワ)第10126号特許権侵害差止等請求事件における平成31年1月31日付原告第3準備書面 甲第20号証:平成30年(ワ)第10126号特許権侵害差止等請求事件における令和元年6月12日付原告第5準備書面 甲第21号証:平成30年(ワ)第10126号特許権侵害差止等請求事件における平成31年4月16日付被告補助参加人第5準備書面 甲第22号証:平成30年(ワ)第10126号特許権侵害差止等請求事件における令和元年10月7日付原告第7準備書面 甲第23号証:平成30年(ワ)第10126号特許権侵害差止等請求事件における平成31年4月16日付被告補助参加人第5準備書面抜粋 甲第24号証:平成30年(ワ)第10126号特許権侵害差止等請求事件における令和元年11月6日付原告第8準備書面 甲第25号証:ウィキペディア(Wikipedia)の『ブロック(データ)』 甲第26号証:長屋隆之外 "4G-11 高速読取り対応2次元コード[QRコード]の開発" 情報処理学会第52回(平成8年前期)全国大会講演論文集 メディア情報処理 (1996), pp. 2-253〜2-254 甲第27号証:野村政弘外 "QRコード(2次元バーコード)の開発と生産管理" 生産管理, Vol.8, No.2, (2002年3月), pp. 107-112 甲第28号証:特願2007−026471号(特開2007−115291号公報) 甲第29号証:特願2008−177416号(特開2009−026311号公報) 甲第30号証:平成30年(ワ)第10126号特許権侵害差止等請求事件被告補助参加人第9準備書面 甲第31号証:平成30年(ワ)第10126号特許権侵害差止等請求事件原告第9準備書面 甲第32号証:平成30年(ワ)第10126号特許権侵害差止等請求事件被告補助参加人第10準備書面 甲第33号証:平成30年(ワ)第10126号特許権侵害差止等請求事件原告第10準備書面 甲第34号証:特願2010−267198号に対する平成23年4月27日付拒絶理由通知書 甲第35号証:特願2010−267198号に対する平成23年6月30日付意見書 甲第36号証:特願2010−267198号に対する平成23年6月30日付手続補正書 甲第37号証:平成30年(ワ)第10126号特許権侵害差止等請求事件判決 甲第38号証:令和2年(ネ)第10045被控訴人補助参加人控訴答弁書 甲第39号証:令和2年(ネ)第10045被控訴人補助参加人第1準備書面 甲第40号証:令和3年3月4日付知的財産高等裁判所特許権侵害差止等請求控訴事件(令和2年(ネ)第10045号)判決 甲第41号証:令和3年3月4日付知的財産高等裁判所特許権侵害差止等請求控訴事件(令和2年(ネ)第10045号)判決の判決確定証明書 甲第42号証:特許第4231947号公報 第5 被請求人の主張および証拠方法 被請求人は,「請求人の請求をすべて棄却する。審判費用は請求人の負担とする,との審決を求める。」との反論を述べ,上記請求人の主張する無効理由は,いずれも理由がないと主張し,証拠方法として以下の書証を提出している。 乙第1号証:特許第4817157号訂正請求書 乙第2号証:岩波 数学入門辞典,「格子」の項 乙第3号証:広辞苑 第七版,「一般」の項 乙第4号証:広辞苑 第七版,「コード」の項 乙第5号証:広辞苑 第七版,「フラグ」の項 乙第6号証:特許・実用新案審査ハンドブック附属書Aの抜粋(記載要件(特許法第36条)に関する事例集〔事例41〕) 乙第7号証:広辞苑 第七版,「横」の項 乙第8号証:広辞苑 第七版,「縦」の項 乙第9号証:広辞苑 第七版,「垂直」の項 乙第10号証:広辞苑 第七版,「水平」の項 乙第11号証:広辞苑 第七版,「点」の項 乙第12号証:広辞苑 第七版,「ずれる」の項 乙第13号証:特開平6−231466号公報(平成6年8月19日公開) 乙第14号証:特開2004−166177号公報(平成16年6月10日公開) 乙第15号証:特許・実用新案審査基準,「3.2 分割出願の明細書等に記載された事項が,原出願の出願当初の明細書等に記載された事項の範囲内であること(要件2)」の項 乙第16号証:特許・実用新案審査基準,(参考)知財高判平成20年5月30日(平成18年(行ケ)10563号)「ソルダーレジスト」大合議判決 乙第17号証:特願2012−39515号に対する平成25年5月20日付け拒絶理由通知書 乙第18号証:特願2012−39515号に対する平成27年4月13日付け拒絶理由通知書 乙第19号証:特願2013−162943号に対する平成26年10月9日付け拒絶理由通知書 乙第20号証:特願2013−162943号に対する平成27年6月4日付け拒絶理由通知書 乙第21号証:特開2001−343979号公報,特開2002−140541号公報,特開2002−164862号公報,特開2002−152833号公報,特開2002−82959号公報,特開2002−64807号公報,特開2002−32396号公報,特開平11−265324号公報,及び,特開平11−215217号公報における特許出願公開公報の抄録 乙第22号証:特許技術用語集第3版,「連設」の項 乙第23号証:特願2010−254460号における平成23年4月28日付け手続補正書 乙第24号証:特開2011−44180号公報 乙第24号証:特許・実用新案審査ハンドブック附属書B「第1章 コンピュータソフトウエア関連発明」,「b 技術的思想ではないもの」における,「情報の提示(提示それ自体,提示手段,提示方法等)に技術的特徴があるものは,情報の単なる提示に当たらない。」との記載 乙第25号証:特開2002−23937号公報,特開2000−309192号公報,特開平9−123683号公報,特開平5−262093号公報,特表平5−503473号公報,特開平3−297407号公報,特開平3−292908号公報,特開平3−292907号公報,特開昭59−125513号公報,特開昭56−162697号公報,特開昭56−105999号公報,特開昭55−144198号公報,特開昭54−159058号公報,特開昭54−148625号公報,特開昭54−89844号公報,特開昭54−29221号公報,特開昭52−134521号公報,特開昭52−4326号公報,特開昭51−70027号公報,特開昭50−21820号公報,特開昭49−112716号公報,特開昭47−16217号公報,及び,特開昭46−214号公報における特許出願公開(公表)公報の抄録 乙第26号証:特開2002−23937号公報 乙第27号証:特開平9−123683号公報 乙第28号証:特開平5−262093号公報 乙第29号証:広辞苑 第七版,「群」の項 乙第30号証:岩波 情報科学辞典,「パルス」の項 乙第31号証:令和2年(ネ)第10045号特許権侵害差止等請求控訴事件控訴理由書 乙第32証:広辞苑無料検索 格子 乙第33号証:NTT DoCoMoテクニカル・ジャーナル Vol.1 NO.3 乙第34号証:広辞苑 第七版,「仮想」の項 第6 当審の判断 当審は,無効理由1〜9について検討したところ,無効理由1〜3のみに理由があると判断する。無効理由1〜3についての判断の理由は以下のとおり。 1 無効理由2(特許法第17条の2第3項)について 事案に鑑み,まず,無効理由2について先に検討する。 (1)新規事項の追加の判断の枠組みについて 特許請求の範囲等の補正は,出願当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしなければならないところ,出願当初明細書等に記載した事項とは,当業者によって,明細書又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項を意味し,当該補正が,このようにして導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入しないものであるときは,当該補正は,「明細書又は図面に記載した事項の範囲内において」するものということができる。 以下,この観点に立って,判断する。 (2)本件特許発明及びその意義 ア 本件特許明細書の発明の詳細な説明には,以下の記載がある。 (ア)発明の属する技術分野 「本発明は,印刷物に形成したドットパターン情報を光学的に読み取り該ドットパターンに対応した種々の情報を再生する技術に関する。」【0001】 (イ)背景技術 「従来より,光センサを用いて絵本やゲームカードに印刷されたバーコードを読み取り,特定の音声を発音させる音声発生玩具が提案されている。これらの音声発生玩具では,読み込んだバーコードに対応した音声情報をメモリから読み出すことで多種の音声情報を再生できるようにしていた。」【0002】 「しかし,このようなバーコードを用いた技術は,紙面上にバーコード印刷用の専用領域を確保しなければならず,かつバーコードは情報処理システムが読み取るためのものであり,絵本や書籍の読者にとっては目視でそのコード内容を把握しかねるものであったため,限られた紙面上にバーコードが印刷されていることは読者にとっては煩わしく絵本等書籍の製品価値を下げかねないものとなっていた。」【0003】 「さらに,上記のようにバーコード技術は,紙面上に印刷された文字,図形,記号に重ねて印刷することができないために,これらの文字,図形,記号等に対して音声再生を行いたい場合に文字等の近傍にバーコードを印刷するしかなく,読者にとって直感的に文字等に別の音声情報等が付加されていることを伝えにくい特性を有していた。」【0004】 「この点について,特開平10−261059号公報に開示されている『ドットコード』技術では,ドットパターンで印刷されたコード情報を読み取って情報を再生させる方法が提案されている。」【0005】 「係る先行技術では,ブロック領域内のドットパターンの配置の仕方によってデータを定義するとともに,データドットパターンではあり得ないドットパターンでマーカを定義することにより,これを同期信号として機能させている。したがって,この技術では,ドットを所定の法則で紙面の二次元方向に印刷したドットパターンをペン型のスキャナで読み取り,このスキャナの走査速度と走査方向を情報処理装置で解析して予め対応付けられた音声等の情報を再生させる方法となっている。」【0006】 「しかし,係るドットコード技術では,動的にスキャナを走査させることを前提としているために,紙面に印刷された文字に沿って音声情報を再生することは可能であるものの, 紙面上にキャラクタ等が自由に印刷配置された絵本等で静的に読取装置を当接させるだけで情報を再生させたいような用途には不向きであった。すなわち,このドットコード技術では意味のあるコード情報を取得するためにはXY座標上で一定の距離以上のスキャニングを実行する必要があるため,紙面上に印刷された極小領域にドットコードを対応付けて印刷することはできなかった。」【0007】 (ウ)発明が解決しようとする課題 「本発明は,極小領域であってもコード情報やXY座標情報が定義可能なドットパターンを提案し,係るドットパターンに基づいた情報再生方法および情報再生装置を提案するものである。」【0008】 「特に,ドットパターンに関連付けられた音声情報を再生する音声情報再生装置を提案するものである。」【0009】 (エ)発明の効果 「本発明によれば,ドットパターンを読み取る光学読取手段と,ドットパターンに対応する音声情報を出力する音声情報出力手段とが一体となっているため,ドットパターンによる音声再生を,より簡易かつ便利に実現することが可能となる。」【0056】 イ 本件特許発明の意義 前記アによれば,本件特許発明の意義は,以下のとおりであると認められる。 従来から,光センサを用いて絵本やゲームカードに印刷されたバーコードを読み取り,特定の音声を発音させる音声発生玩具が提案されており,先行技術においては,バーコードに代わってドットパターンで印刷されたコード情報を読み取って情報を再生させる方法が提案されていた。同技術においては,ドットを所定の法則で紙面の二次元方向に印刷したドットパターンをペン型のスキャナで読み取り,このスキャナの走査速度と走査方向を情報処理装置で解析してあらかじめ対応付けられた音声等の情報を再生させるが,動的にスキャナを走査させることを前提としているために,紙面上にキャラクタ等が自由に印刷配置された絵本等で静的に読取装置を当接させるだけで情報を再生させる用途には不向きであった。 本件特許発明は,印刷物に形成したドットパターン情報を光学的に読み取り該ドットパターンに対応した種々の情報を再生する技術に関するものであり,極小領域であってもコード情報やXY座標情報が定義可能なドットパターンを提案し,このドットパターンに基づいた情報再生方法及び情報再生装置を提案するものである。 (3)本件特許明細書におけるドットパターンの記載 本件特許明細書には,発明に係るドットパターンについて説明した以下の記載がある。また,本件特許の図面には,図1〜図113が掲載されており,このうち,ドットパターンを示すものとして,【図2】,【図5】〜【図8】,【図22】,【図103】〜【図106】がある。 「図1は本発明のドットパターンを用いた情報再生方法の構成を示すブロック図であり,(a)はドットコードの生成について,(b)はドットパターンの認識についての説明図である。図2はドットパターンの一例を示す正面図である。図3は絵本と情報再生方法の状態を説明する機能ブロック図である。」【0058】 「本発明のドットパターン601の生成は,ドットコード生成アルゴリズムにより,音声情報を認識させるために微細なドット605を第一方向ライン603に所定の規則に則って配列し,かつこの第一方向ライン603に交差するように配置した第二方向ライン604に所定の規則に則ってドット605を配列する。さらに,パソコン608内のメモリまたはカメラ602内に設けられたメモリにマッピングテーブルも生成する。この第一方向ライン603と第二方向ライン604とは90度の角度で交差させたものに限定されず,たとえば,60度の角度で交差させたものでもよい。」【0061】 「図4は他のドットパターンを用いた情報再生方法の構成を示すブロック図であり,(a)はドットコードの生成について,(b)はドットパターンの認識についての説明図である。図5から図8は他のドットパターンの一例を示す正面図である。」【0067】 「上述したようにカメラ602で取り込んだ画像データは,画像処理アルゴリズムで処理してドット605を抽出し,歪率補正のアルゴリズムにより,カメラ602が原因する歪とカメラ602の傾きによる歪を補正するので,ドットパターン601の画像データを取り込むときに正確に認識することができる。」【0068】 「このドットパターンの認識では,先ず連続する等間隔のドット605により構成されたラインを抽出し,その抽出したラインが正しいラインかどうかを判定する。このラインが正しいラインでないときは別のラインを抽出する。」【0069】 「次に,抽出したラインの1つを水平ラインとする。この水平ラインを基準としてそこから垂直に延びるラインを抽出する。垂直ラインは,水平ラインを構成するドットからスタートし,次の点もしくは3つ目の点がライン上にないことから上下方向を認識する。」【0070】 「最後に,情報領域を抽出してその情報を数値化し,この数値情報を再生する。」【0071】 「図21は本発明のカメラ入力による情報入出力方法の構成を示すブロック図であり,(a)はドットコードの生成について,(b)はドットパターンの認識についての説明図である。図22はドットパターンの一例を示す正面図である。」【0105】 「次に,本発明におけるドットパターンの仕様について図103〜図106を用いて説明する。」【0228】 「ドットパターン部601は,図105に示すように,格子状に配置されたドットで構成されている。なお縦横方向の格子線はドットの配置位置を説明するためのものであり実際の印刷物上には存在しない。」【0229】 「ここで,図105における4×5個の格子領域を1つのデータブロックまたは格子ブロックと呼び,この格子領域の四隅(格子線の交点(格子点)上)には格子ドットLDが配置されている。格子ドットLD同士の間隔は0.35mm〜1.0mm,好ましくは0.5mm程度であることが最適である。また,ドットの直径は前記格子ドット間隔の8〜10%程度であることが望ましい。」【0230】(訂正後) 「どの格子領域からどの格子領域までが1つのデータであるかを示すためにキードットKDを配置している。」【0231】(訂正後) 「キードットKDとは,格子ドットLDの位置をずらしたものである。すなわち,格子ドットLDは本来格子点上に配置されているが,この位置をずらしてキードットKDを配置している。なお,キードットKDの格子点からのずれは約20%前後程度が好ましい。」【0232】 「前記キードットKDに囲まれた領域,またはキードットKDを中心にした領域が1つのデータを構成している。」【0233】 「このデータの並びは,図104に示すように,左上から下方向に向かって順番に配置されている。」【0234】 「データは,図103に示すように,ドット605を格子領域内の中心点からどの程度ずらすかによってデータ内容が定義できるようになっている。同図では,中心から等距離で45度ずつそれぞれずらした点を8個定義することによって単一の格子領域で8通り,すなわち3ビットのデータを表現できるようになっている。なお,さらに中心点から距離を変更した点をさらに8個定義すれば16通り,すなわち4ビットのデータを表現できる。」【0235】(訂正後) 「本発明のドットパターンは,1個のデータブロックを構成する格子を自由に定義することができる点に特徴がある。つまり,前述のようにキードットKDがデータ領域の範囲を定義しているため,このキードットKDの配置を変更すれば任意の可変長の格子領域群をデータ格納領域として扱うことができるわけである。」【0236】(訂正後) 「また,本発明のドットパターンでは,キードットのずらし方を変更することにより,同一のドットパターン部であっても別の意味を持たせることができる。つまり,キードットKDは格子点からずらすことでキードットKDとして機能するものであるが,このずらし方を格子点から等距離で45度ずつずらすことにより8パターンのキードットを定義できる。」【0237】 「ここで,ドットパターン部をC−MOS等の撮像手段で撮像した場合,当該撮像データは当該撮像手段のフレームバッファに記録されるが,このときもし撮像手段の位置が紙面の鉛直軸(撮影軸)を中心に回動された位置,すなわち撮影軸を中心にして回動した位置(ずれた位置)にある場合には,撮像された格子ドットとキードットKDとの位置関係から撮像手段の撮像軸を中心にしたずれ(カメラの角度)がわかることになる。この原理を応用すれば,カメラで同じ領域を撮影しても角度という別次元のパラメータを持たせることができる。そのため,同じ位置の同じ領域を読み取っても角度毎に別の情報を出力させることができる。」【0238】 「いわば,同一領域に角度パラメータによって階層的な情報を配置できることになる。」【0239】 「この原理を応用したものが図74,図76,図78に示すような例である。図74では,ミニフィギュア1101の底面に設けられたスキャナ部1105でこのミニフィギュア1101を台座上で45度ずつ回転させることでドットパターン部の読取り情報とともに異なる角度情報を得ることできるため,8通りの音声内容を出力させることができる。」【0240】 「本発明において,ダミードットDDを定義することができる。このダミードットDDは,4個の格子ドットLDの正中心に配置したドットである(図106(a)参照)。このようなダミードットは,マスク領域毎に境界を定義した絵本等に適している。図106(c)に示すようにmask1とmask2の領域の境界にダミードットDDを配置している。このようなマスク境界にダミードットDD領域を配置することにより,それぞれのマスク領域に定義されたコード情報を同時に読み取ってしまうことを防止している。図106(d)はダミードットDDの配置状態を示した図である。」【0241】 「また,絵本等の背景部分については,格子ドットの中心にドットを配置しない空ドットを配置することが好ましい。空ドットは,情報が記録された通常のデータドットに比べてドット数が少ないため,ドットパターンの目立たない印刷が可能となる。また,空ドットの連続であるために,模様が生じにくく,単一色の背景に適している。」【0242】 「また,本発明では,本来撮影中心を含む1ブロック分のデータを解析する必要があるが,撮影中心の近傍の格子データ(情報データ)をブロックをまたがって読取りデータとしてもよい。このような場合,本来の1ブロックから欠けている情報データに該当するデータを隣り合う他のブロックから読み込んで1ブロック分のデータに補完して入力を完了することができる。」【0243】 「XY座標を定義するドットパターンについては,撮影中心とは異なるブロックからそれに相当するXY座標を構成する情報ドットを読み,補正をかけて撮影中心のXY座標値とすることができる。」【0244】 「本発明は,以上に説明したような,格子ドットを用いたドットパターンであるため,撮影条件にあまり左右されないという特性を有している。すなわち,撮影条件(カメラのレンズのひずみ,カメラの写す角度,紙の変形) によってドットパターン全体がひずみを起こした場合,4個の格子ドットで形成される形状と,情報ドットの位置のずれが同様に起きるため,格子ドットからの相対的な位置関係にかわりはなく,これら格子ドットを基準に補正計算を行えば,各情報ドット,キードットについての真の位置がわかる。」【0245】 「つまり,本発明の格子ドットを用いたドットパターンは歪みに強いといえる。」【0246】 「本件特許の図面の【図5】 」 「本件特許の図面の【図6】 」 「本件特許の図面の【図7】 」 「本件特許の図面の【図8】 」 「本件特許の図面の【図103】 」 「本件特許の図面の【図104】 」 「本件特許の図面の【図105】 」 「本件特許の図面の【図106】 」 (4)補正要件違反について ア 補正の内容 (ア)本件特許について平成23年6月30日付けでした補正(以下「本件補正」という。)は,以下の内容を含む。 a 平成23年6月30日付け手続補正書による補正後の特許請求の範囲の請求項1の「前記所定のドットパターンは,媒体面上に形成され,且つデータ内容が定義できる情報ドットが配置されたドットパターンであって,縦横方向に等間隔に設けられた格子線の交点である格子点を中心に,前記情報ドットをいずれかの方向に,どの程度ずらすかによってデータ内容を定義し,」との事項が追加されたこと(以下,この補正部分を「本件補正第1部分」といい,この補正に係る「前記所定のドットパターンは」,「縦横方向に等間隔に設けられた格子線の交点である格子点を中心に,前記情報ドットを前記格子点の中心から等距離で45°づつずらした方向のうちいずれかの方向に,どの程度ずらすかによってデータ内容を定義し」との構成要件を「構成要件1」という。) b 平成23年6月30日付け手続補正書による補正後の特許請求の範囲の請求項1の「前記情報ドットが配置されて情報を表現する部分を囲むように,前記縦方向の所定の格子点間隔ごとに水平方向に引いた第一方向ライン上と,該第一方向ラインと交差するように前記横方向の所定の格子点間隔ごとに垂直方向に引いた第二方向ライン上とにおいて,該縦横方向の複数の格子点上に格子ドットが配置された」(以下,この補正部分を「本件補正第2部分」という。)