• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04W
管理番号 1393906
総通号数 14 
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2023-02-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2022-06-08 
確定日 2023-01-23 
事件の表示 特願2019−520047「共有無線周波数スペクトル帯域におけるアップリンク送信を半自律的にスケジュールするための技法」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 5月 3日国際公開、WO2018/081101、令和 1年12月19日国内公表、特表2019−537339、請求項の数(16)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2017年(平成29年)10月24日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2016年10月26日 米国、2017年10月23日 米国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

令和2年10月 9日 :手続補正書の提出
令和3年 9月22日付け:拒絶理由通知書
令和3年12月15日 :意見書、手続補正書の提出
令和4年 3月29日付け:拒絶査定
令和4年 6月 8日 :拒絶査定不服審判の請求、手続補正書の提出
令和4年 7月21日 :上申書の提出
令和4年10月13日 :上申書の提出

第2 原査定の概要
原査定(令和4年3月29日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記(引用例については引用文献等一覧を参照)
・請求項1ないし16に対して、引用例1及び2

引用文献等一覧
1.国際公開第2016/017327号(以下、「引用例1」という。)
2.Lenovo,UCI transmission on LAA SCell,3GPP TSG RAN WG1 Meeting #85R1-164647,インターネット<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_763/Docs/R1-164647.zip>,2016年5月13日アップロード(以下、「引用例2」という。)

第3 本願発明
本願請求項1ないし16に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明16」という。)は、令和4年6月8日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし16に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。

「 【請求項1】
ユーザ機器(UE)におけるワイヤレス通信のための方法であって、
共有無線周波数スペクトル帯域のチャネルの、ネットワークアクセスデバイスによる前記チャネルの予約の外にあるサブフレームを識別するステップと、
前記サブフレームにおける前記ネットワークアクセスデバイスによる基準信号送信の不在を検出するステップと、
リッスンビフォアトーク(LBT)手順に少なくとも部分的に基づいて、前記共有無線周波数スペクトル帯域の前記チャネルへのアクセスをめぐって争うステップと、
前記基準信号送信の前記検出された不在および前記LBT手順に少なくとも部分的に基づいて、スケジューリング要求(SR)を前記サブフレームにおいて送信するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記基準信号送信はセル固有基準信号(CRS)送信を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記識別するステップおよび前記検出するステップは、前記サブフレームの第1のシンボル期間において発生する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記SRは、前記サブフレームのシンボル期間のサブセットにおいて送信され、シンボル期間の前記サブセットは、前記サブフレームの第1のシンボル期間の後に開始する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記SRを送信するステップは、単純物理ランダムアクセスチャネル(sPRACH)送信またはバッファステータス報告(BSR)送信の一部である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ユーザ機器(UE)におけるワイヤレス通信のための装置であって、
共有無線周波数スペクトル帯域のチャネルの、ネットワークアクセスデバイスによる前記チャネルの予約の外にあるサブフレームを識別するための手段と、
前記サブフレームにおける前記ネットワークアクセスデバイスによる基準信号送信の不在を検出するための手段と、
リッスンビフォアトーク(LBT)手順に少なくとも部分的に基づいて、前記共有無線周波数スペクトル帯域の前記チャネルへのアクセスをめぐって争うための手段と、
前記基準信号送信の前記検出された不在および前記LBT手順に少なくとも部分的に基づいて、スケジューリング要求(SR)を前記サブフレームにおいて送信するための手段と
を含む装置。
【請求項7】
前記基準信号送信はセル固有基準信号(CRS)送信を含む、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記識別および前記検出は、前記サブフレームの第1のシンボル期間において発生する、請求項6に記載の装置。
【請求項9】
前記SRは、前記サブフレームのシンボル期間のサブセットにおいて送信され、シンボル期間の前記サブセットは、前記サブフレームの第1のシンボル期間の後に開始する、請求項6に記載の装置。
【請求項10】
前記送信されるSRは、単純物理ランダムアクセスチャネル(sPRACH)送信またはバッファステータス報告(BSR)送信の一部である、請求項6に記載の装置。
【請求項11】
ネットワークアクセスデバイスにおけるワイヤレス通信のための方法であって、
共有無線周波数スペクトル帯域のチャネルのサブフレームを、前記ネットワークアクセスデバイスによる前記チャネルの予約の外に前記サブフレームがあることに少なくとも部分的に基づいて、かつ前記サブフレームにおける前記ネットワークアクセスデバイスによる基準信号送信の不在に少なくとも部分的に基づいて識別するステップと、
スケジューリング要求(SR)送信を求めて前記サブフレームの一部分を監視するステップと
を含む方法。
【請求項12】
前記基準信号送信はセル固有基準信号(CRS)送信を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記サブフレームの前記監視される部分は、前記サブフレームのシンボル期間のサブセットを含み、シンボル期間の前記サブセットは、前記サブフレームの第1のシンボル期間の後に開始する、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
ネットワークアクセスデバイスにおけるワイヤレス通信のための装置であって、
共有無線周波数スペクトル帯域のチャネルのサブフレームを、前記ネットワークアクセスデバイスによる前記チャネルの予約の外に前記サブフレームがあることに少なくとも部分的に基づいて、かつ前記サブフレームにおける前記ネットワークアクセスデバイスによる基準信号送信の不在に少なくとも部分的に基づいて識別するための手段と、
スケジューリング要求(SR)送信を求めて前記サブフレームの一部分を監視するための手段と
を備える、装置。
【請求項15】
プロセッサに実行されたときに、請求項1から5のうちのいずれか一項に記載の方法を実行するための命令を含む、コンピュータプログラム。
【請求項16】
プロセッサに実行されたときに、請求項11から13のうちのいずれか一項に記載の方法を実行するための命令を含む、コンピュータプログラム。」

