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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1393623
総通号数 14 
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2023-02-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-09-29 
確定日 2023-01-04 
事件の表示 特願2017−227589「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年 6月20日出願公開、特開2019− 93066〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成29年11月28日の出願であって、令和2年11月26日に手続補正書が提出され、令和3年3月12日付けで拒絶の理由が通知され、同年5月18日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年6月24日付け(送達日:同年7月6日)で拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、それに対して、同年9月29日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。

第2 令和3年9月29日に提出された手続補正書による補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和3年9月29日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲についてする補正を含むものであって、令和3年5月18日提出の手続補正書によって補正された本件補正前の請求項1に、
「複数種類の表示を表示可能な表示手段と可動可能な役物とを備える遊技機であって、
前記複数種類の表示のうちの一つの表示は、大当たり遊技中における或る表示であり、
第1の態様で前記或る表示が表示される場合があり、
第2の態様で前記或る表示が表示される場合があり、
第3の態様で前記或る表示が表示される場合があり、
前記第2の態様は、大当たり遊技後の遊技状態が遊技者にとって比較的不利な第1の遊技状態であることを示唆する表示と、キャラクタ表示とを含む態様であり、
前記第3の態様は、大当たり遊技後の遊技状態が遊技者にとって比較的有利な第2の遊技状態であることを示唆する表示と、キャラクタ表示とを含む態様であり、
前記第1の態様は、前記第2の遊技状態で大当りした特定の大当り遊技が終了するタイミングで表示しているものであり、前記第1の遊技状態で大当りしてから前記特定の大当り遊技が終了するまでの大当り遊技の結果を表す表示を含む態様であり、
前記或る表示は、第1のパターンと第2のパターンとを含む複数のパターンのうちの一つのパターンでおこなわれる表示であり、
前記或る表示は、前記第1のパターンとして、大当たり遊技中において前記第2の態様で表示された後に、当該大当たり遊技中において前記第1の態様で表示される場合がある表示であり、
前記或る表示は、前記第2のパターンとして、大当たり遊技中において前記第2の態様で表示された後に、当該大当たり遊技中において前記第1の態様で表示され、その後、当該大当たり遊技中において前記第3の態様で表示される場合がある表示であり、
前記第2のパターンとしての前記或る表示がおこなわれる場合において、前記第1の態様で表示された後、前記役物を可動させる役物可動演出がおこなわれる、
ことを特徴とする遊技機。」とあったものを、

「複数種類の表示を表示可能な表示手段と可動可能な役物とを備える遊技機であって、
前記複数種類の表示のうちの一つの表示は、大当たり遊技中における或る表示であり、
第1の態様で前記或る表示が表示される場合があり、
第2の態様で前記或る表示が表示される場合があり、
第3の態様で前記或る表示が表示される場合があり、
前記第2の態様は、大当たり遊技後の遊技状態が遊技者にとって比較的不利な第1の遊技状態であることを示唆する表示と、キャラクタ表示とを含む態様であり、
前記第3の態様は、大当たり遊技後の遊技状態が遊技者にとって比較的有利な第2の遊技状態であることを示唆する表示と、キャラクタ表示とを含む態様であり、
前記第1の態様は、前記第2の遊技状態で大当りした特定の大当り遊技が終了するタイミングで表示しているものであり、前記第1の遊技状態で大当りしてから前記特定の大当り遊技が終了するまでの大当り遊技の結果を表す表示を含む態様であり、
前記或る表示は、第1のパターンと第2のパターンとを含む複数のパターンのうちの一つのパターンでおこなわれる表示であり、
前記或る表示は、前記第1のパターンとして、大当たり遊技中において前記第2の態様で表示された後に、当該大当たり遊技中において前記第1の態様で表示される場合がある表示であり、
前記或る表示は、前記第2のパターンとして、大当たり遊技中において前記第2の態様で表示された後に、当該大当たり遊技中において前記第1の態様で表示され、その後、当該大当たり遊技中において前記第3の態様で表示される場合がある表示であり、
前記第2のパターンとしての前記或る表示がおこなわれる場合において、前記第1の態様で表示された後、前記役物を可動させる役物可動演出がおこなわれ、
前記第1の態様における前記大当たり遊技の結果を表す表示は、第1の表示と、前記第1の表示とは態様が異なる第2の表示とを含む複数の表示のうちの一つの表示で表示され、
前記大当たり遊技の結果を表す表示が前記第2の表示の場合には、前記第1の表示の場合と比較して、前記第2のパターンが選択されている可能性が高い、
ことを特徴とする遊技機。」とする補正を含むものである(なお、下線は補正前後の箇所を明示するために合議体が付した。)。

2 補正の目的について
(1)本件補正は、本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「前記第1の態様における前記大当たり遊技の結果を表す表示」に関し、「第1の表示と、前記第1の表示とは態様が異なる第2の表示とを含む複数の表示のうちの一つの表示で表示され、前記大当たり遊技の結果を表す表示が前記第2の表示の場合には、前記第1の表示の場合と比較して、前記第2のパターンが選択されている可能性が高い」との限定をするものを含むものである。
(2)上記(1)からみて、本件補正は、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

新規事項の追加の有無について
本件補正は、本願の願書に最初に添付した明細書又は図面における【0323】等の記載に基づくものであり、新たな技術事項を導入するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。

4 独立特許要件について
本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるので、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下検討する。

