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審決分類 審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正する A63F
管理番号 1393963
総通号数 14 
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2023-02-24 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2022-09-16 
確定日 2022-12-02 
訂正明細書 true 
事件の表示 特許第7069579号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第7069579号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1について訂正することを認める。 
理由 第1 手続の経緯
本件特許第7069579号(以下「本件特許」という。)は、平成29年7月6日に特許出願(特願2017−132605)したものであり、令和4年5月10日に特許権の設定登録がなされ、その後、同年9月16日に本件訂正審判の請求がされたものである。

第2 請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は、本件特許の願書に添付した特許請求の範囲(以下「本件特許請求の範囲」という。)を本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1について訂正することを認める、との審決を求めるものである。

第3 訂正の内容
本件訂正審判請求による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、次のものである。

本件特許請求の範囲の請求項1に、
「少なくとも前記第1の検知手段によって遊技球が検知されることを契機として、前記第2入球手段への遊技球の入球が制限される第1位置から、前記第2入賞手段への遊技球の入球が許容される第2位置に動作可能な可動手段と、」と記載されているものを、
「少なくとも前記第1の検知手段によって遊技球が検知されることを契機として、前記第2入球手段への遊技球の入球が制限される第1位置から、前記第2入球手段への遊技球の入球が許容される第2位置に動作可能な可動手段と、」に訂正する。

なお、下線は合議体により付与したものであり、訂正箇所を表す。

第4 当審における判断
1 特許法第126条第1項ただし書(訂正の目的)について
本件訂正前の請求項1の記載は、次のとおりである。
「A 導入部、第1流路部、第2流路部及び振分部を有し、前記導入部から導入された遊技盤左側の所定領域からの遊技球を、前記振分部によって前記第1流路部又は前記第2流路部のいずれかに振り分けて流下させ得る流路形成手段を備えた遊技機であって、
B 前記遊技盤の左側領域に向けて発射された遊技球の入球が可能な第1入球手段と、
C 前記遊技盤の右側領域に向けて発射された遊技球の入球が可能であり、前記第1入球手段とは機能が異なる第2入球手段と、
D 前記第2流路部を流下する遊技球を検知可能な第1の検知手段と、
E 前記遊技盤の右側領域に設けられ、特定領域を遊技球が流下したことを検知する第2の検知手段と、
F 少なくとも前記第1の検知手段によって遊技球が検知されることを契機として、前記第2入球手段への遊技球の入球が制限される第1位置から、前記第2入賞手段への遊技球の入球が許容される第2位置に動作可能な可動手段と、
G 複数の遊技状態の間で所定状態の成立により遊技状態を移行させる遊技状態移行手段と、を備え、
H 前記複数の遊技状態は、第1遊技状態、第2遊技状態、第3遊技状態及び特別遊技状態を含み、
I 前記第1遊技状態、前記第2遊技状態及び前記第3遊技状態は、互いに遊技者にとって有利となる遊技球の流下経路が異なり、
J 前記第2遊技状態は、前記第1の検知手段によって遊技球の流下が検知されることが遊技者に有利であり、
K 前記第3遊技状態は、前記第2の検知手段によって遊技球の流下が検知されることが遊技者に有利であり、
L 前記特別遊技状態は、遊技者に有利な特別遊技が実行される状態であり、
M 前記特別遊技は、第1特別遊技と、前記第1特別遊技よりも遊技者に有利な第2特別遊技とを含み、
N 前記第1入球手段への遊技球の入球により実行される前記特別遊技と、前記第2入球手段への遊技球の入球を契機として実行される前記特別遊技とを比較した場合に、前記第2入球手段への遊技球の入球を契機として実行される前記特別遊技のほうが、前記第2特別遊技が実行される期待度が高い
O ことを特徴とする遊技機。」
(なお、記号A等は、分説するため合議体が付した。記号A等が付された事項を以下「訂正前特定事項A」等という。)
そして、訂正前特定事項Fにおける「少なくとも前記第1の検知手段によって遊技球が検知されることを契機として、前記第2入球手段への遊技球の入球が制限される第1位置から、前記第2入賞手段への遊技球の入球が許容される第2位置に動作可能な可動手段と、」の記載において「前記第2入賞手段」との記載が存在するが、この記載以前には、訂正前特定事項C及びFにおいて「第2入球手段」の記載は存在するものの、「第2入賞手段」の記載は存在しない。
そこで、訂正前特定事項Fにおける「前記第2入賞手段」が、「前記第2入球手段」の誤記であるか否かについて、以下に検討する。

