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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A41B
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 A41B
管理番号 1393951
総通号数 14 
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2023-02-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2022-10-04 
確定日 2023-01-19 
事件の表示 特願2021− 21672「靴下」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年 8月25日出願公開、特開2022−124099〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、令和3年2月15日の出願であって、令和4年3月2日付けの拒絶理由の通知に対し、同年5月6日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年6月29日付けで拒絶査定がされ、これに対して同年10月4日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされたものである。

第2 令和4年10月4日にされた手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
令和4年10月4日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。)
「【請求項1】
第1中空部を有するように袋状に編まれた弾性を有する基礎部であって、5本の指を各々把持する指固定部と、該指固定部に連続し、5本の中足骨を把持する中足骨固定部と、少なくとも距骨を把持する距骨固定部と、を有する基礎部と、
前記基礎部の前記第1中空部と一体となる第2中空部を有するように袋状に編まれた弾性を有する踵骨固定部であって、該基礎部の前記距骨固定部付近から突出し、踵骨を把持する踵骨固定部と、
を備え、
前記指固定部は、前記中足骨固定部からそれぞれ独立して延びており、親指を把持する筒状部を有する親指固定部と、小指を把持する前記筒状部を有する小指固定部と、を含み、該親指固定部の該筒状部の中心線と前記小指固定部の前記筒状部の中心線とは、歩行方向前方へ開くように構成され、
適合サイズの足に装着した時において、前記親指固定部及び前記小指固定部により、親指及び小指が互いに開くように圧力を付加し又は維持するように構成され、前記基礎部の圧迫力が5.5gf/cm2以上9.0gf/cm2以下になるとともに伸縮率が1.4〜2.5になるように構成されている靴下。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲の記載
本件補正前の、令和4年5月6日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「【請求項1】
第1中空部を有するように袋状に編まれた弾性を有する基礎部であって、5本の指を各々把持する指固定部と、該指固定部に連続し、5本の中足骨を把持する中足骨固定部と、少なくとも距骨を把持する距骨固定部と、を有する基礎部と、
前記基礎部の前記第1中空部と一体となる第2中空部を有するように袋状に編まれた弾性を有する踵骨固定部であって、該基礎部の前記距骨固定部付近から突出し、踵骨を把持する踵骨固定部と、
を備え、
前記指固定部は、前記中足骨固定部からそれぞれ独立して延びており、親指を把持する筒状部を有する親指固定部と、小指を把持する前記筒状部を有する小指固定部と、を含み、該親指固定部の該筒状部の中心線と前記小指固定部の前記筒状部の中心線とは、歩行方向前方へ開くように構成され、
足に装着した時において、前記親指固定部及び前記小指固定部により、親指及び小指が互いに開くように圧力を付加し又は維持するように構成され、前記指固定部及び前記中足骨固定部の圧迫力は、5.5gf/cm2以上9.0gf/cm2以下であるように構成された靴下。」

2 補正の適否
(1)本件補正について
本件補正により、請求項1に係る発明は、「前記指固定部及び前記中足骨固定部の圧迫力」から「前記基礎部の圧迫力」に変更された。請求項1には、「5本の指を各々把持する指固定部と、該指固定部に連続し、5本の中足骨を把持する中足骨固定部と、少なくとも距骨を把持する距骨固定部と、を有する基礎部」とあり、基礎部は、少なくとも指固定部、中足骨固定部及び距骨固定部を備えるところ、本件補正により「圧迫力」を満たす固定部箇所は特定されないものとなり、特に、基礎部の上記少なくともいずれか一つの固定部における箇所において圧迫力を満たすことで足りる記載となった。
そうすると、当該補正は、特許請求の範囲の限定的減縮、請求項の削除、誤記の訂正、明瞭でない記載の釈明のいずれにも該当しない。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項の各号に掲げるいずれの事項を目的とするものにも該当せず、同法第17条の2第5項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

(2)まとめ
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項に規定する要件に違反するものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
令和4年10月4日にされた手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1〜8に係る発明は、令和4年5月6日の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1〜8に記載された事項により特定されたものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記「第2」の[理由]の「1」の(2)に記載したとおりのものである。

2 原査定の拒絶理由の概要
原査定の拒絶の理由のうち、本願発明に対する拒絶の理由は、本願発明は、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1(登録実用新案第3181983号公報)に記載された発明、引用文献2(特開2011−122256号公報)に記載された発明及び引用文献3(登録実用新案第3203345号公報)に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