(1)本願補正発明
本願補正発明は、次のとおりのものであると認める(なお、符号A等は、分説するため合議体が付した。)。

「【請求項1】
A 複数種類の表示を表示可能な表示手段と可動可能な役物とを備える遊技機であって、
B 前記複数種類の表示のうちの一つの表示は、大当たり遊技中における或る表示であり、
C 第1の態様で前記或る表示が表示される場合があり、
D 第2の態様で前記或る表示が表示される場合があり、
E 第3の態様で前記或る表示が表示される場合があり、
F 前記第2の態様は、大当たり遊技後の遊技状態が遊技者にとって比較的不利な第1の遊技状態であることを示唆する表示と、キャラクタ表示とを含む態様であり、
G 前記第3の態様は、大当たり遊技後の遊技状態が遊技者にとって比較的有利な第2の遊技状態であることを示唆する表示と、キャラクタ表示とを含む態様であり、
H 前記第1の態様は、前記第2の遊技状態で大当りした特定の大当り遊技が終了するタイミングで表示しているものであり、前記第1の遊技状態で大当りしてから前記特定の大当り遊技が終了するまでの大当り遊技の結果を表す表示を含む態様であり、
I 前記或る表示は、第1のパターンと第2のパターンとを含む複数のパターンのうちの一つのパターンでおこなわれる表示であり、
J 前記或る表示は、前記第1のパターンとして、大当たり遊技中において前記第2の態様で表示された後に、当該大当たり遊技中において前記第1の態様で表示される場合がある表示であり、
K 前記或る表示は、前記第2のパターンとして、大当たり遊技中において前記第2の態様で表示された後に、当該大当たり遊技中において前記第1の態様で表示され、その後、当該大当たり遊技中において前記第3の態様で表示される場合がある表示であり、
L 前記第2のパターンとしての前記或る表示がおこなわれる場合において、前記第1の態様で表示された後、前記役物を可動させる役物可動演出がおこなわれ、
M 前記第1の態様における前記大当たり遊技の結果を表す表示は、第1の表示と、前記第1の表示とは態様が異なる第2の表示とを含む複数の表示のうちの一つの表示で表示され、
N 前記大当たり遊技の結果を表す表示が前記第2の表示の場合には、前記第1の表示の場合と比較して、前記第2のパターンが選択されている可能性が高い、
O ことを特徴とする遊技機。」

(2)引用文献1に記載された事項、引用発明
ア 記載事項
原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用された、本願の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2015−208457号公報(平成27年11月24日公開)(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は合議体が付した。以下同様。)。

(ア)「【0011】
[パチンコ遊技機1の概略構成例]
まず、図1及び図2を参照しつつ、パチンコ遊技機1の概略構成について説明する。ここで、図1は、パチンコ遊技機1の概略正面図である。図2は、パチンコ遊技機1の一部を示す概略平面図である。図1に例示されるように、パチンコ遊技機1は、入賞や判定(抽選)に関する役物等が設けられた遊技盤2と、遊技盤2を囲む枠部材3とを備えている。枠部材3は、遊技盤2と所定の間隔を隔てて平行配置された透明なガラス板を支持しており、このガラス板と遊技盤2とによって、遊技球が流下可能な遊技領域10が形成されている。」

(イ)「【0023】
[パチンコ遊技機1の演出手段の構成例]
図1に例示されるように、遊技盤2又は枠部材3には、各種の演出を行うものとして、液晶表示器5、可動役物7、スピーカ24、盤ランプ25、及び回転演出装置38,39が設けられている。また、枠部材3には、図1には示されていない枠ランプ37(図4参照)が内蔵されている。
【0024】
液晶表示器5は、演出画像を表示する画像表示装置であり、遊技者によって視認され易い位置に設けられている。液晶表示器5には、例えば、特別図柄判定の判定結果を報知する装飾図柄、予告演出などを行うキャラクタやアイテム、特別図柄判定が保留されている数だけ表示される保留画像等の各種表示オブジェクトを含む演出画像が表示される。なお、画像表示装置は、EL表示装置等の他の画像表示装置によって構成されてもよい。
【0025】
可動役物7は、遊技盤2に対して可動に構成されており、例えば、所定の方向に移動したり、内蔵された発光素子(例えばLED)を発光させたりすることによって各種の演出を行う。可動役物7は、第1始動口11又は第2始動口12への遊技球の入賞に応じて動作する。」

(ウ)「【0057】
図5および図6に示すように、第1始動口11に遊技球が入賞して大当たりとなった場合は、大当たり図柄X1〜大当たり図柄X10のうちの何れかが第1特別図柄表示器41に停止表示され、それぞれの大当たり図柄に応じた大当たり遊技(特別遊技)が行われる。また、第2始動口12に遊技球が入賞して大当たりとなった場合は、大当たり図柄Y1〜大当たり図柄Y9のうちの何れかが第2特別図柄表示器42に停止表示され、それぞれの大当たり図柄に応じた大当たり遊技(特別遊技)が行われる。」

(エ)「【0069】
また、大当たり図柄Y2が停止すると、大当たり遊技中に1Rの短開放ラウンド遊技と15Rの長開放ラウンド遊技が行われる。具体的には、第1ラウンド目において、大入賞口13が0.01秒開放する動作が2回行われ、その後、第2ラウンド〜第16ラウンドでは、上記長開放ラウンド遊技が行われる。大当たり遊技後は、次の大当たりまで高確率遊技状態かつ時短遊技状態にて遊技が制御される。」

(オ)「【0077】
また、大当たり図柄Y9が停止すると、大当たり遊技中に2Rの短開放ラウンド遊技が行われ、大当たり遊技後の所定期間(特別図柄が10回変動するまでの期間)は低確率遊技状態かつ時短遊技状態にて遊技が制御される。所定期間が経過すると、通常遊技状態(低確率遊技状態かつ非時短遊技状態)に移行する。」

(カ)「【0175】
一方、図19に示すように、第2始動口12への遊技球の入賞に応じて大当たりか否かの判定が行われ大当たり図柄Y9による大当たりと判定されると、第2特別図柄が変動し、所定時間経過すると、第2特別図柄表示器42に大当たり図柄Y9が停止表示される。その後、大当たり遊技が開始される。具体的には、大当たり遊技では、第1ラウンド目のラウンド遊技として大入賞口13が0.01秒だけ開放する短開放ラウンド遊技が行われ、第2ラウンド目においても同様の短開放ラウンド遊技が行われる。短開放ラウンド遊技では、大入賞口13の開放時間が比較的短いため、遊技球が大入賞口13に入賞し難く、遊技者は殆ど賞球を獲得できない。大当たり図柄Y9による大当たりでは、2Rの短開放ラウンド遊技が行われた後、大当たり遊技が終了し、その後、低確率遊技状態かつ時短遊技状態に移行する。
【0176】
また、図20に示すように、第2始動口12への遊技球の入賞に応じて大当たりか否かの判定が行われ大当たり図柄Y2による大当たりと判定されると、第2特別図柄が変動し、所定時間経過すると、第2特別図柄表示器42に大当たり図柄Y2が停止表示される。その後、大当たり遊技が開始される。具体的には、大当たり遊技では、第1ラウンド目のラウンド遊技として大入賞口13が0.01秒だけ開放する動作が2回行われる短開放ラウンド遊技が実行される。そして、第2ラウンド目〜第16ラウンド目では、上記長開放ラウンド遊技が行われる。ここで、第1ラウンド目のラウンド遊技では、大入賞口13の開放パターンが、図19の第1ラウンド目および第2ラウンド目を合わせた大入賞口13の開放パターンと同じである。」