との事項が追加されたこと(以下,この補正に係る「前記情報ドットが配置されて情報を表現する部分を囲むように,前記縦方向の所定の格子点間隔ごとに水平方向に引いた第一方向ライン上と,該第一方向ラインと交差するように前記横方向の所定の格子点間隔ごとに垂直方向に引いた第二方向ライン上とにおいて,該縦横方向の複数の格子点上に格子ドットが配置された」との構成要件を「構成要件2」という。) c 段落【0010】の記載について,上記a及びbと同じ変更がされたこと イ 出願当初明細書等の記載 (ア)本件特許に係る出願当初明細書等には,本件特許の図面の【図2】,【図5】〜【図8】,【図22】,【図103】〜【図106】と同じ図面に加え,上記(3)の段落【0067】〜【0071】,【0228】〜【0246】と同一の段落に同一の記載がある。 そして,上記図面のうち,【図2】及び【図22】は,いずれも,発明の詳細な説明において,ドットパターンを示す一例であるとだけ記載され,ドットパターンの内容に関する説明はなく(【0058】,【0105】),発明の詳細な説明にドットパターンの内容についての記載があるのは,【図5】〜【図8】のドットパターンと,【図103】〜【図106】のドットパターンである。 (イ)a 出願当初明細書等の【図5】〜【図8】のドットパターンに関係して,上記(3)のとおり,【0067】〜【0071】の記載がある。これらには,情報を示すドットパターンについて,等間隔のドットにより構成されたラインが抽出されるとともに,そのうちの一つを水平ラインとして,そこから垂直に延びるラインを抽出し,その垂直ラインは,水平ラインを構成するドットの次の点,または3つ目の点がライン上にないことから上下方向を認識し,情報領域を抽出して,その数値情報を再生することが記載されている(以下,【図5】〜【図8】や上記発明の詳細な説明に記載されている技術思想のドットパターンを「図5ドットパターン」ということがある。)。 b ここで,下記【図5】の参考図に示すように,【図5】において縦方向に引かれた16本のラインを左から縦1,縦2,縦3,・・・,縦16と呼び,横方向に引かれた16本のラインを上から横1,横2,横3,・・・,横16と呼ぶこととする。 「【図5】の参考図 」 横1,横13上には,水平方向に等間隔にドットが配置されている。縦1は,横1,横13上に配置されたドットから垂直方向に延びるところ,縦1上には,垂直方向に基本的に等間隔にドットが配置されている。ただし,縦1と横4との交点にはドットはなく,その交点から左に矢印が伸び,その先にドットがあり,このドットに「x,y座標フラグ」との説明がある。また,縦13上には,垂直方向に基本的に等間隔にドットが配置されているが,縦13と横4との交点にはドットがなく,その左側にドットがある。そして,【図5】には,概ね,縦1,縦13,横1,横13で囲まれる範囲に対応する,点線で囲まれた部分が「この部分で情報を表現」と説明されている。そうすると,【図5】では,横1,横13が第一方向ラインであり,縦1,縦13が第二方向ラインであって,それらにより情報領域が示されているといえる。また,【図5】で「情報を表現」として記載されている部分をみると,例えば,縦4,縦7,縦10と,横4,横7,横10の各交点について,水平方向及び垂直方向に矢印が示され,その先に水平方向及び垂直方向に各1個のドットが記載されている。縦4と横4上の交点について,同交点から上にずれた場合はy1を示し,下にずれた場合はy0を示し,右にずれた場合はx1を示し,左にずれた場合はx0を示すと記載され,【図5】では,上にずれたドットと右にずれたドットが示され,それがx座標,y座標ともに1を示す旨が記載されている。そして,【図5】のドットパターンがx座標,y座標を示しているとして,その具体的な座標が記載されている。 c 出願当初明細書等の【図6】に示されたドットパターンは,概ね出願当初明細書等の【図5】に示されたドットパターンと同じであるが,第二方向ライン上にドットがない部分について右に矢印が示されその先にドットがあり,このドットに「一般コードフラグ」との説明がある。第一方向ラインと第二方向ラインで概ね囲まれる「この部分で情報を表現」とされている部分では,第一方向ライン上に配置されたドットから垂直方向に延びるラインと,第二方向ライン上に配置された各ドットから水平方向に延びるラインの交点から,上にずれた場合にはc0,右にずれた場合にはc1,下にずれた場合にはc2,左にずれた場合にはc3などと示され,各交点について,水平方向又は垂直方向にずれたドットが1個示されている。そして,【図6】のドットパターンがコードを示しているとして,その具体的なコードが記載されている。 d 出願当初明細書等の【図7】に示されたドットパターンは,概ね出願当初明細書等の【図5】に示されたドットパターンと同じであり,第一方向ラインと第二方向ラインで概ね囲まれ「この部分で情報を表現」とされている部分では,第一方向ライン上に配置されたドットから垂直方向に延びるラインと,第二方向ライン上に配置された各ドットから水平方向に延びるラインの交点から,上にずれた場合にはy1,下にずれた場合にはy2,右にずれた場合にはx2,左にずれた場合にはx1などと示され,各交点について,水平方向又は垂直方向にずれたドットが1〜3個示されている。そして,【図7】のドットパターンがx座標,y座標を示しているとして,その具体的な座標が記載されている。 e 出願当初明細書等の【図8】に示されたドットパターンは,概ね出願当初明細書等の【図5】に示されたドットパターンと同じであるが,第二方向ライン上にドットがない部分について右に矢印が示されその先にドットがあり,このドットに「一般コードフラグ」との説明がある。第一方向ラインと第二方向ラインで概ね囲まれ「この部分で情報を表現」とされている部分では,第一方向ライン上に配置されたドットから垂直方向に延びるラインと,第二方向ライン上に配置された各ドットから水平方向に延びるラインの各交点について,水平方向又は垂直方向にずれたドットが1〜3個示されている。そして,【図8】のドットパターンがコードを示しているとして,その具体的なコードが記載されている。 (ウ)a 出願当初明細書等の【図103】〜【図106】のドットパターンに関係して,上記(3)のとおり,段落【0228】〜【0239】の記載がある。これらによれば,そのドットパターンは,格子状に配置されたドットで構成される。そして,格子ドットLDと呼ばれるドットを四隅に配置し,その4つの格子ドットLDで囲まれた領域の中心からどの程度ずらすかによってテータ内容が定義され,例えば,同領域の中心から等距離の位置で45度づつずらした点を8個定義することで,8通りのデータを表現でき,このずらす距離を変更した点を8個定義することで16通りのデータを表現できる。また,格子ドットLDは,本来,縦横方向の格子線の交点上である格子点上に配置されるが,その位置をずらしたドットをキードットKDとして,このキードットKDに囲まれた領域,又は,キードットKDを中心にした領域が一つのデータを示している。また,キードットKDを格子点から等距離で45°づつずらすことにより,その角度ごとに別の情報を定義することができることなどが記載されている。(以下,【図103】〜【図106】や上記発明の詳細な説明に記載されている技術思想のドットパターンを「図105ドットパターン」ということがある。) b ここで,下記【図105】の参考図に示すように,【図105】において縦方向に引かれた19本のラインを左から縦1,縦2,縦3,・・・,縦19と呼び,横方向に引かれた11本のラインを上から横1,横2,横3,・・・,横11と呼ぶこととする。 「【図105】の参考図 」 【図105】においては,例えば,垂直方向の格子線である縦1,縦3,縦5と,水平方向の格子線である横1,横3,横5の交点に格子ドットが配置され,格子ドットが四隅に配置されている領域が示されている(例えば,縦1と横1の交点,縦1と横3の交点,縦3と横3の交点,及び縦3と横1の交点を四隅とするもの,縦1と横3の交点,縦1と横5の交点,縦3と横5の交点,及び縦3と横3の交点を四隅とするもの)。そして,その4個の格子ドットで囲まれる領域の中心から等距離の位置でいずれかの位置に1個のドットが配置されていることが示され(例えば,縦2と横2の交点から右にずれたドット,縦2と横4の交点から下にずれたドット),【図105】全体では,上記領域の中心から等距離の位置で,45°づつずれた位置のいずれか1つの位置にドットが配置されることが記載されている。また,【図103】には,交点から45°づつずれた位置にドットを配置する構成が記載されている。そして,縦3と横1の交点から上にずれたドットや縦11と横1の交点から上にずれたドットは,垂直方向の格子線である縦3又は縦11上にあるが,水平方向の格子線である横1上にはなく,これらは,格子線の交点からずれたキードットKDであることが示されている。 ウ(ア)図105ドットパターンにおいては,情報ドットは,四隅を格子ドットで囲まれた領域の中心からずれた位置に置かれるところ,構成要件1の情報ドットは,「縦横方向に等間隔に設けられた格子線の交点である格子点の中心」からずれた位置に置かれる。図105には,水平又は垂直の格子線の中間に各格子線と平行な線が引かれているが,出願当初明細書等に,「格子状に配置されたドットで構成されている。」(【0229】),「格子領域の四隅(格子線の交点(格子点)上)には格子ドットLDが配置されている」(【0230】(訂正後)),「4個の格子ドットLDの正中心に配置したドットである(図106(a)参照)」(【0241】)と記載されているとおり,格子ドットは等間隔に配置されたドットにより構成された水平ラインと垂直ラインの交点であり,格子線は格子ドットを結ぶラインであるから,図105に示された各格子線の中間に引かれた線は格子ドットで囲まれた領域の中心を示すために参考として引かれた補助線にすぎず,格子線とは認められない(図106(a)のように,格子ドット同士を対角線で結べば,その交点は「格子線の交点」となるが,その線は構成要件1に規定する「縦横方向」のラインではない。)。 そうすると,「縦横方向に等間隔に設けられた格子線の交点である格子点の中心」を基点として情報ドットが位置付けられることを構成要件とする本件補正第1部分は,図105のドットパターンとは似て非なるものであり,そもそも図105ドットパターンに基づく補正であるとは認められない。 (イ)図5ドットパターンにおいては,情報を表現するドットは,格子ドットから上下左右の格子線上にずらした位置に配置されるところ,構成要件1の情報ドットは「格子点の中心から等距離で45°づつずらした方向のうちいずれかの方向」に配置されるものであるから,本件補正第1部分は,図5ドットパターンに基づく補正であるとは認められない。 (ウ)そのほか,出願当初明細書等に本件補正第1部分に対応する記載は認められないから,本件補正前の本件補正第1部分に対応する部分と構成要件1とを対比するまでもなく,本件補正第1部分は新たな技術的事項を導入するものである。 (エ)以上のとおり,本件補正第1部分は新たな技術的事項を導入するものであることが明らかであり,本件補正第2部分について判断するまでもないが,事案に鑑み,更に検討する。 エ(ア)本件補正による補正後の構成要件1は「前記所定のドットパターンは」,「縦横方向に等間隔に設けられた格子線の交点である格子点を中心に,前記情報ドットを前記格子点の中心から等距離で45°づつずらした方向のうちいずれかの方向に,どの程度ずらすかによってデータ内容を定義し」である。 被請求人の主張によれば,上記構成要件1に係る構成は,出願当初明細書等の段落【0228】〜【0239】及び【図105】に記載されているものである。 他方,図5ドットパターンにおいて,出願当初明細書等の【図5】〜【図8】では,縦横方向に等間隔で設けられた格子線(例えば縦4,縦7,縦10,横4,横7,横10)の交点から等距離に,水平方向及び(又は)垂直方向にずらした位置に各1〜3個のドットが記載されて情報を示している。これらでは,縦横方向に等間隔に設けられた格子線の交点である格子点を中心に,情報内容を定義するドットが格子点の中心からずれることで情報が示されているといえるが,情報内容を定義するドットは,水平方向及び(又は)垂直方向にずらされるのであり,等距離で90°づつずらしているとはいえるとしても,等距離で45°づつずらしているものではない。【図5】〜【図8】では,格子線の間に設けられた垂直方向及び水平方向のライン(例えば,縦3,縦5,横3,横5)が示された上で,それらのラインや格子線の交点(例えば,縦4と横3の交点,縦5と横4の交点)に情報を示すドットが示されていて,これは情報を示すドットを格子点の中心から等距離で90°づつずらすことを前提としているものであり,このように交点に情報を示すドットを配置するこの図では情報を示すドットを等距離で45°づつずらすことは想定されていない。そうすると,上記構成要件1に係る構成は,出願当初明細書等の段落【0067】〜【0071】及び【図5】〜【図8】に記載されているものではない。 (イ)本件補正による補正後の構成要件2は「前記情報ドットが配置されて情報を表現する部分を囲むように,前記縦方向の所定の格子点間隔ごとに水平方向に引いた第一方向ライン上と,該第一方向ラインと交差するように前記横方向の所定の格子点間隔ごとに垂直方向に引いた第二方向ライン上とにおいて,該縦横方向の複数の格子点上に格子ドットが配置された」である。 上記(ア)のとおり,被請求人の主張によれば,本件補正による補正後の構成要件1に係る構成は,図105ドットパターンに関する記載において記載されているものである。しかし,図105ドットパターンにおいては,縦横方向の格子線の交点上である格子点上に格子ドットLDが配置され,その位置をずらしたドットをキードットKDとして,このキードットKDに囲まれた領域,又は,キードットKDを中心にした領域が一つのデータを示すものとされている。このようなキードットKDに囲まれた領域又はキードットKDを中心にした領域が一つのデータを示すものであり,「前記情報ドットが配置されて情報を表現する部分」(構成要件2)であるといえるところ,図105ドットパターンでは,前記のようにキードットKDによって,それに囲まれた領域,又はそれを中心にした領域が情報を表現する部分とされているのであり,また,【図105】では,情報を表現する部分はキードットKDにより囲まれていることが示されているのであって,そうである以上,「第一方向ライン」及び「第二方向ライン」(構成要件2)として特定される水平方向及び垂直方向のラインによって,情報を表現する部分を囲んでいると直ちにいえるものではない。したがって,「第一方向ライン」,「第二方向ライン」がない以上,情報を示すドットが配置されて情報を表現する部分を囲むような「第一方向ライン」及び「第二方向ライン」上にドットが配置されているということもできない。以上によれば,上記構成要件2に係る構成は,出願当初明細書等の段落【0228】〜【0239】及び【図105】に記載されているとは認められない。 なお,図5ドットパターンについて,補正後の構成要件1に係る構成の記載はないのであるが,図5ドットパターンには,情報ドットが配置されて情報を表現する部分を囲むように,縦方向の所定のドットの間隔ごとに水平方向に引いた水平ラインと,水平ラインと交差するように横方向の所定のドットの間隔ごとに垂直方向に引いた垂直ラインが存在し,また,それらのライン上において,複数の格子点上に格子ドットが配置されているといえる。したがって,上記構成要件2に係る構成は,出願当初明細書等の段落【0067】〜【0071】及び【図5】〜【図8】に記載されているとはいえる。 オ(ア)上記エによれば,出願当初明細書等において,仮に構成要件1に係る構成は,段落【0228】〜【0239】及び【図105】には記載されているとはいえても,そこで記載されているドットパターンである図105ドットパターンは構成要件2の構成を有するものではない。また,出願当初明細書等において,構成要件2に係る構成は,段落【0067】〜【0071】及び【図5】〜【図8】には記載されているとはいえるが,そこで記載されているドットパターンである図5ドットパターンは構成要件1の構成を有するものではない。 そして,図5ドットパターンと図105ドットパターンは,情報ドットのずらし方,1つの交点に対する情報ドットの個数,情報ドット以外のドットの配置,格子線又はラインのうち特定のものを「第一方向ライン」等として特定するか否か,垂直ライン上のドットが本来の位置からのずれ方によってデータの種類を表すか否か,1つのデータを区画するキードットKDが存在するか否か等,多くの点で相違しており,これらの相違は,各実施例が開示する技術的事項,すなわちドットパターンによる情報の定義方法が相当に異なることに起因する。出願当初明細書等は,極小領域であってもコード情報やXY座標情報が定義可能なドットパターンを提供するとし(【0008】),複数のドットパターンを記載しているのであるが,そこに記載されたドットパターンである図5ドットパターンと図105ドットパターンの情報の定義方法は上記のとおり相当に異なるのであり,また,出願当初明細書等に,これらの異なる情報定義方法を採用した各ドットパターンが採用する情報定義方法を相互に入れ替えたり,重ねて採用したりすることについては何ら記載されていない。したがって,出願当初明細書等に,これらのドットパターンを組み合わせたものについての記載があるとはいえないし,それが当業者に自明であるともいえない。 以上によれば,出願当初明細書等には,本件補正によって変更された構成要件1及び構成要件2の構成をいずれも備えるドットパターンについての記載があるとはいえない。 そうすると,出願当初明細書等において,全ての記載を総合したとしても,出願当初明細書等には,本件補正による補正後のドットパターンが記載されているとはいえず,本件補正は,出願当初明細書等に開示されていない新たな技術的事項を導入するものである。 (イ)被請求人は,【図103】〜【図106】の実施例と【図5】〜【図8】の実施例は,共通の課題を解決するための異なる実施例であり,これらを組み合わせることは当業者には自明の範囲のものであると主張する。 しかしながら,【図5】〜【図8】の実施例で示される図5ドットパターンと【図103】〜【図106】の実施例で示される図105ドットパターンでは,上記のとおり,情報の定義方法が相当に異なり,それを組み合わせることが当業者に自明とはいえないし,出願当初明細書等にそのような組み合わせを前提とした記載も存在しないから,被請求人の主張は採用することができない。 (5)小括 したがって,本件補正は,出願当初明細書等の記載等から導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入したものであるから,特許法第17条の2第3項の補正要件に違反するものである。 よって,本件特許発明1〜3に係る特許は,特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願に対してされたものであるから,特許法第123条第1項第1号の規定に該当し,無効とすべきものである。 2 無効理由3(特許法第36条第6項第1号)について 次に,無効理由3について判断する。 特許請求の範囲の記載がサポート要件に適合するか否かは,特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し,特許請求の範囲に記載された発明が,発明の詳細な説明に記載された発明で,発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できる範囲のものであるか否か,また,発明の詳細な説明に記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。 以下,この観点に立って,判断する。 (1)本件特許発明1について 本件特許発明1は,「前記所定のドットパターンは」,「縦横方向に等間隔に設けられた格子線の交点である格子点を中心に,前記情報ドットを前記格子点の中心から等距離で45°づつずらした方向のうちいずれかの方向に,どの程度ずらすかによってデータ内容を定義し」との構成要件1を含むものであるところ,上記1(4)ウのとおり,当該構成要件1に係る構成は,出願当初明細書等に記載されているとは認められない。 また,本件特許発明1は,「前記所定のドットパターンは」,「縦横方向に等間隔に設けられた格子線の交点である格子点を中心に,前記情報ドットを前記格子点の中心から等距離で45°づつずらした方向のうちいずれかの方向に,どの程度ずらすかによってデータ内容を定義し」との構成要件1と,「前記情報ドットが配置されて情報を表現する部分を囲むように,前記縦方向の所定の格子点間隔ごとに水平方向に引いた第一方向ライン上と,該第一方向ラインと交差するように前記横方向の所定の格子点間隔ごとに垂直方向に引いた第二方向ライン上とにおいて,該縦横方向の複数の格子点上に格子ドットが配置された」との構成要件2をいずれも備えるドットパターンの発明であるところ,上記1(4)オ(ア)のとおり,出願当初明細書等には,構成要件1及び構成要件2の構成をいずれも備えるドットパターンについての記載があるとはいえない。 そして,本件特許明細書は,平成23年6月30日付け手続補正により段落【0010】〜【0012】が変更され,段落【0033】,【0041】,【0044】,【0045】,【0048】,【0050】が削除されているが,それ以外は出願当初明細書と同じであり,また,特許請求の範囲については,願書に最初に添付した特許請求の範囲から変更されているが,図面については,願書に最初に添付した図面から変更,削除はされていない。 そうすると,出願当初明細書等に,構成要件1に係る構成は記載されておらず,また,構成要件1及び構成要件2の構成をいずれも備えるドットパターンについての記載があるともいえないのであるから,本件特許明細書の発明の詳細な説明にも,構成要件1に係る構成,或いは,構成要件1及び構成要件2の構成をいずれも備えるドットパターンについての記載があるとはいえない。 したがって,構成要件1を備えるドットパターンである本件特許発明1,或いは,構成要件1及び構成要件2の構成をいずれも備えるドットパターンである本件特許発明1は,発明の詳細な説明に記載されたものではないから,本件特許発明1に係る発明は,サポート要件に適合しない。 (2)本件特許発明2について 本件特許発明2は,本件特許発明1の構成を全て含むものであるところ,上記(1)のとおり,構成要件1を備えるドットパターンである本件特許発明1,或いは,構成要件1及び構成要件2の構成をいずれも備えるドットパターンである本件特許発明1は,サポート要件に適合しないものであるから,本件特許発明2も,同様に,サポート要件に適合しない。 (3)本件特許発明3について 上記(2)と同様の理由により,本件特許発明3も,サポート要件に適合しない。 (4)小括 したがって,本件特許発明1〜3に係る特許は,特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから,同法第123条第1項第4号に該当し,無効とすべきものである。 3 無効理由1(特許法第36条第4項第1号)について 次に,無効理由1について判断する。 特許法第36条第4項は,「前項第三号の発明の詳細な説明の記載は,次の各号に適合するものでなければならない。」と記載され,その第1号において,「経済産業省令で定めるところにより,その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載しなければならない。」