3 引用文献の記載事項、引用発明
(1)引用文献1
ア 引用文献1の記載
「【0010】
本考案は、履くことによって、立っている時や歩行時に踵部の均等な接地を習慣化することができ、ひいては、バランス良い立ち姿勢や歩行姿勢の習慣化に基づいて、骨格や身体の歪み、外反母趾等を矯正して正しい身体姿勢を保ち易くすることが期待できる靴下を提供することを課題とする。」
「【実施例】
【0041】
以下、本考案の靴下を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本考案は、この実施例に限定されず、本考案の要旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更をすることができる。
【0042】
図1〜4に本考案の実施例の靴下1を示す。この靴下1は、横編機を用い、親指(第1指)を収納する袋状部21と、他の指(第2〜5指)を1本ずつ収納可能な4個の袋状部22、合わせて5個の袋状部21,22を先端部に具備するように立体編成されたものであり、足首まで伸びる丈を有している(図1参照)。また、甲部6、踝部7、足首部8の周囲は、夫々、3〜5cm程度の幅のリング状乃至円環状となるように、弾性糸を用いてメリヤス編成されている(図3参照)。この靴下1は、踵部3が舌状となるように全体が図に示されるように平坦に折りたたむことができる〔図2(a)、(b)参照〕。
【0043】
靴下外面の踵部3の中央部には、平面形状が直径約2mmの円で高さ約1mmの塩化ビニル樹脂製の半球状突起4が多数設けられ、全体としてクローバー状の模様に形成されている〔図4(b)参照〕。 ・・・
【0044】
この靴下1について、数人の被験者に対し試用したところ、多くの場合において、外反母趾の矯正効果や身体姿勢の矯正効果がみられた。」




イ 上記記載から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「親指(第1指)を収納する袋状部21と、他の指(第2〜5指)を1本ずつ収納可能な4個の袋状部22を先端部に具備するように立体編成され、足首まで伸びる丈を有し、
甲部6、踝部7、足首部8の周囲は、夫々、3〜5cm程度の幅のリング状乃至円環状となるように、弾性糸を用いてメリヤス編成され、
踵部3が舌状となるように全体が平坦に折りたたむことができ、靴下外面の踵部3の中央部には、塩化ビニル樹脂製の半球状突起4が多数設けられた靴下1。」

(2)引用文献2
ア 引用文献2の記載
「【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の実施形態を説明する。図1および図2は、第1の実施形態を示す。この足指矯正靴下は足首までの短靴下であり、図1(a)、(b)に示すように、つま先側の先端部に、足の親指と小指の各端指を他の指とそれぞれ独立に嵌入する袋部1a、1bが形成され、各袋部1a、1bに嵌入される各端指の外側部が当接される部位から、各端指の付け根部の外側部が当接される部位よりも踵部側の中足関節部の近くまで延びる両側の側部に、他の部分よりも弾性復元力が強い強弾性部2a、2bが設けられている。図1(a)に示すように、靴下を着用しない状態では、各強弾性部2a、2bが強い弾性復元力で縮むので、各袋部1a、1bは外側へ反った状態となる。
【0016】
前記各強弾性部2a、2bは弾性糸のみで編成され、その他の部分は、足首に当接される足首部3も含めて、非弾性糸と弾性糸で編成されている。ただし、足首部3は、強弾性部2a、2bの強い弾性復元力による先端側への引張に対してずり落ちないように、弾性糸の編成割合が多くされ、弾性復元力が少し強化されている。
【0017】
図2は、靴下を着用した状態を示す。各袋部1a、1bに嵌入された親指と小指は、着用されたときに伸びる各強弾性部2a、2bの強い弾性復元力で外側へ反ろうとする各袋部1a、1bによって、図中に矢印で示すように、外方へ拡開される。したがって、外反母趾と内反小趾を矯正することができる。」



イ 上記記載から、引用文献2には、次の技術(以下「引用技術1」という。)が記載されていると認められる。
「親指と小指を嵌入する袋部1a、1bが形成され、各袋部1a、1bの両側の側部に強弾性部2a、2bが設けられ、靴下を着用しない状態で各袋部1a、1bは外側へ反った状態となり、
親指と小指は、着用されたときに伸びる各強弾性部2a、2bの強い弾性復元力で外側へ反ろうとする各袋部1a、1bによって外方へ拡開され、外反母趾と内反小趾を矯正することができる技術。」