(キ)「【0181】
[本実施形態のパチンコ遊技機1の演出概要]
次に、本実施形態のパチンコ遊技機1の演出の概要について説明する。本実施形態のパチンコ遊技機1では、通常遊技状態において第1特別図柄判定により大当たりと判定されると、大当たり遊技後に、高確率遊技状態かつ時短遊技状態に移行することがある。具体的には、大当たり図柄X1〜X6の何れかで大当たりとなれば、大当たり遊技後に、高確率遊技状態かつ時短遊技状態に移行する。以下では、高確率遊技状態かつ時短遊技状態を「高確時短状態」と称することがあり、この高確時短状態における遊技機1の動作および演出について説明する。」

(ク)「【0183】
図21に示すように、通常遊技状態においては第1特別図柄判定で大当たりと判定されると、大当たり遊技が行われ、大当たり図柄に応じて大当たり遊技後に高確時短状態に移行する。ここでは、第1特別図柄判定に係る大当たりを「特1大当たり」と称し、第2特別図柄判定に係る大当たりを「特2大当たり」と称する。高確時短状態に移行すると、第2始動口12に比較的容易に遊技球が入賞し、かつ、第2特別図柄の変動が第1特別図柄の変動よりも優先的に行われるため、主に第2特別図柄が変動する。高確時短状態では、特別図柄判定において大当たりと判定される確率が通常遊技状態よりも高いため、比較的短時間で次の大当たりとなり、さらにその大当たり遊技後に高確時短状態に移行する場合がある。高確時短状態が継続している期間では、大当たり遊技が比較的短時間に連続的に行われる。このような高確時短状態が継続している期間を、高確時短継続期間、又は、大当たりが連続して発生することから「連荘期間」ということがある。なお、通常遊技状態において発生した大当たりを「初当たり」と称することがある。高確時短継続期間では、この期間における大当たりの回数や当該期間において払い出された遊技球の数がカウントされる。
【0184】
高確時短継続期間においては、通常遊技状態とは異なる演出モードである対戦モード演出が行われる。対戦モード演出中は、特別図柄が変動している間及び変動していない間(大当たり遊技中以外)において、通常遊技状態とは異なる背景画像が液晶表示器5に表示され、特別図柄の変動中に通常遊技状態とは異なる演出が行われる。
【0185】
具体的には、対戦モード演出中(高確時短継続期間)では、所定のキャラクタが対戦相手と対戦するトーナメント方式のバトル演出が行われ、バトル演出に勝利すると高確時短状態が継続し、バトル演出に敗北すると高確時短状態が終了する。図21に示すように、対戦モード演出では、1のトーナメント大会において5回のバトル演出が行われ、バトル演出に敗北しない限り(高確時短状態が終了しない限り)、1回戦〜5回戦(決勝戦)のバトル演出が順に行われる。すなわち、所定のキャラクタが1回戦のバトル演出に勝利すると、2回戦に進み、さらに2回戦のバトル演出で勝利すると、3回戦に進む。あるトーナメントAの決勝戦まで進み、決勝戦で所定のキャラクタが勝利(優勝)すると、次のトーナメントBの1回戦に進む。」

(ケ)「【0193】
図24は、第2特別図柄判定において大当たり図柄Y9による大当たりと判定された場合の遊技機1の動作を示す図である。図24に示すように、高確時短状態にて遊技が行われている間に、大当たり図柄Y9による大当たりと判定された場合、当該判定に係る特別図柄の変動においてバトル演出が行われる。そして、バトル演出において所定のキャラクタが対戦相手に敗北する敗北演出が行われる。」

(コ)「【0196】
図25は、第2特別図柄判定において大当たり図柄Y2による大当たりと判定された場合の遊技機1の動作を示す図である。図25に示すように、高確時短状態にて遊技が行われている間に、大当たり図柄Y2による大当たりと判定された場合、当該判定に係る特別図柄の変動においてバトル演出が行われる。そして、バトル演出において所定のキャラクタが対戦相手に敗北する敗北演出が行われる。」

(サ)「【0210】
図28においても、特別図柄判定において大当たりと判定されるまでは特別図柄の変動と停止が繰り返し行われるとともに、装飾図柄51の変動と停止が繰り返し行われ、特別図柄判定で大当たりと判定されると、バトル演出が行われる(図28(A)〜(G))。ここで、特別図柄判定において大当たり図柄Y9による大当たりと判定された場合は、バトル演出の結果として、所定のキャラクタ57が対戦相手58に敗北する敗北演出が行われるとともに、中領域に左右の装飾図柄とは異なる種類の装飾図柄が停止する(図28(H))。これにより、高確時短状態が終了することが報知される。
【0211】
バトル演出において所定のキャラクタ57が敗北した後(特別図柄の変動が終了した後)、図29(A)に示すように、大当たり遊技中に終了演出として対戦モードの終了を示す表示が行われる。また、今回の高確時短継続期間における初当たりから高確時短状態の終了までの大当たりの回数、及び、当該期間における賞球数の総数が表示される。この大当たり遊技は比較的短時間で終了する。そして、大当たり遊技が終了すると、対戦モード演出からリベンジモード演出に移行し、モード表示55として「リベンジモード」と書かれた画像が液晶表示器5に表示される(図29(B))。」

(シ)「【0213】
図30(A)に示すように、バトル演出において所定のキャラクタ57が敗北した後、図29(A)と同様、大当たり遊技中に、終了演出として対戦モードの終了を示す表示が行われるとともに、今回の高確時短継続期間における初当たりから高確時短状態の終了までの大当たりの回数、及び、当該期間における賞球数の総数が表示される。その後、復活演出が行われる(図30(B))。例えば、復活演出として、液晶表示器5に所定のキャラクタ57が復活する様子が表示されてもよいし、演出用の可動役物が動作してもよい。この復活演出が行われることによって、高確時短状態が継続することが報知される。そして、復活演出の実行に伴って第2R目以降のラウンド遊技が行われる(図30(C))。そして、大当たり遊技が終了すると、再び対戦モード演出が行われる(図30(D))。ここでは、直前のバトル演出において所定のキャラクタ57が勝利しなかったため、次のバトル演出では第N回戦の再戦となる。このため、復活演出後の対戦モード演出においては、対戦表示56として、「次はN回戦」と書かれた画像が表示される。すなわち、特別図柄判定において大当たり図柄Y2による大当たり(ジャンプアップ大当たり)と判定された場合は、トーナメントにおいて次の段階には進まず、現在の段階の対戦が再び行われる。」

