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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01L
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1393706
総通号数 14 
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2023-02-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-12-13 
確定日 2023-01-12 
事件の表示 特願2020− 72513「基板をボンディングする方法および装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 9月10日出願公開、特開2020−145438〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2014年(平成26年)2月3日に出願した特願2016−549744号の一部を、平成30年8月28日に特許法第44条第1項の規定による新たな特許出願(特願2018−159266号)とし、更にその一部を、令和2年4月14日に特許法第44条第1項の規定による新たな特許出願(特願2020−72513号)としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和 2年 4月14日 :翻訳文、上申書、手続補正書の提出
令和 3年 3月26日付け:拒絶理由通知書
令和 3年 6月22日 :意見書、手続補正書の提出
令和 3年 8月30日付け:拒絶査定(原査定)
令和 3年12月13日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和 4年 1月21日付け:前置報告書
令和 4年 4月 5日 :上申書の提出

第2 令和3年12月13日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和3年12月13日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。)
「【請求項1】
基板スタック(14)を収容するための収容装置と前記基板スタック(14)を固定するための固定装置との組合せであって、前記収容装置は、前記基板スタック(14)を単に該基板スタック(14)の周囲領域において収容することができるように構成されており、
前記基板スタック(14)の基板は、前記固定装置によって予め固定可能であり、前記固定装置は、1つまたは複数の以下の固定形式、即ち、
−機械式の固定
−静電式の引付け力
−電流による、またはレーザを用いた制限された高温の熱供給による、両方の基板の局部的な溶接であって、局部的な固定のために役立つ、タッキング(固着)
を含む、ことを特徴とする収容装置と固定装置との組合せ。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、令和3年6月22日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「【請求項1】
基板スタック(14)を収容するための収容装置と前記基板スタック(14)を固定するための固定装置との組合せであって、前記収容装置は、前記基板スタック(14)を単に該基板スタック(14)の周囲領域において収容することができるように構成されており、
前記基板スタック(14)の基板は、前記固定装置によって予め固定可能であり、前記固定装置は、1つまたは複数の以下の固定形式、即ち、
−磁気による固定
−機械式の固定
−静電式の引付け力
−電流による、またはレーザを用いた熱供給による、タッキング(固着)
を含む、ことを特徴とする収容装置と固定装置との組合せ。」

2 補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「固定装置」が含む「1つまたは複数」の「固定形式」について、上記のとおり、「−磁気による固定」との記載を削除するとともに、「−電流による、またはレーザを用いた熱供給による、タッキング(固着)」について、「−電流による、またはレーザを用いた制限された高温の熱供給による、両方の基板の局部的な溶接であって、局部的な固定のために役立つ、タッキング(固着)」と限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。

(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。

(2)引用文献の記載事項
ア 引用文献1
(ア)原査定の拒絶の理由で引用された本願の原出願の出願前に頒布された刊行物である特開2011−151127号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の記載がある(当審注:下線部は当審で付した。以下同じ。)。

「【技術分野】
【0001】
本発明は、金属の接合部を有する基板同士を接合する接合装置、接合方法、プログラム及びコンピュータ記憶媒体に関する。」

「【0023】
以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態にかかる接合装置を有する接合システム1の構成の概略を示す平面図である。図2は、接合システム1の内部構成の概略を示す側面図である。
【0024】
接合システム1では、図3に示すように例えば2枚の基板としてのウェハWU、WLを接合する。以下、上側に配置されるウェハを「上ウェハWU」といい、下側に配置されるウェハを「下ウェハWL」という場合がある。各ウェハWU、WLは、金属の接合部JU、JLをそれぞれ複数有している。そして、各接合部JU、JLを当接させウェハWU、WLを重ね合わせて重合基板としての重合ウェハWTを形成し、ウェハWU、WL同士を接合する。なお、本実施の形態では、例えば接合部JUにはアルミニウムが用いられ、接合部JLにはゲルマニウムが用いられる。
【0025】
接合システム1は、図1に示すように例えば外部との間で複数のウェハWU、WL、重合ウェハWTをそれぞれ収容可能なカセットCU、CL、CTが搬入出されるカセットステーション2と、ウェハWU、WL、重合ウェハWTに対して所定の処理を施す各種処理装置を備えた処理ステーション3とを一体に接続した構成を有している。
・・・
【0028】
処理ステーション3には、各種装置を備えた複数例えば3つのブロックG1、G2、G3が設けられている。例えば処理ステーション3の正面側(図1のX方向負方向側)には、第1のブロックG1が設けられ、処理ステーション3の背面側(図1のX方向正方向側)には、第2のブロックG2が設けられている。また、処理ステーション3のカセットステーション2側(図1のY方向負方向側)には、第3のブロックG3が設けられている。
【0029】
例えば第1の処理ブロックG1には、例えば純水などの洗浄液によってウェハWU、WLの表面を洗浄する洗浄装置30、ウェハWU、WLの位置調整をして重ね合わせ、これらウェハWU、WLを仮接合して重合ウェハWTを形成するアライメント装置31がカセットステーション2側からこの順で配置されている。
【0030】
例えば第2の処理ブロックG2には、重合ウェハWTを接合する複数、例えば4つの接合装置40〜43が設けられている。接合装置40〜43は、水平方向のY方向(図1中の左右方向)に一列に並べて配置されている。
・・・
【0032】
図1に示すように第1のブロックG1〜第3のブロックG3に囲まれた領域には、ウェハ搬送領域Dが形成されている。ウェハ搬送領域Dには、例えばウェハ搬送装置60が配置されている。
【0033】
ウェハ搬送装置60は、例えばY方向、X方向、θ方向及び上下方向に移動自在な搬送アームを有している。ウェハ搬送装置60は、ウェハ搬送領域D内を移動し、周囲の第1のブロックG1、第2のブロックG2及び第3のブロックG3内の所定の装置にウェハWU、WL、重合ウェハWTを搬送できる。」

