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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 B65D
管理番号 1393947
総通号数 14 
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2023-02-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2022-08-31 
確定日 2023-02-07 
事件の表示 特願2022−18122号「容器」拒絶査定不服審判事件〔令和4年4月13日出願公開、特開2022−59628、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、令和2年9月18日(優先権主張 令和元年9月18日 日本国)を国際出願日とする特願2021−546982号の一部を令和4年2月8日に新たな特許出願としたものであって、令和4年3月1日付けで拒絶理由通知がされ、令和4年4月26日に意見書が提出され、令和4年6月1日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、令和4年8月31日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされたものである。

第2 補正の却下の決定
1 補正の却下の決定の結論
令和4年8月31日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

2 補正の却下の決定の理由
(1)本件補正の内容
本件補正前の特許請求の範囲及び本件補正後の特許請求の範囲は、それぞれ以下のとおりである。

ア 本件補正前の特許請求の範囲
「【請求項1】
調味料を収納可能な容器本体と、
前記容器本体に開閉自在に設けられる蓋体と、
前記蓋体の内面に設けられ、前記容器本体に密接する弾性部材と、
前記弾性部材と一体に設けられ、前記容器本体に設置されて閉蓋状態で屈曲形状に弾性変形する弾性片と、
を備え、
前記弾性部材が、前記容器本体に密接することで、前記弾性片が屈曲形状から弾性復帰して開蓋動作を行う弾発力に抗して、前記容器本体と前記蓋体との閉蓋状態及び密閉状態を維持することを特徴とする容器。
【請求項2】
前記弾性片が、前記容器本体と前記弾性部材との密接が解かれた場合に、前記屈曲形状から弾性復帰する弾発力により前記蓋体の開蓋動作を行うことを特徴とする請求項1に記載の容器。
【請求項3】
閉蓋状態の前記蓋体の内面に面接する回動自在なレバーをさらに備え、
前記レバーが回動して前記蓋体を押し上げることで、前記容器本体と前記弾性部材との密接が解かれることを特徴とする請求項1又は2に記載の容器。」

イ 本件補正後の特許請求の範囲(下線部は、補正箇所である。)
「【請求項1】
調味料を収納可能な容器本体と、
前記容器本体に開閉自在に設けられる蓋体と、
前記蓋体の内面に設けられ、前記容器本体に密着する弾性力を有した弾性部材と、
前記容器本体に設置されて閉蓋状態で屈曲形状に弾性変形する弾性片と、
を備え、
前記弾性部材が、前記容器本体の上部内面に密着することによって、前記弾性片が屈曲形状から弾性復帰して開蓋動作を行う弾発力に抗して、前記容器本体と前記蓋体との閉蓋状態及び密閉状態を維持することを特徴とする容器。
【請求項2】
前記弾性片が、前記容器本体と前記弾性部材との密着が解かれた場合に、前記屈曲形状から弾性復帰する弾発力により前記蓋体の開蓋動作を行うことを特徴とする請求項1に記載の容器。
【請求項3】
閉蓋状態の前記蓋体の内面に面接する回動自在なレバーをさらに備え、
前記レバーが回動して前記蓋体を押し上げることで、前記容器本体と前記弾性部材との密着が解かれることを特徴とする請求項1又は2に記載の容器。」

(2)本件補正の適否の判断
本件補正は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された「前記弾性部材と一体に設けられ、」という事項を削除する補正を含むものである。
しかしながら、上記補正により、本件補正後の請求項1に係る発明は、本件補正前の請求項1に記載された「前記弾性部材と一体に設けられ」た「弾性片」でない弾性片を備えるものをも包含するため、上記補正は、特許請求の範囲の減縮を目的としたものとは認められない。
また、上記補正は、請求項の削除、誤記の訂正、あるいは、明りょうでない記載の釈明の、いずれを目的としたものとも認められない。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項に規定する要件を満たしていないので、上記のとおり本件補正を却下する。

第3 原査定の概要
原査定(令和4年6月1日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

請求項1〜3に係る発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献2、3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
請求項1〜3に係る発明は、引用文献2に記載された発明及び引用文献1、3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1:特開2016−210494号公報
引用文献2:特開2004−244111号公報
引用文献3:特開2002−53157号公報