(ス)「【0298】
また、上記実施形態では、高確時短状態が設定される大当たり(大当たり図柄Y1等)が判定された場合、特別図柄の変動中にバトル演出が行われて、当該バトル演出の結果として勝利演出が行われた。また、高確時短状態が設定される別の大当たり(大当たり図柄Y2)が判定された場合、特別図柄の変動中に敗北演出が行われ、大当たり遊技中に復活演出が行われた。また、高確時短状態が設定されない大当たり(大当たり図柄Y9)が判定された場合、特別図柄の変動中に、高確時短状態が終了することを示す敗北演出が行われた。他の実施形態では、大当たり遊技中にバトル演出およびその結果が報知されてもよい。例えば、特別図柄の変動中に所定のキャラクタが対戦相手と遭遇するか否かの演出が行われた後、所定のキャラクタが対戦相手と遭遇すると大当たりが確定となる。そして、大当たり遊技の開始に応じてバトル演出が開始される。大当たり遊技中の所定のラウンドにおいて所定のキャラクタが対戦相手に攻撃を行い、次のラウンドで攻撃が成功すると、勝利演出となり、高確時短状態が継続することが報知される。一方、次のラウンドで攻撃が失敗して対戦相手から反撃されると、敗北演出となり、その後、高確時短状態が終了することを示す終了演出が行われる。この場合において、高確時短状態が設定される大当たりの場合は、終了演出の後に復活演出が行われる。このように大当たり遊技中にバトル演出が行われる場合は、勝利演出、敗北演出、終了演出、および復活演出は、大当たり遊技中のオープニング中、ラウンド遊技中、エンディング中の何れにおいて行われてもよい。なお、このように大当たり遊技中にバトル演出が行われる場合は、高確時短状態が設定される大当たりと、低確率遊技状態が設定される大当たりの少なくとも2種類の大当たりがあればよい。」

(セ)「【図28】



イ 認定事項
(ア)【0210】には「ここで、特別図柄判定において大当たり図柄Y9による大当たりと判定された場合は、バトル演出の結果として、所定のキャラクタ57が対戦相手58に敗北する敗北演出が行われるとともに、中領域に左右の装飾図柄とは異なる種類の装飾図柄が停止する(図28(H))。これにより、高確時短状態が終了することが報知される。」と記載され、【図28】(H)からは「敗北」の文字が表示されることが看取されることから、引用文献1には「大当たり図柄Y9による大当たりと判定された場合は、バトル演出の結果として、所定のキャラクタ57が対戦相手58に敗北し、「敗北」の文字が表示される敗北演出が行われ、これにより、高確時短状態が終了することが報知される」ことが示されていると認定できる(認定事項A)。

ウ 引用発明
上記ア及びイからみて、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。なお、符号a等については本願補正発明の構成A等に概ね対応させて付与し、引用箇所の段落番号を併記した。

「a 各種表示オブジェクトを含む演出画像を表示する液晶表示器5(【0024】)と所定の方向に移動する可動役物7(【0025】)が設けられているパチンコ遊技機1(【0023】)であって、
b〜e 高確時短状態が継続している期間である高確時短継続期間においては、通常遊技状態とは異なる演出モードである対戦モード演出が行われ(【0183】、【0184】)、対戦モード演出中では、バトル演出が行われ(【0185】)、大当たり遊技中にバトル演出およびその結果が報知され、大当たり遊技の開始に応じてバトル演出が開始され、大当たり遊技中の所定のラウンドにおいて所定のキャラクタが対戦相手に攻撃を行い、次のラウンドで攻撃が失敗して対戦相手から反撃されると、敗北演出となり、その後、高確時短状態が終了することを示す終了演出が行われ、この場合において、高確時短状態が設定される大当たりの場合は、終了演出の後に復活演出が行われ、このように大当たり遊技中にバトル演出が行われる場合は、敗北演出、終了演出、および復活演出は、大当たり遊技中のオープニング中、ラウンド遊技中、エンディング中の何れにおいて行われてもよく(【0298】)、
i 第2始動口12に遊技球が入賞して大当たりとなった場合は、大当たり図柄Y1〜大当たり図柄Y9のうちの何れかが第2特別図柄表示器42に停止表示され、それぞれの大当たり図柄に応じた大当たり遊技が行われ(【0057】)、
f、j 第2始動口12への遊技球の入賞に応じて大当たりか否かの判定が行われ大当たり図柄Y9による大当たりと判定されると、第2特別図柄表示器42に大当たり図柄Y9が停止表示され(【0175】)、大当たり図柄Y9が停止すると、大当たり遊技後の所定期間(特別図柄が10回変動するまでの期間)は低確率遊技状態かつ時短遊技状態にて遊技が制御され、所定期間が経過すると、通常遊技状態に移行し(【0077】)、高確時短状態にて遊技が行われている間に、大当たり図柄Y9による大当たりと判定された場合、バトル演出が行われ(【0193】)、大当たり図柄Y9による大当たりと判定された場合は、バトル演出の結果として、所定のキャラクタ57が対戦相手58に敗北し、「敗北」の文字が表示される敗北演出が行われ、これにより、高確時短状態が終了することが報知され(認定事項A)、バトル演出において所定のキャラクタ57が敗北した後、大当たり遊技中に終了演出として対戦モードの終了を示す表示が行われ(【0211】)、
g、l、k 第2始動口12への遊技球の入賞に応じて大当たりか否かの判定が行われ大当たり図柄Y2による大当たりと判定されると、第2特別図柄表示器42に大当たり図柄Y2が停止表示され(【0176】)、大当たり図柄Y2が停止すると、大当たり遊技後は、次の大当たりまで高確時短状態にて遊技が制御され(【0069】、【0181】)、高確時短状態にて遊技が行われている間に、大当たり図柄Y2による大当たりと判定された場合、当該判定に係る特別図柄の変動においてバトル演出が行われ(【0196】)、バトル演出において所定のキャラクタ57が敗北した後、大当たり遊技中に、終了演出として対戦モードの終了を示す表示が行われ、その後、復活演出が行われ、復活演出として、液晶表示器5に所定のキャラクタ57が復活する様子が表示されてもよいし、演出用の可動役物が動作してもよく、この復活演出が行われることによって、高確時短状態が継続することが報知され(【0213】)、
h 終了演出として、今回の高確時短継続期間における通常遊技状態において発生した大当たりから高確時短状態の終了までの大当たりの回数、及び、当該期間における賞球数の総数が表示される(【0183】、【0211】)、
パチンコ遊技機1(【0011】)。」