(1) 本件明細書の記載事項について
本件特許の願書に添付した明細書(以下「本件明細書」という。)には、以下の記載がある。なお、下線は認定に関連する箇所を示すために合議体が付与した。
「【0010】
[第1の実施形態]
まず、図1〜図25を参照しつつ、本発明の第1の実施形態に係る遊技機10について説明する。」
「【0023】
図4に示すように、遊技盤31には、内レール311、外レール312、一般入賞口313、左第1始動口314L、右第1始動口314R、第2始動口315、可変入賞口316bを有する可変入賞装置316、アウト口317(排出口)、第1スルーゲート318、第2スルーゲート319、可変表示ユニット34、メイン表示部37、振分装置35及び普通電動役物である電動サポート部材36(可動役物部材)が設けられている。以下、左第1始動口314L及び右第1始動口314Rは、機能が同一な入賞口に該当し、これらを総称して「第1始動口314」と称する。第1始動口314及び第2始動口315を総称して「始動口314,315」と称することがある。また、第1スルーゲート318及び第2スルーゲート319を総称して「スルーゲート318,319」と称することがある。なお、一般入賞口313、第1始動口314、第2始動口315、及び可変入賞口316bは、互いに機能が異なる入賞口に該当する。」
「【0053】
ここで、左第1始動口314Lと右第1始動口314Rとの間には、第2始動口315が配置されている。この第2始動口315は、左第1始動口314Lと右第1始動口314Rとの間に形成された球受部391の中央に設けられており、球受部391に落下した遊技球99が第2始動口315に入賞する。また、第2通路352と右第1始動口314Rとの間には、普通電動役物としての板状の電動サポート部材36が配設されている。この電動サポート部材36は、遊技盤31の背面側に設けられたソレノイド等の駆動手段(不図示)によって、右第1始動口314Rへの遊技球の入賞を制限すると共に第2始動口315への遊技球の入賞をサポートする作動位置(第1位置)と、第2始動口315への遊技球の入賞を制限すると共に右第1始動口314Rへの遊技球の入賞を許容する待機位置(第2位置)との間で、遊技盤31に設けられた開口360において前後方向に移動される。」
「【0061】
これに対して、本実施形態に係る遊技機10では、第1通路351と第2通路352とに交互に遊技球を振り分ける振分装置35を備えると共に、従来の遊技機とは異なり、第1通路351及び第2通路352のそれぞれの出口に下方に同一の機能を有する第1始動口314が設けられている。また、振分装置35では、第1通路351及び第2通路352のうちの第2通路352にのみ第1スルーゲート318が設けられている。そして、第2通路352への遊技球の通過がスルーゲート318によって検知されることを契機として、MPU41によって電動サポート部材36を作動させるか否かの普通判定が行われる。そのため、振分装置35を利用するために左打ちを行った場合、第1通路351によって左第1始動口314Lに遊技球が導かれて左第1始動口314Lに遊技球が入賞する状態、第2通路352によって右第1始動口314Rに遊技球が入賞する状態、第2通路352及び電動サポート部材36によって第2始動口315に遊技球が導かれる状態になりうる。また、右打ちを行った場合、振分装置35に遊技球が入賞することはなく、第2スルーゲート319への遊技球の通過を契機として電動サポート部材36が作動されることで、第2始動口315に遊技球が導かれる状態になり得る。このように、本実施形態に係る遊技機10は、従来の遊技機のように機能の異なる2種類の始動部(第1始動部及び第2始動部)に遊技球を振り分ける単調なものとは異なり、振分装置35と電動サポート部材36との協働によって、第1始動口314又は第2始動口315に遊技球が入賞可能な複数の状態を達成することができ、遊技が単調になり難く、遊技の興趣を向上させることができる。」
以上の記載より、本件明細書には、本件特許に係る発明の実施例として、遊技機10に関して、以下の事項が記載されていると認められる。なお、括弧内は関連する段落である。
ア 遊技盤31には、左第1始動口314L、右第1始動口314R、第2始動口315、普通電動役物である電動サポート部材36が設けられ、左第1始動口314L及び右第1始動口314Rは、機能が同一な入賞口である第1始動口314であり、第1始動口314と第2始動口315は、互いに機能が異なる入賞口である点(【0023】)。
イ 電動サポート部材36は、第2始動口315への遊技球の入賞をサポートする作動位置(第1位置)と、第2始動口315への遊技球の入賞を制限する待機位置(第2位置)との間で、前後方向に移動される点(【0053】)。
ウ 左打ちを行った場合、左第1始動口314Lに遊技球が入賞する状態、右第1始動口314Rに遊技球が入賞する状態、第2始動口315に遊技球が導かれる状態になり得、右打ちを行った場合、第2始動口315に遊技球が導かれる状態になり得る点(【0061】)。