第4 本願発明
本件補正は、上記「第2 補正の却下の決定」のとおり、却下された。
したがって、本願請求項1〜3に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」などという。)は、出願当初の特許請求の範囲の請求項1〜3に記載された事項により特定される発明であり、上記「第2 2 (1)ア」のとおりの発明である。

第5 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。以下、下線は、便宜のため当審が付した。「・・・」は記載の省略を示す。
「【0010】
以下、図示の実施の形態に基づいて本発明を詳説する。
図1〜図3は、本発明の実施の一形態を示す。この収納容器は、粉物(例えば小麦粉)、乾物(例えばかつおぶし、マカロニ)、調味料(例えば砂糖、塩)、漬物(例えばピクルス、オリーブ)等を収納して使用する。上方開口状容器本体1と、容器本体1の開口部2に螺着されたリング体3と、リング体3に開閉自在に枢着されて開口部2を施蓋する蓋体4と、蓋体4に一体状に組み付けられたパッキン5と、を有する。容器本体1、リング体3、蓋体4は、硬質のプラスチックから成る。」
「【0012】
リング体3と蓋体4は、図1の施蓋状態で、前端部が係止している。係止部9は、蓋体4の前端部に形成された係止突部10と、リング体3の前端部に形成された被係止段付部11とから成る。」
「【0019】
以上のように、本発明は、上方開口状容器本体1と、該容器本体1の開口部2に螺着されたリング体3と、該リング体3に開閉自在に枢着されて上記開口部2を施蓋する蓋体4と、該蓋体4に一体状に組み付けられたパッキン5と、を有し、上記パッキン5が上記リング体3と蓋体4の枢着軸心J近傍に垂下突部12を有し、上記リング体3が、上記垂下突部12を内側から押圧する斜め上方向きの勾配押圧面13を有するとともに、上記蓋体4が、上記垂下突部12を外側から押圧する斜め下方向きの勾配受圧面15を有する受圧突片16を備え、施蓋状態で、上記勾配押圧面13と勾配受圧面15の隙間に、上記垂下突部12が曲げ変形と圧縮変形の両弾性変形状態で挾圧され、上記受圧突片16を介して蓋体4を開く方向に弾発付勢するよう構成したので、容易に蓋体4を開閉することができる。また、蓋体4を自動的に開くことができる。また、リング体3及び蓋体4の後方突出量が少ないにもかかわらず、大きな弾発付勢力を得ることができ、円滑かつ確実に蓋体4を開くことができる。また、蓋体4の開き始めのみならず、開く途中に於ても垂下突部12が段発付勢力を生じるので、一層円滑に蓋体4を開くことができる。」

「【図1】



「【図7】



【0019】には、「上記パッキン5が上記リング体3と蓋体4の枢着軸心J近傍に垂下突部12を有し」、「施蓋状態で、上記勾配押圧面13と勾配受圧面15の隙間に、上記垂下突部12が曲げ変形と圧縮変形の両弾性変形状態で挾圧され」と記載されており、図7も参照すると、垂下突部12は、「パッキン5と一体に設けられ、施蓋状態で前記リング体3と蓋体4とに挟圧されて、屈曲形状に弾性変形する」と看取できる。
【0012】には、「リング体3と蓋体4は、図1の施蓋状態で、前端部が係止している。係止部9は、蓋体4の前端部に形成された係止突部10と、リング体3の前端部に形成された被係止段付部11とから成る。」と記載されていることから、「蓋体4の前端部に形成された係止突部10と、リング体3の前端部に形成された被係止段付部11とから成る係止部9により、容器本体1と蓋体4との閉蓋状態及び密閉状態を維持する」ことが看取できる。

したがって、上記引用文献1には次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。

<引用発明1>
「調味料を収納する容器本体1と、
容器本体1の開口部2に螺着されたリング体3と、
前記リング体3に開閉自在に枢着されて開口部2を施蓋する蓋体4と、
前記蓋体4の内面に設けられたパッキン5と、
前記パッキン5と一体に設けられ、施蓋状態で前記リング体3と蓋体4とに挟圧されて、屈曲形状に弾性変形する垂下突部12と、
を備え、
前記蓋体4の前端部に形成された係止突部10と、前記リング体3の前端部に形成された被係止段付部11とから成る係止部9により、前記容器本体1と前記蓋体4との閉蓋状態及び密閉状態を維持する収容容器。」