と規定している。同号は,明細書のいわゆる実施可能要件を規定したものであって,ものの発明では,そのものを製造し使用するための具体的な記載が発明の詳細な説明にあるか,そのような記載がない場合には,明細書及び図面の記載及び出願時の技術常識に基づき,当業者が過度の試行錯誤や複雑高度な実験等を行う必要なく,そのものを製造し使用することができる程度にその発明が記載されていなければならないと解される。 以下,この観点に立って,判断する。 (1)本件特許発明1は,「前記所定のドットパターンは」,「縦横方向に等間隔に設けられた格子線の交点である格子点を中心に,前記情報ドットを前記格子点の中心から等距離で45°づつずらした方向のうちいずれかの方向に,どの程度ずらすかによってデータ内容を定義し」との構成要件1と,「前記情報ドットが配置されて情報を表現する部分を囲むように,前記縦方向の所定の格子点間隔ごとに水平方向に引いた第一方向ライン上と,該第一方向ラインと交差するように前記横方向の所定の格子点間隔ごとに垂直方向に引いた第二方向ライン上とにおいて,該縦横方向の複数の格子点上に格子ドットが配置された」との構成要件2をいずれも備えるドットパターンの発明であるところ,上記2で検討したように,本件特許明細書の発明の詳細な説明には,構成要件1に係る構成,或いは,構成要件1及び構成要件2の構成をいずれも備えるドットパターンの具体的な記載はないし,当業者がそのドットパターンを製造し使用することができる程度に記載されているともいえない。 したがって,本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載は,構成要件1及び構成要件2の構成をいずれも備える本件特許発明1のドットパターンに係る発明を,当業者が実施することができる程度に明確かつ十分に記載したものとはいえない。 (2)本件特許発明2について 本件特許発明2は,本件特許発明1の構成を全て含むものであるから,本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載は,本件特許発明2のドットパターンに係る発明を,当業者が実施することができる程度に,明確かつ十分に記載したものとはいえない。 (3)本件特許発明3について 上記(2)と同様の理由により,本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載は,本件特許発明3のドットパターンに係る発明を,当業者が実施することができる程度に,明確かつ十分に記載したものとはいえない。 (4)小括 したがって,本件特許発明1〜3に係る特許は,特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから,同法第123条第1項第4号に該当し,無効とすべきものである。 第7 むすび 以上のとおりであるので,本件特許発明1〜3に係る特許は,無効理由1,無効理由2及び無効理由3により,無効とすべきものである。 審判に関する費用については,特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により,被請求人が負担すべきものとする。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、この審決に係る相手方当事者を被告として、提起することができます。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 音声情報再生装置 【技術分野】 【0001】 本発明は、印刷物に形成したドットパターン情報を光学的に読み取り該ドットパターンに対応した種々の情報を再生する技術に関する。 【背景技術】 【0002】 従来より、光センサを用いて絵本やゲームカードに印刷されたバーコードを読み取り、特定の音声を発音させる音声発生玩具が提案されている。これらの音声発生玩具では、読み込んだバーコードに対応した音声情報をメモリから読み出すことで多種の音声情報を再生できるようにしていた。 【0003】 しかし、このようなバーコードを用いた技術は、紙面上にバーコード印刷用の専用領域を確保しなければならず、かつバーコードは情報処理システムが読み取るためのものであり、絵本や書籍の読者にとっては目視でそのコード内容を把握しかねるものであったため、限られた紙面上にバーコードが印刷されていることは読者にとっては煩わしく絵本等書籍の製品価値を下げかねないものとなっていた。 【0004】 さらに、上記のようにバーコード技術は、紙面上に印刷された文字、図形、記号に重ねて印刷することができないために、これらの文字、図形、記号等に対して音声再生を行いたい場合に文字等の近傍にバーコードを印刷するしかなく、読者にとって直感的に文字等に別の音声情報等が付加されていることを伝えにくい特性を有していた。 【0005】 この点について、特開平10−261059号公報に開示されている「ドットコード」技術では、ドットパターンで印刷されたコード情報を読み取って情報を再生させる方法が提案されている。 【0006】 係る先行技術では、ブロック領域内のドットパターンの配置の仕方によってデータを定義するとともに、データドットパターンではあり得ないドットパターンでマーカを定義することにより、これを同期信号として機能させている。したがって、この技術では、ドットを所定の法則で紙面の二次元方向に印刷したドットパターンをペン型のスキャナで読み取り、このスキャナの走査速度と走査方向を情報処理装置で解析して予め対応付けられた音声等の情報を再生させる方法となっている。 【0007】 しかし、係るドットコード技術では、動的にスキャナを走査させることを前提としているために、紙面に印刷された文字に沿って音声情報を再生することは可能であるものの、紙面上にキャラクタ等が自由に印刷配置された絵本等で静的に読取装置を当接させるだけで情報を再生させたいような用途には不向きであった。すなわち、このドットコード技術では意味のあるコード情報を取得するためにはXY座標上で一定の距離以上のスキャニングを実行する必要があるため、紙面上に印刷された極小領域にドットコードを対応付けて印刷することはできなかった。 【特許文献1】特開平10−261059号公報 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0008】 本発明は、極小領域であってもコード情報やXY座標情報が定義可能なドットパターンを提案し、係るドットパターンに基づいた情報再生方法および情報再生装置を提案するものである。 【0009】 特に、ドットパターンに関連付けられた音声情報を再生する音声情報再生装置を提案するものである。 【課題を解決するための手段】 【0010】 (1)本発明に係る音声情報再生装置は、媒体表面に印刷され、所定の配置法則で印刷された所定のドットパターンを読み取る光学読取手段と、予め所定の音声情報をドットパターンと関連づけた参照テーブルと、前記音声情報が記憶された音声記憶手段と、前記光学読取手段によって前記ドットパターンが読み取られたときに、前記参照テーブルを参照して前記音声記憶手段から当該ドットパターンに関連付けられた音声情報を読み出して出力する音声出力手段とからなる音声情報再生装置であって、前記所定のドットパターンは、媒体面上に形成され、且つデータ内容が定義できる情報ドットが配置されたドットパターンであって、縦横方向に等間隔に設けられた格子線の交点である格子点を中心に、前記情報ドットを前記格子点の中心から等距離で45°の2倍である90°づつずらした前記縦横方向のうちいずれかの方向に、どの程度ずらすかによってデータ内容を定義し、前記情報ドットが配置されて情報を表現する部分を囲むように、前記縦方向の所定の格子点間隔ごとに水平方向に引いた第一方向ライン上と、該第一方向ラインと交差するように前記横方向の所定の格子点間隔ごとに垂直方向に引いた第二方向ライン上とにおいて、該縦横方向の複数の格子点上に格子ドットが配置されたドットパターンであることを特徴とする。 【0011】 (2)さらに、前記ドットパターンは、水平方向および/または垂直方向に、複数繰り返されていることを特徴とする。 【0012】 (3)さらに、前記格子ドットの1つは、前記格子点からのずれ方によって一般コードまたはXY座標を示すフラグを意味していることを特徴とする。 【0013】 (4)また、本発明は、種々のマルチメディア情報を認識させるためにドットコード生成アルゴリズムにより生成されたドットを所定の規則に則って配列したドットパターン部が形成された印刷物等の媒体を読取り手段で画像データとして読み取り、該ドットパターン部の画像データをコードデータ化し、該コードデータに対応したマルチメディア情報を記憶手段から読み出して再生するようにしたものである。 【0014】 ここで、マルチメディア情報とは、音声、画像、動画情報、さらには文字、記号等の可視、可聴、可読な情報のいずれであってもよい。さらには他のパーソナルコンピュータ、テレビ受像システムやラジオ放送端末から動画・音声情報、文字情報等を再生させるためのデジタルデータであってもよい。 【0015】 ここで、ドットパターン部には、記憶手段に登録された音声データに対応するコード情報を定義しておいてもよいし、XY座標値を定義しておいてもよい。また、コード情報とXY座標値とを混在させておいてもよい。ドットパターン部のヘッダには当該ドットパターン部がコード情報なのかXY座標なのかを定義するフラグを登録しておくことができる。 【0016】 媒体としては絵本や写真とすることができ、この絵本等の絵柄に対応した音声情報を認識させるためのドットパターン部を絵柄に重畳して印刷しておいてもよい。 【0017】 また、ドットパターン部はシール材に印刷してもよい。 【0018】 また、ドットパターン部を透明フィルムに形成してもよい。その場合、当該透明フィルムは紙面に重ねて配置してもよいし、当該透明フィルムをタッチパネルとして、電子機器の表示手段上に貼付してもよい。この場合、表示手段に指示情報を表示させてユーザに対して読み取り手段の操作を促してもよい。 【0019】 また、前記タッチパネルと前記紙面等の媒体または表示手段の画面との間に、赤外線遮断フィルタを配置してもよい。 【0020】 なお、タッチパネルは前記の表示手段に貼付する場合の他、絵本等の書籍、図面等に貼付してもよい。 【0021】 なお、読取り手段をパーソナルコンピュータ、PDA、携帯電話等の電子機器と別体にして構成し、これらを有線、無線、光通信でデータ転送するようにしてもよいが、読取り手段を電子機器に収容して一体化してもよい。この場合、電子機器は上記の他にペン型のケース、マウス等の形状で構成することも可能である。 【0022】 (5)また、本発明は、種々の情報を認識させるためにドットコード生成アルゴリズムによりドットを所定の規則により配列したドットパターン部と、文字または図等で表示することにより、そのまま情報内容を認識させる情報伝達部とを印刷物の同一面に印刷して、このドットパターン部の画像データのみをカメラユニットで取り込み、この画像データをデジタル化して数値化し、この数値より、前記ドットパターン部に対応した情報およびプログラムを、記憶部より出力および実行させるカメラ入力による情報入出力方法である。 【0023】 前記ドットパターン部と、文字または図等からなる情報伝達部とは印刷物の同一面に重ねて印刷してもよい。 【0024】 また、前記ドットパターン部をXY座標情報で定義し、そのXY座標情報を前記情報伝達部の内容と関連させることもできる。 【0025】 また、前記ドットパターン部はコード番号情報で定義し、そのコード番号情報を前記情報伝達部の内容と関連させることもできる。 【0026】 そして、前記のXY座標情報からなるドットパターン部と、前記コード番号情報からなるドットパターン部とを、前記印刷物の同一平面上に印刷してもよいことは勿論である。 【0027】 なお、ドットパターン部は、赤外線を吸収するインク、カーボンインク、または透明インクで印刷してもよい。 【0028】 また、前記カメラユニットで前記ドットパターン部の画像データを取り込む際に、該ドットパターン部に紫外線を照射してもよい。 【0029】 出力させる情報としては、音声、画像、動画、テキストコード等のデジタルデータが挙げられる。 【0030】 また、デジタルデータのような情報の他にプログラムを出力するようにしてもよい。 【0031】 また、ドットパターン部と同一面に表示される情報伝達部は、文字または図形を印刷したものが挙げられる。 【0032】 また、カメラユニットはC−MOSカメラまたはCCDカメラ等の光撮像素子で構成することができる。以下、カメラユニットと述べるものについてはこのような構成を有するあらゆる撮像手段を含むものとする。 【0034】 また、カメラユニットと画像処理部とを、前記記憶部、処理部および出力部と分離し、インターフェース部を介して送受信するようにしてもよい。このインターフェース部との通信は、有線、無線LAN、ブルートゥース等の無線通信、赤外線通信等の光通信を用いて行ってもよい。 【0035】 また、ドットパターン部を印刷した印刷物に粘着剤を介在させて種々の媒体に貼付して運用してもよい。 【0036】 前記記憶部には文字、画像、動画等の情報の他、プログラムを記憶させてもよい。 【0037】 これらの情報やプログラムは入力部を介して記憶部に記憶させることができる。したがって、ユーザが任意の音声情報を所定のドットパターン部に対応付けて予め記憶させておくことができる。 【0038】 この入力部としては一例としてマイクやライン入力インターフェースが挙げられる。 【0039】 さらに、通信カードを装着可能な構成としてもよい。これによりたとえば、カメラユニットで読み込んだドットパターンを数値化して、その数値化データを通信カードを介してサーバ等のコンピュータに送信できるようにしてもよい。 【0040】 このようにすれば、サーバに膨大なマルチメディア情報を蓄積しておき、通信を介して多彩なマルチメディア情報を再生させることができる。より具体的にはドットパターンにネットワークアドレス(URL:Uniform Resource Locator)を定義しておき、通信カードによりTCP/IP通信網(いわゆるインターネット)に接続することにより、当該ネットワークアドレスに蓄積された音声データを記憶部にダウンロードして再生することができる。 【0042】 (6)また、本発明は、種々の情報を認識させるためにドットコード生成アルゴリズムによりドットを所定の規則により配列したドットパターン部と文字または図等で表示した情報内容を認識させる情報伝達部とを同一面に印刷した印刷物の中で、該ドットパターン部のみの画像データを取り込むカメラユニットと、この画像データをデジタル化して数値化する画像処理部と、前記ドットパターン部に対応した情報およびプログラムを、携帯電話機から出力および実行させるためにデジタル化した数値情報を転送するインターフェース部とを備えた携帯電話機用のカメラを用いた情報入力装置である。 【0043】 このようなカメラ付き携帯電話を用いることにより、簡易な情報再生装置を構成することができる。 【0046】 (7)また、本発明は、携帯用電子玩具を、書籍、ゲームカード、小物類または玩具等の媒体に形成した、種々の音声を認識させるための数値化データやコード情報が記録されたドットパターン部に対して、該ドットパターン部に対応する音声を記憶した音声記憶部と、前記ドットパターン部の画像データを取り込むカメラと、該カメラで取り込んだ画像データを処理すると共に、前記数値化データに対応した音声データを前記音声記憶部から読み出してスピーカから出力させる処理部と、前記音声記憶部と、前記スピーカおよび前記処理部を収納したケース本体とを備えた構成としたものである。 【0047】 このケース本体は、システム手帳大の大きさで構成することができる。また、ケース本体には液晶表示部を設けてもよい。 【0049】 また、前記ドットパターン部に対して照明するライトを前記カメラの近傍に設けてもよい。 【0051】 (8)また、本発明は、所定の形態を有するフィギュアにおいて、情報を認識させるためにドットコード生成アルゴリズムによりドットを所定の規則により配列したドットパターン部と、文字または図等で表示することにより、そのまま情報内容を認識させる情報伝達部とを同一面に印刷した印刷物中のドットパターン部のみの画像データを取り込むカメラと、画像データを数値化してデジタル化する画像処理部と、該画像処理部で画像処理した数値より、前記ドットパターン部から対応し、記憶部の情報およびプログラムを出力および実行させる処理部と出力部とからなるカメラ入力による情報出力機能を有する構成としたものである。 【0052】 また、出力部としてスピーカを用いて音声を出力するようにしてもよい。 【0053】 また、記憶部にマイクを用いて外部から音声で情報やプログラムを記憶させるようにしてもよい。 【0054】 また、フィギュアは、弾力性素材を所定の形態を有する外皮に詰め込んだヌイグルミで構成することができる。 【0055】 また、フィギュアは、情報を認識させるためにドットコード生成アルゴリズムによりドットを所定の規則により配列したドットパターン部と、文字または図等で表示することにより、そのまま情報内容を認識させる情報伝達部とを同一面に印刷した印刷物中のドットパターン部のみの画像データを取り込むカメラと、この画像データをデジタル化して数値化する処理部と、を内蔵したカメラユニット(A)と、前記カメラユニット(A)内の画像処理部で画像処理した数値より、前記ドットパターン部に対応し、記憶部の情報とプログラムを出力および実行させる処理部と出力部と、からなる出力ユニット(B)と、前記カメラユニット(A)と出力ユニット(B)との通信を仲介するインターフェース部を備えたカメラ入力による情報出力機能を有する構成としてもよい。 【発明の効果】 【0056】 本発明によれば、ドットパターンを読み取る光学読取手段と、ドットパターンに対応する音声情報を出力する音声情報出力手段とが一体となっているため、ドットパターンによる音声再生を、より簡易かつ便利に実現することが可能となる。 【図面の簡単な説明】 【0057】 【図1】本発明のドットパターンを用いた情報再生方法の構成を示すブロック図であり、(a)はドットコードの生成について、(b)はドットパターンの認識についての説明図である。 【図2】ドットパターンの一例を示す正面図である。 【図3】絵本と情報再生方法の状態を説明する機能ブロック図である。 【図4】他のドットパターンを用いた情報再生方法の構成を示すブロック図であり、(a)はドットコードの生成について、(b)はドットパターンの認識についての説明図である。 【図5】他のドットパターンの一例を示す正面図である。 【図6】他のドットパターンの一例を示す正面図である。 【図7】他のドットパターンの一例を示す正面図である。 【図8】他のドットパターンの一例を示す正面図である。 【図9】絵本の絵柄と物語の文章を印刷した一例を示す正面図である。 【図10】絵本の絵柄と物語の文章を印刷した他の一例を示す正面図である。 【図11】絵本の絵柄と物語の文章を印刷したさらに他の一例を示す正面図である。 【図12】ドットパターン部を形成したタッチパネルを説明する斜視図である。 【図13】ドットパターン部を形成したタッチパネルを説明する分解側面図である。 【図14】ドットパターン部を形成したマウスパッドとマウス型のカメラとからなる他の実施形態を示す断面図である。 【図15】マウス型カメラを示す平面図である。 【図16】マウス型のカメラの他の実施形態を示すものであり、(a)は平面図、(b)は側面図である。 【図17】さらにマウス型のカメラの他の実施形態を示すものであり、(a)は平面図、(b)は側面図である。 【図18】ドットパターン部を形成した印刷面をタブレットとして利用する他の実施形態を示す断面図である。 【図19】ペン状部材の先端にカメラを取り付けた他の実施形態を示す断面図である。 【図20】さらにペン状部材の先端にカメラを取り付けた他の実施形態を示す断面図である。 【図21】本発明のカメラ入力による情報入出力方法の構成を示すブロック図であり、(a)はドットコードの生成について、(b)はドットパターンの認識についての説明図である。 【図22】ドットパターンの一例を示す正面図である。 【図23】XY座標情報からなるドットパターンを示す説明図である。 【図24】XY座標情報からなるドットパターンを認識し、その処理方法についての説明図である。 【図25】コード番号情報からなるドットパターンを示す説明図である。 【図26】コード番号情報からなるドットパターンを認識し、その処理方法についての説明図である。 【図27】印刷物に赤外線を照射することにより、ノンカーボンのカラーインクで印刷した文字または図等の情報伝達部から、カーボンインクで印刷したドットパターン部の画像データのみをカメラで取り込む状態を説明する説明図である。 【図28】カメラ入力による情報入出力方法を用いた携帯情報入出力装置の実施形態を説明する機能ブロック図である。 【図29】カメラ入力による情報入出力方法を用いた携帯情報入出力装置の実施形態を説明する機能ブロック図である。 【図30】コンパクトなケース本体に収納した携帯情報入出力装置を示す斜視図である。 【図31】他の形状のコンパクトなケース本体に収納した携帯情報入出力装置を示すものであり、(a)は全体の斜視図、(b)は平面図、(c)は側面図と(d)は正面図である。 【図32】カメラユニットと出力部分とを別体に構成した実施形態を説明する機能ブロック図である。 【図33】カメラユニットと出力部分とを別体に構成した実施形態を説明する機能ブロック図である。 【図34】カメラユニット部分と出力側本体を分離した装置を示す斜視図である。 【図35】カメラユニット部分の他形態を示す斜視図であり、(a)はペン型のカメラユニット、(b)はペン型のカメラユニット、(c)はマウス型のカメラユニット、(d)は聴診器型のカメラユニットの例を示すものである。 【図36】携帯電話機用のカメラを用いた情報入力装置の実施形態を説明する機能ブロック図である。 【図37】カメラを用いた情報入力装置の実施形態を説明する機能ブロック図である。 【図38】携帯電話機用のカメラを用いた情報入力装置を示す説明図である。 【図39】携帯電話機用のカメラを用いた情報入力装置を示す説明図である。 【図40】情報入力装置を内蔵した携帯電話機を示す説明図である。 【図41】ドットパターンを用いた実施形態の携帯用電子玩具の機能ブロック図である。 【図42】ドットパターン部を用いた携帯用電子玩具の実施形態を示す正面図である。 【図43】携帯用電子玩具を示す右側面図である。 【図44】携帯用電子玩具を示す左側面図である。 【図45】携帯用電子玩具を示す底面図である。 【図46】主にミニフィギュアに相応する音声を発生させる携帯用電子玩具の実施形態を示す斜視図である。 【図47】実施形態の携帯用電子玩具の機能ブロック図である。 【図48】複数の音声発生玩具をコントローラユニットに接続した状態を示す斜視図である。 【図49】光学文字認識(OCR)を用いた携帯用電子玩具の実施形態を示す正面図である。 【図50】磁性体を用いた実施形態を示す携帯用電子玩具の機能ブロック図である。 【図51】カメラ等の撮影ペンを用いた実施形態を示す携帯用電子玩具の機能ブロック図である。 