(3)引用文献2に記載された事項
ア 記載事項
原査定の拒絶の理由に引用文献2として引用された、本願の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2014−140425号公報(平成26年8月7日公開)(以下「引用文献2」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。

(ア)「【0021】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機1の全体の構成について説明する。図1はパチンコ遊技機1を正面からみた正面図である。図2は当り種別表である。」

(イ)「【0255】
〔第3実施形態〕
次に、第3実施形態を説明する。第3実施形態では、非特定リーチ演出の演出例について説明する。上述したように非特定リーチ演出は、特定リーチ演出と比較すると大当り信頼度が低いが、ノーマルリーチと比較すると大当り信頼度が高いリーチ演出である。このような非特定リーチ演出としては、遊技者の期待感があまり下がり過ぎないようにするために、次のような復活演出を実行可能としてもよい。復活演出とは、キャラクタ同士が対決するようなバトル演出において、一旦は味方のキャラクタが敗れ「敗北」の文字が表示された後に、味方のキャラクタが立ち上がり、「復活」の文字が表示され、敵のキャラクタを倒し復活する演出のことである。また、復活演出と類似する演出として、「敗北」の文字の後に別のキャラクタが登場し、敵のキャラクタをやっつける救済演出もある。そして、非特定のリーチとなる場合には、特定のリーチとなる場合と比べて、復活演出・救済演出が実行される割合が高くなるように設定する。」

イ 引用文献2記載の技術事項
上記アからみて、引用文献2には、次の技術事項(以下「引用文献2記載の技術事項」という。)が記載されている。

「キャラクタ同士が対決するようなバトル演出において、一旦は味方のキャラクタが敗れ「敗北」の文字が表示された後に、味方のキャラクタが立ち上がり、「復活」の文字が表示され、敵のキャラクタを倒し復活する演出である復活演出を実行可能とする、
パチンコ遊技機1。」

(4)周知技術
ア 周知例1
本願出願前に頒布された「ぱちんこCR北斗の拳6」,パチンコ必勝本CLIMAX2014年12月1日号,株式会社綜合図書,2014年12月1日,p.14−27(特にp.21の中段右部を参照)(以下「周知例1」という。)には、次の事項が記載されている。

(ア)「バトル終了画面の背景に注目!」(p.21の中段右部)

(イ)「バトル敗北後に表示される「BONUS×○」の画面では背景に注目。通常は北斗七星のみだが、流星が流れれば救済演出発生率がアップする。」(p.21の中段右部)

(ウ)「流星出現で復活演出発生の期待度アップ」(p.21の中段右部)

(エ)「BONUS×10以降は「ケンシロウVSラオウ(ラオウVSケンシロウ)」「ケンシロウVSカイオウ」「ケンシロウVSファルコ」の一騎打ちとなる。さらに連チャンを重ねてBONUS×20に到達すれば、お馴染みの昇天演出も…!?」(p.21の最下段)

(オ)「

」(p.21の中段右部)

(カ)上記(オ)の画像から、バトル終了画面に「BONUS×」及び「GET」が表示されることが看取される。

(キ)上記(ア)〜(カ)より、周知例1には、「連チャン数を表す「BONUS×」と、「GET」とが表示されるバトル終了画面において、背景に流星が流れれば復活演出発生の期待度がアップするぱちんこCR北斗の拳6というパチンコ機。」が記載されている。

イ 周知例2
本願出願前に頒布された「CR戦国†恋姫」,パチンコ必勝ガイド2016年11月1日号,株式会社ガイドワークス,2016年11月1日,p.30−31(特にp.31の上段を参照)(以下「周知例2」という。)には、次の事項が記載されている。

(ア)「円舞玉を全て消化すると継続チャレンジへ。最終的に役モノが完成すれば夢幻円舞BONUS継続となる。デンジャー柄やラッキーパトなど、お馴染みの演出が出現すればもちろん大チャンス!失敗してもリザルト画面が特定の背景なら復活演出発生が濃厚に。」(p.31の上段右部)

(イ)「継続チャレンジ失敗時にウエディングや水着なら復活濃厚」(p.31の上段左部)

(ウ)「

」(p.31の上段左部)

(エ)上記(ウ)の画像から、リザルト画面に「夢幻円舞BONUS×2890」が表示されることが看取される。

(オ)上記(ア)〜(エ)より、周知例2には、「「夢幻円舞BONUS×」が表示されるリザルト画面において、背景がウエディングや水着なら復活演出発生が濃厚であるCR戦国†恋姫というパチンコ機。」が記載されている。

ウ 周知例3
本願出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった「【演出信頼度まとめ】CRF 戦姫絶唱シンフォギア」,[online],2017年 9月20日,「星空当り(流れ星復活)」の欄参照,[2022年8月31日検索],URL,https://pachiseven.jp/articles/detail/4293(以下「周知例3」という。)には、次の事項が記載されている。

(ア)「シンフォギアチャンスの最終変動の演出がハズれ、結果表示の画面になってもまだ大当りの可能性は残されており、左打ちの指示が発生するまでに流れ星が流れればその時点で復活大当りとなる嬉しいサプライズだ! また、一番最後の保留での大当りは必ず流れ星復活となるので、一番発生する可能性が高いぞ。」(「星空当り(流れ星復活)」の欄)

(イ)「



(ウ)上記(イ)の画像から、結果表示の画面に「FEVER×」及び「TOTAL」が表示されることが看取される。

上記(ア)〜(ウ)より、周知例3には、「「FEVER×」及び「TOTAL」が表示される結果表示の画面において、流れ星が流れれば復活大当りとなる戦姫絶唱シンフォギアというパチンコ機。」が記載されている。

エ 周知技術
上記ア〜ウより、パチンコ機の技術分野において、「結果表示の画面が所定の表示の場合には、所定の表示でない場合と比較して、復活演出が行われる可能性が高いパチンコ機。」は、周知の技術事項と認められる(以下「周知技術」という。)。

(5)対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。

ア 引用発明の構成aの「各種表示オブジェクトを含む演出画像」、「各種表示オブジェクトを含む演出画像を表示する液晶表示器5」、「所定の方向に移動する可動役物7」、「パチンコ遊技機1」は、それぞれ本願補正発明の構成Aの「複数種類の表示」、「複数種類の表示を表示可能な表示手段」、「可動可能な役物」、「遊技機」に相当する。
よって、引用発明は、本願補正発明の構成Aに相当する構成を有する。