2 引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0011】
次に図面に注目すると、図中、同一の符号は同一の部分を示している。
今、特に図面を参照すると、容器10は、直立の容器本体12及び容器蓋14を有している。容器本体12は、平らな前壁16及び後壁18を備えた全体として長円形断面のものとして示されているが、これらには限定されず、前壁及び後壁は、僅かに弧状の互いに反対側の側壁20と関連して、本体12の開いた口を構成する連続上縁部又はリム22で終端している。側壁20は、図1及び図5から最もよく理解されるように、手で掴み易くする互いに反対側の窪み21を備えており、これら窪みは、所望ならば容器の内容物を見ることができるよう透明又は半透明な樹脂で成形できる。
【0012】
蓋14は、容器本体12及び蓋に設けられた互いに協働するピボット手段又はヒンジ部品によって容器本体12に回動自在に取り付けられている。・・・」
「【0016】
容器本体12上での蓋14のその閉鎖位置への保持は、ラッチ組立体によって行われ、このラッチ組立体は、前壁16の中央で本体フランジ44に設けられた保持スロット又はキーパ50及び蓋14と一体のばね押しの手動で解除可能なラッチ52を有している。・・・」
「【0017】
ラッチ52は、ピボットピン54の軸線と全体として整列した細長い垂下したラッチステム58を有し、このラッチステム58は、前方又は外方に向いたフック下端部を含み、このフック下端部は、蓋の閉鎖ラッチ止め位置では、キーパ開口部50のすぐ前の本体フランジ44の前方に突き出た部分の下面によって構成されている後方に向いた肩60の下に係合する。・・・」
「【0018】
適当なエラストマー材料、例えばシリコーンで作られた単一又は一体シート又はパネル部材80を特徴的に利用するシールと蓋開放ばねの組合せが提供されている。この部材80は、特に図7及び図8を参照すると、実質的に平らであり、2つの部分、即ちシール又はシール部分82及びばね又はばね部分84で形成されている。シール82は、容器本体リム22の形状に一致していて、内周縁部86及び外周縁部88を含む全体として平らなループストリップの性状をしている。シールストリップは、本体リム22よりも比較的幅が広く、このシールストリップは、その外周部88に向かって、下方にオフセットしたシール受座90を有し、このシール受座90は、部材80を取り付け、蓋を閉鎖すると、リム22によるシール受座90の圧縮及び容器本体の口の確実な密封が得られるようリム22上でこれと直接整列する。シール受座90の下方オフセットにより形成されたシール82の反対側の表面の僅かな窪み92が、完全且つ確実な密封作用を保証するよう受座の可撓性を高める。加うるに、シールの周りの連続した窪み92は、シール受座90の圧縮時、蓋の下面へのシールのより確実な着座を可能にすることになる。」
「【0021】
エラストマー部材80を蓋14上に位置決めするため、蓋の底面は、位置決めリブ102と保持突出部104の両方を備えている。・・・」
「【0023】
組合せ型シールとばねの取付けに当たり、シール又はシール部分82を蓋の底面又は下面に当てて位置決めし、この場合、シールの平らなストリップループを位置決めリブ102及びアンダーカット繋留突出部104がループの内周縁部86に係合し、これを位置決めすると共に保持するような仕方でかかる蓋の底面又は下面に当接して位置するようにする。このように位置決めすると、繋留舌部98の自由縁部は、横方向位置決めリブ106に当接し、繋留舌部の互いに反対側の側部に対する密封状態が、繋留突出部104″によって特に保持される。繋留舌部は、蓋スタブ108と繋留舌部98に形成されたエラストマー受け口100との嵌合により蓋の下面に更に且つしっかりと繋留される。このように取り付けると、下方にオフセットしたシール受座90は、蓋の閉鎖時に、容器本体のリム22と密封状態の着座係合関係が得られるよう容器本体のリム22と直接整列した状態にある。」
「【0025】
特に図9を参照すると、蓋14を、容器本体のリム22がシール受座90と密着するそのラッチ止め位置に閉じると、ばね84は、仕切られたポケット26の上方に且つ蓋スカート40とリム22の真下の本体の壁との間に構成された室42内にぴったりと折り畳み状態で納まる。この作用により、ばねの更に且つ相当大きな弾性圧縮が生じ、これにより、ラッチ機構によってのみ保持される相当大きな付勢力が得られる。かくして、ラッチ機構を解除すると、蓋は、非常に圧縮された状態のばねの作用により、迅速にその完全開放位置に動き、そしてエラストマー部材の当初の取付けにより得られる依然として圧縮状態のばねの残りの付勢力によってこの中に保持されることになる。ラッチとシールの係合位置相互間の関係は、所望の密封作用を行うのに十分シールを容器本体のリムに押し付けるようなものであることは理解されよう。」
「【図5】