【図52】カメラ入力による情報出力機能を有するフィギュアユニットについて、カメラと出力部とを一体に構成した実施形態を説明する機能ブロック図である。 【図53】実施形態の変形例を説明する機能ブロック図である。 【図54】カメラ入力による情報出力機能を有するフィギュアユニットについて、カメラユニットと出力ユニットとを別体に構成した実施形態を説明する機能ブロック図である。 【図55】実施形態の変形例を説明する機能ブロック図である。 【図56】カメラユニットを備えるフィギュアを示す斜視図であり、(a)は人形、(b)はサッカーボール、(c)は自動車、(d)は動物の例を示すものである。 【図57】フィギュアユニットを新シミュレーション・ボードゲームの中央バトルステージに置いた状態を示す斜視図である。 【図58】フィギュアの一形態であるヌイグルミ内にカメラユニットと出力ユニットを内蔵した本発明の他の実施形態を示す説明断面図である。 【図59】フィギュアの一形態であるヌイグルミ内にカメラユニットと出力ユニットを内蔵した他の実施形態を示す説明断面図である。 【図60】フィギュアの一形態であるヌイグルミ内にカメラユニットと出力ユニットを内蔵した本発明の他の実施形態を示す説明断面図である。 【図61】カメラの断面図である。 【図62】カメラの撮像範囲を示す説明図である。 【図63】4ブロック分の情報ドットを示す斜視図である。 【図64】カメラによる撮像中心位置とサブブロックの入力手順を示す説明図である。 【図65】カメラによる撮像中心位置とサブブロックの入力手順を示す説明図である。 【図66】カメラによる撮像中心位置とサブブロックの入力手順を示す説明図である。 【図67】カメラによる撮像中心位置とサブブロックの入力手順を示す説明図である。 【図68】ペン型スキャナの構造を示す説明図である。 【図69】実施形態の使用例を示す図である。 【図70】実施形態の使用例を示す図である。 【図71】実施形態の使用例を示す図である。 【図72】実施形態の使用例を示す図である。 【図73】実施形態の使用例を示す図である。 【図74】実施形態の使用例を示す図である。 【図75】実施形態の使用例を示す図である。 【図76】実施形態の使用例を示す図である。 【図77】実施形態の使用例を示す図である。 【図78】実施形態の使用例を示す図である。 【図79】実施形態の使用例を示す図である。 【図80】実施形態の使用例を示す図である。 【図81】実施形態の使用例を示す図である。 【図82】実施形態の使用例を示す図である。 【図83】実施形態の使用例を示す図である。 【図84】実施形態の使用例を示す図である。 【図85】実施形態の使用例を示す図である。 【図86】実施形態の使用例を示す図である。 【図87】実施形態の使用例を示す図である。 【図88】実施形態の使用例を示す図である。 【図89】実施形態の使用例を示す図である。 【図90】実施形態の使用例を示す図である。 【図91】実施形態の使用例を示す図である。 【図92】実施形態の使用例を示す図である。 【図93】実施形態の使用例を示す図である。 【図94】実施形態の使用例を示す図である。 【図95】実施形態の使用例を示す図である。 【図96】実施形態の使用例を示す図である。 【図97】実施形態の使用例を示す図である。 【図98】実施形態の使用例を示す図である。 【図99】実施形態の使用例を示す図である。 【図100】実施形態の使用例を示す図である。 【図101】実施形態の使用例を示す図である。 【図102】実施形態の使用例を示す図である。 【図103】実施形態のドットパターンの仕様を説明した図(1)である。 【図104】実施形態のドットパターンの仕様を説明した図(2)である。 【図105】実施形態のドットパターンの仕様を説明した図(3)である。 【図106】実施形態のドットパターンの仕様を説明した図(4)である。 【図107】実施形態のドットパターン部の読取り手段の装置構成を説明するための図(1)である。 【図108】実施形態のドットパターン部の読取り手段の装置構成を説明するための図(2)である。 【図109】実施形態のドットパターン部の読取り手段の装置構成を説明するための図(3)である。 【図110】実施形態のドットパターン部の読取り手段の装置構成を説明するための図(4)である。 【図111】実施形態のドットパターン部の読取り手段の装置構成を説明するための図(5)である。 【図112】実施形態のドットパターン部の読取り手段の装置構成を説明するための図(6)である。 【図113】実施形態のドットパターン部の読取り手段の装置構成を説明するための図(7)である。 【発明を実施するための形態】 【0058】 図1は本発明のドットパターンを用いた情報再生方法の構成を示すブロック図であり、(a)はドットコードの生成について、(b)はドットパターンの認識についての説明図である。図2はドットパターンの一例を示す正面図である。図3は絵本と情報再生方法の状態を説明する機能ブロック図である。 【0059】 本発明のドットパターンを用いた情報再生方法は、ドットパターン601の生成と、そのドットパターン601の認識と、このドットパターン601から対応した音声情報の再生とからなる方法である。すなわち、ドットパターン601を読取り手段であるカメラ602によりその画像データを取り込み、かつ画像上の歪率を補正し、それを数値化してデジタル化し、そのデジタル化した数値を第一方向603と第二方向604に分解し、その位置を読み取り、このドットパターン601から対応した音声情報をパーソナルコンピュータ(以下、「パソコン」と略称する)パソコン608、PDAまたは携帯電話等で再生させる方法である。 【0060】 なお、カメラ602は図3ではペン型のスキャナで構成されており、内部にはCCDやC−MOS等の撮像素子が内蔵されているが、後述するように一般のデジタルカメラや携帯電話等の携帯端末に搭載されたカメラであってもよい。 【0061】 本発明のドットパターン601の生成は、ドットコード生成アルゴリズムにより、音声情報を認識させるために微細なドット605を第一方向ライン603に所定の規則に則って配列し、かつこの第一方向ライン603に交差するように配置した第二方向ライン604に所定の規則に則ってドット605を配列する。さらに、パソコン608内のメモリまたはカメラ602内に設けられたメモリにマッピングテーブルも生成する。この第一方向ライン603と第二方向ライン604とは90度の角度で交差させたものに限定されず、たとえば、60度の角度で交差させたものでもよい。 【0062】 ドットパターン601の認識には、カメラ602のレンズによる歪率の補正、またはカメラ602の傾きによる歪の補正と、第一方向603の数値情報の再生と、第二方向604の数値情報の再生とからなる。ドットパターン601については、C−MOSカメラまたはCCDカメラ等の撮像素子を内蔵したカメラ602を用いてその画像データを取り込む。さらに、カメラ付き携帯電話または携帯電話に接続したカメラを前記ペン型スキャナに換えて用いることができる。これらの携帯電話の場合には、携帯電話のメモリにダウンロードされたJAVA(登録商標)プログラム等の制御により、そのまま音声を再生させることも可能である。このカメラ602で取り込んだ画像データは、画像処理アルゴリズムで処理してドット605を抽出し、歪率補正のアルゴリズムにより、カメラ602のレンズによる歪率の補正をする。または、ドットパターン601に対するカメラ602の傾きによる歪を補正する。 【0063】 カメラ602で取り込んだ画像データは、パソコン608の中央処理装置(CPU)により所定の画像処理アルゴリズムで処理されてドット605が抽出されて、歪率補正のアルゴリズムにより、カメラ602に原因する歪を補正するので、歪率の高いレンズを付けた普及型のカメラ602でドットパターン601の画像データを取り込むときにも正確に認識することができる。また、ドットパターン601の面に対してカメラ602を傾けて読み取っても、そのドットパターン601を正確に認識することができる。 【0064】 第一方向603の数値情報の再生では、第一方向603の2ラインを抽出して、この第一方向603の2ライン間のドット情報を二値化する。次に、パターン認識アルゴリズムにより、そのパターンを認識し、マッピングテーブルを用いて、第一方向603の数値情報を再生する。この際、ラインの読み取りが汚れなどでできない場合がある。その場合、隣のラインを抽出し同様の処理を行う。その情報を数値補正情報として記録し、数値情報を再生する際、これにより補正を行う。 【0065】 第二方向604の数値情報の再生では、第二方向ライン604を抽出して、この第二方向ライン604間のドット情報を二値化する。次に、パターン認識アルゴリズムにより、そのパターンを認識し、マッピングテーブルを用いて、第二方向604の数値情報を再生する。この際、ラインの読み取りが汚れなどのノイズにより正確に走査できない場合がある。その場合、隣のラインを抽出し同様の処理を行う。その情報を数値補正情報として記録し、数値情報を再生する際、これにより補正を行う。 【0066】 上述したようなドットパターン601は、絵本、テキスト等の印刷物606に印刷することによりドットパターン部607に構成する。このドットパターン部607を、このカメラ602が画像認識し、該画像データから抽出された数値化データに基づいてそれに対応する音声情報をメモリから読み出してパソコン608、PDAまたは携帯電話等のスピーカ9等の出力手段からそれに対応する音声、音楽を再生する。 【0067】 図4は他のドットパターンを用いた情報再生方法の構成を示すブロック図であり、(a)はドットコードの生成について、(b)はドットパターンの認識についての説明図である。図5から図8は他のドットパターンの一例を示す正面図である。 【0068】 上述したようにカメラ602で取り込んだ画像データは、画像処理アルゴリズムで処理してドット605を抽出し、歪率補正のアルゴリズムにより、カメラ602が原因する歪とカメラ602の傾きによる歪を補正するので、ドットパターン601の画像データを取り込むときに正確に認識することができる。 【0069】 このドットパターンの認識では、先ず連続する等間隔のドット605により構成されたラインを抽出し、その抽出したラインが正しいラインかどうかを判定する。このラインが正しいラインでないときは別のラインを抽出する。 【0070】 次に、抽出したラインの1つを水平ラインとする。この水平ラインを基準としてそこから垂直に延びるラインを抽出する。垂直ラインは、水平ラインを構成するドットからスタートし、次の点もしくは3つ目の点がライン上にないことから上下方向を認識する。 【0071】 最後に、情報領域を抽出してその情報を数値化し、この数値情報を再生する。 【0072】 図9は絵本の絵柄と物語の文章を印刷した一例を示す正面図である。 【0073】 このようなページでは、ページの左上のアイコン606aをカメラ602で読み取り、スイッチを入れる。次に、絵柄606bに相当する物語の文章が印刷されたその文章部分606cをカメラ602で読み取る。アイコン606aと文章部分606cそれぞれにはドットパターン部607が印刷されているので、これらのドットパターン部607は絵本の何ページのどの領域にある情報かを認識し、それに対応するように記憶した物語の音声をパソコン608に再生させる。たとえば、ドットパターン部607のドット605はカーボンで印字し、それ以外はノンカーボンのカラーインクで印字または印刷することにより、赤外線照射で読み取ることができる。 【0074】 図10は絵本の絵柄と物語の文章を印刷した他の一例を示す正面図である。図11は絵本の絵柄と物語の文章を印刷したさらに他の一例を示す正面図である。 【0075】 本発明のドットパターンを用いた情報再生方法は、物語からなる絵本に限らず、図10に示すように、算数をわかりやすく教える教材に応用することができる。また、図11に示すように、音楽をわかりやすく教える教材に応用することができる。 【0076】 パソコン608、PDAまたは携帯電話のメモリには、「音の出る絵本」として絵本の絵に加えて音楽や主人公等の会話まで発生させる絵本として利用できるコンテンツを記憶させる。但し、組立てブロック等の玩具と合わせて音声が発生する教材として利用できるコンテンツ、「音の出る辞書」として、外国語の単語や文章をなぞると翻訳してくれ辞書ソフトとして利用できるコンテンツを記憶させることも勿論可能である。 【0077】 本発明のドットパターンを用いた情報再生方法は、さらに次のような利用方法がある。 【0078】 「音が出るポップ絵本」 カメラ602をドットパターン部607に当接または走査させるだけという特性を活かし、ページを開くと立体物が現れる「ポップ絵本」と組み合わせることができる。ページを開くと立体物の中にドットパターン部607を貼り付け、または印刷し、このドットパターン部607を探し出してカメラ602の先端部を当接させると、様々な音声が発生する「音が出るポップ絵本」として利用することができる。たとえば、ページを開くとポップアップで、「恐怖の館」が立ち上がり、「窓」にあるドットパターン部607をカメラ602でなぞると「キャー!」といった女性の悲鳴の音声が再生され、「廊下」にあるドットパターン部607をカメラ602でなぞると「コツ、コツ、コツ・・・」といった不気味な足音の音声が再生される。 【0079】 「創作絵本(創作本)」 印刷部606である絵本の好きな箇所にドットパターン部607を貼ることができ、使用者自身がコンテンツを創作できるドットパターン部607を貼れば、どこでもスイッチを設定できる「創作絵本(創作本)」として利用することができる。たとえば、絵本、セリフ集、サウンドリスト、音源データ等をセットにしたものを、使用者が好きなようにセリフや音楽のドットパターン部607を絵本606に貼ってオリジナルストーリーを作ることができる。 【0080】 さらに、何も描かれていない絵本に、ドットパターン部607の形成された音源リストのシールや、アイコンシール等を準備し、使用者が絵本に自分で絵を描き、これらのシールを貼り付けてオリジナルストーリーを創造し、音が出る絵本をユーザ自身に作成させることもできる。 【0081】 「音が出る教材」 本発明は子供から大人、老人までのすべての世代に向けた「音が出る教材」として利用することができる。たとえば、印刷物606のドットパターン部607にカメラ602の先端を当接させたり、走査させると音声が再生され、英会話等の語学教育や知育・音楽等の幼児教育、ドリル等の補助教材として使用できる。 【0082】 このように、本発明は印刷物606等に印刷した入力インターフェースとして使用できるので、コンテンツ毎にそれに合わせたインターフェースを製造することができる。また、インターネット等の汎用ネットワークを介して、ドットパターンデータをパソコン608にダウンロードさせるようにし、ユーザが当該ドットパターンデータを自由に組み合わせて汎用のプリンタ装置で紙面上にドットパターンを印刷することにより、前述の「絵の出る絵本」等をユーザ自身が作成することができる。 【0083】 さらに、印刷物606等その他媒体のドットパターン部607にURL情報を定義し、カメラ602でドットパターン部607を撮影した画像データから前記URLを抽出することにより、パソコン608にインストールされたブラウザプログラムが前記URLにアクセスして所定の動作を行わせるようにしてもよい。 【0084】 図12はドットパターン部607を形成したタッチパネルを説明する斜視図である。図13はドットパターン部607を形成したタッチパネルを説明する分解側面図である。 【0085】 従来のタッチパネルは、液晶ディスプレイ(LCD)やCRT(ブラウン管)などのモニタ画面上に配置し、透視した画面の指示に従って指やペンなどで上から押圧することにより位置入力が行えるようにしたものである。この従来のタッチパネルは、たとえば透明フィルム上にITO等からなる透明電極を有する一対の上部電極シートと下部電極シートとが電極間に絶縁物よりなるスペーサーを介して対向配置し、その下部電極シートの下面に樹脂よりなる透明保持板が透明接着層を介して全面的に接着されたもので、高価であるという欠点があり、また長期間使用しているとその表面が反り返り使用しづらくなることがあった。 【0086】 そこで、本発明では高価にならないように、透明フィルム611にドットパターン部607を印刷したタッチパネル612と普及型のカメラ602(ペン型スキャナ)のみを使用した。 【0087】 このタッチパネル612をパソコン608等の液晶ディスプレイ(LCD)やCRT(ブラウン管)などのモニタ613の画面上に配置し、透視した画面の指示に従ってカメラ602でなぞることにより位置入力が行える。このように、モニタ画面に貼り付けたタッチパネル612に、カメラ602を向けてそのドットパターン部607の画像データを取り込み、上述したのと同様にそのドットパターン部607がパソコン608のモニタ画面に対応した情報を認識して、それに対応するように記憶した種々の音声等を再生させる。 【0088】 ドットパターン部607のドット605はカーボンを主成分とした場合、光を吸収しやすい特性を有しているため、モニタ画面からの光線を遮断しないとカメラ602でドットパターン部607の画像データを正確に取り込むことができない。そこで、モニタ画面とタッチパネル612との間に赤外線遮断フィルム614を配置し、モニタ画面から発生する赤外線を遮断するようにしている。これにより、カメラ内から照射された赤外線のみを照射光としてドット605からの反射光を認識しやすいようにしてドットパターン部607の認識を容易にして、当該パソコン608のタッチパネルとして利用することができる。 【0089】 このタッチパネル612は、カメラ602をポインタデバイスとして利用することが可能である。さらに、連続してポイントを認識することにより、トレースデバイスとして利用することが可能である。たとえば、このタッチパネル612を上向きに配置し、従来のトレース用のライティングテーブルとして使用することができる。 【0090】 なお、前記タッチパネルはパソコン608のモニター画面に装着した場合で説明したが、PDAの表示画面、写真シール販売機の画面、銀行のATM端末の画面等に利用できる。 【0091】 図14はドットパターン部607を形成したマウスパッドとマウス型のカメラとからなる他の実施形態を示す断面図である。図15はマウス型カメラを示す平面図である。 【0092】 この実施形態では、カメラ602をマウス型のケース615に内蔵し、マウスパッド616と組み合わせる。このマウス型のケース615内に半透過式鏡体617を取り付け、このマウス型のケース615の下面615aからマウスパッド616の表面を認識することができると共に、ケース615の上面615bの開けた窓618から、マウスパッド616に印刷されている座標情報を持たせたドットパターン部607をなぞるようになっている。この窓618の側にボタン615cを設けたものである。 【0093】 このマウス型ケース615内のカメラ602はマウスパッド616を認識することにより、通常のマウスに代わる入力デバイスとして使用できる。特に通常のマウスが、相対座標でしか入力できなかったのに対し、絶対座標での入力も可能となる。 【0094】 図16はマウス型のカメラの他の実施形態を示すものであり、(a)は平面図、(b)は側面図である。図17はさらにマウス型のカメラの他の実施形態を示すものであり、(a)は平面図、(b)は側面図である。 【0095】 この実施形態では、図16に示すようにカメラ602をマウス型のケース615の突端615dに内蔵した。このようにマウス型のケース615に突端615dを形成することにより、マウスパッド616の所定位置に容易に位置決めし、ボタンスイッチ615eを押すことができ、このマウス型のケース615の下面615aからマウスパッド616の表面を認識することができる。 【0096】 なお、ケース615の下面615aにボタンスイッチ615fを設けることも可能である。このようにボタン615fを、マウスパッド616の所定位置においてマウス型のケース615をマウスパッド面に押し付けるだけで、このボタンスイッチ615fが入るようになっている。 【0097】 図18はドットパターン部607を形成した印刷面をタブレットとして利用する他の実施形態を示す断面図である。 【0098】 この実施形態では、カメラ602が内蔵されているペン状部材619と、テーブル620(またはトレース台)と組み合わせ、ドットパターン部607を形成した印刷面をタブレットとして利用する。テーブル620の上に、ドットパターン部607が印刷された紙621(印刷面)をセットし、このペン状部材619で絵や文字をなぞり、スイッチ622aを入れることによりデータをパソコン608やPDAに取り込むことができる。さらに、ペン状部材619の先端に、圧力スイッチ622bの先端部を突出させている。 【0099】 このペン状部材619は、ディスプレイを見ることなく、通常の絵や文字を描くのと同様に手元の紙の上に絵や文字を描けば、そこに描いたものを、カメラ602がその音声等の情報を認識してパソコン608やPDA等に入力される。そこで、イラストや図面作画用にも、またトレース用にも使える。今までは、マウスでなぞりながらディスプレイを見る必要があったが、その必要がなくなり、入力負荷が減る。また、従来タブレットと呼ばれる座標入力機器でしか実現できなかった操作が安価で実現できる。 【0100】 図19はペン状部材の先端にカメラを取り付けた他の実施形態を示す断面図である。図20はさらにペン状部材の先端にカメラを取り付けた他の実施形態を示す断面図である。 【0101】 ペン状部材619の先端に取り付けるカメラ602は、図示するように、ペン状部材619の先端で首振り自在に取り付けることができる。このようにカメラ602を首振り自在に構成することにより、ドットパターン部607の印刷面に対してカメラ602を常に垂直に当てることができ、カメラ602(ペン状部材619)の傾きが原因する歪を考慮する必要がない。 【0102】 図20は圧力スイッチをペン状部材の先に取り付けた他の実施形態を示す断面図である。スイッチ622は、必ずしもペン状部材619に設ける必要はなく、図示するように、首振り自在になるカメラ602の側に取り付けることもできる。このように、カメラ602のスイッチ622を、ドットパターン部607の印刷面に押し付けるだけで、このボタンスイッチ622を入れることができる。 【0103】 このように、本発明はパソコン608における通常のキーボードとマウスに代わってこのパソコン608を操作することができ、押すだけで誰でもパソコン608を簡単に操作することができる。そこで、本発明は人との親和性の高いインターフェースにすることができる。また、入力パッドよりも、簡単な構造で安価に製造することができる。 【0104】 なお、本発明は上述した発明の実施形態に限定されず、印刷物606や透明フィルム611(タッチパネル612)のドットパターン部607を認識することにより、所定の情報や音声を再生させて様々な使用を可能にする構造であれば、上述した形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。 【0105】 図21は本発明のカメラ入力による情報入出力方法の構成を示すブロック図であり、(a)はドットコードの生成について、(b)はドットパターンの認識についての説明図である。図22はドットパターンの一例を示す正面図である。 