イ 引用発明の構成b〜eでは、「高確時短継続期間においては、通常遊技状態とは異なる演出モードである対戦モード演出が行われ、対戦モード演出中では、バトル演出が行われ」、「大当たり遊技中にバトル演出およびその結果が報知され」るのであるから、引用発明は「通常遊技状態」で行われる「演出」と「大当たり遊技中」に行われる「バトル演出」とを有していることは明らかである。
そして、引用発明の構成b〜eでは、「大当たり遊技中の所定のラウンドにおいて」、「敗北演出」、「終了演出」、「復活演出」「が行われ」る場合があるため、引用発明は「通常遊技状態」で行われる「演出」と「大当たり遊技中」に行われる「バトル演出」、「敗北演出」、「終了演出」及び「復活演出」を含む各演出とを有しているといえる。
してみると、引用発明の「通常遊技状態」で行われる「演出」及び「大当たり遊技中」に行われる各演出は、本願補正発明の構成Bの「複数種類の表示」に相当するとともに、「大当たり遊技中」に行われる各演出は、本願補正発明の構成Bの「大当たり遊技中における或る表示」に相当する。
よって、引用発明は、本願補正発明の構成Bに相当する構成を有する。

ウ 引用発明の構成b〜eでは、「大当たり遊技中」において、「敗北演出」、「終了演出」、「復活演出」が行われる場合があるため、引用発明の「終了演出」「が行われ」ること、「敗北演出」「が行われ」ること、及び「復活演出」「が行われ」ることは、それぞれ本願補正発明の構成C、D、Eの「第1の態様で前記或る表示が表示される」こと、「第2の態様で前記或る表示が表示される」こと、及び「第3の態様で前記或る表示が表示される」ことに相当する。
よって、引用発明は、本願補正発明の構成C、D、Eに相当する構成を有する。

エ 引用発明の構成f、jの「通常遊技状態」は、本願補正発明の構成Fの「遊技者にとって比較的不利な第1の遊技状態」に相当する。
また、引用発明の構成f、jより、「高確時短状態にて遊技が行われている間に、大当たり図柄Y9による大当たりと判定された場合」に「敗北演出」が行われることによって「高確時短状態が終了することが報知され」、また、「大当たり遊技後の所定期間は低確率遊技状態かつ時短遊技状態にて遊技が制御され、所定期間が経過すると、通常遊技状態に移行」するのであるから、「高確時短状態が終了すること」の「報知」は、「大当たり遊技後」に「所定期間が経過」してしまった場合には「通常遊技状態に移行」してしまうことを意味する表示であるという点において、「通常遊技状態に移行」することを示唆するものであるといえる。
そうすると、引用発明の「敗北演出」が、「大当たり遊技後」に「通常遊技状態に移行」することを示唆する「高確時短状態が終了すること」の「報知」を行う態様であることは、本願補正発明の構成Fの「第2の態様は、大当たり遊技後の遊技状態が遊技者にとって比較的不利な第1の遊技状態であることを示唆する」「態様であ」ることに相当する。
そして、引用発明の構成f、jより、「敗北演出」では「所定のキャラクタ57が対戦相手58に敗北し、「敗北」の文字が表示され」、「これにより、高確時短状態が終了することが報知され」るのであるから、引用発明の「大当たり遊技後」に「通常遊技状態に移行」することを示唆する「高確時短状態が終了すること」の「報知」としての「「敗北」の文字」の表示、「所定のキャラクタ57が対戦相手58に敗北」する表示は、それぞれ本願補正発明の構成Fの「大当たり遊技後の遊技状態が遊技者にとって比較的不利な第1の遊技状態であることを示唆する表示」、「大当たり遊技後の遊技状態が遊技者にとって比較的不利な第1の遊技状態であることを示唆する」「キャラクタ表示」に相当する。
よって、引用発明は、本願補正発明の構成Fに相当する構成を有する。

オ 引用発明の構成b〜eの「高確時短状態」は、本願補正発明の構成Gの「遊技者にとって比較的有利な第2の遊技状態」に相当する。
また、引用発明の構成g、l、kより、「高確時短状態にて遊技が行われている間に、大当たり図柄Y2による大当たりと判定された場合」に「復活演出」が行われることによって「高確時短状態が継続することが報知され」、「大当たり遊技後は、次の大当たりまで高確時短状態にて遊技が制御され」るのであるから、引用発明の「復活演出」が、「大当たり遊技後」に「高確時短状態が継続すること」の「報知」を行う態様であることは、本願補正発明の構成Gの「第3の態様は、大当たり遊技後の遊技状態が遊技者にとって比較的有利な第2の遊技状態であることを示唆する」「態様であ」ることに相当する。
そして、引用発明の構成g、l、kより、「復活演出」では「液晶表示器5に所定のキャラクタ57が復活する様子が表示され」、「この復活演出が行われることによって、高確時短状態が継続することが報知され」るのであるから、引用発明の「大当たり遊技後」に「高確時短状態が継続すること」の「報知」としての「所定のキャラクタ57が復活する様子」の表示は、本願補正発明の構成Gの「大当たり遊技後の遊技状態が遊技者にとって比較的有利な第2の遊技状態であることを示唆する」「キャラクタ表示」に相当する。
よって、引用発明と本願補正発明の構成Gとは、「前記第3の態様は、大当たり遊技後の遊技状態が遊技者にとって比較的有利な第2の遊技状態であることを示唆する」「キャラクタ表示」「を含む態様であ」るという点で共通する。