「【図6】



【0018】には、「シール82は、容器本体リム22の形状に一致していて、内周縁部86及び外周縁部88を含む全体として平らなループストリップの性状をしている。シールストリップは、本体リム22よりも比較的幅が広く、このシールストリップは、その外周部88に向かって、下方にオフセットしたシール受座90を有し、このシール受座90は、部材80を取り付け、蓋を閉鎖すると、リム22によるシール受座90の圧縮及び容器本体の口の確実な密封が得られるようリム22上でこれと直接整列する。」と記載され、【0023】には、「組合せ型シールとばねの取付けに当たり、シール又はシール部分82を蓋の底面又は下面に当てて位置決めし、この場合、シールの平らなストリップループを位置決めリブ102及びアンダーカット繋留突出部104がループの内周縁部86に係合し、これを位置決めすると共に保持するような仕方でかかる蓋の底面又は下面に当接して位置するようにする。」と記載されていることから、シール82は、「蓋体14の内面に設けられ、容器本体12に密接する」と看取できる。
【0018】には、「適当なエラストマー材料、例えばシリコーンで作られた単一又は一体シート又はパネル部材80を特徴的に利用するシールと蓋開放ばねの組合せが提供されている。この部材80は、特に図7及び図8を参照すると、実質的に平らであり、2つの部分、即ちシール又はシール部分82及びばね又はばね部分84で形成されている。」と記載されており、【0025】には、「特に図9を参照すると、蓋14を、容器本体のリム22がシール受座90と密着するそのラッチ止め位置に閉じると、ばね84は、仕切られたポケット26の上方に且つ蓋スカート40とリム22の真下の本体の壁との間に構成された室42内にぴったりと折り畳み状態で納まる。この作用により、ばねの更に且つ相当大きな弾性圧縮が生じ、これにより、ラッチ機構によってのみ保持される相当大きな付勢力が得られる。かくして、ラッチ機構を解除すると、蓋は、非常に圧縮された状態のばねの作用により、迅速にその完全開放位置に動き、そしてエラストマー部材の当初の取付けにより得られる依然として圧縮状態のばねの残りの付勢力によってこの中に保持されることになる。」と記載されており、図5、6を参照すると、ばね84は、「シール82と一体に設けられ、容器本体12に設置されて閉鎖状態で屈曲形状に弾性変形する」と看取できる。
【0016】には、「容器本体12上での蓋14のその閉鎖位置への保持は、ラッチ組立体によって行われ、このラッチ組立体は、前壁16の中央で本体フランジ44に設けられた保持スロット又はキーパ50及び蓋14と一体のばね押しの手動で解除可能なラッチ52を有している。」と記載されており、【0025】には、「ラッチ機構を解除すると、蓋は、非常に圧縮された状態のばねの作用により、迅速にその完全開放位置に動き、そしてエラストマー部材の当初の取付けにより得られる依然として圧縮状態のばねの残りの付勢力によってこの中に保持されることになる。」と記載されていることから、「前記蓋14と一体のラッチ52と前記容器本体12のキーパ50とからなるラッチ組立体により、容器本体12と蓋14との閉蓋状態及び密閉状態を維持する」ことが看取できる。