【0106】 本発明のカメラ入力によるドットパターンを用いた情報入出力方法は、ドットパターン1の生成と、そのドットパターン1の認識と、このドットパターン1から対応した情報およびプログラムを出力する手段とからなる方法である。すなわち、ドットパターン1をカメラユニット2によりその画像データを取り込み、先ずキードット3を抽出し、次に情報ドット4を抽出することによりデジタル化して情報領域を抽出して情報の数値化を図り、その数値情報より、このドットパターン1から対応した情報およびプログラムを出力させる方法である。 【0107】 本発明のドットパターン1の生成は、ドットコード生成アルゴリズムにより、情報を認識させるために微細なドット(キードット(KD)3a、格子ドット(LD)3b、情報ドット4)を所定の規則に則って配列する。ドットパターン1の認識には、カメラユニット2のレンズによる歪率の補正、またはカメラユニット2の傾きによる歪の補正と、キードット3a(KD)と情報ドット4の数値情報の再生とからなる。ドットパターン1については、C−MOSカメラまたはCCDカメラ等の撮像素子を備えたカメラユニット2を用いてその画像データを取り込む。 【0108】 上述したようなドットパターン1は、種々の印刷物5に印刷することによりドットパターン部6を構成する。特に、本発明では、図23に示すように、このドットパターン部6の他に、人が通常にそのまま情報内容を目視にて認識することができる文字または図等で表示された情報伝達部7を印刷物5の同一面に印刷してある。ここで、情報伝達部7はノンカーボンインクを用いて印刷することが望ましい。また、ドットパターン部6を構成するドットはカーボンインクで印刷することが望ましい。 【0109】 本発明の情報入出力方法では、先ず、カメラユニット2を用いて、ドットパターン部6の画像データを取り込む際に、このドットパターン部6に赤外線を照射することにより、ノンカーボンのカラーインクで印刷した情報伝達部7から、ドットをカーボンで印刷したドットパターン部6のみを正確に読み取ることができる。すなわち、このような文字または図等で表示された情報伝達部7とドットパターン部6が同一面に重ねて印刷された印刷物5におけるドットパターン部6の画像データのみを取り込むことにより、ドットパターン部6の情報のみを抽出することができる。 【0110】 図23はXY座標情報からなるドットパターンを示す説明図である。図24はXY座標情報からなるドットパターンを認識し、その処理方法についての説明図である。 【0111】 本発明のドットパターン部6はXY座標情報で作成し、そのXY座標情報と情報伝達部7の内容とを関連付けることができる。このドットパターン部6については、上述したようにカメラユニット2を用いてその画像データを取り込み、その画像情報をデジタル化して数値化し、そのX方向、Y方向の座標情報化したものを、円形部分A、四角部分B、三角部分Cで表現した各情報伝達部7の内容のいずれかの位置に対応させる。このときに図24の参照テーブル1を用いてXY座標と各情報伝達部7の内容とを対応させる。すなわち、どのXY領域が、情報伝達部7のいずれの内容であるかを対照させ、次に図24の参照テーブル2を参照することによりドットパターン部6に対応した情報、プログラムを出力する。 【0112】 このXY座標情報からなるドットパターン部6によれば、予めドットパターン1を印刷した印刷物5を用意しておき、この印刷物5上に情報伝達部7を重ね印刷するだけで、特定の内容(コンテンツ)に対してXY座標の領域と音声等の情報およびプログラムとを関連付けることが可能になる。すなわち、情報伝達部7の内容に合わせたドットパターン部6を作成する必要がないので、その汎用性が非常に高くなる。 【0113】 図25はコード番号情報からなるドットパターンを示す説明図である。図26はコード番号情報からなるドットパターンの認識および処理手順を示した説明図である。 【0114】 本発明のドットパターン部6は、前述したXY座標情報に代えてコード番号情報で作成し、そのコード番号情報と情報伝達部7の内容とを関連付けることができる。たとえば、円形部分Aの情報伝達部7、四角部分Bの情報伝達部7または三角部分Cの情報伝達部7の内容に対応して、それぞれ1つのコード番号情報を含んだドットパターン部6を印刷する。このドットパターン部6についても、上述したようにカメラユニット2を用いてその画像データを取り込み、その画像情報をデジタル化して数値化(コード番号情報化)し、図26の参照テーブルを参照することによりそのドットパターン部6に対応した情報、プログラムを出力する。 【0115】 このコード番号情報からなるドットパターン部6によれば、コード番号と情報伝達部7の内容が直接対応しているために、図26に示すように、参照テーブルを1つ作成すればよい。さらに、参照テーブルを1つ作成すればよいので情報処理時間を短縮することができる。 【0116】 なお、XY座標情報とコード番号情報からなるドットパターン部6を印刷物5の同一平面上に印刷することは勿論可能である。 【0117】 図27は印刷物に赤外線を照射することにより、ノンカーボンのカラーインクで印刷した文字または図等の情報伝達部から、カーボンインクで印刷したドットパターン部の画像データのみをカメラで取り込む状態を説明する説明図である。 【0118】 図示するように、印刷物5は白色用紙に対して、赤外線域波長において透明で、かつ可視光域波長において発色するインク、例えばノンカーボンインク(染料インク)などで印刷した情報伝達部7を形成したものである。次に、この印刷物5に対してさらに赤外線域波長において発色するインクで印字、例えばトナー等のカーボンインク、赤外線インク、透明インク等で印字したドットパターン部6を形成する。この情報伝達部7とドットパターン部6とを同一面に重ねて印刷した状態に対してカメラユニット2のカメラで撮像する。このとき、赤外線フィルター2aは、可視光線波長をカットし、赤外線域波長のみを通過させる。カメラにはドットパターン1のみの情報を入手することができる。逆に、ドットパターン部6を先に印刷し、次に情報伝達部7を印刷することも可能である。 【0119】 このカメラユニット2が、これらのドットパターン部6に所定の規則により印刷されたドットを認識し、それをデジタル化して数値化し、その数値情報の読み取りにより、そのドットパターン部6は印刷物5のどの領域にある情報またはプログラムかを認識して、それに対応するように記憶した種々の情報およびプログラムを記憶部(メモリ)より出力および実行する。たとえば、ドットパターン部6に対応した情報およびプログラムは、テキストおよび画像あるいは音声により出力させることができる。 【0120】 なお、カメラユニット2で印刷物5中のドットパターン部6の画像データのみを取り込む際に、ドットパターン部6に紫外線を照射する方法によることも可能である。 【0121】 上述した本発明の方法では、印刷物5という媒体を介在して種々の音声情報を出力、実行させることができる。たとえば、絵本、飛び出す絵本、写真自体、教材、テキスト、問題集、雑誌、新聞紙、カード、会員証、フォトスタンド、粘着剤付写真、博物館内の展示物の説明、カードゲーム、ボードゲーム、パンフレット、通信販売のカタログ等のあらゆる印刷物5に応用することができる。このように、印刷物5中の文字または図等からなる情報伝達部7からの視覚情報と同時に、ドットパターン部6からの音声情報を共に認識することができる。 【0122】 図28はカメラ入力による情報入出力方法を用いた携帯情報入出力装置の第一の実施形態を説明する機能ブロック図である。 【0123】 携帯情報入出力装置は、カメラユニット2からなるセンサ部8と、処理部9と記憶部(メモリ)10とからなる本体処理部11とを備えたものである。このセンサ部8は、印刷物5中のドットパターン部6の画像データのみを取り込むカメラユニット2と、この画像データをデジタル化して数値化する画像処理部12とを備えたものである。このカメラユニット2の近くに印刷物5に赤外線を照射する赤外線発光部13を備えている。 【0124】 本体処理部11は、画像処理部12で画像処理した数値より、ドットパターン部6に対応する、予め記憶させた記憶部(メモリ)10の情報およびプログラムを出力および実行させる処理部9を備えたものである。この本体処理部11には、スピーカ14、イヤホンまたは液晶モニタ25等の出力部15を備えている。この出力部15からは、この音声による出力以外に、音声出力(ライン)、TVモニタまたはパソコンに画像出力することも可能である。 【0125】 記憶部10には、予め情報およびプログラムを記憶させるほかに、後から情報およびプログラムを記憶させることができる。たとえば、この記憶部10に入力部17となるマイク17aを用いて音声により情報およびプログラムを記憶させることも可能である。この入力部17には、マイク17aの他に、音声入力端子、映像入力端子、パソコン等を接続して情報およびプログラムを記憶させることができる。 【0126】 このように、たとえばマイク17aを用いて音声を後から入力することができるので、携帯情報入出力装置は、絵本等の印刷物5に関連した自分や知人の声をマイク17を用いて記憶させておき、その後、この携帯情報入出力装置でその印刷物5を読み取ることで、別の人がその印刷物の内容に対応した音声情報を聞き取ることができる。たとえば、「親子の伝言装置」として、あるいは写真に声を入れた「ボイスメッセージの入った粘着剤付写真」といった用い方が可能である。 【0127】 この本体処理部11には、通信カード16を装着して外部の情報およびプログラムを出力または実行させることができる。たとえば、カメラユニット2で入力したドットパターン1を数値化し、そのデータを通信カード16を介してサーバ等のコンピュータ23に送信することができる。また、カメラユニット2で入力したドットパターン1を数値化し、そのデータを通信カード16を介してサーバ等のコンビユータ23に送信し、そのデータに対応する情報およびプログラムを受信する、ことも可能である。カメラユニット2で入力したドットパターン1を数値化したデータを入力し、それに対応した音声を入力する。通信カード16を装着して前記記憶部10に情報およびプログラムを記憶させる。 【0128】 このように通信カード16を用いることで、情報およびプログラムを容易に送信し、受信することができる。たとえば、携帯情報入出力装置を用いてアンケートに声で答え、この音声情報をサーバ等のコンピュータ23に送信することができる。問題集またはテストに声で回答し、その音声情報をサーバ等のコンピュータ23に送信して、発音テストや添削することができる。 【0129】 さらに、印刷物5等その他の媒体のドットパターン部6にURL情報を埋め込み、スキャンしたら自動的にそのサイトに接続する。あるいはその接続後、特定の動作を行うように構成することも可能である。 【0130】 また、音の出る出版物を自作することができる。絵葉書、手紙に音声情報を後から入れることができる。たとえば、これらの印刷物5にBGM(バックグラウンドミュージック)、SE(サウンド・エフェクト)等を後で付加することができる。 【0131】 この本体処理部11にはGPS24をさらに設けることにより、現在の位置情報を容易に表示することができる。 【0132】 図29はカメラ入力による情報入出力方法を用いた携帯情報入出力装置の実施形態を説明する機能ブロック図である。 【0133】 この実施形態の携帯情報入出力装置では、センサ部8にはカメラユニット2のみを備え、センサ部8をコンパクトに構成することができる。 【0134】 なお、本発明は図示例の実施形態に限定されず、印刷物5中のドットパターン部6のみを認識することにより、所定の情報や音声を再生させて様々な使用を可能にする構造であれば、上述した利用方法に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。 【0135】 図30はコンパクトなケース本体に収納した携帯情報入出力装置を示す斜視図である。図31はコンパクトなケース本体に収納した携帯情報入出力装置を示すものであり、(a)は全体の斜視図、(b)は平面図、(c)は側面図と(d)は正面図である。 【0136】 本発明の携帯情報入出力装置は、手のひらの中に容易に収まる程度の大きさの本体ケース18内に上述した本体処理部11を収納し、この本体ケース18にカメラユニット2を下向きに設け、側面に出力部15となるスピーカ14を、あるいはイヤホン端子19を設けている。この本体ケース18の上部にボタンスイッチ20を設け、また正面にはUSB端子21や記憶部10となるメモリカードスロット22を備えている。 【0137】 本発明の携帯情報入出力装置は、さらに液晶モニタ25、イヤホンジャック19、TVモニタ用出力端子26等を設けることができる。また、本体ケース18にはマイク17a、撮影ボタン27、収録ボタン28、プログラム選択ボタン29、出力ランプ30、GPS24、音声入力端子31、USB端子21や記憶部10となるメモリカードスロット22を備えている。 【0138】 この本体ケース18は、手のひらの中に収まりやすい形状にするために図31に示すように、全体に丸みを帯びた形状にすることができる。このように形成することにより印刷物5のドットパターン部6の画像データを容易に取り込むことが可能になる。 【0139】 なお、本体ケース18の形状は、図示例の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。 【0140】 図32と図33はカメラと出力部分とを別体に構成した実施形態を説明する機能ブロック図である。 【0141】 この実施形態では、カメラユニット2を、前述した画像処理部12、記憶部10、処理部9および出力部15と分離し、インターフェース部を介して送信するように構成することができる。このインターフェース部は有線のほかに無線で送信する。無線で送信するときは、図示するように、インターフェース部となる無線送信部32と無線受信部33を介して送信することができる。 【0142】 図33では、センサ部8にはカメラ2のみを備えたものである。このように構成することにより、センサ部8をコンパクトに構成することができる。 【0143】 図34はカメラユニット部分と出力側本体を分離した装置を示す斜視図である。 【0144】 図示例ではカメラユニット部分と出力側本体を分離し、ケーブル34で接続した有線型を示している。このように分離することにより、印刷物5に対してカメラユニット2を当てやすくなり、本発明の携帯情報入出力装置について卓上で使用しやすくなる。このカメラユニット2は、カメラの周囲にリング型スイッチ35を構成したものである。このように構成することにより、印刷物5に対してカメラユニット2を押し当てるだけでスイッチを入れることができ、片手で容易に操作することができる。 【0145】 図35はカメラユニット部分の他形態を示す斜視図であり、(a)はペン型のカメラユニット、(b)はペン型のカメラユニット、(c)はマウス型のカメラユニット、(d)は聴診器型のカメラユニットの例を示すものである。 【0146】 (a)のペン型のカメラユニット2は、ペン36の軸先にバヨネット37でフレキシブルに可動するようにカメラユニット2を接続したものである。これにはペン軸にボタンスイッチ38を設けている。(b)のペン型のカメラユニット2は、ペン36の軸先にバヨネット37でフレキシブルに可動するようにカメラユニット2を接続し、かつカメラの周囲にリング型スイッチ39を構成したものである。このように構成することにより、印刷物5に対してカメラユニット2を押し当てるだけでスイッチを入れることができる。(c)のマウス型のカメラユニット2は、パソコン用のマウスの形態を模したマウス型本体40にカメラユニット2を設けたものである。これにはマウス型本体40の上面にボタンスイッチ38を設けている。このマウス型のカメラユニット2は手のひらに入る大きさであるために、パソコンのマウスのように印刷物5上で操作することができる。(d)の聴診器型のカメラユニット2は、聴診器のように指で挟める本体41にカメラユニット2を設けたものである。これにもボタンスイッチ38を設け、指先で摘んで操作することができるようになっている。 【0147】 図36は携帯電話機用のカメラを用いた情報入力装置の実施形態を説明する機能ブロック図である。 【0148】 情報入力装置118は、カメラユニット102からなるセンサ部108と、処理部109からなる本体処理部111とを備えたものである。このセンサ部108は、印刷物5中のドットパターン部6(図27参照)の画像データのみを取り込むカメラユニット102と、この画像データをデジタル化して数値化する画像処理部112とを備えたものである。このカメラユニット102の近傍に印刷物5に赤外線を照射する赤外線発光部113を備えている。 【0149】 本体処理部111は、画像処理部112で画像処理した数値に基づいてドットパターン部6に対応する、予め携帯電話機110内に記憶させた記憶部(メモリ)の情報およびプログラムを出力および実行させる処理部109を備えたものである。この本体処理部111にはGPS(図示していない)をさらに設けることにより、現在の位置情報を容易に表示することができる。 【0150】 携帯電話機110の記憶部(メモリ)には、予め情報およびプログラムを記憶させるほかに、後から情報およびプログラムを記憶させることができる。たとえば、この携帯電話機110の記憶部にはマイクまたはカメラ(図示していない)等を用いて音声、画像または文字情報により情報およびプログラムを記憶させることも可能である。 【0151】 図37はカメラを用いた情報入力装置の実施形態を説明する機能ブロック図である。 【0152】 実施形態の携帯情報出力装置では、センサ部108にはカメラユニット102のみを備え、センサ部108をコンパクトに構成することができる。 【0153】 図38は携帯電話機用のカメラを用いた情報入力装置を示す説明図である。 【0154】 上述した情報入力装置118は、携帯電話機110に装着して使用することができる。このように、携帯電話機110に情報入力装置118を装着することにより、カメラユニット102で取り込んだ、ドットパターン部6に対応した情報やプログラムをその携帯電話機110から出力および実行させることができる。 【0155】 図39は携帯電話機用のカメラを用いた情報入力装置を示す説明図である。 【0156】 上述した情報入力装置118は、携帯電話機110にインターフェース部119を介して装着することができる。このように、情報入力装置118を携帯電話機110にインターフェース部119を介して装着することにより、情報入力装置118のみを自由に動作させることができる。 【0157】 この情報入力装置118は、携帯電話機110に装着して次のような利用方法がある。たとえば、印刷物5中の文字または図等からなる情報伝達部7からの視覚情報と同時に、ドットパターン部6に連動した音声情報を共に認識することができる。このときは、携帯電話機110に音声情報の他に、画像、テキスト等を同時に表示することができる。この印刷物5としては、教材、テキスト、問題集、雑誌、新聞紙、写真自体、カード、会員証、フォトスタンド、粘着剤付写真、博物館内の展示物の説明、カードゲーム、ボードゲーム、パンフレット、通信販売のカタログ等がある。 【0158】 なお、情報入力装置118と携帯電話機110への装着手段は、図示例の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。 【0159】 図40は情報入力装置を内蔵した携帯電話機を示す説明図である。 【0160】 本発明の情報入力装置118は、携帯電話機110に内蔵することも可能である。このように、携帯電話機110と情報入力装置118とを一体化することで、よりコンパクトな情報入・出力装置を実現することができる。 【0161】 携帯電話機110には、その通信機能を利用して記憶部に、外部からの情報およびプログラムを記憶させ、この記憶させた情報およびプログラムを送信することができる。このように構成すれば、情報およびプログラムを容易に送信することが可能になる。 【0162】 たとえば、カメラユニット102で入力したドットパターン1を数値化し、そのデータを携帯電話機110の通信機能を介してサーバ等のコンピュータ123に送信することができる。また、カメラユニット102で入力したドットパターン1を数値化し、そのデータを同じく携帯電話機110の通信機能を介してサーバ等のコンピュータ123に送信し、そのデータに対応する情報およびプログラムを受信することも可能である。カメラユニット102で入力したドットパターン1を数値化したデータを入力し、それに対応した音声、テキスト、画像を入力する。従来から供給されている携帯電話機用の膨大なコンテンツについてドットパターン1を用いて迅速かつ容易に出力と実行することができる。 【0163】 さらに、このように携帯電話機110の通信機能を用いることで、情報およびプログラムを容易に送信し、受信することができるので、アンケートに声で答え、この音声情報をサーバ等のコンピュータ123に送信することができる。問題集またはテストに声で回答し、その音声情報をサーバ等のコンピュータ123に送信して、発音テストや添削するといった利用方法もある。 【0164】 また、携帯電話機110にはGPSを設けることにより、現在の位置情報を容易に表示することができる。 【0165】 図41は本発明のドットパターンを用いた実施形態の携帯用電子玩具の機能ブロック図である。図42は実施形態の携帯用電子玩具を示す正面図である。図43は実施形態の携帯用電子玩具を示す右側面図である。図44は実施形態の携帯用電子玩具を示す左側面図である。図45は実施形態の携帯用電子玩具を示す底面図である。 【0166】 実施形態の携帯用電子玩具801は、ドットパターンの情報を再生させることにより、媒体802となる書籍、ゲームカード、小物類または玩具等に関する種々の音声または音楽を発生させる玩具である。この携帯用電子玩具801は、書籍等の記載事項と関連する音声を認識させるドットパターン部803と、種々の音声を記憶した音声記憶部804と、その音声をスピーカ805に再生させる処理部(CPU)806と、音声再生LSI807とを備え、これらをケース本体808内に収納したものである。このケース本体808にケーブル809で、ドットパターン部803の画像データを取り込むためのペン型のカメラ810を接続したものである。 【0167】 携帯用電子玩具801のケース本体808内に収納した音声記憶部804は、書籍等の記載事項と関連する音声を認識させるドットパターン部803の情報に基づいて再生させる音声を記憶させたものである。この音声記憶部804は、そのまま内部メモリとして使用するだけでなく、外部メモリを使用して最新のコンテンツを取り込むことができる。たとえば、外部からプログラムをダウンロードしてその音声内容を更新することができ、一台の携帯用電子玩具801を繰り返し使用することができる。 【0168】 カメラ810は、書籍、ゲームカード、小物類または玩具類に貼り付けるドットパターン部803または書籍等に認識信号となる数字、文字等を直接印刷したドットパターン部803の画像データを取り込むものである。カメラ810で取り込んだドットパターン部803の画像データは、画像処理アルゴリズムで処理してドットを抽出し、歪率補正のアルゴリズムにより、カメラ810が原因する歪を補正するので、歪率の高いレンズを付けた普及型のカメラ810でドットパターン部803の画像データを取り込むときにも正確に認識することができる。