(2)訂正前特定事項と本件明細書の記載事項との対応関係について
訂正前特定事項Bにおける「前記遊技盤の左側領域に向けて発射された遊技球の入球が可能な第1入球手段」は、本件明細書の記載事項ウにおける「左打ちを行った場合」に「遊技球が入賞する状態」に「なり得」る「左第1始動口314L」及び「右第1始動口314R」に対応すると認められる。
また、訂正前特定事項Cにおける「前記遊技盤の右側領域に向けて発射された遊技球の入球が可能であり、前記第1入球手段とは機能が異なる第2入球手段」は、本件明細書の記載事項ア及びウにおける「第1始動口314と」「機能が異なる入賞口である」「右打ちを行った場合」に「遊技球が導かれる状態になり得る」「第2始動口315」に対応すると認められる。
そして、訂正前特定事項Fにおける「前記第2入球手段への遊技球の入球が制限される第1位置から、前記第2入賞手段への遊技球の入球が許容される第2位置に動作可能な可動手段」において、「動作可能な可動手段」は、本件明細書の記載事項イにおける「前後方向に移動される」「電動サポート部材36」に対応すると認められ、訂正前特定事項Fにおける「前記第2入球手段への遊技球の入球が制限される第1位置」は、本件明細書の記載事項イにおける「第2始動口315への遊技球の入賞を制限する待機位置(第2位置)」に対応すると認められることから、訂正前特定事項Fにおける「前記第2入賞手段への遊技球の入球が許容される第2位置」は、本件明細書の記載事項イにおける「第2始動口315への遊技球の入賞をサポートする作動位置(第1位置)」に対応することになるが、そうすると、訂正前特定事項Fの「第2入賞手段」は、本件明細書の記載事項イにおける「第2始動口315」に対応するものとなり、その「第2始動口315」は、訂正前特定事項C及びFにおいて「第2入球手段」と特定されたものであるから、本来は「第2入球手段」と特定されるべきものであることは自明である。

(3)合議体の判断
してみると、訂正前特定事項Fにおける「前記第2入賞手段」は、誤りであることが明らかであり、かつ、「前記第2入球手段」の誤記であることが自明であって、本件訂正はその誤りを正しく訂正するものである。
したがって、本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤記の訂正を目的とするものである。

2 特許法第126条第5項(新規事項の有無)について
本件訂正は、上記1のとおり、誤記の訂正を目的とするものであって、明らかな誤記を自明な事項に訂正するものであるから、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではない。
したがって、本件訂正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第126条第5項の規定に適合する。

3 特許法第126条第6項(特許請求の範囲の拡張又は変更の有無)について
本件訂正は、上記1のとおり、誤記の訂正を目的とするものであって、明らかな誤記を自明な事項に訂正するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第126条第6項の規定に適合する。

4 特許法第126条第7項(独立特許要件)について
本件訂正前の請求項1に係る発明と同様に、本件訂正後の請求項1に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見しないから、本件訂正は、特許法第126条第7項の規定に適合する。

第5 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ同条第5項〜第7項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導入部、第1流路部、第2流路部及び振分部を有し、前記導入部から導入された遊技盤左側の所定領域からの遊技球を、前記振分部によって前記第1流路部又は前記第2流路部のいずれかに振り分けて流下させ得る流路形成手段を備えた遊技機であって、
前記遊技盤の左側領域に向けて発射された遊技球の入球が可能な第1入球手段と、
前記遊技盤の右側領域に向けて発射された遊技球の入球が可能であり、前記第1入球手段とは機能が異なる第2入球手段と、
前記第2流路部を流下する遊技球を検知可能な第1の検知手段と、
前記遊技盤の右側領域に設けられ、特定領域を遊技球が流下したことを検知する第2の検知手段と、
少なくとも前記第1の検知手段によって遊技球が検知されることを契機として、前記第2入球手段への遊技球の入球が制限される第1位置から、前記第2入球手段への遊技球の入球が許容される第2位置に動作可能な可動手段と、
複数の遊技状態の間で所定状態の成立により遊技状態を移行させる遊技状態移行手段と、を備え、
前記複数の遊技状態は、第1遊技状態、第2遊技状態、第3遊技状態及び特別遊技状態を含み、
前記第1遊技状態、前記第2遊技状態及び前記第3遊技状態は、互いに遊技者にとって有利となる遊技球の流下経路が異なり、
前記第2遊技状態は、前記第1の検知手段によって遊技球の流下が検知されることが遊技者に有利であり、
前記第3遊技状態は、前記第2の検知手段によって遊技球の流下が検知されることが遊技者に有利であり、
前記特別遊技状態は、遊技者に有利な特別遊技が実行される状態であり、
前記特別遊技は、第1特別遊技と、前記第1特別遊技よりも遊技者に有利な第2特別遊技とを含み、
前記第1入球手段への遊技球の入球により実行される前記特別遊技と、前記第2入球手段への遊技球の入球を契機として実行される前記特別遊技とを比較した場合に、前記第2入球手段への遊技球の入球を契機として実行される前記特別遊技のほうが、前記第2特別遊技が実行される期待度が高いことを特徴とする遊技機。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2022-11-01 
結審通知日 2022-11-07 
審決日 2022-11-22 
出願番号 P2017-132605
審決分類 P 1 41・ 852- Y (A63F)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 藤田 年彦
特許庁審判官 三田村 陽平
▲高▼橋 祐介
登録日 2022-05-10 
登録番号 7069579
発明の名称 遊技機  
代理人 種村 一幸  
代理人 種村 一幸  

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