第4 引用例の記載及び引用発明
1 原査定の拒絶の理由に引用された、引用例1(国際公開第2016/017327号)には、図面と共に以下の事項が記載されている。(下線は当審が付与。)

(1)「[0039] 図4は、アンライセンスバンドでLTE/LTE−Aを運用するシステムにおけるLBTのためのフレーム構成の一例を示す図である。1サブフレーム(1ms)は、2スロットから構成され、1スロットは0.5msに相当する。また、1スロットは、7OFDMシンボル(拡張サイクリックプレフィックス使用時は6シンボル)で構成され、1OFDMシンボルは66.7μs+TCP(TCP:サイクリックプレフィックス長)に相当する。
(略)
[0041] 従来(Rel. 11)のTDD UL/DL構成(TDD UL/DL configuration)における特別サブフレームは、DwPTS(Downlink Pilot TimeSlot)、GP(Guard Period)及びUpPTS(Uplink Pilot TimeSlot)から構成される。一方、本発明におけるセンシングサブフレームは、LBT(LBT期間)、GP(Guard Period)及びReport(レポート期間)から構成される。つまり、本発明におけるセンシングサブフレーム構成は従来の特別サブフレーム構成と類似するため、ユーザ端末の実装コストを低減することができる。
[0042] LBT期間は、ユーザ端末がチャネル状態を検出するために用いられる。具体的には、LBT期間において、ユーザ端末はリスニング(LBT)を実施する。ここで、ユーザ端末は、センシングサブフレームでは、特別サブフレームとは異なり、PDSCH(Physical Downlink Shared Channel)の受信及び復調/復号を試行しなくてもよい。
(略)
[0044] レポート期間は、センシングサブフレームの後のULサブフレームで送信を行うためのフィードバック情報を送信するための期間である。フィードバック情報は、ユーザ端末がPUSCHを送信し、当該PUSCHを無線基地局が受信するために用いられる。つまり、PUSCH送信に関する有用な情報である。当該有用な情報の候補としては、例えば、スケジューリング要求(SR:Scheduling Request)/ランダムアクセスプリアンブル(RAP:Random Access Preamble)などがある。これらによれば、ULグラントを要求して、センシングの後にデータ送信を実施することができる。また、有用な情報の候補としては、リソースブロック(RB:Resource Block)、MCS(Modulation and Coding Scheme)などの、PUSCHの復調に関連するパラメータがある。これらを用いることで、ULグラントを用いずに、センシングの後にデータ送信を実施することが可能である。」