また、ドットパターン部803の面に対してカメラ810を傾けて読み取っても、そのドットパターン部803を正確に認識することができる。 【0169】 このカメラ810は、ドットパターン部803の情報を認識して、それに対応する音声、音楽を音声再生LSI807でスピーカ805から再生させる。 【0170】 本発明の携帯用電子玩具801のケース本体808は、たとえば縦13cm×横18cmの「システム手帳」のサイズで容易に携帯できるような大きさからなる。そこで、この携帯用電子玩具801を手に持ったり、バッグに入れて携帯することができる。 【0171】 また、ケース本体808に設けた液晶表示部812により、音声以外の情報も同時に表示する。この液晶表示部812は画像再生LSI813で表示させる。このように音声以外の情報も同時に入手することができるので、本発明の携帯用電子玩具801の応用範囲が広い。この携帯用電子玩具801は、ケース本体808の側面のスイッチ14をオンにすると、パイロットランプ15が点灯する。 【0172】 音声記憶部804は、その記憶媒体816として、フラッシュメモリ、コンパクトフラッシュ(登録商標)、スマートメディア、記憶用ICカード、メモリースティック等を用いることができる。これにより音声内容を容易に変更し得る。 【0173】 音声記憶部804は、たとえば、外国語の発音等を音声で教示する教材として利用できるコンテンツデータ(音声データ、画像データ、動画データまたは文字・記号等のキャラクタコードデータ)を記憶する。その他に、音声記憶部804は、音楽を作れる絵本や、フィギュア人形を使った楽団として利用できるコンテンツ、組立てブロック等の玩具と合わせて音声が発生する教材として利用できるコンテンツ、「音の出る絵本」として、絵本の絵に加えて音楽や主人公等の会話まで発生させる絵本として利用できるコンテンツ、「音の出る辞書」として、外国語の単語や文章をなぞると翻訳してくれ辞書ソフトとして利用できるコンテンツを記憶させる。 【0174】 さらに、本発明は、対戦型カードと組み合わせて、その対戦ゲームやRPGソフトができる。「販促ツール」として、商品の特徴や会社概要を音声で解説するパンフレットとして利用することができる。あるいは、「各種情報(ガイド等)」として、博物館等の施設や観光地の名所等を音声で解説する電子機器として利用することができる。 【0175】 このカメラ810はその使用後には、本発明の携帯用電子玩具801を携帯できるようにケース本体808の側面に格納できるようになっている。 【0176】 カメラ810の近くにライト(図示していない)を設けることにより、ドットパターン部803を照明して暗い場所でもこのドットパターン部803を正確に認識することができる。 【0177】 本発明の携帯用電子玩具801は、書籍、ゲームカード、小物類または玩具等の媒体802とドットパターン部803との組み合わせにより、次のような様々な使用方法がある。 【0178】 「音が出る教材」 ケース本体808の底面にセットできるミニサイズの書籍を教材として用いることができる。本発明は携帯性に優れているという特長を活かし、場所を選ばず、いつでもどこでも勉強することができ、子供から大人、老人までのすべての世代に向けた「音が出る教材」として利用することができる。たとえば、書籍の文字をなぞると音声が再生され、英会話等の語学教育や知育・音楽等の幼児教育、ドリル等の補助教材として使用できる。 【0179】 「対戦カードゲーム」 本発明の携帯用電子玩具801は、「対戦カードゲーム」として利用することができる。対戦カードゲームに対応した「専用シール&データ集」を制作し、それぞれのカードに対応したドットパターン部803を貼付すると、携帯用電子玩具801のスピーカ805からそのカードのキャラクタが生き生きと話し出すようにすることができる。また、キャラクタの声で解説を流したり、裏技を教えるなど、カード機能を拡張するアイテムとしても活用できる。 【0180】 または、人気の映画カードに対応した「専用シール&データ集」を制作すれば、カードに対応したドットパターン部803を貼ると、映画のセリフや音楽が流れるようにすることができる。あるいは、確実なファン層を持つ、アイドルカードに対応した「専用シール&データ集」を制作し、それぞれのカードに対応したドットパターン部803シールを貼ると、アイドル本人のプレゼントボイスが流れるようにすることができる。このとき、1枚に付き曲が1フレーズだけ流れ、全部集めると1曲になるといったタイアップ展開に利用することも可能である。 【0181】 本発明の携帯用電子玩具801は、身の回りにある様々なモノにドットパターン部803を貼り付け、音を出して楽しむことができる、イタズラ感覚の「専用シール&データ集」を制作し、身の回りのモノにドットパターン部803を貼り付けて、カメラ810でなぞると話し出させることができる。たとえば、男の子なら皆大好きなミニカーキットと組み合わせ、音の出る道路を作るための「専用シール&データ集」を制作する。踏み切りや建物が同梱されたミニカー用の道路キットにドットパターン部803を付け、踏み切りにきたら「カンカンカン」、道路からはみ出したら「キキー!危ないよ!」などと音声が流れるようにして、臨場感を出すことができる。 【0182】 本発明の携帯用電子玩具801は、ドットパターン部803が沢山プリントされたTシャツを制作し、身に付けて楽しむという、新しい遊び方に使用することができる。 【0183】 本発明の携帯用電子玩具801は、「占い装置」として利用することができる。自分で楽しむことは勿論、新歓コンパや忘年会といったパーティの余興で使用することができる。たとえば、「専用文字盤」に書かれた文字(ドットパターン部803)を順番にカメラ810でなぞると、ランダムで面白いコメントが流れるようにする。文字盤を使って名前を入力することで、姓名判断に使用することができる。「今日の運勢」などのコメントが流れるようにし、たとえば「恋愛運、仕事運、健康運、ともに最悪。ただし、動物運だけはサイコウです。外出すれば、散歩している犬とすてきな恋が芽生えるかも!」といった脱力系のコメントを表示するようにすることができる。 【0184】 「宝探しゲーム」 本発明の携帯用電子玩具801は、「宝探しゲーム」として利用することができる。 【0185】 参加者の数だけ本発明の携帯用電子玩具801を用意し、事前にドットパターン部803を色々な場所に隠し貼っておく。その後、一斉にスタート地点(玄関など)を出発し、隠されたドットパターン部803を見つけ出し、「廊下を探せ」などといった次の場所へ行く指示を探しながら進んでいき、一番早くゴールのドットパターン部803を見つけた人が勝ちといったゲームに使用することができる。 【0186】 「外国語翻訳装置」 本発明の携帯用電子玩具801により、「外国語翻訳装置」として利用することができる。 【0187】 英字新聞や外国の雑誌などを読んでいて分からない単語に出会ったとき、カメラ810で単語(ドットパターン部803)をなぞると、それに対応した日本語に翻訳して読み上げるように使用することができる。 【0188】 複数の携帯用電子玩具801が、ネットワークに対応できるようにケース本体808にUSBコネクタ(図示していない)を設けることができる。このUSBコネクタにつないだケーブルを相互に接続したり、パソコン等につないでネットワーク化することも可能である。 【0189】 図46は主にミニフィギュアに相応する音声を発生させる携帯用電子玩具の実施形態を示す斜視図である。図47は複数の音声発生玩具をコントローラユニットに接続した状態を示す斜視図である。 【0190】 実施形態の携帯用電子玩具821は、主にミニフィギュアに相応する音声を発生させるように構成した玩具である。この携帯用電子玩具821は、ミニフィギュア822のキャラクタ相応する音声情報を発生させるためのコード情報を記録したドットパターン部803と、ケース本体823内に収納した、音声を記憶した音声記憶部804と、カメラ810と、音声をスピーカ805に再生させる処理部(CPU)806と、音声再生用LSI807を備えたものである。 【0191】 ドットパターン部803は、ミニフィギュア822の台824またはボトルキャップの内面天井に貼り付けられるように円形状のシート材からなり、その一面に粘着剤を貼付し、シート材の他面にドットパターン部803を表示したものである。なお、このシート材に代えて、ミニフィギュア822自体にドットパターン部803を印刷することも可能である。 【0192】 携帯用電子玩具821のケース本体823内に収納した音声記憶部804は、そのまま内部メモリとして使用するだけでなく、外部メモリを使用して最新のコンテンツデータを取り込むことができる。たとえば、外部からプログラムやデータを入力またはネットワークを介してダウンロードしてその音声内容を更新することができ、一台の携帯用電子玩具821を繰り返し使用することができる。 【0193】 ケース本体823の中央部分のカメラ810の近くに照明手段としてのライトを設けることにより、ドットパターン部803を照明して暗い場所でもこのドットパターン部803を正確にその画像を取り込むことができるようにすることが好ましい。 【0194】 図48は実施形態の携帯用電子玩具の機能ブロック図である。 【0195】 複数の携帯用電子玩具821が、ネットワークに対応できるようにケース本体823にUSBコネクタ(図示していない)を設けることができる。このUSBコネクタにつないだケーブルをパソコン等につないでネットワーク化することも可能である。 【0196】 図49は本発明の光学文字認識(OCR)を用いた実施形態の携帯用電子玩具の機能ブロック図である。 【0197】 この実施形態では、前述の実施形態のカメラ810とドットパターン部(認識シール)803に代えて、光学文字認識センサペン831と音声認識信号部32を採用した。すなわち、携帯用電子玩具801は、光学文字認識を用いることにより、媒体802となる書籍、ゲームカード、小物類または玩具等に関する種々の音声または音楽を発生させる玩具である。この携帯用電子玩具801は、書籍等の記載事項と関連する音声を認識させる音声認識信号部832と、種々の音声を記憶した音声記憶部804と、その音声をスピーカ805に再生させる処理部(CPU)806と、音声再生LSI807とを備え、これらをケース本体808内に収納したものである。このケース本体808にケーブル809で光学文字認識センサペン831を接続したものである。 【0198】 光学文字認識センサペン831は、書籍、ゲームカード、小物類または玩具類に貼り付けるアイコンシール(音声認識信号部832)または書類等に認識信号となる数字、文字等を直接印刷した音声認識信号部832をなぞるものである。すなわち、この光学文字認識センサペン831が、音声認識信号部832に記載されている数字、簡易的なマーク等を認識して、それに対応する音声、音楽を音声再生LSI807でスピーカ805から再生させる。 【0199】 図50は磁性体を用いた実施形態を示す携帯用電子玩具の機能ブロック図である。 【0200】 この実施形態では、前述の実施形態のカメラ810とドットパターン部(認識シール)803に代えて、磁気読取センサペン841と磁気記録部842を採用した。すなわち、この携帯用電子玩具801は、媒体802等に相応する音声を認識させるために磁気記録部842を用い、この磁気記録部842に対応する音声を記憶した音声記憶部804と、この磁気記録部842を読み取る磁気読取センサペン841とを備えたものである。この磁気読取センサペン841で磁気記録部842を読み取り、音声記憶部804からそれに対応した音声を音声再生LSI807でスピーカ805に再生させる。 【0201】 この実施形態では、媒体802の種類に対応した音声、音楽を再生するだけでなく、さらに、媒体802に貼り付けた磁気記録部842の記録内容を容易に変換することができる。そこで、使用者が自分の好みの音声に容易に変更することができる。 【0202】 図51はカメラ等の撮影ペンを用いた実施形態を示す携帯用電子玩具の機能ブロック図である。 【0203】 この実施形態では、前述の実施形態のドットパターン部(認識シール)803に代えたものである。すなわち、媒体802に印刷された個々の形状または色彩に対応する音声を記憶した音声記憶部804と、媒体802に印刷された形状等を撮影するCCDカメラ等の撮影ペン851と、この撮影ペン851で撮影した形状、色彩または形状と色彩に関する映像に基づき音声記憶部804からそれに対応した音声をスピーカ805に再生させる処理部806とを備えたものである。 【0204】 この実施形態では、ドットパターン部803、音声認識信号部(認識シール)832または磁気記録部(磁気シート)842を用いることなく、媒体802に印刷された形状と色彩に対応した音声、音楽を再生することができる。なお、CCDカメラ等の撮影ペン851の近くにライト(図示していない)を設けることにより、媒体802を照明して暗い場所でもその形状等を正確に撮影することができる。 【0205】 さらに、このCCDカメラ等の撮影ペン851によって、媒体802に貼付し得る音声認識シール852を用いて、その媒体802に対応する種々の音声または音楽を発生させることもできる。たとえば、媒体802に貼付し得ると共に、該媒体802等に相応する音声を認識させる音声認識シール852と、この音声認識シール852に対応する音声を記憶した音声記憶部804と、音声認識シール852を撮影する撮影ペン851と、撮影ペン851で撮影した音声認識シール852の認識信号となる数字、文字等に関する映像に基づき音声記憶部804からそれに対応した音声をスピーカ805に再生させる処理部806とを備えた構成にする。 【0206】 なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、書籍等の媒体802自体を認識することにより、所定の音声を音声再生LSI807でスピーカ805に再生させて様々な使用を可能にする構造であれば、図示したケース本体808、の形状に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。 【0207】 図52と図53はカメラ入力による情報出力機能を有するフィギュアユニットについて、カメラと出力部とを一体に構成した実施形態を説明する機能ブロック図である。 【0208】 実施形態は、カメラ202と画像処理部212とからなるセンサ部208と、処理部209と記憶部(メモリ)210とからなる本体処理部211とを備えたものである。このセンサ部208は、印刷物5中のドットパターン部803の画像データのみを取り込むカメラ202と、この画像データをデジタル化して数値化する画像処理部212とを備えたものである。このカメラ202の近くに印刷物5に赤外線を照射する赤外線発光部213を備えている。 本体処理部211は、画像処理部212で画像処理した数値より、ドットパターン部803に対応する、予め記憶させた記憶部(メモリ)210の情報およびプログラムを出力および実行させる処理部209を備えたものである。この本体処理部211には、スピーカ14等の出力部15を備えている。 【0209】 記憶部10には、予め情報およびプログラムを記憶させるほかに、後から情報およびプログラムを記憶させることができる。たとえば、この記憶部10にマイク17を用いて音声により情報およびプログラムを記憶させることも可能である。 【0210】 図53は実施形態の変形例で、センサ部208にはカメラ202のみを備えたものである。このように構成することにより、センサ部208をコンパクトに構成することができる。 【0211】 図54と図55はカメラ入力による情報出力機能を有するフィギュアユニットについて、カメラユニットと出力ユニットとを別体に構成した実施形態を説明する機能ブロック図である。 【0212】 この実施形態は、カメラユニットAと、出力ユニットBとからなるものである。カメラユニットAは、カメラ202と、画像処理部212とからなるセンサ部208とインターフェース部となる無線送信部221とからなる。このセンサ部208は、印刷物5中のドットパターン部803の画像データのみを取り込むカメラ202と、この画像データをデジタル化して数値化する画像処理部212とを備えたものである。このカメラ202の近くに印刷物5に赤外線を照射する赤外線発光部213を備えている。 【0213】 出力ユニットBは、無線受信部222と、処理部209と記憶部(メモリ)210とからなる本体処理部211と、スピーカ214等の出力部215を備えたものである。本体処理部211は、画像処理部212で画像処理した数値より、ドットパターン部803に対応する、予め記憶させた記憶部(メモリ)210の情報およびプログラムを出力および実行させる処理部209を備えたものである。このインターフェース部となる無線送信部221と無線受信部222とは、赤外線を使って通信する。この出力ユニットBはパソコンをそのまま用いることができる。 【0214】 図55は実施形態の変形例で、センサ部208にはカメラ202のみを備えたものである。このように構成することにより、センサ部208をコンパクトに構成することができる。 【0215】 図56はカメラユニットを備えるフィギュアを示す斜視図であり、(a)は人形、(b)はサッカーボール、(c)は自動車、(d)は動物の例を示すものである。 【0216】 図示例は、フィギュア218にカメラ202を備えたカメラユニットAを備えたフィギュアユニットである。カメラ202のレンズを下向きに配置し、このフィギュア218を印刷物5の上に置いたときに、そのドットパターン部803の画像データを取り込む際に、このドットパターン部803に赤外線を照射することにより、ノンカーボンのカラーインクで印刷した情報伝達部7から、ドットをカーボンで印刷したドットパターン部803のみを読み取るようになっている。なお、フィギュア218の形状は、図示例の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。 【0217】 上述した本発明のフィギュアユニットでは、印刷物5という媒体を介在して種々の音声情報を出力、実行させることができる。たとえば、次のような使用方法がある。 【0218】 「すごろく」や「ボードゲーム」の駒としての利用本発明のフィギュア218は、「すごろく」や「ボードゲーム」の駒として利用することができる。このフィギュア218を、「すごろく」や「ボードゲーム」の上に置いたときに、フィギュア218のカメラ202で印刷物5上のドットパターン803の特定の音声を発生し、指示内容を音声で知らせることができる。そこで、これらの「すごろく」や「ボードゲーム」の遊び方に幅を持たせることができる。 【0219】 「軍人将棋」の駒としての利用 本発明のフィギュア218は、「軍人将棋」の駒として利用することができる。このフィギュア218を、「軍人将棋」の将棋盤(印刷物5)上に置いたときに、フィギュア218のカメラ202でボードゲームのベース(印刷物5)上のドットパターン部803の特定の音声を発生し、指示内容を音声で知らせることができるので、今までとは違った新たな側面を持つゲームに飛躍させることができる。たとえば、本体の処理プログラムによって、駒(フィギュア218)の対決に偶然性や時間軸を設けることができる。このような付加価値は、実際の戦場をリアルに再現する重要な要素になり、ノーマルな軍人将棋にはなかった新たな戦略性を生み出し、楽しく遊ぶことができる。 【0220】 図57は本発明のフィギュアユニットを新シミュレーション・ボードゲームの中央バトルステージに置いた状態を示す斜視図である。 【0221】 「新シミュレーション・ボードゲーム」の駒としての利用 本発明のフィギュアユニットは、「ボードゲーム」の駒として利用することができる。ベース(印刷物5)とフィギュア218をセットした状態で、ベース(印刷物5)の上にフィギュア218を配置して遊ぶことができる。対戦の際には、中央のバトルステージ(印刷物5)に向かい合わせにフィギュア218を置き、ステージにはドットパターン部803と情報伝達部7が印刷されており、このドットパターン部6をフィギュア218のカメラ202で読み取り、内部の処理プログラムによって、複雑な対戦を展開することができる。 【0222】 このように、本発明のフィギュアユニットは印刷物5等に印刷した入力インターフェースとして使用できるので、コンテンツ毎にそれに合わせたインターフェースを製造することができる。また、インターネットを経由して、紙のインターフェースをPDF等でダウンロードしてプリンタ装置で出力し、それに応じたプログラムをダウンロードしてパソコン等にセットすれば、インターフェースをネットワーク経由で供給することも可能である。 【0223】 図58はフィギュアの一形態であるヌイグルミ内にカメラユニットと出力ユニットを内蔵した本発明の他の実施形態を示す説明断面図である。 【0224】 本発明のカメラユニットAと出力ユニットBについては、上述したフィギュア218の一形態である、綿またはスポンジのような弾力性素材を所定の形態を有する外皮に詰め込んだ、いわゆるヌイグルミ231内に内蔵することが可能である。たとえば、カメラユニットAのレンズ部分をそのままヌイグルミ231の眼球232部分に配置すると共に、出力ユニットBをヌイグルミ231の胴体233内に出し入れ自在に内蔵する。このように構成すれば、お気に入りのヌイグルミ231をそのまま所定の情報や音声を再生させる装置として使用することができる。 【0225】 図59と60はフィギュアの一形態であるヌイグルミ内にカメラユニットと出力ユニットを内蔵した他の実施形態を示す説明断面図である。 【0226】 ヌイグルミ231内に内蔵するカメラユニットAは、必ずしもそのヌイグルミ231の眼球232部分に配置する必要はない。たとえば、ヌイグルミ231の眼球232部分以外に、図示するように、ヌイグルミ231の手234に配置することができる。この他に本発明のカメラユニットAは、ヌイグルミ231の尻、腹、足、その他の所望の位置に配置することができることは勿論である。このカメラユニットAの配置位置はヌイグルミ231の種類や大きさまたは遊び方の目的に応じて決定される。 【0227】 なお、本発明は上述した発明の実施形態に限定されず、印刷物5中のドットパターン部6のみを認識することにより、所定の情報や音声を再生させて様々な使用を可能にする構造であれば、上述した利用方法に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。 【0228】 次に、本発明におけるドットパターンの仕様について図103〜図106を用いて説明する。 【0229】 ドットパターン部601は、図105に示すように、格子状に配置されたドットで構成されている。なお縦横方向の格子線はドットの配置位置を説明するためのものであり実際の印刷物上には存在しない。 【0230】 ここで、図105における4×5個の格子領域を1つのデータブロックまたは格子ブロックと呼び、この格子領域の四隅(格子線の交点(格子点)上)には格子ドットLDが配置されている。格子ドットLD同士の間隔は0.35mm〜1.0mm、好ましくは0.5mm程度であることが最適である。また、ドットの直径は前記格子ドット間隔の8〜10%程度であることが望ましい。 