「【0034】
次に、上述した接合装置40〜43の構成について説明する。接合装置40は、図4及び図5に示すように前熱処理ユニット70、接合ユニット71、後熱処理ユニット72を水平方向のY方向(図4及び図5中の左右方向)にこの順で並べて一体に接続した構成を有している。すなわち、前熱処理ユニット70と後熱処理ユニット72は、それぞれゲートバルブ73、74を介して接合ユニット71に気密に接続されている。
・・・
【0040】
接合ユニット71は、内部を密閉することができる処理容器110を有している。処理容器110は、容器本体111と天板112がシールドベローズ113によって接続された構成を有している。シールドベローズ113は鉛直方向に伸縮自在に構成され、このシールドベローズ113によって天板112は鉛直方向に移動自在になっている。
【0041】
容器本体111の前熱処理ユニット70側の側面には重合ウェハWTの搬入出口114が形成され、当該搬入出口114には上述したゲートバルブ73が設けられている。また、容器本体111の後熱処理ユニット72側の側面には重合ウェハWTの搬入出口115が形成され、当該搬入出口115には上述したゲートバルブ74が設けられている。
・・・
【0043】
処理容器110の内部であって天板112には、後述する第2の熱処理板140上の重合ウェハWTを第2の熱処理板140側に押圧する加圧機構120が設けられている。加圧機構120は、重合ウェハWTに当接して押圧する押圧部材121と、天板112に環状に取り付けられた支持部材122と、押圧部材121と支持部材122を接続し、鉛直方向に伸縮自在の加圧ベローズ123とを有している。押圧部材121の内部には、例えば給電により発熱するヒータ(図示せず)が内蔵されている。そして、加圧機構120の内部、すなわち押圧部材121、加圧ベローズ123、支持部材122及び天板112で囲まれた内部空間に例えば圧縮空気を給気又は吸気することで、加圧ベローズ123が伸縮し押圧部材121が鉛直方向に移動自在になっている。なお、加圧機構120の内部には圧縮空気が封入されるため、この圧縮空気による内圧に耐えるように、加圧機構120の加圧ベローズ123の剛性は、処理容器110のシールドベローズ113の剛性より大きくなっている。
【0044】
また、処理容器110の内部であって天板112には、第1の熱処理板90又は後述する第3の熱処理板170と第2の熱処理板140との間で重合ウェハWTを受け渡すための保持アーム130が設けられている。したがって、保持アーム130は、天板112の移動に伴って鉛直方向に移動自在になっている。保持アーム130は、例えば重合ウェハWTの同一円周上に等間隔に4本設けられ、当該重合ウェハWTの外周部を4箇所で保持するようになっている。保持アーム130は、図6に示すように天板112から鉛直方向下方に延伸し、その下端部が屈曲して水平方向内側に延伸した支持部131と、支持部131に支持され、重合ウェハWTを保持する保持部132とを有している。保持部132は、水平方向内側に突出し、重合ウェハWTの外周部下面を保持する突出部材133と、当該突出部材133から鉛直方向上方に延伸し、重合ウェハWTの外周部側面をガイドするガイド部材134とを有している。また、ガイド部材134上端の内側面は、下側から上側に向かってテーパ状に拡大している。
【0045】
図5に示すように処理容器110の内部であって加圧機構120の下方には、当該加圧機構120に対向する位置に、重合ウェハWTを載置して熱処理する第2の熱処理板140が設けられている。第2の熱処理板140には、例えば給電により発熱するヒータ(図示せず)が内蔵されている。第2の熱処理板140の加熱温度は、例えば後述する制御部200により制御される。また、第2の熱処理板140の外周部には、図6に示すように保持アーム130から第2の熱処理板140に重合ウェハWTを受け渡した状態で、当該保持アーム130の保持部132を収容するための切欠き溝141が形成されている。切欠き溝141は、図4に示すように第2の熱処理板140の外周部に例えば4箇所に形成されている。」