(2)「[0045] 図5は、本発明に係るユーザ端末のUL−LBT処理の一例を示すフローチャートである。まず、ユーザ端末は、センシングパターンを取得する(ステップS1)。後述するように、ユーザ端末は、センシングパターンを暗黙的又は明示的な通知によって取得するか、所定の規則に従って算出して取得する。
[0046] ここで、センシングパターンは、LBTによるセンシングの構成に関する情報のことである。言い換えると、センシングパターンは、ユーザ端末がLBTを行うタイミングに関する情報である。センシングパターンは、例えば、センシングサブフレームと、センシングを行う周期(センシングサブフレームの周期、センシング周期ともいう)と、の組み合わせから構成される。センシングパターンは、(“センシングサブフレームに該当するサブフレーム”、“センシング周期”)と表現されてもよい。例えば、任意のサブフレームで1ms毎にセンシングを行う場合のセンシングパターンは、(任意のサブフレーム、1ms)と表現されてもよい。なお、センシングパターンは上述の構成に限られない。
[0047] ユーザ端末は、センシングパターンに基づいて、現在のサブフレームがセンシングサブフレームか否かを判定する(ステップS2)。現在のサブフレームがセンシングサブフレームでない場合(ステップS2−NO)、次のサブフレームで再びステップS2を実施する。
[0048] 現在のサブフレームがセンシングサブフレームである場合(ステップS2−YES)、UL−LBTを実施する(ステップS3)。そして、UL−LBTの結果に基づいて、チャネルがフリーであるか否かを判定する(ステップS4)。チャネルがフリーでないと判定する場合(ステップS4−NO)、次のサブフレームで再びステップS2を実施する。なお、ステップS1でセンシングパターンがユーザ端末によって算出される場合において、チャネルがフリーでないと判定するときは、改めてステップS1を実施してもよい(図5の点線)。
[0049] チャネルがフリーであると判定する場合(ステップS4−YES)、その後のULサブフレームでUL送信を実施する(ステップS5)。」

(3)


(4)


上記記載及び当業者の技術常識を考慮すると、次のことがいえる。

ア 上記「(1)」の段落39に「図4は、アンライセンスバンドでLTE/LTE−Aを運用するシステムにおけるLBTのためのフレーム構成の一例を示す図である。」と記載されていることから、アンライセンスバンドのワイヤレス通信システムを前提としており、そして、上記「(2)」の段落45に「図5は、本発明に係るユーザ端末のUL−LBT処理の一例を示すフローチャートである。」と記載され、段落49に「ULサブフレームでUL送信を実施する(ステップS5)。」と記載されていることから、引用例1ではユーザ端末のアンライセンスバンドのワイヤレス通信のための方法が記載されているといえる。

イ 上記「(2)」の段落47に「ユーザ端末は、センシングパターンに基づいて、現在のサブフレームがセンシングサブフレームか否かを判定する(ステップS2)。」と記載され、更に、段落48に「現在のサブフレームがセンシングサブフレームである場合(ステップS2−YES)、UL−LBTを実施する(ステップS3)。そして、UL−LBTの結果に基づいて、チャネルがフリーであるか否かを判定する(ステップS4)。」と記載されていることから、引用例1のユーザ端末は、センシングパターンに基づいて、現在のサブフレームがセンシングサブフレームか否かを判定し、現在のサブフレームがセンシングサブフレームである場合にUL−LBTを実施し、UL−LBTの結果に基づいて、チャネルがフリーであるか否かを判定することが記載されているといえる。

ウ 上記「(2)」の段落49に「チャネルがフリーであると判定する場合(ステップS4−YES)、その後のULサブフレームでUL送信を実施する(ステップS5)」と記載されていることから、チャネルがフリーであると判定する場合にUL送信を実施することが記載されているといえる。
また、上記「(1)」の段落41に「センシングサブフレームは、LBT(LBT期間)、GP(Guard Period)及びReport(レポート期間)から構成される。」、段落42に「LBT期間において、ユーザ端末はリスニング(LBT)を実施する。」、及び、段落44に「レポート期間は、センシングサブフレームの後のULサブフレームで送信を行うためのフィードバック情報を送信するための期間である。フィードバック情報は、ユーザ端末がPUSCHを送信し、当該PUSCHを無線基地局が受信するために用いられる。つまり、PUSCH送信に関する有用な情報である。当該有用な情報の候補としては、例えば、スケジューリング要求(SR:Scheduling Request)・・・がある。」と記載されていることから、センシングサブフレームのLBT期間においてLBTを実施し、センシングサブフレームのレポート期間でスケジューリング要求(SR)を送信することが記載されているといえる。
よって、上記「(2)」の段落49の記載において「チャネルがフリーであると判定する場合にUL送信を実施する」ことは、センシングサブフレームのLBT期間においてチャネルがフリーであると判定する場合にセンシングサブフレームのレポート期間でスケジューリング要求(SR)を送信することといえる。