【0231】 どの格子領域からどの格子領域までが1つのデータであるかを示すためにキードットKDを配置している。 【0232】 キードットKDとは、格子ドットLDの位置をずらしたものである。すなわち、格子ドットLDは本来格子点上に配置されているが、この位置をずらしてキードットKDを配置している。なお、キードットKDの格子点からのずれは約20%前後程度が好ましい。 【0233】 前記キードットKDに囲まれた領域、またはキードットKDを中心にした領域が1つのデータを構成している。 【0234】 このデータの並びは、図104に示すように、左上から下方向に向かって順番に配置されている。 【0235】 データは、図103に示すように、ドット605を格子領域内の中心点からどの程度ずらすかによってデータ内容が定義できるようになっている。同図では、中心から等距離で45度ずつそれぞれずらした点を8個定義することによって単一の格子領域で8通り、すなわち3ビットのデータを表現できるようになっている。なお、さらに中心点から距離を変更した点をさらに8個定義すれば16通り、すなわち4ビットのデータを表現できる。 【0236】 本発明のドットパターンは、1個のデータブロックを構成する格子を自由に定義することができる点に特徴がある。つまり、前述のようにキードットKDがデータ領域の範囲を定義しているため、このキードットKDの配置を変更すれば任意の可変長の格子領域群をデータ格納領域として扱うことができるわけである。 【0237】 また、本発明のドットパターンでは、キードットのずらし方を変更することにより、同一のドットパターン部であっても別の意味を持たせることができる。つまり、キードットKDは格子点からずらすことでキードットKDとして機能するものであるが、このずらし方を格子点から等距離で45度ずつずらすことにより8パターンのキードットを定義できる。 【0238】 ここで、ドットパターン部をC−MOS等の撮像手段で撮像した場合、当該撮像データは当該撮像手段のフレームバッファに記録されるが、このときもし撮像手段の位置が紙面の鉛直軸(撮影軸)を中心に回動された位置、すなわち撮影軸を中心にして回動した位置(ずれた位置)にある場合には、撮像された格子ドットとキードットKDとの位置関係から撮像手段の撮像軸を中心にしたずれ(カメラの角度)がわかることになる。この原理を応用すれば、カメラで同じ領域を撮影しても角度という別次元のパラメータを持たせることができる。そのため、同じ位置の同じ領域を読み取っても角度毎に別の情報を出力させることができる。 【0239】 いわば、同一領域に角度パラメータによって階層的な情報を配置できることになる。 【0240】 この原理を応用したものが図74、図76、図78に示すような例である。図74では、ミニフィギュア1101の底面に設けられたスキャナ部1105でこのミニフィギュア1101を台座上で45度ずつ回転させることでドットパターン部の読取り情報とともに異なる角度情報を得ることできるため、8通りの音声内容を出力させることができる。 【0241】 本発明において、ダミードットDDを定義することができる。このダミードットDDは、4個の格子ドットLDの正中心に配置したドットである(図106(a)参照)。このようなダミードットは、マスク領域毎に境界を定義した絵本等に適している。図106(c)に示すようにmask1とmask2の領域の境界にダミードットDDを配置している。このようなマスク境界にダミードットDD領域を配置することにより、それぞれのマスク領域に定義されたコード情報を同時に読み取ってしまうことを防止している。図106(d)はダミードットDDの配置状態を示した図である。 【0242】 また、絵本等の背景部分については、格子ドットの中心にドットを配置しない空ドットを配置することが好ましい。空ドットは、情報が記録された通常のデータドットに比べてドット数が少ないため、ドットパターンの目立たない印刷が可能となる。また、空ドットの連続であるために、模様が生じにくく、単一色の背景に適している。 【0243】 また、本発明では、本来撮影中心を含む1ブロック分のデータを解析する必要があるが、撮影中心の近傍の格子データ(情報データ)をブロックをまたがって読取りデータとしてもよい。このような場合、本来の1ブロックから欠けている情報データに該当するデータを隣り合う他のブロックから読み込んで1ブロック分のデータに補完して入力を完了することができる。 【0244】 XY座標を定義するドットパターンについては、撮影中心とは異なるブロックからそれに相当するXY座標を構成する情報ドットを読み、補正をかけて撮影中心のXY座標値とすることができる。 【0245】 本発明は、以上に説明したような、格子ドットを用いたドットパターンであるため、撮影条件にあまり左右されないという特性を有している。すなわち、撮影条件(カメラのレンズのひずみ、カメラの写す角度、紙の変形)によってドットパターン全体がひずみを起こした場合、4個の格子ドットで形成される形状と、情報ドットの位置のずれが同様に起きるため、格子ドットからの相対的な位置関係にかわりはなく、これら格子ドットを基準に補正計算を行えば、各情報ドット、キードットについての真の位置がわかる。 【0246】 つまり、本発明の格子ドットを用いたドットパターンは歪みに強いといえる。 【0247】 図61から図67は、本発明のカメラによるドットパターン入力方法の好ましい実施形態を用いてカメラによりサブブロックで構成された1ブロック相当のドットパターンを読み込む方法を示す説明図である。 【0248】 図61に示すように、カメラは、被写体に光を照射するためにLEDと、LEDから出射される光をフィルターするためのLEDアクリルフィルターと、被写体からの反射光をフィルターするための可視光フィルター(赤外線透過フィルター)とを備える。カメラを収納する筒は、長手方向が10mm前後で構成されており、ドットパターンの撮像範囲は直径10mmとすると、4mm×4mmのドットパターン1ブロック分(I1〜I16)を読み込むためには、最大2r=2×4√2=11.28mmの撮像範囲が必要となる(図62参照)。これを解消するために、1ブロックとして構成されるキードットの周辺に配置される情報ドット16個を順次読み込むのではなく、他の情報ドットと独立的な情報を有する4個の情報ドット毎(1/4ブロック(サブブロック)毎)に読み込む。これにより、撮像範囲からはずれた1/4ブロックの情報ドットを撮像範囲内にある、他のブロックの対応する情報ドット(1/4ブロック)を入力することにより、1ブロック分の情報を撮像範囲の直径10mm内で入力可能とする。 【0249】 上記方法により入力されたいずれかの1/4ブロックの中でエラーが生じた場合は、他のブロックの対応する情報ドット(1/4ブロック)を入力し、エラー修正を行う。 【0250】 図64はカメラの撮像中心がB1ブロックのI8を示しており、撮像中心から最も近いB1ブロックの[I1〜I16]を入力する。 【0251】 図65はカメラの撮像中心がB1ブロックのI5を示しており、カメラ中心から最も近いB1ブロックの[I1,I2,I3,I4]および[I5,I6,I7,I8]とB2ブロックの[I9,I10,I11,I12]および[I13,I14,I15,I16]を入力する。 【0252】 図66はカメラの撮像中心がB1ブロックのI6を示しており、中心から最も近いB1ブロックの[I5,I6,I7,I8]とB2ブロックの[I9,I10,I11,I12]、B3ブロックの[I13,I14,I15,I16]とB4ブロックの[I1,I2,I3,I4]を入力する。 【0253】 図67はカメラの撮像中心がB1ブロックのI7を示しており中心から最も近いB1ブロックの[I5,I6,I7,I8]および[I9,I10,I11,I12]とB4ブロックの[I1,I2,I3,I4]および[I13,I14,I15,I16]を入力する。 【0254】 図64〜図67において、入力したドットパターンにエラーが生じた場合、代替で入力可能な1/4ブロックのドットパターンがいずれも最大8ヶ所ある。 【0255】 上述したような本発明のドットパターン1を、絵本、テキスト等の印刷物に印刷することにより、このカメラで画像データとして取り込み、それをデジタル化して求めた数値よりパソコン、情報出力装置、PDAまたは携帯電話等からそれに対応する情報、プログラムを出力させる。 【0256】 次に、ドットを読み取るための原理およびその装置構成について図107〜113を用いて説明する。 【0257】 光の反射は、物体表面において、物体表面の特性によって一定の比率で鏡面反射と拡散反射が生じる。鏡面反射は図110の右図に示すように、物体表面が平滑な場合に入射角と反射角が同一となるように入射した光が反射する。特に、表面が滑らかである場合、鏡面反射係数が大きくなり、光の反射が強く、ハイライトを生じる。 【0258】 拡散反射では、図110の左図に示すように、表面に細かな凹凸がある場合、入射した光が全方向に拡散して反射する。この拡散反射において、物体表面の特性によって定まる一定の波長の光が吸収される。従って、上質紙やマット紙のように、紙面表面が凹凸である場合、印刷したドット605に含まれるカーボンインクがLED2022による入射光を吸収し、反射光を生ぜずドット605が黒点としてC−MOSカメラ202に写像される(図111左図参照)。ところが、コート紙やアート紙のように表面の平滑な紙やフィルム、プラスチック等にドットを印刷した場合、もしくは印刷したドットの表面をコーティング、あるいは透明フィルムでカバーした場合は鏡面反射を生じ、カーボンインクがLED2022の光を吸収しないでハイライトとなり、C−MOSカメラ202にドット605が写像できない状態となる(図111右図参照)。そこで、これを回避するために、図107に示すように、LED2022からの直接光が鏡面反射して、C−MOSカメラ202に入射しないような位置、すなわちC−MOSカメラ202の側方にLED2022を配置すると供に、拡散反射する表材を内壁2021に用いて、LED2022からの光を内壁2021に反射させ、間接光として柔らかな光を平滑な紙面に均一して照射することにより、ハイライトを生じさせないようにする。 【0259】 また、図108に示すように、LED2022からの光をアクリル等のフィルタ2023を介して、光を拡散させて紙面に均一に照射することにより、ハイライトを生じさせないようにしてもよい。さらに、図109に示すように、LED2022に対して、その周面を覆うアクリルフィルタ2023を装着してもよい。 【0260】 図112および図113は、このようなC−MOSカメラとLED1122との理想的な配置を具体的に実現したペン型スキャナの先端部分の内部構造を示す説明図である。 【0261】 図112は、筒状ケース1124の先端に先端先細状のノーズ部1125を嵌合したものであり、該ノーズ部は軸方向に可動となっており、該可動はノーズ部1125の内面に設けられた突起壁に設けられたスプリングまたはラバー等の弾性部材1121により付勢されている。また突起壁にはC−MOSカメラが装着されており、C−MOSカメラの中央に設けられたレンズ1126は前記ノーズ部先端の開口部に臨むように配置され、開口部からの反射光を撮像できるようになっている。また、レンズ1126の側方には図109で説明したようなフィルタ2023を装着したLED1122(2022)が設けられている。このLED1122は筒状ケース1124内において前記レンズ1126のレンズ面よりも後退した位置に設けられており、LED1122からの照射光が直接レンズ面に入射されない配置構成となっている。 【0262】 前記突起壁には押圧力により電気回路を電気的に導通させるスイッチ1123が設けられており、前記弾性部材1121の付勢力に抗してノーズ部1125が筒状ケース1124方向に移動すると、ノーズ部1125の基端部がスイッチ1123を押圧して動作させるようになっている。 【0263】 前記スイッチ1123が作動されることによってLED1122が照射状態となり、C−MOSカメラは読取り処理を開始する。 【0264】 ペン型スキャナの先端部を図112に示したような構成とすることによって、筒状ケース1124に対してノーズ部1125をはめ込むだけで組み立て作業が完了するため、組み立て効率を向上させることができる。 【0265】 また、図113はペン型スキャナの先端部の別の構成例を示している。同図の構成では、ノーズ部1125はラバー(弾性部材)1132を介して接着剤等で接続されている。また、スイッチ1123は、前記ラバー1132の内側の所定部分に配置されており、ラバーの弾性力に抗して付勢移動されたノーズ部1125の基端部がスイッチ1123を押圧するようになっている。 【0266】 また、C−MOSカメラはレンズ1126の側方にアクリルフィルタ1133を介してLED1131が配置されており、スイッチ1123が作動されるとLED1131の照射光はアクリルフィルタ1133を介して前記ノーズ部1125の開口部から外部に照射される。 【0267】 図68〜図111は、実施形態のさらに変形例を示した図である。 【0268】 図68は、カメラをペン型スキャナ1001としてペン状のケース(装置本体)1015に収容したものである。 【0269】 ケース1015内には、バッテリ1016、スピーカ1007、回路基板1017が内設されている。回路基板1017上には中央処理装置(CPU)とメモリが面付実装されている。また図示は省略したマイク等を内蔵してもよい。また、ケース1015の後端(図で右上端部)にはメモリカートリッジ1014が着脱可能に装着されている。このメモリカートリッジ1014にはプログラムまたは既存の音声データ等が登録されるようになっている。メモリカートリッジ1014は交換可能に構成されており、ROMカートリッジ、マイクユニットカートリッジ等に交換可能である。 【0270】 ケース1015の表面には、ボタン1130a〜1130cが設けられており、読取り開始、録音開始、音声再生等が制御できるようになっている。 【0271】 当該ボタンの中で録音ボタンを押すことによって図示しないマイクで音声を録音することができる。録音した音声データはメモリカートリッジ1014に記録される。このとき、録音ボタンを押圧した状態のままドットパターン部をスキャンすると当該ドットパターン部に録音した音声が割り当てられる。消去ボタンを押しながらドットパターン部をスキャンすると音声のドットパターン部への割り当てが解除される。なお、このとき音声データはメモリカートリッジ1014に保存されたままであってもよい。 【0272】 同図において、ケース1015の先端(図で左下端部)には、ケース1015を約45度程度傾けて媒体面に当接したときに、媒体面の鉛直軸に沿ってC−MOSカメラユニット、スプリング1121および先細り状のノーズ1125が設けられている。ノーズ1125は、ケース1015が媒体面方向に押圧されると、スプリング1121の付勢力に抗して後退(情報に移動)し、スイッチ1123を押圧作動させるようになっている。 【0273】 ノーズ1125内空間にはC−MOSカメラユニットのレンズ1126が該空間に臨むように取り付けられており、ノーズ先端の窓部を撮像可能となっている。 【0274】 ノーズ1125内空間にはクランク状に45度ずつの2箇所の折曲部を有する照射管1127が設けられている。 【0275】 該照射管1127は、透明樹脂の筒体で構成されており、その基端面はLED1122に対面しており、LED1122の照射光が照射管内に入射されるようになっている。照射管内壁面で照射光の拡散成分(光軸に対して45度よりも大きな角度の光成分)は照射管内壁面を通過して外部に放射される。そして照射光の直進成分(光軸に対して45度よりも小さな角度の光成分)は照射管内壁面で反射されて管内を進行する。照射光は照射管内で光軸とほぼ平行な成分だけが先端面からノーズ1125の開口部に対して照射されるようになっている。 【0276】 このように、照射光は、透明樹脂で構成されたクランク状の照射管を通過することによって光軸に平行な集束光となるため、ノーズ部1125の開口部の全域にわたって均一な光量を供給することができる。このように本実施形態によれば、拡散光のような場合に生じる周辺部の暗がりがないため、ドットパターン部607の読取り精度を高めることができる。 【0277】 図69は、このようなペン型スキャナ1001を装置本体1002に接続したものである。同図において、装置本体1002にはメモリカードスロット1003を備えており、音声データやプログラムが登録されたメモリカード1004を挿入可能となっている。また、装置本体1002にはマイクロホン1005が接続されて外部から音声データを装置本体内のメモリに登録することができるようになっている。音声データは装置本体1002のスピーカ1007又は装置本体1002に接続されたスピーカ1006から出力させることができるようになっている。 【0278】 なお、図69ではペン型スキャナ1001と装置本体とはケーブルで接続されているが、図70に示すようにスキャナ内に無線インターフェースを内蔵して装置本体1002とは無線で通信を行うようにしてもよい。 【0279】 図71はペン型スキャナの変形例を示している。同図に示すように、ペン型スキャナ1001aは、バッテリー1010、スピーカ1007を備えており、SDカードやメモリースティックまたはスマートメディア等のメモリーカード1004を装着できるようになっている。 【0280】 図72は、本発明をボードゲームに適用した場合を示しており、ミニフィギュア1101を駒としてボード1102に記載されたマス目1103をサイコロやスピーカ1104で決定された数字分だけミニフィギュア1101をマス目に沿って移動させるものである。この、ミニフィギュア1101の底面にはCCDやC−MOS等の読取り素子が設けられており、ボード1102のマス目にはドットパターン部が形成されている。したがって、ミニフィギュア1101をマス目上に置くことによってマス目毎に異なった音声情報をケーブルで接続されたスピーカ1104から出力させることができる。これによってたとえば次のマス目への移動指示やゲーム進行にとって必要な情報を音声情報として出力させることができる。 【0281】 図73は、ミニフィギュア1101と装置本体1102とを分離し、ミニフィギュア1101の底面に設けられたスキャナ部1105で図示しないドットパターン部を読み込んで無線通信で装置本体1102に当該ドットパターンに対応した読取り信号を送信するものである。装置本体1102ではスピーカ1007を備えており、前記読取り信号に対応した音声情報をメモリカード1004から読み出して音声情報として出力するようになっている。 【0282】 なお、この構成の場合、ミニフィギュア1101と装置本体1102との通信トラフィックを低減するために、ミニフィギュア1101本体内にデコーダを設けて、読み取ったドットパターンの画像データをデコードして数桁のコード情報に変換し該コード情報のみを読み取り信号として装置本体1102に送信することが望ましい。 【0283】 図74は、ミニフィギュア1101の底面に設けられたスキャナ部1105で台座1110表面に形成されたドットパターン部を読み取る場合の変形例である。本実施形態では、スキャナ部1105のドットパターンに対する位置によって読取り内容を変えることができる。たとえば、ミニフィギュア1101の立設軸を中心にドットパターンに対して所定の角度ずつ傾けると、読取り信号も変化させることができるため、ミニフィギュアの向く方向によって出力させる音声内容も変化させることができる。ドットパターン部に対してミニフィギュアの角度を変化させることで音声内容を変化させる方法については前述したので省略する。 【0284】 図75は、ミニフィギュア1101の他の構成例であり、この実施形態ではミニフィギュア1101内にはスキャナ部1105の他、バッテリー1010、スピーカ1007が内蔵されており、さらにメモリカード1004が装着可能となっており、メモリカード1004を交換することにより、プログラムまたは音声データを変更させて全く異なるゲームやミニフィギュア1101を全く異なるキャラクタに変更することもできる。 【0285】 なお、これらの図で説明したミニフィギュア1101は、図面上簡易な人形形状のもので説明したが、アニメーションのキャラクタやペット等の小動物、架空の動物、人物等を模したものであってもよいことは勿論である。 【0286】 図76は、カード1121にドットパターン部1122が設けられており、このドットパターン部1122を読み取るスキャナが内蔵された台座1123上にカード1121を所定角度で配置することにより音声や表示データで得点が出力される形式の玩具である。 【0287】 図78は、雑誌等に印刷されたクロスワードパズル1132をペン型スキャナ1001を用いて遊ぶ場合の例を示したものである。紙面のクロスワードパズル1132の空白枠内1133には本発明のドットパターン部1122が形成されており、ペン型スキャナ1001の先端を所定の空白枠1133内に当接させることによって当該空白枠1133に設定された縦列または横列のワードのヒントがペン型スキャナ1001の液晶表示部1131に表示されるようになっている。 【0288】 この場合、ペン型スキャナ1001の先端部をヒントを希望する空白枠内1133に当接させることで、該空白枠内に形成されたドットパターンを読み込んで当該ワードのヒントを液晶表示部1131に表示させることができる。このとき、同じ空白枠内に当接させる場合であっても、ペン型スキャナ1001を当接させる角度によって縦方向のヒント、横方向のヒント、斜め方向のヒントをそれぞれ表示させることができる。このとき、前述のように、格子ドットに対するキードットの格子点からのずれを中央処理装置(CPU)で計算する際に、カメラの傾き(紙面の鉛直軸を中心にした撮像素子の回転方向へのずれ)を計算できるため、カメラの傾きに応じたクロスワードパズルの縦、横、斜め方向を認識することができる。したがってそれに対応したヒントを記憶手段から読み出して表示したりスピーカ1007から発声させることができる。 【0289】 なお、ペン型スキャナ1001を縦方向、横方向または斜め方向に2枠程度移動させることによってXY座標方向への移動を検出し(検出方法については前述している)当該方向のワードのヒントを液晶表示部1131に表示させたり、スピーカ1007から音声情報として発声させてもよい。 【0290】 図80は、自走型の猫のヌイグルミ1141の腹部底面にスキャナ部1105を設けておき、ボードや家庭内の床面にシール等で形成されたドットパターン部1122上を該ヌイグルミ1141が自走することによってドットパターン部1122を読取り、該読取り信号を装置本体1102に送信するものである。 【0291】 図81は、自走式またはラジオコントロール式の自動車玩具1151の底面にスキャナ部1105が設けられており、ボードや床面にシール等で形成されたドットパターン部1122を読み取って装置本体1102に読取り信号を送信することによって装置本体1102のスピーカ1007からドットパターン部1122に対応する音声情報を出力するものである。 【0292】 たとえば、市街の道路を印刷したシートを用意し、当該シート上を自動車玩具を走らせて遊ぶ場合、交差点や踏切の手前には該シート上にドットパターン部1122を形成したシールを貼っておき、前記自動車玩具1151が交差点や踏切に接近した際に一時停止を促す音声情報を装置本体1102のスピーカ1007から出力させてもよい。 