したがって、上記引用文献2には次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。

<引用発明2>
「容器本体12と、
前記容器本体12に回動自在に取り付けられている蓋14と、
前記蓋14の内面に設けられ、前記容器本体12に密接するシール82と、
前記シール82と一体に設けられ、前記容器本体12に設置されて閉鎖状態で屈曲形状に弾性変形するバネ84と、
を備え、
前記蓋14と一体のラッチ52と前記容器本体12のキーパ50とからなるラッチ組立体により、容器本体12と蓋14との閉蓋状態及び密閉状態を維持する容器10」

3 引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0023】まず、通常の閉蓋状態では、本体1の開口3は、図4に示すようにその周囲の係合受部4に蓋体7の係合突部8が係合し、密閉されている。よって、ウエットティシュなどの収納物(図示せず)は、水分が蒸発することが防止され、湿った状態で収納保管される。
【0024】そして、内容物を取り出す場合は、本体1の凹所5に設けられた操作レバー6を下方に押せば良く、このことで、薄肉のヒンジ部6aを介して天板2に連続した操作レバー6は、このヒンジ部6aを支点としてその前側(図4において左側)が下方に傾き、反対にその後側の押上片6bが上方に移動する。この時、押上片6bの上側には、蓋体7の押上リブ9が位置しているので、蓋体7はこの押上リブ9の部分で押し上げられ、枢支点10を軸に回動する。よって、係止受部4と係止突部8との係合が解除されるので、その後は、蓋体7を容易に回動開放することができ、この蓋体7の下側に現れた開口3から内容物を取り出すことができる。」

第6 対比、判断
1 本願発明1について
(1)引用発明1を主たる引例とした場合
ア 対比
本願発明1と引用発明1を対比すると、次のとおりである。
引用発明1の「容器本体1」は、本願発明1の「容器本体」に相当し、以下同様に、「蓋体4」は「蓋体」に、「パッキン5」は「弾性部材」に、「垂下突部12」は「弾性片」に、「収容容器」は「容器」にそれぞれ相当する。
したがって、本願発明1と引用発明1との間には、次の一致点1、相違点1−1、1−2があるといえる。

一致点1
「調味料を収納可能な容器本体と、
開閉自在に設けられる蓋体と、
前記蓋体の内面に設けられた弾性部材と、
前記弾性部材と一体に設けられ、閉蓋状態で屈曲形状に弾性変形する弾性片と、
を備えた容器。」

相違点1−1
蓋体、弾性部材及び弾性片の配置について、本願発明1は、蓋体が「前記容器本体に開閉自在に設けられ」、弾性部材が「前記容器本体に密接」し、弾性片が「前記容器本体に設置され」るのに対して、引用発明1は、蓋体4が、「容器本体1の開口部2に螺着されたリング体3に開閉自在に枢着され」、パッキン5の垂下突部12が、「施蓋状態で前記リング体3と蓋体4とに挟圧されて」おり、パッキン5は容器本体1に密接していることが特定されていない点。

相違点1−2
容器本体と蓋体との閉蓋状態及び密閉状態を維持する構成について、本願発明1は、「前記弾性部材が、前記容器本体に密接することで、前記弾性片が屈曲形状から弾性復帰して開蓋動作を行う弾発力に抗して、前記容器本体と前記蓋体との閉蓋状態及び密閉状態を維持する」のに対して、引用発明1は、「前記蓋体4の前端部に形成された係止突部10と、前記リング体3の前端部に形成された被係止段付部11とから成る係止部9により、前記容器本体1と前記蓋体4との閉蓋状態及び密閉状態を維持する」点。

イ 判断
事案に鑑み、まず相違点1−2について検討する。
本願発明1は、相違点1−2に係る構成を採用することにより、「密閉性が確保でき、構造が簡略で開閉操作が容易であり、収納物の取出し操作がやり易い密閉容器を提供すること」(本願特許明細書【0008】)という課題を解決するものである。
引用発明1は、「前記蓋体4の前端部に形成された係止突部10と、前記リング体3の前端部に形成された被係止段付部11とから成る係止部9により、前記容器本体1と前記蓋体4との閉蓋状態及び密閉状態を維持する」するものであり、パッキン5が、容器本体1に密接することで、垂下突部12が屈曲形状から弾性復帰して開蓋動作を行う弾発力に抗し、かつ、それにより、容器本体1と蓋体4との閉蓋状態及び密閉状態を維持するものではなく、引用文献1には、本願発明1の相違点1−2に係る構成について記載も示唆もされていない。また、上記構成は、引用文献2、3にも記載も示唆もされていない。
以上を踏まえると、引用発明1において、上記相違点1−2に係る本願発明1の構成を採用することは、当業者が容易に想到し得たことではない。