したがって、以上を総合すると、引用例1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「 ユーザ端末のアンライセンスバンドのワイヤレス通信のための方法であって、
センシングパターンに基づいて、現在のサブフレームがセンシングサブフレームか否かを判定し、現在のサブフレームがセンシングサブフレームである場合にUL−LBTを実施し、UL−LBTの結果に基づいて、チャネルがフリーであるか否かを判定し、
センシングサブフレームのLBT期間においてチャネルがフリーであると判定する場合にセンシングサブフレームのレポート期間でスケジューリング要求(SR)を送信すること
を含む方法。」

2 原査定の拒絶の理由に引用された、引用例2(Lenovo,UCI transmission on LAA SCell(当審訳:LAAのSCell上のUCI伝送),3GPP TSG RAN WG1 Meeting #85R1-164647,インターネット<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_763/Docs/R1-164647.zip>,2016年5月13日アップロード)には、図面と共に以下の事項が記載されている。(下線は当審が付与。)

「Although UE can detect the existence of one DL subframe by detecting CRS, this may lead to some error cases.」(1ページの末行ないし2ページ1行)
(当審訳:UEはCRSを検出することで1つのDLサブフレームの存在を検出できるが、これはいくつかのエラーケースにつながる可能性がある。)

したがって、引用例2には、以下の技術事項が記載されていると認められる。

「UEはCRSを検出することで1つのDLサブフレームの存在を検出できる。」

第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、以下のことがいえる。

ア 引用発明の「ユーザ端末」は、本願発明1の「ユーザ機器(UE)」に相当する。
したがって、引用発明の「ユーザ端末のアンライセンスバンドのワイヤレス通信のための方法」は、本願発明1と同様に、「ユーザ機器(UE)におけるワイヤレス通信のための方法」といえる。

イ 引用発明の「UL−LBT」は、本願発明1の「リッスンビフォアトーク(LBT)手順」に含まれる。
また、引用発明の通信の前提となっている「アンライセンスバンド」は、アンライセンスの帯域であることから、他の通信システムと共有する帯域である。したがって、引用発明の「アンライセンスバンド」は、本願発明1と同様に、「共有無線周波数スペクトル帯域」といえる。
そして、引用発明においてアンライセンスバンドで「現在のサブフレームがセンシングサブフレームである場合にUL−LBTを実施し、UL−LBTの結果に基づいて、チャネルがフリーであるか否かを判定し、センシングサブフレームのLBT期間においてチャネルがフリーであると判定する場合にセンシングサブフレームのレポート期間でスケジューリング要求(SR)を送信する」ことは、引用発明の「UL−LBT」の実施に基づいて、共有無線周波数スペクトル帯域であるアンライセンスバンドでスケジューリング要求(SR)を送信するというチャネルへのアクセスをめぐって争っているといえる。
したがって、本願発明1と引用発明とは、リッスンビフォアトーク(LBT)手順に少なくとも部分的に基づいて、共有無線周波数スペクトル帯域のチャネルへのアクセスをめぐって争うステップを含む点で共通する。

ウ 引用発明の「スケジューリング要求(SR)」は、本願発明1の「スケジューリング要求(SR)」に相当する。
したがって、本願発明1の「前記基準信号送信の前記検出された不在および前記LBT手順に少なくとも部分的に基づいて、スケジューリング要求(SR)を前記サブフレームにおいて送信するステップ」と、引用発明の「UL−LBTの結果に基づいて、チャネルがフリーであるか否かを判定し、センシングサブフレームのLBT期間においてチャネルがフリーであると判定する場合にセンシングサブフレームのレポート期間でスケジューリング要求(SR)を送信する」こととは、「前記LBT手順に少なくとも部分的に基づいて、スケジューリング要求(SR)を送信するステップ」の点で共通する。

以上を総合すると、本願発明1と引用発明とは、以下の点で一致し、また、相違している。

(一致点)
「 ユーザ機器(UE)におけるワイヤレス通信のための方法であって、
リッスンビフォアトーク(LBT)手順に少なくとも部分的に基づいて、共有無線周波数スペクトル帯域のチャネルへのアクセスをめぐって争うステップと、
前記LBT手順に少なくとも部分的に基づいて、スケジューリング要求(SR)を送信するステップと
を含む方法。」