「【0055】
次に、以上のように構成された接合システム1を用いて行われる重合ウェハWTの接合処理方法について説明する。図8は、かかるウェハ接合処理の主な工程の例を示すフローチャートである。
・・・
【0059】
上ウェハWUと下ウェハWLがアライメント装置31に搬送されると、これらウェハWU、WLは位置調整され重ね合わされる。なお、ウェハWU、WLの一方又は双方にはこれらを重ね合わせる前に例えば接着剤を予め塗布しておき、重ね合わせ時に接着することで仮接合され、重合ウェハWTが形成される(図8の工程S3)。」

図1〜6は、以下のとおりのものである。







(イ)上記(ア)の記載から、引用文献1には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。

a 引用文献1に記載された技術は、金属の接合部を有する基板同士を接合する接合装置、接合方法、プログラムに関するものである(【0001】)。

b 接合システム1の処理ステーション3には、アライメント装置31、4つの接合装置40〜43が設けられている(【0023】、【0025】、【0028】〜【0030】、図1、2)。

c アライメント装置31において、ウェハWU、WLの位置調整をして重ね合わせ、接着することで仮接合して、重合基板としての重合ウェハWTを形成する(【0024】、【0029】、【0059】、図3)。

d 接合装置40〜43において、重合ウェハWTを接合する(【0030】)。
接合装置40〜43の接合ユニット71が有する処理容器110の内部には、重合ウェハWTを受け渡すための保持アーム130が設けられており、保持アーム130は、重合ウェハWTの同一円周上に等間隔に4本設けられ、当該重合ウェハWTの外周部を4箇所で保持するようになっている(【0034】、【0040】、【0044】)。

(ウ)上記(ア)、(イ)から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「アライメント装置31、4つの接合装置40〜43が設けられている接合システム1であって、
アライメント装置31において、ウェハWU、WLの位置調整をして重ね合わせ、接着することで仮接合して、重合基板としての重合ウェハWTを形成し、
重合ウェハWTを接合する接合装置40〜43には、重合ウェハWTを受け渡すための保持アーム130が設けられており、保持アーム130は、重合ウェハWTの同一円周上に等間隔に4本設けられ、当該重合ウェハWTの外周部を4箇所で保持するようになっている、接合システム1。」

イ 引用文献2
(ア)原査定の拒絶の理由で引用された本願の原出願の出願前に頒布された刊行物である特開2007−158199号公報(以下「引用文献2」という。)には、図面とともに、次の記載がある。

「【0029】
第1の仮固定工程:位置合わせされ、重ね合わされたウェハ対(ウェハ積層体)は図3(a)のように仮固定装置311により仮固定される。仮固定装置311はウェハホルダ211の面に対して垂直な力を及ぼすが、面に平行な力は作用しないように設計されている。
【0030】
搬送工程:仮固定されたウェハ積層体321は図3(b)に示されたように、ロボットアーム415により重ね合わせ工程実施部411から加圧・加熱工程実施部413に搬送される。この間、仮固定装置により互いのウェハはその位置が変化しないようになされている。」

図3は、以下のとおりのものである。


(イ)上記の(ア)の記載から、仮固定装置311は、機械式の固定をする手段であるといえる。
したがって、引用文献2には、次の技術が記載されていると認められる。

「位置合わせされ、重ね合わされたウェハ対(ウェハ積層体)を機械式の固定手段により仮固定し、仮固定されたウェハ積層体を、重ね合わせ工程実施部から加圧・加熱工程実施部に搬送する技術。」

ウ 引用文献3
(ア)原査定の拒絶の理由で引用された本願の原出願の出願前に頒布された刊行物である特開2006−339191号公報(以下「引用文献3」という。)には、図面とともに、次の記載がある。