(3)引用文献3
ア 引用文献3の記載
「【0026】
また、本考案の靴下は、図3に示すように、履いたときに靴下の短手方向からの引張抵抗力(締付力)により中骨足又はその近傍が第一中骨足側と第五中骨足側から締め付けることができる。従って、締付部3の引張抵抗力(締付力)の大きさを調整することにより、図4(a)に示すように、親指の付け根から小指の付け根を結ぶ横アーチXを修正して、正常な状態の足の骨格に戻すことが可能であり、また図4(b)に示すように、土踏まずによる縦アーチYを修正して、正常な状態の足の骨格に戻すことが可能である。したがって、これにより、本考案の靴下は外反母趾を矯正したり、外反母趾の進行を防止することが期待できる。」



イ 上記記載から、引用文献3には、次の技術(以下「引用技術2」という。)が記載されていると認められる。
「靴下を履いたときに短手方向からの引張抵抗力(締付力)により中骨足又はその近傍が第一中骨足側と第五中骨足側から締め付けることにより、外反母趾を矯正したり、外反母趾の進行を防止する技術。」

4 対比
(1)本願発明と引用発明1とを対比する。
ア 引用発明の「親指(第1指)を収納する袋状部21と、他の指(第2〜5指)を1本ずつ収納可能な4個の袋状部22を先端部に具備するように立体編成され、足首まで伸びる丈を有し、甲部6、踝部7、足首部8の周囲は、夫々、リング状乃至円環状となるように、弾性糸を用いてメリヤス編成され」た構成の、特に弾性糸を用いてメリヤス編成された甲部6及び踝部7のリング状乃至円環状部分と、その部分前後の立体編成された部分は、共に中空部を有するように袋状に編まれて弾性を有するものであることが技術常識であり、足の各骨、すなわち中足骨及び距骨を把持するように構成されるものであることは明らかである。
同様に、引用発明の親指(第1指)を収納する袋状部21と、他の指(第2〜5指)を1本ずつ収納可能な4個の袋状部22が、袋状に編まれて弾性を有するものであり、5本の指を各々把持するように構成されるものであることは明らかである。
また、足の中足骨と各指の骨の配置関係から考慮すると、引用発明の靴下は、中足骨を把持するように構成される箇所から、袋状部21、22がそれぞれ独立して延びていることが明らかである。
以上から、引用発明の「親指(第1指)を収納する袋状部21と、他の指(第2〜5指)を1本ずつ収納可能な4個の袋状部22を先端部に具備するように立体編成され、足首まで伸びる丈を有し、甲部6、踝部7、足首部8の周囲は、夫々、リング状乃至円環状となるように、弾性糸を用いてメリヤス編成され」た構成は、本願発明の「第1中空部を有するように袋状に編まれた弾性を有する基礎部であって、5本の指を各々把持する指固定部と、該指固定部に連続し、5本の中足骨を把持する中足骨固定部と、少なくとも距骨を把持する距骨固定部と、を有する基礎部」、「前記指固定部は、前記中足骨固定部からそれぞれ独立して延びており、親指を把持する筒状部を有する親指固定部と、小指を把持する前記筒状部を有する小指固定部」に相当する。
イ 引用発明の「踵部3が舌状となるように全体が平坦に折りたたむことができ」る構成の、特に舌状に折りたたまれている部分は、靴下表面から突出する態様を備えるものであることは明らかである。加えて、上記アの検討から、踵部3が形成される箇所も中空部を有するように袋状に編まれた弾性を有するものであり、足の距骨と踵骨との配置関係から考慮すると、距骨を把持する箇所の付近から踵部3は突出しており、踵骨を含めて把持する箇所を備える部分を有する靴下であることは明らかである。
以上から、引用発明の「立体編成され、足首まで伸びる丈を有し、甲部6、踝部7、足首部8の周囲は、夫々、リング状乃至円環状となるように、弾性糸を用いてメリヤス編成され、踵部3が舌状となるように全体が平坦に折りたたむことができ」る構成は、本願発明の「前記基礎部の前記第1中空部と一体となる第2中空部を有するように袋状に編まれた弾性を有する踵骨固定部であって、該基礎部の前記距骨固定部付近から突出し、踵骨を把持する踵骨固定部」に相当する。