(相違点1)
本願発明1では、
「 共有無線周波数スペクトル帯域のチャネルの、ネットワークアクセスデバイスによる前記チャネルの予約の外にあるサブフレームを識別するステップと、
前記サブフレームにおける前記ネットワークアクセスデバイスによる基準信号送信の不在を検出するステップと」を含み、
「前記基準信号送信の前記検出された不在および前記LBT手順に少なくとも部分的に基づいて、スケジューリング要求(SR)を前記サブフレームにおいて送信する」
のに対し、引用発明では、当該発明特定事項が特定されていない点。

(2)判断
相違点である「 共有無線周波数スペクトル帯域のチャネルの、ネットワークアクセスデバイスによる前記チャネルの予約の外にあるサブフレームを識別するステップと、
前記サブフレームにおける前記ネットワークアクセスデバイスによる基準信号送信の不在を検出するステップと」を行い、
「前記基準信号送信の前記検出された不在および前記LBT手順に少なくとも部分的に基づいて、スケジューリング要求(SR)を前記サブフレームにおいて送信する」ことは引用例2には記載されておらず、ワイヤレスネットワークの分野において周知技術であるともいえない。
よって、引用発明において、上記相違点に係る本願発明1の発明特定事項の「 共有無線周波数スペクトル帯域のチャネルの、ネットワークアクセスデバイスによる前記チャネルの予約の外にあるサブフレームを識別するステップと、
前記サブフレームにおける前記ネットワークアクセスデバイスによる基準信号送信の不在を検出するステップと」を含み、
「前記基準信号送信の前記検出された不在および前記LBT手順に少なくとも部分的に基づいて、スケジューリング要求(SR)を前記サブフレームにおいて送信する」ことは、当業者といえども、容易に想到し得たとはいえない。
したがって、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用例2に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2 本願発明2ないし5、15について
本願発明2ないし5、15は、本願発明1の発明特定事項を全て含むから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用例2に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。

3 本願発明6について
本願発明6は、本願発明1に対応する装置の発明であり、本願発明1の上記相違点の
「 共有無線周波数スペクトル帯域のチャネルの、ネットワークアクセスデバイスによる前記チャネルの予約の外にあるサブフレームを識別するステップと、
前記サブフレームにおける前記ネットワークアクセスデバイスによる基準信号送信の不在を検出するステップと」を含み、
「前記基準信号送信の前記検出された不在および前記LBT手順に少なくとも部分的に基づいて、スケジューリング要求(SR)を前記サブフレームにおいて送信する」
に対応する
「 共有無線周波数スペクトル帯域のチャネルの、ネットワークアクセスデバイスによる前記チャネルの予約の外にあるサブフレームを識別するための手段と、
前記サブフレームにおける前記ネットワークアクセスデバイスによる基準信号送信の不在を検出するための手段と、」
「 前記基準信号送信の前記検出された不在および前記LBT手順に少なくとも部分的に基づいて、スケジューリング要求(SR)を前記サブフレームにおいて送信するための手段」
を含むことから、本願発明1と同様理由により、当業者であっても、引用発明及び引用例2に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

4 本願発明7ないし10について
本願発明7ないし10、本願発明6の発明特定事項を全て含むから、本願発明6と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用例2に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。

5 本願発明11について
本願発明11は、本願発明1に対応するネットワークアクセスデバイスにおけるワイヤレス通信のための方法の発明であり、本願発明1の上記相違点の
「 共有無線周波数スペクトル帯域のチャネルの、ネットワークアクセスデバイスによる前記チャネルの予約の外にあるサブフレームを識別するステップと、
前記サブフレームにおける前記ネットワークアクセスデバイスによる基準信号送信の不在を検出するステップと」を含み、
「前記基準信号送信の前記検出された不在および前記LBT手順に少なくとも部分的に基づいて、スケジューリング要求(SR)を前記サブフレームにおいて送信する」
に対応する
「 共有無線周波数スペクトル帯域のチャネルのサブフレームを、前記ネットワークアクセスデバイスによる前記チャネルの予約の外に前記サブフレームがあることに少なくとも部分的に基づいて、かつ前記サブフレームにおける前記ネットワークアクセスデバイスによる基準信号送信の不在に少なくとも部分的に基づいて識別するステップ」及び「スケジューリング要求(SR)送信を求めて前記サブフレームの一部分を監視するステップ」
を含むことから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明及び引用例2に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