カ 引用発明の構成f、j及び引用発明の構成g、l、kより、「高確時短状態にて遊技が行われている間に、大当たり図柄Y9による大当たりと判定された場合」及び「高確時短状態にて遊技が行われている間に、大当たり図柄Y2による大当たりと判定された場合」には、いずれの場合も「大当たり遊技中に終了演出」が行われ、また、引用発明の構成b〜eより、「終了演出」は「大当たり遊技中」の「エンディング中」「において行われてもよ」いのであるから、引用発明の「大当たり図柄Y9による大当たり」及び「大当たり図柄Y2による大当たり」の「大当たり遊技」は、本願補正発明の構成Hの「特定の大当り遊技」に相当するとともに、引用発明の「終了演出」は、「高確時短状態にて遊技が行われている間に」「判定された」「大当たり図柄Y9による大当たり」及び「大当たり図柄Y2による大当たり」の「大当たり遊技中」の「エンディング中」「において行われ」ることは、本願補正発明の構成Hの「前記第1の態様は、前記第2の遊技状態で大当りした特定の大当り遊技が終了するタイミングで表示しているものであ」ることに相当する。
また、引用発明の構成hより、「終了演出として、今回の高確時短継続期間における通常遊技状態において発生した大当たりから高確時短状態の終了までの大当たりの回数、及び、当該期間における賞球数の総数が表示され」、また、「大当たり図柄Y9による大当たり」及び「大当たり図柄Y2による大当たり」の「大当たり遊技」が終了すると「高確時短状態」が終了することは明らかであるから、引用発明の「終了演出」としての「通常遊技状態において発生した大当たりから高確時短状態の終了までの大当たりの回数、及び、当該期間における賞球数の総数」の「表示」は、本願補正発明の構成Hの「前記第1の遊技状態で大当りしてから前記特定の大当り遊技が終了するまでの大当り遊技の結果を表す表示」に相当する。
よって、引用発明は、本願補正発明の構成Hに相当する構成を有する。

キ 引用発明の構成b〜e、引用発明の構成i、引用発明の構成f、j、及び引用発明の構成g、l、kより、「第2始動口12に遊技球が入賞して大当たりとなった場合は、大当たり図柄Y1〜大当たり図柄Y9のうちの何れかが第2特別図柄表示器42に停止表示され」、「大当たり図柄Y9による大当たりと判定されると」、「敗北演出」が行われ、その後、「終了演出」が行われ、「大当たり図柄Y2による大当たりと判定されると」、「敗北演出」が行われ、その後、「終了演出」が行われ、「終了演出」の後に「復活演出」が行われるのであるから、引用発明の「大当たり図柄Y9による大当たり」で行われる「敗北演出」及び「終了演出」、「大当たり図柄Y2による大当たり」で行われる「敗北演出」、「終了演出」、及び「復活演出」、「大当たり図柄Y1〜大当たり図柄Y9のうちの何れか」による「大当たり」で行われる各演出は、それぞれ本願補正発明の構成Iの「第1のパターン」「でおこなわれる表示」、「第2のパターン」「でおこなわれる表示」、「複数のパターン」「でおこなわれる表示」に相当する。
よって、引用発明は、本願補正発明の構成Iに相当する構成を有する。

ク 引用発明の構成b〜e及び引用発明の構成f、jより、引用発明の「大当たり図柄Y9による大当たりと判定されると」、「大当たり遊技中」において「敗北演出」が行われ、その後、「終了演出」が行われることは、「前記或る表示は、前記第1のパターンとして、大当たり遊技中において前記第2の態様で表示された後に、当該大当たり遊技中において前記第1の態様で表示される場合がある表示であ」ることに相当する。
よって、引用発明は、本願補正発明の構成Jに相当する構成を有する。

ケ 引用発明の構成b〜e及び引用発明の構成g、l、kより、引用発明の「大当たり図柄Y2による大当たりと判定されると」、「大当たり遊技中」において「敗北演出」が行われ、その後、「終了演出」が行われ、「終了演出」の後に「復活演出」が行われることは、「前記或る表示は、前記第2のパターンとして、大当たり遊技中において前記第2の態様で表示された後に、当該大当たり遊技中において前記第1の態様で表示され、その後、当該大当たり遊技中において前記第3の態様で表示される場合がある表示であ」ることに相当する。
よって、引用発明は、本願補正発明の構成Kに相当する構成を有する。

コ 引用発明の構成b〜e及び引用発明の構成g、l、kより、引用発明の「大当たり図柄Y2による大当たりと判定されると」、「大当たり遊技中」において「敗北演出」が行われ、その後、「終了演出」が行われ、「終了演出」の後に「復活演出」が行われ、「復活演出」として「演出用の可動役物が動作」する演出を行うことは、本願補正発明の構成Lの「前記第2のパターンとしての前記或る表示がおこなわれる場合において、前記第1の態様で表示された後、前記役物を可動させる役物可動演出がおこなわれ」ることに相当する。
よって、引用発明は、本願補正発明の構成Lに相当する構成を有する。

サ 引用発明の構成aの「パチンコ遊技機1」は、本願補正発明の構成Oの「遊技機」に相当する。
よって、引用発明は、本願補正発明の構成Oに相当する構成を有する。

シ 上記ア〜サより、本願補正発明と引用発明とは、
「A 複数種類の表示を表示可能な表示手段と可動可能な役物とを備える遊技機であって、
B 前記複数種類の表示のうちの一つの表示は、大当たり遊技中における或る表示であり、
C 第1の態様で前記或る表示が表示される場合があり、
D 第2の態様で前記或る表示が表示される場合があり、
E 第3の態様で前記或る表示が表示される場合があり、
F 前記第2の態様は、大当たり遊技後の遊技状態が遊技者にとって比較的不利な第1の遊技状態であることを示唆する表示と、キャラクタ表示とを含む態様であり、
G‘ 前記第3の態様は、大当たり遊技後の遊技状態が遊技者にとって比較的有利な第2の遊技状態であることを示唆するキャラクタ表示を含む態様であり、
H 前記第1の態様は、前記第2の遊技状態で大当りした特定の大当り遊技が終了するタイミングで表示しているものであり、前記第1の遊技状態で大当りしてから前記特定の大当り遊技が終了するまでの大当り遊技の結果を表す表示を含む態様であり、
I 前記或る表示は、第1のパターンと第2のパターンとを含む複数のパターンのうちの一つのパターンでおこなわれる表示であり、
J 前記或る表示は、前記第1のパターンとして、大当たり遊技中において前記第2の態様で表示された後に、当該大当たり遊技中において前記第1の態様で表示される場合がある表示であり、
K 前記或る表示は、前記第2のパターンとして、大当たり遊技中において前記第2の態様で表示された後に、当該大当たり遊技中において前記第1の態様で表示され、その後、当該大当たり遊技中において前記第3の態様で表示される場合がある表示であり、
L 前記第2のパターンとしての前記或る表示がおこなわれる場合において、前記第1の態様で表示された後、前記役物を可動させる役物可動演出がおこなわれる、
O 遊技機。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