(2)したがって、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
(一致点)
「第1中空部を有するように袋状に編まれた弾性を有する基礎部であって、5本の指を各々把持する指固定部と、該指固定部に連続し、5本の中足骨を把持する中足骨固定部と、少なくとも距骨を把持する距骨固定部と、を有する基礎部と、
前記基礎部の前記第1中空部と一体となる第2中空部を有するように袋状に編まれた弾性を有する踵骨固定部であって、該基礎部の前記距骨固定部付近から突出し、踵骨を把持する踵骨固定部と、
を備え、
前記指固定部は、前記中足骨固定部からそれぞれ独立して延びており、親指を把持する筒状部を有する親指固定部と、小指を把持する前記筒状部を有する小指固定部と、を含む、
靴下。」
(相違点)
本願発明においては、「該親指固定部の該筒状部の中心線と前記小指固定部の前記筒状部の中心線とは、歩行方向前方へ開くように構成され、足に装着した時において、前記親指固定部及び前記小指固定部により、親指及び小指が互いに開くように圧力を付加し又は維持するように構成され、前記指固定部及び前記中足骨固定部の圧迫力は、5.5gf/cm2以上9.0gf/cm2以下であるように構成」されているのに対し、引用発明においては、「親指(第1指)を収納する袋状部21と、他の指(第2〜5指)を1本ずつ収納可能な4個の袋状部22を先端部に具備するように立体編成され」るものの、上記構成を有しない点。

5 判断
引用発明の靴下は、履くことによって外反母趾等を矯正できるものであり(【0010】)、引用技術1及び2についても外反母趾を矯正する靴下であり、靴下に係る作用機能がともに共通するものであり、互いに組み合わせることの動機付けがあるといえる。
そして、上記対比で述べたとおり、引用発明は、弾性糸を用いてメリヤス編成された甲部6及び踝部7のリング状乃至円環状部分と、その部分前後の立体編成された部分はともに、中空部を有するように袋状に編まれて弾性を有するものであるところ、中足骨を把持するように構成された部分において、外反母趾矯正効果を高めるために、中骨足を締め付けることで外反母趾を矯正することのできる引用技術2を付加することは、当業者であれば格別の創意工夫なしに想到し得たことである。
また、引用技術1は、「親指と小指を嵌入する袋部1a、1bが形成され、各袋部1a、1bの両側の側部に強弾性部2a、2bが設けられ、靴下を着用しない状態で各袋部1a、1bは外側へ反った状態となり、親指と小指は、着用されたときに伸びる各強弾性部2a、2bの強い弾性復元力で外側へ反ろうとする各袋部1a、1bによって外方へ拡開され、外反母趾と内反小趾を矯正することができる技術。」であり、当該袋部1a、1bは、その構成から指を嵌入できる筒状であり且つ筒状に係る中心線を備えるものであるから、引用技術1は、親指の筒状袋部と小指の筒状袋部の中心線とが歩行方向前方へ開くように構成されるものである。さらに、当該袋部1a、1bは、強弾性部を含めて全体が弾性を有することが技術常識であるところ、足に装着した時に、親指及び小指が互いに開くように圧力を付加し又は維持するように構成されるものであることは明らかである。
そうすると、引用発明の親指を収納する袋状部と小指を収納する袋状部の袋状に編まれて弾性を有する部分において、外反母趾矯正効果を高めるために引用技術1を付加することは、当業者であれば格別の創意工夫なしに想到し得たことである。
そして、本願発明の「前記指固定部及び前記中足骨固定部の圧迫力は、5.5gf/cm2以上9.0gf/cm2以下であるように構成」することについて、本願の明細書を参照すると、「基礎部14は、足に装着した時において、少なくとも指固定部16及び中足骨固定部18の圧迫力が、5.5gf/cm2以上9.0gf/cm2以下であり、通常の靴下よりも大きく構成されている。親指TB1と小指TB5とを開く方向に力を付与し又は維持しながらも足に血行障害が起こらない張力である。」(【0031】)と記載されており、このように、通常の靴下よりも圧迫力を大きく構成し、親指と小指とを開く方向に力を付与し又は維持しながらも足に血行障害が起こらない張力による圧迫力は、引用発明並びに引用技術1及び2においても、外反母趾の矯正の程度や装着感などの調整、さらには靴下において通常採用し得る技術的事項といえる血行障害が起こらない程度に調整するなどして当業者が適宜なし得えたものである。
よって、相違点に係る本願発明の構成は、引用発明並びに引用技術1及び2に基づき、当業者が容易になし得たことである。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

 
別掲 (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。
 
審理終結日 2022-11-16 
結審通知日 2022-11-22 
審決日 2022-12-06 
出願番号 P2021-021672
審決分類 P 1 8・ 572- Z (A41B)
P 1 8・ 121- Z (A41B)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 井上 茂夫
特許庁審判官 石田 智樹
藤原 直欣
発明の名称 靴下  
代理人 西村 竜平  
代理人 上村 喜永  
代理人 齊藤 真大  

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