【0293】 図82は、対戦型カードゲームに本発明を適用した場合の説明図である。 【0294】 同図に示すように、装置本体1102には一対のカード挿入口が設けられており、各カード挿入口に対戦する2人のそれぞれの持ちカード1121,1121を挿入することにより、カード1121,1121に設定されたパラメータの優劣を判定するものである。カード1121,1121の表面には図77で説明したようにドットパターン部1122が設けられており、このドットパターン部1122を装置本体1102のスキャナ部1105で読み取ることにより、ドットパターン部1122に対応付けられたパラメータをメモリカード1004から読み出すことで勝敗の判定ができるようになっている。なお、この装置本体1102に液晶表示画面を設けて勝敗結果を表示できるようにしてもよい。なお、図83は、1枚のカードのみを挿入可能とした装置本体1102の例である。 【0295】 図84は、装置本体1102が単なるカードリーダであり、当該装置本体1102をパーソナルコンピュータと接続する場合の実施形態である。また、図85は、ドットパターン部の形成されたはがき大のシート1161を連続的に読み込むための装置本体1102の例であり、たとえばドットパターン部の形成されたユーザからの返信はがきを次々と読み込む場合に適した装置構成である。 【0296】 図86は、POSレジ等で利用可能な装置本体1102の例であり、表面にガラス面1171を備えており、ガラス面1171下に配置されたスキャナ部1105でガラス面1171上を通過する商品等に貼付されたドットパターン部1122を走査することによりバーコードと同様な商品管理、販売管理等をすることができる。この場合、本発明では、包装箱または包装紙の印刷表面に印刷面と重畳してドットパターン部を形成できるため、バーコードシステムのように商品の表面を体裁の悪いバーコードシールが占有することがない。 【0297】 図87は、装置本体を台座1102で構成し、ミニフィギュア1101と組み合わせた例である。この実施形態では、台座1102の上面にガラス板1171が配置され、その下方にスキャナ部1105が設けられている。そして底面にドットパターン部1122が形成されたミニフィギュア1101が台座1102上に載置されると、このドットパターン部1122がスキャナ部1105で読み取られてドットパターン部1122から読み出したコード番号に対応する音声データが挿入されたメモリカード1004から読み出されてスピーカ1007から出力されるようになっている。 【0298】 図88は、装置本体1102がテレビモニタ1171に接続された例である。装置本体1102から映像信号と音声信号とがピンプラグを介してテレビモニタ1171に出力されるようになっている。音声データと映像データとは装置本体1102のメモリーカード1004または内蔵メモリに蓄積されており、ペン型スキャナ1001で読み取ったドットパターン部1122に対応した動画データが音声データと映像データとに分離されてテレビモニタ1171に入力されて、テレビモニタ1171の画面とスピーカから出力されるようになっている。 【0299】 図89は、フォトスタンド形式の装置本体1102を示している。写真1181の裏面にはドットパターン部1122が形成されており、スタンド部分の背面にはスキャナ部(図示せず)が設けられており、このドットパターン部1122を読み取ったコード番号に対応した音声情報が装置本体1102に内蔵されたメモリまたはメモリカードから読み出されてスピーカ1007から出力されるようになっている。この実施形態によれば、写真1181毎に予めドットパターン部1122に対応した音声を内蔵メモリまたはメモリカード1004に登録しておくことにより、写真撮影時の解説または「誕生日おめでとう」等の音声メッセージをスピーカ1007から再生させることができる。 【0300】 なお、スピーカ1007の他にマイク1005を設けて、音声データを内蔵メモリまたはメモリカード1004に登録しておき、予め写真1181の裏面に貼付しているドットパターン部1122と対応付けておいてもよい。 【0301】 また、同図のフォトスタンド型の装置本体1102には、液晶表示部1131を有しており、撮影日時やメッセージ文章等のデータをドットパターン部1122に対応付けておき、写真1181に対応付けたこれらのデータを液晶表示部1131に表示させてもよい。 【0302】 図90は、ペン型スキャナ1001をUSBケーブルを介してパソコン1201に接続したものである。ペン型スキャナ1001とパソコン1201との接続はUSBインターフェースを用いる場合の他、RS−232Cによるシリアルインターフェース、LANインターフェース、IEEE1394インターフェース等を用いてもよい。 【0303】 また、パソコンに無線インターフェースカード1209を装着してペン型スキャナ1001と無線通信で接続してもよい。無線インターフェースについては、ブルートゥース(登録商標)、無線LAN等を用いることができる。また、無線インターフェースの他に赤外線通信等の光インターフェースを用いてペン型スキャナ1001とパソコン1201とを接続するようにしてもよい。 【0304】 図91は、PDA1202にケーブルでペン型スキャナ1001を接続した図である。PDA1202とペン型スキャナ1001との接続も有線接続の他、無線接続、光通信接続で実現してもよい。 【0305】 図92は、スキャナをマウス1301に内蔵した場合のパソコン1201との接続を示したものである。マウス1301はUSBインターフェースを介してパソコン1201にケーブル接続する場合が一般的であるが、無線接続または光通信接続を用いてもよい。 【0306】 図93および図94は、マウス1301にデジタイザ機能を持たせたものである。このマウスの中にはスキャナ部1105が設けられており、マウス1301の先端にガラス部材1302で透過窓を設けて、上方からスキャナ部1105によるドットパターン部1122の読み取りターゲットを目視で確認できるようになっている。 【0307】 図95は、PDA1202の本体にスキャナ部1105を設けた構成であり、図96はパソコン本体1201にスキャナ部1105を設けた構成を示している。図95のようにPDA1202の本体にスキャナ部1105を設けた場合、PDA1202の本体のスキャナ部1105を紙面等のドットパターン部1122に翳して該ドットパターン部1122を読み取ることができる。一方、図96のようにパソコン本体1201にスキャナ部1105を設けた場合、名刺やカード1121(図77参照)に設けられたドットパターン部1122を前記スキャナ部1105に翳すことによってドットパターン部1105を読み取るように使用できる。なお、図97や図99に示すように、携帯電話1401の本体にスキャナ部1105を設けたり、ゲーム機本体にスキャナ部を設けてもよい(図示は省略)。 【0308】 図98は、ペン型スキャナ1001を携帯電話1401のコネクタに接続したものである。このような構成の場合、ペン型スキャナ1001で読み取ったドットパターン部に対応する読取り信号を、携帯電話1401に予めダウンロードしたプログラムで処理し、携帯電話の表示部に表示したり、音声出力させてもよい。また、当該プログラムでサーバにアクセスし、読取り信号を送信してサーバで処理した結果データを携帯電話1401で受信するようにしてもよい。 【0309】 図100は、ペン型スキャナ1001に液晶表示部1131とスピーカ1007とを設けた構成を説明している。この実施形態のペン型スキャナ1001は、その先端にボールペン等の筆記具1601が装着されており、その周囲にスキャナ部1105が設けられている。 【0310】 このようなペン型スキャナ1001の使用例としては、レストラン等のメニューにドットパターン部1122を形成しておき、当該メニューとペン型スキャナ1001とを来店者に手渡す。 【0311】 来店者は、メニューを選択して、当該筆記具1601で選択したメニューの四角形状のボックスをチェックする。このときスキャナ部1105で選択されたメニューに対応したドットパターン部1122が読み込まれる。これによりペン型スキャナ1001の内部の中央処理装置の処理によりメモリから当該メニューに対応する文字情報を読み出して液晶表示部1131に表示する。同図では液晶表示部1131に来店者が選択したメニュー名「和風ハンバーグプレートセット」、とカロリー「864kcal」と金額「1,250円」とが表示されている。 【0312】 このように、来店者自身がメニューを選択し、かつその選択を確認することができるため、店員はペン型スキャナ1001を回収するだけでオーダー処理を完了することができる。 【0313】 図101は、ペン型スキャナ1001にマイク1005とスピーカ1007とを設けた構成を示している。この実施形態では、写真1181の表面に形成されたドットパターン部1122をスキャナ部1105で読み込んで、読取り完了後にマイク1005を用いて当該ドットパターン部1122に対応した音声を入力する。入力された音声データはペン型スキャナ1001内の図示しないメモリに登録される。このときの音声は、当該写真1181を撮影したとの説明文や挨拶文等が考えられる。なお、写真表面の全体にわたってドットパターン部1122を形成しておけば、集合写真等の場合、写真に写っている個人毎に説明文を登録しておくことも可能である。 【0314】 次に、当該写真1181の表面で説明を聞きたい部分にペン型スキャナ1001の先端(スキャナ部1105)を当接させることによってスピーカ1007から前述の音声データを再生させることができる。 【0315】 このように写真1181の他、個々のシールにドットパターン部1122を形成しておき、シール表面にペン型スキャナ1001を当接して音声データを入力させることができる。 【0316】 図102は、システム手帳1701とノートとペン型スキャナ1001を組み合わせて用いる場合の例を示している。 【0317】 同図において、システム手帳1701のスケジュール欄1702にはあらかじめドットパターン部1122が形成されている。そして、スケジュール欄1702に予定を登録する際に、出先等で文字を記録する余裕がない場合、ペン型スキャナ1001の先端(スキャナ部1105)を当該予定を入力した日付のスケジュール欄1702に当接させて、図示しないマイクから当該日付の予定を音声で入力しておく。 【0318】 そして、システム手帳1701上で予定を確認したいときには、確認した日付のスケジュール欄1702にペン型スキャナ1001(スキャナ部1105)を当接させてドットパターン部1122を読み取ることにより、当該日付に対応付けて音声で入力した予定がスピーカ1007から再生される。 【0319】 なお、前記ペン型スキャナ1001はパソコン1201とUSBインターフェース等で接続可能としておくことにより、パソコン1201内のスケジュール管理システム(たとえば、マイクロソフト社のアウトルックや、ロータス社のノーツ等)とデータリンク(シンクロナイズ)させておけば、ペン型スキャナ1001で日付の欄(スケジュール欄1702)のドットパターン部1122を読み込んだときに当該日付に対応する予定を文字データで同図に示すように液晶表示部1131に表示させることもできる。 【0320】 なお、ペン型スキャナ1001をパソコン1201に接続しておき、前記システム手帳1701、IDカード、免許証等の表面に形成されたドットパターン部を読み取ることによりパソコン1201の入力制御を行えるようにしてもよい。このようなパソコン1201の制御はいわゆる「ペーパーアイコン」ということができ、パソコン1201の画面上のアイコンを外部のドットパターン部1122が形成された媒体(システム手帳1701に添付したシールやIDカード)に置き換えることができる。 【0321】 すなわち、ペン型スキャナ1001でこれらの媒体上のドットパターン部1122を読み取り、当該ドットパターン部1122から読み取られたコード情報がパソコン1201内に格納されたコード情報と一致する場合にのみ当該パソコン1201へのアクセスを許可するものである。 【0322】 前記ドットパターン部1122は、ペーパーアイコンとしてシールに印刷しシステム手帳1701、IDカード、免許証の表面に貼付してもよいし、パソコン1201に接続されたプリンタ装置でユーザ自身が印刷し、当該印刷シートを所持しておいてもよい。 【0323】 なお、前記ドットパターン部が形成されたペーパーアイコンはパソコン1201へのアクセスを制御するために用いたが、特定のアプリケーションの起動、特定のインターネットサイトへのアクセスの際のIDやパスワードの入力に用いてもよい。 【0324】 このようなペーパーアイコンは、パソコンのOS上にインストールされたペーパーアイコン用アプリケーションプログラムで管理することができる。 【0325】 具体的には当該アプリケーションプログラムによって実行される、「パソコン上へのアイコンの登録」、「ペーパーアイコンの登録」、「アイコン消去」の各ステップに分けることができる。 【0326】 (通常アイコンの登録) パソコン上のペーパーアイコン用アプリケーションプログラムは、アイコンエディタを有しており、画面上でペーパーアイコンの作成、設定が可能となっている。 【0327】 前記アイコンエディタにおいて、パソコン上の所定の機能を実行するためのアイコンをエディタ上に登録する際には、まず、アイコンの割り当て(ALLOCATE)をON状態とする。次に、パソコン画面上の所望のアイコンをマウスで指定することにより、当該アイコンがエディタ上に登録される。 【0328】 このようにしてエディタ上に登録されたアイコンは、初期状態において、ディスプレイ上の表示がON、実行可能状態(active)がONとなっている。 【0329】 この状態でエディタ上で、ディスプレイ表示をOFFにすると、ディスプレイ上のアイコンが画面上から消滅する。また、実行可能状態(active)をOFFにすると、パソコンでのアイコンの指定実行およびキーボード入力による実行が不能な状態となる。 【0330】 (ペーパーアイコンの登録) 前記エディタにおいて、ペーパーアイコンの割り当て(ALLOCATE)をON状態とする。次に、ディスプレイ上のアイコンをON状態にして登録したいペーパーアイコンの媒体をペン型スキャナ等でスキャンする。 【0331】 以上の作業により、選択されたアイコンにスキャンしたペーパーアイコンのドットパターンのコードが登録される(割り付けられる)。 【0332】 ペーパーアイコンの初期状態では、実行可能状態(active)がON、パスワードが入力可能状態となっている。ここでパスワードを入力すると当該パスワードがエディタプログラムによって暗号化されて登録される。 【0333】 この状態で、実行可能状態(active)をOFFにすると、前記ペーパーアイコンをペン型スキャナでスキャンしてもアイコンに定義された機能の実行が不能な状態となる。 【0334】 (アイコンの消去) 消去フラグ(DELETE)をON状態とすると、実行可能状態(active)も連動してOFF状態となる。そして、この状態で当該アイコンイメージフラグを指定すると、当該アイコンは削除され復旧できない状態となる。 【0335】 (ペーパーアイコンの消去) ペーパーアイコンの消去についても、消去フラグ(DELETE)をON状態とすると、実行可能状態(active)も連動してOFF状態となる。そして、この状態でペーパーアイコンに割り当てられたコード番号を指定するとパスワードの入力が求められる。そしてパスワードを入力するとエディタ上でのペーパーアイコンのリンクは解消され、復旧できなくなる。 【0336】 ドットパターン部1122は、実施形態で説明した絵本等の媒体の他、通常の書籍、グリーティングカード、新聞、通信販売カタログ、パンフレット、ペーパークラフト、折り紙、レシピ等に形成してもよい。 【0337】 たとえば、通信販売カタログにドットパターンを形成しておくことにより、当該ドットパターン部をスキャナ部で読み取って、商品の説明文を発声させたり、パソコン内のメモリに登録された購入申込みプログラムを起動させるようにしてもよい。 【0338】 また、ペーパークラフトや折り紙にドットパターン部を形成しておくことで、該ドットパターン部をスキャナ部で読み取って、作品の組み立て方をスピーカから音声で解説させるようにしてもよい。 【0339】 また、レシピにドットパターン部を形成しておくことにより、料理等のレシピを音声で出力させることができる。 【0340】 また、本発明のドットパターン部を用いてぬり絵のための絵本を提供してもよい。具体的には図106(b)、(c)に示すような領域毎(マスク領域毎)に異なる色をクレヨン、フェルトペン、水彩絵の具等で着色させるようにしてもよい。この場合、ドットパターン部が形成された紙面上であってもノンカーボンの水彩絵の具、クレヨン、フェルトペン等であれば着色が施されていたとしても赤外線は前記着色層を透過させることができるため、ドットパターン部の読取りは可能である。 【0341】 また、ドットパターン部は、バーコードリーダと重ねて印刷されたものであってもよい。その場合、紙面等の媒体上でバーコードをノンカーボンインクで印刷し、さらにその上にカーボンインクでドットパターン部を印刷する。通常のバーコードリーダーは、小さなドットが打ってあっても、バーコードを正確に読み取ることができる。次に本実施形態のペン型スキャナを用いて、ドットパターン部のみを読み取り情報コードを入力する。 【0342】 また、バーコードを「(A)可視光線+可視光線の波長領域に近い赤外線もしくは紫外線」或いは、「(B)可視光線の波長領域に近い赤外線もしくは紫外線」を吸収するインクで印刷し、ドットを「(C)バーコードで使用した赤外線もしくは紫外線の波長領域とは異なる赤外線もしくは紫外線」を吸収するインクで印刷してもよい。 【0343】 この場合、C−MOSSカメラに可視光線遮断フィルターを取り付け、前記(A)もしくは(B)と同一の波長の光を発する第1のLEDを照射し、バーコードのみを読み取る。次に、(C)と同一の波長の光を発する第2のLEDを照射し、ドットパターン部のみを読み取り、情報コードを入力する。このように、バーコード上にドットパターン部からの情報を配置することにより重畳的な情報の取得(バーコードとドットパターン部からのコード)が可能となる。 【符号の説明】 【0344】 1、601 ドットパターン 2、102 カメラユニット 3 キードット 4 情報ドット 5、606 印刷物 6、601、607、803、1122 ドットパターン部 7 情報伝達部 8、108、208 センサ部 9、109、209、806 処理部 10、210 記憶部(メモリ) 11、111、211 本体処理部 12、112、212 画像処理部 14 スピーカ 15 出力部 16 通信カード 17 入力部 18 本体ケース 19 イヤホン端子 20 ボタンスイッチ 21 USB端子 23 コンピュータ 24 GPS 31 音声入力端子 32 無線送信部 33 無線受信部 34 ケーブル 36 ペン 40 マウス型本体 110 携帯電話機 113、213 赤外線発光部 118 情報入力装置 123 コンピュータ 202、602、810 カメラ 218 フィギュア 231 ヌイグルミ 603 第一方向 604 第二方向 605 ドット 608、1201 パソコン 611 透明フィルム 612 タッチパネル 615 ケース 616 マウスパッド 619 ペン状部材 620 テーブル 621 紙 622 スイッチ 801、821 携帯用電子玩具 802 媒体 805 スピーカ 807 音声再生LSI 808 ケース本体 809 ケーブル 812、1131 液晶表示部 813 画像再生LSI 816 記憶媒体 822、1101 ミニフィギュア 824 台 823 ケース本体 1001 ペン型スキャナ 1002、1102 装置本体 1004 メモリカード 1007 スピーカ 1015 ケース 1105 スキャナ部 1121 カード 1124 筒状ケース 1125 ノーズ部 1181 写真 1202 PDA 1301 マウス 1401 携帯電話 1701 システム手帳 2022 LED 2023 フィルタ (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 媒体表面に印刷され、所定の配置法則で印刷された所定のドットパターンを読み取る光学読取手段と、 予め所定の音声情報をドットパターンと関連づけた参照テーブルと、 前記音声情報が記憶された音声記憶手段と、 前記光学読取手段によって前記ドットパターンが読み取られたときに、前記参照テーブルを参照して前記音声記憶手段から当該ドットパターンに関連付けられた音声情報を読み出して出力する音声出力手段とからなる音声情報再生装置であって、 前記所定のドットパターンは、媒体面上に形成され、且つデータ内容が定義できる情報ドットが配置されたドットパターンであって、縦横方向に等間隔に設けられた格子線の交点である格子点を中心に、前記情報ドットを前記格子点の中心から等距離で45°の2倍である90°づつずらした前記縦横方向のうちいずれかの方向に、どの程度ずらすかによってデータ内容を定義し、前記情報ドットが配置されて情報を表現する部分を囲むように、前記縦方向の所定の格子点間隔ごとに水平方向に引いた第一方向ライン上と、該第一方向ラインと交差するように前記横方向の所定の格子点間隔ごとに垂直方向に引いた第二方向ライン上とにおいて、該縦横方向の複数の格子点上に格子ドットが配置されたドットパターンであることを特徴とする音声情報再生装置。 【請求項2】 前記ドットパターンは、水平方向および/または垂直方向に、複数繰り返されていることを特徴とする請求項1記載の音声情報再生装置。 【請求項3】 前記格子ドットの1つは、前記格子点からのずれ方によって一般コードまたはXY座標を示すフラグを意味していることを特徴とする請求項1または2記載の音声情報再生装置。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審理終結日 | 2021-09-30 |
結審通知日 | 2021-10-07 |
審決日 | 2021-10-20 |
出願番号 | P2010-267198 |
審決分類 |
P
1
113・
841-
ZAB
(G06F)
P 1 113・ 537- ZAB (G06F) P 1 113・ 851- ZAB (G06F) P 1 113・ 55- ZAB (G06F) P 1 113・ 852- ZAB (G06F) P 1 113・ 536- ZAB (G06F) P 1 113・ 855- ZAB (G06F) |
最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
田中 秀人 |
特許庁審判官 |
稲葉 和生 須田 勝巳 |
登録日 | 2011-09-09 |
登録番号 | 4817157 |
発明の名称 | 音声情報再生装置 |
代理人 | 松尾 淳一 |
代理人 | 弁理士法人秀和特許事務所 |
代理人 | 細谷 道代 |
代理人 | 細谷 道代 |
代理人 | 末松 亮太 |
代理人 | 岡本 義則 |
代理人 | 西川 喜裕 |
代理人 | 矢部 耕三 |
代理人 | 特許業務法人秀和特許事務所 |