・相違点1(構成G)
「前記第3の態様」に関して、
本願補正発明では、「大当たり遊技後の遊技状態が遊技者にとって比較的有利な第2の遊技状態であることを示唆する表示と、キャラクタ表示とを含む態様であ」るのに対し、
引用発明では、「大当たり遊技」が終了すると「高確時短状態が設定される」ことを示唆する「所定のキャラクタ57が復活する様子」の表示を含むものの、所定のキャラクタ57とは別途、「高確時短状態が設定される」ことを示唆する表示が含まれるのかが不明である点。

・相違点2(構成M、N)
「前記第1の態様における前記大当たり遊技の結果を表す表示」に関して、
本願補正発明では、「第1の表示と、前記第1の表示とは態様が異なる第2の表示とを含む複数の表示のうちの一つの表示で表示され、前記大当たり遊技の結果を表す表示が前記第2の表示の場合には、前記第1の表示の場合と比較して、前記第2のパターンが選択されている可能性が高い」のに対して、
引用発明では、終了演出として、今回の高確時短継続期間における通常遊技状態において発生した大当たりから高確時短状態の終了までの大当たりの回数、及び、当該期間における賞球数の総数が所定の態様で表示されているものの、所定の態様と異なる態様で表示されるかが不明である点。

(6)判断
上記相違点1及び2について検討する。

ア 相違点1について
上記引用文献2記載の技術事項における、「味方のキャラクタが敗れ「敗北」の文字が表示され」ること、及び「「復活」の文字が表示され、敵のキャラクタを倒し復活する復活演出」が実行されることは、それぞれ本願補正発明の「第2の態様で前記或る表示が表示される」こと、及び「第3の態様で前記或る表示が表示される」ことに相当する。
また、上記引用文献2記載の技術事項は、「復活演出」において「「復活」の文字」を表示し、「敵のキャラクタを倒し復活する」表示を行うのであるから、本願補正発明の「前記第3の態様は、」「表示と、キャラクタ表示とを含む態様であ」ることに相当する構成を備えるといえる。
そして、引用発明と上記引用文献2記載の技術事項とは、バトル演出の結果として敗北演出が行われ、その後、復活演出が行われる遊技機である点において共通し、両者が、バトル演出の結果を報知するにあたり、遊技者の興趣を高めるという課題を内在することは明らかであるから、引用発明において大当たり遊技後に高確時短状態が継続することの報知としての所定のキャラクタ57が復活する様子の表示を行う復活演出に対して、上記引用文献2記載の技術事項を適用し、所定のキャラクタ57が復活する様子とともに「「復活」の文字」を表示することにより、大当たり遊技後に高確時短状態が継続することの報知としての「「復活」の文字」の表示(大当たり遊技後の遊技状態が遊技者にとって比較的有利な第2の遊技状態であることを示唆する表示)を行うようにすることは、当業者が容易になし得たことである。
したがって、引用発明に上記引用文献2記載の技術事項を適用することにより、上記相違点1に係る本願補正発明の構成をなすことは、当業者が容易になし得たことである。

イ 相違点2について
上記周知技術において「結果表示の画面」が「表示」されること、「復活演出が行われる」ことは、それぞれ本願補正発明の「第1の態様で前記或る表示が表示される」こと、本願補正発明の「第3の態様で前記或る表示が表示される」ことに相当する。
また、上記周知技術の「所定の表示」は、本願補正発明の「第2の表示」に相当するとともに、上記周知技術においては、結果表示の画面が「所定の表示」でない場合も含みうることは自明であり、このような結果表示の画面が「所定の表示」でない場合に表示される「表示」は、本願補正発明の「第1の表示」に相当するといえる。
そして、引用発明と上記周知技術とは、結果表示が行われ、その後、復活演出が行われる遊技機である点において共通し、両者が、結果を表示するにあたり、遊技者の興趣を高めるという課題を内在することは明らかであるから、引用発明の終了演出における大当たりの回数、及び、高確時短継続期間における賞球数の総数の表示(第1の態様における大当たり遊技の結果を表す表示)に対して、上記周知技術を適用し、大当たりの回数、及び、高確時短継続期間における賞球数の総数の表示が「所定の表示」である場合(第2の表示の場合)には、「所定の表示」でない場合(第1の表示の場合)と比較して、敗北演出、終了演出、及び復活演出が行われる大当たり図柄Y2による大当たりと判定されている(第2のパターンが選択されている)可能性が高いものとすることは、当業者が容易になし得たことである。
したがって、引用発明に上記周知技術を適用することにより、上記相違点2に係る本願補正発明の構成をなすことは、当業者が容易になし得たことである。

(7)本願補正発明の奏する効果について
本願補正発明の奏する効果は、引用発明、引用文献2に記載された技術事項、及び、周知技術により奏される効果から、当業者が予測することができた程度のものである。

(8)審判請求人の主張について
審判請求人は、審判請求書において、
「すなわち、引用文献1では、本願発明の特徴部分である「前記第1の態様における前記大当たり遊技の結果を表す表示は、第1の表示と、前記第1の表示とは態様が異なる第2の表示とを含む複数の表示のうちの一つの表示で表示され、前記大当たり遊技の結果を表す表示が前記第2の表示の場合には、前記第1の表示の場合と比較して、前記第2のパターンが選択されている可能性が高い」ことについては開示も示唆もされておりません。」と、主張している。
しかしながら、上記(6)イにおいて検討したとおり、この点は、引用発明に周知技術を適用することにより、当業者が容易になし得たことである。
よって、請求人の主張は採用できない。

(9)独立特許要件のむすび
以上のとおりであるから、本願補正発明は、当業者が、引用発明、引用文献2に記載された技術事項、及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものである。
よって、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

5 小括
本願補正発明は、上記4のとおり、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、令和3年5月18日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2[理由]1に本件補正前の請求項1として記載したとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、次の理由を含むものである。

進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。



1.特開2015−208457号公報
2.特開2014−140425号公報

3 引用文献に記載された事項、引用発明
引用発明、引用文献2記載の技術事項は、上記第2[理由]4(2)及び(3)に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は、上記第2[理由]4で検討した本願補正発明のうち、構成M、Nを削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに構成M、Nを付加したものに相当する本願補正発明が、上記第2[理由]4(6)において検討したように、引用発明、引用文献2記載の技術事項、及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様に引用発明及び上記引用文献2記載の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲 (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。
 
審理終結日 2022-10-19 
結審通知日 2022-10-25 
審決日 2022-11-14 
出願番号 P2017-227589
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 小林 俊久
特許庁審判官 三田村 陽平
澤田 真治
発明の名称 遊技機  
代理人 田邊 淳也  

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