ウ まとめ
したがって、相違点1−1を検討するまでもなく、本願発明1は、引用発明1及び引用文献2、3に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(2)引用発明2を主たる引例とした場合
ア 対比
本願発明1と引用発明2を対比すると、次のとおりである。
引用発明2の「容器10」は、本願発明1の「容器」に相当し、以下同様に、「容器本体12」は「容器本体」に、「蓋14」は「蓋体」に、「シール82」は「弾性部材」、「バネ84」は「弾性片」にそれぞれ相当する。
したがって、本願発明1と引用発明2との間には、次の一致点2、相違点2−1、2−2があるといえる。

一致点2
「容器本体と、
前記容器本体に開閉自在に設けられる蓋体と、
前記蓋体の内面に設けられ、前記容器本体に密接する弾性部材と、
前記弾性部材と一体に設けられ、前記容器本体に設置されて閉蓋状態で屈曲形状に弾性変形する弾性片と、
を備えた容器。」

相違点2−1
容器本体について、本願発明1の容器本体は、「調味料を収納可能」であるのに対して、引用発明2の容器本体12は、どのような内容物を収容可能か明記されていない点。

相違点2−2
容器本体と蓋体との閉蓋状態及び密閉状態を維持する構成について、本願発明1は、「前記弾性部材が、前記容器本体に密接することで、前記弾性片が屈曲形状から弾性復帰して開蓋動作を行う弾発力に抗して、前記容器本体と前記蓋体との閉蓋状態及び密閉状態を維持する」のに対して、引用発明2は、「前記蓋14と一体のラッチ52と前記容器本体12のキーパ50とからなるラッチ組立体により、容器本体12と蓋14との閉蓋状態及び密閉状態を維持する」点。

イ 判断
事案に鑑み、まず相違点2−2について検討する。
本願発明1は、相違点2−2に係る構成を採用することにより、「密閉性が確保でき、構造が簡略で開閉操作が容易であり、収納物の取出し操作がやり易い密閉容器を提供すること」(本願特許明細書【0008】)という課題を解決するものである。
引用発明2は、「前記蓋14と一体のラッチ52と前記容器本体12のキーパ50とからなるラッチ組立体により、容器本体12と蓋14との閉蓋状態及び密閉状態を維持」するものであり、シール82が、容器本体12に密接することで、バネ84が屈曲形状から弾性復帰して開蓋動作を行う弾発力に抗し、かつ、それにより、容器本体12と蓋14との閉蓋状態及び密閉状態を維持するものではなく、引用文献2には、本願発明1の相違点2−2に係る構成について記載も示唆もされていない。また、上記構成は、引用文献1、3にも記載も示唆もされていない。
以上を踏まえると、引用発明2において、上記相違点2−2に係る本願発明1の構成を採用することは、当業者が容易に想到し得たことではない。

ウ まとめ
したがって、相違点2−1を検討するまでもなく、本願発明1は、引用発明2及び引用文献1、3に記載された事項に基き当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

2 本願発明2、3について
本願発明2、3は、本願発明1を引用し、本願発明1の発明特定事項の全てを含むものであるから、本願発明1と同じ理由により、本願発明2、3は、引用発明1及び引用文献2、3に記載された事項、又は、引用発明2及び引用文献1、3に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

第7 むすび
以上のとおり、本願発明1〜3は、引用発明1及び引用文献2、3に記載された事項、又は、引用発明2及び引用文献1、3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。


 
審決日 2023-01-20 
出願番号 P2022-018122
審決分類 P 1 8・ 121- WY (B65D)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 山崎 勝司
特許庁審判官 藤原 直欣
石田 智樹
発明の名称 容器  
代理人 馬場 信幸  
代理人 神田 正義  
代理人 藤本 英介  
代理人 宮尾 明茂  

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