「【0022】
先ず、本願発明のウェハホルダを図1(a)に示す。図中101はウェハホルダであり、その周囲部に固定部材102によりウェハホルダに固定された結合部材103が取り付けられている。このウェハホルダのAA’における断面図を図1(b)に示した。固定部材102はウェハホルダ面内方向にはほとんど変形せず、ホルダ面に垂直な方向のみに変形可能であるようになされている。このため、固定部材102に取り付けられた結合部材103の変位方向もウェハホルダ102に垂直な方向に限られることになる。このような特性を有する固定部材としては、図1(b)のような平行板バネ104である。このような平行板バネは材料として、SUS、Ti、燐青銅板で厚さが0.1〜0.5mmのもので形成される。なお、この平行板バネは上下とも各1枚の板バネにより形成されても良いし、上下各板バネが同一面内で分離された複数の板バネにより構成されていて良い。
【0023】
このウェハホルダ101に積層すべきウェハ100を例えば真空吸着や静電吸着(不図示)により固定し、互いに位置合わせを行い、その位置関係が保たれるように接続部材を動作させてウェハを挟み保持する。この状態を示したのが図2である。このように、実質的にホルダ面に垂直な方向のみに変位する接合部材を使用して挟み保持することにより、位置合わせを行った2枚のウェハの位置関係を保持する仮接合が得られる。
【0024】
固定部材の結合力源には、図3(a)のようにコイル301に通電して得られる電磁吸着力、図3(b)のような導管302を配置した真空吸着力、図3(c)のように静電電極303を配置した静電吸着力を使用することが可能である。これらの結合力源は電気的に吸着・解放の状態の制御が可能であり、好適な結合力源となる。尚、電磁力を用いる場合には、ウェハ100を挟み込む他方のウェハホルダの接合部材には電磁石を設ける代わりに磁性体を用いても良いし、永久磁石であってもよい。また、真空吸着力を使用する場合には、一方のウェハホルダの固定部材には真空排気用の導管を設け、他方のウェハホルダの接合部材には鏡面に近い非吸着面を設けることになる。静電吸着力の場合も他方のウェハホルダには静電用の電極を配置することは必要なく、単に比較的滑らかな面を設ければよい。」

図1〜3は、以下のとおりのものである。




(イ)上記の(ア)の記載から、引用文献3には、次の技術が記載されていると認められる。

「位置合わせを行った2枚のウェハの位置関係が保たれるように、接合部材(接続部材)を使用してウェハを挟み保持することにより、仮接合を得るために、固定部材の結合力源として、静電電極303を配置した静電吸着力を使用する技術。」

(3)引用発明との対比
ア 本件補正発明と引用発明とを対比する。

(ア)引用発明の「重合ウェハWT」は、「ウェハWU、WLを重ね合わせ、接着することで仮接合して」形成するものであるから、本件補正発明の「基板スタック」に相当する。

(イ)引用発明の「保持アーム130」は、「重合ウェハWTの同一円周上に等間隔に4本設けられ、当該重合ウェハWTの外周部を4箇所で保持するようになっている」ものであり、「重合ウェハWTの外周部を4箇所で保持する」ことは、4本の保持アーム130によって重合ウェハWTを収容しているといえるから、本件補正発明でいう「基板スタックを収容するための収容装置」といえる。
してみると、本件補正発明と引用発明とは、「前記収容装置は、前記基板スタックを単に該基板スタックの周囲領域において収容することができるように構成されて」いるものである点で一致する。

(ウ)引用発明は、「アライメント装置31において、ウェハWU、WLを重ね合わせ、接着することで仮接合して、重合基板としての重合ウェハWTを形成し」、「重合ウェハWT」は、(接合装置40〜43において、)「接合」されるものであるから、引用発明において、ウェハWU、WLは、仮接合する手段(本件補正発明の「基板スタックを固定するための固定装置」に相当。)によって予め固定可能であるといえる。
したがって、本件補正発明と引用発明とは、「基板スタックを固定するための固定装置によって予め固定可能」である点で一致する。

(エ)引用発明において、「保持アーム130」は、「重合ウェハWTを受け渡す」ため「接合装置40〜43」に設けられたものであり、「『仮接合して、重合基板としての重合ウェハWTを形成』する手段」は、「アライメント装置31」に設けられたものであるといえるところ、「接合装置40〜43」と「アライメント装置31」は、いずれも接合システム1に設けられ、「『仮接合して、重合基板としての重合ウェハWTを形成』する手段」と「保持アーム130」は、いずれも「重合ウェハWT」を扱う手段であるといえるから、「『仮接合して、重合基板としての重合ウェハWTを形成』する手段」と「保持アーム130」は、本件補正発明でいう「組合せ」を構成するといえる。