6 本願発明12、13、及び、16について
本願発明12、13、及び、16は、本願発明11の発明特定事項を全て含むから、本願発明11と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用例2に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。

3 本願発明14について
本願発明14は、本願発明11に対応する装置の発明であり、本願発明1の上記相違点の
「 共有無線周波数スペクトル帯域のチャネルの、ネットワークアクセスデバイスによる前記チャネルの予約の外にあるサブフレームを識別するステップと、
前記サブフレームにおける前記ネットワークアクセスデバイスによる基準信号送信の不在を検出するステップと」を含み、
「前記基準信号送信の前記検出された不在および前記LBT手順に少なくとも部分的に基づいて、スケジューリング要求(SR)を前記サブフレームにおいて送信する」
に対応する
「 共有無線周波数スペクトル帯域のチャネルのサブフレームを、前記ネットワークアクセスデバイスによる前記チャネルの予約の外に前記サブフレームがあることに少なくとも部分的に基づいて、かつ前記サブフレームにおける前記ネットワークアクセスデバイスによる基準信号送信の不在に少なくとも部分的に基づいて識別するための手段」及び「スケジューリング要求(SR)送信を求めて前記サブフレームの一部分を監視するための手段」
を含むことから、本願発明1と同様理由により、当業者であっても、引用発明及び引用例2に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

第6 原査定についての判断
令和4年6月8日にされた手続補正により、本願発明1ないし本願発明5のいずれも、「 共有無線周波数スペクトル帯域のチャネルの、ネットワークアクセスデバイスによる前記チャネルの予約の外にあるサブフレームを識別するステップと、
前記サブフレームにおける前記ネットワークアクセスデバイスによる基準信号送信の不在を検出するステップと」を含み、
「前記基準信号送信の前記検出された不在および前記LBT手順に少なくとも部分的に基づいて、スケジューリング要求(SR)を前記サブフレームにおいて送信する」
という発明特定事項を備えるものとなっている。

また、本願発明6ないし本願発明10及び本願発明15のいずれも、
「 共有無線周波数スペクトル帯域のチャネルの、ネットワークアクセスデバイスによる前記チャネルの予約の外にあるサブフレームを識別するための手段と、
前記サブフレームにおける前記ネットワークアクセスデバイスによる基準信号送信の不在を検出するための手段と、」
「 前記基準信号送信の前記検出された不在および前記LBT手順に少なくとも部分的に基づいて、スケジューリング要求(SR)を前記サブフレームにおいて送信するための手段」
という発明特定事項を備えるものとなっている。

そして、本願発明11ないし本願発明13及び本願発明16のいずれも、
「 共有無線周波数スペクトル帯域のチャネルのサブフレームを、前記ネットワークアクセスデバイスによる前記チャネルの予約の外に前記サブフレームがあることに少なくとも部分的に基づいて、かつ前記サブフレームにおける前記ネットワークアクセスデバイスによる基準信号送信の不在に少なくとも部分的に基づいて識別するステップ」及び「スケジューリング要求(SR)送信を求めて前記サブフレームの一部分を監視するステップ」という発明特定事項を備えるものとなっている。

更に、本願発明14は、
「 共有無線周波数スペクトル帯域のチャネルのサブフレームを、前記ネットワークアクセスデバイスによる前記チャネルの予約の外に前記サブフレームがあることに少なくとも部分的に基づいて、かつ前記サブフレームにおける前記ネットワークアクセスデバイスによる基準信号送信の不在に少なくとも部分的に基づいて識別するための手段」及び「スケジューリング要求(SR)送信を求めて前記サブフレームの一部分を監視するための手段」という発明特定事項を備えるものとなっている。

してみれば、上記「第5」のとおり、本願発明1ないし16は、当業者であっても、原査定において引用された引用発明及び引用例2に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。

第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。

 
審決日 2023-01-11 
出願番号 P2019-520047
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H04W)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 廣川 浩
特許庁審判官 齋藤 哲
中木 努
発明の名称 共有無線周波数スペクトル帯域におけるアップリンク送信を半自律的にスケジュールするための技法  
代理人 黒田 晋平  
代理人 村山 靖彦  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