イ 以上のことから、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
<一致点>
「基板スタックを収容するための収容装置と前記基板スタックを固定するための固定装置の組合せであって、前記収容装置は、前記基板スタックを単に該基板スタックの周囲領域において収容することができるように構成されており、
前記基板スタックの基板は、前記固定装置によって予め固定可能である、収容装置と固定装置との組合せ。」

<相違点>
<相違点1>
「固定装置」について、本件補正発明は、「前記固定装置は、1つまたは複数の以下の固定形式、即ち、−機械式の固定−静電式の引付け力−電流による、またはレーザを用いた制限された高温の熱供給による、両方の基板の局部的な溶接であって、局部的な固定のために役立つ、タッキング(固着) を含む」のに対し、引用発明は、「重合基板としての重合ウェハWTを形成」するに際して、「接着することで仮接合して」いる点。

(4)判断
以下、相違点について検討する。

ア 相違点1について
引用文献2には、「位置合わせされ、重ね合わされたウェハ対(ウェハ積層体)を機械式の固定手段により仮固定し、仮固定されたすウェハ積層体を、重ね合わせ工程実施部から加圧・加熱工程実施部に搬送する技術。」が記載されており、引用文献3には、「位置合わせを行った2枚のウェハの位置関係が保たれるように、接合部材(接続部材)を使用してウェハを挟み保持することにより、仮接合を得るために、固定部材の結合力源として、静電電極303を配置した静電吸着力を使用する技術。」が記載されており、引用発明と、引用文献2、3に記載された技術とは、いずれも、「ウェハの位置調整をして重ね合わされたウェハ積層体を、仮接合(仮固定)して重合ウェハを形成する」点で共通するものであるから、引用発明における、重合ウェハWTを形成する際の固定形式として、「接着する」ことに代えて、引用文献2、又は3に記載された「機械式の固定手段」、「静電吸着力」を採用することは、当業者であれば適宜なし得たことである。

イ そして、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明及び引用文献2、3に記載された技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

ウ したがって、本件補正発明は、引用発明及び引用文献2、3に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3 本件補正についてのむすび
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
令和3年12月13日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和3年6月22日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1〜5に記載された事項により特定されるものであるところ、そのうちの請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1〜3に係る発明は、下記の引用文献1に記載された発明及び下記の引用文献2に記載された技術に基づいて、本願の請求項1、3に係る発明は、引用文献1に記載された発明及び下記の引用文献3に記載された技術、又は引用文献1に記載された発明及び下記の引用文献4に記載された技術に基づいて、本願の請求項4〜5に係る発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献2、5に記載された技術、引用文献1に記載された発明及び引用文献3、5に記載された技術、又は引用文献1に記載された発明及び引用文献4、5に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない、というものである。

引用文献1:特開2011−151127号公報
引用文献2:特開2007−158199号公報(周知技術を示す文献)
引用文献3:特開2006−339191号公報(周知技術を示す文献)
引用文献4:特開2013−004609号公報
引用文献5:特開2009−049081号公報

3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1ないし3及びその記載事項は、前記第2の[理由]2(2)に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明において、「固定装置」が含む「1つまたは複数」の「固定形式」について、「−磁気による固定」の固定形式を付加するとともに、「タッキング(固着)」の固定形式に係る限定事項を削除したものであるから、本願発明における「固定装置」は、「固定形式」が、本件補正発明と同じ、「−磁気による固定」の固定形式を含まず、「1つまたは複数の固定形式、即ち、−機械式の固定−静電式の引付け力−電流による、またはレーザを用いた制限された高温の熱供給による、両方の基板の局部的な溶接であって、局部的な固定のために役立つ、タッキング(固着) を含む」ものも含まれる。
そうすると、本件補正発明が、前記第2の[理由]2(3)、(4)に記載したとおり、引用発明及び引用文献2、3に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明及び引用文献2、3に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
別掲 (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。

審判長 佐藤 智康
出訴期間として在外者に対し90日を附加する。
 
審理終結日 2022-08-10 
結審通知日 2022-08-16 
審決日 2022-08-29 
出願番号 P2020-072513
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01L)
P 1 8・ 575- Z (H01L)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 佐藤 智康
特許庁審判官 松永 稔
恩田 春香
発明の名称 基板をボンディングする方法および装置  
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト  
代理人 森田 拓  
代理人 永島 秀郎  
代理人 前川 純一  
代理人 上島 類  

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